説明

浴室換気暖房乾燥装置

【課題】使用者の利用状況に応じて自動運転を行う浴室換気暖房乾燥装置において、使用者の意思と合致した運転が行われることを目的とする。
【解決手段】使用者の利用状況に応じて自動運転を行う浴室換気暖房乾燥装置であって、運転モードを必須として、強弱設定、風向設定、温度設定のうち少なくとも1つ以上の情報で示される運転に関する履歴情報と、履歴情報から最適な運転を予測する運転想定手段11と、使用者が在宅かどうかを検知する在宅検知手段13と、使用者が在宅と検知した場合に自動運転の開始の一定時間前に使用者に自動運転を開始する旨を報知するとともに待機状態とする自動運転事前報知手段14とを備えたことにより、使用者は在宅の際、いつどんな自動運転がはじまるのかが事前にわかり、実行可否の対応が可能となり、使用者の意思と合致した運転が行われるという浴室換気暖房乾燥装置を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類または浴室内を換気、暖房または乾燥するために使用される浴室換気暖房乾燥装置の自動運転に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置は、使用者の生活パターンは概ね変化はないと仮定し、使用者が運転のスケジュール設定を行うことで設定に応じた自動運転を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、この種の装置には使用者の運転操作や温度変化などを学習し、学習結果に基づいて自動運転を行うものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
以下、その装置について説明する。
【0005】
自動運転のサイクルの単位として1週間の設定日数を予め設定し、その設定日数分の各曜日毎に自動運転を繰り返しつつ、使用者のスイッチ操作や水位センサの上昇値から使用者の入浴時刻を取得し、予約された自動運転の開始時刻および停止時刻を学習し順次更新することにより、使用者の生活パターンに応じた自動運転を行うものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3528618号公報
【特許文献2】特許第4100293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の使用者の生活パターンを学習して自動運転を行う装置においては、使用者の生活パターンが変化しないことが前提となっており、生活パターンから逸脱する場合、例えば急用で外出する、または旅行や出張で長期不在となる場合など、自動運転が行われると使用者の意思に合致しない場合があるという課題を有していた。
【0008】
また、使用者の運転操作を学習して自動運転を行う装置において、使用者が意識しなくとも学習に基づいて自動運転が開始されるので、使用者はいつ自動運転がはじまるのかわかりづらいという課題を有していた。
【0009】
さらに、使用者の運転操作を学習して自動運転を行う装置において、運転操作がパターン化されてないまばらな統計であった場合は、予測された自動運転が使用者の意思に合致しない場合があるという課題を有していた。
【0010】
また、使用者による操作スイッチの押し間違いや子供のいたずら操作など学習してほしくない操作もあるという課題を有していた。
【0011】
さらに、使用者が普段自動運転を使用していても都合によって、自動運転にしたい場合とそうでない場合があり、自動運転を行うこと自体が使用者の意思に合致しない場合もあるという課題を有していた。
【0012】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、使用者の生活パターンを学習しつつ使用者の意思に合致した自動運転を行う浴室換気暖房乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そして、この目的を達成するために、本発明は、使用者の利用状況に応じて自動運転を行う浴室換気暖房乾燥装置であって、運転モードを必須として、強弱設定、風向設定、温度設定のうち少なくとも1つ以上の情報で示される運転に関する履歴情報と、履歴情報から最適な運転を予測する運転想定手段と、使用者が在宅かどうかを検知する在宅検知手段と、使用者が在宅と検知した場合に自動運転の開始の一定時間前に使用者に自動運転を開始する旨を報知するとともに待機状態とする自動運転事前報知手段とを備えたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【0014】
また、運転想定手段は、履歴情報を1時間単位で取得し、1日単位で重み付けして統計をとり、最適な運転を予測するものとし、運転モードの統計が所定の割合を下回った場合は、自動運転を行わないとしたものである。
【0015】
さらに、運転想定手段は、履歴情報を1時間単位で取得し、1日単位で重み付けして統計をとり、最適な運転を予測するものとし、運転モードの統計が所定の割合を下回った場合は、予め記憶された季節毎の自動運転の運転計画による自動運転を採用するとしたものである。
【0016】
また、使用者が不在と検知した場合で特定の運転モードであった場合には自動運転を行うとしたものである。
【0017】
さらに、使用者が不在と検知した場合で特定の季節と運転モードであった場合には自動運転を行うとしたものである。
【0018】
また、使用者の操作ミスやいたずら操作を無効操作と判定する無効操作判定手段を備え、無効操作と判定された操作については履歴情報に含めないとしたものである。
【0019】
さらに、使用者が自動運転を有効にするか無効にするかを選択する自動運転選択手段を備えたとしたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、使用者の利用状況に応じて自動運転を行う浴室換気暖房乾燥装置であって、運転モードを必須として、強弱設定、風向設定、温度設定のうち少なくとも1つ以上の情報で示される運転に関する履歴情報と、履歴情報から最適な運転を予測する運転想定手段と、使用者が在宅かどうかを検知する在宅検知手段と、使用者が在宅と検知した場合に自動運転の開始の一定時間前に使用者に自動運転を開始する旨を報知するとともに待機状態とする自動運転事前報知手段とを備えた構成にしたことにより、使用者が在宅の際は事前に自動運転開始のアナウンスがあるので、使用者の意図と合致する場合はそのまま、異なる場合は自動運転開始前に止めたり別の運転にしたりできるので、使用者はいつどんな自動運転がはじまるのかが事前にわかり、実行可否の対応が可能となり、使用者の意思と合致した運転が行われるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1の浴室換気暖房乾燥装置の構成図
【図2】同浴室換気暖房乾燥装置にて記憶される履歴情報図
【図3】同浴室換気暖房乾燥装置にて記憶される履歴情報の組み合わせ図
【図4】同浴室換気暖房乾燥装置の運転想定手段による全体の処理を示すフローチャート
【図5】運転想定手段で行われる運転想定処理を示すフローチャート
【図6】運転想定処理で行われる自動運転処理を示すフローチャート
【図7】本発明の実施の形態2の運転想定処理を示すフローチャート
【図8】運転想定処理で行われる季節毎運転計画処理を示すフローチャート
【図9】季節毎運転計画のデータ図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の請求項1記載の浴室換気暖房乾燥装置は、使用者の利用状況に応じて自動運転を行う浴室換気暖房乾燥装置であって、運転モードを必須として、強弱設定、風向設定、温度設定のうち少なくとも1つ以上の情報で示される運転に関する履歴情報と、履歴情報から最適な運転を予測する運転想定手段と、使用者が在宅かどうかを検知する在宅検知手段と、使用者が在宅と検知した場合に自動運転の開始の一定時間前に使用者に自動運転を開始する旨を報知するとともに待機状態とする自動運転事前報知手段とを備えたという構成を有する。これにより、使用者が在宅の際は事前に自動運転開始のアナウンスがあるので、使用者の意図と合致する場合はそのまま、異なる場合は自動運転開始前に止めたり別の運転にしたりできるので、使用者はいつどんな自動運転がはじまるのかが事前にわかり、実行可否の対応が可能となり、使用者の意思と合致した運転が行われるという効果を奏する。
【0023】
また、前記運転想定手段は、履歴情報を1時間単位で取得し、1日単位で重み付けして統計をとり、最適な運転を予測するものとし、運転モードの統計が所定の割合を下回った場合は、自動運転を行わないという構成にしてもよい。これにより、統計が所定の割合に達しない場合は使用者の意思と合致しない可能性が高いため自動運転を行わないとすることで、使用者の意思と合致する可能性が高くなるという効果を奏する。
【0024】
さらに、前記運転想定手段は、履歴情報を1時間単位で取得し、1日単位で重み付けして統計をとり、最適な運転を予測するものとし、運転モードの統計が所定の割合を下回った場合は、予め記憶された季節毎の自動運転の運転計画による自動運転を採用するという構成にしてもよい。これにより、統計が所定の割合に達しない場合は、統計を取り始めて日が浅い場合が考えられるので、典型的な運転計画を代わりに入れておくことで、使用者の意思と合致する可能性が高くなるという効果を奏する。
【0025】
また、使用者が不在と検知した場合で特定の運転モードであった場合には自動運転を行うという構成にしてもよい。これにより、例えば衣類乾燥など使用者が不在にしても自動で運転したい場合に対応できるので、使用者の意思と合致した運転が行われるという効果を奏する。
【0026】
さらに、使用者が不在と検知した場合で特定の季節と運転モードであった場合には自動運転を行うという構成にしてもよい。これにより、例えば冬場の予備暖房など使用者が不在にしても自動で運転したい場合に対応できるので、使用者の意思と合致した運転が行われるという効果を奏する。
【0027】
また、使用者の操作ミスやいたずら操作を無効操作と判定する無効操作判定手段を備え、無効操作と判定された操作については履歴情報に含めないという構成にしてもよい。これにより、使用者が記憶して欲しくない操作が履歴情報に残らず、より妥当な統計が得られるので、予測される運転が使用者の意思と合致する可能性が高くなるという効果を奏する。
【0028】
さらに、使用者が自動運転を有効にするか無効にするかを選択する自動運転選択手段を備えたという構成にしてもよい。これにより、使用者が急用で外出する、または旅行や出張で長期不在となる場合など自動運転をして欲しくない場合に、予め自動運転無効を選択することにより対応できるので、自動運転を無効にしたい場合にも対応でき、使用者の意思と合致した運転が行われるという効果を奏する。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1に示すように、浴室1の天井部に設置された浴室換気暖房乾燥装置の本体2は、前記浴室1の空気を循環送風する送風手段としての循環ファン3と、この循環ファン3で循環送風する空気を暖める加温手段4と、浴室1の空気を屋外へ排出する換気ファン5とから構成されている。
【0031】
そして、本体2の下面には、浴室1へ開口して浴室1の空気を吸いこむ吸い込み口6と、浴室1へ空気を吹き出す吹き出し口7と、この吹き出し口7から吹き出す空気の方向を調整する風向変更手段としてのルーバ8を備えている。また、本体2には、これら循環ファン3、加温手段4、換気ファン5、ルーバ8を組み合わせて駆動する制御部9と、運転動作や設定などの指示を行う遠隔操作装置10を備えている。
【0032】
循環ファン3は、クロスフローファンやシロッコファンなどである。
【0033】
加温手段4は、給湯装置などを介して温水の循環供給を受ける熱交換器を利用するもの、あるいは、PTCヒータなどのヒータで構成する。
【0034】
換気ファン5は、シロッコファンなどである。
【0035】
ルーバ8は、ファンを回転させることで、吸い込み口6を通して浴室1内の空気を吸引し、吹き出し口7を通して浴室1内に吹き出す方向に取り付けられており、吹き出し口7付近に浴室内への風向を調節するための風向変更手段として備えられ、ルーバ8を任意の角度に移動するステッピングモータ8aにより角度調節が可能となっている。
【0036】
制御部9は、マイクロコンピュータなどを利用した制御基板により、遠隔操作装置10からの入力情報と、循環ファン3および換気ファン5のファン回転数情報と、浴室内温度(図示せず)などの温度情報とを入力とし、それらの情報と運転モードまたは運転状態に応じて、循環ファン3と換気ファン5の回転数指令信号と、加温手段4とルーバ8とをそれぞれ駆動するリレーの開閉またはオンオフ信号とを出力するものである。
【0037】
また、制御部9は運転モードを必須として、強弱設定、風向設定、温度設定のうち少なくとも1つ以上の情報で示される運転に関する履歴情報と、履歴情報から最適な運転を予測する運転想定手段11と、使用者の操作ミスやいたずら操作を無効操作と判定する無効操作判定手段12を備え、使用者が在宅かどうかを検知する在宅検知手段13の情報から、使用者が在宅と検知した場合に自動運転の開始の一定時間前に使用者に自動運転を開始する旨を報知するとともに待機状態とする自動運転事前報知手段14の制御を行っている。
【0038】
遠隔操作装置10は、浴室1内や台所、脱衣室などに設けられた有線方式または電波や光、その他媒体を利用した無線方式の制御部9と双方向に通信可能なリモコンで、各操作スイッチの操作により制御部9に運転モードなどの指令を行うこととなる。遠隔操作装置10には、乾燥運転モードを指令する乾燥運転スイッチ10a、暖房運転モードを指令する暖房運転スイッチ10b、換気運転モードを指令する換気運転スイッチ10c、涼風運転モードを指令する涼風運転スイッチ10dなどが設けられている。前記制御部9は前記遠隔操作装置10の指令に基づいて、乾燥運転スイッチ10aが1回押されると乾燥強運転を実行し、乾燥運転スイッチ10aが2回押されると乾燥弱運転を実行し、暖房運転スイッチ10bが1回押されると暖房強運転を実行し、暖房運転スイッチ10bが2回押されると暖房弱運転を実行し、換気運転スイッチ10cが1回押されると換気強運転を実行し、換気運転スイッチ10cが2回押されると換気弱運転を実行し、涼風運転スイッチ10dが押されると涼風運転を実行するように構成されている。また、運転を停止する運転停止スイッチ10e、運転時間を増加する運転時間設定スイッチ10f、運転時間を減少する運転時間設定スイッチ10g、前記吹き出し口7から吹き出される風の向きを切り替えるための風向設定スイッチ10h、暖房運転など好みの温度設定にできるような温度設定スイッチ10i、自動運転を有効または無効にするための自動運転設定スイッチ10jなどを備えている。
【0039】
乾燥強運転、乾燥弱運転は、前記循環ファン3を作動させ、浴室1内の温度が乾燥用の設定温度範囲に維持されるように、加温手段4を作動させ、換気ファン5を作動させて、浴室1内の空気の一部を吸引して排気ダクトを通して屋外に排気させながら、吸い込み口6から吸い込まれた浴室1の空気が加温手段4により加温され、循環ファン3により循環送風され、吹き出し口7から浴室1内に吹き出すようにしている。強弱の違いは制御部9から出力される循環ファン3の回転数指令の高低による吹き出し口7からの通風量の大小の差である。
【0040】
暖房強運転、暖房弱運転は、換気ファン5を停止させ、循環ファン3を浴室1内に通風される空気の通風量が暖房用の通風量となるよう作動させるとともに、浴室1内の温度が設定温度に維持されるように、吸い込み口6から吸い込まれた浴室1の空気が加温手段4により加温され、循環ファン3により循環送風され、吹き出し口7から浴室1内に吹き出すようにしている。強弱の違いは制御部9から出力される循環ファン3の回転数指令の高低による吹き出し口7からの通風量の大小の差である。
【0041】
換気強運転、換気弱運転は、循環ファン3を停止させ、加温手段4を停止させるとともに、換気ファン5を作動させ、浴室1内から吸引した空気を排気ダクトを通して屋外に排気するようにしている。強弱の違いは制御部9から出力される換気ファン5の回転数指令の高低による屋外への排気量の大小の差である。
【0042】
涼風運転は、加温手段4を停止させ、循環ファン3を作動させるとともに、換気ファン5を作動させて、浴室1内の空気の一部を吸引して排気ダクトを通して屋外に排気させながら、吸い込み口6から吸い込まれた浴室1の空気が加温手段4により加温されることなく、循環ファン3により循環送風され、吹き出し口7から浴室1内に吹き出すようにしている。
【0043】
運転想定手段11は、前記制御部9の処理であり、図2の履歴情報の例に示すように運転モード、強弱設定、風向設定、温度設定などの履歴情報を1時間単位で取得し、EEPROMなどに記憶しておき、1日単位ごとに重み付けして30日分の統計から最も多い組み合わせの運転を想定し、当日の運転想定結果を出力するものである。重み付けについては直近の記憶を使用者の意図する設定として優先すべく割合を重くしている。日時についてはマイクロコンピュータの時計機能などから取得する。運転モードによっては強弱設定、風向設定、温度設定がないものがあるため、記憶される履歴情報の組み合わせ例を図3に示す。涼風運転には強弱設定、温度設定がなく、換気運転には風向設定、温度設定がなく、乾燥運転には温度設定がない。1時間単位で取得する履歴情報の確定については、例えば20分毎に運転モード、強弱設定、風向設定、温度設定をマイクロコンピュータのRAM領域に仮取得しておき、1時間が経過した際に多数決による判定により確定し、確定した1時間単位の履歴情報をEEPROMへ記憶する。
【0044】
無効操作判定手段12は、制御部9の処理であり、使用者が操作を行ってから所定時間以内、例えば5秒以内に再度操作があった場合には無効操作として履歴情報記憶の対象外とする。
【0045】
在宅検知手段13は、いずれかの部屋の照明を点灯した時に在宅、全て消灯とした時に不在と検知するもの、または人感センサなどにより使用者の在、不在を検知する。
【0046】
自動運転事前報知手段14は、前記遠隔操作装置10に内臓され、自動運転の開始の一定時間前に使用者に自動運転を開始する旨を音声、ブザー、LEDの点灯、点滅などで使用者に報知する。
【0047】
運転想定手段11による処理の全体フローについて図4を参照しながら説明する。図4に示すように、統計データを取得し、自動運転が有効の場合に取得されたデータから自動運転を予測する運転想定処理を行う。ステップS001において、統計データとして図2の履歴情報の例で先述した1時間単位のデータを取得する。ステップS002において、前記自動運転設定スイッチ10jにより自動運転が有効となっている場合はステップS003の運転想定処理を行う。
【0048】
次に、運転想定処理について図5を参照しながら説明する。図5に示すように、ステップS004において、前記統計データを1日単位で重み付けして統計を取って想定した運転想定結果の運転モードの割合が60%以上であれば使用者の生活パターンと判断して、使用者の意図と合致していると認識し、ステップS005の自動運転処理を行う。運転想定結果の運転モードの割合が60%未満の場合は、規則性がないと判断して自動運転処理を行わない。
【0049】
次に、自動運転処理について図6を参照しながら説明する。図6に示すように、自動運転開始10分前の処理と、使用者が在宅か否か、自動運転が特定の条件に合致するか否かにより自動運転開始の事前報知の実行可否、自動運転の実行可否を処理する。ステップS006において、自動運転の開始10分前であればステップS007の10分間待機状態とするタイマをスタートする。ステップS008において、前記在宅検知手段13により使用者が在宅と検知した場合は、ステップS009の自動運転事前報知、待機処理を行う。使用者が不在と検知した場合は、ステップS010において、自動運転の運転モードが乾燥運転、また、ステップS011において、季節が冬で自動運転の運転モードが暖房運転であった場合には、自動運転事前報知、待機処理を行わずに、ステップS012に移行する。ステップS012において、10分間待機状態とするタイマがタイムアップしていれば10分間の待機状態を完了したと判断してステップS013の自動運転を開始する自動運転開始処理を行う。
【0050】
このような構成によれば、使用者の利用状況に応じて自動運転を行う浴室換気暖房乾燥装置であって、運転モードを必須として、強弱設定、風向設定、温度設定のうち少なくとも1つ以上の情報で示される運転に関する履歴情報と、履歴情報から最適な運転を予測する運転想定手段と、使用者が在宅かどうかを検知する在宅検知手段と、使用者が在宅と検知した場合に自動運転の開始の一定時間前に使用者に自動運転を開始する旨を報知するとともに待機状態とする自動運転事前報知手段とを備えた構成にしたことにより、使用者が在宅の際は事前に自動運転開始のアナウンスがあるので、使用者の意図と合致する場合はそのまま、異なる場合は自動運転開始前に止めたり別の運転にしたりできるので、使用者はいつどんな自動運転がはじまるのかが事前にわかり、実行可否の対応が可能となり、使用者の意思と合致した運転が行われるという効果を得ることができる。
【0051】
また、前記運転想定手段は、履歴情報を1時間単位で取得し、1日単位で重み付けして統計をとり、最適な運転を予測するものとし、運転モードの統計が所定の割合を下回った場合は、自動運転を行わないという構成にしたことにより、統計が所定の割合に達しない場合は使用者の意思と合致しない可能性が高いため自動運転を行わないとすることで、使用者の意思と合致する可能性が高くなるという効果を得ることができる。
【0052】
さらに、前記在宅検知手段により使用者が不在と検知した場合で特定の運転モードであった場合には自動運転を行うという構成にしたことにより、例えば衣類乾燥など使用者が不在にしても自動で運転したい場合に対応できるので、使用者の意思と合致した運転が行われるという効果を得ることができる。
【0053】
また、前記在宅検知手段により使用者が不在と検知した場合で特定の季節と運転モードであった場合には自動運転を行うという構成にしたことにより、例えば冬場の予備暖房など使用者が不在にしても自動で運転したい場合に対応できるので、使用者の意思と合致した運転が行われるという効果を得ることができる。
【0054】
さらに、使用者の操作ミスやいたずら操作を無効操作と判定する無効操作判定手段を備え、無効操作と判定された操作については履歴情報に含めないという構成にしたことにより、使用者が記憶して欲しくない操作が履歴情報に残らず、より妥当な統計が得られるので、予測される運転が使用者の意思と合致する可能性が高くなるという効果を得ることができる。
【0055】
さらに、使用者が自動運転を有効にするか無効にするかを選択する自動運転選択手段を備えたという構成にしたことにより、使用者が急用で外出する、または旅行や出張で長期不在となる場合など自動運転をして欲しくない場合に、予め自動運転無効を選択することにより対応できるので、自動運転を無効にしたい場合にも対応でき、使用者の意思と合致した運転が行われるという効果を得ることができる。
【0056】
なお、運転想定処理について運転モードの割合を60%以上で使用者の生活パターンであると判断したが、使用者によってバラツキ度合いは異なるので、しきい値は50%〜80%の間で調整することが望ましい。
【0057】
なお、運転想定手段について図2の履歴情報の例にて1日単位ごとに重み付けして30日分の統計から運転を想定し、当日の運転想定結果を出力するものとしたが、曜日単位ごとに重み付けして運転を想定し、当日の運転想定結果を出力するものとしても良い。
【0058】
(実施の形態2)
実施の形態1において運転想定処理は運転モードの割合が60%未満の場合は、規則性がないと判断して自動運転処理を行わないとしたが、季節毎に典型的な運転計画を運転想定結果の代わりに提案するとしたものである。この運転想定処理について図7を参照しながら説明する。図7に示すように、ステップS014において、得られた前記統計データを1日単位で重み付けして統計を取って想定した運転想定結果の運転モードの割合が60%以上であれば使用者の生活パターンと判断して、使用者の意図と合致していると認識し、ステップS015の自動運転処理を行う。自動運転処理については実施の形態1と同様であるため説明は省略する。運転想定結果の運転モードの割合が60%未満の場合は、規則性がないと判断して、ステップS016の季節毎に典型的な運転計画を運転想定結果の代わりに使用者に提案する季節毎運転計画データ取得処理を行う。
【0059】
季節毎運転計画データ取得処理について図8を参照しながら説明する。図8に示すように、ステップS017において、マイクロコンピュータの時計機能などから取得した日時から3月から5月であった場合には、季節は春であると判定し、ステップS018の春用の運転計画を運転想定結果の代わりとして読み込む春用運転計画読み込み処理を行う。ステップS019において、ステップS017と同様に日時から6月から8月であった場合には、季節は夏であると判定し、ステップS020の夏用の運転計画を運転想定結果の代わりとして読み込む夏用運転計画読み込み処理を行う。ステップS021において、ステップS017と同様に日時から9月から11月であった場合には、季節は秋であると判定し、ステップS022の秋用の運転計画を運転想定結果の代わりとして読み込む秋用運転計画読み込み処理を行い、上記いずれでもない12月、1月、2月であった場合には、季節は冬であると判定し、ステップS023の冬用の運転計画を運転想定結果の代わりとして読み込む冬用運転計画読み込み処理を行う。
【0060】
季節毎運転計画データについてデータ例を図9に示す。春、夏、秋、冬毎に一般的な使用例として1時間単位の運転計画がマイクロコンピュータのROM領域もしくはEEPROMなどの記憶手段により記憶されている。
【0061】
このような構成によれば、前記運転想定手段は、履歴情報を1時間単位で取得し、1日単位で重み付けして統計をとり、最適な運転を予測するものとし、運転モードの統計が所定の割合を下回った場合は、予め記憶された季節毎の自動運転の運転計画による自動運転を採用することにより、統計が所定の割合に達しない場合は、統計を取り始めて日が浅い場合が考えられるので、典型的な運転計画を代わりに入れておくことで、使用者の意思と合致する可能性が高くなるという効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明にかかる浴室換気暖房乾燥装置は、使用者がいつどんな自動運転がはじまるのかが事前にわかり、実行可否の対応が可能となり、使用者の意思と合致した運転が行われることを可能とするものであるので、浴室のみに限らず、空気調和装置などへの用途にも有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 浴室
2 本体
3 送風手段(循環ファン)
4 加温手段
5 換気ファン
6 吸い込み口
7 吹き出し口
8 風向変更手段(ルーバ)
8a ステッピングモータ
9 制御部
10 遠隔操作装置
10a 乾燥運転スイッチ
10b 暖房運転スイッチ
10c 換気運転スイッチ
10d 涼風運転スイッチ
10e 運転停止スイッチ
10f 運転時間設定スイッチ
10g 運転時間設定スイッチ
10h 風向設定スイッチ
10i 温度設定スイッチ
10j 自動運転設定スイッチ
11 運転想定手段
12 無効操作判定手段
13 在宅検知手段
14 自動運転事前報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の利用状況に応じて自動運転を行う浴室換気暖房乾燥装置であって、運転モードを必須として、強弱設定、風向設定、温度設定のうち少なくとも1つ以上の情報で示される運転に関する履歴情報と、履歴情報から最適な運転を予測する運転想定手段と、使用者が在宅かどうかを検知する在宅検知手段と、使用者が在宅と検知した場合に自動運転の開始の一定時間前に使用者に自動運転を開始する旨を報知するとともに待機状態とする自動運転事前報知手段とを備えたことを特徴とする浴室換気暖房乾燥装置。
【請求項2】
前記運転想定手段は、履歴情報を1時間単位で取得し、1日単位で重み付けして統計をとり、最適な運転を予測するものとし、運転モードの統計が所定の割合を下回った場合は、自動運転を行わないことを特徴とする請求項1記載の浴室換気暖房乾燥装置。
【請求項3】
前記運転想定手段は、履歴情報を1時間単位で取得し、1日単位で重み付けして統計をとり、最適な運転を予測するものとし、運転モードの統計が所定の割合を下回った場合は、予め記憶された季節毎の自動運転の運転計画による自動運転を採用することを特徴とする請求項1記載の浴室換気暖房乾燥装置。
【請求項4】
使用者が不在と検知した場合で特定の運転モードであった場合には自動運転を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の浴室換気暖房乾燥装置。
【請求項5】
使用者が不在と検知した場合で特定の季節と運転モードであった場合には自動運転を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の浴室換気暖房乾燥装置。
【請求項6】
使用者の操作ミスやいたずら操作を無効操作と判定する無効操作判定手段を備え、無効操作と判定された操作については履歴情報に含めないことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の浴室換気暖房乾燥装置。
【請求項7】
使用者が自動運転を有効にするか無効にするかを選択する自動運転選択手段を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の浴室換気暖房乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−220061(P2012−220061A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84282(P2011−84282)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】