説明

液体吐出装置および液体攪拌方法

【課題】 液体を均一な濃度に維持し、且つ、効率よく攪拌すること。
【解決手段】液体を吐出する液体吐出ヘッド50と、液体吐出ヘッド50へ供給される液体を貯蔵するメインタンク60と、液体吐出ヘッド50内の略全ての液体をメインタンク60へ回収する液体回収手段としての電磁弁41、42と、液体吐出ヘッド50内の略全ての液体がメインタンク60へ回収された状態でメインタンク60内の液体を攪拌する回転子32を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置および液体攪拌方法に係り、特に所定の媒体に液体を吐出する液体吐出装置および液体を攪拌する液体攪拌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原材料を微粒子化して溶媒に分散させてなる液体では、一般に、経時的に微粒子の凝集、沈降が発生する。微粒子としては、例えば、顔料、高分子樹脂、金属、ガラスおよびこれらの酸化物や化合物などが挙げられる。これらの微粒子が凝集、沈降した液体を吐出すると、吐出結果に濃度ムラや歪み、色再現性悪化、微粒子密度不均一等の品質の劣化が発生する。
【0003】
そこで、従来、液体を攪拌するようにしたものが提案されている。
【0004】
特許文献1には、ノズルにインクを導くマニフォールドにはその内部のインクを攪拌する第1の攪拌手段を設け、マニフォールドにインクを供給する供給路にはその内部のインクを攪拌する第2の攪拌手段を設け、さらに、インクを貯蔵する容器にはその内部のインクを攪拌する第3の攪拌手段を設けたものが開示されている。
【0005】
特許文献2には、インクタンク内のインクの攪拌を行う攪拌機構を設けるとともに、インクタンクからインクを供給する前に攪拌機構を動作させる制御部を設けたものが開示されている。
【特許文献1】特開2003−72104号公報
【特許文献2】特開2005−138488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最下部に吐出面が配置された液体吐出ヘッドを有するインクジェットプリンタなどの液体吐出装置では、微粒子がノズルに沈降して凝集することによりノズル詰まりが発生し易いが、液体吐出ヘッドが往復移動を行ういわゆるシャトルヘッド構造の場合には、液体吐出ヘッドの往復動作により液体吐出ヘッド内の液体が攪拌される一方で、液体吐出ヘッドの往復移動を行わないラインヘッド構造の場合には、通常、液体が攪拌されない。
【0007】
また、液体吐出ヘッド内だけでなく、液体吐出ヘッドへ供給される液体を貯蔵するタンク、さらにはタンクから液体吐出ヘッドへ至る液体の供給路においても液体が存在し、これらの複数箇所において微粒子の沈降や凝集が発生するので、装置内の液体の濃度を均一にしようとすると、液体攪拌手段を複数箇所に設ける必要がでてくる。
【0008】
例えば、特許文献1に記載のものでは、マニフォールド、供給路、および、容器に液体攪拌手段が必要となって、コストアップになるとともに、装置の大型化を招くことにもなる。
【0009】
特許文献2に記載のものでは、インクタンクとして、メインタンクとサブタンクとを有する場合、液体が常にそれぞれのタンク内に存在するので、メインタンクおよびサブタンクの両タンクに液体攪拌手段が必要となる。
【0010】
したがって、装置内の液体が散在する全ての箇所に液体攪拌手段を設けることは実際には困難である。
【0011】
一般に、装置が電源オフ状態のまま放置されると、長期間にわたって液体吐出動作や液体供給動作が休止するとともに、液体攪拌動作も行われない。電源オン時に装置内の液体濃度を均一化しようとしても、例えば液体を装置中で長時間循環させながら各箇所で攪拌するなどして、攪拌動作時間を長くする必要がでてくるので、液体の吐出を行う前の準備期間が長くなってしまうという課題もある。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、装置内の液体を均一な濃度にすることができ、且つ、効率よく攪拌することができる液体吐出装置および液体攪拌方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドへ供給される液体を貯蔵する液体貯蔵手段と、前記液体吐出ヘッド内の略全ての液体を前記液体貯蔵手段へ回収する液体回収手段と、前記液体回収手段により前記液体吐出ヘッド内の略全ての液体が前記液体貯蔵手段に回収された状態で前記液体貯蔵手段内の液体を攪拌する液体攪拌手段と、を備えたことを特徴とする液体吐出装置を提供する。
【0014】
この発明によれば、装置内の液体が一箇所に回収されて攪拌されるので、液体吐出装置内で攪拌状態の差が起こりえないことになり、液体吐出装置内の液体の濃度が略均一な濃度に維持される。また、装置内の液体が一箇所に回収されて攪拌されるので、効率よく液体吐出装置内の液体を攪拌できる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、液体吐出時に用いる主電源がオフ状態であるとき、待機電源を用いて前記液体攪拌手段を駆動して前記液体貯蔵手段内の液体を攪拌する駆動手段を備えたことを特徴とする液体吐出装置を提供する。
【0016】
この発明によれば、主電源がオフ状態であるとき、すなわち液体吐出装置が休止状態であるときにも、液体貯蔵手段内で液体が攪拌されて、液体吐出装置内の液体が均一な濃度に維持される。また、主電源の電源オン時、すなわち液体吐出装置の立ち上がり時には、液体吐出ヘッドへ液体を供給してすぐに最初の液体吐出を行い得る。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、液体吐出時に用いる主電源がオンされたとき、前記液体攪拌手段を駆動して前記液体貯蔵手段内の液体を攪拌する駆動手段を備えたことを特徴とする液体吐出装置を提供する。
【0018】
この発明によれば、電源オン時に液体貯蔵手段内で一括して液体が攪拌されるので、最初に吐出される液体の品質が安定する。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記液体攪拌手段は、前記液体貯蔵手段内で回転する回転子からなり、該回転子の回転方向および回転速度のうち少なくとも一方を経時変化させる駆動手段を備えたことを特徴とする液体吐出装置を提供する。
【0020】
この発明によれば、短時間で効率よく液体の濃度を均一にすることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発明において、色材が分散した液体を前記吐出口から所定の記録媒体に対して吐出することにより該記録媒体に画像を形成する画像形成装置として用いられることを特徴とする液体吐出装置を提供する。
【0022】
請求項6に記載の発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッド、および、該液体吐出ヘッドへ供給される液体を貯蔵する液体貯蔵手段を備えた液体吐出装置の液体を攪拌する液体攪拌方法において、前記液体吐出ヘッド内の略全ての液体を前記液体貯蔵手段へ回収する工程と、前記液体吐出ヘッド内の略全ての液体が前記液体貯蔵手段に回収された状態で前記液体貯蔵手段内の液体を攪拌する工程と、を含むことを特徴とする液体攪拌方法を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、装置内の液体を均一な濃度に維持することができ、且つ、効率よく攪拌することができ、液体中の微粒子の凝集や沈降に因る液体品質の劣化を防止して、液体を安定して吐出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面に従って、本発明を実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
[液体吐出ヘッド]
図1は、本発明に係る液体吐出装置に用いられる液体吐出ヘッドの一例の全体構造について、図中の左半分を透視して示す平面図である。
【0026】
図1に示す液体吐出ヘッド50は、いわゆるフルライン型のヘッドであり、被吐出媒体としての記録媒体116の搬送方向(図中に矢印Sで示す副走査方向である)と直交する方向(図中に矢印Mで示す主走査方向である)において、記録媒体116の幅Wmに対応する長さにわたり、記録媒体116に向けて液体を吐出する多数のノズル51(吐出口)を配列させた構造を有している。
【0027】
液体吐出ヘッド50は、具体的には、ノズル51と、ノズル51に連通する圧力室52と、圧力室52内に液体が供給されるように形成された開口部としての液体供給口53とを含んでなる複数の圧力室ユニット54が、主走査方向および主走査方向に対して所定の鋭角θ(0度<θ<90度)をなす斜め方向の2方向に沿って2次元配列されて構成されている。なお、図1では、図示の便宜上、一部の圧力室ユニット54のみ描かれている。
【0028】
複数のノズル51は、詳細には、主走査方向に対して鋭角θをなす方向に沿って一定のピッチdで複数配列されており、主走査方向に沿った一直線上に所定のピッチ「d×cosθ」で配列されたものと等価に取り扱うことができる。このようなノズル配列によれば、主走査方向に沿って例えば1インチ当たり4800個(4800ノズル/インチ)に及ぶような高密度のノズル配列と実質的に同等の構成にできる。すなわち、液体吐出ヘッド50の長手方向(主走査方向)に沿った直線上に並べられるように投影される実質的なノズルの間隔(投影ノズルピッチ)を小さくでき、高解像度にできる。
【0029】
複数の圧力室52にインクを供給する共通液室55は、複数の圧力室52の全てを覆うようにひとつの空間をなす流路として共通液室形成板506に形成されている。
【0030】
共通液室55の端部には、液体吐出ヘッド50の外部(具体的には後述する図5、図6のサブタンク61)から共通液室55にインクが導入されるように形成された開口部としての液体導入口553が形成されている。
【0031】
本例では、金属板(共通液室形成板506)をエッチングして共通液室55が形成されており、これにより共通液室55の剛性が確保される。
【0032】
図1の2−2線に沿った断面図を図2に示す。
【0033】
図2に示すように、液体吐出ヘッド50は、ノズル形成板501、圧力室形成板502、振動板503、アクチュエータ保護板504、505、共通液室形成板506、および、封止板507を含む、複数のプレートが積層されて形成されている。
【0034】
ノズル形成板501には、液体を吐出する複数のノズル51が2次元マトリクス状に形成されている。
【0035】
ノズル形成板501の上には、ノズル51に連通する複数の圧力室52が形成された圧力室形成板502が接着されている。
【0036】
圧力室形成板502の上には、圧力室52の一方の壁面(振動面)を構成し、アクチュエータ58が形成された振動板503が接着されている。
【0037】
アクチュエータ58は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電材料からなる圧力発生用の圧電体580と、この圧電体580を厚さ方向において挟む導電性材料からなる振動板503および個別電極57によって構成されている。
【0038】
アクチュエータ58は、振動板503上の各圧力室52に対応する位置に設けられており、振動板503を振動させて、ノズル51から吐出される液体にエネルギーを付与するエネルギー付与手段として機能する。本例では、アクチュエータ58に与えられた電気エネルギーが、アクチュエータ58により、各圧力室52の容積を変化させることにより各圧力室52内の圧力を変化させる振動エネルギーに変換されて、圧力室52内の液体および圧力室52に連通しているノズル51内の液体に付与される。
【0039】
また、振動板503は、グランドに接続されており、アクチュエータ58の一方の電極(共通電極)を構成している。アクチュエータ58の他方の電極は、個別電極57によって構成されており、この個別電極57から延在してアクチュエータ駆動用の電気配線(駆動配線)が形成されている。
【0040】
また、振動板503には、図1に示した液体供給口53が形成されている。
【0041】
振動板503の上には、アクチュエータ58の周囲に空隙581を形成してアクチュエータの動作を阻害しないようにするとともに、アクチュエータ58全体を保護するアクチュエータ保護板504、505が接着されている。
【0042】
振動板503およびアクチュエータ保護板504、505を挟んで、圧力室形成板502が配置されている側とは反対側には、共通液室形成板506が配置されている。この共通液室形成板506には、圧力室52に液体を供給する共通液室55が形成されている。
【0043】
共通液室形成板506の上には、共通液室55の天面を構成する封止板507が形成されている。アクチュエータ保護板505と封止板507との間の空間は、共通液室55となっており、ここにはインクが充満する。
【0044】
共通液室55は、圧力室52に対してノズル51を下として見たとき、複数の圧力室52の直上に形成されており、共通液室55の底部に形成された開口部としての連通口530からアクチュエータ保護板504、505を貫通して振動板503に形成された液体供給口53まで至る液体供給流路531を介して、各圧力室52に連通している。すなわち、共通液室55内のインクは、液体供給流路531を介して、共通液室55の直下に位置する複数の圧力室52に対して真っ直ぐに流動するので、各圧力室52にインクがリフィル性良く供給されることになる。
【0045】
アクチュエータ58を駆動するための駆動配線59は、アクチュエータ保護板504、505に、水平方向(アクチュエータ58の配置面に平行な方向である)に沿って配設されている。
【0046】
なお、駆動配線の配設形態は特に限定されず、例えば、共通液室形成板506を構成している隔壁中に、共通液室形成板506を厚さ方向に貫通する垂直な駆動配線を設けるようにしてよい。
【0047】
駆動配線59を介してアクチュエータ58の個別電極57に駆動信号が与えられると、アクチュエータ58の圧電体580が変位して、振動板503を介して圧力室52の容積が変化する。これにより圧力室52に連通するノズル51から液体が吐出される。
【0048】
また、アクチュエータ保護板504、505には、共通液室55の液体が振動板503に直接的に接するように、共通液室55側からアクチュエータ保護板504、505をその厚さ方向において貫通して振動板503に達する凹部545(伝熱用凹部)が形成されている。このような凹部545を設けた構造によれば、アクチュエータ58によって発生された熱が、振動板503を介し、凹部545のところで共通液室55内の液体に伝熱することになり、これにより共通液室55内の液体に温度差が生じて、共通液室55内の液体が共通液室55内で循環する。すなわち、アクチュエータ58とは別の発熱素子を共通液室55に設けなくても、アクチュエータ58の駆動により発生する熱エネルギーで、共通液室55内の液体が攪拌されることになる。
【0049】
また、共通液室55を振動板503の上に配置したため、圧力室52からノズル51まで至るノズル流路511の長さを短くすることができ、高粘度インク(例えば10cp〜50cp程度)の吐出が可能となる。
【0050】
本例では、共通液室55が、複数の圧力室52の全てを覆うようにひとつの空間をなす流路として共通液室形成板506に形成されているので、共通液室55のサイズを大きくすることができるとともに、共通液室55中の流路抵抗を低減できることになり、高粘度の液体の吐出に適している、なお、本発明はこのような場合に特に限定されない。例えば、本流と、この本流から分岐して形成された支流からなる構造として共通液室形成板506に形成されていてもよい。
【0051】
また、本発明の実施に際して、ノズル51等の配置構造は、図1および図2に示した例に特に限定されない。例えば、複数のノズル51が2次元的に配列された短尺の複数の液体吐出ヘッドブロックを千鳥状に配列し、これらの液体吐出ヘッドブロックを繋ぎ合わせて長尺化することで、フルライン型の液体吐出ヘッドを構成してもよい。
【0052】
[画像形成装置の機構的な全体構成]
図3は、画像形成装置110の一例の機構的な構成の概略を示す全体構成図である。なお、画像形成装置110は図1および図2に示した液体吐出ヘッド50を複数備えており、図3では、符号「112」に、吐出するインクの色を示す英字(K:黒、C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロ)を付けて示している。
【0053】
画像形成装置110は、具体的には、インクの各色別に設けられた複数の液体吐出ヘッド112K、112C、112M、112Yを有する液体吐出部112と、各液体吐出ヘッド112K、112C、112M、112Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵部114と、紙などの記録媒体116を供給する給紙部118と、記録媒体116のカールを除去するデカール処理部120と、液体吐出部112のノズル面に対向して配置され、記録媒体116の平面性を保持しながら記録媒体116を搬送するベルト搬送部122と、液体吐出部112による吐出結果(液滴の着弾状態である)を読み取る吐出検出部124と、プリント済みの記録媒体を外部に排出する排紙部126を備えている。
【0054】
液体吐出ヘッド112K、112C、112M、112Yから記録媒体116に向けて着色剤(「色材」ともいう)を含む液体(インク)を吐出することにより、記録媒体116に画像を形成する。
【0055】
インクは、水に対して不溶性あるいは難溶性の色材を分散したものであり、色材として分散染料、金属錯塩染料、顔料などが挙げられる。さらに、インクの溶媒に色材を分散させる化合物といては、いわゆる分散剤、界面活性剤、樹脂等を用いることができ、分散剤または界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系等が挙げられ、樹脂分散剤としては、スチレン及び誘電体、ビニルナフタレン及びその誘電体、アクリル酸及びその誘電体等が挙げられ、これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であることが望ましい。また、顔料としては、無機顔料または有機顔料があるが、これらに限定させるものではない。顔料インクは耐光性、耐水性に優れているが、染料系インクに比べ沈降し易い傾向にある。
【0056】
図3においては、給紙部118の一例としてロール紙(連続用紙)を給紙するものを示しているが、予めカットされているカット紙を給紙するものを用いてもよい。ロール紙を使用する装置構成の場合、裁断用のカッタ128が設けられる。給紙部118から送り出される記録媒体116は一般に巻き癖が残りカールする。このカールを除去するために、デカール処理部120において巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム130で記録媒体116に熱を与える。デカール処理後、カット済の記録媒体116は、ベルト搬送部122へと送られる。
【0057】
ベルト搬送部122は、ローラ131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも液体吐出部112のノズル面および吐出検出部124のセンサ面に対向する部分が平面をなすように構成されている。ベルト133は、記録媒体116幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔が形成されている。図3に示したように、ローラ131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において液体吐出部112のノズル面および吐出検出部124のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ134が設けられており、この吸着チャンバ134をファン135で吸引して負圧にすることによってベルト上の記録媒体116が吸着保持される。ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図示省略)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図3において、時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録媒体16は、図3の左から右へと搬送される。なお、縁無しプリント等を形成するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置にベルト清掃部136が設けられている。ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において液体吐出部112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、プリント前の記録媒体116に加熱空気を吹きつけ、記録媒体116を加熱する。プリント直前に記録媒体116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
【0058】
図4は、画像形成装置110の液体吐出部112およびその周辺部分を示す要部平面図である。
【0059】
図4において、液体吐出部112を構成する各液体吐出ヘッド112K、112C、112M、112Yは、媒体搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に沿って配置され、また、画像形成装置110が対象とする最大サイズの記録媒体116の少なくとも一辺を超える長さにわたってノズル(吐出口)が複数配列された、フルライン型ヘッドである。
【0060】
記録媒体116の搬送方向(副走査方向)に沿って、上流側(図4の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の順に各色インクに対応した液体吐出ヘッド112K、112C、112M、112Yが配置されている。記録媒体116を搬送しつつ各液体吐出ヘッド112K、112C、112M、112Yからそれぞれ色材を含むインクを吐出することにより記録媒体116上にカラー画像を形成し得る。
【0061】
このように、フルライン型ヘッドがインク色別に設けられてなる液体吐出部112によれば、媒体搬送方向(副走査方向)において記録媒体116と液体吐出部112を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録媒体116の全面に画像を記録することができる。これにより、主走査方向において往復移動するシャトル型ヘッドに比べて高速プリントが可能であり、生産性を向上させることができる。
【0062】
なお、主走査方向および副走査方向とは、次に言うような意味で用いている。すなわち、記録媒体の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時、(1)全ノズルを同時に駆動するか、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動するか、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動するか、等のいずれかのノズルの駆動が行われ、用紙の幅方向(記録媒体の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)のプリントをするようなノズルの駆動を主走査と定義する。そして、この主走査によって記録される1ライン(帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向という。
【0063】
一方、上述したフルラインヘッドと記録媒体とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットからなるライン)のプリントを繰り返し行うことを副走査と定義する。そして、副走査を行う方向を副走査方向という。結局、記録媒体の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
【0064】
また、本実施形態では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インクの色数や色の組み合わせについては本実施形態に示す例には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する液体吐出ヘッドを追加する構成も可能である。
【0065】
図3に示したように、インク貯蔵部114は、各液体吐出ヘッド112K、112C、112M、112Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各インクタンクは図示を省略した管路を介して各液体吐出ヘッド112K、12C、112M、112Yと連通されている。
【0066】
吐出検出部124は、液体吐出部112の吐出結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
【0067】
吐出検出部124の後段には、後乾燥部142が設けられている。後乾燥部142は、プリントされた画像面を乾燥させる手段であり、例えば加熱ファンが用いられる。後乾燥部142の後段には、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の凹凸形状の表面を有する加圧ローラ145で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
【0068】
このようにして生成されたプリント物は、排紙部126から排出される。この画像形成装置110では、本画像のプリント物と、テストプリントのプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(図示省略)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテストプリントとを同時に並列に形成する場合は、カッタ(第2のカッタ)140によってテストプリントの部分を切り離す。カッタ140は、排紙部126の直前に設けられており、画像余白部にテストプリントを行った場合に、本画像とテストプリント部を切断するものである。また、図示を省略したが、本画像の排出部126Aには、オーダ別に画像を集積するソータが設けられている。
【0069】
[液体流動系]
図5は、本実施形態の画像形成装置110における液体流動系の一例を示す模式図である。なお、図5では液体吐出ヘッドに符号50を付してある。
【0070】
図5において、メインタンク60は、液体吐出ヘッド50へ供給される液体を貯蔵するものであり、図3のインク貯蔵部114に相当する。
【0071】
メインタンク60の内部には、金属または磁石を組み込んだ回転子32が設けられている。その一方で、メインタンク60の外部には、磁石または金属からなる磁性部材34を含んで構成され、メインタンク60内の回転子32とは非連結で磁力により回転子32を回転させて、この回転子32にメインタンク60内の液体を攪拌させる回転子駆動部224が設けられている。
【0072】
本例の回転子32は、メインタンク60の底面に配置されており、メインタンク60の底面に対して略垂直方向に沿った軸線を回転の中心として、底面に対して平行な面(すなわち液面に対して平行な面)内において回転運動することにより、メインタンク60内の液体を攪拌する。
【0073】
なお、回転子32は、メインタンク60の底面以外の位置、例えば側面に設けてられていてもよく、また、水平面以外の面、例えば垂直面(すなわち液面に対して垂直な面)内において回転運動するように設けてもよい。
【0074】
また、本例の回転子駆動部24は、画像形成装置110が電源オン状態であるとき、すなわち主電源240から画像形成装置110の各部に対して電力が供給されているときには、主電源240から供給される電力を用いて、所定の時間間隔で回転子32を回転させる。その一方で、画像形成装置110が電源オフ状態であるときには、待機電源242から供給される電力を用いて、所定の時間間隔で回転子32を回転させる。
【0075】
待機電源242は、充電式バッテリあるいは非充電式バッテリなどのバッテリによって構成されている。
【0076】
このように待機電源242を用いて回転子32を駆動可能な構成によれば、画像形成装置110が電源オフで長期間休止状態となるような場合であっても、休止期間中もメインタンク60内の液体が攪拌され、液体中の微粒子の凝集、沈降が防止されることになる。
【0077】
なお、回転子駆動部224が回転子32と非連結である構成を例に示したが、回転子駆動部224が回転子(例えば回転翼)と連結した構成としてもよい。
【0078】
サブタンク61は、メインタンク60と液体吐出ヘッド50との間に設けられており、メインタンク60から供給された液体を、液体吐出ヘッド50へ送液する前に一旦貯留する。
【0079】
メインタンク60からサブタンク61へ至る流路600(「第1液体供給流路」と称する)の途中には、メインタンク60からサブタンク61へ液体を送液するポンプ62(「液体供給ポンプ」と称する)が設けられている。また、サブタンク61から液体吐出ヘッド50へ至る流路630(「第2液体供給流路」と称する)が設けられている。
【0080】
サブタンク61の天面には、大気と連通する開口部619(「大気連通口」と称する)が形成されている。この大気連通口619を介して大気がサブタンク61に出入りすることにより、サブタンク61内の気圧が大気圧に保たれる。
【0081】
液体供給ポンプ62により液体が送り込まれたサブタンク61内の液面と、液体吐出ヘッド50のノズル面510との高低差(水頭差)により、液体吐出ヘッド50の内圧が所定の負圧に調整される。ここで、所定の負圧とは、大気圧よりも低い圧力であって、液体の吐出に備えてノズル51内の液面(メニスカス)をノズル面510の近傍に設定する圧力である。
【0082】
サブタンク61の底面に形成されている開口部611からメインタンク60へ至る流路610(「第1液体回収流路」と称する)の途中には、この流路610を開閉する第1電磁弁41が設けられている。また、サブタンク61の側壁に形成されている開口部612からメインタンク60へ至る流路620(「第2液体回収流路」と称する)の途中には、この流路620を開閉する第2電磁弁42が設けられている。
【0083】
画像を形成する際には、第1電磁弁41を閉じ且つ第2電磁弁42を開いた状態で、液体吐出ヘッド50から吐出を開始する所定時間前から液体供給ポンプ62を正回転してメインタンク60からサブタンク61へ液体を供給する。そうすると、サブタンク61から第2液体供給流路630を介して液体吐出ヘッド50へ液体が供給されるとともに、サブタンク61内の余分な液体はサブタンク61の側壁の開口部612から第2液体回収流路620を通ってメインタンク60へ戻る。これにより、メインタンク60からサブタンク61への液体の供給が安定し、サブタンク61の液面は一定の高さに保たれる。このようにして一定に保たれたサブタンク61の液面と液体吐出ヘッド50のノズル面510との高低差により、液体吐出ヘッド50内の圧力が所定の負圧に一定に設定されて、ノズル51内のメニスカス位置が設定される。また、吐出動作終了時から所定時間経過したら、液体供給ポンプ62の回転を停止する。
【0084】
また、第1電磁弁41および第2電磁弁42を両方とも開いた状態では、液体吐出ヘッド50内の液体、サブタンク61から液体吐出ヘッド50へ至る第2液体供給流路630内の液体、サブタンク61内の液体、および、サブタンク61からメインタンク60へ至る第1液体回収流路610および第2液体回収流路620内の液体が、全て、メインタンク60内へ回収される。さらに、液体供給ポンプ62の逆回転により、メインタンク60からサブタンク61へ至る第1液体供給流路600内の液体もメインタンク60へ回収される。
【0085】
また、本例において、液体吐出ヘッド50のノズル51内のメニスカス(液面)の位置は、ノズル面510近傍から圧力室52側へ後退自在である。具体的には、液面移動手段として機能する第1電磁弁41を所定時間だけ開状態に設定して、メニスカスの後退量に対応する所定量の液体だけ、液体吐出ヘッド50から第2液体供給流路630を介してサブタンク61へ戻すことにより、メニスカス位置を後退させる。
【0086】
液体受け70は、凹形状で形成されており、液体吐出ヘッド50のノズル面510に対向した状態で、液体吐出ヘッド50のノズル51から液体を受け取る。また、液体受け70の底面に形成されている開口部76(「吸引口」と称する)から廃液タンク68へ至る流路670(「排出流路」と称する)の途中には、ポンプ67(「吸引ポンプ」と称する)が設けられている。液体吐出ヘッド50のノズル51から液体受け70によって受け取られた液体は、排出流路670を介して、廃液タンク68へ排出される。
【0087】
また、液体受け70は、液体受け移動部226により、液体吐出ヘッド50のノズル面510に対して平行な水平方向に移動自在であるとともに、ノズル面510に対して垂直な方向に移動自在である。この液体受け移動部226は、周知の機構およびモータからなる。
【0088】
液体受け70は、液体吐出ヘッド50のノズル面510と対向した位置において、液体吐出ヘッド50内の液体の状態を維持する各種のメンテナンス処理で用いられる。なお、液体受け70を用いたメンテナンス処理の代表例については、後に詳細に説明する。
【0089】
図6は、本実施形態の画像形成装置110における液体流動系の他の例を示す模式図である。なお、図6に示す本例の液体流動系において、図5に示した液体流動系における構成要素と同じ構成要素には、図5における符合と同じ符号を付してあり、既に説明した内容については、以下では説明を省略する。
【0090】
本例では、サブタンク61から液体吐出ヘッド50へ液体を供給する第2液体供給流路630の途中に、すなわち液体吐出ヘッド50の上流に、この第2液体供給流路630を開閉する第3電磁弁43が設けられている。また、液体吐出ヘッド50からサブタンク61へ液体を還流させる流路640(「循環流路」と称する)が設けられており、この循環流路640の途中に、すなわち液体吐出ヘッド50の下流に、循環流路640を開閉する第4電磁弁44と、液体吐出ヘッド50からサブタンク61へ液体を還流させるポンプ64(「液体還流ポンプ」と称する)とが設けられている。
【0091】
図6に示す液体流動系では、サブタンク61から液体吐出ヘッド50内へ供給した液体が、液体還流ポンプ64の駆動により、液体吐出ヘッド50からサブタンク61に循環することによっても、共通液室55内の液体が攪拌されることになる。
【0092】
本例においても、液体吐出ヘッド50のノズル51内のメニスカス位置は、ノズル面510近傍から圧力室52側へ後退自在である。具体的には、第3電磁弁43を閉じて、所定時間だけ第4電磁弁44を開状態に設定するとともに、液面移動手段として機能する液体還流ポンプ64を駆動して、メニスカスの後退量に対応する所定量の液体だけ、液体吐出ヘッド50から循環流路640を介してサブタンク61へ戻すことにより、メニスカス位置を後退させる。
【0093】
また、画像形成装置110の立ち上がり時(電源オン時)などに、液体還流ポンプ64を所定時間だけ駆動することにより、循環流路640を介して液体を循環させることができる。
【0094】
次に、液体受け70の詳細について説明する。
【0095】
図7は、液体吐出ヘッド50に対向して配置可能である液体受け70の一例を、液体吐出ヘッド50のノズル面510側から見た平面図である。また、図8は、図7の8−8線に沿った断面図である。
【0096】
液体受け70は、凹部71を有し、この凹部71の底面には、吸引口76が形成されており、この吸引口76は、排出流路670を介して廃液タンク68に繋がっている。したがって、凹部71内の液体は、排出流路670上の吸引ポンプ67の吸引力により、または、重力により、廃液タンク68へ流動する。
【0097】
液体受け70の凹部71内には、無端状のベルト80が配置されている。このベルト80は、液体吐出ヘッド50の長手方向(主走査方向)に沿って配置された4本の回転軸73(73−1、73−2、73−3、73−4)に掛け渡されて、これらの回転軸73により回転自在に支持されている。
【0098】
4本の回転軸73は、液体吐出ヘッド50のノズル面510に垂直な断面において、液体受け70の凹部71の形状に対応する四角形を成すように、液体受け70の凹部71内に配置されている。ノズル面510に対向する側(すなわち上段)に並べて配置されている第1の回転軸73−1と第2の回転軸73−2とのクリアランスCaは、副走査方向において、ノズル面510に複数のノズル51が2次元配列されてなるノズル配列の幅よりも大きい。
【0099】
図7に示すモータ228(ベルト駆動部)によって、4本の回転軸73が回転されると、これらの回転軸73に掛け渡されたベルト80は、4本の回転軸73に連動して、液体吐出ヘッド50のノズル面510に対して垂直な面内で回動する。
【0100】
図8においてベルト80が矢印Nの方向に略1/4周だけ回転した状態、すなわち図8においてベルト80が略1/4周だけ正回転(時計回り回転)した状態を図9に示す。また、図9においてベルト80が矢印Rの方向に略1/4周だけ回転すると、すなわち図9においてベルト80が略1/4周だけ逆回転(反時計回り回転)すると、図8に示す状態となる。このようにベルト80は、回転軸73を介して、モータ228により、正回転および逆回転が自在である。
【0101】
図7乃至図9に示したベルト80の展開図を図10に示す。なお、図10では、ベルト80の外周面を示している。
【0102】
図10において、ベルト80には、2つの開口部81、82が設けられている。また、ベルト80の外周面には、ノズル51から吐出される液体に対して親液性を有する親液面83と、この親液面83を囲むように配置され、ノズル51から吐出される液体に対して撥液性を有する撥液面84とが形成されている。親液面83における液体の接触角は、撥液面84における液体の接触角よりも小さい。また、親液面83における液体の接触角は、撥液性を有するノズル面510における液体の接触角よりも小さい。
【0103】
親液面83を液体吐出ヘッド50のノズル面510と対向させた状態で、液体吐出ヘッド50のノズル51から液体を吐出することにより、図13に示すように、液体受け70の親液面83と液体吐出ヘッド50のノズル面510との間に液体溜まり351を形成することができる。親液面83は、ノズル面510上のノズル51が形成されている全範囲NA(ノズル範囲)よりも広く形成されており、ノズル範囲NAの全体にわたって、すなわち全てのノズル51を覆うようにして、層状の液体溜り351を形成することができる。
【0104】
なお、液体吐出ヘッド50のノズル面510は、一般に撥液性を有する撥液面となっている。もしも液体溜まり351の形成時に撥液性のノズル面510に撥液面84を対向させた場合には、対向する両面が撥液性を有することになるので、ノズル面510とベルト80との間で液体が移動してこぼれ易い不安定な液体溜まりとなってしまう。そこで、ノズル面510が撥液性であったとしても、液体溜まり351の形成時にノズル面510に親液面83を対向させることにより、少量の液体で、ノズル面510とベルト80との間から液体がこぼれない安定した液体溜り351の形成が可能となる。
【0105】
また、ベルト80の開口部81、82の開口断面積は、液体吐出ヘッド50のノズル面510上のノズル51が形成されている全範囲NA(ノズル範囲)よりも広く、全ノズル51から液体が吐出されたとしても、吐出された液体を全て通過させることが可能である。
【0106】
ベルト80は、例えば、繊維材が編み込まれてなる基材にシリコーン等のゴム材料を含侵させて製造したものを用いる。この場合、ゴム材料は、親液性のゴム材料と撥液性のゴム材料とを使い分けて、ベルト80の外周面に親液面83と撥液面84とを形成することが、好ましい。
【0107】
また、ベルト80は、金属からなる基材に、親液面83と撥液面84とを形成する表面処理を施したものを用いてもよい。この場合、親液面83と撥液面84とを形成し易く、かつ、ベルト80の伸びが少ない点で、好ましい。
【0108】
親液処理は、液体と処理面との接触角が所定の角度より小さくなるように(例えば45度以下)、ベルト80に施される処理である。なお、ベルト80の外周面の接触角が元々親液性を示す所定の角度であれば、親液処理を施す必要はない。
【0109】
撥液処理は、液体と処理面との接触角が所定の角度より大きくなるように(例えば50度以上)、ベルト80に施される処理である。なお、ベルト80の外周面の接触角が元々撥液性を示す所定の角度であれば、撥液処理を施す必要はない。
【0110】
また、ベルト80の伸びが許容値を超えるような場合には、液体受け70内部にベルトテンション機構を設ける構成が、好ましい。
【0111】
また、液体受け70の凹部71の周囲にある陵部72には、図7に示されているように環状に形成されたシール材74が配置されている。このシール材74は、弾性材料からなり、また、図8に示されているように、ノズル面510に垂直な断面の形状が凸形状である。液体受け70が液体吐出ヘッド50のノズル面510に対して押圧された状態では、シール材74は、その弾性力によりノズル面510に密着し、すなわち液体吐出ヘッド50のノズル面510を密封して、全てのノズル51を大気から遮蔽する。これにより、液体吐出ヘッド50からの液体の揮発が防止される。
【0112】
シール材74の高さは、ベルト80とノズル面510との距離が1mm程度である場合、例えば、自由長が2mm程度であって、押圧状態ではシール材74に縮みおよび曲がりが生じることによりベルト80とノズル面510との間に1mm程度の距離を確保する。
【0113】
また、液体受け70の陵部72には、図7に示されているように、主走査方向Mに沿って、すなわち液体受け70が液体吐出ヘッド50に対して水平移動する副走査方向S(媒体搬送方向)とは略直交する方向に沿って、ワイパ75が形成されている。このワイパ75は、弾性材料からなり、また、図8に示されているように、ノズル面510に垂直な断面の形状が凸形状である。液体受け70が副走査方向Sにおいて液体吐出ヘッド50に対して水平移動すると、液体受け70のワイパ75が副走査方向Sにおいて液体吐出ヘッド50のノズル面510上を摺動し、ノズル面510上の液体などが拭き取られる。
【0114】
ノズル面510から拭き取られた液体は、液体受け70の陵部72から凹部71の側壁へ至る液体誘導路76を通るか、あるいは液体誘導路76を通らないで直接に、凹部71の底面へ向けて流動する。
【0115】
なお、ワイパは、液体受け70の陵部72に形成した構成に特に限定されず、ベルト80に形成した構成としてもよい。
【0116】
図11は、ワイパ85が形成されたベルト800の展開図である。なお、図11に示す本例のベルト800において、図10に示したベルト80における構成要素と同じ構成要素には、図10における符合と同じ符号を付してあり、既に説明した内容については、以下では説明を省略する。図12は、図11の12−12線に沿った断面図である。
【0117】
本例では、ベルト800の撥液面84に、主走査方向Mに沿って凸形状のワイパ85を形成してある。
【0118】
このようにベルト800にワイパ85を配置した構成によれば、ベルト800の回動に追従してノズル面510のワイピングが行われるので、図10に示すように液体受け70の陵部72にワイパ75を配置した構成と比較して、機構の簡略化が可能となる。詳細には、図7および図8に示すように液体受け70の陵部72にワイパ75を形成した構成では、液体受け70の外側に液体が垂れて行かないように液体受け70(または液体吐出ヘッド50)を精密に平行に移動させる機構が必要となるが、図11および図12に示すようにベルト800の外周面にワイパ85を形成した構成では、モータ228の駆動により回転軸73を介してベルト800を回動させればよい。さらに、前述のように液体受け70の陵部72にワイパ75を配置した構成では、液体受け70の外側に液体が垂れていかないようにするため、基本的には片方向の拭き取り動作となるが、本例のベルト800にワイパ85を配置した構成によれば、ベルト800の正回転および逆回転によりワイパ85をノズル面510上で往復させることができる。すなわち拭く方向の自由度が向上して、効率的に拭き取りできる。
【0119】
[画像形成装置のシステム構成]
図14は、画像形成装置110のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【0120】
図14において、画像形成装置110は、主として、図5または図6に示したメインタンク60内の回転子32、図1および図2に示した液体吐出ヘッド50、図7乃至図9に示した液体受け70、ホストコンピュータ300との間で通信を行う通信インターフェース210、画像形成装置110の全体を制御するシステムコントローラ212、メモリ214、252、被吐出媒体を搬送する搬送部222、回転子32を駆動する回転子駆動部224、液体受け70を移動させる液体受け移動部226、液体受け70内のベルト80を駆動するベルト駆動部228、液体を流動させる液体流動部230、液体吐出ヘッド50に係る制御を行うヘッドコントローラ250、および、液体吐出ヘッド50のアクチュエータ58を駆動するアクチュエータ駆動部254を含んで構成されている。
【0121】
なお、図14において第2のメモリ252はヘッドコントローラ250に付随する態様で示されているが、第1のメモリ214と兼用することも可能である。また、ヘッドコントローラ250とシステムコントローラ212とを統合して1つのマイクロプロセッサで構成する態様も可能である。
【0122】
画像形成装置110には、K(黒)、C(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロ)の各色別のインクをそれぞれ吐出し、図3の液体吐出部112を構成する複数の液体吐出ヘッド50が設けられている。
【0123】
通信インターフェース210は、ホストコンピュータ300から送信される画像データを受信する画像データ入力手段である。通信インターフェース210には、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394などの有線、又は、無線のインターフェースを適用することができる。この通信インターフェース210によって画像形成装置110に取り込まれた画像データは、画像データ記憶用の第1のメモリ214に一旦記憶される。
【0124】
システムコントローラ212は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従って画像形成装置110の全体を制御する。すなわち、システムコントローラ212は、通信インターフェース210、搬送部222、回転子駆動部224、液体受け移動部226、ベルト駆動部228、液体流動部230、ヘッドコントローラ250等の各部を制御する。
【0125】
搬送部222は、搬送用のモータおよびそのドライバ回路を含んで構成されており、システムコントローラ212の制御により、図3のローラ131、132やベルト133を用いて、記録媒体116を搬送する。すなわち、搬送部222により、液体吐出ヘッド50と記録媒体116とが相対的に移動する。
【0126】
回転子駆動部224は、システムコントローラ212の制御により、液体攪拌手段として機能する回転子32を駆動して、この回転子32をメインタンク60内で回転させることにより、メインタンク60の液体を攪拌させる。この回転子駆動部224は、システムコントローラ212の制御により、回転子32の回転方向および回転速度を経時変化させる機能を有する。
【0127】
液体受け移動部226は、システムコントローラ212の制御により、液体受け70を媒体搬送方向(副走査方向)において移動させる水平移動、および、液体受け70を液体吐出ヘッド50のノズル面510に対して垂直に移動させる垂直移動の2方向の移動を行なう機構および回路によって構成されている。
【0128】
ベルト駆動部228は、システムコントローラ212の制御により、液体受け70内のベルト80を回動させる機構および回路によって構成されている。このベルト駆動部228は、システムコントローラ212の制御により、ベルト80を回動させることにより、ベルト80の開口部81が液体吐出ヘッド50のノズル面510に対向している状態と、ベルト80の親液面83が液体吐出ヘッド50のノズル面510に対向している状態とを切り換える。
【0129】
液体流動部230は、図5または図6に示した、メインタンク60、サブタンク61、液体供給ポンプ62、液体循環ポンプ64、吸引ポンプ67、廃液タンク68、電磁弁41乃至44、メインタンク60と液体吐出ヘッド50との間の流路600、610、620、630、640、液体受け70と廃液タンク68との間の流路670を含んで構成されている。この液体流動部230を構成している電磁弁41乃至44およびポンプ62、64、67は、システムコントローラ212およびヘッドコントローラ250により制御される。
【0130】
アクチュエータ駆動部254は、システムコントローラ212の指示に応じたヘッドコントローラ250の制御により、図2に示す液体吐出ヘッド50のアクチュエータ58に対して、駆動信号を与えるものである。具体的には、アクチュエータ駆動部254は、液体吐出ヘッド50のノズル51から液体を吐出するとき、および、液体吐出ヘッド50内の液体を攪拌するときに、液体吐出ヘッド50のアクチュエータを駆動する駆動手段として機能する。なお、駆動信号の条件(駆動条件)は各種あり、代表例について後に詳説する。
【0131】
ヘッドコントローラ250は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従って、アクチュエータ駆動部254を介して液体吐出ヘッド50を制御する制御手段である。
【0132】
ヘッドコントローラ250は、画像形成装置110に入力される画像データに基づいて、液体吐出ヘッド50が記録媒体116に向けて液体の吐出を行って記録媒体116上にドットを形成するために必要なデータ(ドットデータ)を生成する。すなわち、ヘッドコントローラ250は、システムコントローラ212の制御に従い、第1のメモリ214内の画像データからドットデータを生成するための各種の加工、補正などの画像処理を行う画像処理手段として機能し、生成したドットデータをアクチュエータ駆動部254に与える。このようにしてドットデータがアクチュエータ駆動部254に与えられると、ドットデータに基づいてアクチュエータ駆動部254から液体吐出ヘッド50のアクチュエータ58に対して駆動信号が出力されて、液体吐出ヘッド50のノズル51から記録媒体116に向けて液体が吐出される。
【0133】
また、液体吐出ヘッド50内の液体の状態を維持する各種のメンテナンス処理は、システムコントローラ212およびヘッドコントローラ250によって制御される。
【0134】
[液体受けを用いたメンテナンス処理]
本画像形成装置110は、システムコントローラ212の制御により、液体受け70を用いて、各種のメンテナンス処理を行う。
【0135】
第1に、液体受け70は、液体吐出ヘッド50内の液体を攪拌する液体攪拌処理で用いられる。
【0136】
液体受け70は、画像形成時には所定の待機位置に位置しており、液体受け70を用いた液体攪拌時には、図15(a)に示すように、液体受け70を所定の待機位置から液体吐出ヘッド50のノズル面510に対向する位置に水平移動させるとともに、液体受け70の親液面83とノズル面51とが液体溜まり形成用の所定のクリアランスとなるように液体受け70を垂直移動し、さらに液体受け70のベルト80をその親液面83がノズル面510に対向するように回動させる。そして、例えば液体吐出ヘッド50の全てのアクチュエータ58を駆動することにより全ての圧力室52内の液体を全てのノズル51から吐出する。そうすると、液体受け70の親液面83と液体吐出ヘッド50のノズル面510との間に層状の液体溜まり351が形成される。なお、液体溜り351の形成は、全てのアクチュエータ58を駆動して形成する場合に限られず、選択された複数のアクチュエータ58を駆動することによっても形成可能である。その後、後に説明する液体攪拌処理を実施する。
【0137】
また、液体攪拌時、ベルト80とノズル面510との間に形成された液体溜まり351がベルト80とノズル面510との間から溢れ無いように前述したように親液面83が撥液面84にて囲まれており、また、シール材74により液体受け70より溢れないよう漏れ防止されて、液体攪拌時に消費される液体量が低減されることになる。
【0138】
液体攪拌処理は、液体溜まり351を形成しないで行う態様もあり、そのような液体溜まり351を形成しない態様については、後に詳細に説明する。
【0139】
第2に、液体受け70は、液体吐出ヘッド50のノズル51から液体が揮発することを防止するようにノズル面510を密封(キャッピング)するキャッピング処理で用いられる。
【0140】
キャッピング時には、液体受け70を用いた液体攪拌時と同様に、図15(b)に示すように、液体受け70の親液面83と液体吐出ヘッド50のノズル面510との間に層状の液体溜まり351を形成するとともに、シール材74によってノズル範囲の全体および液体溜りの全体にわたって覆う。
【0141】
第3に、液体受け70は、液体吐出ヘッド50のノズル51から液体を空吐出する空吐出処理(「パージ」ともいう)で用いられる。
【0142】
液体受け70は、画像形成時には所定の待機位置に位置しており、空吐出時には、図15(c)に示すように、液体受け70を所定の待機位置から液体吐出ヘッド50のノズル面510に対向する位置に水平移動させるとともに、液体受け70のベルト80をその一方の開口部81がノズル面510に対向するように回動させる。ここで、液体受け70の他方の開口部82は、液体受け70の底面に対向した状態(すなわち吸引口76に対向した状態)となる。そして、液体吐出ヘッド50のアクチュエータ58を駆動することにより圧力室52内の液体をノズル51から吐出する。そうすると、液体吐出ヘッド50のノズル51から吐出された液体は、両開口部81、82内を通過して、液体受け70の底面に到達し、この底面に形成されている吸引口76を介して、廃液タンク68に送液される。このような空吐出によって、液体吐出ヘッド50内で増粘した液体や、ノズル51に付着した塵などを、液体吐出ヘッド50から一掃する。
【0143】
第4に、液体受け70は、液体吐出ヘッド50のノズル51から液体等を吸引する吸引処理に用いられる。
【0144】
液体受け70は、画像形成時には所定の待機位置に位置しており、液体受け70を用いた吸引処理時には、図15(d)に示すように、液体受け70を所定の待機位置から液体吐出ヘッド50のノズル面510に対向する位置に水平移動させるとともに、液体受け70のシール材74が液体吐出ヘッド50のノズル面510に密着するように液体受け70を垂直移動し、さらに液体受け70のベルト80をその一方の開口部81がノズル面510に対向するように回動させる。そして、吸引ポンプ67を駆動する。このような吸引によって、前述の空吐出では除去することが困難な物、例えば液体が増粘してノズル51内で凝集してなる半固形物または固形物が、液体とともに液体受け70を介して吸引ポンプ67により吸引される。
【0145】
第5に、液体受け70は、液体吐出ヘッド50のノズル面510を拭き取るワイピング処理に用いられる。
【0146】
図15(e)は、図7乃至図9に示した液体受け70の陵部72に形成されているワイパ75をノズル面510上で摺動させる場合を示している。具体的には、ワイパ75を液体吐出ヘッド50のノズル面510に当接した状態で、液体受け70を副走査方向Sにおいて移動させる。
【0147】
なお、図8および図9には、同一の開口断面積を有する2つの開口部81、82を例示したが、本発明は、このような場合に特に限定されず、2つの開口部81、82の大きさが互いに異なっていてもよい。
【0148】
ただし、空吐出時にノズル面510に対向させる開口部は、少なくともノズル面510内のノズル51が形成されている全範囲(ノズル範囲)よりも大きい開口断面積を有する。これにより、ノズル51から吐出される液体が全て開口部を通過し得るので、ベルト80での液はねが防止される。
【0149】
一方で、吸引時にノズル面510に対向させる開口部81は、ノズル面510内の0のノズル範囲の全部に対応する大きさの開口断面積を有する開口部としてもよく、また、ノズル範囲の一部に対応する大きさの開口断面積を有する開口部としてもよい。ノズル範囲の一部に対応する大きさの開口部とした場合には、ノズル範囲の全部に対応する大きさの開口部とした場合と比較して、吸引力が向上する。
【0150】
[液体攪拌処理]
画像形成装置110における液体攪拌処理の対象の液体を分類しておくと、第1に、液体吐出ヘッド50内の液体、第2に、メインタンク60やサブタンク61などのタンク内の液体、第3に、メインタンク60から液体吐出ヘッド50まで至る流路内の液体がある。
【0151】
これらの液体を攪拌する液体攪拌処理には各種ある。以下では、大きな液体攪拌効果が得られる態様として、第1に、ノズル51内に位置するメニスカスを圧力室52側に後退させた状態で液体吐出ヘッド50内の液体を攪拌する態様と、第2に、液体吐出ヘッド50と液体受け70との間に液体溜りを形成した状態で液体吐出ヘッド50内の液体を攪拌する態様と、第3に、液体吐出ヘッド50内の液体、サブタンク61内の液体、および、メインタンク60から液体吐出ヘッド50まで至る流路内の液体を全てメインタンク60に回収し、メインタンク60内で一括して液体を攪拌する態様について説明する。
【0152】
<第1の液体攪拌態様:メニスカスの後退を行なう態様>
本態様では、液体吐出ヘッド50のノズル51内でノズル面510近傍に位置するメニスカスを圧力室52側へ後退させた後に、液体吐出ヘッド50の液体吐出に用いるアクチュエータ58を駆動して振動板503を振動させることにより、液体吐出ヘッド50内の液体を効率よく攪拌する。
【0153】
このようにメニスカスを後退させて行なう液体攪拌処理の一例について、説明する。
【0154】
液体吐出の終了後は、図17(a)に示すように、液体吐出ヘッド50のノズル51内のノズル面510近傍にメニスカスが位置した状態である。このような状態で、図16のフローチャートに示す液体攪拌処理を開始する。
【0155】
図16において、まず、液体吐出ヘッド50のノズル51内でノズル面510近傍に位置するメニスカスを圧力室52側へ後退させる(ステップS12)。
【0156】
具体的には、液体吐出ヘッド50内の液体量を調整することにより、図17(a)に示すように、ノズル面510の近傍に位置していたメニスカスを、図17(b)に示すように、圧力室52とノズル51との間の吐出流路521の途中の位置まで、後退させる。図17(c)に示すように、圧力室52と吐出流路521との境界まで(すなわち圧力室52内の吐出流路521への入口である連通口5210まで)、メニスカスを後退させるようにしてもよい。
【0157】
図5に示す液体流動系では、サブタンク61の底面の開口部611からメインタンク60へ至る第1液体回収流路610上の第1電磁弁41を所定時間だけ開いて、メニスカスの後退量に応じて所定量だけ、サブタンク61内の液体をメインタンク60へ抜くことにより、液体吐出ヘッド50からサブタンク61へ液体を流動させて、メニスカスを後退させる。すなわち、液体吐出ヘッド50とサブタンク61との間の流路630の頂点を基準とした、ノズル面510の高さとサブタンク61の液面の高さとの差分(水頭差)に因る、いわゆるサイフォン現象を利用して、メニスカスを後退させる。
【0158】
また、図6に示す液体流動系では、サブタンク61から液体吐出ヘッド50へ液体を供給する第2液体供給流路630上の第3電子弁43を閉じるとともに、液体吐出ヘッド50からサブタンク61へ液体を戻す循環流路640上の第4電子弁44を開けて、さらに、液体吐出ヘッド50からサブタンク61へ液体を抜く方向に液体還流ポンプ64を所定時間だけ駆動して、メニスカスの後退量に応じて所定量だけ、液体吐出ヘッド50内の液体をサブタンク61へ戻すことにより、メニスカスを後退させて、第4電磁弁44を閉じる。このようにポンプを利用してメニスカスを後退させる方法によれば、ポンプの駆動量を微小にコントロールすることにより、メニスカスの変位を微小にコントロールすることができる。
【0159】
メニスカスを後退させた後、液体吐出ヘッド50のアクチュエータ58を駆動することにより、振動板503を介して圧力室52内の液体を振動させ、もって液体吐出ヘッド50内の液体を攪拌する(ステップS14)。
【0160】
その後、後退させていたメニスカスを元の位置、すなわちノズル51内においてノズル面510近傍の位置に戻す(ステップS16)。
【0161】
図5に示す液体流動系では、液体供給ポンプ62を所定時間だけ駆動して、メニスカスの戻し量に相当する所定量だけ、メインタンク60側の液体をサブタンク61へ供給することにより、サブタンク61から液体吐出ヘッド50へ液体を流動させて、メニスカスを戻す。
【0162】
図6に示す液体流動系では、第3電磁弁43を開けて、サブタンク61から液体吐出ヘッド50へ液体を供給する方向で、液体還流ポンプ64を所定時間だけ駆動して、メニスカスの戻し量に相当する所定量だけ、サブタンク61側から液体吐出ヘッド50へ液体を流動させて、メニスカスを戻すようにしてもよい。また、図5に示す液体流動系と同様に、液体供給ポンプ62を用いてメニスカスを戻すようにしてもよい。
【0163】
以上説明したようなメニスカスを後退させて行う液体攪拌処理によれば、ノズル51内でノズル面510近傍にメニスカスが位置した状態のままそのメニスカスを微振動させる従来の液体攪拌方法と比較して、アクチュエータ58に与える駆動信号の振幅を大きくして圧力室52内の液体の変位を大きくし、圧力室52内の液体を短時間で効率よく攪拌し得る。
【0164】
液体吐出ヘッド50内の液体を攪拌するときにアクチュエータ58に与える駆動信号の条件(駆動条件)には各種あるので、代表例(駆動条件1および駆動条件2)について、以下説明する。
【0165】
(駆動条件1)液体攪拌用の駆動信号として、液体吐出時にアクチュエータ58に与える駆動信号と略同一の周波数および振幅を有する駆動信号、具体的には液体吐出時と略同一波形の駆動信号を、アクチュエータ58に与える。
【0166】
本態様の液体攪拌処理では、前述のように液体吐出ヘッド50のノズル51内においてノズル面510近傍に位置していたメニスカスを圧力室52側へ後退させてからアクチュエータ58を駆動するので、液体吐出時と略同一波形の駆動信号を与えても、ノズル51から液体が吐出せず、効率よく液体を攪拌できる。
【0167】
このように液体吐出時と略同一波形の駆動信号を用いれば、新たな波形の駆動信号を必要としないので、駆動回路の構成を簡略にできる。
【0168】
なお、液体の攪拌効率をさらに向上させるため、液体吐出時よりもメニスカスの変位や液体中の微粒子の変位が大きくなる駆動条件でアクチュエータ58を駆動できる。圧力室52内に供給側および吐出側を加えた範囲における共振周期がメニスカスの後退にともなって変化することに因っても、吐出不能となる駆動条件、かつ、液体吐出時よりも大きな変位となる駆動条件で、アクチュエータ58を駆動し得る。
【0169】
(駆動条件2)液体攪拌用の駆動信号として、周波数がスイープする駆動信号を、アクチュエータ58に与える。
【0170】
ここで、駆動信号は、例えば、サイン波、矩形波などの単純な波形を用いることにより駆動回路の構成を簡略にしてコストを抑えることができる。例えば、図18に示す矩形の駆動信号をアクチュエータ58に与える。図18の駆動信号は、周波数のスイープとして、周波数を低い方から高い方へ連続的に経時変化させている。言い換えると、周期(図18ではパルス間の時間間隔である)を小さい方から大きい方へ連続的に経時変化させている。
【0171】
周波数のスイープは、広範囲の周波数帯域(例えば数kHz〜数十kHzの周波数帯域)で、段階的(例えば数kHz間隔)あるいは連続的に、周波数を変化させる。
【0172】
このように周波数がスイープする駆動信号をアクチュエータ58に与えること、すなわち周波数がスイープする振動を液体に与えることにより、一般に液体中の微粒子からなる凝集物(例えばインク中の色材が沈降し凝集してなる凝集物)はその大きさや凝集状況により有効な周波数が異なるにもかかわらず、駆動信号の波形を統一しつつ有効な攪拌効果が得られることになる。
【0173】
<第2の液体攪拌態様:液溜まりを形成する態様>
本態様では、液体吐出ヘッド50のノズル面510と液体受け70のベルト80との間に液体溜まりを形成した後に、液体吐出ヘッド50の液体吐出に用いるアクチュエータ58を駆動して振動板503を振動させることにより、液体吐出ヘッド50内の液体を攪拌する。
【0174】
このように液体溜りを形成して行なう液体攪拌処理の一例について説明する。
【0175】
図17(a)に示すように液体吐出ヘッド50のノズル51内においてノズル面510近傍にメニスカスが位置した状態で、図19に示す液体攪拌処理を開始する。
【0176】
図19において、まず、液体受け70を液体吐出ヘッド50のノズル面510に接近させる(ステップS202)。
【0177】
具体的には、副走査方向において、所定の退避位置に配置されていた液体受け70を、液体吐出ヘッド50の直下のメンテナンス位置へ移動させるとともに、液体受け70のベルト80を回動させて、液体受け70のベルト80の親液面83を、液体吐出ヘッド50のノズル面510に対向させる。なお、液体受け70のベルト80の親液面83とノズル面510とのクリアランスは、界面張力により液体溜まりが維持される程度に設定する。
【0178】
次に、液体吐出ヘッド50のアクチュエータ58に液体溜まり形成用の駆動信号を与え駆動することにより、液体吐出ヘッド50のノズル51から液体受け70のベルト80に向けて液体を吐出して、図13に示すように、液体吐出ヘッド50のノズル面510とベルト80の親液面83との間に液体溜まり351を形成する。(ステップS204)。
【0179】
さらに、液体吐出ヘッド50のアクチュエータ58に液体攪拌用の駆動信号を与えて駆動することにより、液体吐出ヘッド50内の液体を攪拌する(ステップS206)。ここで、アクチュエータ58の駆動条件は、前述の駆動条件1または駆動条件2とする。
【0180】
アクチュエータ58の駆動により、振動板503を介して圧力室52内の液体が振動して攪拌されるだけでなく、図20に示すように、吐出流路521からベルト83の親液面83まで連通している液体も振動して攪拌されることになる。また、図2に示すアクチュエータ保護板504、505に形成された凹部545を介して、アクチュエータ58の駆動により発生した熱が振動板503を介して共通液室55に伝熱して、共通液室55内の液体も攪拌されることになる。
【0181】
所定時間だけアクチュエータ58に液体攪拌用の駆動信号を与えた後、液体受け70のベルト80を回動させて、液体受け70のベルト80の開口部81を、液体吐出ヘッド50のノズル面510に対向させるとともに、液体受け70のベルト80の親液面83とノズル面510とのクリアランスを、液体受け70に設けられているワイパ75が液体吐出ヘッド50のノズル面510上を摺動したときにワイパ75がノズル面510に当接する程度に設定する(ステップS208)。
【0182】
次に、ワイパ75に液体吐出ヘッド50のノズル面510上を摺動させる動作(ワイピング動作)を行わせる(ステップS210)。
【0183】
次に、液体受け70内の液体を、吸引ポンプ67により吸引し、廃液タンク68へ排出する(ステップS212)。
【0184】
なお、ワイピング(ステップS210)と液体の排出(ステップS212)との順番は逆でも同時でも良い。
【0185】
このように液体溜まりが形成されている状態で液体攪拌を行うことにより、ノズル51近傍においてその微粒子が凝集・沈降した液体を、効率良く攪拌することが可能である。ノズル51に付着した増粘した半固形物や固形物、埃等を除去することも可能である。また、アクチュエータ58に余分な負荷を掛けることもない。
【0186】
<第3の液体攪拌態様:メインタンクに全液体を回収する態様>
本態様では、液体吐出ヘッド50内の液体、サブタンク61内の液体、および、メインタンク60から液体吐出ヘッド50まで至る全ての流路内の液体を、全て、メインタンク60内へ回収した後、メインタンク60内で液体を攪拌する。
【0187】
このように画像形成装置110内の全液体をメインタンク60内へ回収して行う液体攪拌処理の一例について説明する。
【0188】
まず、画像形成装置110の電源オフ時の液体攪拌処理について説明する。
【0189】
液体吐出ヘッド50のノズル51内のノズル面510近傍にメニスカスが位置している状態で、電源オフ時には、図21に示す液体攪拌処理を開始する。
【0190】
図21において、液体吐出ヘッド50内の液体、サブタンク61内の液体、および、メインタンク60と液体吐出ヘッド50との間の流路の液体を、全て、メインタンク60内へ回収する(ステップS310)。
【0191】
ここで、図5の液体流動系では、第1電磁弁41および第2電磁弁42を開くとともに、液体供給ポンプ62を所定時間だけ逆回転させる。また、図6に示す液体流動系では、第1電磁弁41、第2電磁弁42および第3電磁弁43を開くとともに、液体供給ポンプ62を所定時間逆回転させ、さらに第4電磁弁44を開いてポンプ64を所定時間逆回転させる。
【0192】
メインタンク60内に液体が全て回収されている状態で、回転子駆動部224を駆動してメインタンク60内の回転子32を回転させて、メインタンク60内の液体の攪拌を開始し(ステップS312)、所定時間T1が経過したか否かを判定し(ステップS314)、所定時間T1が経過後したら回転子32を停止させる(ステップS316)。
【0193】
そして、画像形成装置110の主電源240から各部への電源供給を停止する(ステップS318)。すなわち、画像形成装置110は、電源オフ状態となる。
【0194】
画像形成装置110が電源オフである期間中、すなわち主電源240からの電源供給が停止している状態では、回転子32を停止状態で所定時間だけ待機した後(ステップS320)、待機電源242からの電源供給により、回転子駆動部224を駆動してメインタンク60内の回転子32を回転させ(ステップS322)、所定時間T1が経過したか否かを判定し(ステップS324)、所定時間T1が経過後したら回転子32を停止させる(ステップS356)。
【0195】
その後、所定に時間間隔で、待機電源242の電源供給によりメインタンク60内の液体を攪拌する。これにより、電源オフ状態が長期間にわたる場合でも、液体中の微粒子の沈降、凝集の防止が可能である。
【0196】
回転子32の回転方向は同一方向のみとするのではなく、正方向回転および逆方向を交互に行うことが望ましい。また、所定時間だけ正方向回転→停止状態で所定時間だけ放置→所定時間だけ逆方向回転→所定時間だけ放置→所定時間だけ正方向回転→・・・を繰り返すようにしてもよい。
【0197】
また、回転速度は、低速から高速へ連続的(または段階的)上げて、また、高速から低速へ連続的(または段階的)に下げて、停止し、回転方向を逆転させる。これにより、さらなる攪拌効果の向上が可能である。
【0198】
液体中の微粒子の沈降や凝集による詰まりを画像形成装置内の全ての箇所で生じないようにする観点からは、液体吐出ヘッド50内、メインタンク60内、サブタンク61内および流路内の全ての液体を攪拌する態様は重要である。ここで、液体吐出ヘッド50内、メインタンク60内、サブタンク61内および流路内の全箇所において同時に液体攪拌を行なう態様もあるが、画像形成装置110内の全ての箇所において液体を攪拌するとなると、消費電力がどうしても大きくなる。そこで、全ての液体を攪拌する必要があるときには、メインタンク60に一旦液体を回収した後に、メインタンク60内で一括して液体を攪拌する態様が、好ましい。
【0199】
次に、画像形成装置110の電源オン時の液体攪拌処理について、図22のフローチャートを用いて説明する。
【0200】
図22において、メインタンク60に液体が全て回収されている状態で、回転子駆動部224を駆動してメインタンク60内の回転子32を回転させて、メインタンク60内の液体の攪拌を開始し(ステップS352)、所定時間T1が経過したか否かを判定し(ステップS354)、所定時間T1が経過後したら回転子32を停止させる(ステップS356)。
【0201】
また、図5に示す液体流動系では、第1電磁弁41および第2電磁弁42を閉じ(ステップS358)、液体供給ポンプ62を駆動して(ステップS360)、所定時間T2が経過したか否かを判定する(ステップS362)。一方で、図6に示す液体流動系では、第1電磁弁41および第2電磁弁42を閉じるとともに第3電磁弁43および第4電磁弁44を開けて(ステップS358)、液体供給ポンプ62を駆動して(ステップS360)、所定時間T2が経過したか否かを判定する(ステップS362)。
【0202】
所定時間T2が経過後したら、図5に示す液体流動系では、第2電磁弁42を開いて(ステップS364)、液体供給ポンプ62を停止する(ステップS366)。図6に示す液体流動系では、第2電磁弁42を開くとともに、第4電磁弁44を閉じて(ステップS364)、液体供給ポンプ62を停止する(ステップS366)。
【0203】
その後、液体受け70を液体吐出ヘッド50に対向させて、液体吐出ヘッド50のノズル面510をワイピングする(ステップS368)。
【0204】
以上、第1の液体攪拌態様、第2の液体攪拌態様、第3の液体攪拌態様の3態様について、詳細に説明したが、第3の液体攪拌態様(メインタンク60へ画像形成装置110内の液体を回収してメインタンク60内で液体を攪拌する態様)以外の態様については、行わないようにしてもよい。
【0205】
例えば、画像形成装置110が電源オフ状態であるとき、すなわち主電源(図5、図6の240)がオフ状態であるときには、前述の第3の液体攪拌態様のみ行う一方で、画像形成装置110が電源オン状態であるとき、すなわち主電源(図5、図6の240)がオン状態であるときには、メインタンク60への液体の回収は行わないでメインタンク60内の液体のみ回転子32により定期的に攪拌するようにしてもよい。このようにしても、電源オン状態では、液体の吐出や液体の供給が行われるので、画像形成装置110内の液体は略均一に維持される。また、液体攪拌手段は、メインタンク60内の回転子32のみに限られる。
【0206】
また、例えば、画像形成装置110が電源オフ状態であるときには、前述の第3の液体攪拌態様のみを行う一方で、画像形成装置110が電源オン状態であるときには、前述の第1の液体攪拌態様(メニスカスを後退させて液体吐出ヘッド50内の液体を攪拌する態様)を行うとともに、メインタンク60への液体の回収は行わないでメインタンク60内の液体のみ回転子32により定期的に攪拌するようにしてもよい。このようにしても、電源オン状態では、液体の吐出や液体の供給が行われるので、画像形成装置110内の液体は略均一に維持される。また、液体攪拌手段として液体吐出ヘッド50内のアクチュエータ58を液体吐出用と兼用して用いているので、製造コストのアップを抑えることができる。
【0207】
また、例えば、画像形成装置110が電源オフ状態であるときには、前述の第3の液体攪拌態様のみを行う一方で、画像形成装置110が電源オン状態であるときには、前述の第2の液体攪拌態様(液体溜まりを形成して液体吐出ヘッド50内の液体を攪拌する態様)を行うとともに、メインタンク60への液体の回収は行わないでメインタンク60内の液体を回転子32により定期的に攪拌するようにしてもよい。このようにしても電源オン状態では、液体の吐出や液体の供給が行われるので、画像形成装置110内の液体は略均一に維持される。また、液体攪拌手段としては、液体吐出ヘッド50内のアクチュエータ58を液体吐出用と兼用しているとともに、液体受け70をキャッピング、空吐出、吸引およびワイピングと兼用しているので、製造コストのアップを抑えることができる。
【0208】
好ましくは、画像形成装置110の状況に応じて、液体攪拌処理を選択する。例えば、電源オン状態において所定時間以上の待機状態(長時間待機状態)であると判断したときには、第2の液体攪拌態様、すなわち液体受け70を用いて液体溜まりを形成して液体吐出ヘッド50内の液体を攪拌するとともに、回転子32を用いてメインタンク60内の液体を攪拌する。電源オン状態において所定時間以内の待機状態(短時間待機状態)であると判断したときには、第3の液体攪拌態様、すなわちメニスカスを後退させて液体吐出ヘッド50内の液体のみ攪拌する。あるいは、短時間待機状態では、メニスカスの後退も、液体溜まりの形成も、メインタンク60への液体の回収も行わないで、ノズル面510近傍にメニスカスが位置した状態で液体が吐出しない程度でアクチュエータ58を駆動するメニスカス微振動を行うようにしてもよい。このメニスカス微振動では、アクチュエータ58に与える駆動信号の周波数をスイープさせることが好ましい。このような画像形成装置110の状況に応じた液体攪拌処理の選択は、図14に示す画像形成装置110では、システムコントローラ212が行う。
【0209】
また、図1および図2に示すように、共通液室55がアクチュエータ58を挟んで圧力室52と反対側にある構造の液体吐出ヘッド50を例に挙げて説明したが、本発明は、共通液室がアクチュエータに対して圧力室と同じ側にある構成においても、液体の吐出方向が下向きである場合には、適用可能である。
【0210】
また、吐出される液体がインクである場合を例に説明したが、本発明は、基板に導電配線を形成する際に基板材料に向けて吐出される導電性の液体や、色フィルタを製造する際に光学材料に向けて吐出される液体等にも適用できる。
【0211】
その他、本発明は、本明細書において説明した例や図面に示された例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の設計変更や改良を行ってよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】液体吐出ヘッドの一例の全体構造の概略を示す平面透視図である。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】画像形成装置の機構的な構成の概略を示す全体構成図である。
【図4】画像形成装置の画像形成系の一例の要部を示す平面図である。
【図5】画像形成装置の液体流動系の一例の要部を示す模式図である。
【図6】画像形成装置の液体流動系の他の例の要部を示す模式図である。
【図7】液体受けの一例の平面図である。
【図8】図7の8−8線に沿った断面図である。
【図9】図8の液体受けにおいてベルトを1/4周回転した状態を示す断面図である。
【図10】ベルトの一例の展開図である。
【図11】ベルトの他の例の展開図である。
【図12】図11の12−12線に沿った断面図である。
【図13】液体溜まりの説明に用いる模式図である。
【図14】画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図15】液体受けを用いたメンテナンス処理の説明に用いる説明図である。
【図16】メニスカスを後退させて行う液体攪拌処理の一例の流れを示す概略フローチャートである。
【図17】メニスカス位置の説明に用いる模式図である。
【図18】液体攪拌時のアクチュエータの駆動信号の一例を示す波形図である。
【図19】液体溜まりを形成して行う液体攪拌処理の一例の流れを示す概略フローチャートである。
【図20】液体溜りを用いた液体攪拌の様子を示す模式図である。
【図21】装置内の液体を全て回収して行う液体攪拌処理における電源オフ時の処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【図22】装置内の液体を全て回収して行う液体攪拌処理における電源オン時の処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0213】
32…回転子、41、42、43、44…電磁弁、50…液体吐出ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、55…共通液室、58…アクチュエータ、60…メインタンク、61…サブタンク、62…液体供給ポンプ、67…吸引ポンプ、68…廃液タンク、70…液体受け、71…液体受けの凹部、72…液体受けの陵部、73…回転軸、74…シール材、75、85…ワイパ、80…ベルト、81、82…ベルトの開口部、83…ベルトの親液面、…ベルトの撥液面、110…画像形成装置、114…インク貯蔵部、116…記録媒体、210…通信インターフェース、212…システムコントローラ、214、252…メモリ、222…搬送部、224…回転子駆動部、226…液体受け移動部、228…ベルト駆動部、230…液体流動部、240…主電源、242…待機電源、250…ヘッドコントローラ、254…アクチュエータ駆動部、351…液体溜り、503…振動板(アクチュエータの共通電極)、510…ノズル面、521…液体吐出流路、545…伝熱用凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドへ供給される液体を貯蔵する液体貯蔵手段と、
前記液体吐出ヘッド内の略全ての液体を前記液体貯蔵手段へ回収する液体回収手段と、
前記液体回収手段により前記液体吐出ヘッド内の略全ての液体が前記液体貯蔵手段に回収された状態で前記液体貯蔵手段内の液体を攪拌する液体攪拌手段と、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
液体吐出時に用いる主電源がオフ状態であるとき、待機電源を用いて前記液体攪拌手段を駆動して前記液体貯蔵手段内の液体を攪拌する駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
液体吐出時に用いる主電源がオンされたとき、前記液体攪拌手段を駆動して前記液体貯蔵手段内の液体を攪拌する駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体攪拌手段は、前記液体貯蔵手段内で回転する回転子からなり、該回転子の回転方向および回転速度のうち少なくとも一方を経時変化させる駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
色材が分散した液体を前記吐出口から所定の記録媒体に対して吐出することにより該記録媒体に画像を形成する画像形成装置として用いられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
液体を吐出する液体吐出ヘッド、および、該液体吐出ヘッドへ供給される液体を貯蔵する液体貯蔵手段を備えた液体吐出装置内の液体を攪拌する液体攪拌方法において、
前記液体吐出ヘッド内の略全ての液体を前記液体貯蔵手段へ回収する工程と、
前記液体吐出ヘッド内の略全ての液体が前記液体貯蔵手段に回収された状態で前記液体貯蔵手段内の液体を攪拌する工程と、
を含むことを特徴とする液体攪拌方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−137025(P2007−137025A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337584(P2005−337584)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】