説明

液体ポンプ

【課題】液体ポンプにおいて、ロータユニットの振れ回りを低減して耐久性の向上が図れるように構成する。
【解決手段】ステータユニット3と、インペラ部6の基端部に磁極部7が一体的に形成されたロータユニット5と、有底円筒状部を有した隔壁を備え、ステータユニット3を収容するステータ収容部SHとロータユニット5を収容するロータ収容部RHとが形成されるハウジング2と、ロータ収容部RHを覆蓋してポンプ室を形成するカバー体8とを用いてなる液体ポンプ1において、前記ロータユニット5のインペラ部6の軸芯部のボス筒部6cを、隔壁の底片部2cに基端部が支持されたロータ軸4に回転自在に外嵌支持せしめるにあたり、ボス筒部6cを磁極部7の円筒内に突出するよう形成し、ロータユニット5の重心Mがボス筒部6cの基端よりも先端側に位置する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される冷却装置に冷却液を循環させる場合等に用いられる液体ポンプの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気自動車やハイブリッド式の車両においては、駆動用モータやモータ制御用のコントロールユニットを冷却するための冷却手段の構成部材として、電動式の液体ポンプが多用されている。このような液体ポンプのなかには、複数枚のコア材を積層してなるステータコアにコイルが巻装されたステータユニットと、羽根体を備えたインペラ部の基端部に、周回り方向複数対の磁極で構成される円筒状の磁極部が一体的に形成されたロータユニットと、有底円筒状部を有した隔壁を備え、ステータユニットを収容するステータ収容部とロータユニットを収容するロータ収容部とが有底円筒状部の内外に仕切り形成されるハウジングと、ロータ収容部を覆蓋してポンプ室を形成するカバー体とを用いて構成したものがある。そして、このものにおいて、前記ロータユニットは、軸芯部に形成されたボス筒部を、基端部が隔壁を構成する底片部に支持されたロータ軸に回転自在に外嵌支持せしめることにより、ロータ収容部において回転する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−304165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、前記従来のものにおいて、ロータユニットはインペラ部の基端側に円筒状の磁極部が長く一体形成され、該基端側の磁極部が隔壁の有底筒状部の外側に外嵌し、先端側のインペラ部の軸芯部に形成されたボス筒部が、前記有底筒状部の底片部から先端側に向けて突出するロータ軸に外嵌することにより回転自在に支持される構成となっている。このため、ロータユニットは、軸芯方向における全長に対して先端側部位がロータ軸に支持されるというアンバランスで不安定な状態で支持される構成となっている。このように構成されたものにおいて、ロータユニットが回転作動する場合に、ロータユニット、ロータ軸に寸法誤差があったり、ロータユニットに作用する僅かな外力が作用すると、ボス筒部がロータ軸に対して傾いてロータユニットが大きく振れ回りすることがある。このようになると、異音が発生したり、ポンプ性能が低下するばかりでなく、ボス筒部がロータ軸に擦れて摩耗して耐久性が損なわれるという問題がある。そのうえ、このものでは、ロータ軸が基端部のみ支持される片持ち状となっているため、ロータ軸が傾いてロータユニットの振れ回りを一層顕著にすることが考えられ、この場合では、異音の増大、ポンプ性能、耐久性のさらなる低下が想定されるという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、複数枚のコア材を積層してなるステータコアにコイルが巻装されたステータユニットと、羽根体を備えたインペラ部の基端部に、周回り方向複数対の磁極で構成される円筒状の磁極部が一体的に形成されたロータユニットと、有底円筒状部を有した隔壁を備え、ステータユニットを収容するステータ収容部とロータユニットを収容するロータ収容部とが有底円筒状部の内外に仕切り形成されるハウジングと、ロータ収容部を覆蓋してポンプ室を形成するカバー体とを用いてなる液体ポンプにおいて、前記ロータユニットのインペラ部の軸芯部に設けたボス筒部を、隔壁を構成する底片部に基端部が支持されたロータ軸に回転自在に外嵌支持せしめるにあたり、ボス筒部を磁極部の円筒内に突出するよう形成し、ロータユニットの重心がボス筒部の基端よりも先端側に位置するように構成したことを特徴とする液体ポンプである。
請求項2の発明において、隔壁の底片部は、軸芯部に基端側に向けて凹状の凹陥状部が形成されるものとし、ボス筒部の基端部は、ステータユニットの先端部に径方向に対向するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプである。
請求項3の発明において、ボス筒部の先端から突出するロータ軸の先端部は、カバー体に一体形成されたロータ軸支持部に支持されるように構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の液体ポンプである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、ロータユニットが回転する場合に、僅かな負荷でロータユニットのバランスが崩れて振れ回りするようなことがなく、液体ポンプの耐久性が向上する。
請求項2の発明とすることにより、耐久性に優れた液体ポンプでありながら、大型化することなく所定のモータ性能を有した液体ポンプを提供できる。
請求項3の発明とすることにより、ロータ軸が両持ち状に支持されてロータユニットの振れ回りが一層防止され、耐久性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1(A)、(B)はそれぞれ液体ポンプの正面図、平面図である。
【図2】液体ポンプの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
1はラジエータ等の冷却装置に冷却水(液体)を循環させるために用いられる液体ポンプであって、該液体ポンプ1の基端側半部(図1(A)、図2において下半部)はハウジング2に収容されている。前記ハウジング2は、図2に示すように、小径筒部2a(本発明の筒状部に相当する)と、該小径筒部2aと同芯状に形成され、小径筒部2aの外径側を覆う大径筒部2bとを備えて構成されている。そして、小径筒部2aは、該小径筒部2aの先端部(上端部)に一体形成される底片部2cとともに、下方が開口する有底筒状の空間を形成しており、該空間がステータ収容部SHに構成されている。一方、大径筒部2bは、小径筒部2aと、該小径筒部2aと大径筒部2bとの下端縁同士を連結するように一体形成されるリング状の連結片部2dとともに、連結片部2dを底片とし上方が開口する有底リング筒状の空間を形成しており、該空間がロータ収容部RHに構成されている。そして、ハウジング2は連結片部2dから小径筒部2a、底片部2cに至る部位が本発明の隔壁Dに相当しており、該有底筒状部(小径筒部2a、底片部2c)を有した隔壁Dは、内径側に形成されるステータ収容部SHと外径側に形成されるロータ収容部RHとを径方向に対向する状態で仕切る(区切る)ように構成されている。
【0009】
さらに、ハウジング2は、大径筒部2bの下端部外周面から外径方向に延出するベース片部2eが一体形成されており、該ベース片部2eの外周回り三箇所に固定片2fが形成されており、これら固定片2fを介して液体ポンプ1が冷却装置近傍に固定されるが、固定片2fには防振部材2gが介装されるように構成されている。また、ハウジング2のベース片部2eには、下方に向けて突出形成される支持片部2hが形成されており、ベース片部2eは、支持片部2hとともに下方が開口する空間である制御装置収容部CHを構成している。また、大径筒部2bの上端部には、外径側に延出するフランジ片部2iが一体形成されている。
一方、ハウジング2の底片部2cには、内径側に下方(小径筒部2aの筒内側であって、ステータ収容部SH側)に向けて陥没し、ステータ収容部SHと径方向に対向する凹陥状部2jが形成されているとともに、凹陥状部2jの溝底から下方に向けて突出する支柱部2kが一体形成されている。前記支柱部2kは基端縁が連結片部2dより先端側に位置し、かつ、小径筒部2a、大径筒部2bと同芯状に形成されており、底片部2cと小径筒部2aとで構成されるステータ収容部SHの軸芯部となるように構成されている。
【0010】
そして、ハウジング2の隔壁Dの基端側(下方部位)となる内径側のステータ収容部SH(小径筒部2a内)に、ブラシレスモータの構成部材であるステータユニット3が内装されるが、前記ステータユニット3は、鉄製の板材によりリング状円板形状に形成された複数枚のコア材3aを上下方向に積層して構成されるステータコア3bを備えて構成されている。前記ステータコア3bは、外周に周回り方向に隣接する複数のティースを形成することにより、上下方向に長いスロット(図示せず)が周回り方向に複数形成されている。そして、ステータコア3b外周の複数のティースにインシュレータ3cを装着して巻線を巻装することにより、外周に周回り方向に複数のコイル3dが形成されたステータユニット3が形成されるように構成されている。前記ステータユニット3は、ステータコア3bの軸芯部に形成される貫通孔3eをハウジング2の支柱部2kに外嵌することによりステータ収容部SHに固定されており、該固定状態において、ステータユニット3の先端は、凹陥状部2jの溝内に径方向に対向して配設される一方、小径筒部2a内周面とステータユニット3外周面とが近接して配設されるように構成されている。
【0011】
一方、ハウジング2の底片部2cの軸芯部位となる支柱部2kには、ロータ軸4の基端部4a(下端部)が埋設される状態で固定されている。これによって、ロータ軸4は、底片部2cの凹陥状部2j溝底から上方に向けて突出してロータ収容部RH内に露出しているが、露出部位の基端側(下方側)は凹陥状部2jの溝内に位置し、先端側(上方側)は隔壁Dを構成する底片部2cよりも先端側に突出するように配設されている。
尚、本実施の形態では、ハウジング2は樹脂材を型成形により形成されるものとなっており、予め、ハウジング2にステータユニット3およびロータ軸4がインサートモールドされるように構成されている。
【0012】
5はブラシレスモータの構成部材であるロータユニットであって、該ロータユニット5は、前記ロータ軸4の底片部2cから上方に突出する部位に回転自在に外嵌支持され、これによって、ロータユニット5はハウジング2のロータ収容部RH内において回転するように構成されている。
前記ロータユニット5は、先端側(上端側)のインペラ部6と、基端側(下端側)の磁極部7とを備えて構成されている。前記インペラ部6は樹脂材により形成されており、上方に膨出する円板形状のベース片6aと該ベース片6aの上面から上方に突出する周回り方向複数の羽根体6bとを備えて形成されている。さらに、ベース片6aの軸芯部にはボス筒部6cが形成されている。
一方、磁極部7は磁性粉を含有する樹脂材(例えばフェライトボンド等)により円筒状に形成されており、上端部をインペラ部6のベース片6a外周部に一体化することによりロータユニット5が形成されている。尚、磁極部7は、インペラ部6と一体化してロータユニット5を成形後、着磁することにより周回り方向に複数対の磁極が形成されるように構成されている。
【0013】
ここで、前記ロータユニット5の磁極部7は、ステータユニット3に径方向に対向するべくインペラ部6の外径側部位から基端側に向けて長く突出して形成されている。このため、ロータユニット5の軸芯方向における重心Mの位置は、インペラ部6よりも基端側となる磁極部7側に位置するように設定されている。そして、本発明が実施されたロータユニット5は、インペラ部6の軸芯部に形成されるボス筒部6cが磁極部7の筒内に長く延出して形成されていて、ボス筒部6cの基端縁がロータユニット5の重心Mの位置を越えて基端側に位置するように、換言すると、ロータユニット5の重心Mの位置がボス筒部6cの基端よりも先端側に位置するように設定されてる。
【0014】
そして、ロータユニット5は、下端部がハウジング2に支持され、隔壁Dの上方に突出するロータ軸4に対し、インペラ部6のボス筒部6cを外嵌せしめることによりロータ軸4に回転自在に外嵌支持され、この状態において、ロータユニット5の重心Mがロータ軸4の外嵌部に位置して、ロータユニット5が安定した状態でロータ軸4に支持されるように構成されている。このとき、前記ボス筒部6cは、隔壁Dを構成する凹陥状部2jに内嵌可能な外径を有して形成されており、これによって、ロータユニット5は、ボス筒部6c(ロータユニット5)の基端部が凹陥状部2jの溝内に嵌入して凹陥状部2jの溝底に近接対向状となるように配設したとき、ボス筒部6cの基端側部位がステータユニット3の先端側部位に径方向に対向する位置関係となるように構成されている。これによって、ボス筒部6cの軸芯方向の長さをロータユニット5の重心Mの位置を越えて基端側に長くしたものでありながら、ステータユニット3の上下方向長さを短縮することがなく、所定のモータ性能の液体ポンプ1を大型化することなく形成できるように配慮されている。
一方、ロータ軸4は、ボス筒部6cを貫通し、該貫通端部となる先端部4bがボス筒部6c先端から突出するように構成されている。
【0015】
8は液体ポンプ1の先端側半部(上側半部)を収容するカバー体であって、該カバー体8は、隔壁Dの先端側(上方部位)となるロータ収容部RHを覆うように構成されている。前記カバー体8は樹脂材により形成されており、ハウジング2の大径筒部2bと略同径となる筒部8aと、上方に向けて突出するよう傾斜する傾斜状底片8bとを備えて下方が開口する有底筒形状に形成されている。前記筒部8aには、下端縁である開口端縁から外径側に延出し、ハウジング2のフランジ部2iに固定される取付け片部8cが一体形成されているとともに、外周面から水平方向に突出し、筒部8a内に連通する細筒状の吐出口8dが形成されている。一方、傾斜状底片8bの軸芯部には上方に突出し、筒部8a内に連通する細筒状の吸入口8eが一体形成されている。さらに、吸入口8e下端部の筒内には、周回り方向三箇所から下方に向けて突出するリブ8fが複数(本実施の形態では三個)一体形成されており、これらリブ8fに支持される状態でロータ軸支持部8gが一体形成され、該ロータ軸支持部8gには、下方が開口し、小径筒部2aおよび大径筒部2bと同芯状となる凹溝部8hが形成されている。
【0016】
そして、カバー体8は、ステータ3、ロータ軸4、ロータユニット5が組込まれたハウジング2に対し、ロータ軸支持部8bの凹溝部8hに前記ロータ軸4のボス筒部6cから突出する先端部4bを内嵌する一方、筒部8a下端部に形成された取付け片部8cを、大径筒部2b(ハウジング2)の上端部に形成されたフランジ片部2iに突当てて一体化(螺着)することによりハウジング2に封止状に固定されるように構成されている。そして、この固定状態において、カバー体8はロータ収容部RHを覆蓋してロータ収容部RHをポンプ室PRに構成するとともに、ロータ軸4の先端部4bを支持するように構成されており、これによって、ロータ軸4は、基端部4aが隔壁Dに、先端部4bがカバー体8により支持されて両持ち状の支持を受けるように構成されている。
尚、9はカバー体8のロータ軸支持部8gとインペラ部6のボス筒部6cとのあいだに介装されたワッシャ、10は隔壁Dを構成する凹陥状部2jの溝底とインペラ部6のボス筒部6cとのあいだに介装されたワッシャであって、ロータユニット5は、インペラ部6のボス筒部6c上端面がワッシャ9に当接した状態において、羽根体6bとカバー体8の傾斜状底片8bとのあいだに所定の間隙が形成されるように設定されている。
【0017】
このように構成された液体ポンプ1は、ハウジング2の制御装置収容部CHに設けられた制御基板11の制御回路を介してステータユニット3に外部電源が供給されるように構成されており、ステータユニット3への電源供給に伴いコイル3dが励磁すると、ステータユニット3に径方向に近接対向する磁極部7がインペラ部6とともに回転するように構成されており、これによって、液体をカバー体8に形成される吸入口8eから吸入し、吐出口8dから吐出するポンプ作動を行なうように構成されている。
そして、このとき、ロータユニット5の重心Mは、ボス筒部6cの基端よりも先端側に位置しており、このため、重心Mがロータユニット5のロータ軸4への外嵌部に位置するように構成されている。これによって、ロータユニット5がバランスよく安定した状態でロータ軸4に支持されて、ロータ軸4を軸芯として回転作動する場合に、安定した状態で回転作動を行なうことができるばかりでなく、ロータユニット5に外力が作用するようなことがあっても、ロータユニット5のバランスが崩れることがなく安定した回転を維持することができ、ロータユニット5が振れ回りしてロータ軸4を摩耗するようなことが低減されて、耐久性の向上を図れるように構成されている。
【0018】
叙述の如く構成された本形態において、液体ポンプ1は、複数枚のコア材3aを積層してなるステータコア3bにコイル3dが巻装されたステータユニット3と、羽根体6bを備えたインペラ部6の基端部に、周回り方向複数対の磁極で構成される円筒状の磁極部7が一体的に形成されたロータユニット5と、小径筒部2aと底片部2cとによる有底円筒状部を有した隔壁Dを備え、ステータユニット3を収容するステータ収容部SHとロータユニット5を収容するロータ収容部RHとが有底円筒状部の内外に仕切り形成されるハウジング2と、ロータ収容部RHを覆蓋してポンプ室PRを形成するカバー体8とを用いて構成されるが、前記ロータユニット5のインペラ部6の軸芯部に設けたボス筒部6cを、隔壁Dを構成する底片部2cに基端部が支持されたロータ軸4に回転自在に外嵌支持せしめるにあたり、ボス筒部6cを磁極部7の円筒内に突出するよう長く延出形成し、ロータユニット5の重心Mの位置がボス筒部6cの基端よりも先端側に位置するように構成されている。この結果、ロータユニット5をロータ軸4に外嵌したとき、ロータユニット5の重心Mがロータ軸4への外嵌部に位置して、ロータユニット5がバランスのよい安定した状態でロータ軸4に外嵌支持されている。これによって、ロータユニット5がロータ軸4を軸芯として回転する場合に、磁極部7に負荷が作用してもバランスを崩すことなく安定した回転状態を維持することができて、ロータユニット5が振れ回りしてロータ軸4を摩耗してしまうような不具合がなく、耐久性が向上し、信頼性の高い液体ポンプ1を提供することができる。
【0019】
このように、本発明が実施されたものにあっては、ロータユニット5の重心Mの位置がロータ軸4舳の外嵌部に位置するようにして、ロータユニット5が安定した状態でロータ軸に外嵌支持されるようにしたものであるが、このものでは、隔壁Dの底片部2cのロータ軸4を支持する部位を、基端側に向けて凹状の凹陥状部2jとし、重心Mの位置よりも基端側に至るよう軸芯方向に長く形成されたボス筒部6cをロータ軸4に外嵌したとき、ボス筒部6cの基端部がステータユニット3の先端部に径方向に対向するように構成されている。この結果、軸芯方向に長いボス筒部6cを、隔壁Dの先端側に突出するロータ軸4に外嵌させる構成として耐久性が向上するようにしたものでありながら、隔壁Dの基端側に配設されるステータユニット3の上下方向長さを短縮させる必要がなく、所定のモータ性能を有した液体ポンプ1を大型化することなく、耐久性の優れたものとすることができる。
【0020】
さらに、このものでは、ボス筒部6cの先端から突出するロータ軸4の先端部4bを、カバー体8に一体形成されたロータ軸支持部8gに支持させる構成としたので、ロータ軸4が両持ち状に支持されることになってガタつきが防止され、ロータユニット5の振れ回りを一層防止することができて、耐久性のさらなる向上を図れる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、有底筒状部を備えた隔壁によりステータユニットを収容するステータ収容部とロータユニットを収容するロータ収容部とが有底筒状部の内外に仕切り形成されたハウジングを備えた液体ポンプに利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 液体ポンプ
2 ハウジング
2a 小径筒部
2b 大径筒部
3 ステータ
3b ステータコア
4 ロータ軸
5 ロータユニット
6 インペラ部
6a ベース片
6b 羽根体
6c ボス筒部
7 磁極部
8 カバー体
8d 吐出口8
8e 吸入口
8g ロータ軸支持部
M 重心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のコア材を積層してなるステータコアにコイルが巻装されたステータユニットと、羽根体を備えたインペラ部の基端部に、周回り方向複数対の磁極で構成される円筒状の磁極部が一体的に形成されたロータユニットと、有底円筒状部を有した隔壁を備え、ステータユニットを収容するステータ収容部とロータユニットを収容するロータ収容部とが有底円筒状部の内外に仕切り形成されるハウジングと、ロータ収容部を覆蓋してポンプ室を形成するカバー体とを用いてなる液体ポンプにおいて、前記ロータユニットのインペラ部の軸芯部に設けたボス筒部を、隔壁を構成する底片部に基端部が支持されたロータ軸に回転自在に外嵌支持せしめるにあたり、ボス筒部を磁極部の円筒内に突出するよう形成し、ロータユニットの重心がボス筒部の基端よりも先端側に位置するように構成したことを特徴とする液体ポンプ。
【請求項2】
隔壁の底片部は、軸芯部に基端側に向けて凹状の凹陥状部が形成されるものとし、ボス筒部の基端部は、ステータユニットの先端部に径方向に対向するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項3】
ボス筒部の先端から突出するロータ軸の先端部は、カバー体に一体形成されたロータ軸支持部に支持されるように構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の液体ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−149616(P2012−149616A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10383(P2011−10383)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】