説明

浸透物デリバリーシステムおよびその使用方法

患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を介する患者への浸透物の経皮流動を引き起こすためのデバイスを開示する。デバイスは、i)底表面を有し、マトリックスの中の複数の導管を規定する非生分解性マトリックス(複数の導管の少なくとも一部が底表面と連絡している);およびii)マトリックスの複数の導管の少なくとも一部に配置された非溶解親水性浸透物(ここで、マトリックスの底表面が、少なくとも1つの形成された経路との流体通路に位置する場合に、親水性浸透物は患者からの皮下液と接触することができる);を含むデリバリーリザーバーを含む。患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を介する患者への浸透物の経皮流動を引き起こすためのシステムおよび方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2005年6月17日出願の60/691,898米国仮特許出願番号の優先権を請求し、その開示は、全体として参照することにより本発明に援用される
(技術分野)
本発明は、一般に、経皮浸透物デリバリーの分野、さらに詳しくは、そのためのデバイス、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経皮ドラッグデリバリーシステムは、過去20年間にわたって種々の治療適応症のために市販されている。典型的には、経皮デリバリーシステムは、ドラッグリザーバーまたはドラッグポリマーマトリックスが、閉塞環境を作成し、裏張り表面を通っての薬物の減損を妨げる外側不浸透性裏張り層と、接着および/または速度コントロール膜として機能する内側ポリマー層とからなる2つのポリマー層の間に挟まれる多層ポリマー積層体として加工される。ドラッグリザーバーデザインの場合、リザーバーは、裏張りと速度コントロール膜の間に挟まれる。ドラッグは、微孔性または無孔性でありうる速度コントロール膜を通ってのみ放出される。ドラッグリザーバーコンパートメントでは、ドラッグは、溶液、懸濁液またはゲルもしくは固体ポリマーマトリックスに分散した形態でありうる。ポリマー膜の外側表面に、ドラッグ適合性低刺激性接着性ポリマーの薄層を適用してもよい。
【0003】
ドラッグマトリックスデザインの場合、ドラッグ-イン-接着剤システムおよびマトリックス分散システムという2つのタイプがある。ドラッグ-イン-接着剤システムの場合、ドラッグリザーバーは、接着性ポリマーに薬物を分散させ、次いで、溶剤成形または接着剤を融かす(ホットメルト接着剤の場合)ことによって薬の入ったポリマー接着剤を不浸透性裏張り層に塗布することによって形成される。リザーバーの頂部に、薬の入っていない接着性ポリマーを適用する。マトリックス分散システムの場合、薬物は、親水性または親油性ポリマーマトリックスに均質に分散され、薬物不透過性裏張り層に固定される。ドラッグリザーバーの表面に接着剤を適用する代わりに、周辺性接着剤を形成するように適用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大部分の慣例的経皮製品は、それらが溶解し、皮膚の外層である角質層の脂質二重層を通って拡散するのが可能になるような本来は親油性である小分子薬物(<500ダルトン)を含む。大部分の経皮製品は、親水性または水溶性塩形体ではなく、薬物の親油性基剤形体を含む。経皮デリバリーは、典型的には、合理的な大きさのパッチ領域を通って身体に十分な流動を可能にするように小分子に限定される。経皮流動を増加させるために、化学的浸透促進剤が、経皮製剤に添加されている。しかし、化学的浸透促進剤の使用は、治療レベルに到達するための、親水性または水溶性薬物またはいずれかの1000ダルトンよりも大きい分子の十分な流動を成功裏に達成していない。したがって、治療的速度で患者に親水性浸透物の経皮デリバリーを達成するための方法、システムおよびデバイスを改善する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要約)
本発明は、患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を介する浸透物の経皮流動(flux)を引き起こすためのデバイス、システムおよび方法を提供する。
この目的を達成するために、第1の態様において、本発明は、患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を介する患者への浸透物の経皮流動を引き起こすためのデバイスを提供する。デバイスは、底表面を有し、マトリックスの中の複数の導管を規定する非生分解性マトリックス(複数の導管の少なくとも一部が底表面と連絡している)を含むデリバリーリザーバーを含む。非溶解親水性浸透物は、マトリックスの複数の導管の少なくとも一部に配置される。
【0006】
第2の態様において、本発明は、患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を介する患者への浸透物の経皮流動を引き起こすためのシステムを提供する。本発明のこの態様によれば、本明細書に記載の本発明にしたがって、システムは、皮膚層に少なくとも1つの形成された経路および少なくとも1つのデリバリーリザーバーを意図的に形成するための手段を含む。
【0007】
第3の態様において、本発明は、患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を介する患者への浸透物の経皮流動を引き起こすための方法を提供する。この態様によれば、本明細書に記載の本発明にしたがって、方法は、皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を含む経皮浸透物投与部位を有する患者を提供すること、およびデリバリーリザーバーを提供することを含む。デリバリーリザーバーは、少なくとも1つの形成された経路から、患者からの皮下液を引き出し、続いて、少なくとも1つの形成された経路を通って、所望の流動で浸透物を経皮的にデリバリーするために、皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路との流体通路(fluid communication)内に設置され、皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路との流体通路内に維持される。
【0008】
本発明のさらなる態様は、一部分において、詳細な記載、図面および請求の範囲に記載され、一部分において、詳細な記載から誘導されるか、または本発明の実施によって学習されうる。前述の一般的記載および後述の詳細な記載の両方が、例示および説明にすぎず、開示した本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0009】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本明細書の特定の態様を説明し、記載とともに、説明となるものであるが、本明細書の主幹を限定するものではない。
【0010】
(発明の詳細な記載)
本発明は、以下の詳細な記載、実施例および請求の範囲ならびにその前後の記述を参照することによってより容易に理解することができる。
本発明組成物、デバイスおよび/または方法が開示され、記述される前に、他に特記されない限り、本発明が、特定の物品、デバイスおよび/または方法に制限されないことが理解されるべきである。本明細書に使用された用語法が、特定の態様を記載するという目的のためのみであり、限定を意図するものではないことも理解されるべきである。
【0011】
本発明の以下の記載は、その最良の現在わかっている具体例における本発明の実施可能教示として提供される。当業者は、本発明の有利な結果を獲得したままで、記載された具体例に多くの変更をなしうることを理解するであろう。本発明の所望の利点のいくつかが、本発明の特徴のいくつかを選ぶことによって他の特徴を利用することなく獲得しうることも明らかであろう。したがって、当業者は、本発明への多くの修飾および付加が、可能であり、特定の情況に置いては望ましくさえありえ、本発明の一部であることを理解するであろう。したがって、以下の記載は、と本発明の主幹の説明として提供されるものであり、本発明を制限するものではない。
【0012】
本明細書で用いる、単数形(「a」、「an」および「the」)は、文脈上明確に指示されない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、たとえば、「浸透物デリバリーリザーバー」への言及は、文脈上明確に指示されない限り、2つ以上の浸透物デリバリーリザーバーを有する態様を包含する。
【0013】
範囲は、本明細書では、「約」1つの特定の値から、および/または、「約」もう1つの特定の値へ、として表現されうる。このような範囲が表現される場合、もう1つの解釈は、1つの特定の値から、および/または、もう1つの特定の値へ、を包含する。同様に、値が先行詞「約」の使用によって近似値として表現される場合、特定の値がもう1つの解釈を形成することが理解されるであろう。範囲の各終点が、他方の終点との関係において、および他方の終点とは独立して、の両方において重要であることもさらに理解されるであろう。
【0014】
本明細書で用いる、用語「任意」または「任意に」は、続いて記載された事象または情況が起こるかもしれないし、あるいは起こらないかもしれないこと、およびその記載が、該事象または情況が起こる機会およびそれが起こらない機会を包含することを意味する。
本明細書で用いる、成分の「重量パーセント」は、特に反対の記載がない限り、成分が含まれる製剤または組成物の総重量に基づく。
【0015】
本明細書で用いる、用語または語句「有効な」、「有効量」または「に有効な条件」は、そのために有効量が説明される機能または特性を遂行する能力があるような量または条件を意味する。下記に指摘されるように、必要とされる正確な量または特定の条件は、使用される材料および観察される処理条件などの認識される可変条件に応じて、1つ1つの具体例において変わる。したがって、正確な「有効量」または「に有効な条件」を特定することが常に可能なわけではない。しかし、適当な有効量または有効条件は、ルーチンの実験のみを用いて当業者によって容易に決定されることを理解すべきである。
【0016】
本明細書で用いる、用語「親水性浸透物」は、皮下液に対する親和性を有する浸透物に対する1つの態様を意味する。1つの態様では、皮下液は、細胞内および/または細胞外液でありうる。1つの態様では、親水性浸透物は、いったん水または皮下液などの湿分源と接触すると、親水性等価物が皮下液に少なくとも実質的に溶解するように、少なくとも実質的に水溶性でありうる。もう1つの態様では、親水性浸透物は、皮下液に実質的に溶解しなくてもよいが、皮下液中の微粒子親水性浸透物の懸濁液を形成しうる。
【0017】
本明細書で用いる、「皮下液」として、血漿、血液、1つ以上のタンパク質、間質液、皮膚組織液、汗、血清、リンパ液および/またはその2種以上の組み合わせのいずれかが挙げられるが、これらに限定されるものではない。1つの態様では、本発明による皮下液は、水を含む湿分源である。
【0018】
本明細書で用いる、用語「非生分解性」は、皮下液によって接触された場合に、少なくとも実質的に分解または腐食しない材料、化合物または組成物を意味する。1つの態様では、非生分解性材料、化合物または組成物は、実質的に水不溶性材料、化合物または組成物でありうる。
【0019】
本明細書で用いる、用語「浸透物利用」は、規定の浸透物投与期間中、リザーバーから患者に経皮デリバリーされる、浸透物デリバリーリザーバー内に配置された初期浸透物含量のパーセンテージを意味する。
【0020】
本明細書で用いる、「患者」は、それを通って液体を得ることができる少なくとも1つの外側膜を有するいずれかの生体を意味する。1つの態様では、例示的外側膜は、それを通って皮下液を得ることができる少なくとも1つの皮膚層でありうる。たとえば、1つの態様では、患者は、植物であり得る。別法として、もう1つの態様では、患者は、動物であり得る。1つの態様では、動物は、哺乳動物であり得る。別の態様では、動物は、非哺乳動物であり得る。動物は、魚類、爬虫類または両生類などの冷血動物でもあり得る。別法として、動物は、ヒト、家畜(farm animal、a domestic animal)または実験動物などの温血動物であり得る。したがって、本発明は、いずれか1つの特定の患者または患者のグループに関連した用途に限定されないことを理解すべきである。
【0021】
本明細書で用いる、「皮膚層」は、患者の1種以上の表皮層であり得る。たとえば、1つの態様では、皮膚層は、皮膚の最外層、すなわち、角質層を包含する。別の態様では、皮膚層は、通例、顆粒層、マルピーギ層および表皮基底層として同定される1種以上の表皮の裏張り層を包含することができる。当業者には当然のことながら、表皮の裏張り層を通る浸透物の輸送または吸収への耐性は本質的に小さいか、あるいは無い。したがって、本発明の1つの態様では、患者の皮膚層における少なくとも1つの形成された経路は、患者の角質層における経路である。
【0022】
本明細書で用いる、「エンハンサー」、「化学エンハンサー」、「貫通エンハンサー」、「浸透エンハンサー」などは、生体膜を横切る浸透物、分析物またはその他の分子の流動を増加させるすべてのエンハンサーを包含し、機能によってのみ限定される。言い換えれば、すべての細胞エンベロープ障害性化合物および溶媒およびいずれかの他の化学促進剤が包含されることを意図される。さらに、音響エネルギー、機械的吸引、圧力の適用または組織の局所的変形、超音波導入、イオン導入または電気穿孔などのすべての能動的力エンハンサー技術が包含される。1つ以上のエンハンサー技術を順番に、または同時に組み合わせてもよい。たとえば、化学エンハンサーを最初に適用して、毛細血管壁を透過性にし、次いで、イオン導入的または音響エネルギー場を適用して、浸透物を、毛細血管床を取り囲み、含む組織に活発に推進する。
【0023】
本明細書で用いる、「経皮(transdermal)」または「経皮(percutaneous)」は、浸透物の有効な治療的血液レベルまたは局所組織レベルを達成するための、生体膜内へ、および生体膜を通っての浸透物の通過を包含する。
【0024】
本明細書で用いる、用語「生体膜」または「組織膜」は、毛細血管壁などの生物体の1つの領域をもう1つの領域から分離する構造、胃の内張、または上皮組織、皮膚、頬粘膜もしくはその他の粘膜などの生物体をその外部環境から分離する生物体の外層を意味する。皮膚の角質も生体膜として包含されてもよい。
【0025】
本明細書で用いる、「人工的開口」または「微孔」は、微孔などの、液体をデリバリーするか、または絞り出すための適当な大きさの生体膜の物理的裂け目のいずれかを意味する。したがって、「人工的開口」または「微孔」または類似の用語は、所望の深さに、または生体膜を通って作成された小さい穴、開口または裂け目を意味する。開口は、U.S.特許番号5,885,211に記載されているように熱エネルギーの伝導を介して、あるいは機械的処理によって、あるいは発熱処理によって作成することができた。穴または孔の大きさは、たとえば、直径約1-1000ミクロンである。簡単にするために、用語「微孔」が単数形で用いられるが、デバイスおよび方法は、複数の開口または孔を形成することを理解すべきである。
【0026】
本明細書で用いる、「イオン導入」は、2つ以上の電極の使用および組織内へのイオン輸送を伴う水流動または生体液または分析物の同様の取り出しで行われる薬物の非イオン化体または非イオン化薬物のデリバリーを介する組織表面への外部電場の適用を意味する。
【0027】
本明細書で用いる、「電気穿孔」は、微孔よりも数桁小さい細胞壁における開口の電流フローを介する創成を意味する。電気穿孔で形成された開口は、典型的に、いずれの次元においても2,3ナノメーターである。1つの例では、電気穿孔は、浸透物が微孔を通って組織のより深い層に入った後、生物体の外層の直下の標的組織による選ばれた浸透物の細胞取り込みを促進するのに有用である。
【0028】
本明細書で用いる、「超音波導入」または「超音波処理」は、物質に交流を通過させて圧電性結晶またはその他の電気機械的素子を振動させることによって生成される、超音波として通常記載される周波数を含む音波エネルギーを意味する。薬物分子のために皮膚の透過性を増加させるための音響エネルギーの使用は、超音波導入またはフォノフォレシスと呼ばれている。
【0029】
本発明は、一部分において、皮膚の少なくとも1つの層を通る小さい人工的開口を形成することを介して患者の皮膚の浸透性を物理的に増加させることを経て発達している経皮デリバリーへの新たなアプローチに基づく。これらの開口は、角質層の直下の表皮および真皮の皮膚組織の含水生体層への液体アクセスを提供することができる。そのためには、これらの開口または微孔を、浸透物を拡散させうるのみならず、液体を吸い上げることができ、微粒子をデリバリーすることができ、あるいは患者内から液体を皮膚の表面へにじみ出させることができる水性チャネルと見なすことができる。液体フローの二方向性特性およびこのタイプの微孔を利用することによって、本発明は、1つの態様では、以下に詳述する、経皮浸透物デリバリーの改善されたデバイス、システムおよび方法を提供する。
【0030】
上記に要約し、図1において説明するように、本発明の第1の態様は、患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を介する患者への浸透物の経皮流動を引き起こすためのデバイス10を提供する。デバイスは、頂部表面および向かい合った底表面24を有する浸透物デリバリーリザーバー20およびその中に配置された少なくとも1つの非溶解親水性浸透物を含む。親水性浸透物は、リザーバーの底表面が、患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路との流体通路に位置する場合に、皮下液と接触することができる。いったん有効量の皮下液がデリバリーリザーバーと接触すると、続いて、皮膚を遡って患者に浸透物の少なくとも一部を経皮的にデリバリーするための拡散路を液体が提供する。たとえば、1つの態様であって、限定ではない場合では、親水性浸透物は、リザーバーの底表面が患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路との流体通路に位置する場合に、非溶解浸透物の少なくとも一部が有効量の皮下液を患者から吸い出すことができるように皮下液に対する親和性をもつことができる。
【0031】
本発明を実施するに当たって当然のことながら、1つの態様では、非生分解性マトリックスに配置された非溶解親水性浸透物は、患者から吸い出された皮下液と最初に接触するまで経皮デリバリーにとって経皮的に活性あるいは利用可能ではない。
【0032】
さらに、高水溶性薬物形体を用いる慣例の植え込み型または経口デリバリーシステムは、得られるPKプロフィールに見られるバースト効果を経験する。しかし、親水性浸透物のリザーバーを皮膚表面に保つこと、および特定の放出速度を確保しうるリザーバーを提供することによって、本発明のデリバリーリザーバーは、このバースト効果を解消することができる。
【0033】
1つの態様では、浸透物デリバリーリザーバーは、上述のように、その中に配置された少なくとも1つの親水性浸透物をさらに含む非生分解性マトリックスを含む。浸透物デリバリーリザーバーのマトリックス成分は、長期の浸透物適用期間中に患者の外皮層への局所適用にとって生体適合性である非生分解性材料または非生分解性材料の組み合わせを含む。1つの非制限的態様では、非生分解性材料は、浸透物デリバリーリザーバーの約20重量%〜約80重量%を占め、さらに浸透物デリバリーリザーバーの25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%および75重量%が挙げられ、これらの値から誘導される重量パーセントの範囲のいずれもが包含される。
【0034】
1つの態様では、非生分解性マトリックスは、非生分解性ポリマー材料またはポリマー材料の組み合わせを含むことができる。1つの態様では、非生分解性ポリマー材料は、水不溶性または疎水性である。例示であって限定ではなく、1つの態様では、非生分解性マトリックスは、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマー;ポリエチレン、アクリル酸ポリエチル、およびエチレンとアクリル酸エチルのコポリマーならびにその組み合わせを含むことができる。1つの態様では、マトリックスは、0%〜約60%の範囲の酢酸ビニルの相対パーセンテージを有するエチレン酢酸ビニルコポリマーを含み、さらに約0%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45 %、50%、55%および60%の酢酸ビニルパーセンテージが挙げられ、これらの値から誘導されるパーセンテージの範囲のいずれもが包含される。さらに別の態様では、エチレン酢酸ビニルコポリマーは、約28%の酢酸ビニルを含む。
【0035】
親水性浸透物は、当業界で既知の慣例の方法および/または本発明で教示する方法による投与に適したいずれかの化学または生物材料、化合物または組成物を含むことができる。そのために、浸透物は、経皮投与されるのが望ましいいずれかの1種以上の成分を含むことができる。たとえば、親水性浸透物を、生物活性剤、充填剤、抗治癒剤、浸透圧剤および浸透物の所望の経皮デリバリーを提供または促進するのに適したいずれかの他の慣例の既知の添加剤から選ぶことができる。1つの態様では、親水性浸透物は、浸透物デリバリーリザーバーの約20重量%〜約80重量%を占め、さらに浸透物デリバリーリザーバーの25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%および75重量%が挙げられ、これらの値から誘導される重量パーセントの範囲のいずれもが包含される。
【0036】
本明細書で用いる、「生物活性剤」として、所望の生物学的または薬理学的効果を誘発するいずれかの薬物、化学または生物材料が挙げられる。効果は、局所麻酔効果を提供するといったような局所的であることができ、あるいは全身的であることができる。このような物質は、皮膚などの身体表面および膜を通るなどの通常身体内にデリバリーされる広い種類の化合物を含む。この目的のために、1つの態様では、生物活性剤は、小分子剤であることができる。もう1つの態様では、生物活性剤は、高分子剤であることができる。一般的であって、限定的ではない例示的生物活性剤として、抗生物質および抗ウイルス薬などの抗感染剤;鎮痛剤および鎮痛剤の組み合わせ;食欲抑制剤;駆虫剤;抗関節炎剤;抗喘息剤;抗痙攣剤;抗うつ剤;抗糖尿病剤;止瀉剤;抗ヒスタミン剤;抗炎症剤;抗片頭痛剤 ;制嘔吐剤;抗新生物剤;抗パーキンソン剤;かゆみ止め剤;抗精神病剤;解熱剤;鎮痙剤;抗コリン作用剤;交感神経様作用剤;キサンチン誘導体;カリウムおよびカルシウムチャネル遮断剤、ベータ遮断剤、アルファ遮断剤および抗不整脈剤などの心血管作動製剤;降圧剤;利尿剤および抗利尿剤;一般的冠動脈、 、末梢および脳などの血管拡張剤;中枢神経系刺激剤;血管収縮剤;充血除去剤などの咳および風邪用製剤;エストラジオールおよびコルチコステロイドといったようなその他のステロイドなどのホルモン;睡眠剤;免疫抑制剤;筋弛緩剤;副交感神経遮断剤;覚醒剤;鎮静剤;および精神安定剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
本発明のデバイスおよび方法は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質またはその大きさのために既存の慣例技術によって経皮的にデリバリーすることが困難であることが知られているその他の高分子を経皮的にデリバリーするのにも用いることができる。これらの高分子物質は、典型的に、少なくとも約300ダルトン、より典型的には、約300〜40,000ダルトンの範囲の分子量を有する。本発明によりデリバリーされうるポリペプチドおよびタンパク質の例として、抗体、LHRH、LHRH類縁体(ゴセレリン、リュープロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、ナファレリンおよびリュープロリドなど)、GHRH、GHRF、インスリン、インスリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRH、NT-36(化学名:N-[[(s)-4-オキソ-2-アゼチジニル]-カルボニル]-L-ヒスチジル-L-プロリナミド)、リプレシン、下垂体ホルモン(たとえば、HGH、HMG、HCG、酢酸デスモプレシンなど)、小胞ルテオイド(folicle luteoids)、アルファ-ANF、放出因子(GFRF)などの成長因子、ベータ-MSH、GH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来増殖因子、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、コルチコトロピン(ACTH)、エリトロポエチン、エポプロステノール(血小板凝集阻害剤)、グルカゴン、ヒルジンおよびヒルログなどのヒルジンアナログ、ヒアルロニダーゼ、インターロイキン-2、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)およびLH)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、バソプレシン、デスモプレシン、ACTH類縁体、ANP、ANPクリアランスインヒビター、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、抗利尿ホルモンアンタゴニスト、ブラジキニンアンタゴニスト、CD4、セレダーゼ(ceredase)、CSI's、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチドサプレッサー、IGF-1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよびアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、プロスタグランジンアンタゴニスト、サイトカイン、リンホカイン、ペンチゲチド(pentigetide)、プロテインC、プロテインS、レニンインヒビター、チモシンアルファ-1、血栓溶解剤、TNF、GCSF、EPO、PTH、分子量3000〜12,000ダルトンを有するヘパリン、ワクチン、バソプレシンアンタゴニスト類縁体、インターフェロン-アルファ、-ベータおよび-ガンマ、アルファ-1 アンチトリプシン(組換え)およびTGF-ベータ遺伝子;ペプチド;ポリペプチド;タンパク質;オリゴヌクレオチド;核酸;および多糖類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本明細書で用いる、「ペプチド」は、いずれかの長さのペプチドを意味し、タンパク質を包含する。用語「ポリペプチド」および「オリゴヌクレオチド」は、特定の大きさが特記されない限り、特定の意図された大きさに限定されることなく本明細書において用いられる。利用しうるペプチドの例として、オキシトシン、バソプレシン、副腎皮質刺激ホルモン、上皮増殖因子、プロラクチン、ルリベリンまたは黄体ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン、成長ホルモン放出因子、インスリン、ソマトスタチン、グルカゴン、インターフェロン、ガストリン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストロン、セクレチン、カルシトニン、エンケファリン、エンドルフィン、アンギオテンシン、レニン、ブラジキニン、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、チロシジン、グラミシジンおよびその合成類縁体、修飾体および薬理学的活性フラグメント、モノクローナル抗体および可溶性ワクチンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。利用されうるペプチドまたはタンパク質薬物に対する限定のみが、機能性の1つであることが企図される。
【0039】
1つ以上のアミノ基を含むペプチドおよびタンパク質薬物の例として、抗ガン剤、抗生物質、制吐剤、抗ウイルス剤、抗炎症および鎮痛剤、麻酔剤、抗潰瘍剤、高血圧治療剤、高カルシウム血症治療剤、高脂血症治療剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、それぞれが少なくとも1つの第一級、第二級または第三級アミン基を分子中に有し、好ましくは、インスリン、カルシトニン、成長ホルモン、顆粒球コロニー刺激因子、エリトロポエチン(EPO)、骨形態形成タンパク質(BMP)、インターフェロン、インターロイキン、血小板由来増殖因子(PDGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、神経増殖因子(NGF)、ウロキナーゼなどのペプチド、タンパク質または酵素に言及することができる。タンパク質薬物のさらなる例として、インスリン、アルファ-、ベータ-およびガンマ-インターフェロン、ヒト成長ホルモン、アルファ-およびベータ-1-トランスフォーミング増殖因子、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(G-MCSF)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒトまたはサケカルシトニン、グルカゴン、ソマトスタチン、血管活性腸管ペプチド(VIP)およびLHRH類縁体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
もう1つの態様では、生物活性剤は、非溶解無水親水性塩としてデリバリーリザーバー内に存在することができる。この目的のために、本明細書で用いる、「親水性塩」および同様の用語として、そのナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリメタミンまたはその他のカチオン塩、その硫酸塩またはその他のアニオン塩、塩基性薬物の酸付加塩および酸性薬物の塩基付加塩などの生物活性剤、薬物または医薬品のイオン型が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような塩の説明的例として、ジクロフェナクナトリウム、クロモリンナトリウム、アシクロビルナトリウム、アンピシリンナトリウム、ワルファリンナトリウム、ケトロラクトロメタミン、アミロリドHCl、エフェドリンHCl、ロキサピンHCl、チオチキセンHCl、トリフルオペリジンHCl、ナトレキソンHCl、ナロキソンHCl、ナルブフィンHCl、ブスピロンHCl、ブプリプチオンHCl、フェニレフリンHCl、トラゾリンHCl、マレイン酸クロルフェニラミン、フェニルプロパノールアミンHCl、クロニジンHCl、デキストロメトルファンHBr、コハク酸メトプロロール、酒石酸メトプロロール、二酒石酸エピネフリン、フマル酸ケトトフィン、硫酸アトロピン、クエン酸フェンタニル、硫酸アポモルフィン、プロプラノロールHCl、ピンドロールHCl、リドカインHCl、テトラサイクリンHCl、オキシテトラサイクリンHCl、テトラカインHCl、ジブカインHCl、硫酸テルブタリン、スコポラミンHBr、マレイン酸ブロモフェニラミンおよびヒドロモルフォンHClが挙げられる。
【0041】
1種以上の生物活性剤に加えて、浸透物は、生体適合性充填剤を含むこともできる。浸透物または充填剤は、いずれかの1種以上の賦形剤、吸湿剤、浸透圧剤、浸透エンハンサー、抗治癒剤、抗凝固剤、抗炎症剤、抗菌剤、再上皮形成阻害剤、亜酸化チッ素産生阻害剤、メラニン形成阻害剤、投薬剤(dosing agent)、皮膚軟化剤、湿潤剤などを含むこともできる。この目的のために、浸透物または生体適合性充填剤は、上述の2種以上の生体適合性充填剤の機能を示すこともできる。たとえば、限定的ではないが、賦形剤は、抗炎症剤および/または吸湿剤としてさえも機能することもできる。もう1つの態様では、生体適合性充填剤は、浸透物デリバリーリザーバーの約20重量%〜約80重量%を占め、さらに浸透物デリバリーリザーバーの25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%および75重量%が挙げられ、これらの値から誘導される重量パーセントの範囲のいずれもが包含される。
【0042】
本明細書で用いる、抗治癒剤は、たとえば、抗凝固剤、抗炎症剤、細胞移動を阻害する作用剤、再上皮形成阻害剤および浸透圧剤を含むことができる。適当な抗凝固剤は、たとえば、分子量3000〜12,000ダルトンを有するヘパリン、ペントサン多硫酸塩、クエン酸、クエン酸塩、EDTAおよび分子量2000〜10,000ダルトンを有するデキストランを含むことができる。適当な抗炎症剤は、たとえば、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウムおよびリン酸トリアムシノロンナトリウムを含むことができる。細胞移動を阻害する適当な作用剤は、たとえば、ラミニンおよび/またはその関連ペプチドを含むことができる。
【0043】
本明細書で用いる、浸透圧剤として、約2000キロパスカルより大きい浸透圧を溶液中に生成することができるいずれかの生体適合性材料、化合物または組成物、あるいはその混合物を挙げることができる。たとえば、限定ではなく、1つの態様では、浸透性剤は、所望の浸透圧を溶液中に生成するために十分に高濃度を有する、塩化ナトリウムなどの生体適合性塩またはグルコースなどの中性化合物またはグリシンなどの両性イオン性化合物を含むことができる。たとえば、1つの態様では、浸透圧剤は、約2000キロパスカルより大きい浸透圧を溶液中に生成することができる。もう1つの態様では、浸透圧剤は、約3000キロパスカルより大きい浸透圧を生成することができる。
【0044】
この目的のために、別の態様では、生物活性剤は、いずれかの1種以上の上述の生体適合性充填剤の機能を提供することもできることを理解すべきである。たとえば、限定ではなく、生物活性剤は、前述の抗治癒効果を示すこともできる。さらに詳しくは、1つの態様では、生物活性剤は、患者の皮膚を通る少なくとも1つの形成された経路の治療過程を阻害することができるように、約2000キロパスカルより大きい浸透圧を溶液または懸濁液中に生成することができる。
【0045】
本明細書で用いる、吸湿剤は、浸透物中に存在する場合に、患者からデリバリーリザーバーへの皮下液の吸い込みを促進することができるように、皮下液に対する親和性を有する生体適合性材料、化合物または組成物を包含することを意図される。たとえば、限定ではなく、1つの態様では、本発明に用いることができる適当な吸湿剤は、マンニトールである。吸湿性充填剤材料の追加は、リザーバーの皮膚表面側から、さらなる生物活性剤が接近されうるリザーバーの本体へのさらなる拡散チャネルを作り出すように働きながら、処置された皮膚からの液体浸出の誘引物質としても働き、液体をリザーバーにもたらし、生物活性剤との接触を助ける。このような充填剤材料は、いったん可溶化および/または懸濁されると、患者にデリバリーされている生物活性剤のいずれかの阻害を最小化するように選ばれるべきである。
【0046】
1つの態様では、生体適合性充填剤は、グリセリン、プロピレングリコール(PG)またはその組み合わせを含むことができる。生体適合性充填剤の少なくとも一部として組み込まれる場合、グリセリンおよび/またはプロピレングリコールは、1種以上の保湿剤、吸湿剤、皮膚軟化剤、可塑剤、抗菌剤、皮膚浸透性エンハンザーおよび/または抗刺激剤として機能することができる。さらに、グリセリンおよびプロピレングリコールが、本明細書に記載のリザーバーマトリックスからの生物活性剤の放出速度を増加させること、および生物活性剤利用を増加させることにおける使用にも有効であることを理解すべきである。使用する場合、グリセリンおよび/またはプロピレングリコールは、典型的には、浸透物デリバリーリザーバーの0.0重量%以上〜約5.0重量%の範囲の量で存在し、0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%の量が挙げられ、これらの上記重量パーセンテージから誘導される範囲のいずれもが包含される。
【0047】
もう1つの態様では、生体適合性充填剤は、それが接触する液体のpHが酸性を保つように選ばれうる。これは、限定ではないが、細菌、酵母およびカビなどの種々の微生物に対する固有の抗菌活性を与えうる。さらに、フィルムの抗菌活性をさらに増強するために1種以上の抗菌剤を、ポリマーフィルム製剤に加えることもできる。
【0048】
当然のことながら本発明の実施において、非溶解浸透物を含む無水リザーバーのデザインを利用することが、生成物の殻安定性を改善し得、多くの場合において冷蔵の必要性を減少させる。たとえば、タンパク質、ペプチドまたはワクチン抗原の場合、冷蔵することなく生成物を貯蔵する能力は、有利であり、流通網における冷蔵の必要性がなくなる。ワクチンパッチの場合、これは、信頼しうる低温流通体系を用いる必要のない世界的なワクチンの流通を可能にする特性である。無水製剤の使用は、水を含まない製剤によって付与される固有の抗菌活性、および、安定な浸透物溶液を維持するのに必要な必須の濃度がないために、物理的により小さいリザーバーを提供する能力などのさらに他の利点を提供しうる。
【0049】
上述したように、少なくとも1つの親水性浸透物は、典型的には、非生分解性マトリックス内に配置されるか、あるいは、充填される。この目的のために、
例示的態様では、デリバリーリザーバーは、底表面を有し、その中に複数の導管を規定するように構築され、配置され、そこでは、複数の導管の少なくとも一部がマトリックス底表面と接触する。この態様によれば、非溶解親水性浸透物は、マトリックスの複数の導管の少なくとも一部の中に配置されうる。このように、結果として、例示したデリバリーリザーバーは、皮膚の液体損失によって提供される吸い込まれた皮下液を使用して、マトリックス内に配置された浸透物の少なくとも一部を溶解または懸濁することにより、皮膚の深層への浸透物の拡散または輸送が可能になるように適合される。
【0050】
輸送の種々のメカニズムが、リザーバーから皮膚組織への非溶解浸透物の分散および移動を達成しうる。一般に、排他的ではないが、マトリックス内に配置された浸透物は、微粒子体を去ることによって放出されると生物にとって利用可能になり、典型的には、周囲の組織において溶液または懸濁液になる。いったん溶液または懸濁液になると、微粒子浸透物のために拡散が、処置された外層を介して、および皮膚の生存層内へ、またはそれを通って、および患者への、輸送メカニズムを提供することができる。この過程は、長期にわたって継続するので、リザーバーを去り、皮膚内へ移動する浸透物によって形成された空隙は、リザーバー本体へ貫通するチャネルを形成し、それによって、リザーバーの表面に最初に存在したよりも、さらに多い浸透物への追加のアクセスを提供する。したがって、患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路に連絡してリザーバーを設置することにより、皮下液は、浸透物を溶解または懸濁するためのリザーバーへの有効量またはレベルの水分補給を提供することができる。このように、溶液または懸濁液中の浸透物の濃度が相対的に高いことが、提供され得、皮膚の生存組織層への連絡も提供される。
【0051】
本発明にしたがってデリバリーリザーバーを形成することによって、当然のことながら、経皮浸透物デリバリーのために知られていた慣例の経皮デリバリーデバイス、システムおよび方法によってこれまでは実現されなかった、相対的高レベルの浸透物利用を達成することが可能である。慣例の経皮産物が、リザーバー内に存在する生物活性剤の約30-40%以上を利用することはまれである。しかし、慣例の残渣分析を用いて、1つの態様では、本発明のデリバリーリザーバーは、10%〜約100%の範囲の浸透物利用を提供することができ、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%および95%の浸透物利用が挙げられ、これらの値から誘導される浸透物利用の範囲のいずれもが包含される。
【0052】
さらに、本発明の実施において当然のことながら、本発明のデリバリーリザーバーは、リザーバーマトリックス内に配置された非溶解浸透物を継続的に溶解または懸濁し、少なくとも1つの形成された経路に連絡した懸濁または溶解した浸透物が長期の投与期間にわたって飽和またはそれに近いレベルを維持することを可能にすることによって、相対的に一定の、相対的に高い化学ポテンシャル駆動力を維持する能力がある。浸透物担体として非生分解性マトリックスを用いることによって、処置された皮膚部位の領域にわたる複数の形成された経路間の空間を、液体の必須量を最小にすることを維持しながら、不活性であるが効果的に多孔性のマトリックスで効果的に充填することができる。対照的に、慣例の方法およびデバイスは、浸透物が皮膚内へ入るための同じ駆動力を得るために、浸透物が初期液の無い非溶解固形リザーバーに存在するよりも、飽和点条件を作り出すために相対的に多量の浸透物を必要とする。従来の純粋な液体またはゲル水性製剤では、処置された皮膚部位をカバーし、生物活性剤が皮膚に入るための同じ飽和レベルの駆動力を得るために、浸透物が微孔を介して提供される以外の水の無い非溶解固形リザーバーに存在するよりも、多量の生物活性剤を用いる。1つの態様では、全システムの機能は、皮下液が患者を出て行き、生物活性剤を溶解または懸濁するのを可能にし、次いで、溶解または懸濁した生物活性剤がこれらの水性チャネルを介して身体に移動するのを可能にするのに十分な程度まで、装着期間中浸透可能になるように皮膚の最外層を変化させることによって提供される皮膚における水性チャネルによって可能になる。
【0053】
本発明のデリバリーリザーバーは、その中に配置された少なくとも1つの非溶解親水性浸透物を有する固体マトリックスからなる複合リザーバーを提供するためのいずれかの慣例的に公知の手段によって製造することができる。たとえば、デリバリーリザーバーが、ポリマーマトリックスを含む例示的態様では、いずれかの生物活性剤および/または任意の充填剤などのポリマーおよび浸透物を、加熱混練ミキサーを用いて一緒に乾燥混合することができる。浸透物が複数の成分を含むならば、要すれば、浸透物をポリマーマトリックス材料と混合する前に、複数の浸透物成分を予め混合して、確実に均質な浸透物組成物にすることができる。要すれば、慣例のロティッセリー(rotisserie)ミキサーでこのような浸透物の予混を行うことができる
【0054】
混合システムの温度設定は、練ることができるように特定のポリマー材料を軟化することを可能にするのに十分高くすべきであるが、特定の浸透物成分の溶融を誘発するほど高くすべきではない。このような条件は、もちろん、そこに配置される特定のポリマーマトリックスおよび浸透物の特性に応じて変わる。したがって、当業者であれば、過度の試行を必要とすることなく、このような操作パラメーターを容易に得ることができる。次いで、得られる加熱混練混合物を、たとえば、円形、楕円形、長方形、正方形またはいずれかの他の所望の形状などのいずれかの所望の形状に切断されるか、または別の方法で形作られたフィルムシートを含むデリバリーリザーバーの個別の投与剤形に加工することができる。
【0055】
0.05、0.1、0.5、1.0、5.0、10.0、15.0、20.0および25.0 mmもしくはこれらの値から誘導される厚さのいずれかの範囲といったような厚さなどの約0.01 mm〜約30 mmの範囲の厚さなどのいずれかの所望の厚さに浸透物デリバリーリザーバーを製造することができる。たとえば、リザーバー厚さは、0.01mmから10.0 mm、あるいは0.5 mm〜1.0 mmの範囲であることができる。この目的のために、本発明の実施において当然のことながら、所望の厚さは、たとえば、特定のリザーバーのための特定のリザーバー成分および/または所望のデリバリーパラメーターに応じて変わる。たとえば、1つの態様では、より長い投与期間を提供するために、厚いデリバリーリザーバーフィルムを提供するのが望ましい。したがって、特定の寸法のデリバリーリザーバーのこのようなカスタマイズもしくは最適化は、単なるただのルーチン試験を通して当業者によって容易に獲得しうる。
【0056】
この加工は、多量の加熱混練混合物を実質的に同一の厚さに溶融圧縮し、次いで、慣例のダイス切断法を用いてデリバリーリザーバーの最終形状を形成することによって達成されてもよい。別法として、実質的に同一幅および厚さのリボンを形成する金型を通す加熱混合物の押し出し成形によって、混合物の加工を達成することができ、たとえば長方形投与剤形などを形成する所望の長さにリボンを切るか、またはリボンから最終的投与剤形をダイス切断するかのいずれかによってデリバリーリザーバーが切断されうる。押し出されたリボンにダイス切断法を用いる場合、加工機械類を、ダイス切断手順の後に残されたリボンの過剰の「縁」を再利用し、混合/押し出し機の投入供給部に戻し、したがって、生の成分を混合し、リザーバーの最終投与剤形を形成するためのゼロに近い損失加工を達成するようにさらに形作ることができる。
【0057】
別法として、浸透物とポリマーの実質的に同一および均質分散物が達成されるまで、冷凍製粉されたポリマー粉末を浸透物と混合することができる。次いで、得られる混合物をホットまたはコールドプレス成形または溶融押し出しして、最終的な所望のデリバリーリザーバー形状にすることができる。
【0058】
さらに別の態様では、たとえば塩化メチレンなどの有機溶媒にマトリックス材料を溶解する慣例の溶媒キャスティング法を用いることができる。次いで、非溶解浸透物を溶解したポリマーマトリックス材料に加え、次いで、所望の大きさおよび形状を有するリザーバー体に得られる懸濁液を注ぎ入れることができる。次いで、塩化メチレンなどの溶媒を蒸発または、その他の方法で除去して、浸透物デリバリーリザーバーを提供する。
【0059】
当業者であれば、当然のことながら、生物活性剤(1種以上)、充填剤成分(1種以上)および非生分解性マトリックス材料の相対的量をすべて調節して、患者への浸透物の所望の経皮流動速度をコントロールすることができる。たとえば、浸透物は、生物活性剤の既定の経皮用量を提供することができる、生物活性剤の既定の量に相対する量で、投与剤(dosing agent)などの充填剤成分を含むことができる。別法として、経皮浸透物拡散の既定の速度を提供することができる、固体マトリックスの既定の量に相対する量および組成で、浸透物組成物自体が存在することができる。
【0060】
1つの態様では、無水リザーバー内に配置された非溶解浸透物の濃度は、皮膚の微孔から得られた皮下液などの水源に曝した状態で、所望の統計的確率を提供するように設計され、微孔を通って患者にデリバリーされるために必要である浸透物の必須量が、溶解または懸濁し、これらのチャネルを通って、微孔を通って患者の皮膚内に拡散するまで、水性チャネルがリザーバー内に発達しリザーバーを通ってリザーバーの全体にわたって前進的に形成されるように、水が非溶解浸透物を溶解または懸濁する。適切な比を選ぶことによって、溶媒最前部がさらにリザーバーの中へ前進的に移動するので、溶媒最前部によって形成されたこれらの水性チャネルを介してリザーバー内の実質的にすべての浸透物が利用可能であることを確保するリザーバーが構築されうる。
【0061】
さらに、生物活性剤の放出速度をコントロールし、皮膚組織における生物活性剤の溶解度を変更し、限定的ではないが、免疫応答のブースティング、炎症応答、浮腫または紅斑の阻害、組織における特定のpH範囲の維持などの病気に冒された組織内での選択された生理的現象を抑制または促進するために、任意の賦形剤または充填剤をリザーバー内に包含することができる。この目的のために、皮膚組織が生物活性剤を吸収することができる最遅の速度よりもさらに制限される放出速度を提供するようにデリバリーリザーバーを構築することによって、生物活性剤デリバリー速度に典型的に効果を及ぼす患者間または患者内変動性にかかわらず、きわめて繰り返し可能であるようにシステムを作ることができる。
【0062】
本発明のデバイスが、単一のデリバリーリザーバーを含む態様に限定されないだけでなく、さらに複数のデリバリーリザーバーを含む態様を具現することも理解すべきである。たとえば、図3に示すように、1つの態様では、本発明のデバイスは、積み重ね配列に配置された複数のデリバリーリザーバーを含むことができる。描かれているように、デリバリーリザーバー20は、たとえば、限定的ではなく、積み重ね配列に配置された3つの浸透物デリバリーリザーバー20(a)、20(b)および20(c)を含むことができる。
【0063】
あるいは、本発明デバイスは、隣接または並列関係に配置された複数のリザーバーを含むことができる。さらに別の態様では、本発明デバイスは、複数の積み重ねリザーバーと複数の隣接デリバリーリザーバーの組み合わせを含むことができる。多層複数のデリバリーリザーバーを提供することによって、溶媒最前部によって各層が連続的にアクセスされるので、既定の浸透物投与期間にわたって既定の放出速度を変化させることができ、したがって、得られる患者における浸透物のPKプロフィールを当業者が調整することができる。たとえば、1つの態様では、少なくとも2つのリザーバーが異なる寸法的特徴を含む、複数のデリバリーリザーバーを提供することができる。もう1つの態様では、それぞれがその中にデポジットされた異なる浸透物組成物を有する少なくとも2つのリザーバーを提供することができる。さらにもう1つの態様では、複数のリザーバーのそれぞれが異なる浸透物組成物を含む、複数のデリバリーリザーバーが提供されることが企図される。
【0064】
さらにもう1つの態様では、複数の浸透物デリバリーリザーバーが、既定のパターンの脈動性生物活性剤デリバリーを提供するように配置されることができる。これは、デリバリーリザーバーが、浸透物を含むものもあり含まないものもある複数のリザーバー層で構築される完全に受動的な拡散システムによって行われうる。このように、溶媒最前部がリザーバーを通って移動するので、生物活性剤は、層が溶媒最前部の縁において生物活性剤を含む期間中のみデリバリーされる。同様に、これらの多層において生物活性剤含量をカスタマイズすることが、流入を最適に調節することができる経皮デリバリーシステムの設計を可能にする。たとえば、患者のグルコース代謝の天然の24時間周期のサイクルを補うようにインスリンデリバリーシステムを構築することができ、したがって、より良い療法を提供するようにプログラムされた様式で、投与期間にわたってデリバリーされる生物活性剤の量を変化させることができる。
【0065】
浸透物放出速度コントロールを提供するさらなる方法は、リザーバーの物理的デザインを変更すること、溶媒最前部がリザーバー内へ移動するにつれて形成された拡散パッチの捻れを変更すること、無水ポリマーまたはその他のマトリックス材料の選択、またはリザーバー内に特定の膜または層などの特定の速度制限メカニズムの追加を含むことができる。たとえば、皮膚接触表面の表面領域を増加させるようにデザインされた皮膚接触表面上の特定の生地でポリマーリザーバーを形成することができる。リザーバーと皮膚の間の表面領域を増加させることによって、パッチと微孔との間の液体界面への生物活性剤の放出の初期速度を増加させると、生物活性剤の高い初期流動がもたらされる。織られた表面に近いリザーバー内の生物活性剤が消耗し、ポリマーリザーバーへ貫通する水性多孔性が、さらにリザーバー内に広がるので、生物活性剤の流動は、増加した表面領域が縮小する効果として減速し、さらなる溶媒最前部がリザーバーの本体内へ移動する。例示的表面領域増加は、波形、ミシン目、部分的または完全に通る穴か、または部分穴と完全穴の組み合わせでリザーバー内に伸びる一連の穴、全部同じ深さまたは種々の深さの組み合わせの部分穴を含むことができる。本質的に、微孔を介して提供される溶解液に曝された表面領域を変更するリザーバーのいずれかの物理的形成は、装着期間中の種々の時点での流動を調整するのに用いることができる。この様式でリザーバーを形成するのに有用な加工のいくつかは、押し出し、打刻、キャスティング、打ち抜き、ダイス切断、圧延、溶融、レーザー加工、フライス、エッチングまたはホビング加工である。層におけるリザーバーのこれらの織り目加工および穿孔は、皮膚の表面上に置かれた層だけにではなく、他の層の間に挟まれた内部層に適用することができる。図2は、増加された底表面領域を含む例示的デリバリーリザーバーを表現する。示すように、デリバリーリザーバー20は、織り目加工された表面が一連の直線ミシン目を含む、織り目加工された底表面24を含むことができる。
【0066】
本発明の実施において当然のことながら、本明細書に記載したリザーバーデバイスを用いて、長期の投与期間にわたって、浸透物を経皮的にデリバリーすることができる。この目的のために、本明細書に記載のデリバリーリザーバーを用いて、約5、10、50、100、150、200、250、300および350時間の投与期間などの約1時間〜約400時間以上の範囲の既定の投与期間にわたって患者に浸透物を経皮的にデリバリーすることができる。別法として、本明細書のデバイスを用いて、6〜12時間、12〜30時間、30〜50時間および50〜80時間などの既定の投与期間中、既定量の浸透物を経皮的にデリバリーすることができる。
【0067】
この目的のために、理論によって限定されることを意図するものではないが、本発明のデバイスによって達成された相対的に長い投与期間が、長期投与のために溶解または懸濁した浸透物を飽和点の近くに維持することから得られる高い拡散勾配をもたらすことができる。これらの相対的に高い浸透圧勾配は、それ自体、長い投与期間を達成する能力をさらに増強する、患者の皮膚層の開口を通る形成された経路における抗治癒効果を提供することができるということがさらに考えられる。したがって、当然のことながら、本発明のデリバリーリザーバーを、事実上所望の投与期間にわたって既定レベルの浸透物をデリバリーするように構築および配列することができる。
【0068】
例示的本発明の1つの態様のデバイスを図4に示す。描かれているように、例示的デバイスは、本明細書において先に述べたように、デリバリーリザーバー20を含む経皮パッチアセンブリ10を提供する。デリバリーリザーバーは、頂部表面22および反対の底表面24を有するように構築および配列される。内部に向いた表面32を有する裏張り支持層30は、デリバリーリザーバーの頂部表面の少なくとも一部に接続する。1つの態様では、患者の皮膚にデリバリーリザーバーを剥離可能に貼るために、裏張り支持層を、デリバリーリザーバーを越えて周辺に広がるような大きさおよび形状にすることができる。さらに、周辺に広がる裏張り支持層の内部に向いた表面の少なくとも一部は、そこに置かれた接着層40をさらに含むことができる。当業者には当然のことながら、リザーバーの周辺を越えて広がる裏張り支持層の少なくとも一部に置かれた接着層は、周辺接着アタッチメントシステムを提供することができる。
【0069】
別法として、剥離可能に患者の皮膚に直接接着するのに十分な粘着性をもつ皮膚接触表面を有するようにデリバリーリザーバーを設計しうることも企図される。これは、パッチの全体の大きさを最小にし、パッチ装着期間中(たとえば、1、2、3または7日間)に皮膚にパッチを接着するのに十分な接着を維持するための周辺的接着への依存を減らすことができる。本明細書に開示する本発明の実施において当然のことながら、このようなリザーバーは、たとえば、ポリマー、薬物および/または生体適合性充填剤、すなわち、賦形剤ならびに製造過程のパラメーターを最適にすることによって得ることができる。当業者であれば、過度の試行を必要とすることなく、このような最適化を決定することができる。
【0070】
裏張り支持層30は、1つの態様では、少なくとも実質的に閉塞性でありうる。別法として、裏張り支持層は、少なくとも部分的に半透性でありうる。この目的のために、いくつかの場合、たとえば、3Mテガダーム(登録商標)製品などの半透性裏張りが、より長い装着期間の間、より高い使用者寛容性を典型的に有する水蒸気透過性裏張りとして付加的使用者快適性を提供することができる。さらに、特定の平均水蒸気透過速度(MVTR)をもつ半透性裏張り支持層を設計することによってフィルムを通る水輸送の速度をコントロールすることによって、皮膚への放出速度をコントロールすることができる。その他の場合、パッチアセンブリの下の少なくとも1つの形成された経路から、ならびに形成された経路の周囲および間の無傷の皮膚を通る上皮を横切る水損失から、アクセスされる皮下液からのリザーバーの最大水和を確実にするために、より完全に閉塞性の裏張りが好ましい。別法として、周辺接着を半透性にして、よりよい接着および/またはより低い刺激性などのよりよい装着特性を可能にしながら、フィルムの水和を促進し、そのことによって皮下液と接触させるために、裏張りを全体として閉塞性にすることができる。
【0071】
パッチアセンブリ10は、デバイスが使用されるまで、環境要素からデリバリーリザーバーの底表面の少なくとも一部を保護する大きさおよび形状にした、はがしうる保護的剥離層50をさらに含むことができる。1つの態様では、保護的剥離層は、そこに置かれた接着層を有する周辺に広がる裏張り支持層の少なくとも一部に対して、除去可能に固定されうる。当然のことながら、この態様の剥離層の位置決めは、デリバリーリザーバーの底表面に保護を提供するのみならず、裏張り支持層の周辺に広がる部分に置かれた接着層に保護層をさらに付加することができる。次いで、デリバリーリザーバー、裏張り層および接着層および保護的剥離層を含むパッチアセンブリを個別の小袋にいれ、閉めて密封することができる。
【0072】
使用において、例示的本発明のデリバリーリザーバーは、患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を介して患者への浸透物の経皮流動を引き起こす方法を提供する。1つの態様では、方法は、皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を含む経皮浸透物投与部位を有する患者を提供することを含む。本明細書で用いる、患者は、経皮浸透物投与をする能力を持つ少なくとも1つの皮膚層を有するいずれかの生物体でありえる。この目的のために、患者は、たとえば、ヒト患者などの哺乳動物でありうる。別の態様では、患者は、非ヒト哺乳動物でありうる。さらに別の態様では、本発明の方法およびシステムは、植物に用いることができる。
【0073】
経皮浸透物投与部位は、患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を含む。経路は、いずれかの現在公知の患者の皮膚層を通る経路を提供するための手段によって形成されうる。その目的のために、皮膚の処理は、直径1-1000ミクロンおよび深さ500ミクロンの大きさ範囲内の皮膚における1つ以上の小さい人工開口または微孔を形成する方法のいくつかであり、生物活性剤またはリザーバーと生物体の皮膚の最外層の下の皮膚の生存細胞層、典型的には、ヒトの角質層との間の流体通路を可能にする。これらの微孔は、皮下液が微孔を通って皮膚表面に滲出するのを可能にすることができる。
【0074】
例示的態様であって、限定を意味するものではないが、患者の皮膚における微孔または経路は、熱ポーレーションデバイス、マイクロ−ニードル、ランセットまたはブレードによる皮膚の機械的穿刺、レーザー焼灼、電気的穿刺または焼灼および/または水力ジェットを提供することによって形成されうる。機械的方法によって経路を作り出すことは、皮膚を穿刺するか、または角質層を通る行路または経路を掻き取るための固体マイクロニードルまたは「錐体」などの射出の使用を包含する。皮膚処理として、皮膚の透過性を高めるための皮膚の音響エネルギーまたは超音波処理の適用、皮膚を適切に透過性にするための電気穿孔、テープ・ストリッピング、削磨ストリッピングまたは削磨処理、ガスジェット削磨処理、PowderJect Pharmaceutical PLCに記載の器具などの器具を介する皮膚への高速不活性粒子の適用によるマイクロ穿刺、化学的処理、熱処理または機械的処理などの方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。所望の微孔形成のための例示的システム、デバイスおよび方法は、米国特許出願番号5,885,211、6,527,716、6,597,794、6,611707、6,692,456、6,708,060および6,711,435ならびに米国特許出願番号2004-0220456、2004-0039342および2004-0039343(これらはすべて、全体として参照することにより本発明に援用される)において検討されている。
【0075】
保護的剥離層を除去した後、次いで、本明細書に記載するように、非溶解親水性浸透物を含む浸透物デリバリーリザーバーが、患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路との流体通路にあるように、患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を有する浸透物投与部位にわたってデリバリーリザーバーの底表面を少なくとも実質的に共同設置する様式で患者の皮膚上にパッチアセンブリを位置決めすることができる。微孔を開けられた皮膚部位へのパッチの活性領域の共同設置を単純にするための種々の方法は、たとえば、マイクロポーレーション法の適用後に残される目に見えるマークのシステムなどの総合的システム設計に組み込んで、これらのマークを基準点として用いる場合に、使用者がパッチを正確な位置に置くのを可能にすることができる。これらのマークは、色素またはインクで形成されてもよく、あるいはさらに単純に皮膚に一時的パターンを残す機械的質感形成;パッチが折り畳まれ、ヒンジが180度曲がる時に、必要な共同設置が確保されるように、ポーレーションが成し遂げられ、ポーレーションシステムが皮膚部位から除去される時に、パッチをホールドする後に小さなヒンジ要素が残される様式でポーレーションシステムにパッチが一時的に接着される折り畳み共同設置システム;ポーレーターシステムの除去後に、皮膚上に周辺インジケーターの位置決めリングが残り、パッチの適切な設置のための必要なガイドを提供する;連続的にポーレーションシステムを適用し、それを除去し、次いで、完全に透明な、および任意に使用者に対して隠れた様式でパッチを適用する完全に自動化されたアプリケーターシステムを用いる;ポーレーター要素が生体適合性であり、パッチの皮膚側に直接組み込まれ、ポーレーション処理が完成した後に、リザーバーの下の皮膚に対する場所に残されるのを可能にするように設計された完全に総合的なシステムを用いる;によって形成されてもよい。したがって、ポーレーターは、リザーバーに入るための微孔からの流体およびポーレーターを回って/横切って微孔内へ戻るリザーバーからの溶解または懸濁した生物活性剤の必要な流動を可能にするのに十分多孔性である。
【0076】
次いで、少なくとも1つの形成された経路を通って患者から有効量の皮下液を吸い出し、続いて、所望の流動で、形成された経路を通って浸透物の少なくとも一部を経皮的にデリバリーするために、浸透物デリバリーリザーバーを少なくとも1つの形成された経路との流体通路に維持することができる。この目的のために、少なくとも1つの形成された経路を通って吸い出された皮下液は、リザーバー内に配置された浸透物の少なくとも一部を溶解および/または懸濁する過程を開始し、続いて、浸透物のための実行可能な拡散経路を提供して、皮膚における少なくとも1つの形成された経路を通って患者に経皮的に拡散して戻ることができる。いったん、浸透物が、患者の生存する皮膚層に経皮的にデリバリーされると、浸透物は、局所的に活性化しうるか、または循環系によって取り込まれ、全身的に分配されうる。たとえば、1つの態様では、浸透物は、リンパ系によって取り込まれうる。
【0077】
本明細書に記載の駆動力に基づく受動的化学的拡散に加えて、本発明の浸透物デリバリーリザーバーと併用で、さらなる浸透エンハンサーを用いることもできることが企図される。たとえば、限定ではなく、本発明のデリバリーリザーバーを、音響エネルギー、機械的吸引、圧力または組織の局所的変形の適用などの能動的力エンハンサー技術と併用で用いることができ、その中に超音波導入、イオン導入または電気穿孔が包含される。
【0078】
さらに、患者の皮膚層における少なくとも1つの形成された経路を通る浸透物の経皮浸透物流動を増強するために、浸透物に追加の起電力を適用することもできる。起電力の使用は、マイクロポーレーション処理された皮膚を通る治療量でのタンパク質、ペプチドおよび遺伝子などのより大きい高分子剤の経皮デリバリーにとって特に有用である。さらに、他の態様では、このような能動的デリバリーモードは、受動的拡散のみのシステムを介する等価の流動にしばしば必要とされるよりも、より少ない、および/または、より小さい経路で、用いることができる。したがって、1つの態様では、能動的起電力の使用は、それによって、削磨される皮膚の体積を減少することができ、使用者に対するシステムの侵襲性を小さくなる。
【0079】
その目的のために、1つの態様では、電気-浸透圧-ポンプ(EOP)アセンブリを提供するように本発明の浸透物デリバリーリザーバーを形成することができる。この態様によれば、図5に示すように、頂部表面および反対の底表面を有するマイクロポーレーション処理されたデリバリーリザーバー20(d)は、頂部表面との電気的通路(electrical communication)に位置する1つ以上の第1電極60のアセンブリおよび底表面との電気的通路に位置する1つ以上の第2電極70のアセンブリをさらに含むことができる。たとえば、スパッタリング、電着または無電解析出などの当業者に知られているいずれかの慣例の電極蒸着技術によって電極アセンブリを提供することができる。次いで、電位または電流源(V)との選択的またはコントロール可能な電気的通路に第1および第2電極アセンブリを設置することによって、完全な回路を作り出すことができる。マイクロポーレーション処理されたリザーバー内の浸透物への適切に分極させた電場の定常的適用は、マイクロポーレーション処理されたリザーバーの開口の近辺における浸透物の集積を誘発することができ、したがって、患者への拡散勾配駆動経皮デリバリーに相対的ブーストを提供する。
【0080】
さらに別の態様では、本発明の電気-浸透圧-ポンプアセンブリは、デリバリーリザーバーから遠隔に位置し、患者の皮膚との電気的通路内に位置するように適合された第3または対電極をさらに含むことができる。第3または対電極の組み込みは、患者の皮膚における少なくとも1つの形成された経路と同期して、マイクロポーレーション処理されたデリバリーリザーバーの底表面から病巣への外側性の浸透物の移動を増強する能力がある起電力の適用を可能にする。当然のことながら、本発明のこの態様は、破壊されていない角質層をまだ有し、皮膚の生存層に向かって開かれた形成された経路を有する皮膚の無傷の部分を通る本質的にゼロの流動があるので、さらなる経皮流動効率を提供することができる。
【0081】
使用において、上述した3つの電極アセンブリは、電気-浸透圧-ポンプアセンブリ内の種々の電極アセンブリの選択的オン-オフサイクルにしたがって操作することができる。たとえば、第1電気-浸透圧-ポンプサイクルにおいて、デリバリーリザーバーの底表面における微孔開口の付近に相対的に高い濃度の生物活性剤を創成するために、第1および第2電極アセンブリの間の回路を完成させることによって電気-浸透圧-ポンプ(EOP)を活性化することができる。第2電気-輸送サイクル中に、第1および第2EOP電極アセンブリの一方または両方を、特定の経皮的にデリバリーされる生物活性剤の正味荷電と同じ極性に帯電させることができる。次いで、デリバリーリザーバーから遠隔であって、皮膚の表面に連絡して位置することができる第3電極アセンブリを対電極として操作することができる。電気-輸送モードにおいて、生物活性剤に加えられる電気斥力は、生物活性剤を患者の微孔へ能動的に駆動させることができる。
【0082】
もちろん、オン-オフ様式あるいはオフおよび最大強度の間のいずれかのレベルで、この電気-輸送モード(ETM)および電気-浸透圧-ポンプモード(EOP)を調節することができることを理解すべきである。たとえば、10 msオンおよび50 ms オフなどの所定の例示的限度内のETMの量および期間を保つことによって、ETM期間中に患者の皮膚組織を通って流れる平均電流を、皮膚組織内の通常のマイクロ流体作用および電場が存在しないときのイオンの天然の拡散によって、ETMのオフ時間中に局所的pHにおけるいずれかのシフトを中和することができる十分に低いレベルに保つことができる。当業者には当然のことながら、これは、全ての可動種の同一濃度を確立するように働くことができ、したがって、pHをその正常な生理的状態に戻す。このように、ETMのオン時間からオフ時間へのこの調節は、皮膚組織の正常pHの崩壊による刺激を取り除くこともできる。
【0083】
EOPモードまたはサイクルおよびETMモードまたはサイクルの特定の負荷サイクルは、経皮的にデリバリーされる特定の浸透物およびEOPとETMの両方に適用される電流レベルに従属しうることを理解すべきである。生存組織のpHが既定の限度内にあることを確実にするように概算を行うことができるが、実際には、これらの負荷サイクルは、異なる負荷サイクルの効果をモニターするためにパッチの下に小さいpHセンサーを単に設置することによって実験的に計算することができる。本発明のさらなる特徴は、局所的皮膚生理、環境因子またはその他の局所的環境に効果を及ぼす力における患者間の変動にかかわらずpHがプログラムされた限度内に保たれるのを確実にする閉ループコントロール回路が実行されるように、パッチにpHセンサーを組み込み、システムコントローラーへのフィードバックシグナルとしてそれによって生成された出力を用いることである。
【0084】
図6には、1つの3電極浸透圧ポンプをさらに含む例示的パッチアセンブリが描かれる。描かれるように、例示的デバイスは、本明細書で先に述べたように、マイクロポーレーション処理されたデリバリーリザーバー20(d)を含む経皮パッチアセンブリ10を含む。デリバリーリザーバーは、頂部表面22および反対の底表面24を有するように構築し、配列される。内部に向いた表面32を有する裏張り支持層30は、デリバリーリザーバーの頂部表面に少なくとも一部接続されている。マイクロポーレーション処理されたデリバリーリザーバー20(d)は、頂部表面22および反対の底表面24を有する。第1電極アセンブリ60は、頂部表面との電気的通路に位置し、第2電極アセンブリ70は、底表面との電気的通路に位置する。第3または対電極80は、デリバリーリザーバーから遠隔に位置し、患者の皮膚との電気的通路に位置するように適合される。次いで、電位または電流源(図示せず)との選択的またはコントロール可能な電気的通路に、第1、第2および第3電極アセンブリの少なくともいずれかの2つを設置することによって、第1、第2および第3電極の少なくともいずれかの2つの間に、完全な回路を作り出すことができる。
【実施例】
【0085】
以下の実施例は、本発明の請求するデバイス、システムおよび方法をどのように作成、実行および評価するかについての完全な開示および記述を当業者に提供するために記載される。これらの実施例は、純粋に本発明の例示的であることを意図するものであり、発明者が彼らの発明と見なすものの範囲を制限することを意図するものではない。努力は、数値(たとえば、量、温度など)に関する正確さを確実にするためになされている;しかし、誤差および偏差が起こりうることもある。他に特記しない限り、部は重量部であり、温度は摂氏または周囲温度であり、圧力は大気圧あるいは大気圧に近い圧力である。
【0086】
実施例1:
生物活性剤としてヒドロモルフォンHClおよび生体適合性充填剤としてプロピレングリコールを含む浸透物デリバリーリザーバーの製造
以下に記載の例示的手順にしたがって、生物活性剤としてヒドロモルフォンHClを含む例示的浸透物デリバリーリザーバーを製造することができる。
約40 %の酢酸ビニル成分、約1330 mgのヒドロモルフォンHCl;約1330 mgのマンニトールおよび約200 mgのプロピレングリコールを含む約1140 mgのエチレン酢酸ビニルをバイアルに充填し、混合物を一夜混和し続けることによって、リザーバーを製造することができる。次いで、スパチュラで継続的に混合しながら、バイアルをシリコンオイルバスで約80℃〜100℃の範囲に加熱する。混合物がパン生地様の硬さになった後、次いで、混合物を3M(登録商標)から入手可能なScotchpak裏張りなどの裏張りフィルムに移すことができる。
【0087】
いったん裏張り材上に置いたら、パン生地様リザーバー材料を、裏張り層と保護的剥離層(同じく3M(登録商標)から入手可能な1521片面ポリエチレンフィルムなど)との間に押し付けて、所望の厚さを有するリザーバーを提供することができる。リザーバー材料が冷めたら、次いで、得られるフィルムを切断して、たとえば、約1 cm2などのリザーバー表面領域を有するパッチを提供することができる。上述の手順で製造したリザーバーは、たとえば、パッチ当たり、ヒドロモルフォンHCl約35 mgという生物活性剤濃度などを含むことができる。被験者に例示的リザーバーを適用する前に、保護的剥離層をまず除去して、リザーバーの底表面を露出する。
【0088】
実施例2
生物活性剤としてインスリンを含む浸透物デリバリーリザーバーの製造の製造
以下に記載の例示的手順にしたがって、生物活性剤として凍結乾燥インスリンを含む例示的浸透物デリバリーリザーバーを製造することができる。
約40 mgの未加工のインスリン材料、40 mgのマンニトール、約3.48 mgのアルギニンおよび約16 mgのトレハロースを、約0.9 mLの蒸留水に熔解することによって、凍結乾燥インスリンをまず製造することができる。要すれば、次いで、約8.8-9.0の範囲のpHを達成するために、1N水酸化ナトリウムまたは約0.1N塩酸でpHを調節することができる。ついで、得られる溶液をの温度約-80 ℃にて凍結させ、次いで、その後で少なくとも約16時間減圧乾燥して、凍結乾燥インスリンを得る。
【0089】
次いで、溶媒キャスティング法によって、凍結乾燥インスリンを含む浸透物リザーバーを製造することができる。この目的のために、約350 mgのエチレン酢酸ビニルコポリマーを約4 mLの塩化メチレンに激しく振とうしながら溶解することができる。次いで、約1225 mgの篩いにかけたマンニトールおよび約174 mgの篩いにかけた凍結乾燥インスリンをEVAおよび塩化メチレン溶液に加えることができる。次いで、得られる懸濁液を1200 rpmにて約10分間撹拌し、次いで、さらに約30分間管を回転する。
【0090】
混合後、次いで、得られる懸濁液をScotchpak(登録商標)裏張りフィルム上に注ぎ、Paul N.Gardner Co., Incから入手可能なアプリケーターなどのマイクロフィルムアプリケーターを用いて、50 mil厚さに引き延ばすことができる。次いで、引き延ばしたフィルムをドラフトで周囲温度にて乾燥し、3〜16時間の範囲の期間圧縮することができる。次いで、使用するまで、乾燥したフィルムを冷蔵デシケーター内で保管する。
【0091】
実施例3:
生物活性剤としてヒドロモルフォンHClおよび生体適合性充填剤としてプロピレングリコールを含む浸透物デリバリーリザーバーの製造
以下に記載の例示的手順にしたがって、生物活性剤としてヒドロモルフォンHClおよび生体適合性充填剤としてプロピレングリコールを含む例示的浸透物デリバリーリザーバーを製造することができる。
最初に、使用前に、200メッシュ篩いを用いて、バルクのヒドロモルフォンHClおよびマンニトールを篩いにかける。次いで、バイアルに、約9975 mgのヒドロモルフォンHClおよび約9975 mgのマンニトールを充填し、混合物を少なくとも4時間混和することによって、リザーバーを製造することができる。約40 %の酢酸ビニル成分および1500 mgのプロピレングリコールを含む約8550 mgのエチレン酢酸ビニルをヒドロモルフォンHClおよびマンニトールの混和混合物に加える。充填した材料を継続的に撹拌し、温度制御コンテナ中で約80 ℃〜120 ℃の範囲の温度に加熱する。混合物がパン生地様の硬さになった後、次いで、混合物を3M(登録商標)から入手可能なScotchpak裏張りなどの裏張りフィルムに移すことができる。
【0092】
いったん裏張り材上に置いたら、パン生地様リザーバー材料を、裏張り層と保護的剥離層(同じく3M(登録商標)から入手可能な1521片面ポリエチレンフィルムなど)との間に押し付けて、所望の厚さを有するリザーバーを提供することができる。リザーバー材料が冷めたら、次いで、得られるフィルムを切断して、たとえば、約1 cm2などのリザーバー表面領域を有するパッチを提供することができる。上述の手順で製造したリザーバーは、たとえば、パッチ当たり、ヒドロモルフォンHCl約21 mgという生物活性剤濃度などを含むことができる。被験者に例示的リザーバーを適用する前に、保護的剥離層をまず除去して、リザーバーの底表面を露出する。
【0093】
実施例4:
生物活性剤としてヒドロモルフォンHClおよび生体適合性充填剤として1%グリセリンを含む浸透物デリバリーリザーバーの製造
以下に記載の例示的手順にしたがって、生物活性剤としてヒドロモルフォンHClおよび生体適合性充填剤として1.0重量%グリセリンを含む例示的浸透物デリバリーリザーバーを製造することができる。
再び、使用前に、200メッシュ篩いを用いて、バルクのヒドロモルフォンHClおよびマンニトールを篩いにかける。次いで、バイアルに、約10575 mgのヒドロモルフォンHClおよび約10575 mgのマンニトールを充填し、混合物を少なくとも4時間混和することによって、リザーバーを製造することができる。約40 %の酢酸ビニル成分および300 mgのグリセリンを含む約8550 mgのエチレン酢酸ビニルをヒドロモルフォンHClおよびマンニトールの混和混合物に加える。充填した材料を継続的に撹拌し、温度制御コンテナ中で約80 ℃〜120 ℃の範囲の温度に加熱する。混合物がパン生地様の硬さになった後、次いで、混合物を3M(登録商標)から入手可能なScotchpak裏張りなどの裏張りフィルムに移すことができる。
【0094】
いったん裏張り材上に置いたら、パン生地様リザーバー材料を、裏張り層と保護的剥離層(同じく3M(登録商標)から入手可能な1521片面ポリエチレンフィルムなど)との間に押し付けて、所望の厚さを有するリザーバーを提供することができる。リザーバー材料が冷めたら、次いで、得られるフィルムを切断して、たとえば、約1 cm2などのリザーバー表面領域を有するパッチを提供することができる。上述の手順で製造したリザーバーは、たとえば、パッチ当たり、ヒドロモルフォンHCl約23 mgという生物活性剤濃度などを含むことができる。被験者に例示的リザーバーを適用する前に、保護的剥離層をまず除去して、リザーバーの底表面を露出する。
【0095】
実施例5
生物活性剤としてヒドロモルフォンHClおよび生体適合性充填剤として0.5%グリセリンを含む浸透物デリバリーリザーバーの製造
以下に記載の例示的手順にしたがって、生物活性剤としてヒドロモルフォンHClおよび生体適合性充填剤として0.5重量%グリセリンを含む例示的浸透物デリバリーリザーバーを製造することができる。
リザーバーを製造するために、最初に、使用前に、200メッシュ篩いを用いて、バルクのヒドロモルフォンHClおよびマンニトールを篩いにかける。次いで、バイアルに、約10650 mgのヒドロモルフォンHClおよび約10650 mgのマンニトールを充填し、混合物を少なくとも4時間混和することによって、リザーバーを製造することができる。約40 %の酢酸ビニル成分および150 mgのグリセリンを含む約8550 mgのエチレン酢酸ビニルをヒドロモルフォンHClおよびマンニトールの混和混合物に加える。充填した材料を継続的に撹拌し、温度制御コンテナ中で約80 ℃〜120 ℃の範囲の温度に加熱する。混合物がパン生地様の硬さになった後、次いで、混合物を3M(登録商標)から入手可能なScotchpak裏張りなどの裏張りフィルムに移すことができる。
【0096】
いったん裏張り材上に置いたら、パン生地様リザーバー材料を、裏張り層と保護的剥離層(同じく3M(登録商標)から入手可能な1521片面ポリエチレンフィルムなど)との間に押し付けて、所望の厚さを有するリザーバーを提供することができる。リザーバー材料が冷めたら、次いで、得られるフィルムを切断して、たとえば、約1 cm2などのリザーバー表面領域を有するパッチを提供することができる。上述の手順で製造したリザーバーは、たとえば、パッチ当たり、ヒドロモルフォンHCl約23.5 mgという生物活性剤濃度などを含むことができる。被験者に例示的リザーバーを適用する前に、保護的剥離層をまず除去して、リザーバーの底表面を露出する。
【0097】
実施例6
生物活性剤としてヒドロモルフォンHClおよび生体適合性充填剤としてグリセリンまたはプロピレングリコールを含まない浸透物デリバリーリザーバーの製造
以下に記載の例示的手順にしたがって、生物活性剤としてヒドロモルフォンHClおよび生体適合性充填剤としてグリセリンまたはプロピレングリコールを含まない例示的浸透物デリバリーリザーバーを製造することができる。
リザーバーを製造するために、最初に、使用前に、200メッシュ篩いを用いて、バルクのヒドロモルフォンHClおよびマンニトールを篩いにかける。次いで、バイアルに、約10725 mgのヒドロモルフォンHClおよび約10725 mgのマンニトールを充填し、混合物を少なくとも4時間混和することによって、リザーバーを製造することができる。約40 %の酢酸ビニル成分を含む約8550 mgのエチレン酢酸ビニルをヒドロモルフォンHClおよびマンニトールの混和混合物に加える。充填した材料を継続的に撹拌し、温度制御コンテナ中で約80 ℃〜120 ℃の範囲の温度に加熱する。混合物がパン生地様の硬さになった後、次いで、混合物を3M(登録商標)から入手可能なScotchpak裏張りなどの裏張りフィルムに移すことができる。
【0098】
いったん裏張り材上に置いたら、パン生地様リザーバー材料を、裏張り層と保護的剥離層(同じく3M(登録商標)から入手可能な1521片面ポリエチレンフィルムなど)との間に押し付けて、所望の厚さを有するリザーバーを提供することができる。リザーバー材料が冷めたら、次いで、得られるフィルムを切断して、たとえば、約1 cm2などのリザーバー表面領域を有するパッチを提供することができる。上述の手順で製造したリザーバーは、たとえば、パッチ当たり、ヒドロモルフォンHCl約21 mgという生物活性剤濃度などを含むことができる。被験者に例示的リザーバーを適用する前に、保護的剥離層をまず除去して、リザーバーの底表面を露出する。
【0099】
実施例7:
生物活性剤として10 %のクエン酸フェンタニルを含む浸透物デリバリーリザーバーの製造
以下に記載の例示的手順にしたがって、生物活性剤として10 %のクエン酸フェンタニルを含む例示的浸透物デリバリーリザーバーを製造することができる。
リザーバーを製造するために、最初に、使用前に、200メッシュ篩いを用いて、マンニトールを篩いにかける。次いで、バイアルに、約3000 mgのクエン酸フェンタニルおよび約18450 mgのマンニトールを充填し、混合物を少なくとも6時間混和することによって、リザーバーを製造することができる。約40 %の酢酸ビニル成分を含む約8550 mgのエチレン酢酸ビニルをクエン酸フェンタニルおよびマンニトールの混和混合物に加える。充填した材料を継続的に撹拌し、温度制御コンテナ中で約80 ℃〜120 ℃の範囲の温度に加熱する。混合物がパン生地様の硬さになった後、次いで、混合物を3M(登録商標)から入手可能なScotchpak裏張りなどの裏張りフィルムに移すことができる。
【0100】
いったん裏張り材上に置いたら、パン生地様リザーバー材料を、裏張り層と保護的剥離層(同じく3M(登録商標)から入手可能な1521片面ポリエチレンフィルムなど)との間に押し付けて、所望の厚さを有するリザーバーを提供することができる。リザーバー材料が冷めたら、次いで、得られるフィルムを切断して、たとえば、約1 cm2などのリザーバー表面領域を有するパッチを提供することができる。上述の手順で製造したリザーバーは、たとえば、パッチ当たり、クエン酸フェンタニル約3.8 mgという生物活性剤濃度などを含むことができる。被験者に例示的リザーバーを適用する前に、保護的剥離層をまず除去して、リザーバーの底表面を露出する。
【0101】
実施例8
生物活性剤として5 %のクエン酸フェンタニルを含む浸透物デリバリーリザーバーの製造
以下に記載の例示的手順にしたがって、生物活性剤として5 %のクエン酸フェンタニルを含む例示的浸透物デリバリーリザーバーを製造することができる。
リザーバーを製造するために、最初に、使用前に、200メッシュ篩いを用いて、マンニトールを篩いにかける。次いで、バイアルに、約1500 mgのクエン酸フェンタニルおよび約19950 mgのマンニトールを充填し、混合物を少なくとも6時間混和することによって、リザーバーを製造することができる。約40 %の酢酸ビニル成分を含む約8550 mgのエチレン酢酸ビニルをクエン酸フェンタニルおよびマンニトールの混和混合物に加える。充填した材料を継続的に撹拌し、温度制御コンテナ中で約80 ℃〜120 ℃の範囲の温度に加熱する。混合物がパン生地様の硬さになった後、次いで、混合物を3M(登録商標)から入手可能なScotchpak裏張りなどの裏張りフィルムに移すことができる。
【0102】
いったん裏張り材上に置いたら、パン生地様リザーバー材料を、裏張り層と保護的剥離層(同じく3M(登録商標)から入手可能な1521片面ポリエチレンフィルムなど)との間に押し付けて、所望の厚さを有するリザーバーを提供することができる。リザーバー材料が冷めたら、次いで、得られるフィルムを切断して、たとえば、約1 cm2などのリザーバー表面領域を有するパッチを提供することができる。上述の手順で製造したリザーバーは、たとえば、パッチ当たり、クエン酸フェンタニル約1.8 mgという生物活性剤濃度などを含むことができる。被験者に例示的リザーバーを適用する前に、保護的剥離層をまず除去して、リザーバーの底表面を露出する。
【0103】
浸透物リザーバーの性能研究
本発明デリバリーリザーバーの有効性を評価するために、前述の実施例1〜8の手順にしたがって作成したものと同様の浸透物デリバリーリザーバーを用いて、数種の試験を行った。本発明の浸透物デリバリーリザーバーを評価する種々の試験の結果を図7〜28に表し、以下に簡単に検討する。
【0104】
図7は、種々の本発明の浸透物デリバリーリザーバーに対するインビトロ薬物放出動態における浸透物デリバリーリザーバーの厚さの効果を比較により表す。4つの浸透物デリバリーリザーバーを本発明にしたがって製造する。4つのリザーバーのマトリックスはそれぞれ、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)を含む。EVAリザーバー内に配置された浸透物製剤は、生物活性剤としてヒドロモルフォンHCl(HM)および充填剤成分としてマンニトールおよびプロピレングリコール(PG)を含み、約1.44 cm2の領域である。第1のリザーバーは、約1.00 mmの厚さであり、約67 mgのヒドロモルフォンを含む。第2のリザーバーは、約0.50 mmの厚さであり、約25 mgのヒドロモルフォンを含む。第3のリザーバーは、約0.44 mmの厚さであり、約22 mgのヒドロモルフォンを含む。第4のリザーバーは、約0.22 mmの厚さであり、約11 mgのヒドロモルフォンを含む。
【0105】
約24時間の投与期間について、4つのリザーバーそれぞれを用いるインビトロ試験を行った。慣例の分析手段を用いて、図7に示すプロットによって、24時間の投与期間にわたる4つの浸透物デリバリーリザーバーについての累積ヒドロモルフォンHCl放出およびヒドロモルフォンHCl放出の相対的パーセンテージを表す。
【0106】
図8は、4匹の異なるヘアレスラット被験者の腹部領域で、試験した本発明の例示的浸透物デリバリーリザーバーデバイスについての平均薬物動態プロフィール(PKプロフィール)を表す。浸透物リザーバーは、約1.4ミリメーターの厚さを有するフィルムであり、マトリックス材料として約40%の酢酸ビニル成分を有する50重量パーセントのエチレン酢酸ビニルコポリマーを含む。浸透物組成物は、生物活性剤として25重量パーセントのヒドロモルフォンHCl(浸透物リザーバーの合計重量パーセントに対して)および充填剤成分として25重量パーセントマンニトール(浸透物リザーバーの合計重量パーセントに対して)を含む。24時間投与期間の関数としてのヘアレスラットにおける平均血清ヒドロモルフォン濃度を図8に表す。
【0107】
図9は、約0.7 mmの厚さを有する同様の浸透物デリバリーリザーバーの薬物動態プロフィールに対する図8で表した薬物動態プロフィールデータの比較を示す。示されるように、約1.4 mmの厚さを有する浸透物リザーバーは、約80%の平均ヒドロモルフォンHCl利用を示すが、約0.7 mmの厚さを有する浸透物リザーバーは、約100%の平均ヒドロモルフォンHCl利用を示す
【0108】
図10は、ヒドロモルフォン含有水性リザーバーおよび本発明のヒドロモルフォン含有浸透物リザーバーについての平均薬物動態プロフィールを示す。水性リザーバーは、4% HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)ゲル中にヒドロモルフォンを含む。本発明の例示的浸透物リザーバーは、約40重量%のEVA(40%の酢酸ビニル成分を有する)、約30重量%のマンニトール、および約30重量%のヒドロモルフォンを含む。それぞれの浸透物リザーバーを、1 cm2のマイクロポーレーション処理した投与部位にリザーバーを適用することによって各8匹のヘアレスラット被験者で試験した。投与部位は、Altea Therapeutics製のPassPortTM熱ポーレーションシステムなどの80熱ポーレーションフィラメントのアレイを有する装置を用いる熱ポーレーションによって、ヘアレスラット被験者の皮膚上に準備した。熱ポーレーション装置は、10ミリ秒パルスで4回操作した。表されたように、水性リザーバーは、約5%以下の平均ヒドロモルフォン利用を提供したが、本発明の浸透物リザーバーの平均ヒドロモルフォン利用は、約95%であった。
【0109】
図11は、浸透物リザーバー厚さの関数としての2つの異なる本発明の浸透物デリバリーデバイスについての平均薬物動態プロフィールの比較を表す。上部の曲線は、約35 mgのヒドロモルフォンの組成物を有し、約28.5重量%のEVA、33.25重量%のマンニトール、5重量%のプロピレングリコールおよび33.25重量%のヒドロモルフォンを含むリザーバーから得られるデータを表す。下部の曲線は、約67 mgのヒドロモルフォンを有し、35 mgのヒドロモルフォンを含むリザーバーの2倍の厚さを有する同様のリザーバーから得られるデータを表す。表されたように、11匹のヘアレスラット被験者で試験した場合、約67 mgのヒドロモルフォンHClを含む、より厚いリザーバーは、約50%の平均利用を提供した。対照的に、7匹のヘアレスラット被験者で試験した場合、より少ない厚さを有し、約35 mgのヒドロモルフォンHClを含むリザーバーは、約95%の平均利用を提供した。
【0110】
図12は、16匹のヘアレスラット被験者の腹部領域で、試験した本発明の例示的浸透物デリバリーリザーバーデバイスについての平均薬物動態プロフィール(PKプロフィール)を表す。浸透物リザーバーは、約.22 ミリメーターの厚さを有し、約15.5 mgのヒドロモルフォンHClを含む、実施例1と同様の方法で作成されるフィルムリザーバーであった。それぞれの浸透物リザーバーを、1 cm2のマイクロポーレーション処理した投与部位にリザーバーを適用することによって16匹のヘアレスラット被験者で試験した。投与部位は、Altea Therapeutics製のPassPortTM熱ポーレーションシステムなどの42熱ポーレーションフィラメントのアレイを有する装置を用いる熱ポーレーションによって、ヘアレスラット被験者の皮膚上に準備した。42フィラメントアレイを2ミリ秒パルスで操作した。図12に表されるように、24時間投与期間の結論において、デリバリーリザーバーの平均残留ヒドロモルフォン含量は、約10.7 mgのヒドロモルフォンであった。さらに、目標とされた流動は、時間当たり約0.13 mg/cm2であったが、リザーバーは、時間当たり約0.18 mg/cm2の平均流動を提供した。
【0111】
図12において得られ、表された平均データを利用して、図13は、特定の浸透物デリバリーリザーバーの薬物利用を最適化する例示的能力を表す。この目的のために、図12に表されたデータは、ここで試験した浸透物リザーバーが、約31%の平均ヒドロモルフォン利用を提供することをを示す。このデータの線形外挿を用いて、約0.08 mmの厚さを有するリザーバーを提供することによって、約90%の平均利用を示すリザーバーを提供することができるということを計算することができる。
【0112】
図14は、本発明の浸透物リザーバーの平均薬物動態プロフィールにおける投与部位内の孔密度の効果を表す。示されるように、1つの態様では、孔密度を変化させることにより、異なる流動をもたらすことができる。さらに示されるように、1つの態様では、孔密度の増加を用いて、より高い流動を提供することができる。
【0113】
図15は、6-24時間投与期間中の平均ヒドロモルフォン血清濃度における孔密度の効果を表す。表されるように、平均血清濃度を、熱的にポーレーション処理された投与部位を提供するために使用したフィラメント密度の関数として表すことができる。したがって、1つの態様では、所定の浸透物リザーバーの所望のデリバリー性能を最適化および/またはカスタマイズするためのもう1つの方法は、所定の浸透物投与部位において微孔の特定の密度を選ぶことを含むことが見られる。
【0114】
本発明によって提供される浸透物リザーバーを用いる被験者へのヒドロモルフォンの投与を含む24時間の投与期間中の時間の関数としての8匹の正常被験者の間の平均血清ヒドロモルフォン濃度を表す。示されるように、1つの態様では、本発明の浸透物リザーバーは、この例では、約79.3%〜約92.7%の利用の範囲から得られる、約87.5%の平均利用を提供することができる。
【0115】
図17は、飽和点あるいは飽和点に近くのヒドロモルフォンを含む水性リザーバーを用いて10人の正常ヒト被験者にデリバリーされたヒドロモルフォンの平均薬物動態プロフィールと比較して、本明細書に記載のリザーバーを用いて9人の正常ヒト被験者にデリバリーされたヒドロモルフォンの平均薬物動態プロフィールを表す。
【0116】
図18は、実施例2にしたがって提供される浸透物デリバリーリザーバーの平均累積インスリン放出動態を表す。4体の被験者において24時間の投与期間中、浸透物リザーバーを試験した。デリバリーリザーバーは、約40 %の酢酸ビニル成分を含む約20重量%のエチレン酢酸ビニルコポリマーを含む。デリバリーリザーバーの合計重量に対して20重量%インスリン、デリバリーリザーバーの合計重量に対して52重量%マンニトールおよびデリバリーリザーバーの合計重量に対して8重量%のトレハロースがEVAマトリックス内に配置された。
【0117】
図19は、本明細書に記載のデリバリーリザーバーを介してインスリンを投与された15匹のヘアレスラット被験者からの平均血清インスリン濃度レベルを表す。その目的のために、図19に表されたデータは、24時間の投与期間にわたって有効量のインスリンを患者に経皮的にデリバリーするための、生物活性剤としてインスリンを含む本発明のデリバリーリザーバーの能力を示す。
【0118】
本明細書に記載の浸透物デリバリーリザーバーを介して経皮的にインスリンを投与された4匹のヘアレスラット被験者間の血清グルコース濃度における平均変化を表す。その目的のために、図20に表されたデータもまた、血清グルコース濃度における対応する変化を特徴とする、本明細書に記載のリザーバーを用いるインスリンの成功した経皮デリバリーを示す。
【0119】
図21は、比較によって、健康なヒト被験者に対する臨床的薬物動態プロフィール実験における定常状態の血清ヒドロモルフォンレベルにおいて、増強効果プロピレングリコールを得ることができることを表す。33.25%(w/w)のヒドロモルフォン塩酸塩、28.5%(w/w)のエチレン酢酸ビニル(40% VA)フィルム、33.25%(w/w)のマンニトールおよび5%(w/w)のプロピレングリコールからなる処方を有する、生物活性剤としてヒドロモルフォンHClおよび生体適合性充填剤としてプロピレングリコールを含む一連のフィルム浸透物デリバリーリザーバーを製造した。同様に、35.75%(w/w)のヒドロモルフォン塩酸塩、28.5%(w/w)のエチレン酢酸ビニル(40% VA)フィルムおよび35.75%(w/w)のマンニトールからなる処方を有する、生物活性剤としてヒドロモルフォンHClおよび生体適合性充填剤としてプロピレングリコールを含まない一連のフィルム浸透物デリバリーリザーバーも製造した
【0120】
プロピレングリコールを含まない浸透物デリバリーリザーバーを、24時間の投与期間について、13人の健康なヒト被験者の上腕領域に準備した1 cm2のマイクロポーレーション処理した投与部位で試験した。同様に、プロピレングリコールを含む浸透物デリバリーリザーバーを、また24時間の投与期間について、7人の健康なヒト被験者の上腕領域に準備した1 cm2のマイクロポーレーション処理した投与部位で試験した。投与部位は、Altea Therapeutics(Tucker、Georgia、USA)製のPassPortTM熱ポーレーションシステムなどの120熱ポーレーションフィラメントのアレイを有する装置を用いる熱ポーレーションによって、被験者の皮膚上に準備した。フィラメントアレイは、2ミリ秒パルスで操作した。図21に示すように、プロピレングリコールを含まない処方は、プロピレングリコールを含む処方で得られたものよりも約2.5倍低いヒドロモルフォンの平均定常状態血清レベルをもたらした。
【0121】
図22は、生体適合性充填剤としてグリセリンを含む、実施例4の手順と同様の手順にしたがって製造されたリザーバーマトリックスから放出されたヒドロモルフォンのパーセンテージと、生体適合性充填剤としてグリセリンを含まない、実施例6の手順と同様の手順にしたがって製造された同様のリザーバーマトリックスから放出されたヒドロモルフォンのパーセンテージとを比較するインビトロ溶解試験の結果を示す。
【0122】
図23は、定常状態ヒドロモルフォン血清レベルにおけるグリセリンレベルを増加することの効果を示すインビボヘアレスラット薬物動態試験の結果を図示する。この実験では、1%のグリセリン、0.5%のグリセリンおよび0.0%のグリセリンをそれぞれ含む、前記実施例4、5および6と同様の手順にしたがって製造されたヒドロモルフォンHCLデリバリーリザーバーを、24時間の投与期間にわたって、4匹のヘアレスラットにおいてそれぞれ試験した。
【0123】
図24は、24時間の投与期間にわたって、前記実施例4と同様の手順にしたがって製造された、1.0%のグリセリンを含むデリバリーリザーバーを介してヒドロモルフォンを投与された7人のヒト被験者からの平均血清ヒドロモルフォン濃度レベルを表す。このデータも、また24時間の投与期間にわたって、前記実施例6と同様の手順にしたがって製造された、グリセリンを含まないデリバリーリザーバーを介してヒドロモルフォンを投与された8人のヒト被験者からの平均血清ヒドロモルフォン濃度レベルと比較する。1 cm2のマイクロポーレーション処理した投与部位にリザーバーを適用することによって、ヒト被験者で浸透物リザーバーを試験した。投与部位は、Altea Therapeutics製のPassPortTM熱ポーレーションシステムなどの120熱ポーレーションフィラメントのアレイを有する装置を用いる熱ポーレーションによって、被験者の皮膚上に準備した。フィラメントアレイは、2ミリ秒パルスで操作した。得られるPKプロフィールは、前述のプロピレングリコールの効果と同様に、グリセリンは、薬物利用における増加によって証明されるように、達成される定常状態血清ヒドロモルフォンレベルならびにフィルムからのヒドロモルフォンの放出速度を有意に増加させることができる。
【0124】
図25は、生物活性剤としてクエン酸フェンタニルを含む本発明の例示的浸透物デリバリーリザーバーデバイスの3つのロットについての平均薬物動態プロフィールを表す。浸透物デリバリーリザーバーの各ロットは、前述の実施例7と同様の手順で製造され、約28.5%のEVA、10%のクエン酸フェンタニルおよび61.5%のマンニトールを含む。1 cm2のマイクロポーレーション処理した投与部位にリザーバーを適用することによって、ヘアレスラット被験者の腹部領域で、各ロットからの4つのデリバリーリザーバーを試験した。投与部位は、Altea Therapeutics製のPassPortTM熱ポーレーションシステムなどの120熱ポーレーションフィラメントのアレイを有する装置を用いる熱ポーレーションによって、被験者の皮膚上に準備した。フィラメントアレイは、2ミリ秒パルスで操作した。投与期間は、約24時間の継続期間にわたった。得られる平均PKプロフィールは、本発明のデリバリーリザーバーの、24時間の投与期間にわたるクエン酸フェンタニルの相対的に定常なデリバリーを再現可能に提供する能力を示す。
【0125】
図26は、比較による、異なる濃度のクエン酸フェンタニルを含む本発明の浸透物デリバリーリザーバーについての平均クエン酸フェンタニル血清レベルPKプロフィールを表す。特に、実施例7および8と同様の手順で製造され、10%のクエン酸フェンタニルおよび5%のクエン酸フェンタニルをそれぞれ含むデリバリーリザーバーについての平均クエン酸フェンタニル血清レベルPKプロフィールの比較を示す。本発明の1つの態様では、図26は、クエン酸フェンタニルが、皮膚における微孔を通ってデリバリーされうること、および定常状態レベルがデリバリーリザーバーのフェンタニル含量によってコントロールされうることを示す。
【0126】
図27は、生物活性剤として凍結乾燥インスリンを含む、4つのロットの本明細書に記載の例示的浸透物デリバリーリザーバーデバイスについての平均インスリン血清レベルPKプロフィールを表す。各ロットの浸透物デリバリーリザーバーは、約20重量%のEVA、約76%の賦形剤および約4重量%のインスリンを含む。磁気撹拌および溶媒キャスティング法を介してリザーバーを加工した。1 cm2のマイクロポーレーション処理した投与部位にリザーバーを適用することによって、ヘアレスラット被験者の腹部領域で、各ロットからの4つのデリバリーリザーバーを試験した。投与部位は、Altea Therapeutics製のPassPortTM熱ポーレーションシステムなどの80熱ポーレーションフィラメントのアレイを有する装置を用いる熱ポーレーションによって、被験者の皮膚上に準備した。フィラメントアレイは、7.5ミリ秒パルスで操作した。いったん適用すると、投与期間は、約24時間の継続期間にわたった。図27に示すように、各ロットのリザーバーについての得られる平均PKプロフィールは、本発明のデリバリーリザーバーの、24時間の投与期間にわたる、たとえば、53%〜93%の範囲の薬物利用率でのインスリンの相対的に定常なデリバリーを再現可能に提供する能力を示す。
【0127】
図28は、比較によって、ヘアレスラット被験者に対する薬物動態プロフィール実験におけるピーク血清インスリンレベルにおいて、増強効果グリセリンを得ることができることを表す。図27に関連して記載したように、3匹のヘアレスラット被験者の腹部領域で、一連の3つの浸透物デリバリーリザーバーを再度試験した。同様に、3匹のヘアレスラット被験者の腹部領域で、約20重量%のEVA、約70.17%の賦形剤、約8重量%のインスリン、約1.0重量%のグリセリンおよび約0.83重量%のクレゾールを含む、一連の3つの浸透物デリバリーリザーバーも試験した。さらに詳しくは、対象の浸透物デリバリーリザーバーを、Altea Therapeutics製のPassPortTM熱ポーレーションシステムなどの120熱ポーレーションフィラメントのアレイを有する装置を用いる熱ポーレーションによって、被験者の皮膚上に準備した、1 cm2のマイクロポーレーション処理した投与部位にそれぞれ適用した。フィラメントアレイは、7.5ミリ秒パルスで操作した。いったん適用すると、投与期間は、約24時間の継続期間にわたった。図28に示すように、グリセリンを含む処方は、グリセリンを含まない処方と比べて、有意に高い平均定常状態血清レベルのインスリンをもたらした。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の1つの態様による浸透物デリバリーリザーバーの側面図である。
【図2】デリバリーリザーバーが、穿孔によって提供される改善された表面領域を含む、本発明の1つの態様による浸透物デリバリーリザーバーの側面図である。
【図3】リザーバーが、積み重なった配置で位置する複数のデリバリーリザーバーを含む、本発明の1つの態様による浸透物デリバリーリザーバーの側面図である。
【図4】本発明の1つの態様による例示的経皮浸透物デリバリーパッチである。
【図5】本発明の1つの態様による電気浸透ポンプ組み立て部品の回路図である。
【図6】パッチアセンブリが、第1、第2および第3電極組み立て部品をさらに含む、本発明の1つの態様による例示的経皮浸透物デリバリーパッチである。
【図7】本発明の浸透物デリバリーリザーバーの例示的インビトロ放出動態を表すグラフである。
【図8】本発明の1つの態様による透過性デリバリーリザーバーの例示的薬物動態プロフィールを表すグラフである。
【図9】本発明の1つの態様による浸透物リザーバーによって提供される例示的薬物動態プロフィールにおけるリザーバー厚さの効果を表すグラフである。
【図10】本発明の1つの態様によるデリバリーリザーバーと比べての水性デリバリーリザーバーによって達成された例示的ドラッグ利用の比較を表すグラフである。
【図11】本発明の1つの態様による例示的デリバリーリザーバーの利用におけるドラッグリザーバー厚さの効果を表すグラフである。
【図12】本発明の1つの態様による例示的浸透物デリバリーリザーバーデバイスの平均薬物動態プロフィール(PKプロフィール)を表すグラフである。
【図13】本発明の1つの態様による特定の浸透物デリバリーリザーバーの薬物利用を最適化する例示的能力を描くデータを表すグラフである。
【図14】本発明の1つの態様による浸透物リザーバーの平均薬物動態プロフィールにおける浸透物投与部位内の孔密度の効果を表すグラフである。
【図15】本発明の1つの態様による浸透物デリバリーリザーバーを用いる6-24時間投与期間中の平均ヒドロモルフォン血清濃度における孔密度の効果を表すグラフである。
【図16】本発明の1つの態様による例示的浸透物デリバリーリザーバーの投与から得られる被験者からの平均血清ヒドロモルフォン濃度データ表すグラフである。
【図17】本発明の1つの態様によるデリバリーリザーバーと比べての水性デリバリーリザーバーから得られる例示的薬物動態プロフィールの比較を表すグラフである。
【図18】本発明の1つの態様による浸透物デリバリーリザーバーの平均累積インスリン放出動態を表すグラフである。
【図19】本発明の1つの態様によるデリバリーリザーバーを介してインスリンを投与された患者間の平均血清インスリン濃度レベルを表すグラフである。
【図20】本発明の1つの態様による浸透物デリバリーリザーバーを介して経皮的にインスリンを投与された患者間の血清グルコース濃度における平均変化を表すグラフである。
【図21】プロピレングリコールを含む本発明浸透物デリバリーリザーバーを介して経皮的にヒドロモルフォンを投与された被験者間と、プロピレングリコールを含まない浸透物デリバリーリザーバーを介して経皮的にヒドロモルフォンを投与された被験者間との血清ヒドロモルフォンPKプロフィールの比較を表すグラフである。
【図22】1.0重量パーセントのグリセリンも含むヒドロモルフォンフィルムと比べてのグリセリンを含まないヒドロモルフォンフィルムから放出されたヒドロモルフォンのパーセンテージを比較するインビトロ溶解試験のデータを表す。
【図23】定常状態ヒドロモルフォン血清レベルにおけるグリセリンパーセンテージを増加することの効果を示すインビボヘアレスラット薬物動態試験からのデータを表す。
【図24】1.0重量%のグリセリンを本発明のヒドロモルフォンポリマーフィルムにを加えることの効果を示すフェーズ1臨床試験からの血清ヒドロモルフォンPKプロフィールを表す。
【図25】32℃にて時間の関数として、本発明の1つの態様による浸透物デリバリーリザーバーについて放出されたクエン酸フェンタニルのパーセンテージを表す。
【図26】本発明による浸透物デリバリーリザーバーについてヘアレスラットの血清薬物濃度におけるポリマーおよびクエン酸フェンタニルローディングの変化の効果を表す。
【図27】本発明の別の態様による浸透物デリバリーリザーバーについて平均インスリン血清レベルPKプロフィールを表す。
【図28】本発明の別の態様による浸透物デリバリーリザーバーについてグリセリンがなし得る平均インスリン血清レベルPKプロフィールにおける促進効果を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を介する患者への浸透物の経皮流動を引き起こすためのデバイスであって、
i)底表面を有し、マトリックスの中の複数の導管を規定する非生分解性マトリックス(複数の導管の少なくとも一部が底表面と連絡している);および
ii)マトリックスの複数の導管の少なくとも一部に配置された非溶解親水性浸透物(ここで、マトリックスの底表面が、少なくとも1つの形成された経路との流体通路に位置する場合に、親水性浸透物は患者からの皮下液と接触することができる);
を含むデリバリーリザーバーを含むデバイス。
【請求項2】
浸透物が、少なくとも1つの生物活性剤を含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
浸透物が、生物活性剤である請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
浸透物が、複数の生物活性剤を含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
浸透物が、少なくとも1つの水溶性充填剤を含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
浸透物が、少なくとも1つの浸透圧剤を含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
充填剤が、少なくとも1つの吸湿剤を含む請求項5に記載のデバイス。
【請求項8】
浸透物が、マンニトールを含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項9】
浸透物が、少なくとも1つの抗治癒剤を含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項10】
浸透物が、少なくとも1つの抗凝固剤を含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項11】
浸透物が、少なくとも1つの抗炎症剤を含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項12】
浸透物が、少なくとも1つの再上皮形成阻害剤を含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項13】
浸透物が、少なくとも1つの亜酸化チッ素産生阻害剤を含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項14】
浸透物が、少なくとも1つのメラニン形成阻害剤を含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項15】
充填剤が、生物活性剤の既定の経皮用量を提供することができる、生物活性剤の既定の量に相対する量で存在する請求項5に記載のデバイス。
【請求項16】
浸透物が、経皮浸透物拡散の既定の速度を提供することができる、固体マトリックスの既定の量に相対する量および組成で存在する請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
非生分解性マトリックスが、水不溶性ポリマーを含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
水不溶性ポリマーが、エチレン酢酸ビニルコポリマーを含む請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
デリバリーリザーバーが、約20重量%〜約80重量%のマトリックスを含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
リザーバーが、約20重量%〜約50重量%のマトリックスを含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
浸透物が、塩を含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
生物活性剤が、ヒドロモルフォンを含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項23】
生物活性剤が、タンパク質を含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項24】
生物活性剤が、ペプチドを含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項25】
生物活性剤が、インスリンを含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項26】
デリバリーリザーバーが、積み重ね配列での複数のデリバリーリザーバーを含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項27】
少なくとも2つの複数のデリバリーリザーバーが、異なる浸透物を含む請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
複数のデリバリーリザーバーのそれぞれが、異なる浸透物を含む請求項26に記載のデバイス。
【請求項29】
複数のデリバリーリザーバーが、既定の投与期間にわたって、既定のデリバリー速度で少なくとも1つの浸透物を経皮的にデリバリーすることができる請求項26に記載のデバイス。
【請求項30】
既定のデリバリー速度が、既定の投与期間にわたって、実質的に一定に保たれる請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
投与期間が、約0.1時間〜400時間である請求項30に記載のデバイス。
【請求項32】
投与期間が、約6時間〜12時間である請求項30に記載のデバイス。
【請求項33】
投与期間が、約12時間〜30時間である請求項30に記載のデバイス。
【請求項34】
投与期間が、約30時間〜50時間である請求項30に記載のデバイス。
【請求項35】
投与期間が、約50時間〜80時間である請求項30に記載のデバイス。
【請求項36】
既定のデリバリー速度が、投与期間にわたって、可変である請求項29に記載のデバイス。
【請求項37】
デリバリーリザーバーが、実質的に平面で滑らかな底表面を有する請求項1に記載のデバイス。
【請求項38】
デリバリーリザーバーが、織り目加工された底表面を有する請求項1に記載のデバイス。
【請求項39】
デリバリーリザーバーが、底表面を有し、底表面の少なくとも一部が、平面でない請求項1に記載のデバイス。
【請求項40】
浸透物が、流体によって活性化されるまで、経皮的に活性でない請求項1に記載のデバイス。
【請求項41】
デバイスが、リザーバーマトリックスに配置された浸透物の少なくとも約10パーセントを経皮的にデリバリーすることができる請求項1に記載のデバイス。
【請求項42】
デバイスが、リザーバーマトリックスに配置された浸透物の少なくとも約20パーセントを経皮的にデリバリーすることができる請求項1に記載のデバイス。
【請求項43】
デバイスが、リザーバーマトリックスに配置された浸透物の少なくとも約40パーセントを経皮的にデリバリーすることができる請求項1に記載のデバイス。
【請求項44】
デバイスが、リザーバーマトリックスに配置された浸透物の少なくとも約60パーセントを経皮的にデリバリーすることができる請求項1に記載のデバイス。
【請求項45】
デバイスが、リザーバーマトリックスに配置された浸透物の少なくとも約80パーセントを経皮的にデリバリーすることができる請求項1に記載のデバイス。
【請求項46】
リザーバーマトリックスに配置された生物活性剤の少なくとも約10パーセントを経皮的にデリバリーすることができる請求項2に記載のデバイス。
【請求項47】
リザーバーマトリックスに配置された生物活性剤の少なくとも約20パーセントを経皮的にデリバリーすることができる請求項2に記載のデバイス。
【請求項48】
リザーバーマトリックスに配置された生物活性剤の少なくとも約40パーセントを経皮的にデリバリーすることができる請求項2に記載のデバイス。
【請求項49】
リザーバーマトリックスに配置された生物活性剤の少なくとも約60パーセントを経皮的にデリバリーすることができる請求項2に記載のデバイス。
【請求項50】
リザーバーマトリックスに配置された生物活性剤の少なくとも約80パーセントを経皮的にデリバリーすることができる請求項2に記載のデバイス。
【請求項51】
デバイスが、リザーバーマトリックスに配置された浸透物の少なくとも約90パーセントを経皮的にデリバリーすることができる請求項1に記載のデバイス。
【請求項52】
デリバリーリザーバーが、頂部表面および反対の底表面を有し、裏張り支持層の内部に向いた表面の少なくとも一部が、デリバリーリザーバーの頂部表面の少なくとも一部に接続する、内部に向いた表面を有する裏張り支持層をさらに含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項53】
複合リザーバーの底表面の少なくとも一部に接続した保護的剥離層をさらに含む請求項52に記載のデバイス。
【請求項54】
裏張り支持層の一部が、リザーバーを越えて周辺に広がり、周辺に広がる支持層の少なくとも一部が、その内部に向いた表面に置かれた接着層を有する請求項52に記載のデバイス。
【請求項55】
保護的剥離層が、周辺に広がる裏張り支持層の少なくとも一部に対して、除去可能に固定される請求項53に記載のデバイス。
【請求項56】
保護的剥離層が除去されるとき、複合リザーバーの底表面が、患者の皮膚における少なくとも1つの経路との流体通路に位置しうる請求項53に記載のデバイス。
【請求項57】
デリバリーリザーバーが、頂部表面および反対の底表面を含み、第1電極が、頂部表面との電気的通路に位置し、第2電極が、底表面との電気的通路に位置する請求項1に記載のデバイス。
【請求項58】
デリバリーリザーバーから遠隔に位置し、患者の皮膚との電気的通路内に位置するように適合された第3電極をさらに含む請求項57に記載のデバイス。
【請求項59】
第1および第2電極が、コントロール可能な電位または電流源との選択的電気的通路内にある請求項57に記載のデバイス。
【請求項60】
第1、第2および第3電極が、コントロール可能な電位または電流源との選択的電気的通路内にある請求項58に記載のデバイス。
【請求項61】
患者が、哺乳動物である請求項1に記載のデバイス。
【請求項62】
患者が、ヒトである請求項61に記載のデバイス。
【請求項63】
デリバリーリザーバーが、0.01mm〜10.0 mmの範囲の厚さを有する請求項1に記載のデバイス。
【請求項64】
厚さが、0.5 mm〜1.0 mmの範囲である請求項63に記載のデバイス。
【請求項65】
患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を介する患者への浸透物の経皮流動を引き起こすためのシステムであって、
a)皮膚層に少なくとも1つの形成された経路を意図的に形成するための手段;および
b)i)底表面を有し、マトリックスの中の複数の導管を規定する非生分解性マトリックス(複数の導管の少なくとも一部が底表面と連絡している);および
ii)マトリックスの複数の導管の少なくとも一部に配置された非溶解水溶性浸透物(ここで、マトリックスの底表面が、少なくとも1つの形成された経路との流体通路に位置する場合に、水溶性浸透物は患者からの皮下液と接触することができる);を含むデリバリーリザーバー;
を含むシステム。
【請求項66】
患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を介する患者への浸透物の経皮流動を引き起こすための方法であって、
a)患者の皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路を含む経皮浸透物投与部位を有する患者を提供すること;
b)i)底表面を有し、マトリックスの中の複数の導管を規定する非生分解性マトリックス(複数の導管の少なくとも一部が底表面と連絡している);および
ii)マトリックスの複数の導管の少なくとも一部に配置された非溶解水溶性浸透物;を含むデリバリーリザーバーを提供すること;
c)デリバリーリザーバーを、皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路との流体通路に置くこと;および
d)少なくとも1つの形成された経路から、患者からの皮下液を引き出し、続いて、少なくとも1つの形成された経路を通って、所望の流動で浸透物を経皮的にデリバリーするために、デリバリーリザーバーを、皮膚層を通る少なくとも1つの形成された経路との流体通路内に維持すること;
を含む方法。
【請求項67】
ステップd)が、
少なくとも1つの形成された経路を通って引き出された皮下液中の水溶性浸透物の少なくとも一部を溶解すること;および
少なくとも1つの形成された経路を通って、所望の流動で、溶解された浸透物の少なくとも一部を経皮的にデリバリーすること;をさらに含む請求項66に記載の方法。
【請求項68】
患者から得られた皮下液中の親水性浸透物の少なくとも一部を溶解することをさらに含む請求項66に記載の方法。
【請求項69】
経皮的デリバリーが、患者の皮膚における少なくとも1つの経路を通る拡散によって起こる請求項67に記載の方法。
【請求項70】
患者の皮膚における少なくとも1つの経路を通って浸透物の少なくとも約60パーセントを経皮的にデリバリーするのに十分な期間、デリバリーリザーバーが、患者の皮膚における少なくとも1つの経路との流体通路内に維持される請求項66に記載の方法。
【請求項71】
患者の皮膚における少なくとも1つの経路を通って水溶性浸透物の少なくとも約80パーセントを経皮的にデリバリーするのに十分な期間、デリバリーリザーバーが、患者の皮膚における少なくとも1つの経路との流体通路内に維持される請求項66に記載の方法。
【請求項72】
デリバリーリザーバーが、約0.1〜5時間の投与期間中、少なくとも1つの形成された経路との流体通路内に維持される請求項66に記載の方法。
【請求項73】
デリバリーリザーバーが、約5〜12時間の投与期間中、少なくとも1つの形成された経路との流体通路内に維持される請求項66に記載の方法。
【請求項74】
デリバリーリザーバーが、約12〜24時間の投与期間中、少なくとも1つの形成された経路との流体通路内に維持される請求項66に記載の方法。
【請求項75】
デリバリーリザーバーが、約24〜48時間の投与期間中、少なくとも1つの形成された経路との流体通路内に維持される請求項66に記載の方法。
【請求項76】
デリバリーリザーバーが、約12〜72時間の投与期間中、少なくとも1つの形成された経路との流体通路内に維持される請求項66に記載の方法。
【請求項77】
経皮デリバリーの速度を増強するために、浸透物に起電力を適用することをさらに含む請求項66に記載の方法。
【請求項78】
患者が、哺乳動物である請求項66に記載の方法。
【請求項79】
患者が、ヒトである請求項78に記載の方法。
【請求項80】
浸透物が、少なくとも1つの生物活性剤を含む請求項66に記載の方法。
【請求項81】
浸透物が、複数の生物活性剤を含む請求項80に記載の方法。
【請求項82】
浸透物が、少なくとも1つの親水性充填剤を含む請求項66に記載の方法。
【請求項83】
充填剤が、少なくとも1つの浸透圧剤を含む請求項82に記載の方法。
【請求項84】
充填剤が、少なくとも1つの吸湿剤を含む請求項82に記載の方法。
【請求項85】
吸湿剤が、マンニトールを含む請求項84に記載の方法。
【請求項86】
充填剤が、少なくとも1つの抗治癒剤を含む請求項82に記載の方法。
【請求項87】
充填剤が、生物活性剤の既定の経皮用量を提供することができる、生物活性剤の既定の量に相対する量で存在する請求項82に記載の方法。
【請求項88】
浸透物が、経皮浸透物拡散の既定の速度を提供することができる、固体マトリックスの既定の量に相対する量で存在する請求項66に記載の方法。
【請求項89】
固体マトリックスが、非生分解性ポリマーを含む請求項66に記載の方法。
【請求項90】
非生分解性ポリマーが、エチレン酢酸ビニルコポリマーを含む請求項89に記載の方法。
【請求項91】
デリバリーリザーバーが、約10重量%〜約60重量%のマトリックスを含む請求項66に記載の方法。
【請求項92】
デリバリーリザーバーが、約20重量%〜約40重量%のマトリックスを含む請求項66に記載の方法。
【請求項93】
浸透物が、塩を含む請求項66に記載の方法。
【請求項94】
生物活性剤が、ヒドロモルフォンを含む請求項80に記載の方法。
【請求項95】
デリバリーリザーバーが、積み重ね配列での複数の複合リザーバーを含む請求項66に記載の方法。
【請求項96】
少なくとも2つの複数のデリバリーリザーバーが、異なる浸透物を含む請求項95に記載の方法。
【請求項97】
複数のデリバリーリザーバーのそれぞれが、異なる浸透物を含む請求項95に記載の方法。
【請求項98】
複数のデリバリーリザーバーが、既定の期間にわたって、既定のデリバリー速度で少なくとも1つの浸透物を経皮的にデリバリーすることができる請求項95に記載の方法。
【請求項99】
既定のデリバリー速度が、長期間にわたって、実質的に一定を維持する請求項98に記載の方法。
【請求項100】
既定のデリバリー速度が、長期間にわたって、可変である請求項98に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2008−543872(P2008−543872A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517185(P2008−517185)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/023640
【国際公開番号】WO2006/138658
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(506135394)アルテア セラピューティクス コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】