説明

液体吐出ヘッド及び画像形成装置

【課題】FPCとFFCとを接合接続したフレキシブル配線部材の接合部における亀裂破損を低減する。
【解決手段】フレキシブル配線部材は、FPC15の後端側とFFC16の先端側で配線電極302と配線電極312とが半田にて接合されて電気的に接続され、FPC15には、FPC15とFFC16の接合端68の延長線70上であって、FFC16の配線電極312の並び方向両側部に、FPC15を補強する補強部材71、71が延長線70に沿う方向設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置、例えばインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
液体吐出ヘッドとしては、例えば、液滴を吐出する複数の並列されたノズルに個別に対応する複数の圧力発生室の壁面の一部を形成する振動板部材を圧電素子によって変位させ、各圧力発生室の容積を変化させて液滴を吐出させる圧電アクチュエータを使用するものがある。なお、アクチュエータは圧電アクチュエータに限るものではなく、例えばサーマルアクチュエータ、静電アクチュエータなどを用いるものもある。
【0004】
そして、例えば圧電アクチュエータを使用する場合、各圧電素子の電極は駆動回路(ドライバIC)が実装されたフレキシブルプリント基板(以下「FPC」という。)を介して制御部に接続されており、このFPCと装置本体側から供給される各種信号をFPCに伝達するフレキシブルフラットケーブル(以下「FFC」という。)を接続し、制御部による圧力発生室毎の圧電素子の変位を制御するための信号伝達を行うようにしている。
【0005】
従来、FPCとFFCとを接続する接続構造として、例えば、接続部近傍において、曲げ応力が加わった場合に接続部近傍の回路パターンが断線することを確実に防ぐため、FPCとFFCの半田接合部を絶縁フィルムにより補強することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−027762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているようにFPCとFFCを接合接続したフレキシブル配線基板にあっては、FPCのFFCの接合端近傍において亀裂が発生して破損するおそれがあるという課題がある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、接合された2つのフレキシブルケーブルの接合端における亀裂破損を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出するノズルが連なって通じる個別流路内の液体を加圧する圧力発生手段と、
前記圧力発生手段を駆動するための信号を伝送する配線電極が形成されたフレキシブル配線部材と、を備え、
前記フレキシブル配線部材は、第1のフレキシブルケーブルの配線電極の後端部に第2のフレキシブルケーブルの配線電極の先端部を接合して接続した部材であり、
前記第1フレキシブルケーブル及び第2フレキシブルケーブルのいずれか一方のフレキシブルケーブルには、他方のフレキシブルケーブルの接合端の延長線上に、前記一方のフレキシブルケーブルを補強する補強部材が設けられている
構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、接合された2つのフレキシブルケーブルの接合端における亀裂破損を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す分解斜視説明図である。
【図2】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【図3】同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向)に沿う一例の断面説明図である。
【図4】同じく他の例の断面説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態の説明に供する圧電アクチュエータの正面説明図である。
【図6】図5のA−A線に沿う断面説明図である。
【図7】比較例の説明に供する圧電アクチュエータの正面説明図である。
【図8】同じくFPCの亀裂破損の説明に供する図6と同様な断面説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態の説明に供する圧電アクチュエータの正面説明図である。
【図10】本発明の第3実施形態の説明に供する圧電アクチュエータをFPCの電極面側から見た(図6の矢示C方向から見た)説明図である。
【図11】本発明の第4実施形態の説明に供する圧電アクチュエータをFPCの電極面側から見た(図6の矢示C方向から見た)説明図である。
【図12】本発明の第5実施形態の説明に供する圧電アクチュエータをFPCの電極面側から見た(図6の矢示C方向から見た)説明図である。
【図13】本発明の第6実施形態の説明に供する圧電アクチュエータの正面説明図である。
【図14】本発明に係る画像形成装置の一例を示す機構部の側面説明図である。
【図15】同機構部の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体吐出ヘッドの一例について図1ないし図4を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図、図3及び図4は同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向)に沿う異なる例の断面説明図である。
【0013】
この液体吐出ヘッドは、SUS基板で形成した流路板(流路基板、液室基板などとも称される。)1と、この流路板1の下面に接合した振動板を形成する振動板部材2と、流路板1の上面に接合したノズル板3とを有している。
【0014】
これらによって、液滴(液体の滴)を吐出する複数のノズル4がそれぞれノズル連通路5を介して連なって通じる個別流路としての複数の液室(加圧液室、圧力室、加圧室、流路などとも称される。)6、液室6にインクを供給する供給路を兼ねた流体抵抗部7、この流体抵抗部7を介して液室6に連なって通じる液体導入部8を形成している。
【0015】
そして、後述するフレーム部材17に形成した共通液室10から振動板部材2に形成した供給口9を介して液体導入部8、流体抵抗部7を介して液室6に液体を供給する。
【0016】
流路板1は、流路板1Aと連通板1Bとを接着して構成している。この流路板1は、SUS基板を、酸性エッチング液を用いてエッチング、あるいは打ち抜き(プレス)などの機械加工することで、連通路5、加圧液室6、流体抵抗部7などの開口をそれぞれ形成している。
【0017】
振動板部材2は、第1層2Aと第2層2Bとで形成されて、第1層2Aで薄肉部を形成し、第1層2A及び第2層2Bで厚肉部を形成している。そして、この振動板部材2は、各液室6に対応してその壁面を形成する第1層2Aで形成された各振動領域(ダイアフラム部)2aを有し、この振動領域2aの中に、面外側(液室6と反対面側)に第1層2A及び第2層2Bの厚肉部で形成された島状凸部2bが設けられ、この島状凸部2bに振動領域2aを変形させる圧力発生手段(アクチュエータ手段、駆動手段)としての電気機械変換素子を含む本発明に係るアクチュエータである圧電アクチュエータ100を配置している。
【0018】
この圧電アクチュエータ100は、ベース部材13上に接着剤接合した複数(ここでは2つとする)の積層型圧電部材12を有し、圧電部材12にはハーフカットダイシングによって溝加工して1つの圧電部材12に対して所要数の圧電柱12A、12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
【0019】
なお、圧電部材12の圧電柱12A、12Bは、同じものであるが、駆動波形を与えて駆動させる圧電柱を駆動柱12A、駆動波形を与えないで単なる支柱として使用する圧電柱を非駆動柱12Bとして区別している。そして、駆動柱12Aの上端面(接合面)を振動板部材2の島状凸部2bに接合している。
【0020】
ここで、圧電部材12は、圧電材料層21と内部電極22A、22Bとを交互に積層したものであり、内部電極22A、22Bをそれぞれ端面、即ち圧電部材12の振動板部材2に略垂直な側面(積層方向に沿う面)に引き出して、この側面に形成された端面電極(外部電極)23、24に接続し、端面電極(外部電極)23、24間に電圧を印加することで積層方向の変位を生じる。ここでは、外部電極23は、個々の駆動柱12A毎の個別外部電極であり、外部電極24は各駆動柱12Aに共通の共通外部電極であり、図示しないが、圧電部材12の端部において、個別外部電極23側の面に引き出されている。
【0021】
また、圧電部材12には駆動柱12Aに駆動信号を与えるための本発明におけるフレキシブル配線部材300が接続されている。このフレキシブル配線部材300は、後述するように、フレキシブルケーブルであるFPC(フレキシブルプリント基板)15の配線電極とフラットケーブルであるFFC(フレキシブルフラットケーブル)16の配線電極とを半田接合して接続した部材である。
【0022】
FPC15は、駆動柱12Aに駆動波形(駆動信号)を与える後述するドライバIC(駆動回路)320が実装されて、先端部側が圧電部材12の個別外部電極23及び共通外部電極24を個別外部電極23に引き出した図示しない取出し用共通外部電極に接続され、後端部にFFC16の先端部が接合されている。FFC16の後端部は、装置本体の図示しない制御基板(制御部)に接続されている。
【0023】
なお、ここでは、上述したように、圧電部材12の圧電柱12A、12Bは、同じものであり、駆動波形を与えて駆動させる圧電柱を駆動柱12A、駆動波形を与えないで単なる支柱として使用する圧電柱を非駆動柱12Bとして、図3に示すように、駆動柱12Aと非駆動柱12Bとを交互に使用するバイピッチ構成としているが、図4に示すように、すべての圧電柱を駆動柱12Aとして使用するノーマルピッチ構成とすることもできる。
【0024】
ノズル板3は、ニッケル(Ni)の金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法(電鋳)で製造している。このノズル板3には各液室6に対応して直径10〜35μmのノズル4を形成し、流路板1に接着剤接合している。そして、このノズル板3の液滴吐出側面(吐出方向の表面:吐出面、又は液室6側と反対の面)には撥水層を設けている。
【0025】
さらに、これらの圧電部材12、ベース部材13及びFPC15などで構成されるアクチュエータ100の外周側には、エポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成したフレーム部材17を接合している。
【0026】
そして、このフレーム部材17には前述した共通液室10を形成し、更に共通液室10に外部から記録液を供給するための供給口を形成し、この供給口19は更に図示しないサブタンクやインクカートリッジなどのインク供給源に接続される。
【0027】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば押し打ち方式で駆動する場合には、図示しない制御部から記録する画像に応じて駆動柱12Aに20〜50Vの駆動パルス電圧を選択的に印加することによって、パルス電圧が印加された駆動柱12Aが変位して振動板部材2の振動領域2aをノズル板3方向に変形させ、液室6の容積(体積)変化によって液室6内のインクを加圧することで、ノズル板3のノズル4から液滴が吐出される。そして、液滴の吐出に伴って液室6内の圧力が低下し、このときの液流れの慣性によって液室6内には若干の負圧が発生する。
【0028】
この状態の下において、圧電柱12Aへの電圧の印加をオフ状態にすることによって、振動板部材2が元の位置に戻って液室6が元の形状になるため、さらに負圧が発生する。このとき、共通液室10から液室6内にインクが充填され、次の駆動パルスの印加に応じて液滴がノズル4から吐出される。
【0029】
なお、液体吐出ヘッドは、上記の押し打ち以外にも、引き打ち方式(振動板部材2を引いた状態から開放して復元力で加圧する方式)、引き−押し打ち方式(振動板部材2を中間位置で保持しておき、この位置から引いた後、押出す方式)などの方式で駆動することもできる。
【0030】
次に、本発明の第1実施形態について図5及び図6を参照して説明する。なお、図5は同実施形態の説明に供する圧電アクチュエータの正面説明図、図6は図5のA−A線に沿う断面説明図である。
【0031】
フレキシブル配線部材300は、前述したように、第1のフレキシブルケーブル(薄層配線部材)であるFPC15と第2のフレキシブルケーブル(薄層配線部材)であるFFC16とを接合して接続した部材である。
【0032】
FPC15は、基材301に導体パターンからなる配線電極302が形成され、図示しない保護膜にて配線電極302が被覆されている。例えば、基材301はポリイミド、導体パターン(配線電極)302はCu、保護膜はレジストなどからなる。
【0033】
FFC16は、基材311に導体パターンからなる配線電極312が形成され、図示しない保護膜で被覆されている。例えば、基材311及び保護膜はPET樹脂、導体パターン(配線電極)312はCuからなる。
【0034】
そして、FPC15の後端側とFFC16の先端側で配線電極302と配線電極312とが半田66にて接合されて電気的に接続されている。
【0035】
このフレキシブル配線部材300のFPC15の先端側は、配線電極302が半田66にて駆動柱12Aの個別外部電極23などに接合されている。FPC15は、駆動柱12Aとの接合部を外乱から保護するためにホットメルト部材64を塗布してベース部材13に固定している。
【0036】
そして、FPC15には、FPC15とFFC16の接合端68の延長線70上であって、FFC16の配線電極312の並び方向両側部に、FPC15を補強する補強部材71、71が設けられている。なお、接合端68とは、FPC15の配線電極302とFFC16の配線電極312とを半田接合している部分における、配線電極並び方向と直交する方向の先端を意味する。
【0037】
ここで、本実施形態では、補強部材71、71は、延長線70に沿う方向、すなわち、FPC15の配線電極302の並び方向に沿って設けられている。
【0038】
補強部材71は、強度及び接液性を持ったものが好ましく、ディスペンス塗布装置などで吐出した接着剤で形成している。例えば、補強部材71として塗布する材料としては、熱可塑性の合成樹脂又はゴムをベースとした100%固形分、無溶剤形の接着剤を用いていることができる。
【0039】
また、FPC15に塗布する接着剤で形成した補強部材71は、FPC15の配線電極302を形成する領域に対して凸部となることが好ましい。また、補強部材71の幅、高さ及び長さについては、例えば、幅は1mm以上、高さは0.05mm以上、長さは1mm以上とすることが好ましい。
【0040】
また、補強部材71は、FPC15の配線電極302を形成する側の面(これを「電極面」という。)あるいは電極面と反対側の面、あるいは、電極面及び電極面と反対側の面の両面に設けることができる。特に、FPC15の部分的な厚みが厚くなっても良い場合には、両面の同じ箇所に設けることで、より確実な補強を行うことができる。なお、本実施形態は、電極面と反対側の面に補強部材71を設けている。
【0041】
このように構成したので、FPC15とFFC16との接合端68で発生するFPC15の亀裂破損を低減することができる。
【0042】
この点について図7及び図8に示す比較例を参照して説明する。この比較例は、上記実施形態の補強部材71を有しない例である。
【0043】
この比較例では、フレキシブル配線部材300は、FPC15とFFC16を接合接続したとき、FPC15がFFC16の接合端68で屈曲して、FPC15の配線電極302の断線やFPC15自体の破損(破け)を生じる可能性がある。
【0044】
これに対し、本実施形態では、FFC16の接合端68の配線電極並び方向の延長線70上に補強部材71、71を設けているので、補強部材71、71はFPC15の屈曲に対する梁となり、FPC15の屈曲に対する強度が高くなって曲がりにくくなり、FPC15の配線電極302の断線やFPC15自体の破損(破け)が低減する。
【0045】
また、補強部材71、71は、FPC15とFFC16の接合端68の延長線70上であって、FFC16の配線電極312の並び方向両側部に設け、FFC16のFPC15とFFC16の接合部分には補強部材71を設けていない。
【0046】
これにより、FPC15とFFC16の配線電極302、312の接合部分における電流密度を確保し、接合部分の低低抵抗を維持することができる。また、接合部分を補強する場合、接合後に補強せざるをえないが、接合部分ではない領域に補強部材を設けることでFPC15の部品単体の状態で補強部材を形成することができ、接合後に補強を行う場合と比べて作業性の著しい改善が図れる。
【0047】
このように、フレキシブル配線部材は、第1のフレキシブルケーブルの配線電極の後端部に第2のフレキシブルケーブルの配線電極の先端部を接合して接続した部材であり、前記第1フレキシブルケーブルには、前記第2のフレキシブルケーブルの接合端の延長線上に、前記第1のフレキシブルケーブルを補強する補強部材が設けられている構成とすることで、第1のフレキシブルケーブルが第2のフレキシブルケーブルの接合端で亀裂が生じて破損することを低減できる。
【0048】
そして、この場合、補強部材を配線電極同士の接合部分には設けていないので、接合部分における電気的特性を変化させることなく、屈曲強度の向上を図れ、補強作業の作業性も改善できる。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態について図9を参照して説明する。なお、図9は同実施形態の説明に供する圧電アクチュエータの正面説明図である。
【0050】
本実施形態では、補強部材71は、FPC15の電極面と反対の面側に、FPC15の配線電極302の並び方向と交差する方向(延長線70と交差する方向)に沿う方向に設けている。
【0051】
これにより、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また補強部材71の端部(図7上下方向)を延長線70から離すことができるため、より延長線70近傍での折り曲げの発生を防止することができる。
【0052】
次に、本発明の第3実施形態について図10を参照して説明する。なお、図10は同実施形態の説明に供する圧電アクチュエータをFPCの電極面側から見た(図6の矢示C方向から見た)説明図である。
【0053】
本実施形態では、補強部材71は、FPC15の電極面側に、FPC15の配線電極302に沿う方向に設けている。
【0054】
これにより、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。またFFCをFPCに接合する際に同一面で補強部材の塗布も可能となるため、同一製造装置内での処理が可能となり、工程を短縮することができる。
【0055】
次に、本発明の第4実施形態について図11を参照して説明する。なお、図11は同実施形態の説明に供する圧電アクチュエータをFPCの電極面側から見た(図6の矢示C方向から見た)説明図である。
【0056】
本実施形態では、補強部材71は、FPC15の電極面側に、FPC15の配線電極302の並び方向と交差する方向(延長線70と交差する方向)に設けている。また、FFC16の配線電極312の並び方向の両側に、それぞれ複数の補強部材71を設けている。
【0057】
これにより、前記第3実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
また、FPC15に穴304などが形成されていて1箇所では十分な補強が得られない場合でも、補強部材71を、FPC15の配線電極302の並び方向と交差する方向(延長線70と交差する方向)に沿う方向に複数箇所に設けることで、十分な補強を行うことができる。
【0059】
同様に、補強部材71を、FPC15の配線電極302の並び方向と交差する方向(延長線70と交差する方向)に設けることで、FPC15にチップコンデンサや駆動ICが存在する場合に、チップコンデンサや駆動ICを避けて、FFC16の接合端68の延長線70上に補強部材71を配置することができる。
【0060】
次に、本発明の第5実施形態について図12を参照して説明する。なお、図12は同実施形態の説明に供する圧電アクチュエータをFPCの電極面側から見た(図6の矢示C方向から見た)説明図である。
【0061】
本実施形態では、FPC15の電極面と反対側の面であって、FFC16の配線電極312の並び方向の両側の一方には、FPC15の配線電極302の並び方向と交差する方向(延長線70と交差する方向)に複数の補強部材71を設け、他方にはFFC16の配線電極312の並び方向にそって補強部材71を設けている。
【0062】
このように左右の補強部材71を非対象に配置することにより、折り曲げに対する強度をより高くすることができる。
【0063】
具体的に説明すると、図10や図11の構成では延長線70での折り曲げは防止できるが、接合部に繰り返し応力がかかった場合には、両側の補強部材の上端同士を結んだラインに常に折れ曲がりの応力が生じることとなり、この部位で断線が生じる可能性がある。これに対し、本実施形態ではFFC16が(紙面手前−奥方向に)動いたとしても補強部材の端部がそろっていないため、変形形状が固定されず同じ位置が折れ曲がり続けることがない(特に右側)。したがって、本実施形態では図10、図11の構成よりもFFC端部に平行な方向の折り曲げに対する耐久性を向上させることができる。
【0064】
次に、本発明の第6実施形態について図13を参照して説明する。なお、図13は同実施形態の説明に供する圧電アクチュエータの正面説明図である。
【0065】
本実施形態では、補強部材71は、FFC16の基材311と重なる領域に設けている。
【0066】
このようにFFC16の基材311と重なる領域に重なっていても、配線電極302、312同士の接合部と重なっていなければ、前記第1実施形態と同様の作用効果をえることができる。また、FFC16の基材311と重なることで、補強部材71と基材311が干渉するため、より折り曲げ変形を防止することができる。
【0067】
上記各実施形態においては、前述したように、FPC15の圧電部材12との接合部分の剥離を防止するため、ベース部材13とFPC15との間にホットメルト部材64を塗布している。そこで、ホットメルト部材64を塗布する工程で、補強部材71もFPC15に塗布することで、工程の増加を招くことなく、FPC15の補強を行うことができる。
【0068】
ここまでは補強部材をFPC15上に設ける実施形態について記載してきたが、これらの実施形態に限られず、例えばFFC16上のFPC15との接合端の延長線上であって、FFC15の配線電極302の並び方向両側部に、FPC16を補強する補強部材を設けてもよい。FPC15とFFC16とのそれぞれの厚さ等により、より断線が生じやすい方の上に補強部材を設ければよい。
【0069】
なお、上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに液体を供給するタンクを一体化することでヘッド一体型液体カートリッジ(カートリッジ一体型ヘッド)を得ることができる。
【0070】
次に、本発明に係る画像形成装置の一例について図14及び図15を参照して説明する。なお、図14は同装置の機構部の側面説明図、図15は同機構部の要部平面説明図である。
【0071】
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0072】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0073】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する液体吐出ヘッド234a、234bを1つのベース部材に取り付けて構成したもので、一方のヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方のヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、各色毎の液体吐出ヘッドを備えることもできる。
【0074】
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク235a、235b(区別しないときは「サブタンク235」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0075】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0076】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0077】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0078】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0079】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0080】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0081】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0082】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0083】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0084】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0085】
このように、この画像形成装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、信頼性が向上し、高画質画像を形成することができる。
【0086】
なお、上記実施形態では本発明をシリアル型画像形成装置に適用した例で説明したが、ライン型画像形成装置にも同様に適用することができる。また、上記実施形態では、FPCとFFCとを接続した例で説明したが、FPCとFPC、FFCとFFCの接続にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 流路板(流路基板)
2 振動板部材
3 ノズル板
4 ノズル
6 液室
10 共通液室
12 圧電部材
12A 駆動柱
12B 非駆動柱
112 圧電柱
13 ベース部材
15 FPC(フレキシブル配線基板)
16 FFC(フレキシブルフラットケーブル)
23 電極
300 フレキシブル配線部材
302 電極
304 接続部分
305 半田
312 電極
314 接続部分
233 キャリッジ
234a、234b 記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズルが連なって通じる個別流路内の液体を加圧する圧力発生手段と、
前記圧力発生手段を駆動するための信号を伝送する配線電極が形成されたフレキシブル配線部材と、を備え、
前記フレキシブル配線部材は、第1のフレキシブルケーブルの配線電極の後端部に第2のフレキシブルケーブルの配線電極の先端部を接合して接続した部材であり、
前記第1フレキシブルケーブル及び第2フレキシブルケーブルのいずれか一方のフレキシブルケーブルには、他方のフレキシブルケーブルの接合端の延長線上に、前記一方のフレキシブルケーブルを補強する補強部材が設けられている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記補強部材は、前記一方のフレキシブルケーブルに塗布された熱可塑性の接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記樹脂部材は、合成樹脂又はゴムをベースとする100%固形分、無溶剤型の接着剤であることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記補強部材は、前記他方のフレキシブルケーブルの接合端における配線電極の並び方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記補強部材は、前記他方のフレキシブルケーブルの接合端における配線電極の並び方向と交差する方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−59984(P2013−59984A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201540(P2011−201540)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】