流動性材料塗布装置およびその塗布方法
【課題】リバースロールコータ等を用いて流動性材料を塗布する流動性材料塗布装置およびその塗布方法に関する。
【解決手段】搬送ベルトの幅方向に突起部が適宜の間隔に垂直に載設されている、搬送ベルトにシート状基板を載置し、前記搬送ベルトの突起部で載置したシート状基板を搬送する走行方向の上側面方向に、走行するシート状基板の走行方向と逆方向に回転する塗布ロールが設けられているリバースロールコータを具備した流動性材料塗布装置であって、
前記搬送ベルトに載設されている突起部の高さが塗布ロール・パスライン間の隙間より低く設けられていることを特徴とした流動性材料塗布装置。
【解決手段】搬送ベルトの幅方向に突起部が適宜の間隔に垂直に載設されている、搬送ベルトにシート状基板を載置し、前記搬送ベルトの突起部で載置したシート状基板を搬送する走行方向の上側面方向に、走行するシート状基板の走行方向と逆方向に回転する塗布ロールが設けられているリバースロールコータを具備した流動性材料塗布装置であって、
前記搬送ベルトに載設されている突起部の高さが塗布ロール・パスライン間の隙間より低く設けられていることを特徴とした流動性材料塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、リバースロールコータ等を用いて流動性材料を塗布する流動性材料塗布装置およびその塗布方法に関する。詳しくは、塗布後に、塗布面が、ムラなく、均一で、且つ、平滑に塗布できる流動性材料塗布装置およびその塗布方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
リバースロールコータは、ガラス基板又はプラスチック基板、フィルム等の板状体表面に流動性材料を塗布して被膜を形成させる装置として広く知られている。また、リバースロールコータは膜厚に対する制御性が良く、適用可能な流動性材料の粘度幅が広く、さらに、塗布速度が速いなど、生産性に優れている塗布装置であり、広く用いられている。
【０００３】
また、リバースロールコータは、例えば、建物に使用されている外壁パネルの作製、あるいは、窓ガラス等の赤外線吸収膜または反射膜、紫外線吸収膜等光学機能性窓ガラスの作製、さらに、各種接着剤等が塗布された機能性フィルムの作製等に用いられている。
【０００４】
上述した、リバースロールコータを用いて５０００ｃＰ程度の比較的粘度の高い流動性材料を塗布する際、搬送が安定的に行われないと塗布面上に塗りムラが発生し、均一かつ平滑な塗布面が得にくいという問題が生じる。
【０００５】
上記問題の主な原因は、基板の搬送と逆方向に塗布ロールが回転しているため、基板の搬送が不安定で、塗布の途中で基板に対して衝撃が加わった際にその影響を強く受けるためである。
【０００６】
例えば、搬送路がローラの場合には、基板の搬送ローラからの離脱・乗り上げ、またはローラ上に付着した異物への接触などに由来する衝撃が塗布中の基板に加わることが原因となって塗りムラが発生する。
【０００７】
また、搬送路がコンベアの場合においても、基板が搬送方向に対して逆転する塗布ロールをスムーズに通過できなければ塗りムラが発生する。この場合には、塗布ロールと基板搬送路との間隙、各ロールの周速度などの条件を検討する必要がある。そして、必然的に目的とする塗布面を得るための実施条件が狭められる。
【０００８】
例えば、図５に示すように塗りムラＥが発生した場合、その部分が塗膜欠陥となって外観上目立つ。そして、仕様上、均一な外観を要求されるような製品、例えば、光学機能を有するパネルの作成に応用した場合には、塗りムラ発生箇所がモアレの原因となって外観上問題となっている。
【０００９】
従来、このような塗りムラへの対策としては、バックアップロールの外径をアプリケータロールよりも大径に形成するとともに、搬送ローラによる基板の搬送レベルをバックアップロールによる基板搬送レベルとほぼ等しくなるように設定する方法が提案されている（例えば、特許文献１参照。）。
【００１０】
また、基板の搬送方向の後端がアプリケータロールの回転軸の中心の真下に到達する際に、基板の進行方向が高くなるように傾斜させる機構が提案されている（例えば、特許文献２参照。）。
【００１１】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献１】特開２０００−１３５４６０号公報
【特許文献２】特開２００２−２８２７５４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１２】
しかしながら、上述した従来技術は、あくまで基板上の特定位置における塗りムラへの対策であって、基板の安定的な搬送、ならびに基板への衝撃を緩和することをターゲットとしたものではない。
【００１３】
また、いずれの従来技術も、搬送系にはロールを用いており、搬送ロールと基板との接触に由来して発生する塗りムラへの対策としては不十分である。
【００１４】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、リバースロールコータを用いてシート状基板の表面に流動性材料を塗布する際に、基板を安定して搬送し、塗りムラの発生等が生じることがない流動性材料塗布装置およびその塗布方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
上記問題点を解決するために、本発明の請求項１に係る発明は、
搬送ベルトの幅方向に突起部が適宜の間隔に垂直に載設されている、搬送ベルトにシート状基板を載置し、前記搬送ベルトの突起部で載置したシート状基板を搬送する走行方向の上側面方向に、走行するシート状基板の走行方向と逆方向に回転する塗布ロールが設けられているリバースロールコータを具備した流動性材料塗布装置であって、
前記搬送ベルトに載設されている突起部の高さが塗布ロール・パスライン間の隙間より低く設けられていることを特徴とした流動性材料塗布装置である。
【００１６】
次に、本発明の請求項２に係る発明は、
前記搬送ベルトと搬送ベルトに載設されている突起部を洗浄液で洗浄する装置と搬送ベルトと突起部に付着した洗浄液を除去する除去装置が具備されていることを特徴とした請求項１記載の流動性材料塗布装置である。
【００１７】
次に、本発明の請求項３に係る発明は、
前記塗布ロールの上流方向のパスラインより上側方向位置に、シート状基板の搬送方向の前後に回転または上下動が可能なバーを備え、そのバーの末端部分がシート状基板の搬送方向前方の側面に接触して搬送抵抗となるようにパスライン上に具備していることを特徴とした請求項１または２に記載の流動性材料塗布装置である。
【００１８】
次に、本発明の請求項４に係る発明は、
前記塗布ロールの上流方向にシート状基板の搬送方向の両側面方向にシート状基板の両側面と接触するパッドが搬送ベルトに載設されている突起部と同じ高さで、搬送方向の両側に適宜の長さ、形成されていることを特徴とした請求項１乃至３のいずれか１項に記載の流動性材料塗布装置である。
【００１９】
次に、本発明の請求項５に係る発明は、
請求項１乃至４のいずれか１項に記載の流動性材料塗布装置を用いてシート状基板に流動性材料を塗布する塗布方法である。
【発明の効果】
【００２０】
本発明の流動性材料塗布装置およびその塗布方法は以上の構成からなるのでシート状基板が搬送ロールに接触・脱離する際の衝撃を受けることがない。またアプリケータロール通過時の安定搬送が可能となり、塗りムラを防止することができる。
【００２１】
さらに、塗布時の実施条件によっては搬送ベルトおよび突起部へ付着してしまう可能性のある流動性材料を逐次除去し、連続的な稼動が可能である。
【００２２】
また、塗布する際に、シート状基板の搬送系への投入タイミングをはかることなく、任意のタイミングでシート状基板を投入することができる。そして、確実に突起部にその搬送方向のシート状基板の背面を接触させた状態で搬送できる。このため、シート状基板の安定搬送ならびにシート状基板が突起部に乗り上げた状態でアプリケータロールへ進入することによるロールへのダメージが防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２３】
本発明の流動性材料塗布装置およびその塗布方法を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。
【００２４】
図１は、本発明の流動性材料塗布装置のリバースロールコータの一実施例の概略を示す概略図である。
【００２５】
図１に示すように本発明の流動性材料塗布装置のリバースロールコータはシート状基板の搬送方向と逆方向に回転し塗布を行う塗布ロール（以下アプリケータロールとする）１と、そのアプリケータロール１に当接し回転するタッチロール２と、シート状基板７を背面より押すための突起部８が載設されている搬送ベルト６と、搬送ベルト６等を駆動またはガイドするロール９およびバックアップロール５等から形成されている。
【００２６】
さらに、バックアップロール５およびロール９からなる搬送系については垂直方向に昇降可能となっている。さらに、アプリケータロール１の下部をシート状基板７が通過する際、シート状基板７および搬送ベルト６のたわみを抑えるためにバックアップロール５が設けられている。
【００２７】
また、流動性材料３はアプリケータロール１とタッチロール２との接点を含めた谷間に供給される。そして、アプリケータロール１とタッチロール２の接触面を通過させることにより任意の厚みに延ばされた後、アプリケータロール１表面よりシート状基板７上面へ塗布される。
【００２８】
そして、塗布の際には、シート状基板７は突起部８により背面を押される形で搬送される。そして、アプリケータロール１の真下を通過し、流動性材料３が塗布される。
【００２９】
前記アプリケータロール１とタッチロール２との谷間に供給される流動性材料３は、特にその手段を限定する必要は無い。例えば、供給ノズル４を用いてもよく、あるいは図には示していないが空気圧により液を噴射するディスペンサ等を用いることも出来る。
【００３０】
前記シート状基板７がアプリケータロール１により流動性材料３が塗布された直後には、突起部８がシート状基板７と連続してアプリケータロール１の下を通過する。このため、突起部８の高さとアプリケータロール１の下端の高さ、および塗布される流動性材料３の粘度、搬送速度、アプリケータロール１の周速度などにより決定される流動性材料の塗布量によっては、搬送ベルト６および突起部８にも流動性材料３が付着することが懸念される。
【００３１】
また、シート状基板７を対象としたリバースロールコータは、一般的にシート状基板７の搬送方向前側の側面がアプリケータロール１に当たる。このため、流動性材料３をアプリケータロール１からかきとる状態となる。そして、シート状基板７の側面へ流動性材料３が付着し、シート状基板７に付着した流動性材料３が搬送系を汚染することがしばしば起きる。
【００３２】
さらに、連続して塗布を行う場合には、搬送ベルト６および突起部８へ流動性材料３が付着する度にそれぞれの清掃が必要となる。このため、生産性の面で非常に厄介な問題となっている。このような問題を解決するために、図２に示すように搬送ベルト６および突起部８に付着した流動性材料３等を洗浄する洗浄系が設けられている。
【００３３】
前記洗浄系は洗浄装置１０ならびに洗浄液除去装置１１等から形成されている。また、洗浄装置１０ならびに洗浄液除去装置１１は図２に示すようにシート状基板７を搬送する搬送ベルト６の下方方向の、適宜の箇所に設けられている。
【００３４】
そして、搬送ベルト６および突起部８に付着した流動性材料３等が洗浄装置１０ならびに洗浄液除去装置１１を通過することにより、付着した流動性材料が除去される。
【００３５】
前記洗浄系を通過することにより、上述したように搬送ベルト６および突起部８に付着した流動性材料３は除去され、連続的に搬送系を稼動させることが可能となる。
【００３６】
また、前記洗浄系の洗浄液除去装置１１としてはウェスロールによるふき取り、温風式、冷風式の乾燥式等の装置があるが、洗浄液の粘度や流動性材料の洗浄液への溶解性・分散性等によって適宜の方式が選択される。
【００３７】
また、シート状基板７が突起部８に押されること無く、または突起部８に乗り上げた状態でアプリケータロール１に入ると、安定的な搬送が不可能となる。さらに、乗り上げたままアプリケータロール１に進入した場合には、ロールに異常な負荷がかかる。このため、アプリケータロール１等の表面を傷つけたり、あるいは、アプリケータロール１を固定している治具の破損等につながる可能性がある。
【００３８】
次に、図３は上述したようにシート状基板７の搬送方向背面と突起部８との接触不良による塗布を防止する一実施例の概略を示す概略図である。
【００３９】
例えば、シート状基板７の搬送方向背面が突起部８と接触しておらず搬送ベルト６との摩擦力によってのみ搬送されている場合には、シート状基板７をバー１２が搬送方向前側の側面より押さえることでその搬送を止める。また、シート状基板７が突起部８によって押されながら搬送されている場合には搬送力が搬送を押さえる力に勝ることで図３に示すようにシート状基板７の上面にバー１２が逃げる。このような機構を設けることにより、上述した問題は解決できる。
【００４０】
次に、図４は図３と同様に上述した、シート状基板７の搬送方向背面と突起部８との接触不良による塗布を防止する一実施例の概略を示す概略図である。
【００４１】
図４はパスライン上にシート状基板７の搬送方向と平行な両側面と接触するようパッド１３を配置し、シート状基板７がその間を通過しようとする際に基板７の側面とパッド１３が接触することにより摩擦抵抗を生じる。
【００４２】
また、シート状基板７が突起部８により搬送方向背面を押されている際には搬送力が摩擦抵抗力に勝るため搬送されるが、突起部８とシート状基板７の背面が接触していない際
には摩擦抵抗力が搬送力に勝るためシート状基板７の搬送を止めることができる。このような機構を、アプリケータロール１よりも手前に搬送ベルト６と独立に設けることで、シート状基板７の搬送方向背面と突起部８との接触不良を防止することができる。
【００４３】
前記パッド１３として、例えば、弱粘着部材、あるいは、弱吸着部材等が例示できるがシート状基材７の材質あるいは流動性材料３等により適宜選択される。
【図面の簡単な説明】
【００４４】
【図１】本発明の流動性材料塗布装置のリバースロールコータの一実施例の概略を示す概略図である。
【図２】本発明の流動性材料塗布装置の洗浄系の一実施例の概略を示す概略図である。
【図３】本発明の流動性材料塗布装置でシート状基板の搬送方向背面と突起部との接触不良による塗布を防止する一実施例の概略を示す概略図である。
【図４】本発明の流動性材料塗布装置でシート状基板の搬送方向背面と突起部との接触不良による塗布を防止する他の一実施例の概略を示す概略図である。
【図５】シート状基板の塗りムラを説明するための平面図である。
【符号の説明】
【００４５】
１…アプリケータロール（塗布ロール）
２…タッチロール
３…流動性材料
４…流動性材料供給ノズル
５…バックアップロール
６…搬送ベルト
７…シート状基板
８…突起部
９…搬送ベルト駆動ロール
１０…洗浄装置
１１…洗浄液除去装置
１２…バー
１３…パッド
【技術分野】
【０００１】
本発明は、リバースロールコータ等を用いて流動性材料を塗布する流動性材料塗布装置およびその塗布方法に関する。詳しくは、塗布後に、塗布面が、ムラなく、均一で、且つ、平滑に塗布できる流動性材料塗布装置およびその塗布方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
リバースロールコータは、ガラス基板又はプラスチック基板、フィルム等の板状体表面に流動性材料を塗布して被膜を形成させる装置として広く知られている。また、リバースロールコータは膜厚に対する制御性が良く、適用可能な流動性材料の粘度幅が広く、さらに、塗布速度が速いなど、生産性に優れている塗布装置であり、広く用いられている。
【０００３】
また、リバースロールコータは、例えば、建物に使用されている外壁パネルの作製、あるいは、窓ガラス等の赤外線吸収膜または反射膜、紫外線吸収膜等光学機能性窓ガラスの作製、さらに、各種接着剤等が塗布された機能性フィルムの作製等に用いられている。
【０００４】
上述した、リバースロールコータを用いて５０００ｃＰ程度の比較的粘度の高い流動性材料を塗布する際、搬送が安定的に行われないと塗布面上に塗りムラが発生し、均一かつ平滑な塗布面が得にくいという問題が生じる。
【０００５】
上記問題の主な原因は、基板の搬送と逆方向に塗布ロールが回転しているため、基板の搬送が不安定で、塗布の途中で基板に対して衝撃が加わった際にその影響を強く受けるためである。
【０００６】
例えば、搬送路がローラの場合には、基板の搬送ローラからの離脱・乗り上げ、またはローラ上に付着した異物への接触などに由来する衝撃が塗布中の基板に加わることが原因となって塗りムラが発生する。
【０００７】
また、搬送路がコンベアの場合においても、基板が搬送方向に対して逆転する塗布ロールをスムーズに通過できなければ塗りムラが発生する。この場合には、塗布ロールと基板搬送路との間隙、各ロールの周速度などの条件を検討する必要がある。そして、必然的に目的とする塗布面を得るための実施条件が狭められる。
【０００８】
例えば、図５に示すように塗りムラＥが発生した場合、その部分が塗膜欠陥となって外観上目立つ。そして、仕様上、均一な外観を要求されるような製品、例えば、光学機能を有するパネルの作成に応用した場合には、塗りムラ発生箇所がモアレの原因となって外観上問題となっている。
【０００９】
従来、このような塗りムラへの対策としては、バックアップロールの外径をアプリケータロールよりも大径に形成するとともに、搬送ローラによる基板の搬送レベルをバックアップロールによる基板搬送レベルとほぼ等しくなるように設定する方法が提案されている（例えば、特許文献１参照。）。
【００１０】
また、基板の搬送方向の後端がアプリケータロールの回転軸の中心の真下に到達する際に、基板の進行方向が高くなるように傾斜させる機構が提案されている（例えば、特許文献２参照。）。
【００１１】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献１】特開２０００−１３５４６０号公報
【特許文献２】特開２００２−２８２７５４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１２】
しかしながら、上述した従来技術は、あくまで基板上の特定位置における塗りムラへの対策であって、基板の安定的な搬送、ならびに基板への衝撃を緩和することをターゲットとしたものではない。
【００１３】
また、いずれの従来技術も、搬送系にはロールを用いており、搬送ロールと基板との接触に由来して発生する塗りムラへの対策としては不十分である。
【００１４】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、リバースロールコータを用いてシート状基板の表面に流動性材料を塗布する際に、基板を安定して搬送し、塗りムラの発生等が生じることがない流動性材料塗布装置およびその塗布方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
上記問題点を解決するために、本発明の請求項１に係る発明は、
搬送ベルトの幅方向に突起部が適宜の間隔に垂直に載設されている、搬送ベルトにシート状基板を載置し、前記搬送ベルトの突起部で載置したシート状基板を搬送する走行方向の上側面方向に、走行するシート状基板の走行方向と逆方向に回転する塗布ロールが設けられているリバースロールコータを具備した流動性材料塗布装置であって、
前記搬送ベルトに載設されている突起部の高さが塗布ロール・パスライン間の隙間より低く設けられていることを特徴とした流動性材料塗布装置である。
【００１６】
次に、本発明の請求項２に係る発明は、
前記搬送ベルトと搬送ベルトに載設されている突起部を洗浄液で洗浄する装置と搬送ベルトと突起部に付着した洗浄液を除去する除去装置が具備されていることを特徴とした請求項１記載の流動性材料塗布装置である。
【００１７】
次に、本発明の請求項３に係る発明は、
前記塗布ロールの上流方向のパスラインより上側方向位置に、シート状基板の搬送方向の前後に回転または上下動が可能なバーを備え、そのバーの末端部分がシート状基板の搬送方向前方の側面に接触して搬送抵抗となるようにパスライン上に具備していることを特徴とした請求項１または２に記載の流動性材料塗布装置である。
【００１８】
次に、本発明の請求項４に係る発明は、
前記塗布ロールの上流方向にシート状基板の搬送方向の両側面方向にシート状基板の両側面と接触するパッドが搬送ベルトに載設されている突起部と同じ高さで、搬送方向の両側に適宜の長さ、形成されていることを特徴とした請求項１乃至３のいずれか１項に記載の流動性材料塗布装置である。
【００１９】
次に、本発明の請求項５に係る発明は、
請求項１乃至４のいずれか１項に記載の流動性材料塗布装置を用いてシート状基板に流動性材料を塗布する塗布方法である。
【発明の効果】
【００２０】
本発明の流動性材料塗布装置およびその塗布方法は以上の構成からなるのでシート状基板が搬送ロールに接触・脱離する際の衝撃を受けることがない。またアプリケータロール通過時の安定搬送が可能となり、塗りムラを防止することができる。
【００２１】
さらに、塗布時の実施条件によっては搬送ベルトおよび突起部へ付着してしまう可能性のある流動性材料を逐次除去し、連続的な稼動が可能である。
【００２２】
また、塗布する際に、シート状基板の搬送系への投入タイミングをはかることなく、任意のタイミングでシート状基板を投入することができる。そして、確実に突起部にその搬送方向のシート状基板の背面を接触させた状態で搬送できる。このため、シート状基板の安定搬送ならびにシート状基板が突起部に乗り上げた状態でアプリケータロールへ進入することによるロールへのダメージが防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２３】
本発明の流動性材料塗布装置およびその塗布方法を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。
【００２４】
図１は、本発明の流動性材料塗布装置のリバースロールコータの一実施例の概略を示す概略図である。
【００２５】
図１に示すように本発明の流動性材料塗布装置のリバースロールコータはシート状基板の搬送方向と逆方向に回転し塗布を行う塗布ロール（以下アプリケータロールとする）１と、そのアプリケータロール１に当接し回転するタッチロール２と、シート状基板７を背面より押すための突起部８が載設されている搬送ベルト６と、搬送ベルト６等を駆動またはガイドするロール９およびバックアップロール５等から形成されている。
【００２６】
さらに、バックアップロール５およびロール９からなる搬送系については垂直方向に昇降可能となっている。さらに、アプリケータロール１の下部をシート状基板７が通過する際、シート状基板７および搬送ベルト６のたわみを抑えるためにバックアップロール５が設けられている。
【００２７】
また、流動性材料３はアプリケータロール１とタッチロール２との接点を含めた谷間に供給される。そして、アプリケータロール１とタッチロール２の接触面を通過させることにより任意の厚みに延ばされた後、アプリケータロール１表面よりシート状基板７上面へ塗布される。
【００２８】
そして、塗布の際には、シート状基板７は突起部８により背面を押される形で搬送される。そして、アプリケータロール１の真下を通過し、流動性材料３が塗布される。
【００２９】
前記アプリケータロール１とタッチロール２との谷間に供給される流動性材料３は、特にその手段を限定する必要は無い。例えば、供給ノズル４を用いてもよく、あるいは図には示していないが空気圧により液を噴射するディスペンサ等を用いることも出来る。
【００３０】
前記シート状基板７がアプリケータロール１により流動性材料３が塗布された直後には、突起部８がシート状基板７と連続してアプリケータロール１の下を通過する。このため、突起部８の高さとアプリケータロール１の下端の高さ、および塗布される流動性材料３の粘度、搬送速度、アプリケータロール１の周速度などにより決定される流動性材料の塗布量によっては、搬送ベルト６および突起部８にも流動性材料３が付着することが懸念される。
【００３１】
また、シート状基板７を対象としたリバースロールコータは、一般的にシート状基板７の搬送方向前側の側面がアプリケータロール１に当たる。このため、流動性材料３をアプリケータロール１からかきとる状態となる。そして、シート状基板７の側面へ流動性材料３が付着し、シート状基板７に付着した流動性材料３が搬送系を汚染することがしばしば起きる。
【００３２】
さらに、連続して塗布を行う場合には、搬送ベルト６および突起部８へ流動性材料３が付着する度にそれぞれの清掃が必要となる。このため、生産性の面で非常に厄介な問題となっている。このような問題を解決するために、図２に示すように搬送ベルト６および突起部８に付着した流動性材料３等を洗浄する洗浄系が設けられている。
【００３３】
前記洗浄系は洗浄装置１０ならびに洗浄液除去装置１１等から形成されている。また、洗浄装置１０ならびに洗浄液除去装置１１は図２に示すようにシート状基板７を搬送する搬送ベルト６の下方方向の、適宜の箇所に設けられている。
【００３４】
そして、搬送ベルト６および突起部８に付着した流動性材料３等が洗浄装置１０ならびに洗浄液除去装置１１を通過することにより、付着した流動性材料が除去される。
【００３５】
前記洗浄系を通過することにより、上述したように搬送ベルト６および突起部８に付着した流動性材料３は除去され、連続的に搬送系を稼動させることが可能となる。
【００３６】
また、前記洗浄系の洗浄液除去装置１１としてはウェスロールによるふき取り、温風式、冷風式の乾燥式等の装置があるが、洗浄液の粘度や流動性材料の洗浄液への溶解性・分散性等によって適宜の方式が選択される。
【００３７】
また、シート状基板７が突起部８に押されること無く、または突起部８に乗り上げた状態でアプリケータロール１に入ると、安定的な搬送が不可能となる。さらに、乗り上げたままアプリケータロール１に進入した場合には、ロールに異常な負荷がかかる。このため、アプリケータロール１等の表面を傷つけたり、あるいは、アプリケータロール１を固定している治具の破損等につながる可能性がある。
【００３８】
次に、図３は上述したようにシート状基板７の搬送方向背面と突起部８との接触不良による塗布を防止する一実施例の概略を示す概略図である。
【００３９】
例えば、シート状基板７の搬送方向背面が突起部８と接触しておらず搬送ベルト６との摩擦力によってのみ搬送されている場合には、シート状基板７をバー１２が搬送方向前側の側面より押さえることでその搬送を止める。また、シート状基板７が突起部８によって押されながら搬送されている場合には搬送力が搬送を押さえる力に勝ることで図３に示すようにシート状基板７の上面にバー１２が逃げる。このような機構を設けることにより、上述した問題は解決できる。
【００４０】
次に、図４は図３と同様に上述した、シート状基板７の搬送方向背面と突起部８との接触不良による塗布を防止する一実施例の概略を示す概略図である。
【００４１】
図４はパスライン上にシート状基板７の搬送方向と平行な両側面と接触するようパッド１３を配置し、シート状基板７がその間を通過しようとする際に基板７の側面とパッド１３が接触することにより摩擦抵抗を生じる。
【００４２】
また、シート状基板７が突起部８により搬送方向背面を押されている際には搬送力が摩擦抵抗力に勝るため搬送されるが、突起部８とシート状基板７の背面が接触していない際
には摩擦抵抗力が搬送力に勝るためシート状基板７の搬送を止めることができる。このような機構を、アプリケータロール１よりも手前に搬送ベルト６と独立に設けることで、シート状基板７の搬送方向背面と突起部８との接触不良を防止することができる。
【００４３】
前記パッド１３として、例えば、弱粘着部材、あるいは、弱吸着部材等が例示できるがシート状基材７の材質あるいは流動性材料３等により適宜選択される。
【図面の簡単な説明】
【００４４】
【図１】本発明の流動性材料塗布装置のリバースロールコータの一実施例の概略を示す概略図である。
【図２】本発明の流動性材料塗布装置の洗浄系の一実施例の概略を示す概略図である。
【図３】本発明の流動性材料塗布装置でシート状基板の搬送方向背面と突起部との接触不良による塗布を防止する一実施例の概略を示す概略図である。
【図４】本発明の流動性材料塗布装置でシート状基板の搬送方向背面と突起部との接触不良による塗布を防止する他の一実施例の概略を示す概略図である。
【図５】シート状基板の塗りムラを説明するための平面図である。
【符号の説明】
【００４５】
１…アプリケータロール（塗布ロール）
２…タッチロール
３…流動性材料
４…流動性材料供給ノズル
５…バックアップロール
６…搬送ベルト
７…シート状基板
８…突起部
９…搬送ベルト駆動ロール
１０…洗浄装置
１１…洗浄液除去装置
１２…バー
１３…パッド
【特許請求の範囲】
【請求項１】
搬送ベルトの幅方向に突起部が適宜の間隔に垂直に載設されている、搬送ベルトにシート状基板を載置し、前記搬送ベルトの突起部で載置したシート状基板を搬送する走行方向の上側面方向に、走行するシート状基板の走行方向と逆方向に回転する塗布ロールが設けられているリバースロールコータを具備した流動性材料塗布装置であって、
前記搬送ベルトに載設されている突起部の高さが塗布ロール・パスライン間の隙間より低く設けられていることを特徴とした流動性材料塗布装置。
【請求項２】
前記搬送ベルトと搬送ベルトに載設されている突起部を洗浄液で洗浄する装置と搬送ベルトと突起部に付着した洗浄液を除去する除去装置が具備されていることを特徴とした請求項１記載の流動性材料塗布装置。
【請求項３】
前記塗布ロールの上流方向のパスラインより上側方向位置に、シート状基板の搬送方向の前後に回転または上下動が可能なバーを備え、そのバーの末端部分がシート状基板の搬送方向前方の側面に接触して搬送抵抗となるようにパスライン上に具備していることを特徴とした請求項１または２に記載の流動性材料塗布装置。
【請求項４】
前記塗布ロールの上流方向にシート状基板の搬送方向の両側面方向にシート状基板の両側面と接触するパッドが搬送ベルトに載設されている突起部と同じ高さで、搬送方向の両側に適宜の長さ、形成されていることを特徴とした請求項１乃至３のいずれか１項に記載の流動性材料塗布装置。
【請求項５】
請求項１乃至４のいずれか１項に記載の流動性材料塗布装置を用いてシート状基板に流動性材料を塗布する塗布方法。
【請求項１】
搬送ベルトの幅方向に突起部が適宜の間隔に垂直に載設されている、搬送ベルトにシート状基板を載置し、前記搬送ベルトの突起部で載置したシート状基板を搬送する走行方向の上側面方向に、走行するシート状基板の走行方向と逆方向に回転する塗布ロールが設けられているリバースロールコータを具備した流動性材料塗布装置であって、
前記搬送ベルトに載設されている突起部の高さが塗布ロール・パスライン間の隙間より低く設けられていることを特徴とした流動性材料塗布装置。
【請求項２】
前記搬送ベルトと搬送ベルトに載設されている突起部を洗浄液で洗浄する装置と搬送ベルトと突起部に付着した洗浄液を除去する除去装置が具備されていることを特徴とした請求項１記載の流動性材料塗布装置。
【請求項３】
前記塗布ロールの上流方向のパスラインより上側方向位置に、シート状基板の搬送方向の前後に回転または上下動が可能なバーを備え、そのバーの末端部分がシート状基板の搬送方向前方の側面に接触して搬送抵抗となるようにパスライン上に具備していることを特徴とした請求項１または２に記載の流動性材料塗布装置。
【請求項４】
前記塗布ロールの上流方向にシート状基板の搬送方向の両側面方向にシート状基板の両側面と接触するパッドが搬送ベルトに載設されている突起部と同じ高さで、搬送方向の両側に適宜の長さ、形成されていることを特徴とした請求項１乃至３のいずれか１項に記載の流動性材料塗布装置。
【請求項５】
請求項１乃至４のいずれか１項に記載の流動性材料塗布装置を用いてシート状基板に流動性材料を塗布する塗布方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００８−２７２６２４（Ｐ２００８−２７２６２４Ａ）
【公開日】平成２０年１１月１３日（２００８．１１．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１１６７７６（Ｐ２００７−１１６７７６）
【出願日】平成１９年４月２６日（２００７．４．２６）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１１月１３日（２００８．１１．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年４月２６日（２００７．４．２６）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
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