説明

浴室面を洗浄するための方法、物品及び組成物

本発明は、浴室面を洗浄するための使い捨て洗浄物品に関し、それは不織布基材層と、液体又はペースト形態のいずれかであることができる洗浄組成物とを含む。洗浄物品は水賦活化される。
本発明はまた、洗浄組成物で含浸された使い捨て洗浄物品に水を添加し、次いで浴室面を拭き取ることによって硬質面を洗浄する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室洗浄のための方法、物品及び組成物に関する。特に本発明は、石鹸かす、石灰かす及びこれらの混合物、任意に浴室面に見られるカビ及び白カビ汚れの洗浄を改善するための、ウェットタイプ又は水で賦活化されるペースト形態の洗浄組成物を含有する使い捨て洗浄用拭き取り繊維の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨て洗浄用拭き取り繊維及びパッドは当該技術分野において周知である。これらは、カーケア、スキンケア及び台所洗浄のような多様なニーズのために製造されていた。使い捨て洗浄用拭き取り繊維は、2つの利点を有する。第一に、拭き取り繊維は1つの実行で基材及び洗浄化学品の両方を含むので、これら2つの構成要素は洗浄効果を最大にするように設計されることができる;これは、洗浄基材及びクリーナーが独立に選択され、協調されることがほとんどない従来の洗浄製品とは対照的である。第二に、使い捨て拭き取り繊維は使用及び廃棄が容易である。結局、消費者は強い洗浄力という利益を得るとともに、面倒が省ける。
【0003】
硬質面を洗浄するための既知の使い捨て洗浄用拭き取り繊維は、通常ウェットタイプであり、台所及び浴室面に対して1回使用するために設計されている;既知の1回使用の使い捨て洗浄用拭き取り繊維は、浴室浴槽及びシャワー室のような浴室面を洗浄するのに通常必要とされる石鹸かす及び石灰かすの除去には適していない。当該技術分野において既知の使い捨て洗浄用拭き取り繊維は、浴室浴槽やシャワー室全体を洗浄するのに十分な洗浄活性物質も、十分な溶媒及び/又は水も含んでいない。石鹸かす、石灰かす及びこれらの混合物のような頑固な汚れは、その拭き取り繊維の化学品では十分に和らげられず、複数の拭き取り繊維を使用しても除去するのが困難なままである。
【0004】
こうした浴室面の有効且つ簡便な洗浄は1回使用の使い捨て拭き取り繊維によって達成でき、ここでその拭き取り繊維に存在する洗浄組成物は水によって賦活化され、洗浄すべき浴室面に放出されることが今では判明している。
【0005】
更に、水溶液又はペースト形態の特定洗浄組成物は、本発明の1回使用の使い捨て拭き取り繊維と組み合わせて、本明細書に開示される水賦活化方法に従って使用される場合に、石鹸かす、石灰かす及びこれらの混合物を浴室面から除去するのに非常に有効になるように配合されている。
【0006】
更に、ペースト形態の特定組成物は、優れた洗浄を提供し、最終製品の製造が容易で、製品の審美性に関する利点も提供するように創造されている。
【0007】
ペースト又はウェットタイプ形態の使い捨て洗浄用拭き取り繊維に水を添加することを含む硬質面の洗浄方法は、特定領域、特に食器洗い領域において既知である。米国特許出願公開第2002/0132747号(ヒュン(Huyhn)ら、2002年9月19日公開、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡)は、手触りが乾燥していても湿っていてもよい両面台所拭き取り繊維を用いて食器類を洗浄する方法を開示する。米国特許出願公開第2003/0100462号(サーゾン(Suazon)ら、2003年5月29日、コルゲート−パルモリブ社(The Colgate-Palmolive Company)に譲渡)は、食器洗い洗浄用拭き取り繊維を開示するが、この拭き取り繊維は手触りが実質的に乾燥しており、(a)20%〜95%の非水溶性基材及び(b)5%〜80%の、前記非水溶性基材に含浸された洗浄組成物を含み、前記組成物は:20〜60%のスルホン化界面活性剤、30〜65%のエトキシル化非イオン性界面活性剤、1〜10%のポリエチレングリコールを含み、前記組成物は10%未満の水を含有する。米国特許出願公開第2003/0100462号は更に、水を用いて食器拭き取り繊維を湿らせることによる洗浄方法を開示する。
【0008】
上記洗浄組成物拭き取り繊維は、石鹸かす及び石灰かす並びにこれらの混合物のような浴室の汚れを洗浄するのに適していない。
【0009】
浴室での特定使用のための汎用拭き取り繊維も当該技術分野において既知である。米国特許第4,759,865号は、浴室洗浄組成物のためのペースト状洗剤組成物を開示し、この組成物は、苛性溶液でアルキルベンゼンスルホン酸を中和した後、活性有機酸及び充填剤を乾燥混合することによって製造されるペースト状の塊を含む。にかわ状の洗剤ペーストは、石灰かす及び石鹸かすを除去するための活性洗浄構成成分及び有機酸類のキャリアの両方として作用し、水で賦活化されることなくそれ自体が使用される。
【0010】
硬質面用の既知の1回使用拭き取り繊維の代表例は、米国特許第6,376,443号であり、この文献は、非水溶性基材及び2.25g/gまでの充填ファクターにて水性洗浄組成物を含む浴室拭き取り繊維を開示し、この洗浄組成物は、0.1%〜5%の双極性界面活性剤、0.5%〜10%のC1〜C4アルカノール、0.5%〜8%の補助界面活性剤、0.1%〜1%の抗雨(antirain)又は抗塵剤及び0.05%〜3.0%のプロトン供与剤からなり、pHは約3〜約7である。
【0011】
そのため、本発明の目的は、浴室面、特に浴室浴槽及びシャワー室の石鹸かす及び石灰かす並びにこれらの混合物を洗浄用拭き取り繊維を用いて洗浄する方法を提供することであり、これは、1枚の洗浄用拭き取り繊維のみを用いて、洗浄プロセス全体を通して複数の製品を必要とせずに、浴室浴槽又はシャワー室を全面的に洗浄するのに十分な利点を提供する。表面の大きさ及び数は消費者によって異なり、又は同じ消費者でも場合によって異なるので、本発明はまた限られた再使用も提供する。1枚の拭き取り繊維のみを用いて、消費者が選択すればわずかな作業を行い、保管し、別の作業のために又は化学品が消耗されるまで、限られた範囲での再使用ができる。
【0012】
本発明の別の目的は、浴室面を洗浄するために優れた性能を有する物品を提供することにあり、この物品は、水性又はペースト形態の洗浄組成物で含浸された少なくとも1種の不織布基材を含む洗浄用拭き取り繊維を含有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の更なる目的は、好ましくは本発明の方法及び物品と共に使用するために、特にペースト形態の優れた洗浄組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の主要な実施形態において、本発明は:
次の工程を含む、1回使用の使い捨て洗浄用拭き取り繊維を用いて浴室面、特に浴槽及びシャワー室を洗浄するための方法に関する:
・ ペースト又は水性形態で洗浄組成物を含有する使い捨て拭き取り繊維を提供する工程;
・ 前記拭き取り繊維を水と接触させて、前記拭き取り繊維を賦活化する工程;
・ 前記賦活化された拭き取り繊維を洗浄すべき前記浴室面に接触させる工程;
・ 任意にではあるが、好ましくは前記表面を水ですすぐ工程。
【0015】
本明細書の方法は、石鹸かす、石灰かす及びこれらの混合物の洗浄を特に対象とする。好ましい実施形態において、この方法は更に、抗バクテリア、抗ウイルス及び抗カビ利益を提供できる。
【0016】
第2の主要な実施形態において、本発明は、使い捨て洗浄用拭き取り繊維を含む浴室面を洗浄するための物品に関し、この拭き取り繊維は、約20g/m2〜約200g/m2の坪量を有する少なくとも1種の不織布基材、並びに少なくとも約5%の界面活性剤及び少なくとも約3%の1種若しくはそれ以上の有機又は無機酸類及びこれらの混合物を含む洗浄組成物を含み、前記不織布基材の単位面積あたりの前記洗浄組成物の重量は、約0.005g/cm2〜約0.60g/cm2、より好ましくは約0.015g/cm2〜約0.30g/cm2、最も好ましくは約0.025g/cm2〜約0.20g/cm2である。
【0017】
本明細書の物品は、前記洗浄用拭き取り繊維から成ることができ、又は更に前記拭き取り繊維が洗浄操作中に取り外し可能に取り付けられた器具を含むことができ、前記器具は拭き取り繊維が取り付けられたヘッド、任意にハンドル及び/又はポールを備える。
【0018】
本明細書の方法及び物品に使用するための拭き取り繊維は、好ましくは2つの面を形成する少なくとも2種の不織布基材の積層体であり、それらの面の少なくとも1つは洗浄に有用な面であり、前記組成物はその洗浄面に、好ましくは識別可能な模様で施されるのが好ましい。
【0019】
本明細書の方法及び物品に使用するための洗浄組成物は、好ましくは次から成る群から選択される:
・ 少なくとも約5%の界面活性剤及び少なくとも約3%の一種若しくはそれ以上の有機又は無機酸類及びこれらの混合物を含有するペースト及び水性組成物であって、前記ペースト及び前記水性組成物の10%溶液のpHは約0.5〜約6である組成物;
・ 少なくとも約5%の界面活性剤及び少なくとも約3%の一種又はそれ以上の金属イオン封鎖剤を含有するペースト及び水性組成物であって、前記ペースト及び前記水性組成物の10%溶液のpHは約6〜約12である組成物;
ここで、前記組成物は好ましくは少なくとも約3%の一種又はそれ以上のヒドロトロピー剤、及び/又は少なくとも約1%の一種又はそれ以上の有機洗浄溶媒を含む。
【0020】
本明細書の第3の主要な実施形態において、本発明は、浴室面、特に石鹸かす、石灰かす、及び好ましくはカビ及び白カビ用のペースト形態の洗浄組成物に関し、前記ペーストは次を含む:
・ 少なくとも約5%の界面活性剤、少なくとも約3%の一種若しくはそれ以上の有機又は無機酸類及びこれらの混合物、並びに更に少なくとも約3%の一種又はそれ以上のヒドロトロピー剤及び/又は少なくとも1%の有機溶媒を含み、ここで前記組成物の10%溶液のpHは約0.5〜約6である;又は
・ 少なくとも約5%の界面活性剤、少なくとも約3%の一種又はそれ以上の金属イオン封鎖剤、並びに更に少なくとも約3%の一種又はそれ以上のヒドロトロピー剤及び/又は少なくとも1%の有機溶媒を含み、ここで前記組成物の10%溶液のpHは約6〜約12である。
【0021】
界面活性剤は、好ましくは約7.5%〜80%、より好ましくは約10%〜約70%、最も好ましくは約15%〜約50%の量で存在し、少なくとも1つの界面活性剤は、好ましくは陰イオン性スルホネート界面活性剤から成る群から選択される。
【0022】
ヒドロトロピー剤は、トルエン、キシレン及びクメンスルホネート塩類、C6〜C12ジフェニルエーテルジスルホネート塩類、C4〜C6アルコールエトキシレート類、C4〜C6グリコシド類、2−エチル−1−ヘキシルサルフェート塩類、モノ−及びジ−2−エチル−1−ヘキシルスルホサクシネート塩類、及び約12を越えるHLBを有するC8〜C22アルキルエトキシレート類;及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0023】
本明細書の酸性組成物においては、酸類が、好ましくは約10%〜約40%の量で存在し、好ましくは、アジピン酸、クエン酸、グルタル酸、グリコール酸、マレイン酸、リン酸、コハク酸、スルファミン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0024】
本明細書の中性又はアルカリ性組成物においては、金属イオン封鎖剤が、好ましくは約10%〜約50%の量で存在し、好ましくはニトリロ三酢酸、メチルグリシン二酢酸、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩類又は部分塩類から成る群から選択される。
【0025】
有機溶媒は、少なくとも約5%の量で存在し、好ましくはジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、エチレングリコールn−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールn−ヘキシルエーテル、及びこれらの混合物から成る群から選択されるグリコールエーテル溶媒である。
【0026】
洗浄組成物はまた、好ましくはベタイン類、双極性及び両性界面活性剤並びにこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの界面活性剤を含有する。
【0027】
洗浄組成物は、好ましくは約3%〜20%の、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、及び過硫酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩のナトリウム及びカリウム塩類、並びにこれらの混合物から成る群から選択される1つ以上の漂白剤又は漂白剤前駆体を含有する。
【0028】
(定義)
本明細書で引用される全ての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれ、いずれの文献の引用も、それが本発明に関連する先行技術であるとの容認として解釈されるべきではない。
【0029】
本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような、より小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含むことを理解すべきである。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0030】
他に指定がない限り、本明細書の明細、実施例、及び請求の範囲におけるすべての割合、比率及び百分率は重量基準であり、すべての数値限定は、当該技術分野において許容可能な通常の程度の精度で使用される。
【0031】
ペースト及び水性洗浄組成物に関して全てのpH測定は、前記洗浄組成物を拭き取り繊維から取り除き、pH測定を行う前に洗浄組成物の10%溶液を製造することによって行われる。これは、pHは濃縮された化学組成物に関しては容易にも正確にも測定されないので、ペースト組成物に関しては特に必要なことである。
【0032】
本明細書で使用する時、「ペースト」は、1s-1の剪断速度にて50パスカル秒(Pa・s)の最小粘度を有する、0%〜約40%の水を含む化学組成物である。溶媒含量は、約40%を超えることができるが、その場合は組成物の最大40%は水であることができることに留意する。水は、いずれの供給源からのものであってもよく:水の詳細は、以下に記載する「水性組成物」の項にてより完全に記載される。1つの極度において、ペーストは、ごく微量の水、より好ましくは少なくとも約1%の水、さらにより好ましくは少なくとも約2%の水、最も好ましくは少なくとも約3%の水を含有する粉末又は固体である。別の極度において、ペーストは、約40%という高い水含量、より好ましくは約5%〜約30%、より好ましくは約6%〜約25%、さらにより好ましくは約7%〜約20%、最も好ましくは約7%〜約15%の水を含むことができる。正確な水含量は、ペースト中の他の溶媒の量及びペーストの所望のレオロジー的特性に依存する。ペーストの粘度は、一般に、水及びその他の溶媒を含む組成物中の(25℃における)液体含量に反比例する。好ましくはペーストの粘度は、1.0s-1の剪断速度にて少なくとも約75Pa・s、より好ましくは少なくとも約100Pa・s、最も好ましくは少なくとも約150Pa・sである。好ましくはペーストの粘度は、1.0s-1の剪断速度にて最大約10,000Pa・s、より好ましくは最大約5000Pa・s、最も好ましくは最大約1,000Pa・sである。好ましい粘度範囲は、特定のペースト組成物の構成成分に依存する。上記で定義された最小粘度量と最大粘度量とからなるいずれかの範囲が使用できる。
【0033】
本明細書で使用する時、「水性組成物」は、少なくとも約20%の水、より好ましくは少なくとも30%の水、さらにより好ましくは少なくとも40%の水、最も好ましくは少なくとも50%の水を含む組成物である。水の供給源は当該技術分野において既知のいずれであることもできる。水の硬度は、0〜850mg/L(0gpg〜50gpg)のいずれの範囲であることもできる。好ましくは、ウェットタイプ拭き取り繊維中の水は、高度に精製されるか、又は少なくとも0〜51mg/L(0gpg〜3gpg)の硬度を有する軟水である。水の精製は、使用するならば、当該技術分野において既知のいずれかの手段によって達成されることができ、それには蒸留、脱イオン化及び脱鉱質化が挙げられる。水性洗浄組成物は、例えば等方性液体、かすんだ(hazy)液体(ほぼ等方性)、エマルション、マイクロエマルションの形態であることができ、あるいは透明、半透明であり、任意に不透明にすることができるゲル又は増粘化溶液の形態であることができる。水性組成物はまた、いずれかの粘度を有することができる。
【0034】
「浴室浴槽及びシャワー室」又は「室領域」とは、現在の家庭用浴槽又はシャワー設備に通常関連する無生物表面の全てを意味する。浴槽及びシャワー室は、通常、長さ約3メートル以下、幅約3メートル以下の寸法を有し、次の1つ以上の組み合わせを含む:浴室浴槽、シャワーヘッド、固定式又はスライド式出入口、レール、カーテン、壁、タイル、タイルの目地、並びに浴室浴槽又はシャワー領域に熱水及び冷水を分配するための種々雑多の付属品。
【0035】
「石鹸かす」とは、身体の汚れと水硬度との反応から生じる汚れを意味する。石鹸かすは、極めて非水溶性であり、その主要な構成成分の中でも脂肪酸類のカルシウム塩類を含む。石鹸かすは、浴室浴槽室に単独で見出されることはほとんどなく;それは、通常石灰かす汚れと共に見出される。
【0036】
「石灰かす」とは、1ガロンあたり0グレイン(gpg)(3.8Lあたり0mg)を超える硬度を有する水の蒸発によって生じる汚れを意味する。硬度とは、浴室浴槽又はシャワー室に使用される大部分の水に存在することが知られている鉱物塩類の組み合わせを意味し;前記鉱物塩類には、相当な量のマグネシウム及びカルシウム塩類及び低量の遷移金属塩類が含まれる。浴室浴槽及びシャワー室、特にガラス戸を含むものは、硬度を含有する水滴によって容易に汚れ、それがガラス及びエナメル質表面に頑強に付着し、乾いて除去が困難な水跡を残す。
【0037】
「1回使用の使い捨て拭き取り繊維」とは、1つの頑固に汚れた浴室浴槽又はシャワー室の洗浄を完了するように設計された洗浄用拭き取り繊維を意味し;この拭き取り繊維は、洗浄作業が完了したら廃棄されるのが好ましい。「1回使用」とは、拭き取り繊維中又は拭き取り繊維上の洗浄化学品が、1つの頑固に汚れた大きい浴室浴槽又はシャワー室の洗浄に十分であるが、過剰でないことを意味する。浴室又はシャワー室がより小さい、又は頑固に汚れていない場合には、2つの、さらには3つの浴室浴槽又はシャワー室を洗浄するのに「1回使用」の使い捨て拭き取り繊維を使用することも可能である。一部のユーザーが、1回使用、好ましくは軽い作業の1回使用の後に、後に次の浴室洗浄操作のために洗浄用拭き取り繊維製品を確保及び保管することを選択することさえも可能である。「1回使用」はまた、拭き取り繊維からより良好な価値を得るために、より小さい作業の後で、次の浴室洗浄操作のために洗浄用拭き取り繊維製品を確保及び保管することを選択する一部のユーザーを考慮している。これは、「制限された再使用」として定義される。しかし、「1回使用の使い捨て拭き取り繊維」製品形態は、化学品量又は活性物質の希釈に関する制限あるいは基材に関する物理的制限のいずれかの理由で、上述を超えた複数回の使用を推奨しない。「拭き取り繊維」は、少なくとも1枚の不織布、及び拭き取り繊維の表面に(通常はペースト)、又は拭き取り繊維に含浸された(水性組成物)洗浄化学品を含む。「使い捨て拭き取り繊維」に関して、拭き取り繊維の一体性又は効果又は審美的魅力のいずれかは、繰り返し使用されることで早急に損なわれ、その拭き取り繊維が廃棄される必要があることを示す。性能に関してこの備わった物理的又は審美的な変質は、その初期使用後に、拭き取り繊維のさらなる使用又は追加のペースト若しくは水性化学品の基材への適用を推奨せず、拭き取り繊維の寿命を制限する。
【0038】
本明細書で使用する時、「洗浄用拭き取り繊維」という用語は、浴室浴槽又はシャワー室における石鹸かす、硬水及びこれらの混合物を含む汚れの洗浄のための「1回使用の使い捨て拭き取り繊維」のことを指す。
【0039】
「洗浄器具」とは、硬質面の洗浄を補助する耐久性のある再使用可能な汎用洗浄器具を意味する。この器具はクリーナーではなく、洗浄剤を含まない;代わりにこの器具は、器具ヘッドを介して、水で賦活化される用意ができた洗浄化学品を含む1回使用の使い捨て拭き取り繊維に取り付けられる。この器具ヘッドは、洗浄プロセス中に1回使用の使い捨て拭き取り繊維と直接接触する。洗浄器具はまた、器具ヘッドに取り付けられたハンドル及び/又はポールを任意に備え、洗浄すべき硬質面から離れた位置での洗浄作業にユーザーの努力を向けるのに役立つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(方法)
本明細書の第1の主要な実施形態において、本発明は、浴室面、特に浴槽及びシャワー表面を洗浄するための方法に関し、この方法は次の工程を含む
− ペースト又は水性形態の洗浄組成物を含有する使い捨て拭き取り繊維を提供する工程:
− 前記拭き取り繊維を水と接触させて、拭き取り繊維を賦活化させる工程;
− 前記拭き取り繊維を洗浄すべき浴室面と接触させる工程;及び
− 任意にではあるが、好ましくは前記表面を水ですすぐ工程。
【0041】
1つの実施形態において、浴室面を洗浄する前述の方法は、使い捨て拭き取り繊維を洗浄器具にさらに取り付けることによって行われる。拭き取り繊維は、拭き取り繊維と水を接触させる前にその器具に取り付けられるのが好ましい。
【0042】
本方法は、石鹸かす、石灰かす及びこれらの混合物を洗浄するのに特に適する。好ましい実施形態において、この方法は更に、抗バクテリア及び抗カビ利益を標的とすることができる。しかし、当業者は、浴室面を洗浄するための前述の方法及び洗浄用拭き取り繊維(本明細書にて以下で記載される)の特定の効力に拘わらず、この方法及び拭き取り繊維がまた、あらゆる他の種類の表面、特に硬質面を洗浄するのに使用できることを理解する。
【0043】
使い捨て拭き取り繊維及び以下で記載される洗浄組成物のいずれかは、前述された浴室面の洗浄方法に使用できることが理解される。
【0044】
(水賦活化)
本明細書の拭き取り繊維は、本発明に従って水で賦活化されなければならない。水賦活化は、水性又はペースト含有洗浄用拭き取り繊維に水を添加し、又は洗浄すべき硬質面に水を添加し、続いて前記硬質面上で洗浄用拭き取り繊維と水を接触させることを含むことができる。あるいは、水賦活化は、投与装置、好ましくは本開示の「すすぎ」の項において記載されたように洗浄器具ヘッド、ハンドル及び/又はポールに取り外し可能に取り付けられた投与装置によって達成されることができる。本質的な特徴は、洗浄用拭き取り繊維が水と接触することである。水賦活化は、洗浄プロセスの間に1回又はそれ以上使用されることができ;好ましくは水賦活化は数回使用される。最も好ましくは、拭き取り繊維はまず水で賦活化され、次いで洗浄に使用され、次いで洗浄タスクを完了する必要に応じて、あるいはウェットタイプ拭き取り繊維又はペースト拭き取り繊維の内容物が消費されるまで再賦活化される。温水又は熱水は、水賦活化プロセスに使用されるのに有利である;水は、水性又はペースト含有組成物の速やかな溶解及び水賦活化された化学的組成物の高い洗浄効果及びユーザーにとって最大の皮膚安全性のために、好ましくは約30℃〜約45℃、より好ましくは約35℃〜約40℃、最も好ましくは37℃付近の温度を有する。水は、好ましくは実質的にバクテリアを含まず、軟水であり、好ましくは1Lあたり約171mg(1ガロンあたり10グレイン(gpg))未満である。製品の賦活化に使用される水の量は、ユーザーによって変動し、部分的には予め充填された化学品の量並びに洗浄用拭き取り繊維の大きさ及び質量に依存する。しかし、洗浄用拭き取り繊維の不織布材料を含むことができる洗浄面は、十分な水で湿潤されて、使用前に拭き取り繊維空気界面にて泡の形成がはっきりと見られるのが好ましい。
【0045】
洗浄用拭き取り繊維と水を接触させるあらゆる手段が使用できる。通常、水賦活化は、浴室浴槽又はシャワー室領域、例えば浴室浴槽蛇口又はシャワーヘッドにて容易に利用可能な水供給源に洗浄用拭き取り繊維を直接曝すことによって達成される。水はまた、他の場所から供給されて、例えばシリンジ、ガーデンホース、スプレーボトル、飲料容器、バケツなどによって拭き取り繊維又は洗浄すべき表面に移されることができる。本発明の方法の1つの好ましい実施形態において、浴室浴槽又はシャワー床領域が浴槽又はシャワー蛇口からの温水〜熱水(好ましくは30℃〜45℃)を用いて部分的に満たされ、洗浄用拭き取り繊維は水賦活化の必要に応じて水を貯めていた場所に浸される。水賦活化プロセスの間、拭き取り繊維はユーザーによって直接扱われ得るか、又は器具に取り外し可能に取り付けられることができ、前記器具はヘッド又は任意にハンドル及び/又はポールを備える。器具を介する水賦活化により、ユーザーが濡れたり、又は温水/熱水若しくは洗浄用拭き取り繊維の化学品に曝されることなく洗浄プロセスを制御できる。
【0046】
(洗浄)
一旦洗浄用拭き取り繊維が水賦活化されたら、洗浄のための使用準備ができる。洗浄は、水賦活化された拭き取り繊維と洗浄すべき浴室面、特に汚れた浴室浴槽又はシャワー室を接触させることから成る。これは、製品のユーザーによって所望されるいずれかの様式にて達成できる。特に、届き易いが込み入った場所、及び浴室浴槽又はシャワー室の小さい領域を占め、高度に成形された付属品、例えば浴室浴槽及びシャワー蛇口の洗浄には手を使用するのが好ましいことがある。
【0047】
浴室浴槽及びシャワー室の洗浄に関して、最も頑固に汚れた領域をまず処理し、次いであまり汚れていない表面に取り組んだ後、処理された浴室浴槽/シャワー室をすすぐのが効果的である。この洗浄方法は、最も頑固な汚れに洗浄組成物が留まる時間を長くし、こうした汚れを和らげ、除去することを促進する。洗浄するのが最も頑固な表面は、家庭及び浴室によって様々であり、実際の浴室浴槽/シャワー室領域の設定、浴室浴槽/シャワー設備における構成要素の質、こうした構成要素の年数、及び消耗に依存する。例えば、浴室浴槽/シャワー室の一部である場合があるスライド式又は固定式ガラス戸は、除去が困難な湯垢しみで汚れることがある。従って、汚れたガラス戸の洗浄は、洗浄プロセスにて早期に行うのが好ましい。一般に、水賦活化された洗浄用拭き取り繊維は、まず浴室浴槽の汚れた下方部分、浴室浴槽の周りの「湯垢(ring)」又はシャワー室の下方部分に適用され、これらの領域の落しにくい硬水の垢及び石鹸かすを除去する。
【0048】
(任意のすすぎ工程)
すすぎは、当該技術分野において既知のいずれかの手段によって達成されることができる。シャワーヘッドは傾けられ、すすぎのために水を出すことができる。シャワーはまた、浴室浴槽又はシャワー室の全ての隅に届き、すすぐのを容易にするホース及び/又は分離可能なシャワーヘッドが装備されている、又は装備されることができる。すすぎはまた、手によって又はカップ、グラス、鍋、吹き付けボトル若しくは水を保持及び分配できるその他のいずれかの装置のような投与装置を用いることによって洗浄された表面に水をかけることにより達成されることができる。あるいは、すすぎは機械的手段によって達成されることができ、その手段には圧力活性化庭用ホース、トリガー活性化装置(例えば、スーパーソーカー(Super Soaker))など又は電子的手段、例えば電池式作動スプレーが挙げられる。あるいは、器具は任意に、本明細書にて後述されるように好ましくは取り外しできるすすぎ用分配装置を含むことができる。
【0049】
洗浄用拭き取り繊維自体は、特に拭き取り繊維上の化学的内容物が消耗されている場合には、すすぎ補助体として作用できる。1つの実施形態において、洗浄用拭き取り繊維は、洗浄ペーストがそこに又はその近傍に充填された合成繊維を含む1つの外側表面、及びすすぎに使用できるセルロース系繊維から主に構成される第2の露呈外側表面を含む。すすぎ時に、拭き取り繊維は裏返され、セルロース面を単独で又は水すすぎ用分配システム、ゴム雑巾(squeegee)又はそれらの組み合わせと組み合わせてすすぎのために使用される。すすぎ温度はこのプロセスにて重要ではなく、ユーザーの好みによって変更できる。
【0050】
別の実施形態において、水賦活化拭き取り繊維を用いる処理の後、浴室浴槽又はシャワー室に残る過剰の洗浄活性物質は、すすぎ用の水、拭き取り繊維又はすすぎ用分配装置を使用するか又は使用せずにゴム雑巾を介して除去されることができる。ゴム雑巾は別の道具として使用でき、又は器具に永久的に若しくはより好ましくは取り外し可能な様式で取り付けられることができる。例えば、ゴム雑巾は、プラスチックのクリップによって器具ヘッド、ハンドル及び/又はポールに固定できる。
【0051】
浴室浴槽の下方、浴室浴槽の汚れた湯垢及び/又はシャワー領域の下方の洗浄の後、拭き取り繊維は浴槽−シャワー室領域の通常はあまり汚れていない他の領域を洗浄するために使用されるのが好ましく、そうした領域には、浴室浴槽の上方の平坦な部分、存在する場合には浴室浴槽の上方のタイル、存在する場合はタイルの目地、壁及び付属品が挙げられる。洗浄プロセスを通して、洗浄用拭き取り繊維は、拭き取り繊維が本質的に活性物質を使い果たすまで又は洗浄作業が完了するまで、活性物質を放出する必要に応じて優先的に再賦活化される。処理された領域及び処理されていない領域を良好に視覚化するために、洗浄化学品は相当な量の泡を発生させるように設計されるのが好ましい。これにより、ユーザーが製品の利用度を良好に見積もることができる。製品の使用及び製品の消費の視覚化を補助するために、洗浄用拭き取り繊維化学品の一部として染料又はインクも組み込まれるのが好ましい。洗浄用拭き取り繊維から色が失われることで、洗浄組成物が使い果たされたことを示す。使い果たし点を示す能力は更に、pH感応性の染料を用いて向上することもできる。特に顕著に酸性及びアルカリ性の組成物に関しては、染料は、化学品が消耗されることで拭き取り繊維のpHが変化する時に、色を変化させるか又は完全に色を失うように選択できる。
【0052】
(物品)
1つの実施形態において、浴室面の洗浄のための物品は、浴室浴槽及びシャワー室の石鹸かす及び石灰かすしみの洗浄に特に適合され、効率的であることができる。物品は、約20g/m2〜約200g/m2の坪量及び少なくとも0.15g/cm3の密度を有する少なくとも1種の不織布基材、並びに少なくとも約5%の界面活性剤、及び少なくとも約3%の一種又はそれ以上有機又は無機酸類か、又は少なくとも約3%の一種又はそれ以上の金属イオン封鎖剤のいずれかを含む洗浄組成物を含む使い捨て洗浄用拭き取り繊維を含む。
【0053】
洗浄組成物が前記不織布基材上に、基材面積あたり特定の比の組成物重量で適用されることは、本明細書の物品の特別な特徴である。前記不織布基材の単位面積あたりの洗浄組成物の重量は、約0.005g/cm2〜約0.60g/cm2、より好ましくは約0.015g/cm2〜約0.30g/cm2、最も好ましくは約0.025g/cm2〜約0.20g/cm2である。
【0054】
1つの実施形態において、不織布基材は、2面を形成する少なくとも2つの不織布層の積層体であることができ、それらの少なくとも1つは洗浄に有用である;組成物は、洗浄組成物が洗浄面に向かって移動し、次いで洗浄操作の間に洗浄すべき表面に適用できる限り、洗浄用拭き取り繊維を構成する基材層のいずれか1つ又はいずれかの数の層に充填されることできる。好ましくは洗浄組成物は前記積層体の洗浄面に直接適用される。液体形態の組成物は、通常、洗浄用拭き取り繊維の種々の層中及び層を通って浸透する。
【0055】
本明細書の物品の好ましい実施形態において、洗浄組成物はペーストの形態であり、このペーストは洗浄用拭き取り繊維上又は拭き取り繊維中に組み込まれる。ペースト組成物が如何にして不織布基材に組み込まれ得るかの非限定例は、米国特許出願公開第2003/0121530号(ボルゴンジョン(Borgonjon)ら、2003年7月3日公開、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡)にて議論されている。1つの実施形態において、ペーストは不織布基材層に面して充填され、それは他の不織布基材に積層されても、されなくてもよく、ペーストは着色され(すなわち、基材の色とは異なる色)、洗浄用拭き取り繊維上で容易に視覚可能であり、ペーストを含む不織布層の外側にある場合があるいずれかの不織布層を取り除くことなくユーザーが直接扱うことができる。ペーストは、洗浄用拭き取り繊維の不織布基材層の一方の面に直接充填されるのが好ましく、それによって洗浄活性物質を有利に洗浄すべき表面に近接させる。あるいは、ペーストは不織布基材の外側に面する面に充填されることができ、次いでペーストの最上部にて低密度不織布層で覆われることができ、ユーザーはペーストを含有していない外側層を通してペーストを容易に見ることができ、扱うことができる。「低密度」とは、外側層が約0.0005g/cm3〜約0.1g/cm3、より好ましくは約0.001g/cm3〜約0.09g/cm3の密度を有することを意味する。こうした外側層は、泡の発生を補助するために嵩高い不織布構造であるのが好ましい。本明細書の物品は、洗浄すべき表面を擦るのを補助するように設計される外部スクリム層を含むのが好ましい。例えば、ペースト及び外側スクリム層に挟持された低密度ポリエステル層は、ペースト及び/又は水に溶解したペーストを硬質面に流すことができ、更に界面活性剤溶液が高度に通気された低密度ポリエステル基材及びスクリムを通して移動することで生じた摩擦の結果としてフォーム又は泡の発生を補助できる。従って、ペーストの洗浄すべき表面への流れを最大にし、ペーストの素早い溶解を促進して、濃縮洗浄溶液を形成するために、有利なレオロジー特性をペーストに構築するのが極めて有益である。
【0056】
1つの実施形態において、本明細書の物品は前記洗浄用拭き取り繊維から成り、本明細書の方法は洗浄用拭き取り繊維の手による使用に依存する。手による使用を促進し、推奨するために、ペーストが容易に視覚可能であり、不織布基材層を取り除くことなくユーザーが直接扱うことができるように、基材は洗浄用拭き取り繊維の外側不織布層の1つに洗浄ペーストでコーティングされるのが好ましい。
【0057】
1つの実施形態において、洗浄用拭き取り繊維の面に不織布材料の層を結合させることによってスリーブを形成できる。好ましい実施形態において、この不織布層は拭き取り繊維の非洗浄面(すなわち、洗浄に有用でない面、例えばバリア層又は不透過性層)に連結される。一旦結合したら、このスリーブは、消費者の手又は指に容易にフィットし、取り外すことができるポケットを提供する。ポケットを拭き取り繊維の設計に組み込むことにより、消費者が必要に応じて拭き取り繊維に圧力点を生じさせることができ、それによって洗浄プロセスを促進する。ポケットはまた、拭き取り繊維をより高度に制御でき、基材に埋め込まれた濃縮され、潜在的に強力な化学品の有害反応から保護できる。好ましい設計において、ポケットは、改善された簡便性及び洗浄効果のために、器具ヘッド(以下参照)への取り付け機構と、ユーザーの手又は指を収容する(housing)手段との両方として機能するように製造するのが有利である。
【0058】
本明細書の別の実施形態において、本明細書の物品は、好ましくは取り外し可能な様式にて洗浄用拭き取り繊維が取り付けられた器具から成る。1つの実施形態において、洗浄器具は、ユーザーが浴室面を使い捨て拭き取り繊維で洗浄でき、一方で洗浄操作中にユーザーの皮膚と洗浄用拭き取り繊維及び洗浄組成物が接触するのを制限するためのハンドルを備える。好ましい実施形態において、本明細書に用いる洗浄器具は、拭き取り繊維を取り付けるモップヘッドを含む。本発明の洗浄用拭き取り繊維と共に使用するために好適な洗浄器具の1つの例は、米国仮特許出願整理番号60/499,851(ゴー(Goh)ら、2003年8月27日出願、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡)に開示されている。好適な洗浄器具は、好ましくはモップヘッドに回転式に連結されるポールを含むことができる。
【0059】
このポールは、セグメント化されたポール、入れ子式のポール、折り畳み可能なポールのような当該技術分野において既知のいかなるポールであることができ、好適ないかなる材料で製造できる。
【0060】
モップヘッドは、いかなる寸法及びいかなる形状を有することができる。好ましくは、モップヘッドは、比較的平坦で任意に非平坦化されている上面及び下面領域を有する。器具ヘッドの形状、特に器具ヘッドの下面領域は、円形、楕円形状、アイロン形状、三角形、四角形、方形、台形、五角形又は六角形であることができる。好ましい実施形態において、モップヘッドは、浴室浴槽のような平坦でない表面の丸くなった輪郭に容易に合うように展性及び可撓性である。可撓性は、器具ヘッドを構成する材料の操作によって達成でき;器具ヘッドは、少なくとも部分的にポリウレタン又はその他の発泡体、エチルビニルアセテート又はゴム形態あるいは可撓性を確保できる他のいずれかの材料から製造されるのが好ましい。器具に取り付けられた洗浄用拭き取り繊維の寸法は、器具ヘッドの寸法より小さくても、同じ大きさでも又はより大きくてもよい。好ましくは洗浄用拭き取り繊維の寸法は、器具ヘッド面の下面全体を完全に覆うのに十分であり、より好ましくは幾つかの地点で拭き取り繊維が、1面又はそれ以上の面の少なくとも一部にて器具ヘッドの下面領域の周囲を越えて張り出す程度に、より大きい。器具ヘッドの下面の周囲を越えて張り出す拭き取り繊維によって、ユーザーは器具ヘッドの1つの面の少なくとも一部に圧力を与えることができ、張り出した拭き取り繊維部分が器具ヘッド面に寄り掛かることができ、洗浄が頑固な汚れを擦るのに、又は表面縁部、溝若しくはタイルの目地に深く浸透するのに良好に利用される。これは、カビ及び白カビしみの洗浄に特に有用である。好ましい実施形態において、モップヘッドの少なくとも1つの面は、擦り又はタイルの目地への浸透のために、好ましくは張り出した基材と組み合わせてその使用を推奨するために、残りの面の部分よりも固い物質で製造される。洗浄用拭き取り繊維の張り出した部分はまた、擦り作用及びタイルの目地の洗浄を促進するために1種又はそれ以上の研磨物質を含むのが有利である。好ましい実施形態において、拭き取り繊維は、そこに適用される研磨材料の小塊及び/又は筋から形成される非平坦化研磨面を一方の面に有し、この研磨材料は、BareissHHP2000ショアー硬度試験機を用いて約40〜約100ショアーD単位の硬度を有するのが好ましい。この研磨材料により、拭き取り繊維は穏やかな磨き又は研磨作用を生み出し、石鹸かす、硬水及びこれらの組み合わせを浴室浴槽及びシャワー室の表面から機械的に取り除くのを助ける。研磨材料は、それが添付される拭き取り繊維面の外側表面積の約5%〜約50%を覆うことができる。
【0061】
洗浄用拭き取り繊維と器具ヘッドとの取り付け機構は、当該技術分野において既知のいずれかであることができる。例えば、外部取り付け機構、例えば弾性バンド、可撓性ストラップ又はベルトは、器具ヘッドに洗浄基材を固定するために使用できる。より好ましくは、取り付け機構の少なくとも一部は器具ヘッド上に又は器具ヘッド内に収容される。こうした取り付け機構の非限定例としては、接着剤、フック及び/又はループファスナ、例えばベルクロ(VELCRO)(登録商標)、スリット構造、例えばスウィファー(SWIFFER)(登録商標)ダスディングモップ器具ヘッドに見出されるもの、ピン、剛毛、クリップ及びクランプが挙げられる。接着剤とは、ポリイソブチレンのような粘着性ポリマー類及びHL−1496、HL−1500、HL−1597、HM−1902、HM−1972、HM−2713などの名称を有するHBフラー(Fuller)によって販売されるもののような感圧性接着剤を意味する。接着剤は、水及び化学的耐性であるように選択され、器具ヘッドの下面にて配置されるのが好ましい。フックを使用する場合、フックはまた、水及び化学的耐性であるのが好ましく、器具ヘッドの下面、すなわち洗浄すべき表面に面して配置されるのが好ましい。その場合、拭き取り繊維は、取り付け機構を完了するために器具フックに一致するループを必要とする。
【0062】
剛毛は当該技術分野において、特に歯ブラシ及び硬質面洗浄のための擦り洗い道具の背景において周知である。本発明の背景において、器具ヘッドの下面の剛毛は器具ヘッドにある洗浄用拭き取り繊維を保持するために使用できる。好ましくは剛毛は、拭き取り繊維の一体性を損なうことなく洗浄用拭き取り繊維に浸透するように選択される。剛毛の1つの利点は、器具ヘッド及び洗浄用拭き取り繊維との多数の取り付け点である;別の利点は、洗浄用拭き取り繊維と組み合わせた剛毛が、現実的及び知覚的の両方で有効な擦り洗いを提供すると同時に、表面損傷の可能性が限られる。個々の剛毛ストランドは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル類、ポリアミド類(例えば、ナイロン類縁体)、及びそれらのブレンドのような当該技術分野において既知のいずれかの材料で製造できる。1つの実施形態において、剛毛ストランドの長さは、約0.5cm〜約6cm、好ましくは約0.5cm〜約5cmである。剛毛ストランドの幅又は直径は、約0.01mm〜約5mm、好ましくは約0.02mm〜約3mm、最も好ましくは約0.03mm〜約2mmであることができる。ストランドは、互いに離れて配置された束にグループ化されるのが好ましく、当該技術分野において既知のいずれかの手段を介して器具の下面領域に取り付けられ又は結合される。1つの実施形態において、束の間隔は、約0.25cm〜約3cm、好ましくは約0.5cm〜約2cmである。剛毛は、器具ヘッドの特定圧力点として剛毛を使用することを推奨するために、器具ヘッドの底部の全体領域を覆うことができ、又は器具の前方末端部におけるように特定点に配置できる。
【0063】
1つの実施形態において、洗浄用拭き取り繊維と器具ヘッドとの間の取り付け機構は基材に完全に位置することができる。例えば、スリーブは、器具ヘッドの少なくとも一部を収容するのに十分な大きさのポケット形成するために、好ましくはその器具ヘッドの幅に沿って、洗浄基材の1面を除いて全ての面に固定でき、好ましくは器具ヘッドの最長軸に垂直な面に固定でき、それによって洗浄用拭き取り繊維の一部を、好ましくはその器具ヘッドの幅に沿って器具ヘッドに固定できる。ポケットの大きさは、基材と器具との間に所望されるかみ合いに応じて調整できる。好ましくは、ポケットの大きさは、器具ヘッド表面積の約1/20〜約1/2、より好ましくは器具表面積の約1/15〜約1/3を収容するのに十分である。好ましい実施形態において、ポケットは、改善された簡便性及び洗浄効果のために、器具ヘッドへの取り付け機構と、ユーザーの手又は指を収容する手段との両方として機能するために製造するのが有利である。
【0064】
固定機構の組み合わせも、基材を器具ヘッドに取り付けるために使用できる。例えば、器具ヘッドは1つ又はそれ以上のグリッパー及び1つ又はそれ以上のピンを含むことができる。好ましい実施形態において、取り付け機構は、洗浄基材に組み込まれた1つ又はそれ以上のスリット構造及び少なくとも1つのスリーブの組み合わせを含む。拭き取り繊維と器具ヘッドとの取り付け部位の数は、拭き取り繊維が容易に、そして安全に器具ヘッドに固定できる限り、簡便さの問題である。洗浄用拭き取り繊維を洗浄器具に固定するための取り付け機構、並びに本明細書に記載されるいずれかの洗浄組成物と共に使用するのに好適な洗浄用拭き取り繊維構造の非限定例は、同時係属中の米国仮特許出願整理番号60/499,851(ゴー(Goh)ら、2003年8月27日出願)及び同時継続中の米国仮特許出願整理番号60/XXX,XXX(リンド(Lynde)ら、2003年12月3日出願)(両方ともプロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡)に記載される。
【0065】
好ましい実施形態において、使い捨て洗浄拭き取り繊維は、洗浄器具のハンドル又はモップヘッドの少なくとも一部を受容するためのポケット又は空隙を1つの先端部に備える。必要により、洗浄用拭き取り繊維の他方の先端部はまた、当該技術分野において既知のいずれかの取り付け構造又は機構を介して洗浄器具に固定されることができる。
【0066】
本明細書の器具は、水賦活化工程及び/又はすすぎ工程のための水分配容器を含むことができる。
【0067】
水の分配は、容器を絞ることによって、又は引き金式スプレー若しくは他の機械的手段、又は電池式引き金を介して生じ得る。水分配装置ボトル又は容器は、低密度又は高密度ポリエチレンを含むいずれかの材料から製造でき、及びいずれの体積を有してもよく、好ましくは約50mL〜約3,000mLの体積を有することができる。容器及び引き金機構は、あれば、器具ヘッドにあることができ、又はハンドルに取り付けられ、固定され、若しくは結合されることができる。好ましくは、引き金機構は、ユーザーにとって簡便となるために、ハンドルに配置され、より好ましくは組み込まれ、最も好ましくはハンドルの最上部に配置される。引き金の作動により、好ましくは相当量の流体を流れとして容易に分配できる。好ましくは、壁から15cm離れて作動されるすすぎ容器の壁への適用範囲は、少なくとも幅約20cm、より好ましくは少なくとも幅約30cm、最も好ましくは少なくとも幅約40cmである。本明細書の器具に組み込まれることができる好ましい分配装置の例としては、米国特許第6,540,425号及び米国特許出願公開第2003/0133740号(ポリシッチオ(Policicchio)ら)、2003年7月17日公開、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡)に開示されるものが挙げられる。水分配ユニットは、浴室浴槽/シャワー/浴室壁表面の素早く有効なすすぎ及び乾燥のために、ゴム雑巾(以下参照)と組み合わせて使用できる。
【0068】
(洗浄組成物)
本発明の第3の主要な実施形態において、本発明は、本発明の方法及び物品に使用するのに好ましい洗浄組成物に関する。
【0069】
本明細書の洗浄組成物は、ペースト又は水性形態であることができ、特に石鹸かす及び石灰かすの除去を対象とする。2つのタイプがある:0.5〜6のpH(前記組成物の10%溶液)を有する酸性タイプ、及び約6〜12のpH(前記組成物の10%溶液)を有する中性又はアルカリ性タイプ。両方の組成物は、少なくとも約5%の界面活性剤、好ましくは少なくとも約7.5%の界面活性剤、より好ましくは少なくとも約10%の界面活性剤、より好ましくは少なくとも約12.5%、さらにより好ましくは少なくとも約15%、最も好ましくは少なくとも約20%の界面活性剤を含む。本明細書の組成物は、好ましくは最大約80%の界面活性剤、より好ましくは最大約70%の界面活性剤、さらにより好ましくは最大約60%の界面活性剤、最も好ましくは最大50%の界面活性剤を含む。好ましい範囲は、目的とする利益(例えば、泡及び洗浄量)及びコストに依存する。上記で定義された最小量と最大量とからなるいずれかの範囲が使用できる。しかし、1つの極めて好ましい実施形態において、組成物は約25%〜約50%の界面活性剤を含む。
【0070】
組成物の2つのタイプが、異なるpH条件にて浴室洗浄利益を提供するために選択される。中性からアルカリ性のpHでは、金属イオン封鎖剤は、石鹸かす、硬水及びこれらの混合物を含む不溶性付着物からII群金属を除去するのに有効である。酸性pHでは、金属イオン封鎖剤は少なくとも部分的にプロトン化されるので、金属をキレート化するのに有効はでない。しかし、酸性化剤は、浴室の石鹸かす及び石灰かすを生じる主要な物質である金属、特にCa++及びMg++を除去するのに有効である。
【0071】
陰イオン性界面活性剤は、本発明に使用するのに好適で、極めて望ましい。本明細書の陰イオン性界面活性剤は、典型的には、約8個〜約18個の炭素原子、好ましくは約8個〜約16個の炭素原子を含む疎水性炭化水素鎖を含み、典型的には、少なくとも1つのカルボキシレート、サルフェート又はスルホネートの親水性先端基を包含する。陰イオン性界面活性剤のうち、スルホネート官能性を含むこうした界面活性剤が本明細書に用いるのに最も好ましく、特に拭き取り繊維に含浸された組成物のpHが約3.0未満の場合には特に好ましい。スルホネート界面活性剤は、スルホネート基が酸触媒加水分解に影響を受け難いので好ましい。本発明に好適なスルホネート界面活性剤の非限定例としては、商標名バイオ−タージ(Bio-Terge)(登録商標)PAS−8Sとしてステパン(Stepan)より販売されているC8スルホネート類、商標名ホスタプア(Hostapur)(登録商標)SASとしてヘキスト(Hoechst)より販売されているC8〜C18スルホン酸パラフィン類、及びパイロット社(Pilot corporation)又はステパン社(Stepan corporation)から商標名バイオ−ソフト(Bio-Soft)(登録商標)及びナコノール(Nacconol)(登録商標)として入手可能なC10〜C14、より好ましくはC11〜C13直鎖又は分枝鎖アルキルベンゼンスルホネート類、特に米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に記載されるものが挙げられる。他の好適なスルホネート類としては、アルキルエトキシスルホネート類及びアルキルグリセリルエーテルスルホネート類が挙げられる。サルフェート界面活性剤の例としては、C8〜16アルキルサルフェート類(例えば、ステパン(Stepan)からのステパノール(Stepanol)(登録商標)AM)及びエトキシサルフェート類(例えば、ステパン(Stepan)からのステオール(Steol)(登録商標)CSシリーズ)が挙げられる。
【0072】
双極性界面活性剤はまた、浴室洗浄のための本方法の背景にて使用できる。双極性界面活性剤は、幅広いpH範囲にわたって、同分子上に陽イオン性基と陰イオン性基との両方を含有する。典型的な陽イオン性基は四級アンモニウム基であるが、スルホニウム基やホスホニウム基などその他の正電荷を持つ基を用いることもできる。典型的な陰イオン性基は、カルボキシレート類及びスルホネート類、好ましくはスルホネート類であるが、サルフェート類、ホスフェート類などのような他の基も用いることができる。これらの洗剤のうち幾つかの一般的な例は、米国特許第2,082,275号、米国特許第2,702,279号及び米国特許第2,255,082号の特許文献に記載されている。双極性界面活性剤は、特に陰イオン性界面活性剤の存在下にて高い酸性が原因の過酷さ(harshness)を緩和する既知の緩和剤であるので、低pHの水性組成物(例えば、pH0.5〜3)の背景にて特に有益である。
【0073】
幾つかの好ましい双極性界面活性剤の一般式は次の通りである:
R−N+(R2)(R3)(R4)X-
式中、Rは疎水基であり;R2及びR3はそれぞれC1〜4アルキルヒドロキシアルキル、又は結合してNと環状構造を形成することができるその他の置換アルキル基であり;R4は陽イオン性窒素を親水性陰イオン性基に結合させる部分であって、典型的にはアルキレン、ヒドロキシアルキレン、又は1個〜4個の炭素原子を含有するポリアルコキシアルキレンであり;Xは親水性基、最も好ましくはスルホネート基である。「簡単な」双極性界面活性剤の具体例は、マッキンタイア・カンパニー(McIntyre Company)(米国イリノイ州60466ユニバーシティ・パーク、ガバナーズ・ハイウェイ(Governors Highway)24601)から商標名マッカムLHS(Mackam LHS)(登録商標)として入手可能な3−(N−ドデシル−N,N−ジメチル)−2−ヒドロキシプロパン−1−スルホネート(ラウリルヒドロキシスルタイン)である。
【0074】
その他の特定の双極性界面活性剤は、次の一般式を有する:
R−C(O)−N(R2)−(CR32n−N(R22+−(CR32n−SO3-
式中、各Rは、例えば、約6個〜約20個、好ましくは約18個まで、より好ましくは約16個までの炭素原子を含有するアルキル基などの炭化水素であり、(R2)はそれぞれ、水素(アミド窒素に結合する場合)、約1個〜約4個の炭素原子を含有する短鎖アルキル又は置換アルキルのいずれかであり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ヒドロキシ置換エチル及びプロピル、並びにこれらの混合物から成る群から選択される基、より好ましくはメチルであり、(R3)はそれぞれ、水素及びヒドロキシル基から成る群から選択され、nはそれぞれ、約1〜約4、より好ましくは約2又は約3、最も好ましくは約3の数であり、(CR32)部分のいずれにも約1を超えるヒドロキシ基が含まれない。
【0075】
ベタイン類は、双極性又は両性として一般には分類されるが、カルボキシレート陰イオン性基のプロトン化のためにpHが低くなるにつれて、より陽イオン性になり、約5未満のpHでは陽イオン性界面活性剤として本質的に作用する。約5又はそれ以上のpHにてベタイン類は双極性界面活性剤である。ベタイン類は、優れた発泡性界面活性剤及び緩和剤として作用するので本発明では極めて好ましい構成成分である。ベタイン類は、陰イオン性界面活性剤の過酷な影響を緩和し、これが酸性pHでは特に重要である。中性形態にて、ベタイン類は次の構造を有する
R−N(R12+−(CR22n−COO-
式中、Rは、例えば、約6個〜約20個、好ましくは約18個まで、より好ましくは約16個までの炭素原子を含有するアルキル基などの炭化水素であり、(R1)はそれぞれ、約1個〜約4個の炭素原子を含有する短鎖アルキル又は置換アルキルであり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ヒドロキシ置換エチル及びプロピル、並びにこれらの混合物から成る群から選択される基、より好ましくはメチルであり、(R2)は、水素及びヒドロキシル基から成る群から選択され、nは約1〜約4の数字、好ましくは約1である。別の実施形態において、「アミドプロピルベタイン類」は、特に少なくとも約2、より好ましくは少なくとも約2.5、最も好ましくは少なくとも約3のpHを有する組成物の背景にて使用されることができる。より高いpH値が好ましいのは、低pHにおけるアミド基の酸媒介加水分解の可能性に由来する。これらのベタイン界面活性剤は次の一般式を有することができる:
R−C(O)−N(R2)−(CR32n−N(R22+−(CR32n−COO-
式中、各Rは、例えば、約6個〜約20個、好ましくは約18個まで、より好ましくは約16個までの炭素原子を含有するアルキル基などの炭化水素であり、(R2)はそれぞれ、水素(アミド窒素に結合する場合)、約1個〜約4個の炭素原子を含有する短鎖アルキル又は置換アルキルのいずれかであり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ヒドロキシ置換エチル及びプロピル、並びにこれらの混合物から成る群から選択される基、より好ましくはメチルであり、(R3)はそれぞれ、水素及びヒドロキシル基から成る群から選択され、nはそれぞれ、約1〜約4、より好ましくは約2又は約3、最も好ましくは約3の数であり、(CR32)部分のいずれにも約1を超えるヒドロキシ基が含まれない。R基は、直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和であることができる。R2基も、環状構造を形成するように結合することができる。この種類の極めて好ましい界面活性剤は、マッキンタイア(McIntyre)により製造される、ココアミドプロピルベタインのマッカム35HP(Mackam 35HP)(登録商標)である。
【0076】
両性界面活性剤は、本発明の有用な別の部類の界面活性剤である。これらの界面活性剤は、四級窒素原子がない以外は双極性界面活性剤に類似する。pH約5未満の酸性pH条件にて、カルボキシレート陰イオン性基を含む両性界面活性剤は、本質的に陽イオン性界面活性剤として機能する。1つの好適な両性界面活性剤は、C8〜C16アミドアルキレングリシネート界面活性剤(「両性グリシネート」)である。別の好適な両性界面活性剤は、C8〜C16アミドアルキレンプロピオネート界面活性剤(「両性プロピオネート」)である。これらの界面活性剤は次の一般構造を有する:
R−C(O)−(CH2n−N(R1)−(CH2x−COO-
式中、R−C(O)−は約C5〜約C15の前疎水性脂肪族アシル部分であり、nはそれぞれ、約1〜約3であり、R1はそれぞれ、好ましくは水素又はC1〜C2アルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、xは約1又は約2である。こうした界面活性剤は、塩の形態で、ゴールドシュミット ケミカル(Goldschmidt chemical)から商標名リウォテリック(Rewoteric)AM(登録商標)として入手可能である。その他の好適な両性界面活性剤の例には、ココイルアミドエチレンアミン−N−(メチル)アセテート類、ココイルアミドエチレンアミン−N−(ヒドロキシエチル)アセテート類、ココイルアミドプロピレンアミン−N−(ヒドロキシエチル)アセテート類、ドデシルβ−アラニン、N−アルキルタウリン類及び類縁体、並びにこれらの混合物が挙げられる。米国特許第2,438,091号の教示に従って製造されるもののようなN−高級アルキルアスパラギン酸、及び商標名「ミラノール(Miranol)(登録商標)」として販売される製品、米国特許第2,528,378号に記載される製品も使用できる。
【0077】
陽イオン性界面活性剤は、本発明に使用されることができる。本明細書で記載されるように、陽イオン性界面活性剤は、四級窒素原子を含む界面活性剤、あるいは約8未満のpHではプロトン化される一級、二級又は三級アミン官能基を有する界面活性剤のいずれかである。更に、ベタイン類及びカルボキシレート官能基を含む両性界面活性剤はまた、約5未満のpHにて陽イオン性として分類できる。四級化窒素原子を含む陽イオン性界面活性剤は次の構造を有する:
R−N+(R2)(R3)(R4)X-
式中、RはC8〜C18アルキル基であり、R2及びR3はC8〜18アルキル基、CH3、C25又はCH2OH、OCH3、OCH2−CH3、CH2−CH2OH、又はCH2−C65のいずれかであり、R4はCH3又は(EO)xであり、ここでEOはエトキシレートユニット(CH2−CH2−O)であり、xは約1〜約12であり、X-は対イオンであり、例えばCl-、Br-、HCO3-CH3SO3-などである。四級窒素原子を含む陽イオン性界面活性剤の例としては、ロンザ(Lonza)から商標名バルダック(Bardac)(登録商標)としても入手可能なアルキルジアルキルジメチルアンモニウムクロリド界面活性剤及び同様にロンザ(Lonza)から商標名バルクアット(Barquat)(登録商標)として入手可能なアルキルベンジル塩化アンモニウム界面活性剤が挙げられる。アミン類のプロトン化によって形成される陽イオン性界面活性剤は、次の構造を有する:
R−R−N+(R2)(R3)(R4)X-
式中、RはC8〜C18アルキル基であり、R2、R3及びR4は、H、CH3、C25、CH2OH、OCH3、OCH2−CH3、CH2−CH2OH、CH2−C65又は(EO)xであることができ、ここでEOはエトキシレートユニット(CH2−CH2−O)であり、xは約1〜約12であり、X-は対イオン、例えばこれらに限定されないが、Cl-、Br-、HCO3-CH3SO3-などであるが、ただしR2、R3及びR4の少なくとも1つはHである。アミンのプロトン化によって形成される好適な陽イオン性界面活性剤の例は、アクゾ−ノベル社(Akzo-Nobel corporation)によって製造及び販売されるエトミーン(Ethomeen)(登録商標)C/12である構造C12〜C14N−EO(EO)を有するココナッツベースのアミンである。
【0078】
非イオン性界面活性剤は、本発明の背景にて使用できる。好ましい非イオン性物質の例としては、シェル・ケミカル(Shell Chemical)から商標名ネオドール(Neodol)(登録商標)(北アメリカ)又はドバノール(Dobanol)(登録商標)(欧州)として入手可能であり、並びにコンデア(Condea)から商標名アルフォニック(Alfonic)(登録商標)として入手可能な約8個の炭素原子〜約16個の炭素原子及び約1個〜約10個のエチレンオキシド部分を含むアルキルエトキシレート類が挙げられる。アルキルエトキシレート類のうち、疎水性部分にて約8〜約10個の炭素原子及び平均約1〜約6個のエトキシレート部分を含むものが好ましく、特に本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,698,041号に開示されるような「ピークを持つ(peaked)」エトキシル化されたものが好ましい。他の好適な非イオン性物質としては、エトキシレートでない少なくとも1つのアルコキシラート部分を含む先端基を含むものが挙げられる。アルコキシラートユニットは、通常プロポキシ又はブトキシ官能基であり、エトキシレート基を更に含む界面活性剤に組み込まれることができ、例えばアルキルエトキシプロポキシレート類を生成する。こうした化合物は、ロディア(Rhodia)から商標名アンタロックス(Antarox)(登録商標)として、及びシェル・ケミカル(Shell Chemical)から商標名ノニデット(Nonidet)(登録商標)として市販されている。本発明に好適な別の部類の非イオン性界面活性剤は、アミンオキシドである。アミンオキシド類、特に約8個の炭素原子〜約14個の炭素原子を含むものが、本発明の方法と共に用いるのに優れた洗浄性界面活性剤である。アミンオキシド類は、ステパン社(Stepan corporation)又はプロクター・アンド・ギャンブル社(the Procter & Gamble company)から購入できる。また本発明に用いるのに好適なのは、フッ素化非イオン性界面活性剤である。1つの特に好適なフッ素化非イオン性界面活性剤は、フルオラッド(Fluorad)F170(3M・コーポレーション(3M Corporation)、米国ミネソタ州セントポールの3Mセンター(3M Center))である。また本発明に用いるのに好適なのは、シリコン系界面活性剤である。界面活性剤のこれらの種類の1つの例は、ダウ・ケミカル(Dow Chemical)から入手可能なシルウェット(Silwet)L7604である。
【0079】
他の好適な非イオン性物質としては、プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって形成される疎水性塩基とエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられ、それは本明細書に用いるのに適している。この型の化合物の例としては、BASFより市販されているプルロニック(Pluronic)(登録商標)界面活性剤が挙げられる。化学的に、こうした界面活性剤は、構造(EO)x(PO)y(EO)z又は(PO)x(EO)y(PO)zを有し、ここでEOはエトキシレートユニットを指し、POはプロポキシレートユニットを指し、x、y及びzは約1〜約100であり、好ましくは約3〜約50である。使用できる他の非イオン性界面活性剤としては、糖類のような天然源から誘導されるものが挙げられ、C8〜C16N−アルキルグルコースアミド界面活性剤及びC8〜C16アルキルポリグリコシド類(APG)が挙げられる。APG界面活性剤のうち、平均約8個の炭素原子〜約11個の炭素原子、及びグリコシドのオリゴマー化度、好ましくは約1.1〜1.8個のグルコシドユニットを含むものが好ましい。好ましい市販のAPG界面活性剤の例としては、コグニス社(Cognis corporation)から入手可能なグルコポン(Glucopon)(登録商標)225、グルコポン(Glucopon)(登録商標)425、APG325(登録商標)、プランタレン(Plantaren)(登録商標)2000N UP及びプランタケア(Plantacare)(登録商標)818が挙げられる。好適なものであるが、好ましくはない更に他の非イオン性界面活性剤としては、C8〜C12アルキルフェノール類とエチレンオキシドとのポリエチレンオキシド縮合物が挙げられ、前記エチレンオキシドは、アルキルフェノール1モルあたり約10〜約25モルのエチレンオキシドに等しい量で存在する。
【0080】
本発明のその他の好ましい実施形態では、組成物は酸性である。本明細書に用いる酸性組成物のpHは、約0.5〜約6、より好ましくは約1.5〜約5.5、最も好ましくは約2〜約4.5である。pHが約0.5〜約2の間である場合、皮膚への暴露を最小限にするために拭き取り繊維は器具と組み合わせて使用されるのが好ましい。
【0081】
酸性である場合、化学的組成物は、少なくとも約3%、より好ましくは少なくとも約5%、さらにより好ましくは少なくとも約6%、さらにより好ましくは少なくとも約8%、最も好ましくは少なくとも約10%の酸性化剤を含む。更に組成物は、最大約80%、より好ましくは最大約70%、より好ましくは最大約60%、さらにより好ましくは最大約50%、最も好ましくは最大約40%の酸性化剤を含む。好ましい範囲は、目的とする利益(例えば、湯垢除去対身体汚れ除去)、表面安全性の量及びコストに依存する。上記で定義された最小量と最大量とからなるいずれかの範囲が使用できる。1つの極めて好ましい実施形態において、酸性化剤は、組成物の約12.5重量%〜約30重量%で含まれる。酸性組成物は、好ましくは酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、フマル酸、グルタル酸、グリコール酸、塩酸、イミノ二酢酸、イミノ二硫酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、硝酸、シュウ酸、リン酸、サリチル酸(salicyclic acid)、ソルビン酸、コハク酸、硫酸、亜硫酸、酒石酸、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つの酸性化剤を含む。非常に好ましい有機酸類は、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、乳酸、マレイン酸及びクエン酸、並びにこれらの組み合わせから成る群から選択される。コスト、入手可能性、緩衝能及び調整理由のために、クエン酸(必要ではないが食品等級が望ましい)及び、ロディア社(Rhodia corporation)及びデュポン社(Dupont corporation)から市販されている酸性グルタル酸とコハク酸類の組み合わせ(AGS)が最も好ましい。本発明に好ましい無機酸類は、リン酸及びスルファミン酸である。有機及び無機酸類は、所望により又は必要に応じて同じペースト又は水性組成物にて組み合わせることができる。マレイン酸とリン酸、マレイン酸とクエン酸、クエン酸とリン酸、AGSとマレイン酸、AGSとリン酸、AGSとクエン酸の組み合わせ、これら個々の酸類のいずれかの組み合わせ又はスルファミン酸との組み合わせが特に有効であり、ゆえに石灰かす及び石鹸かすの合わせた洗浄のために好ましい。
【0082】
本発明の方法の別の実施形態において、組成物は約6〜約12のpH(前記組成物の10%溶液)を有する。これらの組成物は金属イオン封鎖剤を含む。
【0083】
金属イオン封鎖剤は、金属、特にII群金属、最もとりわけMg++及びCa++イオンと結合することが知られた物質である。金属イオン封鎖剤は、好ましくは組成物の少なくとも約3重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%、より好ましくは少なくとも約10重量%、さらにより好ましくは少なくとも約15重量%、最も好ましくは少なくとも約20重量%の量で使用される。更に、金属イオン封鎖剤は、好ましくは組成物の最大約70重量%、より好ましくは最大約60重量%、さらにより好ましくは最大約50重量%、最も好ましくは最大約40%の量で使用される。リン系金属イオン封鎖剤、例えばアミノポリホスホネート類、特にエチレンジアミンテトラメチレンホスホネート、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホネート及びジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネートが使用できる。多くのアミノポリホスホネート類は、商標名デクエスト(Dequest)(登録商標)としてモンサント社(Monsanto corporation)から入手可能である。あるいは、リン含有ビルダー、特にリン酸のナトリウム及びカリウム塩類が使用できる。より好ましくは金属イオン封鎖剤はリン系でない。金属イオン封鎖剤の1つの部類は、ポリカルボン酸類を含むオリゴマー類及びポリマー類を含む。例えば、ブタンテトラカルボキシレート類、オキシジサクシネート類(oxidisuccinates)及びタータラートコハク酸とタータラート二コハク酸類の混合物、例えば米国特許第4,663,071号に記載されるもの、ポリアクリル酸及びポリメタクリル酸の塩類、アクリル酸及びメタクリル酸モノマー類又はそれらの塩類を含むポリマー類及びコポリマー類のすべてが、金属イオン封鎖剤として使用できる。さらにより好ましくは、金属イオン封鎖剤は、アミノポリカルボン酸類から成る群から選択される。アミノポリカルボン酸類系の金属イオン封鎖剤の例としては、次の一般式のものが挙げられる:
A−N(A)−CH2−CH2−N(A)−B、
式中、Aは−CH2−COOH又は−CH2CH2−COOHを表し、BはCH2−COOH、−CH2CH2−OH、−CH2CH2−N(CH2−COOH)2、又は−CH2CH2−N(CH2−COOH)−CH2CH2−N(CH2−COOH)2を表す。それぞれの場合、カルボン酸類は、金属イオン封鎖剤を最も有効にするために、好ましくは少なくとも部分的に、より好ましくは完全に中和される。中和陽イオンは当該技術分野において既知のもの、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム、特にエタノールアンモニウム及びトリエタノールアンモニウムである。ポリマーアミノカルボン酸類、特にポリアスパラギン(polyaspartic)酸及び関連する塩類も使用できる。好ましい金属イオン封鎖剤としては、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エタノールジグリシン、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS、米国特許第4,704,233号を参照)並びにそれらの塩及び混合物が挙げられる。NTA、MGDA及びEDTAのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及びアルカノールアンモニウム(特に、エタノールアンモニウム及びトリエタノールアンモニウム)塩類又は部分塩類(酸形態の金属イオン封鎖剤の不完全な中和)が最も好ましい。
【0084】
極めて好ましい実施形態において、中性からアルカリ性のpHの組成物は、pH約7〜約11にてペースト又は水性形態であり、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは少なくとも約20%、さらにより好ましくは少なくとも約25%、最も好ましくは少なくとも約30%の界面活性剤、及び少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約15%、最も好ましくは少なくとも約20%の一種又はそれ以上の金属イオン封鎖剤を含み、この金属イオン封鎖剤は、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムニトリロトリアセテート、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムメチルグリシンジアセテート、三ナトリウム、三カリウム又は三アンモニウムエチレンジアミン、及び四ナトリウム、四カリウム又は四アンモニウムエチレンジアミン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。上記組成物は、さらなる石鹸かす除去のために、炭酸カリウム及びシュウ酸カリウムを含む、約0.1%〜約5%の米国特許第6,245,728号に記載される沈殿コビルダーを任意に含むことができる。
【0085】
組成物は、酸性、中性pH又はアルカリ性に拘わらず、好ましくは少なくとも1種又はそれ以上のヒドロトロピー剤を含む。存在する場合、ヒドロトロピー剤は、組成物の少なくとも約3重量%、より好ましくは約3重量%〜約40重量%、より好ましくは約5重量%〜約30重量%、さらにより好ましくは約7.5重量%〜約30重量%、最も好ましくは約10重量%〜約25重量%の量で存在する。ヒドロトロピー剤は、本方法の組成物の範囲内で多くの重要な機能を果たすことができる。第1に、それらは界面活性剤の充填(packing)を減らすのに役立つ。これは、泡持続性を抑制し、すすぎを改善することによって組成物の泡特性を助けると考えられている。界面活性剤の充填を減らすことでまた、水賦活化の動力学を補助し、水が界面活性剤モノマー類及び溶媒を含むその他の活性物質により素早く浸透し、溶解し、放出できる。これは、活性物質のより速い放出により、洗浄プロセス中に活性物質が汚れた表面に留まる時間を長くし、良好な結果を導くので有益であると考えられている。本明細書で使用する時、ヒドロトロピー剤は、好ましくは、ルガーズ−ネッセ社(Ruegers-Nease corporation)から商標名ナキソネート(Naxonate)(登録商標)として入手可能なトルエン、キシレン及びクメンスルホネート塩類、ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)から商標名ダウファックス(Dowfax)(登録商標)として入手可能なヘキシル−、デシル−及びドデシル−ジフェニルエーテルジスルホネート塩類、コンデア社(Condea corporation)から商標名アルフォニック(Alfonic)(登録商標)として入手可能なC4〜C6及びC8アルコールエトキシレート類、セピック社(Seppic corporation)から入手可能なC4〜C6アルキルグルコシド類、ロディア社(Rhodia corporation)から商標名ロダパン(Rhodapon)(登録商標)として入手可能な2−エチル−1−ヘキシルサルフェート塩類、サイテック産業(Cytec industries)から商標名エアロゾール(Aerosol)(登録商標)として入手可能なモノ−及びジ−(2−エチル−1−ヘキシルスルホコハク酸塩類)、及びハンツマン社(Hunstman corporation)から商標名サルフォニック(Surfonic)(登録商標)として入手可能な約12を超えるHLBを有するC8〜C22アルキルエトキシレート類(例えば、スルフォニック(Surfonic)L24−22);及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0086】
本明細書の組成物はまた、1種又はそれ以上の有機洗浄溶媒を含むのが好ましい。本明細書で使用する時、有機洗浄溶媒は、25℃で液体として存在する化学的化合物であり、少なくとも4つの炭素原子を含む。本明細書の組成物中の溶媒の量は、洗浄組成物の好ましくは約1重量%〜約40重量%、より好ましくは約3重量%〜約30重量%、さらにより好ましくは約5重量%〜約25重量%、最も好ましくは約5重量%〜約20重量%である。有機洗浄溶媒としては、炭化水素系溶媒、C6〜C10エステル類、有機ジオール類及びグリコールエーテル類が挙げられる。炭化水素系溶媒の例としては、α−ピネン、β−ピネン、d−リモネン、C8〜C20パラフィン類及びイソパラフィン類、例えばエクソン(Exxon)からの商標名イソパール(Isopar)(登録商標)として販売されるものが挙げられる。好ましいジオール類の例としては、1,2−ヘキサンジオール、1−2−オクタンジオール、及び2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが挙げられる。好ましいエステル類の例としては、C8及びC10メチル、エチル、プロピル及びブチルエステル類が挙げられる;例えば純度の高いC10メチルエステルは、プロクター・アンド・ギャンブル社(the Procter & Gamble company)から商標名CE−1095(登録商標)として入手可能である。好ましい実施形態では、少なくとも1つのグリコールエーテル溶媒が本発明の組成物中に組み込まれる。好ましいグリコールエーテル類は、適度な疎水性、湿潤、及び表面活性を提供するように、1〜3のエチレングリコール部分又は1〜3のプロピレングリコール部分のいずれかに結合した、末端のC3〜C8炭化水素を有する。本発明の組成物に用いるのに最も好ましいのは、1つのエチレン若しくは2つのエチレンオキシド部分及びC4〜C6の末端アルキル鎖、又は2〜3のプロピレンオキシド部分及びC3〜C8の末端鎖のいずれかを含むグリコールエーテル溶媒である。市販の好ましいグリコールエーテル溶媒の例には、全てダウ・ケミカル(Dow Chemical)から入手可能な、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチル、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、エチレングリコールn−ヘキシルエーテル及びジエチレングリコールn−ヘキシルエーテルが挙げられる。別の好ましいグリコールエーテルは、イーストマン・ケミカル(Eastman chemical)から商標名EEH(登録商標)溶媒として入手可能なエチレングリコール2−エチル−1−ヘキシルエーテルである。
【0087】
組成物は、追加の利益のために1種又はそれ以上のポリマー類を任意に含むことができる。これらとしては、汚れが増えるのを防止する親水性の水被膜ポリマー類、硬質面への汚れの付着を減らす汚れ放出ポリマー類、及び表面の視覚的外観を向上させる光沢又はつやポリマー類が挙げられる。好ましいポリマー類には、天然起源の多糖類、例えばキサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、及び合成多糖類、例えばカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。その他の好適なポリマー類には、ポリビニルピロリドン類(10,000〜200,000の分子量)、及びN−ビニルピロリドンが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、カプロラクタム、ブテン、又はビニルアセテートのいずれかと反応することにより形成されるコポリマー類を包含する、N−ビニルピロリドンから得られるものが挙げられる。更にその他の好適なポリマー類は、アミンオキシド及びスルホネート官能基を含み、例えばポリビニルピリジン−N−オキシド(1,000〜50,000の分子量)、ポリビニルスルホネート(1,000〜10,000の分子量)、及びポリビニルスチレンスルホネート(5,000〜1,000,000の分子量)である。他の好ましいポリマー類としては、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,593,288号に記載される、DADMAC/アクリル酸/アクリルアミドコポリマー、DADMAC/マレイン酸コポリマー、及びDADMAC/スルホン酸コポリマーから誘導される両性コポリマー類が挙げられる。これらのポリマー類は、優れた水被膜を提供し、エナメル質及びその他の表面の光沢を向上させることがわかった。好適なポリマーの更にその他の部類には、ポリエチレングリコール類(5,000〜5,000,000の分子量)、変性ポリエチレンイミン類、例えばBASFより販売されるルパゾールSK(Lupasol SK)(100,000〜5,000,000の分子量)が挙げられる。ポリスチレンスルホネート(sufonate)(10,000〜80,000分子量)、ポリビニルピリジンN−オキシド(2,000〜30,000)、ポリビニルピロリドン(30,000〜100,000分子量)、及びロディア(Rhodia)から商標名ミラポール(Mirapol)(登録商標)HSC−300として販売されるDADMAC/アクリル酸/アクリルアミドポリマー類が最も好ましい。
【0088】
組成物は、1つ又はそれ以上の研磨剤を含むことができる。存在する場合、研磨剤は、組成物の約8重量%〜約50重量%、より好ましくは約10重量%〜約40重量%、最も好ましくは約15重量%〜約35重量%で含まれる。無機研磨剤は、石英、ケイ酸質白亜、珪藻土及びコロイド状の二酸化ケイ素から成る群から選択されるのが好ましい。有機研磨剤は、ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリエステル類、ポリスチレン類、ポリカーボネート類、ポリアセタール類、ウレタン樹脂、メラミン及びこれらの混合物から成る群から選択される。これらの研磨剤の粒径は、好ましくは約10ミクロン〜200ミクロン、より好ましくは20ミクロン〜100ミクロン、最も好ましくは約25ミクロン〜約75ミクロンである。好適な研磨剤の例は、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,458,753号に開示されている。
【0089】
少量の補助剤は、拭き取り繊維の洗浄性能を改善するために添加されることができる。これらとしては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを含む低級アルコール類が挙げられる。増粘剤、特にキサンタンガム、グアーガム及びBFグッドリッチ社(BF Goodrich company)から商標名カーボポール(Carbopol)(登録商標)として販売される高分子量架橋ポリアクリレート誘導体を含むことができる。酵素は、特に、拭き取り繊維が水賦活化されるまで保護されることができるペースト製品に含まれることができる。第四級アンモニウム化合物、クロルヘキシジン塩類(ジアセテート及びジグルコネート)及びポリ(ヘキサメチレンビグアニド)及びそれらの塩類(例えば、塩酸塩)を含む抗バクテリア剤も本明細書に組み込まれることができる。審美的補助剤、例えば緩衝剤、染料及び香料も好ましくは含まれる。
【0090】
(ペースト組成物)
ペースト形態の組成物は、本明細書の洗浄組成物の両方の実施形態において極めて好ましい。ペーストは、容器中に製造され、販売され、売買され、その結果ユーザーは、例えば合成又はセルロース系スポンジ、セーム革(chamois)、布、ぼろ布、磨きパッド、ペーパータオルなどを用いて、容器に浸し、硬質面に直接内容物の一部を適用する。ペーストはまた、上記洗浄キャリア(特にメラミン構造)のいずれかに予め充填されることができ、又はポリビニルアルコール(部分的に又は完全に加水分解されたポリビニルアセテート)、ポリビニルアルコール−アクリルコポリマー、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、四級化されたタンパク質ヒドロシレート(hydrosylates)、四級化されたポリアミン類又はその他の水溶性物質から製造されたフィルム又は袋の中に組み込まれることができる。
【0091】
より好ましくはペーストは、互いに面し、互いに結合した1種又はそれ以上の不織布基材、好ましくは約20g/m2〜約200g/m2の坪量、及び少なくとも0.15g/cm3の密度を有する不織布基材の面に充填され、1回使用の使い捨て洗浄用拭き取り繊維を生み出す。好ましくはペーストは、不織布基材の結合を妨げないように基材の縁部には充填されない。
【0092】
洗浄組成物がペースト形態であり、使い捨て拭き取り繊維に充填される場合、拭き取り繊維の洗浄効果は、拭き取り繊維の洗浄外側表面に到達できるペーストの量によって影響されることがある。
【0093】
1つの実施形態において、1回使用の使い捨て拭き取り繊維は、洗浄用拭き取り繊維面積の平方cmあたり少なくとも平均約0.005、好ましくは少なくとも平均約0.010g/cm2、より好ましくは少なくとも平均約0.015g/cm2、最も好ましくは少なくとも平均約0.020g/cm2の洗浄ペーストを含む。洗浄用拭き取り繊維面積の平方cmあたりの平均洗浄ペースト量は、洗浄用拭き取り繊維のペースト総量を計量し、拭き取り繊維の洗浄面の面積を測定し、次いで測定された面積でペーストの総量を割ることによって計算できる。一般に二次元(すなわち、Z次元が拭き取り繊維のX及びY次元に比べて実質的に無視できる)である洗浄用拭き取り繊維に関して、「洗浄面」とは、洗浄操作中にペーストが分配され、洗浄すべき表面に適用され得る拭き取り繊維の面を意味することが理解される。拭き取り繊維の両面が洗浄に使用可能である場合は、洗浄面の領域のただ1つだけを使用して、洗浄用拭き取り繊維面積の平方cmあたりの平均洗浄ペースト量を計算すべきであることが理解される。
【0094】
1つの実施形態において、1回使用の使い捨て拭き取り繊維は、約0.60g/cm2未満、好ましくは約0.40g/cm2未満、より好ましくは約0.30g/cm2未満、最も好ましくは約0.25g/cm2未満の、洗浄用拭き取り繊維面積の平方cmあたりの平均洗浄ペースト量を有する。さらにより好ましい実施形態においては、平均ペースト含量は、約0.025g/cm2〜約0.20g/cm2である。1つの実施形態において、洗浄用拭き取り繊維の洗浄ペーストの総量は、約3グラム〜約100グラム、より好ましくは約5グラム〜約75グラム、最も好ましくは約7グラム〜約60グラムである。
【0095】
洗浄すべき表面へのペーストの流れを最大にし、ペーストの素早い溶解を促し、濃縮洗浄溶液を形成するために、有利なレオロジー的特性をペーストに構築することは極めて有益である。ペーストが実質的な粘弾性特性を示し、振動剪断応力下にある時液体様の特性を有するのが有用である。10s-1の周波数にて直線粘弾性領域で測定される場合、ペーストは好ましくは約5000Pa〜約50000Pa、より好ましくは約7500Pa〜約40000、最も好ましくは約7500Pa〜約30000Paの貯蔵弾性率G’(固体様の剛性)、及び約1000Pa〜約10000Pa、より好ましくは約1500Pa〜約8000Pa、最も好ましくは約2000Pa〜約7000Paの範囲の損失弾性率G”(液体様の剛性)を有する。一定剪断応力にて粘度を周波数に対してプロットする実験においてG’とG’’とが重なる点として定義される緩和時間は、25℃にて、好ましくは約1Hz未満、より好ましくは約0.5Hz未満、最も好ましくは約0.1Hz未満である。全てのレオロジー測定は、T.A.インスツルメンツ社(T.A.Instruments,Ltd.)(英国サリー州KT227UQ、レザーヘッド(Leatherhead)、クリーブロード(Cleeve Road)、ビルトンセンター(Bilton Centre)、欧州支社(Europe House))製のレオリストシリーズ(Rheolyst Series)AR2000レオメータースタイルAにて行われる。
【0096】
ペースト組成物は、ヒドロトロピー剤又は溶媒を必要とする。1つの極めて好ましい実施形態において、ペーストは少なくとも約3%の1種又はそれ以上のヒドロトロピー剤を含む(ペースト又は水性製品形態に適用できる具体的な開示のヒドロトロピー剤の項を参照のこと)。ヒドロトロピー剤の項で既に記載した利益に加えて、ヒドロトロピー剤はペーストの液体様(G”)特性を提供又は向上できるので、汚れた表面への洗浄活性物質の移動を補助する。ヒドロトロピー剤はまた、特にペーストの処理又は製造を助け、構成成分のより容易なブレンド及びより流動的な処理条件を確実にする。従って、意外にもヒドロトロピー剤は本発明の洗剤ペーストの重要な構成成分である。
【0097】
別の好ましい実施形態において、ペーストは、少なくとも1%の1種又はそれ以上の有機洗浄溶媒、より好ましくは1%を越える有機洗浄溶媒を含む(ペースト又は水性形態の組成物に該当する追加の溶媒開示を溶媒の項にて参照のこと)。好ましくは有機洗浄溶媒は、25℃にて水に対して約10%未満、より好ましくは約7%未満、最も好ましくは約5%未満の溶解度を有する。特に好ましい実施形態において、溶媒は、25℃にて溶媒の水溶解度限界を超える量にてペーストに組み込まれる。これは本発明のペーストを用いて達成できることを見出し、これは水溶解度限界が化学的不安定点を画定し、許容される溶媒量にて上限を設けるような水性組成物、更に濃縮水性組成物とは正反対である。疎水性の溶解力は、石鹸かすのような高度に不溶性の汚れの除去を補助すると考えられているので、製品又は相不安定性を考慮することなく高量で疎水性の溶媒を含むという柔軟性は、硬質面、特に浴室浴槽及びシャワー室を含む浴室面により強力な洗浄力を送達するために本発明のペーストに非常に大きい利点を提供する。水溶解度限界を超える量にて溶媒を含むペーストの使用から利益を享受できる他の硬質面洗浄用途としては、台所調理台、ポット及び鍋、オーブン、レンジ上面、及びレンジフード、便器、車の外装、ガレージフロア(例えば、コンクリート)、グリル、歩道、車道、戸外の窓、家の壁板などが挙げられる。
【0098】
ペーストは、好ましくは双極性及び両性界面活性剤から成る群から選択される少なくとも1つの界面活性剤を含む(ペースト又は水性形態に使用できる双極性及び両性界面活性剤の開示における界面活性剤の項を参照のこと)。これらの界面活性剤は、良好な起泡性を提供することに加えて、他の界面活性剤、特に陰イオン性界面活性剤の過酷さを緩和する。この利益は、極端なpH条件、例えばpH(ペーストの10%溶液)約0.5〜約2.5において特に重要である。双極性又は両性界面活性剤のうち最も好ましいのは、ラウリル及びココナッツ系ベタイン類及びスルホベタイン誘導体である。特に好ましいのは、ハロゲン塩含量が少ない、好ましくはベタイン活性物質1グラムあたり約0.15g塩未満、より好ましくは約0.10g塩未満、最も好ましくは約0.05g塩未満であるようなベタイン界面活性剤である。ハロゲン塩含量が少ないのが望ましいのは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム及び臭化カリウムなどのような塩類による腐食を最小限にする要望が影響している。
【0099】
汚れた浴室面を洗浄するペーストは、低pHで有利に配合でき、対応する水性組成物よりもヒトへの安全性への懸念が少ない。これは、ペースト製品形態が、皮膚の角質層を通って容易に浸透しないためである。それ故に、酸性pHのペーストは、約1.0の低さ、より好ましくは約1.5の低さ、最も好ましくは約2.0の低さのpH(10%溶液)にて有利に調製でき、ヒトに曝される問題に関して危険性が少ない。これらの組成物に関して、皮膚への優しさを改善するために両性又は双極性界面活性剤を含むのが極めて好ましい。
【0100】
本組成物のペーストは、驚くべきことに、水性媒体中の化学的分解に関して熱力学的に不安定な化学品を含むことができる。故に、エステル類又はアミド類を含む官能基を含む界面活性剤及び溶媒を含む化学的原料は、ペースト製品形態によって低pH、pH約4未満にて安定化できる;更に、陰イオン性サルフェート界面活性剤は、ペースト形態である酸性組成物では意外にも安定であることを見出し、水性組成物に存在する場合に見られるよりも加水分解され難い。
【0101】
ペースト形態は幾つかの利点を有する:ペースト形態は、水をあまり含まず、洗浄用拭き取り繊維に高量の洗浄活性物質を導入できる。すなわち、ペーストは、より高量の有機洗浄溶媒を保持でき、漂白剤(以下参照)を含む強力な化学品とより容易に共存できる。ペーストは、拭き取り繊維の洗浄面にて又は洗浄面近傍に都合よく押出又は添加でき、水賦活化の後に洗浄すべき表面への濃縮製品の放出を最大にする。ペーストは、基材にあまり拡散しない。ペースト形態はまた、より濃厚でより強力な製品を含む。更に、ペーストは不織布基材に充填でき、その結果ユーザーに容易に視覚可能となり得る。例えば、不織布の外側表面全体にわたる着色されたペーストの縞、点、又は会社/ブランドロゴは、クリーナーの存在の魅力的な視覚信号を提供する。例えばミスター・クリーン(Mr.Clean)(登録商標)、クロロックス(Clorox)(登録商標)又はスクラビング・バブルズ(Scrubbing Bubbles)(登録商標)アイコンは、1色又はそれ以上の色のペーストによって不織布基材に記されることができる。そのため、ペースト製品の形態は、含浸された水性組成物よりも審美的な魅力及び識別化により大きな柔軟性を与える。
【0102】
好ましい実施形態において、洗浄操作は、2つ又はそれ以上の別個の洗浄組成物を用いて行われ、ここで少なくとも1つはペーストであり、それら2つの組成物は洗浄操作中に一緒になる。第2、第3又はその他の組成物はまた、ペースト又は固体の形態、あるいはゲル、錠剤又は水溶性袋、等方性の水性組成物、マイクロエマルション、又はエマルションの形態であることができる。第2の組成物が水性である場合、袋などにカプセル化されるか、含浸される基材層を完全に浸潤するのに十分な量ではない量でウェットタイプ拭き取り繊維に、存在するのが好ましい。使用前に2つ又はそれ以上の組成物を分離する理由の1つは、それぞれの組成物の利益が洗浄操作中にわずかに異なる時間に生じるのを可能にするためである。例えば、第1のペースト組成物は、界面活性剤、金属イオン封鎖剤及びヒドロトロピー剤を含むことができ、第2の水性組成物は、表面被膜及び汚れ放出利益のためのポリマーを含むことができる。ペースト及び水性組成物は、同じ洗浄キャリア、例えば洗浄用拭き取り繊維に組み込まれることができる。洗浄用拭き取り繊維の最外層にペーストを、同じ洗浄用拭き取り繊維の内側層にポリマー組成物を組み込むことによって、ペーストが最初に使用され、ポリマー組成物は本質的に仕上げ工程として機能でき、洗浄操作のすすぎ工程中の縞及びしみを表面からなくすことができる。
【0103】
極めて好ましい実施形態において、本明細書のペースト組成物は、抗菌(バクテリア、ウイルス)及び抗カビ利益のために1つ又はそれ以上の漂白剤又は漂白剤前駆体を更に含む。更に、本発明の洗浄用拭き取り繊維に漂白剤を含むことによって、単一製品にて石鹸かす、石灰かす及び/又はカビ/白カビの全てを同時に処理する手段を提供するので、極めて有利である。これは、化学的な不適合性又は安全性の問題のいずれかのために、3つの汚れのうち最大2つに対処し得る現在市販されている水性浴室洗浄とは極めて対照的である。漂白剤は、安全性の問題が考慮される非常に低いpHの場合を除いて酸性の水性組成物中では安定でない。アルカリ性のpHにて、硬水及び石鹸かす除去のために必要な非リン系金属イオン封鎖剤は、漂白剤と不適合である。結果として、全てのpH条件にて、水性系組成物はかなりの見返り(tradeoff)が生じる;今般、この配合見返りは本発明のペースト組成物及び物品によって完全に排除できることを見出した。
【0104】
漂白剤又はより好ましくは漂白剤前駆体は、任意にペースト組成物に直接組み込むことができる。実際、特に低い水含量のペースト製品形態は、使用時まで漂白剤及び/又は前駆体を安定化させることを見出した。あるいは、漂白剤は洗浄用拭き取り繊維に組み込まれることができ、界面活性剤ペーストから意図的に分離させることができる。例えば、漂白剤又は漂白剤前駆体は、界面活性剤含有ペーストを含むものとは異なる洗浄用拭き取り繊維の不織布層に、上述された固体、ゲル、ペースト、錠剤又は水溶性袋若しくはフィルム、水性組成物又はエマルションとして含まれることができ、その結果使用前に界面活性剤ペーストと接触しない。所望により、より多くの不織布層のうち1つがペーストと漂白剤とを分離できる。漂白剤が水性形態である場合、袋などにカプセル化されるか、含浸される基材層を完全に浸潤するのに十分な量ではない量でウェットタイプ拭き取り繊維に存在するのが好ましい。漂白剤が固体形態である場合、ペーストを含む層に移動できないように不織布層間に入れられるのが好ましい。これは、洗浄剤を入れた基材の密度を制御することによって達成できる。
【0105】
存在する場合、漂白剤及び/又は漂白剤前駆体は、洗浄用拭き取り繊維中の化学的組成物全体の少なくとも約0.1重量%、より好ましくは少なくとも約0.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも約1重量%、さらにより好ましくは少なくとも約3重量%、最も好ましくは少なくとも約5重量%で含まれ;漂白剤及び/又は漂白剤前駆体は、最大約40%、より好ましくは最大約30%、最も好ましくは最大約20%の漂白剤を含む。好ましく含まれる漂白剤又は漂白剤前駆体の正確な量は、配合選択の問題であり、求められる利益及びコストに付随する重要性に依存する。上記で開示された下限及び上限を含むいずれかの範囲が使用できる。
【0106】
好適な酸性漂白剤の例としては、無機過酸化物類、例えば過酸化水素、及びそれらの供給源(例えば、過炭酸塩、過ホウ酸塩)、過硫酸塩類(二過硫酸塩及び一過硫酸塩類及び一過硫酸塩類、例えばデュポン(DuPont)から商標名オキソン(Oxone)(登録商標)として販売される三重塩(triple salt)2KHSO5.KHSO4.K2SO4)、過硫酸類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な有機過酸化物類の例は、過酸化ベンゾイル及び過酸類であり、それらには過酢酸、過プロピオン酸、過ヘキサン酸及びフタルイミド過カルボン酸類が含まれ、それらには本明細書に参考として組み込まれる欧州特許第0 349 940号の6−フタルイミド過ヘキサン酸(PAP)が含まれる。
【0107】
酸性漂白剤のうち、過酸化水素及び一過硫酸塩が好ましい。過酸化水素は、ペースト製品形態に容易に組み込まれ、さらなる遷移金属触媒、特に二酸化マンガン、銀及び遷移金属オキソ陰イオン、例えばJAコナー(JA Connor)及びEVAエブスワース(Ebsworth)のAdv.Inorg.Chem.Radiochem.6(1994)、279−381頁及びMHディックマン(MH Dickman)及びMTポープ(MT Pope)のChem.Rev.94、(1994)、569−584頁に記載されるものなどと共に洗浄用拭き取り繊維に有利に含まれることができる。1つの実施形態において、過酸化水素は、それ自体又は過炭酸塩若しくは過ホウ酸塩の形態のいずれかにて、ペーストに組み込まれ、遷移金属触媒、好ましくは二酸化マンガン又はモリブデン酸塩及び/又はタングステン酸塩は洗浄用拭き取り繊維に別に組み込まれ、その結果2つの内容物(すなわち、過酸化水素を含むペーストと遷移金属オキソ陰イオン)は互いに接触しない。漂白はまた、ケトンを用いるか又は用いずに一過硫酸塩(例えば、オキソン(Oxone)(登録商標))を用いて達成できる。アセトンのようなケトンと組み合わせた一過硫酸塩はジオキシランを形成する:
【0108】
【数1】

である。
【0109】
ジオキシランは、エチレン性不飽和分子を酸化でき、洗浄操作中にケトンを再生する。従って、低量のケトンだけが必要である。存在する場合、ケトンは一過硫酸塩と直接接触しないのが好ましい。すなわち、ケトン又は一過硫酸塩のいずれかがペーストに組み込まれ、他の成分はペーストと直接接触しない。例えば、ペーストは1〜4%のアセトンを含むことができ、一過硫酸塩はペーストと接触しない不織布層に固体として添加されることができる。あるいは、1つ又はそれ以上のケトン類を含むペーストは、不織布にて一組の縞を構成し、使用前にペースト縞と直接接触しないように、一過硫酸塩は縞の間におくか、又は別の組の縞を形成する。
【0110】
中性pH又はアルカリ性組成物に使用される漂白剤又は前駆体のうち、好ましいのは、過炭酸塩類、過ホウ酸塩類、過酸塩類、及びこれらの混合物から成る群から選択される。1つの好ましい実施形態において、漂白剤は次亜臭素酸塩イオン又は次亜塩素酸塩イオン、最も好ましくは次亜塩素酸塩イオンを生成するものである。水と接触することによって次亜塩素酸塩イオンを生成する漂白剤としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属次亜塩素酸塩類、次亜塩素酸塩付加生成物、クロラミン類、クロラミン類、クロラミド類(chloramides)及びクロリミド類(chlorimides)が挙げられる。本明細書に用いるのに好ましい特定例としては、ジクロロイソシヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシヌル酸カリウム、N−クロロスルファミド及び1,3−ジメチルヒダントインが挙げられる。最も好ましいのはジクロロイソシアヌル酸ナトリウムである。
【0111】
存在する場合、次亜臭素酸塩又は次亜塩素酸塩漂白剤は、ペースト含有組成物と分離するのが好ましく、特にペーストと漂白剤の合わせたpHが約10未満である場合、ペースト含有組成物は任意にスルファミン酸を含む。スルファミン酸は、次亜ハロゲン酸塩類からの臭素液体又は塩素ガスの形成を緩和し、これらの漂白剤がヒトの皮膚と接触する際に生じる悪臭を減らすことが知られている。中性からアルカリ性pHにて使用するのに別の極めて有益な漂白剤は、6−フタルイミド過ヘキサン酸(PAP)である。PAPは、洗浄操作中にペーストと混合する際に合わせた物質のpHが約6〜約9となるように、好ましくは約1.5〜約3.5のpHにてペースト組成物から分離され続けるのが好ましい。
【0112】
本明細書のペースト組成物はまた、充填剤を含むことができる。充填剤は前述の研磨剤、並びに塩類を含むことができ、それらには硫酸ナトリウム及び炭酸ナトリウム、及び燻蒸シリカ、カオリン、ゼオライト類、ケイ酸質白亜、珪藻土、モンモリロナイト、ヘクトライトを含む天然粘土などが挙げられる。充填剤の目的は、ペースト組成物のコストを下げることである。硫酸ナトリウムなどの塩類は、低コスト及び世界規模の入手可能性により最も好ましい充填剤である。更に、塩類は、有利なことに、水を吸収し、良好な物理的特性を有するペーストを生成するために使用できる。しかし、充填剤の過剰使用は、許容可能であるが、好ましくない、本明細書に開示される水賦活化方法の実施形態である組成物を生じる。存在する場合、非研磨性充填剤は、好ましくは組成物の最大約40重量%、より好ましくは最大30重量%、さらにより好ましくは最大20重量%、最も好ましくは最大約10重量%で含まれる。
【0113】
(水性組成物)
本明細書に開示される方法と共に使用される水性組成物は、好ましくは等方性又はほぼ等方性の組成物である。更に特定の石鹸かす洗浄を提供し、本発明の方法と共に使用できる石灰かすの洗浄のための好ましい酸性水性洗浄組成物の例としては、全て本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,686,399号、同第5,677,271号、同第5,981,449号、同第6,001,792号、同第6,127,330号及び同第6,551,985号に開示されるものが挙げられる。更に特定の石灰かす利益を提供し、本発明の洗浄用拭き取り繊維及び方法と共に使用できる石鹸かす用の好ましい水性洗浄組成物の例としては、全て本明細書に参考として組み込まれる英国特許第2,385,597号及び米国特許第5,061,393号、同第5,192,460号、同第5,384,063号、同第5,612,308号、同第5,698,041号、同第5,912,219号、同第5,981,455号、同第6,180,583号及び同第6,627,590号に開示されるものが挙げられる。当業者は、主に硬水の洗浄を対象とする特許からの組成物は、主に石鹸かすの洗浄を対象とする特許からの組成物と組み合わせることができることを理解する。本発明の方法と共に使用できる好ましい水性の中性pH又はアルカリ性pH組成物の例としては、米国特許第4,020,016号、同第5,814,591号、同第5,948,742号、同第5,972,876号、同第6,004,916号、同第6,214,784号、同第6,399,555号、英国特許第2,231,580号及び国際公開WO98/50510に開示されるものが挙げられる。米国特許第5,814,591号、同第5,948,742号、同第5,972,876号、同第6,004,916号、同第6,214,784号及び同第6,399,555号に開示される組成物は、こうした特許が界面活性剤、有機洗浄溶媒及びEDTAの特定塩類を含む高性能の水性浴室洗浄組成物を開示するので、本発明の方法に特に有用である。米国特許第6,245,728号及び同第6,399,555号はさらに、石鹸かすの洗浄をより向上させるために、炭酸カリウムのような沈殿コビルダーを含む。さらにより好ましくは、高量、化学的組成物の約25重量%を越える界面活性剤、高量、組成物の約15重量%を越えるEDTA金属イオン封鎖剤は、特に本発明の水賦活化方法と共に使用される場合に、本明細書の水性組成物にとって極めて好ましい。
【0114】
本明細書に記載される方法と共に使用するための水性組成物は、マイクロエマルションの形態であることができる。本明細書に開示される洗浄用拭き取り繊維及び方法と共に使用され得るマイクロエマルション組成物の例としては、カビの洗浄用の次亜塩素酸塩漂白剤を含むマイクロエマルションを開示する米国特許第5,235,614号、同第4,46,499号及び同第4,472,291号、並びに石灰かす及び石鹸かすの洗浄に有用な酸性形態のマイクロエマルションを記載する米国特許第5,108,643号及び同第5,076,954号が挙げられる。本発明の方法と共に利益を提供できる他の特許としては、米国特許第6,017,868号、米国特許第5,854,193号及び米国特許第5,861,367号が挙げられる。上述された特許の全てを参考として、組み込む。
【0115】
本発明の方法と共に使用され得る水性組成物は、液晶の形態で製造できる。浴室面洗浄のための関連する酸性の液晶組成物は、全て本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,035,826号、米国特許第5,035,826号及び米国特許第5,523,013号にて当該技術分野において記載されている。主に六方晶相ゲル状態の洗剤ゲルも使用できる。こうしたゲルは、透明、半透明又は不透明になるように製造でき、これらは本明細書に参考として組み込まれるDGホール(DG Hall)及びGJTティディ(JT Tiddy)の「陰イオン性界面活性剤:物理化学作用」(界面活性剤科学シリーズの巻)、EHルカッセン−レインダー(EH Lucassen-Reynders)、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)編、ニューヨーク、1981、2章、91−94頁に記載されている。六方晶相ゲルのうち、尿素、クメン、キシレン及びトルエンスルホネートのような添加剤を高量で陰イオン性スルホネート類及びアルキルエトキシサルフェート類を含む組成物に添加することによって形成されるものが特に有用である。こうしたゲルは、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第4,615,819号及び米国特許第5,320,783号に開示されている。所望により、こうした米国特許の六方晶相ゲルは、トルエン、キシレン及びクメンスルホネートのようなヒドロトロピー剤を約10%〜約40%を用いて形成されることができ、約5%〜約40%、より好ましくは約5%〜約30%、最も好ましくは約5%〜約25%の無機酸、有機酸及びこれらの混合物で酸性化できる。
【0116】
(組成物の製造)
本明細書の組成物は、構成成分を共に混合することによって製造される。構成成分の添加順序は、組成物が水性形態、特に等方性の液体である場合、重要でない。エマルション、マイクロエマルション及びゲルの場合は、添加順序は具体的な組成に依存する。組成物がペーストの形態である場合、ペーストはまず水性成分を共に混合して出発し、次いで乾燥したものを混合するか、又は主に固体成分から出発し、水を添加して形成できる。好ましくは添加順序は、製造プロセスの間に組成物が可能な限り流体となるように選択される。好ましくは、水性媒体中で最も安定でない構成成分は、潜在的な分解を最小限にするために製造プロセスの間の最後の方で添加される。
【0117】
1つの実施形態において、本明細書のペースト組成物は、製造操作中の剪断力下で良好な流れ特性を示す。そのままの状態で、組成物はあまり粘稠でないのが好ましく、初期粘度は、1s-1の剪断速度にて、約10Pa・s〜約75Pa・s、より好ましくは約20Pa・s〜約50Pa・sであり、それは組成物が数時間摂動しない状態の場合に(すなわち連続的な混合を停止した状態)増加する。こうした処理利益は、例えばペーストが酸性であり、アルキルベンゼンスルホネート界面活性剤を含む特定の場合に実現されることを見出した。こうしたレオロジー的特性は、追加の処理、例えば搬送、他の容器への移動などの前にペーストの操作を容易にできる。
【実施例】
【0118】
次の実施例は、本発明の物品及びペーストを例示するために提供される。それらは限定として考慮されるべきでない。
【0119】
ペースト#1:281.04グラムの水に、400gのマレイン酸(99%活性物質、アルドリッチ(Aldrich))、0.080gの青色染料(100%活性物質)、200gのクエン酸(100%活性物質、ライル・アンド・テート(Lyle & Tate))、及び200gのエチレングリコールn−ヘキシルエーテル(100%活性ヘキシルセロソルブ(Hexyl Cellosolve)(登録商標)、ダウ・ケミカル(Dow Chemical))を7.6L(2−ガロン)のバケツにて連続的に添加し、イカテクニック(Ikatechnik)によって製造され、デヴィテック・イクイップメント(Divtech Equipment co.)(オハイオ州45258、シンシナティ(Cincinnati)、私書箱58468)によって販売されているRW20DZ.nミキサーを用いて連続的に混合する。一旦固体の酸類がよく混合され、実質的に溶解したら、800グラムのクメンスルホネート粉末(93%活性物質、Ruetgers−Nease社)を添加する。157rad/s(1,500rpm)にて連続的に混合すると、組成物は均一になり、70gの香料(100%活性物質、アヴァネル(Avanel))、78.16gの水被膜ポリマー(20.5%活性物質、多双極性(polyzwitterionic)ポリマー「ミラポール(Mirapol)HSC−300」、ロディア(Rhodia))及び948.45gのラウラミドプロピルベタイン(マッカム(Mackam)1200、マッキンタイア(McIntyre))を連続的に混合物に添加する。157rad/s(1,500rpm)にて連続的に混合すると、組成物は再び均質になり、742.27グラムのナトリウムドデシルサルフェート(97%活性物質、ステパン(Stepan))を添加する。ナトリウムドデシルサルフェートの添加により、組成物は顕著に増粘化する。最終ペーストは4キログラムである。
【0120】
ペースト#2。ペースト#1のナトリウムドデシルサルフェート活性物質を等価な活性物質量の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(ナコノール(Nacconol)90G、95%活性物質、ステパン(Stepan))に置き換える以外、酸性ペーストを製造する。スルホネート界面活性剤の添加により、剪断力下でペーストの増粘化は生じず、最終組成物(4kg)は容易に流動する。ペースト容器に蓋をし、ペーストを一晩保存する。翌日ペーストの検査の際には視覚的に大いに増粘化しているのがわかる。
【0121】
全てのレオロジー測定は、T.A.インスツルメンツ社(T.A.Instruments,Ltd.)(英国サリー州(Surrey)KT227UQ、レザーヘッド(Leatherhead)、クリーブロード(Cleeve Road)、ビルトンセンター(Bilton Centre)、欧州支社(Europe House))製のレオリストシリーズ(Rheolyst Series)AR2000レオメータースタイルAにて行われる。
【0122】
ペースト#1は、10s-1の一定周波数にて直線粘弾性領域では、1s-1の剪断速度にて350Pa・sの粘度、10,500PaのG’及び3,500PaのG”を有する。
【0123】
ペースト#2は、10s-1の一定周波数にて直線粘弾性領域では、1s-1の剪断速度にて450Pa・sの粘度、11,000PaのG’及び4,000PaのG”を有する。
【0124】
(浴室面の洗浄キット)
1つの実施形態において、前述の洗浄組成物のいずれかを有する前述の使い捨て洗浄用拭き取り繊維のいずれも、洗浄キットとして包装されて販売されることができる。
【0125】
表面を洗浄する前に消費者が洗浄用拭き取り繊維に水を添加することは比較的直感に反しているので、ユーザーに使用説明書を提供するのが有益となる場合がある。1つの実施形態において、使用説明書は、包装上に、又は拭き取り繊維に直接印刷された言葉、図、絵又は図によるなどして当該技術分野において既知のいずれかの方法を介してユーザーに伝達できる。
【0126】
好ましい使用説明書は、包装から洗浄用拭き取り繊維を取り出す工程、水を洗浄用拭き取り繊維に適用する工程、次いで洗浄すべき表面に水賦活化された拭き取り繊維を接触させる工程を含む。所望される場合、使用説明書はまた、水を洗浄用拭き取り繊維に適用する前又は後に洗浄用拭き取り繊維を洗浄器具に取り付け、次いで浴室面を洗浄するために洗浄器具を使用する工程を含むことができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1回使用の使い捨て洗浄用拭き取り繊維を用いて浴室面、特に浴槽及びシャワー室を洗浄するための方法であって:
ペースト又は水性形態で洗浄組成物を含有する使い捨て拭き取り繊維を提供する工程と;
前記拭き取り繊維を水と接触させて、前記拭き取り繊維を賦活化する工程と;
前記賦活化された拭き取り繊維を洗浄すべき前記浴室面に接触させる工程と;
任意にではあるが、好ましくは前記表面を水ですすぐ工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記方法が、石鹸かす、硬水汚れ(hard water soils)及びこれらの混合物を洗浄するための方法であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記拭き取り繊維が、約20g/m2〜約200g/m2の坪量、及び少なくとも0.15g/cm3の密度を有する少なくとも1つの不織布基材を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記不織布基材が少なくとも1つの洗浄面を有し、前記洗浄組成物が前記洗浄面に、好ましくは識別可能なパターンで適用されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記洗浄組成物が:
前記組成物の少なくとも約5重量%の界面活性剤及び少なくとも約3重量%の一種又はそれ以上の有機又は無機酸類を含む洗浄組成物であって、前記組成物が約0.5〜約6のpHを有する組成物;又は
前記組成物の少なくとも約5重量%の界面活性剤及び少なくとも約3重量%の一種又はそれ以上の金属イオン封鎖剤を含む洗浄組成物であって、前記組成物が約6〜約12のpHを有する組成物、
の少なくとも1つから選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記洗浄組成物が更に、少なくとも約3重量%の一種又はそれ以上のヒドロトロピー剤(hydrotrope)及び/又は少なくとも約1%の一種又はそれ以上の有機洗浄溶媒を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
使い捨て洗浄用拭き取り繊維の形態で、浴室面を洗浄するための水で賦活化される物品であって:
少なくとも一種の不織布基材を含み、
該不織布基材は、約20g/m2〜約200g/m2の坪量を有し、
該不織布基材は、次の少なくとも1つから選択される洗浄組成物を含む基材であることを特徴とする物品。
前記洗浄組成物の少なくとも約5重量%の界面活性剤、前記組成物の少なくとも約3重量%の一種又はそれ以上の有機又は無機酸類を含む組成物であって、前記洗浄組成物が約0.5〜約6のpHを有するような組成物;または
前記洗浄組成物の少なくとも約5重量%の界面活性剤、前記組成物の少なくとも約3重量%の一種又はそれ以上の金属イオン封鎖剤、及び少なくとも約3重量%の一種又はそれ以上のヒドロトロープ剤を含む組成物であって、この洗浄組成物が約6〜約12のpHを有する組成物。
【請求項8】
前記拭き取り繊維が、少なくとも2つの不織布基材の積層体であり、前記積層体が少なくとも1つの洗浄面を含み、前記洗浄組成物が、前記少なくとも1つの洗浄面に、好ましくは識別可能な縞模様が施されていることを特徴とする請求項7に記載の物品。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の物品であって、前記洗浄組成物がペーストであり、前記物品が更に漂白剤及び/又は前駆体を含み、前記漂白剤及び/又は前駆体が前記ペーストと直接接触しないことを特徴とする物品。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の物品であって、洗浄操作中に前記拭き取り繊維が取り外し可能に取り付けられた洗浄器具を更に含み、前記器具が、前記拭き取り繊維が連結されたハンドルヘッドを含むことを特徴とする物品。
【請求項11】
請求項10に記載の器具であって、前記拭き取り繊維が、接着剤、スリット構造(slitted structure)、フック・ループ式ファスナー、ポケット、ピン、クリップ、クランプ及びそれらのいずれかの組み合わせの少なくとも1つから選択される取り付け構造を介して前記洗浄器具に取り付けられることを特徴とする器具。
【請求項12】
ハンドルを備える洗浄器具;及び
前記洗浄器具に取り外し可能に取り付けられた使い捨て洗浄用拭き取り繊維を含む、浴室面を洗浄するための物品であって:、
該洗浄用拭き取り繊維が、少なくとも1つの不織布基材層を含み、
前記不織布基材が、約20g/m2〜約200g/m2の坪量を有し、
前記不織布基材が、次の少なくとも1つから選択される洗浄組成物を含む、
ことを特徴とする物品。
前記洗浄組成物の少なくとも約5重量%の界面活性剤、前記組成物の少なくとも約3重量%の一種又はそれ以上の有機又は無機酸類を含む洗浄組成物であって、前記洗浄組成物が約0.5〜約6のpHを有する組成物;または
前記洗浄組成物の少なくとも約5重量%の界面活性剤、及び前記組成物の少なくとも約3重量%の一種又はそれ以上の金属イオン封鎖剤を含む組成物であって、約6〜約12のpHを有する洗浄組成物。
【請求項13】
前記洗浄組成物がペーストであることを特徴とする請求項12に記載の物品。
【請求項14】
請求項13に記載の物品であって、
前記洗浄用拭き取り繊維が、少なくとも1つの洗浄面を含み、
前記ペーストが前記少なくとも1つの洗浄面に、約0.005g/cm2〜約0.60g/cm2、より好ましくは約0.015g/cm2〜約0.30g/cm2、最も好ましくは約0.025g/cm2〜約0.20g/cm2の量で適用されることを特徴とする物品。
【請求項15】
浴室面を洗浄するための、特に石鹸かす及び硬水を除去するのに適したペースト形態の洗浄組成物であって、
前記洗浄組成物が:
少なくとも約5%界面活性剤、少なくとも約3%の一種若しくはそれ以上の有機又は無機酸類及びこれらの混合物、並びに少なくとも約3%の一種又はそれ以上のヒドロトロープ剤を含み、前記ペーストの10%溶液のpHが約0.5〜約6であることを特徴とする組成物。
【請求項16】
浴室面を洗浄するための、特に石鹸かす及び硬水を除去するのに適したペースト形態の洗浄組成物であって、
前記洗浄組成物が:
少なくとも約5%界面活性剤、少なくとも約3%の1種又はそれ以上の金属イオン封鎖剤、及び少なくとも約3%の一種又はそれ以上のヒドロトロープ剤を含み、前記ペーストの10%溶液のpHが約6〜約12であることを特徴とする組成物。
【請求項17】
請求項15及び16に記載の組成物であって、
前記ヒドロトロープ剤が、トルエン、キシレン及びクメンスルホネート塩類、C6〜C12ジフェニルエーテルジスルホネート塩類、C4〜C6アルコールエトキシレート類、C4〜C6グリコシド類、2−エチル−1−ヘキシルサルフェート塩類、モノ−及びジ−2−エチル−1−ヘキシルスルホサクシネート塩類、及び約12を越えるHLBを有するC8〜C22アルキルエトキシレート類;及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項18】
請求項15及び16に記載の組成物であって、
前記界面活性剤が、前記組成物の約7.5重量%〜80重量%、より好ましくは約10重量%〜約70重量%、最も好ましくは約15重量%〜約50重量%の量で存在し、
前記界面活性剤が陰イオン性スルホネート界面活性剤を含むことを特徴とする組成物。
【請求項19】
請求項15に記載のペースト組成物であって、
前記酸が、前記組成物の約10重量%〜約40重量%の量で存在し、
前記酸が、好ましくは、アジピン酸、クエン酸、グルタル酸、グリコール酸、マレイン酸、リン酸、コハク酸、スルファミン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とするペースト組成物。
【請求項20】
請求項16に記載のペースト組成物であって、
前記金属イオン封鎖剤が、約10%〜約50%の量で存在し、
前記金属イオン封鎖剤が、好ましくはニトリロ三酢酸、メチルグリシン二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、及びこれらの混合物のナトリウム、カリウム、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩類又は部分塩類から成る群から選択されることを特徴とするペースト組成物。
【請求項21】
請求項15〜19のいずれか1項に記載の組成物であって、
更に少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%の一種又はそれ以上の有機洗浄溶媒、好ましくはジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、エチレングリコールn−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールn−ヘキシルエーテル、及びこれらの混合物から成る群から選択されるグリコールエーテル溶媒を含むことを特徴とする組成物。
【請求項22】
請求項15〜21のいずれか1項に記載の組成物であって、
更に双極性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される追加の界面活性剤を少なくとも含み、
前記追加の界面活性剤が好ましくはベタイン又はスルホベタインであることを特徴とする組成物。
【請求項23】
請求項15〜22のいずれか1項に記載の組成物であって、
更に前記組成物の約3重量%〜約20重量%の一種又はそれ以上の漂白剤及び/又は前駆体を含み、
水と接触する際に形成される前記漂白剤が、好ましくは過酸化水素、一過硫酸塩のナトリウム及びカリウム塩類、6−フタルイミド過ヘキサン酸(PAP)のナトリウム及びカリウム塩類、次亜塩素酸ナトリウム及びカリウム、次亜臭素酸ナトリウム及びカリウム並びにこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項24】
請求項15〜23のいずれか1項に記載の組成物であって、
前記ペーストが1s-1の剪断速度にて約100Pa・s〜約1000Pa・sの粘度を有することを特徴とする組成物。
【請求項25】
請求項15〜24のいずれか1項に記載の組成物であって、
前記ペーストが、10s-1の周波数における直線粘弾性領域にて測定される場合に、約7500Pa〜約30000Paの貯蔵弾性率G’(固体様の剛性)、並びに約2000Pa〜約7000Paの損失弾性率G”(液体様の剛性)を有することを特徴とする組成物。


【公表番号】特表2007−517927(P2007−517927A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542717(P2006−542717)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/040246
【国際公開番号】WO2005/056745
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】