説明

流体制御弁

【課題】 圧力機器の一対の吸排ポートに対する圧力を一方で上昇させたとき、他方ではその上昇に応じて下降する制御が可能な流体制御弁を得る。
【解決手段】 加圧空気の供給を受ける一対の供気ポート室;この一対の供気ポート室と対をなす、圧力機器に接続すべき一対の制御ポート室;各供気ポート室と制御ポート室を連通させる一対の流路絞り;一対の制御ポート室をそれぞれ大気に連通させる一対のノズル通路;この一対のノズル通路の開口端に対向する一対の開閉制御面を有し、開閉制御面を有する該一対のフラッパおよび該一対のノズル通路と開閉制御面の間を移動可能なフラッパアッシー;及びこのフラッパアッシーを移動させ、一対のノズル通路の開口端とフラッパアッシーの一対の開閉制御面との距離を一方で増加させ他方で減少させるフラッパアッシー移動機構;を有する流体制御弁。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の取出圧力を対称形に制御する流体制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
往復シリンダ装置のように、一対の吸排ポートの一方の圧力を上昇させるとき他方の圧力を下降させ、荷重や位置を制御する機器が数多く存在する。
【特許文献1】特開2004-56972号公報
【特許文献2】特公平3-20604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような用途に用いる制御弁は従来、単純に一対の吸排ポートの一方に加圧空気を供給し、他方は大気に開放するものであった。しかし、往復シリンダ装置の位置制御の場合を例にとれば、移動方向の変更を滑らかに行うことができず、安定かつ精度の良い位置制御ができない。
また、サーボバルブは、広い周波数範囲で高い圧力分解能を有し、高速な制御が可能である。しかし、サーボバルブは、ノズルに対して弾性体のフラッパを振り子のように揺動して、ノズルの有効開口量を制御している。そのため、一対の吸排ポートに供給する加圧空気の流量が大きくバラつき、高精度な流量(圧力)制御が困難である。
【0004】
本発明は、圧力機器の一対の吸排ポートに対する圧力を一方で上昇させたとき他方ではその上昇に応じて下降する高精度な制御が可能な流体制御弁、すなわち例えば往復シリンダ装置に用いたとき、流量(圧力)を高精度に制御し、移動方向の変更を滑らかに行うことができる流体制御弁を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の流体制御弁は、加圧空気の供給を受ける一対の供気ポート室;この一対の供気ポート室と対をなす、圧力機器に接続すべき一対の制御ポート室;各供気ポート室と制御ポート室を連通させる一対の流路絞り;一対の制御ポート室をそれぞれ大気に連通させる一対のノズル通路;この一対のノズル通路の開口端に対向する一対の開閉制御面を有し、該一対のノズル通路の間を移動可能なフラッパアッシー;及びこのフラッパアッシーを移動させ、一対のノズル通路の開口端とフラッパアッシーの一対の開閉制御面との距離を一方で増加させ他方で減少させるフラッパアッシー移動機構;を有することを特徴とする。
【0006】
フラッパアッシーの一対の開閉制御面は、例えば、周縁部を固定したフラッパの両面に設けることができる。
【0007】
また、フラッパは、一対を設け、この一対のフラッパに一体にそれぞれ一対のノズル通路の開口端に対向する開閉制御面を設けることができる。
【0008】
流路絞りは、最も簡単にはオリフィスから構成することができる。
あるいは、供気ポート室側の入口穴を有する入口板;制御ポート室側の出口穴を有する出口板;及びこの入口板と出口板との間に交互に積層された複数のスペーサ板と中間流路板;を備え、この中間流路板とスペーサ板は、上記入口板の入口穴と出口板の出口穴との間に該中間流路板の表面に沿う曲折流路を形成する流路穴を備えている整流絞りから構成することも可能である。
【0009】
フラッパアッシー移動機構は、手動、空気圧駆動、油圧駆動、および圧電素子駆動などが可能であるが、制御性を考慮すると電磁駆動機構が好適である。
【0010】
電磁駆動機構は、例えば、フラッパアッシーに固定した永久磁石と、この永久磁石との間で電磁作用を生じさせ該フラッパアッシーを移動させる固定コイルとから構成することができる。
【0011】
本発明はまた、電磁駆動機構のより好ましい態様を提案する。この電磁駆動機構は、永久磁石を円柱状とし、フラッパアッシーには開閉制御面を有する一対のフラッパを設けて、この一対のフラッパの中心部間を、該円柱状永久磁石と該円柱状永久磁石の両端部に位置するマグネットヨークとを含む接続部材によって接続する。そして、この円柱状永久磁石及び一対のマグネットヨークの外囲に、一対のフラッパの中間位置から対称に配置される一対の固定コイルと、この固定コイルの両側および外囲に位置するコイルヨークとから構成され、コイルヨークのフラッパ側端面は、固定コイルへの非通電状態(中立位置)で、一対のマグネットヨークの外側端面より外側に位置させ、かつ、一対の固定コイルには、互いに逆方向に電流が流れるように制御する。
【0012】
上記流体制御弁のフラッパアッシーは、一対のノズル通路の開口端面に直交する直線方向に移動することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の流体制御弁によると、圧力機器の一対の吸排ポートに対する圧力を一方で上昇させたとき、他方ではその上昇に応じて圧力が下降するように高精度に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本実施形態は、本発明による流体制御弁CVを両ロッド型シリンダ50の制御用に用いる一実施形態を示している。この流体制御弁CVは、筒状のハウジング11を有し、全体として筒状ハウジング11の軸線Oを中心とする回転対称形状をなしている。この筒状ハウジング11には、中心部の制御ブロック20と、この制御ブロック20の左右に位置する一対の流路ブロック10L、10Rが備えられている。図1、図2では、左方の流路ブロック10Lの要素にサフィックスLを、右方の流路ブロック10Rの要素にサフィックスRを付す。
【0015】
流路ブロック10L(10R)は、外側から順に、筒状ハウジング11の端部を閉塞する端壁12L(12R)、スペーサリング13L(13R)、隔壁14L(14R)、及び制御ポート室形成ブロック15L(15R)を有する。スペーサリング13L(13R)は、端壁12L(12R)と隔壁14L(14R)の間に供気ポート室16L(16R)を形成する。供気ポート室16L(16R)には、筒状ハウジング11に穿設した供気ポート16aL(16aR)が開口しており、この供気ポート16aL(16aR)は、レギュレータ40を介してポンプ(圧縮空気源)41に接続されている。
【0016】
隔壁14L(14R)と制御ポート室形成ブロック15L(15R)の間には、制御ポート室17L(17R)が形成されている。制御ポート室17L(17R)は、供気ポート室16L(16R)と対をなしており、制御ポート室17L(17R)には、筒状ハウジング11に穿設した制御ポート17aL(17aR)が開口している。
【0017】
隔壁14L(14R)には、軸線O上に位置させて、供気ポート室16L(16R)と制御ポート室17L(17R)を連通させるオリフィス(流路絞り)18L(18R)が穿設されている。オリフィス18L(18R)が、供気ポート室16L(16R)から制御ポート室17L(17R)へ流入する流量を制限しているため、ノズル通路19L(19R)から流出する流量を変えた時に、制御ポート室17L(17R)の圧力を制御することができる。
【0018】
制御ポート17aL(17aR)は、両ロッド型シリンダ(圧力機器)50の一対の対向圧力室52L(52R)にそれぞれ接続されている。すなわち、両ロッド型シリンダ50は、シリンダ51に嵌められ一対の対向圧力室52L(52R)を画成するピストン53を有していて、このピストン53の両側に固定したロッド54がシリンダ51の外部に導かれて固定されている。シリンダ51は、リニアモーションベアリング55を介してガイドロッド56に直線移動自在に支持されており、シリンダ51には移動テーブル57が固定されている。
【0019】
制御ポート室形成ブロック15L(15R)には、同じく軸線O上に位置させて、ノズル通路19L(19R)が穿設されている。このノズル通路19L(19R)は、制御ポート室17L(17R)を排気ポート室21L(21R)に連通させており、排気ポート室21L(21R)は、筒状ハウジング11に穿設した排気ポート15aL(15aR)を介して大気に連通している。ノズル通路19L(19R)は、制御ポート室形成ブロック15L(15R)に制御ブロック20側に突出させて形成した円錐状突出部の中心に穿設されている。
【0020】
制御ポート室形成ブロック15Lと15Rの間の筒状空間には、制御ブロック20が配置されている。この制御ブロック20は、ノズル通路19L(19R)(円錐状突出部)に対向する開閉制御面32L(32R)を有するフラッパアッシー30と、フラッパアッシー30を軸線方向に移動させてノズル通路19L(19R)と開閉制御面32L(32R)との距離を一方で増加させ他方で減少させるフラッパアッシー移動機構を備えている。この実施形態では、このフラッパアッシー移動機構は、電磁駆動機構22からなっている。
【0021】
フラッパアッシー30の開閉制御面32L(32R)は、円形の弾性変形可能な左右のフラッパ31L(31R)に設けられており、この左右のフラッパ31L(31R)の軸部間は、中心の円柱状永久磁石25と左右のマグネットヨーク26及びフラッパ接続片27(左右対称形の接続部材)を介して結合されている。フラッパ31L(31R)は、その周縁部が筒状ハウジング11に固定されており、円柱状永久磁石25を筒状ハウジング11(固定コイルヨーク部24)の中心部に浮動状態で保持している。フラッパ31L(31R)は勿論穴あきとすることができる。
【0022】
電磁駆動機構22は、フラッパアッシー30の円柱状永久磁石25と、この円柱状永久磁石25の外囲に位置する固定コイルヨーク部24とによって構成されている。
【0023】
全体として筒状をなす固定コイルヨーク部24は、中心コイルヨーク28aと、その両側に位置する一対のコイル29と、このコイル29の外側に位置する一対の端部コイルヨーク28bとを有する左右対称形をしており、これら中心コイルヨーク28a、コイル29、端部コイルヨーク28bの外周にはさらに、周囲コイルヨーク28cが設けられている。一対のコイル29は同一方向に巻かれ、互いに逆方向に電流が流れるように制御回路に接続されている。
【0024】
この固定コイルヨーク部24の左右の端部コイルヨーク28bの両端面(外端面)は、円柱状永久磁石25の左右のマグネットヨーク26の両端面(外端面)より、若干(距離dだけ)外側に位置している。
【0025】
以上の流体制御弁CVは次のように動作する。ポンプ41からの加圧空気は、レギュレータ40により調圧された後供気ポート16aL(16aR)を介して供気ポート室16L(16R)に供給されている。電磁駆動機構22の一対のコイル29に通電しないときには、図1に示すように、フラッパアッシー30は左右方向のいずれにも移動しない中立位置に保持される。すなわち、ノズル通路19Lの開口端19aLとフラッパ31Lの開閉制御面32Lとの距離と、ノズル通路19Rの開口端19aRとフラッパ31Rの開閉制御面32Rとの距離は等しい。オリフィス18L(18R)から制御ポート室17L(17R)に流入する加圧空気の流量は左右で同じであり、さらにノズル通路19L(19R)の開口端19aL(19aR)とフラッパ31L(31R)の距離が等しく、ノズル通路19L(19R)から排気ポート15aL(15aR)に流出する流量が等しくなる。そのため、左右の制御ポート室17L(17R)の圧力は同じになる。したがって、制御ポート室17Lと17Rに連なる対向圧力室52Lと52Rの圧力は等しく、両ロッド型シリンダ50は動作しない。
【0026】
これに対し、電磁駆動機構22を作動させその一対のコイル29に正または逆に通電すると、一対のコイル29には逆方向に電流が流れるため、左右の端部コイルヨーク28bには、同一極性の磁極(N極またはS極)が発生し、中心コイルヨーク28aには端部コイルヨーク28bに生じる磁極と異なる磁極(S極またはN極)が発生する。したがって、円柱状永久磁石25は、端部コイルヨーク28bと中心コイルヨーク28aの間で生じる、磁石同士の反発力または吸引力を受ける。
【0027】
このとき、一対の端部コイルヨーク28bの外端面は一対のマグネットヨーク26の外端面よりも距離dだけ外側に位置しているため、一方の端部コイルヨーク28bと円柱状永久磁石25の間で反発力(吸引力)が生じるとき、他方の端部コイルヨーク28bと円柱状永久磁石25の間では吸引力(反発力)が生じる。このため、フラッパアッシー30は、強い力を受け、フラッパ31L(31R)が弾性変形しフラッパアッシー30が左右の一方に移動する。このように、フラッパアッシー30は、一対のノズル通路の開口端面に直交する直線(軸線O)方向に移動する。そのため、供給する加圧空気の流量がバラつくことなく、高精度な流量(圧力)制御ができる。図2はフラッパアッシー30が左方に移動した状態を示している。
【0028】
図2のようにフラッパアッシー30が左方に移動すると、フラッパ31Lの開閉制御面32Lとノズル通路19Lの開口端19aLとの距離が縮まり、制御ポート室17Lから排気ポート15aLを介して大気中に逃げる空気の量が少なくなる。一方、フラッパ31Rの開閉制御面32Rとノズル通路19Rの開口端19aRとの距離は広がり、制御ポート室17Lから制御ブロック20および排気ポート15aLを介して大気中に逃げる空気の量が多くなる。このため、制御ポート室17L内(制御ポート17aL)の圧力が上昇し、制御ポート室17R内(制御ポート17aR)の圧力が下降する。オリフィス18L(18R)は、制御ポート室17Lと17Rに確実に圧力差を生じさせる。
【0029】
図3は、フラッパアッシー30が左右に移動したときの制御ポート17aLと17aR(一対の取出圧力)の圧力変化の関係を示している。このように制御ポート17aLと17aRの一方の圧力が上昇すると他方の圧力がそれに伴って下降する関係となる。このため、制御ポート17aLと17aRに接続されている両ロッド型シリンダ50の対向圧力室52Lと52Rの圧力上昇と圧力下降は、同時に対称形に生じ、このためシリンダ51(移動テーブル57)を滑らかに移動させることができる。
【0030】
図4ないし図7は本発明による流体制御弁の別の実施形態を示している。この実施形態では、図4に示すように、第1の実施形態のオリフィス18L(18R)に代えて、板材の積層構造からなる整流絞り100を用いている。
【0031】
整流絞り100は、図5ないし図8に示すように、4種類(3種類)の外形円形板材を積層して構成されている。4種類の円形板材は、入口板111、出口板112、中間流路板113及びスペーサ板114である。入口板111と出口板112はそれぞれ、その偏心位置に入口穴111aと出口穴112aを有しており、入口穴111aと出口穴112aの平面位置は異なっている(しかし、入口穴111aと出口穴112aは回転対称位置にあり、入口板111と出口板112は同一形状の板材を用いることができる)。中間流路板113は、入口穴111aと出口穴112aと同じ平面位置に独立した一対の流路穴113aと113bを備えており、スペーサ板114は、この流路穴113aと113bを連通させる流路穴(横長(小判状)流路穴)114aを備えている(図6)。
なお、この流路穴114aには、図7に鎖線で示すように、流路穴113aと113bを結ぶ方向に延びる1ないし複数の橋絡部114bを形成して流路隙間の変化(変形)を防ぐことができる。
【0032】
これらの入口板111、複数のスペーサ板114、複数の中間流路板113及び出口板112は、隔壁14L(14R)の連通穴115内に図5に明らかなように積層配置され、リテーナ(不図示)を介して固定される。このとき、入口穴111aと流路穴113a及び流路穴114aの位相(平面位置)を一致させ、出口穴112aと流路穴113b及び流路穴114aの位相(平面位置)を一致させる。曲折流路は、入口穴111aから入口板111と中間流路板113の間を通り流路穴113bに至る流路、入口穴111aから隣り合う中間流路板113の間を通り流路穴113bに至る流路に大別され、流路穴113bは出口穴112aに連通している。
【0033】
以上の整流絞り100によると、入口板111の入口穴111aから出口板112の出口穴112aに至る十分長い流路(層流流路)を確保することができ、圧力変動を小さくすることができる。そのため、第1の実施形態のオリフィス18L(18R)よりも安定した層流を得ることができる。すなわち、不確定うず、衝撃波、境界層剥離ポイント変動、よどみなどを抑えることができる。図示例では、入口板111、出口板112、中間流路板113及びスペーサ板114を平面円形とし、各板の穴形状を長円形としたが、これらの平面形状には自由度がある。各板は、金属板の他、樹脂板、セラミック板、ゴム板等の材質から形成可能である。
【0034】
以上の整流絞り100は、入口板111、中間流路板113、出口板112を各1枚づつ用いて、最も単純な構成とすることもできる。
【0035】
図9は、整流絞り100の別の実施形態を示している。この実施形態の整流絞り100Aは、3種類(2種類)の板材だけで構成されている。入口板111、出口板112及びスペーサ板114は、第一の実施形態と同一であり、第一の中間流路板111Aと第二の中間流路板112Aは、入口板111と出口板112と同一形状をなしていて、それぞれ流路穴111Aa、112Aaを有している。
【0036】
この整流絞り100Aは、入口板111の上に、スペーサ板114、第二中間流路板112A、スペーサ板114、第一中間流路板111A、スペーサ板114、第二中間流路板112Aと交互に重ね、スペーサ板114上に出口板112を重ねて配置する。入口穴111aと流路穴111Aa、出口穴112aと流路穴112Aaはそれぞれ平面的に同じ位置とし、入口穴111aと出口穴112aの平面位置は異ならせる。この実施形態では、曲折流路は、入口穴111a、流路穴112Aa、流路穴111Aa、の順にジグザグ状に形成され、最終的に出口穴112aに至る。この実施形態では、出口穴112aの位相(平面位置)は、入口穴111aと一致させてもよい。
【0037】
以上の整流絞り100Aによると、入口板111の入口穴111aから出口板112の出口穴112aに至るさらに十分長い流路(層流流路)を確保することができる。
【0038】
流路断面積は、図5ないし図8の例では中間流路板113とスペーサ板114の板厚及び流路穴113a、113b及び流路穴114aの径に依存し、図9の例では第一、第二の中間流路板111A、112Aとスペーサ板114の板厚及び流路穴111Aa、112Aa及び流路穴114aの径に依存する。これらは、用途に応じ適宜定めることができ、本実施形態の構成によれば、スペーサ板の板厚管理により、数μm程度の狭い隙間を安定して実現することができる。
【0039】
図10は、さらに別の整流絞り100Bの実施形態を示している。この整流絞り100Bは、平板状の下ディスク121と、円形入口穴122aを有する上ディスク122の間に、十字状のスペーサ123を挟着したもので、円形入口穴122aの径は、十字状スペーサ123の中心十字状部の大きさより十分大きく、円形入口穴122aから入った空気は、十字状スペーサ123で周囲に拡げられ、下ディスク121上を通って出て行く。この整流絞り100Bによると、十字状スペーサ123によって形成される隙間を通る流路が急拡大されないため、不確定うず、衝撃波、境界層剥離ポイント変動、よどみなどを抑え、層流流路を確保することができる。
【0040】
フラッパアッシー移動機構は、軸線O上を直動する構成であることが良く、手動、空気圧駆動、油圧駆動、および圧電素子駆動などが可能である。制御性、低コスト化および省スペース化を考慮すると、電磁駆動機構が好適であり、永久磁石とコイルの位置関係は、上記実施形態の電磁駆動機構のようにフラッパアッシー側に永久磁石、固定側にコイルを配置する構成が良い。一対のコイルは、互いに逆方向に巻かれて、一連の導電線からなる複合コイルまたは2つの独立するコイルであって、互いに電流が逆方向に流れるように配置する構成であっても良い。
なお、本発明の流体制御弁に整流絞り100、100A、100Bを用いると、一対の吸排ポートに供給する加圧空気の圧力変動を小さくすることができるため、高精度で安定性の良い制御が可能になる。
【0041】
図11は、図4に示した流体制御弁を三方弁として使用する態様を示している。この使用態様では、ポート16aLと17aLを入口ポートとし、排気ポート室21Lと21Rを連通させ、排気ポート15aLと15aRを出口ポートとし、ポート17aRと16aRを大気ポートとしている。制御ポート17aLと制御ポート17aRは、閉じてもよい。この三方弁の使用態様によると、フラッパアッシー30が中立位置から図の右方に移動すると、入口側ノズル通路19Lとフラッパ31L(開閉制御面32L)との距離が、出口側ノズル通路19Rとフラッパ31R(開閉制御面32R)との距離より相対的に大きくなる結果、ポート17aRと16aLに流出する流量が少なくなるので、排気ポート15aLと15aRの圧力を上昇させることができる。フラッパアッシー30が図の左方にフルストロークすると、入口ポートと出口ポートの圧力が等しくなる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による流体制御弁の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明による流体制御弁の圧力制御状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明による流体制御弁のフラッパアッシーの移動位置または電流と、一対の取出圧力との関係図である。
【図4】本発明による流体制御弁の別の実施形態を示す、図1に対応する縦断面図である。
【図5】図4の流体制御弁の整流絞り部分の拡大断面図である。
【図6】同各板状部材の平面図を含む断面図である。
【図7】同各板状部材の別の実施形態を示す、平面図を含む断面図である。
【図8】図4の整流絞りの分解斜視図である。
【図9】整流絞りの別の実施形態を示す、平面図を含む断面図である。
【図10】整流絞りのさらに別の実施形態を示す、分解斜視図である。
【図11】図4の流体制御弁を三方弁として使用する態様のポート関係を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
10L 10R 流路ブロック
11 筒状ハウジング
12L 12R 端壁
13L 13R スペーサリング
14L 14R 隔壁
15L 15R 制御ポート室形成ブロック
15aL 15aR 排気ポート
16L 16R 供気ポート室
16aL 16aR 供気ポート
17L 17R 制御ポート室
17aL 17aR 制御ポート
18L 18R オリフィス(流路絞り)
19L 19R ノズル通路
19aL 19aR 開口端
20 制御ブロック
21L 21R 排気ポート室
22 電磁駆動機構
24 固定コイルヨーク部
25 永久磁石
26 マグネットヨーク
27 フラッパ接続片
28a 28b 28c ヨーク
29 コイル
30 フラッパアッシー
31L 31R フラッパ
32L 32R 開閉制御面
40 レギュレータ
41 ポンプ
50 両ロッド型シリンダ(圧力機器)
51 シリンダ
52L 52R 対向圧力室
53 ピストン
54 ロッド
55 リニアモーションベアリング
56 ガイドロッド
57 移動テーブル
100 100A 100B 整流絞り(流路絞り)
CV 流体制御弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧空気の供給を受ける一対の供気ポート室;
この一対の供気ポート室と対をなす、圧力機器に接続すべき一対の制御ポート室;
各供気ポート室と制御ポート室を連通させる一対の流路絞り;
上記一対の制御ポート室をそれぞれ大気に連通させる一対のノズル通路;
この一対のノズル通路の開口端に対向する一対の開閉制御面を有し、該一対のノズル通路の間を移動可能なフラッパアッシー;及び
このフラッパアッシーを移動させ、上記一対のノズル通路の開口端とフラッパアッシーの一対の開閉制御面との距離を一方で増加させ他方で減少させるフラッパアッシー移動機構;
を有することを特徴とする流体制御弁。
【請求項2】
請求項1記載の流体制御弁において、上記フラッパアッシーは、周縁部を固定したフラッパと、このフラッパの中心部に一体に設けた上記一対の開閉制御面とを備えている流体制御弁。
【請求項3】
請求項2記載の流体制御弁において、上記フラッパアッシーのフラッパは該フラッパアッシーの両端部に一対が備えられており、該一対のフラッパに一体にそれぞれ一対のノズル通路の開口端に対向する開閉制御面が設けられている流体制御弁。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の流体制御弁において、上記流路絞りはオリフィスからなっている流体制御弁。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の流体制御弁において、上記流路絞りは、供気ポート室側の入口穴を有する入口板;制御ポート室側の出口穴を有する出口板;及びこの入口板と出口板との間に交互に積層された複数のスペーサ板と中間流路板;を備え、この中間流路板とスペーサ板は、上記入口板の入口穴と出口板の出口穴との間に該中間流路板の表面に沿う曲折流路を形成する流路穴を備えている整流絞りからなっている流体制御弁。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の流体制御弁において、上記フラッパアッシー移動機構は、電磁駆動機構からなっている流体制御弁。
【請求項7】
請求項6記載の流体制御弁において、上記電磁駆動機構は、フラッパアッシーに固定した永久磁石と、この永久磁石との間で電磁作用を生じさせ該フラッパアッシーを移動させる固定コイルとからなっている流体制御弁。
【請求項8】
請求項6記載の流体制御弁において、上記永久磁石は円柱状をなし、上記フラッパアッシーは上記開閉制御面を有する一対のフラッパを備えていて、この一対のフラッパの中心部間が、該円柱状永久磁石と該円柱状永久磁石の両端部に位置するマグネットヨークとを含む接続部材によって接続されており、この円柱状永久磁石及び一対のマグネットヨークの外囲に、上記一対のフラッパの中間位置から対称に配置される一対の固定コイルと、この固定コイルの両側および外囲に位置するコイルヨークとから構成され、上記コイルヨークのフラッパ側端面は、上記固定コイルへの非通電状態で、上記一対のマグネットヨークの外側端面より外側に位置し、かつ、上記一対の固定コイルには、互いに逆方向に電流が流れるように制御される流体制御弁。
【請求項9】
請求項6または7記載の流体制御弁において、上記フラッパアッシーは、上記一対のノズル通路の開口端面に直交する直線方向に移動する流体制御弁。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−183813(P2006−183813A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379404(P2004−379404)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000005175)藤倉ゴム工業株式会社 (120)
【Fターム(参考)】