説明

液体容器

【課題】 常に正常に作動し、長期使用にも十分耐えることができると共に液温及び液量を同時に測定できるために、液温及び液量の表示を同時に行うことができて使い勝手の良いものである。
【解決手段】 液温・液量検知ユニット6は、メイン制御基板24のマイクロコンピュータを介して内容器2内の液温を検知、予め決められた温度基準以上にのみ、その後の液温検知手段22、液量検知手段23へと並行して通電する通電制御手段22aを設け、この通電制御手段22a、液温検知手段22の感温素子31に、及び液量検知手段23の−、+の電極子34、35、35間にそれぞれパルス電圧発生器25からのパルス電圧を印加して、それぞれ通電制御手段22a、液温検知手段22及び液量検知手段23を間欠的に検知すると共に、並行して検知される液温検知手段22、液量検知手段23に基づき液体容器内の液温と液量を同時に表示する構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容器内の液量と液温とを検知する液体容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、外側から液面を直接目視できない内容器内の液量を知るには、例えば上端開口、下端細口とした真空二重瓶構造の内容器を設け、この内容器の前面に揚水パイプを立設し、この揚水パイプ下端と内容器の下端細口とを連通し、この揚水パイプを液体容器正面より目視可能に設け、この揚水パイプの液面を通して内容器内の液量を確認できるようにした構造の液体容器が存在する。
【0003】
しかしながら、このような従来の液体容器においては、内容器と連通して内容器前部に立設した揚水パイプの存在にて内容器内の液面が確認できるにすぎないために、内容器特に真空二重瓶等の上端開口しかなく、内容器と連通する揚水パイプの存在がない構造の液体容器としては、内容器内の液面即ち液量を全く知ることができないという問題点があった。
【0004】
しかも、液面即ち液量と同様に内容器内特に真空二重瓶内の液温が所望の温度に保持されているかを知ることも全くできないという問題点があった。
【0005】
そこで、本出願人は、内容器内に液量検知手段と液温検知手段とを備えた検知ユニットを装着し、液体容器の肩部材に空間部を設け、この空間部内に電源とメイン制御基板、液量、液温を表示する表示板を配置するようにした液体容器を発明し、既に特願2007−62724号として出願している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このような液体容器では、常に、液温検知手段に通電して作動し、又、液量検知手段にも常に通電して作動しているので、液体容器内のコーヒー等の抽出液が電気分解され、この電気分解が進むと各電極子等の周りのコーヒー等の抽出液がイオン分解されて次第に電流が流れなくなり、液温及び液量の検知ができなくなる。更に、各電極子等が酸化されることにより各電極子等が変質、変色して性能に悪影響を及ぼし、長期使用に耐えないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、液体を収容する内容器2と、この内容器の上端開口を開閉する蓋体5とを設け、感温素子31により内容器内の液温を検知する液温検知手段22と、この検知された液温を表示する液温表示手段26と、−、+の電極子34、35により内容器内の液量を検知する液量検知手段23と、この検知された液量を表示する液量表示手段27と、これらの各手段を制御するメイン制御基板24と、このメイン制御基板の動力源である電源28とを備えた液温・液量検知ユニット6を設けてなる液体容器1に於いて、上記液温・液量検知ユニット6は、メイン制御基板24のマイクロコンピュータを介して内容器2内の液温を検知、予め決められた温度基準以上にのみ、その後の液温検知手段22、液量検知手段23へと並行して通電する通電制御手段22aを設け、この通電制御手段22a、液温検知手段22の感温素子31に、及び液量検知手段23の−、+の電極子34、35、35間にそれぞれパルス電圧発生器25からのパルス電圧を印加して、それぞれ通電制御手段22a、液温検知手段22及び液量検知手段23を間欠的に検知すると共に、並行して検知される液温検知手段22、液量検知手段23に基づき液体容器内の液温と液量を同時に表示する構成としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、従来の問題点を解決したものであって、常に正常に作動し、長期使用にも十分耐えることができると共に液温及び液量を同時に測定できるために、液温及び液量の表示を同時に行うことができて使い勝手の良い液体容器を提供するにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
液体容器1は、図1乃至図2に示すように、卓上型のポットを示すものであって、液体容器本体を兼ねる内容器2の上端後側に把手3を一体的に備えた肩部材4を装着し、肩部材4の上端中央で内容器2の上端開口を開閉する蓋体5を着脱自在に装着し、内容器内の液温、液量を検知、表示する液温・液量検知ユニット6とから構成している。
【0010】
液体容器本体を兼ねる内容器2は、図2に示すように、ステンレス等の金属製材料により内壁10,外壁11間を真空引きした真空二重瓶であって、底部を同質材料の底壁20にて覆っている。
この内容器2は、上端開口以外の外側より内容器内の液面を目視することができない構造のものである。
【0011】
内容器2は、図2に示すように、円形状の上端開口を形成する周壁を上方に延ばした内壁10と、内壁10の周りを囲み上端に段部を形成して、その先端を内壁の上端開口を形成する周壁の上部に重ね合わせて溶着した外壁11とを設け、外壁11の段部外側に肩部材用のネジを刻設している。
【0012】
肩部材4は、図2に示すように、内側に内容器2の肩部材用のネジに螺着する螺子部を備えた二重壁の肩部12と、肩部12の上端より下方中央に向けて延びた中空の受部13と、受部13の前方で二重壁を切り欠いて外方に延び受部中央と連通した注ぎ口14と、受部13の後方で二重壁の肩部12の後方に大きく外方に延びた把手3とを一体的に設けている。
【0013】
肩部材4の受部13は、中央中空を形成する周壁に後述の蓋体5を螺着する雌ネジを刻設している。この肩部材4の受部13と二重壁の肩部12との把手3に近い個所に後述の液温・液量検知ユニット6を載置する切欠部を設けている。把手3の下端は、底壁20に固定されている。
【0014】
蓋体5は、図2に示すように、肩部材4の受部13の蓋体用の雌ネジに螺着する雄ネジを備えた下蓋15と、下蓋の上端を閉鎖する上蓋16と、弁体17を上蓋外側より上下動するレバー18とを備え、レバー18の操作により弁体17周りを開放して内容器2内の液体を液通路19を介して注ぎ口14より外部へ注出する構造としている。
【0015】
液温・液量検知ユニット6は、内容器内の液温を検知する液温検知手段22と、内容器内の液量を検知する液量検知手段23と、液温検知手段22及び液量検知手段23の起動前の通電制御手段22aと、この通電制御手段22a、液温検知手段21及び液量検知手段23にメイン制御基板24のマイクロコンピュータを介してパルス電圧を印加するパルス電圧発生器25と、液温検知手段22にて検知された液温を複数の段階に表示する液温表示手段26と、液量検知手段23にて検知された液量を複数の段階に表示する液量表示手段27と、これら各手段22,22a、23,26,27及びパルス電圧発生器25をマイクロコンピュータにて制御するメイン制御基板24と、メイン制御基板の動力源である電池や蓄電池等の電源28と、液温表示手段26及び液量表示手段27の各表示を液晶にて示す表示板29と、各手段22,22a、23,26,27及びパルス電圧発生器25及びメイン制御基板24、電源28、並びに表示板29を収納するユニット外装体25とを備えている。
【0016】
液温・液量検知ユニット6のパルス電圧発生器25は、電源28からの直流電圧を一旦メイン制御基板24のマイクロコンピュータを介してパルス電圧に変換して、一定時間毎で間欠的にパルス電圧を通電制御手段22a、液温検知手段22及び液量検知手段23へとマイクロコンピュータの介在により供給している。これにより通電制御手段22a、液温検知手段22及び液量検知手段23では、パルス電圧が間欠的に流れる間だけ検知することができる。
【0017】
液温・液量検知ユニット6は、図3に示すように、スタートより液温検知手段22及び液量検知手段23を起動する前に通電制御手段22aを経ており、この通電制御手段22aでは、パルス電圧発生器25からのパルス電圧を印加して一定時間毎で間欠的に測定し、その測定した静電容量を温度に変換して、予め飲み頃の温度を基準として決定した温度基準を設け、この温度基準に基づき、一定時間毎に測定された温度が高温であれば、液温検知手段22及び液量検知手段23へと導き、測定された温度が低温であれば、液温検知手段22及び液量検知手段23へと導くことはなくなる。この通電制御手段22aにより間欠的に温度を測定することで、測定に要する電力消費を削減することができると共にスタート時よりスイッチの存在を必要とすることがない。
【0018】
通電制御手段22aは、液温検知手段22と全く相違するものではなく、液温検知手段22の操作機構の一環として操作され、その構成要素も又感温素子31による液温検知手段22の構成要素そのものであるために、特に液温検知手段22と別個の感温素子を備え、別個の操作機構に伴って別個の操作を行う必要もない。
【0019】
液温検知手段22は、サーミスタ、熱電対等の感温素子31を有する温度感知器で、感温素子31の素子面がパルス電圧発生器25からのパルス電圧を印加して内容器内の液体と接触し、その静電容量を検知した後、この静電容量を液温変換手段32に通し、液温として計測される。この感温素子31は、後述のユニット外装体25の垂下筒体部内の電極基板33下壁に配置され、その配線が電極基板33内両端を通りメイン制御基板24へと通じ、計測された液温を表示板29にて温度基準以上の温度のみ段階的に表示している。
【0020】
液量検知手段23は、後述のユニット外装体25の垂下筒体部内の電極基板33外壁で感温素子31の上方に−の電極子34を設け、電極基板33外壁で上下所定の間隔を隔てて配設した複数の+の電極子35,35を設け、内容器2内の液体に浸かった−の電極子34と上下に配設した液体に浸かった最上部の+の電極子35間にパルス電圧発生器25からのパルス電圧を印加してその静電容量を検知した後、メイン制御基板24を通じてこの静電容量を液量変換手段36に通し、液量の水位として計測され、表示板29にて液量を段階的に表示している。
【0021】
この+、−の電極子35,34の配線は、ユニット外装体25の垂下筒体部内の電極基板33よりメイン制御基板24へと通じているが、この電極基板33は、各+、−の電極子35,35,34の先端部を除いて、この各+、−の電極子35,35,34と共にユニット外装体25の垂下筒体部内にインサート成形されている。
【0022】
液量検知手段23の検知測定原理は、一般に純水であれば絶縁性であり、水に茶やコーヒー、その他等の不純物が含有されると絶縁性が失われて、わずかに導電性となることに鑑みて、水が−の電極子と+の電極子の両方に触れると、その電極間にはパルス電圧発生器25からのパルス電圧が印加され、+、−の電極間の静電容量を検知し、メイン制御基板24を通じてこの静電容量を液量変換手段36に通し、液量の水位として計測され、内容器内の液量を知ることができる。
【0023】
このように通電制御手段22aにて間欠的に温度を測定するために、測定のための電力消費を極力抑えることができると共に、予め飲み頃の温度を基準値として決定しておき、この温度基準より低温の場合は、温度の表示も液量の測定、表示も行わず、不要なときに無駄に電力を使わなくて電池の消耗を抑え、電池寿命をながくすることとなる。又使用者も表示が消えている時には、コーヒーや茶等を飲む条件ではないと判断でき、更に温度基準よりも高温の場合は、段階的に液温表示を示し、又段階的に液量表示も示されることとなる。
【0024】
しかも一定時間毎の温度測定により、自動的に判断されるので、液体容器の外側から内容器内の液温、液量を知りたいときに、電源のスイッチや表示用のスイッチが存在すると入れ忘れ、消し忘れ等で使い勝手の良くない点が見受けられるが、スイッチを全く必要としないのでその心配も全くない。
【0025】
メイン制御基板24は、通電制御手段22a、液温検知手段22、液量検知手段23、パルス電圧発生器25、液温表示手段26、液量表示手段27、液温変換手段32、液量変換手段36及び液温、液量を表示する表示板29の電気系統をマイクロコンピュータの電子回路機構にて操作し、各手段等からのデータを処理して、表示板29の表面に液温と液量とを表示するようにしている。この表示板29には、LCD表示が利用されている。
【0026】
ユニット外装体30は、内容器2内に垂下する垂下筒体部と、把手3の近くで肩部12より突出した制御体部と、この垂下筒体部と制御体部とを連結し、受部13の切欠部に載置する連結空洞部とを一体的に設けている。
ユニット外装体30の垂下筒体部には、上述のように、外壁に複数の電極子35,35と、下壁に電極子34と温度感知器31とを備えた電極基板33を設け、この電極基板33を通る各配線が垂下筒体部内を通ってメイン制御基板24へと通じている。
【0027】
次ぎに、液量及び液温に対する制御フローについて図3に基づいて説明する。
スタートと同時に通電制御手段22aにより通電し、温度測定されて温度基準に照らし合わされ、基準より低いと通電制御手段22aが次の液温検知手段22及び液温表示手段26並びに液量検知手段23及び液量表示手段27を起動させない。基準より高いと通電制御手段22aが次の液温検知手段22及び液温表示手段26並びに液量検知手段23及び液量表示手段27を起動する。
【0028】
起動した液温検知手段22と液温表示手段23により例えば、59℃以下であれば基準より低いとして温度計のシルエットが消灯し、スタート時点へ戻り、60℃以上であれば基準より高いと判断され次の液温の基準に照らし合わされる。64℃以下となれば点灯と同時にぬるいの表示を示し、64℃以上であれば基準より高いと判断され次の液温の基準に照らし合わされる。この工程を順次繰り返し行い、温度計のシルエットとして表示されることとなり、液体容器内の液温の低下に伴い各基準へと戻る。
【0029】
又同様に、液量検知手段21及び液量表示手段16により例えば、100cc以下であれば
基準より低いとして液体容器のシルエットが消灯し、スタート時点へ戻り、100cc以上
であれば基準より高いと判断され次の水量の基準に照らし合わされる。基準190cc以下
であれば基準より低いとして液体容器のシルエットに表示され、190cc以上であれば基
準より高いと判断され次の水量の基準に照らし合わされる。この工程を順次繰り返し行い、液体容器のシルエットとして表示されることとなり、液体容器内の水の利用に伴い各基準へと戻る。このようにして表示板29の表面に液温と液量とを表示するようにしている。
【0030】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれら実施例構造のみに限定されるものではなく、例えば内容器を外装ケースで囲んだ卓上型魔法瓶のように本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、本発明にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明実施例の斜視図。
【図2】本発明実施例のA−A縦断面図。
【図3】本発明他実施例の制御フロー図。
【図4】本発明他実施例の回路ブロック図。
【符号の説明】
【0032】
1…液体容器
2…内容器
5…蓋体
6…液温・液量検知ユニット
22…液温検知手段
22a…通電制御手段
23…液量検知手段
24…メイン制御基板
25…パルス電圧発生器
26…液温表示手段
27…液量表示手段
28…電源
29…表示板
30…ユニット外装体
31…感温素子
32…液温変換手段
33…電極基板
34…−の電極子
35,35…+の電極子
36…液量変換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する内容器(2)と、この内容器の上端開口を開閉する蓋体(5)とを設け、感温素子(31)により内容器内の液温を検知する液温検知手段(22)と、この検知された液温を表示する液温表示手段(26)と、−、+の電極子(34)、(35)により内容器内の液量を検知する液量検知手段(23)と、この検知された液量を表示する液量表示手段(27)と、これらの各手段を制御するメイン制御基板(24)と、このメイン制御基板の動力源である電源(28)とを備えた液温・液量検知ユニット(6)を設けてなる液体容器(1)に於いて、上記液温・液量検知ユニット(6)は、メイン制御基板(24)のマイクロコンピュータを介して内容器(2)内の液温を検知、予め決められた温度基準以上にのみ、その後の液温検知手段(22)、液量検知手段(23)へと並行して通電する通電制御手段(22a)を設け、この通電制御手段(22a)、液温検知手段(22)の感温素子(31)に、及び液量検知手段(23)の−、+の電極子(34)、(35)、(35)間にそれぞれパルス電圧発生器(25)からのパルス電圧を印加して、それぞれ通電制御手段(22a)、液温検知手段(22)及び液量検知手段(23)を間欠的に検知すると共に、並行して検知される液温検知手段(22)、液量検知手段(23)に基づき液体容器内の液温と液量を同時に表示することを特徴とした液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−262976(P2009−262976A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116585(P2008−116585)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000104032)オルゴ株式会社 (22)
【Fターム(参考)】