説明

浮動フロントエンド増幅器及び1線測定装置

本発明は、浮動フロントエンド増幅器及び1線測定装置に関するものである。主要な特徴によれば、本発明は、電源を有するフォロワ増幅器に関するものであり、この電源は、関係する周波数に対して、電源の電位がフォロワの電位にできる限り近くなるように、被制御の電圧源によってバイアスをかけられる。本発明の主目的は、非常に優れた性能(非常に高い入力インピーダンス及び1に非常に近いゲイン)を有する、生体電位及びインピーダンス測定用のフロントエンド電子回路を提案することにある。好適例では、明らかなガード電極、及びベルトにある明らかな電子装置はもはや必要でなくなり、すべての電極が、測定部位に直接配置された装置内に埋め込まれる。さらに、提案するフロントエンド電子回路は、ケーブル配線及びコネクタの大幅な簡略化を可能にする、というのは、すべての装置が、電位基準兼電流帰還用の(理論的最小限である)1本の配線のみに接続されるからである。好適例では、この配線は、電気絶縁さえも必要とせず、そしてシャツの布地内、着衣内、網目内、ベルト内、等に埋め込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮動(非接地)フロントエンド増幅器及び1線測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1線測定装置は特に、生体電位(例えばECG(electrocardiography:心電図))及び/またはインピーダンス測定値(例えば呼吸)からのバイタルサイン(生存兆候)及びパラメータを監視する分野で用いることができる。
【0003】
生体電位は、人体または動物体の何らかの電気的な生理的過程についての情報を提供する。測定装置と体との接点において電極が用いられる。通常、電極は皮膚に当てるが、他の所とすることもできる。電極は、体内に挿入される針状(ニードル)電極とすることもできる。
【0004】
体と電極との接点は一般に、イオン電流を金属電流に変換する化学電池である。通常、電極と体との間にゲルを用いて接触抵抗を減少させ、結果的にノイズ及び動きアーティファクトを減少させる。しかし、一部の測定装置は乾燥電極を用いる。さらに、一部の電極は完全に絶縁され、変位(AC)電流のみを捕捉する。
【0005】
代表的な生体電位はECG(またはEKG)、即ち心電図記録である。他のものは、例えばEEG(electroencephalography:脳波記録)、EOG(electro-oculography:眼電図)、EMG(electromyography:筋電図)、等である。図1に、12リード(線)のMason-Likar ECGシステム(登録商標)を示す。図の左側は粘着電極の配置を示し、右側は、貼り付けた電極と受給電するために使用するフロントエンド電子回路の代表的な概略図を示す。
【0006】
電子回路は通常、電極から分離して配置され、ベルトにある小型記録器内(ホルター(登録商標)のシステム)またはベッド脇の箱内にある。しかし、特にEEG(弱信号)用または絶縁電極(非常に高インピーダンス)用には、電子システムの一部を電極内に配置して、ノイズをできる限り低く保つことができる。こうした電極は「能動(アクティブ)電極」と呼ばれる。
【0007】
図1では、フォロワとして接続された、即ち1のゲインを有する演算増幅器を、電極電位のバッファとして用いている。これらのフォロワは、高い入力インピーダンス及び低い出力インピーダンスを与える。
【0008】
電気ケーブルはシールド(遮蔽)されている。このシールドは、フォロワの出力電圧によって駆動される際に最適である。一方では、このシールドは外乱の容量結合から保護し、他方では、フォロワのゲインgが厳密に1であれば、このシールドは入力インピーダンスを増幅器の入力インピーダンスに制限する。現実の世界では、フォロワ演算増幅器のCMRR(common mode rejection ratio:同相(コモンモード)除去比)は無限大ではなく、このことはgが厳密に1ではないことを意味する。これにより、電極配線とそのシールドとの間の寄生分路(シャント)容量の不完全な相殺が生じ、この容量は実際にCp(1−g)に低減され、即ち、gが厳密に1である場合にしか0に等しくない。
【0009】
3つの電極R、L、及びFで測定した電位を3つの抵抗によって平均して、いわゆるウィルソンの中心端子Wにもっていく。この電位は、フィードバックフィルタ及びいわゆるガード駆動電極G(時として「右脚駆動電極」とも称する)を用いて電気接地(即ち0V)に等しく設定する。代表的なフィードバックフィルタの伝達関数は、符号反転付きの積分器、即ち−1/sTであり、ここにsはラプラス変数であり、Tは閉ループの周波数に対応する時定数である。他の電極、即ちV1〜V6は、ウィルソン端子Wに対して、いわゆる胸部誘導を測定する。
【0010】
この測定装置の電極Gを通した入力インピーダンスは非常に低く、体と測定装置との容量結合から生じる幹線による外乱電流が、なるべく測定装置を通らずに電極Gを通って流れることを可能にする。このようにして、生体電位に対する幹線の影響が最小化される。
【0011】
ECG電極は通常、使い捨ての粘着性ゲル電極であり、医師または訓練された看護師が適所に直接塗布する。そして、これらの電極は配線(電極毎に異なる配線)に接続される。これらの配線は記録器に接続され、記録器は、通常はベルトに配置される小型電子装置である。これらの配線は時として、配線の重量が電極を変位させる恐れを最小にし、かつ被検者の快適性を最大にするように医師または訓練された看護師が選んだやり方で、テープストラップで体に取り付けられる。
【0012】
電極はインピーダンス測定にも用いられ、例えばインピーダンス・プレチスモグラフィー(容量脈波記録)、インピーダンス・カルジオグラフィー(心拍記録)、身体組成インピーダンス、インピーダンス・トモグラフィー(断層撮影)、皮膚インピーダンス、等である。インピーダンスは通常、(身体の周波数に対して)高周波数で測定され、50kHzが代表的である。電極/体の接点における高いインピーダンスを体内組織の低いインピーダンスから分離するために、図2に示すような4線方式が通常使用される。この図では、測定されるインピーダンスZ、及び4つの接点インピーダンスを点線で示す。2つの電極は電流源iに接続されているのに対し、電圧測定(V2−V1)用の他の2つの電極はフロントエンド増幅器に接続されている。
【0013】
あらゆる測定装置によってもたらされる不快感をできる限り限定するためには、体との接点の数をできる限り減らすことが有利である。特に、可能であれば常に、生体電位測定用とインピーダンス測定用に電極を共用することに関心が持たれる。さらに、ガード駆動電極、電子装置、及びケーブルは技術的理由で納得がいくが、被検者にとっては目障り及び不快感の大きな発生源である。
【0014】
他覚的な非監視の咳の評価は、長期的な自由行動下のデータ収集システムにおける主要な難題のままである。
【0015】
標準的な開発は、咳音のデジタル記録または胸壁EMG信号の分析のいずれか、あるいは両者の組合せに頼っている(Smith, “Ambulatory methods for recording cough”, Pulmonary Pharmacology & therapeutics 20 (2007) 313-318:非特許文献1)。咳の音響信号の分析に基づく方法は、82%の感度値(真の肯定的検出(咳有りとの検出が正しい回数)と偽の否定的検出(咳無しとの検出が誤りである回数)に対する真の肯定的検出)を提供することが報告されている。こうした低い性能の主な理由は、被検者間の、咳音の音響特性のばらつき、並びにトランスデューサの配置及び設定への依存性である。周囲雑音は、偽の肯定的検出(咳有りとの検出が誤りであること)の追加的な重要発生源となり得る(Matos et al., “Detection of cough signals in continuous audio recordings using Hidden Markov Models”, IEEE Transactions Biomedical Engineers, 2006; 53:1078-83:非特許文献2)。
【0016】
ここ2、3年間に出現したいくつかの新たな開発のうち、Vovometric Lifeshirt(登録商標)で行われた努力を挙げなければならない(Cycle et al., “Evaluation of an ambulatory system for the quantification of cough frequency in patients with chronic obstrusive pulmonary disease”, Cough 2005:引用文献3)。この文献の著者は、LifeShirt(登録商標)を用いて、呼吸インダクタンス・プレチスモグラフィー(RIP:Respiratory Inductance Plethysmography)、音響、心電図、及び加速度測定値を記録し、97%の感度値を報告している(Smith, “Cough: assessment and equipment”, The Buyers Guide to Respiratory Care Products, 2007:非特許文献4)。この方法の詳細な説明は、Vivometricの特許(米国特許出願公開第2007/0276278号、発明者:Coyle他、発明の名称:「Systems and methods for monitoring cough」:特許文献1)で与えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0276278号明細書
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Smith, “Ambulatory methods for recording cough”, Pulmonary Pharmacology & therapeutics 20 (2007) 313-318
【非特許文献2】Matos et al., “Detection of cough signals in continuous audio recordings using Hidden Markov Models”, IEEE Transactions Biomedical Engineers, 2006; 53:1078-83
【非特許文献3】Cycle et al., “Evaluation of an ambulatory system for the quantification of cough frequency in patients with chronic obstrusive pulmonary disease”, Cough 2005
【非特許文献4】Smith, “Cough: assessment and equipment”, The Buyers Guide to Respiratory Care Products, 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の主目的は、非常に優れた性能(非常に高い入力インピーダンス及び1に非常に近いゲイン)を有する、生体電位及びインピーダンス測定用のフロントエンド電子回路を提案することにある。好適例では、明らかなガード電極、及びベルトにある明らかな電子装置はもはや必要でなくなり、すべての電極が、測定部位に直接配置された装置内に埋め込まれる。さらに、提案する電子回路は、ケーブル配線及びコネクタの大幅な簡略化を可能にする、というのは、すべての装置が、電位基準兼電流帰還用の(理論的最小限である)1本の配線のみに接続されるからである。好適例では、この配線は電気絶縁さえも必要とせず、そしてシャツの布地内、着衣内、網目内、ベルト内、等に埋め込むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
主要な特徴によれば、本発明は、電源を有するフォロワ増幅器に関するものであり、この電源は、フィードバックフィルタの出力によって制御される電圧源によってバイアスをかけられ、このフィードバックフィルタは、フォロワの出力電位と電源の電位との間の電圧によって給電される。
【0021】
換言すれば、このフォロワ増幅器は、共に内部接地に接続された正及び負の浮動(非接地)電源によって給電される。不定の電位を回避するために、被制御の電圧源が、外部接地の電位に対する内部接地電位を設定する。なお、原理的に、両者が同じ大きさの正及び負の電源を持つ必要はない。一方の電源は0にすることさえできる。この場合は、フォロワ増幅器は単一電源動作で機能する。
【0022】
他の特徴は、次のことを含む:
上記フィードバックフィルタは、関係する周波数に対して、その入力が0に制御されるように選定することが好ましい。換言すれば、上記フォロワの電源の電位が、関係する周波数に対して、できる限りフォロワの出力の電位に近くなる。このことから、次の2つのプラス効果が生じる。第1に、フォロワの入力インピーダンスが低過ぎることのマイナス効果が大幅に低減される、というのは、関係する周波数では、このインピーダンス上の電圧が大幅に(理想的には0に)低減されるからである。第2に、入力電圧が0に近い(理想的には0に等しい)際に、フォロワの現実のゲイン(実際には1に近いが等しくはない)がより問題にならない、というのは、0に何を掛けても0になるからである。従って、フォロワの出力に追従する浮動電源によって給電される際は、フォロワの実効ゲインは1により近くなる。
上記フィードバックフィルタは、1つの演算増幅器で有利に構成することができ、この演算増幅器は、a)フォロワと同じ電源によって給電され、外部接地を駆動するか、b)それ自体の電源によって給電され、内部接地を駆動するかのいずれかである。
上記浮動電源は、その定義により、他の電源に対して自由に浮動する。換言すれば、これらの電源間の電位は不定であり、電気接続が存在しないかの如くである。浮動電源用には、バッテリ(電池)が最適である。
(例えば、変調−絶縁変成器(絶縁トランス)−整流器を通した、あるいはチャージポンプを通した)電気絶縁型DC/DCコンバータも、浮動電源の例である。
最良の性能を得るためには、浮動フロントエンド増幅器をシールド(遮蔽)しなければならない。このシールドは、内部接地電位によって駆動することができ、さらに良いことに、フォロワの出力によって駆動することができる。
浮動フロントエンド増幅器の入力線を、内部接地によって、さらに良好にはフォロワの出力によってシールドすることも重要である。こうすることは、あらゆる漂遊容量またはインピーダンスの影響を大幅に低減し、従って、極めて高いインピーダンスをもたらす。
あらゆる増幅器が分極電流を有し、分極電流は接地に導かなければならない。例えば、容量(キャパシタンス)が直列挿入されている際のように、この分極電流が自然に、測定するための電圧源を流れることができない際には、特別な回路が必要になる。1つの解決法は、この分極電流を、入力と内部接地との間の抵抗に導通させることである。上述した本発明の特徴のおかげで、この抵抗は入力インピーダンスを大幅には変化させない。旧来のやり方を本発明に適用することによって(図8b参照)、例えば絶縁電極の使用に当たり有利に活用することのできる優れた性能が生じる。
過電圧保護回路も追加的な入力負荷を構成し、この入力負荷は、非常に高いインピーダンスの要求にとって重大であり得る。過電圧保護回路を内部接地に接続することによって、(上述したのと同じ理由で)過電圧保護回路の実効寄生インピーダンスが実質的に増加する。
【0023】
本発明は、体の生体電位及び/またはインピーダンスの測定用の1線装置にも関係し、この1線装置は、電気基準及び/または電流帰還用に用いられる同じ外部配線に接続された複数の装置を具えている。これらの装置を接続する他の配線は存在しない。この1線の方法は、簡略化されたケーブル配線及びコネクタを生じさせる。物理的配線の代わりに、導電性のシャツ、着衣、網目、ベルト、等への直接の接触によって、これらの装置を接続することもできる。
【0024】
少なくとも、1つの装置は基準装置でなければならず、他の装置は測定装置である。しかし、これらの装置は、起動時または動作中に、「基準装置」の機能から「測定装置」の機能に切り替わるように構成することができる。
【0025】
その入力をいわゆる基準電極に接続され、その外部接地をいわゆるガード電極に接続された浮動フロントエンド増幅器を使用するおかげで、上記基準装置は、上記複数の装置を接続する外部配線の電位が(基準電極下の)体内の電位と同じであることを保証する。このことは、次のいくつかの大きな利点を有する:
第1に、生体電位測定のために、幹線による外部配線上への外乱(50Hzまたは60Hz)が存在しない。なお、外部配線が、浮動フロントエンド増幅器及びガード電極なしに直接、基準電極に接続されていたとすれば、幹線による大きな外乱が存在するであろう。この外乱に対処するために、従来技術の解決法は、追加的電極(時として、図1の電極Gのように能動制御される)を使用することである。この追加的電極は、高い同相除去比を有する計測増幅器用の接地として用いられる。このことは、幹線による外乱の問題を解決する旧来の方法である。上述した追加的電極を(図1のように)能動制御する際に、ガード電極と称する。本発明は、上記基準装置内にもガード電極を有するが、その目的は異なる。図1では、数個の電極がガード電極を駆動する必要がある、というのは、従来技術の目的は、計測増幅器(図1には図示せず)のコモンモード外乱を最小化することにあるからである。しかし、数個の電極は数本の配線を必要とし、決して1線の解決法ではない。さらに、ガード電極を単一の測定電極の付近に配置することは考えられても、数個の電極については、このことは不可能である。本発明では、1つの電極(基準電極)のみを用いてガード電極を駆動する、というのは、その目的は、浮動フロントエンド増幅器の外部接地と受給電することにあるからである。さらに、ガード電極を基準電極の付近に有することに、もはや何の問題も存在しない。本発明では、基準装置、並びにすべての測定装置が直接、測定位置にある。
第2に、インピーダンス測定のために、電極と体内との接点における高いインピーダンスが実質的に0に低減され、あらゆる注入電流が自由に流れることができる。外部配線が、浮動フロントエンド増幅器及びガード電極を使用せずに直接接続されている場合は、外皮層と電極の接点が高いインピーダンスを形成し、このインピーダンスに何らかの電流を流し通すために、このインピーダンスに対する大きな電圧が必要になる。
第3に、体内の電位が外部配線の電位と同じであるので、外部配線と体との間の漂遊容量の影響が実質的に相殺される。このことは特に上記基準装置に当てはまる。体の他の位置については、注入電流は体のインピーダンスを通って流れるが、体内と外部配線との間に小電圧が生じる。しかし、この電圧は、1つの電極のみ存在し浮動フロントエンド増幅器が存在しない場合に比べれば、非常に低い。なお、旧来のインピーダンス測定用の4線の解決法(図2)は、(少なくとも)2本の外部配線を必要とし、その1本は体内よりずっと高い電位を有して、外皮層及び電極(特に絶縁電極)との接点の両方の高インピーダンスを通して測定電流を注入することができる。さらに、外部配線は電気絶縁なしにすることができる。なお、体内の電圧は低い。これに加えて、皮膚の外層のインピーダンス、及び皮膚と外部配線との間のインピーダンスは高い。高インピーダンスに対する低電圧は、事実上、絶縁を形成する。
第4に、1本の外部配線しか存在しないので、配線間のクロストークの恐れがない。
最後に、(一部の従来技術の解決法とは異なり)外部配線はシールドを必要としないので、外部配線の移動はその容量性負荷を変化させず、外部配線の動きから動きアーティファクトは生じ得ない。
【0026】
各測定装置は、いわゆる生体電位/インピーダンス電極と外部配線との間の電圧を測定する手段を有する。生体電位測定にとっては、この電圧は直ちに、測定位置と基準装置位置との間の生体電位の電圧である。
【0027】
インピーダンス測定のために、そしてこの電圧が0と異なるために、上記測定装置の少なくとも1つ用の、追加的ないわゆる注入電極が必要である。これに加えて、注入電極を有する測定装置内には、注入電極、体、基準装置のガード電極を通り、外部配線によって戻る電流を循環させるための、電流源または他の手段が存在しなければならない。この電流源が0に設定されていない際に、電流が体を通って流れ、(インピーダンス電極と外部配線との間の)電圧降下が、すべての測定装置によって測定される。この電流源は、例えば、一定の大きさ、及びあらゆる生体電位の帯域外の周波数を有する交流を生成し、これにより、生体電気活動及び電流注入により生じる電圧成分を抽出して分離する容易な方法が存在する。
【0028】
電流ループ内の電流はいつでも同じであるので、電流源の適切な変調を用いて、同期情報を基準電極に伝達することができる。例えば、基準装置内の発振器と、周波数及び位相が同期した正弦波電流を考えることができる。動作中に、基準装置の機能を他の装置が代行する際に、このことは関心事である。このようにして、すべての装置が当該装置の発振器の同期を常に保つことができ、このことは、電流を注入している測定装置以外の測定装置にインピーダンスの位相を測定させたい場合に有用である(インピーダンスの大きさは、上記複数の装置が同期していなくても測定することができる)。同期の要求がより厳しくなければ、高周波交流電流を低周波方形波によって変調することも考えられる。すべての上記装置が、測定電圧上のこの方形波を検出することができる。こうした方形波は、例えば立上りエッジ後の所定時刻にすべての信号を同時にサンプリングするために、有用であり得る。
【0029】
上記測定装置の2つ以上が、電流注入電極、及び基準装置を通して電流を循環させる手段を有することができる。しかし、これらの電流は、それらの影響を信号処理によって区別することができる方法で変調しなければならない。例えば、これらの電流源を1つずつ順にオン状態にするか、全部オン状態にするが、異なる周波数の搬送波(キャリア)で変調することができる。
【0030】
他の特徴を、以下に提示する:
上記測定装置は、入力インピーダンス及び1のゲインの意味で、浮動フロントエンド増幅器がもたらす優れた性能の恩恵を受けることができる。1つの好適例では、浮動フロントエンド増幅器の入力が生体電位/インピーダンス電極に接続され、その外部接地が外部配線に接続されている。電流注入電極を有する測定装置については、電流源の一方の端子をこの電極に接続し、他方の端子を浮動フロントエンド増幅器の外部接地に接続する。他の好適例では、電流注入電極を浮動フロントエンド増幅器の外部接地に接続する。電流源は、浮動フロントエンド増幅器の内部接地と外部配線との間に接続される。なお、この好適例を生体電位測定のみに用いる際は、電流源をなくす(あるいは0に設定する)ことができる。この場合は、第2の電極を「電流注入電極」と称するのは奇異に見えるかもしれない、というのは、電流を実際に注入しないからである。しかし、これは特別な場合である。
生体電位測定は、動きアーティファクトの影響を受けやすい。その影響を低減する1つの方法は、信号処理中に、電極の定インピーダンスに関する情報を考慮に入れることである。これまでに説明した1線装置によれば、電流注入電極またはガード電極の定インピーダンスを測定する手段を追加することができる。しかし、最良の結果のためには、他の電極、即ち生体電位/インピーダンス電極または基準電極の定インピーダンスが好ましい。従って、インピーダンス測定用には、上記装置の2つの電極の役割を(生体電位測定用にはそのまま用いられる、これらの電極の元の設定に対して)交換することが好ましい。このことは、これら2つの電極の電気回路との接続を物理的に交換するスイッチによって可能にすることができる。所定のタイムスロット中に、生体電位についての測定を元の設定で実行し、次のタイムスロット中に、これらの電極の役割を交換して、インピーダンスについての測定を実行する。
他の方法は、(低周波数で測定される)生体電位と(高周波数で測定される)インピーダンスとの周波数分離を利用して、これらの電極の交換を達成することである。このために電気フィルタを使用することができ、この電気フィルタは、容量及びインダクタンスを有する受動フィルタであることが好ましい。本発明の多数の応用のうち、1つは胸部インピーダンス測定による咳の非監視評価である。この評価のための手段を、上記1線装置に追加することができる。
【0031】
本発明をより良い理解のために、以下の説明を図面と共に参照し、本発明の範囲は特許請求の範囲に記載する。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明するが、これらの実施例は一例に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】従来技術のECG装置用の代表的なフロントエンド回路の概略図である。
【図2】インピーダンス測定用の、他の従来技術のフロントエンド回路(4線方式)を示す図である。
【図3】本発明において提案するフロントエンド回路の概略図であり、内部接地(3)に接続されたシールドを有する。
【図4】より複雑な回路内の浮動フロントエンド増幅器を表現するために用いるシンボル図形、即ち、本発明に特有の、フィードバックフィルタの伝達関数である特徴(20)を示し、内部接地(3)を有するシールド(シンボル図形の周りの囲み)への接続を点線で示す図である。
【図5】図5(a)及び5(b)は、電極に接続され、拡張シールド及び過電圧保護を特徴とする浮動フロントエンド増幅器の2つの実施例を示す図であり、第1実施例は内部接地(3)への接続に基づき、第2実施例は出力(2)への接続に基づく。
【図6】図6(a)及び6(b)は、図3と同様であるが出力(2)に接続されたシールドを有する、浮動フロントエンド増幅器の実施例及びシンボル図形を示す図である。
【図7】図7(a)及び7(b)は、積分器をフィードバックフィルタとして有する浮動フロントエンド増幅器の実施例及びシンボル図形を示す図である。
【図8】図8(a)及び8(b)は、浮動フロントエンド増幅器の他の2つの実施例を示す図であり、これらの浮動フロントエンド増幅器は電極に接続され、拡張シールド、周波数0で0のゲインを有するフィードバックフィルタ伝達関数、及びフォロワ増幅器の分極電流を分路する回路を特徴とする、
【図9】図7(a)の代案の、特に、フィードバックフィルタが使用する演算増幅器に給電する方法用の、浮動フロントエンド増幅器の構成を示す図である。
【図10】図10(a)及び10(b)は、特定周波数帯域に有効な、浮動フロントエンド増幅器の実施例及びシンボル図形を示す図である。
【図11】図11(a)及び11(b)は、特定周波数用に調整された、浮動フロントエンド増幅器の実施例及びシンボル図形を示す図である。
【図12】図11と同様であるがインダクタンスを模擬した、浮動フロントエンド増幅器の他の実施例を示す図である。
【図13】図11と同様であるが共振回路を有する、浮動フロントエンド増幅器の他の実施例を示す図である。
【図14】固定電源に接続された理想変成器によって給電される浮動フロントエンド増幅器を示す図である。
【図15】基準装置を定めない、生体電位の1線測定装置を示す図である。
【図16】上記基準装置内に1つのガード電極を有する、生体電位測定用の1線測定装置の実施例を示す図である。
【図17】一般測定装置及び基準装置を具えた、生体電位測定用の1線測定装置の実施例を示す図である。
【図18】測定装置の役割も基準器の役割も果たすことのできる一般装置を有する、生体電位測定用の1線測定装置の実施例を示す図である。
【図19】本発明による1線測定装置に適した装置を示す図である。
【図20】本発明による1線測定装置に適した装置を示す図である。
【図21】基準装置を定めない、インピーダンス測定用の1線測定装置を示す図である。
【図22】測定装置内の電流源の具体例を示す図であり、図21に示すものとは異なる。
【図23】インピーダンス測定用の1線測定装置の実施例を示す図である。
【図24】図24(a)及び24(b)は、インピーダンス測定用の1線測定装置の他の2つの実施例を示す図である。
【図25】インピーダンス測定用の1線測定装置用の、一般装置を組み合わせた実施例を示す図である。
【図26】インピーダンス測定用の1線測定装置用の、一般装置を組み合わせた実施例を示す図である。
【図27】生体電位及びインピーダンス測定用に構成した1線測定装置の実施例を示す図である。
【図28】生体電位及びインピーダンス測定用に構成した1線測定装置の実施例を示す図である。
【図29】生体電位及びインピーダンス測定用に構成した1線測定装置の実施例を示す図である。
【図30】接触インピーダンスの特徴を有する、生体電位及びインピーダンス測定用に構成した1線測定装置の実施例を示す図である。
【図31】接触インピーダンスの特徴を有する、生体電位及びインピーダンス測定用に構成した1線測定装置の実施例を示す図である。
【図32】接触インピーダンスの特徴を有する、生体電位及びインピーダンス測定用に構成した1線測定装置の実施例を示す図である。
【図33】接触インピーダンスの特徴を有する、生体電位及びインピーダンス測定用に構成した1線測定装置の実施例を示す図である。
【図34】咳の有効な非監視評価にとっての、胸部インピーダンス電気信号の1回換気量に対する優位性を、安静時について示す図である。
【図35】咳の有効な非監視評価にとっての、胸部インピーダンス電気信号の1回換気量に対する優位性を、歩行中について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1及び2は、以上で説明したとおりである。以下では、同一または同様の部分に同じ参照番号を用いる。
【0034】
図3に、本発明による浮動フロントエンド増幅器を示す。フォロワ増幅器(8)に接続された入力(1)は非常に高い入力インピーダンスを特徴とするのに対し、出力(2)は低い出力インピーダンスを特徴とする。出力(2)の電位は入力(1)の電位に、非常な高精度で等しい。内部接地(3)の電位は、入力(1)と同じ電位に能動制御される。
【0035】
出力(2)と内部接地(3)との間の電圧(5)は、実際には、外部接地(4)の電位がどうであれ、内部接地(3)の電位が入力(1)の電位に等しくなるように制御電圧(7)を決定するコントローラ(6)(またはフィードバックフィルタ)に供給される誤差信号として見ることができる。
【0036】
内部接地(3)の電位は、演算増幅器(8)の電源(9)及び(10)の共通電位でもある。このことは、浮動フロントエンド増幅器の入力インピーダンスZinが、演算増幅器(8)の入力インピーダンスZin_opaよりずっと大きいことを暗に意味する。実際には、Zin=(1+h)Zin_opaとなり、ここにhは開ループ、即ちフィードバックフィルタのゲインである。
【0037】
演算増幅器(8)のCMRR(同相除去比)は非常に大きいが無限大ではない。このことが、1に近いが厳密に1ではないことを生じさせる。しかし、フィードバックフィルタ(6)が内部接地(3)の電位を、入力(1)の電位に等しくなるように制御するので、演算増幅器(8)によって増幅された電圧は0に近くなる。従って、フォロワのゲインgが何であれ、出力は0に近くなり、即ち、入力(1)の電位に等しくなる。この効果は、演算増幅器(8)単独の実行CMRRよりずっと高い実効CMRRを暗に意味する。実際には、実効ゲインは(g+h)/(1+h)であり、ここにhは開ループゲインである。
【0038】
図4に、浮動フロントエンド増幅器の概略図を示す。このシンボル図形の中央に、フィードバックフィルタ(6)の伝達関数(20)を表示する、というのは、この関数は用途に応じて異なり得るからである。この関数を明示しない際には、文字FFA(Floating Front-end Amplifier:浮動フロントエンド増幅器)を代わりに表示する。点線は、増幅器の周りのシールドが接続される端子を表わし、本実施例では内部接地(3)に接続される。
【0039】
図5(a)及び5(b)は、電極(30)に接続された浮動フロントエンド増幅器の2つの実施例を示す。図5(a)に示す第1実施例では、電極(30)、及び入力(1)に至るその配線はシールドされている。シールド(31)の電位は内部接地(3)の電位と同じである。例えば、2つの通常のダイオードを逆並列に接続した過電圧保護回路(32)は、配線(1)から内部接地(3)に接続されている。内部接地(3)の電位は入力(1)の電位になるように制御されるので、過電圧保護回路のインピーダンスは1+h倍に増幅され、ここにhはフィードバックフィルタのゲインである。
【0040】
図5(b)に示す第2実施例では、シールド(31)の電位が出力(2)の電位と同じである。第2実施例の特性は、フォロワ(8)の帯域幅のみに依存する。hが無限大である際に、第2実施例の性能は第1実施例の性能と同一であり、従って、性能の意味では第2実施例の方がより良好である。しかし、シールドの実現は第1実施例の方が容易であり得る。両実施例の混合も可能であり、例えば配線及び電極シールド(31)を出力(2)に接続し、過電圧保護回路(32)を内部接地(3)に接続するか、その逆にする。今後は、第2実施例のみを説明に用いるが、他の実施例も可能であることは明らかである。さらに、説明を簡単にするために、過電圧保護回路(32)は省略する。
【0041】
一部の配線の開口部以外は、内部接地(3)が浮動フロントエンド増幅器のすべての構成要素をシールドすることが好ましい。上述したのと同じ思想で、他の実施例は、図6(a)及び6(b)に示すように、浮動フロントエンド増幅器のすべての構成要素を、出力(2)に接続されたシールドによって包囲する。この場合は、図6(b)に示すように、シンボル図形中の接続の点線は出力(2)に付けて示す。理論的には、この後者の変形例の方が少し良好であるが、実際には、同じPCB(Printed Circuit Board:プリント回路基板)面をシールド用及び電源用に使用したいことがある。この場合は、第1実施例が好適である。説明の続きでは、第1実施例のみを用いるが、他の実施例も可能であることは明らかである。
【0042】
図7(a)に、1/RCsに等しい伝達関数(20)の代表的なフィードバックフィルタ(6)を示し、図7(b)のようにシンボル化する。この実現は1つの演算増幅器(40)しか必要とせず、この演算増幅器は、フォロワ(8)の2つの電圧源(9)及び(10)によって給電されて、内部接地(3)の他の浮動電位が外部接地(4)の電位に対して正しく設定されるようにしなければならない。フィードバックフィルタを実現する回路は、抵抗R及び容量Cを演算増幅器の負(反転)入力に接続した旧来の反転積分器である。
【0043】
フィードバックフィルタ(6)のゲインは、0の周波数(DC)に対して無限大であるので、浮動フロントエンド増幅器の入力インピーダンスは、この周波数で無限大である。従って、図5(a)または5(b)のもののような応用では、フォロワ(8)の分極電流(微小であるが0ではない)は、電極(30)を通って体に流れなければならない。絶縁電極の純然たる容量結合を除いては、このことは非常に重大な問題ではない。この場合について、図8(a)及び8(b)に2つの解決法を示す。第1の解決法では、抵抗Rを用いて分極電流を分流させる。フィードバックフィルタ(20)の帯域内の周波数に対しては、この抵抗Rの影響は低く保たれる、というのは、これらの周波数に対しては、実効抵抗はR(1+h)であり、ここにhはフィードバックフィルタのゲインである。第2の解決法は、第1の解決法の効果を、抵抗R1、R2及び容量Cを用いる旧来の方法と組み合わせる。しかし、抵抗R2は内部接地(3)に接続し、旧来の解決法はむしろ、外部接地(4)への接続と等価である。
【0044】
図9に、浮動フロントエンド増幅器の構成についての、図7の代案を示す。この実施例は、別個の電源(43)及び(42)を、フィードバックフィルタ増幅器(41)用に用いる。これらの電源は外部接地(4)に直接接続されている。この実施例は時として、他の実施例より好適である、というのは、この構成では、電源(9)及び(10)を電源(42)及び(43)から容易に導出することができるからである。さらに、いくつかの浮動フロントエンド増幅器の電源(42)及び(43)は、例えば図16の構成におけるように(同じ電源によって上記複数の装置に給電する場合に)、共用することができる。この実施例では、フィードバックフィルタがフォロワ(41)を用い、フィードバックフィルタの反転積分機能は、フォロワ(41)の入力にある受動RCフィルタで実現される。出力(2)と内部接地(3)との間の電圧(5)が、外部接地(4)と内部接地(3)との間に反転積分電圧(7)を生じさせることを確認することができる。説明の続きでは、図7(a)の実施例のみを、伝達関数(20)の他の変形例の基礎として用いる。しかし、抵抗R及び容量Cを他のインピーダンスに置き換えることによって、図7及び図9の両方の回路について同じ伝達関数(20)を得ることが、常に可能である。
【0045】
図10に、−R21s/(1+R11s)(1+R22s)に等しい伝達関数を有するように選択したフィードバックフィルタ(6)の実現を示す。この種の伝達関数は、例えば、図8(a)または8(b)の応用に適している。抵抗R1、R2、容量C1、C2、及び演算増幅器によるこの伝達関数の実現は、旧来の回路である。
【0046】
図11(a)に、特定周波数f0用の浮動フロントエンド増幅器を示す。この周波数では、入力インピーダンスは理論的に無限大であり、増幅器のゲインは厳密に1である。フィードバックフィルタ(6)の伝達関数(20)は、−RCs/(1+LCs2)である。これに加えて、次式のようになる:
【数1】

【0047】
図12に、2つの演算増幅器(50)、(51)、4つの抵抗R1、R2、R3、R4、及び1つの容量Cでインピーダンスを模擬していること以外は、図11のものと同一の浮動フロントエンド増幅器を示す。フィードバックフィルタのインダクタンスLは、積L=CR134/R2として計算することができる。
【0048】
図13に、図11の浮動フロントエンド増幅器を実現するために本物のコイルを使用することを回避する他の可能性を示す。実際には、これらのコイル及びインダクタンスは共に、電気機械的共振器(60)に置き換えることができる。
【0049】
関係する周波数において、閉ループが安定であり、かつ開ループゲインが十分である限り、他の多数の伝達関数がフィードバックフィルタ用に可能である。特に、(閉ループ系が安定なままである限り)これまでに提示した伝達関数の任意の和を用いることができる。
【0050】
これまでに説明した浮動フロントエンド増幅器の電源(9)及び(10)は浮動(非接地)電圧源であり、即ち、他の機能用に用いることのできる他の電圧源との電気的リンクを有しない。さらに、各浮動フロントエンド増幅器は、他の電源との電気的リンクを有しない独自の電源(9)及び(10)を有しなければならない。バッテリは可能な解決法であり得るが、時として、図14に示すように、汎用電源(72)及びDC/DC変成器(70)及び(71)を用いることが好ましい。
【0051】
図15に、生体電位測定用の1線測定装置の可能な実施例を示す。この構成では、単一配線(101)によって互いに接続された複数の装置(100)内で、浮動フロントエンド増幅器を用いる。この配線は、基準電位としてのガード電極(102)にも接続されている。各測定装置は、浮動フロントエンド増幅器に接続された電極を具えている。以後の場合では、1線測定装置の実施例において選定した浮動フロントエンド増幅器の特定実施例は重要ではなく、所望の性能に応じて、あらゆる浮動フロントエンド増幅器の実施例を用いることができる。さらに、有用であるために、1線測定装置は、情報を伝える電圧を測定して処理する手段を具えなければならない。本願では、フロントエンド電子回路に焦点を当てているので、こうした手段は、図15のような図面では省略していることが多い。
【0052】
図15の構成は単純であるが勧められない、というのは、電圧UL、UR、UF、及びUiが幹線による外乱によって強く乱されるからである。電圧UL、UR、UF、及びUiがデジタル形式で利用可能であるものとすれば、UL−URのような差を常に計算することができる。理論では、このことはいわゆる「コモンモード」を相殺するはずであるが、実際に有効であるためには、この方法は、大きい入力範囲(入力レンジ)及び非常に正確な変換ゲインを有するADC(Analog to Digital Converter:アナログ−デジタル変換器)を必要とする。さらに、ADCのサンプラ(サンプリング器)を非常に良好に同期させなければならない。
【0053】
ずっと良好な解決法は、図16に示すように、基準電極G(102)をガード電極GG(110)で拡張することである。ここでは、配線(101)の電位は、幹線による外乱によって乱されず、この外乱は基準電極Gに接続された浮動フロントエンド増幅器のフィードバックフィルタによって拒絶される。このようにして、UL−URのような差は、幹線による外乱を含まない。そのキーポイント(要点)は、容量結合によって、いずれかの電極を通って体から大地に流れる幹線電流に対して低いインピーダンスを有する経路が存在するはずである、ということにある。図16の構成については、このことが実際に成り立つことがわかる。
【0054】
電極Gに関連する装置をなくし、代わりに測定電極L、R、F、Viのいずれかにガード電極を追加することも可能である。ガード電極を有する装置を「基準装置」、他の装置を「測定装置」と名付ける。
【0055】
図17に、使用される一般装置の略図を示す。これらの装置は2種類の装置である。第1の種類(測定装置)は重複させることができるのに対し、他の種類(基準装置)は、特定システムにおいて唯一独自のものである。すべての装置が同じ配線(101)に接続されている。すべての装置が、浮動フロントエンド増幅器を具え、また、すべての測定装置がADC(102)、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)(103)、いくつかのメモリ(104)、及びWTR(Wireless Transmitter/Receiver:無線送受信機)(105)を含む。これらのADC、CPU、メモリ(RAM)、さらにはWTRも、マイクロコントローラと称する単一チップ内に収めることができる。RAMは、生体電位UEを記録するために用いることができるが、一部の応用では、この機能は随意的である。WTRは、生体電位UEのオンラインまたはオフライン(RAMから再生する)伝送に用いることができる。一部の応用では、重複した配線を通した有線(オンラインまたはオフライン)伝送も考えられる。装置間のADCサンプラの同期は、無線信号(106)を用いて達成することができる。後に(図27)説明する他の方法は、電極、体、及び配線(101)を通って流れる電気信号を用いることである。(ECGのような)一部の信号、及び一部の応用については、ハードウェア同期では不確定を承知で受け入れることもできる、というのは、(ECGにおけるR波のような)信号自体が、ソフトウェアによる信号の後同期を可能にするのに十分な情報を有するからである。
【0056】
通常は、基準装置のように挙動する装置は一度に1つしか存在しない。しかし、一部の応用では、この役割をすべての装置が順に担うことが有利であり得る。この場合は、図18の組合せ型一般装置をすべての装置用に用いる。各装置は、当該装置を測定装置または基準装置にするために使用するスイッチを具えている。1つを除いたすべての装置が、当該装置のスイッチ(121)及び(123)を開放し、当該装置のスイッチ(122)を閉じている。
【0057】
組合せ型一般装置の概念では、すべての装置が2つの電極を有する。この場合は、図17の変形例は、すべての装置がスイッチ(121)を閉じ、スイッチ(122)を開放し、そして1つ(基準装置)を除いたすべての装置がスイッチ(123)を開放している。この変形例は好適であり得る、というのは、2つのスイッチのそれぞれを常に閉じ、及び開放し、その実現が簡単であるからである。
【0058】
図16では、各装置(100)内で信号を処理するので、例えばホルターレコーダ(Holter Recorder)(登録商標)で使用するような記録用の明示的装置を有する必要がない。
【0059】
図19に、襟(132)、及び腕用の開口部(131)を有する身体着衣(検診衣)(130)を示す。本発明では、この着衣を用いてECGを測定する。なお、この例ではEASIシステムを用いている。EASIシステムは、図1に示すものとは電極の数及び配置が異なるが、この差は重要ではない。図1に示すもののような明示的なガード電極はもはや必要でない。他の電極の位置は、装着リング(133)で明らかに識別される。これらの電極は、特別な資格のある職員が適正に配置する必要はない。これらの装着リングは電気接続によってリンクされ、この電気接続は、配線、さらには着衣の布地が導電性であればそれ自体とすることができる。装置(100)は装着リング(133)内にクリップ止めされる。
【0060】
図20に、装置(100)がクリップ止めされた際に、装着リング(133)と装置(100)との電気接触を実現することのできる方法を示す例を図示する。クリップ止めメカニズムは、例えば磁気接着に基づくが、1つの機械的部品を互いに付着させる他の標準的な方法を用いることもできる。1つの接点しか存在しないので、本発明において提供される1線技術のおかげで、この接続は簡単であり、安価かつ強固に行うことができる。
【0061】
また図20に、生体電位電極(30)及びガード電極(120)の可能な構成を示す。この構成は集中型であるが、もちろん、他の幾何学的形状及び配置も可能である。原則的に、これらの電極は装置(100)の筐体に遠隔的に接続することもできる。
【0062】
図21に、浮動フロントエンド増幅器を1線インピーダンス測定に使用する可能な用法を示す。測定されるインピーダンスZは点線で示す。なお、電流源iは電極と外部接地(4)との間に接続され、外部接地(101)は外部配線(101)にも接続されている。しかし、他の実施例(図22参照)では、外部接地(4)は電極に直接接続されているのに対し、電流源iは、内部接地(3)と外部配線(101)との間に挿入されている。
【0063】
本明細書に開示したインピーダンス測定において非常に価値が認められる、極めて高い入力インピーダンスを提供する浮動フロントエンド増幅器の使用以外は、これらの構成は図2のものと同様である。この単純な方式は、図15のECGについて説明したのと同様の欠点の問題がある。有効にするために、この方法は、等時性(アイソクロナス)復調方式によるのと全く同じADCゲイン及びタイムベースを用いてV1及びV2を測定する必要がある。これらの仮定が満たされているものとすれば、減算V1−V2は、データの伝送後に数値的に行うことができる。
【0064】
電圧源(140)をフィードバックフィルタ(141)によって、電圧V2が0になるように制御する解決法を、図23に示す。このフィードバックフィルタは、浮動フロントエンド増幅器について説明したのと同様のものである。0に等しい電圧V2により、減算V1−V2を実行する必要がない、というのはその結果はV1−0=V1であるからである。上記復調用のタイムベースは、インピーダンスの実部及び虚部を測定することができるように、電流の正弦波と等時であるべきであり、このタイムベースは、この電流を生成する装置内のみに用いる。この情報は他の装置に転送しなくてもよいので、もはや問題は存在しない。この方法は、電流注入のための可能な電圧範囲をほぼ倍増させる効果も有する。他の大きな利点は、配線(101)と体内との間の電圧がずっと小さいことにある。従って、配線(101)と体内との容量結合が、その最小値まで低減される。図2のものと同様の構成では、この結合は、絶縁電極、及び皮膚に近い配線にとって特に重要である。従って、図23の原理は、特に、異なる構成において、より正確なインピーダンス測定を行うことを可能にする。
【0065】
フィードバックフィルタ(141)は、浮動フロントエンド増幅器(6)のフィードバックフィルタと同一である際は(このことは大部分の応用において満足され得る)、この構成は図24に示すように簡略化することができる。例として、図24(a)では、フィードバックフィルタ(20)は(例えば50kHzの)正弦波電流注入用に最適化されている。
【0066】
図5(a)及び5(b)を参照して、過電圧保護回路について説明した場合と同様に、他の変形例は、上記装置間の配線を、内部接地に接続する代わりに、図24(b)の実施例に示すように、出力(2)に直接接続することである。この変形例は一般に好適であるので、今後は、この変形例のみを考える。しかし、図24(a)のような他の変形例も代わりに用いることができることは明らかである。
【0067】
電流源iを有する測定装置は、マルチ(複数)インピーダンス測定装置内に重複させることができる。各電流源iを順にオン状態にするか、異なる変調(例えば異なる周波数を有する搬送波を用いることができる。
【0068】
図25に、インピーダンス測定用の組合せ一般回路を有する、本発明の他の実施例を示す。あるいはまた、電流源iは図22のように接続することができる。この場合は、インピーダンス測定用の組合せ一般回路を、図26に示すように少し変更する。
【0069】
図27に、唯一の外部配線(101)によってリンクされた同じ電極を通した生体電位及びインピーダンスの両方の測定用の、本発明の他の実施例を示す。フィードバックフィルタの伝達関数(20)は、生体電位及びインピーダンスの周波数の両方に対して高いゲインを有するように選定する。電圧VAは、電極Aにおける生体電位(低周波数)とインピーダンスの電圧降下(高周波数)との組合せである。以上に注記したように、電極A及びaの装置は重複させることができ、そして同じ配線(101)に接続することができる。従って、多電極の生体電位兼インピーダンス測定装置を用意に得ることができる。
【0070】
高周波正弦波電流の注入は、(例えば、方形波で、正弦波の振幅を1ミリ秒おきに変化させて)変調することができる。この場合は、図27に示すもののような回路が、インピーダンス(200)及び(201)の端子間に得られるそれぞれ電圧U1及びU2を観測することによって、両装置の同期を可能にする。これらのインピーダンス(例えば、抵抗または容量)は同じ電流ループ上にあり、従って、これらのインピーダンスの一方の端子間電圧は、他方で測定した端子間電圧に依存する。同じ配線に接続され、当該装置の電流源をディスエーブル状態にされた追加的装置は、インピーダンスの周波数に対応するこれらの装置の電圧VAを観測することによって同期させることができる。
【0071】
電圧U1及びU2は、高周波の注入電流を測定するために用いることもできる。この特徴は実際に有用であり得る、というのは、電流源は不完全(例えば、比較的低い内部インピーダンスを有する)であり得るからである。
【0072】
図28に、他の1線生体電位兼インピーダンス測定装置用の組合せ一般装置を示す。
【0073】
図29に、図22の原理に基づく、生体電位及びインピーダンス測定用の組合せ一般装置の代案を示す。
【0074】
図30に、他の1線組合せ生体電位兼インピーダンス測定装置を示す。生体電位測定用には、電極Iを検出に用いつつ、電極iをガード電極として用いる。インピーダンス測定用には、これらの役割を逆にする。この回路は、前の回路より複雑である。しかし、注入される電流は生体電位電極を通って流れる。電圧Ua及びUiを測定することによって、電極A及びIの接触インピーダンスを計算することができる。この情報は、生体電位測定において動きアーティファクトを除去するために有用であり得る。さらに、これらの接触インピーダンスは、電極配置の品質を評価するために価値のある情報である。
【0075】
電圧U1及びU2の測定は、配線(1b)の代わりに配線(2b)で実行することもできる。このようにして、配線(1b)の入力インピーダンスを、追加的な測定増幅器によって変化させなければならないことなしに、最大に保つことができる。
【0076】
生体電位の周波数では、インダクタンスL及び伝達関数(20a)が、(1a)と(4a)との間に短絡路を生じさせる。同時に、伝達関数(20b)が容量(200)を実質的になくす。これらの周波数に対して、容量(202)、及び例えば抵抗またはインダクタンスであるインピーダンス(203)が、外部配線(101)を実質的に(2b)に接続する。インピーダンスの周波数では、インダクタンスLは開放回路として見ることができるのに対し、容量(200)のインピーダンスは低くなり、外部配線(101)は実質的に(2a)に接続される。
【0077】
インダクタンスLは実際には、演算増幅器(8)の入力インピーダンスに並列である。このインピーダンスは本質的に容量性であるので、結果的な共振回路が、インピーダンスの周波数で理論的に無限大のインピーダンスを提供するように、インダクタンスLを選定することが有利である。
【0078】
図31に、定インピーダンスの特徴を有する、生体電位及びインピーダンスの測定用の組合せ一般装置を示す。
【0079】
図32に、定インピーダンスの特徴を有する、生体電位及びインピーダンスの測定用の、他の組合せ一般装置を示す。
【0080】
図22に、以上に示した周波数多重の代わりに時分割多重に基づいて、上記定インピーダンスを測定することを可能にする他の回路を示す。スイッチを用いて、電極Eとeの役割を交互に切り替える。この回路は、浮動フロントエンド増幅器を1つしか必要としない利点を有するが、その代償は、より複雑な論理回路であり、4つの追加的なスイッチが必要になる。
【0081】
一実施例では、サンプリングレート(標本化速度)が十分高い場合に、CPU(103)が、インピーダンスの大きさ及び位相(あるいは、実部及び虚部の射影)の計算を数値的に処理することができる。あるいはまた。この処理は、いくつかのアナログ電子回路(復調)によって、ADC(102)の前に実行することもできる。
【0082】
他の実施例では、インピーダンス測定に対応する咳の非管理評価手段を有する反転型1線測定装置が提供される。提案する方法は、胸部インピーダンスのみを処理して、咳の事象を検出して分類するので、従来技術とは異なる。図34に、安静期間中の1回換気量及び胸部電気インピーダンスを示す。図35に、歩行期間中の1回換気量及び胸部電気インピーダンスを示す。咳の堅実な検出に当たり、1回換気量の代わりに胸部電気インピーダンスを用いる利点に気付くことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.入力(1)、出力(2)、内部接地(3)、及び外部接地(4)と、
b.フォロワ(8)と、
c.負の浮動電圧源(9)及び正の浮動電源(10)と、
d.フォードバックフィルタ(6)と、
e.被制御電圧源(7)とを具え、
a.前記出力(2)と前記内部接地(3)との間の電圧(5)を、前記フィードバックフィルタ(6)によってフィルタ処理して、前記被制御電圧源(7)を駆動する信号を生じさせ、
b.前記被制御電圧源(7)は、前記内部接地(3)に対する前記外部接地(4)の電位を規定し、
c.前記入力(1)は、前記フォロワ(8)の入力に接続され、
d.前記出力は、前記フォロワの出力に接続され、
e.前記フォロワ(8)は、前記負の浮動電源(9)及び前記正の浮動電源(10)によって給電され、
f.前記内部接地(3)は、前記負の浮動電源及び前記正の浮動電源の接地端子に接続されている
ことを特徴とする浮動フロントエンド増幅器。
【請求項2】
前記フィードバックフィルタ(6)は、少なくとも1つの周波数で、前記フィードバックフィルタの入力(5)が0に近く保たれるように、前記被制御電圧源(7)を駆動することを特徴とする請求項1に記載の浮動フロントエンド増幅器。
【請求項3】
前記被制御電圧源(7)は、演算増幅器(40)で構成され、
a.前記負の浮動電源(9)及び前記正の浮動電源(10)によって給電され、
b.前記被制御電圧源の出力は、前記外部接地(4)に接続されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の浮動フロントエンド増幅器。
【請求項4】
前記被制御電圧源(7)は、フォロワ(41)で構成され、
a.前記外部接地(4)に接続された電圧源(42)、(43)によって給電され、
b.前記被制御電圧源の出力は、前記内部接地(3)に接続されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の浮動フロントエンド増幅器。
【請求項5】
前記負の浮動電源(9)及び前記正の浮動電源(10)が、バッテリ等であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浮動フロントエンド増幅器。
【請求項6】
前記負の浮動電源(9)及び前記正の浮動電源(10)の電力が、電気絶縁型DC/DCコンバータから生成され、これらの電気絶縁型DC/DCコンバータは、当該電気絶縁型DC/DCコンバータの電源によって給電されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浮動フロントエンド増幅器。
【請求項7】
前記浮動フロントエンド増幅器の、外部との接続のために必要な開口部を除いたすべての構成要素を包囲するシールドを含み、このシールドは、前記内部接地(3)または前記出力(2)に接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の浮動フロントエンド増幅器。
【請求項8】
例えば電極の活性面のような端部を除いて、前記入力(1)に電気接続された部分を包囲するシールド(31)を含み、このシールド(31)は、前記内部接地(3)または前記出力(2)に接続されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の浮動フロントエンド増幅器。
【請求項9】
a.前記フォロワ(8)のDC分極を管理する回路を含み、この回路は、前記入力(1)及び前記内部接地(3)に接続され、かつ前記出力(2)に接続することができ、
b.前記フィードバックフィルタ(6)は、周波数0に対して0のゲインを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の浮動フロントエンド増幅器。
【請求項10】
過電圧保護回路(32)を含み、この過電圧保護回路の一方の端子は前記入力(1)に接続され、他方の端子は、前記出力(2)または前記内部接地(3)に接続されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の浮動フロントエンド増幅器。
【請求項11】
体の生体電位及び/またはインピーダンスの測定用の1線測定装置であって、同じ外部配線等(101)に接続された少なくとも2つの装置(100)を具え、常に、これらの装置の1つが基準装置の機能を果たし、この基準装置は、
a.基準電極(102)と、
b.ガード電極(110)と、
c.請求項1〜10のいずれかに記載の浮動フロントエンド増幅器と、
d.前記装置間の同期の目的で、前記ガード電極(110)を通って流れる電流を測定する手段とを有し、
a.前記基準電極(102)は、前記浮動フロントエンド増幅器の前記入力(1)に接続され、
b.前記ガード電極(110)は、前記浮動フロントエンド増幅器の前記外部接地(4)に接続され、
c.前記外部配線(101)は、前記浮動フロントエンド増幅器の前記出力(2)または前記内部接地(3)に接続され、
他の前記装置は、測定装置の機能を果たし、
a.前記測定装置の少なくとも1つは、1つの生体電位及び/またはインピーダンス電極(30)、及び前記生体電位及び/またはインピーダンス電極(30)の電位と前記外部配線(101)の電位との間の電圧の測定手段、並びに前記電圧から生体電位及び/または体のインピーダンス及び/または前記装置間の同期の情報を抽出する信号処理手段を有し、
b.前記測定装置の少なくとも1つは、前記抽出した生体電位及び/または体のインピーダンス及び/または同期情報を、記録及び/または表示及び/または伝送する手段を有し、
c.前記体のインピーダンスの測定または前記装置間の同期の目的で、前記測定装置の少なくとも1つは、電流注入電極(120)を有し、さらに、前記電流注入電極、前記体、前記ガード電極(110)、及び前記外部配線(101)を通して電流を循環させる手段を有し、前記電流は必要に応じて変調され、この変調は、前記電流の、前記測定される体のインピーダンス及び/または前記ガード電極を通って流れる電流を測定する手段に対する影響を、他の前記測定装置の電流の影響または前記生体電位の影響の組合せから抽出することができる方法で行われることを特徴とする1線測定装置。
【請求項12】
前記装置の少なくとも1つが、請求項1〜10のいずれかに記載の浮動フロントエンド増幅器を具えた測定装置の機能を果たし、
a.前記浮動フロントエンド増幅器の前記入力(1)は、前記生体電位及び/またはインピーダンス電極(30)に接続され、
b.前記浮動フロントエンド増幅器の前記外部接地(4)は、前記外部配線(101)に接続され、
c.前記体のインピーダンスの測定または前記装置間の同期の目的で、前記外部接地(4)と前記電流注入電極(120)との間の電流源を、前記電流注入電極、前記体、前記ガード電極(110)、及び前記外部配線(101)を通して電流を循環させる手段として有することを特徴とする請求項11に記載の1線測定装置。
【請求項13】
前記装置の少なくとも1つが、請求項1〜10のいずれかに記載の浮動フロントエンド増幅器を具えた測定装置の機能を果たし、
a.前記浮動フロントエンド増幅器の前記入力(1)は、前記生体電位及び/またはインピーダンス電極(30)に接続され、
b.前記浮動フロントエンド増幅器の前記外部接地(4)は、前記電流注入電極(120)に接続され、
c.前記体のインピーダンスの測定または前記装置間の同期の目的で、前記内部接地(3)と前記外部配線(101)との間の電流源を、前記電流注入電極、前記体、前記ガード電極(110)、及び前記外部配線(101)を通して電流を循環させる手段として有することを特徴とする請求項11に記載の1線測定装置。
【請求項14】
前記少なくとも2つの装置が、起動時または動作中に、前記基準装置の機能と前記測定装置の機能とを交換し、前記基準装置が、可能であれば、他の前記装置を、当該基準装置に再同期させることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の1線測定装置。
【請求項15】
前記測定装置の1つのみが所定時刻に電流を注入し、他の前記測定装置は、電流が0に等しいオフ状態になることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の1線測定装置。
【請求項16】
前記測定装置の各々が、異なる搬送波によって変調された電流を注入することを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の1線測定装置。
【請求項17】
前記測定装置の少なくとも1つが、前記体のインピーダンスの測定のために、前記生体電位及び/またはインピーダンス電極(30)を前記電流注入電極(120)と交換し、これにより、前記生体電位及び/またはインピーダンス電極と前記電流注入電極との間の電圧の測定が、前記生体電位及び/またはインピーダンス電極(30)の接触インピーダンスの計算を可能にすることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載の1線測定装置。
【請求項18】
前記基準装置が、前記体のインピーダンスの測定のために、前記基準電極(102)を前記ガード電極(110)と交換し、これにより、前記基準電極と前記ガード電極との間の電圧の測定が、前記基準電極(102)の接触インピーダンスの計算を可能にすることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載の1線測定装置。
【請求項19】
前記交換を、それぞれの前記電極への接続を交互に切り替える被制御のスイッチによって実行し、これにより、前記生体電位、前記体のインピーダンス、及び/または前記接触インピーダンスを交互に測定することができることを特徴とする請求項17または18に記載の1線測定装置。
【請求項20】
前記交換を、前記生体電位が占める周波数範囲、及び前記体のインピーダンス及び/または前記接触インピーダンスの測定に用いる変調電流が占める周波数範囲の関数としての電気フィルタによって実行することを特徴とする請求項17または18に記載の1線測定装置。
【請求項21】
胸部インピーダンスの測定のみで、非監視の咳の評価を行う手段を具えていることを特徴とする請求項11〜20のいずれかに記載の1線測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24(a)】
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【図24(b)】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公表番号】特表2011−516109(P2011−516109A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550177(P2010−550177)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052793
【国際公開番号】WO2009/112494
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(502121731)セ エス エ エム サントル スイス デレクトロニク エ ド ミクロテクニク ソシエテ アノニム (1)
【Fターム(参考)】