説明

流量コントローラ

【課題】凝固物等がオリフィスに付着した詰まりの状態を自動的に検出し、流量測定に誤差を生じる状態で流量制御が継続されることを防止した流量コントローラを提供する。
【解決手段】流量コントローラ10は、流体主流路の直管部1に設けた一対の圧力センサ21,22間にオリフィス23が配設され、圧力センサ21,22で検出した二つの圧力値により得られる差圧を流量に換算して流量測定を行う差圧式流量計20と、流体主流路に設けられ、差圧式流量計20の流量測定値と予め定めた設定流量値との差が所定の範囲内に入るよう開度制御される流量調整弁30と、圧力センサ21,22で検出した圧力値の入力を受けて流量調整弁30の開度制御を行う制御部40とを備え、制御部40は、設定流量値と差圧式流量計20の流量測定値とを比較し、所定値以上の流量差が所定時間継続した場合にオリフィス23の詰まり異常と判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば化学工場、半導体製造、食品、バイオ等の各種産業分野における流体輸送配管中に用いられる流量コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体の流量を測定する差圧式流量計が広く用いられている。このような差圧式流量計は、オリフィスの前後に圧力センサを備えており、たとえば半導体製造プロセスのように、高純度の硝酸、塩酸、フッ化水素酸等の腐食性薬品を含む流体圧力を測定する場所に設置して使用されるものがある。具体例をあげると、半導体製造装置においては、半導体基板のエッチング処理に際し、フッ化水素酸等を含む薬液が使用されるので、この薬液を安定供給するため、薬液の循環回路中に差圧式流量計が組み込まれる。
【0003】
すなわち、上述した差圧式流量計は、流体主流路に設けたオリフィスの上流側及び下流側に一対の圧力センサを設置することにより、両圧力センサの差圧を流量に換算して算出する流量計として用いることができる。そして、この流量計による算出流量と、予め設定した設定流量との差をなくすように可変バルブの開度を制御すれば、流体主流路の流量を所望の値にフィードバック制御する流量コントローラとなる。(たとえば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−233068号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した差圧式流量計を備えた流量コントローラにおいては、正確な流量測定及び流量制御を行うための前提として、差圧の測定に必要なオリフィス開度を一定に保つことが重要である。
たとえば凝固しやすいスラリー状の液体を取り扱う場合には、流体の凝固により生じる凝固物がオリフィスに付着してオリフィス径を狭めることがある。このような凝固物の付着は、測定した流量に誤差を生じさせる原因となるため、凝固物等の異物がオリフィス部分に付着したオリフィスの詰まりを検出して早急な対処を可能にすることが望まれる。
【0006】
このような背景から、差圧式流量計を用いた流量コントローラにおいては、凝固物等の異物が差圧式流量計のオリフィスに付着した詰まり状態を容易に検出し、差圧式流量計による正確な流量検出を行って流量制御することが望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、凝固物等の異物がオリフィスに付着した詰まりの状態(異常)を自動的に検出し、流量測定に誤差を生じるような状態で流量制御が継続されることを防止できるようにした流量コントローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係る流量コントローラは、流体主流路の直管部に設けた一対の圧力センサ間にオリフィスが配設され、前記圧力センサで検出した二つの圧力値により得られる差圧を流量に換算して流量測定を行う差圧式流量計と、前記流体主流路に設けられ、前記差圧式流量計の流量測定値と予め定めた設定流量値との差が所定の範囲内に入るよう開度制御される流量調整弁と、前記圧力センサで検出した圧力値の入力を受けて前記流量調整弁の開度制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記設定流量値と前記差圧式流量計の流量測定値とを比較し、所定値以上の流量差が所定時間継続した場合に前記オリフィスの詰まり異常と判断するものである。
【0008】
このような流量コントローラによれば、制御部は、設定流量値と差圧式流量計の流量測定値とを比較し、所定値以上の流量差が所定時間継続した場合にオリフィスの詰まり異常と判断するので、新たな機器類を追設することなく容易かつ正確にオリフィスの詰まり異常を検出することができる。
【0009】
上記の発明において、前記流量調整弁の下流に詰まり監視用圧力センサを設け、前記制御部は、前記設定流量値に応じて予め定まる前記監視用圧力センサの基準圧力値と前記監視用圧力センサの検出圧力値とを比較し、所定値以上の圧力差が所定時間継続した場合に前記オリフィスの詰まり異常と判断してもよい。
このような流量コントローラによれば、制御部は、詰まり監視用の圧力センサのみを追設し、監視用圧力センサの基準圧力値と前記監視用圧力センサの検出圧力値とを比較することにより、容易かつ正確にオリフィスの詰まり異常を検出することができる。
【0010】
上記の発明において、前記制御部は、前記流量調整弁の開度を示すパルス位置を取り込み、該パルス位置と入口圧力及び前記設定流量値に応じて定まる基準パルス位置とを比較し、所定時間継続してずれがある場合に前記オリフィスの詰まり異常と判断するようにしてもよい。
このような流量コントローラによれば、入口圧力が変化すると同じパルス位置(開度)でも異なる流量になるという流量調整弁の特性を利用し、容易かつ正確にオリフィスの詰まり異常を検出することができる。なお、この場合の入口圧力は、オリフィスの上流側に配設された圧力センサが検出した圧力値を用いればよい。
【発明の効果】
【0011】
上述した本発明の流量コントローラによれば、設定流量値と差圧式流量計の流量測定値とを比較して所定値以上の流量差が所定時間以上継続した場合にオリフィスの詰まり異常と判断するので、新たな機器類を追設することなく容易かつ正確にオリフィスの詰まり異常を検出することができる。このため、凝固物等の異物がオリフィスに付着した詰まりの状態(異常)を自動的に検出し、流量測定に誤差を生じるような状態で流量制御が継続されることを防止できる。
また、監視用圧力センサを追設し、設定流量値に応じて予め定まる監視用圧力センサの基準圧力値と監視用圧力センサの検出圧力値とを比較して所定値以上の圧力差が所定時間継続した場合にオリフィスの詰まり異常と判断すれば、最小限の機器類追設により容易かつ正確にオリフィスの詰まり異常を自動的に検出し、流量測定に誤差を生じるような状態で流量制御が継続されることを防止できる。
【0012】
また、流量調整弁の開度を示すパルス位置を取り込み、このパルス位置と入口圧力及び設定流量値に応じて定まる基準パルス位置とを比較することにより、取り込んだパルス位置が基準パルス位置から所定時間継続してずれを有する場合にオリフィスの詰まり異常と判断すれば、容易かつ正確にオリフィスの詰まり異常を自動的に検出し、流量測定に誤差を生じるような状態で流量制御が継続されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る流量コントローラについて、本実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示した制御部が詰まり異常を判断する過程を示すフローチャートである。
【図3】図1の流量コントローラに係る第1変形例を示す構成図である。
【図4】図3に示した制御部が詰まり異常を判断する過程を示すフローチャートである。
【図5】図1の流量コントローラに係る第2変形例を示す構成図である。
【図6】図5に示した制御部が詰まり異常を判断する過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る差圧式流量計及び流量コントローラの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示す本実施形態において、薬液等の流体を流す流体主流路の直管部1には流量コントローラ10が設けられている。この流量コントローラ10は、直管部1に設置された差圧式流量計20と、直管部1の差圧式流量計20より下流側となる位置に設置された流量調整弁30と、差圧式流量計20により検出した流量値に基づいて流量調整弁30の開度制御を行う制御部40とを備えている。
【0015】
差圧式流量計20は、直管部1に所定の間隔で設置した一対の圧力センサ21,22間にオリフィス23が配設された構成とされる。この差圧式流量計20は、圧力損失を生じさせるオリフィス23の上流側及び下流側の流体圧力差(差圧ΔP)から流体流量Qを得る流量計である。具体的には、オリフィス23の上流側で流体圧力を検出する圧力センサ21が検出した圧力値P1と、下流側で流体圧力を検出する圧力センサ22が検出した圧力値P2との電気信号を制御部40に入力し、制御部40内において差圧ΔPを流量に換算して流量測定を行うように構成されている。
以下の説明では、差圧式流量計20が流量測定を行って得られた流量値を「流量測定値Qs」と呼ぶことにする。
【0016】
流量調整弁30は、制御部40が出力する制御信号(パルス信号)を受けて開度制御される。この場合の開度制御は、差圧式流量計20により得られた流量測定値Qsと、予め定めた設定流量値Qbとの差が所定の範囲内に入るように、流量調整弁30のアクチュエータを操作して開度調整するものである。
【0017】
制御部40は、圧力センサ21,22で検出した圧力値P1,P2の入力を受けて流量調整弁30の開度制御を行うものである。この制御部40では、差圧ΔPを流量に換算して流量測定値Qsを得る流量測定に加えて、設定流量値Qbと差圧式流量計の流量測定値Qsとを比較し、所定値q以上の流量差ΔQが所定時間継続した場合にオリフィス23の詰まり異常と判断するものである。
このような制御部40は、圧力センサ21,22で検出した圧力値P1,P2等の圧力値41、差圧ΔPを流量に換算した流量測定値Qs等の流量値42に加えて、詰まり異常のアラーム信号43を外部へ出力することができる。
【0018】
ここで、制御部40において、オリフィス23の詰まり異常を判断し、アラーム信号43を出力する過程を図2のフローチャートに基づいて説明する。
最初のステップS1で制御をスタートすると、次のステップS2に進んで流量コントローラ10が目標とする設定流量値Qbを設定する。この設定流量値Qbは、流量制御弁30の下流側に流す流体流量の目標値であり、制御部40に設けたダイヤル(不図示)等の入力操作手段により設定される。
【0019】
この後、次のステップS3に進み、圧力センサ21,22で検出した圧力値P1,P2の取り込みを行う。すなわち、圧力センサ21,22は、検出した圧力値P1,P2を制御部40に入力する。
次のステップS4では、取り込んだ圧力値P1,P2に基づいて差圧ΔPを求め、この差圧ΔPから測定流量値Qsを算出する。
【0020】
続いて、次のステップS5に進み、オリフィス23の詰まり異常について判断する。このステップS5では、最初に設定流量値Qbと測定流量値Qsとの差である流量差ΔQを算出する。この場合の流量差ΔQは、設定流量値Qbと測定流量値Qsとの間に生じた差の絶対値である。すなわち、設定流量値Qbより測定流量値Qsが大きい場合及び少ない場合の両方において、流量差ΔQが所定値q以上(ΔQ≧q)であるか否かを判断する。換言すれば、差圧式流量計20の測定値である測定流量値Qsが、設定流量値Qb±qの範囲に入っているか否かを判断する。
【0021】
この結果、流量差ΔQが所定値qより小さいと判断されたNOの場合には、次のステップS6に進んで流量調整弁30を通常制御する。すなわち、オリフィス23の詰まり異常はないと判断され、正常時における流量調整弁30の開度制御が行われる。なお、ステップS6で流量調整弁30の通常制御を行った後には、上述したステップS2に戻り、以下同様の制御を繰り返す。
【0022】
一方、ステップS5において、流量差ΔQが所定値q以上に大きいと判断されたYESの場合には、次のステップS10に進んで継続時間を判断する。すなわち、流量差ΔQが所定値q以上となる状態の継続時間について、所定時間T以上であるか否かの判断を行うこととなる。
この結果、継続時間が所定時間Tより短いNOの場合には、オリフィス23に詰まり異常はないと判断し、上述したステップS6に進んで流量調整弁30を通常制御する。すなわち、この場合の所定時間Tは、詰まり異常により流量差ΔQが所定値q以上となっているのか、あるいは、流量制御過程において流量差ΔQが所定値q以上となっているのかを判断する基準となる。
【0023】
しかし、継続時間が所定時間T以上と長いYESの場合には、次のステップS11に進んでオリフィス23の詰まり異常と判断する。
この後、次のステップS12に進み、流量差ΔQが所定値q以上の状態は所定時間T以下であるか否かを判断する。すなわち、オリフィス23の詰まり異常状態について、所定時間Tとの比較を再度実施することにより、詰まり異常が継続しているか、あるいは解消されたかを再確認することとなる。
【0024】
上述したステップS12においてYESと判断した場合には、オリフィス23の詰まり異常が解消されていると考えられる。すなわち、流量差ΔQが所定値q以上に大きくなる状態について、継続時間が所定時間T以下と短くなったYESの場合には、オリフィス23の詰まり異常が解消されたものと判断され、上述したステップS6に進んで流量調整弁30を通常制御する。
しかし、ステップS12においてNOと判断した場合には、オリフィス23の詰まり異常が継続していると考えられる。すなわち、流量差ΔQが所定値q以上に大きくなる状態について、継続時間が所定時間Tより長くなるNOの場合には、オリフィス23の詰まり異常が継続していると判断される。従って、上述したステップS10に進み、所定時間Tに関する判断を繰り返すこととなる。
【0025】
ところで、上述したステップS11において詰まり異常と判断した場合には、制御部40から詰まり異常のアラーム信号43が出力される。このようなアラーム信号の出力については、異常と判断すればすぐに出力してもよいし、あるいは、誤報を防止するため、ステップS11〜S12のステップを繰り返すことで異常の判断が所定回数に達した時点で出力してもよい。
このような流量コントローラ10において、制御部40は、設定流量値Qbと差圧式流量計20の流量測定値Qsとを比較し、所定値以上の流量差ΔQが所定時間Tまで継続した場合にオリフィス23の詰まり異常と判断するので、新たな機器類を追設することなく容易かつ正確にオリフィス23の詰まり異常を検出することができる。
【0026】
続いて、上述した流量コントローラ10について、その第1変形例を図3及び図4に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例において、流量コントローラ10Aは、上述した実施形態の流量コントローラ10と異なり、流量調整弁30の下流に詰まり監視用圧力センサ24を設けた構成となっている。この場合の制御部40Aは、設定流量値Qbに応じて予め定まる監視用圧力センサ24の基準圧力値Pbと、監視用圧力センサ24の検出圧力値P3とを比較し、所定値Pa以上の圧力差ΔP′が所定時間Taまで継続した場合に、オリフィス23の詰まり異常と判断する。
【0027】
すなわち、図4に示すフローチャートにおいて、ステップS3′で取り込む圧力値は、圧力センサ21,22及び詰まり監視用圧力センサ24で検出した3つの圧力値P1,P2,P3となる。
また、ステップS5′、ステップS10′及びステップS12′においては、上述した実施形態の流量差ΔQに代えて、圧力値P3と基準圧力Pbとの圧力差ΔP′が判断基準として採用されている。
【0028】
すなわち、ステップS5′では、圧力差ΔP′が所定値Pa以上か否かを判断し、さらに、ステップS10′及びステップS12′では、圧力差ΔP′が所定値Pa以上となる状態について所定時間Taまで継続するか否かを判断している。
このような流量コントローラ10Aとすれば、制御部40Aは、詰まり監視用の圧力センサ24のみを追設することにより、設定流量値Qbに対応する監視用圧力センサ24の基準圧力値Pbと監視用圧力センサ24の検出圧力値P3とを比較して、容易かつ正確にオリフィス23の詰まり異常を検出することができる。
【0029】
上述したように、本発明の流量コントローラ10によれば、設定流量値Qbと差圧式流量計20の流量測定値Qsとを比較し、所定値q以上の流量差ΔQが所定時間T以上継続した場合にオリフィス23の詰まり異常と判断するので、新たな機器類を追設することなく容易かつ正確にオリフィス23の詰まり異常を検出することができる。
また、監視用圧力センサP3を追設し、設定流量値Qbに応じて予め定まる監視用圧力センサP3の基準圧力値Pbと監視用圧力センサ24の検出圧力値P3とを比較し、所定値Pa以上の圧力差ΔP′が所定時間Ta以上継続した場合にオリフィス23の詰まり異常と判断すれば、最小限の機器類追設により容易かつ正確にオリフィス23の詰まり異常を検出することができる。
【0030】
続いて、上述した流量コントローラ10について、その第2変形例を図5及び図6に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例において、流量コントローラ10Bは、上述した実施形態の流量コントローラ10と異なり、流量調整弁30の開度を示す流量調整弁パルス位置44を取り込み、この流量調整弁パルス位置44と入口圧力及び設定流量値Qbに応じて定まる基準パルス位置45とを比較する。
【0031】
この場合の流量調整弁パルス位置44は、現時点における流量調整弁30の開度(実際の開度)を示すものであり、この開度にするためアクチュエータのパルスモータを駆動させた実際のパルス位置(パルス数)である。換言すれば、流量調整弁パルス位置44は、差圧式流量計20の測定流量値Qsに応じて、流量調整弁30の開度を補正したパルス位置である。
一方、基準パルス位置45は、入口圧力及び設定流量値Qbに応じて定まる理想状態のパルス位置である。すなわち、オリフィス23の上流側にある圧力センサ21で検出した圧力値P1と、目標とする設定流量値Qbとにより定まる流量調整弁30の開度とするため、パルスモータを駆動させる理論上のパルス位置(パルス数)である。換言すれば、基準パルス位置45は、差圧式流量計20の測定流量値Qsに応じて流量調整弁30の開度を補正する前のパルス位置である。
【0032】
そして、流量コントローラ10Bでは、流量調整弁パルス位置44と基準パルス位置45とを比較し、両パルス位置間に所定時間継続してずれがある場合にオリフィス23の詰まり異常と判断する。
すなわち、図6に示すフローチャートにおいて、ステップS3Aでは流量調整弁パルス位置44が制御データとして取り込まれる。この流量調整弁パルス位置44は、ステップS4で測定流量値Qsを算出した後、ステップS5″に進んで基準パルス位置45からのずれがあるか否かを判断する。具体的には、ステップS3Aで取り込んだ流量調整弁パルス位置44と基準パルス位置45との差を求め、この差が所定値以上大きいYESの場合に次のステップS10″へ進む。
【0033】
ステップS10″では、流量調整弁パルス位置44が基準パルス位置45から所定値以上ずれた状態の継続時間を測定し、この継続時間が所定時間T以上となるYESの場合に詰まり異常と判断する。
この後、次のステップS12″に進み、流量調整弁パルス位置44が基準パルス位置45から所定値以上ずれた状態が所定時間T以下であるか否かを判断する。すなわち、オリフィス23の詰まり異常状態について、所定時間Tとの比較を再度実施することにより、詰まり異常が継続しているか、あるいは解消されたかを再確認することとなる。
【0034】
上述したステップS12″においてYESと判断した場合には、オリフィス23の詰まり異常が解消されていると考えられる。すなわち、パルス位置が所定値以上ずれた状態について、継続時間が所定時間T以下と短くなったYESの場合には、オリフィス23の詰まり異常が解消されたものと判断され、上述したステップS6に進んで流量調整弁30を通常制御する。
しかし、ステップS12″においてNOと判断した場合には、オリフィス23の詰まり異常が継続していると考えられる。すなわち、パルス位置が所定値以上ずれた状態について、継続時間が所定時間Tより長くなるNOの場合には、オリフィス23の詰まり異常が継続していると判断される。従って、上述したステップS10に進み、所定時間Tに関する判断を繰り返すこととなる。
【0035】
このような流量コントローラ10Bを採用することにより、入口圧力(圧力値P1)が変化すると同じパルス位置(開度)でも異なる流量になるという流量調整弁30の特性を利用し、容易かつ正確にオリフィス23の詰まり異常を検出することができる。
従って、本発明の流量コントローラ10,10A,10Bにおいては、凝固物等の異物がオリフィス23に付着した詰まりの状態(異常)を自動的に検出し、差圧式流量計20の流量測定値に誤差を生じるような状態で流量制御が継続されることを防止できる。
【0036】
ところで、圧力センサ21,22の故障や破損等に起因して計測値に異常が生じた場合には、上述したステップS4の測定流量値Qsが正常状態時の計測値と異なるため、結果的にオリフィス23が詰まった状態と同じになり、詰まり異常のアラーム信号43を出力する。従って、上述したアラーム機能は、圧力センサ21,22の計測値異常についてもエラーとして検知することが可能である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 直管部
10,10A,10B 流量コントローラ
20 差圧式流量計
21,22 圧力センサ
23 オリフィス
24 監視用圧力センサ
30 流量調整弁
40,40A,40B 制御部
44 流量調整弁パルス位置
45 基準パルス位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体主流路の直管部に設けた一対の圧力センサ間にオリフィスが配設され、前記圧力センサで検出した二つの圧力値により得られる差圧を流量に換算して流量測定を行う差圧式流量計と、
前記流体主流路に設けられ、前記差圧式流量計の流量測定値と予め定めた設定流量値との差が所定の範囲内に入るよう開度制御される流量調整弁と、
前記圧力センサで検出した圧力値の入力を受けて前記流量調整弁の開度制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記設定流量値と前記差圧式流量計の流量測定値とを比較し、所定値以上の流量差が所定時間継続した場合に前記オリフィスの詰まり異常と判断する流量コントローラ。
【請求項2】
前記流量調整弁の下流に詰まり監視用圧力センサを設け、前記制御部は、前記設定流量値に応じて予め定まる前記監視用圧力センサの基準圧力値と前記監視用圧力センサの検出圧力値とを比較し、所定値以上の圧力差が所定時間継続した場合に前記オリフィスの詰まり異常と判断する請求項1に記載の流量コントローラ。
【請求項3】
前記制御部は、前記流量調整弁の開度を示すパルス位置を取り込み、該パルス位置と入口圧力及び前記設定流量値に応じて定まる基準パルス位置とを比較し、所定時間継続してずれがある場合に前記オリフィスの詰まり異常と判断する請求項1に記載の流量コントローラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−186234(P2010−186234A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28529(P2009−28529)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(591257111)サーパス工業株式会社 (60)
【Fターム(参考)】