説明

液体容器

【課題】 液量管等の汚れる全部品を分解組み立て可能にし、それら全部品を洗浄可能にし、さらに部品点数を少なくし生産コストを低減してなる液体容器を提供すること。
【解決手段】 外郭を形成する容器本体と、前記容器本体内に収納される内容器と、該内容器内の液量を表示する液量管と、該液量管の上下端部に取り付けられる液量管上部パッキンおよび液量管下部パッキンとを備えた液体容器において、前記液量管上部パッキンおよび前記液量管下部パッキンが取り付けられる前記液量管の上下端部には、前記液量管の上下端部破損防止またはパッキンの吸着防止のための塗装または印刷を形成し、前記液量管は、前記液量管下部パッキンが前記容器本体側に残った状態で取り外される液体容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、魔法瓶やポット等の液体容器の液量表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体容器として例えば図11に示すものが知られている。図に示す液体容器は、容器本体1およびこの容器本体1の下部に設けられる架台2からなる落下式のもので、その使用形態は、容器本体1内に入れたコーヒー等を架台2に置いたコップに適量注ぎ入れるものである。
【0003】
容器本体1は、胴本体3および蓋体4からなり、胴本体3内には、内外壁2重の真空断熱構造の内容器5が収納される。内容器5は、上方部に大開口、下方部に小開口を有し、内部にコーヒー等が入れられる。
【0004】
コーヒー等を取り出す際には、正面下方部に設けられる弁操作レバー6を下方に押圧することにより容器本体1の下部に設けられる図示しない開閉弁を開放する。すると内容器5内のコーヒー等は、注液口7から注出され、架台2に置いたコップに入れられる。
【0005】
容器本体1の正面には、液量管8が垂直状に取り付けられており、内容器5内のコーヒー等の量を目視することができ、コーヒー等がなくなれば蓋体4を取り外し、内容器5内に新たなコーヒー等を補充することになる。
【0006】
液体容器を使い続けると特に液量管8等に汚れが生じる。そのため、液量管8等を分解して洗浄する必要が生じる。図11に示すものも液量管8等を分解することが予定されている。
【0007】
図12に液量管8回りの拡大図を示す。シール性を高めるために液量管8の上端には、シリコン製の上部パッキン9が、下端には、同じくシリコン製の下部パッキン10が取り付けられる。液量管8の上部パッキン9には、上部接続チューブ11が取り付けられ、さらに上部接続チューブ11には、樹脂製の上部接続パイプ12が取り付けられ、液量管8は、上部接続チューブ11、上部接続パイプ12および上方部の大開口を介して内容器5内に連通される。
【0008】
また、液量管8の下部パッキン10には、下部接続チューブ13が取り付けられ、液量管8は、下部接続チューブ13および下方部の小開口を介して内容器5内に連通される(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
ところで、従来のものは、衛生面を考慮したガラス製の液量管8の上端に上部パッキン9を、下端に下部パッキン10を取り付け、それぞれのパッキン9、10を介して上部接続チューブ11、或いは下部接続チューブ13と連結している。このような形態で長時間使用すると、ガラスの液量管8とシリコン系の上部パッキン9および下部パッキン10との間で癒着が生じ、洗浄のため液量管8から上部パッキン9および下部パッキン10を取り外そうとすると、上部パッキン9および下部パッキン10が破れ再度使用できないという問題が発生する。
【0010】
しかしながら、液量管8等は、汚れるため全部品を分解し、洗浄し、その後容易に組み立てが可能なことが強く望まれ、また、特にアメリカに製品を輸出する場合、アメリカでは汚れる部品である液量管8は、全て分解組み立て可能であることが義務付けられている。そのため、従来のものでは、分解組み立てが可能な要望、さらにはアメリカでの規制に対応できないという問題を有していた。
【0011】
また、液量管8にパッキン、接続チューブおよび接続パイプとの複数の接続部材を介して連結しているため、生産コストが高いという問題をも有していた。
【特許文献1】特開2001−48181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明は、液量管等の汚れる全部品を分解組み立て可能にし、それら全部品を洗浄可能にし、さらに部品点数を少なくし生産コストを低減してなる液体容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本願発明は以下の構成を採用する。
【0014】
請求項1に係る発明では、容器本体と、内容器と、該内容器内の液量を表示する液量管と、該液量管の上下端部に取り付けられる液量管上部パッキンおよび液量管下部パッキンとを備えた液体容器において、前記液量管上部パッキンおよび前記液量管下部パッキンが取り付けられる前記液量管の上下端部には、前記液量管の上下端部破損防止またはパッキンの吸着防止のための塗装または印刷を形成し、前記液量管は、前記液量管下部パッキンが前記容器本体側に残った状態で取り外される構成。
【0015】
そしてこの構成により、液量管と上下部パッキンとの取り外しが長時間行われなかったとしても、液量管と上下部パッキンとの取り外しが容易になり、且つ、液量管を取り外した後、液量管の端部を何かにぶつけたとしてもその端部が破損することはなくなる。また、液量管下部パッキンは、容器本体側に残った状態で取り外されるため、液量管を上方へ引き抜くという簡単な動作で液量管を取り外せる。
【0016】
請求項2に係る発明では、請求項1の構成に加え、前記液量管上部パッキンは、パッキン部およびパイプ部とからなり、前記液量管と分解取り付け可能である構成。そしてこの構成により、部品点数が低減される。
【0017】
請求項3に係る発明では、請求項1または2の構成に加え、前記液量管に透明の液量管保護カバーを設けるとともに、前記液量管下部パッキンの外周にリング状突起を設け、前記液量管に前記液量管保護カバーを設けたとき、前記リング状突起の外周部が前記液量管保護カバーに当接し、前記液量管保護カバーをシールする構成。そしてこの構成により、コーヒー等の給湯時、注液口から出る蒸気、または架台に置かれたコップから出る蒸気が上昇し、液量管保護カバーの下端部に至っても、リング状突起により液量管保護カバーの内面と液量管下部パッキンとの外周面はシール状態にあるため、蒸気が液量管保護カバー内に入り、液量管保護カバーが曇ることはなくなる。
【0018】
請求項4に係る発明では、請求項3の構成に加え、前記液量管上部パッキンおよび前記液量管下部パッキンの前記液量管接触部には、リング状の凸部を複数設ける構成。そしてこの構成により、液量管と液量管上部パッキンおよび液量管下部パッキンとのシール効果を高めるとともに、両部材の着脱が容易になる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明では、液量管上部パッキンおよび液量管下部パッキンが取り付けられる液量管の上下端部に塗装または印刷を施し、液量管を液量管下部パッキンが容器本体側に残った状態で取り外すようにすることにより、液量管と上下部パッキンとの間の癒着を防止することができるため、液量管および上下部パッキン等を取り外し、容易に洗浄することができる。また、液量管の上下端部の強度が高まるため、洗浄時に液量管の端部を何かにぶつけたとしてもその端部の破損を防止することができ、安心して液量管を洗浄することができる。
【0020】
請求項2に係る発明では、液量管上部パッキンをパッキン部およびパイプ部を有するものとして形成し、液量管と分解取り付け可能にすることにより、請求項1に係る発明の効果に加え、液量管関連部品数を減らすことができ、その結果生産コストを低減することができる。
【0021】
請求項3に係る発明では、液量管に透明の液量管保護カバーを設けるとともに、液量管下部パッキンの外周にリング状突起を設け、液量管に液量管保護カバーを設けたとき、リング状突起の外周部が液量管保護カバーに当接し、液量管保護カバーをシールすることにより、請求項1または2に係る発明の効果に加え、コーヒー等の給湯時、発生する蒸気が液量管保護カバーの下端部に至ったとしても、リング状突起により液量管保護カバーはシール状態にされるため、液量管保護カバーの曇りを防止することができる。
【0022】
請求項4に係る発明では、液量管上部パッキンおよび液量管下部パッキンの液量管接触部にリング状の凸部を複数設けることにより、請求項3に係る発明の効果に加え、液量管と液量管上部パッキンおよび液量管下部パッキンとのシール効果を高めることができるとともに、両部材の着脱を容易にすることができる。
【実施例】
【0023】
以下、本願発明の実施例について説明する。図1は本願発明の液体容器の断面図、図2はその正面図、図3はその一部を破断した底面図を示す。液体容器は、図1で示す左側である液量管側を前方側、その反対の右側を後方側として説明する。
【0024】
液体容器Aは、主として外郭を形成する樹脂製の容器本体20と、容器本体20の上部開口を開閉する同じく樹脂製の蓋体21とからなり、容器本体20は、胴部22、肩部23および底部24から形成される。
【0025】
胴部22は、略円筒の部材で、内部には、内外壁2重でその内部が真空状態とされる真空断熱構造の内容器25が収納される。内容器25は、その上部に大径の上部開口26を、その下部に小径の下部開口27を有しており、底部24の中央部に螺合される円盤状の締付部材28により上方へ押圧され、その上端が肩部23の下面に設置されるリング状のシール部材29に当接される形態で容器本体20内に固定される。そして、下部開口27には、内容器25内のコーヒー等を下方へ排出するための通路となる中空状で樹脂製の接続パイプ51が取り付けられる。なお、内容器25は、容器本体20とステンレス等により一体形成されるものでもよい。
【0026】
前記肩部23は、容器本体20の上方に形成される部分であり、本実施例は胴部22と一体に形成しているが、別体で形成してもよい。肩部23の上方には、内容器25の上部開口26を囲む形態で上部空間30が形成されるとともに、この上部空間30には、肩部23に一体形成される連結パイプ31を介して後記の液量管60に連通される。
【0027】
また、肩部23には、前記したようにその下面には、リング状のシール部材29が配置され、その上面には、図2に示すように、取手32が取り付けられる。
【0028】
容器本体20の上部開口26を開閉する蓋体21は、内蓋35および蓋キャップ36からなる。内蓋35は、肩部23の上方に形成される上部空間30を閉蓋するとともに、その中央部に形成されるすり鉢状開口37を介して内容器25内と連通され、このすり鉢状開口37からコーヒー等を内容器25内に入れることもできる。蓋キャップ36は、内蓋35のすり鉢状開口37を閉蓋するもので、内部に発泡スチロール等の断熱材38が挿入される。
【0029】
底部24は、円形の部材で、胴部22の下端内周面に螺合され、前後方向の2本の回り止めビス40で固定される。その中央部には、内面に雌ネジを有する筒状体41が形成され、その筒状体41内には、前述したように内容器25を下方から押圧する円形で且つ中央に孔を有する締付部材28が螺合される。締付部材28の螺合後、締付部材28の中央に開口される孔から、内容器25の下部開口27に接続される接続パイプ51の他端部が下方に延設する。
【0030】
また、底部24の下面には、複数の脚42が垂下される。底部24の下面と脚42の先端との間に形成される下部空間43には、バルブ本体45および各種パイプが設置されるとともに、これら部材は図3で示す略前方後円状で且つ着脱自在の底キャップ46によりカバーされる。
【0031】
バルブ本体45は、図1で示すように弁棒47および弁体48を有し、弁体48の下流側である弁棒47側には、下方に開口した注液口49が形成されるとともに、これらはユニット化される。バルブ本体45の弁体48側には、シリコン製で且つ3つの接続口を有する容器接続部材50の第1の接続口50aが接続される。
【0032】
容器接続部材50の第2の接続口50bは、内容器25の下部開口27に取り付けられる接続パイプ51に接続され、内容器25内のコーヒー等は、常時容器接続部材50内に導入される。
【0033】
また、容器接続部材50の第3の接続口50cには、図3に示すように樹脂製の中継パイプ52が接続され、この中継パイプ52の他端には、シリコン製の中継チューブ53が接続され、さらに中継チューブ53の他端には、樹脂製の下部接続パイプ54が接続され、下部接続パイプ54の他端には、後記の液量管60の下端部に取り付けられる下部パッキン70に接続される。そして、容器接続部材50内は、中継パイプ52、中継チューブ53および下部接続パイプ54を介して常時液量管60に連通される。
【0034】
容器本体20の前方側下方には、底部24の下方に至る略L字状の弁操作レバー55が取り付けられる。弁操作レバー55は、支点56を中心に回動自在に取り付けられ、支点56の反対側にはバルブ本体45の弁棒47に対向する押圧板57が取り付けられる。
【0035】
弁操作レバー55を下方に押圧すると、押圧板57は液量管60と反対側の後方側に向かって回動され、弁棒47を後方側へ押す。すると、弁体48が開放され、容器接続部材50内にあるコーヒー等が弁棒47周りに形成される弁通路58を経て注液口49から排出される。
【0036】
液量表示装置が液体容器Aの正面に垂直状に取り付けられる。この液量表示装置は、液量管60、液量管60をカバーする液量管保護カバー62、液量管保護カバー62を支持する液量管背面パネル63および液量管60の上方に取り付けられる液量管上部キャップ90等からなる。
【0037】
液量管60は、ガラス製で透明な筒状部材であり、その上下端部の表面には、図4に示すように塗装または印刷により形成される癒着防止部材61が形成される。この癒着防止部材61は、通常行われている液量管の液量目盛りを印刷する手法、ガラス表面に透明なフィルムを巻き付ける手法、或いはガラス表面にフッ素塗装を施す手法により行うことができる。液量管60の上下端部に癒着防止部材61を形成することにより、後記のパッキンとの癒着が防止されるとともに、上下端部の強度を高めることができる。なお、液体容器Aが落下式でないものでは、液量管60は液通路を兼ねる。
【0038】
液量管保護カバー62は、樹脂製で透明な部材であり、内部に液量管60を同心状に挿入配置することにより液量管60をカバーする。液量管保護カバー62は、液量管60と略同じ高さで、且つその径は液量管60の3倍弱である。
【0039】
前記液量管背面パネル63は、図5にその正面図を示すように容器本体20と略同じ高さの正面略矩形状の樹脂部材である。その中央には、上下方向に略半円弧状の凹部64が形成され、この半円弧状凹部64内に液量管保護カバー62の略半分が挿入される。
【0040】
また、液量管背面パネル63の下端部には、膨出部65が形成されるとともに、膨出部65には、液量管保護カバー62の外径より若干大きく且つ上下に貫通した円形穴66が設けられ、この円形穴66内に液量管保護カバー62の下端部が挿入される。膨出部65の背面には、図5で破線で示すように、上方から下方に垂下した2本の取付用突起67が一体に形成されており、液量管背面パネル63の取り付け時、この2本の取付用突起67を容器本体20に形成される図示しない嵌合穴に係止する。
【0041】
液量管背面パネル63の上端部には、上方へ突き出たU字状リブ68が一体に形成され、このU字状リブ68に後記の上部パッキン80を位置決め係止する。また、U字状リブ68の下端両サイドにはそれぞれ同じ水平状の肩突起68aが設けられ、さらにU字状リブ68の下方には、ビス穴69が設けられ、液量管背面パネル63の取り付け時、膨出部65に形成される2本の取付用突起67を容器本体20に形成される図示しない嵌合穴に係止するとともに、ビス穴69にビス69aを挿入し、挿入したビス69aを容器本体20に螺合することにより液量管背面パネル63を容器本体20に固定する。
【0042】
液量管60の下端部の取付について説明する。液量管背面パネル63が容器本体20に取り付けられた状態では、容器接続部材50内に中継パイプ52および中継チューブ53を介して連結される下部接続パイプ54の他端部である筒状先端54aは、液量管背面パネル63の下端部に形成される円形穴66の略上端に位置する。
【0043】
この下部接続パイプ54の筒状先端54aには、下部パッキン70が嵌合される。下部パッキン70は、図7に示すように中央部に位置し上下方向に貫通した円筒部71とこの円筒部71の上端から下方に連続する折り曲げ外周部72からなり、円筒部71と折り曲げ外周部72との間にリング状溝73を形成してなるシリコン製の部材である。
【0044】
円筒部71の内面には、複数のリング状の凸部74が形成され、折り曲げ外周部72の下端部の外周面には、リング状突起75が形成される。そして、複数のリング状の凸部74が形成される円筒部71の内部には、液量管60の下端部が嵌合され、リング状溝73内には、下部接続パイプ54の筒状先端54aが嵌合され、リング状突起75が形成される折り曲げ外周部72の外面には、液量管保護カバー62が嵌合される。
【0045】
また、下部パッキン70のリング状溝73と下部接続パイプ54の筒状先端54aとの嵌合度は、下部パッキン70の円筒部71と液量管60との嵌合度より強く設定されている。この設定は、それぞれの部材の嵌合間隔、嵌合時の接触面積、或いは、筒状先端54aの外周面にリング状突部54bを設ける等により設定することができる。
【0046】
そのため、図7の状態で液量管60を引き上げると下部パッキン70は、下部接続パイプ54に嵌合したままの状態で液量管60のみが引き上げられる。なお、液量管保護カバー62が液量管背面パネル63の下端部に形成される円形穴66に嵌合された状態では、下部パッキン70の外周に形成されるリング状のリング状突起75が液量管保護カバー62の内面に当接するため、矢印で示す方向から上昇してくる蒸気は液量管保護カバー62内に侵入することはないため、液量管保護カバー62内が曇り液量表示が見えにくくなることはなくなる。
【0047】
液量管背面パネル63を容器本体20の正面に取り付けると、液量管保護カバー62および液量管60は、容器本体20の前方側に飛び出る形態となり、液量管60の視認性が高まる。また、液量管背面パネル63を容器本体20の正面に取り付けると、液量管背面パネル63の円形穴66の下方に、その略半分の長さにわたり容器本体20に一体に形成される突起体76が位置し、液量管保護カバー62を液量管背面パネル63の下端部に形成される円形穴66に嵌合すると、突起体76の上に液量管保護カバー62の下端が載置され、液量管保護カバー62が液量管背面パネル63に固定される。
【0048】
液量管60の上端部には、上部パッキン80が取り付けられる。上部パッキン80は、図8に示すようにパイプ部81およびパッキン部82からなる一体成形で形成されるシリコン製の部材である。パイプ部81は、L字状を呈し、その先端には、図9に示すように台形状フランジ83が形成される。
【0049】
パッキン部82は、中心部に通路84を、先端外周部に段部85を有し、通路84の内面には、下部パッキン70の内面に形成される凸部74と同様の複数のリング状の凸部86が形成される。そして、通路84内には、液量管60の上端の癒着防止部材61が液密に嵌合され、段部85には、液量管保護カバー62の上端部が嵌合される。
【0050】
液量管60が取り付けられる肩部23の上面には、正面視および平面視コ字状の凹陥部87が形成され、その正面の垂直壁面には、逆ハ字状の取付部材88が形成されるとともに、逆ハ字状の取付部材88の中央には、図10に示すように連結パイプ31が突出して形成される。さらに凹陥部87の両側面の垂直壁面には、それぞれ水平の上レール89が前後方向に形成される。
【0051】
図10は上部パッキン80を取り外した状態の凹陥部87を示し、図9は上部パッキン80を取り付けた状態の凹陥部87を示す。なお、後記の液量管上部キャップ90に取り付けられるキャップバネ96を説明の便宜上示している。
【0052】
上部パッキン80は、まずパッキン部82に液量管60および液量管保護カバー62の上端部を嵌合し、次いでそのパイプ部81の水平部下端を液量管背面パネル63の上端部に形成されるU字状リブ68に嵌合載置し、そのパイプ部81の先端開口を逆ハ字状の取付部材88の中央に突出する連結パイプ31に連結し、パイプ部81の先端に左右方向に張り出した台形状フランジ83を逆ハ字状の取付部材88に嵌合することにより取り付ける。
【0053】
このように、上部パッキン80をU字状リブ68および逆ハ字状の取付部材88を用いて取り付けることにより、上部パッキン80が変形することなく且つ簡単に取り付けることができる。さらには上部パッキン80を、一体成形したパイプ部81およびパッキン部82から形成することにより、部品点数を少なくでき結果的に生産コストを低減することができる。
【0054】
図6は、凹陥部87をカバーする液量管上部キャップ90を斜め下から見た斜視図である。液量管上部キャップ90は、その前方側には下方および後方が開放された湾曲状垂直壁91が垂下され、その後方側には前後方向に延設される2個の平行な、且つ湾曲状垂直壁91より上下方向の長さの短い平板状垂直壁92が垂下される断面略L字状で、平面視略前方後円状の樹脂部材である。
【0055】
2個の平行な平板状垂直壁92の外側面には、略中央部に下レール93が、上端部に上部フランジ94がそれぞれ同形に形成される。また、2個の平行な平板状垂直壁92の内側面には、先端に下方に突き出た係止片95を有するU字状のキャップばね96が取り付けられる。
【0056】
液量管上部キャップ90の取付は次のように行われる。液量管上部キャップ90の上部フランジ94の下面を凹陥部87の上端部に形成される段部87aに当接させ、液量管上部キャップ90を水平状態にしたまま後方側へ押し込む。すると、平板状垂直壁92の外側面に形成した下レール93が凹陥部87に形成される上レール89の下側に入り込む。
【0057】
続いて液量管上部キャップ90を後方側へ押し込むと液量管上部キャップ90は、凹陥部87上端部の段部87aと上レール89の下面とで狭持される形態となり、凹陥部87内に液量管上部キャップ90を押し込んだ状態では、液量管上部キャップ90の上下方向の動きは規制される。
【0058】
また、凹陥部87内に液量管上部キャップ90を押し込んだときの終了位置より少し手前の位置になると、液量管上部キャップ90の2個の平行な平板状垂直壁92の内側面に取り付けられるU字状のキャップばね96の係止片95が、液量管背面パネル63の上端部に形成される肩突起68aに当接する。かまわず液量管上部キャップ90を押し込むと、U字状のキャップばね96の係止片95は、肩突起68aを乗り越え反対側に移動し、液量管上部キャップ90の押し込みは終了する。この状態になると、液量管上部キャップ90は、力を入れて前方側に引き出さない限り前方側への動きが肩突起68aにより規制される。
【0059】
液量管上部キャップ90が押し込まれた状態では、湾曲状垂直壁91の部分で上部パッキン80のパッキン部82の上方がカバーされ、平板状垂直壁92の箇所で上部パッキン80のパイプ部81の上方がカバーされる。そして、液量管上部キャップ90が押し込まれた状態では、湾曲状垂直壁91の下端部97は、液量管背面パネル63をビス穴69を介して容器本体20に取り付けるビス69aより下方に位置する。その結果、ビス69aが隠れ見栄えが良くなるとともに、湾曲状垂直壁91により上部パッキン80の前方への移動が規制される。
【0060】
液量管の分解について説明する。まず、液量管上部キャップ90を力を入れて前方側に引き出す。すると、キャップばね96の係止片95は、肩突起68aを乗り越えるため、そのまま液量管上部キャップ90を前方側に引き出せば、液量管上部キャップ90を取り外すことができる。すると、図9でキャップばね96がない状態になる。
【0061】
次いで、上部パッキン80を掴み上方へ引き上げる。この場合、液量管保護カバー62の上端部とパッキン部82の段部85との嵌合は緩くされているため、液量管60の下端部と下部パッキン70との嵌合が外れ、上部パッキン80に液量管60が嵌合したまま引き上げられるか、或いは液量管60の上端部と上部パッキン80との嵌合が外れ、下部パッキン70に液量管60が嵌合したまま引き上げられるかである。
【0062】
なお、上部パッキン80の引き上げ時に液量管60をどちらに連動させるかは、液量管60と上部パッキン80或いは下部パッキン70との嵌合度を予め決めておくことにより、いずれの状態をも選択可能である。しかしながら、請求項1に記載されるように、下部パッキン70に液量管60が嵌合したまま上部パッキン80がのみ引き上げられる方が、引き上げ時に液量管60が液量管保護カバー62に当たり、液量管60が破損する弊害がなくなる。
【0063】
上部パッキン80のみが引き上げられた状態を図10に示す。上部パッキン80を取り外した後、液量管保護カバー62および液量管60を順次引き上げて取り外す。液量管60から下部パッキン70或いは上部パッキン80を取り外す際、液量管60の上下端部には、それぞれ癒着防止部材61が設けられているため、その取り外しは下部パッキン70および上部パッキン80を痛めることなく容易に行うことができる。
【0064】
次いで、下部接続パイプ54から下部パッキン70を取り外し、さらに底部24の下面に取り付けられる底キャップ46を取り外し、下部接続パイプ54、中継パイプ52、中継チューブ53、容器接続部材50およびバルブ本体45を取り外し、それら部材を洗浄する。洗浄後は取り外した逆の順序で組み立てることになる。
【0065】
本願発明は、上記各実施の態様の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本願発明の液体容器の断面図
【図2】本願発明の液体容器の正面図
【図3】本願発明の液体容器の一部を破断した底面図
【図4】本願発明の液量管の正面図
【図5】本願発明の液量管背面パネルの正面図
【図6】本願発明の液量管上部キャップの斜視図
【図7】本願発明の液量管の下部パッキンの断面図
【図8】本願発明の液量管の上部パッキンの断面図
【図9】本願発明の液量管上部キャップを取り外し、キャップばねを残した状態を示す斜視図
【図10】本願発明の液量管上部キャップおよび上部パッキンを取り外した状態を示す斜視図
【図11】従来の液体容器を架台に載置した状態を示す一部断面図
【図12】従来の液量管等の取り付け状態を示す拡大断面図
【符号の説明】
【0067】
A・・・液体容器 20・・・容器本体
21・・・蓋体 22・・・胴部
23・・・肩部 24・・・底部
25・・・内容器 26・・・上部開口
27・・・下部開口 28・・・締付部材
29・・・シール部材 30・・・上部空間
31・・・連結パイプ 32・・・取手
35・・・内蓋 36・・・蓋キャップ
37・・・すり鉢状開口 38・・・断熱材
40・・・回り止めビス 41・・・筒状体
42・・・脚 43・・・下部空間
45・・・バルブ本体 46・・・底キャップ
47・・・弁棒 48・・・弁体
49・・・注液口 50・・・容器接続部材
50a,50b,50c・・・接続口 51・・・接続パイプ
52・・・中継パイプ 53・・・中継チューブ
54・・・下部接続パイプ 54a・・・筒状先端
54b・・・リング状突部 55・・・弁操作レバー
56・・・支点 57・・・押圧板
58・・・弁通路 60・・・液量管
61・・・癒着防止部材 62・・・液量管保護カバー
63・・・液量管背面パネル 64・・・半円弧状凹部
64・・・凹部 65・・・膨出部
66・・・円形穴 67・・・取付用突起
68・・・U字状リブ 68a・・・肩突起
69・・・ビス穴 69a・・・ビス
70・・・下部パッキン 71・・・円筒部
72・・・折り曲げ外周部 73・・・リング状溝
74・・・凸部 75・・・リング状突起
76・・・突起体 80・・・上部パッキン
81・・・パイプ部 82・・・パッキン部
83・・・台形状フランジ 84・・・通路
85・・・段部 86・・・凸部
87・・・凹陥部 87a・・・段部
88・・・逆ハ字状取付部材 89・・・上レール
90・・・液量管上部キャップ 91・・・湾曲状垂直壁
92・・・平板状垂直壁 93・・・下レール
94・・・上部フランジ 95・・・係止片
96・・・キャップばね 97・・・下端部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、内容器と、該内容器内の液量を表示する液量管と、該液量管の上下端部に取り付けられる液量管上部パッキンおよび液量管下部パッキンとを備えた液体容器において、
前記液量管上部パッキンおよび前記液量管下部パッキンが取り付けられる前記液量管の上下端部には、前記液量管の上下端部破損防止またはパッキンの吸着防止のための塗装または印刷を形成し、
前記液量管は、前記液量管下部パッキンが前記容器本体側に残った状態で取り外されることを特徴とする液体容器。
【請求項2】
前記液量管上部パッキンは、パッキン部およびパイプ部とからなり、前記液量管と分解取り付け可能であることを特徴とする請求項1記載の液体容器。
【請求項3】
前記液量管に透明の液量管保護カバーを設けるとともに、前記液量管下部パッキンの外周にリング状突起を設け、前記液量管に前記液量管保護カバーを設けたとき、前記リング状突起の外周部が前記液量管保護カバーに当接し、前記液量管保護カバーをシールすることを特徴とする請求項1または2記載の液体容器。
【請求項4】
前記液量管上部パッキンおよび前記液量管下部パッキンの前記液量管接触部には、リング状の凸部を複数設けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一記載の液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−181128(P2006−181128A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378474(P2004−378474)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】