液体噴出装置
【課題】ハーモニカタイプのヘッドチップを有する液体噴出装置において、高密度化と小型化とを同時に図ることができると共に、生産性も良好な液体噴出装置の提供。
【解決手段】ハーモニカタイプのヘッドチップを有する液体噴出装置1において、ヘッドチップ2の後面2bに、チャネル22内の駆動電極23と電気的に接続された第1の引き出し電極24が形成されていると共に、前記第1の引き出し電極24に対して直接的に又は間接的にFPC7の一端が電気的に接続されており、前記FPC7は、前記ヘッドチップ2の後面における隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて突設された電極引き出し部材の表面に沿って該ヘッドチップ2の後方に向けて延びていることを特徴とする。
【解決手段】ハーモニカタイプのヘッドチップを有する液体噴出装置1において、ヘッドチップ2の後面2bに、チャネル22内の駆動電極23と電気的に接続された第1の引き出し電極24が形成されていると共に、前記第1の引き出し電極24に対して直接的に又は間接的にFPC7の一端が電気的に接続されており、前記FPC7は、前記ヘッドチップ2の後面における隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて突設された電極引き出し部材の表面に沿って該ヘッドチップ2の後方に向けて延びていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体噴出装置に関し、詳しくは、いわゆるハーモニカタイプのヘッドチップからの電極の引き出し構造が改良され、高密度化及び小型化を図ることのできる液体噴出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、せん断モード型のいわゆるハーモニカタイプのヘッドチップを有する液体噴出装置が知られている。このようなヘッドチップは、圧電素子基板に多数のチャネルを平行に研削すると共に該チャネルを区画する駆動壁に駆動電極を形成し、この駆動壁の両側の駆動電極に駆動回路からの所定の電圧を印加することにより該駆動壁をせん断変形させ、チャネル内の液体を前面に設けられたノズルから吐出させる。ヘッドチップは六面体からなり、チャネルの開口部が前面と後面とに配置されているためにハーモニカタイプと呼ばれている。このような液体噴出装置は、インクジェット画像を記録するインクジェットプリンタ、半導体の回路パターンを印刷する半導体製造装置、液晶パネルのカラーフィルタの製造装置等に広く利用されている。
【0003】
ところで、ハーモニカタイプのヘッドチップは、駆動電極がチャネル内にあるため、駆動電極と駆動回路とを電気的に接続することが難しい。このため従来から様々な工夫がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ヘッドチップに形成された2列のチャネル列の各チャネル内の駆動電極と電気的に接続された引き出し電極をヘッドチップの後面に形成し、この引き出し電極に対応する配線を配列形成したプリント基板を、ヘッドチップの後面に、各電極と各配線とが電気的に接続するように位置決めして接合する技術が提案されている。プリント基板は剛性を有する材料で形成され、ヘッドチップの後面よりも大きな面積を有しており、ヘッドチップの周囲から側方に大きく張り出すように設けられている。プリント基板には、ヘッドチップの各チャネルに対して後面側から液体を供給可能とするための開口が形成されており、この開口の周囲に配線の端部が配列され、ヘッドチップの後面に形成された引き出し電極と電気的に接続されるようになっている。
【0005】
また、特許文献2には、内側のチャネル列の各チャネルから引き出された電極を、外側のチャネル列の空気チャネルを跨いでヘッドチップの端部に引き出す技術が提案されている。ヘッドチップの端部に引き出された電極は、ヘッドチップの後面に接合される配線基板によってヘッドチップの側方に張り出すように引き出され、その張り出した配線基板の端部においてFPC(フレキシブルプリント基板)によって駆動回路と電気的に接続している。この技術によれば、4列のチャネル列を有するヘッドチップでも、両端部に2列ずつのチャネル列からの各電極を引き出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−309862号公報
【特許文献2】特開2008−143167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年の高密度化、小型化の要求により、液体噴出装置のチャネル列数をさらに増加させることが必要になってきている。このため、4列のチャネル列のみならず、さらに5列以上のチャネル列を有する液体噴出装置も要望されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、3列以上のチャネル列を有するヘッドチップを構成することは困難である。3列以上のチャネル列を有するヘッドチップの場合、外側のチャネル列に挟まれた内側のチャネル列の各引き出し電極とプリント基板上の配線とを電気的に接続することが構造上難しいためである。
【0009】
一方、特許文献2記載の技術では、4列までのチャネル列を有するヘッドチップに適用することは可能であるが、5列以上のチャネル列を有するヘッドチップには適用できない。
【0010】
また、特許文献1、2に記載の2列又は4列のチャネル列を有する液体噴出装置を複数並設することによって、5列以上のチャネル列を有する液体噴出装置を構成することでチャネル列の多列化を図ることが考えられるが、ヘッドチップの側方に張り出すように設けられたプリント基板や配線基板が邪魔をしてしまい、ヘッドチップの間隔を密にして並設させることができず、小型化の要請を満足させるには十分でない。
【0011】
しかも、ハーモニカタイプのヘッドチップは、チャネル列が並設された一枚の大判のチャネル基板からフルカットすることによって、同一形状のヘッドチップ製品を多数個製造することができるというメリットを有しているが、特許文献1、2記載の液体噴出装置を複数並設して5列以上の多列のチャネル列とする場合では、5列以上のチャネル列を有するヘッドチップを大判の1つのチャネル基板から一度にフルカットして作製することができず、生産性の観点からも問題がある。
【0012】
以上のような問題は、各チャネル内の駆動電極に一端が電気的に接続されてヘッドチップの後面に引き出された引き出し電極に対し、電気的に接続される外部配線(FPC等)を全てヘッドチップの側方に張り出すように設けていることに原因があると考えられる。
【0013】
そこで、本発明は、ハーモニカタイプのヘッドチップを有する液体噴出装置において、多列のチャネル列のうちの内側のチャネル列の駆動電極に対して駆動回路からの駆動信号を印加するためのFPCを、ヘッドチップの側方に張り出すことなく、ヘッドチップの後方に向けて延びるように接続できるようにすることにより、高密度化と小型化とを同時に図ることができると共に、生産性も良好な液体噴出装置を提供することを課題とする。
【0014】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0016】
請求項1記載の発明は、圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されたチャネル列が複数並設されていると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、前記チャネル内に臨む前記駆動壁の壁面に駆動電極が形成されてなるヘッドチップを有し、前記駆動電極に電圧を印加することにより前記駆動壁を変形させ、前記チャネル内の液体を前記ヘッドチップの前面に配置されたノズルから吐出させるようにした液体噴出装置において、
前記ヘッドチップの後面に、前記チャネル内の前記駆動電極と電気的に接続された第1の引き出し電極が形成されていると共に、前記第1の引き出し電極に対して直接的に又は間接的にFPCの一端が電気的に接続されており、
前記FPCは、前記ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて突設された電極引き出し部材の表面に沿って該ヘッドチップの後方に向けて延びていることを特徴とする液体噴出装置である。
【0017】
請求項2記載の発明は、前記電極引き出し部材は絶縁材料からなり、その表面には、チャネル列に対応する前記第1の引き出し電極と電気的に接続された第2の引き出し電極が設けられることにより、前記チャネル内の前記駆動電極が、前記第1の引き出し電極及び前記第2の引き出し電極によって前記ヘッドチップの後方に向けて引き出されており、
前記第2の引き出し電極の端部に、前記FPCの一端が電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載の液体噴出装置である。
【0018】
請求項3記載の発明は、前記電極引き出し部材は、前記ヘッドチップの複数のチャネル列のうちの隣接する2列のチャネル列に対応する前記第1の引き出し電極と電気的に接続される前記第2の引き出し電極が、前記ヘッドチップの後面との接合面と該接合面に隣接する相反する2つの側面にそれぞれ形成されており、前記ヘッドチップの後面における前記隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて延びるように突設されていることを特徴とする請求項2記載の液体噴出装置である。
【0019】
請求項4記載の発明は、前記ヘッドチップの後面に、複数のチャネル列の各チャネルに共通に液体を供給するための共通流路を形成する共通流路部材が設けられ、
前記電極引き出し部材は、前記共通流路部材の後壁を貫通して該共通流路部材の後方に突出し、前記第2の引き出し電極の端部を前記共通流路部材の外部に露出させており、該露出した前記第2の引き出し電極の端部に前記FPCの一端が電気的に接続されていることを特徴とする請求項2又は3記載の液体噴出装置である。
【0020】
請求項5記載の発明は、前記ヘッドチップの後面に形成された前記第1の引き出し電極に、前記FPCの一端が直接的に電気的に接続されており、
前記電極引き出し部材は、前記ヘッドチップの後面に対向する第1の側面及び該第1の側面に隣接して前記ヘッドチップの後方に向けて延びる第2の側面を有し、前記FPCの一端における前記第1の引き出し電極との接合面の反対面に接合されており、
前記FPCは、前記電極引き出し部材の前記第1の側面から前記第2の側面に沿って屈曲するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体噴出装置である。
【0021】
請求項6記載の発明は、前記FPCは、隣接する2列のチャネル列に対応する前記第1の引き出し電極とそれぞれ電気的に接続された配線を有し、前記ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から、前記電極引き出し部材によって後方に向けて延びるように設けられていることを特徴とする請求項5記載の液体噴出装置である。
【0022】
請求項7記載の発明は、前記ヘッドチップの後面に、複数の前記チャネルに共通に液体を供給するための共通流路を形成する共通流路部材が設けられ、
前記FPC及び前記電極引き出し部材は、前記共通流路部材の後壁を貫通して該共通流路部材の後方に突出していることを特徴とする請求項5又は6記載の液体噴出装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ハーモニカタイプのヘッドチップを有する液体噴出装置において、多列のチャネル列のうちの内側のチャネル列の駆動電極に対して駆動回路からの駆動信号を印加するためのFPCを、ヘッドチップの側方に張り出すことなく、ヘッドチップの後方に向けて延びるように接続でき、高密度化と小型化とを同時に図ることができると共に、生産性も良好な液体噴出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る液体噴出装置の一例を示す断面図
【図2】ヘッドチップのみを示す部分背面図
【図3】配線基板の平面図
【図4】電極引き出し部材の部分斜視図
【図5】ヘッドチップの製造方法の一例を示す図
【図6】ヘッドチップの製造方法の一例を示す図
【図7】電極引き出し部材の他の態様を示す図
【図8】電極引き出し部材の更に他の態様を示す図
【図9】本発明に係る液体噴出装置の他の実施形態を示す部分断面図
【図10】本発明に係る液体噴出装置の更に他の実施形態を示すヘッドチップの一部を後面から見た図
【図11】本発明に係る液体噴出装置の更に他の実施形態を示す部分断面図
【図12】図11に示す液体噴出装置におけるFPC及び電極引き出し部材を示す斜視図
【図13】図11に示す液体噴出装置におけるFPC及び電極引き出し部材の他の態様を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る液体噴出装置は、圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、チャネル内に臨む駆動壁の壁面に駆動電極が形成されてなるヘッドチップを有する。このようなヘッドチップは、前面、後面、上面、下面及び両側面を有する六面体からなるいわゆるハーモニカタイプのヘッドチップであり、駆動壁の両側の駆動電極にそれぞれ電圧を印加することにより該駆動壁をくの字状に変形させ、チャネル内に供給された液体に吐出のための圧力変化を与え、ヘッドチップの前面に配置されたノズルから微小液滴として吐出させる。
【0026】
本発明では、このようなハーモニカタイプのヘッドチップにおいて、ノズルが配置されて液体が吐出される側の面を「前面」、該面が向いている方向を「前方」、その反対側の面を「後面」、該面が向いている方向を「後方」と定義する。また、ヘッドチップにおいてチャネル列を挟んで対向する外側面をそれぞれ「上面」、「下面」、該面が向いている方向を「側方」と定義する。
【0027】
本発明におけるヘッドチップには、多数のチャネルが一直線状に配列されることによって構成されるチャネル列が、複数列平行に並設される。
【0028】
ヘッドチップの後面には、チャネル内に臨む駆動壁の壁面に形成されている駆動電極と電気的に接続された第1の引き出し電極が形成される。各第1の引き出し電極は、一端が各チャネル内の駆動電極と電気的に接続され、他端が隣接するチャネル列との間の非チャネル形成領域に配置される。
【0029】
本発明は、かかるヘッドチップの後面に形成された第1の引き出し電極に対して、直接的に又は間接的に、FPCの一端が電気的に接続されており、このFPCは、ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて突設された電極引き出し部材の表面に沿って該ヘッドチップの後方に向けて延びている。これにより、複数並設されたチャネル列のうちの内側に位置するチャネル列であっても、各駆動電極に対して駆動信号を印加するためのFPCがヘッドチップの上面又は下面よりも側方に張り出すことはない。
【0030】
特に、本発明は、ヘッドチップに設けられたチャネル列が5列以上であっても適用可能である。すなわち、5列以上のチャネル列を有する液体噴出装置とするために、1つのヘッドチップに5列以上のチャネル列を設けることが可能である。従って、従来のように最大4列のチャネル列を有する液体噴出装置を複数並設して5列以上のチャネル列を構成する必要はない。このため、本発明に係る液体噴出装置は、チャネル列を多数並設することによる高密度化と同時に小型化を図ることができる。
【0031】
また、本発明に係る液体噴出装置におけるヘッドチップは、所望のチャネル列数を有するハーモニカタイプのヘッドチップ構造とすることができる。このため、チャネル列が5列以上であっても、5列以上のチャネル列を形成した大判のチャネル基板からフルカットすることによって、一度に5列以上のチャネル列が並設されたハーモニカタイプのヘッドチップを作製することができる。従って、ヘッドチップ自体の生産性も良好な液体噴出装置とすることができる。
【0032】
本発明の一つの実施形態では、電極引き出し部材は絶縁材料からなり、ヘッドチップの後面に、後方に向けて延びるように突設される。すなわち、電極引き出し部材はヘッドチップの後面に対して垂直方向に突出し、そのまま後方に延びている。電極引き出し部材は好ましくは直方体であり、その幅(チャネル列方向の長さ)は、少なくともチャネル列の長さ以上であり、その厚み(チャネル列方向と直交する方向の長さ)は、該電極引き出し部材を挟んで隣接する2列のチャネル列間の長さ(隣接する2列のチャネル列間の距離)以下とされる。
【0033】
電極引き出し部材を構成する材料は、絶縁材料であれば特に問わない。絶縁材料の具体例を挙げると、ガラス、セラミックス、合成樹脂がある。セラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミ、炭化珪素等が挙げられる。合成樹脂としては、ポリイミド、アラミド、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0034】
電極引き出し部材の表面は、ヘッドチップの後面に設けられた第1の引き出し電極と電気的に接続された第2の引き出し電極を有する。これにより、チャネル内の駆動電極は、第1の引き出し電極及び第2の引き出し電極によってヘッドチップの後方に向けて突出するように引き出される。第2の引き出し電極は、電極引き出し部材の表面に、蒸着法やスパッタリング法等の公知の方法によってパターン形成することができる。
【0035】
第2の引き出し電極は、電極引き出し部材におけるヘッドチップの後面との接合面と、該接合面に隣接してヘッドチップの後方に延びる側面とに亘って形成される。駆動電極と駆動回路との間を電気的に接続するためのFPCは、この電極引き出し部材の側面に設けられた第2の引き出し電極の端部に接続されることによって、第1の引き出し電極に対して間接的に電気的接続され、この電極引き出し部材の側面に沿ってヘッドチップの後方に向けて延びるように設けられる。
【0036】
これによれば、ヘッドチップの後方に延びる電極引き出し部材上の第2の引き出し電極に対してFPCを接合することができるため、第2の引き出し電極とFPCとの接合領域を広く採ることが可能であり、両者の位置合わせ作業及び接合作業が容易となる効果がある。
【0037】
チャネル列と電極引き出し部材とは一対一に対応して設けることもできるが、好ましくは、一つの電極引き出し部材に、ヘッドチップの複数のチャネル列のうちの隣接する2列のチャネル列に対応する第1の引き出し電極と電気的に接続される第2の引き出し電極を、ヘッドチップの後面との接合面と該接合面に隣接する相反する2つの側面とに亘ってそれぞれ形成し、ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて延びるように突設することである。これにより、隣接する2列のチャネル列の各第1の引き出し電極を、その間に配置される共通の電極引き出し部材の相反する2つの側面を利用してFPCと接続することができ、チャネル列数に対して電極引き出し部材数を削減することができる。
【0038】
また、一つの電極引き出し部材の表面に、第2の引き出し電極を高密度に形成することにより、該電極引き出し部材を挟んで片側にそれぞれ2列ずつのチャネル列の各第1の引き出し電極との電気的接続を行うようにすることで、更にチャネル列数に対する電極引き出し部材数の削減を図るようにしてもよい。
【0039】
ヘッドチップの後面に、複数のチャネルに共通に液体を供給するための共通流路を形成する共通流路部材が設けられる場合、電極引き出し部材は、共通流路部材の後壁を貫通して該共通流路部材の後方に突出することで、第2の引き出し電極の端部を共通流路部材の外部に露出させることが好ましい。FPCは、共通流路部材の後壁から突出した第2の引き出し電極の端部に電気的に接続される。共通流路部材は、電極引き出し部材を間に挟むように配置される各チャネル列の各チャネルに対して共通に液体を供給する。
【0040】
この態様によれば、電極引き出し部材は、ヘッドチップの後面と共通流路部材の後壁貫通部位との2箇所で固定される。従って、電極引き出し部材は、ヘッドチップの後面に安定且つ確実に固定される。また、電極引き出し部材は、隣接する2つのチャネル列間に存在するため、チャネル列間のクロストークの影響を低減させる効果も得られる。
【0041】
本発明の他の実施形態では、ヘッドチップの後面に形成された第1の引き出し電極に、他端が駆動回路と電気的に接続されるFPCの一端が、直接的に、電気的接続される。電極引き出し部材は、ヘッドチップの後面に対向する第1の側面及び該第1の側面に隣接してヘッドチップの後方に向けて延びる第2の側面を有しており、FPCの一端における第1の引き出し電極との接合面の反対面に接合される。そして、このFPCは、電極引き出し部材の第1の側面から第2の側面に沿って屈曲するように設けられる。
【0042】
このような実施形態に係る液体噴出装置によっても、複数のチャネル列のうちの内側に位置するチャネル列に対応するFPCがヘッドチップの上面又は下面よりも側方に張り出すことはなく、チャネル列を多数並設することによる高密度化と同時に小型化を図ることができ、また、所望のチャネル列数を有するヘッドチップを、大判のチャネル基板からフルカットすることにより作製することができる。
【0043】
加えて、ヘッドチップの後面の第1の引き出し電極に直接FPCを接合することになるので、電気的接続部位がヘッドチップの後面において第1の引き出し電極とFPCとの間の1箇所のみで済むため、それだけ電気的接続の信頼性が高くなる。
【0044】
この実施形態における電極引き出し部材も、前述した実施形態における電極引き出し部材と同様の材料及び形状とすることができるが、電極引き出し部材自体には電極が形成されないため、非絶縁材料を選択することも可能である。
【0045】
FPCは、チャネル列と一対一に対応して設けることもできるが、好ましくは、複数並設されたチャネル列のうちの隣接する2列のチャネル列に対応する第1の引き出し電極とそれぞれ電気的に接続された配線を有し、ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて延びるように設けることが好ましい。これにより、隣接する2列のチャネル列の各第1の引き出し電極を、共通のFPCと接続することができ、チャネル列数に対してFPC数を削減することができる。
【0046】
また、一枚のFPCの表面に、配線を高密度に形成することにより、該FPCを挟んで片側にそれぞれ2列ずつのチャネル列の各第1の引き出し電極との電気的接続を行うようにすることで、一枚のFPCで4列のチャネル列に対応させ、更にチャネル列数に対するFPC数の削減を図るようにしてもよい。
【0047】
この実施形態において、ヘッドチップの後面に、複数のチャネルに共通に液体を供給するための共通流路を形成する共通流路部材が設けられる場合、FPC及び電極引き出し部材は、共通流路部材の後壁を貫通して該共通流路部材の後方に突出していることが好ましい。共通流路部材は、FPC及び電極引き出し部材を間に挟むように配置される各チャネル列の各チャネルに対して共通に液体を供給する。
【0048】
この態様も、FPC及び電極引き出し部材は、ヘッドチップの後面と共通流路部材の後壁貫通部位との2箇所で固定されるため、FPC及び電極引き出し部材は、ヘッドチップの後面に安定且つ確実に固定される。また、FPC及び電極引き出し部材は、隣接する2つのチャネル列間に存在するため、チャネル列間のクロストークの影響を低減させる効果も得られる。
【0049】
次に、本発明に係る液体噴出装置の各実施形態を図面を用いて説明する。
【0050】
図1は液体噴出装置の断面図、図2はヘッドチップを示す部分背面図、図3は配線基板の正面図、図4は電極引き出し部材の斜視図である。
【0051】
本実施形態に示す液体噴出装置1は、ヘッドチップ2、ノズルプレート3、配線基板4、電極引き出し部材5及び共通流路部材6を有している。ノズルプレート3にはノズル31が形成されている。
【0052】
六面体からなるいわゆるハーモニカタイプのヘッドチップ2には、圧電素子からなる駆動壁21とチャネル22とが交互に並設されており、該ヘッドチップ2の前面2aには各チャネル22の出口が開口し、後面2bには各チャネル22の入口が開口している。ノズルプレート3の各ノズル31は、各チャネル22の出口に対応する位置に開口している。
【0053】
本実施形態に示すヘッドチップ2は、多数の駆動壁21と多数のチャネル22とが並設されてなるチャネル列が、上から順にA列〜F列の6列となるように図示上下方向に平行に並設されているが、チャネル列数は複数であればよく、6列に限定されない。本実施形態では、隣接するチャネル列のチャネル22同士は半ピッチずれているが、必ずしもこれに限定されない。チャネル22内に臨む駆動壁21の表面には、それぞれ駆動電極23が形成されている。
【0054】
第1の引き出し電極24A〜24Fは、各チャネル22と一対一に対応してヘッドチップ2の後面2bに形成されている。第1の引き出し電極24A〜24Fの一端は各チャネル22内に臨む駆動電極23と電気的に接続され、他端は該ヘッドチップ2の後面2bにおける非チャネル形成領域に配置されている。第1の引き出し電極24A〜24Fは、ヘッドチップ2の後面2bにおいて各チャネル22と同一ピッチで、チャネル列と同様に配列されている。
【0055】
なお、本実施形態では、各チャネル列のうちの最も外側に位置するA列及びF列のチャネル列の各チャネル22に対応する第1の引き出し電極24A、24Fは、非チャネル形成領域であるヘッドチップ2の端部に向けてそれぞれ延びているが、内側に位置するB列のチャネル列の各チャネル22から引き出された第1の引き出し電極24Bと、その隣りのC列のチャネル列の各チャネル22から引き出された第1の引き出し電極24Cとが、互いに対向する方向に延びており、B列のチャネル列とC列のチャネル列の間の非チャネル形成領域2b1に、互いに短絡しないように配置されている。更に、D列のチャネル列の各チャネル22から引き出された第1の引き出し電極24Dと、その隣りのE列のチャネル列の各チャネル22から引き出された第1の引き出し電極24Eとが、互いに対向する方向に延びており、D列のチャネル列とE列のチャネル列の間の非チャネル形成領域2b2に、互いに短絡しないように配置されている。
【0056】
配線基板4は、ヘッドチップ2の後面2bに対し、該後面2bの外周縁に沿う所定幅に接合されている。配線基板4は例えばガラス、セラミックス等の絶縁材料からなり、ヘッドチップ2の後面2bの周囲から側方にはみ出す程度の大きさを有すると共に、ヘッドチップ2の後面2bに臨む全てのチャネル22を囲む程度の大きさを有する1つの矩形状の開口41を有している。従って、ヘッドチップ2の全てのチャネル22の入口及びその周囲の後面2bは、この開口41内に配置され、後方に向けて露出する。
【0057】
配線基板4の表面(ヘッドチップ2の後面2bとの接合面)には、図3に示すように、ヘッドチップ2の最も外側に位置するA列及びF列のチャネル列の各チャネル22から引き出された第1の引き出し電極24A、24Fと対応するピッチで配線電極42A、42Fが、開口41の周縁から配線基板4の外周縁にかけてパターン形成されている。配線基板4は、これら配線電極42A、42Fが、対応するA列及びF列のチャネル列の第1の引き出し電極24A、24Fと電気的に接続されるように位置合わせされ、後面2bに対して例えば異方性導電フィルム等を用いて接着されている。
【0058】
これにより、A列及びF列のチャネル列の各チャネル22内の駆動電極23は、第1の引き出し電極24A、24F及び配線基板4の配線電極42A、42Fによってヘッドチップ2の側方にそれぞれ引き出され、ヘッドチップ2の前方に向けて露出する。この配線基板4の配線電極42A、42Fには、それぞれ駆動回路(図示せず)からの駆動信号をA列及びF列の各チャネル22内の駆動電極23に印加するためのFPC7A、7Fの一端が、例えば異方性導電フィルム等を用いて接合されることで電気的に接続されている。
【0059】
電極引き出し部材5は、本実施形態では、ヘッドチップ2の後面2bにおけるB列のチャネル列とC列のチャネル列との間の非チャネル形成領域2b1、D列のチャネル列とE列のチャネル列との間の非チャネル形成領域2b2にそれぞれ一つずつ、後方に向けて延びるように突設されている。
【0060】
これら電極引き出し部材5は直方体からなり、チャネル列方向に沿う幅L1は、チャネル列の長さ以上、且つ、配線基板4の開口41のチャネル列方向の長さL4以下であり、その厚みL2は、該電極引き出し部材5を挟んで隣接する2列のチャネル列間の非チャネル形成領域2b1、2b2の長さL3以下となっている。
【0061】
電極引き出し部材5は、前端面5aがヘッドチップ2の後面2bとの接合面であり、前端面5aと該前端面5aに隣接する相反する2つの側面5b、5cとに亘って、当該電極引き出し部材5を挟んで隣接する2つのチャネル列(B列とC列、D列とE列)の各チャネル22から引き出されて後面2b上で対向している第1の引き出し電極24Bと24C、24Dと24Eにそれぞれ対応するピッチで、第2の引き出し電極51Bと51C、51Dと51Eがパターン形成されている。
【0062】
これら電極引き出し部材5は、前端面5aがヘッドチップ2の後面2bの非チャネル形成領域2b1、2b2において、第1の引き出し電極24B及び24C、24D及び24Eと、第2の引き出し電極51B及び51C、51D及び51Eとが位置合わせされ、例えば異方性導電フィルム等を用いて接着されることで、第1の引き出し電極24B〜24Eと第2の引き出し電極51B〜51Eとを電気的に接続している。これにより、B列〜E列の各チャネル22内の駆動電極23は、第1の引き出し電極24B〜24E及び電極引き出し部材5の第2の引き出し電極51B〜51Eによってヘッドチップ2の後面2bに対して垂直方向に方向転換され、後方に向けて引き出されている。なお、電極引き出し部材5の側面5bに形成された第2の引き出し電極51B、51Dはヘッドチップ2の上側方、電極引き出し部材5の側面5bに形成された第2の引き出し電極51C、51Eはヘッドチップ2の下側方にそれぞれ向いている。
【0063】
共通流路部材6は、ヘッドチップ2の後面2bに対向する面が開口し、配線基板4の外形形状と同等の大きさを有する箱体形状をなしており、配線基板4の後面に接着されることで、配線基板4の開口41内に露出するヘッドチップ2の後面2bとの間で、全てのチャネル22に対して共通にインクを供給するための共通流路61となる空間を形成している。ヘッドチップ2の後面2bに対向する共通流路部材6の後壁62には、電極引き出し部材5を各々独立して貫通させるための貫通孔63が形成されている。
【0064】
前端面5aがヘッドチップ2の後面2bに接合された電極引き出し部材5は、その後端5d側が共通流路部材6の貫通孔63から更にヘッドチップ2の後方に向けて突出して延びており、この共通流路部材6から突出した後端5d側の各側面5b、5cにおいて、第2の引き出し電極51B〜51Eの端部が共通流路部材6の外部に露出している。この電極引き出し部材5の共通流路部材6よりも後方に突出した後端5d側の側面5b、5cは、FPC7B〜7Eとの接合部52B〜52Eとされている。これら接合部52B〜52Eには、それぞれ駆動回路(図示せず)からの駆動信号をB列〜E列の各チャネル22内の駆動電極23に印加するためのFPC7B〜7Eの一端が、例えば異方性導電フィルム等を用いて接合されることで電気的に接続されている。すなわち、FPC7B〜7Eは、電極引き出し部材5の第2の引き出し電極51B〜51Eを介して、間接的に、第1の引き出し電極24B〜24Eに対して電気的に接続されている。
【0065】
電極引き出し部材5の各接合部52B〜52Eは、チャネル列の並設方向(図1の上下方向)の上又は下に向いた側面5b、5cに配置されているため、各FPC7B〜7Eは、これら接合部52B〜52Eに接合されることにより、電極引き出し部材5の側面5b、5cにそのまま沿わせてヘッドチップ2の後方に向けて延ばされる。このため、隣接するチャネル列のFPC同士が干渉して邪魔になるようなことはない。すなわち、本発明に係る液体噴出装置1は、たとえヘッドチップ2のチャネル列数が更に増加したとしても、それに応じて電極引き出し部材5の数を増加させていきさえすれば、内側に位置するチャネル列の各チャネル22の駆動電極23に対しても、FPCの電気的接続を簡単に行うことができる。従って、液体噴出装置1が徒に大型化することなくチャネル列数を容易に増加でき、高密度なヘッドチップ2を有する液体噴出装置1を簡単に構成することができる。
【0066】
また、各電極引き出し部材5は、ヘッドチップ2の後面2bと接着されることに加え、この共通流路部材6の貫通孔63の部位においても接着剤を用いて接着される。このため、各電極引き出し部材5の固定は、ヘッドチップ2の後面2bと貫通孔63の貫通部位との2箇所においてなされることになり、ヘッドチップ2の後面2bとの安定且つ確実な固定状態を得ることができる。
【0067】
次に、この6列のチャネル列を有するヘッドチップ2を製造する方法の一例について、図5及び図6を用いて説明する。
【0068】
まず、駆動壁21とチャネル22とが研削されると共に各チャネル22内に駆動電極23が形成された2枚の圧電素子基板201を、1枚のカバー基板202に、各チャネル22が対向するように積層し、2列のチャネル列を有するチャネル基板203を作製する(図5(a))。
【0069】
圧電素子基板201において、各駆動電極23は、各チャネル22内の両側面及び底面に形成されている。
【0070】
次いで、この2列のチャネル基板203を2つ接合して4列のチャネル列のチャネル基板203、203とし(図5(b))、このチャネル基板203、203の両側に、1枚のカバー基板202に1枚の圧電素子基板201を積層してなる1列のチャネル列を有するチャネル基板204(図5(c))を、それぞれ圧電素子基板201側がチャネル基板203の圧電素子基板201と接するようにして接合する。これにより、6列のチャネル列となる大判のチャネル基板205を作製する(図6)。
【0071】
そして、この大判のチャネル基板205を、チャネル22の長さ方向と直交する方向に沿う複数のカットラインc、c・・・に沿って切断(フルカット)することにより、6列のチャネル列を有するヘッドチップ2、2・・・を一度に作製する。カットラインc、c・・・の間隔は、ヘッドチップ2のチャネル22の駆動長さを決定する。
【0072】
次いで、このようにして作製された6列のチャネル列を有するヘッドチップ2の後面2bに対し、図2に示したように、各チャネル22内の駆動電極23に一端が電気的に接続される第1の引き出し電極24A〜24Fをパターン形成する。この第1の引き出し電極24A〜24Fの形成は、ドライフィルムを用いた露光・現像処理、蒸着法による金属膜の形成、金属膜形成後のドライフィルムの除去を経て行う公知のパターニング方法を採用することができる。
【0073】
蒸着は、各第1の引き出し電極24A〜24Fと各チャネル22内の駆動電極23との電気的接続を確実にするため、ヘッドチップ2の後面2bに対して方向を変えて2度行うことが好ましい。具体的には、後面2bに垂直な方向から、チャネル列の並設方向に沿う上下に各30度の方向から行う。
【0074】
また、蒸着法に代えてスパッタリング法によって行ってもよい。スパッタリング法は、飛来する金属粒子の方向がランダムなため、特に方向を変えなくてもチャネル22の内部まで金属膜を形成できるので好適である。
【0075】
この後、液体噴出装置1とするには、ヘッドチップ2の前面2aに、チャネル22に対応する位置にノズル31が形成されたノズルプレート3を接合し、後面2bには、別途作製された配線基板4、電極引き出し部材5及び共通流路部材6を接合する。また、配線基板4及び電極引き出し部材5には更にFPC7A〜7Fをそれぞれ電気的に接続する。
【0076】
図7は、電極引き出し部材5の別の態様をそれぞれ示している。
【0077】
図7(a)は2枚の基板501、502を積層することによって一つの電極引き出し部材5を構成した例である。一方の基板501には第2の引き出し電極51B(51D)がパターン形成され、他方の基板502には第2の引き出し電極51C(51E)がパターン形成されている。これら基板501、502は、第2の引き出し電極51B(51D)又は51C(51E)の形成面が相反する側となるように積層される。
【0078】
図7(b)も2枚の基板501、502を積層することによって一つの電極引き出し部材5を構成した例であるが、基板501、502は、第2の引き出し電極51B(51D)又は51C(51E)の形成面同士が対向するように積層されている。対向する第2の引き出し電極51Bと51C又は51Dと51Eは、図4の場合のようにチャネル22のピッチと同様に互いに半ピッチずれているため、短絡することはない。
【0079】
第2の引き出し電極51B(51D)は、電極引き出し部材5の前端面5aから基板501における基板502との接合面を通り、更に電極引き出し部材5の後端面5eを経て、後端5d側の側面5bまで配線されている。この後端5d側の側面5bに配線された部位が、FPCとの接合部52B(52D)となっている。
【0080】
また、第2の引き出し電極51C(51E)は、電極引き出し部材5の前端面5aから基板502における基板501との接合面を通り、更に電極引き出し部材5の後端面5eを経て、後端5d側の側面5cに配線されている。この後端5d側の側面5cに配線された部位が、FPCとの接合部52C(52E)となっている。
【0081】
図7(c)は、第2の引き出し電極51B(51D)又は51C(51E)が、電極引き出し部材5の前端面5aと電極引き出し部材5の後端面5eを経て、後端5d側の側面5b、5cに配線されている点では図7(b)と共通するが、この態様では、電極引き出し部材5の内部を貫通する貫通電極511、512によって、電極引き出し部材5の前端面5aと電極引き出し部材5の後端面5eの各電極がつながっている。この電極引き出し部材5も、図7(a)(b)のように2枚の基板501、502によって構成してもよい。
【0082】
図7(a)(b)のように、電極引き出し部材5を2枚の基板501、502の積層体によって構成する場合は、基板501、502の各々に第2の引き出し電極51B(51D)又は51C(51E)を形成すればよいため、2列分の第2の引き出し電極51B(51D)及び51C(51E)を有する一つの電極引き出し部材5の作製を容易に行うことができる。
【0083】
また、図7(b)(c)の場合、第2の引き出し電極51B(51D)又は51C(51E)が、共通流路61内で直にインクと接触することを避けることもできる。
【0084】
図8は、電極引き出し部材の更に別の態様を示す斜視図であり、液体噴出装置1の後方から見た斜視図を示している。なお、同図においてFPC7B〜7Eは図示省略している。また、図1と同一符号の部位は同一構成の部位を示している。
【0085】
この電極引き出し部材50は、B列〜E列の4列のチャネル列に対する上述の2つの電極引き出し部材5、5が、後端部側の長さ方向両端において連結部53、53によって一体に連結されることにより、全体として1つの電極引き出し部材50の形態とされている。かかる電極引き出し部材50によれば、チャネル列数が更に増加して個別の電極引き出し部材5の数が増加しても、一体成型によって一つの部材として扱うことができ、また、ヘッドチップ2の後面2bに対する接合作業も一体として行うことができるため作業性に優れる。しかも、個別の電極引き出し部材5が連結部53、53によって一体化されるため、ヘッドチップ2の後面2bに対する固定状態を更に安定且つ確実化できる利点もある。
【0086】
以上の実施形態では、配線基板4を用いることにより、ヘッドチップ2の最も外側に位置するA列及びF列のチャネル列の各第1の引き出し電極24A、24Fを、配線電極42A、42Fによってヘッドチップ2の側方に張り出すように引き出したが、本発明において配線基板4は必須ではない。すなわち、本発明は、このような配線基板4を用いることなく、図9に示すように、ヘッドチップ2に形成される全てのチャネル列に対応する第1の引き出し電極24を、電極引き出し部材5の第2の引き出し電極51によってヘッドチップ5の後方に引き出すようにしてもよい。
【0087】
すなわち、図9に示す液体噴出装置10は偶数のチャネル列数を有し、ヘッドチップ2の最も外側に位置するチャネル列から順に隣接する2列ずつを一組とし、その一組のチャネル列の間にそれぞれ一つの電極引き出し部材5を接合することにより、第1の引き出し電極24と各電極引き出し部材5の側面に形成された第2の引き出し電極51とを電気的に接続している。各電極引き出し部材5の後端側の第2の引き出し電極51に、それぞれFPC7を接続することにより、全てのチャネル列の各チャネル22内の駆動電極23に対し、ヘッドチップ2の後方からFPC7を介して駆動信号を印加することができる。
【0088】
この実施形態によれば、全てのFPC7はヘッドチップ2の後方に向けて延びるように接続され、配線基板4のように側方に張り出すことはないため、液体噴出装置10は側方への張り出し量が最も抑えられ、一層の小型化が可能となる。
【0089】
この場合のヘッドチップ2は、例えば図5(c)に示されるチャネル基板204を2つ用い、その圧電素子基板201同士を互いに接合することによって2列のチャネル列を有する基板を構成し、その基板を所望のチャネル数となるように更に積層していくことによって形成することができる。
【0090】
また、電極引き出し部材5は、以上の各実施形態のように、隣接する2列のチャネル列に対してそれぞれ1つずつ配置されるものに限らず、1つの電極引き出し部材5で、その片面にそれぞれ2列ずつの計4列のチャネル列に対応させることもできる。
【0091】
図10は、このような実施形態に係る液体噴射装置11のヘッドチップ2の後面2bの一部を示している。ここではヘッドチップ2に設けられた複数列のチャネル列のうちのO列、P列、Q列及びR列の4列のチャネル列のみを示している。
【0092】
この場合、隣接するO列とP列の各チャネル列に対応する第1の引き出し電極24O、24Pの他端は、共にP列とQ列の各チャネル列の間の非チャネル形成領域2bNに配置され、隣接するQ列とR列の各チャネル列に対応する第1の引き出し電極24Q、24Rの他端も、共に非チャネル形成領域2bNに配置されている。すなわち、O列とP列、Q列とR列の各チャネル22は、互いに半ピッチずれており、O列とR列の各チャネル22から引き出された第1の引き出し電極24O、24Rは、その内側のP列、Q列の各チャネル22の間を通って非チャネル形成領域2bNまで引き出されている。
【0093】
これら4列のチャネル列に対して1つの電極引き出し部材5は、この非チャネル形成領域2bNに接合されている。電極引き出し部材5は、図4と同様の構造であるが、各側面5b、5cにそれぞれパターン形成される第2の引き出し電極が、片面で2列ずつのチャネル列の各第1の引き出し電極24Oと24P、24Qと24Rに対応し、より高密度に形成される。
【0094】
この実施形態によれば、チャネル列数に対する電極引き出し部材5の数を削減でき、その分、FPCの数も削減できる。従って、部品コスト及び作業工程の削減を図ることができ、また、ヘッドチップ2の後方の構造も簡素化できる。
【0095】
この場合のヘッドチップ2は、例えば図5(c)に示されるチャネル基板204を2つ用い、一方のチャネル基板204の圧電素子基板201と他方のチャネル基板204のカバー基板202とを接合することによって2列のチャネル列を有する基板を構成し、その基板の圧電素子基板201同士を積層することによってO列〜R列の4列のチャネル列を形成することができる。
【0096】
図11は、更に別の実施形態に係る液体噴出装置12の部分断面図を示している。ここでは複数のチャネル列のうちの隣接するB列及びC列のチャネル列のみを示している。
【0097】
この液体噴出装置12は、ヘッドチップ2の後面2bに形成された隣接する2列のチャネル列の第1の引き出し電極24B、24Cに対し、直接的に、FPC9の一端を電気的に接続している。
【0098】
すなわち、1枚のFPC9の表面には、図12に示すように、第1の引き出し電極24B、24Cとそれぞれ対応するピッチで配線電極91B、91Cが交互となるように配列形成されており、このFPC9の一端がヘッドチップ2の後面2bに対して直接接合されることにより、該後面2bに配列されている第1の引き出し電極24B、24Cと配線電極91B、91Cとが、例えば異方性導電フィルム等を用いて接合されることで電気的に接続している。
【0099】
FPC9は、直方体からなる電極引き出し部材8におけるヘッドチップ2の後面2bに対向する前端面8a(第1の側面)と該前端面8aに隣接する側面8b(第2の側面)との2面に沿うように屈曲されて貼り付けられている。電極引き出し部材8の前端面8aに沿って貼り付けられているFPC9の端部がヘッドチップ2の後面2bに対する接合面9aであり、この接合面9aに第1の引き出し電極24B、24Cに対応する各配線電極91B、91Cが交互に配列されている。
【0100】
このようにFPC9の一端を、ヘッドチップ2の後面2bの第1の引き出し電極24B、24Cに対し、直接的に電気的に接続することで、電気的接続部位を第1の引き出し電極24B、24CとFPC9との間の1箇所のみとすることができるため、それだけ電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0101】
このFPC9は、電極引き出し部材8と共に共通流路部材6の貫通孔63を貫通してヘッドチップ2の後方に向けて延びており、その貫通部位において接着剤によって接着されている。このため、FPC9及び電極引き出し部材8は、ヘッドチップ2の後面2bの他に、この共通流路部材6の貫通部位においても固定されるため、安定且つ確実な固定がなされる。この実施形態では、FPC9はヘッドチップ2の後面2bに直接接合されるため、電極引き出し部材8を共通流路部材6の後方に突出させる必要はなく、図11に示すように、FPC9の後方への突出以外は、共通流路部材6の後面を平坦面とすることもできる。
【0102】
このような液体噴出装置12も、たとえチャネル列数が5列以上であっても、内側に位置するチャネル列の各チャネル22の駆動電極23に対して、FPC9を容易に接合して駆動信号を印加することができる。
【0103】
ここで示したFPC9は、電極引き出し部材8の前端面8aから該前端面8aに隣接する一方の側面8bのみに沿うように貼り付けられているが、図13に示すように、電極引き出し部材8の前端面8aから各側面8b、8cに沿って貼り付けるようにしてもよい。
【0104】
図13(a)は、電極引き出し部材8の前端面8aから各側面8b、8cに沿ってそれぞれ別々のFPC9B、9Cを貼り付けた態様を示している。この場合、FPC9Bの表面には、ヘッドチップ2の後面2bの第1の引き出し電極24Bに対応する配線電極91Bが形成され、FPC9Cの表面には、ヘッドチップ2の後面2bの第1の引き出し電極24Cに対応する配線電極91Cが形成されている。
【0105】
図13(b)は、1枚のFPC90を電極引き出し部材8の前端面8aから各側面8b、8cに沿ってそれぞれ屈曲させて貼り付けた態様を示している。この場合、1枚のFPC90の表面には、ヘッドチップ2の後面2bの第1の引き出し電極24Bに対応する配線電極91Bと、第1の引き出し電極24Cに対応する配線電極91Cとが形成されているが、配線電極91Bは、電極引き出し部材8の一方の側面8bに沿って屈曲した側の表面に配列され、配線電極91Cは、電極引き出し部材8の他方の側面8cに沿って屈曲した側の表面に配列されている。
【0106】
これら図13(a)(b)に示すFPC及び電極引き出し部材は、配線電極の配列ピッチを更に高密度にすることにより、図10に示したように、4列のチャネル列の各第1の引き出し電極と電気的に接続可能にすることもできる。
【0107】
また、複数の電極引き出し部材8は、図8に示したように、連結部53によって一体に連結させることで、一体化させてもよい。
【0108】
更に、これらFPC9と電極引き出し部材8も、チャネル列に対して一対一に対応させて設けてもよいことはもちろんである。
【符号の説明】
【0109】
1、10、11、12:液体噴射装置
2:ヘッドチップ
2a:前面
2b:後面
2b1、2b2、2bN:非チャネル形成領域
21:駆動壁
22:チャネル
23:駆動電極
24、24A〜24F、24O〜24R:第1の引き出し電極
3:ノズルプレート
31:ノズル
4:配線基板
41:開口
42A、42F:配線電極
5:電極引き出し部材
5a:前端面
5b、5c:側面
5d:後端
5e:後端面
51、51B〜51E:第2の引き出し電極
52B〜52E:接合部
53:連結部
501、502:基板
511、512:貫通電極
6:共通流路部材
61:共通流路
62:後壁
63:貫通孔63
7、7A〜7F:FPC
8:電極引き出し部材
8a:前端面(第1の側面)
8b:側面(第2の側面)
8c:側面
9、90:FPC
9a:接合面
91B、91C:配線電極
201:圧電素子基板
202:カバー基板
203、204:チャネル基板
205:大判のチャネル基板
c:カットライン
【技術分野】
【0001】
本発明は液体噴出装置に関し、詳しくは、いわゆるハーモニカタイプのヘッドチップからの電極の引き出し構造が改良され、高密度化及び小型化を図ることのできる液体噴出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、せん断モード型のいわゆるハーモニカタイプのヘッドチップを有する液体噴出装置が知られている。このようなヘッドチップは、圧電素子基板に多数のチャネルを平行に研削すると共に該チャネルを区画する駆動壁に駆動電極を形成し、この駆動壁の両側の駆動電極に駆動回路からの所定の電圧を印加することにより該駆動壁をせん断変形させ、チャネル内の液体を前面に設けられたノズルから吐出させる。ヘッドチップは六面体からなり、チャネルの開口部が前面と後面とに配置されているためにハーモニカタイプと呼ばれている。このような液体噴出装置は、インクジェット画像を記録するインクジェットプリンタ、半導体の回路パターンを印刷する半導体製造装置、液晶パネルのカラーフィルタの製造装置等に広く利用されている。
【0003】
ところで、ハーモニカタイプのヘッドチップは、駆動電極がチャネル内にあるため、駆動電極と駆動回路とを電気的に接続することが難しい。このため従来から様々な工夫がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ヘッドチップに形成された2列のチャネル列の各チャネル内の駆動電極と電気的に接続された引き出し電極をヘッドチップの後面に形成し、この引き出し電極に対応する配線を配列形成したプリント基板を、ヘッドチップの後面に、各電極と各配線とが電気的に接続するように位置決めして接合する技術が提案されている。プリント基板は剛性を有する材料で形成され、ヘッドチップの後面よりも大きな面積を有しており、ヘッドチップの周囲から側方に大きく張り出すように設けられている。プリント基板には、ヘッドチップの各チャネルに対して後面側から液体を供給可能とするための開口が形成されており、この開口の周囲に配線の端部が配列され、ヘッドチップの後面に形成された引き出し電極と電気的に接続されるようになっている。
【0005】
また、特許文献2には、内側のチャネル列の各チャネルから引き出された電極を、外側のチャネル列の空気チャネルを跨いでヘッドチップの端部に引き出す技術が提案されている。ヘッドチップの端部に引き出された電極は、ヘッドチップの後面に接合される配線基板によってヘッドチップの側方に張り出すように引き出され、その張り出した配線基板の端部においてFPC(フレキシブルプリント基板)によって駆動回路と電気的に接続している。この技術によれば、4列のチャネル列を有するヘッドチップでも、両端部に2列ずつのチャネル列からの各電極を引き出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−309862号公報
【特許文献2】特開2008−143167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年の高密度化、小型化の要求により、液体噴出装置のチャネル列数をさらに増加させることが必要になってきている。このため、4列のチャネル列のみならず、さらに5列以上のチャネル列を有する液体噴出装置も要望されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、3列以上のチャネル列を有するヘッドチップを構成することは困難である。3列以上のチャネル列を有するヘッドチップの場合、外側のチャネル列に挟まれた内側のチャネル列の各引き出し電極とプリント基板上の配線とを電気的に接続することが構造上難しいためである。
【0009】
一方、特許文献2記載の技術では、4列までのチャネル列を有するヘッドチップに適用することは可能であるが、5列以上のチャネル列を有するヘッドチップには適用できない。
【0010】
また、特許文献1、2に記載の2列又は4列のチャネル列を有する液体噴出装置を複数並設することによって、5列以上のチャネル列を有する液体噴出装置を構成することでチャネル列の多列化を図ることが考えられるが、ヘッドチップの側方に張り出すように設けられたプリント基板や配線基板が邪魔をしてしまい、ヘッドチップの間隔を密にして並設させることができず、小型化の要請を満足させるには十分でない。
【0011】
しかも、ハーモニカタイプのヘッドチップは、チャネル列が並設された一枚の大判のチャネル基板からフルカットすることによって、同一形状のヘッドチップ製品を多数個製造することができるというメリットを有しているが、特許文献1、2記載の液体噴出装置を複数並設して5列以上の多列のチャネル列とする場合では、5列以上のチャネル列を有するヘッドチップを大判の1つのチャネル基板から一度にフルカットして作製することができず、生産性の観点からも問題がある。
【0012】
以上のような問題は、各チャネル内の駆動電極に一端が電気的に接続されてヘッドチップの後面に引き出された引き出し電極に対し、電気的に接続される外部配線(FPC等)を全てヘッドチップの側方に張り出すように設けていることに原因があると考えられる。
【0013】
そこで、本発明は、ハーモニカタイプのヘッドチップを有する液体噴出装置において、多列のチャネル列のうちの内側のチャネル列の駆動電極に対して駆動回路からの駆動信号を印加するためのFPCを、ヘッドチップの側方に張り出すことなく、ヘッドチップの後方に向けて延びるように接続できるようにすることにより、高密度化と小型化とを同時に図ることができると共に、生産性も良好な液体噴出装置を提供することを課題とする。
【0014】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0016】
請求項1記載の発明は、圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されたチャネル列が複数並設されていると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、前記チャネル内に臨む前記駆動壁の壁面に駆動電極が形成されてなるヘッドチップを有し、前記駆動電極に電圧を印加することにより前記駆動壁を変形させ、前記チャネル内の液体を前記ヘッドチップの前面に配置されたノズルから吐出させるようにした液体噴出装置において、
前記ヘッドチップの後面に、前記チャネル内の前記駆動電極と電気的に接続された第1の引き出し電極が形成されていると共に、前記第1の引き出し電極に対して直接的に又は間接的にFPCの一端が電気的に接続されており、
前記FPCは、前記ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて突設された電極引き出し部材の表面に沿って該ヘッドチップの後方に向けて延びていることを特徴とする液体噴出装置である。
【0017】
請求項2記載の発明は、前記電極引き出し部材は絶縁材料からなり、その表面には、チャネル列に対応する前記第1の引き出し電極と電気的に接続された第2の引き出し電極が設けられることにより、前記チャネル内の前記駆動電極が、前記第1の引き出し電極及び前記第2の引き出し電極によって前記ヘッドチップの後方に向けて引き出されており、
前記第2の引き出し電極の端部に、前記FPCの一端が電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載の液体噴出装置である。
【0018】
請求項3記載の発明は、前記電極引き出し部材は、前記ヘッドチップの複数のチャネル列のうちの隣接する2列のチャネル列に対応する前記第1の引き出し電極と電気的に接続される前記第2の引き出し電極が、前記ヘッドチップの後面との接合面と該接合面に隣接する相反する2つの側面にそれぞれ形成されており、前記ヘッドチップの後面における前記隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて延びるように突設されていることを特徴とする請求項2記載の液体噴出装置である。
【0019】
請求項4記載の発明は、前記ヘッドチップの後面に、複数のチャネル列の各チャネルに共通に液体を供給するための共通流路を形成する共通流路部材が設けられ、
前記電極引き出し部材は、前記共通流路部材の後壁を貫通して該共通流路部材の後方に突出し、前記第2の引き出し電極の端部を前記共通流路部材の外部に露出させており、該露出した前記第2の引き出し電極の端部に前記FPCの一端が電気的に接続されていることを特徴とする請求項2又は3記載の液体噴出装置である。
【0020】
請求項5記載の発明は、前記ヘッドチップの後面に形成された前記第1の引き出し電極に、前記FPCの一端が直接的に電気的に接続されており、
前記電極引き出し部材は、前記ヘッドチップの後面に対向する第1の側面及び該第1の側面に隣接して前記ヘッドチップの後方に向けて延びる第2の側面を有し、前記FPCの一端における前記第1の引き出し電極との接合面の反対面に接合されており、
前記FPCは、前記電極引き出し部材の前記第1の側面から前記第2の側面に沿って屈曲するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体噴出装置である。
【0021】
請求項6記載の発明は、前記FPCは、隣接する2列のチャネル列に対応する前記第1の引き出し電極とそれぞれ電気的に接続された配線を有し、前記ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から、前記電極引き出し部材によって後方に向けて延びるように設けられていることを特徴とする請求項5記載の液体噴出装置である。
【0022】
請求項7記載の発明は、前記ヘッドチップの後面に、複数の前記チャネルに共通に液体を供給するための共通流路を形成する共通流路部材が設けられ、
前記FPC及び前記電極引き出し部材は、前記共通流路部材の後壁を貫通して該共通流路部材の後方に突出していることを特徴とする請求項5又は6記載の液体噴出装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ハーモニカタイプのヘッドチップを有する液体噴出装置において、多列のチャネル列のうちの内側のチャネル列の駆動電極に対して駆動回路からの駆動信号を印加するためのFPCを、ヘッドチップの側方に張り出すことなく、ヘッドチップの後方に向けて延びるように接続でき、高密度化と小型化とを同時に図ることができると共に、生産性も良好な液体噴出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る液体噴出装置の一例を示す断面図
【図2】ヘッドチップのみを示す部分背面図
【図3】配線基板の平面図
【図4】電極引き出し部材の部分斜視図
【図5】ヘッドチップの製造方法の一例を示す図
【図6】ヘッドチップの製造方法の一例を示す図
【図7】電極引き出し部材の他の態様を示す図
【図8】電極引き出し部材の更に他の態様を示す図
【図9】本発明に係る液体噴出装置の他の実施形態を示す部分断面図
【図10】本発明に係る液体噴出装置の更に他の実施形態を示すヘッドチップの一部を後面から見た図
【図11】本発明に係る液体噴出装置の更に他の実施形態を示す部分断面図
【図12】図11に示す液体噴出装置におけるFPC及び電極引き出し部材を示す斜視図
【図13】図11に示す液体噴出装置におけるFPC及び電極引き出し部材の他の態様を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る液体噴出装置は、圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、チャネル内に臨む駆動壁の壁面に駆動電極が形成されてなるヘッドチップを有する。このようなヘッドチップは、前面、後面、上面、下面及び両側面を有する六面体からなるいわゆるハーモニカタイプのヘッドチップであり、駆動壁の両側の駆動電極にそれぞれ電圧を印加することにより該駆動壁をくの字状に変形させ、チャネル内に供給された液体に吐出のための圧力変化を与え、ヘッドチップの前面に配置されたノズルから微小液滴として吐出させる。
【0026】
本発明では、このようなハーモニカタイプのヘッドチップにおいて、ノズルが配置されて液体が吐出される側の面を「前面」、該面が向いている方向を「前方」、その反対側の面を「後面」、該面が向いている方向を「後方」と定義する。また、ヘッドチップにおいてチャネル列を挟んで対向する外側面をそれぞれ「上面」、「下面」、該面が向いている方向を「側方」と定義する。
【0027】
本発明におけるヘッドチップには、多数のチャネルが一直線状に配列されることによって構成されるチャネル列が、複数列平行に並設される。
【0028】
ヘッドチップの後面には、チャネル内に臨む駆動壁の壁面に形成されている駆動電極と電気的に接続された第1の引き出し電極が形成される。各第1の引き出し電極は、一端が各チャネル内の駆動電極と電気的に接続され、他端が隣接するチャネル列との間の非チャネル形成領域に配置される。
【0029】
本発明は、かかるヘッドチップの後面に形成された第1の引き出し電極に対して、直接的に又は間接的に、FPCの一端が電気的に接続されており、このFPCは、ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて突設された電極引き出し部材の表面に沿って該ヘッドチップの後方に向けて延びている。これにより、複数並設されたチャネル列のうちの内側に位置するチャネル列であっても、各駆動電極に対して駆動信号を印加するためのFPCがヘッドチップの上面又は下面よりも側方に張り出すことはない。
【0030】
特に、本発明は、ヘッドチップに設けられたチャネル列が5列以上であっても適用可能である。すなわち、5列以上のチャネル列を有する液体噴出装置とするために、1つのヘッドチップに5列以上のチャネル列を設けることが可能である。従って、従来のように最大4列のチャネル列を有する液体噴出装置を複数並設して5列以上のチャネル列を構成する必要はない。このため、本発明に係る液体噴出装置は、チャネル列を多数並設することによる高密度化と同時に小型化を図ることができる。
【0031】
また、本発明に係る液体噴出装置におけるヘッドチップは、所望のチャネル列数を有するハーモニカタイプのヘッドチップ構造とすることができる。このため、チャネル列が5列以上であっても、5列以上のチャネル列を形成した大判のチャネル基板からフルカットすることによって、一度に5列以上のチャネル列が並設されたハーモニカタイプのヘッドチップを作製することができる。従って、ヘッドチップ自体の生産性も良好な液体噴出装置とすることができる。
【0032】
本発明の一つの実施形態では、電極引き出し部材は絶縁材料からなり、ヘッドチップの後面に、後方に向けて延びるように突設される。すなわち、電極引き出し部材はヘッドチップの後面に対して垂直方向に突出し、そのまま後方に延びている。電極引き出し部材は好ましくは直方体であり、その幅(チャネル列方向の長さ)は、少なくともチャネル列の長さ以上であり、その厚み(チャネル列方向と直交する方向の長さ)は、該電極引き出し部材を挟んで隣接する2列のチャネル列間の長さ(隣接する2列のチャネル列間の距離)以下とされる。
【0033】
電極引き出し部材を構成する材料は、絶縁材料であれば特に問わない。絶縁材料の具体例を挙げると、ガラス、セラミックス、合成樹脂がある。セラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミ、炭化珪素等が挙げられる。合成樹脂としては、ポリイミド、アラミド、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0034】
電極引き出し部材の表面は、ヘッドチップの後面に設けられた第1の引き出し電極と電気的に接続された第2の引き出し電極を有する。これにより、チャネル内の駆動電極は、第1の引き出し電極及び第2の引き出し電極によってヘッドチップの後方に向けて突出するように引き出される。第2の引き出し電極は、電極引き出し部材の表面に、蒸着法やスパッタリング法等の公知の方法によってパターン形成することができる。
【0035】
第2の引き出し電極は、電極引き出し部材におけるヘッドチップの後面との接合面と、該接合面に隣接してヘッドチップの後方に延びる側面とに亘って形成される。駆動電極と駆動回路との間を電気的に接続するためのFPCは、この電極引き出し部材の側面に設けられた第2の引き出し電極の端部に接続されることによって、第1の引き出し電極に対して間接的に電気的接続され、この電極引き出し部材の側面に沿ってヘッドチップの後方に向けて延びるように設けられる。
【0036】
これによれば、ヘッドチップの後方に延びる電極引き出し部材上の第2の引き出し電極に対してFPCを接合することができるため、第2の引き出し電極とFPCとの接合領域を広く採ることが可能であり、両者の位置合わせ作業及び接合作業が容易となる効果がある。
【0037】
チャネル列と電極引き出し部材とは一対一に対応して設けることもできるが、好ましくは、一つの電極引き出し部材に、ヘッドチップの複数のチャネル列のうちの隣接する2列のチャネル列に対応する第1の引き出し電極と電気的に接続される第2の引き出し電極を、ヘッドチップの後面との接合面と該接合面に隣接する相反する2つの側面とに亘ってそれぞれ形成し、ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて延びるように突設することである。これにより、隣接する2列のチャネル列の各第1の引き出し電極を、その間に配置される共通の電極引き出し部材の相反する2つの側面を利用してFPCと接続することができ、チャネル列数に対して電極引き出し部材数を削減することができる。
【0038】
また、一つの電極引き出し部材の表面に、第2の引き出し電極を高密度に形成することにより、該電極引き出し部材を挟んで片側にそれぞれ2列ずつのチャネル列の各第1の引き出し電極との電気的接続を行うようにすることで、更にチャネル列数に対する電極引き出し部材数の削減を図るようにしてもよい。
【0039】
ヘッドチップの後面に、複数のチャネルに共通に液体を供給するための共通流路を形成する共通流路部材が設けられる場合、電極引き出し部材は、共通流路部材の後壁を貫通して該共通流路部材の後方に突出することで、第2の引き出し電極の端部を共通流路部材の外部に露出させることが好ましい。FPCは、共通流路部材の後壁から突出した第2の引き出し電極の端部に電気的に接続される。共通流路部材は、電極引き出し部材を間に挟むように配置される各チャネル列の各チャネルに対して共通に液体を供給する。
【0040】
この態様によれば、電極引き出し部材は、ヘッドチップの後面と共通流路部材の後壁貫通部位との2箇所で固定される。従って、電極引き出し部材は、ヘッドチップの後面に安定且つ確実に固定される。また、電極引き出し部材は、隣接する2つのチャネル列間に存在するため、チャネル列間のクロストークの影響を低減させる効果も得られる。
【0041】
本発明の他の実施形態では、ヘッドチップの後面に形成された第1の引き出し電極に、他端が駆動回路と電気的に接続されるFPCの一端が、直接的に、電気的接続される。電極引き出し部材は、ヘッドチップの後面に対向する第1の側面及び該第1の側面に隣接してヘッドチップの後方に向けて延びる第2の側面を有しており、FPCの一端における第1の引き出し電極との接合面の反対面に接合される。そして、このFPCは、電極引き出し部材の第1の側面から第2の側面に沿って屈曲するように設けられる。
【0042】
このような実施形態に係る液体噴出装置によっても、複数のチャネル列のうちの内側に位置するチャネル列に対応するFPCがヘッドチップの上面又は下面よりも側方に張り出すことはなく、チャネル列を多数並設することによる高密度化と同時に小型化を図ることができ、また、所望のチャネル列数を有するヘッドチップを、大判のチャネル基板からフルカットすることにより作製することができる。
【0043】
加えて、ヘッドチップの後面の第1の引き出し電極に直接FPCを接合することになるので、電気的接続部位がヘッドチップの後面において第1の引き出し電極とFPCとの間の1箇所のみで済むため、それだけ電気的接続の信頼性が高くなる。
【0044】
この実施形態における電極引き出し部材も、前述した実施形態における電極引き出し部材と同様の材料及び形状とすることができるが、電極引き出し部材自体には電極が形成されないため、非絶縁材料を選択することも可能である。
【0045】
FPCは、チャネル列と一対一に対応して設けることもできるが、好ましくは、複数並設されたチャネル列のうちの隣接する2列のチャネル列に対応する第1の引き出し電極とそれぞれ電気的に接続された配線を有し、ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて延びるように設けることが好ましい。これにより、隣接する2列のチャネル列の各第1の引き出し電極を、共通のFPCと接続することができ、チャネル列数に対してFPC数を削減することができる。
【0046】
また、一枚のFPCの表面に、配線を高密度に形成することにより、該FPCを挟んで片側にそれぞれ2列ずつのチャネル列の各第1の引き出し電極との電気的接続を行うようにすることで、一枚のFPCで4列のチャネル列に対応させ、更にチャネル列数に対するFPC数の削減を図るようにしてもよい。
【0047】
この実施形態において、ヘッドチップの後面に、複数のチャネルに共通に液体を供給するための共通流路を形成する共通流路部材が設けられる場合、FPC及び電極引き出し部材は、共通流路部材の後壁を貫通して該共通流路部材の後方に突出していることが好ましい。共通流路部材は、FPC及び電極引き出し部材を間に挟むように配置される各チャネル列の各チャネルに対して共通に液体を供給する。
【0048】
この態様も、FPC及び電極引き出し部材は、ヘッドチップの後面と共通流路部材の後壁貫通部位との2箇所で固定されるため、FPC及び電極引き出し部材は、ヘッドチップの後面に安定且つ確実に固定される。また、FPC及び電極引き出し部材は、隣接する2つのチャネル列間に存在するため、チャネル列間のクロストークの影響を低減させる効果も得られる。
【0049】
次に、本発明に係る液体噴出装置の各実施形態を図面を用いて説明する。
【0050】
図1は液体噴出装置の断面図、図2はヘッドチップを示す部分背面図、図3は配線基板の正面図、図4は電極引き出し部材の斜視図である。
【0051】
本実施形態に示す液体噴出装置1は、ヘッドチップ2、ノズルプレート3、配線基板4、電極引き出し部材5及び共通流路部材6を有している。ノズルプレート3にはノズル31が形成されている。
【0052】
六面体からなるいわゆるハーモニカタイプのヘッドチップ2には、圧電素子からなる駆動壁21とチャネル22とが交互に並設されており、該ヘッドチップ2の前面2aには各チャネル22の出口が開口し、後面2bには各チャネル22の入口が開口している。ノズルプレート3の各ノズル31は、各チャネル22の出口に対応する位置に開口している。
【0053】
本実施形態に示すヘッドチップ2は、多数の駆動壁21と多数のチャネル22とが並設されてなるチャネル列が、上から順にA列〜F列の6列となるように図示上下方向に平行に並設されているが、チャネル列数は複数であればよく、6列に限定されない。本実施形態では、隣接するチャネル列のチャネル22同士は半ピッチずれているが、必ずしもこれに限定されない。チャネル22内に臨む駆動壁21の表面には、それぞれ駆動電極23が形成されている。
【0054】
第1の引き出し電極24A〜24Fは、各チャネル22と一対一に対応してヘッドチップ2の後面2bに形成されている。第1の引き出し電極24A〜24Fの一端は各チャネル22内に臨む駆動電極23と電気的に接続され、他端は該ヘッドチップ2の後面2bにおける非チャネル形成領域に配置されている。第1の引き出し電極24A〜24Fは、ヘッドチップ2の後面2bにおいて各チャネル22と同一ピッチで、チャネル列と同様に配列されている。
【0055】
なお、本実施形態では、各チャネル列のうちの最も外側に位置するA列及びF列のチャネル列の各チャネル22に対応する第1の引き出し電極24A、24Fは、非チャネル形成領域であるヘッドチップ2の端部に向けてそれぞれ延びているが、内側に位置するB列のチャネル列の各チャネル22から引き出された第1の引き出し電極24Bと、その隣りのC列のチャネル列の各チャネル22から引き出された第1の引き出し電極24Cとが、互いに対向する方向に延びており、B列のチャネル列とC列のチャネル列の間の非チャネル形成領域2b1に、互いに短絡しないように配置されている。更に、D列のチャネル列の各チャネル22から引き出された第1の引き出し電極24Dと、その隣りのE列のチャネル列の各チャネル22から引き出された第1の引き出し電極24Eとが、互いに対向する方向に延びており、D列のチャネル列とE列のチャネル列の間の非チャネル形成領域2b2に、互いに短絡しないように配置されている。
【0056】
配線基板4は、ヘッドチップ2の後面2bに対し、該後面2bの外周縁に沿う所定幅に接合されている。配線基板4は例えばガラス、セラミックス等の絶縁材料からなり、ヘッドチップ2の後面2bの周囲から側方にはみ出す程度の大きさを有すると共に、ヘッドチップ2の後面2bに臨む全てのチャネル22を囲む程度の大きさを有する1つの矩形状の開口41を有している。従って、ヘッドチップ2の全てのチャネル22の入口及びその周囲の後面2bは、この開口41内に配置され、後方に向けて露出する。
【0057】
配線基板4の表面(ヘッドチップ2の後面2bとの接合面)には、図3に示すように、ヘッドチップ2の最も外側に位置するA列及びF列のチャネル列の各チャネル22から引き出された第1の引き出し電極24A、24Fと対応するピッチで配線電極42A、42Fが、開口41の周縁から配線基板4の外周縁にかけてパターン形成されている。配線基板4は、これら配線電極42A、42Fが、対応するA列及びF列のチャネル列の第1の引き出し電極24A、24Fと電気的に接続されるように位置合わせされ、後面2bに対して例えば異方性導電フィルム等を用いて接着されている。
【0058】
これにより、A列及びF列のチャネル列の各チャネル22内の駆動電極23は、第1の引き出し電極24A、24F及び配線基板4の配線電極42A、42Fによってヘッドチップ2の側方にそれぞれ引き出され、ヘッドチップ2の前方に向けて露出する。この配線基板4の配線電極42A、42Fには、それぞれ駆動回路(図示せず)からの駆動信号をA列及びF列の各チャネル22内の駆動電極23に印加するためのFPC7A、7Fの一端が、例えば異方性導電フィルム等を用いて接合されることで電気的に接続されている。
【0059】
電極引き出し部材5は、本実施形態では、ヘッドチップ2の後面2bにおけるB列のチャネル列とC列のチャネル列との間の非チャネル形成領域2b1、D列のチャネル列とE列のチャネル列との間の非チャネル形成領域2b2にそれぞれ一つずつ、後方に向けて延びるように突設されている。
【0060】
これら電極引き出し部材5は直方体からなり、チャネル列方向に沿う幅L1は、チャネル列の長さ以上、且つ、配線基板4の開口41のチャネル列方向の長さL4以下であり、その厚みL2は、該電極引き出し部材5を挟んで隣接する2列のチャネル列間の非チャネル形成領域2b1、2b2の長さL3以下となっている。
【0061】
電極引き出し部材5は、前端面5aがヘッドチップ2の後面2bとの接合面であり、前端面5aと該前端面5aに隣接する相反する2つの側面5b、5cとに亘って、当該電極引き出し部材5を挟んで隣接する2つのチャネル列(B列とC列、D列とE列)の各チャネル22から引き出されて後面2b上で対向している第1の引き出し電極24Bと24C、24Dと24Eにそれぞれ対応するピッチで、第2の引き出し電極51Bと51C、51Dと51Eがパターン形成されている。
【0062】
これら電極引き出し部材5は、前端面5aがヘッドチップ2の後面2bの非チャネル形成領域2b1、2b2において、第1の引き出し電極24B及び24C、24D及び24Eと、第2の引き出し電極51B及び51C、51D及び51Eとが位置合わせされ、例えば異方性導電フィルム等を用いて接着されることで、第1の引き出し電極24B〜24Eと第2の引き出し電極51B〜51Eとを電気的に接続している。これにより、B列〜E列の各チャネル22内の駆動電極23は、第1の引き出し電極24B〜24E及び電極引き出し部材5の第2の引き出し電極51B〜51Eによってヘッドチップ2の後面2bに対して垂直方向に方向転換され、後方に向けて引き出されている。なお、電極引き出し部材5の側面5bに形成された第2の引き出し電極51B、51Dはヘッドチップ2の上側方、電極引き出し部材5の側面5bに形成された第2の引き出し電極51C、51Eはヘッドチップ2の下側方にそれぞれ向いている。
【0063】
共通流路部材6は、ヘッドチップ2の後面2bに対向する面が開口し、配線基板4の外形形状と同等の大きさを有する箱体形状をなしており、配線基板4の後面に接着されることで、配線基板4の開口41内に露出するヘッドチップ2の後面2bとの間で、全てのチャネル22に対して共通にインクを供給するための共通流路61となる空間を形成している。ヘッドチップ2の後面2bに対向する共通流路部材6の後壁62には、電極引き出し部材5を各々独立して貫通させるための貫通孔63が形成されている。
【0064】
前端面5aがヘッドチップ2の後面2bに接合された電極引き出し部材5は、その後端5d側が共通流路部材6の貫通孔63から更にヘッドチップ2の後方に向けて突出して延びており、この共通流路部材6から突出した後端5d側の各側面5b、5cにおいて、第2の引き出し電極51B〜51Eの端部が共通流路部材6の外部に露出している。この電極引き出し部材5の共通流路部材6よりも後方に突出した後端5d側の側面5b、5cは、FPC7B〜7Eとの接合部52B〜52Eとされている。これら接合部52B〜52Eには、それぞれ駆動回路(図示せず)からの駆動信号をB列〜E列の各チャネル22内の駆動電極23に印加するためのFPC7B〜7Eの一端が、例えば異方性導電フィルム等を用いて接合されることで電気的に接続されている。すなわち、FPC7B〜7Eは、電極引き出し部材5の第2の引き出し電極51B〜51Eを介して、間接的に、第1の引き出し電極24B〜24Eに対して電気的に接続されている。
【0065】
電極引き出し部材5の各接合部52B〜52Eは、チャネル列の並設方向(図1の上下方向)の上又は下に向いた側面5b、5cに配置されているため、各FPC7B〜7Eは、これら接合部52B〜52Eに接合されることにより、電極引き出し部材5の側面5b、5cにそのまま沿わせてヘッドチップ2の後方に向けて延ばされる。このため、隣接するチャネル列のFPC同士が干渉して邪魔になるようなことはない。すなわち、本発明に係る液体噴出装置1は、たとえヘッドチップ2のチャネル列数が更に増加したとしても、それに応じて電極引き出し部材5の数を増加させていきさえすれば、内側に位置するチャネル列の各チャネル22の駆動電極23に対しても、FPCの電気的接続を簡単に行うことができる。従って、液体噴出装置1が徒に大型化することなくチャネル列数を容易に増加でき、高密度なヘッドチップ2を有する液体噴出装置1を簡単に構成することができる。
【0066】
また、各電極引き出し部材5は、ヘッドチップ2の後面2bと接着されることに加え、この共通流路部材6の貫通孔63の部位においても接着剤を用いて接着される。このため、各電極引き出し部材5の固定は、ヘッドチップ2の後面2bと貫通孔63の貫通部位との2箇所においてなされることになり、ヘッドチップ2の後面2bとの安定且つ確実な固定状態を得ることができる。
【0067】
次に、この6列のチャネル列を有するヘッドチップ2を製造する方法の一例について、図5及び図6を用いて説明する。
【0068】
まず、駆動壁21とチャネル22とが研削されると共に各チャネル22内に駆動電極23が形成された2枚の圧電素子基板201を、1枚のカバー基板202に、各チャネル22が対向するように積層し、2列のチャネル列を有するチャネル基板203を作製する(図5(a))。
【0069】
圧電素子基板201において、各駆動電極23は、各チャネル22内の両側面及び底面に形成されている。
【0070】
次いで、この2列のチャネル基板203を2つ接合して4列のチャネル列のチャネル基板203、203とし(図5(b))、このチャネル基板203、203の両側に、1枚のカバー基板202に1枚の圧電素子基板201を積層してなる1列のチャネル列を有するチャネル基板204(図5(c))を、それぞれ圧電素子基板201側がチャネル基板203の圧電素子基板201と接するようにして接合する。これにより、6列のチャネル列となる大判のチャネル基板205を作製する(図6)。
【0071】
そして、この大判のチャネル基板205を、チャネル22の長さ方向と直交する方向に沿う複数のカットラインc、c・・・に沿って切断(フルカット)することにより、6列のチャネル列を有するヘッドチップ2、2・・・を一度に作製する。カットラインc、c・・・の間隔は、ヘッドチップ2のチャネル22の駆動長さを決定する。
【0072】
次いで、このようにして作製された6列のチャネル列を有するヘッドチップ2の後面2bに対し、図2に示したように、各チャネル22内の駆動電極23に一端が電気的に接続される第1の引き出し電極24A〜24Fをパターン形成する。この第1の引き出し電極24A〜24Fの形成は、ドライフィルムを用いた露光・現像処理、蒸着法による金属膜の形成、金属膜形成後のドライフィルムの除去を経て行う公知のパターニング方法を採用することができる。
【0073】
蒸着は、各第1の引き出し電極24A〜24Fと各チャネル22内の駆動電極23との電気的接続を確実にするため、ヘッドチップ2の後面2bに対して方向を変えて2度行うことが好ましい。具体的には、後面2bに垂直な方向から、チャネル列の並設方向に沿う上下に各30度の方向から行う。
【0074】
また、蒸着法に代えてスパッタリング法によって行ってもよい。スパッタリング法は、飛来する金属粒子の方向がランダムなため、特に方向を変えなくてもチャネル22の内部まで金属膜を形成できるので好適である。
【0075】
この後、液体噴出装置1とするには、ヘッドチップ2の前面2aに、チャネル22に対応する位置にノズル31が形成されたノズルプレート3を接合し、後面2bには、別途作製された配線基板4、電極引き出し部材5及び共通流路部材6を接合する。また、配線基板4及び電極引き出し部材5には更にFPC7A〜7Fをそれぞれ電気的に接続する。
【0076】
図7は、電極引き出し部材5の別の態様をそれぞれ示している。
【0077】
図7(a)は2枚の基板501、502を積層することによって一つの電極引き出し部材5を構成した例である。一方の基板501には第2の引き出し電極51B(51D)がパターン形成され、他方の基板502には第2の引き出し電極51C(51E)がパターン形成されている。これら基板501、502は、第2の引き出し電極51B(51D)又は51C(51E)の形成面が相反する側となるように積層される。
【0078】
図7(b)も2枚の基板501、502を積層することによって一つの電極引き出し部材5を構成した例であるが、基板501、502は、第2の引き出し電極51B(51D)又は51C(51E)の形成面同士が対向するように積層されている。対向する第2の引き出し電極51Bと51C又は51Dと51Eは、図4の場合のようにチャネル22のピッチと同様に互いに半ピッチずれているため、短絡することはない。
【0079】
第2の引き出し電極51B(51D)は、電極引き出し部材5の前端面5aから基板501における基板502との接合面を通り、更に電極引き出し部材5の後端面5eを経て、後端5d側の側面5bまで配線されている。この後端5d側の側面5bに配線された部位が、FPCとの接合部52B(52D)となっている。
【0080】
また、第2の引き出し電極51C(51E)は、電極引き出し部材5の前端面5aから基板502における基板501との接合面を通り、更に電極引き出し部材5の後端面5eを経て、後端5d側の側面5cに配線されている。この後端5d側の側面5cに配線された部位が、FPCとの接合部52C(52E)となっている。
【0081】
図7(c)は、第2の引き出し電極51B(51D)又は51C(51E)が、電極引き出し部材5の前端面5aと電極引き出し部材5の後端面5eを経て、後端5d側の側面5b、5cに配線されている点では図7(b)と共通するが、この態様では、電極引き出し部材5の内部を貫通する貫通電極511、512によって、電極引き出し部材5の前端面5aと電極引き出し部材5の後端面5eの各電極がつながっている。この電極引き出し部材5も、図7(a)(b)のように2枚の基板501、502によって構成してもよい。
【0082】
図7(a)(b)のように、電極引き出し部材5を2枚の基板501、502の積層体によって構成する場合は、基板501、502の各々に第2の引き出し電極51B(51D)又は51C(51E)を形成すればよいため、2列分の第2の引き出し電極51B(51D)及び51C(51E)を有する一つの電極引き出し部材5の作製を容易に行うことができる。
【0083】
また、図7(b)(c)の場合、第2の引き出し電極51B(51D)又は51C(51E)が、共通流路61内で直にインクと接触することを避けることもできる。
【0084】
図8は、電極引き出し部材の更に別の態様を示す斜視図であり、液体噴出装置1の後方から見た斜視図を示している。なお、同図においてFPC7B〜7Eは図示省略している。また、図1と同一符号の部位は同一構成の部位を示している。
【0085】
この電極引き出し部材50は、B列〜E列の4列のチャネル列に対する上述の2つの電極引き出し部材5、5が、後端部側の長さ方向両端において連結部53、53によって一体に連結されることにより、全体として1つの電極引き出し部材50の形態とされている。かかる電極引き出し部材50によれば、チャネル列数が更に増加して個別の電極引き出し部材5の数が増加しても、一体成型によって一つの部材として扱うことができ、また、ヘッドチップ2の後面2bに対する接合作業も一体として行うことができるため作業性に優れる。しかも、個別の電極引き出し部材5が連結部53、53によって一体化されるため、ヘッドチップ2の後面2bに対する固定状態を更に安定且つ確実化できる利点もある。
【0086】
以上の実施形態では、配線基板4を用いることにより、ヘッドチップ2の最も外側に位置するA列及びF列のチャネル列の各第1の引き出し電極24A、24Fを、配線電極42A、42Fによってヘッドチップ2の側方に張り出すように引き出したが、本発明において配線基板4は必須ではない。すなわち、本発明は、このような配線基板4を用いることなく、図9に示すように、ヘッドチップ2に形成される全てのチャネル列に対応する第1の引き出し電極24を、電極引き出し部材5の第2の引き出し電極51によってヘッドチップ5の後方に引き出すようにしてもよい。
【0087】
すなわち、図9に示す液体噴出装置10は偶数のチャネル列数を有し、ヘッドチップ2の最も外側に位置するチャネル列から順に隣接する2列ずつを一組とし、その一組のチャネル列の間にそれぞれ一つの電極引き出し部材5を接合することにより、第1の引き出し電極24と各電極引き出し部材5の側面に形成された第2の引き出し電極51とを電気的に接続している。各電極引き出し部材5の後端側の第2の引き出し電極51に、それぞれFPC7を接続することにより、全てのチャネル列の各チャネル22内の駆動電極23に対し、ヘッドチップ2の後方からFPC7を介して駆動信号を印加することができる。
【0088】
この実施形態によれば、全てのFPC7はヘッドチップ2の後方に向けて延びるように接続され、配線基板4のように側方に張り出すことはないため、液体噴出装置10は側方への張り出し量が最も抑えられ、一層の小型化が可能となる。
【0089】
この場合のヘッドチップ2は、例えば図5(c)に示されるチャネル基板204を2つ用い、その圧電素子基板201同士を互いに接合することによって2列のチャネル列を有する基板を構成し、その基板を所望のチャネル数となるように更に積層していくことによって形成することができる。
【0090】
また、電極引き出し部材5は、以上の各実施形態のように、隣接する2列のチャネル列に対してそれぞれ1つずつ配置されるものに限らず、1つの電極引き出し部材5で、その片面にそれぞれ2列ずつの計4列のチャネル列に対応させることもできる。
【0091】
図10は、このような実施形態に係る液体噴射装置11のヘッドチップ2の後面2bの一部を示している。ここではヘッドチップ2に設けられた複数列のチャネル列のうちのO列、P列、Q列及びR列の4列のチャネル列のみを示している。
【0092】
この場合、隣接するO列とP列の各チャネル列に対応する第1の引き出し電極24O、24Pの他端は、共にP列とQ列の各チャネル列の間の非チャネル形成領域2bNに配置され、隣接するQ列とR列の各チャネル列に対応する第1の引き出し電極24Q、24Rの他端も、共に非チャネル形成領域2bNに配置されている。すなわち、O列とP列、Q列とR列の各チャネル22は、互いに半ピッチずれており、O列とR列の各チャネル22から引き出された第1の引き出し電極24O、24Rは、その内側のP列、Q列の各チャネル22の間を通って非チャネル形成領域2bNまで引き出されている。
【0093】
これら4列のチャネル列に対して1つの電極引き出し部材5は、この非チャネル形成領域2bNに接合されている。電極引き出し部材5は、図4と同様の構造であるが、各側面5b、5cにそれぞれパターン形成される第2の引き出し電極が、片面で2列ずつのチャネル列の各第1の引き出し電極24Oと24P、24Qと24Rに対応し、より高密度に形成される。
【0094】
この実施形態によれば、チャネル列数に対する電極引き出し部材5の数を削減でき、その分、FPCの数も削減できる。従って、部品コスト及び作業工程の削減を図ることができ、また、ヘッドチップ2の後方の構造も簡素化できる。
【0095】
この場合のヘッドチップ2は、例えば図5(c)に示されるチャネル基板204を2つ用い、一方のチャネル基板204の圧電素子基板201と他方のチャネル基板204のカバー基板202とを接合することによって2列のチャネル列を有する基板を構成し、その基板の圧電素子基板201同士を積層することによってO列〜R列の4列のチャネル列を形成することができる。
【0096】
図11は、更に別の実施形態に係る液体噴出装置12の部分断面図を示している。ここでは複数のチャネル列のうちの隣接するB列及びC列のチャネル列のみを示している。
【0097】
この液体噴出装置12は、ヘッドチップ2の後面2bに形成された隣接する2列のチャネル列の第1の引き出し電極24B、24Cに対し、直接的に、FPC9の一端を電気的に接続している。
【0098】
すなわち、1枚のFPC9の表面には、図12に示すように、第1の引き出し電極24B、24Cとそれぞれ対応するピッチで配線電極91B、91Cが交互となるように配列形成されており、このFPC9の一端がヘッドチップ2の後面2bに対して直接接合されることにより、該後面2bに配列されている第1の引き出し電極24B、24Cと配線電極91B、91Cとが、例えば異方性導電フィルム等を用いて接合されることで電気的に接続している。
【0099】
FPC9は、直方体からなる電極引き出し部材8におけるヘッドチップ2の後面2bに対向する前端面8a(第1の側面)と該前端面8aに隣接する側面8b(第2の側面)との2面に沿うように屈曲されて貼り付けられている。電極引き出し部材8の前端面8aに沿って貼り付けられているFPC9の端部がヘッドチップ2の後面2bに対する接合面9aであり、この接合面9aに第1の引き出し電極24B、24Cに対応する各配線電極91B、91Cが交互に配列されている。
【0100】
このようにFPC9の一端を、ヘッドチップ2の後面2bの第1の引き出し電極24B、24Cに対し、直接的に電気的に接続することで、電気的接続部位を第1の引き出し電極24B、24CとFPC9との間の1箇所のみとすることができるため、それだけ電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0101】
このFPC9は、電極引き出し部材8と共に共通流路部材6の貫通孔63を貫通してヘッドチップ2の後方に向けて延びており、その貫通部位において接着剤によって接着されている。このため、FPC9及び電極引き出し部材8は、ヘッドチップ2の後面2bの他に、この共通流路部材6の貫通部位においても固定されるため、安定且つ確実な固定がなされる。この実施形態では、FPC9はヘッドチップ2の後面2bに直接接合されるため、電極引き出し部材8を共通流路部材6の後方に突出させる必要はなく、図11に示すように、FPC9の後方への突出以外は、共通流路部材6の後面を平坦面とすることもできる。
【0102】
このような液体噴出装置12も、たとえチャネル列数が5列以上であっても、内側に位置するチャネル列の各チャネル22の駆動電極23に対して、FPC9を容易に接合して駆動信号を印加することができる。
【0103】
ここで示したFPC9は、電極引き出し部材8の前端面8aから該前端面8aに隣接する一方の側面8bのみに沿うように貼り付けられているが、図13に示すように、電極引き出し部材8の前端面8aから各側面8b、8cに沿って貼り付けるようにしてもよい。
【0104】
図13(a)は、電極引き出し部材8の前端面8aから各側面8b、8cに沿ってそれぞれ別々のFPC9B、9Cを貼り付けた態様を示している。この場合、FPC9Bの表面には、ヘッドチップ2の後面2bの第1の引き出し電極24Bに対応する配線電極91Bが形成され、FPC9Cの表面には、ヘッドチップ2の後面2bの第1の引き出し電極24Cに対応する配線電極91Cが形成されている。
【0105】
図13(b)は、1枚のFPC90を電極引き出し部材8の前端面8aから各側面8b、8cに沿ってそれぞれ屈曲させて貼り付けた態様を示している。この場合、1枚のFPC90の表面には、ヘッドチップ2の後面2bの第1の引き出し電極24Bに対応する配線電極91Bと、第1の引き出し電極24Cに対応する配線電極91Cとが形成されているが、配線電極91Bは、電極引き出し部材8の一方の側面8bに沿って屈曲した側の表面に配列され、配線電極91Cは、電極引き出し部材8の他方の側面8cに沿って屈曲した側の表面に配列されている。
【0106】
これら図13(a)(b)に示すFPC及び電極引き出し部材は、配線電極の配列ピッチを更に高密度にすることにより、図10に示したように、4列のチャネル列の各第1の引き出し電極と電気的に接続可能にすることもできる。
【0107】
また、複数の電極引き出し部材8は、図8に示したように、連結部53によって一体に連結させることで、一体化させてもよい。
【0108】
更に、これらFPC9と電極引き出し部材8も、チャネル列に対して一対一に対応させて設けてもよいことはもちろんである。
【符号の説明】
【0109】
1、10、11、12:液体噴射装置
2:ヘッドチップ
2a:前面
2b:後面
2b1、2b2、2bN:非チャネル形成領域
21:駆動壁
22:チャネル
23:駆動電極
24、24A〜24F、24O〜24R:第1の引き出し電極
3:ノズルプレート
31:ノズル
4:配線基板
41:開口
42A、42F:配線電極
5:電極引き出し部材
5a:前端面
5b、5c:側面
5d:後端
5e:後端面
51、51B〜51E:第2の引き出し電極
52B〜52E:接合部
53:連結部
501、502:基板
511、512:貫通電極
6:共通流路部材
61:共通流路
62:後壁
63:貫通孔63
7、7A〜7F:FPC
8:電極引き出し部材
8a:前端面(第1の側面)
8b:側面(第2の側面)
8c:側面
9、90:FPC
9a:接合面
91B、91C:配線電極
201:圧電素子基板
202:カバー基板
203、204:チャネル基板
205:大判のチャネル基板
c:カットライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されたチャネル列が複数並設されていると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、前記チャネル内に臨む前記駆動壁の壁面に駆動電極が形成されてなるヘッドチップを有し、前記駆動電極に電圧を印加することにより前記駆動壁を変形させ、前記チャネル内の液体を前記ヘッドチップの前面に配置されたノズルから吐出させるようにした液体噴出装置において、
前記ヘッドチップの後面に、前記チャネル内の前記駆動電極と電気的に接続された第1の引き出し電極が形成されていると共に、前記第1の引き出し電極に対して直接的に又は間接的にFPCの一端が電気的に接続されており、
前記FPCは、前記ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて突設された電極引き出し部材の表面に沿って該ヘッドチップの後方に向けて延びていることを特徴とする液体噴出装置。
【請求項2】
前記電極引き出し部材は絶縁材料からなり、その表面には、チャネル列に対応する前記第1の引き出し電極と電気的に接続された第2の引き出し電極が設けられることにより、前記チャネル内の前記駆動電極が、前記第1の引き出し電極及び前記第2の引き出し電極によって前記ヘッドチップの後方に向けて引き出されており、
前記第2の引き出し電極の端部に、前記FPCの一端が電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載の液体噴出装置。
【請求項3】
前記電極引き出し部材は、前記ヘッドチップの複数のチャネル列のうちの隣接する2列のチャネル列に対応する前記第1の引き出し電極と電気的に接続される前記第2の引き出し電極が、前記ヘッドチップの後面との接合面と該接合面に隣接する相反する2つの側面にそれぞれ形成されており、前記ヘッドチップの後面における前記隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて延びるように突設されていることを特徴とする請求項2記載の液体噴出装置。
【請求項4】
前記ヘッドチップの後面に、複数のチャネル列の各チャネルに共通に液体を供給するための共通流路を形成する共通流路部材が設けられ、
前記電極引き出し部材は、前記共通流路部材の後壁を貫通して該共通流路部材の後方に突出し、前記第2の引き出し電極の端部を前記共通流路部材の外部に露出させており、該露出した前記第2の引き出し電極の端部に前記FPCの一端が電気的に接続されていることを特徴とする請求項2又は3記載の液体噴出装置。
【請求項5】
前記ヘッドチップの後面に形成された前記第1の引き出し電極に、前記FPCの一端が直接的に電気的に接続されており、
前記電極引き出し部材は、前記ヘッドチップの後面に対向する第1の側面及び該第1の側面に隣接して前記ヘッドチップの後方に向けて延びる第2の側面を有し、前記FPCの一端における前記第1の引き出し電極との接合面の反対面に接合されており、
前記FPCは、前記電極引き出し部材の前記第1の側面から前記第2の側面に沿って屈曲するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体噴出装置。
【請求項6】
前記FPCは、隣接する2列のチャネル列に対応する前記第1の引き出し電極とそれぞれ電気的に接続された配線を有し、前記ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から、前記電極引き出し部材によって後方に向けて延びるように設けられていることを特徴とする請求項5記載の液体噴出装置。
【請求項7】
前記ヘッドチップの後面に、複数の前記チャネルに共通に液体を供給するための共通流路を形成する共通流路部材が設けられ、
前記FPC及び前記電極引き出し部材は、前記共通流路部材の後壁を貫通して該共通流路部材の後方に突出していることを特徴とする請求項5又は6記載の液体噴出装置。
【請求項1】
圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されたチャネル列が複数並設されていると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、前記チャネル内に臨む前記駆動壁の壁面に駆動電極が形成されてなるヘッドチップを有し、前記駆動電極に電圧を印加することにより前記駆動壁を変形させ、前記チャネル内の液体を前記ヘッドチップの前面に配置されたノズルから吐出させるようにした液体噴出装置において、
前記ヘッドチップの後面に、前記チャネル内の前記駆動電極と電気的に接続された第1の引き出し電極が形成されていると共に、前記第1の引き出し電極に対して直接的に又は間接的にFPCの一端が電気的に接続されており、
前記FPCは、前記ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて突設された電極引き出し部材の表面に沿って該ヘッドチップの後方に向けて延びていることを特徴とする液体噴出装置。
【請求項2】
前記電極引き出し部材は絶縁材料からなり、その表面には、チャネル列に対応する前記第1の引き出し電極と電気的に接続された第2の引き出し電極が設けられることにより、前記チャネル内の前記駆動電極が、前記第1の引き出し電極及び前記第2の引き出し電極によって前記ヘッドチップの後方に向けて引き出されており、
前記第2の引き出し電極の端部に、前記FPCの一端が電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載の液体噴出装置。
【請求項3】
前記電極引き出し部材は、前記ヘッドチップの複数のチャネル列のうちの隣接する2列のチャネル列に対応する前記第1の引き出し電極と電気的に接続される前記第2の引き出し電極が、前記ヘッドチップの後面との接合面と該接合面に隣接する相反する2つの側面にそれぞれ形成されており、前記ヘッドチップの後面における前記隣接する2列のチャネル列の間から後方に向けて延びるように突設されていることを特徴とする請求項2記載の液体噴出装置。
【請求項4】
前記ヘッドチップの後面に、複数のチャネル列の各チャネルに共通に液体を供給するための共通流路を形成する共通流路部材が設けられ、
前記電極引き出し部材は、前記共通流路部材の後壁を貫通して該共通流路部材の後方に突出し、前記第2の引き出し電極の端部を前記共通流路部材の外部に露出させており、該露出した前記第2の引き出し電極の端部に前記FPCの一端が電気的に接続されていることを特徴とする請求項2又は3記載の液体噴出装置。
【請求項5】
前記ヘッドチップの後面に形成された前記第1の引き出し電極に、前記FPCの一端が直接的に電気的に接続されており、
前記電極引き出し部材は、前記ヘッドチップの後面に対向する第1の側面及び該第1の側面に隣接して前記ヘッドチップの後方に向けて延びる第2の側面を有し、前記FPCの一端における前記第1の引き出し電極との接合面の反対面に接合されており、
前記FPCは、前記電極引き出し部材の前記第1の側面から前記第2の側面に沿って屈曲するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体噴出装置。
【請求項6】
前記FPCは、隣接する2列のチャネル列に対応する前記第1の引き出し電極とそれぞれ電気的に接続された配線を有し、前記ヘッドチップの後面における隣接する2列のチャネル列の間から、前記電極引き出し部材によって後方に向けて延びるように設けられていることを特徴とする請求項5記載の液体噴出装置。
【請求項7】
前記ヘッドチップの後面に、複数の前記チャネルに共通に液体を供給するための共通流路を形成する共通流路部材が設けられ、
前記FPC及び前記電極引き出し部材は、前記共通流路部材の後壁を貫通して該共通流路部材の後方に突出していることを特徴とする請求項5又は6記載の液体噴出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−183574(P2011−183574A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48320(P2010−48320)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
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