説明

流動性接着剤組成物を用いた結着方法

第1物品を第2物品に結着する方法を提供する。前記方法は、エポキシ樹脂中に分散された非凝集表面修飾シリカナノ粒子を含有する流動性接着剤組成物の使用法を包含する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
別の光ファイバーに結着される光ファイバーを包含するものなどの光学用途に使用され十分な光学透明度を有するいくつかの市販の接着剤がある。しかし、これらの光学的に透明な接着剤の多くは、高い熱膨張係数を有する。すなわち、変化する温度にさらされると光ファイバーは互いに対して移動し、透過効率の損失をもたらす場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
低熱膨張係数を有するいくつかの市販の接着剤がある。低熱膨張係数を有するこれらの接着剤の多くは、従来の充填剤が充填されており、それは、かすみを増加させ、接着剤の透明性を減少させる傾向がある。これらの接着剤は、光学的に透明ではなく、多くの光学用途に好適ではない。
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1物品を第2物品に結着する方法を提供する。前記方法は、熱安定性及び機械的安定性が必要な光学用途で結着を形成するために使用することができる。結着は、通常光学的に透明であり、通常通信用途に使用される波長(例えば、800〜1650ナノメートル)で透過を可能にし、低熱膨張係数を有する。
【0004】
結着方法は、流動性接着剤組成物を調製する工程と、接着剤組成物を第1物品と第2物品の間に配置する工程と、化学線の存在下で接着剤組成物を硬化して第1物品を第2物品に結着する工程とを含む。流動性接着剤組成物の調製は、(a)シリカナノ粒子、(b)加水分解性基を有するシラン表面修飾剤、(c)表面修飾混合物中に存在する水のモル数が加水分解性基のモル数よりも大きくなるような量の水及び(d)任意の水混和性溶媒を含有する表面修飾混合物を付与することによりシリカナノ粒子を表面修飾する工程を含む。流動性接着剤組成物を調製する工程は、表面修飾混合物を少なくとも50℃に加熱して、シリカナノ粒子に共有結合した表面修飾剤を有する非凝集表面修飾シリカナノ粒子を形成する工程と、(i)非凝集表面修飾シリカナノ粒子及び(ii)エポキシ樹脂を含む分散液を形成する工程と、少なくともほとんどの水及び任意の水混和性溶媒を除去する工程と、除去工程後カチオン性光開始剤を添加する工程とを更に含む。
【0005】
本発明の上述の「課題を解決するための手段」は、開示された各実施形態又は本発明の全ての実施を記載しようと意図していない。以下の「発明を実施するための最良の形態」及び実施例は、これらの実施形態をより詳しく例証する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
第1物品と第2物品とを結着する方法を提供する。この方法は、エポキシ樹脂中に分散された非凝集表面修飾シリカナノ粒子を含有する流動性接着剤組成物の調製を包含する。流動性接着剤組成物は、化学線の存在下で硬化され、低熱膨張係数を有し光学用途に使用できる結着を形成する。例えば、この方法は、第1物品と第2物品とを結着する、光ファイバー若しくは光ファイバーの配列を光学導波管、光学スプリッタ、光学センサなどの光学装置に結着する又は光ファイバー若しくは光学装置と基材とを結着するために使用できる。
【0007】
本明細書で使用するとき、用語「流動性接着剤組成物」は、注射器又はポンプによるなどの従来の手段により分与することができる接着剤組成物を指す。例えば、50〜75重量%のシリカナノ粒子を含有する流動性接着剤組成物は、典型的に80パスカル秒(80,000センチポアズ)以下、50パスカル秒(50,000センチポアズ)以下、20パスカル秒(20,000センチポアズ)以下、10パスカル秒(10,000センチポアズ)以下、5パスカル秒(5,000センチポアズ)以下、3パスカル秒(3,000センチポアズ)以下の粘度を有する。流動性接着剤組成物は、ゲルではない。
【0008】
接着剤組成物は、表面修飾シリカナノ粒子を含有する。本明細書で使用するとき、用語「シリカナノ粒子」は、500ナノメートル以下の平均直径を有するシリカ粒子を指す。用語「直径」は、実質的に球形状粒子の直径ばかりではなく、非球形状粒子の最も長い寸法も指す。平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡又は光子相関スペクトロスコピーなどの任意の好適な分析法を使用して測定できる。
【0009】
多くの実施形態では、シリカナノ粒子の平均直径は、200ナノメートル以下、175ナノメートル以下、150ナノメートル以下、125ナノメートル以下又は100ナノメートル以下である。シリカナノ粒子の平均直径は、典型的に少なくとも1ナノメートル、少なくとも2ナノメートル、少なくとも5ナノメートル、少なくとも10ナノメートル又は少なくとも20ナノメートルである。平均直径は、多くの場合、1〜200ナノメートルの範囲、1〜150ナノメートルの範囲、1〜100ナノメートルの範囲、10〜200ナノメートルの範囲、10〜150ナノメートルの範囲又は10〜100ナノメートルの範囲である。多くの光学用途に使用される光の波長はシリカナノ粒子の直径より長いため(例えば、波長は多くの場合シリカナノ粒子の平均直径より10〜20倍長い)、シリカナノ粒子は典型的に光を散乱しない。特に、シリカナノ粒子は、通常接着剤を介した光の可視及び赤外線波長の高透過を可能にする。
【0010】
好適なシリカナノ粒子は、多くの場合ゾルの形態で入手でき、それは、液体媒質の非晶質シリカナノ粒子のコロイド状分散液である。ゾルは、液体媒質として水を用いる水性ゾル、液体媒質として有機溶媒を用いる有機ゾル又は液体媒質として水と有機溶媒の組み合わせを用いる混合ゾルであってもよい。ゾルを作製する方法は、例えば米国特許第2,801,185号(アイラー((Iler))、米国特許第4,522,958号(ダス(Das)ら)及び米国特許第5,648,407号(ゴエツ(Goetz)ら)、並びにR.K.アイラー((Iler)、シリカの化学(The Chemistry of Silica)、ジョンウィリー&サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク(1979年)に記載されている。通常、ゾル中のシリカナノ粒子は、比較的均一な寸法(すなわち、直径)を有し、非凝集のままであることが望ましい。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「非凝集」は、シリカナノ粒子又は表面修飾シリカナノ粒子に実質的に凝集したナノ粒子、それは互いに堅固に関連し、典型的に高せん断力でのみ分離できるクラスター、クランプ又はナノ粒子を指す、がないことを意味する。粒子の凝集は、沈殿、ゲル化、実質的な粘度上昇又は光散乱をもたらす場合がある。接着剤組成物は、凝集シリカナノ粒子が存在しない又は低影響範囲のため部分的に流動性である。接着剤組成物中の2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満又は0.2重量%未満のシリカナノ粒子が凝集される。凝集シリカナノ粒子は、透過型電子顕微鏡などの技術を使用して硬化接着剤組成物中に全く検出できないことが好ましい。
【0012】
シリカ水性ゾルは、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を酸又はカチオン交換樹脂で酸性形態に部分的に中和することにより調製できる。例えば、酸化ナトリウムとして計算したとき生成したナトリウム含量が約1重量%未満であるようにpHが約8又は9に調節されてもよい。シリカ水生ゾルを調製する他の方法としては、電解、ケイ酸ナトリウムのイオン交換、シリコン化合物の加水分解及び元素シリコンの溶解が挙げられる。
【0013】
シリカ水生ゾルは、ニアコール・プロダクツ社(Nyacol Products, Inc.)(メリーランド州アッシュランド(Ashland))、ナルコケミカル社(Nalco Chemical Co.)(イリノイ州ナパービル(Naperville))及びデュポンケミカル社(DuPont Chemical Co.)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))から様々な粒径及び濃度で市販されている。シリカナノ粒子の濃度は、多くの場合水生ゾルの重量を基準として10〜50重量%の範囲である。水生ゾルの重量を基準として30〜50重量%の範囲のシリカナノ粒子の濃度が多くの場合好ましい、というのは表面修飾後除去する必要がある水が少ない。
【0014】
シリカ水生ゾルは、通常処理され、全てのアルカリ金属イオン(例えば、ナトリウム又はカリウムイオン)又はアルカリ土類イオン(例えば、カルシウム又はマグネシウムイオン)を除去する。シリカ水生ゾルは、例えば、水素型のカチオン交換樹脂で処理されてもよい。好適なカチオン交換樹脂は、多くの場合スルホン酸官能基を有する。1つの代表的なカチオン交換樹脂は、アルファ・イーサー(Alfa Aesar)(マサチューセッツ州ウオードヒル(Ward Hill))又はシグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee))から市販されているアンバーライト(AMBERLITE)IR−120Hプラス(PLUS)である。アルカリ金属イオン又はアルカリ土類イオンは、カチオン交換樹脂の水素イオンを置換し、シリカ水生ゾルのpHの減少もたらすことができる。カチオン交換樹脂は、濾過により除去することができ、その後、所望に応じて水酸化アンモニウムなどの塩基の添加でpHを上昇させることができる。水酸化アンモニウムの添加が往々にして望ましい、というのは、アンモニウムイオンはシリカナノ粒子の表面と表面修飾剤の反応の触媒作用をすることができる。全ての過剰の水酸化アンモニウムは、シリカナノ粒子の表面修飾後水及び任意の所望の水混和性溶媒と一緒に除去できる(例えば、揮発させる)。
【0015】
シリカナノ粒子は、加水分解性基を有するシラン表面修飾剤で表面修飾される。本明細書で使用するとき、「加水分解性基」は、水又はヒドロキシ基と反応できる基を指す。加水分解性基は、典型的にハロ基又はアルコキシ基である。すなわち、シランは、多くの場合トリハロシリル基又はトリアルコキシシリル基を含む。シリカナノ粒子表面のヒドロキシ基は、シラン表面修飾剤の加水分解性基と反応し、共有結合の形成をもたらすことができる。あるいは、シラン表面修飾剤の加水分解性基は、シラノール基を形成する水と反応することができ、それは、続いてシリカナノ粒子の表面でヒドロキシ基と反応することができる。
【0016】
シリカナノ粒子は、(a)シリカナノ粒子、(b)加水分解性基を有するシラン表面修飾剤、(c)表面修飾混合物中に存在する水のモル数が加水分解性基のモル数よりも大きくなるような量の水及び(d)任意の水混和性溶媒を含有する表面修飾混合物を使用して表面修飾される。表面修飾剤と反応後、シリカナノ粒子は、典型的に非凝集であり、通常表面に共有結合した表面修飾剤の単層を有する。
【0017】
好適なシラン表面修飾剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソ−プロピルトリメトキシシラン、イソ−プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン及びオクタデシルメトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン;スチリルエチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン及びp−トリルトリエトキシシランなどのアリールトリアルコキシシラン;グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどの3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン;メチルトリクロロシランなどのアルキルトリクロロシラン;フェニルトリクロロシラン、フェニルエチルトリクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン及びp−トリルトリクロロシランなどのアリールトリクロロシラン、並びにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0018】
表面修飾剤は、一般に表面修飾シリカナノ粒子とエポキシ樹脂を含有する分散液に対して混合の正のエンタルピーをもたらすために選択される。混合のエンタルピーが正の場合、分散液は典型的に安定である。混合の正のエンタルピーを確実にするため、シラン表面修飾剤の溶解度パラメーターは、エポキシ樹脂の溶解度パラメーターに合されてもよい。例として、材料は、高分子の性状、化学構造とのそれらの関係、付加基の寄与からそれらの数値評価及び予測(Properties of Polymers; Their Correlation with Chemical Structure; Their Numerical Estimation and Prediction from Additive Group Contributions)、第3版、D.W.ファン・クレベレン(Van Krevelen)編集、エルセビア・サイエンス・バブリッシャーズ(Elsevier Science Publishers)B.V.、7章、189〜225頁(1990年)により求めたこれらの溶解度パラメーターが4J1/2cm−3/2以下、好ましくは2J1/2cm−3/2以下であるように選択されてもよい。
【0019】
シラン修飾剤又はエポキシ樹脂などの材料の溶解度パラメーターを求めるいくつかの方法が知られている。例えば、上記引用参照に概説されたような官能基の付加寄与に基づき材料の溶解度パラメーターを理論的に見積るいくつかの方法がある。別の方法としては、材料の溶解度パラメーターは、異なる溶解度パラメーターの溶媒の範囲内で材料の平衡膨潤度の測定から求めることができる。溶媒自体の溶解度パラメーターは、それらの蒸発熱から求めることができる。溶解度パラメーターδは、関係、δ=(Ecoh/V)1/2により凝集エネルギーEcohと比容積Vに関係する。低分子量の溶媒の場合、凝集エネルギーは、Ecoh=ΔHvap−pΔV=ΔHvap−RTにより蒸発のモル熱ΔHvapと密接に関係する。従って、Ecoh及びδは、溶媒の蒸発熱又は温度の関数としての蒸気圧から計算することができる。材料の溶解度パラメーターを求めるため、材料の平衡膨潤対溶媒の溶解度パラメーターのプロットを作成する。材料の溶解度パラメーターは、最大膨潤が得られるこのプロット上の点として画定される。膨潤は、材料のそれ未満である又は超える溶解度パラメーターを有する溶媒に対してより小さくなる。
【0020】
表面修飾混合物中に含まれる表面修飾剤は、実質的に非凝集であるシリカナノ粒子を含有する接着剤組成物をもたらすのに十分な量で通常存在する。すなわち、接着剤組成物は、典型的に実質的に凝集シリカナノ粒子がない。硬化接着剤の透過型電子顕微鏡は、シリカナノ粒子が実質的に非凝集であることを確認するために使用することができる。
【0021】
典型的に、表面修飾混合物に含まれる表面修飾剤は、シリカナノ粒子の表面に単層を形成するのに十分な量で存在する。使用される表面修飾剤の量は、シリカナノ粒子の寸法により変えることができる。典型的により大きい表面積及びより大きい表面対容積比を有するより小さいナノ粒子は、通常より大きい量のシラン表面修飾剤を必要とする。表面修飾剤は、多くの場合乾燥シリカ1g当たり5ミリモルまでの表面修飾剤量で存在する。例えば、表面修飾剤は、乾燥シリカ1g当たり4ミリモルまで、3ミリモルまで、2ミリモルまで、1ミリモルまで又は0.5ミリモルまでの表面修飾剤量で存在することができる。
【0022】
表面修飾混合物は、水及び任意の水混和性溶媒を含有する。好適な任意の水混和性溶媒としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール又はブタノール)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル又はテトラヒドロフラン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル及びその類が挙げられるがこれらに限定されない。任意の水混和性溶媒は、水を除去するのに好適な温度で除去可能とする沸点を有するように典型的に選択される。
【0023】
いくつかの実施形態では、表面修飾混合物中に任意の水混和性溶媒が全くない。他の実施形態では、水と水混和性溶媒の容積比は、少なくとも99:1(すなわち、水99部と水混和性溶媒1部)、少なくとも98:2、少なくとも95:5、少なくとも90:10、少なくとも85:15、少なくとも80:20、少なくとも75:25、少なくとも70:30、少なくとも65:35、少なくとも60:40、少なくとも55:45、少なくとも50:50、少なくとも45:55又は少なくとも40:60である。任意の水混和性溶媒は、表面修飾剤の溶解度を増加させるために使用できる。
【0024】
表面修飾混合物は、少なくとも50℃の温度で典型的に加熱される。例えば、温度は、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃又は少なくとも90℃であってもよい。温度は、通常少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間又は少なくとも20時間維持される。いくつかの代表的な表面修飾混合物は、約100℃で約24時間加熱される。表面修飾剤をシリカナノ粒子の表面に共有結合する好適な反応条件は、水混和性溶媒の有無、水混和性溶媒の性質、触媒の有無により変えることができる。反応を加速させるために使用することができる触媒としては、アンモニア、アミン類及びフッ化物イオンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
表面修飾シリカナノ粒子は、エポキシ樹脂中に分散される。表面修飾混合物中の水及び任意の水混和性溶媒の少なくともほとんどが除去される。水及び任意の水混和性溶媒の除去は、エポキシ樹脂の添加前又は後のいずれか(すなわち、分散液形成の前又は後のいずれか)で行うことができる。あるいは、水及び任意の水混和性溶媒のいくらかがエポキシ樹脂添加前に除去され、エポキシ樹脂添加後に更に除去されてもよい。表面修飾シリカナノ粒子は、水及び任意の水混和性溶媒除去後典型的に非凝集のままである。
【0026】
いくつかの実施形態では、水及び任意の水混和性溶媒は、エポキシ樹脂の添加前(すなわち、分散液形成前)に除去される。表面修飾混合物を加熱し水及び任意の水混和性溶媒を蒸発又は蒸留することができる。いくつかの実施形態では、表面修飾シリカナノ粒子は、粉末に乾燥される。乾燥表面修飾シリカナノ粒子は、次にボールミリング、三ロールミリング、ブラベンダー混合又は他の高せん断混合プロセスなどの当該技術分野において既知の方法を使用してエポキシ樹脂と混ぜ合わせることができる。多くの場合、乾燥した表面修飾シリカナノ粒子は、エポキシ樹脂と混合する前にアセトンなどの揮発性溶媒中に分散される。揮発性溶媒は、典型的に光開始剤添加前にロータリーエバポレーターを使用してエポキシ含有分散液から除去される。
【0027】
他の実施形態では、水及び任意の水混和性溶媒は、エポキシ樹脂の添加後、例えばロータリーエバポレーターを使用して除去される。表面修飾シリカナノ粒子とエポキシ樹脂を含有する分散液は、真空下しっかり結着した水、水混和性溶媒及び溶媒、アンモニア等などの他の揮発物でさえも除去する十分な温度に加熱される。温度は、エポキシ樹脂の重合を最小にするように選択される。水及び任意の水混和性溶媒を除去する他の好適な方法としては、薄膜蒸発、簡単な蒸留、共沸蒸留又はスプレー乾燥が挙げられるがこれらに限定されない。
【0028】
好適なエポキシ樹脂としては、脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式であってもよい単量体又はオリゴマーのエポキシ化合物を挙げることができる。用語「エポキシ樹脂」、「エポキシド」及び「エポキシ含有物質」は、交換可能に使用される。これらの物質は、一般に平均で1分子当たり少なくとも1個の重合可能なエポキシ基を有する。いくつかのエポキシ樹脂は、1分子当たり少なくとも1.5個又は少なくとも2個の重合可能なエポキシ基を有する。オリゴマーエポキシドは、末端エポキシ基を有する線状オリゴマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格エポキシ単位を有するオリゴマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)又はペンダントエポキシ基を有するオリゴマー(例えば、グリシジルメタクリレートオリゴマー又はコオリゴマー)であることができる。エポキシドは、純粋化合物とすることができ、又、分子1個当たり1個、2個、又はそれ以上のエポキシ基を含有する化合物の混合物とすることができる。これらのエポキシ含有物質は、任意の種類の主鎖を有し、カチオン硬化を実質的に妨げない任意の好適な置換基をその上に有することができる。許容しうる置換基の実例には、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、ニトロ基、リン酸基、及び同種のものが挙げられる。エポキシ含有物質の平均分子量は、約58g/モルから約1000g/モル以上まで変えることができる。
【0029】
いくつかの有用なエポキシ含有物質としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシシクロヘキサンカルボキシレート及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジパートに代表されるエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのシクロヘキセンオキシド基を含有するものが挙げられる。この性質の有用なエポキシドのより詳細な一覧が、米国特許第3,117,099号(プループス(Proops)ら)に詳述されている。
【0030】
有用である他のエポキシ含有物質としては、式I
【0031】
【化1】

【0032】
(式中、R’は、n原子価を有するラジカルである、ここでnは1〜6の整数である)のグリシジルエーテル単量体が挙げられる。R’は、脂肪族基、芳香族基又はそれらの組み合わせのいずれであってもよい。代表的なエポキシドは、多価フェノールがエピクロロヒドリン(例えば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)−プロパン)などの過剰のクロロヒドリンと反応することにより得ることができる多価フェノールのグリシジルエーテルである。この種のエポキシドの更なる例が、米国特許第3,018,262号に、又、「エポキシ樹脂ハンドブック(Handbook of Epoxy Resins)」、リー及びネビル(Lee and Neville)著、McGraw−Hill Book Co.,New York(1967)に記載されている。
【0033】
多数の市販のエポキシ樹脂を使用することができる。特に、容易に入手可能なエポキシドとしては、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、テキサス州ヒューストン(Houston)のレゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのEPON 828、EPON 825、EPON 1004及びEPON 1001、並びにミシガン州ミッドランド(Midland)のダウケミカル社(Dow Chemical Co.)からのDER 221、DER 332及びDER 334)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical)からのERL 4221、シラキュア(CYRACURE)UVR 6110、シラキュア(CYRACURE)6105)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキセンカルボキシレート(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical)からのERL 4201)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジパート(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical)からのERL 4289)、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical)からのERL0400)、ポリプロピレングリコールから変性された脂肪族エポキシ(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical)からのERL 4050及びERL 4052)、ジペンテン二酸化物(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical)からのER L4269)、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、FMC社(FMC Corp.)からのOXIRON 2001)、シリコン樹脂含有エポキシ官能基、臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂などの難燃剤エポキシ樹脂(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical)からのDER 580)、フェノールホルムアルデヒドノボラックの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical)からのDEN 431及びDEN 438)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(例えば、コッパーズ社(Koppers Company, Inc.)からのKOPOXITE)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジパート(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical)からのERL 4299又はシラキュア(CYRACURE)UVR 6128)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5、5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical)からのERL−4234)、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、1,2−エポキシヘキサデカン(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical)からのシラキュア(CYRACURE)UVR−6216)、アルキルC〜C10グリシジルエーテルなどのアルキルグリシジルエーテル(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのHELOXY MODIFIER 7)、アルキルC12〜C14グリシジルエーテル(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのHELOXY MODIFIER 8)、ブチルグリシジルエーテル(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのHELOXY MODIFIER 61)、クレシルグリシジルエーテル(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのHELOXY MODIFIER 62)、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのHELOXY MODIFIER 65)、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテルなどの多官能性グリシジルエーテル(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのHELOXY MODIFIER 67)、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのHELOXY MODIFIER 68)、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのHELOXY MODIFIER 107)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのHELOXY MODIFIER 44)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのHELOXY MODIFIER 48)、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのHELOXY MODIFIER 84)、ポリグリコールジエポキシド(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのHELOXY MODIFIER 32)、ビスフェノールFエポキシド(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのEPON 1138及びチバ・ガイギー社(Ciba-Geigy Corp.)からのGY−281)及び9,9−ビス[4−(2,3−エポキシプロピル)−フェニルフルオレノン(例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)からのEPON 1079)が挙げられる。
【0034】
他の有用なエポキシ樹脂としては、グリシドールのアクリル酸エステル(グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートなど)と1つ以上の共重合性ビニル化合物とのコポリマーが挙げられる。そのようなコポリマーの例が、1:1のスチレン−グリシジルメタクリレート及び1:1のメチルメタクリレート−グリシジルアクリレートである。他の有用なエポキシ樹脂は、周知であり、エピクロロヒドリン、アルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシド)、スチレンオキシド、アルケニルオキシド(例えば、ブタジエンオキシド)及びグリシジルエステル(例えば、エチルグリシデート(glycidate)のようなエポキシドを含有する含む。
【0035】
更に他の有用なエポキシ樹脂としては、米国特許第4,279,717号(エックバーグ(Eckberg)ら)に記載されたものなどのエポキシ官能性シリコンが挙げられ、ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)から市販されている。これらのエポキシ樹脂は、ケイ素原子の1〜20モル・パーセントが、エポキシアルキル基(好ましくは、米国特許第5,753,346号(ライヤー(Leir))ら)に記載されたようなエポキシシクロヘキシルエチル)で置換されたポリジメチルシロキサンである。
【0036】
又、種々のエポキシ含有材料の配合物を利用することもできる。好適なブレンドは、低分子量エポキシド(例えば、200g/モル未満の重量平均分子量を有する)、中間分子量エポキシド(例えば、約200〜1000g/モルの範囲の重量平均分子量を有する)及び高分子量エポキシド(例えば、約1000g/モルを超える重量平均分子量を有する)などのエポキシ含有化合物の2つ以上の重量平均分子量分布を含むことができる。あるいは又は更に、エポキシ樹脂は、脂肪族及び芳香族などの異なる化学的性質又は極性及び非極性などの異なる官能基を有するエポキシ含有物質のブレンドを含有することができる。他のカチオン反応性ポリマー(ビニルエーテル及び同種のものなど)を、所望に応じて更に混和することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、接着剤組成物の重量を基準として少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%又は少なくとも40重量%のエポキシ樹脂を含有する。いくつかの接着剤組成物は、50重量%まで、45重量%まで又は40重量%までのエポキシ樹脂を含有する。例えば、接着剤組成物は、接着剤組成物の重量を基準として25〜50重量%、25〜45重量%、25〜40重量%又は30〜50重量%のエポキシ樹脂を含有することができる。
【0038】
接着剤組成物は、多くの場合接着剤組成物の重量を基準として少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%又は少なくとも70重量%の表面修飾シリカナノ粒子を含有する。いくつかの接着剤組成物は、75重量%まで、70重量%まで又は65重量%まで又は60重量%までの表面修飾シリカナノ粒子を含有する。例えば、接着剤組成物は、50〜75重量%、50〜70重量%、50〜65重量%、55〜65重量%又は55〜75重量%の表面修飾シリカナノ粒子を含有できる。
【0039】
接着剤組成物は、エポキシ樹脂に加えてポリオールを更に含むことができる。本明細書で使用するとき、用語「ポリオール」は、2つ以上のヒドロキシ基を有する有機化合物を指す。ポリオールは、エポキシ樹脂の鎖延長剤として加えることができ、カチオン重合反応のプロトン源であることができる。ポリオールが加えられる際、水及び任意の水混和性溶媒を除去するために使用される全ての方法は、ポリオールの添加前又はポリオールを除去しない条件下のいずれかで行われる。
【0040】
好適なジオール(すなわち、2つのヒドロキシ基を有するポリオール)は、エチレングリコールからポリエチレングリコールまでの大きさの範囲の物質を含む。代表的なジオール及びポリオールとしては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及び1,4−ベンゼン−ジメタノールが挙げられるがこれらに限定されない。他の有用なポリオールが、米国特許第4,503,211号(ロビンズ(Robins))に開示されている。
【0041】
高分子量ポリオールとしては、取引表記カーボワックス(CARBOWAX)のもとミシガン州ミッドランド(Midland)のダウケミカル社(Dow Chemical Co.)から入手可能なポリエチレンオキシド物質などの200〜20,000の分子量(M)範囲のポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドポリマー、取引表記トーン(TONE)のもとミシガン州ミッドランド(Midland)のダウケミカル社(Dow Chemical Co.)から入手可能なポリオール物質などの200〜5,000の分子量(M)範囲のカーポラクトン(carpolactone)ポリオール;取引表記テラサン(TERATHANE)としてデラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のデュポン(DuPont)及び取引表記POLYTHF 250としてニュージャージ州マウントオリーブ(Mount Olive)のBASFから入手可能な物質などの200〜4,000分子量(M)範囲のポリテトラメチレンエーテルグリコール;取引表記PEG 200のもとミシガン州ミッドランド(Midland)のダウケミカル社(Dow Chemical Co.)から入手可能な物質などのポリエチレングリコール;取引表記POLYBDのもとペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)のアトフィナ(Atofina)からの物質などのヒドロキシ末端ポリブタジエン樹脂;サウスカロライナ州ロックヒル(Rock Hill)のフェノキシ・アソーシエート(Phenoxy Associates)から市販のフェノキシ樹脂;及び他の製造者により供給される類似の物質が挙げられる。
【0042】
ポリオールが接着剤組成物中に存在する場合、ポリオールは、接着剤組成物の重量を基準として典型的に20重量%まで、10重量%まで又は5重量%までの量で存在する。ポリオールは、接着剤組成物の重量を基準として少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%又は少なくとも3重量%の量で存在することができる。ポリオールは、多くの場合接着剤組成物の重量を基準として0〜20重量%、0.5〜20重量%、1〜20重量%、0.5〜10重量%、1〜10重量%、0.5〜5重量%又は1〜5重量%の量で存在する。
【0043】
いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテルエポキシ又はそれらの組み合わせである。反応性希釈剤が粘度を下げるため加えられ、流動性接着剤組成物を調製してもよい。本明細書で使用するとき、用語「反応性希釈剤」は、粘度を下げるために加えられるエポキシ樹脂を指す。例えば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)から取引表記ヘロキシモディファイヤー(HELOXY MODIFIER)(例えば、HELOXY MODIFIER 7、8、61、62、65、67、68、107、44、48、84又は32)として市販のエポキシ樹脂は、多くの場合反応性希釈剤として脂環式エポキシ樹脂又はビスフェノールAのジグリシジルエーテルと組み合わされる。更に、ポリオールを加えることができる。いくつかの接着剤組成物は、接着剤組成物の重量を基準として50重量%までの脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ又はそれらの組み合わせ、20重量%までの反応性希釈剤及び20重量%までのポリオールを含有する。
【0044】
特に、代表的な接着剤組成物は、多くの場合50〜75重量%の表面修飾シリカナノ粒子、20〜50重量%の脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ又はそれらの組み合わせ、0〜20重量%の応性希釈剤及び0〜20重量%のポリオールを含有する。いくつかの接着剤組成物は、50〜75重量%の表面修飾シリカナノ粒子、20〜50重量%の脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ又はそれらの組み合わせ、1〜20重量%の応性希釈剤及び0〜10重量%のポリオールを含有する。他の接着剤組成物は、50〜75重量%の表面修飾シリカナノ粒子、25〜50重量%の脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ又はそれらの組み合わせ、5〜20重量%の応性希釈剤及び0.5〜10重量%のポリオールを含有する。
【0045】
光開始剤が分散液に加えられエポキシ樹脂を硬化する。ほとんどの水及び任意の水混和性溶媒は、光開始剤の添加前に通常除去される。いくつかの実施形態では、光開始剤の添加前、分散液には水及び任意の水混和性溶媒が本質的にない。接着剤樹脂は、1重量%未満の水、1重量%未満の水混和性溶媒又はそれらの混合物を典型的に含有する。1重量%を超える水又は1重量%を超えるプロトン溶媒は、多くの場合カチオン重合反応(すなわち、硬化反応)を妨げる場合がある。すなわち、接着剤組成物は、接着剤組成物の重量を基準として1重量%未満、0.5重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満又は0.1重量%未満の水を典型的に含有する。更に、接着剤組成物は、接着剤組成物の重量を基準として1重量%未満、0.5重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満又は0.1重量%未満の任意の水混和性溶媒を含有する。
【0046】
ほとんど(例えば、実質的に全て)の水及び任意の水混和性溶媒を除去することに加え、存在し得る全ての塩基性物質が典型的に除去される。接着剤組成物には、実質的にアミン類、アンモニア、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウム)又はアルカリ土類水酸化物(例えば、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウム)がない。塩基性物質に関連して使用するとき、用語「実質的にない」は、組成物を基準として1重量%未満、0.5重量%未満、0.2重量%未満又は0.1重量%未満の塩基性物質を含有する組成物を指す。塩基性物質は、表面修飾シリカナノ粒子をエポキシ樹脂に添加する前又は後のいずれかで除去することができる。塩基性物質は、多くの場合表面修飾シリカナノ粒子の形成後(すなわち、エポキシ樹脂への表面修飾シリカナノ粒子の添加前)に除去される。塩基性物質がアミン又はアンモニアなどの揮発分である場合、それは水及び任意の水混和性溶媒を除去するために使用される同じ条件下で除去することができる。別の方法としては、塩基性物質は、例えばイオン交換樹脂を使用することによっても除去できる。例えば、全てのアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物及び水酸化アンモニウムは、水素型のカチオン交換樹脂で処理することができる。好適なカチオン交換樹脂は、多くの場合スルホン酸官能基を有する。カチオン交換樹脂は、通常濾過により取り除くことができる。
【0047】
任意の好適な光開始剤を接着剤組成物に使用することができる。多くの実施形態では、光開始剤は、紫外線カチオン光開始剤などの単一構成成分系である。好適な紫外線カチオン光開始剤は、多くの場合スルホニウム塩又はヨードニウム塩を含む。代表的なトリアリールスルホニウム塩としては、取引表記シラキュア(CYRACURE)(UVI−6976、UVI−6992、UVI−6974又はUVI−6990)としてミシガン州ミッドランド(Midland)のダウケミカル社(Dow Chemical Co.)及び取引表記サーカット(SARCAT)(K185又はSR1010)としてペンシルベニア州エクストン(Exton)のサートマー(Sartomer)から市販のものなどのトリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩及びトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩が挙げられる。代表的なヨードニウム塩は、典型的に米国特許第4,494,403号(スミス(Smith))、米国特許第4,250,053号(スミス(Smith))、米国特許第3,808,006号(スミス(Smith))、米国特許第3,741,769号(スミス(Smith))及び米国特許第3,729,313号(スミス(Smith))に更に記載されたものなどのジアリールヨードニウム塩である。ヨードニウム塩は、Cl、Br、I若しくはCSOなどのアニオンを含有する単塩又はSbF、PF、BF、テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレート、SbFOH又はAsFなどのアニオンを含有する金属錯体であることができる。ヨードニウム塩のカチオンは、多くの場合ジフェニルヨードニウムである。ヨードニウム塩の混合物は、所望に応じて使用することができる。
【0048】
他の実施形態では、光開始剤は、多構成成分系である。多構成成分系は、電子受容体及び光増感剤又は電子受容体、電子供与体及び光増感剤を含むことができる。好適な多構成成分光開始剤系は、多くの場合ジアリールヨードニウム塩などのヨードニウム塩である電子受容体を含む。多構成成分光開始剤系は、例えばPCT国際公開特許WO2005/066672(アンダーソン(Anderson)ら)、PCT国際公開特許WO2000/06661(カワテ(Kawate)ら)、米国特許出願2004/0068023 A1(レザーデール((Leatherdale)ら)、米国特許出願2004/0067450 A1(レザーデール((Leatherdale)ら)及び米国特許出願2005/0124712 A1(アンダーソン(Anderson)ら)に更に記載されている。
【0049】
光開始剤は、典型的に接着剤組成物の重量を基準として少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%、少なくとも0.3重量%又は少なくとも0.5重量%の量で存在する。濃度が約0.1重量%未満の場合、重合速度が容認できないほど低い場合がある。接着剤組成物は、多くの場合3重量%まで、2重量%まで又は1重量%までの光開始剤を含む。3重量%を超える光開始剤の添加は、多くの場合重合速度を更に増加させない。いくつかの接着剤組成物では、光開始剤は、接着剤組成物の重量を基準として0.1〜3重量%、0.5〜3重量%又は0.1〜2重量%の範囲の量で存在する。
【0050】
光開始剤を添加後、流動性接着剤組成物は、第1物品と第2物品の間に配置され、その後化学線の存在下で硬化され、第1物品を第2物品に結着する。接着剤組成物は、第1物品と第2物品の両方に接するように接触させて又は流して配置される。流動性接着剤組成物は、当該技術分野において既知の任意の技術を使用して第1物品と第2物品の間に配置することができる。例えば、接着剤組成物を特定の箇所に向け、使用される接着剤組成物の量を制御するため注射器又は他の好適な作用装置を使用することができる。第1物品が光ファイバーの場合などのいくつかの実施形態では、接着剤組成物が硬化される前に光ファイバーに吸上げられるのが好ましい。
【0051】
接着剤組成物は、化学線の好適な波長に曝露すると同時に硬化される。光開始剤は、多くの場合紫外線に曝露することにより活性化される。当該技術分野において既知の全ての紫外線源を使用することができる。好適な紫外線源としては、水銀アーク、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、プラズマアーク、紫外線発光ダイオード及び紫外線発光レーザが挙げられるがこれらに限定されない。代表的な市販の紫外線源としては、ユベックス(UVEXS)(カリフォルニア州サニイベール(Sunnyvale)からの型式LCU 750中圧水銀ランプ、RPCイクイップメント(RPC Equipment)(イリノイ州プレインフィールド(Plainfield))からの型式QC 1202紫外線ランプ及びサウザン・ニュー・イングランド・ウルトラバイオレット社(Southern New England Ultraviolet Company)(コネティカット州ハムデン(Hamden))からのレイヨネット(RAYONET)型式RPR100紫外線ランプが挙げられる。その他の代表的な紫外線源は、エクスホ・オッミニキュア(EXFO Omnicure)(カナダ、ケベック(Quebec)のヴァニア(Vanier))、フュージョンUVシステムズ社(Fusion UV Systems, Inc.)(メリーランド州ガイサーバーグ((Gaithersburg))及びジェントンインターナショナルUV(Jenton International UV)(英国、ハンプシャー(Hampshire))から市販のものなどのスポット硬化系である。更に他の代表的な紫外線源は、ダイマックス社(Dymax Corporation)(コネティカット州トリントン(Torrington)、フュージョンUVシステムズ社(Fusion UV Systems, Inc.)(メリーランド州ガイサーバーグ((Gaithersburg))及びUVプロセスサプライ社(UV Process Supply, Inc.)(イリノイ州シカゴ(Chicago))から市販のものなどのフラッド硬化系である。
【0052】
本明細書に記載した結着方法は、種々の光学用途に特に最適である。例えば、結着方法は、第1光ファイバーを第2光ファイバーに結着、又は第1光ファイバーを光学導波管、光学センサ又は光学スプリッタなどの光学装置に結着するために使用することができる。結着方法は、例えばファイバー付き装置を形成するのに使用できる。本明細書で使用するとき、用語「ファイバー付き装置」は、装置の光学活性領域に又はそれから光を結合し、装置の光学活性領域に固定するようにそろえられた1つ以上の光ファイバーを有する光学的な機能装置を指す。ファイバー付き装置は、例えばレーザ、光検出器、集積光学導波装置等であることができる。
【0053】
多くの光学用途では、接着剤結着は、熱的に安定であることが望ましい。接着剤結着は、温度サイクル時望ましくは光ファイバーを移動させない。2.3マイクロメートルの移動でさえ1.0デシベルの挿入損失の偏差に変換される場合がある。ファイバー付き装置に関して、挿入損失(L)は、入力と出力ファイバー間で生じる総光学損失として定義され、デシベルで表され、以下:
L=10log10(Pin/Pout
(式中、Pinは、装置の入力側での光強度であり、Poutは、装置の出力側での光強度である)のように表される。装置が使用されるシステムでは、典型的に何が許容できる温度安定性であるかを確認する。具体的な例として、光ファイバー遠距離通信ネットワークに使用される受動光学スプリッタに関して、光学性能要件が、テルコーディア・テクノロジーズ(Telcordia Technologies(ニュージャージ州ピスカタウェイ(Piscataway))により2001年3月に出版されたテルコーディア(Telcordia)GR−1209標準「受動光学コンポーネントの一般的な要件(Generic Requirements for Passive Optical Components)」に要約されている。この標準では、温度サイクル時に許容できる損失偏差は、直接規定されていないが、むしろ最大総挿入損失が与えられている。装置の他の要件と組み合わせると、装置が−40℃〜+85℃の温度範囲でサイクルしているとき、規格値は約+/−0.2dB(すなわち、ピーク間0.4dB)の許容偏差となる。
【0054】
熱的に安定な結着の提供に加えて、この方法は、通常高光学透過を可能にする光学的に透明な結着を提供する。本明細書で使用するとき、用語「視覚的に透明」とは、人間の目に透明に見える材料を意味する。光学的に透明な結着は、多くの場合400〜700nm波長範囲で少なくとも約90%の視感透過率、約2%未満の曇価及び約1%未満の不透明度を有する。この視感透過率及びこの曇価は、例えば、ASTM−D 1003−95の方法を使用して決定することができる。光透過率は、光学通信用途に好適な範囲の波長に対して多くの場合少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも98%である。いくつかの実施形態では、800〜1650ナノメートルの波長範囲の光の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも98%が透過される。
【0055】
低熱膨張係数を有する多くの市販の接着剤がある。接着剤の低熱膨張は、一般にアルミナ、石英又は他の無機粒子などの従来の充填剤の組込みにより得られる。これらの従来の充填剤は、光学透過率が必要な用途に容認できない。これらの充填剤の平均寸法は、一般に視覚的波長(例えば、電磁スペクトルの可視又は赤外線領域)より大きいため、充填剤は光を散乱し、接着剤を介した光の透過を妨げる。ヒュームドシリカなどのより小さい無機充填剤が使用される場合、それらを十分に高い濃度で加えて接着剤の熱膨張を減少させ、同時に流体接着剤組成物を維持するのは困難であった。これらのより小さい無機充填剤は、充填剤粒子の凝集又はアグロメレーションのため接着剤にしばしばかすみを付与する。対照的に、本明細書で提供されるような非凝集、表面修飾シリカナノ粒子は、光学的に透明で、可視光を散乱させない接着剤組成物をもたらすために使用することができる。
【0056】
本明細書に記載した方法の場合、もたらされた結着の屈折率は、多くの場合第1物品(例えば、光ファイバー)の屈折率、第2物品(例えば、光学装置又は第2光ファイバー)の屈折率又は第1及び第2物品両方の屈折率に適合する。屈折率は、1000ナノメートルを超える光の波長に対して多くの場合1.40を超え、1.42を超え、1.44を超え又は1.46を超える。屈折率の温度依存性は、第1物品、第2物品又は第1物品と第2物品両方のそれに適合することができる。
【0057】
硬化接着剤組成物は、多くの場合60℃を超えるガラス転移温度(Tg)及び百万分の80未満の熱膨張係数を有する。ガラス転移温度は、多くの場合80℃を超え、100℃を超え、110℃を超え又は120℃を超える。熱膨張係数は、多くの場合百万分の70未満、百万分の60未満、百万分の50未満又は百万分の40未満である。
【0058】
多くの電子基材は、無機であり、多くの市販の接着剤組成物の熱膨張係数に厳密に適合しない低熱膨張係数を有する。代表的な基材は、半導体材料(例えば、シリコン又はガリウム砒素化合物)、金属(例えば、銅又は鉛)又はセラミック材料である。熱膨張係数の大きい差は、基材に対する接着剤の結着損失又は基材のクラッキングをもたらす場合がある。対照的に、本明細書に記載した結着方法は、低熱膨張係数を有する接着剤組成物を使用しており、物品を無機基材に結着するのに特に最適である。
【0059】
この結着方法は、接着剤組成物を硬化時及び硬化後一緒に結着される物品の低収縮、低応力蓄積及び低移動が必要となる用途に特に最適であることができる。
【実施例】
【0060】
これらの実施例は、例証目的でしかなく、添付された請求項の範囲を制限することを意図しない。特に記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書に記載される部、百分率、比率等は全て、重量による。使用される溶媒及びその他の試薬は、特に記載のない限り、シグマ・アルドリッチ・ケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Company);ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)より入手した。
【0061】
【表1】

【0062】
試験方法
結着光ファイバー組立品の温度サイクリング
硬化接着剤の熱安定性を特徴づけるため、直線導波管チップを実施例毎に記載するような光路で接着剤組成物を使用してファイバー配列に結着した。テルコーディア・テクノロジーズ(Telcordia Technologies)は、受動光学コンポーネントの試験のガイドラインとして光ファイバー産業全体にわたって使用される規格一式を出版している(使用した版は、テルコーディア(Telcordia)GR−1209規格「受動光学コンポーネントの一般的な要件(Generic Requirements for Passive Optical Components)」3版、2001年3月)。結着光ファイバー組立品の温度サイクリングの標準規格は、1分当たり1℃の温度変化速度での+85℃〜−40℃のサイクル及び極端な場合15分以上の継続時間である。試料は、10温度サイクル又は50時間を行う。
【0063】
試験のため、入力と出力両方のファイバーのリード線を光源、検出器及びコンピュータシステムに接続し、サイクルの持続時間中挿入損失をモニターした。システムは、1550nmと1310nm波長で8つの別々の結着導波管/ファイバーチャネルに加えて参照ファイバーをモニターした。試験した全ての試料は、末端部当たり16ファイバー、127マイクロメートルピッチでの導波管を有していた。温度サイクル時、8チャネルを典型的にモニターしたが、全てのチャネルは、必ずしも機能できていなかった、従って、実験毎に使用したチャネル数を確認した。結果は、チャネルのピーク間偏差としてデシベル単位で表す。
【0064】
調製実施例1:PEG−シランの調製
3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネート(41g)を5分にわたり琥珀ジャー内のポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(96g)及びスズ(ジブチルジラウレート)(マサチューセッツ州ニューベリーポート(Newburyport)のストレムケミカルズ(Strem Chemicals)から市販の物質の4滴)に加えた。得られた混合物を終夜攪拌した。イソシアネートの全消費を生成した液体のIRスペクトルを得ることにより確認し、NCOピークが存在しないことを確認した。
【0065】
調製実施例2:接着剤1
シリカナノ粒子1の水性混合物850gをビーカー内に定置した。中程度の攪拌下、予め洗浄したアンバーライト(AMBERLITE)IR−120プラス(PLUS)カチオン交換樹脂をpH紙を使用しpHが2〜3に計測されるまでゆっくり加えた。室温(すなわち、20〜25℃)で16時間攪拌後、混合物を10マイクロメートルナイロンスペクトラメッシュ(SPECTRAMESH)シート(カリフィルニア州ラグナヒルズ(Laguna Hills)のスペクトルラボラトリーズ(Spectrum Laboratories)から市販)を通して濾過し、イオン交換樹脂を除去した。固形物量を測定した。このイオン交換された混合物808gを丸底フラスコ内に定置した。中程度の攪拌下、1−メトキシ−2−プロパノール800gを加え、その後十分な水性水酸化アンモニウムをすばやく加え、pHを9〜9.5にした。800gの1−メトキシ−2−プロパノールと9.1g(0.15ミリモルシラン/乾燥シリカ1g)の表面処理剤−1のプレミックス溶液を続いて加えた。生成した混合物を90〜95℃で約22時間加熱し、次に白色自由流固体になるまで空気乾燥した。処理したシリカを3/4スピードに設定された高せん断シルバーソン(Silverson)L4Rミキサーで2分間アセトン中に分散した。生成したシリカ/アセトン混合物を覆い、5時間放置し、その後1マイクロメートルガラス注射器フィルターを通して濾過した。パーセントシリカ固形物を測定した。229gのこのシリカ/アセトン混合物(48gシリカナノ粒子)を22.4gのERL 4221E及び1.23gの1,4−ブタンジオールに加えた。分散液を十分に混合し、70〜100℃で真空ストリップし、大半の溶媒を除去した(水流吸引器を備えたブチ(Buchi)ロータリーエバポレーター)。7.4gのHELOXY 107を加え、分散液を更にストリップし、真空ポンプを使用して揮発物除去を仕上げた。室温に冷却後、UVI−6976(処方の有機部分だけを基準として50/50の触媒/炭酸プロピレン溶液の2重量%)を加え、接着剤組成物をフレイクテク(FlakTek)DAC 150 FVZスピードミキサーを使用して混合した。接着剤組成物を5ミリリットル黒色注射器にパッケージした。
【0066】
調製実施例3:接着剤2
シリカナノ粒子2の水性混合物950gをビーカー内に定置した。中程度の攪拌下、予め洗浄したアンバーライト(AMBERLITE)IR−120プラス(PLUS)カチオン交換樹脂をpH紙を使用しpHが2〜3に計測されるまでゆっくり加えた。室温で1時間以上攪拌後、混合物を53マイクロメートルナイロンメッシュを通して濾過し、イオン交換樹脂を除去した。固形物量を測定した。このイオン交換された混合物900gを丸底フラスコ内に定置した。中程度の攪拌下、1−メトキシ−2−プロパノール400gを加え、その後十分な水性水酸化アンモニウムをすばやく加え、pHを9〜9.5にした。1,100gの1−メトキシ−2−プロパノールと10.4g(0.146ミリモルシラン/乾燥シリカ1g)の表面処理剤−1のプレミックス溶液を続いて加えた。生成した混合物を95℃で約22時間加熱し、次に白色自由流固体になるまで空気乾燥した。処理したシリカを3/4スピードに設定された高せん断シルバーソン(Silverson)L4Rミキサーで1分間アセトン中に分散した。生成した混合物を覆い、1時間放置し、その後53マイクロメートルナイロンメッシュを通して濾過した。パーセントシリカ固形物を測定した。290gのシリカ/アセトン混合物(36gシリカナノ粒子)を17.5gのERL 4221E、0.92gの1,4−ブタンジオール及び5.54gのHELOXY 107に加えた。分散液を十分に混合し、75℃で真空ストリップし、大半の溶媒を除去した(水流吸引器を備えたブチ(Buchi)ロータリーエバポレーター)、その後更に真空ポンプを使用して100℃でストリップし、揮発物除去を仕上げた。室温に冷却後、UVI−6976(処方の有機部分だけを基準として50/50の触媒/炭酸プロピレン溶液の2重量%)を加え、接着剤組成物をフレイクテク(FlakTek)DAC 150 FVZスピードミキサーを使用して混合した。その後、接着剤組成物を10ミリリットル黒色注射器にパッケージした。
【0067】
調製実施例4:接着剤3
シリカナノ粒子3の水性混合物650gをビーカー内に定置した。中程度の攪拌下、予め洗浄したアンバーライト(AMBERLITE)IR−120プラス(PLUS)カチオン交換樹脂をpH紙を使用しpHが2〜3に計測されるまでゆっくり加えた。室温で1時間以上攪拌後、混合物を53マイクロメートルナイロンメッシュを通して濾過し、イオン交換樹脂を除去した。固形物量を測定した。イオン交換された混合物400gを丸底フラスコ内に定置した。中程度の攪拌下、1−メトキシ−2−プロパノール150gを加え、その後十分な水性水酸化アンモニウムをすばやく加え、pHを9〜9.5にした。450gの1−メトキシ−2−プロパノールと4.5g(0.21ミリモルシラン/乾燥シリカ1g)の表面処理剤−1のプレミックス溶液を続いて加えた。生成した混合物を95℃で約22時間加熱し、次に白色自由流固体になるまで空気乾燥した。処理したシリカを3/4スピードに設定された高せん断シルバーソン(Silverson)L4Rミキサーで1分間アセトン中に分散した。生成した混合物を覆い、1時間放置し、その後53マイクロメートルナイロンメッシュを通して濾過した。シリカ固形物を測定した。225gのシリカ/アセトン混合物(36.5gシリカナノ粒子)を17.5gのERL 4221E、0.92gの1,4−ブタンジオール及び5.54gのHELOXY 107に加えた。分散液を十分に混合し、75℃で真空ストリップし、大半の溶媒を除去した(水流吸引器を備えたブチ(Buchi)ロータリーエバポレーター)、その後更に真空ポンプを使用して100℃でストリップし、揮発物除去を仕上げた。室温に冷却後、UVI−6976(処方の有機部分だけを基準として50/50の触媒/炭酸プロピレン溶液の2重量%)を加え、接着剤組成物をフレイクテク(FlakTek)DAC 150 FVZスピードミキサーを使用して混合した。その後、接着剤組成物を10ミリリットル黒色注射器にパッケージした。
【0068】
調製実施例5:接着剤4
シリカナノ粒子2の水性混合物800gをビーカー内に定置した。中程度の攪拌下、予め洗浄したアンバーライト(AMBERLITE)IR−120プラス(PLUS)カチオン交換樹脂をpH紙を使用しpHが2〜3に計測されるまでゆっくり加えた。室温で1時間以上攪拌後、溶液を53マイクロメートルナイロンメッシュを通して濾過し、カチオン交換樹脂を除去した。固形物量を測定した。イオン交換された混合物740gを丸底フラスコ内に定置した。中程度の攪拌下、1−メトキシ−2−プロパノール200gを加え、その後十分な水性水酸化アンモニウムをすばやく加え、pHを9〜9.5にした。550gの1−メトキシ−2−プロパノール、4.45gの表面処理剤−1及び17.7gの表面処理剤−2(各シランは0.075ミリモルシラン/乾燥シリカ1g)のプレミックス溶液加えた。生成した混合物を90〜95℃で約22時間加熱し、次に白色自由流固体になるまで空気乾燥した。粉末の半分を脱イオン水を使用して水洗し、その後空気乾燥した。シラン処理、水洗された粉末を3/4スピードに設定された高せん断シルバーソン(Silverson)L4Rミキサーで1分間アセトン中に分散した。生成した混合物を覆い、1時間放置し、その後53マイクロメートルナイロンメッシュを通して濾過した。固形物含量を測定した。206.2gのシリカ/アセトン混合物(35gシリカナノ粒子)を13.7gのERL 4221E、0.72gの1,4−ブタンジオール及び4.34gのHELOXY 107に加えた。分散液を十分に混合し、60℃で真空ストリップし、大半の溶媒を除去した(水流吸引器を備えたブチ(Buchi)ロータリーエバポレーター)、その後更に真空ポンプを使用して約100℃でストリップし、揮発物除去を仕上げた。終夜放置し、分散液に水分がないことを確実にした後、処方を50℃オーブン内で1時間乾燥した。室温に冷却後、UVI−6976(処方の有機部分だけを基準として50/50の触媒/炭酸プロピレン溶液の2重量%)を加え、接着剤組成物をフレイクテク(FlakTek)DAC 150 FVZスピードミキサーを使用して混合した。接着剤組成物を10ミリリットル黒色注射器にパッケージした。
【0069】
実施例1〜4及び比較例C1〜C3
各種接着剤は、光ファイバー組立品のそれらの性能について試験した。これらの接着剤のデータを表1に示す。実施例毎に光ファイバー組立品を調製し、上記で概説した試験方法を使用した温度サイクルにより試験した。温度サイクル試験に使用される組立品は、ファイバーリード線を備える片持ちファイバー配列(CFAs)を導波管末端部にそろえたエッチングV−溝を有する直線導波管の類似する配列を有する光学導波管チップに結着することにより調製した。導波管チップは、米国特許出願2005/0284181(スミス(Smith)ら)に記載されたように調製した。各CFAは、V−溝配列及びフラットシリカガラス上部を備えるシリコンベースを有していた。ファイバーリボンケーブルなどの光ファイバーケーブルからのストリップファイバーをCFAのV−溝内に配置し、上部は、各V−溝でストリップ光ファイバーを挟んだ。ガラス上部及びファイバー末端部を片持ちした(すなわち、シリコンベース縁部上に突出する)、その結果ファイバー末端部は、光学導波管チップ上のV−溝に挿入することが可能となった。CFAと光学導波管チップの噛み合せは、CFAファイバーの光学導波管チップV−溝への正確な配置、接着剤分配及び熱硬化を可能にするボンダー内で行った。ボンダーは、一体化真空チャックを有する固定サーモードを有し、導波管チップを所定の場所に保持する。CFAを5軸線変換工程(すなわち、x、y、z、ピッチ及びヨー)にクランプする。ファイバーを導波管チップ内のV−溝上に配置し、平行に調節し、V−溝の中央に配置する。次に、ファイバー配列が設置され、CFAカバーが導波管表面と平行になるまでファイバーをV−溝内に下ろした。導波管/ファイバー間隙を8マイクロメートルに設定し、熱膨張させた。結着ヘッドをCFAカバー上に下げ、ファイバーを導波管チップのV−溝内に押し付けた。光学接着剤をファイバー/導波管境界面に適用し、ファイバー/V−溝空隙に流し込み、導波管/CFA間隙を満たした。紫外線を照射し、硬化を開始し、その後加熱し、硬化を完成させた。硬化サイクルの完成と同時に、熱を取り除き、組立品を結着ヘッド圧下で冷却させた。片持ちファイバー配列は、米国仮特許出願60/693820、同60/693847及び同60/693851に記載されており、参照としてこれら全体を本明細書に組み込む。
【0070】
【表2】

【0071】
結着組立品は、上記で概説した試験方法を使用した温度サイクルで試験した。結果を表2に示す。
【0072】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
・(a)シリカナノ粒子と、(b)加水分解性基を有するシラン表面修飾剤と、(c)水と、ここで混合物中に存在する水のモル数は加水分解性基のモル数より大きい及び(d)任意の水混和性溶媒とを含む、シリカナノ粒子の表面修飾混合物を提供する工程と、
・前記表面修飾混合物を少なくとも50℃に加熱し、前記シリカナノ粒子に共有結合した表面修飾剤を有する非凝集表面修飾シリカナノ粒子を形成する工程と、
・前記非凝集表面修飾シリカナノ粒子及びエポキシ樹脂を含む分散液を形成する工程と、
・少なくともほとんどの前記水及び前記任意の水混和性溶媒を除去する工程と、
・前記除去工程後カチオン性光開始剤を添加する工程と、
を備える、流動性接着剤組成物を調製する工程;
前記接着剤組成物を第1物品と第2物品の間に配置する工程;及び
化学線の存在下で前記接着剤組成物を硬化して前記第1物品を前記第2物品に結着する工程、を含む、結着方法。
【請求項2】
前記接着剤組成物が、前記接着剤組成物の重量を基準として50〜75重量%のシリカナノ粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接着剤組成物が、25〜50重量%のエポキシ樹脂と0.1〜3重量%カチオン性光開始剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表面修飾混合物を加熱する工程が、少なくとも5時間で少なくとも50℃に加熱する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水及び前記任意の水混和性溶媒の少なくとも一部を除去する工程が、前記分散液を形成する前に前記表面修飾シリカナノ粒子を乾燥する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水及び前記任意の水混和性溶媒の少なくとも一部を除去する工程が、前記シリカ修飾ナノ粒子及び前記エポキシ樹脂を含む前記分散液を乾燥する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記接着剤組成物には、水及び前記任意の水混和性溶媒が実質的にない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記シラン表面修飾剤が、少なくとも1つのトリアルコキシシリル基又は少なくとも1つのトリハロシリル基を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記シリカナノ粒子が、10〜200ナノメートルの範囲の平均粒子直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
流動性接着剤組成物を調製する工程が、塩基性不純物を除去する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記接着剤組成物には、アミン類、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物、水酸化アンモニウム又はそれらの混合物が実質的にない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記エポキシ樹脂が、脂環式エポキシ、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記接着剤組成物が、ポリオールを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記シラン修飾剤が、アリールトリアルコキシシランを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記硬化接着剤組成物が、前記第1物品、前記第2物品又はそれらの組み合わせに適合する屈折率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1物品が、光ファイバーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ファイバーが、硬化前に前記接着剤組成物を吸上げる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1物品が光ファイバーを含み、前記第2物品が光ファイバーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第1物品が光ファイバーを含み、前記第2物品が光学装置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記接着剤組成物が、800〜1650ナノメートルの範囲の波長の光の90%を超えて透過する、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2009−540060(P2009−540060A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514449(P2009−514449)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/068762
【国際公開番号】WO2007/146521
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】