説明

液体噴射システム及び液体噴射方法

【課題】水の供給が困難な状況下でも切除に用いる液体噴射装置を適切に用いることがで
きるようにすること。
【解決手段】液体を貯留する貯留部と、前記液体を噴射する液体噴射装置と、前記液体噴
射装置に電力を供給する燃料電池であって、前記電力を発生させる際に生ずる水を前記貯
留部に供給する燃料電池と、を備える液体噴射システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射システム及び液体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の研究開発により、燃料電池が実用化されるに至っている。燃料電池は、負極活性
物質と正極活性物質とを反応させることにより継続的に電力を取り出すことができる発電
装置である。
【0003】
特許文献1には、燃料電池で発生する水を高濃度メタノールを希釈するために用いるこ
とが示されている。また、特許文献2には、燃料電池で発生した排熱をインク粘度の調整
に用いることが示されている。また、特許文献3には、パルス状の液体を噴射させること
によって、生体組織を切除または切開するウォータージェットメスについて記載されてい
る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−4834号公報
【特許文献2】特開2006−187953号公報
【特許文献3】特開2005−152127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3に記載されたウォータージェットメスは、供給される水が枯渇すると生体組
織を切除することが不可能となり、手術を継続することができない問題がある。手術に使
用できる清潔な水が潤沢にある地域ではさほど問題とはならないが、清潔な水が貴重な地
域で特許文献3に記載されたウォータージェットメスなどの液体噴射装置を用いることは
、切除に使用する水が枯渇する可能性があるため、患者の安全の観点から実現が困難であ
った。よって、水の供給が困難な状況下でもウォータージェットメスを用いて切除を適切
に行えるようにすることが望ましい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、水の供給が困難な状況下でも
切除に用いる液体噴射装置を適切に用いることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、
液体を貯留する貯留部と、
前記液体を噴射する液体噴射装置と、
前記液体噴射装置に電力を供給する燃料電池であって、前記電力を発生させる際に生ず
る水を前記貯留部に供給する燃料電池と、
を備える液体噴射システムである。
【0008】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態におけるウォータージェットメスシステム1の基本構成図である。
【図2】本実施形態におけるウォータージェットメス10の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0011】
液体を貯留する貯留部と、
前記液体を噴射する液体噴射装置と、
前記液体噴射装置に電力を供給する燃料電池であって、前記電力を発生させる際に生ず
る水を前記貯留部に供給する燃料電池と、
を備える液体噴射システム。
このようにすることで、燃料電池が電力を発生させる際に生ずる水を貯留部に供給する
ことができるため、液体噴射装置で切除をしながら貯留部に水を供給することが可能とな
る。したがって、水の供給が困難な状況下でも切除に用いる液体噴射装置で噴射する水が
枯渇することを減らすことができる。また、燃料電池が電力を発生させる際に生ずる水は
、不純物が少なく、清潔であるため、清潔な水を入手することが困難な状況下でも液体噴
射装置を動作させながら、切除に用いる清潔な水を供給することができる。
【0012】
かかる液体噴射システムであって、前記燃料電池から発生した前記水と塩化ナトリウム
とが混合されて前記貯留部に供給されることが望ましい。
このようにすることで、生理食塩水を用いて切除を行うことができるようになる。一般
にウォータージェットメスが噴射する液体は水あるいは生理食塩水であるが、患者への負
担が少ないことから、人間の体液と同等の濃度の生理食塩水を噴射することが望ましい。
かかる液体噴射システムによれば、燃料電池から発生した水に対して適量の塩化ナトリウ
ムを混合することによって生理食塩水を貯留部に供給することができる。
【0013】
また、前記燃料電池の電力は、さらに、前記液体噴射装置を搭載する車両を移動させる
モーターに供給されることが望ましい。
このようにすることで、燃料電池は液体噴射装置に電力を供給するだけでなく、車両を
移動させるモーターに駆動用の電力を供給するため、燃料電池からは多くの水が発生する
。したがって、例えば、応急措置として、車両で移動中にウォータージェットメスを用い
て手術を行う場合に、車両を移動させながら水を供給することができるため、切除用の水
が枯渇する可能性を低減することができ、患者を危険にさらすことなく安全に手術を行う
ことができる。
【0014】
また、前記液体噴射装置は前記液体が流入するポンプ室を備え、該ポンプ室の容積を変
更することによって前記液体の噴射動作を行うことが望ましい。
このようにすることで、液体を断続的に噴射する、あるいはパルス状の液体を噴射する
ことができる。一般にパルス状の液体を噴射することによって、少ない液体量でも生体組
織を切除できることが知られている。したがって、かかる液体噴射システムによれば、少
ない液体量で切除を行うことができる。
【0015】
また、前記液体噴射装置は、前記ポンプ室の容積を変更させるダイアフラムと、該ダイ
アフラムを変形させる圧電素子と、を備え、前記圧電素子は、前記燃料電池から供給され
る電力を利用して伸縮することが望ましい。
このようにすることで、燃料電池を用いて圧電素子に電力が供給することができるため
、燃料電池から発生した水を、燃料電池で駆動する圧電素子を用いて断続的に噴射する、
あるいはパルス状に噴射することができる。
【0016】
また、前記燃料電池から供給される電力を利用してパルス状の電圧が生成され前記圧電
素子に供給されることが望ましい。
このようにすることで、パルス状の電圧に応じて圧電素子が伸縮を繰り返すため、ダイ
アフラムを振動させて断続的に、あるいはパルス状の液体を噴射させることができる。
【0017】
また、前記燃料電池はリン酸型燃料電池であることが望ましい。
このようにすることで、実用度の高いシステムを提供することができる。
【0018】
また、本明細書及び添付図面の記載により、以下の事項も明らかとなる。すなわち、
燃料電池を用いて電力を生成し、かつ、前記燃料電池から発生する水を貯留すること
と、
前記燃料電池によって発生した電力を液体噴射装置に供給し、前記貯留した水を前記液
体噴射装置を用いて噴射させることと、
を含む液体噴射方法。
このようにすることで、燃料電池が電力を発生させる際に生ずる水を貯留することがで
きるため、液体噴射装置で切除をしながら水を供給することが可能となる。したがって、
水の供給が困難な状況下でも切除に用いる液体噴射装置で噴射する水が枯渇することを減
らすことができる。また、燃料電池が電力を発生させる際に生ずる水は、不純物が少なく
、清潔であるため、清潔な水を入手することが困難な状況下でも液体噴射装置を動作させ
ながら、切除に用いる清潔な水を供給することができる。
【0019】
===実施形態===
図1は、本実施形態におけるウォータージェットメスシステム1の基本構成図である。
本実施形態におけるウォータージェットメスシステム1は、液体噴射装置としてのウォー
タージェットメス10と、燃料電池20と、冷却部30と、液体貯留部としてのタンク4
0と、外部ポンプ50とを含む。
【0020】
ウォータージェットメス10は、水又は生理食塩水を生体組織に噴射し、生体組織を切
除するための装置である。主に、手術などに用いられる。ウォータージェットメス10の
詳細な構成については、後述する。
【0021】
燃料電池20は、ウォータージェットメスシステム1の各部に電力を供給するための電
池である。本実施形態では、ウォータージェットメス10と、冷却部30と、外部ポンプ
50に電力を供給している。電力は、図に示される電力線21、22、23を通じて供給
される。
【0022】
燃料電池20としては、例えば、リン酸型燃料電池を用いることができる。燃料電池は
、電極と、イオンの通り道を作る電解質と、触媒としての白金と、燃料となる水素及び酸
素を少なくとも用いる。リン酸型燃料電池では、上記電解質としてリン酸を用いている。
燃料電池20は、負極活性物質としての水素と正極活性物質としての酸素とを反応させて
電気を発生させる際に、化学反応の結果として水(HO)を発生する。発生した水(水
蒸気を含む)は、配管61を通じて冷却部30に送られる。
【0023】
冷却部30は、燃料電池20で発生し送られた水を適切な温度にまで低下させるための
装置である。上記のリン酸型燃料電池の動作温度は約200℃である。よって、燃料電池
20から排出される水も200℃前後であり、水蒸気として排出される。この水蒸気は、
配管61においても冷やされ液体になる場合もあるが、切除に用いるには不十分な温度で
ある。冷却部30は、この水蒸気を切除に用いられる温度(20℃前後)にまで冷却する
。冷却部30は、冷媒を用いた既存の冷蔵装置などを用いることができる。
【0024】
また、燃料電池20で発生した水を冷却する際に、切除された生体組織や噴射された水
を吸引する吸引機構が発生する風によって空気冷却するようにしてもよい。このようにす
ることにより、前述の冷却部30を用いない構成とすることができる。吸引機構は例えば
、噴射管を覆う形態で吸引管が配置され(吸引管と噴射管とが2重管構造となっている)
、吸引管を介して切除された生体組織や噴射された水を吸引する機構である。吸引機構が
吸引動作をする際には、モーターでタービン羽根を高速回転させることによって、風を発
生させ、吸引管の内気圧を大気圧よりも低くする。そこで、タービン羽根の近くに、望ま
しくはタービン羽根と吸引管との間に配管61を配置することによって、吸引機構が発生
する風によって燃料電池20で発生した水を空気冷却することができる。
【0025】
尚、冷却部30には、冷却前の温水に塩化ナトリウムを導入して生理食塩水を生成する
機構があってもよい。ここでは、塩化ナトリウムを0.9重量パーセント含有するように
導入量が調整される。0.9重量パーセント濃度の食塩水は、人間の体液と同等の濃度の
生理食塩水に相当する。燃料電池20から発生する水の量は燃料電池20が保持している
水素の減少量から推測することができる。よって、発生した水の量に対して上記の重量パ
ーセントとなるように塩化ナトリウムが導入されることになる。
【0026】
冷却部30で冷却された水又は生理食塩水は、配管62を通りタンク40に供給される
。後述するウォータージェットメス10内における圧力変動によって水又は生理食塩水に
気泡が生じないようにするために、冷却部30とタンク40との間に脱気装置を設けるこ
ととしてもよい。このようにすることで、タンク40に供給される水又は生理食塩水に溶
け込んだ空気を除去することができる。
【0027】
タンク40は、冷却部30において冷却された水又は生理食塩水を貯留するためのもの
である。タンク40に貯留された水又は生理食塩水は、外部ポンプ50によって配管63
を通じて吸い上げられ、配管64を通りウォータージェットメス10に供給される。
【0028】
このようなウォータージェットメスシステム1によれば、燃料電池20において生じた
水をウォータージェットメス10などの液体噴射装置を用いて噴射するので、液体噴射装
置で噴射する水が枯渇することを減らすことができる。また、燃料電池が電力を発生させ
る際に生ずる水は、不純物が少なく、清潔であるため、清潔な水を入手することが困難な
状況下でも液体噴射装置を動作させながら、切除に用いる清潔な水を供給することができ
る。
【0029】
尚、上記燃料電池からは、冷却部30、外部ポンプ50、及び、ウォータージェットメ
ス10に電力が供給されていたが、電力を供給するにあたりインバーター及び整流器等の
電力調整装置を用いることができる。
【0030】
また、燃料電池20には水素が供給されるが、純粋な水素ではなく天然ガスなどの水素
を含んだガスを用いる場合がある。このような場合には、このガスを水素ガスに改質する
改質器を用いて水素ガスを燃料電池20に供給するようにしてもよい。
【0031】
また、燃料電池20から発生した水は前述のように200℃前後の高温である。これを
冷却部30において冷却を行うが、塩化ナトリウムが溶解しやすい程度の温度にまで一旦
冷却し、塩化ナトリウムを溶解するようにしてもよい。このようにすることで、生理食塩
水を生体組織に噴射することができるので、切除中に生体に悪い影響を及ぼすおそれを低
減することができる。
【0032】
また、塩化ナトリウムを溶解させる際、生理食塩水濃度を所定の濃度(0.9重量パー
セントが望ましい)に維持するために、燃料電池20が保持している水素の減少量から水
の発生量を推測するようにしてもよい。また、燃料電池20が出力した電力量から発生し
た水の量を推測するようにしてもよい。このように、発生した水の量を推測することがで
きるので、適切な生理食塩水濃度にするために添加する塩化ナトリウム量も推測すること
ができる。尚、供給される塩化ナトリウムは、固体で格納しておいてもよいし、高濃度の
塩化ナトリウム水溶液として格納しておいてもよい。
【0033】
ところで、断続的に(パルス状に)液体を噴射するパルス流は連続流と比較して少ない
水量で対象物の切除が可能である。よって、水などの液体の供給が困難な状況下では、上
記のウォータージェットメスシステム1において、下記に示すようなウォータージェット
メス10を用いると、燃料電池20によって生じた水の水量でも有効に対象物を切除する
ことができる。
【0034】
図2は、本実施形態におけるウォータージェットメス10の縦断面図である。図2にお
いて、ウォータージェットメス10(液体噴射装置に相当)は、大きくは、マイクロポン
プ100とマイクロポンプ100に接続する出口流路接続管300と出口流路接続管30
0に接続する接続流路管200から構成されている。
【0035】
マイクロポンプ100は、液体が流入される入口流路122が設けられた入口流路体1
20と、ダイアフラム131が密接固定されて構成されるポンプ室132を有するポンプ
室体130と、ポンプ室132の容積を変更するアクチュエータ151を備えたアクチュ
エータユニット150とから構成されている。
【0036】
入口流路体120は、平面視外形は略円筒形であり、側面一方方向に入口流路122が
穿設されたパイプ状の入口接続管121が突出して形成され、入口流路122は、入口流
路室123に流通している。入口流路122の先端部は、前述の配管64に接続され、水
もしくは生理的食塩水が外部ポンプ50を通じて供給される。入口流路室123は、ポン
プ室体130に流通しており、このポンプ室体130の出口流路側には逆止弁125が固
着されている。また、入口流路室123の逆止弁125とは反対側の開口部は、封止板1
24が入口流路室123の周縁に接着や溶接、螺合等の固着手段で密閉固定されている。
【0037】
この入口流路体120の逆止弁側の外周部には、段状のOリングボックス126が形成
され、そのOリングボックス126の外側にポンプ室体130が圧入される段状の固定部
127が形成されている。
【0038】
ポンプ室体130は、入口流路室123に流通するポンプ室体側出口流路301が前述
した入口流路122の反対側に穿設されている。ポンプ室体130の入口流路室123の
反対側に浅い凹部が形成されており、この凹部の開口部には、その周縁にダイアフラム1
31が固定されている。この凹部とダイアフラム131で構成された空間がポンプ室13
2である。
【0039】
また、出口流路接続管300には、ポンプ室体側出口流路301に連通し、同径の接続
管側出口流路302が穿設されている。これらの、ポンプ室体側出口流路301と接続管
側出口流路302を併せて出口流路という。
【0040】
また、入口流路体120とポンプ室体130との接合部には、前述した固定部127の
段部直径と略同じ直径の凹部133が形成され、Oリングボックス126内にリング状の
Oリング230が装着されている。この状態で入口流路体120の固定部127とポンプ
室体130の凹部133とが圧入固定され、Oリング230が圧接されて液体の漏れを防
止している。
【0041】
なお、入口流路体120とポンプ室体130との接合は、圧入固定に限らず、接着や、
螺合によって固定することができる。
【0042】
ポンプ室体130のダイアフラム131側には、アクチュエータユニット150が装着
されている。
【0043】
アクチュエータユニット150は、筒状の筐体152と、この筐体152の一方の開口
部を閉塞する蓋部材154と、この蓋部材154の内側面に端部が固着されるアクチュエ
ータ151と、アクチュエータ151の他方の端部に固着された上台155とから構成さ
れる。そして、筐体152の蓋部材154とは反対側の端部がダイアフラム131を押圧
しながら、その外周部をポンプ室体130に形成されている凹状の固定部に圧入して一体
に固定される。
【0044】
この際、上台155の図中上面がダイアフラム131に密接された関係である。図示し
ないが、筐体152の側面には、内側から外側に貫通する孔が設けられ、この孔を挿通す
るリード線が設けられ、やはり図示しないが外部の外部制御回路に接続されている。アク
チュエータ151は、長手方向に伸縮する圧電素子であり、外部制御回路からパルス状の
電圧が印加されることで、伸縮を行い、伸びたときにダイアフラム131を押して撓ませ
てポンプ室132の容積を減じ、収縮したときには、元の状態に引き戻し、ポンプ室13
2の容積を増加させる。尚、印加される電圧として交流電圧が印加されることとしてもよ
い。
【0045】
出口流路接続管300には、後述する接続流路管200が圧入固定される接続流路管固
定穴304が穿設されている。この接続流路管固定穴304に接続流路管200の一方の
端部が圧入される。また、出口流路接続管300は、接続流路管固定穴304の反対側端
部がポンプ室体130から突出した出口流路固定部134に圧入されてポンプ室体130
に固定されている。
【0046】
接続流路管200には、前述した出口流路と流通する接続流路201が穿設されている
。接続流路管200は、高剛性の金属材料で形成される。この接続流路管200の先端に
は、液体が噴射される開口部211を有するノズル210が圧入されている。
【0047】
ノズル210は、一方の先端に液体が噴射される際に液体が分散せず、しかも噴射方向
が一定になるような液体導入路212に連続する開口部211が設けられている。また、
他方の端部は、液体導入路212に連続して先端側が広いテーパ孔213が設けられてい
る。さらに、開口部211の外側周縁は面取りや、円弧等で滑らかに丸められている。
【0048】
接続流路201は、直径が1mm〜3mmで、出口流路の直径よりも大きく、また、接
続流路201の外殻である接続流路管200の厚さが0.1mm〜1mmに設定されてい
る。従って、接続流路管200の外径は最大で5mmとなる。また、接続流路管200の
端部と出口流路接続管300との当接部から開口部211の入口までの距離を接続流路と
し、この長さをLとしたとき、Lは100mm〜200mmの範囲に設定される。
【0049】
このようなウォータージェットメス10では、液体を断続的に噴射するパルス流を実現
するため液体の使用量が少なくても切除を行うことができるという利点がある。よって、
仮に上述の燃料電池20から発生する水の量が少ない場合であっても、この水を用いて対
象物を切除することができる。
【0050】
また、ウォータージェットメスシステム1を電気自動車の車両に搭載することもできる
。そして、燃料電池20は、この電気自動車のモーターに電力を供給することができる大
型のものとすることもできる。このように、電気自動車のモーターを駆動するために必要
な電力は大きいものであるため、燃料電池から発生する水の量も多くなる。よって、この
ような電気自動車を救急車両として利用することで、発生した水を用いて救急患者の応急
的な手術での切除を行うことができるようになる。
【0051】
本実施形態では、ウォータージェットメス10としてパルス流を発生するウォータージ
ェットメスを用いているが、ウォータージェットメス10の形態はこれに限られない。例
えば、液体を連続的に勢いよく噴射して対象物を切除する液体噴射装置も含むものである

【0052】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解
釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得
ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1 ウォータージェットメスシステム、
10 ウォータージェットメス、
20 燃料電池、30 冷却部、
40 タンク、50 ポンプ、
100 マイクロポンプ、120 入口流路体、
131 ダイアフラム、132 ポンプ室、
150 アクチュエータユニット、
200 接続流路管、300 出口流路接続管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する貯留部と、
前記液体を噴射する液体噴射装置と、
前記液体噴射装置に電力を供給する燃料電池であって、前記電力を発生させる際に生ず
る水を前記貯留部に供給する燃料電池と、
を備える液体噴射システム。
【請求項2】
前記燃料電池から発生した前記水と塩化ナトリウムとが混合されて前記貯留部に供給さ
れる、請求項1に記載の液体噴射システム。
【請求項3】
前記燃料電池の電力は、さらに、前記液体噴射装置を搭載する車両を移動させるモータ
ーに供給される、請求項1または2に記載の液体噴射システム。
【請求項4】
前記液体噴射装置は前記液体が流入するポンプ室を備え、該ポンプ室の容積を変更する
ことによって前記液体の噴射動作を行う、請求項1〜3のいずれかに記載の液体噴射シス
テム。
【請求項5】
前記液体噴射装置は、前記ポンプ室の容積を変更させるダイアフラムと、該ダイアフラ
ムを変形させる圧電素子と、を備え、
前記圧電素子は、前記燃料電池から供給される電力を利用して伸縮する、請求項4に記
載の液体噴射システム。
【請求項6】
前記燃料電池から供給される電力を利用してパルス状の電圧が生成され前記圧電素子に
供給される、請求項5に記載の液体噴射システム。
【請求項7】
前記燃料電池はリン酸型燃料電池である、請求項1〜6のいずれかに記載の流体噴射装
置。
【請求項8】
燃料電池を用いて電力を生成し、かつ、前記燃料電池から発生する水を貯留することと

前記燃料電池によって発生した電力を液体噴射装置に供給し、前記貯留した水を前記液
体噴射装置を用いて噴射させることと、
を含む液体噴射方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−100799(P2012−100799A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250547(P2010−250547)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】