説明

液体噴射装置および液体噴射装置における噴射ヘッドのノズル封止方法

【課題】ノズルに悪影響を与えないでノズルを封止することができる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】ノズル開口25から液体を噴射する記録ヘッド30と、上記記録ヘッド30のノズル面において封止面をノズル開口25に密着させてノズル開口25を塞ぐ封止部材14a,14bと、上記封止部材14a,14bおよび記録ヘッド30の移動制御により上記封止部材14a,14bによる封止動作を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、封止部材14a,14bの封止面をノズル面のノズル列15a,15b以外の領域に当接させ、その状態で封止部材14a,14bと記録ヘッド30を相対的に移動させ、封止部材14a,14bをノズル面上でスライドさせて封止面がノズル列15a,15bを覆う位置で停止させることによりノズル開口25を封止するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として印刷データに対応してノズルからインク滴を吐出させて記録媒体にドットを形成させるインクジェット式記録装置として用いられる液体噴射装置および液体噴射装置における噴射ヘッドのノズル封止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体をターゲットに噴射する液体噴射装置には、インクを記録用紙に噴射して印刷を施すインクジェット式記録装置が知られている。このインクジェット式記録装置における記録ヘッドは、圧力発生室で加圧したインクをノズルからインク滴として記録用紙に吐出させて印刷を行う関係上、ノズル開口からの溶媒の蒸発に起因するインク粘度の上昇や、インクの固化、塵埃の付着、さらには気泡の混入などにより吐出不良の状態となり、印刷不良を起こすという問題を抱えている。
【0003】
このために、インクジェット式記録装置には、非印刷時に記録ヘッドのノズル開口を封止するためのキャップ部材と、必要に応じてノズル形成面を清掃するワイピング部材が備えられている。このキャップ部材は、前記したノズル開口のインクの乾燥を防止する蓋体として機能するだけでなく、ノズル開口に目詰まりなどが生じた場合には、キャップ部材によりノズル形成面を封止し、キャップ部材内の空間に吸引ポンプからの負圧を与えることにより、ノズル開口からインクを吸引排出させてノズル開口の目詰まりを解消する機能をも備えている。
【0004】
記録ヘッドの目詰まり解消のために行うインクの強制的な吸引排出処理は、クリーニング操作と呼ばれており、例えば記録装置の長時間の休止後に印刷を再開する場合や、ユーザが印刷状態の不良を認識してクリーニングスイッチを操作した場合などに実行され、記録ヘッドからインクを排出させた後にゴムなどの弾性板からなるワイピング部材により、記録ヘッドのノズル形成面を払拭する操作が伴われる。
【0005】
このようなインクジェット式記録装置において、装置の休止期間中におけるノズル開口からの溶媒の蒸発を抑制するものとして、弾性部材で形成したキャップ内にノズル開口に対応するノズル面に密着する押え部材を備えた装置が開示されている(下記の特許文献1)。また、キャップ部材の当接縁でワイピングを行うようにした装置が開示されている(下記の特許文献2)。
【特許文献1】特開平5−77433号公報
【特許文献1】特開平7−9684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の装置では、押え部材をノズル面に対して押え付けることにより当接させるため、押え部材がノズル開口を塞ぐときに気泡や塵埃をノズル開口内に押し込んでしまうおそれがある。このように、気泡や塵埃がノズル内に侵入した状態で長期間装置が休止されると、気泡や塵埃がノズル内で固化して除去し難くなり、吐出性能に悪影響を及ぼすおそれがある。また、ノズル面に対して押え部材を押え付けて密着させていることから、押え部材を離間させる際にノズル開口のメニスカスを壊してしまい、メニスカスを回復させるためのメンテナンス動作が必要になる。また、上記特許文献2の装置では、全てのノズル列に対してクリーニングとワイピングを行うため、あるノズル列だけメンテナンスが必要になったときでも全ノズル列からインクを吸引してしまうことになり、メンテナンスに消費されるインク量が多いという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ノズルに悪影響を与えないでノズルを封止することができる液体噴射装置および液体噴射装置における噴射ヘッドのノズル封止方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射装置は、ノズルから液体を噴射する噴射ヘッドと、上記噴射ヘッドのノズル面において封止面をノズルに密着させてノズルを塞ぐ封止部材と、上記封止部材および/または噴射ヘッドの移動制御により上記封止部材による封止動作を制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は、封止部材の封止面をノズル面のノズル以外の領域に当接させ、その状態で封止部材と噴射ヘッドを相対的に移動させ、封止部材をノズル面上でスライドさせて封止面がノズルを覆う位置で停止させることによりノズルを封止するよう制御することを要旨とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明の液体噴射装置における噴射ヘッドのノズル封止方法は、ノズルから液体を噴射する噴射ヘッドと、上記噴射ヘッドのノズル面において封止面をノズルに密着させてノズルを塞ぐ封止部材とを備えた液体噴射装置におけるノズル封止方法であって、封止部材の封止面をノズル面のノズル以外の領域に当接させ、その状態で封止部材と噴射ヘッドを相対的に移動させ、封止部材をノズル面上でスライドさせて封止面がノズルを覆う位置で停止させることによりノズルを封止することを要旨とする。
【0010】
本発明によれば、封止部材の封止面をノズル面のノズル以外の領域に当接させ、その状態で封止部材と噴射ヘッドを相対的に移動させ、封止部材をノズル面上でスライドさせて封止面がノズルを覆う位置で停止させることによりノズルを封止するため、従来のように、ノズル開口を塞ぐときに気泡や塵埃をノズル開口内に押し込んでしまうことがなく、吐出性能を確保できる。このように、ノズルに悪影響を与えないでノズルを密閉することができる。
【0011】
本発明において、上記制御手段は、封止部材の封止面がノズルを覆う位置で停止した封止状態から、封止部材と噴射ヘッドを相対的に移動させ、封止部材をノズル面上でスライドさせることによりノズルの封止を解除する場合には、封止部材によるノズルの封止を解除する際に、ノズルのメニスカスを壊すことがなく、メニスカスを回復させるためのメンテナンス動作が不要になる。
【0012】
本発明において、上記封止部材の封止面は、噴射ヘッドのノズル群毎に対応して設けられている場合には、封止部材の封止面を各ノズル群毎に対応して設ければよいことから、封止部材の厚み寸法を小さくすることができ、封止部材をノズル面上でスライドさせてノズルを封止する際のスライド距離を短くすることが可能で、ノズル面に確保するスライドスペースを小さくし、噴射ヘッドを小型化することができる。
【0013】
本発明において、上記封止部材の封止面は、噴射ヘッドのノズル列毎に対応して設けられている場合には、封止部材の封止面を各ノズル列毎に対応して設ければよいことから、封止部材の厚み寸法を小さくしてブレード状に形成することができ、封止部材をノズル面上でスライドさせてノズルを封止する際のスライド距離を短くすることが可能で、ノズル面に確保するスライドスペースを小さくし、噴射ヘッドを小型化することができる。
【0014】
本発明において、上記封止部材は、ノズル面をワイピングするワイピング部材としても機能するものであり、上記制御手段は、封止部材の封止面をノズル面に当接させた状態で封止部材と噴射ヘッドを相対的に移動させてワイピングを制御する場合には、ノズルを封止する封止部材がノズル面をワイピングするワイピング部材を兼ねることから、部品点数を少なくできて装置の小型化とコストダウンに有利となる。また、ノズルを封止する動作とワイピング動作がいずれも封止部材の封止面をノズル面に当接させた状態で封止部材と噴射ヘッドを相対的に移動させる共通の動作であることから、動作効率がよくなる。
【0015】
本発明において、上記封止部材は、ノズル面をキャップする外キャップ部材の内部空間内に設けられ、上記封止部材でノズルを封止するとともに、上記外キャップ部材でノズル面をキャップしうるように構成されている場合には、封止部材でノズルを封止した状態でさらに外キャップ部材でノズル面をキャップすることから、放置状態におけるノズルからの溶媒の蒸散をより一層防止し、再起動したときのメンテナンス動作を軽微なものとできる。したがって、メンテナンス動作の時間短縮やメンテナンスで消費する液体量の節減を図ることができる。
【0016】
本発明において、少なくとも2つの封止部材により、封止部材同士の間の空間を介してノズル面をキャップする内キャップ部材が構成され、上記内キャップ部材内の空間が吸引手段と連通されてノズルに負圧を与えて液体を吸引しうるように構成されている場合には、外キャップよりも容量の小さな内キャップで吸引メンテナンスを行うことから、吸引開始時の負圧の立ち上がりが早くなり、その分吸引時間を短縮することが可能となる。
また、この場合において、封止部材の封止面は、噴射ヘッドのノズル群またはノズル列毎に対応して設けられている場合には、上記内キャップ部材によりノズル群またはノズル列毎の吸引メンテナンスが可能となり、全ノズルから吸引を行う従来品に比べ、メンテナンスに消費される液体量を大幅に節減できる。
【0017】
本発明において、上記内キャップ部材と外キャップ部材とは、ノズル面に対する進退方向において相対的に位置変位しうるように構成されている場合には、外キャップ部材あるいは内キャップ部材いずれか一方の進退動作だけで、他方のキャップ部材の機能を発揮できる位置状態にすることができ、キャップの移動制御が行いやすい。
【0018】
本発明において、上記外キャップ部材をノズル面に対して進退させることにより内キャップ部材がノズル面に対して進退する際、内キャップ部材の封止面が先にノズル面に当接したあと外キャップ部材の開口縁がノズル面に当接するよう構成されている場合には、内キャップ部材・封止部材を使用してノズルの封止,ワイピング,吸引を行うときは、内キャップ部材の封止面がノズル面に当接するまで外キャップ部材をノズル面に対して進めて上記の各処理を実行し、外キャップ部材でのキャッピングが必要になったときには外キャップ部材の開口縁がノズル面に当接するまで外キャップ部材をノズル面に対して進めてキャッピングを行えばよい。このように、外キャップ部材の進退動作だけで内キャップ部材と外キャップ部材それぞれの機能を発揮できる位置状態にすることができ、キャップの移動制御が行いやすい。
【0019】
本発明において、内キャップ部材の封止面がノズル面に当接した状態において外キャップ部材がノズル面に対して進退する動作により、内キャップ部材の内部空間の大気開放状態をオンオフしうるように構成されている場合には、ノズルの封止,吸引を行うときは、内キャップ部材内の大気開放状態をオフにするよう外キャップ部材をノズル面に対して進退させ、内キャップ部材内の液体を吸引排出する空吸引等を行うときは、内キャップ部材内の大気開放状態をオンにするよう外キャップ部材をノズル面に対して進退させればよい。このように、外キャップ部材の進退動作だけで内キャップ部材内の待機開放状態のオンオフが可能で動作が共通化し、動作効率がよくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
【0022】
図1は、記録装置の基本構成を平面図で示したものである。符号1はキャリッジ1を示し、このキャリッジ1はキャリッジモータ2によって駆動されるタイミングベルト3を介し、走査ガイド部材4に案内されて紙送り部材5の長手方向、すなわち噴射対象物としての記録紙の幅方向である主走査方向に往復移動されるように構成されている。そして、図には示していないが、キャリッジ1には、紙送り部材5に対向する面に、ノズルから液体としてのインクを噴射するインクジェット式の記録ヘッド30が搭載されている。
【0023】
また、キャリッジ1には記録ヘッド30にインクを供給する際にインクの圧力を減圧して調整するための圧力調整部7a〜7dが搭載されている。この圧力調整部7a〜7dは、この実施の形態においては、その内部において各インクを一時的に貯留するために、それぞれのインクに対応して4個具備されている。
【0024】
そして、この各圧力調整部7a〜7dには、装置本体に配置されたカートリッジ装着部としてのカートリッジホルダ8に装着されたインクカートリッジ9a〜9dから、可撓性のインク補給チューブ10をそれぞれ介して、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各インクが供給されるように構成されている。
【0025】
上記記録ヘッド30は、ノズル形成面に、紙送り方向に延びる2列のノズル列15a,15bが形成されており、4色のインクを2列のノズル列15a,15bから噴射するようになっている。1列のノズル列15aからはブラックインクを噴射し、もう1列のノズル列15bからはイエロー、マゼンタおよびシアンのカラーインクを噴射するように構成されている。
【0026】
なお、メインタンクすなわち液体カートリッジとしてのインクカートリッジ9a〜9dは、その外郭構成が偏平状に形成されており、上記カートリッジホルダ8において、偏平状の面がそれぞれ垂直方向に向くように、いわゆる縦置き状態で装着されている。
【0027】
一方、上記キャリッジ1の移動経路上における非印字領域(ホームポジョン)には、記録ヘッド30のノズル形成面を封止することができるキャッピング手段11が配置されている。上記キャッピング手段11の上面には、上記記録ヘッド30のノズル形成面を封止し得るゴム等の可撓性素材により形成されたキャップ部材として、記録ヘッド30のノズル形成面のほぼ全体を覆う外キャップ部材13と、上記外キャップ部材13内に設けられた内キャップ部材12とが設けられている。そして、キャリッジ1がホームポジョンに移動したときに、記録ヘッド30のノズルの封止等ができるように構成されている。
【0028】
上記内キャップ部材12と外キャップ13の構造および機能の詳細は後述するが、内キャップ部材12は、2つのノズル列15a,15bに沿ったブレード状の封止部材14a,14bの封止面をノズル列15a,15bに密着させてノズル開口25を封止する。この例では封止面は、ブレード状の封止部材14a,14bのノズル面に面した端面である。さらにその状態で、外キャップ部材13はノズル形成面全体をキャップして、記録装置の休止期間中において記録ヘッド30のノズル開口25の乾燥を防止するよう機能する。
【0029】
また、上記内キャップ部材12は、後述する吸引ポンプ27(チューブポンプ)におけるチューブ16の一端が接続され、ノズル列15a,15bごとにキャッピングを行って吸引ポンプ27による負圧をノズル開口25に与えてノズル列15a,15bごとにインクを吸引排出させるクリーニング動作を実行可能に構成されている。さらに、上記内キャップ部材12は、2つのノズル列15a,15bに沿ったブレード状の封止部材14a,14bの封止面をノズル形成面に擦り付けることにより、必要に応じて記録ヘッド30のノズル形成面を払拭して清掃することができるように構成されている。
【0030】
図2は、上記記録装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
図において、46は印刷制御手段であり、図示しないホストコンピュータに内蔵されたプリンタドライバにおける印字指令の入力により、プリンタドライバから液体噴射データである印刷データが入力される。上記プリンタドライバは、そのユーティリティ上で図示しない入力装置からの入力によって記録紙のサイズ,モノクロ/カラー印刷の選択,記録モードの選択,フォント等のデータおよび印字指令等を入力しうるように構成されている。
【0032】
そして、印刷制御手段46は印刷データに基づいてビットマップデータを生成し、ヘッド駆動手段48により駆動信号を発生させて記録ヘッド30のアクチュエータである圧電振動子に入力し、記録ヘッド30からインク滴を吐出させるようになっている。このとき、印刷制御手段46からの指示により図示しない紙送り制御手段は同じく図示しない紙送りモータを制御して記録紙の副走査方向への移動制御を行う。また、印刷制御手段46からの指示によりキャリッジ制御手段47はパルスモータであるキャリッジモータ2を制御してキャリッジ1の主走査方向への往復移動制御を行う。
【0033】
上記ヘッド駆動手段48は、駆動手段として機能するもので、印刷データに基づく駆動信号のほかに、フラッシング制御手段45からのフラッシング指令信号を受けてフラッシングのための駆動信号を記録ヘッド30に出力する。このフラッシング動作により、フラッシングボックスとしての内キャップ部材12に対してノズルから印字とは無関係のインクを噴射することにより、ノズル近傍の増粘インクを排出して記録ヘッド30の噴射特性を回復する。
【0034】
また、フラッシングだけで十分にノズル開口25の噴射特性を回復できないときは、クリーニング制御手段49による制御により、内キャップ部材12でノズル列15a,15bを封止し、ポンプ駆動手段43で吸引ポンプ27を駆動して内キャップ部材12内を吸引することにより、ノズルに負圧を与えてインクを吸引排出するクリーニングが実行される。吸引されたインクは廃液回収タンク22に回収される。
【0035】
ここで、ノズルの吐出能力が低下するメカニズムについて説明すると、印刷実行中は記録ヘッド30のノズル面が内キャップ部材12および外キャップ部材13から開放された状態となり、加えてキャリッジ1で往復移動されている。このような状態でインクの吐出がなければ、ノズルの開口部に存在するインクから溶媒が蒸発して徐々にその粘度が高くなり、吐出能力が低下するのである。そして、印刷中に頻繁にインク滴を吐出しているノズルは、新しいインクが順次供給されて目詰まりはあまり生じないが、インク滴を吐出する機会が少ないノズルでは目詰まりを生じやすい。したがって、インクの吐出量が少なく空送時間が長いノズルほど増粘が進行し、その程度はノズル毎にばらつきがある。
【0036】
そして、ノズル列15a,15bごとに噴射する液体の種類が異なるので、ノズル列15a,15b毎に増粘の程度は異なることになる。例えば、ブラックインクを吐出するノズル列15aとカラーインクを吐出するノズル列15bとでは、モノクロ印刷のときはカラーインクを吐出するノズル列15bで増粘が進行し、カラー印刷のときはブラックインクを吐出するノズル列15bで増粘が進行する。このため、内キャップ部材12によりノズル列15a,15b毎にクリーニングを行って吐出性能を回復することにより、増粘のあまり進んでいないノズル列15a,15bからインクを吸引しなくてすむため、クリーニングに消費するインクを節減できる。
【0037】
なお、この例では、噴射ヘッドが噴射する液体がインクであり、インクの増粘によりノズルの噴射能力が低下する場合を説明したが、噴射特性の低下するメカニズムは、噴射する液体の種類によって異なる場合があり、本発明は、低下したノズルの噴射特性を液体の噴射で回復しうるものであれば、インクに限らず種々の液体を噴射する装置に適用できる趣旨である。
【0038】
また、キャリッジ制御手段47は、印刷動作中にキャリッジ1を主走査方向に往復移動させる移動制御を行うほか、所定のフラッシングタイミングにおいてキャリッジ1を印刷領域以外のフラッシングポジションに移動させ、記録ヘッド30のノズル列15a,15bを内キャップ部材12に対面させてフラッシング動作を行う位置に移動する移動制御を行う。
【0039】
また、上記キャリッジ制御手段47は、装置の電源オフのときやクリーニング動作を行う際には、記録ヘッド30をキャッピング手段11の位置に移動させる移動制御を行う。このとき、内キャップ部材12を構成する封止部材14a,14bによりノズルを封止する封止動作の際にノズル列15a,15bを封止面の位置に移動させる移動制御を行う。さらに、上記キャリッジ制御手段47は、クリーニング動作の際にノズル列15a,15bを内キャップ部材12と対面させる位置に移動させる移動制御を行う。
【0040】
キャップ制御手段44は、外キャップ部材13をノズル面に向かって進退させる動作を制御し、外キャップ部材13によるノズル面の封止や、内キャップ部材12を構成する封止部材14a,14bによるノズル列15a,15bの封止動作、クリーニングの際の内キャップ部材12によるノズル列15a,15bのキャッピング動作等を制御する。
【0041】
すなわち、内キャップ部材12を構成する封止部材14a,14bによるノズルの封止動作は、上記キャリッジ制御手段47によるキャリッジ1の主走査方向への移動制御と、キャップ制御手段による外キャップ部材13すなわち内キャップ部材12を構成する封止部材14a,14bのノズル面に対する進退動作の制御とによって実現するのであり、上記キャリッジ制御手段47とキャップ制御手段44は、上記封止部材14a,14bおよび/または記録ヘッド30の移動制御により上記封止部材14a,14bによる封止動作を制御する制御手段として機能する。
【0042】
同様に、上記キャリッジ制御手段47による記録ヘッド30の移動制御とキャップ制御手段44による内キャップ部材12および外キャップ部材13の昇降制御により、内キャップ部材12によるクリーニングのためのキャッピング動作、キャッピングの開放動作、フラッシングのための外キャップ部材13および記録ヘッド30の移動動作、外キャップ部材13によるキャッピング動作ならびにキャッピングの開放動作等を制御する。これらの動作の詳細については後述する。
【0043】
なお、上記記録ヘッド30のクリーニング動作は、プリンタ本体を最初に使用するときに、最初にインクカートリッジ9を装着した際、記録ヘッド30や圧力調整部7等の流路にインクを最初に充填する初期充填動作の際にも実行される。また、インクカートリッジ9を交換したときや、使用していたインクカートリッジ9を一旦取り外して再装填するときにも、交換や再装填に伴って記録ヘッド30の流路内に空気が混入して正常な吐出ができなくなるため、混入した気泡を記録ヘッド30から強制吸引して除去するために実行される。
【0044】
また、上記クリーニング動作は、プリンタ本体を使用せずに放置しているときは、内キャップ部材12および外キャップ部材13でノズルを封止した状態であっても、図示しない放置タイマで計測した放置時間(前回の電源オフから今回の電源オンまでの時間)が長いと徐々にノズルの開口部に存在するインクから溶媒が蒸発してその粘度が高くなり、吐出能力が低下するので、それを回復するクリーニングのために電源オン時に、クリーニング制御手段49による制御によりクリーニングモードによる吸引が実行される。
【0045】
また、印刷動作を継続していると、流路内に残存した気泡が徐々に内部のフィルタ上流部に溜まることがあるため、定期的に気泡を強制吸引して除去するクリーニングのため、クリーニング制御手段49による制御によりクリーニングモードによる吸引が実行されることもある。
【0046】
上記各吸引動作は、初期充填時、インクカートリッジ9の交換時、クリーニング時での吸引等、状況によって吸引条件が異なる場合があるため、クリーニング制御手段49による制御で吸引ポンプ27の回転数や稼働時間を制御することにより、所定の吸引モードでの吸引が実行される。
【0047】
図3−1〜図3−3ならびに図4は、上記内キャップ部材12および外キャップ部材13の構造と、キャリッジ制御手段47によるキャリッジ1すなわち記録ヘッド30の移動制御およびキャップ制御手段44によるキャップの昇降制御による記録ヘッド30および内キャップ部材12と外キャップ部材13の位置制御について説明する図である。
【0048】
図3−1(A)により、まず、上記内キャップ部材12および外キャップ部材13の構造について説明する。
【0049】
上記外キャップ部材13は、上面が開放された箱状を呈し、上部の開放端をノズル面に密着させることにより、ノズル面の略全体を覆ってキャッピングしうるように構成されている。上記外キャップ部材13は、図示しないカム機構等を利用した昇降機構により昇降され、外キャップ部材13とその内部に設けられた内キャップ部材12とをノズル面に向かって進退されるようになっている(図示の矢印AおよびB)。この昇降動作は、上述したキャップ制御手段44により制御される。
【0050】
上記外キャップ部材13の略中央部には、内キャップ部材12を保持する保持部材17が設けられている。上記保持部材17は、上部の開口20から内キャップ部材12の上部開放部を露呈させた状態で内キャップ部材12を保持している。
【0051】
上記内キャップ部材12は、2つのノズル列15a,15bに対応してノズル列15a,15b方向に延びるブレード状の2つの封止部材14a,14bを含んで構成されている。上記封止部材14a,14bは、その上面の封止面が記録ヘッド30のノズル列15a,15b毎に対応して設けられ、後述するように上記記録ヘッド30のノズル面において封止面をノズルに密着させて各ノズル列15a,15bのノズル開口25を封止するようになっている。
【0052】
そして、上記少なくとも2つの封止部材14a,14bにより、封止部材14a,14b同士の間の空間を介してノズル面をキャップする内キャップ部材12が構成されている。具体的には、上記ノズル列15a,15b方向に延びる2つの封止部材14a,14bの前後両端部がブレード状の部材で連結されてノズル列15a,15b方向に延びる細長い内キャップ部材12が形成されている。そして、上記内キャップ部材12内の空間が吸引手段としての吸引ポンプ27とチューブ16を介して連通され、各ノズル列15a,15bを構成するノズル開口25に負圧を与えてインクを吸引しうるように構成されている。
【0053】
すなわち、上記2つのノズル列15a,15b同士の間隔は、各封止部材14a,14bの幅寸法よりも大きくなるように設定され、上記吸引の際に、一方の封止部材14bが両ノズル列15a,15bの間に位置してノズル面に当接したときに、封止部材14bの封止面がノズル開口25を覆ってしまわないようになっている。
【0054】
上記内キャップ部材12は、開口20から封止面を露出させた状態で保持部材17内に収容されている。この状態で、上記内キャップ部材12は、保持部材17に内蔵された付勢部材18によりノズル面に向かって付勢されており、内キャップ部材12の外側面に突出形成された係止部材19を保持部材17の開口20部に係止させることにより、高さ方向の位置決めが行われるようになっている。この状態で、内キャップ部材12の封止面の方が外キャップ部材13の開放端よりもノズル面に向かって突出している。
【0055】
一方、外キャップ部材13は、位置決め部材24に下面を当接させることにより高さ方向の位置決めが行われている。そして、上記内キャップ部材12が保持部材17内で付勢部材18により付勢された状態で保持されることにより、上記内キャップ部材12と外キャップ部材13とは、ノズル面に対する進退方向において相対的に位置変位しうるように構成されている。
【0056】
そして、内キャップ部材12の封止面の方が外キャップ部材13の開放端よりもノズル面に近いことから、上記外キャップ部材13をノズル面に対して進退させることにより内キャップ部材12がノズル面に対して進退する際、内キャップ部材12の封止面が先にノズル面に当接したあと外キャップ部材13の開口縁がノズル面に当接するよう構成されている。
【0057】
図3−1(A)の状態から外キャップ部材13を上昇させていくと、外キャップ部材13に保持された内キャップ部材12も外キャップ部材13とともに上昇していき、まず、内キャップ部材12の封止面がノズル面に当接する。さらに外キャップ部材13を上昇させると、付勢部材18の付勢力に抗して内キャップ部材12が下方に押し込まれながら外キャップ部材13は上昇を続け、やがて外キャップ部材13の開口端がノズル面に当接するのである。
【0058】
一方、上記内キャップ部材12の下面には、内キャップ部材12の内部空間を大気開放するための大気開放口21が突出形成されている。また、上記外キャップ部材13の大気開放口21と対面する箇所には、上記大気開放口21と当接して大気開放口21を開閉する開閉部材23が設けられている。上記大気開放口21と開閉部材23とで大気開放弁28を構成している。これにより、上記内キャップ部材12の封止面がノズル面に当接した状態において外キャップ部材13がノズル面に対して進退する動作により、上記大気開放弁28を開閉し、内キャップ部材12の内部空間の大気開放状態をオンオフしうるように構成されている。
【0059】
図3−1(A)の状態から外キャップ部材13を上昇させていくと、上述したように内キャップ部材12の封止面がノズル面に当接し、さらに外キャップ部材13を上昇させると、外キャップ部材13が上昇して大気開放口21に開閉部材23が当接し、大気開放口21を塞いで内キャップ部材12内の大気開放状態が解除され、内キャップ部材12内は密閉状態となる。その後さらに外キャップ部材13を上昇させると、上述したように外キャップ部材13の開口端がノズル面に当接する。
【0060】
上述したような外キャップ部材13と内キャップ部材12は、キャップ制御手段44による昇降移動制御が行われる(図示の矢印AおよびB)。また、記録ヘッド30は、キャリッジ制御手段47による主走査方向への移動制御が行われる(図示の矢印CおよびD)。これらの移動制御により、記録ヘッド30と内キャップ部材12および外キャップ部材13のポジショニングが行われるのである。
【0061】
図3−1〜図3−3ならびに図4により、基本的なポジションについて説明する。
【0062】
図3−1(A)は、基本ポジション(以下「HP」という)であり、内キャップ部材12,外キャップ部材13ともに外キャップ部材13が位置決め部材24に当接するまで下降し、ノズル列15a,15bが内キャップ部材12を構成する封止部材14a,14bにそれぞれ対面する位置に記録ヘッド30を位置させた状態である。
【0063】
図3−1(B)は、第1ポジション(以下「P1」という)であり、上記HPから一方のノズル列15aが、2つの封止部材14a,14bの間に位置するよう記録ヘッド30の移動制御を行い、この状態で外キャップ部材13を上昇させて内キャップ部材12の封止面をノズル面に当接させながら、大気開放弁28は開いた状態である。
【0064】
図3−2(C)は、第2ポジション(以下「P2」という)であり、内キャップ部材12の封止面をノズル面に当接させたP1からさらに外キャップ部材13を上昇させて大気開放弁28を閉じた状態である。
【0065】
図3−2(D)は、第3ポジション(以下「P3」という)であり、記録ヘッド30をノズル列15a,15bが内キャップ部材12を構成する封止部材14a,14bにそれぞれ対面する位置とし、その位置で外キャップ部材13を上昇させて内キャップ部材12の封止面をノズル面に当接させ、さらに外キャップ部材13を上昇させて大気開放弁28を閉じ、さらに外キャップ部材13を上昇させて外キャップ部材13の開口端をノズル面に当接させた状態である。
【0066】
図3−3(E)は上述したP1である。
図3−3(F)は、第1’ポジション(以下「P1’」という)であり、内キャップ部材12の封止部材14a,14bがノズル列15a,15bの隣に位置してノズル面に当接した状態のP1から、記録ヘッド30を矢印C方向に移動させて各ノズル列15a,15bを封止部材14a,14bの各封止面が覆う位置で停止させた状態である。
【0067】
図4は、上記各ポジションにおける内キャップ部材12、外キャップ部材13、ノズル列15a,15bの位置関係をノズル面と垂直な方向に見た状態を示す。
【0068】
図4(A)は、各ノズル列15a,15bが内キャップ部材12を構成する封止部材14a,14bに対面した状態であり、上述したHP、P3、P1’においてこのような位置関係となる。
図4(B)は、一方のノズル列15aが内キャップ部材12を構成する2つの封止部材14a,14bの間に位置した状態であり、上述したP1、P2においてこのような位置関係となる。
図4(C)は、他方のノズル列15bが内キャップ部材12を構成する2つの封止部材14a,14bの間に位置した状態である。上述したP2において、他方のノズル列15bを吸引する場合などにこのような位置関係となる。
【0069】
つぎに、上記内キャップ部材12、外キャップ部材13および記録ヘッド30の移動制御により実現する、記録ヘッド30の各ノズル開口25を封止する封止動作、クリーニング動作およびワイピング動作、フラッシング動作についてそれぞれ説明する。
【0070】
図5−1〜図5−2は、記録ヘッド30の各ノズル開口25ならびにノズル面の封止動作を説明する図である。
【0071】
図5−1(A)はHPであり、以下、図5−1(B)→図5−2(C)→図5−2(D)→図5−2(E)とポジション移動を行って封止動作を実行する。
【0072】
すなわち、図5−1(A)に示すノズル列15a,15bが封止部材14a,14bと対面した状態のHPから記録ヘッド30をD方向に移動させ、図5−1(B)に示すように、封止部材14a,14bがそれぞれノズル列15a,15bの隣に位置するよう移動させる。
【0073】
つぎに、記録ヘッド30をその位置にしたまま外キャップ部材13を矢印A方向に上昇させて、図5−2(C)に示すように、内キャップ部材12を構成する封止部材14a,14bの封止面をノズル面に当接させる(P1)。そして、この状態から記録ヘッド30を矢印C方向に移動させ、図5−2(D)に示すように、封止部材14a,14bの封止面がノズル列15a,15bを覆う位置で停止させる(P1’)。このときのノズル列15a,15bと封止部材14a,14bの平面的な位置関係は図4(A)に示す状態である。
【0074】
すなわち、封止部材14a,14bの封止面をノズル面のノズル以外の領域に当接させ、その状態で封止部材14a,14bと記録ヘッド30を相対的に移動させ、封止部材14a,14bをノズル面上でスライドさせて封止面がノズルを覆う位置で停止させることによりノズルを封止するよう制御するのである。この状態で、各ノズル列15a,15bを構成する各ノズル開口25は、封止部材14a,14bの封止面で覆われて封止され、インクの溶媒の蒸散が防止される。
【0075】
そして、外キャップ部材13を上昇させ、図5−2(E)に示すように、外キャップ部材13を上昇させて大気開放弁28を閉じたのち、さらに外キャップ部材13を上昇させて、外キャップ部材13の開口端をノズル面に当接させてノズル面をキャッピングする。すなわち、ノズル面をキャップする外キャップ部材13の内部空間内に設けられた封止部材14a,14bでノズルを封止するとともに、上記外キャップ部材13でノズル面をキャップするのである。
【0076】
このように、封止部材14a,14bの封止面でノズル開口25を塞いで封止した上から、さらに外キャップ部材13でノズル面をキャッピングすることから、ノズル開口25からのインク溶媒の蒸散防止効果がさらに顕著となる。
【0077】
このように、本実施形態では、封止部材14a,14bをノズル面上でスライドさせて封止面がノズルを覆う位置で停止させることによりノズルを封止するのであるが、封止を解除する際も、封止部材14a,14bをノズル面上でスライドさせることにより行うことができる。
【0078】
すなわち、図5−2(E)の状態から、図5−2(D)に示す、外キャップ13の開口縁をノズル面から離間させ、大気開放弁28が開くとともに、内キャップ部材12の封止面がノズル面に当接した状態まで外キャップ部材13を下降させる。そして、この状態で記録ヘッド30を矢印D方向に移動させることにより、封止部材14a,14bの封止面がノズルを覆う位置で停止した封止状態から、封止部材14a,14bと記録ヘッド30を相対的に移動させ、図5−2(C)に示すように、封止部材14a,14bをノズル面上でスライドさせ、ノズルの封止を解除するよう制御するのである。
【0079】
図6−1〜図6−2は、記録ヘッド30のクリーニング動作およびワイピング動作を説明する図である。
【0080】
図6−1(A)はHPであり、以下、図6−1(B)→図6−2(C)→図6−2(D)→図6−2(E)とポジション移動を行って封止動作を実行する。
【0081】
すなわち、図6−1(A)に示すノズル列15a,15bが封止部材14a,14bと対面した状態のHPから記録ヘッド30をD方向に移動させ、図6−1(B)に示すように、一方のノズル列15aが2つの封止部材14a,14bの間に位置するよう移動させる。
【0082】
ついで、外キャップ部材13を矢印A方向に上昇させ、図6−2(C)に示すように、内キャップ部材12を構成する封止部材14a,14bの封止面がノズル面に当接するとともに、さらに大気開放弁28が閉じるまで外キャップ部材13を上昇させる。このときのノズル列15a,15bと封止部材14a,14bの平面的な位置関係は図4(B)に示す状態であり、ノズル列15aの各ノズル開口25は、内キャップ部材12の内部空間に向かって開口した状態となる。
【0083】
この状態で、吸引ポンプ27を駆動して内キャップ部材12の内部空間に負圧を与えてノズル列15aを構成する各ノズル開口25からインクを吸引して排出する。所定時間の吸引が終了すると、外キャップ部材13を矢印B方向に下げ、図6−2(D)に示すように、大気開放弁28が開き、内キャップ部材12の封止面がノズル面に当接したままの状態とする。この状態で、吸引ポンプ27を駆動して内キャップ部材12の内部空間に溜まったインクを排出するとともに内キャップ部材12内に空気を導入するいわゆる空吸引を実行する。
【0084】
つぎに、空吸引が終了した状態から、記録ヘッド30を矢印D方向に移動させ、図6−2(E)に示すように、内キャップ部材12の内部に面していてクリーニングによりインクが付着した部分のノズル面に沿って封止部材14a,14bをスライドさせることにより、付着したインクをワイピングすることが行われる。すなわち、上記封止部材14a,14bは、ノズル面をワイピングするワイピング部材としても機能するものであり、封止部材14a,14bの封止面をノズル面に当接させた状態で封止部材14a,14bと記録ヘッド30を相対的に移動させてワイピングを制御するのである。ワイピング終了後は、吸引ポンプ27を駆動して内キャップ部材12内に溜まったインクを吸引して排出する。
【0085】
このワイピングの際の記録ヘッド30の移動距離すなわちワイピング距離は、少なくとも封止部材14a,14b同士の間隔以上に設定される。クリーニングの際には、封止部材14a,14b同士の間に露呈したノズル面がインクに濡れることになるので、少なくともその距離だけのワイピングが必要だからである。
【0086】
ここでは、一方のノズル列15aについてのクリーニング動作およびワイピング動作について説明したが、他方のノズル列15aについてのクリーニング動作およびワイピング動作については同様であるので説明を省略する。
【0087】
図7は、記録ヘッド30のフラッシング動作を説明する図である。
【0088】
図7(A)はHPであり、以下、図7(B)にポジション移動を行って封止動作を実行する。
【0089】
すなわち、図7(A)に示すノズル列15a,15bが封止部材14a,14bと対面した状態のHPから記録ヘッド30をD方向に移動させ、図6−1(B)に示すように、一方のノズル列15aが2つの封止部材14a,14bの間に位置するよう移動させる。
【0090】
つぎに、この状態で、2つの封止部材14a,14bの間に位置したノズル列15aからのみフラッシング吐出を行い、所定ショット数のフラッシングを行ったのち、吸引ポンプ27を駆動して内キャップ部材12内に吐出されたインクを吸引して排出する。
【0091】
ここでは、一方のノズル列15aについてのフラッシング動作について説明したが、他方のノズル列15aについてのフラッシング動作については同様であるので説明を省略する。
【0092】
上記第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0093】
すなわち、本実施形態によれば、封止部材14a,14bの封止面をノズル面のノズル以外の領域に当接させ、その状態で封止部材14a,14bと記録ヘッド30を相対的に移動させ、封止部材14a,14bをノズル面上でスライドさせて封止面がノズルを覆う位置で停止させることによりノズルを封止するため、従来のように、ノズル開口25を塞ぐときに気泡や塵埃をノズル開口25内に押し込んでしまうことがなく、吐出性能を確保できる。このように、ノズルに悪影響を与えないでノズルを密閉することができる。
【0094】
また、上記制御手段は、封止部材14a,14bの封止面がノズルを覆う位置で停止した封止状態から、封止部材14a,14bと記録ヘッド30を相対的に移動させ、封止部材14a,14bをノズル面上でスライドさせることによりノズルの封止を解除するため、封止部材14a,14bによるノズルの封止を解除する際に、ノズルのメニスカスを壊すことがなく、メニスカスを回復させるためのメンテナンス動作が不要になる。
【0095】
また、上記封止部材14a,14bの封止面は、記録ヘッド30のノズル列15a,15b毎に対応して設けられているため、封止部材14a,14bの封止面を各ノズル列15a,15b毎に対応して設ければよいことから、封止部材14a,14bの厚み寸法を小さくしてブレード状に形成することができ、封止部材14a,14bをノズル面上でスライドさせてノズルを封止する際のスライド距離を短くすることが可能で、ノズル面に確保するスライドスペースを小さくし、記録ヘッド30を小型化することができる。
【0096】
また、上記封止部材14a,14bは、ノズル面をワイピングするワイピング部材としても機能するものであり、上記制御手段は、封止部材14a,14bの封止面をノズル面に当接させた状態で封止部材14a,14bと記録ヘッド30を相対的に移動させてワイピングを制御するため、ノズルを封止する封止部材14a,14bがノズル面をワイピングするワイピング部材を兼ねることから、部品点数を少なくできて装置の小型化とコストダウンに有利となる。また、ノズルを封止する動作とワイピング動作がいずれも封止部材14a,14bの封止面をノズル面に当接させた状態で封止部材14a,14bと記録ヘッド30を相対的に移動させる共通の動作であることから、動作効率がよくなる。
【0097】
また、上記封止部材14a,14bは、ノズル面をキャップする外キャップ部材13の内部空間内に設けられ、上記封止部材14a,14bでノズルを封止するとともに、上記外キャップ部材13でノズル面をキャップしうるように構成されているため、封止部材14a,14bでノズルを封止した状態でさらに外キャップ部材13でノズル面をキャップすることから、放置状態におけるノズルからの溶媒の蒸散をより一層防止し、再起動したときのメンテナンス動作を軽微なものとできる。したがって、メンテナンス動作の時間短縮やメンテナンスで消費する液体量の節減を図ることができる。
【0098】
また、少なくとも2つの封止部材14a,14bにより、封止部材14a,14b同士の間の空間を介してノズル面をキャップする内キャップ部材12が構成され、上記内キャップ部材12内の空間が吸引手段と連通されてノズルに負圧を与えて液体を吸引しうるように構成されているため、外キャップよりも容量の小さな内キャップで吸引メンテナンスを行うことから、吸引開始時の負圧の立ち上がりが早くなり、その分吸引時間を短縮することが可能となる。
【0099】
また、封止部材14a,14bの封止面は、記録ヘッド30のノズル列15a,15b毎に対応して設けられているため、上記内キャップ部材12によりノズル列15a,15b毎の吸引メンテナンスが可能となり、全ノズルから吸引を行う従来品に比べ、メンテナンスに消費される液体量を大幅に節減できる。
【0100】
また、上記内キャップ部材12と外キャップ部材13とは、ノズル面に対する進退方向において相対的に位置変位しうるように構成されているため、外キャップ部材13あるいは内キャップ部材12いずれか一方の進退動作だけで、他方のキャップ部材の機能を発揮できる位置状態にすることができ、キャップの移動制御が行いやすい。
【0101】
また、上記外キャップ部材13をノズル面に対して進退させることにより内キャップ部材12がノズル面に対して進退する際、内キャップ部材12の封止面が先にノズル面に当接したあと外キャップ部材13の開口縁がノズル面に当接するよう構成されているため、内キャップ部材12・封止部材14a,14bを使用してノズルの封止,ワイピング,吸引を行うときは、内キャップ部材12の封止面がノズル面に当接するまで外キャップ部材13をノズル面に対して進めて上記の各処理を実行し、外キャップ部材13でのキャッピングが必要になったときには外キャップ部材13の開口縁がノズル面に当接するまで外キャップ部材13をノズル面に対して進めてキャッピングを行えばよい。このように、外キャップ部材13の進退動作だけで内キャップ部材12と外キャップ部材13それぞれの機能を発揮できる位置状態にすることができ、キャップの移動制御が行いやすい。
【0102】
また、内キャップ部材12の封止面がノズル面に当接した状態において外キャップ部材13がノズル面に対して進退する動作により、内キャップ部材12の内部空間の大気開放状態をオンオフしうるように構成されているため、ノズルの封止,吸引を行うときは、内キャップ部材12内の大気開放状態をオフにするよう外キャップ部材13をノズル面に対して進退させ、内キャップ部材12内の液体を吸引排出する空吸引等を行うときは、内キャップ部材12内の大気開放状態をオンにするよう外キャップ部材13をノズル面に対して進退させればよい。このように、外キャップ部材13の進退動作だけで内キャップ部材12内の待機開放状態のオンオフが可能で動作が共通化し、動作効率がよくなる。
【0103】
図8〜図10は、本発明の第2実施形態を示す。
【0104】
この例は、ノズル列15a〜15dが4列あり、それぞれブラック、イエロー、シアンマゼンタのインクを吐出するタイプの記録ヘッド30に本発明を適用したものである。
【0105】
図8に示すように、1つの内キャップ部材12aは、2列1組のノズル列15a,15bに対応する2つ1組の封止部材14a,14bを備えて構成される。もう1つの内キャップ部材12bは、同様に、2列1組のノズル列15c,15dに対応する2つ1組の封止部材14c,14dを備えて構成される。
【0106】
そして、第1の内キャップ部材12aおよび第2の内キャップ部材12bは、それぞれ第1の開閉弁29aおよび第2の開閉弁29bを介して吸引ポンプ27と連通している。これにより、第1の内キャップ部材12aによりノズル列15a,15bを吸引するときは第1の開閉弁29aを開けて第2の開閉弁29bを閉じた状態で吸引ポンプ27を駆動することが行われる。また、第2の内キャップ部材12bによりノズル列15c,15dを吸引するときは第2の開閉弁29aを閉じて第2の開閉弁29bを開けた状態で吸引ポンプ27を駆動することが行われる。
【0107】
また、双方の開閉弁29a,29bを開け、2列のノズル列15a,15cを同時に吸引またはフラッシングしたり、他の2列のノズル列15b,15dを同時に吸引またはフラッシングしたりすることも可能である。
【0108】
図9に示すように、上記開閉弁29a,29bは、クリーニング制御手段49またはフラッシング制御手段45からの指令信号によりバルブ制御手段42が開閉制御を行う。
【0109】
図10(A)は、2つの内キャップ部材12a,12bを構成する4つの封止部材14a〜14dにより、4つのノズル列15a〜15dを封止した状態の内キャップ部材12a,12b、外キャップ部材13、記録ヘッド30の平面的な位置関係を示す図である。
【0110】
図10(B)は、4つのノズル列15a〜15dのうち2つのノズル列15a,15cについて、2つの内キャップ部材12a,12bで吸引もしくはフラッシングを行うときの内キャップ部材12a,12b、外キャップ部材13、記録ヘッド30の平面的な位置関係を示す図である。
【0111】
図10(C)は、4つのノズル列15a〜15dのうち他の2つのノズル列15b,15dについて、2つの内キャップ部材12a,12bで吸引もしくはフラッシングを行うときの内キャップ部材12a,12b、外キャップ部材13、記録ヘッド30の平面的な位置関係を示す図である。
【0112】
外キャップ部材13に対する内キャップ部材12a,12bの保持構造や、外キャップ部材13の昇降に伴う内キャップ部材12a,12bの位置変位動作、大気開放弁28の開閉動作等は上述した第1の実施形態と同様であり、記録ヘッド30の移動制御と外キャップ部材13の昇降制御により実現される封止動作、クリーニング動作、ワイピング動作、フラッシング動作も上述した第1の実施形態と同様であるのでそれぞれ説明を省略する。
【0113】
この実施形態でも、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0114】
図11は、本発明の第3実施形態を示す。
【0115】
この例は、ノズル列15a〜15dが4列あり、それぞれブラック、イエロー、シアンマゼンタのインクを吐出するタイプの記録ヘッド30に本発明を適用し、1つの内キャップ部材12で上記4つのノズル列15a〜15dの封止、クリーニング、フラッシングを可能としたものである。
【0116】
図11(A)に示すように、この実施形態では、隣接するノズル列15a,15bが第1のノズル群31aを形成し、他の隣接するノズル列15c,15dが第2のノズル群31bを形成している。そして、内キャップ部材12は、2つの封止部材14a,14bを含んで構成されており、各封止部材14a,14bの封止面は、記録ヘッド30の各ノズル群31a,31b毎に対応して設けられている。すなわち、1つの封止部材14aは、封止面の幅が2列のノズル列15a,15bを覆う幅のブレード状に形成され、他の封止部材14bも、封止面の幅が2列のノズル列15c,15dを覆う幅のブレード状に形成されている。
【0117】
図11(B)に示すように、各ノズル群31a,31bにおける内側のノズル列15b,15cの間隔は、上記各封止部材14a,14bの幅寸法よりも大きくなるように設定されている。これにより、上記吸引等の際に、一方の封止部材14aが両ノズル群31a,31bの間に位置してノズル面に当接したときに、封止部材14aの封止面が内側のノズル列15b,15cのノズル開口25を覆ってしまわないようになっている。
【0118】
外キャップ部材13に対する内キャップ部材12の保持構造や、外キャップ部材13の昇降に伴う内キャップ部材12の位置変位動作、大気開放弁28の開閉動作等は上述した第1の実施形態と同様であり、記録ヘッド30の移動制御と外キャップ部材13の昇降制御により実現される封止動作、クリーニング動作、ワイピング動作、フラッシング動作も上述した第1の実施形態と同様であるのでそれぞれ説明を省略する。
【0119】
この実施形態によれば、上記封止部材14a,14bの封止面は、記録ヘッド30のノズル群毎に対応して設けられているため、封止部材14a,14bの封止面を各ノズル群31a,31b毎に対応して設ければよいことから、封止部材14a,14bの厚み寸法を小さくすることができ、封止部材14a,14bをノズル面上でスライドさせてノズルを封止する際のスライド距離を短くすることが可能で、ノズル面に確保するスライドスペースを小さくし、記録ヘッド30を小型化することができる。
【0120】
また、封止部材14a,14bの封止面は、記録ヘッド30のノズル群31a,31b毎に対応して設けられているため、上記内キャップ部材12によりノズル群31a,31b毎の吸引メンテナンスが可能となり、全ノズルから吸引を行う従来品に比べ、メンテナンスに消費される液体量を大幅に節減できる。
【0121】
さらに、ワイピングの際には、1つの封止部材14aで2列のノズル列15a,15bを一度にワイピングすることができ、他の封止部材14bでも2列のノズル列15c,15dを一度にワイピングすることができるので、ワイピング効率が良い。
【0122】
それ以外は、上記第1および第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0123】
上記各実施形態において、記録ヘッド30は、液体を噴射させる駆動素子である圧力発生素子として、圧電振動子を利用した液体噴射装置に適用することもできるし、発熱素子を利用したタイプの液体噴射装置に適用することもできる。
【0124】
また、液体噴射装置の代表例としては、上述したような画像記録用のインクジェット式記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置があるが、本発明は、その他の液体噴射装置として、例えば液晶ディスプレー等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置等、各種の液体噴射装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】第1実施形態の記録装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】第1実施形態の制御回路を示す機能ブロック図である。
【図3−1】内外両キャップ部材の構造と記録ヘッドとの位置関係を示す図である。
【図3−2】内外両キャップ部材と記録ヘッドとの位置関係を示す図である。
【図3−3】内外両キャップ部材と記録ヘッドとの位置関係を示す図である。
【図4】内キャップ部材,外キャップ部材とノズル列の位置関係を示す図である。
【図5−1】封止動作を説明する図である。
【図5−2】封止動作を説明する図である。
【図6−1】クリーニング動作およびワイピング動作を説明する図である。
【図6−2】クリーニング動作およびワイピング動作を説明する図である。
【図7】フラッシング動作を説明する図である。
【図8】第2実施形態の概略構成を示す図である。
【図9】第2実施形態の制御回路を示す機能ブロック図である。
【図10】第2実施形態の内外両キャップ部材とノズル列の位置関係を示す図である。
【図11】第3実施形態の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0126】
1 キャリッジ,2 キャリッジモータ,3 タイミングベルト,4 走査ガイド部材,5 紙送り部材,7 圧力調整部,7a〜7d 圧力調整部,8 カートリッジホルダ,9 インクカートリッジ,9a〜9d インクカートリッジ,10 インク補給チューブ,11 キャッピング手段,12 内キャップ部材,12a 内キャップ部材,12b 内キャップ部材,13 外キャップ部材,14a 封止部材,14b 封止部材,14c 封止部材,14d 封止部材,15a ノズル列,15b ノズル列,15c ノズル列,15d ノズル列,16 チューブ,17 保持部材,18 付勢部材,19 係止部材,20 開口,21 大気開放口,22 廃液回収タンク,23 開閉部材,24 位置決め部材,25 ノズル開口,27 吸引ポンプ,28 大気開放弁,29a 開閉弁,29b 開閉弁,30 記録ヘッド,31a ノズル群,31b ノズル群,42 バルブ制御手段,43 ポンプ駆動手段,44 キャップ制御手段,45 フラッシング制御手段,46 印刷制御手段,47 キャリッジ制御手段,48 ヘッド駆動手段,49 クリーニング制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液体を噴射する噴射ヘッドと、上記噴射ヘッドのノズル面において封止面をノズルに密着させてノズルを塞ぐ封止部材と、上記封止部材および/または噴射ヘッドの移動制御により上記封止部材による封止動作を制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は、封止部材の封止面をノズル面のノズル以外の領域に当接させ、その状態で封止部材と噴射ヘッドを相対的に移動させ、封止部材をノズル面上でスライドさせて封止面がノズルを覆う位置で停止させることによりノズルを封止するよう制御することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
上記制御手段は、封止部材の封止面がノズルを覆う位置で停止した封止状態から、封止部材と噴射ヘッドを相対的に移動させ、封止部材をノズル面上でスライドさせることによりノズルの封止を解除するよう制御する請求項1記載の液体噴射装置。
【請求項3】
上記封止部材の封止面は、噴射ヘッドのノズル群毎に対応して設けられている請求項1または2記載の液体噴射装置。
【請求項4】
上記封止部材の封止面は、噴射ヘッドのノズル列毎に対応して設けられている請求項1または2記載の液体噴射装置。
【請求項5】
上記封止部材は、ノズル面をワイピングするワイピング部材としても機能するものであり、上記制御手段は、封止部材の封止面をノズル面に当接させた状態で封止部材と噴射ヘッドを相対的に移動させてワイピングを制御する請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
上記封止部材は、ノズル面をキャップする外キャップ部材の内部空間内に設けられ、上記封止部材でノズルを封止するとともに、上記外キャップ部材でノズル面をキャップしうるように構成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
少なくとも2つの封止部材により、封止部材同士の間の空間を介してノズル面をキャップする内キャップ部材が構成され、上記内キャップ部材内の空間が吸引手段と連通されてノズルに負圧を与えて液体を吸引しうるように構成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
上記内キャップ部材と外キャップ部材とは、ノズル面に対する進退方向において相対的に位置変位しうるように構成されている請求項7記載の液体噴射装置。
【請求項9】
上記外キャップ部材をノズル面に対して進退させることにより内キャップ部材がノズル面に対して進退する際、内キャップ部材の封止面が先にノズル面に当接したあと外キャップ部材の開口縁がノズル面に当接するよう構成されている請求項8記載の液体噴射装置。
【請求項10】
内キャップ部材の封止面がノズル面に当接した状態において外キャップ部材がノズル面に対して進退する動作により、内キャップ部材の内部空間の大気開放状態をオンオフしうるように構成されている請求項8または9記載の液体噴射装置。
【請求項11】
ノズルから液体を噴射する噴射ヘッドと、上記噴射ヘッドのノズル面において封止面をノズルに密着させてノズルを塞ぐ封止部材とを備えた液体噴射装置におけるノズル封止方法であって、封止部材の封止面をノズル面のノズル以外の領域に当接させ、その状態で封止部材と噴射ヘッドを相対的に移動させ、封止部材をノズル面上でスライドさせて封止面がノズルを覆う位置で停止させることによりノズルを封止することを特徴とする液体噴射装置における噴射ヘッドのノズル封止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−245609(P2007−245609A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74112(P2006−74112)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】