説明

液体噴射装置の制御装置、液体噴射装置及び液体噴射装置のクリーニング方法

【課題】流路に堆積した液体の沈降物を確実に除去することができる液体噴射装置の制御
装置、液体噴射装置及び液体噴射装置のクリーニング方法を提供する。
【解決手段】循環流路が設けられた液体噴射ヘッド10を備える液体噴射装置において、
液体貯留部内のインクを、通常のインクの吐出時よりも高い温度にし、当該インクを循環
流路に循環させるように制御する制御装置50を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置の制御装置、液体噴射装置及び液体噴射装置のクリーニング方
法に関し、特に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録装置の制御装置、イン
クジェット式記録装置及びインクジェット式記録装置のクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置に搭載される液体噴射ヘッドの代表例であるインクジェット式記録ヘッド
としては、例えば、圧力発生室が形成された流路形成基板と、流路形成基板の一方面側に
設けられる圧電素子を具備し、この圧電素子の変位によって圧力発生室内に圧力を付与す
ることで、ノズルからインク滴を噴射するものがある。
【0003】
また、このようなインクジェット式記録ヘッドでは、周囲の環境温度の変化等に伴って
インクの増粘や沈降等に起因して、ノズルの目詰まり等の噴射不良が発生するという問題
がある。このため、所定のタイミング、例えば、印刷開始時等に、インクジェット式記録
ヘッドのノズルからインク滴を噴射させることによって増粘等したインクを排出する、い
わゆるフラッシング動作を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、例えば、インクジェット式記録ヘッドとインクタンクとを繋ぐ循環路にポンプを
設け、所定のタイミングで、このポンプによってインクジェット式記録ヘッド内のインク
を循環路内に循環させるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−105613号公報
【特許文献2】特開2006−088492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているようにフラッシング動作を行うことによってノズルの目詰
まりといった液滴の噴射不良の発生を抑えることはできる。また、特許文献2に記載され
ているように、ポンプ等によって液体を循環させるようにすれば、無駄な液体を排出させ
ることなく増粘等を抑えることはできる。
【0007】
しかしながら、既に流路に沈降物が堆積している場合、フラッシングやポンプによる液
体の循環によっては、当該沈降物が除去しきれない虞がある。特に長時間に亘り液体噴射
装置が未使用であると、上述のフラッシングや液体の循環では沈降物の除去がより困難と
なる。
【0008】
フラッシングの際に、より強力にインクを排出することで沈降物を排除することも可能
ではあるが、この場合では、より多くの液体が無駄に排出されてしまう。また、循環流路
の流速を速めるために、より圧送能力の高いポンプを用いることも可能ではあるが、この
場合では、ポンプに係るコストが増大してしまう。
【0009】
なお、このような問題は、インクジェット式記録装置の制御装置だけではなく、インク
以外の液体噴射装置の制御装置においても同様に存在する。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、流路に堆積した液体の沈降物を確実に除去すること
ができる液体噴射装置の制御装置、液体噴射装置及び液体噴射装置のクリーニング方法を
提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液
体噴射ヘッドに液体を供給する液体流路を介して接続された液体貯留部と、前記液体貯留
部に貯留された液体を加熱する加熱手段とを具備する液体噴射装置の制御装置であって、
前記液体流路のクリーニング時に、液体を噴射する通常の噴射時における液体の温度より
も高くなるように前記加熱手段の温度を制御するクリーニング制御手段を備えることを特
徴とする液体噴射装置の制御装置にある。
かかる態様では、クリーニング時に、液体を噴射する通常の噴射時における液体の温度
よりも高くなるように前記加熱手段の温度を制御するので、液体の流速が高速化する。こ
のように高速化した流速により、液体流路に堆積した沈降物を確実に除去することができ
る。
【0012】
ここで、前記液体流路は、前記液体貯留部から前記液体噴射ヘッドに液体を供給する供
給路及び当該液体噴射ヘッドに供給した液体を前記液体貯留部に回収する回収路を有する
循環流路であり、前記供給路に設けられて液体を圧送する圧送手段と、前記供給路におい
て前記圧送手段の上流と下流とを連通させるバイパス路と、前記液体貯留部内の圧力を前
記圧送手段による加圧よりも大きな負圧となるようにする減圧手段と、前記供給路の前記
圧送手段の下流側と前記バイパス路との間に設けられて当該供給路を開閉する第1バルブ
と、前記回収路に設けられて当該回収路を開閉する第2バルブと、前記バイパス路に設け
られて当該バイパス路を開閉する第3バルブと、前記第1バルブ、第2バルブ及び第3バ
ルブを開閉するバルブ制御手段とをさらに具備し、前記バルブ制御手段は、前記循環流路
のクリーニング時に、前記第1バルブ、第2バルブ及び第3バルブを制御することで、前
記供給路及び前記回収路を開口すると共に前記バイパス路を閉口する循環状態とし、前記
クリーニング制御手段は、前記バルブ制御手段が循環状態としている間に、液体を噴射す
る通常の噴射時における液体の温度よりも高くなるように前記加熱手段の温度を制御する
ことが好ましい。これにより、循環流路に流れる液体の温度が液体を噴射する通常の噴射
時における液体の温度よりも高くなり、循環流路に流れる液体の速度が高速化するので、
循環流路に堆積した沈降物をより確実に排出することができる。
【0013】
また、前記ノズル開口が開口する吐出面に当接するように移動自在に設けられたキャッ
プ部材、及び該キャップ部材の内部を吸引する吸引部材を有し、前記ノズル開口から前記
液体噴射ヘッドの内部の液体を吸引する吸引手段をさらに具備し、前記バルブ制御手段は
、前記吸引部材が吸引動作を行っている間は、前記供給路及び前記回収路を閉口すると共
に前記バイパス路を開口する吸引状態とし、前記クリーニング制御手段は、前記バルブ制
御手段が吸引状態としている間に、液体を噴射する通常の噴射時における液体の温度より
も高くなるように前記加熱手段の温度を制御することが好ましい。これにより、吸引によ
り液体噴射ヘッドをクリーニングする場合において、液体の温度が液体を噴射する通常の
噴射時における液体の温度よりも高くするので、液体噴射ヘッドから吸引される液体の流
速が高速化する。この結果、液体噴射ヘッド内の増粘した液体や沈降物を吸引クリーニン
グでより確実に排除することができる。
【0014】
また、本発明の他の態様は、上記態様の制御装置を具備することを特徴とする液体噴射
装置にある。
かかる態様では、流路に堆積した液体の沈降物を確実に除去することができるので、沈
降物がフィルターやノズル開口に目詰まりすることが防止され、信頼性が向上した液体噴
射装置を実現できる。
【0015】
また、本発明の他の態様は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体
噴射ヘッドに液体を供給する液体流路を介して接続された液体貯留部と、前記液体貯留部
に貯留された液体を加熱する加熱手段とを具備する液体噴射装置のクリーニング方法であ
って、前記液体流路のクリーニング時に、液体を噴射する通常の噴射時における液体の温
度よりも高くなるように前記加熱手段の温度を制御することを特徴とする液体噴射装置の
クリーニング方法にある。
かかる態様では、クリーニング時に、液体を噴射する通常の噴射時における液体の温度
よりも高くなるように前記加熱手段の温度を制御するので、液体の流速が高速化する。こ
のように高速化した流速により、液体流路に堆積した沈降物を確実に除去することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係る記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係る記録装置の要部を示す断面図である。
【図3】実施形態1に係る記録装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】実施形態1のクリーニング方法を示すフローチャートである。
【図5】実施形態1の記録装置の動作を示す要部断面図である。
【図6】実施形態1の記録装置の動作を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
〈実施形態1〉
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装
置の概略構成を示す斜視図であり、図2は、インクジェット式記録装置の要部を示す断面
図である。
【0018】
図示するように、液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置Iは、インクジ
ェット式記録ヘッド10を具備する。
【0019】
インクジェット式記録ヘッド10(以下、記録ヘッド10とも言う)は、インク滴を吐
出するノズル開口11が設けられ、ノズル開口11に連通する流路(図示なし)が、フィ
ルター15を介してマニホールド12に連通している。マニホールド12には、インクが
貯留された液体貯留部20からのインクが供給されるインク導入路13と、マニホールド
12内のノズル開口11から吐出されなかったインクが液体貯留部20に回収される排出
路14とが連通するように設けられている。
【0020】
このような記録ヘッド10には、液体貯留部20からのインクがインク導入路13を介
してマニホールド12に供給され、マニホールド12に充填されたインクは、排出路14
を介して液体貯留部20に回収される。
【0021】
また、記録ヘッド10には、特に図示していないが、ノズル開口11に連通する流路に
圧力変化を生じさせる圧力発生手段が設けられている。圧力発生手段によって流路内に圧
力変化を生じさせることでノズル開口11からインク滴が吐出される。なお、圧力発生手
段としては、例えば、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる
縦振動型のアクチュエーター装置や、電極及び圧電材料を成膜及びリソグラフィー法によ
り積層形成した薄膜型、グリーンシートを添付する等の方法により形成される圧膜型など
の撓み振動型のアクチュエーター装置などを用いたものが挙げられる。また、圧力発生手
段としては、流路内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノ
ズル開口11から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静
電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アク
チュエーターなどを用いたものなどが挙げられる。
【0022】
このような記録ヘッド10は、キャリッジ3に搭載され、キャリッジ3は装置本体4に
取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。
【0023】
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を
介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド10を搭載したキャリッジ3はキャ
リッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン
8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体であ
る記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
【0024】
また、インクジェット式記録装置Iには、装置本体4に固定されて内部にインクが貯留
された液体貯留部20が設けられている。この液体貯留部20には、記録ヘッド10にイ
ンクを供給する供給路21が設けられた供給管22と、記録ヘッド10からのインクを回
収する回収路23が設けられた回収管24とからなる循環流路が接続されている。
【0025】
供給管22は、フレキシブルチューブ等の管状部材からなり、内部に供給路21が設け
られている。供給管22は、一端部が液体貯留部20に接続され、他端部が記録ヘッド1
0のインク導入路13に接続されることで、液体貯留部20のインクを供給路21及びイ
ンク導入路13を介してマニホールド12に供給する。
【0026】
回収管24は、フレキシブルチューブ等の管状部材からなり、内部に回収路23が設け
られている。回収管24は、一端部が液体貯留部20に接続され、他端部が記録ヘッド1
0の排出路14に接続されることで、マニホールド12内のインクを排出路14及び回収
路23を介して液体貯留部20に回収する。
【0027】
また、供給路21の途中には、液体貯留部20のインクを記録ヘッド10に圧送する圧
送手段である加圧ポンプ30が設けられている。加圧ポンプ30の圧送によって、液体貯
留部20のインクは、記録ヘッド10に所定の圧力で供給される。
【0028】
さらに、液体貯留部20には、内部に貯留されたインクを負圧にする減圧手段が設けら
れている。本実施形態では、減圧手段として、液体貯留部20の内部のインクが貯留され
た空間の気体を吸引して外部に排出する吸引ポンプ31を設けた。
【0029】
このような吸引ポンプ31は、液体貯留部20内の圧力を、加圧ポンプ30によりイン
クを加圧する圧力よりも大きな負圧となるように減圧する。このように、吸引ポンプ31
が、液体貯留部20内を加圧ポンプ30よりも大きな圧力で減圧することで、加圧ポンプ
30によって圧送されたインクが記録ヘッド10のノズル開口11から流出することなく
、回収路23を介して液体貯留部20に回収される。ちなみに、液体貯留部20に減圧手
段である吸引ポンプ31を設けない場合、加圧ポンプ30によって圧送されたインクが記
録ヘッド10に供給されることで、圧力発生手段を駆動しなくても記録ヘッド10のノズ
ル開口11からインクが流出してしまう。
【0030】
また、液体貯留部20には、内部に貯留されたインクを加熱する加熱手段35が設けら
れている。本実施形態では、加熱手段35として、液体貯留部20の外面に、当該外面を
介して内部のインクを加熱するヒーターを設けた。さらに液体貯留部20には、内部のイ
ンクの温度を測定する温度センサー36が設けられている。詳細は後述するが、温度セン
サー36で得られた温度は、加熱手段35を制御するクリーニング制御手段に送られ、ク
リーニング制御手段が液体貯留部20内部のインクの温度を所定温度にするために加熱手
段35でどの程度加熱すればよいかを調整するために用いられる。
【0031】
また、供給路21には、加圧ポンプ30の上流と下流とを連通するバイパス路25を有
するバイパス管26が設けられている。このバイパス路25は、詳しくは後述するが、ノ
ズル開口11からインクを吸引する吸引動作を行った際に、加圧ポンプ30による加圧を
行わずに液体貯留部20のインクを記録ヘッド10に供給するためのものである。
【0032】
このような供給路21、回収路23及びバイパス路25には、それぞれの流路を開閉す
るバルブ32〜34が設けられている。詳しくは、供給路21の加圧ポンプ30の下流側
であって、供給路21とバイパス路25との合流部より上流には、供給路21を開閉する
第1バルブ32が設けられている。また、回収路23には、当該回収路23を開閉する第
2バルブ33が設けられている。さらに、バイパス路25には、当該バイパス路25を開
閉する第3バルブ34が設けられている。そして、詳しくは後述するが、これら第1バル
ブ32、第2バルブ33及び第3バルブ34を制御することによって、供給路21、回収
路23及びバイパス路25を開閉して、液体貯留部20と記録ヘッド10との間でインク
を循環させる循環状態、ノズル開口11からインクを吸引させる吸引状態に切り替える。
【0033】
さらに、図1に示すように、インクジェット式記録装置Iの非印刷領域には、記録ヘッ
ド10のノズル開口11から流路内のインクや気泡等を吸引する吸引手段40が設けられ
ている。
【0034】
吸引手段40は、記録ヘッド10のノズル開口11を覆うキャップ部材41と、キャッ
プ部材41に吸引管42を介して接続された例えば真空ポンプ等の吸引部材43とを具備
する。
【0035】
このような構成の吸引手段40は、キャップ部材41を記録ヘッド10の吐出面に当接
させて、吸引部材43に吸引動作を行わせることでキャップ部材41の内部を負圧として
、ノズル開口11から流路内のインクを気泡と共に吸引して吸引動作(クリーニング動作
)を行う。また、非印刷時には、キャップ部材41によってノズル開口11を封止するこ
とによりノズル開口11の乾燥を抑制するようにしてもよい。
【0036】
なお、キャップ部材41は、所望のタイミングで、ノズル開口11の開口する吐出面に
当接して、ノズル開口11を覆うため、キャップ部材41は、本実施形態では、鉛直方向
に移動自在に設けられている。そして、キャップ部材41の移動は、例えば、図示しない
駆動モーターや電磁石等の移動手段によって行うことができる。
【0037】
また、インクジェット式記録装置Iには、当該インクジェット式記録装置Iの動作を制
御する制御装置50が設けられている。
【0038】
ここで、このようなインクジェット式記録装置Iを制御する制御装置50について説明
する。なお、図3は、本発明の実施形態1に係る記録装置の制御系を示すブロック図であ
る。
【0039】
図3に示すように、インクジェット式記録装置Iでは、実際の印刷を行う機構部となる
記録ヘッド10と、記録ヘッド10のノズル開口11からインクを吸引する吸引手段40
と、キャップ部材41を移動する移動手段44と、第1バルブ32、第2バルブ33及び
第3バルブ34と、これらの記録ヘッド10、吸引手段40、第1バルブ32、第2バル
ブ33及び第3バルブ34等の動作を制御する制御装置50と、を具備する。
【0040】
制御装置50は、記録ヘッド10の印刷を制御するほか、循環流路のクリーニング動作
を制御する。ここで、本実施形態におけるクリーニング動作とは、(a)液体貯留部20
のインクを加熱し、循環流路(供給路、回収路、記録ヘッド10のインク導入路13、マ
ニホールド12及び排出路14)に高温のインクを循環させることで、循環流路に堆積し
たインク由来の沈降物や気泡を排出し、(b)液体貯留部20のインクを加熱し、高温に
なったインクと共にインク中の気泡や沈降物や増粘したインクを吸引手段40による吸引
により排出することをいう。以降、(a)のクリーニングを循環クリーニング、(b)の
クリーニングを吸引クリーニングと言う。
【0041】
具体的には、制御装置50は、印刷制御手段51、記録ヘッド駆動回路52、印刷位置
制御手段53、クリーニング制御手段54及びバルブ制御手段55を具備する。
【0042】
印刷制御手段51は、記録ヘッド10の印刷動作を制御し、例えば、印刷信号の入力に
伴って記録ヘッド駆動回路52を介して圧電素子に駆動パルスを印加して、記録ヘッド1
0からインクを吐出させる。
【0043】
印刷位置制御手段53は、記録ヘッド10の印刷時、非印刷時、吸引動作時等の主走査
方向及び副走査方向の位置決めを行う。詳しくは、印刷位置制御手段53は、駆動モータ
ー6を駆動してキャリッジ3を主走査方向に移動することで記録ヘッド10の主走査方向
の位置決めを行い、図示しない紙送りモーターを駆動してプラテン8を回転し記録シート
Sを副走査方向に移動することで記録シートSに対する記録ヘッド10の副走査方向の位
置決めを行っている。そして、印刷位置制御手段53は、印刷時には記録ヘッド10が搭
載されたキャリッジ3を主走査方向に移動させながら、記録シートSを副走査方向に移動
させる。また、印刷待機時やクリーニング動作時などの非印刷時には、記録ヘッド10が
搭載されたキャリッジ3を非印刷領域に設けられた吸引手段40側に移動させる。
【0044】
バルブ制御手段55は、供給路21、回収路23及びバイパス路25のそれぞれに設け
られた第1バルブ32、第2バルブ33、第3バルブ34を制御して、供給路21、バイ
パス路25及び回収路23の開閉を行わせる。
【0045】
ここで、バルブ制御手段55は、第1バルブ32、第2バルブ33及び第3バルブ34
を制御することで、循環状態、吸引状態の2つの状態を作り出す。
【0046】
循環状態は、液体貯留部20と記録ヘッド10との間でインクを循環させるためのもの
である。印刷待機中や印刷中において循環状態にすることで、インクの成分の沈降を抑制
すると共に、インクに含まれる気泡を記録ヘッド10から排出する。さらに、詳細は後述
するが、この循環状態で循環クリーニングが行われる。
【0047】
循環状態では、第1バルブ32及び第2バルブ33を開き、供給路21及び回収路23
を開口する。また、第3バルブ34を閉じることで、バイパス路25を閉口する。これに
より、液体貯留部20のインクは、加圧ポンプ30の圧送によって記録ヘッド10に供給
され、記録ヘッド10に供給されてノズル開口11から吐出されないインクは、液体貯留
部20の吸引ポンプ31の吸引力によって回収路23を介して液体貯留部20に回収され
る。
【0048】
吸引状態は、吸引部材43によってノズル開口11からインクを吸引する際に行われる
状態である。
【0049】
吸引状態では、第1バルブ32及び第2バルブ33を閉じて、供給路21及び回収路2
3を閉口する。また、第3バルブ34を開くことで、バイパス路25を開口する。これに
より、加圧ポンプ30によって圧送されたインクが記録ヘッド10に供給されることなく
、吸引部材43のノズル開口11からの吸引力によって、バイパス路25を介して液体貯
留部20のインクが記録ヘッド10に供給される。このように、吸引部材43の吸引力に
よって液体貯留部20のインクが記録ヘッド10に供給されることで、吸引部材43によ
って記録ヘッド10の内部に滞留した気泡や異物をノズル開口11からインクと共に外部
に排出することができる。
【0050】
クリーニング制御手段54は、循環クリーニング及び吸引クリーニングを行うために加
熱手段35、吸引手段40及びバルブ制御手段55を制御する。
【0051】
具体的には、循環クリーニングの実行時は、バルブ制御手段55に循環状態とする旨の
信号を伝達し、バルブ制御手段により循環状態にさせる。一方、液体貯留部20内のイン
クの温度が通常のインクの吐出時におけるインクの温度よりも高くなるように加熱手段3
5の温度を制御する。以降、この「通常のインクの吐出時におけるインクの温度よりも高
い温度」をクリーニング温度とも言う。本実施形態でいう「通常のインクの吐出時」とは
、クリーニングを行っていないとき、すなわち記録シートSに所定の信号に基づいてイン
クを吐出するときをいう。
【0052】
加熱手段35によりインクがクリーニング温度になっているか否かは、温度センサー3
6から得た温度により判断する。すなわち、液体貯留部20内のインクの温度がクリーニ
ング温度以下であるならば、加熱手段35の温度をより高くし、当該温度がクリーニング
温度であるならば、加熱手段35の温度を維持し、当該温度がクリーニング温度を過度に
上回っている場合などでは、加熱手段35の温度を低くする。なお、クリーニング温度と
しては、インクの粘性が充分に下がり、かつインクの溶媒が過度に蒸発しない程度の温度
とすることが好ましい。
【0053】
循環クリーニングでは、循環流路を循環させるインクの温度をクリーニング温度にする
ことにより、当該インクの粘度が低下する。インクの粘度が低下することで、循環流路を
流れるインクの流速は、通常のインクの吐出時における循環流路に流れるインクの速度よ
りも高速となる。
【0054】
このように、循環クリーニングにおいては、通常のインクの吐出時よりも高速の流速で
インクが循環流路を流れるので、高速で流れるインクで、循環流路や記録ヘッド10内の
流路、特にフィルター上に堆積した沈降物を、より強力に、排出することができる。これ
により、循環流路に堆積した沈降物が、通常のインクの吐出時におけるインクの流速に影
響を与えたり、フィルター上に沈降物が堆積して目詰まりを起こすことが防止され、信頼
性が向上した液体噴射装置が提供される。なお、インクの流速により排出される沈降物は
、液体貯留部20内に配設したフィルターなどで捕集される。
【0055】
また、インクを加熱して粘度を下げることによりインクの流速を向上させているので、
加圧ポンプ30は、通常のインクの吐出時と同じ出力で運転させることができる。すなわ
ち、インクの流速を向上するために高出力のポンプを設ける必要が無いので、ポンプに係
るエネルギーやコストを低減することができる。
【0056】
また、循環クリーニングは、通常のインクの吐出時以外であれば、どのタイミングで実
施してもよいが、特に、インクジェット式記録装置Iが長時間に亘り未使用であった場合
、すなわち、循環流路にインクが循環していない時間が長い場合において、印刷に先立っ
て行うことが好ましい。
【0057】
長時間に亘りインクジェット式記録装置Iを使用していない場合、沈降物の堆積量が多
くなり、通常のインクの吐出時における循環流路に流れるインクでは、当該沈降物を容易
に排出することができない虞があるが、循環クリーニングでは、このような沈降物を排出
することができる。
【0058】
例えば、クリーニング制御手段54は、インクジェット式記録装置Iの電源を切る直前
の時刻を不揮発性のメモリに記録し、電源が投入された際に、そのときの時刻とメモリに
記録された時刻との非稼働時間が所定時間を超えているか否かに基づいて循環クリーニン
グを実施する。また、利用者により循環クリーニングを行う旨の情報が与えられた際に、
循環クリーニングを実施するようにしてもよい。
【0059】
また、循環クリーニングの終了のタイミングは、予めROMなどに設定されたテーブル
情報を参照して行うようにしてある。テーブル情報とは、循環クリーニングの継続時間と
、循環流路の沈降物の堆積量に影響を与えるパラメータとからなる。このようなパラメー
タは、インクジェット式記録装置Iの電源が投入されていなかった非稼働時間を一例とし
て挙げることができる。例えば、テーブル情報は次のように作成する。予め、ある時間(
非稼働時間T1)、電源が投入されていなかったインクジェット式記録装置Iを用いて循
環クリーニングを実施し、沈降物が排出されたことが確認されるまでに要する時間(継続
時間T2)を計測する。このような非稼働時間T1と継続時間T2とを何パターンか作成
し、それをROMなどにテーブル情報として記憶させる。
【0060】
そして、循環クリーニングの実施の際には、上述したように不揮発性メモリに記録した
時刻から非稼働時間を得て、当該非稼働時間とテーブル情報とから循環クリーニングの継
続時間をROMから得て、その継続時間に達したら循環クリーニングを終了する。
【0061】
吸引クリーニングの実行時においては、クリーニング制御手段54は、加熱手段35に
より液体貯留部20内のインクの温度をクリーニング温度とし、また、バルブ制御手段5
5に吸引状態とする旨の信号を伝達し、バルブ制御手段55により吸引状態にさせる。一
方、吸引手段40に記録ヘッド10からインクを吸引させる旨の信号を伝達し、記録ヘッ
ド10からインクを吸引させる。
【0062】
具体的には、クリーニング制御手段54は、液体貯留部20内のインクの温度がクリー
ニング温度以下であるならば、加熱手段35の温度をより高くし、当該温度がクリーニン
グ温度であるならば、加熱手段35の温度を維持し、当該温度がクリーニング温度を過度
に上回っている場合などでは、加熱手段35の温度を低くする。
【0063】
そして、クリーニング制御手段54は、所定のタイミングで移動手段44を制御してキ
ャップ部材41を記録ヘッド10の吐出面に当接させて、吸引部材43を動作させて、吸
引手段40による記録ヘッド10のノズル開口11近傍のインクを吸引する吸引動作を行
わせる。また、クリーニング制御手段54は、所定のタイミングで移動手段44を制御し
てキャップ部材41の記録ヘッド10の吐出面への当接状態を解除する。詳しくは、クリ
ーニング制御手段54は、印刷位置制御手段53を介して記録ヘッド10をキャップ部材
41に対向する位置に移動し、移動手段44を制御してキャップ部材41を記録ヘッド1
0の吐出面に当接させ、吸引部材43を駆動することで吸引動作を行わせる。また、吸引
動作が終了する際には、クリーニング制御手段54は、吸引部材43の駆動を停止して吸
引動作を終了させた後、移動手段44を制御してキャップ部材41の記録ヘッド10の吐
出面への当接状態を解除する。
【0064】
吸引クリーニングにおいても、インクの温度をクリーニング温度にすることにより、当
該インクの粘度が低下する。インクの粘度が低下することで、吸引手段40により吸引さ
れるインクの流速は、インクをクリーニング温度としないで行う吸引時におけるインクの
速度よりも高速となる。
【0065】
このように、吸引クリーニングにおいては、高速の流速でインクを吸引するので、フィ
ルターからノズルまでに至る間の流路に堆積した沈降物や増粘したインクをより強力に排
出することができる。これにより、当該沈降物や増粘したインクでノズル開口11に目詰
まりが生じることが防止され、信頼性が向上した液体噴射装置が提供される。
【0066】
また、インクを加熱して粘度を下げることによりインクの流速を向上させているので、
吸引部材43は、インクの流速を向上するために高い能力を有するものにする必要が無い
ので、吸引部材43に係るエネルギーやコストを低減することができる。
【0067】
また、吸引クリーニングは、通常のインクの吐出時以外であれば、どのタイミングで実
施してもよい。特に、インクジェット式記録装置Iが長時間に亘り未使用であった場合、
すなわち、記録ヘッド10のフィルターからノズル開口11に至るまでの流路にインクが
残り、増粘したインクが残留している場合において、印刷に先立って行うことが好ましい

【0068】
ここで、インクジェット式記録装置Iのクリーニング方法について説明する。なお、図
4は、クリーニング方法を示すフローチャートであり、図5及び図6は、インクジェット
式記録装置の動作を示す要部断面図である。
【0069】
まず、インクジェット式記録装置Iの電源が投入された後、循環クリーニングを行うか
否かを判断する(ステップS1)。この判断は、上述したように、インクジェット式記録
装置Iの非稼働時間が所定時間を超えているか否かにより行う。非稼働時間が所定時間を
超えていないならば(ステップS1:No)、バルブ制御手段55が循環状態にし(ステ
ップS2)、印刷可能な状態とする。
【0070】
一方、非稼働時間が所定時間を超えているならば(ステップS1:Yes)、循環クリ
ーニングを行うべく、バルブ制御手段55が循環状態にする(ステップS3)。そして、
クリーニング制御手段54が加熱手段35を制御して液体貯留部20内のインクをクリー
ニング温度にする(ステップS4)。ステップS3〜S4においては、具体的には、上述
したように、第1バルブ32及び第2バルブを開口すると共に第3バルブ34を閉口する
。これにより、図5に示すように、液体貯留部20のインクが加熱手段35により加熱さ
れてクリーニング温度となり、当該インクが加圧ポンプ30で圧送されて、供給路21を
介して記録ヘッド10に供給され、記録ヘッド10のインクが吸引ポンプ31によって液
体貯留部20に回収される。
【0071】
ステップS3〜S4に説明したように、液体貯留部20内のインクがクリーニング温度
にされたので、インクが低粘度化し、循環流路に循環されるインクの流速が高速化する。
このようにインクの流速が高速化するので、循環流路や記録ヘッドのフィルター15上に
堆積した沈降物を、より強力に、インクの流速と共に排出することができる。
【0072】
次に、循環クリーニングの終了条件が満たされているか否かを判断する(ステップS5
)。上述したように、テーブル情報を参照して、非稼働時間から循環クリーニングの継続
時間を得ておき、実際に循環クリーニングを実行した実行時間と当該継続時間とを比較す
ることにより行う。当該実行時間が継続時間に達していないならば(ステップS5:No
)、循環状態を維持し(ステップS3)、インクをクリーニング温度にする(ステップS
4)。当該実行時間が継続時間に達したならば(ステップS5:Yes)、インクの加熱
を終了し、循環状態として通常の印刷を行える状態とする(ステップS2)。
【0073】
次に、吸引動作が開始されるか判断し(ステップS6)、吸引動作が開始されない場合
には(ステップS6:No)、循環状態として通常の印刷を行える状態とする(ステップ
S2)。吸引動作が開始される場合には(ステップS6;Yes)、バルブ制御手段55
が、第1バルブ32、第2バルブ33及び第3バルブ34を制御して吸引状態とする(ス
テップS7)。そして、クリーニング制御手段54が加熱手段35を制御して液体貯留部
20内のインクをクリーニング温度にする(ステップS8)。そして、クリーニング制御
手段54が吸引手段40を制御して吸引動作を行う(ステップS9)。具体的には、図6
に示すように、液体貯留部20のインクが加熱手段35により加熱されてクリーニング温
度となり、クリーニング制御手段54が移動手段44及び吸引部材43を制御して、キャ
ップ部材41を記録ヘッド10の吐出面に当接させて、吸引部材43に吸引動作を開始さ
せる。このとき、第1バルブ32、第2バルブ33及び第3バルブ34が吸引状態となっ
ていることから、ノズル開口11からインクが吸引されるに従って液体貯留部20からバ
イパス路25を介して記録ヘッド10にインクが供給される。これにより、記録ヘッド1
0の内部のインクが気泡や沈降物と共に吸引部材43に吸引される。なお、バルブ制御手
段55による吸引状態への移行と、キャップ部材41の吐出面への当接は、順番が逆とな
っていてもよく、また、同じタイミングで行ってもよい。
最後に、吸引動作の終了後は、循環状態とし(ステップS10)、印刷可能な状態とす
る。
【0074】
このように本実施形態では、クリーニング温度に加熱されたインクを循環流路に循環さ
せる循環クリーニングを実施して循環流路を流れるインクの流速を高速化できるので、こ
の高速化したインクの流速で、循環流路や記録ヘッド10内の流路に堆積した沈降物を確
実に排出することができる。また、吸引クリーニングでは、インクをクリーニング温度に
加熱した状態で吸引動作を行うため、吸引時のインクの流速が高速化する。これにより、
記録ヘッド内の流路に堆積した沈降物や気泡を確実に排出することができる。
【0075】
〈他の実施形態〉
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したもの
に限定されるものではない。
【0076】
例えば、上述した実施形態1では、循環流路を備えるインクジェット式記録装置Iにお
けるクリーニングについて説明したが、循環しない液体流路を備えるインクジェット式記
録装置についても、液体流路中に堆積した沈降物を排出することが可能である。
【0077】
例えば、液体噴射ヘッドにインクを供給する液体流路を介して接続された液体貯留部に
、液体貯留部に貯留されたインクを加熱する加熱手段を具備するインクジェット式記録装
置の制御装置は、クリーニング時に加熱手段を制御してインクをクリーニング温度に加熱
するようにする。この場合のクリーニングとは、記録ヘッド10からキャップ部材41な
どにインクを吐出させる、いわゆるフラッシングである。制御装置のクリーニング制御手
段は、かかるフラッシングに先立って液体貯留部のインクの温度をクリーニング温度にす
る。これにより、インクの粘度が低下するので、記録ヘッド内に増粘したインクが排出さ
れやすくなり、また、フラッシング時に吐出されるインクの流速が低粘度化により高速に
なるので、記録ヘッド内の流路に堆積した沈降物が排出されやすくなる。
【0078】
また、このような循環しない液体流路を備えるインクジェット式記録装置に、実施形態
1に示したような吸引手段40を設け、吸引クリーニングの際に液体貯留部のインクをク
リーニング温度に加熱するようにしてもよい。かかるインクジェット式記録装置において
も、吸引クリーニングの際に、吸引されるインクの流速が高速になるため、記録ヘッド内
の沈降物をより確実に排出することができる。
【0079】
また、上述したインクジェット式記録装置Iでは、インクジェット式記録ヘッド10が
キャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定され
ず、例えば、インクジェット式記録ヘッド10が固定されて、紙等の記録シートSを副走
査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用すること
ができる。
【0080】
なお、上記各実施形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録
ヘッドを、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが
、本発明は、広く液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射す
る液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例え
ば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等の
カラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(
電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip
製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液
体噴射装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0081】
I インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 10 インクジェット式記録ヘッド
(液体噴射ヘッド)、 10 記録ヘッド、 11 ノズル開口、 20 液体貯留部、
21 供給路、 22 供給管、 23 回収路、 24 回収管、 25 バイパス
路、 26 バイパス管、 30 加圧ポンプ、 31 吸引ポンプ、 32 第1バル
ブ、 33 第2バルブ、 34 第3バルブ、 35 加熱手段、 40 吸引手段、
41 キャップ部材、 42 吸引管、 43 吸引部材、 44 移動手段、 50
制御装置、 54 クリーニング制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
該液体噴射ヘッドに液体を供給する液体流路を介して接続された液体貯留部と、
前記液体貯留部に貯留された液体を加熱する加熱手段とを具備する液体噴射装置の制御
装置であって、
前記液体流路のクリーニング時に、液体を噴射する通常の噴射時における液体の温度よ
りも高くなるように前記加熱手段の温度を制御するクリーニング制御手段を備えることを
特徴とする液体噴射装置の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載する液体噴射装置の制御装置において、
前記液体流路は、前記液体貯留部から前記液体噴射ヘッドに液体を供給する供給路及び
当該液体噴射ヘッドに供給した液体を前記液体貯留部に回収する回収路を有する循環流路
であり、
前記供給路に設けられて液体を圧送する圧送手段と、
前記供給路において前記圧送手段の上流と下流とを連通させるバイパス路と、
前記液体貯留部内の圧力を前記圧送手段による加圧よりも大きな負圧となるようにする
減圧手段と、
前記供給路の前記圧送手段の下流側と前記バイパス路との間に設けられて当該供給路を
開閉する第1バルブと、
前記回収路に設けられて当該回収路を開閉する第2バルブと、
前記バイパス路に設けられて当該バイパス路を開閉する第3バルブと、
前記第1バルブ、第2バルブ及び第3バルブを開閉するバルブ制御手段とをさらに具備
し、
前記バルブ制御手段は、前記循環流路のクリーニング時に、前記第1バルブ、第2バル
ブ及び第3バルブを制御することで、前記供給路及び前記回収路を開口すると共に前記バ
イパス路を閉口する循環状態とし、
前記クリーニング制御手段は、前記バルブ制御手段が循環状態としている間に、液体を
噴射する通常の噴射時における液体の温度よりも高くなるように前記加熱手段の温度を制
御する
ことを特徴とする液体噴射装置の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載する液体噴射装置の制御装置において、
前記ノズル開口が開口する吐出面に当接するように移動自在に設けられたキャップ部材
、及び該キャップ部材の内部を吸引する吸引部材を有し、前記ノズル開口から前記液体噴
射ヘッドの内部の液体を吸引する吸引手段をさらに具備し、
前記バルブ制御手段は、前記吸引部材が吸引動作を行っている間は、前記供給路及び前
記回収路を閉口すると共に前記バイパス路を開口する吸引状態とし、
前記クリーニング制御手段は、前記バルブ制御手段が吸引状態としている間に、液体を
噴射する通常の噴射時における液体の温度よりも高くなるように前記加熱手段の温度を制
御する
ことを特徴とする液体噴射装置の制御装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載する制御装置を具備することを特徴とする液体
噴射装置。
【請求項5】
ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
該液体噴射ヘッドに液体を供給する液体流路を介して接続された液体貯留部と、
前記液体貯留部に貯留された液体を加熱する加熱手段とを具備する液体噴射装置のクリ
ーニング方法であって、
前記液体流路のクリーニング時に、液体を噴射する通常の噴射時における液体の温度よ
りも高くなるように前記加熱手段の温度を制御する
ことを特徴とする液体噴射装置のクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−212872(P2011−212872A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80994(P2010−80994)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】