説明

浴室用除湿装置

【課題】浴室内に残留している異臭を積極的に排出して快適な入浴を確保できるようにする。
【解決手段】除湿ロータ6と、浴室内2aに連通できる吸引口7から分岐用ダンパー8へ至る途中に吸気用送風機9を配した吸気用送風路10と、分岐用ダンパー8から分岐して浴室外5に連通できる排気用送風路12と、分岐用ダンパー8から分岐して除湿ロータ6の吸着域6aを通過して浴室内2に連通できる吹出口13へ至る除湿用送風路14とを備え、制御装置16は、除湿動作と、吸気用送風路10と排気用送風路12を連通させるように分岐用ダンパー8の切替操作具8bを操作すると共に吸気用送風機9のモータ9bの起動時間として異臭排出のための既定時間を少なくとも確保する換気動作と、換気停止動作とをこの順番で強制的に実行させるように回路構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分を吸着して除湿する除湿ロータを用いた浴室用除湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、除湿ロータを用いた浴室用除湿装置には、回転に伴い水分を吸着する吸着域と水分を放出する再生域とに区分される除湿ロータと、浴室内に連通できる吸引口から分岐用ダンパーへ至る途中に吸気用送風機を配した吸気用送風路と、分岐用ダンパーから分岐して浴室外に連通できる排気口へ至る排気用送風路と、分岐用ダンパーから分岐して除湿ロータの吸着域を通過して浴室内に連通できる吹出口へ至る除湿用送風路と、除湿ロータの再生域を通過する再生用送風路とを備えたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−327116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、除湿ロータに用いられる吸着剤が異臭成分を吸着して残存させているときには、除湿動作中に吸着剤へ吸着せる水分と異臭成分とを置換して、不快に感じさせる程の異臭を除湿用送風路の吹出口から浴室内へ放出させ、浴室除湿動作終了後の浴室内に異臭を残留させる問題を招くことがある。
【0005】
本発明は、浴室除湿動作終了後の浴室内に残留している異臭を排出して快適な入浴を確保させるための浴室用除湿装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
浴室内に残留している異臭を排出して快適な入浴を確保できるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、図1乃至図3に示す如く、回転に伴い水分を吸着する吸着域6aと水分を放出する再生域6bとに区分される除湿ロータ6と、浴室内2aに連通できる吸引口7から分岐用ダンパー8へ至る途中に吸気用送風機9を配した吸気用送風路10と、分岐用ダンパー8から分岐して浴室外5に連通できる排気用送風路12と、分岐用ダンパー8から分岐して除湿ロータ6の吸着域6aを通過して浴室内2に連通できる吹出口13へ至る除湿用送風路14と、除湿ロータ6の再生域6bを通過する再生用送風路15と、吸気用送風機9のモータ9b及び分岐用ダンパー8の切替操作具8bを制御する制御装置16とを備えた浴室用除湿装置において、制御装置16は、除湿スタートの指令に基づいて、吸気用送風路10と除湿用送風路14を連通させるように分岐用ダンパー8の切替操作具8bを操作すると共に吸気用送風機9のモータ9bを起動させる除湿動作と、吸気用送風路10と排気用送風路12を連通させるように分岐用ダンパー8の切替操作具8bを操作すると共に吸気用送風機9のモータ9bの起動時間Tsとして異臭排出のための既定時間Toを少なくとも確保する換気動作と、吸気用送風機9のモータ9aを停止させる換気停止動作とをこの順番で強制的に実行させるように回路構成してあることを特徴とする浴室用除湿装置である。
【0007】
請求項1記載の本発明にあっては、除湿動作の後で必ず実行する換気動作により、分岐用ダンパー8で吸気用送風路10と排気用送風路12を連通させた状態で吸気用送風機9のモータ9bについて異臭排出のための既定時間Toを少なくとも起動させることで、浴室内2aの空気と共に残留している異臭を浴室外5へ排除して浴室内2aを換気できる。
【0008】
換気動作の時間を任意に延長できるようにするために請求項2記載の本発明が採用した手段は、図4に示す如く、前記制御装置16は、前記既定時間Toに延長時間Tbを加算した時間を換気動作時における吸気用送風機9のモータ9aの起動時間Tsとする換気時間延長部を備えた請求項1に記載の浴室用除湿装置である。
【0009】
請求項2記載の本発明にあっては、換気動作における吸気用送風機9のモータ9bの起動時間Tsとして、異臭排出のための既定時間Toを確保させて延長時間Tbを延長できるので、浴室内2aに異臭を残留させることがない。
【0010】
除湿動作後の昇温した浴室内の温度を快適な温度にできるようにするために請求項3記載の本発明が採用した手段は、図5に示す如く、前記制御装置16は、室内用温度センサ30と、浴室内設定温度値Soを設定する温度設定部31と、除湿動作終了後の浴室内温度センサ30の測定値Sbが温度設定部31の設定した浴室内設定温度値Soに達するまで換気動作を実行させる温度制御部32とを備え、換気動作の実行時間を積算した積算時間が異臭排出のための既定時間Toに満たないときに換気動作時における吸気用送風機9のモータ9aの起動時間Tsを既定時間Toに達するまで延長させるようにした請求項1に記載の浴室用除湿装置である。
【0011】
請求項3記載の本発明にあっては、異臭排出のための既定時間Toを確保しつつ、除湿動作後の昇温した浴室内温度値Sbが浴室内設定温度値Soに達するまで換気動作を実行せることができる。
【0012】
浴室内設定温度値を自動的に最適浴室内温度値に設定できるようにするために請求項4記載の本発明が採用した手段は、図6に示す如く、前記制御装置16は、外気用温度センサ35と、各種の外気温度値Saに対する最適浴室内温度値Soを定めた外気・浴室内温度関係を記憶する記憶部36とを備え、前記温度設定部31は、記憶部30の記憶する外気・浴室内温度関係に外気用温度センサ35の検知した外気温度値Saを適用して自動的に求めた最適浴室内温度値Soを前記浴室内設定温度値Soとするように回路構成してある請求項3に記載の浴室用除湿装置である。
【0013】
請求項4記載の本発明にあっては、浴室内設定温度値Soを外気温度値Saに基づいて自動的に最適浴室内温度値Soに設定することができる。
【0014】
開閉窓や出入口扉の開度等で換気条件が変更になったとしても残留している異臭を確実に排出できるようにするために請求項5記載の本発明が採用した手段は、図1及び図7に示す如く、回転に伴い水分を吸着する吸着域6aと水分を放出する再生域6bとに区分される除湿ロータ6と、浴室内2aに連通できる吸引口7から分岐用ダンパー8へ至る途中に吸気用送風機9を配した吸気用送風路10と、分岐用ダンパー8から分岐して浴室外5に連通できる排気用送風路12と、分岐用ダンパー8から分岐して除湿ロータ6の吸着域6aを通過して浴室内2に連通できる吹出口13へ至る除湿用送風路14と、除湿ロータ6の再生域6bを通過する再生用送風路15と、吸気用送風機9のモータ9b及び分岐用ダンパー8の切替操作具8bを制御する制御装置16とを備えた浴室用除湿装置において、制御装置16は、排気用送風路12を通過する風量を積算する風量積算部38を備え、除湿スタートの指令に基づいて、吸気用送風路10と除湿用送風路14を連通させるように分岐用ダンパー8の切替操作具8bを操作すると共に吸気用送風機9のモータ9bを起動させる除湿動作と、吸気用送風路10と排気用送風路12を連通させるように分岐用ダンパー8の切替操作具8bを操作すると共に風量積算部38の積算した換気体積値Uaが異臭排出のための既定体積値に達するまで吸気用送風機9のモータ9bを起動させる換気動作と、吸気用送風機9のモータ9aを停止させる換気停止動作とをこの順番で強制的に実行させるように回路構成してあることを特徴とする浴室用除湿装置である。
【0015】
請求項5記載の本発明にあっては、換気体積値Uaが異臭排出のための既定体積値に達するまで換気動作を実行させることで、異臭を排除するための換気体積を確保できる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の本発明に係る浴室用除湿装置は、除湿動作の後で必ず実行される換気動作で浴室内の空気と共に残留している異臭を浴室外へ排除することで、快適な入浴を確保させることができる。
【0017】
請求項2記載の本発明に係る浴室用除湿装置は、異臭排出のための既定時間を確保させた上で、除湿後の浴室内の温度調節等のために換気動作の時間を延長させることが可能となる。
【0018】
請求項3記載の本発明に係る浴室用除湿装置は、異臭排出のための既定時間を確保させた上で、除湿動作後の昇温した浴室内温度を設定した浴室内設定温度値にできる。
【0019】
請求項4記載の本発明に係る浴室用除湿装置は、異臭排出のための既定時間を確保させた上で、除湿動作後の昇温した浴室内の温度を、外気温度値に基づいて自動的に定めた快適な浴室内設定温度値にできる。
【0020】
請求項5記載の本発明に係る浴室用除湿装置は、異臭を排除するための換気体積を確保することで、開閉窓や出入口扉の開度の程度で換気条件が変更になったとしても残留している異臭を確実に排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る浴室用除湿装置(以下、「本発明浴室用除湿装置」と言う。)1を浴室に設置した第1の実施の形態を示す概略図である。
【図2】同実施の形態に係る本発明除湿装置1を示すものであって、図(A)は断面した正面図、図(B)は背面図である。
【図3】図(A)は同実施の形態における制御装置16を示すブロック図、図(B)は吸引用送風機9のモータ9aのタイミングチャートである。
【図4】図(A)は換気時間延長部28を備えた制御装置16を示すブロック図、図(B)は吸引用送風機9のモータ9bのタイミングチャートである。
【図5】浴室内の温度を設定できる温度設定部31を備えた制御装置16を示すブロック図である。
【図6】外気温度に基づいて浴室内の温度を自動的に設定できる温度設定部31を備えた制御装置16を示すブロック図である。
【図7】換気動作時における排気用送風路12を通過する風量を積算する風量積算部38を備えた制御装置16を示すブロック図である。
【図8】第4の実施の形態に係る本発明浴室用除湿装置51を浴室に設置した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
図1及び図2に示す第1の実施の形態に係る本発明除湿装置1を備えた浴室2は、浴室内2aに浴槽24を配置すると共に、開閉窓3及び出入口扉4を備え、天井25の裏側に本発明除湿装置1を配置してある。
【0023】
本発明除湿装置1は、回転に伴い水分を吸着する吸着域6aと吸着した水分を放湿する再生域6bとに区分される除湿ロータ6と、浴室内2aに連通できる吸引口7から分岐用ダンパー8へ至る途中に吸気用送風機9を配した吸気用送風路10と、分岐用ダンパー8から分岐して浴室外5に連通できる排気用送風路12と、分岐用ダンパー8から分岐して除湿ロータ6の吸着域6aを通過して浴室内2に連通できる吹出口13へ至る除湿用送風路14と、浴室内2aに連通できる再生用吸引口20から延びて浴室外5に連通できる送風路の途中で上流側の再生用ヒータ18及び下流側の除湿ロータ6の再生域6bを通過する再生用送風路15と、再生用送風路15に配した再生用送風機17と、吸気用送風機9のモータ9b、再生用送風機17のモータ17b及び分岐用ダンパー8の切替操作具8bを制御する制御装置16とを備えている。吸気用送風機9は、送風量が130m3 /h程度のものが採用され、再生用送風機17は、送風量が10m3 /h程度のものが採用される。
【0024】
本例の本発明除湿装置1は、浴室内2aに臨ませるグリル23と、外側を形成するケーシグ19を備え、グリル23に吸引口7、吹出口13及び再生用吸引口20を開設してある。ケーシグ18は、その内側に、除湿ロータ6、吸気用送風機9のファンロータ9a、再生用送風機17のファンロータ17a、分岐用ダンパー8のダンパー羽根を有する本体8a及び再生用ヒータ18を内蔵すると共に、吸気用送風路10、除湿用送風路14、排気用送風路12及び再生用送風路14をダクト等で区画するように形成してある。また、ケーシグ18は、その外側に、吸気用送風機9のモータ9b、再生用送風機17のモータ16b及び分岐用ダンパー8のサーボモータ又はマグネット等からなるダンパー切替操作具8bを露出させると共に、排気用送風路12及び再生用送風路15の各下流端の接続する排気口11を開口させてある。排気口11は、浴室外5に連通する延長排気路21(図1参照)を接続してある。
【0025】
前記除湿ロータ6は、ロータ本体6dに設けた回転軸6eにモータ6cを直接又は駆動ベルト(図示略)を介して連結させ、ロータ本体6dの回転に伴い除湿用送風路14内に位置する部分を吸着域6aにすると共に再生用送風路15内に位置する部分を再生域6bにする。なお、除湿ロータ6は、モータ6cをケーシグ19の外側に露出させることもある。ロータ本体6dは、例えばシリカゲルにコバルト、鉄、マンガンなどの複数の金属を組み合わせた金属ケイ酸塩ゲルをセラミックスのハニカム積層体内に重合反応させ、かつ、水分子に適合するようにマイクロポア形状を微調整することで水分の吸着性及び脱着性を向上させた直径が20cm程度の円筒状の形態に形成され、モータ6cで1分間に0.5回転程度するように回転速度が設定される。
【0026】
前記再生用ヒータ18は、除湿ロータ6が吸着した水分を再生域6bで蒸発させる熱を発生させる発熱量が600W/h程度の電気ヒータ等の加熱具からなり、再生用送風路14における再生域6bより上流側に配置され、再生用送風機17の起動で吸引した浴室内2aの空気を加熱するようにしてある。再生用ヒータ18で加熱された空気は、再生用送風路14を通過するときに除湿ロータ6の再生域6bを加熱して水分を蒸発させ、蒸発した水蒸気と共に排気口11へ導かれて浴室外5へ排出される。
【0027】
前記制御装置16は、図1及び図3に示す如く、制御回路を有する制御盤16aと、手動の除湿スタート用スイッチ26を有する操作盤16bとからなり、ケーシグ18に取付ける等して制御盤16aを配置すると共に、浴室2の外側の出入口扉4の近辺に取付ける等して操作盤16bを配置できるようにしてある。制御盤16aは、操作盤16bの除湿スタートスイッチ26をON操作した除湿スタートの指令に基づいて、除湿動作と換気動作と換気停止動作とをこの順番で実行させるように指令部27を回路構成してある。除湿動作は、吸気用送風路10と除湿用送風路14を連通させるように分岐用ダンパー8のダンパー切替操作具8bを操作すると共に吸気用送風機9のモータ9bを起動させものである。換気動作は、吸気用送風路10と除湿用送風路14の連通を断って連通吸気用送風路10と排気用送風路12を連通させるように分岐用ダンパー8のダンパー切替操作具8bを操作すると共に、吸気用送風機9のモータ9bの起動時間Tsを異臭排出のために既定してある既定時間Toとしてある。換気停止動作は、吸気用送風機9のモータ9aを停止させものである。制御盤16aは、除湿動作中に、再生用ヒータ18及び再生用送風機17を起動させることで、除湿ロータ6の再生域6bの水分を蒸発させて浴室外5へ放出するようにしてある。
【0028】
前記制御装置16の制御盤16aは、異臭排出のための既定時間Toを予め設定しておくことで、除湿動作の後に浴室内2aに残留している異臭を換気動作中に排出するようにしてある。既定時間Toは、除湿ロータ6の吸湿・放湿能力、浴室内2aの容積及び吸気用送風機9の送風能力に基づいて設定される。既定時間Toは、制御盤16aで設定され、操作盤16bから変更できないようにすることで、使用者により簡単に変更されないようにしてある。既定時間Toとしては、例えば、一坪の浴室で吸気用送風機9の風量が130m3 /h程度の場合には、5分程度とすることができる。本発明除湿装置1は、除湿動作の終了後に、既定時間Toだけ換気動作を実行させて換気停止動作へ至ることになり、除湿動作の後で必ず実行される換気動作により、浴室内2aの空気と共に残留している異臭を浴室外5へ排除することで、快適な入浴を確保させることができる。
【0029】
前記制御装置16は、図4に示す如く、換気動作の時間Tsを延長できるようにして、除湿後の昇温した浴室内2aの温度調節のための換気、開閉窓3や出入口扉4の開度の程度に応じた換気又は洗濯物の浴室乾燥等に適した換気に対処できるようにすることもある。この場合の制御装置16は、前記既定時間Toに延長時間Tbを付加した時間を換気動作時における吸気用送風機9のモータ9aの起動時間Ts(Ts=To+Tb)とする換気時間延長部を備え、操作盤16bには、延長時間Tbを設定するための延長時間設定入力部28を有し、制御盤16aの指令部27には、既定時間Toに延長時間Tbを付加する加算部を回路構成してある。
【0030】
延長時間Tbを設定できる場合には、吸気用送風機9のモータ9bの起動時間Tsとして、異臭排出のための既定時間Toを確保させた上で延長させるので、浴室内2aに異臭を残留させることなく、除湿後の浴室内の温度調節等のために換気動作の時間を使用者の延長設定操作により延長させることが可能となる。
【0031】
(第2の実施の形態)
図5は本発明除湿装置1の制御装置16の第2の実施の形態を示すものであり、制御装置16は、除湿動作後の昇温した浴室内の温度を設定した快適な温度にできるようにしたものであり、吸気用送風路10、排気用送風路12又は浴室内2aに設けた室内用温度センサ30(図1も参照)と、換気動作終了後の希望する浴室内設定温度値Soを設定する温度設定部31と、除湿動作終了後の浴室内温度センサ30の測定値Sbが温度設定部31の設定した浴室内設定温度値Soに達するまで換気動作を実行させる温度制御部32とを備え、換気動作の実行時間を積算した積算時間が異臭排出のための既定時間Toに満たないときに、換気動作時における吸気用送風機9のモータ9aの起動時間Tsを既定時間Toに達するまで延長させるように指令部27を回路構成してある。操作盤16bには、浴室内設定温度値Soを手動で設定すための温度設定部31を備え、制御盤16aには、温度制御部32を備えてある。本発明除湿装置1は、異臭排出のための既定時間Toを確保しつつ、除湿動作後の昇温した浴室内温度値が浴室内設定温度値Soに達するまで換気動作を実行せることができる。
【0032】
図6は浴室内設定温度値Soを自動的に設定できる制御装置16を示すものである。制御装置16は、外気用温度センサ35と、各種の外気温度値Saに対する最適浴室内温度値Soを定めた外気・浴室内温度関係を記憶する記憶部36とを備え、温度設定部31が、記憶部30の記憶する外気・浴室内温度関係に外気用温度センサ35の検知した外気温度値Saを適用して自動的に求めた最適浴室内温度値Soを浴室内設定温度値Soとするように回路構成してある。本例の制御盤16aは、記憶部36、温度設定部31及び温度制御部32を備えてある。指令部27は、図5の場合と同様に、換気動作の実行時間を積算した積算時間が異臭排出のための既定時間Toに満たないときに、換気動作時における吸気用送風機9のモータ9aの起動時間Tsを既定時間Toに達するまで延長させるように回路構成してある。本発明除湿装置1は、異臭排出のための既定時間Toを確保しつつ、外気温度値Saに基づいて自動的に設定した浴室内設定温度値Soに達するまで換気動作を実行せることができる。
【0033】
(第3の実施の形態)
図7は、本発明除湿装置1の制御装置16の第3の実施の形態を示すものであり、開閉窓や出入口扉の開度等で換気条件が変化しても残留している異臭を確実に排出できるようにしたものである。
【0034】
本実施の形態に係る本発明除湿装置1は、図1に示す如く、回転に伴い水分を吸着する吸着域6aと水分を放出する再生域6bとに区分される除湿ロータ6と、浴室内2aに連通できる吸引口7から分岐用ダンパー8へ至る途中に吸気用送風機9を配した吸気用送風路10と、分岐用ダンパー8から分岐して浴室外5に連通できる排気用送風路12と、分岐用ダンパー8から分岐して除湿ロータ6の吸着域6aを通過して浴室内2に連通できる吹出口13へ至る除湿用送風路14と、除湿ロータ6の再生域6bを通過する再生用送風路15とを備えている。これら除湿ロータ6、吸気用送風路10、排気用送風路12、除湿用送風路14及び再生用送風路15の内容については、前記第1の実施の形態と実質的に同一であるため、ここでの説明を省略する。
【0035】
吸気用送風機9のモータ9b及び分岐用ダンパー8の切替操作具8bを制御する制御装置16は、図7に示す如く、換気動作時における排気用送風路12を通過する風量(吸気用送風路10を通過する風量と同量)を積算する風量積算部38を備え、除湿スタートの指令に基づいて、吸気用送風路10と除湿用送風路14を連通させるように分岐用ダンパー8の切替操作具8bを操作すると共に吸気用送風機9のモータ9bを起動させる除湿動作と、吸気用送風路10と排気用送風路12を連通させるように分岐用ダンパー8の切替操作具8bを操作すると共に風量積算部38の積算した換気体積値Uaが異臭排出のために予め既定した既定体積値に達するまで吸気用送風機9のモータ9bを起動させる換気動作と、吸気用送風機9のモータ9aを停止させる換気停止動作とをこの順番で強制的に実行させるように指定部27を回路構成してある。
【0036】
前記風量積算部38は、換気動作時における排気用送風路12又は吸気用送風路10の通過風速を測定する風速センサ38a(図1も参照)と、風速センサ38aの測定値に基づいて換気動作時における排気用送風路12の通過風量(吸気用送風路10を通過風量と同量)を求めて積算する演算部38bとからなり、演算部38bを制御盤16aに備えてある。
【0037】
本実施の形態に係る本発明除湿装置1は、換気風量値Uaが異臭排出のための予め既定した既定体積値に達するまで換気動作を実行させることで、開閉窓3や出入口扉4の開度等で換気条件が変化しても異臭を排除するための換気体積を確保して、浴室内2aに残留している異臭を確実に排出できる。
【0038】
(第4の実施の形態)
図8に示す第4の実施の形態に係る本発明除湿装置51が前記第1の実施の形態に係る本発明除湿装置1(図1及び図2参照)と大きく相違する点は、除湿ロータ6の吸着域6aで吸着した水分を再生域6bで脱着させる再生用送風路52を閉じた経路にすることで、再生用送風路52内で空気を循環させるようにしたことである。再生用送風路52は、除湿ロータ6の再生域6bを通過するように構成され、再生域6bより上流側に再生用ヒータ18を配置すると共に、再生域6bより下流側で熱交換器53の高温側53hを通過させ、再生域6bと熱交換器53の間に再生用送風機17を配置してある。再生用送風路52は、再生用ヒータ18で加熱した空気が除湿ロータ6の再生域6bを通過するときに再生域6bの水分を蒸発させ、水蒸気を含んだ高湿度空気が熱交換器53の高温側53hを通過するようにしてある。
【0039】
上記熱交換器53は、除湿用送風路14における除湿ロータ6の吸着域6aと吹出口13の間の部分が低温側53cを通過するようにし、低温側の除湿用送風路14と高温側の再生用送風路52の間で熱交換させ、高温側の再生用送風路52に含まれている水蒸気を低温側の除湿用送風路14を通過する低温度空気で冷却して凝縮させ、結露水をドレン配管54で浴室内2a等の適所へ排出させるようにしてある。
【0040】
本実施の形態に係る本発明除湿装置51に備えた制御装置16は、前記第1乃至3の実施の形態と同一のものが採用される。
【符号の説明】
【0041】
1(51)…本発明浴室用除湿装置、2…浴室、2a…室内、3…開閉窓、4…出入口扉、5…浴室外、6…除湿ロータ、6a…吸着域、6b…再生域、6c…モータ、6d…ロータ本体、6e…回転軸、7…吸引口、8…分岐用ダンパー、8a…本体、8b…ダンパー切替操作具、9…吸気用送風機、9a…ファンロータ、9b…モータ、10…吸気用送風路、11…排気口、12…排気用送風路、13…吹出口、14…除湿用送風路、15…再生用送風路、16…制御装置、16a…制御盤、16b…操作盤、17……再生用送風機、17a…ファンロータ、17b…モータ、18…再生用ヒータ、19…ケーシング、20…再生用吸気口、21…延長排気路、23…グリル、24…浴槽、25…天井、26…除湿スタートスイッチ、27…指令部、28…換気時間延長部、28a…設定入力部、28b…加算部、30…浴室用温度センサ、31…温度設定部、32…温度制御部、35…外気用温度センサ、36…記憶部、38…風量積算部、38a…風速センサ、38b…演算部、41…湿度センサ、52…再生用送風路、53…熱交換器、53h…高温側、53c…低温側、54…ドレン配管、Sb…測定値(浴室内)、So…浴室内設定温度値、Tb…積算時間、Ts…モータ9bの起動時間、To…既定時間、Tb…延長時間、Ua…換気風量値、Uo…既定風量値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転に伴い水分を吸着する吸着域と水分を放出する再生域とに区分される除湿ロータと、浴室内に連通できる吸引口から分岐用ダンパーへ至る途中に吸気用送風機を配した吸気用送風路と、分岐用ダンパーから分岐して浴室外に連通できる排気用送風路と、分岐用ダンパーから分岐して除湿ロータの吸着域を通過して浴室内に連通できる吹出口へ至る除湿用送風路と、除湿ロータの再生域を通過する再生用送風路と、吸気用送風機のモータ及び分岐用ダンパーの切替操作具を制御する制御装置とを備えた浴室用除湿装置において、制御装置は、除湿スタートの指令に基づいて、吸気用送風路と除湿用送風路を連通させるように分岐用ダンパーの切替操作具を操作すると共に吸気用送風機のモータを起動させる除湿動作と、吸気用送風路と排気用送風路を連通させるように分岐用ダンパーの切替操作具を操作すると共に吸気用送風機のモータの起動時間として異臭排出のための既定時間を少なくとも確保する換気動作と、吸気用送風機のモータを停止させる換気停止動作とをこの順番で強制的に実行させるように回路構成してあることを特徴とする浴室用除湿装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記既定時間に延長時間を加算した時間を換気動作時における吸気用送風機のモータの起動時間とする換気時間延長部を備えた請求項1に記載の浴室用除湿装置。
【請求項3】
前記制御装置は、室内用温度センサと、浴室内設定温度値を設定する温度設定部と、除湿動作終了後の浴室内温度センサの測定値が温度設定部の設定した浴室内設定温度値に達するまで換気動作を実行させる温度制御部とを備え、換気動作の実行時間を積算した積算時間が異臭排出のための既定時間に満たないときに換気動作時における吸気用送風機のモータの起動時間を既定時間に達するまで延長させるようにした請求項1に記載の浴室用除湿装置。
【請求項4】
前記制御装置は、外気用温度センサと、各種の外気温度値に対する最適浴室内温度値を定めた外気・浴室内温度関係を記憶する記憶部とを備え、前記温度設定部は、記憶部の記憶する外気・浴室内温度関係に外気用温度センサの検知した外気温度値を適用して自動的に求めた最適浴室内温度値を前記浴室内設定温度値とするように回路構成してある請求項3に記載の浴室用除湿装置。
【請求項5】
回転に伴い水分を吸着する吸着域と水分を放出する再生域とに区分される除湿ロータと、浴室内に連通できる吸引口から分岐用ダンパーへ至る途中に吸気用送風機を配した吸気用送風路と、分岐用ダンパーから分岐して浴室外に連通できる排気用送風路と、分岐用ダンパーから分岐して除湿ロータの吸着域を通過して浴室内に連通できる吹出口へ至る除湿用送風路と、除湿ロータの再生域を通過する再生用送風路と、吸気用送風機のモータ及び分岐用ダンパーの切替操作具を制御する制御装置とを備えた浴室用除湿装置において、制御装置は、排気用送風路を通過する風量を積算する風量積算部を備え、除湿スタートの指令に基づいて、吸気用送風路と除湿用送風路を連通させるように分岐用ダンパーの切替操作具を操作すると共に吸気用送風機のモータを起動させる除湿動作と、吸気用送風路と排気用送風路を連通させるように分岐用ダンパーの切替操作具を操作すると共に風量積算部の積算した換気体積値が異臭排出のための既定体積値に達するまで吸気用送風機のモータを起動させる換気動作と、吸気用送風機のモータを停止させる換気停止動作とをこの順番で強制的に実行させるように回路構成してあることを特徴とする浴室用除湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−42099(P2012−42099A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182907(P2010−182907)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】