説明

液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法、および液体噴射装置のメンテナンスプログラム

【課題】回復動作等のメンテナンス動作を適切に行なう液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法、および液体噴射装置のメンテナンスプログラムを提供する。
【解決手段】インクジェット式記録装置1は、装置を保守するメンテナンス動作を行なうフラッシング制御手段26やクリーニング制御手段27等と、時刻情報を記憶し当該時刻情報に基づいて時刻を計時するRTC77と、ホストコンピュータ45から時刻情報を受信しRTC77が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える書換手段79と、上記計時された時刻に基づいて上記メンテナンス動作を制御する回復制御手段61とを備える。上記書換手段79は、ホストコンピュータ45から時刻情報を受信したときに、RTC77による計時が停止していた場合、RTC77が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル開口から液滴を噴射する液体噴射ヘッドを有するプリンタ,ディスプレー製造装置,電極形成装置、あるいはバイオチップ製造装置等の液体噴射装置に係り、特に、液体噴射ヘッドのノズル開口の液滴吐出能力を回復させる回復動作等のメンテナンス動作を適切な時間タイミングで行なう液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法、および液体噴射装置のメンテナンスプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体をノズル開口から噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置は、種々な液体を対象にしたものが知られているが、そのなかでも代表的なものとして、インクジェット式記録装置に装着される記録ヘッドをあげることができる。そこで、上記インクジェット式記録装置を例にとって説明する。
【0003】
インクジェット式記録装置では、印刷不作動の状態が長く続くと、ノズル開口部のインクの粘度が上昇するため、次の印刷開始時にインクの吐出不良が発生する可能性がある。このため、対象物にインクを噴射する液体噴射装置(ヘッド)の目詰まりを防止あるいは回復するために、対象物への噴射とは別にヘッドからインクを吐出させたり、インクを吸引したりする回復動作を行なう。
【0004】
このようなインクジェット式記録装置では、電源OFF時に主電源とは別に電池などの副電源と計時用の素子を常時動作させ不作動時間を計測するようになっているが、当然ながら、インクジェット式記録装置のコスト増につながり、また廃電池など環境に与える大きな問題を含有しているのも事実である。
【0005】
そこで、電源オフ時に作動させる専用の計時回路がプリンタ側になくても電源オフの時間を情報発生源側取得することができるインクジェット記録装置が提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。この特許文献1に示す装置は、電源オン後の初めての記録に先立って外部装置から時刻情報を受信することによって、以後、ソフトウェアによる計時処理により時刻を計時し、その計時された時刻により回復処理の要否を決定する。
【特許文献1】特開平11−192728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に示すような装置では、時刻情報を外部装置から受信するようになっているが、外部装置との接続されない状態で使用されると適切な回復動作が行なわれないことになる。例えば、外部装置を必要とせず、記憶媒体から直接印刷可能なインクジェット式記録装置やSPC(スキャナ・プリンタ複合機)が知られているが、このような装置では、外部装置と接続されない状態で使用されることがある。そして、外部装置から時刻情報を取得することができず、時刻が不明な場合は、ノズル開口部のインクの粘度にかかわらず、所定のインク排出量でインクを排出させる回復動作を行なうか、当該回復動作を行なわないかのどちらか一方である。回復動作を行なう場合には、必要以上にインクを消費したり、インクの吐出不良を効果的に防止または解消することができない可能性が高い。一方、回復動作を行なわない場合には、インクの吐出不良が発生する可能性が高く、印刷の信頼性を損ねることになる。
【0007】
また、従来の装置では、外部装置と接続されていても内蔵された時計が停止した場合には、回復動作が必要でないときでもヘッドから所定量のインクを排出させて回復動作を実行するようになっている。また、前回電源の供給が停止されてから今回電源が供給されるまでの電源供給停止期間に応じて回復動作を行なうようになっているが、近年のインクジェット式記録装置は、内蔵時計が停止するまでの時間よりも、回復動作が必要な時間の方が長い。このため、上記のように、内蔵時計が停止した場合に必ず回復動作を実行するのでは、不必要な回復動作を実行することになり、インクを無駄に排出することになるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、回復動作等のメンテナンス動作を適切に行なう液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法、および液体噴射装置のメンテナンスプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射装置は、ノズル開口から液滴を噴射する液体噴射ヘッドと、所定時間毎に装置を保守するメンテナンス動作を行なうメンテナンス手段と、時刻情報を記憶し当該時刻情報に基づいて時刻を計時する時刻計時手段と、外部装置から時刻情報を受信し上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える書換手段と、上記時刻計時手段により計時された時刻に基づいて上記メンテナンス手段のメンテナンス動作を制御するメンテナンス制御手段とを備え、上記書換手段は、外部装置から時刻情報を受信したときに、上記時刻計時手段による計時が停止していた場合、上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換えることを要旨とする。
【0010】
また、本発明の液体噴射装置のメンテナンス方法は、時刻情報を記憶し当該時刻情報に基づいて時刻を所定の時刻計時手段により計時し、外部装置から時刻情報を受信し上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える書換手段により、外部装置から時刻情報を受信したときに、上記時刻計時手段による計時が停止していた場合、上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換え、上記時刻計時手段により計時された時刻に基づいて、所定時間毎に装置を保守するメンテナンス動作を行なうメンテナンス手段のメンテナンス動作を所定のメンテナンス制御手段により制御することを要旨とする。
【0011】
また、本発明の液体噴射装置のメンテナンスプログラムは、時刻情報を記憶し当該時刻情報に基づいて時刻を所定の時刻計時手段により計時するステップと、外部装置から時刻情報を受信し上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える書換手段により、外部装置から時刻情報を受信したときに、上記時刻計時手段による計時が停止していた場合、上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換えるステップと、上記時刻計時手段により計時された時刻に基づいて、所定時間毎に装置を保守するメンテナンス動作を行なうメンテナンス手段のメンテナンス動作を所定のメンテナンス制御手段により制御するステップとをコンピュータ装置に実行させることを要旨とする。
【0012】
すなわち、本発明によれば、時刻情報を記憶し当該時刻情報に基づいて時刻を時刻計時手段により計時し、外部装置から時刻情報を受信し上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える書換手段により、外部装置から時刻情報を受信したときに、上記時刻計時手段による計時が停止していた場合、上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換え、上記時刻計時手段により計時された時刻に基づいて、所定時間毎に装置を保守するメンテナンス動作を行なうメンテナンス手段のメンテナンス動作をメンテナンス制御手段により制御する。
【0013】
したがって、外部装置から時刻情報を受信したときに、上記時刻計時手段による計時が停止していた場合、上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換えることができる。このように、必要に応じて上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を書き換えるようになっているため、装置の処理負担が極めて小さい。また、外部装置から時刻情報を受信したときに、時刻情報を受信するようになっているため、上記時刻計時手段が記録する時刻情報が狂ってしまったまま本装置が使用されることがほとんどない。また、上記時刻計時手段による計時が停止していた場合、すぐにメンテナンス動作を行なうのではなく、外部装置から時刻情報を受信した後に当該時刻情報に基づいて適切なメンテナンス動作を行なうことができる。
【0014】
本発明において、上記メンテナンス手段は、上記メンテナンス動作として上記液体噴射ヘッドのノズル開口から液体を排出させる回復動作を行なって上記液体噴射ヘッドの液体噴射性能を回復させる回復手段を含み、上記メンテナンス制御手段は、上記時刻計時手段により計時された時刻に基づいて上記回復手段の回復動作を制御する場合には、回復動作時における液体の排出に無駄がなく、液体噴射ヘッドの液体噴射性能を効果的に回復させることができる。
【0015】
本発明において、上記書換手段は、外部装置から時刻情報を受信したときに、上記時刻計時手段による計時が停止していない場合であっても、上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える場合には、上記時刻計時手段が記憶する時刻情報が外部装置から受信した時刻情報に確実に書き換えられる。このため、例えば上記時刻計時手段が計時する時刻が狂っていたとしても、上記のように時刻情報が確実に書き換えられるため、常に適切なメンテナンス動作を行なって装置を効果的に保守することができる。
【0016】
本発明において、上記メンテナンス手段がメンテナンス動作を実行した時刻を記憶する回復時刻記憶手段を備え、上記メンテナンス制御手段は、上記回復時刻記憶手段が記憶する時刻に基づいて上記メンテナンス手段のメンテナンス動作を制御する場合には、メンテナンス動作を実行した時刻を記憶するため、例えば電源の供給が停止したとしても適切なメンテナンス動作を行なって装置を効果的に保守することができる。
【0017】
本発明において、上記メンテナンス制御手段は、上記メンテナンス手段がメンテナンス動作を実行したとき、上記回復時刻記憶手段が記憶する時刻を補正する場合には、上記回復時刻記憶手段に正確な時刻が記憶されるため、より一層適切なメンテナンス動作を行なうことができる。
【0018】
本発明において、上記メンテナンス制御手段は、上記メンテナンス手段がメンテナンス動作を実行していない場合であっても、上記回復時刻記憶手段が記憶する時刻を補正する場合には、特別な装置を設ける必要もなく、簡素な処理で上記回復時刻記憶手段に正確な時刻を容易に記憶させることができる。
【0019】
本発明において、上記メンテナンス制御手段は、上記回復時刻記憶手段が記憶している時刻を、外部装置から受信した時刻情報が示す時刻から上記時刻計時手段が計時した時刻を減算した時刻を上記回復時刻記憶手段が記憶している時刻に加算した時刻に書き換えることにより補正する場合には、上記回復時刻記憶手段が記憶する時刻を確実に補正することができる。このため、例えば上記回復時刻記憶手段が記憶する時刻が狂っていたとしても、上記のように時刻が確実に補正されるため、常に適切なメンテナンス動作を行なうことができる。
【0020】
本発明において、上記ノズル開口から排出された液体を廃液として収容する収容部と、上記メンテナンス手段は、上記メンテナンス動作として、上記収容部に収容された廃液の蒸発量を計算し、当該算出した蒸発量を上記収容部に収容された廃液の総量から減算して収容部に収容された廃液の残量を算出する残量算出動作を行なう残量算出手段を含み、上記メンテナンス制御手段は、上記時刻計時手段により計時された時刻に基づいて上記残量算出手段の残量算出動作を制御する場合には、収容部における廃液の蒸発量を減算することができるため、正確に収容部に収容された廃液の残量を算出することができる。したがって、収容部の液体収容能力を最大限に利用することができるとともに、収容部から機外へ廃液が溢れることを防止することができる。また、収容部における廃液の残量を正確に算出することができるため、収容部を小型化することができ、装置全体をコンパクトにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0022】
なお、以下の説明では、液体噴射装置の一種であるインクジェット式記録装置(以下、「記録装置」という)を例に挙げる。この記録装置は、ノズル開口から吐出させた液滴(液体状のインク)を噴射対象物である記録紙(印刷媒体の一種)の表面に着弾させることで文字や画像を記録するものであり、画像記録装置の一種でもある。
【実施例1】
【0023】
図1は、記録装置1の周辺構造の一例を示す図である。この記録装置1は、インクカートリッジ2が搭載されるとともに、インク滴(液滴)を噴射する液体噴射ヘッド(以下「記録ヘッド」という)10が取付けられたキャリッジ3を備えている。
【0024】
上記キャリッジ3は、タイミングベルトを介してステッピングモータに接続され、ガイドバーに案内されて記録紙の紙幅方向(主走査方向)に往復移動するようになっている。上記キャリッジ3は、上部に開放する箱型を呈し、記録紙と対向する面(この例では下面)に、記録ヘッド10のノズル面が露呈するよう取付けられるとともに、インクカートリッジ2が収容されるようになっている。
【0025】
そして、上記記録ヘッド10にインクカートリッジ2からインクが供給され、キャリッジ3を移動させながら記録紙上面にインク滴を吐出させて記録紙に画像や文字をドットマトリックスにより印刷するようになっている。図1において、8は印刷休止中に記録ヘッド10のノズル開口を封止することによりノズルの乾燥をできるだけ防ぐキャッピング手段としてのキャップである。また、キャリッジ3にはガイドバーが挿通されている。
【0026】
上記キャップ8の下方には、キャップ8により封止されたノズル開口からインクを吸引する吸引手段である吸引ポンプ11が設けられている。また、12は上記吸引ポンプで吸引されたインクを貯留する廃インク貯留部としての廃液タンク12である。
【0027】
上記キャップ8には、吸引ポンプ11から吸引されたインクが流通するチューブ11aの一端が接続されており、この吸引ポンプ11の排出側は廃液タンク12に接続されている。吸引ポンプ11の動作(クリーニング動作)によってキャップ8内に排出されたインク廃液は、廃液タンク12に収納された廃液吸収材13に吸収保持されるように構成されている。
【0028】
上記吸引ポンプ11は、吸引ポンプ11を駆動制御するポンプ駆動手段29の制御によりキャップ8に封止された状態の記録ヘッド10に対して負荷する吸引力(負圧)を大きくしたり、小さくするようになっている。これにより、キャップ8により封止されたノズル開口からインクを排出させる度合い(力、量、時間を含む)を変化させるようになっている。
【0029】
上記記録ヘッド10では、印刷データがなくなって記録ヘッド自体が休止状態におかれた場合に、ノズル開口付近のインクが乾燥して目詰まりが生じてしまう。このため、印刷動作を行なわない間は記録ヘッド10をキャップ8で封止するようになっているが、封止されたまま長期間放置されると、ノズル開口近傍のインクの溶媒が少しずつ揮散して粘度が上昇し、すぐには印刷できなかったり、印刷品質が低下する等のトラブルが発生しやすくなる。さらに、印刷動作により連続的にインクを吐出しているノズル開口は、新しいインクが順次供給されて目詰まりはほとんど生じないが、上端や下端等に位置しインクを吐出する機会が極めて低いノズル開口では、印刷中にノズル開口付近のインクが乾燥して増粘し、目詰まりを生じやすい。したがって、未使用での放置時間が長くなったり、使用中の印字時間が長くなったりすると、ノズル開口付近のインクの増粘はより激しくなるのである。
【0030】
このような問題に対処するため、印刷開始前の予備操作の1つとして、記録装置1に電源が投入された時点や、最初に印刷信号が入力された時点で、印刷とは無関係に各ノズル開口から強制的にインクを吐出させることにより、ノズル開口の目詰まりを解消し、インク滴吐出能力を回復させる「フラッシング動作」や「クリーニング動作」等のメンテナンス動作が後述のフラッシング制御手段26やクリーニング制御手段27により実行される。
【0031】
上記「フラッシング動作」は、後述のフラッシング制御手段26の制御により実行され、上記記録ヘッド10の圧電振動子に印刷データと無関係の駆動信号を印加することにより、記録ヘッド10のノズル開口からインク滴を噴射させ、ノズル開口周辺の増粘したインクをあらかじめ排出させるものである。上記フラッシング動作では、増粘したインクをより強力に排出(吐出)させるため、圧電振動子に駆動電圧を印加する際、印刷時の電圧よりも高い電圧を最も高い周波数で印加される。
【0032】
上記「クリーニング動作」は、後述のクリーニング制御手段27の制御により実行され、上記「フラッシング動作」では完全にノズル開口が回復されない場合に行なわれるもので、ノズル開口付近の増粘したインクの目詰まりを解消させるため、あるいは目詰まりを防止するために実行される。そして、吸引ポンプ11が各ノズル開口に対して負圧を与え所定の吸引度合い(吸引力、吸引量、吸引時間を含む)で記録ヘッド10のノズル開口からインクを吸引し、圧力発生室内等の増粘したインクを印刷前に強制的に排出させるものである。
【0033】
このように、上記回復動作は、上記吸引ポンプ11により上記ノズル開口からインクを吸引するクリーニング動作および上記記録ヘッド10のノズル開口からインク滴を噴射させるフラッシング動作を含む。このため、例えば、ノズル開口付近のインクの増粘が激しいときはクリーニング動作により確実に目詰まりの回復を図り、それほど増粘していないときはフラッシングモード動作より少ない液体消費で目詰まりを回復させることができる。このように、インクの増粘度合いに応じた適切な回復動作により、効率的に目詰まりの回復を行なうことができるのである。
【0034】
本実施例では、上記回復動作は、インクの排出度合いが小さい順から、第1フラッシング動作(フラッシング1)、第2フラッシング動作(フラッシング2)、第3フラッシング動作(フラッシング3)、第4フラッシング動作(フラッシング4)、第1タイマクリーニング動作(TCL4)、第2タイマクリーニング動作(TCL4D)、第3タイマクリーニング動作(TCL5)等の複数種類の回復動作が設定されている。
【0035】
なお、上記チューブ11aに開閉弁を設けるとともに、当該開閉弁を開閉制御する流路開閉制御手段(例えばクリーニング制御手段27)を設け、上記クリーニング動作として、上記流路開閉制御手段により上記開閉弁を閉弁した状態で吸引ポンプ11で吸引することにより吸引ポンプ11と開閉弁との間に所定の度合いで負圧を蓄積した状態から上記開閉弁を開弁させる高負圧クリーニング動作を設定してもよい。
【0036】
この場合、上記高負圧クリーニング動作が実行されると、上記ノズル開口付近に付与される負圧は短時間のうちに急激に上昇する。したがって、記録ヘッド10内の液体の吸引流速が急激に高い流速レベルに達し、上記ノズル開口からインクを一気に排出することができる。これにより、増粘したインクも強力に吸引され、新鮮なインクがノズル開口等に満たされて、良好な液体噴射が得られる。また、これと同時に、記録ヘッド10内に停滞している除去しにくい残留気泡も一気に排出することができる。このように、上記吸引ポンプ11の吸引能力を特別に高めることなく、インクの増粘度合いに応じて上記キャップ8に強力な負圧を付与することができるため、効率よく回復動作を実行することができる。
【0037】
上記回復動作は、前回(最後)にクリーニング動作が実行されてから経過した時間である後述のCL経過時間や、後述の累積印字タイマ81で計時された累積印字時間が長かった場合には、インクの排出度合いの大きい回復動作が行なわれ、CL経過時間や累積印字時間が短かった場合には、インクの排出度合いの小さい回復動作が行なわれる。
【0038】
本発明において「排出度合い」とは、排出力、排出量、排出時間等を含み、回復動作においてフラッシング制御手段26やクリーニング制御手段27が本装置の使用状態に応じて適切な排出度合いでノズル開口からインクを排出することで、フラッシング動作やクリーニング動作によるインクの排出量、排出時間、排出の際の流量等の度合いが適切な度合いとなり、インクが無駄に排出されることがなくなり、インクの消費を大幅に低減することもできるとともに、インク滴の噴射不良を確実かつ効果的に防止または解消することができる。
【0039】
つぎに、記録装置1の機能について説明する。
【0040】
記録装置1は、後述のRTC77により計時された時刻に基づいて、所定時間毎に装置を保守するメンテナンス動作を行なうメンテナンス手段である回復手段(フラッシング制御手段26やクリーニング制御手段27)、蒸発量計算手段31や廃液量計算手段33のメンテナンス動作をメンテナンス制御手段(後述の回復制御手段61)により制御するようになっている。
【0041】
本実施例では、上記メンテナンス動作は、記録ヘッド10のノズル開口からインクを排出させる回復動作(図2〜図4)と、廃液タンク12に貯留された廃インクの蒸発量を計算し、当該算出した蒸発量を廃液タンク12に貯留された廃インクの総量から減算して廃液タンク12に貯留された廃インクの残量を算出する残量算出動作(図8および図9)とが設定されている。
【0042】
図示のように、記録装置1は、ホストコンピュータ45と接続されている。このホストコンピュータ45には、プリンタドライバ47が搭載されており、キーボードやマウス等の入力装置49からの指令によって、用紙サイズ、モノクロ/カラー印字の選択、記録モードの選択、フォント等のデータおよび印字指令等が入力できるようになっている。
【0043】
また、上記ホストコンピュータ45には、ディスプレー50が接続されており、このディスプレー50によって、上記入力装置49による入力状況が確認できるとともに、記録装置1の状態、例えば装着されている各インクカートリッジのインク残量等の情報も可視的に表示できるように構成されている。
【0044】
上記記録装置1は、印字制御を行なう印字制御手段23と、記録ヘッド10のノズル開口からインクを排出させる回復動作を行なって記録ヘッド10の液体噴射性能を回復させる回復手段であるフラッシング制御手段26やクリーニング制御手段27と、記録ヘッド10からインク滴を吐出させるヘッド駆動手段28と、吸引ポンプ11を駆動するポンプ駆動手段29と、後述の廃液量計算手段33が計算した廃インクの量が廃液収容限界値を超えたか否かを判断し、廃液タンク12に貯留された廃インクの量が廃液収容限界値を超えたと判断したとき、エラーを出力するオーバーフロー判断手段35とを備えている。
【0045】
上記印字制御手段23は、ホストコンピュータ45および回復制御手段61と接続され、ホストコンピュータ45から送信される印字データに基づいてビットマップデータを生成し、このデータに基づいてヘッド駆動手段28を制御し、印字を行なうように構成されている。上記印字制御手段23は、印字制御を行なうと、後述の回復制御手段61に印字を行なったことを示す印字実行コマンド(印字実行指令)を送信する。この印字実行コマンドは、回復制御手段61による累積印字タイマの計時制御の契機となる。
【0046】
上記フラッシング制御手段26は、電源がONになったとき等に後述の動作決定手段69で決定されたフラッシング動作に基づいてヘッド駆動手段28を制御し、当該フラッシング動作を実行する。
【0047】
上記クリーニング制御手段27は、電源がONになったとき等に上記動作決定手段69で決定されたクリーニング動作に基づいてポンプ駆動手段29を制御し、当該クリーニング動作を実行する。
【0048】
上記ヘッド駆動手段28は、上記印字制御手段23の制御により駆動信号を発生させて、記録ヘッド10からインク滴を吐出させることができるように構成されている。また、上述のように、ヘッド駆動手段28は、印字データに基づくインク滴の吐出作用の他に、上記フラッシング制御手段26からの指令を受けて、記録ヘッド10を駆動し、上記フラッシング動作を実行する。
【0049】
上記ポンプ駆動手段29は、上述のように、クリーニング制御手段27の制御により吸引ポンプ11によりキャップ8に封止された状態の記録ヘッド10に負圧を与え、全ノズル開口からインクを強制的に吸引するクリーニング動作を実行する。また、上記フラッシング動作に先立って、同じくキャップ8に封止された状態の記録ヘッド10に負圧を与え、ノズル開口部の微量なインクを吸引する予備吸引動作を実行する。
【0050】
また、上記記録装置1は、各種機器の制御を行なう演算装置であるCPU(Central Processing Unit)と、後述の回復動作決定テーブル(図6)や装置を動作させるためのプログラム等を記憶するROM(Read−Only Memory)と、プログラムの一時的な作業領域ともなるRAM(Random Access Memory)とを含んで構成された回復制御手段61を有する。
【0051】
上記回復制御手段61は、上記構成により、後述のRTC77により計時された時刻に基づいて上記複数種類の回復動作の中から上記フラッシング制御手段26やクリーニング制御手段27に実行させる回復動作を決定する動作決定手段69と、RTC77により計時された時刻に基づいて廃液タンク12における廃インクの蒸発量を計算する蒸発量計算手段31と、蒸発量計算手段31で計算された蒸発量に基づいて廃液タンク12に廃インクの総量を計算する廃液量計算手段33としての機能を有する。すなわち、回復制御手段61は、上記RTC77により計時された時刻に基づいて上記フラッシング制御手段26やクリーニング制御手段27の回復動作を制御する。
【0052】
上記廃液量計算手段33は、計算したインクの残量を記憶する残量記憶手段(残量カウンタ)と、上記回復動作によって排出されたインクの総量を記憶する排出総量カウント手段(排出総量カウンタ)しての機能を有する。
【0053】
上記回復制御手段61は、本装置の使用開始後に初めて後述のLastCLTimeに対して補正が行なわれたときに(図3のS13)セットされるフラグである「Tini」フラグの状態を記憶するTiniフラグ記憶部71と、本装置の電源投入時にRTC77が動作停止していた場合にセットされるフラグである「電源OFF経過時間不定」フラグの状態を記憶する電源OFF不定フラグ記憶部73と、電源ON後にホストコンピュータ45から時刻情報を示す「TI」コマンドを受信したことを示すフラグである「TI」フラグの状態を記憶するTIフラグ記憶部75とを備えている。
【0054】
上記Tiniフラグ記憶部71と電源OFF不定フラグ記憶部73は、不揮発性メモリ(EEPROM)からなり、TIフラグ記憶部75は、RAMからなる。
【0055】
上記Tiniフラグ記憶部71の「Tini」フラグは、一度セットされるとリセットされないようになっている。
【0056】
上記電源OFF不定フラグ記憶部73の「電源OFF経過時間不定」フラグは、電源ON後にホストコンピュータ45から時刻情報を示す「TI」コマンドを受信していない場合に(図3のS17で“NO”)、本装置の電源投入時にRTC77が動作停止していたとき(図3のS18で“YES”)と、クリーニング動作実行後(図5のS42)とにリセットされるようになっている。
【0057】
上記TIフラグ記憶部75の「TI」フラグは、電源OFF時にリセットされるようになっている。「Tini」フラグがリセットされている状態で(図3のS11で“NO”)、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされている状態である場合には(図3のS12で“NO”)、セットされないようになっている。すなわち、「TI」フラグは、初めて本装置の電源が投入されクリーニング動作が実行されるまでは、セットされない。
【0058】
上記「フラグをセットする」とは、上記のような記憶部に識別情報である「1」を格納することである。一方、「フラグをリセットする」とは、記憶部に識別情報である「0」を格納することである。
【0059】
上記回復制御手段61には、時刻情報を記憶し当該時刻情報に基づいて時刻を計時する時刻計時手段であるRTC(Real Time Clock)77と、外部装置(本実施例では、ホストコンピュータ45)から時刻情報を受信し上記RTC77が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える書換手段79と、上記累積印字時間を計時する噴射時間計時手段である累積印字タイマ81と、上記フラッシング制御手段26やクリーニング制御手段27が前回(最後)に回復動作を実行した時刻(LastCLTime)を記憶する回復時刻記憶手段であるLastCLTime記憶部83と、使用者が外部からの電源を供給(電源ON)したり、供給停止(電源OFF)するための電源操作手段である電源スイッチ85とが接続されている。
【0060】
上記RTC77は、例えばコンデンサ等を有し、電源の供給により蓄電するよう構成され、所定時間電源の供給が停止していても時刻を計時することができるようになっている。
【0061】
上記累積印字タイマ81は、上記クリーニング動作の実行により、累積時間がゼロリセットされ、印字動作の開始に伴って累積時間をカウントアップするよう作用する。
【0062】
上記累積印字タイマ81で計時された累積印字時間(累積計時出力)は、回復制御手段61によって読み出される。上記回復制御手段61は、上記累積印字タイマ81で計時された累積印字時間に基づいて回復動作を実行するようになっている。
【0063】
また、上記回復制御手段61は、クリーニング動作を制御した場合に上記累積印字タイマ81で計時された累積印字時間をゼロリセットするようになっている。このようにすることにより、前回のクリーニング動作によってほぼ完全に増粘インクの排出が行なわれた後からの累積印字時間に基づいてメンテナンス動作が実行されるため、使用状態に一層適したメンテナンス動作を実行することができる。
【0064】
上記回復制御手段61は、RTC77で計時された時刻からLastCLTime記憶部83に記憶されているLastCLTime(LastCL時刻)を減算した時間であるCL(クリーニング)経過時間を算出する(図4のS34)。そして、その算出したCL経過時間と、累積印字タイマ81で計時された累積印字時間とに基づいて回復制御手段61内のROMに記憶された回復動作決定テーブルを参照し、上記複数の回復動作の中からいずれかの回復動作を選択し、実行する回復動作を決定するようになっている(図4のS35)。
【0065】
上記フラッシング制御手段26やクリーニング制御手段27は、動作決定手段69で決定された回復動作に基づいて、インクの排出度合い(力、量、時間を含む)が異なる回復動作を実行し、上記ノズル開口からインク(ここでは、圧力発生室内やノズル開口付近のインク)を排出させる。
【0066】
つぎに、図2〜図5のフローチャートを参照して、記録装置1の動作処理の一例について説明する。
【0067】
図2〜図4に示す処理は、記録装置1がROMに記憶されるプログラムを実行することによって実現される。以下において、「S」はステップを意味する。
【0068】
図2は、電源が投入されると実行される動作処理であり、図3は、電源ON後にホストコンピュータ45から時刻情報を示す「TI」コマンドを受信したときに実行される動作処理であり、図4は、印字を行なう直前に実行される動作処理であり、図5は、クリーニング動作を行なうときに実行される動作処理である。詳細には、図3および図4は印字開始前に実行されるが、ホストコンピュータ45から時刻情報を受信(取得)した場合は、当該受信した時刻情報を用いて回復動作を行なうため、図3についで図4に示す動作処理が実行される。一方、ホストコンピュータ45から時刻情報を受信(取得)できなかった場合には、図3に示す動作処理が実行されず、RTC77が計時する時刻を用いて回復動作を行なうよう図4に示す動作処理が実行される。
【0069】
図2に示すように、電源スイッチ85が操作され、電源が投入されると、アクチュエータ(各種装置)に電源が供給され、回復制御手段61は、ROMに記憶されたプログラムを起動する。ついで、記録装置1は、回復制御手段61により「TI」フラグをリセットし(S1)、電源ON直前もRTC77が動作していたか否かを判別する(S2)。ここで、電源ON直前もRTC77が動作していたと判別すると(S2で“YES”)、つぎの処理(例えば図3のS11)に進み、電源ON直前もRTC77が動作していないと判別すると(S2で“NO”)、S3に進む。
【0070】
電源ON直前もRTC77が動作していないと(S2で“NO”)、記録装置1は、回復制御手段61により「電源OFF経過時間不定」フラグをセットする(S3)。ここで、電源ON直前もRTC77が動作していない場合(S2で“NO”)とは、電源がOFFになってからRTC77が放電しきるほどの時間が経過したことを含む趣旨である。すなわち、「電源OFF経過時間不定」フラグは、内蔵時計であるRTC77が完全に放電してしまい電源がOFFであった期間を計時することができず、その期間が不明である場合にセットされる。
【0071】
「電源OFF経過時間不定」フラグをセットすると(S3)、RTC77に記憶された時刻情報をゼロリセットし(S4)、記録装置1は、つぎの処理(例えば図3のS11)に進む。
【0072】
つぎに、図3を参照して、ホストコンピュータ45から「TI」コマンドを受信したときに開始する動作処理について説明する。
【0073】
ホストコンピュータ45から「TI」コマンドを受信すると、記録装置1は、回復制御手段61により「Tini」フラグがセットされているか否かを判別する(S11)。ここで、「Tini」フラグがセットされていると判別すると(S11で“YES”)、S17に進み、「Tini」フラグがセットされていないと判別すると(S11で“NO”)、S12に進む。
【0074】
「Tini」フラグがセットされていないと(S11で“NO”)、記録装置1は、回復制御手段61により「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされているか否かを判別する(S12)。ここで、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていると判別すると(S12で“YES”)、つぎの処理(例えば図4のS31)に進み、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていないと判別すると(S12で“NO”)、S13に進む。
【0075】
上記「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされている場合とは、電源投入時にRTC77が動作しておらず(図2のS2で“NO”)、図2のS3で「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされたことを含む趣旨である。
【0076】
一方、上記「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていない場合とは、電源投入時にRTC77が動作していて(図2のS2で“YES”)、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされなかった場合と、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされているときに(後述の図4のS32で“YES”)、クリーニング動作処理が行なわれ(図4のS33)、そのクリーニング動作処理(図5)においてS42で「電源OFF経過時間不定」フラグがリセットされたことを含む趣旨である。
【0077】
「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていないと(S12で“NO”)、記録装置1は、上記回復制御手段61により、LastCLTime記憶部83が記憶する「LastCLTime」を補正する(S13)。これにより、LastCLTime記憶部83に正確な時刻が記憶されるため、より一層適切な回復動作を行なうことができる。この補正処理は、フラッシング制御手段26やクリーニング制御手段27が回復動作を実行(図5のS41)した後に行なわれる。
【0078】
ここでは、具体的には、上記回復制御手段61により、LastCLTime記憶部83が現在記憶している「LastCLTime」を、ホストコンピュータ45から受信した「TI」コマンド(時刻情報)が示す時刻(TI)から上記RTC77が計時した時刻(RTC時刻)を減算した時刻を上記LastCLTime記憶部83が現在記憶している「LastCLTime」に加算した時刻である最新の「LastCLTime」に書き換えることにより補正する(最新の「LastCLTime」=現在の「LastCLTime」+「TI」−「RTC」)。このようにすることにより、特別な装置を設ける必要もなく、簡素な処理でLastCLTime記憶部83に正確な時刻を容易に記憶させることができる。
【0079】
ついで、記録装置1は、書換手段79により、RTC77に記憶されている時刻情報を、ホストコンピュータ45から受信した時刻情報に書き換えて(S14)、上記回復制御手段61により、「TI」フラグをセットするとともに(S15)、「Tini」フラグをセットする(S16)。この後、つぎの処理(例えば図4のS31)に進む。
【0080】
上記S16において「Tini」フラグがセットされるため、この後電源を切った後には、後のS12〜S16の処理に進まず、S17以降の処理が行なわれる。このため、上記「Tini」フラグがセットされていない場合(S11で“NO”)とは、本装置への電源の投入が初めての場合である。
【0081】
上記S11の説明に戻って、「Tini」フラグがセットされていると(S11で“YES”)、記録装置1は、上記回復制御手段61により、「TI」フラグがセットされている(前回にS22で「TI」フラグがセットされ電源ON後に「TI」コマンドを既に受信している)か否かを判別する(S17)。ここで、「TI」フラグがセットされていると判別すると(S17で“YES”)、つぎの処理(例えば図4のS31)に進み、「TI」フラグがセットされていない(電源ON後にまだ「TI」コマンドを受信していない)と判別すると(S17で“NO”)、S18に進む。
【0082】
「TI」フラグがセットされていないと(S17で“NO”)、記録装置1は、回復制御手段61により、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされているか否かを判別する(S18)。ここで、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていると判別すると(S18で“YES”)、S19に進み、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていないと判別すると(S18で“NO”)、S20に進む。
【0083】
上述と同様に、上記「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされている場合とは、電源投入時にRTC77が動作しておらず(図2のS2で“NO”)、図2のS3で「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされたことを含む趣旨である。
【0084】
また、上記「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていない場合とは、電源投入時にRTC77が動作していて(図2のS2で“YES”)、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされなかった場合と、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされているときに(後述の図4のS32で“YES”)、クリーニング動作処理が行なわれ(図4のS33)、そのクリーニング動作処理(図5)においてS42で「電源OFF経過時間不定」フラグがリセットされたことを含む趣旨である。
【0085】
「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていると(S18で“YES”)、記録装置1は、回復制御手段61により、「電源OFF経過時間不定」フラグをリセットし(S19)、S21に進む。
【0086】
「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていないと(S18で“NO”)、記録装置1は、上記回復制御手段61により、上述のS13と同様に、LastCLTime記憶部83が記憶する「LastCLTime」を補正する(S20)。この補正処理も、フラッシング制御手段26やクリーニング制御手段27が回復動作を実行(図5のS41)した後に行なわれ、上記回復制御手段61により、LastCLTime記憶部83が現在記憶している「LastCLTime」を最新の「LastCLTime」に書き換える(最新の「LastCLTime」=現在の「LastCLTime」+「TI」−「RTC」)。このため、LastCLTime記憶部83に正確な時刻が記憶されるため、より一層適切な回復動作を行なうことができる。
【0087】
このように、上記「LastCLTime」の補正処理は、上記S13のようにクリーニング動作の後に実行されるが、上記S20のように、電源投入時にRTC77が動作していて(図2のS2で“YES”)、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされなかった場合にも実行される。
【0088】
すなわち、上記回復制御手段61は、フラッシング制御手段26やクリーニング制御手段27が回復動作を実行していない場合であっても、LastCLTime記憶部83が記憶する時刻を補正する(S20)。したがって、LastCLTime記憶部83が記憶する時刻を確実に補正することができる。このため、例えばLastCLTime記憶部83が記憶する時刻が狂っていたとしても、上記のように時刻が確実に補正されるため、常に適切な回復動作を行なって記録ヘッド10の液体噴射性能を回復させることができる。
【0089】
ついで、記録装置1は、書換手段79により、RTC77に記憶されている時刻情報を、ホストコンピュータ45から受信した時刻情報に書き換える(S21)。
【0090】
すなわち、上記書換手段79は、ホストコンピュータ45から時刻情報(TIコマンド)を受信したときに(図3)、RTC77による計時が停止していた場合(図3のS18で“YES”)、上記RTC77が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換えるようになっている(図3のS22)。
【0091】
また、上記書換手段79は、ホストコンピュータ45から時刻情報を受信したときに(図3)、RTC77による計時が停止していない場合であっても(図3のS18で“NO”)、RTC77が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える(図3のS22)。したがって、RTC77が記憶する時刻情報がホストコンピュータ45から受信した時刻情報に確実に書き換えられる。このため、例えばRTC77が放電しきる等でRTC77が計時する時刻が狂っていたとしても、上記のように時刻情報が確実に書き換えられるため、常に適切な回復動作を行なって記録ヘッド10の液体噴射性能を回復させることができる。
【0092】
ついで、時刻情報が書き換えると(S21)、記録装置1は、上記回復制御手段61により、「TI」フラグをセットし(S22)、つぎの処理(例えば図4のS31)に進む。
【0093】
つぎに、図4を参照して、印字起動時(印字直前)に開始する動作処理について説明する。
【0094】
まず、記録装置1は、回復制御手段61により「Tini」フラグがセットされているか否かを判別する(S31)。ここで、「Tini」フラグがセットされていると判別すると(S31で“YES”)、S34に進み、「Tini」フラグがセットされていないと判別すると(S31で“NO”)、S32に進む。
【0095】
上記「Tini」フラグがセットされている場合とは、「Tini」フラグがセットされていない場合に(図3のS11で“NO”)、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていないとき(図3のS12で“NO”)、「Tini」フラグがセットされたことを含む趣旨である。
【0096】
一方、上記「Tini」フラグがセットされていない場合とは、「Tini」フラグがセットされていない場合に(図3のS11で“NO”)、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされているため(図3のS12で“YES”)、「Tini」フラグがセットされなかったことを含む趣旨である。
【0097】
「Tini」フラグがセットされていないと(S31で“NO”)、記録装置1は、回復制御手段61により、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされているか否かを判別する(S32)。ここで、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていると判別すると(S32で“YES”)、S33に進み、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていないと判別すると(S32で“NO”)、S34に進む。
【0098】
上述と同様に、上記「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされている場合とは、電源投入時にRTC77が動作しておらず(図2のS2で“NO”)、図2のS3で「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされたことを含む趣旨である。
【0099】
また、上記「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていない場合とは、電源投入時にRTC77が動作していて(図2のS2で“YES”)、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされなかった場合と、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされているときに(後述の図4のS32で“YES”)、クリーニング動作処理が行なわれ(図4のS33)、そのクリーニング動作処理(図5)においてS42で「電源OFF経過時間不定」フラグがリセットされたことを含む趣旨である。
【0100】
「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていると(S32で“YES”)、記録装置1は、後で図5を参照して説明するクリーニング動作処理を行なって(S33)、S37に進む。
【0101】
「Tini」フラグがセットされている(S31で“YES”)、または「Tini」フラグがセットされておらず、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていないと(S32で“NO”)、記録装置1は、回復制御手段61により、CL経過時間[T1]を算出する(S34)。具体的には、回復制御手段61により、RTC77で計時されたRTC時刻からLastCLTime記憶部83に記憶されているLastCL時刻を減算し、CL経過時間を算出する(CL経過時間[T1]=RTC時刻−LastCL時刻)。
【0102】
ついで、記録装置1は、回復制御手段61の動作決定手段69により、図6に示す回復動作決定テーブル(印刷開始前TCL/FL判定表)を参照して、複数種類の回復動作の中からいずれかの回復動作を選択し、実行する回復動作を決定する(S35)。
【0103】
図6に示すように、回復動作決定テーブルでは、CL後経過時間(T1[時間])と示されたCL経過時間(T1)と累積印字時間(T3)とが相関関係を有し、回復制御手段61により算出されたCL経過時間(T1)および累積印字タイマ81で計時された累積印字時間(T3)の値に基づいて使用状態により適した回復動作が決定されるようになっている。
【0104】
すなわち、上記回復制御手段61は、LastCLTime記憶部83が記憶する時刻に基づいてフラッシング制御手段26やクリーニング制御手段27の回復動作を制御するようになっている。このように、CL経過時間(T1)を直接的に計時するのではなく、回復動作を実行した時刻を記憶し、上記のようにCL経過時間(T1)を算出するため、例えば電源の供給が停止したとしても、LastCLTime記憶部83が記憶する時刻を読み出し適切な回復動作を行なって記録ヘッド10の液体噴射性能を効果的に回復させることができる。
【0105】
図6に示すように、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていると、動作決定手段69は、CL経過時間(T1)や累積印字時間(T3)にかかわらず、回復動作を第3タイマクリーニング動作(TCL5)に決定する。すなわち、上記動作決定手段69は、「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていると(図2のS3)、RTC77が放電しきるほどの時間(電源OFF経過時間)が経過し、インクの乾燥が進行していることを考慮し、上記回復動作モードを強力なクリーニング動作(TCL5)に決定するようになっている。このようにすることにより、「フラッシング動作」より強力な「クリーニング動作」を実行でき、しっかりと目詰まりを解消または防止することができる。
【0106】
また、一方、「電源OFF経過時間不定」フラグがリセットされていると、動作決定手段69は、CL経過時間(T1)や累積印字時間(T3)の相関関係に応じていずれかの回復動作を選択するようになっている。
【0107】
具体的には、動作決定手段69は、CL経過時間(T1)が5時間未満である場合には、累積印字時間(T3)にかかわらず、第1フラッシング動作(フラッシング1)を選択するようになっている。そして、CL経過時間(T1)が5時間以上120時間未満であり、かつ累積印字時間(T3)が5時間未満である場合には、第2フラッシング動作(フラッシング2)を選択するようになっている。
【0108】
また、動作決定手段69は、CL経過時間(T1)が120時間以上240時間未満であり、かつ累積印字時間(T3)が5時間未満である場合には、第3フラッシング動作(フラッシング3)を選択するようになっている。そして、CL経過時間(T1)が240時間以上480時間未満であり、かつ累積印字時間(T3)が5時間未満である場合には、第4フラッシング動作(フラッシング4)を選択するようになっている。
【0109】
また、動作決定手段69は、CL経過時間(T1)が5時間以上600時間未満であり、かつ累積印字時間(T3)が5時間以上である場合と、CL経過時間(T1)が480時間以上600時間未満である場合には、第1タイマクリーニング動作(TCL4)を選択するようになっている。
【0110】
また、動作決定手段69は、CL経過時間(T1)が600時間以上である場合には、第2タイマクリーニング動作(TCL4D)を選択するようになっている。
【0111】
このようにすることにより、CL経過時間(T1)や累積印字時間(T3)が短い場合には、ノズル開口のインクの乾燥があまり進行していないことを考慮してインクの排出度合いの小さい回復動作を実行することができ、CL経過時間(T1)や累積印字時間(T3)が長い場合には、ノズル開口のインクの乾燥が進行していることを考慮してインクの排出度合いの大きい強力な回復動作を実行することができる。これにより、目詰まりが十分に解消されなかったり、必要以上のメンテナンス動作を実行させることによりインクを無駄に消費させてしまうことを防止することができる。
【0112】
したがって、上記フラッシング制御手段26とクリーニング制御手段27により制御される回復動作は、CL経過時間(T1)や累積印字時間(T3)等の使用状態によって変化するノズル開口付近のインクの粘度に応じて適切に実行される。例えば、回復動作において上記ノズル開口から少量のインクを排出することでインク滴の噴射不良を防止または解消することができるにもかかわらず、多量のインクを排出してしまうことを防止し、一方、多量のインクを排出しなければインク滴の噴射不良を防止または解消することができないにもかかわらず、少量のインクしか排出されずにインク滴の噴射不良を効果的に防止または解消することができないということを防止することができる。このように、回復動作において、ノズル開口から排出されるインクは、使用状態に応じて適切な排出度合いで自動的に排出されるため、インクが無駄に排出されることがなくなり、インクの消費を大幅に低減することもできるとともに、インク滴の噴射不良を効果的に防止または解消することができる。
【0113】
また、記憶装置1に電源が供給されると、上記のように適切な回復動作が自動的に実行されるため、対象物へのインク滴の噴射を開始する前に自動的に記録ヘッド10に対する回復動作を効果的に実行することができ、インク滴の噴射不良の発生を未然に防止することができる。
【0114】
再び図4を参照して、実行する回復動作を決定した場合(S35)、記録装置1は、回復制御手段61により、クリーニング動作が必要であったか否かを判別する(S36)。すなわち、フラッシング動作ではなく、クリーニング動作を選択したか否かを判別する。ここで、クリーニング動作が必要であったと判別すると(S36で“YES”)、後で図5を参照して説明するクリーニング動作処理を行ない(S33)、S37に進み、いずれのクリーニング動作も必要ではなかったと判別すると(S36で“NO”)、S37に進む。
【0115】
クリーニング動作も必要ではないと(S36で“NO”)、記録装置1は、回復制御手段61により、印刷開始前フラッシングとして上記フラッシング制御手段26を制御し上記決定したフラッシング動作を実行し(S37)、つぎの処理(例えば、ホストコンピュータ45から入力された印字データを含む印字指令に基づいて印刷を開始する印刷開始処理)に進む。
【0116】
つぎに、図5を参照して、クリーニング時に開始する動作処理(クリーニング動作処理)について説明する。
【0117】
まず、記録装置1は、回復制御手段61により、上記クリーニング制御手段27を制御し上記決定したクリーニング動作を実行する(S41)。ついで、記録装置1は、回復制御手段61により、LastCLTime記憶部83に記憶されているLastCL時刻を、RTC77が計時するRTC時刻に書き換えるとともに、電源OFF経過時間不定フラグをリセットする(S42)。この後、図4のS37に進む。
【0118】
つぎに、図7を参照して、記録装置1の動作状態について説明する。
【0119】
図7は、記録装置1におけるRTC77の動作状態と、「Tini」フラグ,「Ti」フラグ,「電源OFF経過時間不定」フラグの状態との条件に基づいて記録装置1の動作状態を「状態」と「条件」でマトリックス状に示している。
【0120】
図では、状態「1」〜状態「16」の全パターン(16通り)を示している。
【0121】
記録装置1は、RTC77の動作状態と、「Tini」フラグ,「Ti」フラグ,「電源OFF経過時間不定」フラグの3つのフラグの状態とで「状態」が遷移するようになっている。
【0122】
上記状態遷移は、記録装置1の電源ON時、「TI」コマンド受信時、印刷開始前、クリーニング時の4つのイベントのときに行なわれる。
【0123】
上記イベント時に記録装置1の動作処理をするときに必要な条件は、記録装置1の電源ON時にはRTC77の状態を条件とし、「TI」コマンド受信時には「Tini」フラグ,「Ti」フラグ,「電源OFF経過時間不定」フラグの状態を条件とし、印刷開始前には「電源OFF経過時間不定」フラグの状態を条件とし、クリーニング時には「電源OFF経過時間不定」フラグの状態を条件とする。
【0124】
電源ON直前もRTC77が動作していない場合には(図2のS2で“NO”)、記録装置1の動作状態は状態「1」〜状態「8」であり、さらに、これらの状態で「Tini」フラグがセットされていない場合には(図3のS11で“NO”)、記録装置1の動作状態は状態「1」〜状態「4」であり、「Tini」フラグがセットされている場合には(図3のS11で“YES”)、記録装置1の動作状態は状態「5」〜状態「8」である。
【0125】
一方、電源ON直前もRTC77が動作している場合には(図2のS2で“YES”)、記録装置1の動作状態は状態「9」〜状態「16」であり、さらに、これらの状態で「Tini」フラグがセットされていない場合には(図3のS11で“NO”)、記録装置1の動作状態は状態「9」〜状態「12」であり、「Tini」フラグがセットされている場合には(図3のS11で“YES”)、記録装置1の動作状態は状態「13」〜状態「16」である。
【0126】
例えば、状態「1」では、RTC77が電源ON直前も動作していなかった状態で、「Tini」フラグ,「Ti」フラグ,「電源OFF経過時間不定」フラグがセットされていない条件(すなわち、電源の投入が初めての場合)において、記録装置1が電源ONとなると、回復制御手段61により、「Ti」フラグをリセットし(図2のS1)、「電源OFF経過時間不定」フラグをセットし(図2のS3)、RTC時刻をゼロリセットする(図2のS4)。そして、記録装置1の動作状態が状態「10」に状態遷移する。
【0127】
記録装置1の動作状態が状態「10」に状態遷移すると、「TI」コマンド受信時(図3に示す動作処理)では、処理を行なわず、記録装置1の動作状態がこのままの状態「10」に維持される。また、印刷開始前(図4に示す動作処理)では、回復動作として無条件でタイマクリーニング(具体的には、TCL5)が決定され(図4のS35)、実行される(図4のS33)。この後、記録装置1の動作状態が状態「9」に状態遷移する。また、クリーニング時(図5)では、LastCL時刻がRTC時刻に書き換えられるとともに、「電源OFF経過時間不定」フラグがリセットされる(図5のS42)。この後、記録装置1の動作状態が状態「9」に状態遷移する。
【0128】
記録装置1の動作状態が状態「9」に状態遷移すると、「TI」コマンド受信時(図3に示す動作処理)では、LastCLTime記憶部83が記憶する「LastCLTime」が補正され(図3のS13)、RTC77に記憶されている時刻情報がホストコンピュータ45から受信した時刻情報に書き換えられ(図3のS14)、「TI」フラグおよび「Tini」フラグがセットされる(図3のS15,S16)。この後、記録装置1の動作状態が状態「15」に状態遷移する。また、印刷開始前(図4に示す動作処理)では、回復動作決定テーブルを参照し、実行する回復動作を決定する(図4のS35)。この後、記録装置1の動作状態がこのままの状態「9」に維持される。また、クリーニング時(図5)では、LastCL時刻がRTC時刻に書き換えられるとともに、「電源OFF経過時間不定」フラグがリセットされる(図5のS42)。この後、記録装置1の動作状態がこのままの状態「9」に維持される。
【0129】
記録装置1の動作状態が状態「15」に状態遷移すると、「TI」コマンド受信時(図3に示す動作処理)では、処理を行なわず、記録装置1の動作状態がこのままの状態「10」に維持される。また、印刷開始前(図4に示す動作処理)では、回復動作決定テーブルを参照し、実行する回復動作を決定する(図4のS35)。この後、記録装置1の動作状態が状態「15」に状態遷移する。また、クリーニング時(図5)では、LastCL時刻がRTC時刻に書き換えられるとともに、「電源OFF経過時間不定」フラグがリセットされる(図5のS42)。この後、記録装置1の動作状態がこのままの状態「9」に維持される。
【0130】
記録装置1の動作状態が状態「13」に状態遷移すると、「TI」コマンド受信時(図3に示す動作処理)では、LastCLTime記憶部83が記憶する「LastCLTime」が補正され(図3のS20)、RTC77に記憶されている時刻情報がホストコンピュータ45から受信した時刻情報に書き換えられ(図3のS21)、「TI」フラグがセットされる(図3のS22)。この後、記録装置1の動作状態が状態「15」に状態遷移する。また、印刷開始前(図4に示す動作処理)では、回復動作決定テーブルを参照し、実行する回復動作を決定する(図4のS35)。この後、記録装置1の動作状態がこのままの状態「9」に維持される。また、クリーニング時(図5)では、LastCL時刻がRTC時刻に書き換えられるとともに、「電源OFF経過時間不定」フラグがリセットされる(図5のS42)。この後、記録装置1の動作状態がこのままの状態「13」に維持される。
【0131】
また、記録装置1の動作状態が状態「14」であると、「TI」コマンド受信時(図3に示す動作処理)では、「電源OFF経過時間不定」フラグがリセットされ(図3のS19)、RTC77に記憶されている時刻情報がホストコンピュータ45から受信した時刻情報に書き換えられ(図3のS21)、「TI」フラグがセットされる(図3のS22)。この後、記録装置1の動作状態が状態「15」に状態遷移する。また、印刷開始前(図4に示す動作処理)では、回復動作として無条件でタイマクリーニング(具体的には、TCL5)が決定され(図4のS35)、実行される(図4のS33)。この後、記録装置1の動作状態が状態「13」に状態遷移する。また、クリーニング時(図5)では、LastCL時刻がRTC時刻に書き換えられるとともに、「電源OFF経過時間不定」フラグがリセットされる(図5のS42)。この後、記録装置1の動作状態が状態「13」に状態遷移する。
【0132】
このように、記録装置1は、上記動作処理において、時刻情報を記憶し当該時刻情報に基づいて時刻をRTC77により計時し、書換手段79により、外部装置から時刻情報を受信したときに、RTC77による計時が停止していた場合、RTC77が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える。そして、RTC77により計時された時刻に基づいて、フラッシング制御手段26やクリーニング制御手段の回復動作を回復制御手段61により制御する。
【0133】
したがって、記録装置1は、外部装置から時刻情報を受信したときに、RTC77による計時が停止していた場合、RTC77が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換えることができる。すなわち、必要に応じてRTC77が記憶する時刻情報を書き換えるようになっているため、装置の処理負担が極めて小さい。また、外部装置から時刻情報を受信したときに、時刻情報を受信するようになっているため、RTC77が記録する時刻情報が狂ってしまったまま本装置が使用されることがほとんどない。また、RTC77による計時が停止していた場合、すぐに回復動作を行なうのではなく、外部装置から時刻情報を受信した後に当該時刻情報に基づいて回復動作を行なうことができる。このため、回復動作時におけるインクの排出に無駄がなく、記録ヘッド10の液体噴射性能を効果的に回復させることができる。
【0134】
これにより、時間の経過によって変化するノズル開口付近のインクの粘度に応じた適切な回復動作を自動的に実行することができる。例えば、回復動作においてノズル開口から少量のインクを排出することでインク滴の噴射不良を防止または解消することができるにもかかわらず、多量のインクを排出してしまうことを防止し、一方、多量のインクを排出しなければインク滴の噴射不良を防止または解消することができないにもかかわらず、少量のインクしか排出されずにインク滴の噴射不良を効果的に防止または解消することができないということを防止することができる。このように、回復動作において、ノズル開口から排出されるインクは、時間の経過に応じて適切な排出度合いで自動的に排出されるため、インクが無駄に排出されることがなくなり、インクの消費を大幅に低減することもできるとともに、インク滴の噴射不良を効果的に防止または解消することができる。
【0135】
つぎに、図8および図9を参照して上記RTC77により計時された時刻に基づいて上記残量算出手段の残量算出動作を制御する動作処理について説明する。
【0136】
図8は、廃液タンク12内に貯留されているインクの残量を計算する動作処理(インク残量計算処理)を示す。
【0137】
上記記録装置1は、フラッシング動作が行なわれると、廃液タンク12における蒸発後のインクの残量(A)を計算する(S51)。具体的には、上記記録装置1は、まず、蒸発量計算手段31により、LastCLTime記憶部83が記憶している最新の時刻から上記RTC77により計時された時刻を減算した蒸発時間ET(ET:Evaporation Time)に、インクの蒸発率(EC:Evaporation Coefficient)を乗じて、上記廃液タンク12内に貯留されてから上記蒸発時間ET中の蒸発量を計算する。そして、廃液量計算手段33により、当該廃液量計算手段33に記憶されたインクの残量から上記蒸発時間ET中の蒸発量を減算した液体の残量を計算し、廃液タンク12における蒸発後のインクの残量を計算するようになっている(A=前回のA−ET×蒸発率)。
【0138】
上記フラッシング動作は、12seg/9sでインク滴を吐出する定期フラッシング動作、10000seg/2000sでインク滴を吐出する定期まとめ打ちフラッシング動作、印字終了時にキャップ8からの蒸発インクを補う休止時フラッシング動作、印字開始前にノズル開口の増粘インクを除去する印字開始前フラッシング動作等である。
【0139】
上記「前回のA」は、前回に実行したインク残量計算処理(図8)のS54において廃液量計算手段33が計算した廃液タンク12における蒸発後のインクの残量(A)に、フラッシング動作において排出された生インク量とを加算して算出したインク量である。
【0140】
ついで、記録装置1は、廃液量計算手段33により、記憶されているインクの総量(前回のSA)に対して、上記インクが最大限蒸発したときに残るインクの割合である蒸発残率(ERR:Evaporation Residual Rate)を乗じることにより、上記廃液タンク12におけるインクの第1の最低残量を計算し、上記廃液量計算手段33が計算したインクの残量(A)が上記第1の最低残量よりも少ない(A<SA×蒸発残率)か否かを判別する(S52)。ここで、上記廃液量計算手段33が計算したインクの残量が上記第1の最低残量よりも少ないと判別すると(S52で“YES”)、S53に進み、上記廃液量計算手段33が計算したインクの残量が上記第1の最低残量よりも多いと判別すると(S52で“NO”)、S54に進む。
【0141】
上記「前回のSA」は、前回のインク残量計算処理のS63において廃液量計算手段33が記憶している生インクの総量(SA)に、フラッシング動作において排出された生インク量とを加算して算出したインク量である。
【0142】
上記廃液量計算手段33が計算したインクの残量が上記第1の最低残量よりも少ないと(S52で“YES”)、記録装置1は、廃液量計算手段33により、計算したインクの残量(A)を上記第1の最低残量に置き換える(S53)。すなわち、廃液量計算手段33は、上記の機能により、廃インクの蒸発後の残量をインクの蒸発残率よりも少ない割合で算出した場合に、理論上の最低限の残量で適切に置き換えることができる。このようにすることにより、廃液量計算手段33が計算したインクの残量を実際よりも少なく計算することを防止し、装置からインクが溢れることをより確実に防止することができる。
【0143】
上記廃液量計算手段33が計算したインクの残量が上記第1の最低残量よりも多いと(S52で“NO”)、記録装置1は、廃液量計算手段33により、排出された生インクの総量(現在のSA)と、上記廃液タンク12内に貯留されているインクの総残量(現在のA)を算出する(S54)。具体的には、上記廃液量計算手段33により、上記フラッシング動作によって新たに排出されたインクの排出量(生インク量)を、上記記憶しているインクの総量(前回のSA)に加算することによって、上記生インクの総量(現在のSA)を算出する(現在のSA=前回のSA+今回排出された生インク量)。
【0144】
これとともに、廃液量計算手段33により、上記フラッシング動作によって新たに排出されたインクの排出量(生インク量)を、上記計算したインクの残量(A)に加算することによって、インクの総残量(現在のA)を算出する(現在のA=前回のA+今回排出された生インク量)。
【0145】
上記廃液量計算手段33は、インクの総残量(現在のA)を記憶するとともに、生インクの総量(現在のSA)を記憶する。ここで、記憶したインクの総残量(現在のA)や生インクの総量(現在のSA)は、つぎにインク残量計算処理を実行するときに用いられる。
【0146】
ここで、図9を参照して、廃液タンク12に貯留された廃インクの量を計算する動作処理(廃液カウント処理)について説明する。
【0147】
廃インク量計算処理は、定期空吸引または空吸引を行なったときに、実行される処理である。
【0148】
空吸引は、上記クリーニング動作により行なわれる動作であり、定期空吸引は、廃液タンク12へ上記キャップ8に保持されているインクを廃インクとして排出する動作である。
【0149】
定期空吸引は、廃液量計算手段33により、算出されたインクの総残量(現在のA)が上記キャップ8の保持限界値を超えたか否かを判別され、当該インクの総残量が上記キャップ8の保持限界値を超えたとき、実行される。具体的には、定期空吸引では、廃液量計算手段33により、クリーニング制御手段27を制御して吸引ポンプ11を駆動しキャップ8内に保持されているインクを廃液タンク12に貯留する。このようにすることにより、適切なタイミングでキャップ8に保持されているインクを廃液タンク12へ排出することができ、キャップ8からインクが溢れることを防止することができる。
【0150】
まず、記録装置1は、回復制御手段61により、クリーニング動作を実行したか否かを判別する(S61)。ここで、クリーニング動作を実行したと判別すると(S61で“YES”)、S62に進み、クリーニング動作を実行していないと判別すると(S61で“NO”)、S63に進む。
【0151】
クリーニング動作を実行すると(S61で“YES”)、記録装置1は、廃液量計算手段33により、クリーニング動作時に排出されたインク量を図8のS54の「今回排出されたインク量」に加算する(S62)。
【0152】
クリーニング動作を実行していないと(S61で“NO”)、記録装置1は、廃液量計算手段33により、廃液タンク12に貯留されている廃インクの量(Amain)を算出するとともに、記憶している生インクの総量(SA)とインクの総残量(A)をリセットする(S63)。
【0153】
具体的には、廃液タンク12に貯留されている廃インクの量(現在のAmain)は、廃液タンク12に貯留されている廃インクの量(前回のAmain)を、上記計算したインクの総残量(現在のA)に加算することによって算出される(現在のAmain=前回のAmain+現在のA)。
【0154】
これとともに、廃液量計算手段33の残量カウンタに記憶されているインクの残量(現在のA)と、上記排出総量カウンタに記憶されているインクの総量を“0”にする。
【0155】
ここで、記録装置1は、オーバーフロー判断手段35により、上記廃液量計算手段33で算出した廃インクの総量が廃液収容限界値を超えたか否かを判断し、廃液タンク12に貯留された廃インクの量(現在のAmain)が廃液収容限界値を超えたと判断したとき、エラーを出力する。このようにすることにより、適切なタイミングで廃インクの増加を防止することができ、廃インクが装置から溢れることを防止することができる。
【0156】
このように、上記メンテナンス手段である蒸発量計算手段31や廃液量計算手段33は、上記メンテナンス動作として、廃液タンク12に貯留された廃液の蒸発量を計算し、当該算出した蒸発量を廃液タンク12に貯留された廃インクの総量から減算して廃液タンク12に貯留された廃インクの残量を算出する残量算出動作を行なう(図8のS51)残量算出手段としての機能を果たす。そして、上記メンテナンス制御手段である回復制御手段61は、上記RTC77により計時された時刻に基づいて上記残量算出手段の残量算出動作を制御する。したがって、廃液タンク12における廃インクの蒸発量を減算することができるため、正確に廃液タンク12に貯留された廃インクの残量を算出することができる。したがって、廃液タンク12の液体収容能力を最大限に利用することができるとともに、廃液タンク12から機外へ廃液が溢れることを防止することができる。また、廃液タンク12における廃インクの残量を正確に算出することができるため、廃液タンク12を小型化することができ、装置全体をコンパクトにすることができる。
【0157】
また、オーバーフロー判断手段35を備えているため、適切なタイミングで廃インクの増加を防止することができ、廃インクが装置から溢れることを防止することができる。
【0158】
なお、上記記憶装置の制御をプログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリカード等のコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスク等の記録媒体に記録させて、プログラムを提供することもできる。また、電気通信回線や衛星通信回線等のネットワークを通じて、プログラムを提供することもできる。提供されるプログラム製品は、ハードディスク等のプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0159】
上記実施例は、インクジェット式記録装置を対象にしたものであるが、本発明によって得られた液体噴射装置は、インクジェット式記録装置用のインクだけを対象にするのではなく、グルー,マニキュア,導電性液体(液体金属)等を噴射することができる。さらに、上記実施例では、液体の一つであるインクを用いたインクジェット式記録ヘッドについて説明したが、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド,液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド,有機ELディスプレー,FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド,バイオチップ製造に用いられる生体有機噴射ヘッド等の液体を吐出する液体噴射ヘッド全般に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明が適用されるインクジェット式記録装置のシステム構成図である。
【図2】電源ON時に開始される動作処理を示すフローチャートである。
【図3】TIコマンド受信時に開始される動作処理を示すフローチャートである。
【図4】印字起動時に開始される動作処理を示すフローチャートである。
【図5】クリーニング時に開始される動作処理を示すフローチャートである。
【図6】回復動作決定テーブルを示す図である。
【図7】記録装置の動作状態をマトリックス状に示した図である。
【図8】フラッシング時に実行される動作処理を示すフローチャートである。
【図9】吸引により実行される動作処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0161】
1 記録装置,2 インクカートリッジ,3 キャリッジ,8 キャップ,10 液体噴射ヘッド(記録ヘッド),11 吸引ポンプ,11a チューブ,12 廃液タンク,13 廃液吸収材,23 印字制御手段,26 フラッシング制御手段,27 クリーニング制御手段,28 ヘッド駆動手段,29 ポンプ駆動手段,31 蒸発量計算手段,33 廃液量計算手段,35 オーバーフロー判断手段,45 ホストコンピュータ,47 プリンタドライバ,49 入力装置,50 ディスプレー,61 回復制御手段,69 動作決定手段,71 Tiniフラグ記憶部,73 電源OFF不定フラグ記憶部,75 TIフラグ記憶部,77 RTC,79 書換手段,81 累積印字タイマ,83 LastCLTime記憶部,85 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル開口から液滴を噴射する液体噴射ヘッドと、
所定時間毎に装置を保守するメンテナンス動作を行なうメンテナンス手段と、
時刻情報を記憶し当該時刻情報に基づいて時刻を計時する時刻計時手段と、
外部装置から時刻情報を受信し上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える書換手段と、
上記時刻計時手段により計時された時刻に基づいて上記メンテナンス手段のメンテナンス動作を制御するメンテナンス制御手段とを備え、
上記書換手段は、外部装置から時刻情報を受信したときに、上記時刻計時手段による計時が停止していた場合、上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
上記メンテナンス手段は、上記メンテナンス動作として上記液体噴射ヘッドのノズル開口から液体を排出させる回復動作を行なって上記液体噴射ヘッドの液体噴射性能を回復させる回復手段を含み、
上記メンテナンス制御手段は、上記時刻計時手段により計時された時刻に基づいて上記回復手段の回復動作を制御する請求項1記載の液体噴射装置。
【請求項3】
上記書換手段は、外部装置から時刻情報を受信したときに、上記時刻計時手段による計時が停止していない場合であっても、上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える請求項1または2記載の液体噴射装置。
【請求項4】
上記メンテナンス手段がメンテナンス動作を実行した時刻を記憶する回復時刻記憶手段を備え、上記メンテナンス制御手段は、上記回復時刻記憶手段が記憶する時刻に基づいて上記メンテナンス手段のメンテナンス動作を制御する請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
上記メンテナンス制御手段は、上記メンテナンス手段がメンテナンス動作を実行したとき、上記回復時刻記憶手段が記憶する時刻を補正する請求項4記載の液体噴射装置。
【請求項6】
上記メンテナンス制御手段は、上記メンテナンス手段がメンテナンス動作を実行していない場合であっても、上記回復時刻記憶手段が記憶する時刻を補正する請求項4または5記載の液体噴射装置。
【請求項7】
上記メンテナンス制御手段は、上記回復時刻記憶手段が記憶している時刻を、外部装置から受信した時刻情報が示す時刻から上記時刻計時手段が計時した時刻を減算した時刻を上記回復時刻記憶手段が記憶している時刻に加算した時刻に書き換えることにより補正する請求項5または6記載の液体噴射装置。
【請求項8】
上記ノズル開口から排出された液体を廃液として収容する収容部と、
上記メンテナンス手段は、上記メンテナンス動作として、上記収容部に収容された廃液の蒸発量を計算し、当該算出した蒸発量を上記収容部に収容された廃液の総量から減算して収容部に収容された廃液の残量を算出する残量算出動作を行なう残量算出手段を含み、
上記メンテナンス制御手段は、上記時刻計時手段により計時された時刻に基づいて上記残量算出手段の残量算出動作を制御する請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
時刻情報を記憶し当該時刻情報に基づいて時刻を所定の時刻計時手段により計時し、
外部装置から時刻情報を受信し上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える書換手段により、外部装置から時刻情報を受信したときに、上記時刻計時手段による計時が停止していた場合、上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換え、
上記時刻計時手段により計時された時刻に基づいて、所定時間毎に装置を保守するメンテナンス動作を行なうメンテナンス手段のメンテナンス動作を所定のメンテナンス制御手段により制御することを特徴とする液体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項10】
時刻情報を記憶し当該時刻情報に基づいて時刻を所定の時刻計時手段により計時するステップと、
外部装置から時刻情報を受信し上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換える書換手段により、外部装置から時刻情報を受信したときに、上記時刻計時手段による計時が停止していた場合、上記時刻計時手段が記憶する時刻情報を上記受信した時刻情報に書き換えるステップと、
上記時刻計時手段により計時された時刻に基づいて、所定時間毎に装置を保守するメンテナンス動作を行なうメンテナンス手段のメンテナンス動作を所定のメンテナンス制御手段により制御するステップとをコンピュータ装置に実行させることを特徴とする液体噴射装置のメンテナンスプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−95819(P2006−95819A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283654(P2004−283654)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】