説明

液体供給装置とその使用方法

【課題】本発明は改良式の液体供給装置とその使用方法を提供する。
【解決手段】この液体供給装置は、第1液体供給部材、第1液体供給部材内に収納されている第2液体供給部材、第1液体供給部材に接続する第1駆動部材および第2液体供給部材に接続する第2駆動部材からなる。第1液体供給部材は第1液体を貯蔵し、第2液体供給部材は第2液体を貯蔵して、第1駆動部材と第2駆動部材が第1液体と第2液体を液体供給装置から選択して噴出させるよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体分野に応用される液体貯蔵装置とその使用方法に関し、特に改良式の液体供給装置とその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体分野において、フォトレジスト塗布はかなり重要な役割を演じている。例えば、エッチング工程では、フォトレジストを、薄膜をエッチングする際の保護マスクとして使用することで、必要とされる模様がエッチング反応によって除去されてしまわないようにすることができる。また、フォトレジストは、イオン注入工程での保護マスクの機能も具えており、注入の際にはドーパント(Dopant)を予め決めたエリアにドープ処理するだけでよい。
【0003】
現在、フォトレジスト塗布工程で使用されるフォトレジストは液体であり、フォトレジスト塗布装置のポンプが、塗布槽内に貯蔵されている液体物(フォトレジスト)である液体を汲み出す。そして制御バルブによってパイプラインの液体物の流出量を制御し、液体物(フォトレジスト)をノズルから基板の表面の中心部に噴出させる。
【0004】
図1Aから図1Dには、フォトレジスト塗布工程の工程概略図を示している。まず、基板1aを塗布槽2a内に搬送し、フォトレジストの使用量を減らすために、フォトレジスト塗布作業を行う前に、希釈液を提供する低フォトレジスト消費用ノズル(RRCノズル)(Reduced Resist Consumption Nozzle, RRC Nozzle)3aによって希釈液を基板1a表面に散布し、前記基板1aを回転させて前記希釈液を基板1a全体に満遍なく塗布する。続いて、希釈液が基板1a全体に満遍なく塗布されたら、フォトレジストを提供するフォトレジストノズル4aによってフォトレジストを前記基板1a表面に散布し、最後に前記基板1aを回転させて前記フォトレジストを基板1aの表面全体に塗布する。
【0005】
然しながら、現在のところ、半導体分野でのフォトレジスト塗布工程には下記の欠点がある。
【0006】
1.希釈液を提供する低フォトレジスト消費用ノズル(RRCノズル)3aとフォトレジストを提供するフォトレジストノズル4aはそれぞれ別個に設置されているので、フォトレジストの散布作業を行う際、前記低フォトレジスト消費用ノズル(RRCノズル)3aを元の位置に戻した後でないと、前記フォトレジストノズル4aを元の位置から基板1aの位置まで移動させてフォトレジストを散布することができない。こうした順序での動作がフォトレジスト塗布工程の時間を延ばしている。
【0007】
2.フォトレジストは時間とともに段々と凝固するので、待機時間が長過ぎると、フォトレジストノズル4a内にあるフォトレジストが凝固してフォトレジストノズル4aを塞いでしまい、フォトレジストノズル4aがスムーズにフォトレジストを基板1a表面に散布できなくなって生産歩留りが低下する。
【0008】
そこで、本発明人は上記の欠点が改善可能と考え、長年この方面の関連経験を積み、つぶさに観察、研究すると共に、併せて学理を運用して、合理的設計で上記の欠点を効果的に改善した本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、塗布工程で使用する際、同時に2種類の溶液を貯蔵することができ、しかもそのうちの1種類の溶液を選択して噴出することができる改良式の液体供給装置を提供することにある。
【0010】
本発明のもう一つの目的は、改良式の液体供給装置でもって2種類の溶液を噴出制御する液体の塗布方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的に基づいて、本発明は改良式の液体供給装置を提供する。前記液体供給装置は、第1液体を貯蔵する第1スペースを有する第1液体供給部材であって、前記第1液体供給部材の一端に前記第1スペースに通じる開口を開設するものと、第2液体を貯蔵する第2スペースを有する第2液体供給部材であって、前記第2液体供給部材は前記第1スペース内に設置され、且つ前記第2スペースが前記開口に接続するものと、前記第1スペースに接続する前記第1液体を推進させるための第1駆動部材であって、前記第1駆動部材が前記第1液体を推進させて前記開口から噴出させるものと、前記第2スペースに接続する前記第2液体を推進させるための第2駆動部材であって、前記第2駆動部材が前記第2液体を推進させて前記開口から噴出させるものとからなる。
【0012】
上記の目的に基づいて、本発明は改良式の液体供給装置の使用方法を提供する。前記方法の工程は、ウェハを提供する工程と、前記液体供給装置を前記ウェハの真ん中に移動させて前記第1液体を前記ウェハの表面に噴出させる工程と、前記ウェハを回転させて前記第1液体をウェハの表面に塗布する工程と、前記液体供給装置からさらに前記第2液体を前記ウェハの真ん中に噴出させる工程と、最後に前記ウェハを回転させて前記第2液体をウェハの表面に塗布する工程とからなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の改良式の液体供給装置およびこの液体供給装置の使用方法には以下の有益な効果がある。
【0014】
1.本発明の液体供給装置を使用すると、前記液体供給装置は同時に前記第1液体と前記第2液体を貯蔵することができ、しかも塗布工程の際、前記液体供給装置は前記第1液体又は前記第2液体を選択的に噴出制御することができる。
【0015】
2.塗布工程において本発明の液体供給装置を使用すると、ウェハの塗布時間を効率的に短縮してウェハの生産量を増加させることができる。
【0016】
本発明が所定の目的を達するために採用した技術、方法及び効果を一層理解できるよう、本発明に関する以下の詳細説明と添付図面を参照されたい。これにより、本発明の目的、特徴が深く具体的に理解される。然しながら、添付図面は参考と説明用に供したに過ぎず、本発明に制限を課すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】公知のフォトレジスト塗布工程の工程概略図である。
【図1B】公知のフォトレジスト塗布工程の工程概略図である。
【図1C】公知のフォトレジスト塗布工程の工程概略図である。
【図1D】公知のフォトレジスト塗布工程の工程概略図である。
【図2】本発明の液体供給装置の構造概略図である。
【図3】本発明の第1液体供給部材と第2液体供給部材の斜視構造概略図である。
【図4】本発明の第1液体供給部材と第2液体供給部材の第2実施例の概略図である。
【図5】本発明の第1液体供給部材と第2液体供給部材の第3実施例の概略図である。
【図6】本発明の第1液体供給部材と第2液体供給部材の第4実施例の概略図である。
【図7】本発明の液体供給装置の使用方法の工程フローチャートである。
【図8A】本発明の液体供給装置の使用方法の工程概略図である。
【図8B】本発明の液体供給装置の使用方法の工程概略図である。
【図8C】本発明の液体供給装置の使用方法の工程概略図である。
【図8D】本発明の液体供給装置の使用方法の工程概略図である。
【図8E】本発明の液体供給装置の使用方法の工程概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、図2で示すような改良式の液体供給装置を提供する。前記液体供給装置1は半導体の塗布工程に使用されるものであって、第1液体供給部材11、第2液体供給部材12、第1駆動部材13及び第2駆動部材14からなる。前記第2液体供給部材12は前記第1液体供給部材11内に設置され、前記第1駆動部材13は前記第1液体供給部材11に接続され、前記第2駆動部材14は前記第2液体供給部材12に接続される。
【0019】
具体的に述べると、前記第1液体供給部材11内には第1液体2を貯蔵するための第1スペース111を形成する。また、前記第1液体供給部材11には前記第1液体供給部材11の一端にある開口112を開設する。前記開口112と前記第1スペース111は相互に連通しており、前記第1スペース111内に貯蔵されている第1液体2は前記開口112を通じて前記第1液体供給部材11外に噴出する。
【0020】
前記第2液体供給部材12内には第2液体3を貯蔵するための第2スペース121を形成する。前記第2液体供給部材12は前記第1スペース111内に設置し、前記第2液体供給部材12の第2スペース121は前記開口112に接続する。このようにすることで、前記第2スペース121内の第2液体3は前記開口112を通じて、前記第2液体供給部材12外に噴出する。前記第2液体供給部材12の外径D1は前記第1液体供給部材11の第1スペース111の内径D2より小さいので、上記の設計により、前記液体供給装置1が同時に2種類の液体を貯蔵できる。
【0021】
前記第1液体供給部材11の外形と前記第2液体供給部材12の外形は制限されておらず、ユーザーのニーズによって決められ、その外形は円形シャフトボディ、方形シャフトボディ等のどんな形状のシャフトボディでもよい。つまり、前記第1液体供給部材11の外形と前記第2液体供給部材12の外形が共に円形シャフトボディ(図3参照)であってもよいし、或いは、前記第1液体供給部材11の外形と前記第2液体供給部材12の外形が共に方形シャフトボディ(図4参照)であってもよい。また、図5に示すように、前記第1液体供給部材11の外形が円形シャフトボディ、前記第2液体供給部材12の外形が方形シャフトボディであってもよいし、或いは、図6に示すように、前記第1液体供給部材11の外形が方形シャフトボディ、前記第2液体供給部材12の外形が円形シャフトボディであってもよい。本実施例では、前記第1液体供給部材11の外形と前記第2液体供給部材12の外形は共に円形シャフトボディである。
【0022】
そして、前記第1スペース111に貯蔵される第1液体2と前記第2スペース121に貯蔵される第2液体3の前記開口112からの噴出を制御するため、さらに前記第1駆動部材13と前記第2駆動部材14を設置している。前記第1駆動部材13と前記第2駆動部材14は気圧式ポンプであり、前記第1駆動部材13は前記第1液体供給部材11の第1スペース111に接続し、前記第2駆動部材14は前記第2液体供給部材12の第2スペース121に接続している。そして、前記第1駆動部材13は気圧によって前記第1スペース111に貯蔵されている第1液体2を推進し、前記第1液体2を前記開口112から噴出させる。同様にして、前記第2駆動部材14は気圧によって前記第2スペース121に貯蔵されている第2液体3を推進し、前記第2液体3を前記開口112から噴出させる。こうして、ユーザーは使用ニーズに応じて前記第1駆動部材13又は前記第2駆動部材14を制御して、前記第1液体2又は前記第2液体3を推進して前記開口112から噴出させることができる。
【0023】
なお、前記第1液体2の種類と前記第2液体3の種類は限定されず、ユーザーのニーズによって決められる。本実施例では、本発明の液体供給装置1が半導体の塗布工程に応用されることから、前記第1スペース111に貯蔵される第1液体2としてはフォトレジスト剤(Photoresist)、前記第2スペース121に貯蔵される第2液体3としては乳酸エチル溶剤(Ethyllactate, EL)又はPGMEA溶剤(Propylene glycolmonomethyl ether acetate, PGMEA)を用いる。或いは、前記第1スペース111に貯蔵される第1液体2として乳酸エチル溶剤又はPGMEA溶剤、前記第2スペース121に貯蔵されている第2液体3としてフォトレジスト剤を用いてもよい。
【0024】
図7、図8A−8E、さらに図2で示すように、本発明は上記液体供給装置1の使用方法を提供する。前記使用方法は半導体の塗布工程に応用され、その工程は次の通りである。
【0025】
S100:ウェハ4を提供する。
【0026】
S120:前記液体供給装置1を前記ウェハ4の真ん中に移動させて、前記液体供給装置1が前記ウェハ4の真ん中にある時、前記第1スペース111の第1駆動部材13が前記第1スペース111に貯蔵されている第1液体2を推進して前記開口112外に噴出させ、前記第1液体2を前記ウェハ4の表面に散布する。前記第1駆動部材13は気圧式ポンプであり、前記気圧式ポンプが及ぼす気圧により前記第1液体2を推進して前記開口112から噴出させる。
S140:前記第1液体2が前記ウェハ4の表面に散布されると、前記ウェハ4を回転させて前記第1液体2を前記ウェハ4の表面に満遍なく塗布する。この工程では異なる速度で前記ウェハ4を回転させることで、前記第1液体2を前記ウェハ4の表面に完全に塗布することができる。
【0027】
S160:前記第1液体2が前記ウェハ4の表面に完全に塗布されると、前記液体供給装置1の前記第2液体供給部材12が前記第2液体3を前記ウェハ4の真ん中に噴出させる。具体的に述べると、前記第2スペース121に接続している前記第2駆動部材14が前記第2スペース121内に貯蔵されている第2液体3を推進して前記開口112外に噴出させ、前記第2液体3を前記ウェハ4の表面に散布する。前記第2駆動部材14は気圧式ポンプであり、前記気圧式ポンプが及ぼす気圧により前記第2液体3を推進して前記開口112から噴出させる。
【0028】
S180:前記第2液体3が前記ウェハ4の表面に散布されると、前記ウェハ4を回転させて前記第2液体3を前記ウェハ4の表面に塗布する。この工程では高速で前記ウェハ4を回転させて、前記第2液体3を前記ウェハ4の表面に完全に塗布する。
【0029】
上記の方法において、前記第1液体2として乳酸エチル溶剤又はPGMEA溶剤を用い、第2液体3としてフォトレジスト剤を用いる。即ち、まず、前記液体供給装置1の第1液体供給部材11内に貯蔵されている乳酸エチル溶剤又はPGMEA溶剤が前記第1駆動部材13から生じる気圧に推進されて、前記開口112から前記ウェハ4の表面に散布される。そして、前記第1液体2が前記ウェハ4の表面に完全に塗布されると、前記液体供給装置1の第2液体供給部材12内に貯蔵されているフォトレジスト剤が前記第2駆動部材14から生じる気圧に推進されて、前記開口112から前記ウェハ4の表面に散布され、最後に、前記ウェハ4を回転させてフォトレジスト剤を前記ウェハ4の表面に完全に塗布して、半導体の塗布工程が完了する。
【0030】
以上の記述を総合すると、本発明の改良式の液体供給装置および前記液体供給装置の使用方法は以下の有益な効果を生み出すことができる。
【0031】
1.本発明の液体供給装置1を使用すると、前記液体供給装置1は同時に前記第1液体2と前記第2液体3を貯蔵することができ、塗布工程の際、前記液体供給装置1は前記第1液体2又は前記第2液体3を選択的に噴出制御することができる。
【0032】
2.塗布工程において本発明の液体供給装置1を使用すると、ウェハの塗布時間を効率的に短縮してウェハの生産量を増加させることができる。
【0033】
3.フォトレジスト剤は高価な消耗材料であり、しかも時間とともに段々と凝固して使用出来なくなる。然しながら、乳酸エチル溶剤又はPGMEA溶剤はフォトレジスト剤を溶解することができる揮発性溶剤であるから、本発明の液体供給装置1においてフォトレジスト剤と上記の揮発性溶剤を共に液体供給装置1内に貯蔵することで、上記の揮発性溶剤が揮発してなる気体が前記フォトレジスト剤を湿らせて凝固を防ぐことになる。これによって、フォトレジスト剤の凝固時間を引き延ばして、生産コストを下げることができる。
【0034】
上記で開示した、図面、説明は本発明の実施例に過ぎず、当業者が上記説明に基づいてその他各種改良を行うことができる。このような変更はなおも本発明の精神および特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
(公知)
1a 基板
2a 塗布槽
3a 低フォトレジスト消費用ノズル(RRCノズル)
4a フォトレジストノズル
(本発明)
1 液体供給装置
11 第1液体供給部材
111 第1スペース
112 開口
12 第2液体供給部材
121 第2スペース
13 第1駆動部材
14 第2駆動部材
2 第1液体
3 第2液体
4 ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液体を貯蔵する第1スペースを有する第1液体供給部材であって、前記第1液体供給部材の一端に前記第1スペースに通じる開口を開設するものと、
第2液体を貯蔵する第2スペースを有する第2液体供給部材であって、前記第2液体供給部材は前記第1スペース内に設置され、且つ前記第2スペースが前記開口に接続するものと、
前記第1スペースに接続する前記第1液体を推進させるための第1駆動部材であって、前記第1駆動部材が前記第1液体を推進させて前記開口から噴出させるものと、
前記第2スペースに接続する前記第2液体を推進させるための第2駆動部材であって、前記第2駆動部材が前記第2液体を推進させて前記開口から噴出させるものと、
からなることを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
前記第2液体供給部材の外径は前記スペースの内径より小さいことを特徴とする請求項1に記載する液体供給装置。
【請求項3】
前記第1駆動部材と前記第2駆動部材は気圧式ポンプであることを特徴とする請求項1に記載する液体供給装置。
【請求項4】
ウェハを提供する工程と、
前記液体供給装置を前記ウェハの真ん中に移動させて前記第1液体を前記ウェハの表面に噴出させる工程と、
前記ウェハを回転させて前記第1液体をウェハの表面に塗布する工程と、
前記液体供給装置からさらに前記第2液体を前記ウェハの真ん中に噴出させる工程と、
前記ウェハを回転させて前記第2液体をウェハの表面に塗布する工程と、
からなることを特徴とする請求項1に記載する液体供給装置の使用方法。
【請求項5】
前記第1液体は乳酸エチル溶剤又はPGMEA溶剤であって、前記第2液体はフォトレジスト剤であることを特徴とする請求項4に記載する液体供給装置の使用方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【公開番号】特開2010−183048(P2010−183048A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104920(P2009−104920)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(509117034)華亞科技股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】