流体噴射装置のメンテナンス方法及び流体噴射装置
【課題】回転体の外周部への流体の垂れを防止できる流体噴射装置のメンテナンス方法及び流体噴射装置を提供する。
【解決手段】インクを噴射する記録ヘッド11と、インクを受けるキャップ部材42を外周部40aに備えると共にインクの噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体40と、回転体40を回転駆動させ、キャップ部材42を記録ヘッド11と対向させる流体受け位置から、該流体受け位置から退避する非流体受け位置へと移動させる回転駆動装置40Aと、キャップ部材42内のインクを吸引する吸引ポンプ45とを備えるインクジェットプリンターPRTであって、回転駆動装置40Aの回転駆動と上記吸引ポンプ45の吸引駆動とを同期させる同期装置50を有するという構成を採用する。
【解決手段】インクを噴射する記録ヘッド11と、インクを受けるキャップ部材42を外周部40aに備えると共にインクの噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体40と、回転体40を回転駆動させ、キャップ部材42を記録ヘッド11と対向させる流体受け位置から、該流体受け位置から退避する非流体受け位置へと移動させる回転駆動装置40Aと、キャップ部材42内のインクを吸引する吸引ポンプ45とを備えるインクジェットプリンターPRTであって、回転駆動装置40Aの回転駆動と上記吸引ポンプ45の吸引駆動とを同期させる同期装置50を有するという構成を採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置のメンテナンス方法及び流体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を噴射する流体噴射装置として、例えばインクジェット式記録装置が知られている。インクジェット式記録装置は、記録媒体(媒体)に文字や画像等を記録する装置であり、記録ヘッド(流体噴射ヘッド)に設けられたノズルから記録媒体にインク(流体)を選択的に噴射する構成である。
【0003】
この流体噴射装置では、良好な噴射状態を維持又は回復させるため、当該記録ヘッドのメンテナンス処理を定期的に行っている。その具体的なメンテナンス処理としては、キャップ部材(流体受け部材)を記録ヘッドに対向させ、ノズルからインクをフラッシング(噴射)させることでノズルのメニスカスを調整する処理が挙げられる。
【0004】
下記特許文献1には、流体噴射ヘッドの下方に回転体を配置させ、当該回転体に記録媒体の支持部とキャップ部材とを取り付けた構成が開示されている。この構成によれば、回転体を回転させることにより、流体噴射ヘッドに記録媒体の支持部あるいはキャップ部材を対向させることが可能となり、流体噴射ヘッドの位置を固定したままで記録処理とメンテナンス処理とを切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2003−534165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、流体噴射ヘッドとキャップ部材とを対向させた状態から、回転体を回転させてキャップ部材を退避させ、流体噴射ヘッドに支持部を対向させる際に、キャップ部材内に溜まったインクが縁から垂れて、回転体の外周部を伝って他の構成部あるいは記録媒体を汚してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、回転体の外周部への流体の垂れを防止できる流体噴射装置のメンテナンス方法及び流体噴射装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、流体を媒体に噴射する流体噴射ヘッドと、上記流体を受ける流体受け部材及び上記媒体を支持する媒体支持部材を外周部に備えると共に上記流体の噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体と、上記回転体を回転駆動させ、上記流体受け部材を上記流体噴射ヘッドと対向させる流体受け位置から、該流体受け位置から退避する非流体受け位置へと移動させる回転駆動装置と、上記流体受け部材内の上記流体を吸引する吸引装置とを備える流体噴射装置のメンテナンス方法であって、上記回転駆動装置の駆動と上記吸引装置の駆動とを同期させる同期工程を有するという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、流体受け位置にある流体受け部材に流体噴射ヘッドから流体を噴射してメンテナンス処理を行う。そして、流体受け部材を非流体受け位置に移動させ記録処理に移行する際に、回転駆動装置の駆動と同期して、吸引装置を駆動させ、流体受け部材内の流体を吸引する。該吸引により流体受け部材内の流体を低減させ、回転により傾く流体受け部材から回転体の外周部への流体の垂れを防止する。
【0009】
また、本発明においては、上記同期工程では、上記吸引装置を駆動させながら上記回転駆動装置を駆動させるという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、回転体の回転中に流体受け部材内の流体を吸引し続ける。これにより、流体受け部材内の流体を、流体受け部材が傾く間にも漸次低減させる。また、吸引装置の吸引力により流体受け部材内の流体が引かれ続けられて保持されるため、回転中の流体の垂れを防止することが可能となる。
【0010】
また、本発明においては、上記同期工程では、上記吸引装置を駆動させた後に上記回転駆動装置を駆動させるという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、回転体の回転駆動よりも先に吸引駆動を行う。そして、吸引駆動を続けながら回転体を回転駆動させる。これにより、上記作用に加えて、流体受け部材内の流体を予め低減させた状態で回転体を回転させることができ、回転中の流体の垂れをより確実に防止することが可能となる。
【0011】
また、本発明においては、上記同期工程では、上記吸引装置と上記回転駆動装置とを同時に駆動させるという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、吸引駆動と回転駆動とが同時に行われるので、メンテナンス処理から記録処理への移行時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0012】
また、本発明においては、上記非流体受け位置は、上記流体受け部材が鉛直下方に向く位置であり、上記同期工程では、上記回転駆動装置の駆動が終了するまで上記吸引装置を駆動させるという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、回転駆動が終了するまで吸引駆動を行い、回転中の流体の垂れを防止する。回転駆動が終了する際、流体受け部材は非流体受け位置に位置するが、非流体受け位置において流体受け部材が鉛直下方に向けば、流体は自重により鉛直下方にのみ流れるため、回転体の外周部を伝うことがない。
【0013】
また、本発明においては、上記同期工程では、上記吸引装置の駆動が終了した後に、上記回転駆動装置を駆動させるという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、流体受け部材内の流体を吸引し終えた後に、回転体を回転させる。これにより、流体受け部材からの流体の垂れを確実に防止することができる。
【0014】
また、本発明においては、上記回転駆動により変化する上記流体受け部材の流体保持量に基づいて、上記吸引装置による吸引量を調節する吸引量調節工程を、有するという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、回転駆動により流体受け部材が傾くと、流体受け部材が流体を保持できる流体保持量が変化する。そして、この流体保持量を超える量の流体が垂れて回転体の外周部を汚染する。流体保持量は、流体受け部材の縁の高さ、流体の比重や表面張力、流体受け部材がスポンジや不織布等を有する場合はその吸収材の毛細管力等により定まる。本発明では、この流体保持量に基づいて吸引量を調節することで、その吸引量を流体受け部材から流体が垂れない適切な量に調節する。これにより、吸引装置を過度に駆動させずに流体の垂れを防止できる。そして、吸引装置の耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0015】
また、本発明においては、上記流体受け部材内の上記流体の量を計測する計測工程と、上記計測工程での計測結果に基づいて、上記吸引装置による吸引量を調節する第2吸引量調節工程とを、有するという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、流体受け部材内の流体の量に応じて吸引量を変えるので無駄に吸引装置を駆動する時間を防止できる。そして、吸引装置の耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0016】
また、本発明の流体噴射装置は、上記同期を実行させる同期装置を備えて、該同期装置は、上記回転駆動装置の回転駆動源の駆動力を伝達して上記吸引装置を駆動させる駆動力伝達装置を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、回転駆動装置と吸引装置の駆動源を同一の駆動源とすることでコストの低減、さらに、両者が駆動する同期の精度向上を図ることが可能となる。
【0017】
また、本発明においては、上記駆動力伝達装置は、上記回転駆動源に連結して回転する駆動ギアと、上記駆動ギアに噛合して従動すると共に上記回転駆動装置に駆動力を伝達する駆動力伝達位置と該駆動力伝達位置から退避する非駆動力伝達位置との間を移動自在な第1従動ギアと、上記駆動ギアに噛合して従動すると共に上記吸引装置に駆動力を伝達する駆動力伝達位置と該駆動力伝達位置から退避する非駆動力伝達位置との間を移動自在な第2従動ギアとを、有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、回転駆動装置の駆動のタイミングを駆動ギアに従動する第1従動ギアの移動により調節できる。また、吸引装置の駆動のタイミングを駆動ギアに従動する第2従動ギアの移動により調節できる。このため、回転駆動装置と吸引装置との駆動のタイミングを任意に調節することができる。
【0018】
また、本発明においては、上記駆動力伝達装置は、上記第1従動ギアと上記第2従動ギアとの上記駆動ギアの周方向における相対距離を一定にするよう両者を連結する連結部材を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、第1従動ギアの移動と第2従動ギアとの移動とを物理的に同期させることが可能となる。
【0019】
また、本発明においては、流体を媒体に噴射する流体噴射ヘッドと、前記流体を受ける流体受け部材及び前記媒体を支持する媒体支持部材を外周部に備えると共に前記流体の噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体と、前記流体受け部材内の前記流体を吸引する吸引装置と、回転駆動源に連結して回転する駆動ギアと、前記駆動ギアを太陽歯車としたときに、遊星歯車として機能する第1従動ギアと第2従動ギアと、前記回転体に駆動力を伝達する回転体用ギアと、前記吸引装置に駆動力を伝達する吸引ポンプ用ギアと、前記駆動ギアが一方向に回転したとき、前記第1従動ギアは前記回転体用ギアに駆動力を伝達するとともに、前記第2従動ギアは第2伝達ギアを介して前記吸引ポンプ用ギアに駆動力を伝達し、前記駆動ギアが他方向に回転したとき、前記第2従動ギアは前記回転体用ギアへ駆動力を伝達しないとともに、前記第1従動ギアは第1伝達ギアを介して前記吸引ポンプ用ギアに駆動力を伝達し、前記第1伝達ギアと前記第2伝達ギアのギアの数は、一方が偶数で他方が奇数であるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、駆動ギアをどちらに回転しても吸引装置を駆動するとともに、駆動ギアの一方向の回転でのみ回転体を回転する。そのため、回転体を回転しながら吸引装置を駆動することも、回転体を回転せずに吸引装置を駆動することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態におけるインクジェットプリンターの概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態における記録ヘッドを噴射面側から視た図である。
【図3】本発明の第1実施形態における記録ヘッドの構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態におけるメンテナンス機構の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態におけるメンテナンス機構の構成を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態における吸引ポンプの構成を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態における同期装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の第1施形態におけるインク吸引処理時のメンテナンス機構の様子を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態におけるインク吸引処理時の同期装置の動作を説明する図である。
【図10】本発明の第1実施形態における記録処理移行時の同期装置の動作を説明する図である。
【図11】本発明の第1実施形態における記録処理移行時のメンテナンス機構の動作を説明する図である。
【図12】本発明の第1実施形態におけるメンテナンス機構の構成を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態における同期装置の構成を示す図である。
【図14】本発明の第2実施形態における記録処理移行時の同期装置の動作を説明する図である。
【図15】本発明の第2実施形態における記録処理移行時のメンテナンス機構の動作を説明する図である。
【図16】本発明の第3実施形態における同期装置の構成を示す図である。
【図17】本発明の第3実施形態における記録処理移行時の同期装置の動作を説明する図である。
【図18】本発明の第3実施形態における記録処理移行時のメンテナンス機構の動作を説明する図である。
【図19】本発明の第4実施形態におけるインクジェットプリンターの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る流体噴射装置の各実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。本実施形態では、本発明に係る流体噴射装置として、インクジェット式プリンター(以下、インクジェットプリンターと称する)を例示する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態におけるインクジェットプリンターPRTの概略構成図である。図2は、本発明の第1実施形態における記録ヘッド11を噴射面11A側から視た図である。図3は、本発明の第1実施形態における記録ヘッド11の構成を示す断面図である。
なお、図中示すように、XYZ直交座標系を設定し、XYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する場合がある。この場合においては、記録媒体Mの搬送方向をX方向と、該搬送方向と直交する搬送面幅方向をY方向と、X方向及びY方向と直交する高さ方向(鉛直方向)をZ方向と称する。
【0023】
インクジェットプリンターPRTは、インク滴(流体)を噴射することで記録媒体(媒体)Mに所定の情報や画像を印字する記録処理を行う構成である。記録媒体Mとしては、例えば記録用紙やプラスチック、ガラス基板等が用いられる。インクジェットプリンターPRTは、図1に示すように、インクを噴射する記録ヘッド(流体噴射ヘッド)11を備えるインク噴射機構IJ、記録媒体Mを搬送する搬送機構CR、記録ヘッド11をメンテナンスするメンテナンス機構MN、及び上記各構成部の動作を統括的に制御するコンピュータシステムを有する制御装置CONTを有する。
【0024】
インク噴射機構IJは、記録媒体Mにインク滴(流体)を噴射する記録ヘッド11と、記録ヘッド11にインクを供給するインク供給部12とを有する構成である。本実施形態で用いるインクは、染料や顔料、これを溶解または分散する溶媒を基本的成分とし、必要に応じて各種添加剤が添加された液状体を用いる。
【0025】
本実施形態の記録ヘッド11は、イエロー(Ye)、マゼンタ(Ma)、シアン(Cy)、ブラック(Bk)の各色調に対応した共通インク室14(14Y、14M、14C、14B)を有し、それらと対応して連通するノズル13から各色に応じたインクを噴射する構成である。なお、記録ヘッド11は、不図示のヘッド移動装置によりZ方向に移動自在である。
インク供給部12は、上記4色のインクを貯蔵するインクタンク12(12Y、12M、12C、12K)を有する。また、インク供給部12は、不図示のインク供給ポンプを有し、各共通インク室14にその色調に応じたインクをインクタンク12から供給する。
【0026】
図2に示すように、記録ヘッド11は、インクジェットプリンターPRTが対象とする最大サイズの記録媒体Mの幅(最大記録媒体幅W)に亘って設けられたノズル形成領域15を有するライン型の記録ヘッドである。ノズル形成領域15は、上記各色のインクに対応したノズル形成領域15Y、15M、15C、15Kを有する。ノズル13は、各ノズル形成領域15に対応してY方向(記録媒体Mの幅方向)に複数配列されてノズル列Lを構成する。このノズル13が複数形成された噴射面11Aは、−Z方向(図1中の鉛直下方)側に向けて配置される。
【0027】
図3に示すように、記録ヘッド11は、ヘッド本体18と、ヘッド本体18に接続された流路形成ユニット22とを備えている。流路形成ユニット22は、振動板19と、流路基板20と、ノズル基板21とを備えると共に、共通インク室14と、インク供給口30と、圧力室31とを形成する。さらに、流路形成ユニット22は、ダイヤフラム部として機能する島部32と、共通インク室14内の圧力変動を吸収するコンプライアンス部33とを備えている。ヘッド本体18には、固定部材26と共に駆動ユニット24を収容する収容空間23と、インクを流路形成ユニット22に案内する内部流路28とが形成されている。
【0028】
上記構成の記録ヘッド11において、ケーブル27を介して駆動ユニット24に駆動信号が入力されると、圧電素子25が伸縮する。これにより、振動板19がキャビティに接近する方向及び離れる方向に変形(移動)する。このため、圧力室31の容積が変化し、インクを収容した圧力室31の圧力が変動する。この圧力の変動によって、ノズル13から、インクが噴射される。なお、インクを噴射した回数は、制御装置CONTがカウントしており、そのカウント数に基づいてインク噴射量が計測される。
【0029】
図1に戻り、搬送機構CRは、紙送りローラ35、排出ローラ36等を有している。紙送りローラ35、排出ローラ36は、不図示のモーター機構によって回転駆動される。搬送機構CRは、インク噴射機構IJによるインク滴の噴射動作に連動させて記録媒体Mを搬送面MRに沿って搬送する構成である。
【0030】
次に、メンテナンス機構MNの構成について、図4〜図8を参照して説明する。
図4及び図5は、本発明の第1実施形態におけるメンテナンス機構MNの構成を示す図である。なお、図4は、記録処理時のメンテナンス機構MNの様子を示し、図5は、フラッシング時のメンテナンス機構MNの様子を示す。図6は、本発明の第1実施形態における吸引ポンプ45の構成を示す図である。図7は、本発明の第1実施形態における同期装置50の構成を示す図である。
【0031】
メンテナンス機構MNは、図4に示すように、回転駆動装置40Aにより回転駆動される回転体40と、回転体40の外周部40aに設けられたプラテン部材(媒体支持部材)41及びキャップ部材(流体受け部材)42と、キャップ部材42内のインクを吸引する吸引ポンプ(吸引装置)45と、吸引ポンプ45により吸引したインクを貯溜する廃インクタンク46と、回転駆動装置40Aの駆動と吸引ポンプ45の駆動とを同期させる同期装置50とを有する。
【0032】
回転体40は、記録ヘッド11の噴射面11Aと対向する位置に設けられ、インクの噴射方向と直交するY方向に延びる軸周りに回転自在に支持されている。回転体40は、回転駆動装置40Aにより軸周りに回転駆動される。また、回転体40には、その回転角度を検出するエンコーダが設けられ、該検出結果は制御装置CONTに出力される。
【0033】
プラテン部材41は、記録ヘッド11と対向する位置で記録媒体Mを支持する媒体支持部である。プラテン部材41は、記録媒体Mを支持する支持面41aを有している。支持面41aは、プラテン38a及びプラテン38bと共に搬送面MRの一部を構成する(図4参照)。プラテン部材41の支持面41aは、記録ヘッド11のノズル形成領域15に対応した領域をカバーするように形成されている。
【0034】
キャップ部材42は、記録ヘッド11の噴射面11Aをキャッピングするトレイ形状の部材である。キャップ部材42の開口縁部を構成するリップ部42aは、ゴム部材等の弾性部材から形成され、複数のノズル13を囲うように噴射面11Aと当接可能である。なお、キャップ部材42は、ノズル13内で粘度が高くなったインクを噴射するフラッシング動作を行う際に、噴射されたインクを受ける部分でもある(図5参照)。キャップ部材42は、トレイ内部にインク吸収材42bを有している。キャップ部材42の底部中央には、回転体40に形成されたインク排出孔40bに連通する流出口42cが設けられている。
【0035】
キャップ部材42は、回転体40上のうち、プラテン部材41の反対側に設けられている。したがって、プラテン部材41とキャップ部材42とは、回転体40上で回転方向に180度ずれた位置に配置されていることになる。キャップ部材42とプラテン部材41とをこのように離れた位置に配置させることにより、キャップ部材42からインクが溢れるような場合であっても、インクがプラテン部材41に到達しにくくなる。
【0036】
吸引ポンプ45は、インク排出孔40bと廃インクタンク46との間に設けられ、キャップ部材42の流出口42cを介して吸引動作を行う構成である。廃インクタンク46は、吸引動作により流れ込むインクを貯溜する。なお、廃インクタンク46は、インクジェットプリンターPRTの装置本体に対して着脱自在であり、定期的に内部に貯溜したインクを廃棄する構成である。
【0037】
図6に示すように、本実施形態では、チューブポンプ式の吸引ポンプ45を採用している。吸引ポンプ45は、円筒状のケース130を有しており、このケース130内には、円形状をなすポンプホイル132がホイル軸131を中心に回動可能に収容されている。また、ケース130内には、インク排出孔40bに連通する排出チューブ127の中間部127aがケース130の内周壁130aに沿って収容されている。
【0038】
ポンプホイル132には、外側に膨らむ円弧状をなす一対のローラ案内溝133,134がホイル軸131を挟んで対向する位置に形成されている。各ローラ案内溝133,134は、一端がポンプホイル132の外周側に位置しており、他端がポンプホイル132の内周側に位置している。すなわち、両ローラ案内溝133,134は、それらの一端から他端に向かうほど、徐々にポンプホイル132の外周部から遠ざかるように延びている。
両ローラ案内溝133,134内には、押圧手段としての一対のローラ135,136が、それぞれ回動軸135a,136aを介して挿通支持されている。なお、両回動軸135a,136aは、それぞれ両ローラ案内溝133,134内を摺動自在に移動することができる。
【0039】
ここで、吸引ポンプ45の動作について説明する。ポンプホイル132を、正方向(矢印方向)に回動させると、両ローラ135,136が両ローラ案内溝133,134の一端側(ポンプホイル132の外周側)に移動し、排出チューブ127の中間部127aをキャップ部材42側から廃インクタンク46側へ順次押圧しながら回動する。この回動により、吸引ポンプ45より上流側(キャップ部材42側)の排出チューブ127内が負圧状態になる。そうすると、キャップ部材42内に溜まったインクが、廃インクタンク46に移送される。
【0040】
また、ポンプホイル132を逆方向(矢印方向とは反対方向)に回動させると、両ローラ135,136が両ローラ案内溝133,134の他端側(ポンプホイル132の内周側)に移動する。この移動により、両ローラ135,136がそれぞれ排出チューブ127の中間部127aを押し潰さない状態となり、排出チューブ127の内部は負圧の状態にならず、ポンプとして機能しない。
【0041】
同期装置50は、図7に示すように、回転駆動装置40Aのモーター(回転駆動源)51の駆動力を伝達して吸引ポンプ45を駆動させる駆動力伝達装置60を有する。すなわち、本実施形態の回転体40と吸引ポンプ45とは、同一の回転駆動源で駆動する。
【0042】
駆動力伝達装置60は、モーター51の出力軸に連結する駆動ギア61と、回転体40の回転軸に連結された回転体用ギア62と、吸引ポンプ45のホイル軸131に連結された吸引ポンプ用ギア63とを有する。また、駆動ギア61に噛合して従動回転する第1従動ギア71及び第2従動ギア72と、駆動ギア61の回転軸にその軸周りに回動自在に支持されたレバー80とを有する。レバー80の一端部に第1従動ギア71が、他端部に第2従動ギア72が回転自在に支持されている。これにより、第1従動ギア71及び第2従動ギア72は、駆動ギア61の周方向(ピッチ方向)において180度ずれた相対位置関係を維持し、物理的に同期された状態で移動する。
この構成により、駆動ギア61は太陽歯車として、第1従動ギア71及び第2従動ギア72は遊星歯車として動く。なお、図示は省略しているが、第1従動ギア71又は第2従動ギア72には、これらを遊星歯車として機能させるための付勢部材が設けられている。また、駆動力伝達装置60には、レバー80の移動範囲を規制しギアの噛み合い深さを規制する位置規制部材81a、81b、82a、82bが設けられている。
【0043】
また、駆動力伝達装置60は、第1従動ギア71と吸引ポンプ用ギア63との間に設けられた2つの第1伝達ギア63a、63bと、第2従動ギア72と吸引ポンプ用ギア63との間に設けられた第2伝達ギア63cとを有する。すなわち、吸引ポンプ用ギア63には、第1従動ギア71から第1伝達ギア63a、63bを介して駆動ギア61の駆動力が伝達される場合と、第2従動ギア72から第2伝達ギア63cを介して駆動ギア61の駆動力が伝達される場合とがある。一方、回転体用ギア62には、第1従動ギア71を介して駆動力が伝達される。
【0044】
駆動力伝達装置60を備える同期装置50は、駆動ギア61を回転させる方向により、吸引ポンプ用ギア63にのみに駆動力を伝達するインク吸引処理位置(図7中符号Aで示す位置)と、回転体用ギア62及び吸引ポンプ用ギア63に同時に駆動力を伝達する記録処理移行位置(図7中符号Bで示す位置:駆動力伝達位置)とに、第1従動ギア71及び第2従動ギア72を移動させて所望の処理を施す。そして、図7中符号AとBの間の位置に、回転体用ギア62及び吸引ポンプ用ギア63のどちらにも駆動力を伝達しない非駆動力伝達位置(図7中実線で示す位置)がある。
【0045】
上記構成のインクジェットプリンターPRTは、記録ヘッド11の良好な噴射状態を維持又は回復させるため、メンテナンス機構MNを駆動させ、当該記録ヘッド11のメンテナンス処理を定期的に行う。メンテナンス機構MNによるメンテナンス処理には、記録ヘッド11を駆動させ増粘したインクを予備噴射して除去するフラッシング処理や、吸引ポンプ45によりキャップ部材42内部を吸引することでノズル13から強制的にインクを排出させるインク吸引処理が挙げられる。
本実施形態では、メンテナンス処理としてインク吸引処理を例に挙げてメンテナンス機構MNの動作について説明する。
なお、メンテナンス機構MNにおいて、図4に示すキャップ部材42が流体受け位置から退避する位置を「非流体受け位置」と称する。一方、図5に示すキャップ部材42が記録ヘッド11と対向してインクを受ける位置を「流体受け位置」と称する。
【0046】
図8は、本実施形態におけるインク吸引処理時のメンテナンス機構MNの様子を示す図である。図9は、本実施形態におけるインク吸引処理時の同期装置50の動作を説明する図である。図10は、本実施形態における記録処理移行時の同期装置50の動作を説明する図である。図11は、本実施形態における記録処理移行時のメンテナンス機構MNの動作を説明する図である。
【0047】
なお、図11において、同期装置50から回転駆動装置40Aを経由して回転体40に到達する太線矢印は、回転体40が駆動されてキャップ部材42が流体受け位置から非流体受け位置に移動する「回転駆動」の状態を示している。一方、同期装置50から吸引ポンプ45に到達する太線矢印は、吸引ポンプ45が駆動されてキャップ部材42内のインクを吸引する「吸引駆動」の状態を示している。他の実施形態で参照される図面(図15、図18)においても同様であり、上記太線矢印に代えて点線矢印が付されている場合には、駆動停止状態であることを示している。
【0048】
図8に示すインク吸引処理では、先ず、記録ヘッド11を−Z方向に移動させて、噴射面11Aとリップ部42aとを密着させ、記録ヘッド11とキャップ部材42との間に気密室を形成する。その後、同期装置50は、図9に示すように、駆動ギア61を時計方向に回転させて第1従動ギア71をインク吸引処理位置に移動させ、第1従動ギア71と第1伝達ギア63aとを噛合させる。さらに、駆動ギア61を時計回りに回転させると、第1従動ギア71、第1伝達ギア63a及び63bを介して吸引ポンプ用ギア63に駆動力が伝達され、吸引ポンプ用ギア63が時計回りに従動回転する。このとき、レバー80は位置規制部材81aまたは82aと係合してそれ以上回転しないため、第2従動ギア72は回転体用ギア62と噛合しない。そして、回転体用ギア62が回転しないため、回転体40は回転せず、記録ヘッド11とキャップ部材42との間に気密室の形成を維持した状態となる。また、吸引ポンプ用ギア63が時計回りに回転するとポンプホイル132は正方向に回転し、吸引ポンプ45が駆動されてキャップ部材42内のインクを吸引し、該気密室を負圧状態にする。これにより、各ノズル13から粘性が高くなったインクや付着したゴミ等を吸引してメニスカスを調整し、記録ヘッド11の噴射特性を回復させる。
その後、記録ヘッド11とキャップ部材42とを離間させる。続いて、同期装置50は図9に示すように駆動ギア61を時計回りに回転させて、吸引ポンプ用ギア63を時計回りに回転させ吸引駆動する。この吸引駆動により、記録ヘッド11からインクを吸引せずにキャップ部材42内のインクを、流出口42cを介してインク排出孔40bへ排出させる。
【0049】
本実施形態における記録処理移行時では、図10及び図11に示すように、回転体40が駆動されてキャップ部材42が流体受け位置から非流体受け位置に移動する「回転駆動」と、吸引ポンプ45が駆動されてキャップ部材42内のインクを吸引する「吸引駆動」とを同期させ、回転駆動と吸引駆動とを同時に実行させると共に、回転駆動中にも吸引駆動を続けることでインク垂れを防止する(同期工程)。
【0050】
具体的には、同期装置50は、先ず図10に示すように、駆動ギア61を反時計回りに回転させて第1従動ギア71及び第2従動ギア72を反時計回りに移動させ、第1従動ギア71と回転体用ギア62とを噛合させると共に、第2従動ギア72と第2伝達ギア63cとを噛合させる(記録処理移行位置)。さらに、駆動ギア61を反時計回りに回転させると、第1従動ギア71に噛合する回転体用ギア62は反時計回りに従動回転し、同時に、第2従動ギア72に第2伝達ギア63cを介して噛合する吸引ポンプ用ギア63が時計回りに従動回転する。
【0051】
回転体用ギア62の回転により、図11(a)に示すように、回転体40が回転駆動してキャップ部材42が非流体受け位置に向けて移動する。また、同時に、吸引ポンプ用ギア63の回転により、吸引ポンプ45が吸引駆動してキャップ部材42内のインクを吸引する。そして、図11(b)に示すように、キャップ部材42が非流体受け位置に移動するまで、吸引ポンプ45は吸引駆動を続ける。
【0052】
以上のように、本実施形態では、吸引ポンプ45を吸引駆動させながら、回転体40を回転駆動させることにより、キャップ部材42内のインクが、キャップ部材42が傾く間にも漸次低減される。また、吸引ポンプ45の吸引力によりキャップ部材42内のインクが引かれ続けられて保持されるため、回転駆動中のインクの垂れを防止することが可能となる。さらに、吸引駆動と回転駆動とを同時に実行させることにより、第1実施形態と比べてメンテナンス処理から記録処理への移行時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0053】
また、駆動ギア61を一方向に回転させたときは、第1従動ギア71は回転体用ギア62と噛合うとともに、第2従動ギア72は第2伝達ギア63cを介して吸引ポンプ用ギア63と噛合う。駆動ギア61を他方向に回転させたときは、第1従動ギア71は回転体用ギア62と噛合わないが、第2従動ギア72は第1伝達ギア63a、63bを介して吸引ポンプ用ギア63と噛合う。そして、第2従動ギア72と吸引ポンプ用ギア63との間のギア数は1枚異なるため、駆動ギア61をどちらに回転しても吸引用ギア63は時計回りに回転する。このため、回転体40を回転させるとともに吸引ポンプ45を吸引駆動することと、回転体40を回転させずに吸引ポンプ45を吸引駆動することが可能となり、記録ヘッド11からインクを吸引中に回転体40が回転してしまうことはない。
なお、本実施形態では、第1伝達ギアを符号63aと符号63bで示した2つのギアとし、第2伝達ギアを符号63cで示した1つのギアとしたが、一方が偶数で他方が奇数であれば吸引ポンプ用ギア63は同じ方向に回転するように伝達する。
【0054】
なお、吸引ポンプ45の吸引駆動を停止させると、吸引力により保持されていたインクが自重により垂れる場合がある。しかし本実施形態では、図11(b)に示すように、非流体受け位置においてキャップ部材42が鉛直下方に向くまでは吸引ポンプ45が吸引駆動をするため、回転体40が回転駆動している途中でキャップ部材42からインクが垂れることはない。そして、キャップ部材42が鉛直下方を向けば、インクは自重により鉛直下方にのみ流れるため、回転体40の外周部40aを伝うことがない。
【0055】
一方で、このインク垂れが気になる場合は、図12に示すように、非流体受け位置にあるキャップ部材42の下方に、トレイ90を設ければ、自重により鉛直下方に流れるインクを受けることができる。なお、トレイ90に受けたインクは、吸引ポンプ45により吸引する構成であってもよい。また、トレイ90を別途配設するのではなく、廃インクタンク46によりインクを受ける構成としてもよい。
【0056】
(第2実施形態)
次に、図13〜図15を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、上記実施形態と構成を同じくする部分の説明は割愛することとする。
図13は、本発明の第2実施形態における同期装置50の構成を示す図である。図14は、本発明の第2実施形態における記録処理移行時の同期装置50の動作を説明する図である。図15は、本発明の第2実施形態における記録処理移行時のメンテナンス機構MNの動作を説明する図である。
【0057】
図13に示すように、第2実施形態の駆動力伝達装置60Aは、第1実施形態と異なり、第1従動ギア71及び第2従動ギア72がそれぞれ独立して移動する構成である。第1従動ギア71は、駆動ギア61の回転軸周りに回動するレバー80aに回転自在に支持されている。また、第2従動ギア72は、駆動ギア61の回転軸周りに回動するレバー80bに回転自在に支持されている。
【0058】
この駆動力伝達装置60Aを備える同期装置50は、駆動ギア61を回転させることにより、吸引ポンプ用ギア63にのみに駆動力を伝達するインク吸引処理位置(図13中符号Aで示す位置)と、回転体用ギア62にのみ駆動力を伝達する記録処理移行位置(図13中符号Bで示す位置:駆動力伝達位置)とに、第1従動ギア71を移動させて所望の処理を施す。なお、図13中符号Aで示す位置と符号Bで示す位置との間の位置に、回転体用ギア62及び吸引ポンプ用ギア63のどちらにも駆動力を伝達しない非駆動力伝達位置(図13中実線で示す位置)がある。
また、同期装置50は、駆動ギア61を回転させることにより、回転体用ギア62及び吸引ポンプ用ギア63のどちらにも駆動力を伝達せず、レバー80bがそれ以上回転できない空転位置(図13中実線(符号D)で示す位置)と、吸引ポンプ用ギア63にのみに駆動力を伝達する記録処理移行位置(図13中符号Cで示す位置:駆動力伝達位置)とに、第2従動ギア72を移動させて所望の処理を施す。
【0059】
ここで、図13中の符号Aで示す位置と符号Bで示す位置の間の第1従動ギア71の移動距離は、符号Cで示す位置と符号Dで示す位置との間の第2従動ギア72の移動距離よりも短い。そのため、第1従動ギア71が符号Aで示す位置から符号Bで示す位置へ移動する時間よりも、第2従動ギア72が符号Dで示す位置から符号Cで示す位置へ移動する時間の方が短くなる。つまり、駆動ギア61を反時計回りに回転させたときには、吸引ポンプ用ギア63の方が回転体用ギア62よりも先に駆動力が伝達されることになる。
【0060】
第2実施形態における記録処理移行時では、図14及び図15に示すように、回転駆動と吸引駆動とを同期させ、吸引ポンプ45を吸引駆動させた後に回転体40を回転駆動させて、回転駆動中にも吸引駆動を続けることでインク垂れを防止する(同期工程)。
【0061】
具体的には、同期装置50は、フラッシング処理やインク吸引処理の後、先ず図14(a)に示すように、駆動ギア61を回転させて第2従動ギア62を移動させ、第2従動ギア72と第2伝達ギア63cとを噛合させる。このとき、駆動ギア61の回転により第1従動ギア71も移動するが、第1従動ギア71の移動距離は第2従動ギア72の移動距離も長いため、第2従動ギア72と第2伝達ギア63cとが噛合された時点では、第1従動ギア71は図14(a)に示す非動力伝達位置にある。
さらに、駆動ギア61を反時計回りに回転させると、第2従動ギア72から第2伝達ギア63cを介して伝達される駆動力により吸引ポンプ用ギア63が時計回りに従動回転する。そして、吸引ポンプ用ギア63の回転により、図15(a)に示すように、吸引ポンプ45が吸引駆動してキャップ部材42内のインクを吸引する。
【0062】
上記の吸引駆動が開始された後も、第1従動ギア71は駆動ギア61の回転により移動を続け、吸引駆動の開始後、所定の時間が経過した後(吸引駆動によりある程度のインクが吸引された後)に、第1従動ギア71と回転体用ギア62とが噛合される。さらに、駆動ギア61を反時計回りに回転させると、第1従動ギア71に噛合する回転体用ギア62は反時計回りに従動回転し、図15(b)に示すように、駆動力が回転体40にも伝達される。そして、回転体40が回転駆動し、キャップ部材42が非流体受け位置に向けて移動する。その後、図15(c)に示すように、キャップ部材42が非流体受け位置に移動するまで、吸引ポンプ45は吸引駆動を続ける。
【0063】
以上のように、第2実施形態では、吸引ポンプ45を吸引駆動させながら、回転体40を回転駆動させることにより、キャップ部材42内のインクが、キャップ部材42が傾く間にも漸次低減され、また、吸引ポンプ45の吸引力によりキャップ部材42内のインクが引かれ続けられて保持されるため、回転駆動中のインクの垂れを防止することが可能となる。
特に第2実施形態では、第1従動ギア71と第2従動ギア72の移動距離の差を利用して、吸引ポンプ45の吸引駆動を先に開始させた後に回転体40を回転駆動させている。これにより、上記作用に加えて、キャップ部材42内のインクを予め低減させた状態で回転体40を回転させることができるため、回転中の流体の垂れをより確実に防止することが可能となる。
また本実施形態においても、非流体受け位置においてキャップ部材42が鉛直下方に向くまでは吸引ポンプ45が吸引駆動をするため、回転体40が回転駆動している途中でキャップ部材42からインクが垂れることはない。そして、キャップ部材42が鉛直下方を向けば、インクは自重により鉛直下方にのみ流れるため、回転体40の外周部40aを伝うことがない。さらに本実施形態においても、第1実施形態と同様に、トレイ90や廃インクタンク46を用いて非流体受け位置にキャップ部材42が位置するときに垂れ落ちるインクを受け止めるようにしてもよい。
【0064】
(第3実施形態)
次に、図16〜図18を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。なお、先の実施形態と構成を同じくする部分の説明は割愛することとする。
【0065】
図16は、本発明の第3実施形態における同期装置の構成を示す図である。
同期装置50は、図16に示すように、回転駆動装置40Aのモーター(回転駆動源)51の駆動力を伝達して吸引ポンプ45を駆動させる駆動力伝達装置60Bを有する。すなわち、本実施形態の回転体40と吸引ポンプ45とは、同一の回転駆動源で駆動される。
駆動力伝達装置60Bは、モーター51の出力軸に連結する駆動ギア61と、回転体40の回転軸に連結すると共に駆動ギア61に歯合して従動回転する回転体用ギア62と、吸引ポンプ45のホイル軸131に連結すると共に駆動ギア61に歯合して従動回転する吸引ポンプ用ギア63とを有する。また、本実施形態の回転体用ギア62には、ワンウェイクラッチ62aが設けられており、回転体40を反時計回りの一方側にだけ回転させる。
【0066】
第3実施形態のインクジェットプリンターPRTは、記録ヘッド11の良好な噴射状態を維持又は回復させるため、メンテナンス機構MNを駆動させ、当該記録ヘッド11のメンテナンス処理を定期的に行う。このメンテナンス処理には、記録ヘッド11を駆動させ増粘したインクを予備噴射して除去するフラッシング処理が挙げられる。
【0067】
フラッシング処理では、記録媒体Mがない状態で、図5に示したように、先ず回転体40を駆動させてキャップ部材42と記録ヘッド11とをZ方向で対向させる。その後、記録ヘッド11を駆動させて対向しているキャップ部材42に粘性が高くなったインクを予備噴射してメニスカスを調整し、記録ヘッド11の噴射特性を回復させる。なお、図5に示したキャップ部材42が記録ヘッド11と対向してインクを受ける位置を「流体受け位置」と称する。
フラッシング処理が終了したら、図4に示したように、回転体40を180度回転させてプラテン部材41と記録ヘッド11とをZ方向で対向させて、記録媒体Mにインクを噴射する記録処理に移行する。なお、図4に示したキャップ部材42が流体受け位置から退避する位置を「非流体受け位置」と称する。
【0068】
フラッシング処理において、キャップ部材42内にはインクが貯溜された状態で、流体受け位置から非流体受け位置にキャップ部材42が移動すると、貯留したインクがキャップ部材42から垂れて回転体40の外周部40aを汚染する。
本実施形態のインクジェットプリンターPRTは、以下、図17及び図18を参照して説明する動作を行うことにより、このメンテナンス処理から記録処理に移行する時(以下、記録処理移行時と称する)のインク垂れを防止する。
【0069】
図17は、本発明の第3実施形態における記録処理移行時の同期装置50の動作を説明する図である。図18は、本発明の第1実施形態における記録処理移行時のメンテナンス機構MNの動作を説明する図である。なお、図17(a)と図18(a)、図17(b)と図18(b)の動作は互いに対応している。また、図18では、同期装置50から回転駆動装置40Aを経由して回転体40に太線矢印が付されている場合、回転体40が駆動されてキャップ部材42が流体受け位置から非流体受け位置に移動する「回転駆動」の状態を示し、同期装置50から吸引ポンプ45に太線矢印が付されている場合、吸引ポンプ45が駆動されてキャップ部材42内のインクを吸引する「吸引駆動」の状態を示す。
【0070】
本処理では、この回転駆動と吸引駆動とを同期させることでインク垂れを防止する(同期工程)。同期装置50は、図18(a)に示すように、吸引ポンプ45を吸引駆動させ、流体受け位置にあるキャップ部材42内からインクを吸引する。そして、インクの吸引が終了したら、図18(b)に示すように、回転体40を回転駆動させ、キャップ部材42を流体受け位置から非流体受け位置に移動させることで、メンテナンス処理から記録処理に移行させる。
【0071】
具体的には、同期装置50は、先ず図17(a)に示すように、駆動ギア61を反時計回りに回転させる。駆動ギア61に噛合する吸引ポンプ用ギア63は、時計回りに従動回転する。吸引ポンプ用ギア63の回転により、図6に示したポンプホイル132が正方向に回動すると、排出チューブ127内が負圧状態になる吸引駆動が実行され、キャップ部材42内に溜まったインクが、廃インクタンク46に移送される(図18(a)参照)。
なお、駆動ギア61に噛合する回転体用ギア62は、時計回りに従動回転するが、このときワンウェイクラッチ62aが作動するため、この駆動力は回転体40に伝達されない。
【0072】
また、フラッシング処理でキャップ部材42にインクを噴射した回数は、制御装置CONTがカウントしているため、そのカウント数に基づいてインク噴射量を計測し、該計測結果に基づいて、同期装置50は、吸引ポンプ45による吸引量を調節する(計測工程、第2吸引量調節工程)。すなわち、フラッシング処理によりキャップ部材42に噴射したインク量だけ吸引する。このように、キャップ部材42内のインクの量に応じて吸引量を変えることでで、無駄に吸引ポンプ45を駆動する時間を防止できる。そして、吸引ポンプ45の耐久性の向上を図ることが可能となる。
なお、上記吸引量の調節機能は、第1実施形態及び第2実施形態においても問題なく適用できる。
【0073】
吸引駆動によりキャップ部材42内のインクが空となったら、同期装置50は、図17(b)に示すように、駆動ギア61を時計回りに回転させる。すると、駆動ギア61に噛合する回転体用ギア62は、反時計回りに従動回転する。回転体用ギア62の回転により、ワンウェイクラッチ62aが作動することなく駆動力が回転体40に伝達され、回転体40が回転駆動してキャップ部材42が非流体受け位置に移動する(図18(b)参照)。
なお、駆動ギア61に噛合する吸引ポンプ用ギア63は、反時計回りに従動回転するが、このときはポンプホイル132が逆方向回転となるため、吸引駆動は行われない。
【0074】
以上のように、第3実施形態では、キャップ部材42内のインクを吸引し終えた後に、回転体40を回転させるため、キャップ部材42からのインクが外周部40aに垂れることを防止することができる。
【0075】
したがって、上述した第3実施形態によれば、インクを噴射する記録ヘッド11と、インクを受けるキャップ部材42を外周部40aに備えると共にインクの噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体40と、回転体40を回転駆動させ、キャップ部材42を記録ヘッド11と対向させる流体受け位置から、該流体受け位置から退避する非流体受け位置へと移動させる回転駆動装置40Aと、キャップ部材42内のインクを吸引する吸引ポンプ45とを備えるインクジェットプリンターPRTであって、吸引ポンプ45の駆動が終了した後に、上記回転駆動装置40Aを駆動させるように、回転駆動装置40Aの回転駆動と上記吸引ポンプ45の吸引駆動とを同期させる同期装置50を有するという構成を採用する。この構成によれば、流体受け位置にあるキャップ部材42に記録ヘッド11からインクを噴射してフラッシング処理を行う。そして、記録処理移行時に、回転駆動装置40Aの駆動と同期して、吸引ポンプ45を駆動させ、キャップ部材42内のインクを吸引する。該吸引によりキャップ部材42内のインクを低減させ、回転により傾くキャップ部材42から回転体40の外周部40aへのインクの垂れを防止できる。
【0076】
(第4実施形態)
次に、図19を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。なお、上記実施形態と構成を同じくする部分の説明は割愛することとする。
図19は、本発明の第4実施形態におけるインクジェットプリンターPRTの概略構成図である。
【0077】
第4実施形態では、回転体40を駆動する回転駆動装置40A及び吸引ポンプ45は、それぞれ独立した回転駆動源(モーター)を有する。そして、回転体40の回転駆動と吸引ポンプ45の吸引駆動との同期は、制御装置CONTの制御の下に行う構成である。すなわち、第4実施形態における同期装置は、制御装置CONTが代替する。
第4実施形態では、回転体40の回転駆動タイミングと吸引ポンプ45の吸引駆動タイミングが電気的に制御できるので、第1実施形態から第3実施形態までの記録処理移行時のメンテナンス機構MNの動作を実施できる。
【0078】
また、吸引ポンプ45の吸引量を、回転体40の駆動とは独立して調節できるため、以下のように、記録処理移行時において、該吸引量を調節する手法を用いても良い(吸引量調節工程)。
すなわち、本発明では、回転駆動によりキャップ部材42が傾くと、キャップ部材42がインクを保持できるインク保持量(流体保持量)が変化する。そして、このインク保持量を超える量のインクが垂れて回転体40の外周部40aを汚染する。インク保持量は、キャップ部材42の縁の高さ、インクの比重や表面張力、キャップ部材42がスポンジや不織布等を有する場合はそのインク吸収材42bの毛細管力等により定まる。
第4実施形態では、このインク保持量に基づいて吸引量を調節することで、その吸引量をキャップ部材42からインクが垂れない適切な量に調節する。これにより、吸引ポンプ45を過度に駆動させずにインクの垂れを防止できる。そして、吸引ポンプ45の耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0079】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0080】
尚、上述の実施形態においては、流体噴射装置がインクジェットプリンターである場合を例にして説明したが、インクジェットプリンターに限られず、複写機及びファクシミリ等の装置であってもよい。
【0081】
また、上述の実施形態においては、流体噴射装置が、インク等の流体(液状体)を噴射する流体噴射装置である場合を例にして説明したが、本発明の流体噴射装置は、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に適用することができる。流体噴射装置が噴射可能な流体は、流体、機能材料の粒子が分散又は溶解されている液状体、ジェル状の流状体、流体として流して噴射できる固体、及び粉体(トナー等)を含む。
【0082】
また、上述の実施形態において、流体噴射装置から噴射される流体(液状体)としては、インクのみならず、特定の用途に対応する流体を適用可能である。流体噴射装置に、その特定の用途に対応する流体を噴射可能な噴射ヘッドを設け、その噴射ヘッドから特定の用途に対応する流体を噴射して、その流体を所定の物体に付着させることによって、所定のデバイスを製造可能である。例えば、本発明の流体噴射装置(液状体噴射装置)は、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、及び面発光ディスプレイ(FED)の製造等に用いられる電極材、色材等の材料を所定の分散媒(溶媒)に分散(溶解)した流体(液状体)を噴射する流体噴射装置に適用可能である。
【0083】
また、流体噴射装置としては、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる流体を噴射する流体噴射装置であってもよい。
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置、トナーなどの粉体を例とする固体を噴射するトナージェット式記録装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
11…記録ヘッド(流体噴射ヘッド)、40…回転体、40A…回転駆動装置、40a…外周部、41…プラテン部材(媒体支持部材)、42…キャップ部材(流体受け部材)、45…吸引ポンプ(吸引装置)、50…同期装置、51…モーター(回転駆動源)、60,60A,60B…駆動力伝達装置、61…駆動ギア、63a,63b…第1伝達ギア、63c…第2伝達ギア、71…第1従動ギア、72…第2従動ギア、80…レバー(連結部材)、PRT…インクジェットプリンター(流体噴射装置)、CONT…制御装置(同期装置、計測装置、吸引量調節装置、第2吸引量調節装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置のメンテナンス方法及び流体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を噴射する流体噴射装置として、例えばインクジェット式記録装置が知られている。インクジェット式記録装置は、記録媒体(媒体)に文字や画像等を記録する装置であり、記録ヘッド(流体噴射ヘッド)に設けられたノズルから記録媒体にインク(流体)を選択的に噴射する構成である。
【0003】
この流体噴射装置では、良好な噴射状態を維持又は回復させるため、当該記録ヘッドのメンテナンス処理を定期的に行っている。その具体的なメンテナンス処理としては、キャップ部材(流体受け部材)を記録ヘッドに対向させ、ノズルからインクをフラッシング(噴射)させることでノズルのメニスカスを調整する処理が挙げられる。
【0004】
下記特許文献1には、流体噴射ヘッドの下方に回転体を配置させ、当該回転体に記録媒体の支持部とキャップ部材とを取り付けた構成が開示されている。この構成によれば、回転体を回転させることにより、流体噴射ヘッドに記録媒体の支持部あるいはキャップ部材を対向させることが可能となり、流体噴射ヘッドの位置を固定したままで記録処理とメンテナンス処理とを切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2003−534165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、流体噴射ヘッドとキャップ部材とを対向させた状態から、回転体を回転させてキャップ部材を退避させ、流体噴射ヘッドに支持部を対向させる際に、キャップ部材内に溜まったインクが縁から垂れて、回転体の外周部を伝って他の構成部あるいは記録媒体を汚してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、回転体の外周部への流体の垂れを防止できる流体噴射装置のメンテナンス方法及び流体噴射装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、流体を媒体に噴射する流体噴射ヘッドと、上記流体を受ける流体受け部材及び上記媒体を支持する媒体支持部材を外周部に備えると共に上記流体の噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体と、上記回転体を回転駆動させ、上記流体受け部材を上記流体噴射ヘッドと対向させる流体受け位置から、該流体受け位置から退避する非流体受け位置へと移動させる回転駆動装置と、上記流体受け部材内の上記流体を吸引する吸引装置とを備える流体噴射装置のメンテナンス方法であって、上記回転駆動装置の駆動と上記吸引装置の駆動とを同期させる同期工程を有するという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、流体受け位置にある流体受け部材に流体噴射ヘッドから流体を噴射してメンテナンス処理を行う。そして、流体受け部材を非流体受け位置に移動させ記録処理に移行する際に、回転駆動装置の駆動と同期して、吸引装置を駆動させ、流体受け部材内の流体を吸引する。該吸引により流体受け部材内の流体を低減させ、回転により傾く流体受け部材から回転体の外周部への流体の垂れを防止する。
【0009】
また、本発明においては、上記同期工程では、上記吸引装置を駆動させながら上記回転駆動装置を駆動させるという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、回転体の回転中に流体受け部材内の流体を吸引し続ける。これにより、流体受け部材内の流体を、流体受け部材が傾く間にも漸次低減させる。また、吸引装置の吸引力により流体受け部材内の流体が引かれ続けられて保持されるため、回転中の流体の垂れを防止することが可能となる。
【0010】
また、本発明においては、上記同期工程では、上記吸引装置を駆動させた後に上記回転駆動装置を駆動させるという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、回転体の回転駆動よりも先に吸引駆動を行う。そして、吸引駆動を続けながら回転体を回転駆動させる。これにより、上記作用に加えて、流体受け部材内の流体を予め低減させた状態で回転体を回転させることができ、回転中の流体の垂れをより確実に防止することが可能となる。
【0011】
また、本発明においては、上記同期工程では、上記吸引装置と上記回転駆動装置とを同時に駆動させるという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、吸引駆動と回転駆動とが同時に行われるので、メンテナンス処理から記録処理への移行時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0012】
また、本発明においては、上記非流体受け位置は、上記流体受け部材が鉛直下方に向く位置であり、上記同期工程では、上記回転駆動装置の駆動が終了するまで上記吸引装置を駆動させるという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、回転駆動が終了するまで吸引駆動を行い、回転中の流体の垂れを防止する。回転駆動が終了する際、流体受け部材は非流体受け位置に位置するが、非流体受け位置において流体受け部材が鉛直下方に向けば、流体は自重により鉛直下方にのみ流れるため、回転体の外周部を伝うことがない。
【0013】
また、本発明においては、上記同期工程では、上記吸引装置の駆動が終了した後に、上記回転駆動装置を駆動させるという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、流体受け部材内の流体を吸引し終えた後に、回転体を回転させる。これにより、流体受け部材からの流体の垂れを確実に防止することができる。
【0014】
また、本発明においては、上記回転駆動により変化する上記流体受け部材の流体保持量に基づいて、上記吸引装置による吸引量を調節する吸引量調節工程を、有するという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、回転駆動により流体受け部材が傾くと、流体受け部材が流体を保持できる流体保持量が変化する。そして、この流体保持量を超える量の流体が垂れて回転体の外周部を汚染する。流体保持量は、流体受け部材の縁の高さ、流体の比重や表面張力、流体受け部材がスポンジや不織布等を有する場合はその吸収材の毛細管力等により定まる。本発明では、この流体保持量に基づいて吸引量を調節することで、その吸引量を流体受け部材から流体が垂れない適切な量に調節する。これにより、吸引装置を過度に駆動させずに流体の垂れを防止できる。そして、吸引装置の耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0015】
また、本発明においては、上記流体受け部材内の上記流体の量を計測する計測工程と、上記計測工程での計測結果に基づいて、上記吸引装置による吸引量を調節する第2吸引量調節工程とを、有するという手法を採用する。
このような手法を採用することによって、本発明では、流体受け部材内の流体の量に応じて吸引量を変えるので無駄に吸引装置を駆動する時間を防止できる。そして、吸引装置の耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0016】
また、本発明の流体噴射装置は、上記同期を実行させる同期装置を備えて、該同期装置は、上記回転駆動装置の回転駆動源の駆動力を伝達して上記吸引装置を駆動させる駆動力伝達装置を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、回転駆動装置と吸引装置の駆動源を同一の駆動源とすることでコストの低減、さらに、両者が駆動する同期の精度向上を図ることが可能となる。
【0017】
また、本発明においては、上記駆動力伝達装置は、上記回転駆動源に連結して回転する駆動ギアと、上記駆動ギアに噛合して従動すると共に上記回転駆動装置に駆動力を伝達する駆動力伝達位置と該駆動力伝達位置から退避する非駆動力伝達位置との間を移動自在な第1従動ギアと、上記駆動ギアに噛合して従動すると共に上記吸引装置に駆動力を伝達する駆動力伝達位置と該駆動力伝達位置から退避する非駆動力伝達位置との間を移動自在な第2従動ギアとを、有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、回転駆動装置の駆動のタイミングを駆動ギアに従動する第1従動ギアの移動により調節できる。また、吸引装置の駆動のタイミングを駆動ギアに従動する第2従動ギアの移動により調節できる。このため、回転駆動装置と吸引装置との駆動のタイミングを任意に調節することができる。
【0018】
また、本発明においては、上記駆動力伝達装置は、上記第1従動ギアと上記第2従動ギアとの上記駆動ギアの周方向における相対距離を一定にするよう両者を連結する連結部材を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、第1従動ギアの移動と第2従動ギアとの移動とを物理的に同期させることが可能となる。
【0019】
また、本発明においては、流体を媒体に噴射する流体噴射ヘッドと、前記流体を受ける流体受け部材及び前記媒体を支持する媒体支持部材を外周部に備えると共に前記流体の噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体と、前記流体受け部材内の前記流体を吸引する吸引装置と、回転駆動源に連結して回転する駆動ギアと、前記駆動ギアを太陽歯車としたときに、遊星歯車として機能する第1従動ギアと第2従動ギアと、前記回転体に駆動力を伝達する回転体用ギアと、前記吸引装置に駆動力を伝達する吸引ポンプ用ギアと、前記駆動ギアが一方向に回転したとき、前記第1従動ギアは前記回転体用ギアに駆動力を伝達するとともに、前記第2従動ギアは第2伝達ギアを介して前記吸引ポンプ用ギアに駆動力を伝達し、前記駆動ギアが他方向に回転したとき、前記第2従動ギアは前記回転体用ギアへ駆動力を伝達しないとともに、前記第1従動ギアは第1伝達ギアを介して前記吸引ポンプ用ギアに駆動力を伝達し、前記第1伝達ギアと前記第2伝達ギアのギアの数は、一方が偶数で他方が奇数であるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、駆動ギアをどちらに回転しても吸引装置を駆動するとともに、駆動ギアの一方向の回転でのみ回転体を回転する。そのため、回転体を回転しながら吸引装置を駆動することも、回転体を回転せずに吸引装置を駆動することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態におけるインクジェットプリンターの概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態における記録ヘッドを噴射面側から視た図である。
【図3】本発明の第1実施形態における記録ヘッドの構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態におけるメンテナンス機構の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態におけるメンテナンス機構の構成を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態における吸引ポンプの構成を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態における同期装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の第1施形態におけるインク吸引処理時のメンテナンス機構の様子を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態におけるインク吸引処理時の同期装置の動作を説明する図である。
【図10】本発明の第1実施形態における記録処理移行時の同期装置の動作を説明する図である。
【図11】本発明の第1実施形態における記録処理移行時のメンテナンス機構の動作を説明する図である。
【図12】本発明の第1実施形態におけるメンテナンス機構の構成を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態における同期装置の構成を示す図である。
【図14】本発明の第2実施形態における記録処理移行時の同期装置の動作を説明する図である。
【図15】本発明の第2実施形態における記録処理移行時のメンテナンス機構の動作を説明する図である。
【図16】本発明の第3実施形態における同期装置の構成を示す図である。
【図17】本発明の第3実施形態における記録処理移行時の同期装置の動作を説明する図である。
【図18】本発明の第3実施形態における記録処理移行時のメンテナンス機構の動作を説明する図である。
【図19】本発明の第4実施形態におけるインクジェットプリンターの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る流体噴射装置の各実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。本実施形態では、本発明に係る流体噴射装置として、インクジェット式プリンター(以下、インクジェットプリンターと称する)を例示する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態におけるインクジェットプリンターPRTの概略構成図である。図2は、本発明の第1実施形態における記録ヘッド11を噴射面11A側から視た図である。図3は、本発明の第1実施形態における記録ヘッド11の構成を示す断面図である。
なお、図中示すように、XYZ直交座標系を設定し、XYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する場合がある。この場合においては、記録媒体Mの搬送方向をX方向と、該搬送方向と直交する搬送面幅方向をY方向と、X方向及びY方向と直交する高さ方向(鉛直方向)をZ方向と称する。
【0023】
インクジェットプリンターPRTは、インク滴(流体)を噴射することで記録媒体(媒体)Mに所定の情報や画像を印字する記録処理を行う構成である。記録媒体Mとしては、例えば記録用紙やプラスチック、ガラス基板等が用いられる。インクジェットプリンターPRTは、図1に示すように、インクを噴射する記録ヘッド(流体噴射ヘッド)11を備えるインク噴射機構IJ、記録媒体Mを搬送する搬送機構CR、記録ヘッド11をメンテナンスするメンテナンス機構MN、及び上記各構成部の動作を統括的に制御するコンピュータシステムを有する制御装置CONTを有する。
【0024】
インク噴射機構IJは、記録媒体Mにインク滴(流体)を噴射する記録ヘッド11と、記録ヘッド11にインクを供給するインク供給部12とを有する構成である。本実施形態で用いるインクは、染料や顔料、これを溶解または分散する溶媒を基本的成分とし、必要に応じて各種添加剤が添加された液状体を用いる。
【0025】
本実施形態の記録ヘッド11は、イエロー(Ye)、マゼンタ(Ma)、シアン(Cy)、ブラック(Bk)の各色調に対応した共通インク室14(14Y、14M、14C、14B)を有し、それらと対応して連通するノズル13から各色に応じたインクを噴射する構成である。なお、記録ヘッド11は、不図示のヘッド移動装置によりZ方向に移動自在である。
インク供給部12は、上記4色のインクを貯蔵するインクタンク12(12Y、12M、12C、12K)を有する。また、インク供給部12は、不図示のインク供給ポンプを有し、各共通インク室14にその色調に応じたインクをインクタンク12から供給する。
【0026】
図2に示すように、記録ヘッド11は、インクジェットプリンターPRTが対象とする最大サイズの記録媒体Mの幅(最大記録媒体幅W)に亘って設けられたノズル形成領域15を有するライン型の記録ヘッドである。ノズル形成領域15は、上記各色のインクに対応したノズル形成領域15Y、15M、15C、15Kを有する。ノズル13は、各ノズル形成領域15に対応してY方向(記録媒体Mの幅方向)に複数配列されてノズル列Lを構成する。このノズル13が複数形成された噴射面11Aは、−Z方向(図1中の鉛直下方)側に向けて配置される。
【0027】
図3に示すように、記録ヘッド11は、ヘッド本体18と、ヘッド本体18に接続された流路形成ユニット22とを備えている。流路形成ユニット22は、振動板19と、流路基板20と、ノズル基板21とを備えると共に、共通インク室14と、インク供給口30と、圧力室31とを形成する。さらに、流路形成ユニット22は、ダイヤフラム部として機能する島部32と、共通インク室14内の圧力変動を吸収するコンプライアンス部33とを備えている。ヘッド本体18には、固定部材26と共に駆動ユニット24を収容する収容空間23と、インクを流路形成ユニット22に案内する内部流路28とが形成されている。
【0028】
上記構成の記録ヘッド11において、ケーブル27を介して駆動ユニット24に駆動信号が入力されると、圧電素子25が伸縮する。これにより、振動板19がキャビティに接近する方向及び離れる方向に変形(移動)する。このため、圧力室31の容積が変化し、インクを収容した圧力室31の圧力が変動する。この圧力の変動によって、ノズル13から、インクが噴射される。なお、インクを噴射した回数は、制御装置CONTがカウントしており、そのカウント数に基づいてインク噴射量が計測される。
【0029】
図1に戻り、搬送機構CRは、紙送りローラ35、排出ローラ36等を有している。紙送りローラ35、排出ローラ36は、不図示のモーター機構によって回転駆動される。搬送機構CRは、インク噴射機構IJによるインク滴の噴射動作に連動させて記録媒体Mを搬送面MRに沿って搬送する構成である。
【0030】
次に、メンテナンス機構MNの構成について、図4〜図8を参照して説明する。
図4及び図5は、本発明の第1実施形態におけるメンテナンス機構MNの構成を示す図である。なお、図4は、記録処理時のメンテナンス機構MNの様子を示し、図5は、フラッシング時のメンテナンス機構MNの様子を示す。図6は、本発明の第1実施形態における吸引ポンプ45の構成を示す図である。図7は、本発明の第1実施形態における同期装置50の構成を示す図である。
【0031】
メンテナンス機構MNは、図4に示すように、回転駆動装置40Aにより回転駆動される回転体40と、回転体40の外周部40aに設けられたプラテン部材(媒体支持部材)41及びキャップ部材(流体受け部材)42と、キャップ部材42内のインクを吸引する吸引ポンプ(吸引装置)45と、吸引ポンプ45により吸引したインクを貯溜する廃インクタンク46と、回転駆動装置40Aの駆動と吸引ポンプ45の駆動とを同期させる同期装置50とを有する。
【0032】
回転体40は、記録ヘッド11の噴射面11Aと対向する位置に設けられ、インクの噴射方向と直交するY方向に延びる軸周りに回転自在に支持されている。回転体40は、回転駆動装置40Aにより軸周りに回転駆動される。また、回転体40には、その回転角度を検出するエンコーダが設けられ、該検出結果は制御装置CONTに出力される。
【0033】
プラテン部材41は、記録ヘッド11と対向する位置で記録媒体Mを支持する媒体支持部である。プラテン部材41は、記録媒体Mを支持する支持面41aを有している。支持面41aは、プラテン38a及びプラテン38bと共に搬送面MRの一部を構成する(図4参照)。プラテン部材41の支持面41aは、記録ヘッド11のノズル形成領域15に対応した領域をカバーするように形成されている。
【0034】
キャップ部材42は、記録ヘッド11の噴射面11Aをキャッピングするトレイ形状の部材である。キャップ部材42の開口縁部を構成するリップ部42aは、ゴム部材等の弾性部材から形成され、複数のノズル13を囲うように噴射面11Aと当接可能である。なお、キャップ部材42は、ノズル13内で粘度が高くなったインクを噴射するフラッシング動作を行う際に、噴射されたインクを受ける部分でもある(図5参照)。キャップ部材42は、トレイ内部にインク吸収材42bを有している。キャップ部材42の底部中央には、回転体40に形成されたインク排出孔40bに連通する流出口42cが設けられている。
【0035】
キャップ部材42は、回転体40上のうち、プラテン部材41の反対側に設けられている。したがって、プラテン部材41とキャップ部材42とは、回転体40上で回転方向に180度ずれた位置に配置されていることになる。キャップ部材42とプラテン部材41とをこのように離れた位置に配置させることにより、キャップ部材42からインクが溢れるような場合であっても、インクがプラテン部材41に到達しにくくなる。
【0036】
吸引ポンプ45は、インク排出孔40bと廃インクタンク46との間に設けられ、キャップ部材42の流出口42cを介して吸引動作を行う構成である。廃インクタンク46は、吸引動作により流れ込むインクを貯溜する。なお、廃インクタンク46は、インクジェットプリンターPRTの装置本体に対して着脱自在であり、定期的に内部に貯溜したインクを廃棄する構成である。
【0037】
図6に示すように、本実施形態では、チューブポンプ式の吸引ポンプ45を採用している。吸引ポンプ45は、円筒状のケース130を有しており、このケース130内には、円形状をなすポンプホイル132がホイル軸131を中心に回動可能に収容されている。また、ケース130内には、インク排出孔40bに連通する排出チューブ127の中間部127aがケース130の内周壁130aに沿って収容されている。
【0038】
ポンプホイル132には、外側に膨らむ円弧状をなす一対のローラ案内溝133,134がホイル軸131を挟んで対向する位置に形成されている。各ローラ案内溝133,134は、一端がポンプホイル132の外周側に位置しており、他端がポンプホイル132の内周側に位置している。すなわち、両ローラ案内溝133,134は、それらの一端から他端に向かうほど、徐々にポンプホイル132の外周部から遠ざかるように延びている。
両ローラ案内溝133,134内には、押圧手段としての一対のローラ135,136が、それぞれ回動軸135a,136aを介して挿通支持されている。なお、両回動軸135a,136aは、それぞれ両ローラ案内溝133,134内を摺動自在に移動することができる。
【0039】
ここで、吸引ポンプ45の動作について説明する。ポンプホイル132を、正方向(矢印方向)に回動させると、両ローラ135,136が両ローラ案内溝133,134の一端側(ポンプホイル132の外周側)に移動し、排出チューブ127の中間部127aをキャップ部材42側から廃インクタンク46側へ順次押圧しながら回動する。この回動により、吸引ポンプ45より上流側(キャップ部材42側)の排出チューブ127内が負圧状態になる。そうすると、キャップ部材42内に溜まったインクが、廃インクタンク46に移送される。
【0040】
また、ポンプホイル132を逆方向(矢印方向とは反対方向)に回動させると、両ローラ135,136が両ローラ案内溝133,134の他端側(ポンプホイル132の内周側)に移動する。この移動により、両ローラ135,136がそれぞれ排出チューブ127の中間部127aを押し潰さない状態となり、排出チューブ127の内部は負圧の状態にならず、ポンプとして機能しない。
【0041】
同期装置50は、図7に示すように、回転駆動装置40Aのモーター(回転駆動源)51の駆動力を伝達して吸引ポンプ45を駆動させる駆動力伝達装置60を有する。すなわち、本実施形態の回転体40と吸引ポンプ45とは、同一の回転駆動源で駆動する。
【0042】
駆動力伝達装置60は、モーター51の出力軸に連結する駆動ギア61と、回転体40の回転軸に連結された回転体用ギア62と、吸引ポンプ45のホイル軸131に連結された吸引ポンプ用ギア63とを有する。また、駆動ギア61に噛合して従動回転する第1従動ギア71及び第2従動ギア72と、駆動ギア61の回転軸にその軸周りに回動自在に支持されたレバー80とを有する。レバー80の一端部に第1従動ギア71が、他端部に第2従動ギア72が回転自在に支持されている。これにより、第1従動ギア71及び第2従動ギア72は、駆動ギア61の周方向(ピッチ方向)において180度ずれた相対位置関係を維持し、物理的に同期された状態で移動する。
この構成により、駆動ギア61は太陽歯車として、第1従動ギア71及び第2従動ギア72は遊星歯車として動く。なお、図示は省略しているが、第1従動ギア71又は第2従動ギア72には、これらを遊星歯車として機能させるための付勢部材が設けられている。また、駆動力伝達装置60には、レバー80の移動範囲を規制しギアの噛み合い深さを規制する位置規制部材81a、81b、82a、82bが設けられている。
【0043】
また、駆動力伝達装置60は、第1従動ギア71と吸引ポンプ用ギア63との間に設けられた2つの第1伝達ギア63a、63bと、第2従動ギア72と吸引ポンプ用ギア63との間に設けられた第2伝達ギア63cとを有する。すなわち、吸引ポンプ用ギア63には、第1従動ギア71から第1伝達ギア63a、63bを介して駆動ギア61の駆動力が伝達される場合と、第2従動ギア72から第2伝達ギア63cを介して駆動ギア61の駆動力が伝達される場合とがある。一方、回転体用ギア62には、第1従動ギア71を介して駆動力が伝達される。
【0044】
駆動力伝達装置60を備える同期装置50は、駆動ギア61を回転させる方向により、吸引ポンプ用ギア63にのみに駆動力を伝達するインク吸引処理位置(図7中符号Aで示す位置)と、回転体用ギア62及び吸引ポンプ用ギア63に同時に駆動力を伝達する記録処理移行位置(図7中符号Bで示す位置:駆動力伝達位置)とに、第1従動ギア71及び第2従動ギア72を移動させて所望の処理を施す。そして、図7中符号AとBの間の位置に、回転体用ギア62及び吸引ポンプ用ギア63のどちらにも駆動力を伝達しない非駆動力伝達位置(図7中実線で示す位置)がある。
【0045】
上記構成のインクジェットプリンターPRTは、記録ヘッド11の良好な噴射状態を維持又は回復させるため、メンテナンス機構MNを駆動させ、当該記録ヘッド11のメンテナンス処理を定期的に行う。メンテナンス機構MNによるメンテナンス処理には、記録ヘッド11を駆動させ増粘したインクを予備噴射して除去するフラッシング処理や、吸引ポンプ45によりキャップ部材42内部を吸引することでノズル13から強制的にインクを排出させるインク吸引処理が挙げられる。
本実施形態では、メンテナンス処理としてインク吸引処理を例に挙げてメンテナンス機構MNの動作について説明する。
なお、メンテナンス機構MNにおいて、図4に示すキャップ部材42が流体受け位置から退避する位置を「非流体受け位置」と称する。一方、図5に示すキャップ部材42が記録ヘッド11と対向してインクを受ける位置を「流体受け位置」と称する。
【0046】
図8は、本実施形態におけるインク吸引処理時のメンテナンス機構MNの様子を示す図である。図9は、本実施形態におけるインク吸引処理時の同期装置50の動作を説明する図である。図10は、本実施形態における記録処理移行時の同期装置50の動作を説明する図である。図11は、本実施形態における記録処理移行時のメンテナンス機構MNの動作を説明する図である。
【0047】
なお、図11において、同期装置50から回転駆動装置40Aを経由して回転体40に到達する太線矢印は、回転体40が駆動されてキャップ部材42が流体受け位置から非流体受け位置に移動する「回転駆動」の状態を示している。一方、同期装置50から吸引ポンプ45に到達する太線矢印は、吸引ポンプ45が駆動されてキャップ部材42内のインクを吸引する「吸引駆動」の状態を示している。他の実施形態で参照される図面(図15、図18)においても同様であり、上記太線矢印に代えて点線矢印が付されている場合には、駆動停止状態であることを示している。
【0048】
図8に示すインク吸引処理では、先ず、記録ヘッド11を−Z方向に移動させて、噴射面11Aとリップ部42aとを密着させ、記録ヘッド11とキャップ部材42との間に気密室を形成する。その後、同期装置50は、図9に示すように、駆動ギア61を時計方向に回転させて第1従動ギア71をインク吸引処理位置に移動させ、第1従動ギア71と第1伝達ギア63aとを噛合させる。さらに、駆動ギア61を時計回りに回転させると、第1従動ギア71、第1伝達ギア63a及び63bを介して吸引ポンプ用ギア63に駆動力が伝達され、吸引ポンプ用ギア63が時計回りに従動回転する。このとき、レバー80は位置規制部材81aまたは82aと係合してそれ以上回転しないため、第2従動ギア72は回転体用ギア62と噛合しない。そして、回転体用ギア62が回転しないため、回転体40は回転せず、記録ヘッド11とキャップ部材42との間に気密室の形成を維持した状態となる。また、吸引ポンプ用ギア63が時計回りに回転するとポンプホイル132は正方向に回転し、吸引ポンプ45が駆動されてキャップ部材42内のインクを吸引し、該気密室を負圧状態にする。これにより、各ノズル13から粘性が高くなったインクや付着したゴミ等を吸引してメニスカスを調整し、記録ヘッド11の噴射特性を回復させる。
その後、記録ヘッド11とキャップ部材42とを離間させる。続いて、同期装置50は図9に示すように駆動ギア61を時計回りに回転させて、吸引ポンプ用ギア63を時計回りに回転させ吸引駆動する。この吸引駆動により、記録ヘッド11からインクを吸引せずにキャップ部材42内のインクを、流出口42cを介してインク排出孔40bへ排出させる。
【0049】
本実施形態における記録処理移行時では、図10及び図11に示すように、回転体40が駆動されてキャップ部材42が流体受け位置から非流体受け位置に移動する「回転駆動」と、吸引ポンプ45が駆動されてキャップ部材42内のインクを吸引する「吸引駆動」とを同期させ、回転駆動と吸引駆動とを同時に実行させると共に、回転駆動中にも吸引駆動を続けることでインク垂れを防止する(同期工程)。
【0050】
具体的には、同期装置50は、先ず図10に示すように、駆動ギア61を反時計回りに回転させて第1従動ギア71及び第2従動ギア72を反時計回りに移動させ、第1従動ギア71と回転体用ギア62とを噛合させると共に、第2従動ギア72と第2伝達ギア63cとを噛合させる(記録処理移行位置)。さらに、駆動ギア61を反時計回りに回転させると、第1従動ギア71に噛合する回転体用ギア62は反時計回りに従動回転し、同時に、第2従動ギア72に第2伝達ギア63cを介して噛合する吸引ポンプ用ギア63が時計回りに従動回転する。
【0051】
回転体用ギア62の回転により、図11(a)に示すように、回転体40が回転駆動してキャップ部材42が非流体受け位置に向けて移動する。また、同時に、吸引ポンプ用ギア63の回転により、吸引ポンプ45が吸引駆動してキャップ部材42内のインクを吸引する。そして、図11(b)に示すように、キャップ部材42が非流体受け位置に移動するまで、吸引ポンプ45は吸引駆動を続ける。
【0052】
以上のように、本実施形態では、吸引ポンプ45を吸引駆動させながら、回転体40を回転駆動させることにより、キャップ部材42内のインクが、キャップ部材42が傾く間にも漸次低減される。また、吸引ポンプ45の吸引力によりキャップ部材42内のインクが引かれ続けられて保持されるため、回転駆動中のインクの垂れを防止することが可能となる。さらに、吸引駆動と回転駆動とを同時に実行させることにより、第1実施形態と比べてメンテナンス処理から記録処理への移行時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0053】
また、駆動ギア61を一方向に回転させたときは、第1従動ギア71は回転体用ギア62と噛合うとともに、第2従動ギア72は第2伝達ギア63cを介して吸引ポンプ用ギア63と噛合う。駆動ギア61を他方向に回転させたときは、第1従動ギア71は回転体用ギア62と噛合わないが、第2従動ギア72は第1伝達ギア63a、63bを介して吸引ポンプ用ギア63と噛合う。そして、第2従動ギア72と吸引ポンプ用ギア63との間のギア数は1枚異なるため、駆動ギア61をどちらに回転しても吸引用ギア63は時計回りに回転する。このため、回転体40を回転させるとともに吸引ポンプ45を吸引駆動することと、回転体40を回転させずに吸引ポンプ45を吸引駆動することが可能となり、記録ヘッド11からインクを吸引中に回転体40が回転してしまうことはない。
なお、本実施形態では、第1伝達ギアを符号63aと符号63bで示した2つのギアとし、第2伝達ギアを符号63cで示した1つのギアとしたが、一方が偶数で他方が奇数であれば吸引ポンプ用ギア63は同じ方向に回転するように伝達する。
【0054】
なお、吸引ポンプ45の吸引駆動を停止させると、吸引力により保持されていたインクが自重により垂れる場合がある。しかし本実施形態では、図11(b)に示すように、非流体受け位置においてキャップ部材42が鉛直下方に向くまでは吸引ポンプ45が吸引駆動をするため、回転体40が回転駆動している途中でキャップ部材42からインクが垂れることはない。そして、キャップ部材42が鉛直下方を向けば、インクは自重により鉛直下方にのみ流れるため、回転体40の外周部40aを伝うことがない。
【0055】
一方で、このインク垂れが気になる場合は、図12に示すように、非流体受け位置にあるキャップ部材42の下方に、トレイ90を設ければ、自重により鉛直下方に流れるインクを受けることができる。なお、トレイ90に受けたインクは、吸引ポンプ45により吸引する構成であってもよい。また、トレイ90を別途配設するのではなく、廃インクタンク46によりインクを受ける構成としてもよい。
【0056】
(第2実施形態)
次に、図13〜図15を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、上記実施形態と構成を同じくする部分の説明は割愛することとする。
図13は、本発明の第2実施形態における同期装置50の構成を示す図である。図14は、本発明の第2実施形態における記録処理移行時の同期装置50の動作を説明する図である。図15は、本発明の第2実施形態における記録処理移行時のメンテナンス機構MNの動作を説明する図である。
【0057】
図13に示すように、第2実施形態の駆動力伝達装置60Aは、第1実施形態と異なり、第1従動ギア71及び第2従動ギア72がそれぞれ独立して移動する構成である。第1従動ギア71は、駆動ギア61の回転軸周りに回動するレバー80aに回転自在に支持されている。また、第2従動ギア72は、駆動ギア61の回転軸周りに回動するレバー80bに回転自在に支持されている。
【0058】
この駆動力伝達装置60Aを備える同期装置50は、駆動ギア61を回転させることにより、吸引ポンプ用ギア63にのみに駆動力を伝達するインク吸引処理位置(図13中符号Aで示す位置)と、回転体用ギア62にのみ駆動力を伝達する記録処理移行位置(図13中符号Bで示す位置:駆動力伝達位置)とに、第1従動ギア71を移動させて所望の処理を施す。なお、図13中符号Aで示す位置と符号Bで示す位置との間の位置に、回転体用ギア62及び吸引ポンプ用ギア63のどちらにも駆動力を伝達しない非駆動力伝達位置(図13中実線で示す位置)がある。
また、同期装置50は、駆動ギア61を回転させることにより、回転体用ギア62及び吸引ポンプ用ギア63のどちらにも駆動力を伝達せず、レバー80bがそれ以上回転できない空転位置(図13中実線(符号D)で示す位置)と、吸引ポンプ用ギア63にのみに駆動力を伝達する記録処理移行位置(図13中符号Cで示す位置:駆動力伝達位置)とに、第2従動ギア72を移動させて所望の処理を施す。
【0059】
ここで、図13中の符号Aで示す位置と符号Bで示す位置の間の第1従動ギア71の移動距離は、符号Cで示す位置と符号Dで示す位置との間の第2従動ギア72の移動距離よりも短い。そのため、第1従動ギア71が符号Aで示す位置から符号Bで示す位置へ移動する時間よりも、第2従動ギア72が符号Dで示す位置から符号Cで示す位置へ移動する時間の方が短くなる。つまり、駆動ギア61を反時計回りに回転させたときには、吸引ポンプ用ギア63の方が回転体用ギア62よりも先に駆動力が伝達されることになる。
【0060】
第2実施形態における記録処理移行時では、図14及び図15に示すように、回転駆動と吸引駆動とを同期させ、吸引ポンプ45を吸引駆動させた後に回転体40を回転駆動させて、回転駆動中にも吸引駆動を続けることでインク垂れを防止する(同期工程)。
【0061】
具体的には、同期装置50は、フラッシング処理やインク吸引処理の後、先ず図14(a)に示すように、駆動ギア61を回転させて第2従動ギア62を移動させ、第2従動ギア72と第2伝達ギア63cとを噛合させる。このとき、駆動ギア61の回転により第1従動ギア71も移動するが、第1従動ギア71の移動距離は第2従動ギア72の移動距離も長いため、第2従動ギア72と第2伝達ギア63cとが噛合された時点では、第1従動ギア71は図14(a)に示す非動力伝達位置にある。
さらに、駆動ギア61を反時計回りに回転させると、第2従動ギア72から第2伝達ギア63cを介して伝達される駆動力により吸引ポンプ用ギア63が時計回りに従動回転する。そして、吸引ポンプ用ギア63の回転により、図15(a)に示すように、吸引ポンプ45が吸引駆動してキャップ部材42内のインクを吸引する。
【0062】
上記の吸引駆動が開始された後も、第1従動ギア71は駆動ギア61の回転により移動を続け、吸引駆動の開始後、所定の時間が経過した後(吸引駆動によりある程度のインクが吸引された後)に、第1従動ギア71と回転体用ギア62とが噛合される。さらに、駆動ギア61を反時計回りに回転させると、第1従動ギア71に噛合する回転体用ギア62は反時計回りに従動回転し、図15(b)に示すように、駆動力が回転体40にも伝達される。そして、回転体40が回転駆動し、キャップ部材42が非流体受け位置に向けて移動する。その後、図15(c)に示すように、キャップ部材42が非流体受け位置に移動するまで、吸引ポンプ45は吸引駆動を続ける。
【0063】
以上のように、第2実施形態では、吸引ポンプ45を吸引駆動させながら、回転体40を回転駆動させることにより、キャップ部材42内のインクが、キャップ部材42が傾く間にも漸次低減され、また、吸引ポンプ45の吸引力によりキャップ部材42内のインクが引かれ続けられて保持されるため、回転駆動中のインクの垂れを防止することが可能となる。
特に第2実施形態では、第1従動ギア71と第2従動ギア72の移動距離の差を利用して、吸引ポンプ45の吸引駆動を先に開始させた後に回転体40を回転駆動させている。これにより、上記作用に加えて、キャップ部材42内のインクを予め低減させた状態で回転体40を回転させることができるため、回転中の流体の垂れをより確実に防止することが可能となる。
また本実施形態においても、非流体受け位置においてキャップ部材42が鉛直下方に向くまでは吸引ポンプ45が吸引駆動をするため、回転体40が回転駆動している途中でキャップ部材42からインクが垂れることはない。そして、キャップ部材42が鉛直下方を向けば、インクは自重により鉛直下方にのみ流れるため、回転体40の外周部40aを伝うことがない。さらに本実施形態においても、第1実施形態と同様に、トレイ90や廃インクタンク46を用いて非流体受け位置にキャップ部材42が位置するときに垂れ落ちるインクを受け止めるようにしてもよい。
【0064】
(第3実施形態)
次に、図16〜図18を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。なお、先の実施形態と構成を同じくする部分の説明は割愛することとする。
【0065】
図16は、本発明の第3実施形態における同期装置の構成を示す図である。
同期装置50は、図16に示すように、回転駆動装置40Aのモーター(回転駆動源)51の駆動力を伝達して吸引ポンプ45を駆動させる駆動力伝達装置60Bを有する。すなわち、本実施形態の回転体40と吸引ポンプ45とは、同一の回転駆動源で駆動される。
駆動力伝達装置60Bは、モーター51の出力軸に連結する駆動ギア61と、回転体40の回転軸に連結すると共に駆動ギア61に歯合して従動回転する回転体用ギア62と、吸引ポンプ45のホイル軸131に連結すると共に駆動ギア61に歯合して従動回転する吸引ポンプ用ギア63とを有する。また、本実施形態の回転体用ギア62には、ワンウェイクラッチ62aが設けられており、回転体40を反時計回りの一方側にだけ回転させる。
【0066】
第3実施形態のインクジェットプリンターPRTは、記録ヘッド11の良好な噴射状態を維持又は回復させるため、メンテナンス機構MNを駆動させ、当該記録ヘッド11のメンテナンス処理を定期的に行う。このメンテナンス処理には、記録ヘッド11を駆動させ増粘したインクを予備噴射して除去するフラッシング処理が挙げられる。
【0067】
フラッシング処理では、記録媒体Mがない状態で、図5に示したように、先ず回転体40を駆動させてキャップ部材42と記録ヘッド11とをZ方向で対向させる。その後、記録ヘッド11を駆動させて対向しているキャップ部材42に粘性が高くなったインクを予備噴射してメニスカスを調整し、記録ヘッド11の噴射特性を回復させる。なお、図5に示したキャップ部材42が記録ヘッド11と対向してインクを受ける位置を「流体受け位置」と称する。
フラッシング処理が終了したら、図4に示したように、回転体40を180度回転させてプラテン部材41と記録ヘッド11とをZ方向で対向させて、記録媒体Mにインクを噴射する記録処理に移行する。なお、図4に示したキャップ部材42が流体受け位置から退避する位置を「非流体受け位置」と称する。
【0068】
フラッシング処理において、キャップ部材42内にはインクが貯溜された状態で、流体受け位置から非流体受け位置にキャップ部材42が移動すると、貯留したインクがキャップ部材42から垂れて回転体40の外周部40aを汚染する。
本実施形態のインクジェットプリンターPRTは、以下、図17及び図18を参照して説明する動作を行うことにより、このメンテナンス処理から記録処理に移行する時(以下、記録処理移行時と称する)のインク垂れを防止する。
【0069】
図17は、本発明の第3実施形態における記録処理移行時の同期装置50の動作を説明する図である。図18は、本発明の第1実施形態における記録処理移行時のメンテナンス機構MNの動作を説明する図である。なお、図17(a)と図18(a)、図17(b)と図18(b)の動作は互いに対応している。また、図18では、同期装置50から回転駆動装置40Aを経由して回転体40に太線矢印が付されている場合、回転体40が駆動されてキャップ部材42が流体受け位置から非流体受け位置に移動する「回転駆動」の状態を示し、同期装置50から吸引ポンプ45に太線矢印が付されている場合、吸引ポンプ45が駆動されてキャップ部材42内のインクを吸引する「吸引駆動」の状態を示す。
【0070】
本処理では、この回転駆動と吸引駆動とを同期させることでインク垂れを防止する(同期工程)。同期装置50は、図18(a)に示すように、吸引ポンプ45を吸引駆動させ、流体受け位置にあるキャップ部材42内からインクを吸引する。そして、インクの吸引が終了したら、図18(b)に示すように、回転体40を回転駆動させ、キャップ部材42を流体受け位置から非流体受け位置に移動させることで、メンテナンス処理から記録処理に移行させる。
【0071】
具体的には、同期装置50は、先ず図17(a)に示すように、駆動ギア61を反時計回りに回転させる。駆動ギア61に噛合する吸引ポンプ用ギア63は、時計回りに従動回転する。吸引ポンプ用ギア63の回転により、図6に示したポンプホイル132が正方向に回動すると、排出チューブ127内が負圧状態になる吸引駆動が実行され、キャップ部材42内に溜まったインクが、廃インクタンク46に移送される(図18(a)参照)。
なお、駆動ギア61に噛合する回転体用ギア62は、時計回りに従動回転するが、このときワンウェイクラッチ62aが作動するため、この駆動力は回転体40に伝達されない。
【0072】
また、フラッシング処理でキャップ部材42にインクを噴射した回数は、制御装置CONTがカウントしているため、そのカウント数に基づいてインク噴射量を計測し、該計測結果に基づいて、同期装置50は、吸引ポンプ45による吸引量を調節する(計測工程、第2吸引量調節工程)。すなわち、フラッシング処理によりキャップ部材42に噴射したインク量だけ吸引する。このように、キャップ部材42内のインクの量に応じて吸引量を変えることでで、無駄に吸引ポンプ45を駆動する時間を防止できる。そして、吸引ポンプ45の耐久性の向上を図ることが可能となる。
なお、上記吸引量の調節機能は、第1実施形態及び第2実施形態においても問題なく適用できる。
【0073】
吸引駆動によりキャップ部材42内のインクが空となったら、同期装置50は、図17(b)に示すように、駆動ギア61を時計回りに回転させる。すると、駆動ギア61に噛合する回転体用ギア62は、反時計回りに従動回転する。回転体用ギア62の回転により、ワンウェイクラッチ62aが作動することなく駆動力が回転体40に伝達され、回転体40が回転駆動してキャップ部材42が非流体受け位置に移動する(図18(b)参照)。
なお、駆動ギア61に噛合する吸引ポンプ用ギア63は、反時計回りに従動回転するが、このときはポンプホイル132が逆方向回転となるため、吸引駆動は行われない。
【0074】
以上のように、第3実施形態では、キャップ部材42内のインクを吸引し終えた後に、回転体40を回転させるため、キャップ部材42からのインクが外周部40aに垂れることを防止することができる。
【0075】
したがって、上述した第3実施形態によれば、インクを噴射する記録ヘッド11と、インクを受けるキャップ部材42を外周部40aに備えると共にインクの噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体40と、回転体40を回転駆動させ、キャップ部材42を記録ヘッド11と対向させる流体受け位置から、該流体受け位置から退避する非流体受け位置へと移動させる回転駆動装置40Aと、キャップ部材42内のインクを吸引する吸引ポンプ45とを備えるインクジェットプリンターPRTであって、吸引ポンプ45の駆動が終了した後に、上記回転駆動装置40Aを駆動させるように、回転駆動装置40Aの回転駆動と上記吸引ポンプ45の吸引駆動とを同期させる同期装置50を有するという構成を採用する。この構成によれば、流体受け位置にあるキャップ部材42に記録ヘッド11からインクを噴射してフラッシング処理を行う。そして、記録処理移行時に、回転駆動装置40Aの駆動と同期して、吸引ポンプ45を駆動させ、キャップ部材42内のインクを吸引する。該吸引によりキャップ部材42内のインクを低減させ、回転により傾くキャップ部材42から回転体40の外周部40aへのインクの垂れを防止できる。
【0076】
(第4実施形態)
次に、図19を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。なお、上記実施形態と構成を同じくする部分の説明は割愛することとする。
図19は、本発明の第4実施形態におけるインクジェットプリンターPRTの概略構成図である。
【0077】
第4実施形態では、回転体40を駆動する回転駆動装置40A及び吸引ポンプ45は、それぞれ独立した回転駆動源(モーター)を有する。そして、回転体40の回転駆動と吸引ポンプ45の吸引駆動との同期は、制御装置CONTの制御の下に行う構成である。すなわち、第4実施形態における同期装置は、制御装置CONTが代替する。
第4実施形態では、回転体40の回転駆動タイミングと吸引ポンプ45の吸引駆動タイミングが電気的に制御できるので、第1実施形態から第3実施形態までの記録処理移行時のメンテナンス機構MNの動作を実施できる。
【0078】
また、吸引ポンプ45の吸引量を、回転体40の駆動とは独立して調節できるため、以下のように、記録処理移行時において、該吸引量を調節する手法を用いても良い(吸引量調節工程)。
すなわち、本発明では、回転駆動によりキャップ部材42が傾くと、キャップ部材42がインクを保持できるインク保持量(流体保持量)が変化する。そして、このインク保持量を超える量のインクが垂れて回転体40の外周部40aを汚染する。インク保持量は、キャップ部材42の縁の高さ、インクの比重や表面張力、キャップ部材42がスポンジや不織布等を有する場合はそのインク吸収材42bの毛細管力等により定まる。
第4実施形態では、このインク保持量に基づいて吸引量を調節することで、その吸引量をキャップ部材42からインクが垂れない適切な量に調節する。これにより、吸引ポンプ45を過度に駆動させずにインクの垂れを防止できる。そして、吸引ポンプ45の耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0079】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0080】
尚、上述の実施形態においては、流体噴射装置がインクジェットプリンターである場合を例にして説明したが、インクジェットプリンターに限られず、複写機及びファクシミリ等の装置であってもよい。
【0081】
また、上述の実施形態においては、流体噴射装置が、インク等の流体(液状体)を噴射する流体噴射装置である場合を例にして説明したが、本発明の流体噴射装置は、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に適用することができる。流体噴射装置が噴射可能な流体は、流体、機能材料の粒子が分散又は溶解されている液状体、ジェル状の流状体、流体として流して噴射できる固体、及び粉体(トナー等)を含む。
【0082】
また、上述の実施形態において、流体噴射装置から噴射される流体(液状体)としては、インクのみならず、特定の用途に対応する流体を適用可能である。流体噴射装置に、その特定の用途に対応する流体を噴射可能な噴射ヘッドを設け、その噴射ヘッドから特定の用途に対応する流体を噴射して、その流体を所定の物体に付着させることによって、所定のデバイスを製造可能である。例えば、本発明の流体噴射装置(液状体噴射装置)は、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、及び面発光ディスプレイ(FED)の製造等に用いられる電極材、色材等の材料を所定の分散媒(溶媒)に分散(溶解)した流体(液状体)を噴射する流体噴射装置に適用可能である。
【0083】
また、流体噴射装置としては、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる流体を噴射する流体噴射装置であってもよい。
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置、トナーなどの粉体を例とする固体を噴射するトナージェット式記録装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
11…記録ヘッド(流体噴射ヘッド)、40…回転体、40A…回転駆動装置、40a…外周部、41…プラテン部材(媒体支持部材)、42…キャップ部材(流体受け部材)、45…吸引ポンプ(吸引装置)、50…同期装置、51…モーター(回転駆動源)、60,60A,60B…駆動力伝達装置、61…駆動ギア、63a,63b…第1伝達ギア、63c…第2伝達ギア、71…第1従動ギア、72…第2従動ギア、80…レバー(連結部材)、PRT…インクジェットプリンター(流体噴射装置)、CONT…制御装置(同期装置、計測装置、吸引量調節装置、第2吸引量調節装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を媒体に噴射する流体噴射ヘッドと、
前記流体を受ける流体受け部材及び前記媒体を支持する媒体支持部材を外周部に備えると共に前記流体の噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体と、
前記回転体を回転駆動させ、前記流体受け部材を前記流体噴射ヘッドと対向させる流体受け位置から、該流体受け位置から退避する非流体受け位置へと移動させる回転駆動装置と、
前記流体受け部材内の前記流体を吸引する吸引装置とを備える流体噴射装置のメンテナンス方法であって、
前記回転駆動装置の駆動と前記吸引装置の駆動とを同期させる同期工程を有することを特徴とする流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項2】
前記同期工程では、前記吸引装置を駆動させながら前記回転駆動装置を駆動させることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項3】
前記同期工程では、前記吸引装置を駆動させた後に前記回転駆動装置を駆動させることを特徴とする請求項2に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項4】
前記同期工程では、前記吸引装置と前記回転駆動装置とを同時に駆動させることを特徴とする請求項2に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項5】
前記非流体受け位置は、前記流体受け部材が鉛直下方に向く位置であり、
前記同期工程では、前記回転駆動装置の駆動が終了するまで前記吸引装置を駆動させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項6】
前記同期工程では、前記吸引装置の駆動が終了した後に、前記回転駆動装置を駆動させることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項7】
前記回転駆動により変化する前記流体受け部材の流体保持量に基づいて、前記吸引装置による吸引量を調節する吸引量調節工程を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項8】
前記流体受け部材内の前記流体の量を計測する計測工程と、
前記計測工程での計測結果に基づいて、前記吸引装置による吸引量を調節する第2吸引量調節工程とを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項9】
流体を媒体に噴射する流体噴射ヘッドと、
前記流体を受ける流体受け部材及び前記媒体を支持する媒体支持部材を外周部に備えると共に前記流体の噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体と、
前記回転体を回転駆動させ、前記流体受け部材を前記流体噴射ヘッドと対向させる流体受け位置から、該流体受け位置から退避する非流体受け位置へと移動させる回転駆動装置と、
前記流体受け部材内の前記流体を吸引する吸引装置と、
前記回転駆動装置の駆動と前記吸引装置の駆動とを同期させる同期装置と、を有することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項10】
前記同期装置は、前記回転駆動装置の回転駆動源の駆動力を伝達して前記吸引装置を駆動させる駆動力伝達装置を有することを特徴とする請求項9に記載の流体噴射装置。
【請求項11】
前記駆動力伝達装置は、
前記回転駆動源に連結して回転する駆動ギアと、
前記駆動ギアに噛合して従動すると共に前記回転駆動装置に駆動力を伝達する駆動力伝達位置と該駆動力伝達位置から退避する非駆動力伝達位置との間を移動自在な第1従動ギアと、
前記駆動ギアに噛合して従動すると共に前記吸引装置に駆動力を伝達する駆動力伝達位置と該駆動力伝達位置から退避する非駆動力伝達位置との間を移動自在な第2従動ギアとを有することを特徴とする請求項10に記載の流体噴射装置。
【請求項12】
前記駆動力伝達装置は、前記第1従動ギアと前記第2従動ギアとの前記駆動ギアの周方向における相対距離を一定にするよう両者を連結する連結部材を有することを特徴とする請求項11に記載の流体噴射装置。
【請求項13】
流体を媒体に噴射する流体噴射ヘッドと、
前記流体を受ける流体受け部材及び前記媒体を支持する媒体支持部材を外周部に備えると共に前記流体の噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体と、
前記流体受け部材内の前記流体を吸引する吸引装置と、
回転駆動源に連結して回転する駆動ギアと、
前記駆動ギアを太陽歯車としたときに、遊星歯車として機能する第1従動ギアと第2従動ギアと、
前記回転体に駆動力を伝達する回転体用ギアと、
前記吸引装置に駆動力を伝達する吸引ポンプ用ギアと、
前記駆動ギアが一方向に回転したとき、前記第1従動ギアは前記回転体用ギアに駆動力を伝達するとともに、前記第2従動ギアは第2伝達ギアを介して前記吸引ポンプ用ギアに駆動力を伝達し、
前記駆動ギアが他方向に回転したとき、前記第2従動ギアは前記回転体用ギアへ駆動力を伝達しないとともに、前記第1従動ギアは第1伝達ギアを介して前記吸引ポンプ用ギアに駆動力を伝達し、
前記第1伝達ギアと前記第2伝達ギアのギアの数は、一方が偶数で他方が奇数であることを特徴とする流体噴射装置。
【請求項1】
流体を媒体に噴射する流体噴射ヘッドと、
前記流体を受ける流体受け部材及び前記媒体を支持する媒体支持部材を外周部に備えると共に前記流体の噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体と、
前記回転体を回転駆動させ、前記流体受け部材を前記流体噴射ヘッドと対向させる流体受け位置から、該流体受け位置から退避する非流体受け位置へと移動させる回転駆動装置と、
前記流体受け部材内の前記流体を吸引する吸引装置とを備える流体噴射装置のメンテナンス方法であって、
前記回転駆動装置の駆動と前記吸引装置の駆動とを同期させる同期工程を有することを特徴とする流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項2】
前記同期工程では、前記吸引装置を駆動させながら前記回転駆動装置を駆動させることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項3】
前記同期工程では、前記吸引装置を駆動させた後に前記回転駆動装置を駆動させることを特徴とする請求項2に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項4】
前記同期工程では、前記吸引装置と前記回転駆動装置とを同時に駆動させることを特徴とする請求項2に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項5】
前記非流体受け位置は、前記流体受け部材が鉛直下方に向く位置であり、
前記同期工程では、前記回転駆動装置の駆動が終了するまで前記吸引装置を駆動させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項6】
前記同期工程では、前記吸引装置の駆動が終了した後に、前記回転駆動装置を駆動させることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項7】
前記回転駆動により変化する前記流体受け部材の流体保持量に基づいて、前記吸引装置による吸引量を調節する吸引量調節工程を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項8】
前記流体受け部材内の前記流体の量を計測する計測工程と、
前記計測工程での計測結果に基づいて、前記吸引装置による吸引量を調節する第2吸引量調節工程とを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の流体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項9】
流体を媒体に噴射する流体噴射ヘッドと、
前記流体を受ける流体受け部材及び前記媒体を支持する媒体支持部材を外周部に備えると共に前記流体の噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体と、
前記回転体を回転駆動させ、前記流体受け部材を前記流体噴射ヘッドと対向させる流体受け位置から、該流体受け位置から退避する非流体受け位置へと移動させる回転駆動装置と、
前記流体受け部材内の前記流体を吸引する吸引装置と、
前記回転駆動装置の駆動と前記吸引装置の駆動とを同期させる同期装置と、を有することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項10】
前記同期装置は、前記回転駆動装置の回転駆動源の駆動力を伝達して前記吸引装置を駆動させる駆動力伝達装置を有することを特徴とする請求項9に記載の流体噴射装置。
【請求項11】
前記駆動力伝達装置は、
前記回転駆動源に連結して回転する駆動ギアと、
前記駆動ギアに噛合して従動すると共に前記回転駆動装置に駆動力を伝達する駆動力伝達位置と該駆動力伝達位置から退避する非駆動力伝達位置との間を移動自在な第1従動ギアと、
前記駆動ギアに噛合して従動すると共に前記吸引装置に駆動力を伝達する駆動力伝達位置と該駆動力伝達位置から退避する非駆動力伝達位置との間を移動自在な第2従動ギアとを有することを特徴とする請求項10に記載の流体噴射装置。
【請求項12】
前記駆動力伝達装置は、前記第1従動ギアと前記第2従動ギアとの前記駆動ギアの周方向における相対距離を一定にするよう両者を連結する連結部材を有することを特徴とする請求項11に記載の流体噴射装置。
【請求項13】
流体を媒体に噴射する流体噴射ヘッドと、
前記流体を受ける流体受け部材及び前記媒体を支持する媒体支持部材を外周部に備えると共に前記流体の噴射方向と直交する方向に延びる軸周りに回転自在な回転体と、
前記流体受け部材内の前記流体を吸引する吸引装置と、
回転駆動源に連結して回転する駆動ギアと、
前記駆動ギアを太陽歯車としたときに、遊星歯車として機能する第1従動ギアと第2従動ギアと、
前記回転体に駆動力を伝達する回転体用ギアと、
前記吸引装置に駆動力を伝達する吸引ポンプ用ギアと、
前記駆動ギアが一方向に回転したとき、前記第1従動ギアは前記回転体用ギアに駆動力を伝達するとともに、前記第2従動ギアは第2伝達ギアを介して前記吸引ポンプ用ギアに駆動力を伝達し、
前記駆動ギアが他方向に回転したとき、前記第2従動ギアは前記回転体用ギアへ駆動力を伝達しないとともに、前記第1従動ギアは第1伝達ギアを介して前記吸引ポンプ用ギアに駆動力を伝達し、
前記第1伝達ギアと前記第2伝達ギアのギアの数は、一方が偶数で他方が奇数であることを特徴とする流体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−877(P2011−877A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−242511(P2009−242511)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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