流体MEMSデバイス
流体微小電気機械システム(MEMS)デバイス(200)が説明される。基板(120)上に堆積されたポリマー層(42)上に、少なくとも1つの少なくとも部分的に覆われた流体チャネル(124)が形成される。一態様では、部分的に覆われた流体チャネル(124)は単一の構造体として製造される。一具現化形態では、ポリマー層(42)に強い露光工程(706)が適用され、深く架橋されたポリマー領域(620)が作成される。ポリマー層(42)に弱い露光工程(708)が適用され、浅く架橋されたポリマー領域(622)が作成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小電気機械システム(MEMS)に関し、より詳細には流体を収容又は輸送することができるMEMSに関する。
【0002】
背景
多くのタイプの微小電気機械システム(MEMS)が、電気的な検出、制御、及び計算を提供する。MEMS技術は、絶えず小型化されるシステムに適用されつつあり、最近では、ナノスケールシステムに適用されている。絶えず小型化されるデバイス、特にナノスケール寸法まで、及びナノスケール以下の寸法まで小型化されるデバイスのための設計は、相当な設計上の課題をもたらす。
【0003】
MEMSデバイス及び回路が過酷な環境に適用される場合には、かなり複雑なことが生じる。MEMS又は任意の電子回路が設計対象とされ、又は適用される可能性がある最も困難な環境のうちの1つが、流体(より詳細には、血液、他の体液、又は取り扱うのが困難な流体)である。MEMSは、人体内、及び多くの他の応用形態における種々のパラメータを検出又はモニタするように構成され得る。その電子デバイスは、流体の正確な測定値を与えるために、そのような過酷な環境から保護されなければならない。
【0004】
図1に示されるような、MEMSデバイス29の1つの従来技術の実施形態は、或る特定の化学分析システム内に組み込まれ得る。そのMEMSデバイス29は、複数の基板34及び36を含む。2つの個々の基板34、36の個々のエッチング面30、32のうちの一方又は両方内に、溝及び/又は流路28がエッチング形成されている。2つの基板のそれぞれのエッチング面は、図2に示されるように、結合領域38において、互いに向かい合って配置されるように結合される。エッチング面は互いに向かい合って取り付けられるので、エッチング形成された一対の溝(即ち、エッチング面のそれぞれにある1つの溝)が、1つになって、それぞれの側面が一方の基板によって包囲された導管を形成することができる。
【0005】
基板34、36はガラス(例えば、パイレックス(登録商標)−コーニング社の商標)又はシリコンのような半導体から製造され得る。基板のエッチング面30、32の一方又は両方にある、エッチング形成された流路(チャネル)及び/又は溝28(図1に示される)が、流体連絡を提供する導管を形成するように、それらの基板は互いに結合される。それらの基板は、陽極ボンディング技術を用いて、又はガラスフリット中間層でもって結合され得る。流体連絡を提供する導管は、流体I/Oポート及び流体チャネルを含む。
【0006】
係る従来技術の技術は、既知の製造法を用いて、数十ナノメートルまで、及び数十ナノメートルを含む所望の寸法を有する、図1に示されるようなエッチング形成された流路及び/又は溝28を形成することができる。しかしながら、エッチング形成された流路及び/又は溝28を、結合される基板対の上で位置合わせすることは、多大な時間と労力を要する。そういうものだから、大量生産において、そのようにぴったり合わせられる基板構成を用いることは難しい。さらに、そのように結合される基板対は製造するのにコストがかかる。
【0007】
図面全体を通して、類似の機構及び構成要素を参照するために同じ番号が使用される。
【0008】
詳細な説明
流体微小電気機械システム(MEMS)デバイス200は、流体を運び、流体を保持し、及び/又は流体と連係することができるMEMSデバイスである。本開示は、流体MEMSデバイス200の種々の実施形態を提供する。本開示は、流体MEMSデバイスを確実に、良好なコスト効率で、及び接続されなければならない部品をほとんど用いることなく製造することができる仕組みを提供する。MEMSデバイスの1つの例示的な応用形態は、血液のような人又は動物の体液を輸送/モニタすることを含む。流体MEMSデバイス200が、有効に外部世界と接続し、MEMS内部に流体を分配して、その流体と相互作用しなければならない場合があることを考えると、流体MEMSデバイス200のパッケージングは極めて難しい可能性がある。係る流体MEMSデバイス200の例は、化学分析システム及びマイクロアレイを含む。全て同じチップ上に配置される、マイクロスケールの化学的及び生物学的分析システムの集合体の一実施形態は、「ラボオンチップ」設計を提供する。
【0009】
一態様では、流体MEMSデバイス200は、直接描画工程を用いることにより形成され得る。直接描画工程の一実施形態は、Su8のような感光性ポリマーを含む(Su8を用いることは半導体産業において一般に知られており、Su8は市販されている)。
【0010】
以下に限定はしないが、流体チャネル、流体ポンプ、流体フィルタ、物質分離器(電気泳動を使用する)、化学物質検出器、反応器、及び流体コネクタを含む、流体MEMSデバイス200の多くの様々な実施形態を製造することができる。さらに、本開示は、そのような種々のMEMSデバイスを相互接続された様式で製造する複数の実施形態を説明する。
【0011】
流体MEMSデバイス200の一態様は、各流体MEMSデバイス200内の異なる構成要素間で流体を運ぶ1つ又は複数の流体チャネル124を形成することに関連する。流体チャネル124は、深さがかなり浅くなるように構成され得る(例えば、或る特定の実施形態では、100ナノメートル未満)。種々の流体MEMSデバイス200を含む、組み立てられたシステムは、図3にブロック形態で示されるように、ポリマー材料を含む、図4及び図5に示されるようなポリマー層構造体42を用いて製造され得る。単一のポリマー層構造体42は、図7に記載された技術を用いて、図6a、図6b、図6c、図6d、及び図6eに関連して説明されるように製造され得る。
【0012】
流体MEMSデバイス200の或る特定の実施形態は、フィルタ構造体を含むように構成され得る。別の実施形態では、流体MEMSデバイス200は、反応チャンバ(例えば、一体化された平坦なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)チャンバ)を提供することができる。
【0013】
図3は、単一のポリマー層構造体42上に構成される複数の流体MEMSデバイス200の一実施形態の平面図を示す。単一のポリマー層構造体42は、ポリマー層内に完全に形成されるか、又は代案としてポリマー層内及び基板の上側表面に形成される種々のデバイスを含む。図3に示されるような、単一のポリマー層構造体42の一実施形態は、(流体MEMSデバイス200として)入口44と、フィルタ46と、弁48と、反応器(ヒータ)50と、分離器52と、光学的な検出用の導波路54と、ポンプ56と、出口58とを含む。複数の流体チャネル124が、図3に示される種々の流体MEMSデバイス200を接続する。フィルタ46は、少なくとも1箇所の寸法が所定の寸法よりも大きな要素をフィルタリングして除去するための役割を果たす。導波路54は、液体のようなサンプル内の1つ又は複数の化学物質の濃度に関連する濃度情報を伝達する。弁48は、反応器50に入力されることになる流体を選択する(その流体は、入口44及び/又はフィルタ46から供給される)。反応器50は流体チャネルを含み、その流体チャネルは、1つのバージョンでは、反応器の流体チャネルの長さを増して、熱伝達を高めるように蛇行した形状で構成される。
【0014】
1つのバージョンでは、複数の加熱素子(各加熱素子が異なる加熱領域を有する)が、加熱チャネルに隣接して配置される。異なる加熱領域を有する加熱素子は、流体素子を通過する流体を異なる時刻に異なる加熱温度まで加熱し、PCRプロセスを効果的に実行するように選択的に、且つ個別に付勢され得る。PCRプロセスにおいては、異なる時刻に異なる温度レベルまで流体を加熱することが一般に知られている。代替の実施形態では、単一(又は2つ以上)の加熱素子を通過する電流の量を変更して、流体素子を通過する流体に異なる加熱レベルを適用し、異なる温度にして、PCRプロセスを実行することができる。
【0015】
分離器は、サンプルの種々の成分に適用される電荷に基づいて、種々の成分をサンプルから分離する。種々の成分は、それらの成分の特性に基づいて、チャネルに沿って異なる長さだけ移動する。流体チャネル124は、図3に示されるように、デバイス44、46、48、50、52、54、56及び58のうちの特定のデバイス間を接続し、各流体チャネル124は、図示されるように、特定のデバイス間に1つの流体経路だけを提供する。流体チャネル124に入る流体の概ね全てが、チャネル内に留まるか、又はチャネルを出るかのいずれかである。
【0016】
本明細書に記載されるような単一のポリマー層技術を用いて製造されるデバイスの任意の組み合わせが本開示の意図された範囲内にあるので、図3に示される特定のデバイス44、46、48、50、52、54、56及び58は、本質的に例示であり、その範囲を限定しない。
【0017】
生物学的又は化学的な分析システムにおいて役に立つ可能性がある多くの技術には、以下に限定はしないが、電気泳動、フリーフロー電気泳動、電界流動分別(electrical field-flow fractionation:EFFF)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、及び複合システムが含まれる。流体MEMSデバイス200は、これらの技術の多くに適用され得る。
【0018】
単一のポリマー層構造体42の実施形態に関連して説明された技術を用いる場合、複数の流体MEMSデバイス200は、或る特定の実施形態では、集積化された導波路を用いて化学的又は生物学的な分析を提供するように構成されたシングルチップ上に製造される。従って、集積化された総合化学分析システムは、直接描画工程を用いることにより製造され得る。多くの従来技術のシステムはウェーハボンディング工程に依存する。化学的又は生物学的な分析システムの一実施形態は、合焦レンズ及び機械的なファイバアライメントガイドを組み込む。
【0019】
図1に関して本開示の「背景」の部分において説明されたような、MEMSをパッケージングするための一般的な従来技術の技術は、一対のシリコン又はパイレックス(登録商標)(コーニング社の商標)ガラス基板34、36上に形成された面30、32内に、溝及び/又は流路28をエッチング形成することである。基板34、36は、図2に示されるように、互いに結合されて結合領域38が形成され、その結果、エッチング面30、32内の溝及び流路28は流体I/Oポート及び構成要素間の流体チャネルを形成する。陽極ボンディング技術(又はガラスフリット中間層の使用)によって、微細加工されたチップ内の領域38を結合することができる。
【0020】
複数の面30、32がそれぞれエッチングされる場合、それぞれの基板34、36は、一方の基板34上にある溝及び/又は流路が別の基板36上の溝及び/又は流路と位置合わせされるように、図1及び図2の従来技術の構成において示されるように位置合わせされる。多数の結合領域が形成されることになる(例えば、多層の構造体を形成することになる)場合には、それぞれ連続した結合領域38において実行される、連続した結合基板対を位置合わせして結合する工程が、後続の基板毎に繰り返される。
【0021】
図3に示されるように、本開示は、種々の流体MEMSデバイス200を、基板120上に配置されるポリマー層内に形成される単一のポリマー層構造体42として製造することができる仕組みを提供する。それにより、流体チャネル124は、複数の組の流体MEMSデバイス200間を流れる流体を搬送することができる搬送手段を形成する。他のチャネル以外の流体MEMSデバイス200(例えば、流体ポンプ、流体フィルタ、流体反応器)は、流体を収容し、その流体がデバイス自体の機能的な構成要素の中を通って流れるように導く流体チャネル124を組み込むものと見なすことができる。
【0022】
流体MEMSデバイスは、本明細書に記載されるように、単一のポリマー層構造体42として製造され得る。図4及び図5は、単一のポリマー層構造体42の一実施形態を示す。図5に示されるように、単一のポリマー層構造体42(本開示において説明されるように露光/現像工程を用いる)は基板120に固定される。直接描画の場合、弱い露光及び強い露光の2つの露光工程が用いられる。単一のポリマー層構造体42は、基板120とともに、1つ又は複数の流体MEMSデバイス200を接続する1つ又は複数の流体チャネル124を形成する。その後、露光されていない材料が現像され、それにより除去される。多くの場合に、ポリマー層を形成するポリマー材料内に凹部が形成され、それにより、露光されていない材料が除去されることが可能になる(それらの凹部の多くは、直接描画工程後に塞がれ、液密の流体チャネルが形成される)。現像して除去される、露光されていない材料の場所は一般に、流体チャネル124に対応する。次いで、ポリマー材料は、熱、及び/又は紫外線(UV)光の露光を用いて硬化される。個々のポリマーの硬化工程は一般に知られており、ポリマーによって多少異なるので、本明細書においてこれ以上は説明されない。
【0023】
一実施形態では、単一のポリマー層構造体を形成するためのポリマー材料は、光描画可能なエポキシ(例えば、市販されているSU8など)、光描画可能なポリマー、又は感光性シリコーン誘電体(例えば、ShinEtsu(商標)によって製造されるSINR−3010など)のような、迅速に架橋するポリマーを含む。
【0024】
或る特定の流体チャネル124は、スルーホール126に連通しており、スルーホール126によって、ポリマー構造体領域122の上(図4のとおりに見た方向)から流体を流体チャネル124内に導入するか、又は流体チャネル124から排出することができる。流体チャネル124及びスルーホール126を互いに組み合わせて、本明細書において部分的に覆われたチャネル124として説明されるパターンが形成される(用語「部分的に」は、任意の被覆の中にスルーホール126のための開口部を設けることができることに関連する)。
【0025】
単一のポリマー層構造体42は流体閉じ込め材料130を含む。流体閉じ込め材料130は、接合部121において基板120と接合され、流体のための意図された経路に沿って所定の流体チャネル124内に流体を導くように流体チャネル124を形成する(そして、流体チャネルからの1つの排出経路としてスルーホール126が設けられる)。それ故に、流体閉じ込め材料130、流体チャネル124、及びスルーホール126は、図5に示されるように、基板120の上にポリマー層構造体42を形成するように結合される。従って、一実施形態では、流体チャネル124は、単一のポリマー層構造体42と基板120との間の境界として形成される。それにより、或る特定の実施形態では、流体閉じ込め材料130、流体チャネル124及びスルーホール126を製造するために用いられる単一のポリマー層構造体42の部分は、単一の構造体として製造され得る。
【0026】
本明細書に説明される単一のポリマー層構造体42は、1つ又は2つのガラス基板内にMEMSデバイスを微細加工し(従来技術のウェーハボンディング工程と同様)、その後、2つの基板を互いに結合して、所望のチャネル構造を形成することに関連した費用、時間、及び労力を削減する。流体MEMSデバイス200の特定の実施形態は、比較的容易に製造されることができ、それ故に、関連する製造コストが削減される。多数の流体MEMS構成要素を製造することに関連する製造技術も簡略化されて改善される。
【0027】
一実施形態では、ポリマー層構造体42は、基板に取り付けて流体MEMSデバイス200を作成する単一の部材として形成される。従って、本明細書において説明されるように、或る特定の部分(必ずしも以下に限定はしないが、流体閉じ込め材料130、流体チャネル124、及びスルーホール126のうちの1つ又は複数を含む)が、単一のポリマー層構造体42として、基板120とともに形成される。単一のポリマー層構造体42を用いることにより、いくつかの利点がもたらされる。
【0028】
図1及び図2に示されるような、剛性の張り合わせられた基板32、34の従来技術の実施形態の場合、個々のチャネルを封止することはさらに難しい。即ち、一般に、本明細書に記載される技術を用いて、図5に示されるように、単一のポリマー層構造体42と基板120との間に安定したチャネルを形成することよりも、図1及び図2の従来技術のシステムにおいて示される、2つの剛性の基板プレート部材34、36内の流路28を用いて安定したチャネルを形成するほうが難しい。この概念は、ナノスケール、メソスケール、マクロスケール、及びマイクロスケールの流体MEMSデバイス200のような比較的小さなスケールのデバイスにも当てはまる。
【0029】
さらに、単一のポリマー層構造体42は、接続された複合部材に比べて、封止の有効性が確実に改善される。そのように封止の有効性を改善することは、流体MEMSデバイスのための耐用時間を長くし、動作を改善し、感度を高めることに繋がる。さらに、単一のポリマー層構造体42の特定の実施形態を用いる場合のように、単一の基板上に溝及び/又は基板を形成することによって、複数の基板を位置合わせして流体導管を形成する必要がなくなる。そのような位置合わせ工程は一般に、費用がかかり、手間がかかる可能性があり、間違いを犯しやすい。
【0030】
本明細書に記載されるような流体MEMSデバイス200は、複数の基板34と36との間の位置合わせ技術を用いることなくパッケージングされ得る(その位置合わせは、図1及び図2に示される従来技術の構造に関連して説明された)。基板の単層上に単一のポリマー層構造体42を製造することは、ポリマー材料及び直接描画工程に依存する。本明細書に記載されるような単一のポリマー層技術を用いて、多種多様な流体MEMSデバイスを製造することができる。
【0031】
図5に示される構造について検討すると、単一のポリマー層構造体42は、その形状に起因して、頂冠(top-hat)構造と呼ぶことができる。図5に示されるような種々の垂直方向の深さを有する流体MEMSデバイスの種々の部分は、異なる強さの直接描画処理技術を用いて製造され得る。頂冠構造は、単一の流体MEMSデバイス200を保護するだけでなく、流体を搬送するための内蔵流体チャネル124も形成する。ポリマー材料は、単一の流体MEMSが外部世界と連絡するためのI/Oポートを提供することができる。この新たな技術は、単一のMEMSのパッケージコストを大幅に削減することができ、流体MEMSデバイス200の種々の実施形態の機能性を高めることができる。
【0032】
単一のポリマー層技術は、種々の流体MEMSデバイス200を提供する。基板によって一方の面に、ポリマー層によって他方の面に形成される或る特定の流体MEMSデバイス内に、密閉されたキャビティを形成することができる。ポリマー層は単一の構造体として形成され、密閉されたキャビティ内にある内容物がポリマー層の外部にある内容物と混合することによって生じる場合がある、流体の漏れ、汚染などの可能性を低減する。一実施形態では、流体MEMSデバイスは、総合化学分析又は他の流体MEMSデバイス200(及び/又は構成要素)を完全に集積化することができ、コストを大幅に下げ、及び/又は信頼性を高める。
【0033】
ウェーハボンディングの代わりに、本明細書に記載される単一のポリマー層技術は、直接描画処理技術を用いて、単一のポリマー層構造体42のポリマー材料(例えば、SU8など)と基板120との間で、単一の流体MEMSデバイス200を主として包囲することができることを提案する。頂冠構造は、個々の流体MEMSデバイス200(及びその構成要素)を保護し、それらの間の完全性を提供するだけでなく、本明細書に記載されるように接着剤/エポキシを用いて固定され得る、流体を搬送するための内蔵流体キャビティ及び/又は流体チャネル124も形成する。また、ポリマー材料をパターニングして、外部世界への接続ポートを形成することもできる。この新たな技術はパッケージングのコストを大幅に削減し、流体MEMSデバイス200の機能性を高めることができる。
【0034】
図4及び図5に示されるような単一のポリマー層構造体42は、図6a、図6b、図6c、図6d、図6e及び図7に関して説明されるような直接描画工程を用いて製造され得る。本開示は、直接描画工程を用いて、ポリマー材料(例えば、SU8など)によって多種多様な流体MEMSデバイス200をパッケージングできることを示す。単一のポリマー層技術によって提供される頂冠構造は、流体MEMSデバイス200を保護するだけでなく、流体を搬送するための内蔵流体チャネル124も提供する。また、ポリマー材料をスルーホール126とともにパターニングして、流体MEMSデバイスの外部への接続ポートを形成することもできる。
【0035】
直接描画工程を用いて、流体MEMSデバイス200及び流体導管内に収容される内蔵流体チャネル124の封止を改善することができる頂冠構造を、ポリマーから生み出すことができる。また、頂冠構造は、流体導管に対して流体MEMSデバイスを固定するための、より安定した構造も提供する。図4及び図5はそれぞれ、直接描画工程を用いて形成される例示的な流体MEMSデバイス構造体の平面図及び断面図を示す。SU8レジストがウェーハ又は基板120に付着され、その後、適切な回数の露光が行われて、スルーホール126、流体チャネル124、及び頂冠構造が形成される。
【0036】
直接描画工程によって、種々の構成要素又はセルを接続する単一のポリマー層を含む、内蔵流体チャネル124を形成できるようになる。直接描画工程は一般に、厚いSU8材料をスピンコーティング堆積することを含む。SU8材料の種々の実施形態は、一般に通常2〜200μmである(これらの寸法外にある材料を製造することもできる)。複数の頂冠及びチャンバマスク並びに関連する架橋工程を用いて、複数の直接描画露光工程を形成することができる。この直接描画工程は、流体チャネル124及び頂冠構造の種々の構成を形成する。流体チャネル124に加えて、本明細書に記載されるような直接描画工程を用いて、種々の流体MEMSデバイス200を製造することができる。
【0037】
図6a、図6b、図6c、図6d、及び図6eは、図7に示されるような直接描画工程700を用いて、基板120上に製造される流体MEMSデバイス200の一実施形態を示す。図6a、図6b、図6c、図6d及び図6eでは、製造される流体MEMSデバイス200は流体チャネル124であり、その多くが図3のブロック図に示される。流体チャネル124は1つの場所から別の場所に流体を搬送する。流体MEMSデバイス200の中を流体が流れるのに応じて(その流体が、それぞれの特定の流体MEMSデバイスの動作を受けている場合であっても)、流体の流れは一般に制御される必要があるので、本明細書に記載されるような各流体MEMSデバイス200は流体チャネル部分を組み込む。図6a、図6b、図6c、図6d及び図6eに関連して説明される全体的な製造技術は、流体MEMSデバイス200の種々の実施形態に関連する。
【0038】
流体MEMSデバイス200の種々の実施形態が、図7に関連して説明されるような直接描画工程700を用いて製造され得る。これらの実施形態のうちの或る特定の例示的な実施形態が説明されるが、その実施形態には限定されない。図7に関連して説明されるような直接描画工程700の一実施形態が、図25に関連して説明されるような、工程部分802を制御するコンピュータ/コントローラ800の一実施形態を用いて実行され得る。その工程部分802は、例えば、基板上で種々の工程を実行することができる1つ又は複数の製造チャンバ又は工程チャンバを用いることができる。図7に関連して説明されるような直接描画工程700は、処理前に基板が所望のように構成される701を含む。基板の構成は概ね、流体MEMSデバイス200の意図された機能に依存する。例えば、流体MEMSデバイス200が加熱又は電気導体機能を有する場合には、その基板にそれぞれ、加熱素子又は電気導体を設けることができる。
【0039】
代案として、流体MEMSデバイス200の別の実施形態として、電気センサ、光学センサ、又は電気機械センサを設けることができる。流体MEMSデバイス200の基板が、特定のエッチング又は堆積された領域又は他の構成(例えば、図8eにエッチングされた状態で示されるような、エッチングされた凹部752)で構成される場合には、その基板は701において構成される。701は、702においてポリマー層を堆積する前に行われるので、その基板は、架橋中に露光及びハードベークによって硬化されることになるポリマーの堆積前に所望のように構成される。
【0040】
図6aでは、図7に関連して説明される直接描画工程700の702に記載されるように、基板120(その一部だけが例示される)が、1つ又は複数の工程チャンバ(図示せず)に導入される。図6bでは、直接描画工程700の704に示されるように、ポリマー層608が基板120上に堆積される。スピンコーティングのような、ポリマー層を基板上に堆積する任意の技術を用いることができる。図3、図4及び図5に関連して説明されるような単一のポリマー層構造体42は、ポリマー層608内に完全に製造されるか、又は代案として、基板120との接合部上にあるポリマー層内に形成され、部分的には基板120も含む。ポリマー層608の一実施形態は感光性ポリマー(市販されているSu8など)を含む。
【0041】
ポリマー層608のポリマーは、本明細書において説明されるような種々の直接描画工程中に適用されるような架橋工程において、複数(一実施形態では2つ)のレベルの露光及び現像をすることができる。マスクを用いる2つの直接描画露光工程は、本明細書では、「強い直接描画露光工程」706及び「弱い直接描画露光工程」708として区別される。それゆえ、ポリマー層のポリマーは、強い直接描画露光工程706及び弱い直接描画露光工程708と呼ばれる異なる強度又は持続時間を有する1つ又は複数の光源(例えば、その光源は特定のポリマーのために設計された紫外光を放射する)によって露光され得る。強い直接描画露光工程706によれば、露光後のポリマーは、弱い直接描画露光工程708よりも深い深さまで、ポリマー層のポリマーを架橋する。一実施形態では、強い直接描画露光工程706によって、ポリマー層はその深さ全体にわたって架橋される。弱い直接描画露光工程では、深さ全体にまで架橋されない。そういうものだから、ポリマー層は、露光の強度及び/又は露光の持続時間の関数として、種々の垂直方向の深さまで選択的に露光され得る。
【0042】
一実施形態では、ポリマー層608のポリマーは一般に、図7に示されるような直接描画工程700中に、マスクを用いる2つの直接描画露光工程を受ける。図6cに示されるような、強い直接描画露光工程706は、ポリマー層608の深さ全体にわたって、又は概ねその深さ全体にわたってポリマーを架橋することができる。「弱い直接描画露光工程」(図6dに示される)は、ポリマー層608の深さの或る部分までのみポリマーを架橋することができる。
【0043】
直接描画工程700の特定の実施形態は、強い直接描画露光工程706及び弱い直接描画露光工程708の組み合わせを用いて、ポリマー層608内に種々の断面形状のポリマー層構造体42を提供する。そういうものだから、ポリマー層608は、強い直接描画露光工程706及び弱い直接描画露光工程708の両方に適切に応答できるように選択される。
【0044】
図6cは、強い直接描画露光工程706の一実施形態を示しており、光源612(一実施形態では紫外光源)が、十分な光子エネルギーを、マスク614を介してポリマー層608のポリマー内に照射する。強い直接描画露光工程706は、マスク614の輪郭に対応する、1つ又は複数の深く架橋されたポリマー領域620を(架橋後に)生成する。強い直接描画露光工程706は、ポリマー層の概ね深さ全体にわたってポリマー層608の特定の領域を硬化させるのに十分な、比較的強い線量の光子エネルギーを加えるものと見なすことができる。強い直接描画露光工程706は、直接描画工程700の図6cに示される。深く架橋されたポリマー領域620はそれぞれ、ポリマー領域608の垂直方向の高さの概ね全体にわたって概ね完全に延在する。深く架橋されたポリマー領域620の底部では、特定の実施形態が基板120に固定されるが、他の実施形態は基板には固定されない。
【0045】
図6cに示されるような、深く架橋されたポリマー領域620の或る特定の実施形態の特定の構成は、流体チャネル124の横方向の外側境界(長さ及び幅の両方)を画定するように構成される。架橋されたポリマー領域620及び622(図6c及び図6dに関連して説明される)を製造する2つのステップは露光及び現像を含む。深く架橋されたポリマー領域620が露光される図6cでは、ポリマー層608の垂直方向の深さ全体が(強い露光工程を用いて)露光される。
【0046】
強い露光工程は、ポリマー層の深さ全体にわたって露光されている、これらの領域内のポリマー層の特性を変更する。そういうものだから、深く架橋されたポリマー領域620をさらに離して配置することにより、さらに幅が広いチャネルが設けられるであろう。その場合に、図6cに示されるようなマスク614内の多くの開口部が、流体チャネル124の経路(垂直な平面内にある)の横方向の境界を決定するであろう。代案として、深く架橋されたポリマー領域620の或る特定の実施形態は、図8cに示されるような流体ポンプのフラッパブレードなどの、流体MEMSデバイス内の構造的な構成要素を画定する。
【0047】
図6dは、弱い直接描画露光工程708の一実施形態を示す(それは、図6cに関連して説明されたような強い直接描画露光工程706よりも弱い露光強度において、及び/又は短い持続時間で実行される)。弱い直接描画露光工程708を用いる場合、光源612(一実施形態では紫外光源)は、十分な光子エネルギーを、マスク615を介してポリマー層608のポリマー内に照射し、ポリマー層の特定の選択された領域内に、比較的浅く架橋されたポリマー領域622を作成する。架橋することにより、小さなポリマー高分子が結合して、増加した分子量を有する、より大きな分子になる。架橋された分子の硬化は、これらの分子及びポリマー材料自体を固める働きをする。この硬化した状態において、固められた架橋された分子を溶剤の中に入れて、固められていないポリマー領域を現像して除去することができる。架橋、硬化、及び現像除去は当業界において一般的に知られており、本明細書においてさらに詳しくは説明されない。弱い直接描画露光工程708のために選択される領域の形状は、マスク615の形状に基づく。
【0048】
弱い直接描画露光工程708は、ポリマー層の深さ全体の一部のみにわたってポリマーを硬化させるのに十分な、比較的(強い直接描画露光工程706の高い線量と比べて)低い線量の光子エネルギーと見なすことができる。図6dに示されるような弱い直接描画露光工程708は、直接描画工程700の708に記載される。強い直接描画露光工程706及び弱い直接描画露光工程708は、流体チャネル124を単一の構造体(基板120の上側表面と組んで)として画定するように構成される。図7に示される直接描画工程700の実施形態では、706の強い露光工程は、弱い露光工程708の前に実行されるが、708に対する706の順序は本質的に例示であり、範囲を限定しない。
【0049】
図6dに示されるような浅く架橋された各ポリマー領域622は、元のポリマー領域608の垂直方向の高さのうちの或る割合だけにわたって延在する。浅く架橋されたポリマー領域622の形状は、流体チャネル124の上側の水平方向の境界の場所に対応する。そういうものだから、収容されている流体チャネル内を移動する流体は、浅く架橋されたポリマー領域622のポリマーに基づく。浅く架橋されたポリマー領域の輪郭は、図6dに示されるように、マスク615の形状によって決定される。図6eに示されるようなスルーホール126は、浅く架橋されたポリマー領域内に形成される。
【0050】
図6eは、ポリマー層608から、架橋されていないポリマー材料を除去することを示す。図6eに示されるように、架橋されていないポリマー材料を除去することにより、流体MEMSデバイス200(図6eに示される実施形態では、スルーホール126を有する流体チャネル124)の最終的な輪郭が与えられる。直接描画工程700の710は、架橋工程中に、露光されていないポリマー材料を現像して除去することを含み、現像液が露光されていないポリマー材料に適用されて、露光されたポリマー材料から露光されていないポリマー材料が洗い流される。現像して除去した後に、流体MEMSデバイス200(その最終的な形態)が、ポリマー層と基板との間に製造される。ポリマー層608が現像液に入れられる際に、架橋されていないポリマーは、その現像工程中に除去される。
【0051】
従って、例えば、架橋されていないポリマー層608の部分は、図7に示されるような710において除去され、それは図4及び図5に示されるような流体チャネル124及び/又はスルーホール126に対応する。架橋されたポリマー材料は、図6cに示されるような強い直接描画露光工程706中に、又は図6dに示されるような弱い直接描画露光工程708中に架橋される。従って、架橋されたポリマー材料は、流体チャネル124の基板の上側表面及び横方向表面とともに境界を形成する。スルーホール126は架橋されたポリマー材料の一部の中に形成される。架橋されたポリマー層の個々の厚みは、流体MEMSデバイスの所望の応用形態、製造業者の設計手法、及び/又は他の設計又は規定上の制約に基づいて選択され得る。
【0052】
その後、ポリマー層は712において硬化される。ポリマー層のポリマーの硬化は、ハードベークによって、又は紫外(UV)光を照射することによって行うことができる。硬化の詳細は、使用されるポリマーによって異なるので、これ以上は詳述されない。多くの市販のポリマーは、ポリマーの硬化プロセスに関する指示書と共に提供される。
【0053】
深く架橋されたポリマー領域620を製造するための強い直接描画露光工程706の詳細、及び浅く架橋されたポリマー領域622を製造するための弱い直接描画露光工程708の詳細は、本明細書においてさらに詳細には与えられない。多種多様なポリマー材料、基板構造、及びポリマー層の深さの製造物は、本明細書に記載されるような満足のいく層を製造するために種々の要件を有することは理解されたい。従って、本開示は、任意の個々のポリマー、及び/又はポリマー層構造体について詳述しない。強い直接描画露光工程706及び弱い直接描画露光工程708を用いて、ポリマー層608内に、多種多様な流体MEMSデバイス200を製造することができる。本明細書では、これらの流体MEMSデバイス200のわずかな例だけが説明される。ポリマー層内に製造される任意の単一のポリマー層構造体42が、本開示の意図された範囲内にあるものと考えられる。
【0054】
図4及び図5に示される構成に加えて、図6eに示されるような流体MEMSデバイス200の構成について検討してみると、スルーホール126の寸法は比較的小さくなるように設計され得る。スルーホール126は、ポリマー層内の流体チャネルと流体MEMSデバイス200の外部との間で流体連絡のみを提供する。図6eに示されるような特定の実施形態では、ポリマー層608は、流体MEMSデバイス200を組み込む単一のポリマー層構造体42を含む。
【0055】
図8a、図8b、図8c、図8d、及び図8eは、基板120上に製造される流体MEMSデバイス200の別の実施形態を示す。図8a、図8b、図8c、図8d、及び図8eに示されるような流体MEMSデバイス200は、流体ポンプ56(図3に示される)としての役割を果たす。図8a、図8b、図8c、図8d、及び図8eはそれぞれ、個々の図6a、図6b、図6c、図6d、及び図6eに関連して説明されるような製造工程に対応するが、図8cに示されるように、別個の深く架橋されたポリマー領域620として超小型逆止め弁750が製造されることが異なる。
【0056】
流体MEMSデバイス200の一態様では、MEMSポンプは、超小型逆止め弁750及び抵抗760の対を含む。図8cには抵抗760が示されるが、抵抗760の代わりに圧電デバイスを用いることができるものと考えられる。膜上にある圧電デバイスが用いられるそれらのバージョンでは、流体ポンプの動きは、圧電デバイスに電圧を制御可能に印加し、それにより圧電デバイスが、印加される電圧に応じて膨張及び収縮することにより提供され得る。集積化されたMEMSポンプは、直接描画工程を用いて、流体がMEMSポンプのチャネルの中を通って流れないように、又は流れるようにする一対の超小型逆止め弁を形成することにより製造され得る。抵抗の両端に電圧が印加され(図示されないが、制御可能な電流源又は電圧源から)、MEMSポンプを通過する流体に熱を加えることができるように、ポリマー層608を堆積する前に、抵抗760が基板120内に形成されるか、又は基板120に取り付けられる。MEMSポンプを通過する流体に選択的に熱を加えることにより、本明細書に記載されるようなポンピング動作をもたらすことができる。抵抗760は電圧パルスを印加され、ポンピングのために使用され得るように流体を移動させることができるバブルを生成することができる。そのようなバブル生成によるポンピングは局所的に加熱することを含み、一般に、流体の温度は所定のレベルに維持される。これらのバブルを生成することは、流体MEMSデバイスを通過する流体の温度全体に大きな影響を及ぼすことなく、局所的に熱を加えることを含む。抵抗760の個々の構成は設計上の選択事項である。
【0057】
超小型逆止め弁750の機能性を与えるために、図8aに示される基板120は、それぞれ個々の超小型逆止め弁750が連係するエッチングされた凹部752を含む。ポンピング動作を生み出す際の超小型逆止め弁750の動作は、図9a、図9b、図9c、及び図9dに関連して説明されるとおりである。エッチングされた凹部752によって、超小型逆止め弁750は横方向に動くことができるようになるが、横方向への過度の動きは制限される。超小型逆止め弁750は、所望の耐久性を与えるのに十分に厚いが、図9a、図9b、図9c、及び図9dに示されるように流体ポンプ56を動作させるための所望の可撓性を与えるのに十分に薄くなるように構成される。各超小型逆止め弁750は、エッチングされた凹部に対して自由に動くことができるように構成される(超小型逆止め弁はエッチングされた凹部の底面に取り付けられない)。そういうものだから、超小型逆止め弁750を形成するポリマーは、エッチングされた凹部752に至るまで、全ての深さにわたって下方にポリマー層を架橋するのに十分なレベルまで露光されない。これは、ポリマー層の露光される部分がエッチングされた凹部752の底面まで達しないように、エッチングされた凹部が十分に深くなるように形成することにより達成され得る。代案として、超小型逆止め弁内の露光の線量を変更して、各超小型逆止め弁の厳密な高さを正確に制御することができる。確実に超小型逆止め弁750が、エッチングされた凹部に接触しないようにして、連続した単一の構造体を形成するためのこれら2つの技術は、組み合わせて、又は別々に実行され得る。
【0058】
図9a、図9b、図9c、及び図9dは、図8a、図8b、図8c、図8d、及び図8eに示されるように製造された流体MEMSデバイス200の流体ポンプ56の実施形態の動作の一実施形態を示す。複数の超小型逆止め弁750が存在し、入力超小型逆止め弁及び出力超小型逆止め弁のそれぞれは、符号750a及び750bによって参照される。一般に、流体ポンプ56の実施形態における超小型逆止め弁750a及び750bの対は、3つの位置、即ちa)図9aに示されるような消勢された状態、b)図9bに示されるように離れるように動いた状態、及びc)図9cに示されるように一緒になるように動いた状態のうちの1つをとる。
【0059】
複数のスルーホール126が存在し、入力スルーホール及び出力スルーホールのそれぞれは、符号126a及び126bによって参照される。流体ポンプ56は、入力スルーホール126a及び出力スルーホール126bが流体連絡する流体チャネル部分124を用いて構成される。一般的な流体ポンプと同様に、流体ポンプ56の一般的な目的は、流体チャネル部分124を介して、入力スルーホール126aから出力スルーホール126bまで流体を輸送することである。図9aは初期(消勢された)状態にある流体ポンプを示しており、その状態では、入力超小型逆止め弁750a及び出力超小型逆止め弁750bはいずれも消勢された状態にある。2つの超小型逆止め弁750は一方向にだけ、例えば図9aに示されるような方向では右側にだけ開くことができる。
【0060】
図9bでは、バブル932が、入力超小型逆止め弁750aと出力超小型逆止め弁750bとの間の流体チャネル部分124内に生成される。そのバブルは、一実施形態では、抵抗760に電流又は電圧を加えることにより熱的に生成され得る。バブル932を生成することは、超小型逆止め弁750aと750bとの間の流体チャネル部分124内の流体の流体圧力を高める効果を有し、それ故に、超小型逆止め弁750bが、図9bに示されるように右側に開かれる。本明細書において述べられたように、抵抗の代わりに圧電デバイスを用いて、流体ポンプ56内のポンピング動作を行うことができる。このように超小型逆止め弁750bを右側に開くことは、出力スルーホール126bから矢印934によって示されるような方向に流体(流体チャネル部分124内にある)を押し出す効果を有する。
【0061】
図9cでは、図9bに示されたバブル932が崩壊する。バブル932を崩壊させることは、超小型逆止め弁750aと750bとの間にある流体チャネル部分124内の流体の流体圧力を下げる効果を有し、それ故に、超小型逆止め弁750aが、図9cに示されるように右側に開く。入力超小型逆止め弁750aを、図9cに示されるように右側に動かすことは、入力スルーホール126aを介して矢印936によって示されるような方向に、流体を流体チャネル部分124の中へ引き込む効果を有する。
【0062】
図9dは、両方の超小型逆止め弁750a及び750bが、それらの消勢された状態、即ち図9aに示されるような状態と同様の状態に戻ることを示す。流体ポンプ56が図9dに示されるような、その消勢された状態にある場合、流体ポンプは、図9a、図9b、図9c、及び図9dに示されたような別のポンピングサイクルを開始するように配置される。
【0063】
ここで、図8cに関連して説明されたように露光される深く架橋されたポリマー領域620、及び図8dに関連して説明されたように露光される浅く架橋されたポリマー領域622を用いて製造され得る種々のMEMSデバイスが説明される。図10は、スルーホール126を含まない流体チャネル部分124として構成される流体MEMSデバイス200の一実施形態を示す。スルーホールを有さない流体チャネル部分124の特定の実施形態を用いて、流体MEMSデバイス200の対、又は組の間で流体を輸送することができる。スルーホールを有さない流体チャネル部分124の他の実施形態を用いて、図3に示されるような、フィルタ46、超小型逆止め弁48、反応器50、分離器52、導波路54、及びポンプ56のような、或る特定のタイプの流体MEMSデバイスを収容することができる。露光されていないポリマー層材料が現像して除去され、流体チャネルが形成される。直接描画を用いる場合、露光されないままにされる多数の穴が存在し、露光後に、流体チャネル内の露光されない材料がそれらの穴を通って排出できるようにし、それにより流体チャネルが作成される。直接描画工程の後に、これらの穴は、封止用の接着剤又はエポキシ(それは、液滴の配置及び液滴サイズにおいて必要な精度を与える自動装置を用いて正確に付着され得る)を付着することによって塞がれることが好ましい。
【0064】
図11及び図12はそれぞれ、その一実施形態が図7に関連して説明される直接描画工程700を用いて製造され得る流体MEMSデバイス200の実施形態の側断面図及び水平断面図を示す。流体MEMSデバイス200の図11及び図12の実施形態は、図3に示されるような反応器50である。反応器50は、反応器を使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)工程又は他の類似した工程のように、複数の加熱素子を種々の温度にわたって選択的に加熱することにより、通過する流体を異なるレベルに加熱するための役割を果たす。熱を与えるために、流体チャネル部分124に非常に接近して、複数の加熱素子1102が基板120に取り付けられる。各加熱素子1102は、異なる面積を有するか、流体導管から異なる距離に取り付けられるか、又は制御可能な電流を加えられ、流体チャネルを通過する流体の温度を異なるレベルに変更することができる。加熱素子は、図7に示されるような直接描画工程700の実施形態の701の一部として(即ち、図6bに示されるように、基板上にポリマー層608が堆積される前に)、基板に取り付けられ得る。加熱素子の個々の構成は設計上の選択事項である。
【0065】
図13及び図14はそれぞれ、流体MEMSデバイス200の別の実施形態の側断面図及び水平断面図を示す。図13及び図14に示される流体MEMSデバイスの実施形態は、図3に示されるようなフィルタ46である。フィルタ46は、図7に示されるような直接描画工程700を用いて製造され得る。フィルタ46は、互いから所定の距離だけ間隔をおいて配置され、フィルタ46を通過する流体内に含まれる、所定の寸法よりも大きな物体に対する所望のフィルタリング機能を提供する複数のフィルタ要素1302を含む。フィルタ要素1302は、そのフィルタ要素内のポリマーを流体チャネルの高さ全体にわたって架橋するのに十分な持続時間の間に各流体素子を露光することにより、基板に固定される。
【0066】
フィルタ要素1302は、図6c及び図8cに関連して説明されたような、深く架橋されたポリマー領域620の一実施形態として製造され得る。図8cを参照すると、超小型逆止め弁750(深く架橋されたポリマー領域620の別の実施形態)の最も下側の部分は基板には固定されないのに対して、フィルタ要素1302は基板に対して、その最も低い場所において固定される。深く架橋されたポリマー領域620が基板120に対してその最も低い場所において固定されるか否かは設計上の選択事項であり、種々の材料、構成、及び個々の深く架橋されたポリマー領域620と基板との間で適用される固定手段に基づいて決定され得る。
【0067】
図15に示される流体MEMSデバイス200の別の実施形態は、分離器52(図3に関連して説明される)として構成される。分離器52は、図10に関連して説明された流体チャネル部分124と同様に形成される流体チャネル1502を含む。図15に示されるチャネル部分1502の流体の実施形態は、流体チャネルの長さよりも長いチャネル長を与えるために蛇行形状として構成される。流体チャネルの長さを長くすることにより、流体チャネルを通過する流体を分離することができる長さが長くなり、それにより分離が改善される。しかしながら、任意の構成のチャネルが本開示の意図された範囲内にある。電圧源1506が、電気導体1504を介して、チャネル部分1502の種々の部分に接続される。チャネル部分の種々の部分に加えられる電荷は、チャネル部分を通過する電気的な流体内に電界を生成するための役割を果たす(それは、電気泳動に基づいて、チャネル部分を通過する流体内の物質を分離することができる)。一実施形態では、電圧源からの電圧は入口と出口との間に印加され、帯電された粒子が入口から出口まで移動できるような電位を与える。一実施形態では、チャネル部分1502及び電気導体1504(及び電圧源1506も可能性がある)は、図7に示された直接描画工程700の701中の基板に関連してポリマー層内に集積化される。図15に示されるような分離器52は電気泳動によって機能し、その場合、電気導体経路1502に印加される電圧が、電荷に基づいて分離器の中を通って流れている粒子を分離するように作用する。
【0068】
図16に示される流体MEMSデバイス200の別の実施形態は、図3のブロック図に示されるような光導波路54として構成される。光導波路54は、光を光源1612から検出器領域1614に入力する入力光導管1610を備える。光は、光源1612から、流体検出領域1614を横切って、合焦レンズ1620に向けて送られる。光導波路によって示されるように、流体MEMSデバイス200の特定の実施形態は、光学部分と共に構成され得る。合焦レンズ1620において受光される光は、出力光導管1622に送られる。光導波路54の一実施形態では、双方の導管1610及び1622は、光ファイバとすることができる。化学的及び/又は生物学的分析を受けることになる流体が、入力流体チャネル124aに入力され、流体検出領域1614を横断して、出力流体チャネル124bへと出る。光源1612及び合焦レンズ1620はそれぞれ、個々の光導管1610及び1622を、個々に固定されて光学的に結合された部分に維持するために、それぞれガイド又はスロット1615及び1621を設けられる。従って、光導波路54を用いて、流体検出領域1614を通過することができる任意の流体の光学的特性を検出する外部光検出器に信号を送信することができる。
【0069】
流体MEMSデバイス200の光導波路54の実施形態の一態様は、それが光学デバイスに適用されることである。そういうものだから、流体MEMSデバイス200内に光学部分を設けて、望ましい任意の光学機能を実行することができる。その光導波路54は、図7に示された直接描画工程700において図6cに関連して説明されたような深く架橋されたポリマー領域620を用いて構成され得るものと考えられる。
【0070】
光は光源1612から流体検出領域1614の垂直方向の高さ全体にわたって導入されることができ、その場合には、合焦レンズ1620も流体検出領域1614の垂直方向の高さ全体にわたって延在すべきである(合焦レンズ1620も深く架橋されたポリマー領域620のデバイスとして構成される)。合焦レンズ1620は、浅く架橋されたポリマー領域622のデバイスとしても製造され得る。
【0071】
図7に示されるような直接描画工程700を用いて、光結合器を製造することもできる。本開示の概念の中に留まりながら、導波路に適用され得る多種多様な構成の合焦レンズが存在する。
【0072】
スルーホール126の特定の構造的態様が、図4及び図5に関連して説明された。スルーホール126の別の実施形態が図17及び図18に関連して説明され、図17及び図18はそれぞれ、水平断面図及び側断面図を示す。スルーホール126は、深く架橋されたポリマー領域620及び浅く架橋されたポリマー領域622の組み合わせを用いて基板120上に製造され得る。コネクタ部分2002が、図17及び図18の実施形態においてスルーホール126に接続されるものとして示される。コネクタ部分2002は、流体がスルーホール126を介して流体チャネル124に対して行き来することができる管状リセス2003を含む。一実施形態では、深く架橋されたポリマー領域620がスルーホール126を支持し、スルーホール126と流体連絡している任意の流体チャネル124の横方向境界を画定する。浅く架橋されたポリマー領域622は、スルーホール126の開口部を直に包囲するポリマー構造体を提供する。
【0073】
一実施形態では、コネクタ部分2002は、接着剤2010を用いて、スルーホール126の周りにあるマウントに堅固に取り付けられる。それにより、本開示は、頂冠構造(スルーホール126に隣接し、且つ部分的にスルーホール126を画定する多くの水平方向に延在する架橋されたポリマー領域)がアンカー1902としての役割を果たし、接着剤、セメント又はエポキシが付着するためのより硬質なマウントを提供する仕組みを提供する。接着するためのより安定したマウントを提供するために内蔵アンカー1902を有するスルーホールによって、接着剤が、スルーホールのより良好なシールを形成できるようになり、コネクタ部分2002が、スルーホールに対してさらに確実に固定される。接着剤2010は、流体が管状リセス2003を経由して、スルーホールを通って流体チャネル124に対して行き来することができる場所に、コネクタ部分2002を封止された状態で維持することを可能にする。その接着剤は、引っ張られても離れることのないアンカー1902を形成するように封止するのに役立つエポキシとすることができる。別の実施形態では、或る機械的な固定手段又は他のメカニズムを用いて、スルーホール126内の基板に対して流体結合取付具2002を固定することができる。
【0074】
図17及び図18に示されるようなスルーホール126の実施形態は、コネクタ部分2002がスルーホール126から取り出されるときに封止され得る。図20に示されるように、エポキシのような接着剤2010がスルーホール126に付着され、図18に示されるようなコネクタ部分2002が存在しない場合でも、シールを形成する。その接着剤又はエポキシは、スルーホールを通過する流体に対抗して封止する。
【0075】
上記の実施形態は、種々の流体MEMSデバイス200を作成するために使用され得る直接描画の実施形態を説明するが、他の工程を用いて、流体MEMSデバイス200を作成することができることも考えられ、それも本開示の範囲内にある。流体MEMSデバイス200を作成するための、これらの工程のうちの1つは「ロストワックス」工程と呼ばれており、これらの工程のうちのもう1つは「ドライフィルム」工程と呼ばれる。これら2つの工程がここで説明される。
【0076】
図21a、図21b、図21c、図21d、及び図21eは、図22に示されるようなロストワックス工程2300を説明する流れ図に関連して説明されるロストワックス工程の一実施形態を示す。図21aでは、図22の2302に記載されるように、基板120が準備され、その上に流体MEMSデバイス200が構成されることになる。図21bでは、図22の2304に記載されるように、基板120上に犠牲材料2204(例えば、フォトレジストなど)が堆積される。犠牲材料のパターンは、流体チャネルのパターンに概ね対応する。他のさらに複雑な形状(例えば、流体フィルタのためのフィルタ要素及び流体ポンプのための超小型逆止め弁)は、犠牲材料内に逆のパターン及び/又は形状を作成することにより形成され得る。
【0077】
図21cでは、図22の2306に記載されるように、ポリマー2206が、犠牲材料2204にわたって、基板120上に回転塗布される。そのポリマーは、基板と組んで流体MEMSチャネルを封入するポリマー層を形成する。従って、ポリマー2206は単一の部材であり、一度の堆積工程を用いて形成される。
【0078】
図21dでは、図22の2308に記載されるように、既知のポリマーパターニング技術を用いて、ポリマー2206がパターニングされる(複数の部分が除去される)。そのパターンを用いて、上述のように、流体MEMSデバイス200内に、流体が流れることができるスルーホール126を形成することができる。代案として、そのパターンを用いて、犠牲材料が除去される放出穴を形成することができる。
【0079】
図21eでは、図22の2310に関して説明されるように、いわゆる「ロストワックス」技術を用いて、犠牲材料(例えば、フォトレジストなど)が現像されて、除去される。一態様では、犠牲材料は現像液を用いて現像され、その後、犠牲材料は、ドライエッチング又はウエットエッチングによって、スルーホールを介して除去される。犠牲材料によって残された空隙を用いて、流体チャネルが画定される。図21eに示されるように、ロストワックス技術を用いて結果として形成された流体MEMSデバイス200は、上述のような直接描画技術を用いて製造される流体MEMSデバイス200に類似している。複数の(さらに多くの数の)関連する及び/又は関連しない流体MEMSデバイス200を、図21a、図21b、図21c、図21d、及び図21eに関連して説明されたロストワックス工程を用いて同時に製造することができる。
【0080】
図23a、図23b、図23c、及び図23dは、図24に示されるようなドライフィルム工程2500を記載する流れ図とともに説明されるドライフィルム工程の一実施形態を示す。図23aでは、図24のドライフィルム工程2500の2502に記載されるように、基板120が準備され、その上に流体MEMSデバイス200が構成されることになる。図23bでは、図24の2504に記載されるように、既知のポリマー堆積及びパターニング技術を用いて、基板上に構造的なポリマー層及びパターニング2404が堆積される。構造的なポリマー層及びパターニング2404の輪郭は、ドライフィルム工程を用いて後に形成される流体MEMSデバイス200の流体チャネルを部分的に包囲し、且つ部分的に封入するように構成される。
【0081】
図23cは、図24の2506に関して記載されるように、構造的なポリマー層及びパターニング2404の上に堆積され、且つそれと封止するドライフィルムラミネーション層2406が付着されることを示す。従って、流体MEMSデバイス200の流体チャネルは、基板120、構造的なポリマー層及びパターニング2404、並びにドライフィルムラミネーション層2406内に作成される。異なるタイプの流体MEMSデバイス200を形成するためのさらに複雑な形状及びパターンは、これら3つの部材120、2404又は2406のうちの1つをパターニングすることにより、又は代案として、これら3つの部材120、2404、又は2406のうちの1つ又は複数に追加の構成要素を固定することによって設けられ得る。
【0082】
図23dは、図24の2508に関連して記載されるように、ドライフィルムラミネーション層2406をパターニングして、所望の流体MEMSデバイス(単数又は複数)200を作成することを示す。流体MEMSデバイス200のスルーホール126及び他の部分のパターニングは、このパターニング中に行われ得る。複数(さらに多くの数)の関連する及び/又は関連しない流体MEMSデバイス200を、図23a、図23b、図23c、及び図23dに関連して説明されたドライフィルム技術を用いて同時に製造され得る。
【0083】
図25は、直接描画工程700を制御するコントローラ又はコンピュータ800の一実施形態を示す。工程部分、即ち「製造部分」は802として示される。工程部分802は、図7の直接描画工程700に示されるような、その間をウェーハ306が移動する種々の工程チャンバ811を含むことができる(多くの場合に、ロボット機構812を用いる)。直接描画工程700の詳細は、堆積され、その後エッチングされる材料に応じて異なる。種々のポリマーの処理は多くの場合に、供給業者によって、及び構成によって異なる。工程部分802の中で、化学蒸着法、物理蒸着法、及び電気化学堆積のような工程を適用することができる。
【0084】
コントローラ又はコンピュータ800は、中央処理ユニット(CPU)852、メモリ858、サポート回路856、及び入力/出力(I/O)回路854を含む。CPU852は汎用コンピュータであり、メモリ858に含まれるソフトウエア859を実行することによってプログラミングされるとき、工程部分802のハードウエア構成要素を制御するための特定用途のコンピュータになる。メモリ858は、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、取外し可能記憶装置、ハードディスクドライブ、又は任意の形態のデジタルメモリデバイスからなることができる。I/O回路は、情報を出力するためのよく知られているディスプレイ、及びキーボード、マウス、トラックボール、又は工程部分802(工程部分に含まれる、関連するロボット動作を含む)によって実行される工程を決定するためにコントローラ又はコンピュータ800をプログラミングできるようにする情報の入力を含む。サポート回路856は当該技術分野においてよく知られており、キャッシュ、クロック、電源などの回路を含む。
【0085】
メモリ858は制御ソフトウエアを含み、そのソフトウエアがCPU852によって実行される場合に、コントローラ又はコンピュータ800が、図7に示されるような直接描画工程700の種々の構成要素をデジタル的に制御することを可能にする。別の実施形態では、コンピュータ又はコントローラ800はアナログとすることができる。例えば、特定用途向け集積回路が、工程部分802の中で行われるような処理を制御することができる。
【0086】
本発明は、構造的な特徴及び方法のステップに特有の言葉で説明されるが、添付の特許請求の範囲において規定される本発明は上記の特定の特徴又はステップには必ずしも限定されないことは理解されたい。むしろ、開示された特定の特徴及びステップは、特許請求される本発明を実施する好ましい形態を表している。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】複数のウェーハが、互いの方へ動かされて、互いに結合される位置において間隔をおいて配置されている、従来技術のウェーハボンディング工程を示す図である。
【図2】複数のウェーハが互いに結合される、図1の従来技術のボンディング工程を示す図である。
【図3】ポリマー層技術の一実施形態を用いて製造される化学分析システムの一実施形態を示す図である。
【図4】ポリマー層技術を用いて製造される流体微小電気機械システム(MEMS)の一実施形態の平面図である。
【図5】図4の断面線5−5に沿って見たような側断面図である。
【図6a】製造中の流体MEMSデバイス(この場合には流体チャネル)の一実施形態の側断面図である。
【図6b】製造中の流体MEMSデバイス(この場合には流体チャネル)の一実施形態の側断面図である。
【図6c】製造中の流体MEMSデバイス(この場合には流体チャネル)の一実施形態の側断面図である。
【図6d】製造中の流体MEMSデバイス(この場合には流体チャネル)の一実施形態の側断面図である。
【図6e】製造中の流体MEMSデバイス(この場合には流体チャネル)の一実施形態の側断面図である。
【図7】図25に示されるようなコントローラ/コンピュータを用いて流体MEMS(例えば、図6a、図6b、図6c、図6d及び図6eに示された実施形態など)を製造するために用いられる直接描画の架橋工程を示す図である。
【図8a】製造中の流体MEMSデバイス(この場合にはポンプ)の一実施形態の側断面図である。
【図8b】製造中の流体MEMSデバイス(この場合にはポンプ)の一実施形態の側断面図である。
【図8c】製造中の流体MEMSデバイス(この場合にはポンプ)の一実施形態の側断面図である。
【図8d】製造中の流体MEMSデバイス(この場合にはポンプ)の一実施形態の側断面図である。
【図8e】製造中の流体MEMSデバイス(この場合にはポンプ)の一実施形態の側断面図である。
【図9a】図8eに示された流体MEMSポンプの動作の一実施形態を示す図である。
【図9b】図8eに示された流体MEMSポンプの動作の一実施形態を示す図である。
【図9c】図8eに示された流体MEMSポンプの動作の一実施形態を示す図である。
【図9d】図8eに示された流体MEMSポンプの動作の一実施形態を示す図である。
【図10】流体MEMSデバイス(この場合には流体チャネル)の一実施形態の側断面図である。
【図11】流体MEMSデバイス(この場合には反応器)の一実施形態の側断面図である。
【図12】断面線12−12に沿って見たような、図11に示された流体MEMSデバイスの水平断面図である。
【図13】流体MEMSデバイス(この場合にはフィルタ)の一実施形態の側断面図である。
【図14】断面線14−14に沿って見たような、図13に示された流体MEMSデバイスの水平断面図である。
【図15】流体MEMSデバイス(この場合には分離器)の一実施形態の側断面図である。
【図16】流体MEMSデバイス(この場合には光導波路)の一実施形態の側断面図である。
【図17】スルーホールの一実施形態の平面図である。
【図18】図17の断面線18−18に沿って見たような、図17に示されたスルーホールの一実施形態の側面図である。
【図19】接続された導管構成要素を接着剤によって維持する、図18のスルーホールを示す図である。
【図20】導管部分が除去され、開口部を封鎖するために接着剤が供給された、図18のスルーホールを示す図である。
【図21a】いわゆる「ロストワックス」工程の一実施形態を示す図である。
【図21b】いわゆる「ロストワックス」工程の一実施形態を示す図である。
【図21c】いわゆる「ロストワックス」工程の一実施形態を示す図である。
【図21d】いわゆる「ロストワックス」工程の一実施形態を示す図である。
【図21e】いわゆる「ロストワックス」工程の一実施形態を示す図である。
【図22】図21a、図21b、図21c、図21d、及び図21eに示されるロストワックス工程の実施形態の流れ図である。
【図23a】ドライフィルム工程の一実施形態を示す図である。
【図23b】ドライフィルム工程の一実施形態を示す図である。
【図23c】ドライフィルム工程の一実施形態を示す図である。
【図23d】ドライフィルム工程の一実施形態を示す図である。
【図24】図23a、図23b、図23c、及び図23dに示されたドライフィルム工程の実施形態の流れ図である。
【図25】図7に示されたような直接描画工程を制御するように構成されたコンピュータ/コントローラの一実施形態のブロック図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小電気機械システム(MEMS)に関し、より詳細には流体を収容又は輸送することができるMEMSに関する。
【0002】
背景
多くのタイプの微小電気機械システム(MEMS)が、電気的な検出、制御、及び計算を提供する。MEMS技術は、絶えず小型化されるシステムに適用されつつあり、最近では、ナノスケールシステムに適用されている。絶えず小型化されるデバイス、特にナノスケール寸法まで、及びナノスケール以下の寸法まで小型化されるデバイスのための設計は、相当な設計上の課題をもたらす。
【0003】
MEMSデバイス及び回路が過酷な環境に適用される場合には、かなり複雑なことが生じる。MEMS又は任意の電子回路が設計対象とされ、又は適用される可能性がある最も困難な環境のうちの1つが、流体(より詳細には、血液、他の体液、又は取り扱うのが困難な流体)である。MEMSは、人体内、及び多くの他の応用形態における種々のパラメータを検出又はモニタするように構成され得る。その電子デバイスは、流体の正確な測定値を与えるために、そのような過酷な環境から保護されなければならない。
【0004】
図1に示されるような、MEMSデバイス29の1つの従来技術の実施形態は、或る特定の化学分析システム内に組み込まれ得る。そのMEMSデバイス29は、複数の基板34及び36を含む。2つの個々の基板34、36の個々のエッチング面30、32のうちの一方又は両方内に、溝及び/又は流路28がエッチング形成されている。2つの基板のそれぞれのエッチング面は、図2に示されるように、結合領域38において、互いに向かい合って配置されるように結合される。エッチング面は互いに向かい合って取り付けられるので、エッチング形成された一対の溝(即ち、エッチング面のそれぞれにある1つの溝)が、1つになって、それぞれの側面が一方の基板によって包囲された導管を形成することができる。
【0005】
基板34、36はガラス(例えば、パイレックス(登録商標)−コーニング社の商標)又はシリコンのような半導体から製造され得る。基板のエッチング面30、32の一方又は両方にある、エッチング形成された流路(チャネル)及び/又は溝28(図1に示される)が、流体連絡を提供する導管を形成するように、それらの基板は互いに結合される。それらの基板は、陽極ボンディング技術を用いて、又はガラスフリット中間層でもって結合され得る。流体連絡を提供する導管は、流体I/Oポート及び流体チャネルを含む。
【0006】
係る従来技術の技術は、既知の製造法を用いて、数十ナノメートルまで、及び数十ナノメートルを含む所望の寸法を有する、図1に示されるようなエッチング形成された流路及び/又は溝28を形成することができる。しかしながら、エッチング形成された流路及び/又は溝28を、結合される基板対の上で位置合わせすることは、多大な時間と労力を要する。そういうものだから、大量生産において、そのようにぴったり合わせられる基板構成を用いることは難しい。さらに、そのように結合される基板対は製造するのにコストがかかる。
【0007】
図面全体を通して、類似の機構及び構成要素を参照するために同じ番号が使用される。
【0008】
詳細な説明
流体微小電気機械システム(MEMS)デバイス200は、流体を運び、流体を保持し、及び/又は流体と連係することができるMEMSデバイスである。本開示は、流体MEMSデバイス200の種々の実施形態を提供する。本開示は、流体MEMSデバイスを確実に、良好なコスト効率で、及び接続されなければならない部品をほとんど用いることなく製造することができる仕組みを提供する。MEMSデバイスの1つの例示的な応用形態は、血液のような人又は動物の体液を輸送/モニタすることを含む。流体MEMSデバイス200が、有効に外部世界と接続し、MEMS内部に流体を分配して、その流体と相互作用しなければならない場合があることを考えると、流体MEMSデバイス200のパッケージングは極めて難しい可能性がある。係る流体MEMSデバイス200の例は、化学分析システム及びマイクロアレイを含む。全て同じチップ上に配置される、マイクロスケールの化学的及び生物学的分析システムの集合体の一実施形態は、「ラボオンチップ」設計を提供する。
【0009】
一態様では、流体MEMSデバイス200は、直接描画工程を用いることにより形成され得る。直接描画工程の一実施形態は、Su8のような感光性ポリマーを含む(Su8を用いることは半導体産業において一般に知られており、Su8は市販されている)。
【0010】
以下に限定はしないが、流体チャネル、流体ポンプ、流体フィルタ、物質分離器(電気泳動を使用する)、化学物質検出器、反応器、及び流体コネクタを含む、流体MEMSデバイス200の多くの様々な実施形態を製造することができる。さらに、本開示は、そのような種々のMEMSデバイスを相互接続された様式で製造する複数の実施形態を説明する。
【0011】
流体MEMSデバイス200の一態様は、各流体MEMSデバイス200内の異なる構成要素間で流体を運ぶ1つ又は複数の流体チャネル124を形成することに関連する。流体チャネル124は、深さがかなり浅くなるように構成され得る(例えば、或る特定の実施形態では、100ナノメートル未満)。種々の流体MEMSデバイス200を含む、組み立てられたシステムは、図3にブロック形態で示されるように、ポリマー材料を含む、図4及び図5に示されるようなポリマー層構造体42を用いて製造され得る。単一のポリマー層構造体42は、図7に記載された技術を用いて、図6a、図6b、図6c、図6d、及び図6eに関連して説明されるように製造され得る。
【0012】
流体MEMSデバイス200の或る特定の実施形態は、フィルタ構造体を含むように構成され得る。別の実施形態では、流体MEMSデバイス200は、反応チャンバ(例えば、一体化された平坦なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)チャンバ)を提供することができる。
【0013】
図3は、単一のポリマー層構造体42上に構成される複数の流体MEMSデバイス200の一実施形態の平面図を示す。単一のポリマー層構造体42は、ポリマー層内に完全に形成されるか、又は代案としてポリマー層内及び基板の上側表面に形成される種々のデバイスを含む。図3に示されるような、単一のポリマー層構造体42の一実施形態は、(流体MEMSデバイス200として)入口44と、フィルタ46と、弁48と、反応器(ヒータ)50と、分離器52と、光学的な検出用の導波路54と、ポンプ56と、出口58とを含む。複数の流体チャネル124が、図3に示される種々の流体MEMSデバイス200を接続する。フィルタ46は、少なくとも1箇所の寸法が所定の寸法よりも大きな要素をフィルタリングして除去するための役割を果たす。導波路54は、液体のようなサンプル内の1つ又は複数の化学物質の濃度に関連する濃度情報を伝達する。弁48は、反応器50に入力されることになる流体を選択する(その流体は、入口44及び/又はフィルタ46から供給される)。反応器50は流体チャネルを含み、その流体チャネルは、1つのバージョンでは、反応器の流体チャネルの長さを増して、熱伝達を高めるように蛇行した形状で構成される。
【0014】
1つのバージョンでは、複数の加熱素子(各加熱素子が異なる加熱領域を有する)が、加熱チャネルに隣接して配置される。異なる加熱領域を有する加熱素子は、流体素子を通過する流体を異なる時刻に異なる加熱温度まで加熱し、PCRプロセスを効果的に実行するように選択的に、且つ個別に付勢され得る。PCRプロセスにおいては、異なる時刻に異なる温度レベルまで流体を加熱することが一般に知られている。代替の実施形態では、単一(又は2つ以上)の加熱素子を通過する電流の量を変更して、流体素子を通過する流体に異なる加熱レベルを適用し、異なる温度にして、PCRプロセスを実行することができる。
【0015】
分離器は、サンプルの種々の成分に適用される電荷に基づいて、種々の成分をサンプルから分離する。種々の成分は、それらの成分の特性に基づいて、チャネルに沿って異なる長さだけ移動する。流体チャネル124は、図3に示されるように、デバイス44、46、48、50、52、54、56及び58のうちの特定のデバイス間を接続し、各流体チャネル124は、図示されるように、特定のデバイス間に1つの流体経路だけを提供する。流体チャネル124に入る流体の概ね全てが、チャネル内に留まるか、又はチャネルを出るかのいずれかである。
【0016】
本明細書に記載されるような単一のポリマー層技術を用いて製造されるデバイスの任意の組み合わせが本開示の意図された範囲内にあるので、図3に示される特定のデバイス44、46、48、50、52、54、56及び58は、本質的に例示であり、その範囲を限定しない。
【0017】
生物学的又は化学的な分析システムにおいて役に立つ可能性がある多くの技術には、以下に限定はしないが、電気泳動、フリーフロー電気泳動、電界流動分別(electrical field-flow fractionation:EFFF)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、及び複合システムが含まれる。流体MEMSデバイス200は、これらの技術の多くに適用され得る。
【0018】
単一のポリマー層構造体42の実施形態に関連して説明された技術を用いる場合、複数の流体MEMSデバイス200は、或る特定の実施形態では、集積化された導波路を用いて化学的又は生物学的な分析を提供するように構成されたシングルチップ上に製造される。従って、集積化された総合化学分析システムは、直接描画工程を用いることにより製造され得る。多くの従来技術のシステムはウェーハボンディング工程に依存する。化学的又は生物学的な分析システムの一実施形態は、合焦レンズ及び機械的なファイバアライメントガイドを組み込む。
【0019】
図1に関して本開示の「背景」の部分において説明されたような、MEMSをパッケージングするための一般的な従来技術の技術は、一対のシリコン又はパイレックス(登録商標)(コーニング社の商標)ガラス基板34、36上に形成された面30、32内に、溝及び/又は流路28をエッチング形成することである。基板34、36は、図2に示されるように、互いに結合されて結合領域38が形成され、その結果、エッチング面30、32内の溝及び流路28は流体I/Oポート及び構成要素間の流体チャネルを形成する。陽極ボンディング技術(又はガラスフリット中間層の使用)によって、微細加工されたチップ内の領域38を結合することができる。
【0020】
複数の面30、32がそれぞれエッチングされる場合、それぞれの基板34、36は、一方の基板34上にある溝及び/又は流路が別の基板36上の溝及び/又は流路と位置合わせされるように、図1及び図2の従来技術の構成において示されるように位置合わせされる。多数の結合領域が形成されることになる(例えば、多層の構造体を形成することになる)場合には、それぞれ連続した結合領域38において実行される、連続した結合基板対を位置合わせして結合する工程が、後続の基板毎に繰り返される。
【0021】
図3に示されるように、本開示は、種々の流体MEMSデバイス200を、基板120上に配置されるポリマー層内に形成される単一のポリマー層構造体42として製造することができる仕組みを提供する。それにより、流体チャネル124は、複数の組の流体MEMSデバイス200間を流れる流体を搬送することができる搬送手段を形成する。他のチャネル以外の流体MEMSデバイス200(例えば、流体ポンプ、流体フィルタ、流体反応器)は、流体を収容し、その流体がデバイス自体の機能的な構成要素の中を通って流れるように導く流体チャネル124を組み込むものと見なすことができる。
【0022】
流体MEMSデバイスは、本明細書に記載されるように、単一のポリマー層構造体42として製造され得る。図4及び図5は、単一のポリマー層構造体42の一実施形態を示す。図5に示されるように、単一のポリマー層構造体42(本開示において説明されるように露光/現像工程を用いる)は基板120に固定される。直接描画の場合、弱い露光及び強い露光の2つの露光工程が用いられる。単一のポリマー層構造体42は、基板120とともに、1つ又は複数の流体MEMSデバイス200を接続する1つ又は複数の流体チャネル124を形成する。その後、露光されていない材料が現像され、それにより除去される。多くの場合に、ポリマー層を形成するポリマー材料内に凹部が形成され、それにより、露光されていない材料が除去されることが可能になる(それらの凹部の多くは、直接描画工程後に塞がれ、液密の流体チャネルが形成される)。現像して除去される、露光されていない材料の場所は一般に、流体チャネル124に対応する。次いで、ポリマー材料は、熱、及び/又は紫外線(UV)光の露光を用いて硬化される。個々のポリマーの硬化工程は一般に知られており、ポリマーによって多少異なるので、本明細書においてこれ以上は説明されない。
【0023】
一実施形態では、単一のポリマー層構造体を形成するためのポリマー材料は、光描画可能なエポキシ(例えば、市販されているSU8など)、光描画可能なポリマー、又は感光性シリコーン誘電体(例えば、ShinEtsu(商標)によって製造されるSINR−3010など)のような、迅速に架橋するポリマーを含む。
【0024】
或る特定の流体チャネル124は、スルーホール126に連通しており、スルーホール126によって、ポリマー構造体領域122の上(図4のとおりに見た方向)から流体を流体チャネル124内に導入するか、又は流体チャネル124から排出することができる。流体チャネル124及びスルーホール126を互いに組み合わせて、本明細書において部分的に覆われたチャネル124として説明されるパターンが形成される(用語「部分的に」は、任意の被覆の中にスルーホール126のための開口部を設けることができることに関連する)。
【0025】
単一のポリマー層構造体42は流体閉じ込め材料130を含む。流体閉じ込め材料130は、接合部121において基板120と接合され、流体のための意図された経路に沿って所定の流体チャネル124内に流体を導くように流体チャネル124を形成する(そして、流体チャネルからの1つの排出経路としてスルーホール126が設けられる)。それ故に、流体閉じ込め材料130、流体チャネル124、及びスルーホール126は、図5に示されるように、基板120の上にポリマー層構造体42を形成するように結合される。従って、一実施形態では、流体チャネル124は、単一のポリマー層構造体42と基板120との間の境界として形成される。それにより、或る特定の実施形態では、流体閉じ込め材料130、流体チャネル124及びスルーホール126を製造するために用いられる単一のポリマー層構造体42の部分は、単一の構造体として製造され得る。
【0026】
本明細書に説明される単一のポリマー層構造体42は、1つ又は2つのガラス基板内にMEMSデバイスを微細加工し(従来技術のウェーハボンディング工程と同様)、その後、2つの基板を互いに結合して、所望のチャネル構造を形成することに関連した費用、時間、及び労力を削減する。流体MEMSデバイス200の特定の実施形態は、比較的容易に製造されることができ、それ故に、関連する製造コストが削減される。多数の流体MEMS構成要素を製造することに関連する製造技術も簡略化されて改善される。
【0027】
一実施形態では、ポリマー層構造体42は、基板に取り付けて流体MEMSデバイス200を作成する単一の部材として形成される。従って、本明細書において説明されるように、或る特定の部分(必ずしも以下に限定はしないが、流体閉じ込め材料130、流体チャネル124、及びスルーホール126のうちの1つ又は複数を含む)が、単一のポリマー層構造体42として、基板120とともに形成される。単一のポリマー層構造体42を用いることにより、いくつかの利点がもたらされる。
【0028】
図1及び図2に示されるような、剛性の張り合わせられた基板32、34の従来技術の実施形態の場合、個々のチャネルを封止することはさらに難しい。即ち、一般に、本明細書に記載される技術を用いて、図5に示されるように、単一のポリマー層構造体42と基板120との間に安定したチャネルを形成することよりも、図1及び図2の従来技術のシステムにおいて示される、2つの剛性の基板プレート部材34、36内の流路28を用いて安定したチャネルを形成するほうが難しい。この概念は、ナノスケール、メソスケール、マクロスケール、及びマイクロスケールの流体MEMSデバイス200のような比較的小さなスケールのデバイスにも当てはまる。
【0029】
さらに、単一のポリマー層構造体42は、接続された複合部材に比べて、封止の有効性が確実に改善される。そのように封止の有効性を改善することは、流体MEMSデバイスのための耐用時間を長くし、動作を改善し、感度を高めることに繋がる。さらに、単一のポリマー層構造体42の特定の実施形態を用いる場合のように、単一の基板上に溝及び/又は基板を形成することによって、複数の基板を位置合わせして流体導管を形成する必要がなくなる。そのような位置合わせ工程は一般に、費用がかかり、手間がかかる可能性があり、間違いを犯しやすい。
【0030】
本明細書に記載されるような流体MEMSデバイス200は、複数の基板34と36との間の位置合わせ技術を用いることなくパッケージングされ得る(その位置合わせは、図1及び図2に示される従来技術の構造に関連して説明された)。基板の単層上に単一のポリマー層構造体42を製造することは、ポリマー材料及び直接描画工程に依存する。本明細書に記載されるような単一のポリマー層技術を用いて、多種多様な流体MEMSデバイスを製造することができる。
【0031】
図5に示される構造について検討すると、単一のポリマー層構造体42は、その形状に起因して、頂冠(top-hat)構造と呼ぶことができる。図5に示されるような種々の垂直方向の深さを有する流体MEMSデバイスの種々の部分は、異なる強さの直接描画処理技術を用いて製造され得る。頂冠構造は、単一の流体MEMSデバイス200を保護するだけでなく、流体を搬送するための内蔵流体チャネル124も形成する。ポリマー材料は、単一の流体MEMSが外部世界と連絡するためのI/Oポートを提供することができる。この新たな技術は、単一のMEMSのパッケージコストを大幅に削減することができ、流体MEMSデバイス200の種々の実施形態の機能性を高めることができる。
【0032】
単一のポリマー層技術は、種々の流体MEMSデバイス200を提供する。基板によって一方の面に、ポリマー層によって他方の面に形成される或る特定の流体MEMSデバイス内に、密閉されたキャビティを形成することができる。ポリマー層は単一の構造体として形成され、密閉されたキャビティ内にある内容物がポリマー層の外部にある内容物と混合することによって生じる場合がある、流体の漏れ、汚染などの可能性を低減する。一実施形態では、流体MEMSデバイスは、総合化学分析又は他の流体MEMSデバイス200(及び/又は構成要素)を完全に集積化することができ、コストを大幅に下げ、及び/又は信頼性を高める。
【0033】
ウェーハボンディングの代わりに、本明細書に記載される単一のポリマー層技術は、直接描画処理技術を用いて、単一のポリマー層構造体42のポリマー材料(例えば、SU8など)と基板120との間で、単一の流体MEMSデバイス200を主として包囲することができることを提案する。頂冠構造は、個々の流体MEMSデバイス200(及びその構成要素)を保護し、それらの間の完全性を提供するだけでなく、本明細書に記載されるように接着剤/エポキシを用いて固定され得る、流体を搬送するための内蔵流体キャビティ及び/又は流体チャネル124も形成する。また、ポリマー材料をパターニングして、外部世界への接続ポートを形成することもできる。この新たな技術はパッケージングのコストを大幅に削減し、流体MEMSデバイス200の機能性を高めることができる。
【0034】
図4及び図5に示されるような単一のポリマー層構造体42は、図6a、図6b、図6c、図6d、図6e及び図7に関して説明されるような直接描画工程を用いて製造され得る。本開示は、直接描画工程を用いて、ポリマー材料(例えば、SU8など)によって多種多様な流体MEMSデバイス200をパッケージングできることを示す。単一のポリマー層技術によって提供される頂冠構造は、流体MEMSデバイス200を保護するだけでなく、流体を搬送するための内蔵流体チャネル124も提供する。また、ポリマー材料をスルーホール126とともにパターニングして、流体MEMSデバイスの外部への接続ポートを形成することもできる。
【0035】
直接描画工程を用いて、流体MEMSデバイス200及び流体導管内に収容される内蔵流体チャネル124の封止を改善することができる頂冠構造を、ポリマーから生み出すことができる。また、頂冠構造は、流体導管に対して流体MEMSデバイスを固定するための、より安定した構造も提供する。図4及び図5はそれぞれ、直接描画工程を用いて形成される例示的な流体MEMSデバイス構造体の平面図及び断面図を示す。SU8レジストがウェーハ又は基板120に付着され、その後、適切な回数の露光が行われて、スルーホール126、流体チャネル124、及び頂冠構造が形成される。
【0036】
直接描画工程によって、種々の構成要素又はセルを接続する単一のポリマー層を含む、内蔵流体チャネル124を形成できるようになる。直接描画工程は一般に、厚いSU8材料をスピンコーティング堆積することを含む。SU8材料の種々の実施形態は、一般に通常2〜200μmである(これらの寸法外にある材料を製造することもできる)。複数の頂冠及びチャンバマスク並びに関連する架橋工程を用いて、複数の直接描画露光工程を形成することができる。この直接描画工程は、流体チャネル124及び頂冠構造の種々の構成を形成する。流体チャネル124に加えて、本明細書に記載されるような直接描画工程を用いて、種々の流体MEMSデバイス200を製造することができる。
【0037】
図6a、図6b、図6c、図6d、及び図6eは、図7に示されるような直接描画工程700を用いて、基板120上に製造される流体MEMSデバイス200の一実施形態を示す。図6a、図6b、図6c、図6d及び図6eでは、製造される流体MEMSデバイス200は流体チャネル124であり、その多くが図3のブロック図に示される。流体チャネル124は1つの場所から別の場所に流体を搬送する。流体MEMSデバイス200の中を流体が流れるのに応じて(その流体が、それぞれの特定の流体MEMSデバイスの動作を受けている場合であっても)、流体の流れは一般に制御される必要があるので、本明細書に記載されるような各流体MEMSデバイス200は流体チャネル部分を組み込む。図6a、図6b、図6c、図6d及び図6eに関連して説明される全体的な製造技術は、流体MEMSデバイス200の種々の実施形態に関連する。
【0038】
流体MEMSデバイス200の種々の実施形態が、図7に関連して説明されるような直接描画工程700を用いて製造され得る。これらの実施形態のうちの或る特定の例示的な実施形態が説明されるが、その実施形態には限定されない。図7に関連して説明されるような直接描画工程700の一実施形態が、図25に関連して説明されるような、工程部分802を制御するコンピュータ/コントローラ800の一実施形態を用いて実行され得る。その工程部分802は、例えば、基板上で種々の工程を実行することができる1つ又は複数の製造チャンバ又は工程チャンバを用いることができる。図7に関連して説明されるような直接描画工程700は、処理前に基板が所望のように構成される701を含む。基板の構成は概ね、流体MEMSデバイス200の意図された機能に依存する。例えば、流体MEMSデバイス200が加熱又は電気導体機能を有する場合には、その基板にそれぞれ、加熱素子又は電気導体を設けることができる。
【0039】
代案として、流体MEMSデバイス200の別の実施形態として、電気センサ、光学センサ、又は電気機械センサを設けることができる。流体MEMSデバイス200の基板が、特定のエッチング又は堆積された領域又は他の構成(例えば、図8eにエッチングされた状態で示されるような、エッチングされた凹部752)で構成される場合には、その基板は701において構成される。701は、702においてポリマー層を堆積する前に行われるので、その基板は、架橋中に露光及びハードベークによって硬化されることになるポリマーの堆積前に所望のように構成される。
【0040】
図6aでは、図7に関連して説明される直接描画工程700の702に記載されるように、基板120(その一部だけが例示される)が、1つ又は複数の工程チャンバ(図示せず)に導入される。図6bでは、直接描画工程700の704に示されるように、ポリマー層608が基板120上に堆積される。スピンコーティングのような、ポリマー層を基板上に堆積する任意の技術を用いることができる。図3、図4及び図5に関連して説明されるような単一のポリマー層構造体42は、ポリマー層608内に完全に製造されるか、又は代案として、基板120との接合部上にあるポリマー層内に形成され、部分的には基板120も含む。ポリマー層608の一実施形態は感光性ポリマー(市販されているSu8など)を含む。
【0041】
ポリマー層608のポリマーは、本明細書において説明されるような種々の直接描画工程中に適用されるような架橋工程において、複数(一実施形態では2つ)のレベルの露光及び現像をすることができる。マスクを用いる2つの直接描画露光工程は、本明細書では、「強い直接描画露光工程」706及び「弱い直接描画露光工程」708として区別される。それゆえ、ポリマー層のポリマーは、強い直接描画露光工程706及び弱い直接描画露光工程708と呼ばれる異なる強度又は持続時間を有する1つ又は複数の光源(例えば、その光源は特定のポリマーのために設計された紫外光を放射する)によって露光され得る。強い直接描画露光工程706によれば、露光後のポリマーは、弱い直接描画露光工程708よりも深い深さまで、ポリマー層のポリマーを架橋する。一実施形態では、強い直接描画露光工程706によって、ポリマー層はその深さ全体にわたって架橋される。弱い直接描画露光工程では、深さ全体にまで架橋されない。そういうものだから、ポリマー層は、露光の強度及び/又は露光の持続時間の関数として、種々の垂直方向の深さまで選択的に露光され得る。
【0042】
一実施形態では、ポリマー層608のポリマーは一般に、図7に示されるような直接描画工程700中に、マスクを用いる2つの直接描画露光工程を受ける。図6cに示されるような、強い直接描画露光工程706は、ポリマー層608の深さ全体にわたって、又は概ねその深さ全体にわたってポリマーを架橋することができる。「弱い直接描画露光工程」(図6dに示される)は、ポリマー層608の深さの或る部分までのみポリマーを架橋することができる。
【0043】
直接描画工程700の特定の実施形態は、強い直接描画露光工程706及び弱い直接描画露光工程708の組み合わせを用いて、ポリマー層608内に種々の断面形状のポリマー層構造体42を提供する。そういうものだから、ポリマー層608は、強い直接描画露光工程706及び弱い直接描画露光工程708の両方に適切に応答できるように選択される。
【0044】
図6cは、強い直接描画露光工程706の一実施形態を示しており、光源612(一実施形態では紫外光源)が、十分な光子エネルギーを、マスク614を介してポリマー層608のポリマー内に照射する。強い直接描画露光工程706は、マスク614の輪郭に対応する、1つ又は複数の深く架橋されたポリマー領域620を(架橋後に)生成する。強い直接描画露光工程706は、ポリマー層の概ね深さ全体にわたってポリマー層608の特定の領域を硬化させるのに十分な、比較的強い線量の光子エネルギーを加えるものと見なすことができる。強い直接描画露光工程706は、直接描画工程700の図6cに示される。深く架橋されたポリマー領域620はそれぞれ、ポリマー領域608の垂直方向の高さの概ね全体にわたって概ね完全に延在する。深く架橋されたポリマー領域620の底部では、特定の実施形態が基板120に固定されるが、他の実施形態は基板には固定されない。
【0045】
図6cに示されるような、深く架橋されたポリマー領域620の或る特定の実施形態の特定の構成は、流体チャネル124の横方向の外側境界(長さ及び幅の両方)を画定するように構成される。架橋されたポリマー領域620及び622(図6c及び図6dに関連して説明される)を製造する2つのステップは露光及び現像を含む。深く架橋されたポリマー領域620が露光される図6cでは、ポリマー層608の垂直方向の深さ全体が(強い露光工程を用いて)露光される。
【0046】
強い露光工程は、ポリマー層の深さ全体にわたって露光されている、これらの領域内のポリマー層の特性を変更する。そういうものだから、深く架橋されたポリマー領域620をさらに離して配置することにより、さらに幅が広いチャネルが設けられるであろう。その場合に、図6cに示されるようなマスク614内の多くの開口部が、流体チャネル124の経路(垂直な平面内にある)の横方向の境界を決定するであろう。代案として、深く架橋されたポリマー領域620の或る特定の実施形態は、図8cに示されるような流体ポンプのフラッパブレードなどの、流体MEMSデバイス内の構造的な構成要素を画定する。
【0047】
図6dは、弱い直接描画露光工程708の一実施形態を示す(それは、図6cに関連して説明されたような強い直接描画露光工程706よりも弱い露光強度において、及び/又は短い持続時間で実行される)。弱い直接描画露光工程708を用いる場合、光源612(一実施形態では紫外光源)は、十分な光子エネルギーを、マスク615を介してポリマー層608のポリマー内に照射し、ポリマー層の特定の選択された領域内に、比較的浅く架橋されたポリマー領域622を作成する。架橋することにより、小さなポリマー高分子が結合して、増加した分子量を有する、より大きな分子になる。架橋された分子の硬化は、これらの分子及びポリマー材料自体を固める働きをする。この硬化した状態において、固められた架橋された分子を溶剤の中に入れて、固められていないポリマー領域を現像して除去することができる。架橋、硬化、及び現像除去は当業界において一般的に知られており、本明細書においてさらに詳しくは説明されない。弱い直接描画露光工程708のために選択される領域の形状は、マスク615の形状に基づく。
【0048】
弱い直接描画露光工程708は、ポリマー層の深さ全体の一部のみにわたってポリマーを硬化させるのに十分な、比較的(強い直接描画露光工程706の高い線量と比べて)低い線量の光子エネルギーと見なすことができる。図6dに示されるような弱い直接描画露光工程708は、直接描画工程700の708に記載される。強い直接描画露光工程706及び弱い直接描画露光工程708は、流体チャネル124を単一の構造体(基板120の上側表面と組んで)として画定するように構成される。図7に示される直接描画工程700の実施形態では、706の強い露光工程は、弱い露光工程708の前に実行されるが、708に対する706の順序は本質的に例示であり、範囲を限定しない。
【0049】
図6dに示されるような浅く架橋された各ポリマー領域622は、元のポリマー領域608の垂直方向の高さのうちの或る割合だけにわたって延在する。浅く架橋されたポリマー領域622の形状は、流体チャネル124の上側の水平方向の境界の場所に対応する。そういうものだから、収容されている流体チャネル内を移動する流体は、浅く架橋されたポリマー領域622のポリマーに基づく。浅く架橋されたポリマー領域の輪郭は、図6dに示されるように、マスク615の形状によって決定される。図6eに示されるようなスルーホール126は、浅く架橋されたポリマー領域内に形成される。
【0050】
図6eは、ポリマー層608から、架橋されていないポリマー材料を除去することを示す。図6eに示されるように、架橋されていないポリマー材料を除去することにより、流体MEMSデバイス200(図6eに示される実施形態では、スルーホール126を有する流体チャネル124)の最終的な輪郭が与えられる。直接描画工程700の710は、架橋工程中に、露光されていないポリマー材料を現像して除去することを含み、現像液が露光されていないポリマー材料に適用されて、露光されたポリマー材料から露光されていないポリマー材料が洗い流される。現像して除去した後に、流体MEMSデバイス200(その最終的な形態)が、ポリマー層と基板との間に製造される。ポリマー層608が現像液に入れられる際に、架橋されていないポリマーは、その現像工程中に除去される。
【0051】
従って、例えば、架橋されていないポリマー層608の部分は、図7に示されるような710において除去され、それは図4及び図5に示されるような流体チャネル124及び/又はスルーホール126に対応する。架橋されたポリマー材料は、図6cに示されるような強い直接描画露光工程706中に、又は図6dに示されるような弱い直接描画露光工程708中に架橋される。従って、架橋されたポリマー材料は、流体チャネル124の基板の上側表面及び横方向表面とともに境界を形成する。スルーホール126は架橋されたポリマー材料の一部の中に形成される。架橋されたポリマー層の個々の厚みは、流体MEMSデバイスの所望の応用形態、製造業者の設計手法、及び/又は他の設計又は規定上の制約に基づいて選択され得る。
【0052】
その後、ポリマー層は712において硬化される。ポリマー層のポリマーの硬化は、ハードベークによって、又は紫外(UV)光を照射することによって行うことができる。硬化の詳細は、使用されるポリマーによって異なるので、これ以上は詳述されない。多くの市販のポリマーは、ポリマーの硬化プロセスに関する指示書と共に提供される。
【0053】
深く架橋されたポリマー領域620を製造するための強い直接描画露光工程706の詳細、及び浅く架橋されたポリマー領域622を製造するための弱い直接描画露光工程708の詳細は、本明細書においてさらに詳細には与えられない。多種多様なポリマー材料、基板構造、及びポリマー層の深さの製造物は、本明細書に記載されるような満足のいく層を製造するために種々の要件を有することは理解されたい。従って、本開示は、任意の個々のポリマー、及び/又はポリマー層構造体について詳述しない。強い直接描画露光工程706及び弱い直接描画露光工程708を用いて、ポリマー層608内に、多種多様な流体MEMSデバイス200を製造することができる。本明細書では、これらの流体MEMSデバイス200のわずかな例だけが説明される。ポリマー層内に製造される任意の単一のポリマー層構造体42が、本開示の意図された範囲内にあるものと考えられる。
【0054】
図4及び図5に示される構成に加えて、図6eに示されるような流体MEMSデバイス200の構成について検討してみると、スルーホール126の寸法は比較的小さくなるように設計され得る。スルーホール126は、ポリマー層内の流体チャネルと流体MEMSデバイス200の外部との間で流体連絡のみを提供する。図6eに示されるような特定の実施形態では、ポリマー層608は、流体MEMSデバイス200を組み込む単一のポリマー層構造体42を含む。
【0055】
図8a、図8b、図8c、図8d、及び図8eは、基板120上に製造される流体MEMSデバイス200の別の実施形態を示す。図8a、図8b、図8c、図8d、及び図8eに示されるような流体MEMSデバイス200は、流体ポンプ56(図3に示される)としての役割を果たす。図8a、図8b、図8c、図8d、及び図8eはそれぞれ、個々の図6a、図6b、図6c、図6d、及び図6eに関連して説明されるような製造工程に対応するが、図8cに示されるように、別個の深く架橋されたポリマー領域620として超小型逆止め弁750が製造されることが異なる。
【0056】
流体MEMSデバイス200の一態様では、MEMSポンプは、超小型逆止め弁750及び抵抗760の対を含む。図8cには抵抗760が示されるが、抵抗760の代わりに圧電デバイスを用いることができるものと考えられる。膜上にある圧電デバイスが用いられるそれらのバージョンでは、流体ポンプの動きは、圧電デバイスに電圧を制御可能に印加し、それにより圧電デバイスが、印加される電圧に応じて膨張及び収縮することにより提供され得る。集積化されたMEMSポンプは、直接描画工程を用いて、流体がMEMSポンプのチャネルの中を通って流れないように、又は流れるようにする一対の超小型逆止め弁を形成することにより製造され得る。抵抗の両端に電圧が印加され(図示されないが、制御可能な電流源又は電圧源から)、MEMSポンプを通過する流体に熱を加えることができるように、ポリマー層608を堆積する前に、抵抗760が基板120内に形成されるか、又は基板120に取り付けられる。MEMSポンプを通過する流体に選択的に熱を加えることにより、本明細書に記載されるようなポンピング動作をもたらすことができる。抵抗760は電圧パルスを印加され、ポンピングのために使用され得るように流体を移動させることができるバブルを生成することができる。そのようなバブル生成によるポンピングは局所的に加熱することを含み、一般に、流体の温度は所定のレベルに維持される。これらのバブルを生成することは、流体MEMSデバイスを通過する流体の温度全体に大きな影響を及ぼすことなく、局所的に熱を加えることを含む。抵抗760の個々の構成は設計上の選択事項である。
【0057】
超小型逆止め弁750の機能性を与えるために、図8aに示される基板120は、それぞれ個々の超小型逆止め弁750が連係するエッチングされた凹部752を含む。ポンピング動作を生み出す際の超小型逆止め弁750の動作は、図9a、図9b、図9c、及び図9dに関連して説明されるとおりである。エッチングされた凹部752によって、超小型逆止め弁750は横方向に動くことができるようになるが、横方向への過度の動きは制限される。超小型逆止め弁750は、所望の耐久性を与えるのに十分に厚いが、図9a、図9b、図9c、及び図9dに示されるように流体ポンプ56を動作させるための所望の可撓性を与えるのに十分に薄くなるように構成される。各超小型逆止め弁750は、エッチングされた凹部に対して自由に動くことができるように構成される(超小型逆止め弁はエッチングされた凹部の底面に取り付けられない)。そういうものだから、超小型逆止め弁750を形成するポリマーは、エッチングされた凹部752に至るまで、全ての深さにわたって下方にポリマー層を架橋するのに十分なレベルまで露光されない。これは、ポリマー層の露光される部分がエッチングされた凹部752の底面まで達しないように、エッチングされた凹部が十分に深くなるように形成することにより達成され得る。代案として、超小型逆止め弁内の露光の線量を変更して、各超小型逆止め弁の厳密な高さを正確に制御することができる。確実に超小型逆止め弁750が、エッチングされた凹部に接触しないようにして、連続した単一の構造体を形成するためのこれら2つの技術は、組み合わせて、又は別々に実行され得る。
【0058】
図9a、図9b、図9c、及び図9dは、図8a、図8b、図8c、図8d、及び図8eに示されるように製造された流体MEMSデバイス200の流体ポンプ56の実施形態の動作の一実施形態を示す。複数の超小型逆止め弁750が存在し、入力超小型逆止め弁及び出力超小型逆止め弁のそれぞれは、符号750a及び750bによって参照される。一般に、流体ポンプ56の実施形態における超小型逆止め弁750a及び750bの対は、3つの位置、即ちa)図9aに示されるような消勢された状態、b)図9bに示されるように離れるように動いた状態、及びc)図9cに示されるように一緒になるように動いた状態のうちの1つをとる。
【0059】
複数のスルーホール126が存在し、入力スルーホール及び出力スルーホールのそれぞれは、符号126a及び126bによって参照される。流体ポンプ56は、入力スルーホール126a及び出力スルーホール126bが流体連絡する流体チャネル部分124を用いて構成される。一般的な流体ポンプと同様に、流体ポンプ56の一般的な目的は、流体チャネル部分124を介して、入力スルーホール126aから出力スルーホール126bまで流体を輸送することである。図9aは初期(消勢された)状態にある流体ポンプを示しており、その状態では、入力超小型逆止め弁750a及び出力超小型逆止め弁750bはいずれも消勢された状態にある。2つの超小型逆止め弁750は一方向にだけ、例えば図9aに示されるような方向では右側にだけ開くことができる。
【0060】
図9bでは、バブル932が、入力超小型逆止め弁750aと出力超小型逆止め弁750bとの間の流体チャネル部分124内に生成される。そのバブルは、一実施形態では、抵抗760に電流又は電圧を加えることにより熱的に生成され得る。バブル932を生成することは、超小型逆止め弁750aと750bとの間の流体チャネル部分124内の流体の流体圧力を高める効果を有し、それ故に、超小型逆止め弁750bが、図9bに示されるように右側に開かれる。本明細書において述べられたように、抵抗の代わりに圧電デバイスを用いて、流体ポンプ56内のポンピング動作を行うことができる。このように超小型逆止め弁750bを右側に開くことは、出力スルーホール126bから矢印934によって示されるような方向に流体(流体チャネル部分124内にある)を押し出す効果を有する。
【0061】
図9cでは、図9bに示されたバブル932が崩壊する。バブル932を崩壊させることは、超小型逆止め弁750aと750bとの間にある流体チャネル部分124内の流体の流体圧力を下げる効果を有し、それ故に、超小型逆止め弁750aが、図9cに示されるように右側に開く。入力超小型逆止め弁750aを、図9cに示されるように右側に動かすことは、入力スルーホール126aを介して矢印936によって示されるような方向に、流体を流体チャネル部分124の中へ引き込む効果を有する。
【0062】
図9dは、両方の超小型逆止め弁750a及び750bが、それらの消勢された状態、即ち図9aに示されるような状態と同様の状態に戻ることを示す。流体ポンプ56が図9dに示されるような、その消勢された状態にある場合、流体ポンプは、図9a、図9b、図9c、及び図9dに示されたような別のポンピングサイクルを開始するように配置される。
【0063】
ここで、図8cに関連して説明されたように露光される深く架橋されたポリマー領域620、及び図8dに関連して説明されたように露光される浅く架橋されたポリマー領域622を用いて製造され得る種々のMEMSデバイスが説明される。図10は、スルーホール126を含まない流体チャネル部分124として構成される流体MEMSデバイス200の一実施形態を示す。スルーホールを有さない流体チャネル部分124の特定の実施形態を用いて、流体MEMSデバイス200の対、又は組の間で流体を輸送することができる。スルーホールを有さない流体チャネル部分124の他の実施形態を用いて、図3に示されるような、フィルタ46、超小型逆止め弁48、反応器50、分離器52、導波路54、及びポンプ56のような、或る特定のタイプの流体MEMSデバイスを収容することができる。露光されていないポリマー層材料が現像して除去され、流体チャネルが形成される。直接描画を用いる場合、露光されないままにされる多数の穴が存在し、露光後に、流体チャネル内の露光されない材料がそれらの穴を通って排出できるようにし、それにより流体チャネルが作成される。直接描画工程の後に、これらの穴は、封止用の接着剤又はエポキシ(それは、液滴の配置及び液滴サイズにおいて必要な精度を与える自動装置を用いて正確に付着され得る)を付着することによって塞がれることが好ましい。
【0064】
図11及び図12はそれぞれ、その一実施形態が図7に関連して説明される直接描画工程700を用いて製造され得る流体MEMSデバイス200の実施形態の側断面図及び水平断面図を示す。流体MEMSデバイス200の図11及び図12の実施形態は、図3に示されるような反応器50である。反応器50は、反応器を使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)工程又は他の類似した工程のように、複数の加熱素子を種々の温度にわたって選択的に加熱することにより、通過する流体を異なるレベルに加熱するための役割を果たす。熱を与えるために、流体チャネル部分124に非常に接近して、複数の加熱素子1102が基板120に取り付けられる。各加熱素子1102は、異なる面積を有するか、流体導管から異なる距離に取り付けられるか、又は制御可能な電流を加えられ、流体チャネルを通過する流体の温度を異なるレベルに変更することができる。加熱素子は、図7に示されるような直接描画工程700の実施形態の701の一部として(即ち、図6bに示されるように、基板上にポリマー層608が堆積される前に)、基板に取り付けられ得る。加熱素子の個々の構成は設計上の選択事項である。
【0065】
図13及び図14はそれぞれ、流体MEMSデバイス200の別の実施形態の側断面図及び水平断面図を示す。図13及び図14に示される流体MEMSデバイスの実施形態は、図3に示されるようなフィルタ46である。フィルタ46は、図7に示されるような直接描画工程700を用いて製造され得る。フィルタ46は、互いから所定の距離だけ間隔をおいて配置され、フィルタ46を通過する流体内に含まれる、所定の寸法よりも大きな物体に対する所望のフィルタリング機能を提供する複数のフィルタ要素1302を含む。フィルタ要素1302は、そのフィルタ要素内のポリマーを流体チャネルの高さ全体にわたって架橋するのに十分な持続時間の間に各流体素子を露光することにより、基板に固定される。
【0066】
フィルタ要素1302は、図6c及び図8cに関連して説明されたような、深く架橋されたポリマー領域620の一実施形態として製造され得る。図8cを参照すると、超小型逆止め弁750(深く架橋されたポリマー領域620の別の実施形態)の最も下側の部分は基板には固定されないのに対して、フィルタ要素1302は基板に対して、その最も低い場所において固定される。深く架橋されたポリマー領域620が基板120に対してその最も低い場所において固定されるか否かは設計上の選択事項であり、種々の材料、構成、及び個々の深く架橋されたポリマー領域620と基板との間で適用される固定手段に基づいて決定され得る。
【0067】
図15に示される流体MEMSデバイス200の別の実施形態は、分離器52(図3に関連して説明される)として構成される。分離器52は、図10に関連して説明された流体チャネル部分124と同様に形成される流体チャネル1502を含む。図15に示されるチャネル部分1502の流体の実施形態は、流体チャネルの長さよりも長いチャネル長を与えるために蛇行形状として構成される。流体チャネルの長さを長くすることにより、流体チャネルを通過する流体を分離することができる長さが長くなり、それにより分離が改善される。しかしながら、任意の構成のチャネルが本開示の意図された範囲内にある。電圧源1506が、電気導体1504を介して、チャネル部分1502の種々の部分に接続される。チャネル部分の種々の部分に加えられる電荷は、チャネル部分を通過する電気的な流体内に電界を生成するための役割を果たす(それは、電気泳動に基づいて、チャネル部分を通過する流体内の物質を分離することができる)。一実施形態では、電圧源からの電圧は入口と出口との間に印加され、帯電された粒子が入口から出口まで移動できるような電位を与える。一実施形態では、チャネル部分1502及び電気導体1504(及び電圧源1506も可能性がある)は、図7に示された直接描画工程700の701中の基板に関連してポリマー層内に集積化される。図15に示されるような分離器52は電気泳動によって機能し、その場合、電気導体経路1502に印加される電圧が、電荷に基づいて分離器の中を通って流れている粒子を分離するように作用する。
【0068】
図16に示される流体MEMSデバイス200の別の実施形態は、図3のブロック図に示されるような光導波路54として構成される。光導波路54は、光を光源1612から検出器領域1614に入力する入力光導管1610を備える。光は、光源1612から、流体検出領域1614を横切って、合焦レンズ1620に向けて送られる。光導波路によって示されるように、流体MEMSデバイス200の特定の実施形態は、光学部分と共に構成され得る。合焦レンズ1620において受光される光は、出力光導管1622に送られる。光導波路54の一実施形態では、双方の導管1610及び1622は、光ファイバとすることができる。化学的及び/又は生物学的分析を受けることになる流体が、入力流体チャネル124aに入力され、流体検出領域1614を横断して、出力流体チャネル124bへと出る。光源1612及び合焦レンズ1620はそれぞれ、個々の光導管1610及び1622を、個々に固定されて光学的に結合された部分に維持するために、それぞれガイド又はスロット1615及び1621を設けられる。従って、光導波路54を用いて、流体検出領域1614を通過することができる任意の流体の光学的特性を検出する外部光検出器に信号を送信することができる。
【0069】
流体MEMSデバイス200の光導波路54の実施形態の一態様は、それが光学デバイスに適用されることである。そういうものだから、流体MEMSデバイス200内に光学部分を設けて、望ましい任意の光学機能を実行することができる。その光導波路54は、図7に示された直接描画工程700において図6cに関連して説明されたような深く架橋されたポリマー領域620を用いて構成され得るものと考えられる。
【0070】
光は光源1612から流体検出領域1614の垂直方向の高さ全体にわたって導入されることができ、その場合には、合焦レンズ1620も流体検出領域1614の垂直方向の高さ全体にわたって延在すべきである(合焦レンズ1620も深く架橋されたポリマー領域620のデバイスとして構成される)。合焦レンズ1620は、浅く架橋されたポリマー領域622のデバイスとしても製造され得る。
【0071】
図7に示されるような直接描画工程700を用いて、光結合器を製造することもできる。本開示の概念の中に留まりながら、導波路に適用され得る多種多様な構成の合焦レンズが存在する。
【0072】
スルーホール126の特定の構造的態様が、図4及び図5に関連して説明された。スルーホール126の別の実施形態が図17及び図18に関連して説明され、図17及び図18はそれぞれ、水平断面図及び側断面図を示す。スルーホール126は、深く架橋されたポリマー領域620及び浅く架橋されたポリマー領域622の組み合わせを用いて基板120上に製造され得る。コネクタ部分2002が、図17及び図18の実施形態においてスルーホール126に接続されるものとして示される。コネクタ部分2002は、流体がスルーホール126を介して流体チャネル124に対して行き来することができる管状リセス2003を含む。一実施形態では、深く架橋されたポリマー領域620がスルーホール126を支持し、スルーホール126と流体連絡している任意の流体チャネル124の横方向境界を画定する。浅く架橋されたポリマー領域622は、スルーホール126の開口部を直に包囲するポリマー構造体を提供する。
【0073】
一実施形態では、コネクタ部分2002は、接着剤2010を用いて、スルーホール126の周りにあるマウントに堅固に取り付けられる。それにより、本開示は、頂冠構造(スルーホール126に隣接し、且つ部分的にスルーホール126を画定する多くの水平方向に延在する架橋されたポリマー領域)がアンカー1902としての役割を果たし、接着剤、セメント又はエポキシが付着するためのより硬質なマウントを提供する仕組みを提供する。接着するためのより安定したマウントを提供するために内蔵アンカー1902を有するスルーホールによって、接着剤が、スルーホールのより良好なシールを形成できるようになり、コネクタ部分2002が、スルーホールに対してさらに確実に固定される。接着剤2010は、流体が管状リセス2003を経由して、スルーホールを通って流体チャネル124に対して行き来することができる場所に、コネクタ部分2002を封止された状態で維持することを可能にする。その接着剤は、引っ張られても離れることのないアンカー1902を形成するように封止するのに役立つエポキシとすることができる。別の実施形態では、或る機械的な固定手段又は他のメカニズムを用いて、スルーホール126内の基板に対して流体結合取付具2002を固定することができる。
【0074】
図17及び図18に示されるようなスルーホール126の実施形態は、コネクタ部分2002がスルーホール126から取り出されるときに封止され得る。図20に示されるように、エポキシのような接着剤2010がスルーホール126に付着され、図18に示されるようなコネクタ部分2002が存在しない場合でも、シールを形成する。その接着剤又はエポキシは、スルーホールを通過する流体に対抗して封止する。
【0075】
上記の実施形態は、種々の流体MEMSデバイス200を作成するために使用され得る直接描画の実施形態を説明するが、他の工程を用いて、流体MEMSデバイス200を作成することができることも考えられ、それも本開示の範囲内にある。流体MEMSデバイス200を作成するための、これらの工程のうちの1つは「ロストワックス」工程と呼ばれており、これらの工程のうちのもう1つは「ドライフィルム」工程と呼ばれる。これら2つの工程がここで説明される。
【0076】
図21a、図21b、図21c、図21d、及び図21eは、図22に示されるようなロストワックス工程2300を説明する流れ図に関連して説明されるロストワックス工程の一実施形態を示す。図21aでは、図22の2302に記載されるように、基板120が準備され、その上に流体MEMSデバイス200が構成されることになる。図21bでは、図22の2304に記載されるように、基板120上に犠牲材料2204(例えば、フォトレジストなど)が堆積される。犠牲材料のパターンは、流体チャネルのパターンに概ね対応する。他のさらに複雑な形状(例えば、流体フィルタのためのフィルタ要素及び流体ポンプのための超小型逆止め弁)は、犠牲材料内に逆のパターン及び/又は形状を作成することにより形成され得る。
【0077】
図21cでは、図22の2306に記載されるように、ポリマー2206が、犠牲材料2204にわたって、基板120上に回転塗布される。そのポリマーは、基板と組んで流体MEMSチャネルを封入するポリマー層を形成する。従って、ポリマー2206は単一の部材であり、一度の堆積工程を用いて形成される。
【0078】
図21dでは、図22の2308に記載されるように、既知のポリマーパターニング技術を用いて、ポリマー2206がパターニングされる(複数の部分が除去される)。そのパターンを用いて、上述のように、流体MEMSデバイス200内に、流体が流れることができるスルーホール126を形成することができる。代案として、そのパターンを用いて、犠牲材料が除去される放出穴を形成することができる。
【0079】
図21eでは、図22の2310に関して説明されるように、いわゆる「ロストワックス」技術を用いて、犠牲材料(例えば、フォトレジストなど)が現像されて、除去される。一態様では、犠牲材料は現像液を用いて現像され、その後、犠牲材料は、ドライエッチング又はウエットエッチングによって、スルーホールを介して除去される。犠牲材料によって残された空隙を用いて、流体チャネルが画定される。図21eに示されるように、ロストワックス技術を用いて結果として形成された流体MEMSデバイス200は、上述のような直接描画技術を用いて製造される流体MEMSデバイス200に類似している。複数の(さらに多くの数の)関連する及び/又は関連しない流体MEMSデバイス200を、図21a、図21b、図21c、図21d、及び図21eに関連して説明されたロストワックス工程を用いて同時に製造することができる。
【0080】
図23a、図23b、図23c、及び図23dは、図24に示されるようなドライフィルム工程2500を記載する流れ図とともに説明されるドライフィルム工程の一実施形態を示す。図23aでは、図24のドライフィルム工程2500の2502に記載されるように、基板120が準備され、その上に流体MEMSデバイス200が構成されることになる。図23bでは、図24の2504に記載されるように、既知のポリマー堆積及びパターニング技術を用いて、基板上に構造的なポリマー層及びパターニング2404が堆積される。構造的なポリマー層及びパターニング2404の輪郭は、ドライフィルム工程を用いて後に形成される流体MEMSデバイス200の流体チャネルを部分的に包囲し、且つ部分的に封入するように構成される。
【0081】
図23cは、図24の2506に関して記載されるように、構造的なポリマー層及びパターニング2404の上に堆積され、且つそれと封止するドライフィルムラミネーション層2406が付着されることを示す。従って、流体MEMSデバイス200の流体チャネルは、基板120、構造的なポリマー層及びパターニング2404、並びにドライフィルムラミネーション層2406内に作成される。異なるタイプの流体MEMSデバイス200を形成するためのさらに複雑な形状及びパターンは、これら3つの部材120、2404又は2406のうちの1つをパターニングすることにより、又は代案として、これら3つの部材120、2404、又は2406のうちの1つ又は複数に追加の構成要素を固定することによって設けられ得る。
【0082】
図23dは、図24の2508に関連して記載されるように、ドライフィルムラミネーション層2406をパターニングして、所望の流体MEMSデバイス(単数又は複数)200を作成することを示す。流体MEMSデバイス200のスルーホール126及び他の部分のパターニングは、このパターニング中に行われ得る。複数(さらに多くの数)の関連する及び/又は関連しない流体MEMSデバイス200を、図23a、図23b、図23c、及び図23dに関連して説明されたドライフィルム技術を用いて同時に製造され得る。
【0083】
図25は、直接描画工程700を制御するコントローラ又はコンピュータ800の一実施形態を示す。工程部分、即ち「製造部分」は802として示される。工程部分802は、図7の直接描画工程700に示されるような、その間をウェーハ306が移動する種々の工程チャンバ811を含むことができる(多くの場合に、ロボット機構812を用いる)。直接描画工程700の詳細は、堆積され、その後エッチングされる材料に応じて異なる。種々のポリマーの処理は多くの場合に、供給業者によって、及び構成によって異なる。工程部分802の中で、化学蒸着法、物理蒸着法、及び電気化学堆積のような工程を適用することができる。
【0084】
コントローラ又はコンピュータ800は、中央処理ユニット(CPU)852、メモリ858、サポート回路856、及び入力/出力(I/O)回路854を含む。CPU852は汎用コンピュータであり、メモリ858に含まれるソフトウエア859を実行することによってプログラミングされるとき、工程部分802のハードウエア構成要素を制御するための特定用途のコンピュータになる。メモリ858は、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、取外し可能記憶装置、ハードディスクドライブ、又は任意の形態のデジタルメモリデバイスからなることができる。I/O回路は、情報を出力するためのよく知られているディスプレイ、及びキーボード、マウス、トラックボール、又は工程部分802(工程部分に含まれる、関連するロボット動作を含む)によって実行される工程を決定するためにコントローラ又はコンピュータ800をプログラミングできるようにする情報の入力を含む。サポート回路856は当該技術分野においてよく知られており、キャッシュ、クロック、電源などの回路を含む。
【0085】
メモリ858は制御ソフトウエアを含み、そのソフトウエアがCPU852によって実行される場合に、コントローラ又はコンピュータ800が、図7に示されるような直接描画工程700の種々の構成要素をデジタル的に制御することを可能にする。別の実施形態では、コンピュータ又はコントローラ800はアナログとすることができる。例えば、特定用途向け集積回路が、工程部分802の中で行われるような処理を制御することができる。
【0086】
本発明は、構造的な特徴及び方法のステップに特有の言葉で説明されるが、添付の特許請求の範囲において規定される本発明は上記の特定の特徴又はステップには必ずしも限定されないことは理解されたい。むしろ、開示された特定の特徴及びステップは、特許請求される本発明を実施する好ましい形態を表している。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】複数のウェーハが、互いの方へ動かされて、互いに結合される位置において間隔をおいて配置されている、従来技術のウェーハボンディング工程を示す図である。
【図2】複数のウェーハが互いに結合される、図1の従来技術のボンディング工程を示す図である。
【図3】ポリマー層技術の一実施形態を用いて製造される化学分析システムの一実施形態を示す図である。
【図4】ポリマー層技術を用いて製造される流体微小電気機械システム(MEMS)の一実施形態の平面図である。
【図5】図4の断面線5−5に沿って見たような側断面図である。
【図6a】製造中の流体MEMSデバイス(この場合には流体チャネル)の一実施形態の側断面図である。
【図6b】製造中の流体MEMSデバイス(この場合には流体チャネル)の一実施形態の側断面図である。
【図6c】製造中の流体MEMSデバイス(この場合には流体チャネル)の一実施形態の側断面図である。
【図6d】製造中の流体MEMSデバイス(この場合には流体チャネル)の一実施形態の側断面図である。
【図6e】製造中の流体MEMSデバイス(この場合には流体チャネル)の一実施形態の側断面図である。
【図7】図25に示されるようなコントローラ/コンピュータを用いて流体MEMS(例えば、図6a、図6b、図6c、図6d及び図6eに示された実施形態など)を製造するために用いられる直接描画の架橋工程を示す図である。
【図8a】製造中の流体MEMSデバイス(この場合にはポンプ)の一実施形態の側断面図である。
【図8b】製造中の流体MEMSデバイス(この場合にはポンプ)の一実施形態の側断面図である。
【図8c】製造中の流体MEMSデバイス(この場合にはポンプ)の一実施形態の側断面図である。
【図8d】製造中の流体MEMSデバイス(この場合にはポンプ)の一実施形態の側断面図である。
【図8e】製造中の流体MEMSデバイス(この場合にはポンプ)の一実施形態の側断面図である。
【図9a】図8eに示された流体MEMSポンプの動作の一実施形態を示す図である。
【図9b】図8eに示された流体MEMSポンプの動作の一実施形態を示す図である。
【図9c】図8eに示された流体MEMSポンプの動作の一実施形態を示す図である。
【図9d】図8eに示された流体MEMSポンプの動作の一実施形態を示す図である。
【図10】流体MEMSデバイス(この場合には流体チャネル)の一実施形態の側断面図である。
【図11】流体MEMSデバイス(この場合には反応器)の一実施形態の側断面図である。
【図12】断面線12−12に沿って見たような、図11に示された流体MEMSデバイスの水平断面図である。
【図13】流体MEMSデバイス(この場合にはフィルタ)の一実施形態の側断面図である。
【図14】断面線14−14に沿って見たような、図13に示された流体MEMSデバイスの水平断面図である。
【図15】流体MEMSデバイス(この場合には分離器)の一実施形態の側断面図である。
【図16】流体MEMSデバイス(この場合には光導波路)の一実施形態の側断面図である。
【図17】スルーホールの一実施形態の平面図である。
【図18】図17の断面線18−18に沿って見たような、図17に示されたスルーホールの一実施形態の側面図である。
【図19】接続された導管構成要素を接着剤によって維持する、図18のスルーホールを示す図である。
【図20】導管部分が除去され、開口部を封鎖するために接着剤が供給された、図18のスルーホールを示す図である。
【図21a】いわゆる「ロストワックス」工程の一実施形態を示す図である。
【図21b】いわゆる「ロストワックス」工程の一実施形態を示す図である。
【図21c】いわゆる「ロストワックス」工程の一実施形態を示す図である。
【図21d】いわゆる「ロストワックス」工程の一実施形態を示す図である。
【図21e】いわゆる「ロストワックス」工程の一実施形態を示す図である。
【図22】図21a、図21b、図21c、図21d、及び図21eに示されるロストワックス工程の実施形態の流れ図である。
【図23a】ドライフィルム工程の一実施形態を示す図である。
【図23b】ドライフィルム工程の一実施形態を示す図である。
【図23c】ドライフィルム工程の一実施形態を示す図である。
【図23d】ドライフィルム工程の一実施形態を示す図である。
【図24】図23a、図23b、図23c、及び図23dに示されたドライフィルム工程の実施形態の流れ図である。
【図25】図7に示されたような直接描画工程を制御するように構成されたコンピュータ/コントローラの一実施形態のブロック図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー層(42)及び基板部分(120)を含んで形成される流体微小電気機械システム(MEMS)(200)を含む装置において、前記装置の前記ポリマー層(42)が、
前記基板(120)と組んで流体チャネル(124)を包囲する閉じ込め部分(130)であって、前記閉じ込め部分(130)が深く架橋されたポリマー領域(620)と浅く架橋されたポリマー領域(622)とを含む、閉じ込め部分(130)を含み、
前記閉じ込め部分(130)の前記深く架橋されたポリマー領域(620)及び前記浅く架橋されたポリマー領域(622)が単一の構造体として形成される、装置。
【請求項2】
前記基板(120)内に、前記基板(120)上に、又は前記基板(120)に隣接して配置される抵抗(760)をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記閉じ込め部分(130)の前記基板(120)と接触していない部分が、浅く架橋されたポリマー領域(622)を含み、前記閉じ込め部分(130)の前記基板(120)と接触している部分が深く架橋されたポリマー領域(620)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記閉じ込め部分(130)の前記浅く架橋されたポリマー領域(622)を含む部分が、前記流体チャネル(124)の側面に位置する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記閉じ込め部分(130)の前記深く架橋されたポリマー領域(620)を含む部分が、前記流体チャネル(124)によって前記基板から分離される、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記深く架橋されたポリマー領域(620)及び前記浅く架橋されたポリマー領域(622)が、ロストワックス技術を用いて製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記深く架橋されたポリマー領域(620)及び前記浅く架橋されたポリマー領域(622)が、ドライフィルム技術を用いて製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
基板(120)上にポリマー層(42)を堆積し、
前記ポリマー層(42)の一部を硬化して、浅く架橋されたポリマー領域(622)及び深く架橋されたポリマー領域(620)から閉じ込め部分(130)を作成することを含み、
前記閉じ込め部分(130)の前記浅く架橋されたポリマー領域(622)及び前記深く架橋されたポリマー領域(620)が、単一の構造体として形成される、基板(120)上に流体微小電気機械システム(MEMS)(200)を形成する方法。
【請求項9】
前記基板(120)内に、又は前記基板(120)に隣接して抵抗(760)を配置することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
より平坦になるように、前記堆積されたポリマー層(42)をスピニングすることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記閉じ込め部分(130)の或る特定の部分が、強い露光架橋工程(706)を用いて製造され、一方、前記閉じ込め部分(130)の他の部分が、弱い露光架橋工程(708)を用いて製造される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
基板(120)上にポリマー層(42)を堆積し、及び
前記ポリマー層(42)の一部を硬化して、前記ポリマー層(42)から第1の逆止め弁(750)、第2の逆止め弁(750)、及び閉じ込め部分(130)を作成することを含み、前記第1の逆止め弁(750)、前記第2の逆止め弁(750)、及び前記閉じ込め部分(130)が、単一の構造体として形成される、基板(120)上にポンプ(56)を形成する方法。
【請求項13】
前記基板(120)内に、前記第1の逆止め弁(750)及び前記第2の逆止め弁(750)にそれぞれ対応する凹部(752)を形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
バブル(932)を形成して圧力差を生み出すために、前記基板内に抵抗(760)を形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の逆止め弁(750)及び前記第2の逆止め弁(750)が強い露光架橋工程(706)を用いて作成される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
基板(120)内に、又は前記基板(120)に隣接して少なくとも1つの加熱素子(1102)を形成し、
前記基板(120)上にポリマー層(42)を堆積し、及び
前記ポリマー層(42)の一部を硬化して前記ポリマー層(42)から閉じ込め部分(130)を作成することを含み、前記閉じ込め部分(130)が単一の構造体として形成される、基板(120)上に反応器(50)を形成する方法。
【請求項17】
前記閉じ込め部分(130)の或る特定の部分が、強い露光工程(706)を用いて製造され、一方、前記閉じ込め部分(130)の他の部分が弱い露光架橋工程(708)を用いて製造される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ポリマー層(42)及び基板部分(120)を含んで形成される導波装置(54)において、前記導波装置(54)の前記ポリマー層(42)が、
深く架橋されたポリマー領域(620)によって画定される入力光導管(124a)と、
前記深く架橋されたポリマー領域(620)を含む合焦レンズ(1620)と、
前記基板(120)と組んで流体チャネル(124)を包囲する閉じ込め部分(130)とを含み、
前記入力光導管(124a)、前記合焦レンズ(1620)、及び前記閉じ込め部分(130)が、前記ポリマー層(42)内に単一の構造体として形成される、導波装置(54)。
【請求項19】
深く架橋されたポリマー領域(620)と、
前記深く架橋されたポリマー領域(620)によって支持される浅く架橋されたポリマー領域(622)であって、前記浅く架橋されたポリマー領域(622)が内部に形成されたスルーホール(126)を有し、前記深く架橋されたポリマー領域(620)及び前記浅く架橋されたポリマー領域(622)が結合される、浅く架橋されたポリマー領域と、
コネクタ部分(2002)であって、前記コネクタ部分(2002)の前記スルーホール(126)への付着を強化するように前記スルーホール(126)に固定される、コネクタ部分(2002)とを含む、アンカー装置(1902)。
【請求項20】
前記コネクタ部分(2002)を前記スルーホール(126)に固定するための接着剤(2010)をさらに含む、請求項19に記載のアンカー装置(1902)。
【請求項1】
ポリマー層(42)及び基板部分(120)を含んで形成される流体微小電気機械システム(MEMS)(200)を含む装置において、前記装置の前記ポリマー層(42)が、
前記基板(120)と組んで流体チャネル(124)を包囲する閉じ込め部分(130)であって、前記閉じ込め部分(130)が深く架橋されたポリマー領域(620)と浅く架橋されたポリマー領域(622)とを含む、閉じ込め部分(130)を含み、
前記閉じ込め部分(130)の前記深く架橋されたポリマー領域(620)及び前記浅く架橋されたポリマー領域(622)が単一の構造体として形成される、装置。
【請求項2】
前記基板(120)内に、前記基板(120)上に、又は前記基板(120)に隣接して配置される抵抗(760)をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記閉じ込め部分(130)の前記基板(120)と接触していない部分が、浅く架橋されたポリマー領域(622)を含み、前記閉じ込め部分(130)の前記基板(120)と接触している部分が深く架橋されたポリマー領域(620)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記閉じ込め部分(130)の前記浅く架橋されたポリマー領域(622)を含む部分が、前記流体チャネル(124)の側面に位置する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記閉じ込め部分(130)の前記深く架橋されたポリマー領域(620)を含む部分が、前記流体チャネル(124)によって前記基板から分離される、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記深く架橋されたポリマー領域(620)及び前記浅く架橋されたポリマー領域(622)が、ロストワックス技術を用いて製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記深く架橋されたポリマー領域(620)及び前記浅く架橋されたポリマー領域(622)が、ドライフィルム技術を用いて製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
基板(120)上にポリマー層(42)を堆積し、
前記ポリマー層(42)の一部を硬化して、浅く架橋されたポリマー領域(622)及び深く架橋されたポリマー領域(620)から閉じ込め部分(130)を作成することを含み、
前記閉じ込め部分(130)の前記浅く架橋されたポリマー領域(622)及び前記深く架橋されたポリマー領域(620)が、単一の構造体として形成される、基板(120)上に流体微小電気機械システム(MEMS)(200)を形成する方法。
【請求項9】
前記基板(120)内に、又は前記基板(120)に隣接して抵抗(760)を配置することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
より平坦になるように、前記堆積されたポリマー層(42)をスピニングすることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記閉じ込め部分(130)の或る特定の部分が、強い露光架橋工程(706)を用いて製造され、一方、前記閉じ込め部分(130)の他の部分が、弱い露光架橋工程(708)を用いて製造される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
基板(120)上にポリマー層(42)を堆積し、及び
前記ポリマー層(42)の一部を硬化して、前記ポリマー層(42)から第1の逆止め弁(750)、第2の逆止め弁(750)、及び閉じ込め部分(130)を作成することを含み、前記第1の逆止め弁(750)、前記第2の逆止め弁(750)、及び前記閉じ込め部分(130)が、単一の構造体として形成される、基板(120)上にポンプ(56)を形成する方法。
【請求項13】
前記基板(120)内に、前記第1の逆止め弁(750)及び前記第2の逆止め弁(750)にそれぞれ対応する凹部(752)を形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
バブル(932)を形成して圧力差を生み出すために、前記基板内に抵抗(760)を形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の逆止め弁(750)及び前記第2の逆止め弁(750)が強い露光架橋工程(706)を用いて作成される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
基板(120)内に、又は前記基板(120)に隣接して少なくとも1つの加熱素子(1102)を形成し、
前記基板(120)上にポリマー層(42)を堆積し、及び
前記ポリマー層(42)の一部を硬化して前記ポリマー層(42)から閉じ込め部分(130)を作成することを含み、前記閉じ込め部分(130)が単一の構造体として形成される、基板(120)上に反応器(50)を形成する方法。
【請求項17】
前記閉じ込め部分(130)の或る特定の部分が、強い露光工程(706)を用いて製造され、一方、前記閉じ込め部分(130)の他の部分が弱い露光架橋工程(708)を用いて製造される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ポリマー層(42)及び基板部分(120)を含んで形成される導波装置(54)において、前記導波装置(54)の前記ポリマー層(42)が、
深く架橋されたポリマー領域(620)によって画定される入力光導管(124a)と、
前記深く架橋されたポリマー領域(620)を含む合焦レンズ(1620)と、
前記基板(120)と組んで流体チャネル(124)を包囲する閉じ込め部分(130)とを含み、
前記入力光導管(124a)、前記合焦レンズ(1620)、及び前記閉じ込め部分(130)が、前記ポリマー層(42)内に単一の構造体として形成される、導波装置(54)。
【請求項19】
深く架橋されたポリマー領域(620)と、
前記深く架橋されたポリマー領域(620)によって支持される浅く架橋されたポリマー領域(622)であって、前記浅く架橋されたポリマー領域(622)が内部に形成されたスルーホール(126)を有し、前記深く架橋されたポリマー領域(620)及び前記浅く架橋されたポリマー領域(622)が結合される、浅く架橋されたポリマー領域と、
コネクタ部分(2002)であって、前記コネクタ部分(2002)の前記スルーホール(126)への付着を強化するように前記スルーホール(126)に固定される、コネクタ部分(2002)とを含む、アンカー装置(1902)。
【請求項20】
前記コネクタ部分(2002)を前記スルーホール(126)に固定するための接着剤(2010)をさらに含む、請求項19に記載のアンカー装置(1902)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21a】
【図21b】
【図21c】
【図21d】
【図21e】
【図22】
【図23a】
【図23b】
【図23c】
【図23d】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21a】
【図21b】
【図21c】
【図21d】
【図21e】
【図22】
【図23a】
【図23b】
【図23c】
【図23d】
【図24】
【図25】
【公表番号】特表2007−526108(P2007−526108A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517230(P2006−517230)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/018628
【国際公開番号】WO2005/005046
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/018628
【国際公開番号】WO2005/005046
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】
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