説明

流体制御弁

【課題】圧力制御性の低下を抑制しつつ流体圧力の発振を抑制することができる流体制御弁を提供する。
【解決手段】流体制御弁10は、ボトムプレート12、ボディ14、カバー16を備える。ボディ14には上流側流体室22及び下流側流体室24を介して流入口18と流出口20とが連通可能とされ、各流体室22,24間は弁体26により連通及び遮断される。弁体26は軸部30と可撓性膜部28とを備え、軸部30の端部にはバネ受け部材39が設けられている。バネ受け部材39の小径部39bには、規制部12a側へ変位可能な径拡張部51が設けられ、径拡張部51の外周にはOリング57が設けられている。そして、バネ受け部材39の調整用孔に調整ねじ55を締め込むことで径拡張部51を規制部12a側に変位させ同規制部12aをOリング57を介して押圧する。また、調整ねじ55の締め込み量を調整することで径拡張部51の変位量を調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸部と該軸部に連結された可撓性膜部とを備える弁体によって流体の流路が上流側流体室及び下流側流体室に仕切られて且つ、前記弁体の変位により前記上流側流体室へ流入する流体を前記下流側流体室を介して外部へと流出させる流体制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に、従来の流体制御弁の断面構成を示す。
【0003】
図示されるように、流体制御弁110は、ボトムプレート112、ボディ114及びカバー116を備えて構成されている。そして、ボディ114には、流入口118及び流出口120が設けられている。これら流入口118及び流出口120間は、弁体126によって連通及び遮断される。すなわち、弁体126のテーパ部126aがボディ114内壁によって形成されるシート部132に着座することで、流入口118及び流出口120間が遮断され、テーパ部126aがシート部132から離座することで、流入口118及び流出口120間が連通される。
【0004】
上記弁体126には、バネ受け部材134を介してコイルスプリング136の弾性力が閉弁方向に付与される。これに対し、弁体126には、圧力印加部材138によって開弁方向の力が付与される。
【0005】
こうした構成において、流入口118に所定圧の薬液を供給するとともに圧力印加部材138に所定の圧力を印加すると、弁体126のテーパ部126aがシート部132から離座し、流入口118から流入した薬液が流出口120へと流出する。この際、流出口120から流出する薬液の圧力は、圧力印加部材138の圧力によって制御することができる。
【0006】
ところで、かかる流体制御弁110では、薬液の流れ(圧力や流量等)が変動する等して、薬液の流れにより弁体126に作用する力とコイルスプリング136等により弁体126に作用する力との力バランスがくずれた場合に、弁体126が振動することがある。この弁体126の振動が生じると流出口120から流出する薬液の圧力(つまり2次圧)が発振する発振現象が生じ、その結果圧力精度が低下するおそれがある(その他寿命の低下等の問題もある)。
【0007】
そこで、かかる問題を解決するものとして、例えば特許文献1には、弁体にゴム弾性体よりなる棒状の制振部材を取り付け、その制振部材を摺動孔に配設することで、弁体の変位に伴い制振部材を摺動孔の内面に摺動させる構成が開示されている。これによれば、制振部材に所定の摩擦力を付与することができ、ひいては弁体に抵抗力を付与することができるため、弁体の発振を抑制することができ、その結果圧力の発振を抑制することが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−24070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、制振部材又は摺動孔を形成するに際し寸法のばらつきが発生すると、それに伴い制振部材に付与される摩擦力の大きさにばらつきが生ずることが考えられる。例えば、制振部材の外径寸法が目標寸法よりも大きい場合又は摺動孔の内径寸法が目標寸法よりも小さい場合には、上記摩擦力が大きくなり、その結果弁体の動きが鈍って圧力制御性の低下を招くおそれがある。また、制振部材の外径寸法が目標寸法よりも小さい場合又は摺動孔の内径寸法が目標寸法よりも大きい場合には摩擦力が小さくなり、その結果流体圧力の発振を抑制できないおそれがある。つまり、上記の技術では、流体圧力の発振の抑制と圧力制御性の確保との両立を図る点において、未だ改善の余地が残されているといえる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、圧力制御性の低下を抑制しつつ流体圧力の発振を抑制することができる流体制御弁を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、第1の発明の流体制御弁は、軸部と該軸部に連結された可撓性膜部とを備える弁体によって流体の流路が上流側流体室及び下流側流体室に仕切られて且つ、前記弁体の変位により前記上流側流体室へ流入する流体を前記下流側流体室を介して外部へと流出させる流体制御弁において、前記軸部と連動して変位する可動部と、該可動部の外周側に設けられ前記可動部の変位方向を前記弁体の変位方向に規制する規制部と、前記可動部及び前記規制部の少なくともいずれか一方の側が有し、他方を押圧する押圧手段と、前記押圧手段による押圧量を調整する押圧量調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、可動部の外周側に規制部が設けられているため、可動部の変位方向が弁体の変位方向に規制される。また、可動部及び規制部の少なくともいずれか一方が押圧手段を有しているため、その押圧手段により他方を押圧することができる。これにより、可動部に対して所定の摩擦力を付与することができるため、弁体の振動を抑えることができ、その結果流体の発振現象を抑制することができる。そして、押圧手段による押圧量を押圧量調整手段により調整することができるため、可動部に対して付与する摩擦力の大きさを調整することができる。そのため、付与する摩擦力が大きすぎて弁体の移動が鈍りその結果圧力制御性が低下する事態を抑制できるとともに、付与する摩擦力が小さすぎて流体圧力が発振する事態を抑制することができる。つまり、この場合、圧力制御性の低下を抑制しつつ流体圧力の発振を抑制することができる。
【0013】
第2の発明の流体制御弁は、第1の発明において、前記規制部には、前記可動部の変位方向を前記弁体の変位方向に規制する変位規制面が形成されており、前記押圧手段は、前記可動部側が有し、前記規制部の変位規制面を押圧するものであることを特徴とする。
【0014】
規制部側に押圧手段を設け、押圧手段により可動部を押圧する構成とした場合、押圧手段を可動部よりも外周側(例えば規制部の内部)に配置することとなるため、押圧手段の設置構成が大掛かりになることが想定される。その点、本発明では、押圧手段が可動部側に設けられ、押圧手段により規制部の変位規制面が押圧される構成であるため、押圧手段を可動部に内蔵する等設置構成を簡素化できる。これにより、上記第1の発明の効果を比較的簡素な構成で実現できる。
【0015】
第3の発明の流体制御弁は、第2の発明において、前記押圧手段は、前記可動部の一部であって前記規制部側へ変位可能な変位部と、前記変位部の外側面に設けられ前記規制部の変位規制面と当接する弾性部材と、前記変位部を前記規制部側へ変位させる変位手段と、を備え、前記押圧量調整手段は、前記変位手段による前記変位部の変位量を調整する変位量調整手段であることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、可動部の一部である変位部が変位手段により規制部側に変位されることにより、変位部の外側面に設けられた弾性部材が変位部と規制部の変位規制面との間に挟まれた状態で圧縮される。この場合、弾性部材の反発力により規制部の変位規制面が押圧されるため、弾性部材には摩擦力が付与され、ひいては弁体に抵抗力が付与される。そして、変位量調整手段により変位部の変位量を調整することで弾性部材の圧縮量を調整することができるため、その結果押圧量を調整することができひいては摩擦力を調整することができる。ここで、かかる構成において弾性部材に代えて硬質部材を用いた場合には、変位部を少しだけ変位させても、硬質部材が圧縮されないため押圧量が急激に増大することが想定される。したがって、この場合押圧量を微調整するのが困難となり、摩擦力の調整に手間取るおそれがある。その点、弾性部材を用いた本構成では、そのような不都合を回避できるため、摩擦力の調整作業を好適に行うことができる。
【0017】
第4の発明の流体制御弁は、第3の発明において、前記変位部は、前記可動部の外周方向に沿って同方向全域に亘り複数設けられており、前記変位手段は、前記各変位部を同時に前記規制部側へ変位させるものであり、前記弾性部材は、環状をなしており、前記各変位部の外側面に跨って設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、変位部が可動部の外周方向に沿って同方向全域に亘り複数設けられ、環状の弾性部材がそれら各変位部の外側面に跨って設けられている。そして、これら各変位部が変位手段により規制部側に同時に変位されるため、可動部(詳細には変位部に相当する部分)の外周全域で弾性部材を介し規制部の変位規制面を押圧することが可能となる。これにより、可動部の外周全域に抵抗力を付与することができるため、局所的に抵抗力が付与されることで可動部がその変位に際しバランスを欠き傾くといった不都合を抑制することができる。
【0019】
第5の発明の流体制御弁は、第4の発明において、前記可動部は、当該可動部の変位方向に延びる軸を有した円周面であり、前記規制部の変位規制面は、前記可動部の外周面と略同軸の円周面であり、前記弾性部材は、円環状をなしており、前記変位手段は、前記各変位部を同時にかつ同じ変位量で前記規制部側へ変位させるものであることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、可動部の外周面が当該可動部の変位方向に延びる軸を有した円周面となっており、規制部の変位規制面が可動部の外周面と略同軸の円周面となっている。つまり、可動部の外周面と規制部の変位規制面とは、内外二重に対向している。そして、可動部の外周方向に沿って同方向全域に亘り複数設けられた変位部が変位手段により同時にかつ同じ変位量で規制部側へ変位されるため、可動部における変位部に対応する部分は全体として拡径される。この場合、可動部(詳細には変位部に相当する部分)の外周全域で規制部の変位規制面を均一に押圧できるため、可動部の外周全域に抵抗力を均一に付与することができる。これにより、可動部がその変位に際しバランスを欠き傾く等の不都合をより一層抑制することができる。
【0021】
また、弾性部材としてはOリングを用いるのが望ましい。Oリングは比較的入手し易く、また各変位部の外周にはめる等することで比較的容易に取り付けることができるため、上記の効果を実現するに際し都合がよい。
【0022】
第6の発明の流体制御弁は、第4又は第5の発明において、前記弾性部材は、開放端を有するものであることを特徴とする。
【0023】
例えば、弾性部材として閉環状のものを用いる構成においては、変位部を規制部側に変位させた際に弾性部材が周方向に沿って自ら引っ張り合うため、弾性部材を規制部に押圧させるのが妨げられる。その点、本発明によれば、弾性部材が開放端を有しているため、そのような不都合を回避することができる。つまり、変位部の変位量に伴い規制部を押圧する押圧量を比較的リニアに調整(上げ下げ)できるため、摩擦力の調整作業をし易くすることができる。
【0024】
第7の発明の流体制御弁は、第4乃至第6のいずれかの発明において、前記可動部は、その変位方向における一端側に開口し、同変位方向に沿って形成された孔部を有し、前記孔部の内外を区画する壁部が周方向に沿って複数に分割されて各分割片が前記規制部側に傾倒可能とされているとともに、これら各分割片がそれぞれ前記変位部であり、前記変位手段は、前記孔部に挿通され、同孔部の奥側に締め込むことにより前記各変位部を前記規制部側に傾倒させ変位させる調整ねじを備え、前記変位量調整手段は、前記調整ねじの締め込み量を調整することにより前記変位部の変位量を調整するものであることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、可動部の変位方向における一端側に形成された孔部に調整ねじを挿通し同調整ねじを締め込むことで、孔部の内外を区画する複数の変位部を規制部側に傾倒させ変位させることができる。そして、調整ねじの締め込み量を調整することにより変位部の変位量を調整することができる。この場合、調整ねじの締め込み量を調整することで可動部に付与される摩擦力の大きさを調整できるため、かかる調整作業を比較的容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】流体制御弁の全体構成を示す縦断面図。
【図2】バネ受け部材周辺の構成を示す分解図。
【図3】(a)がバネ受け部材を示す底面図、(b)がOリングを示す平面図。
【図4】摩擦力の調整手順を説明するための説明図。
【図5】別例におけるバネ受け部材周辺の構成を示す縦断面図。
【図6】従来における流体制御弁の構成を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明にかかる流体制御弁を半導体製造工程において用いられる流体制御弁に適用した第1の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図1は流体制御弁の全体構成を示す断面図である。
【0028】
図1に示すように、流体制御弁10は、ボトムプレート12、ボディ14、及びカバー16の順にこれらが一体的に組みつけられることで略直方体状をなすものとなっている。ここで、ボトムプレート12やカバー16は、例えばポリプロピレン樹脂によって形成され、ボディ14は、フッ素系合成樹脂によって形成されている。
【0029】
上記ボディ14には、流入口18及び流出口20が設けられている。そして、流体制御弁10は、流入口18に流入した薬液を、流出口20を介して外部に流出する。詳しくは、流入口18は、上流側流体室22及び下流側流体室24を介して流出口20と連通可能とされている。
【0030】
上流側流体室22及び下流側流体室24は、ボディ14の中央部で連通可能とされている。詳しくは、上流側流体室22及び下流側流体室24間は、弁体26によって連通及び遮断される。弁体26は、軸部30と、該軸部30の下部において連結される可撓性膜部28とを備えて構成されている。軸部30は、その軸方向の中央部に断面積が拡大された拡大部30aを備えて構成されている。拡大部30aは、可撓性膜部28に近接するほど断面積が縮小するテーパ形状となっている。そして、拡大部30aは、可撓性膜部28と最も離間した端部においてその断面積が最大となっており、同端部には軸方向と直交する方向に拡がる平面部が形成されている。
【0031】
上記弁体26は、上流側流体室22及び下流側流体室24に跨って収容されている。弁体26は、軸部30の軸方向がボトムプレート12側からカバー16側へ向かう方向と同じとなるように収容されている。そして、弁体26は、軸部30の軸方向(図1における上下方向)に沿って変位可能とされている。ここで、弁体26がその軸部30の軸方向に沿ってカバー16側に変位すると、上記拡大部30aのカバー16側端部(断面積が最大の部分)がボディ14の内壁により形成される弁座部32に着座する。この場合、上流側流体室22及び下流側流体室24間が遮断される。これに対し、弁体26がその軸部30の軸方向に沿ってボトムプレート12側に変位すると、拡大部30aのカバー16側端部が弁座部32から離れる。この場合、上流側流体室22及び下流側流体室24間が連通される。
【0032】
可撓性膜部28の端部は、ボトムプレート12及びボディ14間に挟みこまれることで固定されている。これにより、上流側流体室22及びボトムプレート12(詳細には、後述する収容領域35)間が、可撓性膜部28によって仕切られることとなる。
【0033】
ボトムプレート12には、カバー16側に開口された略円柱状の収容領域35が形成されている。この収容領域35は、可撓性膜部28を挟んで上流側流体室22とは反対側に設けられている。ボトムプレート12には、収容領域35の奥側面(底面)からカバー16側に延びるように規制部12aが設けられている。規制部12aは、全体として環状に形成されており、その内側面が円周面となっている。ここで、規制部12aの内側面が変位規制面に相当する。この規制部12aにより収容領域35は二つの空間に区画されており、規制部12aよりも外側がバネ収容室37となっており、規制部12aよりも内側が略円柱状の規制領域41となっている。
【0034】
バネ収容室37には、圧縮コイルバネ38が収容されている。圧縮コイルバネ38のカバー16側の端部は、弁体26の軸部30のボトムプレート12側端部に組み付けられたバネ受け部材39に当接されている。バネ受け部材39は、全体として略円柱状に形成されており、例えばポリプロピレン樹脂よりなる。具体的には、バネ受け部材39は、カバー16側に形成された大径部39aと、ボトムプレート12側に形成された小径部39bとを有しており、そのうち大径部39aが圧縮コイルバネ38に当接している。これにより、圧縮コイルバネ38の付勢力によってバネ受け部材39が、ひいては弁体26がカバー16側に常時付勢されるようになっている。つまり、弁体26の軸部30の拡大部30aが弁座部32に当接(着座)する状態が保持されるようになっている。
【0035】
バネ受け部材39の小径部39bは、上記規制領域41において往復移動可能に収容されている。ここで、小径部39bの外径寸法は規制領域41の外径寸法、つまり規制部12aの内径寸法とほぼ同じである(詳細には規制部12aの内径寸法よりも若干小さい)ため、バネ受け部材39は規制部12aによりその変位方向が弁体26の変位方向に規制されている。
【0036】
また、ボトムプレート12には、収容領域35と(流体制御弁10の)外部とを連通する連通路33が形成されている。これにより、収容領域35は連通路33を介して大気開放されている。
【0037】
一方、上記弁体26の軸部30のうち可撓性膜部28から離間した側の端部は、圧力印加部材43の中央部に嵌め込まれている。圧力印加部材43は、その端部に可撓性膜部43aを備えており、可撓性膜部43aはボディ14及びカバー16間に挟み込まれることにより固定されている。これにより、下流側流体室24及びカバー16間が遮断される。また、カバー16には、圧力作用室45が形成されており、この圧力作用室45に外部から圧力調節されたエアが充填されるようになっている。
【0038】
次に、上記流体制御弁10の動作を説明する。
【0039】
圧力作用室45内に圧力の調節されたエアが充填されていないときには、図1に示すように、バネ受け部材39を介して弁体26に加えられる圧縮コイルバネ38の弾性力により、弁体26の上記拡大部30aのカバー16側端部が弁座部32に着座する。これにより、上流側流体室22及び下流側流体室24間が遮断される。このため、流入口18から流入した薬液が流出口20側に流出することはない。
【0040】
これに対し、圧力作用室45内に圧力の調節されたエアが充填されると、圧力作用室45内の圧力に応じて圧力印加部材43が、ひいては弁体26が軸部30の軸線方向に沿ってボトムプレート12側に変位する。このため、拡大部30aのカバー16側端部が弁座部32から離座し、上流側流体室22及び下流側流体室24間が連通される。これにより、流入口18から流入した薬液が上流側流体室22及び下流側流体室24を介して流出口20から流出する。この際、流出口20から流出される薬液の圧力は、圧力作用室45内の圧力に応じた一定の圧力に調節されたものとなる。これは、圧力作用室45内の圧力によって弁体26をボトムプレート12側に変位させる力と、圧縮コイルバネ38の弾性力が弁体26をカバー16側に変位させる力と、薬液が弁体26に及ぼす力とが釣り合うところで弁体26の変位が固定されることによる。これにより、流入口18側から供給される略一定の圧力の薬液を、これよりも低圧の所望の圧力に高精度に制御して流出口20から流出させることができる。
【0041】
ところで、一般に流体制御弁による圧力制御に際しては、外部へ流出する流体の圧力が振動する発振現象が生じることが問題となる。そこで本実施形態では、バネ受け部材39の小径部39bの外周にOリングを設け、このOリングを規制部12aの内側面に当接させることで弁体26の変位に際し摩擦力を付与し、これにより発振現象を抑制することとしている。また、付与する摩擦力を大きくしすぎると、弁体26の変位が鈍りその結果圧力制御性の低下を招くおそれがあるため、本実施形態では摩擦力を付与することに加え、付与する摩擦力の大きさを調整可能とし、これにより摩擦力を適切な大きさに設定することで圧力制御性の低下を抑制しつつ発振現象の抑制を図ることとしている。以下、その詳細について図1に加え図2及び図3を参照しつつ説明する。なお、図2はバネ受け部材39周辺の構成を示す分解図である。図3は、(a)がバネ受け部材39を示す底面図であり、(b)がOリングを示す平面図である。
【0042】
図1及び図2に示すように、バネ受け部材39の小径部39bには、その軸線方向(変位方向)におけるカバー16側(弁体26側)とは反対側に開口するテーパ孔47が形成されている。テーパ孔47は、その断面積がカバー16側からボトムプレート12側に向かうほど拡大するように形成されている。図3(a)に示すように、小径部39bにおけるテーパ孔47を形成する壁部(肉厚部分)には、テーパ孔47の内外を連通する複数(本実施形態では4つ)のスリット48が形成されている。これら各スリット48は、小径部39bの外周方向に沿って所定間隔で設けられている。各スリット48は、弁体26の変位方向に延びるように形成されており、カバー16側(弁体26側)とは反対側が開放されている。これにより、小径部39bの上記壁部はスリット48によって十字状をなすように4つに分割されており、以下の説明ではこれら分割された各部分をそれぞれ径拡張部51という。
【0043】
図2の説明に戻り、各径拡張部51の外周面には、周方向に沿って溝部51aが形成されている。これら各径拡張部51の溝部51aには、弾性部材としてのOリング57が各溝部51aを跨るように配設されている。本実施形態のOリング57は、詳細には図3(b)に示すように、一箇所切断されており、それ故開放端57aを有する構成となっている。
【0044】
バネ受け部材39には、テーパ孔47よりもカバー16側に同テーパ孔47と連続して調整用孔52が設けられている。調整用孔52はテーパ孔47と同軸の孔であり、その内周側にめねじが形成されている。
【0045】
小径部39bのテーパ孔47には、ポリプロピレン樹脂からなるスリーブ54が収容されている。スリーブ54は、全体として円筒状に形成されており、その外側面がテーパ孔47のテーパ面に合わせたテーパ形状となっている。スリーブ54は、小径部39bにおいてその外側面をテーパ孔47の内側面に当接させた状態で配設されている。
【0046】
バネ受け部材39の調整用孔52には、調整ねじ55がスリーブ54に挿通された状態でねじ込まれている。調整ねじ55は、例えばポリプロピレン樹脂により形成されている。調整ねじ55は、その頭部がスリーブ54の端部に当接された状態で調整用孔52にねじ込まれている。
【0047】
なおここで、径拡張部51、調整ねじ55、Oリング57等により押圧手段が構成されており、調整ねじ55やスリーブ54等により押圧量調整手段、変位手段及び変位量調整手段が構成されている。
【0048】
ここで上記構成において、調整ねじ55を締め込むとスリーブ54がテーパ孔47の奥側に変位し、それに伴い各径拡張部51がスリーブ54の外側面により外側へ押し広げられる。この場合、各径拡張部51は、それぞれ規制部12a側に傾く(つまり変位する)。詳細には、各径拡張部51は、同時にかつ同じ変位量で規制部12a側に変位する。そのため、径拡張部51と規制部12aとの間に挟みこまれたOリング57はこれら両者12a,51により圧縮され、その圧縮されたOリング57の反発力により規制部12aが押圧される。そして、この押圧状態においてバネ受け部材39(ひいては弁体26)が変位すると、Oリング57には規制部12aにより所定の摩擦力が付与され、ひいては弁体26に所定の抵抗力が付与される。
【0049】
また、上記構成では、調整ねじ55の締め込み量を調整することによりスリーブ54の位置調整を行うことで径拡張部51の規制部12a側への変位量を調整することができる。これにより、Oリング57による規制部12aに対する押圧量を調整することができるため、弁体26の変位に際しOリング57に付与される摩擦力の大きさを、ひいては弁体26に付与される抵抗力の大きさを調整することができる。
【0050】
小径部39bにおける径拡張部51よりもカバー16側には、調整用孔52の内外を連通するピン挿通孔59が形成されている。ピン挿通孔59は、後述するように加熱された固定ピン60を挿入するための孔である。このピン挿通孔59に固定ピン60を挿入し小径部39bと調整ねじ55とを固定ピン60の熱により溶かすことで小径部39bと調整ねじ55とが溶着されている。これにより、調整ねじ55はバネ受け部材39に固定され、緩むことがないようになっている。
【0051】
ボトムプレート12には、(流体制御弁10の)外部と規制領域41とを連通するゲージ挿入口62が設けられている。このゲージ挿入口62には、取り外し可能な蓋部63が設けられている。
【0052】
次に、弁体26の変位に際しOリング57に付与される摩擦力の大きさを調整する調整作業について図4を参照しつつ説明する。なお、図4は、摩擦力の調整手順を説明するための説明図であり、(a)が摩擦力を測定する様子を示す図であり、(b)が固定ピン60を調整ねじ55に差し込む様子を示す図である。
【0053】
本調整作業は、流体制御弁10を組み立てる前に行うものである。ここでは、バネ受け部材39を弁体26に組み付ける前に調整作業を行うことを想定している。
【0054】
まず、バネ受け部材39に、スリーブ54、調整ねじ55及びOリング57を取り付ける作業を行う。この作業では、小径部39bのテーパ孔47にスリーブ54を挿入しその状態で調整ねじ55をスリーブ54を介して調整用孔52に締め込む。そして、Oリング57を径拡張部51の溝部51aに配設する。なお、この取付作業においては、調整ねじ55の締め込み量は任意でよい。各部材54,55,57をバネ受け部材39に取り付けた後、図4(a)に示すように、バネ受け部材39の小径部39bをボトムプレート12の規制領域41に挿入する。
【0055】
次に、バネ受け部材39の変位に際しOリング57に付与される摩擦力を調整する調整作業を行う。この調整作業では、まず上記取付作業においてバネ受け部材39に取り付けたOリング57に付与される摩擦力を測定する作業を行う。この測定作業では、まずプッシュプルゲージ66のロッド66aをゲージ挿入口62より規制領域41に挿入し、ロッド66aの先端部を調整ねじ55に当接させる。その後、ロッド66aの先端部で調整ねじ55をゲージ挿入口62とは反対側に向かって押圧し、バネ受け部材39を同側に変位させる。そして、この変位時においてプッシュプルゲージ66に加わる荷重を測定する。ここで、測定される荷重が規制部12aによりOリング57に付与される摩擦力に相当する。なお、この測定作業は、バネ収容室37に圧縮コイルバネ38を設けない状態で行う。
【0056】
上記測定作業において、測定された摩擦力が目標設定値と一致した場合には、調整作業を終了する。一方、測定された摩擦力が目標設定値と一致しなかった場合には、調整ねじ55の締め込み量を調整する。具体的には、測定された摩擦力が目標設定値よりも小さかった場合には、調整ねじ55の締め込み量を増し、目標設定値よりも大きかった場合には、調整ねじ55の締め込み量を減らす。そして、締め込み量の調整をした後、再度プッシュプルゲージ66を用いて摩擦力の大きさを測定する。摩擦力の測定後、再度、測定された摩擦力が目標設定値と一致しているか否かの判定を行い、一致していれば調整作業を終了し、一致してなければ調整ねじ55により再調整を行う。このようにして、本調整作業では、測定された摩擦力が目標設定値と一致するまで上記一連の作業を繰り返し行う。
【0057】
調整作業の終了後、図4(b)に示すように、調整ねじ55の固定作業を行う。この固定作業では、固定ピン60をバーナー等を用いて加熱し、その加熱した固定ピン60をバネ受け部材39のピン挿通孔59に挿通するとともにその先端部を調整ねじ55に差し込む作業を行う。この場合、固定ピン60の熱によりバネ受け部材39及び調整ねじ55が一部溶け、バネ受け部材39と調整ねじ55とが溶着される。これにより、調整ねじ55がバネ受け部材39に対して固定されるため、調整ねじ55が緩むのを防止することができる。なお、固定ピン60は、バネ受け部材39及び調整ねじ55が溶けた後、ピン挿通孔59から引き抜く。以上をもって、摩擦力の調整作業が終了する。
【0058】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0059】
バネ受け部材39の小径部39bに、規制部12a側に変位(傾倒)可能な径拡張部51を設け、この径拡張部51の外周にOリング57を設けた。そして、径拡張部51を規制部12a側に変位させるための調整ねじ55等を設け、調整ねじ55を締め込むことにより径拡張部51を規制部12a側に変位させ、Oリング57を規制部12aの内側面に押圧させるようにした。これにより、Oリング57に対して所定の摩擦力を付与することができ、ひいてはバネ受け部材39(つまりは弁体26)に対して所定の抵抗力を付与することができるため、弁体26の振動を抑えることができ、その結果流体圧力の発振現象を抑制することができる。また、この調整ねじ55による締め込み量を調整することで、径拡張部51の変位量を調整可能とし、これにより規制部12aに対する押圧量を調整可能とした。この場合、上記押圧量を調整ねじ55により調整することができるため、バネ受け部材39に対して付与する摩擦力の大きさを調整することができる。そのため、付与する摩擦力が大きすぎて弁体26の移動が鈍りその結果圧力制御性が低下する事態を抑制できるとともに、付与する摩擦力が小さすぎて流体圧力が発振する事態を抑制することができる。つまり、この場合、圧力制御性の低下を抑制しつつ流体圧力の発振を抑制することができる。
【0060】
バネ受け部材39の径拡張部51の外周にOリング57を設け、この径拡張部51を規制部12a側に変位させることで規制部12aを押圧する構成とした。つまり、バネ受け部材39側に押圧手段を設けることで、バネ受け部材39側からその外周に設けられた規制部12aを押圧する構成とした。この場合、押圧手段をバネ受け部材39周辺に配置することができるため、押圧手段の設置構成を簡素化することができる。
【0061】
バネ受け部材39の小径部39bにおける径拡張部51の外周に弾性部材としてのOリング57を設けた。この場合、調整ねじ55を締め付けることにより径拡張部51が規制部12a側に変位されると、Oリング57が径拡張部51と規制部12aの内側面との間に挟まれた状態で圧縮され、そのOリング57の圧縮反発力により規制部12aが押圧される。そして、調整ねじ55により径拡張部51の変位量を調整することでOリング57の圧縮量を調整することができるため、その結果押圧量を調整することができ、ひいては摩擦力を調整することができる。ここで、かかる構成においてOリング57に代えて硬質部材を用いた場合には、径拡張部51を少しだけ変位させても、硬質部材が圧縮されないため押圧量が急激に増大することが想定される。したがって、この場合には押圧量を微調整するのが困難となり、摩擦力の調整に手間取るおそれがある。その点、Oリング57を用いた上記の構成では、そのような不都合を回避できるため、摩擦力の調整作業を好適に行うことができる。
【0062】
バネ受け部材39の小径部39bの外周面を、小径部39bの変位方向に延びる軸を有した円周面とし、規制部12aの内側面を小径部39bの外周面と略同軸の円周面とした。そして、径拡張部51をバネ受け部材39の小径部39bの外周に沿って外周方向全域に亘り複数設け、これら各径拡張部51を調整ねじ55を締め付けることにより同時にかつ同じ変位量で規制部12a側に変位させるようにした。この場合、各径拡張部51を規制部12a側に変位させることでOリング57の外周全域に摩擦力を均一に付与することができるため、バネ受け部材39の外周全域に均一に抵抗力を付与することができる。これにより、局所的に摩擦力が付与されることでバネ受け部材39がその変位に際しバランスを欠き傾くといった不都合を抑制することができる。
【0063】
Oリング57の一部を切断することでOリング57に開放端57aを設ける構成とした。これにより、径拡張部51を規制部12a側に変位させた際にOリング57が周方向に沿って自ら引っ張り合うことでOリング57を規制部12aに対し押圧させることが妨げられるのを回避できる。したがって、径拡張部51の変位量に伴って規制部12aに対する押圧量を比較的リニアに調整(上げ下げ)できるため、摩擦力の調整作業をし易くすることができる。
【0064】
バネ受け部材39の小径部39bには、その変位方向における一端側に開口するテーパ孔47を形成し、このテーパ孔47の内外を区画する部位を径拡張部51とした。そして、径拡張部51を規制部12a側に変位(傾倒)可能とし、テーパ孔47には径拡張部51を規制部12a側に変位させるための調整ねじ55を挿通させた。また、調整ねじ55による締め込み量を調整することにより径拡張部51の変位量を調整可能とした。この場合、調整ねじ55の締め込み量の調整により径拡張部51の変位量を調整することで、バネ受け部材39に付与される摩擦力の大きさを調整できるため、かかる調整作業を比較的容易に行うことが可能となる。
【0065】
バネ受け部材39の小径部39bと調整ねじ55とを溶着した。これにより、調整ねじ55が緩むのを防止できるため、長期間にわたって上記の効果を得ることができる。
【0066】
バネ受け部材39の小径部39bを、可撓性膜部28を挟んで上流側流体室22とは反対側に形成された収容領域35(詳細にはバネ収容室37)に設けた。この場合、バネ受け部材39の変位に伴うOリング57と規制部12aとの摺動が流体室22,24の外部で行われるため、仮に摺動に伴いOリング57等に磨耗が生じてもその磨耗により発生した断片等が流体に混入するのを回避することができる。
【0067】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0068】
(1)上記実施形態では、可動部としてのバネ受け部材39の小径部39bに押圧手段としての径拡張部51を設け、同径拡張部51を規制部12a側に変位させることにより規制部12a側を押圧する構成としたが、これを変更して、規制部側に押圧手段を設け、押圧手段により可動部側を押圧する構成としてもよい。その具体例として図5に示すような構成が考えられる。
【0069】
図5に示すように、ボトムプレート81には、カバー16側に開口された略円柱状の収容領域82が形成されている。収容領域82には、弁体26の軸部30の端部に組み付けられたバネ受け部材85が設けられている。バネ受け部材85は、弁体26の軸部30に連結された略円柱状の円柱部85aと、円柱部85aの外周部からカバー16側とは反対側に延びる略円筒状の円筒部85bとを有している。円筒部85bの内周側には、圧縮コイルバネ38が設けられており、圧縮コイルバネ38のカバー16側端部が円柱部85aに当接している。これにより、バネ受け部材85が圧縮コイルバネ38によりカバー16側に付勢されている。
【0070】
円筒部85bは、その外径が収容領域82の内径よりも若干小さくなっている。これにより、バネ受け部材85の変位方向が収容領域82の内側面により弁体26の変位方向に規制されている。つまり、本例では、上記実施形態の規制部12aに代えて、収容領域82の内側面を形成するボトムプレート81の内壁部分が規制部に相当する。そして、バネ受け部材85の円筒部85bが可動部に相当する。ボトムプレート81には、収容領域82の内周面から同収容領域82の(軸線方向と直交する方向に)外側に延びるように孔部87が形成されている。この孔部87は、収容領域82の内周に沿って所定間隔で複数形成されている。各孔部87には、それぞれゴム製のロッド88が配設されており、各ロッド88の端部には同ロッド88を軸方向に沿って変位させる駆動部89(例えばモータ等)が接続されている。ここで、駆動部89によりロッド88を収容領域82側に変位させると、ロッド88の端部がバネ受け部材85の円筒部85bの外周面に当接され、ロッド88の端部により同円筒部85bの外周面が押圧される。そして、駆動部89によりロッド88の変位量を調整することで、円筒部85bの外周面に対する押圧量を調整することができる。この場合、上記押圧量を調整することで、バネ受け部材85の円筒部85bに付与される摩擦力の大きさを調整することができるため、上記実施形態と同様、流体圧力の発振を抑制しつつ圧力制御性の低下を抑制することができる。
【0071】
なお、規制部及び可動部それぞれに押圧手段を設け、規制部側から可動部を押圧するとともに可動部側から規制部を押圧するようにしてもよい。
【0072】
(2)上記実施形態では、可動部であるバネ受け部材39の小径部39b(詳細には径拡張部51)を拡径することで規制部12aの内側面を押圧する構成としたが、これを変更して、規制部12aを縮径することで小径部39bの外周部を押圧する構成としてもよい。
【0073】
(3)上記実施形態では、弾性部材として環状のOリング57を用いることで、小径部39b(詳細には径拡張部51)の外周全域に弾性部材を設ける構成としたが、弾性部材は必ずしも小径部39bの外周全域に設ける必要はなく、小径部39bの外周の一部のみに設けてもよい。例えば、球状のゴム材を小径部39bの外周に沿って複数取り付けるようにすることが考えられる。
【0074】
(4)上記実施形態では、径拡張部51の外周に設けられる弾性部材としてOリング57を用いたが、Oリング57以外の弾性部材を用いてもよい。また、必ずしも弾性部材を用いる必要はなく、樹脂等硬質系の部材を用いてもよい。
【0075】
(5)上記実施形態では、Oリング57を一部切断し開放端57aを有する構成としたが、Oリングは必ずしも切断する必要はなく、開放端57aを有しないOリングを用いてもよい。
【0076】
(6)流体制御弁10としては、薬液の圧力を制御するものに限らず、例えば半導体製造工程において、薬液の濃度を調節するために用いられる純水の圧力を制御するものであってもよい。更に、流体制御弁10としては、半導体製造工程で用いられるものに限らず、例えば化学製品の製造工程で用いられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0077】
10…流体制御弁、12…ボトムプレート、12a…規制部、22…上流側流体室、24…下流側流体室、26…弁体、28…可撓性膜部、30…軸部、39…バネ受け部材、39b…可動部としての小径部、47…孔部としてのテーパ孔、51…変位部としての径拡張部、55…押圧量調整手段、変位手段及び変位量調整手段としての調整ねじ、57…弾性部材としてのOリング、57a…開放端。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と該軸部に連結された可撓性膜部とを備える弁体によって流体の流路が上流側流体室及び下流側流体室に仕切られて且つ、前記弁体の変位により前記上流側流体室へ流入する流体を前記下流側流体室を介して外部へと流出させる流体制御弁において、
前記軸部と連動して変位する可動部と、
該可動部の外周側に設けられ前記可動部の変位方向を前記弁体の変位方向に規制する規制部と、
前記可動部及び前記規制部の少なくともいずれか一方の側が有し、他方を押圧する押圧手段と、
前記押圧手段による押圧量を調整する押圧量調整手段と、
を備えることを特徴とする流体制御弁。
【請求項2】
前記規制部には、前記可動部の変位方向を前記弁体の変位方向に規制する変位規制面が形成されており、
前記押圧手段は、前記可動部側が有し、前記規制部の変位規制面を押圧するものであることを特徴とする請求項1に記載の流体制御弁。
【請求項3】
前記押圧手段は、
前記可動部の一部であって前記規制部側へ変位可能な変位部と、
前記変位部の外側面に設けられ前記規制部の変位規制面と当接する弾性部材と、
前記変位部を前記規制部側へ変位させる変位手段と、
を備え、
前記押圧量調整手段は、前記変位手段による前記変位部の変位量を調整する変位量調整手段であることを特徴とする請求項2に記載の流体制御弁。
【請求項4】
前記変位部は、前記可動部の外周方向に沿って同方向全域に亘り複数設けられており、
前記変位手段は、前記各変位部を同時に前記規制部側へ変位させるものであり、
前記弾性部材は、環状をなしており、前記各変位部の外側面に跨って設けられていることを特徴とする請求項3に記載の流体制御弁。
【請求項5】
前記可動部は、当該可動部の変位方向に延びる軸を有した円周面であり、
前記規制部の変位規制面は、前記可動部の外周面と略同軸の円周面であり、
前記弾性部材は、円環状をなしており、
前記変位手段は、前記各変位部を同時にかつ同じ変位量で前記規制部側へ変位させるものであることを特徴とする請求項4に記載の流体制御弁。
【請求項6】
前記弾性部材は、開放端を有するものであることを特徴とする請求項4又は5に記載の流体制御弁。
【請求項7】
前記可動部は、その変位方向における一端側に開口し、同変位方向に沿って形成された孔部を有し、
前記孔部の内外を区画する壁部が周方向に沿って複数に分割されて各分割片が前記規制部側に傾倒可能とされているとともに、これら各分割片がそれぞれ前記変位部であり、
前記変位手段は、前記孔部に挿通され、同孔部の奥側に締め込むことにより前記各変位部を前記規制部側に傾倒させ変位させる調整ねじを備え、
前記変位量調整手段は、前記調整ねじの締め込み量を調整することにより前記変位部の変位量を調整するものであることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の流体制御弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−106576(P2011−106576A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262476(P2009−262476)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】