説明

液体供給装置及び液体供給方法

【課題】非連続的に基体に対して処理を行う場合においても、比較的簡素な設備で温度制御された液体を供給し、基体に対する処理を安定且つ均一に行う。
【解決手段】液体を貯留する液体貯留部6と、前記液体貯留部6と連通した液体供給用の通液部7と、前記通液部7に設けられる液体吐出部9と、前記液体を所定の温度に調整するために、前記液体貯留部6及び/又は前記通液部7の少なくとも一部に設けられる温度調整部8と、前記温度調整部8が前記通液部7に設けられる場合は前記液体吐出部9と前記温度調整部8との間に位置する部分の前記通液部7に設けられる弁部10と、を有し、前記弁部10は、通液部外への開放口17に通じる連通方向を有しており、更に前記弁部10は、前記開放口17よりも液体供給の上流側の部分の通液部を弁で閉じ、前記開放口17側に設けられた弁を開き、前記液体吐出部9と前記開放口17とを連通させる機構を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給装置及び液体供給方法に関し、特に、温度制御が必要な液体を供給するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある物質に液体を供給するための装置は、これまでに数多く知られている。この液体供給装置の一例を挙げれば、フォトリソグラフィーを使用して感光膜を処理するための現像液を供給する装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
この特許文献1,2には、タンク等から現像液輸送経路を経て現像液を供給し、レジスト塗布された基板に対して現像液輸送経路の末端から現像液を吐出して現像処理を行う枚葉処理式レジスト現像装置が記載されている。具体的には、装置内において、基板は室温にある現像装置のチャンバー内に静置され、これに冷却又は加温された現像液を吐出する。その際、現像液を輸送する経路途中に配置したバルブを開閉することで、現像液の供給を開始・停止し、現像処理を行う。
【0004】
ここで、特に現像液を所望の温度に冷却又は加温して供給する場合、現像液の温度保持のためには、上記液体輸送経路を二重管式のジャケットで覆い、このジャケット内には所望の温度に設定した恒温水等を流動させて、現像液を所望の温度に保つ。ただし、上記のストップバルブの配置と同じ理由から、ストップバルブより上流の範囲においてのみジャケットで覆うのが実際である。
【0005】
なお、関連技術であるが、熱交換装置において、運転静止状態の流路内流体がある温度以下になったときに、弁を排水側に切り替え、所定条件だけ装置を運転させて流路内流体を排出する技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−154641号公報
【特許文献2】特開平11−121336号公報
【特許文献3】特開2003−240343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に記載の装置構成では、特に現像液を所望の温度で冷却あるいは加温して供給する場合、ジャケットで覆われた流路、即ちタンクからストップバルブまでは、液温度が保たれる。
【0008】
しかしながら、1枚目の基板に対する現像処理後、上記バルブから下流の液体輸送経路には、現像液が滞留することになる。そのため、この滞留した現像液は温度制御を失うことになる。そして、2枚目の基板に対する現像処理では、ノズル部に滞留して温度制御を失った現像液が、2枚目の基板に対して最初に吐出されることになる。その結果、2枚目の基板において、現像の安定性、均一性を損なうおそれがある。
【0009】
確かに特許文献3のように、流体排出のために装置を一時的に運転させるという手法もある。しかしながらこの場合、装置が運転休止状態であっても流路における温度変化を常に観察していなければならず、装置コストの増大が懸念される。さらに、温度を一定に保つために、一定量の流体を流さなければならず、その分の流体が無駄になり、コストの増大に繋がるおそれがある。
【0010】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、非連続的に基体に対する処理を行う場合においても、温度制御された液体を比較的簡素な設備によって供給でき、基体に対する処理を安定且つ均一に行うことができる液体供給装置及び液体供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部と連通した液体供給用の通液部と、前記通液部に設けられる液体吐出部と、前記液体を所定の温度に調整するために、前記液体貯留部及び/又は前記通液部の少なくとも一部に設けられる温度調整部と、前記温度調整部が前記液体貯留部に設けられる場合は前記通液部に設けられ、前記温度調整部が前記通液部に設けられる場合は前記液体吐出部と前記温度調整部との間に位置する部分の前記通液部に設けられる弁部と、を有し、前記弁部は、通液部外への開放口に通じる連通方向を有しており、更に前記弁部は、前記開放口よりも液体供給の上流側の部分の通液部を弁で閉じ、前記開放口側に設けられた弁を開き、前記液体吐出部と前記開放口とを連通させる機構を有することを特徴とする液体供給装置である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明において、前記温度調整部にて設定される温度は、基体処理室外の温度とは異なる温度であることを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載の発明において、前記温度調整部は前記通液部に設けられ、且つ前記温度調整部は、前記弁部と実質的に隣接して設けられた液温保持部と、前記液温保持部と前記液体貯留部との間に設けられた液温制御部と、を有することを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第1ないし第3のいずれかの態様に記載の発明において、前記通液部は配管であり、前記液体貯留部は、前記配管の基端と連結し、前記液体吐出部は、前記配管の末端に設けられていることを特徴とする。
本発明の第5の態様は、第1ないし第4のいずれかの態様に記載の発明において、前記弁部は、前記液体貯留部からの液体供給を行う場合に、通液部外への開放口側に設けられた弁を閉じ、前記開放口よりも液体供給の上流側の部分の通液部の弁を開き、前記通液部内を連通させる機構を有することを特徴とする。
本発明の第6の態様は、第1ないし第5のいずれかの態様に記載の発明において、前記弁部は少なくとも三方向の連通方向を有し、少なくとも前記開放口側を閉じる弁及び前記開放口よりも液体供給の上流側の部分の通液部を閉じる弁を有し、前記連通方向の内の二方は前記通液部における液体供給方向であり、別の一方は前記通液部外への開放口へと通じていることを特徴とする。
本発明の第7の態様は、第1ないし第6のいずれかの態様に記載の発明において、前記弁部は、前記液体吐出部の近傍に設けられていることを特徴とする。
本発明の第8の態様は、第1ないし第7のいずれかの態様に記載の発明において、前記弁部における前記通液部外への開放口は、大気開放口であることを特徴とする。
本発明の第9の態様は、第1ないし第8のいずれかの態様に記載の発明において、前記弁部は、前記温度調整部と実質的に隣接しながら前記通液部に設けられ、且つ前記液体吐出部近傍に設けられることを特徴とする。
本発明の第10の態様は、第1ないし第9のいずれかの態様に記載の発明において、前記弁部は、前記基体処理室内に設けられていることを特徴とする。
本発明の第11の態様は、第1ないし第10のいずれかの態様に記載の発明において、前記液体は現像液であることを特徴とする。
本発明の第12の態様は、第1ないし第11のいずれかの態様に記載の発明において、前記温度調整部は前記通液部に設けられ、且つ前記温度調整部は、前記弁部と実質的に隣接して設けられた液温保持部と、前記液温保持部と前記液体貯留部との間に設けられた液温制御部と、を有し、前記弁部は、前記液温保持部と実質的に隣接しながら前記通液部に設けられ、且つ前記液体吐出部近傍に設けられることを特徴とする。
本発明の第13の態様は、レジスト層が形成された主表面と前記主表面に対向する裏面とを有する基体に対して現像液を吐出することにより現像を行うための液体供給装置であって、前記基体の主表面への現像液の吐出が行われる基体処理室と、前記基体を裏面にて保持するため、前記処理室内に備えられた基体保持部と、前記現像液を貯留する現像液貯留部と、前記現像液貯留部と、基端にて連結する現像液供給用の配管と、前記配管の末端に設けられた、前記配管を通じて前記現像液を前記基体に吐出するための現像液吐出部と、前記基体保持部に保持された前記基体に吐出される前記現像液を所定の温度に調整するために、前記基体処理室外の温度とは異なる温度に設定される温度調整部と、前記現像液吐出部近傍であり、前記基体処理室内であり、前記温度調整部と実質的に隣接しながら、前記配管に設けられる残留現像液排出用の三方弁と、を有し、前記温度調整部は、前記三方弁と実質的に隣接して設けられた液温保持部と、前記液温制御部と前記液体貯留部との間に設けられた液温制御部と、を有し、前記三方弁は、配管外への開放口に通じる連通方向を有しており、更に前記三方弁は、前記現像液貯留部からの現像液供給を止める場合に、前記開放口よりも現像液供給の上流側の部分の配管を弁で閉じ、配管外への開放口側に設けられた弁を開き、前記現像液吐出部と前記開放口とを連通させる機構を有し、更に前記三方弁は、前記現像液貯留部からの現像液供給を行う場合に、配管外への開放口側に設けられた弁を閉じ、前記開放口よりも現像液供給の上流側の部分の配管の弁を開き、前記配管内を連通させる機構を有することを特徴とする液体供給装置である。
本発明の第14の態様は、液体貯留部及び/又は液体供給用の通液部内の液体を、所定の温度に調整する液体温度調整工程と、前記液体温度調整工程後、液体貯留部に貯留される液体を、前記通液部の液体吐出部から吐出する液体吐出工程と、前記液体吐出工程後、前記液体の供給を止める液体供給停止工程と、前記液体供給停止工程と同時又はその後、且つ液体の供給を再開する前に、通液部外への開放口よりも液体供給の上流側の部分の通液部を弁で閉じ、それと同時又はその後に、前記開放口側に設けられた弁を開き、液体吐出部から前記弁部までの間における前記通液部内に残留した液体を前記通液部外に排出する工程と、を有することを特徴とする液体供給方法である
本発明の第15の態様は、第14の態様に記載の発明において、前記温度調整部にて設定される温度は、基体処理室外の温度とは異なる温度であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、非連続的に基体に対する処理を行う場合においても、温度制御された液体を比較的簡素な設備によって供給でき、基体に対する処理を安定且つ均一に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る現像装置の断面概略図である。
【図2】図1のA−A’における、現像液供給用配管の断面概略図である。
【図3】本実施形態に係る弁部の機能を説明した概略断面図である。(a)は現像液の供給を停止したときの図である。(b)は、(a)の状態から弁部を操作して、残留現像液を配管外に排出したときの図である。
【図4】別の実施形態に係る現像装置における現像液供給部の断面概略図である。
【図5】比較例に係る現像装置の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、非連続的な液体供給装置において、液体輸送経路内の液体に対して温度制御を行う構成について種々検討した。それに加え、流路における温度変化の観察が不要な構成についても種々検討した。
その結果、本発明者らは、液体輸送経路に弁部を設け、弁部における連通方向の一つを経路外への開放口に向かう方向とする構成に思い至った。そして、液体供給を再開する前に、弁部と液体吐出部との間に残留して温度制御を失った液体を、ストローの原理によって液体吐出部から排出できることを見出した。
【0015】
以下、本発明を実施するための実施の形態を、本実施形態に係る液体供給装置の断面概略図である図1に基づいて説明する。
【0016】
(液体供給装置(現像装置)の概要)
本実施形態における液体供給装置として、レジスト層が形成された主表面と前記主表面に対向する裏面とを有する基体1に対して現像液30を吐出することにより現像を行うための現像装置を例に挙げる。
【0017】
なお、本実施形態における「基体」とは、基板、基板上にレジスト層が設けられたもの、その基板の上にハードマスク層が設けられ、その上にレジスト層が設けられたものを含む。更に言えば、現像液のみならず、温度制御がなされた液体を吐出する必要のある物質そのものを指すものとする。基体の形状については後述する基体保持部5にて保持できるものであればどのような形状でも良いが、本実施形態においては、円盤形状の基体1を用いる。
【0018】
本実施形態における現像装置は、少なくとも現像処理部2と現像液供給部3とを有している。なお、現像処理部2及び現像液供給部3に加え、現像後にリンス処理を行う場合には、この現像装置にリンス液供給部4を別途設けても良い。
【0019】
ここで挙げた現像処理部2には、基体1の主表面への現像液30の吐出が行われる基体処理室21(以降、単に処理室21ともいう)が設けられている。そして、前記処理室21内には、前記基体1を裏面にて保持するための基体保持部5が設けられている。
【0020】
そして、現像液供給部3には、現像液30を貯留する現像液貯留部6と、現像液貯留部6に対して基端で連結して前記現像液貯留部6からの現像液30の通液部となる現像液供給用の配管7(以降、単に配管7ともいう)と、前記基体保持部5に保持された前記基体1に吐出される前記現像液30を所定の温度に調整するために、少なくとも前記配管7の一部に設けられた温度調整部8とが設けられている。
その上で、本実施形態においては、前記配管7の末端に設けられた現像液吐出部9と前記温度調整部8との間に位置する部分に、弁部10が設けられている。
以下、現像処理部2及び現像液供給部3の各部について詳述する。
【0021】
(現像処理部)
本実施形態における現像処理部2には、前記基体1の主表面への現像液の吐出が行われる処理室21が設けられている。さらに、処理室21内に設けられた基体保持部5に対して回転駆動制御を行う操作部22が、処理室21の下部に設けられている。
【0022】
処理室21についてであるが、先にも述べたように、その内部には基体保持部5が設けられている。この基体保持部5は、基板を保持するための基体チャック13と、この基体チャック13を支持及び回転させるためのシャフト14とからなる。
【0023】
この基体チャック13は、真空吸着によって基体1を保持するものであっても良い。この場合、基体チャック13の形状は、円盤状、矩形状、格子状等であってもよく、基体1の形状に合わせても良い。
また、この基体チャック13を格子状に構成し、かつ基体チャック13外周に止めピンを配置して基体1を保持しても良い。
【0024】
また、シャフト14は、その一端にて基体チャック13を保持しながら処理室21を貫通し、操作部22の内部へと延在している。そしてシャフト14のもう一端を操作部22の内部の回転駆動機構(図示せず)と連結させ、シャフト14及び基体チャック13の回転駆動を行う。なお、シャフト14が処理室21を貫通する際、シャフト14と処理室21との間にシール部材15を設けても良い。
【0025】
上記の基体保持部5以外にも、現像後の液体を回収するための流路等、公知の現像装置の構成を本実施形態の現像処理部2に設けても良い。
【0026】
さらに、基体処理室21は開放系であっても良いが、基体処理室21内を開閉自在、更に好ましくは密閉自在とするのが好ましい。後で詳述するが、現像液吐出部9付近の現像液30の温度の制御に役立つためである。
【0027】
なお、基体処理室21や操作部22の外装表面に、現像装置を制御するための操作用パネルを設置しても良い。そしてこのパネルにて、基体保持部5の回転制御のみならず、現像液30やリンス液の供給制御、現像液30や処理室21内の温度制御、後述する弁部10の制御などを行っても良い。
【0028】
(現像液供給部)
本実施形態における現像液供給部3には、大きく分けて、現像液30を貯留する現像液貯留部6と、前記現像液貯留部6に連結された現像液供給用の配管7とが設けられている。そしてこの配管7における現像液吐出部9が現像処理部2の処理室21内に配置され、基体1上に現像液30が吐出されるようになっている。
なお、ここで用いられる現像液30としては、レジストに対する現像液として使用できるものであれば良い。
【0029】
まず現像液貯留部6には、規定濃度に調整された現像液30が貯留されている。この現像液貯留部6は、単に現像液30を貯留しておく容器であれば良いが、温度制御という観点からは現像液貯留部6にて現像液30を循環させながら温度制御を行うのが好ましく、具体的にはチラーを用いるのが好ましい。
【0030】
そして、現像液貯留部6と現像液供給用の配管7とを連結する部分に、現像液供給ポンプ16が設けられている。この現像液供給ポンプ16は現像処理部2における操作部22に電気的に接続されていてもよく、操作部22にて現像液30供給するか否かの操作を行っても良い。
【0031】
次に、現像液貯留部6からの現像液30の輸送に用いられる現像液供給用配管7について説明する。この配管7の一端は、先にも述べたように現像液貯留部6と連結している。そして別の一端は現像液吐出部9となっており、処理室21外装を貫通する形で、現像液吐出部9が処理室21内に配置されている。さらに、この現像液吐出部9は、基体1に対して現像液30を吐出し、基体1の回転等の操作により最終的に基体1主表面全面に現像液30を行き渡らせることができるのならば、基体1上に配置されても基体1の斜め上方に配置されても構わない。ただ、処理室21内にて保持された基体1主表面の方に現像液吐出部9を向けているのがより好ましい。
【0032】
なお、本実施形態においては、入口と出口が一つずつある配管7について説明するが、分岐した配管7を用いても構わない。そして、この分岐した配管に、例えば別途設けた現像液貯留部6を設けても構わない。ただ、後述する温度調整部8を設ける面積が小さくなること、配管7のメンテナンスの容易さからも、分岐していない配管7の方がより好ましい。
【0033】
さらに、本実施形態においては現像液貯留部6と配管7が別体のものであって両者を連結したものについて挙げたが、両者一体のものを用いても良い。さらに、例えば現像液貯留部6を処理室21よりも上方に配置して、自重により現像液30を現像液吐出部9から吐出するようにし、現像液供給ポンプ16を不要としても良い。即ち、配管7の役割を果たす部分が現像液貯留部6と連通した通液部であれば良い。
【0034】
また、前記現像液吐出部9はただの開口であっても良いが、シャワーノズル形状となっていても良い。また、管理のしやすさの点から、現像液吐出部9の一部として別途シャワーノズルを着脱自在に設けても良い。現像液吐出部9をシャワーノズルとすることにより、基体1に対して広範囲かつ均一に現像液30を塗布することができる。
【0035】
さらに配管7を通じて現像液30を輸送する際、現像液30を所定の温度に調整するために、前記配管7に温度調整部8が設けられている。
そして、本実施形態においては、前記配管7における、前記現像液吐出部9と前記温度調整部8との間に位置する部分に残留現像液排出用の弁部10が設けられている。
以降、本実施形態における残留現像液排出用の弁部10はもちろんのこと、温度調整部8、そしてこれらが設けられている現像液供給用配管7についてあわせて詳述する。
【0036】
まず、現像液供給ポンプ16を操作することにより、現像液貯留部6から現像液供給用配管7に現像液30を送り込む。その際、現像精度を向上させるためにも、現像液30の温度を制御する必要がある。そのため、配管7には温度調整部8が設けられている。
【0037】
この温度調整部8は、配管7内の流体の温度を所定温度に制御できるものであっても良い。温度調整部8を設ける場所についても、現像液30を吐出する段階の温度を制御できるのならば、前記配管7の少なくとも一部に設けても良い。また同じく、現像液30を吐出する段階の温度を制御できるのならば、現像液貯留部6の少なくとも一部に温度調整部8を設けても良い。
【0038】
また、温度調整部8を配管7内に設けても良いが、操作やメンテナンスのしやすさから、前記基体処理室21外における前記配管7の外側に設けられているのが好ましい。
【0039】
温度調整部8の具体例を挙げるならば、図1のA−A’における配管の断面概略図である図2に示すように、熱媒又は冷媒をその内部に通液させたジャケット8を前記配管7の外側に設けても良い。ジャケット以外にも、前記配管7を螺旋状に巻き上げて、ヒータにより所定の温度に制御された流体に配管7を浸漬した恒温槽を用いても良い。なおこの温度調整部8の温度制御は、現像処理部2における操作部22にて行っても良い。
【0040】
そして、この温度調整部8により、配管7内の現像液30の温度が制御されることになる。
しかしながら、非連続的に現像処理を行う装置において現像液30の供給を停止した後だと、配管7内に残留する現像液30のうち、現像液吐出部9付近の残留現像液11は外気と接することになる。そのため、図3(a)に示すように、いかに配管7において温度制御を行おうとも、現像液吐出部9付近の残留現像液11は温度制御を失ってしまう。そうすると、現像処理を再開したときに、温度制御が失われた現像液30が基体1上に吐出されてしまう。仮に、基体1を処理室21に設置する前に現像液30を予め供給して残留現像液11を排出するとしても、今度は供給した分の現像液30が無駄になるし、残留現像液11排出のためだけに現像装置を再起動させる必要がでてくる。その結果、新たに手間がかかり、その分、現像処理の歩留まりが低下するおそれがある。
【0041】
これらを解決するために、本実施形態においては、配管7に温度調整部8が設けられる場合は現像液吐出部9と温度調整部8との間に位置する部分の配管7に弁部10が設けられている。
また、この弁部10は、通液部外への開放口に通じる連通方向、すなわち前記開放口に通じる弁部内通路を有している。
そして、この弁部10は、図3(a)に示す現像液供給状態から、図3(b)に示す現像液供給停止状態に移行する際に、前記開放口17よりも現像液供給の上流側(即ち配管7における基端側)の部分の配管7を弁10bで閉じ、配管外への開放口17側に設けられた弁10aを開き、現像液吐出部9と前記開放口17とを連通させる機構を有する。
【0042】
このような弁部10の構成により、前記現像液吐出部9から前記弁部10までの間の配管7内に存在し且つ温度制御を失った残留現像液11を、ストローの原理によって、現像液吐出部9から配管外に排出することができる。
そして弁部10の配置としては、温度調整部8よりも現像液供給の下流側(即ち配管7における末端側)に弁部10を設けることにより、温度制御がなされた弁部10よりも上流側の現像液30を配管7内に留めつつも、温度制御を失った弁部10よりも下流側の残留現像液11を選択的に排出することができる。
【0043】
なお、現像液貯留部6に温度調整部8が設けられる場合は配管7の任意の場所に弁部10が設けられる。現像液貯留部6において主に温度制御がなされているためである。現像液貯留部6のみに温度調整部8が設けられている場合は、現像液貯留部6に実質的に隣接させながら弁部10を配管7に設けるのが好ましい。温度制御を失った配管7内の残留現像液11を残さず排出できるためである。
なお、本実施形態における「実質的に隣接」とは、ここでは温度調整部8と弁部10との間に位置する配管7内の現像液30が温度調整部8により温度制御を失わない程度に離間している又は接触していることを指す。
【0044】
また、温度調整部8にて設定される温度は室温とは異なる温度、さらに詳しくいうと基体処理室外の温度とは異なる温度であるのが好ましい。この温度に現像液30を調整するからこそ、現像液吐出部9近傍の配管7内に残存した現像液30が温度制御を失い、そしてこの温度制御を失った残留現像液を排出する意味が大きくなるためである。
なお、基体処理室21が開放系である場合、「基体処理室外」とは、基体周辺以外の領域のことを指す。また、「基体処理室内」とは、基体1を処理するための領域における基体周辺の領域のことを指す。
【0045】
また、この温度調整部8が配管7に設けられている場合、図4に示すように、温度調整部8は、弁部10と実質的に隣接して設けられた液温制御部81と、前記液温制御部81と現像液貯留部6との間に設けられた液温保持部82と、を有するのが好ましい。こうすることにより、温度調整部8を液温制御部81と液温保持部82とで役割分担させることができる。即ち、液温制御部81にて現像液30の温度を処理室外の温度とは異なる所定の温度へと制御する。さらに、温度制御された現像液30を吐出寸前までこの所定の温度に維持するため、弁部10に実質的に隣接するように液温保持部82を設ける。その結果、温度制御を更に確実に行うことができる。具体例を挙げるとするならば、この液温制御部81としてはチラーが挙げられる。また、液温保持部82としては冷媒を用いたジャケットにて配管7を覆うことが挙げられる。
【0046】
さらに、前記弁部10は、現像液貯留部6からの現像液供給を行う際に、配管外への開放口側に設けられた弁10bを閉じ、配管外への開放口17よりも液体供給の上流側の部分の配管の弁10aを開き、配管内を連通させる機構を有するのが好ましい。このような構成により、現像液30供給の際に、供給される現像液30が開放口17から漏れるのを防止できる。
【0047】
なお、弁10bに対向するように、配管外への開放口17よりも液体供給の下流側の部分の配管に弁を設けても良いが、現像液30を供給する時、そして、残留現像液11を配管外に排出する時には、この下流側の弁は開いておく必要がある。
【0048】
上述の構成を有する弁部10は、3以上の複数の連通方向を制御できる弁を有するものであっても良い。4方向以上の連通方向を有する弁部の場合、別の現像液貯留部6及び配管7を弁部10に連結し、一方の現像液30を使い切った後に弁部10を操作し、その別の現像液貯留部6の現像液30を使用することも考えられる。
また、リンス液貯留部41及びリンス液用配管7を弁部10に連結し、現像液30の吐出が終了次第、弁部10を切り替えて、現像液吐出部9からリンス液を基体1上に吐出することも考えられる。
ただ、現像処理部2における操作部22での制御のしやすさからも、前記弁部10は三方向の連通方向を有し、少なくとも開放口17側の弁10a及び前記開放口17よりも現像液供給の上流側の部分の配管7を閉じる弁10bを有するものが好ましい。この際、使い勝手の良さからも、前記弁部10は三方弁であるのが好ましい。この際、弁10aと10bとが同一の弁であっても良い。
以降、本実施形態においては弁部10を用いて説明する。
【0049】
なお、弁部10が三方弁である場合、本実施形態の弁部10の連通方向の内の二方は前記配管7における現像液供給方向とし、残る一方は前記配管外への開放口17の方向へと設定されていれば良い。
【0050】
なお、ここで挙げた開放口17としては、配管外に通じ、さらには現像液吐出部9付近の残留現像液11を排出する気圧を有する気体への開放口17であれば良い。弁部10の開放口17側に、残留現像液11排出のためのガスを別途用意しても良いが、製造コストの低減という観点からは、前記配管外への開放口17は大気開放口であるのが好ましい。また、この開放口17は上向きでも下向きでも良いが、残留現像液11を確実に現像液吐出部9から排出するためにも上向きの方が好ましい。
【0051】
ここで述べたように、本実施形態における弁部10により、温度制御を失った残留現像液11を配管外に排出することができる。そのため、温度制御を失いやすい現像液吐出部9近傍に、前記弁部10を設けるのが好ましい。現像液吐出部9近傍に存在するが故に温度制御を失った現像液30のみを排出することができるためである。
なお、本実施形態における「現像液吐出部9の近傍」とは、温度制御を失った残留現像液11が存在する部分の配管7のことを指す。具体的な例を挙げるとするならば、現像液吐出部9から1〜8cm程度までの部分に弁部10を設ければ、実用面においては十分である。
【0052】
このように配管7に対して弁部10を設ける場合、温度調整部8は、前記配管7における前記現像液貯留部側の基端から前記弁部10が設けられている部分まで、連続して設けられていても良い。こうすることにより、現像処理を再開する際、最初に基体に吐出される現像液30であって、弁部10から現像液供給ポンプ16までに存在する現像液30の温度制御を、ムラ無く確実に行うことができる。その結果、確実に温度制御がなされた現像液30を基体1上に吐出することができる。
【0053】
また好ましくは、前記弁部10が、前記温度調整部8と実質的に隣接しながら前記配管7に設けられ、且つ前記現像液吐出部9近傍に設けられるのが良い。こうすることにより、温度制御を失った残留現像液11発生を相当抑えることができ、ひいては無駄になる現像液30の発生を相当量抑えることができる。
【0054】
一方、前記温度調整部8が、前記配管7における前記現像液貯留部6側の基端から前記弁部10が設けられている部分まで連続して設けられていなくとも、配管7における少なくとも現像処理部2における処理室21外の部分に連続して設けられていても良い。処理室21において密閉して現像処理を行うことにより、室温の影響をある程度抑制することができ、処理室21外の部分の現像液30の温度制御ができれば十分な場合があるためである。
【0055】
この場合、弁部10は、前記処理室21内に設けられているのが好ましい。残留現像液11に対する室温の影響をある程度抑制できている上に、現像液吐出部9付近の残留現像液11を排出することができれば、さらに精緻な現像処理を行うことができる。
【0056】
この時、処理室21において密閉して現像処理を行うことに加え、処理室21内の温度制御を行うのが好ましい。具体的に言えば、温度調整部8における設定温度と処理室21内温度とを実質的に同一とする処理室21内温度制御部が処理室21内に設けられ、操作部22にてその温度を制御するのが好ましい。現像液30の温度と基体1の温度との差を相当解消することができるためである。
【0057】
なお、現像処理後に行われるリンス処理においては、先に述べたリンス液供給部4が使用される。このリンス液供給部4は、上述の現像液供給部3と同様の構成であっても良い。即ち、リンス液貯留部41からリンス液供給ポンプ416によりリンス液がリンス液供給路42に輸送される。なお、このリンス液供給路42には温度調整部48が設けられることにより、リンス液が温度制御されていても良い。その後、リンス液供給路42の一端に設けられたリンス液吐出部49から、基体1上にリンス液が吐出される。このリンス液吐出部49は、シャワーノズル形状であっても良い。また、また、温度調整部48とリンス液吐出部49との間に、通常のバルブ43を用いても良いし、上述のような弁部を用いても良い。
【0058】
(現像液供給方法)
次に、本実施形態に係る現像装置における機能、即ち現像液供給方法について説明する。
【0059】
まず、現像液貯留部6及び/又は現像液供給用の配管7内の現像液30を、所定の温度に調整する現像液温度調整工程を行う。先にも述べたように、この現像液温度調整工程は、配管7内の流体の温度を制御できれば、現像液貯留部6に対してであっても、現像液供給用の配管7に対してであっても、どちらに対して行っても良い。
【0060】
そして、この現像液温度調整工程と前後して、処理室21内の基体保持部5に基体1をセットする。このとき、レジスト層が形成された主表面に現像液30が吐出されるように基体1をセットする。同時に、裏面が基体保持部5と接するように基体1をセットする。その後、現像処理部2における操作部22にて、所定の回転数で基体保持部5が回転するように操作する。なお、この回転操作は現像処理、リンス処理、乾燥処理を通して行われる。
【0061】
基体1のセットが終わり、前記現像液温度調整工程後、現像液貯留部6に貯留される現像液30を、処理室21内における配管7の現像液吐出部9から配管7を通じて前記基体1の主表面に吐出する現像液吐出工程を行う(図3(a))。
【0062】
前記現像液吐出工程後、現像処理を終了したい場合は、現像液供給ポンプ16を停止させる。なお、自重により現像液を通液する場合は、前記配管7に設けられた残留現像液排出用の弁部10を操作することにより現像液30の輸送経路を塞ぐ。これらにより、前記現像液の供給を止める現像液供給停止工程を行う。
【0063】
その後、必要に応じて、適宜、基体1に対してリンス処理を行う。その後、一定の回転数で基体保持部5を回転させ、基体1の乾燥処理を行う。そして1つめの基体の現像処理を終了する。
【0064】
次に、2つめの基体の現像処理を行う。その前に、本実施形態においては、現像処理を終了するために現像液30の供給を停止するのと同時又はその後に、この弁部10を操作する。即ち、図3(b)に示すように、配管外への開放口17よりも上流側の部分の配管7を弁10bにより閉じる。それと同時又はその後に、弁部10における配管外への開放口17側に閉じてあった弁10aを開放する。このように、前記配管外への開放口17と現像液吐出部9側の配管7とを連通させるように弁部10を操作する。そうすると、前記現像液吐出部9から前記弁部10までの間の配管7内に存在し且つ温度制御を失った残留現像液11を、配管外からの気圧を利用したストローの原理によって、現像液吐出部9から配管外に排出することができる。
【0065】
なお、この残留現像液11の排出を促進するために、現像液吐出部9と弁部10との間の部分の配管を、下向きに傾けるように設置しても良い。先にも述べたように、現像液吐出部9を基体1に向けるように配置すれば、基体1への現像液30の吐出を確実に行えるという利点に加え、残留現像液11の排出を促進することができる。
【0066】
この残留現像液排出工程を行った後、現像液30の供給を再開し、2つめの基体に対して現像処理を行う。そして1つめの基体と同様に、必要に応じて、適宜、基体1に対してリンス処理を行う。その後、一定の回転数で基体保持部5を回転させ、基体1の乾燥処理を行う。さらに別の基体1を現像する場合は、上述の残留現像液排出工程を繰り返す。
【0067】
以上のような本実施形態においては、以下の効果を得ることができる。
即ち、現像液供給用配管7に弁部10を設け、この弁部10の一方を配管外への開放口17とするという簡素且つ簡易な設定を行うことにより、現像液30の供給を再開する前に、現像液吐出部9付近に存在する温度制御を特に失った残留現像液11を排出することができる。この構成ならば、流路における温度変化の観察も不要となり、ひいては大掛かりな装置も不要となる。その結果、非連続的に現像処理を行う場合においても、温度制御された現像液を比較的簡素な設備によって供給でき、現像処理を安定且つ均一に行うことができる。
【0068】
なお、現像液供給部3の変形例であるが、上述のような弁部10が設けられた現像液供給部3を複数設けても良い。また、1つの現像液貯留部6から複数の配管7及び/又は現像液吐出部9を設けても良い。
【0069】
また、現像液供給ポンプ16を停止させるのと同時に、上述のような弁部10の操作を行い、残留現像液11の排出を行っても良い。さらに、ポンプ16の停止と弁部10の操作を同時に行うという機構を、操作部22によって制御しても良い。
【0070】
本実施形態においては「現像装置」及び「現像液供給方法」、即ち「液体供給装置」及び「液体供給方法」について詳述した。なお、本実施形態における用語について補足すると、「現像液30」は「液体」のことを指す。そして、「現像液貯留部6」は「液体貯留部」のことを指し、「現像液供給用配管7」は「液体供給用配管7」のことを指す。さらに、現像液供給用配管7に設けられた「現像液吐出部9」は「液体吐出部」のことを指し、「残留現像液11排出用の弁部10」は「残留液体排出用の弁部」のことを指す。
【0071】
なお、本発明の技術的思想は、ここで挙げた現像装置以外でも、温度制御を失った液体を、液体供給の前に除去するのが好ましい装置に対して、本実施形態は適用できる。例えば、液体を水やアルコール等とした装置、反応性がある薬品とした装置(例えばエッチング装置)などにも本発明の技術的思想は適用しうる。
【0072】
以上、本発明に係る実施の形態を挙げたが、上記の開示内容は、本発明の例示的な実施形態を示すものである。本発明の範囲は、上記の例示的な実施形態に限定されるものではない。本明細書中に明示的に記載されている又は示唆されているか否かに関わらず、当業者であれば、本明細書の開示内容に基づいて本発明の実施形態に種々の改変を加えて実施し得る。
【実施例】
【0073】
次に実施例を示し、本発明について具体的に説明する。もちろんこの発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0074】
<実施例>
図1に示す本実施例の現像装置として、現像処理部2にはMTC社製M273を用いた。
そして、現像処理部2における処理室21内の基体チャック13にレジスト付き基体1をセットした。
【0075】
次に、現像液貯留部6として設けたチラーにより循環且つ温度管理された現像剤ZED−N50(ゼオン社製)を、現像液供給ポンプ16により現像液供給用配管7へと輸送した。
この配管7は、現像処理部2における処理室21を貫通するように配置された。その上で、現像液吐出部9となる単なる開口のノズルを基体1主表面上に配置させた。
そして、配管7における現像処理部2外の部分においては、0℃に温度制御した冷媒を内部に通液させたジャケットを連続的に巻き付けた。そして、処理室21内における配管7の現像液吐出部9近傍に、弁部10を設けた。
【0076】
本実施例においては、以上の構成を有する現像装置を一度稼働させた後、現像液30の供給を停止させた。そして、配管7内に現像液30を残留させた。その後、弁部10を操作し、現像液吐出部9から弁部10までの間に残留した配管7内の残留現像液11をノズル9から配管外に排出した。この状態で、基体チャック13にセットされたレジスト付き基板の現像処理を行った。
【0077】
なお、基体チャック13にセットされたレジスト付き基体1の詳細は以下の通りである。本実施例の基体1として、円盤状合成石英基板(外径150mm、厚み0.7mm)を用いた。この基体1に対して、ZEP520A−7(ゼオン社製)をZEP−A(ゼオン社製)で希釈(ZEP520A−7:ZEP−A=1:2)したものを、基体1上に3ml程滴下し、4500rpmで60秒間基体1を回転させ、レジストを基板上の主表面に塗布した。なお、適宜基体1及びレジスト付き基体1に対してベーク処理を行っている。
【0078】
そして、100keVの電子線描画機を用い、電子線描画部(抜き部)と電子線未描画部(残し部)との幅比を1対2としたライン・アンド・スペース・パターンを描画した。このとき、抜き部の寸法が8〜30nmの範囲で3nmごとにライン幅を変化させて描画した。
【0079】
以上のパターン描画が行われたレジスト付き基体1に対し、ノズルから現像液30を、60秒間吐出した。こうして現像を行った後、基体1に対してIPA(イソプロピルアルコール)によるリンス処理を行った。その後、200rpmで10秒、400rpmで10秒、1200rpmで10秒、基体チャック13を回転させ、乾燥処理を行った。
【0080】
この時、基板上における、最も微細なパターンかつ正常に解像している抜き部の線幅を測定し、この線幅を限界となる解像度と定めた。
【0081】
<比較例>
実施例では弁部10を設けたが、図5に示す比較例においては弁部10を設けず、その代わりに通常のバルブ43を設けた。これ以外は、実施例と同様の工程を行った。この比較例についても、実施例と同様にレジスト付き基板を現像した。
【0082】
<評価>
実施例及び比較例により得られた試料(レジスト付き石英基板)について、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。
その結果、実施例においては、11nmという高い限界解像度のレジストパターンが得られた。
一方、比較例においては、実施例に比べて解像度は低かった。
【符号の説明】
【0083】
1 基体
2 現像処理部
21 基体処理室
22 操作部
3 現像液供給部
4 リンス液供給部
5 基体保持部
6 現像液貯留部
7 現像液供給用配管
8 温度調整部
81 液温制御部
82 液温保持部
9 現像液吐出部
10 弁部
10a 配管外への開放口の弁
10b 現像液供給の上流側の弁
11 残留現像液
13 基体チャック
14 シャフト
15 シール部材
16 現像液供給ポンプ
17 配管外への開放口
30 現像液
41 リンス液貯留部
42 リンス液供給路
43 バルブ
416 リンス液供給ポンプ
48 温度調整部
49 リンス液吐出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する液体貯留部と、
前記液体貯留部と連通した液体供給用の通液部と、
前記通液部に設けられる液体吐出部と、
前記液体を所定の温度に調整するために、前記液体貯留部及び/又は前記通液部の少なくとも一部に設けられる温度調整部と、
前記温度調整部が前記液体貯留部に設けられる場合は前記通液部に設けられ、前記温度調整部が前記通液部に設けられる場合は前記液体吐出部と前記温度調整部との間に位置する部分の前記通液部に設けられる弁部と、
を有し、
前記弁部は、前記通液部外への開放口に通じる連通方向を有しており、
更に前記弁部は、前記開放口よりも液体供給の上流側の部分の通液部を弁で閉じ、前記開放口側に設けられた弁を開き、前記液体吐出部と前記開放口とを連通させる機構を有することを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
前記温度調整部にて設定される温度は、基体処理室外の温度とは異なる温度であることを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記温度調整部は前記通液部に設けられ、且つ
前記温度調整部は、前記弁部と実質的に隣接して設けられた液温保持部と、前記液温保持部と前記液体貯留部との間に設けられた液温制御部と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記通液部は配管であり、
前記液体貯留部は、前記配管の基端と連結し、
前記液体吐出部は、前記配管の末端に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項5】
前記弁部は、前記液体貯留部からの液体供給を行う場合に、前記通液部外への開放口側に設けられた弁を閉じ、前記開放口よりも液体供給の上流側の部分の通液部の弁を開き、前記通液部内を連通させる機構を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項6】
前記弁部は少なくとも三方向の連通方向を有し、
少なくとも前記開放口側を閉じる弁及び前記開放口よりも液体供給の上流側の部分の通液部を閉じる弁を有し、
前記連通方向の内の二方は前記通液部における液体供給方向であり、別の一方は前記通液部外への開放口へと通じていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項7】
前記弁部は、前記液体吐出部の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項8】
前記弁部における前記通液部外への開放口は、大気開放口であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項9】
前記弁部は、前記温度調整部と実質的に隣接しながら前記通液部に設けられ、且つ前記液体吐出部近傍に設けられることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項10】
前記弁部は、前記基体処理室内に設けられていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項11】
前記液体は現像液であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項12】
前記温度調整部は前記通液部に設けられ、且つ
前記温度調整部は、前記弁部と実質的に隣接して設けられた液温保持部と、前記液温保持部と前記液体貯留部との間に設けられた液温制御部と、を有し、
前記弁部は、前記液温保持部と実質的に隣接しながら前記通液部に設けられ、且つ前記液体吐出部近傍に設けられることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項13】
レジスト層が形成された主表面と前記主表面に対向する裏面とを有する基体に対して現像液を吐出することにより現像を行うための液体供給装置であって、
前記基体の主表面への現像液の吐出が行われる基体処理室と、
前記基体を裏面にて保持するため、前記処理室内に備えられた基体保持部と、
前記現像液を貯留する現像液貯留部と、
前記現像液貯留部と、基端にて連結する現像液供給用の配管と、
前記配管の末端に設けられた、前記配管を通じて前記現像液を前記基体に吐出するための現像液吐出部と、
前記基体保持部に保持された前記基体に吐出される前記現像液を所定の温度に調整するために、前記基体処理室外の温度とは異なる温度に設定される温度調整部と、
前記現像液吐出部近傍であり、前記基体処理室内であり、前記温度調整部と実質的に隣接しながら、前記配管に設けられる残留現像液排出用の三方弁と、
を有し、
前記温度調整部は、前記三方弁と実質的に隣接して設けられた液温保持部と、前記液温制御部と前記液体貯留部との間に設けられた液温制御部と、を有し、
前記三方弁は、配管外への開放口に通じる連通方向を有しており、
更に前記三方弁は、前記現像液貯留部からの現像液供給を止める場合に、前記開放口よりも現像液供給の上流側の部分の配管を弁で閉じ、配管外への開放口側に設けられた弁を開き、前記現像液吐出部と前記開放口とを連通させる機構を有し、
更に前記三方弁は、前記現像液貯留部からの現像液供給を行う場合に、配管外への開放口側に設けられた弁を閉じ、前記開放口よりも現像液供給の上流側の部分の配管の弁を開き、前記配管内を連通させる機構を有することを特徴とする液体供給装置。
【請求項14】
液体貯留部及び/又は液体供給用の通液部内の液体を、所定の温度に調整する液体温度調整工程と、
前記液体温度調整工程後、前記液体貯留部に貯留される液体を、前記通液部の液体吐出部から吐出する液体吐出工程と、
前記液体吐出工程後、前記液体の供給を止める液体供給停止工程と、
前記液体供給停止工程と同時又はその後、且つ前記液体の供給を再開する前に、通液部外への開放口よりも液体供給の上流側の部分の通液部を弁で閉じ、それと同時又はその後に、前記開放口側に設けられた弁を開き、液体吐出部から前記弁部までの間における前記通液部内に残留した液体を前記通液部外に排出する工程と、
を有することを特徴とする液体供給方法。
【請求項15】
前記温度調整部にて設定される温度は、前記基体処理室外の温度とは異なる温度であることを特徴とする請求項14に記載の液体供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−54282(P2012−54282A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193616(P2010−193616)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】