説明

液体充填方法及び液体充填装置

【課題】極めて正確且つ迅速な充填が可能になり、しかも、充填する液体の性質に影響を受けない液体充填方法及び液体充填装置を提供する。
【解決手段】液体Pを充填ノズル1で容器Q内に充填し、該容器Q内の液面の高さを検知する液面センサーで充填量を調整する。充填ノズル1の先端を容器Q内の底部近傍まで下げて泡や飛沫の発生を防止しながら液体Pの充填を開始する充填開始工程100を設ける。上昇する液面と充填ノズル1との間隔を略一定にして充填ノズル1を持ち上げながら充填する液体充填工程を設ける。中空状を成した液面検知管10の先端を液面が密封したときに液面検知管10内部の微小な差圧を検知する微差圧センサー20の作動によって充填を止める充填終了工程300を設ける。液面検知管10の中空部先端からエアブローを吹き出して該先端に付着した液体Pを除去する液体除去工程400を設け。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種液体を容器に連続的に充填する液体充填方法及び液体充填装置に係り、例えば、ガラス容器やブロウ容器など容量のばらつきが多い容器内に、液面が一定の高さになるように正確に充填することができる液体充填方法及び液体充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種液体を市販用等の容器に連続して充填する一手段として、液面式充填装置が用いられている。この液面式充填装置は、充填された液体の液面の高さを検知する液面センサーを使用し、容器の形状や容量にかかわらず、容器内の液面が一定になるように充填する装置である。
【0003】
特許文献1に記載された充填ラインの制御装置で使用する液面センサーは、充填ノズルの先端から液面にセンシングエアーを吹きつけ、液面からの反射圧を測定する液面センサーが使用されている。
【0004】
また、特許文献2の充填装置では、探針下端が液面に接触すると電気的に感知する液面センサーが使用されている。この種の液面センサーには、フロート状の接点を持つものや液面に接触すると導通して電気的に感知する液面センサーなどがあり、いずれも一般的に使用されている液面センサーである。
【特許文献1】特開平10−194201号公報
【特許文献2】特開2007−69927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の如く、液面にセンシングエアーを吹きつける液面センサーでは、液面からの反射圧を測定する構造なので、充填を止めるまでのタイムラグが生じることになる。しかも、液面に吹きつけたセンシングエアーの圧力で液面が乱されるので、これを防止するためにセンシングエアーの吹き付け圧力を抑え、液体の充填速度を遅くする必要がある。また、特許文献1のセンシングエアーは、充填ノズルの中央にエアー吹き付け用のノズルを配置し、吹き付け用ノズルの周囲から液体を充填するものである。そのため、検知時にセンシングエアーを吹きつけるノズルが液面に少し潜ってから反応することになり、感知精度が低下する。このように、液面にセンシングエアーを吹きつけるタイプの液面センサーは、感知精度や充填速度に多くの課題を残すものであった。
【0006】
また、特許文献2に記載の充填装置は、充填ノズルとは別に探針装置を設置する必要がある。しかも、探針がフロート状に浮き上がる液面センサーは、センサーの感知精度が悪くなるので、大容量の容器に適していても、化粧ビンなど、小型の容器に使用することは極めて困難である。
【0007】
一方、探針下端が液面に接触すると電気的に導通する液面センサーでは、例えば液体表面に発生する泡でも感知してしまうおそれがある。また、この種の液面センサーは、液体ごとに異なる通電性質によってセンサーの感度も変わることになり、しかも、純水などの非導電性の液体は全く感知できないといった最大の欠点もある。
【0008】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、極めて正確且つ迅速な充填が可能になり、しかも、充填する液体の性質に影響を受けない液体充填方法及び液体充填装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、液体Pを充填ノズル1で容器Q内に充填し、該容器Q内の液面の高さを検知する液面センサーで充填量を調整する液体充填方法において、中空状を成し先端が開放された液面検知管10の先端を液面が密封したときに液面検知管10内部に生じる微小な差圧を微差圧センサー20が検知して液体Pの充填を止める充填終了工程300を有する液体充填方法にある。
【0010】
第2の手段は、前記液体充填方法において、前記液面検知管10の中空部先端からエアブローを吹き出して該先端に付着した液体Pを除去する液体除去工程400を有する。
【0011】
第3の手段は、前記液体充填方法において、前記充填ノズル1の先端を容器Q内の底部近傍まで下げて泡や飛沫の発生を防止しながら液体Pの充填を開始する充填開始工程100と、上昇する液面と充填ノズル1との間隔を略一定にして充填ノズル1を持ち上げながら充填する液体充填工程200とを有する液体充填方法である。
【0012】
第4の手段は、液体Pを充填ノズル1で容器Q内に充填し、該容器Q内の液面を検知する液面センサーで充填量を調整する液体充填装置において、該充填ノズル1の先端部周囲に設けられ先端が開放された略筒状の液面検知管10と、該液面検知管10の先端が液面で密封されたときに液面検知管10内部の微差圧を検知する微差圧センサー20とを備え、該微差圧センサー20の作動で前記供給バルブ2を閉じるように設けた液体充填装置にある。
【0013】
第5の手段は、前記液体充填装置において、前記液面検知管10の先端部からエアブローを排出する電磁弁6を設け、前記液面検知管10の先端部に付着した液体Pを除去するように設けている。
【0014】
第6の手段は、前記液体充填装置において、液体Pを貯留する収納タンク4と、該収納タンクを加圧し液体を充填ノズル側に供給するエアーレギュレーター3と、該シリンダーの先に設けられ充填ノズルへの液体供給量を調整する供給バルブ2と、容器の内部に先端部を挿入する筒状の充填ノズル1と、液体充填時の充填ノズル1の高さを調整する高さ調整装置5とを備えたことを課題解消のための手段とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1、4により、中空状を成した液面検知管10の先端を液面が密封したときに液面検知管10内部の微小な差圧を検知する微差圧センサー20の作動によって充填を止めるので、従来の液面にセンシングエアーを吹きつけるタイプの液面センサーと比較して、センシングエアーの吹きつけ圧力で液面が乱される不都合は解消された。更に、液面が液面検知管10の先端に接触した瞬間に微差圧センサー20が検知するので検知精度を高め、充填速度を速めることができる。この結果、充填する液体の性質に影響を受けることなく液面の高さを検知することができ、非導電性の純水や粘度の高いネイル用液剤などの充填も正確に行えるものである。
【0016】
また、請求項4の如く、先端が開放された液面検知管10を、充填ノズル1の先端部周囲に設けることで、液面の泡や波が部分的に接触しただけでは液面を検知しないが、この液面検知管10の先端が液面で閉塞された瞬間に微差圧センサー20が検知することになり、極めて正確な液面検知を可能にしている。
【0017】
請求項2、5によると、前記液面検知管10の中空部先端からエアブローを吹き出して該先端に付着した液体Pを除去することで、使用後の液面検知管10を再び使用可能な状態にすることができ、液面検知管10の連続使用を可能にするものである。
【0018】
請求項3、6では、前記充填ノズル1の先端を容器Q内の底部近傍まで下げて泡や飛沫の発生を防止しながら液体Pの充填を開始する充填開始工程100と、上昇する液面と充填ノズル1との間隔を一定にして充填ノズル1を持ち上げながら充填する液体充填工程200とを有することで、液体P充填時に生じ易い泡や飛沫の発生を極力防止できる。この結果、更に正確な量の充填を可能にするものである。
【0019】
このように本発明によると、極めて正確且つ迅速な充填が可能になり、しかも、充填する液体の性質に影響を受けないなどといった種々の効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の最良の形態は、液体Pを充填ノズル1で容器Q内に充填し、該容器Q内の液面の高さを検知する液面センサーで充填量を調整する液体充填方法において、充填ノズル1の先端を容器Q内の底部近傍まで下げて泡や飛沫の発生を防止しながら液体Pの充填を開始する充填開始工程100と、上昇する液面と充填ノズル1との間隔を略一定にして充填ノズル1を持ち上げながら充填する液体充填工程200と、中空状を成した液面検知管10の先端を液面が密封したときに液面検知管10内部の微小な差圧を検知する微差圧センサー20の作動によって充填を止める充填終了工程300と、液面検知管10の中空部先端からエアブローを吹き出して該先端に付着した液体Pを除去する液体除去工程400とからなる液体充填方法により当初の目的を達成する。
【実施例】
【0021】
本発明は、液体Pを充填ノズル1で容器Q内に充填し、該容器Q内の液面の高さを検知する液面センサーで充填量を調整するものである。
【0022】
本発明において使用する液面センサーは、液面検知管10に微差圧センサー20を備えた液面センサーを用いている(図1参照)。すなわち、液面検知管10は、該充填ノズル1の先端部周囲に設けられ先端が開放された大気開放型の略筒状の部材で、この液面検知管10の先端が液面に触れて密封されたときに、液面検知管10内部に生じる微差圧を微差圧センサー20が検知する(図7参照)。この微差圧センサー20は、空気やガスなどの気体の微差圧を電気的に検知する大気開放型のものが使用される。
【0023】
本発明装置の液面検知管10は、この充填ノズル1の周囲に一体に形成されているもので、細いパイプ状を成した充填ノズル1の先端外周を、これより太いパイプが間隔を開けて囲んだ状態の二重筒状を成す(図3参照)。各パイプの先端は略同一の高さに揃えられており、内側の充填ノズル1から液体Pが充填される(図6参照)。容器Q内の液面が上昇して外側の液面検知管10の先端部を閉塞すると、液面検知管10内部に微差圧が生じる(図7参照)。この微差圧を微差圧センサー20が電気的に検知すると、液体Pを充填ノズル1に供給している供給バルブ2を閉じて液体Pの充填を止める(図1参照)。
【0024】
図示例の微差圧センサー20は、充填ノズル1の周囲に液面検知管10を固定するブラケット21を設け、該ブラケット21の側面に設けたコネクター22を介して微差圧センサー20につながるセンサー用チューブ23を連結し、液面検知管10とセンサー用チューブ23とを連通させたものである(図1参照)。この微差圧センサー20によると、センサー用チューブ23を通して感知した液面検知管10内の圧力と大気圧との差異を電気的に検知するものである。このとき、センサー用チューブ23は、後述する電磁弁7を介して微差圧センサー20に連結している。
【0025】
液面検知管10の先端が液面に接触し、微差圧センサー20が検知した後は、再び液面検知管10を使用するために、液面検知管10の先端からブローエアーを吹き出して液面検知管10の先端に付着した液体Pを除去し、この先端部を開放する(図3参照)。図示例の液面検知管10は、二つの電磁弁6,7を介してエアーレギュレーター8に通じている。一方の電磁弁7は、液面検知管10の微差圧を検知する際に、微差圧センサー20側を開放し、エアーレギュレーター8側を閉じておく。微差圧センサー20の検知で液体Pの供給を停止した後は微差圧センサー20側を閉じ、エアーレギュレーター8側に配設した他方の電磁弁6を開放すると、液面検知管10の先端からブローエアーが吹き出すように設けている(図1参照)。尚、図示例の二つのエアーレギュレーター3,8は、コンプレッサー(図示せず)からの圧縮空気の圧力を別系統で制御する。
【0026】
充填ノズル1は、先端部を容器Qの内部に挿入して充填するもので、液体充填時の充填ノズル1の高さを調整する高さ調整装置5にて支持されている(図2参照)。図示の高さ調整装置5は、空気圧で上下移動するロボシリンダー5A等の支持機構に支持体5Bを連結したもので充填ノズル1は、この支持体5Bに上下動自在に支持されると共に、上下移動の速度も調整可能にしている。そして、この高さ調整装置5により、容器Qの底部近傍まで充填ノズル1の先端を近づけて充填を開始する(図6参照)。そして、上昇する液面と充填ノズル1先端との間隔をできるだけ一定に保つように充填ノズル1を上げながら充填することで充填時に発生し易い飛沫や泡を最小限にする。
【0027】
充填ノズル1への液体Pの供給は、液体Pを貯留する加圧可能な収納タンク4と、該収納タンクを加圧して収納タンク4内部の液体を充填ノズル1側に供給するエアーレギュレーター3と、シリンダーの先に設けられ充填ノズル1への液体供給量を調整する供給バルブ2とを介して行われる(図1参照)。この供給バルブ2として、流量を2段階に切り替え可能な供給バルブ2を使用し、充填終了前に充填ノズル1への供給量を少なくすることで、液面検出時の波立ち等を最小限に抑えることができ、より正確な液面検知が可能になる。
【0028】
本発明充填方法は、充填開始工程100、液体充填工程200、充填終了工程300、液体除去工程400の四つの工程を基本工程とする(図8参照)。
【0029】
充填開始工程100は、充填ノズル1の先端を容器Q内の底部近傍まで下げて泡や飛沫の発生を防止しながら液体Pの充填を開始する工程である(図6参照)。充填ノズル1先端部の位置は、液体Pの粘度や比重等により任意に設定する。
【0030】
液体充填工程200は、上昇する液面と充填ノズル1との間隔を略一定にして充填ノズル1を持ち上げながら充填する工程になる。充填ノズル1の上昇速度は、液体Pの充填量と容器Qの容積により設定されるもので、飛まつや泡の発生が少なくなるように上昇速度を設定する。また、液体Pの充填量を途中で加減する場合には、この充填ノズル1の上昇速度も加減するものである。
【0031】
充填終了工程300は、中空状を成した液面検知管10の先端に液面が接触したときに液面検知管10内部の微小な差圧を検知する微差圧センサー20の作動によって充填を止める工程である(図7参照)。図示例では、充填ノズル1と液面検知管10とを一体にした装置を使用しているが、充填ノズル1と液面検知管10とを別体にしても液面検知管10による液面検知が可能になる。また、液体Pの充填を止める手段として、充填ノズル1に液体Pを供給する供給バルブ2を閉じる手段を採用しているが、他の手段の変更も可能である。
【0032】
液体除去工程400は、液面検知管10の中空部先端からエアブローを吹き出して該先端に付着した液体Pを除去する工程である(図5参照)。図示例では、空の容器Qの内部に液面検知管10を挿入した状態で液体除去工程400を行っているが、容器Qから液面検知管10を抜き出した状態(図4参照)で液体除去工程400を行っても良い。
【0033】
本発明充填方法は、これらの各工程を順次繰り返すことで連続した充填が可能になるものである。
【0034】
尚、本発明の実施例は図示例に限られるものではなく、例えば液面検知管10の設置位置や形状、あるいは高さ調整装置5など、各種構成の代替手段等は、本発明の要旨を変更しない範囲で自由に変更できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】本発明装置の高さ調整装置を示す側面図である。
【図3】本発明装置の液面検知管の一実施例を示す要部断面図である。
【図4】本発明方法における充填前の充填ノズルを示す断面図である。
【図5】本発明方法の液体除去工程を示す断面図である。
【図6】本発明方法の充填開始工程を示す断面図である。
【図7】本発明方法の充填終了工程を示す断面図である。
【図8】本発明方法を示す工程図である。
【符号の説明】
【0036】
P 液体
Q 容器
1 充填ノズル
2 供給バルブ
3 エアーレギュレーター
4 収納タンク
5 高さ調整装置
6 電磁弁
7 電磁弁
8 エアーレギュレーター
10 液面検知管
20 微差圧センサー
100 充填開始工程
200 液体充填工程
300 充填終了工程
400 液体除去工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を充填ノズルで容器内に充填し、該容器内の液面の高さを検知する液面センサーで充填量を調整する液体充填方法において、中空状を成し先端が開放された液面検知管の先端を液面が密封したときに液面検知管内部に生じる微小な差圧を微差圧センサーが検知して液体の充填を止める充填終了工程を有することを特徴とする液体充填方法。
【請求項2】
前記液体充填方法において、前記液面検知管の中空部先端からエアブローを吹き出して該先端に付着した液体を除去する液体除去工程を有する請求項1記載の液体充填方法。
【請求項3】
前記液体充填方法において、前記充填ノズルの先端を容器内の底部近傍まで下げて泡や飛沫の発生を防止しながら液体の充填を開始する充填開始工程と、上昇する液面と充填ノズルとの間隔を略一定にして充填ノズルを持ち上げながら充填する液体充填工程とを有する請求項1又は2記載の液体充填方法。
【請求項4】
液体を充填ノズルで容器内に充填し、該容器内の液面を検知する液面センサーで充填量を調整する液体充填装置において、充填ノズルの先端部周囲に設けられ先端部が開放された略筒状の液面検知管と、該液面検知管の先端が液面で密封されたときに液面検知管内部の微差圧を検知する微差圧センサーとを備え、該微差圧センサーの作動で前記供給バルブを閉じるように設けたことを特徴とする液体充填装置。
【請求項5】
前記液体充填装置において、前記液面検知管の先端部からエアブローを排出する電磁弁を設け、前記液面検知管の先端部に付着した液体を除去するように設けた請求項4記載の液体充填装置。
【請求項6】
前記液体充填装置において、液体を貯留する収納タンクと、該収納タンクを加圧し液体を充填ノズル側に供給するエアーレギュレーターと、該シリンダーの先に設けられ充填ノズルへの液体供給量を調整する供給バルブと、容器の内部に先端部を挿入する筒状の充填ノズルと、液体充填時の充填ノズルの高さを調整する高さ調整装置とを備えた請求項4又は5記載の液体充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−292512(P2009−292512A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149160(P2008−149160)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(392025216)秋元産機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】