説明

流量制御弁

【課題】弁座に対する弁体の動きを非接触で正確かつ安定的に検出できる非接触式検出手段を備えた流量制御弁を提供すること。
【解決手段】EGRバルブ1は、ハウジング2の流路3に設けられた弁座4と、弁座4に着座可能な弁体5と、弁体5と一体をなす弁軸6と、弁体5と共に弁軸6を駆動するアクチュエータ7と、弁座4に対する弁体7の位置を非接触で検出するリフトセンサ8とを備える。リフトセンサ8は、アクチュエータ7と弁体5との間でハウジング2に取り付けられる。リフトセンサ8は、弁軸6に対しエアギャップを介して対向配置された磁石とホールICを含み、磁石とオールICはヨークに固定される。弁軸6、磁石、ホールIC及びヨークにより磁石の磁気が通る磁気回路が構成され、弁軸6の動きに伴い磁気回路の磁界の強さが変化し、その磁界の強さがホールICで検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、弁座に対する弁体の位置を調節することで流体の流量を制御する流量制御弁に係り、詳しくは、弁体の位置を非接触で検出する非接触式検出手段を備えた流量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載される排気ガス再循環バルブ(EGRバルブ)が知られている。このEGRバルブは、流路に設けられた弁座と、弁座に着座可能に設けられた弁体と、弁体と一体的に設けられた弁軸と、弁体と共に弁軸を駆動する駆動手段と、弁軸の端部に設けられたセンシング部と、センシング部の接近・離間によって弁体の位置を検出する検出部とを備える。センシング部のセンサブラシが検出部の電気抵抗体と接触し、その接触位置が弁軸の移動に伴って変わることで、弁座に対する弁体の位置を接触式で検出するようになっている。
【0003】
ここで、上記接触式検出手段は、電気抵抗とセンサブラシとの間に摺動部分を有することから、摺動部分の接触不良や摩耗等の経時変化により検出精度の安定性に懸念があり、検出信頼性の点で問題があった。これに対し、例えば、下記の特許文献2には、非接触式検出手段を備えた電磁式制御弁が記載されている。この制御弁は、電磁式の駆動手段により弁体と共に弁軸を駆動するように構成される。駆動手段は、弁軸を駆動するプランジャと、プランジャの周囲に固定して設けられたソレノイドと、ソレノイドにより磁化される鉄心とを備え、それらの部材により磁気回路が形成される。この磁気回路の一部となる位置に磁界の強さを検出するホールICが設けられる。これらプランジャ、ソレノイド、鉄心及びホールICにより非接触式検出手段(リフトセンサ)が構成される。そして、弁体を駆動するためにソレノイドを励磁することで、磁気回路に弁体の位置(リフト量)に対応した量の磁束が発生し、その磁界の強さがホールICにより検出され、その検出値に基づいて弁体のリフト量を推定するようになっている。
【0004】
また、下記の特許文献3には、同じく非接触式検出手段を備えたダイアフラム式のEGRバルブが記載されている。このEGRバルブは、ハウジングに設けられたダイアフラムと、ダイアフラムに一端が固定され、他端が弁座に着座可能に設けられた弁棒とを備える。このEGRバルブの非接触式検出手段は、ダイアフラム上に固定された磁石と、磁石とエアギャップを介して対向配置され、ハウジングに固定されたホール素子とを備える。そして、ダイアフラムが弁棒と一体に変位して磁石とホール素子との間隔が変わることで、ホール素子で感知される磁気の強さが変わり、その磁気の強さに基づいて弁座に対する弁棒の位置、すなわちリフト量を検出するようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−56414号公報
【特許文献2】特開2002−250468号公報
【特許文献3】特開平7−189816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献2に記載の非接触式検出手段では、ホールICで検出されるのが弁体のリフト量を推定するための磁界の強さであり、弁体のリフト量を間接的に検出することしかできず、弁体のリフト量をダイレクトに検出することはできなかった。このため、ソレノイドの励磁に応じて弁体が円滑に動いているときは問題ないものの、ソレノイドを励磁しても弁体が円滑に動かない場合、例えば、弁体が弁座に固着したような場合には、弁体が動かないにもかかわらず磁気回路に磁束が発生することから、弁体の動きが誤って検出されることとなり、弁体のリフト量を正確に検出することができなかった。
【0007】
一方、特許文献3に記載の非接触式検出手段では、弁棒と一体に磁石が移動することから、ホールICでは、弁棒の移動量をダイレクトに反映した磁界の強さを検出することができ、弁体のリフト量をダイレクトに検出することが可能である。しかしながら、この非接触式検出手段では、ダイアフラムに磁石が固定され、ハウジングにホール素子が固定されるので、EGRバルブに振動が加わった場合に、ダイアフラムとハウジングがそれぞれ別個の挙動で不規則に振動することがある。この場合、磁石とホールICとの距離が振動によって不規則に変わり、弁体のリフト量を安定的に検出できなくなる。
【0008】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、弁座に対する弁体の動きを非接触で正確かつ安定的に検出できる非接触式検出手段を備えた流量制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、流体の流路を有するハウジングと、流路に設けられた弁座と、弁座に着座可能に設けられた弁体と、弁体と一体的に設けられた弁軸と、弁体と共に弁軸を駆動するための駆動手段と、弁座に対する弁体の位置を非接触で検出するための非接触式検出手段とを備えた流量制御弁において、非接触式検出手段は、エアギャップを介して弁軸に対向して配置された磁石及び感磁素子を含み、磁石及び感磁素子は、固定部材に固定され、弁軸、磁石、感磁素子及び固定部材により磁石の磁気が通る磁気回路が構成され、弁軸の動作に伴い磁気回路の磁界の強さが可変に構成され、磁界の強さが感磁素子により検出されるように構成されたことを趣旨とする。
【0010】
上記発明の構成によれば、駆動手段により弁体と共に弁軸が駆動されることにより、弁座に対する弁体の位置が変わり、流路における流体の流量が変わる。このとき、弁座に対する弁体の位置は、非接触式検出手段により非接触で検出される。ここで、非接触式検出手段を構成する磁石及び感磁素子が、エアギャップを介して弁軸に対向して配置され、弁軸、磁石、感磁素子及び固定部材により磁石の磁気が通る磁気回路が構成される。この磁気回路の磁界の強さは、弁軸の動作に伴って可変となり、その磁界の強さが感磁素子により検出される。従って、感磁素子では、弁体と一体的に動作する弁軸の動作をダイレクトに反映した磁界の強さが検出される。また、磁石及び感磁素子が共に固定部材に固定されるので、流量制御弁に振動が加わっても、磁石及び感磁素子が同じ挙動で振動することとなり、磁石と感磁素子との距離が振動によって不規則に変わることがない。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、弁軸は、その軸線方向へ移動可能に設けられ、磁石及び感磁素子のうち少なくとも一方との間のエアギャップの大きさを弁軸の移動方向において可変とすることで磁界の強さが可変に構成されたことを趣旨とする。
【0012】
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、エアギャップの大きさを部分的に変えることで、磁界の強さを任意に変更可能となる。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、弁軸は、駆動手段と弁体との間に設けられ、磁石及び感磁素子が弁軸の外周に対向して配置されたことを趣旨とする。
【0014】
上記発明の構成によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、磁石、感磁素子及び固定部材が駆動手段と弁体との間に配置されるので、これらの部材のために別途スペースを確保する必要がない。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の発明において、ハウジングに冷却水通路が設けられられ、冷却水通路の近傍に磁石及び感磁素子が配置されたことを趣旨とする。
【0016】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3の何れか一つに記載の発明の作用に加え、磁石及び感磁素子が、冷却水通路を流れる冷却水により冷やされる。
【0017】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、流体の流路を有するハウジングと、流路に設けられた弁座と、弁座に着座可能に設けられた弁体と、弁体を駆動するための駆動手段と、弁体の駆動に同期して駆動手段の駆動力を出力する出力部材と、弁座に対する弁体の位置を非接触で検出するための非接触式検出手段とを備えた流量制御弁において、非接触式検出手段は、エアギャップを介して出力部材に対向して配置された磁石及び感磁素子を含み、磁石及び感磁素子は、固定部材に固定され、出力部材、磁石、感磁素子及び固定部材により磁石の磁気が通る磁気回路が構成され、出力部材の動作に伴い磁気回路の磁界の強さが可変に構成され、磁界の強さが感磁素子により検出されるように構成されたことを趣旨とする。
【0018】
上記発明の構成によれば、駆動手段により弁体と共に弁軸が駆動されることにより、弁座に対する弁体の位置が変わり、流路における流体の流量が変わる。このとき、弁座に対する弁体の位置は、非接触式検出手段により非接触で検出される。ここで、非接触式検出手段を構成する磁石及び感磁素子が、エアギャップを介して出力部材に対向して配置され、出力部材、磁石、感磁素子及び固定部材により磁石の磁気が通る磁気回路が構成される。出力部材は、弁体の駆動に同期して駆動手段の駆動力を出力する。この磁気回路の磁界の強さは、出力部材の動作に伴って可変となり、その磁界の強さが感磁素子により検出される。従って、感磁素子では、弁体の駆動と同期する出力部材の動作をダイレクトに反映した磁界の強さが検出される。また、磁石及び感磁素子が共に固定部材に固定されるので、流量制御弁に振動が加わっても、磁石及び感磁素子が同じ挙動で振動することとなり、磁石と感磁素子との距離が振動により不規則に変わることがない。
【0019】
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、出力部材は、その軸線方向へ移動可能に設けられ、磁石又は感磁素子との間のエアギャップの大きさを出力部材の移動方向において可変とすることで磁界の強さが可変に構成されたことを趣旨とする。
【0020】
上記発明の構成によれば、請求項5に記載の発明の作用に加え、エアギャップの大きさを部分的に変えることで、磁界の強さが任意に変更可能となる。
【0021】
上記目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、駆動手段に対し弁体とは反対側の位置に出力部材が配置され、磁石及び感磁素子の一方が出力部材の先端に対向して配置され、他方が出力部材の外周に対向して配置されたことを趣旨とする。
【0022】
上記発明の構成によれば、請求項6に記載の発明の作用に加え、磁石、感磁素子及び固定部材が、流路から最も離されることとなる。
【0023】
上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか一つに記載の発明において、感磁素子は、ホールICであることを趣旨とする。
【0024】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至7の何れか一つに記載の発明の作用に加え、感磁素子として小型で軽量なホールICが用いられる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、弁座に対する弁体の動きを非接触で正確かつ安定的に検出できる非接触式検出手段を備えた流量制御弁を得ることができる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、感磁素子による磁界の強さの検出特性の調整が可能となる。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、非接触式検出手段を備えた流量制御弁として小型化を図ることができる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れか一つに記載の発明の効果に加え、流路に高温の流体が流れても、磁石及び感磁素子の熱害を低減することができる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、弁座に対する弁体の動きを非接触で正確かつ安定的に検出できる非接触式検出手段を備えた流量制御弁を得ることができる。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加え、感磁素子による磁界の強さの検出特性の調整が可能となる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明の効果に加え、流路に高温の流体が流れても、磁石及び感磁素子の熱害を低減することができる。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の何れか一つに記載の発明の効果に加え、非接触式検出手段を小型化及び軽量化することができ、延いては流量制御弁の小型化及び軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
[第1実施形態]
以下、本発明の流量制御弁を「EGRバルブ」に具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
図1に、EGRバルブ1を正断面図により示す。EGRバルブ1は、エンジンから排出される排気ガスの一部(EGRガス)を吸気系へ戻すEGR通路に設けられ、EGRガス流量を制御するために使用される。EGRバルブ1は、ハウジング2と、ハウジング2に形成された流路3と、流路3の途中に設けられた弁座4と、弁座4に着座可能に設けられた弁体5と、弁体5と一体的に設けられた弁軸6と、弁体5と共に弁軸6を駆動するための駆動手段としてのアクチュエータ7と、弁座4に対する弁体5の位置(弁体5のリフト量)を非接触で検出するための非接触式検出手段としてのリフトセンサ8とを備える。
【0035】
ハウジング2に形成された流路3の両端は、EGRガスが導入される入口3aと、EGRガスが導出される出口3bとなっている。弁座4は、流路3の途中に設けられ、流路3に連通する弁孔4aを有する。
【0036】
弁軸6は、アクチュエータ7と弁体5との間に設けられ、ハウジング2を垂直に貫通して配置される。弁体5は、弁軸6の下端に固定され、円錐形状をなし、その円錐面が弁座4に対して当接又は離間するようになっている。弁軸6の上端には、スプリング受9が一体に設けられる。弁軸6は、ハウジング2に対しスラスト軸受10,11を介して上下動可能に設けられる。
【0037】
アクチュエータ7は、コイル21を含むステータ22と、ステータ22の内側に設けられたマグネットロータ23と、マグネットロー23の内側に設けられた出力部材として出力軸24とを含む。これらの部材21〜24等が樹脂製のケーシング25によりモールドされて覆われる。ケーシング25には、横へ突出したコネクタ26が一体に形成される。コネクタ26には、コイル21から延びる端子27が設けられる。
【0038】
出力軸24は、外周に雄ネジ24aを有する。出力軸24の下端部は、弁軸6のスプリング受9に連結される。マグネットロータ23は、ロータ本体28と、ロータ本体28の外周に一体的に設けられた円環状のプラスチックマグネット29とを含む。ロータ本体28の上端部外周には、ケーシング25との間にラジアル軸受30が設けられる。プラスチックマグネット29の下端部内周には、スラスト軸受10との間にラジアル軸受31が設けられる。これら上下のラジアル軸受30,31によりマグネットロータ23がステータ22の内側で回転可能に支持される。ロータ本体28の中心には、出力軸24の雄ネジ24aに螺合する雌ネジ28aが形成される。マグネットロータ23と、下側のラジアル軸受31との間には、圧縮スプリング32が設けられる。弁軸6のスプリング受9と、下側のラジアル軸受31との間には、弁軸6をマグネットロータ23へ付勢する圧縮スプリング33が設けられる。出力軸24の雄ネジ24aとロータ本体28の雌ネジ28aとの螺合状態において、ロータ本体28と共にマグネットロータ23が回転することにより、出力軸24が回転しながらスラスト方向へ、すなわち図1において上下方向へストローク運動する。この出力軸24のストローク運動により、弁体5と共に弁軸6が上下方向へストローク運動する。このように、マグネットロータ23の回転運動を弁体5と弁軸6のストローク運動へ直接に変換できることから、変換時にマグネットロータ23と弁軸6との位置関係や作動タイミングのズレを最小限に抑えることができる。この結果、弁体5のリフト量を精度良く制御することができる。
【0039】
図1に示すように、弁体5が弁座4に着座した全閉状態では、スプリング受9がロータ本体28に係合して回り止めされるようになっている。これにより、全閉時を基準として、弁軸6及び出力軸24の回転位置とロータ本体28の回転位置との相互関係を常に一定状態に保つようになっている。この結果、弁体5のリフト量を長期間にわたって高精度に制御することができる。
【0040】
リフトセンサ8は、別部品として構成され、ハウジング2に形成された組付穴12に組み付けられる。この組付状態において、リフトセンサ8の先端部は、弁軸6と垂直に交差している。図2に、リフトセンサ8を一部破断して平面図により示す。図3に、リフトセンサ8を側面図により示す。リフトセンサ8は、弁体5のリフト量を検出するセンサ部41と、外部配線に接続されるコネクタ部42とから構成される。センサ部41は、平面視でコ字状(チャネル状)をなす固定部材としての金属製のヨーク43と、そのヨーク43の一方の開放端内側に固定された磁石44と、そのヨーク43の他方の開放端内側に固定された感磁素子としてのホールIC45と、ホールIC45に接続された配線46とを含む。これらの部品43〜46が、樹脂製のケーシング47によりモールドされて覆われる。コネクタ部42は、センサ部41の配線46に接続される端子48を備え、その端子48が樹脂製のケーシング49によりモールドされて覆われる。
【0041】
センサ部41の先端部には、図2に示すように、ヨーク43の形状に合わせた溝50が設けられる。この溝40は、上下方向に貫通すると共に、開放側がセンサ部41の先端側へ向いている。このリフトセンサ8は、EGRバルブ1の製造過程の最後に、組付穴12に差し込むことで組み付けることができる。このとき、センサ部41の溝50に弁軸6を受け入れ、溝50の中を弁軸6が貫通するように、センサ部41が弁軸6に組み付けられる。この組み付け状態において、弁軸6は、溝50の中で磁石44とホールIC45との間にエアギャップ51a,51bを介して配置される。このように、リフトセンサ8は、エアギャップ51a,51bを介して弁軸6に対向して配置された磁石44及びホールIC45を含み、磁石44及びホールIC45はヨーク43に固定される。そして、弁軸6、磁石44、ホールIC45及びヨーク43により磁石44の磁気が通る磁気回路が構成される。図4に、弁軸6、磁石44、ホールIC45及びヨーク43の間で構成される磁気回路52を概念図により示す。磁気回路52の磁界は、ホールIC45を貫通するようにホールIC45に作用する。このときホールIC45に電流を流すことにより、磁界の強さに応じた起電力がホールIC45に発生する。この起電力の大きさは、ホールIC45を通る磁界の強さに比例することとなる。
【0042】
図5及び図6に、センサ部41の先端部分を図3のA−A線断面図により示す。図5は、「バルブ閉」のとき、すなわち弁体5が弁座4に着座した全閉状態のときの弁軸6とセンサ部41の関係を示す。図6は、「バルブ開」のとき、すなわち弁体5が弁座4から最大限離間した全開状態のときの弁軸6とセンサ部41の関係を示す。センサ部41と対応する弁軸6の外周の一部には、所定幅の切欠き6aが形成される。この切欠き6aは、図5に示すように、「バルブ閉」(全閉状態)のときは、わずかに端の部分のみが磁石44と対向し、図6に示すように、「バルブ開」(全開状態)のときは、大部分が最大限に磁石44と対向するようになっている。磁石44と切欠き6aの対向面積は、図5に示す状態から図6に示す状態までの間で、弁軸6のストローク運動に伴い、すなわち弁体5のリフト量の変化に応じて可変となっている。このように磁石44と切欠き6aの対向面積が変化することで、上記した磁気回路52の磁界の強さが変化するように構成される。すなわち、弁軸6の動作に伴い磁気回路52の磁界の強さが可変に構成される。この実施形態では、弁軸6は、その軸線方向へストローク運動可能に設けられ、弁軸6の外周と磁石44との間のエアギャップ51aの大きさを弁軸6のストローク運動の方向において可変とすることで磁気回路52の磁界の強さが可変に構成される。そして、磁気回路52の磁界の強さの変化がホールIC45により検出されるように構成される。このホールIC45の検出値から弁体5のリフト量を換算できるようになっている。
【0043】
また、この実施形態では、図1に示すように、EGRバルブ1を冷却するために、ハウジング2に冷却水通路13が設けられられる。この冷却水通路13には、エンジンの運転時に冷却水が流れるようになっている。冷却水通路13は、センサ部41の先端部に近接して配置される。これにより、上記した磁石44及びホールIC45が冷却水通路13の近傍に配置されるようになっている。
【0044】
以上説明したこの実施形態のEGRバルブ1によれば、アクチュエータ7により弁体5と共に弁軸6がストローク運動することにより、弁座4に対する弁体5の位置、すなわち弁体5のリフト量が変わり、流路3におけるEGRガスの流量が変わる。このとき、弁体5のリフト量は、リフトセンサ8により非接触で検出される。ここで、リフトセンサ8を構成する磁石44及びホールIC45が、エアギャップ51a,51bを介して弁軸6に対向して配置され、弁軸6、磁石44、ホールIC45及びヨーク43により磁石44の磁気が通る磁気回路52が構成される。この磁気回路52の磁界の強さは、弁軸6のストローク運動に伴って可変となり、その磁界の強さがホールIC45により検出される。従って、ホールIC45では、弁体5と一体的に動作する弁軸6のストローク運動をダイレクトに反映した磁界の強さが検出される。このため、この実施形態のリフトセンサ8によれば、弁座4に対する弁体5の動きを非接触でダイレクトに正確に検出することができる。また、磁石44及びホールIC45が共にヨーク43に固定されるので、EGRバルブ1に振動が加わっても、磁石44及びホールIC45が同じ挙動で振動することとなり、磁石44とホールIC45との距離が振動により不規則に変わることがない。このため、この実施形態のリフトセンサ8によれば、弁座4に対する弁体5の動きを非接触で安定的に検出することができる。つまり、この実施形態では、弁座4に対する弁体5の動きを非接触で正確かつ安定的に検出できるリフトセンサ8を備えたEGRバルブ1を得ることができる。
【0045】
この実施形態のリフトセンサ8によれば、弁体5のリフト量を非接触で検出できることから、接触不良による誤検出がなく、リフトセンサ8としての信頼性を向上させることができる。また、この実施形態では、リフトセンサ8を構成するセンサ部41の先端部に溝50が設けられ、リフトセンサ8を組付穴12に組み付けるときに、この溝50に弁軸6を受け入れるように、溝50の中を弁軸6が貫通するように、センサ部41が弁軸6に組み付けられる。このため、組付穴12にリフトセンサ8を差し込むだけでリフトセンサ8をハウジング2に組み付けることができ、リフトセンサ8の組付性を向上させることができる。
【0046】
この実施形態では、弁軸6の一部に切欠き6aを設け、弁軸6のストローク運動に伴い磁石44との間のエアギャップ51aの対向面積を変えるようになっている。このため、切欠き6aの大きさや形状を任意に変えることで、エアギャップの大きさを部分的に変更することが可能となり、これにより磁気回路52の磁界の強さを任意に変更することが可能となる。このため、ホールIC45による磁界の強さの検出特性を、必要に応じて任意に調整することが可能となる。
【0047】
この実施形態では、磁石44、ホールIC45及びヨーク43を含むリフトセンサ8のセンサ部41が、アクチュエータ7と弁体5との間に配置される。従って、センサ部41をハウジング2の中のスペースに設けることができ、センサ部41のために別途スペースを確保する必要がない。このため、リフトセンサ8を備えたEGRバルブ1として小型化を図ることができる。
【0048】
この実施形態では、センサ部41の磁石44及びホールIC45が冷却水通路13の近傍に配置されるので、磁石44及びホールIC45が冷却水通路13を流れる冷却水により冷やされる。このため、ハウジング2の流路3に高温のEGRガスが流れても、磁石44及びホールIC45の熱害を低減することができる。
【0049】
また、この実施形態では、感磁素子として小型で軽量なホールIC45が用いられるので、リフトセンサ8を小型化及び軽量化することができ、延いてはEGRバルブ1の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0050】
[第2実施形態]
次に、本発明の流量制御弁を「EGRバルブ」に具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の各実施形態では、第1実施形態と同等の構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
【0051】
この実施形態では、主としてリフトセンサ18の構成の点で第1実施形態と構成が異なる。図7に、EGRバルブ1を正断面図により示す。図8に、リフトセンサ18を正面図により示す。図9に、リフトセンサ18を図8のB−B線断面図により示す。リフトセンサ18は、ハウジング2の組付穴12に組み付けられる。この組付状態において、リフトセンサ18の先端部は、弁軸6と垂直に交差するように設けられる。リフトセンサ18は、センサ部41とコネクタ部42を備える。センサ部41が、ヨーク43、磁石44、ホールIC45及び配線46を含み、これらの部品43〜46がケーシング47により覆われているのは、第1実施形態のそれと同じである。コネクタ部42が、端子48を備え、その端子48がケーシング49により覆われているのも、第1実施形態のそれと同じである。
【0052】
この実施形態では、図9に示すように、センサ部41のヨーク43の向きが第1実施形態とそれと逆になっており、これによりヨーク43の形状に合わせた溝50の向きも第1実施形態のそれとは逆になっている。すなわち、この溝40は、上下方向に貫通すると共に、開放側がコネクタ部42へ向いている。このため、このリフトセンサ18は、EGRバルブ1の製造過程の途中で、ハウジング2に弁軸6を組み付ける前に組付穴12に差し込むことになる。その後、センサ部41の溝50を貫通するように弁軸6をハウジング2に組み付ける。この組み付け状態において、弁軸6は、溝50の中で磁石44とホールIC45との間にエアギャップ51a,51bを介して配置される。このように、リフトセンサ18は、エアギャップ51a,51bを介して弁軸6に対向して配置された磁石44及びホールIC45を含み、磁石44及びホールIC45はヨーク43に固定される。そして、弁軸6、磁石44、ホールIC45及びヨーク43により磁石44の磁気が通る磁気回路が構成される。
【0053】
図10及び図11に、センサ部41の先端部分を図8のC−C線断面図により示す。図10は、「バルブ閉」のときの弁軸6とセンサ部41の関係を示す。図11は、「バルブ開」のときの弁軸6とセンサ部41の関係を示す。この実施形態でも、センサ部41と対応する弁軸6の外周の一部には、所定幅の切欠き6aが形成される。この切欠き6aは、図10に示すように、「バルブ閉」(全閉状態)のときは、わずかに端の部分のみが磁石44と対向し、図11に示すように、「バルブ開」(全開状態)のときは、大部分が最大限に磁石44と対向するようになっている。磁石44と切欠き6aの対向面積は、図10に示す状態から図11に示す状態までの間で、弁軸6のストローク運動に伴い、すなわち弁体5のリフト量の変化に応じて可変となっている。このように磁石44と切欠き6aの対向面積が変化することで、上記した磁気回路52の磁界の強さが変化する構成は、第1実施形態のそれと同じである。
【0054】
この実施形態のEGRバルブ1では、リフトセンサ18に係る構成以外の点では第1実施形態のそれと同じである。従って、この実施形態でも、第1実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
【0055】
[第3実施形態]
次に、本発明の流量制御弁を「EGRバルブ」に具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0056】
図12に、この実施形態のEGRバルブ61を正断面図により示す。図13に、リフトセンサ62の主要構成を正断面図により示す。図14に、リフトセンサ62の主要構成を底面図により示す。この実施形態では、リフトセンサ62がアクチュエータ7の上部に一体に設けられる点で前記各実施形態と構成が異なる。すなわち、この実施形態では、出力軸24の上端に雄ネジ24aのない円柱形のストレートニードル63が一体に形成される。このニードル63は、上側のラジアル軸受31よりも上方へ突出して配置される。つまり、アクチュエータ7に対し弁体5とは反対側の位置に出力軸24のニードル63が配置される。このニードル63を上から囲むように、正面視でコ字状(チャネル状)をなす金属製のヨーク43が開放端を下へ向けて配置される。このヨーク43の両開放端内側にはそれぞれ磁石44が固定され、ヨーク43の中間部内側に対応してホールIC45が配置される。ヨーク43の内側はモールドされたケーシング25の樹脂により覆われ、ヨーク43の形状に合わせた溝64が設けられる。この溝64の中を、ニードル63が出力軸24と共に軸線方向へストローク運動可能に設けられる。2つの磁石44は、エアギャップ65a,65bを介してニードル63の外周に対向して配置され、ホールIC45は、エアギャップ65cを介してニードル63の先端に対向して配置される。これらの部品43〜45が、ケーシング25によりモールドされて覆われることでリフトセンサ62が構成される。ホールIC45から延びる配線(図示略)は、コネクタ26に配置される。
【0057】
図15〜図17に、リフトセンサ62の主要構成と作用を正断面図により示す。図15〜図17に示すように、ニードル63は、溝64の中を、軸線方向へストローク運動する。このニードル63のストローク運動は、出力軸24、弁軸6及び弁体5のストローク運動と同期したものである。ニードル63のストローク運動に伴い、ニードル63の先端とホールIC45との間のエアギャップ65cは変化するが、各磁石44とニードル63の外周との間のエアギャップ65a,65bは変化しない。そして、ニードル63、2つの磁石44、ホールIC45及びヨーク43により磁石44の磁気が通る磁気回路が構成される。図18に、リフトセンサ62の主要構成を底面図により示す。図19に、ニードル63、2つの磁石44、ホールIC45及びヨーク43の間で構成される磁気回路66A,66Bを概念図により示す。この実施形態では、図18に示すように、各磁石44のN極側がヨーク43に接し、S極側が溝64に面して配置される。磁気回路66A,66Bの磁界は、各磁石44ごとに形成され、ホールIC45からニードル63へ、ニードル63から各磁石44へ、各磁石44からヨーク43へ、ヨーク43からホールIC45へ向けて磁束が流れる。この磁束は、ホールIC45を貫通するようにホールIC45に作用する。このときホールIC45に電流を流すことにより、磁界の強さに応じた起電力が発生する。この起電力の大きさは、ホールIC45を通る磁界の強さ(感磁力)に比例することとなる。図20に、ストレートニードル63の先端からホールIC45までの距離(ニードル距離)と、ホールIC45による感磁力との関係をグラフにより示す。このグラフから明らかなように、ホールIC45の感磁力は、ニードル距離の増加に伴い反比例して減少することが分かる。このように、ニードル63のストローク運動に伴い磁気回路66A,66Bの磁界の強さが可変に構成され、その磁界の強さがホールIC45により検出されるように構成される。このように、ホールIC45との間のエアギャップ65cの大きさをニードル63のストローク運動の方向において可変とすることで、磁気回路66A,66Bの磁界の強さが可変に構成される。
【0058】
なお、図21に、図18に準ずるリフトセンサ62の主要構成を底面図により示す。図22に、図19に準ずるニードル63、2つの磁石44、ホールIC45及びヨーク43の間で構成される磁気回路66A,66Bを概念図により示す。図21に示すように、図18とは逆に、各磁石44のS極側がヨーク43に接し、N極側が溝64に面して配置される。この場合は、図22に示すように、磁気回路66A,66Bの磁束の流れは、図19に示す向きとは逆向きとなる。
【0059】
以上説明したこの実施形態のEGRバルブ61によれば、アクチュエータ7により弁体5と共に弁軸6がストローク運動することにより、弁体5のリフト量が変わり、流路3におけるEGRガスの流量が変わる。このとき、弁体5のリフト量は、アクチュエータ7と一体に設けられたリフトセンサ62により非接触で検出される。ここで、リフトセンサ62を構成する2つの磁石44が、エアギャップ65a,65bを介してニードル63の外周に対向して配置され、ホールIC45が、エアギャップ65cを介してニードル63の先端に対向して配置される。また、ニードル63、2つの磁石44、ホールIC45及びヨーク43により磁石44の磁気が通る磁気回路66A,66Bが構成される。ニードル63を備えた出力軸24は、弁体5のストローク運動に同期してアクチュエータ7の駆動力を出力するものである。この磁気回路66A,66Bの磁界の強さは、出力軸24と一体のニードル63の動作に伴って可変となり、その磁界の強さがホールIC45により検出される。従って、ホールIC45では、弁体5のストローク運動と同期するニードル63のストローク運動をダイレクトに反映した磁界の強さが検出される。このため、この実施形態のリフトセンサ62によれば、弁座4に対する弁体5の動きを非接触でダイレクトに正確に検出することができる。また、2つの磁石44及びホールIC45が共にヨーク43に固定されるので、EGRバルブ61に振動が加わっても、2つの磁石44及びオールIC45が同じ挙動で振動することとなり、2つの磁石44とホールIC45との距離が振動により不規則に変わることがない。このため、この実施形態のリフトセンサ62によれば、弁座4に対する弁体5の動きを非接触で安定的に検出することができる。つまり、この実施形態では、弁座4に対する弁体5の動きを非接触で正確かつ安定的に検出できるリフトセンサ62を備えたEGRバルブ61を得ることができる。
【0060】
また、この実施形態では、アクチュエータ7に対し弁体5とは反対側の位置にニードル63が配置され、2つの磁石44がニードル63の外周に対向して配置され、ホールIC45がニードル63の先端に対向して配置される。従って、磁石44、ホールIC45及びヨーク43が、ハウジング2の流路3から最も離される。このため、流路3に高温のEGRガスが流れても、磁石44及びホールIC45の熱害を低減することができる。この実施形態のその他の作用効果は、第1実施形態のそれと同じである。
【0061】
[第4実施形態]
次に、本発明の流量制御弁を「EGRバルブ」に具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0062】
図23に、この実施形態のEGRバルブ61を正断面図により示す。図24〜図26に、リフトセンサ62の主要構成及び作用を正断面図により示す。この実施形態では、リフトセンサ62のニードル67の形状の点で前記第3実施形態と構成が異なる。すなわち、前記第3実施形態では、円柱形のストレートニードル63が使用されたのに対し、この実施形態では、先端へ向かって拡径するテーパ形状をなすテーパ状ニードル67が使用される。このようにテーパ状ニードル67を使用することから、図24〜図26に示すように、ニードル67がストローク運動することで、ニードル67の先端とホールIC45とのエアギャップ65cが大きくなる、すなわちニードル距離が大きくなる。また、このニードル距離の増加に伴い、ニードル67の外周と各磁石44とのエアギャップ65a,65bが小さくなる。図27に、図20に準ずるニードル距離と感磁力との関係をグラフにより示す。このグラフから明らかなように、この実施形態のテーパ状ニードル67による感磁力の特性は、ニードル距離の増加に伴い反比例的に減少するが、第3実施形態のストレートニードル63のそれに比べて特性に直線性が出ることが分かる。このように、テーパ状ニードル67のストローク運動に伴い磁気回路の磁界の強さが可変に構成され、その磁界の強さがホールIC45により検出されるように構成される。
【0063】
この実施形態のEGRバルブ61では、テーパ状ニードル67以外の構成は、第3実施形態のそれと同じである。従って、この実施形態でも、第3実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
【0064】
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することができる。
【0065】
(1)前記各実施形態では、感磁素子としてホールIC45を使用したが、感磁素子としてホール素子、磁気抵抗素子(MR素子)及び磁気抵抗IC等を使用してもよい。
【0066】
(2)前記第1及び第2の実施形態では、磁石44及びホールIC45のうち磁石44との間のエアギャップ51aの大きさを弁軸6の移動方向において可変とすることで磁界の強さを可変に構成した。これに対し、磁石及びホールICのうちホールICとの間のエアギャップの大きさを弁軸の移動方向において可変とすることで磁界の強さを可変に構成してもよい。あるいは、磁石44及びホールIC45との間のエアギャップの大きさを弁軸の移動方向において可変とすることで磁界の強さを可変に構成してもよい。
【0067】
(3)前記第3及び第4の実施形態では、ニードル63,67の外周に2つの磁石44を対向して配置したが、1つの磁石を対向して配置してもよい。
【0068】
(4)前記第3及び第4の実施形態では、ニードル63,67の先端にホールIC45を対向して配置し、ニードル63,67の外周に2つの磁石44を対向して配置したが、1つの磁石をニードルの先端に対向して配置し、1つのホールICをニードルの外周に対向して配置してもよい。
【0069】
(5)前記各実施形態では、本発明の流量制御弁をEGRバルブ1,61に具体化したが、EGRバルブ以外の弁に具体化することもできる。
【0070】
(6)前記第3及び第4の実施形態では、図13に示すように、ヨーク43と、2つの磁石44及びホールIC45をケーシング25の樹脂と一体にモールドした。ここで、ヨーク43の内側では、ホールIC45のみが樹脂に囲まれ、2つの磁石44は、樹脂の端に接するだけとなっている。これに対し、図28に示すように、ヨーク43、2つの磁石44及びホールIC45を予めモールド樹脂68で覆ってアッセンブリ化し、そのアッセンブリをケーシング25の樹脂と一体にモールドしてもよい。この場合、ヨーク43の内側にて、ホールIC45をモールド樹脂68で囲み、2つの磁石44をモールド樹脂68で覆う。また、ヨーク43の開放端には、外側に突起43aを形成し、この突起43aを巻き込むようにヨーク43の開放端部をモールド樹脂68で覆う。
【0071】
(7)前記第3及び第4の実施形態において、図29に示すように、ヨーク43、磁石44及びホールIC45を予めモールド樹脂68で覆ってアッセンブリ化し、そのアッセンブリをケーシング25の樹脂と一体にモールドしてもよい。この場合、ヨーク43の内側にて、ホールIC45をモールド樹脂68で囲み、2つの磁石44をモールド樹脂68で覆う。また、ヨーク43の開放端もモールド樹脂68で覆うが、図28とは異なり、ヨーク43の開放端の外面にはモールド樹脂68をはみ出さない。ここで、ヨーク43からの樹脂抜けを防止するために、ヨーク43の内面に凹み43bを形成し、樹脂をモールドするときに樹脂の一部を凹み43bに流れ込ませて係合させる。
【0072】
(8)前記(6)の別例では、図28に示すように、ヨーク43と、2つの磁石44及び1つのホール素子45をモールド樹脂68で覆ったが、図30に示すように、ヨーク43Aと、1つの磁石44と、1つのホール素子45をモールド樹脂68で覆ってもよい。この場合、ヨーク43AをL字形に形成するが、モールド樹脂68を含めて全体を左右対称のコ字状(チャネル状)に形成することで、その内側に溝64を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1実施形態に係り、EGRバルブを示す正断面図。
【図2】第1実施形態に係り、リフトセンサを一部破断して示す平面図。
【図3】第1実施形態に係り、リフトセンサを示す側面図。
【図4】第1実施形態に係り、弁軸、磁石、ホール及びヨークの間で構成される磁気回路を示す概念図。
【図5】第1実施形態に係り、センサ部の先端部分を示す図3のA−A線断面図。
【図6】第1実施形態に係り、センサ部の先端部分を示す図3のA−A線断面図。
【図7】第2実施形態に係り、EGRバルブを示す正断面図。
【図8】第2実施形態に係り、リフトセンサを示す正面図。
【図9】第2実施形態に係り、リフトセンサを示す図8のB−B線断面図。
【図10】第2実施形態に係り、センサ部の先端部分を示す図8のC−C線断面図。
【図11】第2実施形態に係り、センサ部の先端部分を示す図8のC−C線断面図。
【図12】第3実施形態に係り、EGRバルブを示す正断面図。
【図13】第3実施形態に係り、リフトセンサの主要構成を示す正断面図。
【図14】第3実施形態に係り、リフトセンサの主要構成を示す底面図。
【図15】第3実施形態に係り、リフトセンサの主要構成と作用を示す正断面図。
【図16】第3実施形態に係り、リフトセンサの主要構成と作用を示す正断面図。
【図17】第3実施形態に係り、リフトセンサの主要構成と作用を示す正断面図。
【図18】第3実施形態に係り、リフトセンサの主要構成を示す底面図。
【図19】第3実施形態に係り、ニードル、2つの磁石、ホール及びヨークの間で構成される磁気回路を示す概念図。
【図20】第3実施形態に係り、ニードル距離と感磁力との関係を示すグラフ。
【図21】第3実施形態に係り、リフトセンサの主要構成を示す底面図。
【図22】第3実施形態に係り、ニードル、2つの磁石、ホール及びヨークの間で構成される磁気回路を示す概念図。
【図23】第4実施形態に係り、EGRバルブを示す正断面図。
【図24】第4実施形態に係り、リフトセンサの主要構成と作用を示す正断面図。
【図25】第4実施形態に係り、リフトセンサの主要構成と作用を示す正断面図。
【図26】第4実施形態に係り、リフトセンサの主要構成と作用を示す正断面図。
【図27】第4実施形態に係り、ニードル距離と感磁力との関係を示すグラフ。
【図28】別の実施形態に係り、リフトセンサの主要構成を示す正断面図。
【図29】別の実施形態に係り、リフトセンサの主要構成を示す正断面図。
【図30】別の実施形態に係り、リフトセンサの主要構成を示す正断面図。
【符号の説明】
【0074】
1 EGRバルブ(流量制御弁)
2 ハウジング
3 流路
4 弁座
5 弁体
6 弁軸
7 アクチュエータ(駆動手段)
8 リフトセンサ(非接触式検出手段)
9 スプリング受
13 冷却水通路
18 リフトセンサ(非接触式検出手段)
24 出力軸(出力部材)
43 ヨーク(固定部材)
43A ヨーク(固定部材)
44 磁石
45 ホールIC(感磁素子)
51a エアギャップ
51b エアギャップ
52 磁気回路
61 EGRバルブ(流量制御弁)
62 リフトセンサ(非接触式検出手段)
63 ストレートニードル
65a エアギャップ
65b エアギャップ
65c エアギャップ
66A 磁気回路
66B 磁気回路
67 テーパ状ニードル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路を有するハウジングと、
前記流路に設けられた弁座と、
前記弁座に着座可能に設けられた弁体と、
前記弁体と一体的に設けられた弁軸と、
前記弁体と共に前記弁軸を駆動するための駆動手段と、
前記弁座に対する前記弁体の位置を非接触で検出するための非接触式検出手段と
を備えた流量制御弁において、
前記非接触式検出手段は、エアギャップを介して前記弁軸に対向して配置された磁石及び感磁素子を含み、前記磁石及び前記感磁素子は、固定部材に固定され、前記弁軸、前記磁石、前記感磁素子及び前記固定部材により前記磁石の磁気が通る磁気回路が構成され、前記弁軸の動作に伴い前記磁気回路の磁界の強さが可変に構成され、前記磁界の強さが前記感磁素子により検出されるように構成されたことを特徴とする流量制御弁。
【請求項2】
前記弁軸は、その軸線方向へ移動可能に設けられ、前記磁石及び前記感磁素子のうち少なくとも一方との間の前記エアギャップの大きさを前記弁軸の移動方向において可変とすることで前記磁界の強さが可変に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の流量制御弁。
【請求項3】
前記弁軸は、前記駆動手段と前記弁体との間に設けられ、前記磁石及び前記感磁素子が前記弁軸の外周に対向して配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の流量制御弁。
【請求項4】
前記ハウジングに冷却水通路が設けられられ、前記冷却水通路の近傍に前記磁石及び前記感磁素子が配置されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の流量制御弁。
【請求項5】
流体の流路を有するハウジングと、
前記流路に設けられた弁座と、
前記弁座に着座可能に設けられた弁体と、
前記弁体を駆動するための駆動手段と、
前記弁体の駆動に同期して前記駆動手段の駆動力を出力する出力部材と、
前記弁座に対する前記弁体の位置を非接触で検出するための非接触式検出手段と
を備えた流量制御弁において、
前記非接触式検出手段は、エアギャップを介して前記出力部材に対向して配置された磁石及び感磁素子を含み、前記磁石及び前記感磁素子は、固定部材に固定され、前記出力部材、前記磁石、前記感磁素子及び前記固定部材により前記磁石の磁気が通る磁気回路が構成され、前記出力部材の動作に伴い前記磁気回路の磁界の強さが可変に構成され、前記磁界の強さが前記感磁素子により検出されるように構成されたことを特徴とする流量制御弁。
【請求項6】
前記出力部材は、その軸線方向へ移動可能に設けられ、前記磁石又は前記感磁素子との間の前記エアギャップの大きさを前記出力部材の移動方向において可変とすることで前記磁界の強さが可変に構成されたことを特徴とする請求項5に記載の流量制御弁。
【請求項7】
前記駆動手段に対し前記弁体とは反対側の位置に前記出力部材が配置され、前記磁石及び前記感磁素子の一方が前記出力部材の先端に対向して配置され、他方が前記出力部材の外周に対向して配置されたことを特徴とする請求項6に記載の流量制御弁。
【請求項8】
前記感磁素子は、ホールICであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一つに記載の流量制御弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−78002(P2010−78002A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244390(P2008−244390)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】