説明

液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及びキャリア除去方法

【課題】被印刷物に対するトナーの定着性を向上させ、より高品質の印刷物を得ることができるようにした、液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及びキャリア除去方法を提供する。
【解決手段】帯電した粒子状のトナーが液体のキャリア中に分散されている液体トナーを静電潜像の形成された感光体上に転写することで現像を行う現像ユニットと、現像ユニット上に転写された液体トナーが周面に転写され液体トナー層を形成するとともに転写位置において被印刷物に対して液体トナーを転写する中間転写体2と、液体トナーが転写された被印刷物にトナーを定着させるトナー定着手段と、中間転写体2の転写位置よりも上流側において周面に転写された液体トナー層の上層部に接触して上層部を掻き取ることにより中間転写体2の周面において余剰なキャリアを除去するキャリア除去手段3とを有して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体のキャリアに分散したトナーを用いて印刷を行う液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及びキャリア除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、帯電した熱可塑性樹脂及び色素(顔料等)によって構成されたトナーが液体現像剤(キャリア)内に分散された液体トナーを用いて感光体に形成された静電潜像を現像し、液体トナーを被印刷物の表面に転写し、転写された液体トナー中のトナーを被印刷物に定着させることにより印刷を行う印刷機(以下、液体現像電子印刷機という)が実用化されている。
【0003】
液体現像電子印刷機は、液体トナーを用いない乾式の電子写真装置と比較して、粒子径が大幅に小さいトナーであってもトナーの飛散などの不具合が生じることなく良好に用いることができるという利点がある。粒子径が小さいトナーを用いて印刷を行うことにより、色調品質が向上することができるのに加え、被印刷物(例えば印刷用紙)の質感を反映させることができる等、印刷品質が大幅に向上するという利点がある。
【0004】
このような液体現像電子印刷機は、一般に、一対の定着ローラにより被印刷物に転写された液体トナーを加熱及び加圧することで、被印刷物上の液体トナー中のキャリアを蒸発させるとともにトナーを溶融させて被印刷物の表面に定着(固定)させるトナー定着部を有している(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の技術のように一対の定着ローラにより液体トナーを加熱及び加圧するように構成すれば、被印刷物上において加熱により液体トナー中のトナーを溶融させた上で溶融したトナーを被印刷物に押し付けることができるので、トナーを定着させるとともに被印刷物表面のトナーの定着面が均されて良好な印刷面を得ることができる。
【特許文献1】特開2007−171529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液体現像電子印刷機において良好にトナー画像を形成するためには、当然ながら、液体トナー中のトナーがキャリアに溶解しない性質であることが必要である。
ところが、液体現像電子印刷機においてトナーを被印刷物に定着させる際には、トナーがキャリアに溶解しない性質であることが、トナー定着部においてトナーの被印刷物に対する定着性を低下させる一因となっていることを本発明者らは見出した。
【0006】
即ち、トナー定着部において加熱により溶融したトナーとキャリアとの相溶性が非常に悪いため、被印刷物上のキャリアと溶融したトナーとが分離してしまい、トナーが被印刷物に浸透及び定着することが阻害されるのである。
また、トナー定着部では図8に示すように一対の定着ローラ101,102により形成されるニップ部Nにおいて被印刷物100を加熱及び加圧するため、ニップ部Nにおいて被印刷物が略密閉状態となり、加熱によるキャリアの蒸発が十分に促進されないことも被印刷物に対するトナーの定着性の低下の要因となっている。
【0007】
このように、トナーの定着性が低下すると、印刷された絵柄を形成するトナーが被印刷物から剥離し易くなる等、印刷品質が低下してしまう。
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、被印刷物に対するトナーの定着性を向上させ、より高品質の印刷物を得ることができるようにした、液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及びキャリア除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明の液体現像電子印刷機のキャリア除去装置(請求項1)は、帯電した粒子状のトナーが液体のキャリア中に分散されている液体トナーを静電潜像の形成された感光体上に転写することで現像を行う現像ユニットと、上記現像ユニット上に転写された上記液体トナーが周面に転写され液体トナー層を形成するとともに転写位置において被印刷物に対して上記液体トナーを転写する中間転写体と、上記液体トナーが転写された上記被印刷物に上記トナーを定着させるトナー定着手段と、上記中間転写体の上記転写位置よりも上流側において周面に転写された上記液体トナー層の上層部に接触して上記上層部を掻き取ることにより上記中間転写体の周面において余剰な上記キャリアを除去するキャリア除去手段と、を有していることを特徴としている。
【0009】
即ち、本発明者らは中間転写体の周面に転写された液体トナー層の上層部(中間転写体の周面よりも遠い部分)にはトナーがほとんど存在せず、反対に液体トナー層の下層部(中間転写体の周面に近い部分)にはトナーが静電吸着により蓄積しているため、中間転写体の周面上の液体トナー層の上層部のみを除去することにより、被印刷物に転写される前に液体トナー中の余剰なキャリアのみを除去することができることを見出した。
【0010】
また、上記キャリア除去手段は、回転駆動する円筒状の駆動ローラと、上記駆動ローラにより駆動されるように上記駆動ローラの周面にたるみ部分を有して巻回され、上記たるみ部分が上記液体トナー層に所定の接触圧で接するように剛性及び上記たるみ量が予め設定されたキャリア除去ベルトと、上記キャリア除去ベルトに接触し上記キャリア除去ベルトに付着した上記キャリアを除去するベルトクリーナーと、上記ベルトクリーナーにより除去された上記キャリアを回収する余剰キャリア回収手段と、を有していることが好ましい(請求項2)。
【0011】
これにより、キャリア除去ベルトの剛性及びたるみ量が中間転写体上の液体トナー層に所定の接触圧で接するように設定されているので、ローラの偏芯や装置の施工公差並びに振動等により駆動ロールと中間転写体との距離に変動が生じる場合であっても、キャリア除去ベルトのたるみ部分の弾性により上記の距離の変動を吸収することができ、たるみ部分が液体トナー層に略一定の圧力で接触して液体トナー層の上層部分のキャリアのみを高精度に除去することができる。
【0012】
また、上記キャリア除去ベルトは、導電性を有する物質により構成され、上記トナーと同極性のバイアス電圧が印可されていることが好ましい(請求項3)。
キャリア除去ベルトに印可されたトナーと同極性のバイアス電圧により液体トナー層中のトナーが中間転写体の周面側(即ち下層側)に押し付けられるので、より精度良く液体トナー層中の余分なキャリアのみを除去することができる。
【0013】
また、上記キャリア除去ベルトは、電鋳加工により形成された金属ベルトであることが好ましい(請求項4)。
電鋳加工により、比較的容易にキャリア除去ベルトの形状を高精度に形成することができ、より精度良く液体トナー層中の余分なキャリアのみを安定して除去することができる。
【0014】
また、上記ベルトクリーナーは、上記キャリア除去ベルト周面に先端部分が摺接し、上記キャリア除去ベルト周面に付着したキャリアを掻きおとして除去するスクレパーブレードを有していることが好ましい(請求項5)。
これにより、キャリア除去ベルト周面に付着したキャリアをキャリア除去ベルトから効果的に除去することができる。
【0015】
また、上記ベルトクリーナーは、上記駆動ローラによって上記キャリア除去ベルトを挟むように上記キャリア除去ベルトに当接し、上記駆動ローラとの接触部分における周面の進行方向が上記駆動ローラの周面の進行方向と反対となる向きに回転するスクイズロールと、上記接触部分よりも上記スクイズロールの回転方向下流側において上記スクイズロール周面に先端部分が摺接し、上記スクイズロール周面に付着したキャリアを掻きおとして除去するブレードとを有していることが好ましい(請求項6)。
【0016】
これにより、キャリア除去ベルト周面に付着したキャリアをキャリア除去ベルトからより効率よく除去することができる。また、ブレードが直接キャリア除去ベルトに摺接することがないため、キャリア除去ベルトの摩耗を抑制することができる。
また、上記キャリア除去ベルトの上記たるみ部分と上記中間転写体の周面の上記液体トナー層と接する位置が、上記中間転写体の回転中心と上記駆動ロールの回転中心とを結んだ線よりも、上記中間転写体の回転方向下流側となるように構成されていることが好ましい(請求項7)。
【0017】
キャリア除去ベルトのたるみ部分の変形方向が明確となるため中間転写体の周面の液体トナー層とキャリア除去ベルトとが、中間転写体及び駆動ロールそれぞれの回転中心を結ぶ線上で接する場合と比較して、キャリア除去ベルトの弾性変形により中間転写体と駆動ローラとの距離の変動をより効果的に吸収することができる。
また、上記液体トナーの種類及び温度による上記液体トナーの粘度と、上記被印刷物に対して上記トナーが定着される面積率である画線率とに基づいて予め設定された対応関係に基づいて、上記駆動ロールの回転方向及び回転速度を制御する駆動ロール制御手段を有していることが好ましい(請求項8)。
【0018】
これにより、液体トナーの種類や温度によって異なるトナー粘度及び画線率などの変動要素に応じて、キャリア除去ベルトにより掻き取る液体トナー層(上層部)の厚さを最適化し、余剰なキャリアをより効果的に除去することができる。
また、本発明の液体現像電子印刷機のキャリア除去方法(請求項9)は、帯電した粒子状のトナーが液体のキャリア中に分散されている液体トナーを静電潜像の形成された感光体上に転写させることで現像を行う現像ステップと、上記現像ステップにおいて上記感光体上に転写された上記液体トナーを中間転写体に転写して中間転写体の周面に液体トナー層を形成する液体トナー層形成ステップと、上記中間転写体の周面に転写された上記液体トナーを被印刷物に転写する被印刷物転写ステップと、上記被印刷物転写ステップにおいて上記液体トナーが転写された上記被印刷物に上記トナーを定着させるトナー定着ステップと、上記被印刷物転写ステップに先立って、上記液体トナー層形成ステップにおいて形成された上記液体トナー層の上層部に接触して上記上層部を掻き取ることにより上記中間転写体の周面において余剰な上記キャリアを除去するキャリア除去ステップと、を有していることを特徴としている。
【0019】
また、上記キャリア除去ステップは、回転駆動する円筒状の駆動ローラにより駆動されるように上記駆動ローラの周面にたるみ部分を有して巻回され、上記たるみ部分が上記液体トナー層に所定の接触圧で接触するキャリア除去ベルトによって上記液体トナー層の上層部からを掻き取ることにより余剰な上記キャリアを除去するステップと、上記キャリア除去ベルトに接触し上記キャリア除去ベルトに付着した上記キャリアを除去するベルト洗浄ステップと、を有していることが好ましい(請求項10)。
【0020】
また、上記キャリア除去ステップにおいて、上記キャリア除去ベルトに、上記トナーと同極性のバイアス電圧を印可することが好ましい(請求項11)。
また、上記キャリア除去ステップでは、上記中間転写体の回転中心と上記駆動ロールの回転中心とを結んだ線よりも、上記中間転写体の回転方向下流側において上記キャリア除去ベルトの上記たるみ部分と上記中間転写体の周面の上記液体トナー層とが接触することが好ましい(請求項12)。
【0021】
また、上記キャリア除去ステップは、上記液体トナーの種類及び温度による上記液体トナーの粘度と、上記被印刷物に対して上記トナーが定着される面積率である画線率とに基づいて予め設定された対応関係に基づいて、上記駆動ロールの回転方向及び回転速度を制御する駆動ロール制御ステップを有していることが好ましい(請求項13)。
【発明の効果】
【0022】
本発明の液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及びキャリア除去方法によれば、中間転写体の周面に転写された液体トナー層の上層部分のみを機械的に掻き取るという簡素な構成により余剰キャリアを除去することができる。
これにより、トナーの被印刷物への定着の阻害要因となる液体トナー中の余剰なキャリアが事前に除去されることにより、トナー定着手段における被印刷物に対するトナーの定着性が向上され、より高品質の印刷物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態について説明する。図1〜図5はいずれも本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及び液体現像電子印刷機を説明するためのものであって、図1はその要部構成を模式的に示す図、図2は液体現像電子印刷機の概略構成を示す模式的な側面図、図3は中間転写体の周面における液体トナーの構成を模式的に示す図、図4は現像ユニットの構成を模式的に示す図、図5は液体現像電子印刷機の動作手順を示すフローチャートである。
【0024】
(全体構成)
図2に示すように、液体現像電子印刷機50は、給紙部51,印刷部52,排紙部53から構成されている。給紙部51は、被印刷物として枚葉紙である印刷シートSを1枚ずつ給紙トレイ51Aから印刷部52へと給紙するように構成されている。そして、印刷部52は給紙された印刷シートSに対して印刷を行うように構成され、排紙部53は印刷部52により印刷された印刷シートSを排紙トレイ53Aに排紙するように構成されている。なお、液体現像電子印刷機50の下部はキャスタ50Aが取り付けられており、液体現像電子印刷機50の移動を容易にするように構成されている。
【0025】
なお、図2に示すシート搬送経路10は、印刷シートSが搬送される経路(搬送ルート)を示しており、本実施形態では、給紙トレイ52Aからニップ部N1を通過し、複数の搬送ローラ6を経てニップ部N2を通過し排紙トレイ53Aへ至るように構成されている。
また、液体現像電子印刷機50には、コンピュータ及び表示装置並びに入力端末を備えた制御装置60と信号線で接続されており、液体現像電子印刷機50の各部を制御信号により制御しうるように構成されている。なお、制御装置60を液体現像電子印刷機50に内蔵するように構成してもよい。
【0026】
(トナー転写部分の概略構成)
本実施形態にかかる液体現像電子印刷機50はプロセスカラー印刷を行うことが可能に構成されており、印刷部52には、K(墨),C(藍),M(紅),Y(黄)のプロセスカラー各色に対応する4つの現像ユニット1A〜1Dが配設されている。
印刷部52は、各現像ユニット1A〜1D,中間転写体2,余剰キャリア除去ユニット(キャリア除去手段)3,バックアップローラ4及び一対の加熱ローラ(トナー定着手段)8を有して構成されている。
【0027】
各現像ユニット1A〜1Dは、それぞれ制御装置60から送信された画像データに基づいて、感光体上に静電潜像の形成し、静電潜像に対応する位置に液体トナー40(図3,4も参照)を感光ドラム21から中間転写体2に転写して中間転写体2の周面36上に液体トナー層41を形成するように構成されている。なお、各現像ユニット1A〜1Dの詳細な構成については後述する。
【0028】
なお、液体トナー40は、電荷が負荷された熱可塑性素材と色素(顔料あるいは染料)とにより形成される粒子状のトナー45が液体状のキャリア44中に分散配合されたものであり、ここでは、キャリア44としてパラフィン系の溶液に、平均粒径1μm程度の粒子状のトナー45が重量比で20〜40パーセント程度含有されたものを液体トナー40として用いている。
【0029】
中間転写体2とバックアップローラ4とは互いに当接しており、当接部分にニップ部(転写位置)N1が形成されている。
中間転写体2の周面46(図3参照)は、例えば、ウレタン系導電性ゴムや導電性樹脂等で構成されており、中間転写体2には、例えば、−200〜−300V程度のバイアス電圧が印加されている。
【0030】
このニップ部N1において中間転写体2から印刷シートSに液体トナー40による画像が転写されるようになっている。
中間転写体2の周囲には、中間転写体2の回転方向でニップ部N1よりも上流側の位置に余剰キャリア除去ユニット3が配設されており、ニップ部N1における印刷シートSへの液体トナー40の転写に先立って中間転写体2の周面46上の液体トナー層41から余剰なキャリア44のみを除去しうるように構成されている。
【0031】
また、ニップ部N1よりも下流側の位置にはブレードユニット5が中間転写体2に接するように配設されており、印刷シートSに転写した後に中間転写体2の周面46に残存した液体トナー40を内蔵するブレードで掻き取って除去しうるように構成されている。
一方、バックアップローラ4は、中間転写体2に対して所定の圧力、例えば、1〜13kg/cm程度で圧力を加えるように配設されており、中間転写体2とバックアップローラ4との間を搬送される印刷シートSを中間転写体2に押付ける機能を有している。また、バックアップローラ4には、例えば、−800V程度の転写バイアスが印加されており、中間転写体2から印刷シートSへの液体トナー40の転写を促進するようになっている。
【0032】
一対の加熱ローラ8は、互いに接するローラ8A,8Bによって構成されている。ローラ8Aは、表面に導電性フッ素コートが施された金属製のローラで、図示しない加熱源によって表面温度が、例えば、摂氏150度程度に設定されている。一方、ローラ8Bは、導電性を有するウレタンゴムで形成されている。
なお、各ローラ8A,8B間には、印刷シートS上に転写されたキャリア中のトナーがローラ8A側に移動するような電場が形成されている。ここでは、ローラ8Aが接地されるとともにローラ8Bにトナーと同一極性の電荷が印加されている。
また、一対のローラ8A,8Bは互いに当接しており、印刷シートSが通過する際にローラ8A,8Bにより互いに印刷シートSを加圧しうるニップ部N2が形成されている。
【0033】
(液体トナー層の構成)
ここで、中間転写体2に転写された液体トナー40により形成される液体トナー層41についてより詳細に説明する。
【0034】
感光ドラム21から中間転写体2の周面46に液体トナー40が形成されることによって、図3に示すように、中間転写体2の周面46には厚さDの液体トナー層41が形成される。
液体トナー層41はキャリア44とトナー45とを含んでいる。換言するとキャリア44とトナー45により液体トナー層41が形成されている。
【0035】
液体トナー41中のトナー45は、感光ドラム21に現像された位置に配置されており、中間転写体2に印可されているバイアス電圧により中間転写体2の周面46側に静電吸着して沈殿する傾向を有して分布している。そして、トナー45の周囲を覆うようにキャリア44が中間転写体2の周面46に付着している。
したがって、液体トナー層41の内、中間転写体2の周面46から厚さD1程度まで間の液体トナー層41の下層部43には、キャリア44とトナー45とが混在して分布しているが、中間転写体2の周面46からD1以上離れた部分である液体トナー層41の上層部(厚さD2)42には、トナー45は殆ど存在せず、液体トナー層41の上層部42はキャリア44を主体として構成されている。
【0036】
(余剰キャリア除去ユニットの構成)
以下、本発明の最も特徴的な部分である余剰キャリア除去ユニット3の構成についてより詳細に説明する。
図1に示すように、余剰キャリア除去ユニット3は、駆動ローラ11,キャリア除去ベルト12,スクレパーブレード(ベルトクリーナー)13,キャリア回収管15及び回収キャリア貯留槽16を有して構成されている。
【0037】
駆動ローラ11は、図示しない駆動源により駆動される円柱形状のローラである。駆動ローラ11の回転方向及び回転速度は制御装置60によって制御されるようになっている。
即ち、制御装置60には、膜厚と、用いられる液体トナー40の種類と、液体トナー40の温度と、被印刷物に対してトナーが定着される面積率である画線率と、に応じて予め設定された駆動ローラ11の回転速度の対応関係が記憶されている。なお、上記トナーの種類と温度変化に関しては液体トナーの粘度変化に相関する値である。そして、制御装置は、駆動ローラ11の駆動源を通じて条件に応じて駆動ローラ11の駆動態様を制御するようになっている。
【0038】
キャリア除去ベルト12は、ニッケル電鋳加工によって無端状の金属ベルト(ニッケル製ベルト)として形成され、駆動ローラ11の回転に従動するように駆動ローラ11の周面に巻回された無端ベルトである。
また、キャリア除去ベルト12は、駆動ローラ11の周長(駆動ローラ11の軸心を中心とした円周の長さ)よりわずかに長くなるように形成されており、駆動ローラ11の周面と接触しない、たるみ部分12Aを生じるように設けられている。なお、図1では、キャリア除去ベルト12の長さは駆動ローラ11の周長よりもかなり長くなるように誇張して表現しているが実際には、キャリア除去ベルト12は駆動ローラ11の周長よりも僅かに長い程度に形成されている。
【0039】
キャリア除去ベルト12のたるみ部分12Aは、ニップ部N3において中間転写体2の周面46(図3も参照)上に形成された液体トナー層41と接しており、キャリア除去ベルト12のたるみ部分12Aと液体トナー層41とが接触するニップ部N3は、中間転写体2の回転中心と駆動ローラ11の回転中心とを結ぶ直線Xよりも中間転写体2の回転方向下流側に位置するように構成されている。
【0040】
そして、キャリア除去ベルト12のたるみ部分12Aは、ニップ部N3において、液体トナー層41の上層部42のみを掻き取って中間転写体2から除去するように、常に予め実験等により設定された所定の圧力(所定の接触圧)で液体トナー層41に接触するようにニップ部N3の位置及びキャリア除去ベルト12のたるみ長さ及び剛性(即ち、ニップ部N3における撓み剛性G)が設定されている。
【0041】
また、キャリア除去ベルト12には、トナー45と同極性のバイアス電圧が印可されており、ニップ部N3においてキャリア除去ベルト12はバイアス電圧によいトナー45を中間転写体2の周面46側に押し付ける機能を有している。
なお、本実施形態では、ニッケル電鋳加工により形成されたニッケル製の無端ベルトによってキャリア除去ベルト12を構成しているが、ニッケルに限らず電鋳加工により別の金属によるベルトを形成してもよい。また、導電性を有し、上記の撓み剛性Gを満たしうる物質であれば、導電性を有するポリマー等の非金属素材でキャリア除去ベルト12を形成してもよい。
【0042】
一方、スクレパーブレード13は、矩形状の板体であり、一方の長辺部がキャリア除去ベルト12の駆動ローラ11の外周面と接触する部分の周面に摺接するように配設されており、キャリア除去ベルト12の周面に付着したキャリア44(液体トナー層41の上層部42)をキャリア除去ベルト12から回収キャリア貯留槽16に掻き落としてキャリア除去ベルト12から除去する機能を有している。
回収キャリア貯留槽16には、上述したようにキャリア除去シート12から除去された回収キャリア14(即ち、液体トナー層41の上層部42)が貯留されており、キャリア回収管15から機外へと排出されるようになっている。
【0043】
(現像ユニットの構成)
ここで、各現像ユニット1A〜1Dに詳細な構成について説明する。なお、各現像ユニット1A〜1Dはトナーの色と中間転写体2に対する配置位置を除いては概ね同様に構成されているため、1つの現像ユニット(特に指定しない場合には以下、現像ユニット1と記載する)の構成についてのみ説明し、各現像ユニット1A〜1D毎の説明は省略する。
【0044】
現像ユニット1は、感光ドラム(感光体)21,クリーニングユニット22,除電器23,感光体帯電装置24,露光装置25及び現像装置26を有して構成されている。
感光ドラム21の周面には、アモルファスシリコン(a−Si)や感光性ポリマー等の感光剤を含んで形成された感光層21Aが形成されている。
感光ドラム21は、ニップ部N4において中間転写体2と当接しており、感光ドラム上の液体トナー40を中間転写体2側に転写しうるように構成されている。
【0045】
一方、感光ドラム21の周囲には、ニップ部N4を起点として感光ドラム21の回転方向に沿って、クリーニングユニット22,除電器23,感光体帯電装置24,露光装置25及び現像装置19がそれぞれ順に感光層21Aに対向して配設されている。
クリーニングユニット22は、クリーニングローラ22A,ブレード22B,22C,トナー排出口22を有して構成されており、感光ドラム21の周面に残存している液体トナー40を除去して図示しないトナー回収路に排出するように構成されている。
【0046】
より具体的に説明すると、クリーニングローラ22Aは、感光ドラム21に接して従動方向に回転するように配設されており、感光ドラム21の周面に残存する液体トナー40を回収するようになっている。
また、ブレード22Bは、弾性材料で形成された矩形状の板体であり、一方の長辺部が感光ドラム21の周面に接触するように配設されており、クリーニングローラ22Aで除去できなかった感光ドラム21周面の液体トナー40を掻き取って感光ドラム21から液体トナー40を完全に除去するようになっている。
【0047】
ブレード22Cは、ブレード22Bと同様に弾性材料で形成された矩形状の板体であり、一方の長辺部がクリーニングローラ22Aの周面に接触するように配設されている。そして、クリーニングローラ22Aの周面に付着した液体トナー40を掻き取って除去するようになっている。
そして、感光ドラム21から除去された液体トナー40は、トナー排出口22から排出されるようになっている。
【0048】
除電器23は、感光ドラム21の感光層21Aに残留する電荷を消去する機能を有している。
感光体帯電装置24は、コロトロン型あるいはスコロトン型等の非接触型放電方式の帯電器が感光ドラム21に沿って複数(ここでは3つ)配設されて構成されており、感光ドラム21の感光層21Aを一様に、例えば、500V程度に帯電させる機能を有している。
【0049】
露光装置25は、感光ドラム21の軸方向に沿って発光体(ここではLED)を棒状に配列された発光装置(つまりLEDアレイ)により構成されており、制御装置60から送られてくる画像データに基づいて、各LEDを発光させるようになっている。
つまり、感光体帯電装置24によって一様に帯電されている感光層21Aの表面に露光装置25からの光が照射されることにより、光の照射部分では感光層21Aの帯電が解除され、感光層21Aに画像データに基づいた静電潜像を形成しうるようになっている。
【0050】
なお、発光装置としては、LEDアレイの替わりに、画像データに基づいて半導体レーザー等を走査して静電潜像を形成するように構成してもよい。
現像装置26は、アニロックスローラ31,均しローラ32,現像ローラ33,トナー帯電器34,クリーニングローラ35,ブレード36,37,液体トナー排出口38及び液体トナー供給口39を有して構成されており、感光ドラム21の静電潜像が形成された部分に液体トナー40を転写するようになっている。
【0051】
液体トナー供給口39には、液体トナー吐出口39aがアニロックスローラ31の回転軸方向に複数設けられており上述の液体トナー40をアニロックスローラ31の周面に向けて吐出するようになっている。液体トナー排出口38から液体トナー40が適宜排出されるようになっている。
アニロックスローラ31は、金属製のローラでありその周面には表面には液体トナー40を所望の膜厚で供給するのに適した凹部(セル)が全面に亘って形成されている。アニロックスローラ25は、感光ドラム21と同方向(図4中の矢印の方向)に回転駆動されるようになっている。
【0052】
また、ブレード37は板状の高密度ポリエチレンで形成されており、その先端がアニロックスローラ31の周面に接してアニロックスローラ31の周面に付着した余剰な液体トナー40を掻き落としてアニロックスローラ31の周面上の液体トナー40の膜厚を所望の膜厚にするように設定されている。
均しローラ32はウレタンゴムで形成されている。そして、均しローラ32はアニロックスローラ31と現像ローラ33との間に配設されており、アニロックスローラ31及び現像ローラ33のそれぞれと接している。
【0053】
また、均しローラ32は、アニロックスローラ31との接点において互いの周面が反対方向に進む向き(図4中の矢印の方向)に回転するように構成されている。
現像ローラ33は導電性ゴムで形成されており、感光ドラム21と接してニップ部N5を形成するように配設されている。また、現像ローラ33は、ニップ部N5において感光ドラム21の周面と現像ローラ33の周面とが同じ方向に進む向き(図4中の矢印の方向)に回転するように構成されている。換言すると、現像ローラ33は均しローラ32との接点において互いの周面が反対方向に進む向きに回転するように構成されている。
【0054】
また、現像ローラ33の周面の速度は感光ドラム21の周面の回転速度と同じ速度で回転するように構成されている。
このように、導電性を有する現像ローラ33と感光ドラム21とがニップ部N5で接することにより、現像ローラ33の周面から感光ドラム21の静電潜像が形成された部分へと帯電したトナーを含む液体トナー40が転写され、現像が行われるようになっている。
【0055】
そして、現像された感光ドラム21の周面上の液体トナー40はニップ部N4において中間転写体2に転写され、中間転写体2の周面にトナーによる画像を含んだ液体トナー層31を形成するように構成されている。
なお、各現像ユニット1A〜1Dによってそれぞれ形成されるトナー画像は中間転写体2の周面の同位置に重なる位置であり、且つ、印刷シートSがニップ部N1を通過するタイミングに同期して、トナー画像が中間転写体2から印刷シートSの適切な位置に転写される位置に形成されるようになっている。
【0056】
トナー帯電器34は、現像ローラ33の周面に近接しており、ニップ部N5よりも現像ローラ33の回転方向上流側、且つ、現像ローラ33と均しローラ32との接面よりもローラ23の回転方向下流側に位置するように配設されている。
トナー帯電器34は、コロトロン型あるいはスコロトン型等の非接触型放電方式の帯電器であり、現像ローラ33の周面に付着している液体トナー40中の帯電したトナーのキャリア中の分布を均等化する機能を有している。
【0057】
クリーニングローラ35は、ニップ部N5よりも現像ローラ33の回転方向下流側において、現像ローラ33と接しており、感光体3へ転写されずに現像ローラ33の周面に残存した液体トナー40を除去するようになっている。
そしてブレード36は、クリーニングローラ35の周面に付着した液体トナー40を掻き落とすようになっている。
【0058】
(作用効果)
本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及び液体現像電子印刷機はこのように構成されているので、図5に示すように、まず、ステップS100では、制御装置60からの信号に基づいて印刷が開始され、印刷シートSが1枚だけ給紙トレイ51Aから印刷部52へと給紙される。
【0059】
そして、ステップS110では、印刷部53において各現像ユニット1A〜1Dそれぞれにおいて、静電画像が形成された感光ドラム21の周面に対応するK(墨),C(藍),M(紅),Y(黄)各色の液体トナー40が転写され、トナー画像が現像される(現像ステップ)。
続いてステップS120では、ステップS110において感光ドラム21の周面に転写された液体トナー40が中間転写体2の周面46に転写され、中間転写体2の周面46に液体トナー層41が形成される(液体トナー層形成ステップ)。
【0060】
そして、ステップS130では、キャリア除去ベルト12のたるみ部分12Aにより、中間転写体2の周面46上の液体トナー層41からほとんどが余分なキャリア44で構成される液体トナー層41の上層部42が除去される(キャリア除去ステップ)。
そして、キャリア除去ベルト12に付着した余分なキャリア44はスクレパーブレード13により掻きおとされ、キャリア除去ベルト12から除去される(ベルト洗浄ステップ)。
【0061】
このとき、制御装置60により、記憶されている液体トナー40の種類と、液体トナー40の温度と、被印刷物に対してトナーが定着される面積率である画線率と、に対応する駆動ローラ11の回転速度の対応関係に基づいて駆動ローラ11の回転速度及び回転方向を制御して、キャリア除去ベルト12のたるみ部分12Aと液体トナー層41とが最適な接触圧で接するように駆動ローラ11の回転速度が制御される(駆動ロール制御ステップ)。
【0062】
ステップS140では、ステップS100において給紙トレイ51Aから給紙された印刷シートSが中間転写体2とバックアップローラ4とにより形成されたニップ部N1を通過し、中間転写体2の周面36からステップS130において余分なキャリア44が除去された状態の液体トナー40が印刷シートSへと転写される(被印刷物転写ステップ)。なお、ニップ部N1ではプロセスカラーの各色の液体トナー40(トナー画像)が同時に転写される。
【0063】
ステップS150では、加熱ローラ8のニップ部N2において、各ローラ8A,8B間に形成された電場によって、印刷シートS上のトナー35が加熱されたローラ8A側に引き寄せられる。そして、ニップ部N2において各ローラ8A,8Bにより加圧されるとともにローラ8Aによって加熱される。
これにより、トナー45の熱可塑性樹脂が溶融した上で印刷シートSに押し付けられて印刷シートS上に定着(固定)される(トナー定着ステップ)。
【0064】
トナー45が固定された印刷シートSはステップS160として排紙部53を搬送される間に冷却されて排紙トレイ53Aに排出される。
そして、ステップS170では、制御装置60において印刷終了条件が成立しているか否かが判定され、印刷終了条件が成立していない場合にはステップS100に戻り次の印刷シートSの印刷が行われる。また、ステップS170において、印刷終了条件が成立していればそのまま印刷が終了される。
【0065】
なお、印刷終了条件は、その都度、制御装置60の入力端末等により設定される。
このように、本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及びキャリア除去方法によれば、図3を用いて説明したように、中間転写体2の周面46に転写された液体トナー層41は、その上層部42(中間転写体2の周面46よりもD1以上遠い範囲)にはトナー45がほとんど存在せず、下層部(中間転写体2の周面46からD1以内の範囲)にトナー45が蓄積(静電吸着)しているため液体トナー層41の上層部のみを除去することにより、液体トナー40中の余分なキャリア44を除去しうるという知見に基づいて、キャリア除去ベルト12により液体トナー層41の上層部42のみを機械的に掻き取るという簡素な構成により、印刷シートSに液体トナー40が転写される前に中間転写体2の周面36から余剰なキャリア44を除去することができる。
【0066】
これにより、トナー45の定着の阻害要因となる余剰なキャリア44が事前に除去されることにより、一対の加熱ロール8においてトナー45の印刷シートSへの定着性が向上され、より高品質の印刷シートSを得ることができる。
また、キャリア除去ベルト12の剛性及びたるみ部分12Aのたるみ量並びにニップ部N3の位置等を実験により調整してニップ部N3におけるキャリア除去ベルト12の撓み剛性Gが設定されているので、各駆動ローラ11や中間転写体2の偏芯や施工公差等により駆動ロール11の周面と中間転写体2の周面46との距離に変動生じる場合であっても、キャリア除去ベルト12のたるみ部分12の弾性(撓み)により上記の距離の変動を吸収することができ、キャリア除去ベルト12のたるみ部分12Aと中間転写体2上の液体トナー層41とが常に適切な接触圧で接触して液体トナー層41の上層部42のキャリア44のみを高精度に除去することができる。
【0067】
さらに、キャリア除去ベルト12にトナー45と同極性のバイアス電圧が印可されているので、ニップ部N3において、キャリア除去ベルト12からのバイアス電圧により液体トナー層41中のトナー45が中間転写体2の周面46側(即ち下層部43側)に押し付けられ、トナー45による画像を乱すことなく精度良く液体トナー層41中の余分なキャリア44のみを除去することができる。
【0068】
また、キャリア除去ベルト12は、ニップ部N3において最適な撓み剛性Gに設定されるため、板厚や形状の精度が高く求められる上、バイアス電圧を印可するために導電性が求められるが、キャリア除去ベルト12をニッケル電鋳加工(ニッケルメッキ加工)によって形成することにより、比較的容易にキャリア除去ベルト12を金属(ここではニッケル)により高精度に形成することができるという利点もある。
【0069】
また、駆動ローラ11とキャリア除去ベルト12とが接触している位置において、スクレパーブレード13がキャリア除去ベルト12の周面に摺接しているので、単純な構成によりキャリア除去ベルト12に付着したキャリア44をキャリア除去ベルト12から効果的に除去することができる。
また、ニップ部N3が中間転写体2の軸芯と駆動ロール11の軸芯とを結ぶ直線X上よりも中間転写体2の回転方法下流側に設定されているので、駆動ロール11の周面と中間転写体2の周面46との距離の変動等が生じた場合に、キャリア除去ベルト12のたるみ部分12Aが距離の変動に追従して変形しやすく、たるみ部分12Aの撓みにより距離の変動をより効果的に吸収することができる。
【0070】
即ち、ニップN3が図1の直線X上に設定された場合には、駆動ロール11の周面と中間転写体2の周面46との距離の変動等が生じた場合に、キャリア除去ベルト12のたるみ部分12Aの変形方向(即ち、中間転写体2の回転方向上流側に変形するのか下流側に変形するのか)が定まらず、駆動ロール11の周面と中間転写体2の周面46との距離の変動を安定して吸収できない場合が考えられる。そこで、ニップN3の位置を図1の直線X上よりも中間転写体2の回転方向下流側にずらすことによって、駆動ロール11の周面と中間転写体2の周面46との距離の変動等が生じた場合にキャリア除去ベルト12のたるみ部分12が変形する方向が明確となり、キャリア除去ベルト12のたるみ部分12Aと液体トナー層41との接触圧力をより安定させることができる。
【0071】
なお、本実施形態では、ニップ部N3の位置を直線Xよりも中間転写体2の回転方向下流側に設定しており、ニップ部N3の位置の安定性が良好であるという点で好ましいが、ニップ部N3の位置を直線Xよりも中間転写体2の回転方向上流側に安定して設定できるのであれば、ニップ部N3の位置が直線Xよりも中間転写体2の回転方向上流側となるように構成してもよい。これによっても、キャリア除去ベルト12のたるみ部分12Aの変形方向(この場合は、中間転写体2の回転方向の上流側に向けて変形することになる)が明確となり、キャリア除去ベルト12のたるみ部分12Aと液体トナー層41との接触圧力を安定させることができる。
【0072】
また、制御装置60に記憶されている液体トナー40の種類と、液体トナー40の温度と、被印刷物に対してトナーが定着される面積率である画線率と、に対応する駆動ローラ11の回転速度の対応関係に基づいて駆動ローラ11の回転速度及び回転方向を制御するようになっているので、液体トナー40の種類や温度による粘度変化及び画線率(つまり、中間転写体2の周面に吸着するトナー45の量)などの変動要素に応じて、キャリア除去ベルト12により除去する液体トナー層41の厚さ(つまり、上層部42の厚さD2の長さ)を最適化して、トナー45をできるだけ除去することなく余剰なキャリア44のみをより効果的に除去することができる。
【0073】
即ち、ニップ部N3においてのキャリア除去ベルト12の周面速度と中間転写体2の周面速度が互いに同速で同方向であり、互いの周面の相対速度が0近傍である場合にはキャリア除去ベルト12によって除去される液体トナー層41の厚さ(即ち、D2の値)は概ね1/2程度で、キャリア除去ベルト12の周面と中間転写体2の周面46との相対速度が大きくなるほど、D2の値は大きくなる傾向がある。
【0074】
したがって、例えば、印刷絵柄の画線率が大きく液体トナー層41内に多くのトナー45が含まれる場合には、D2の値が小さくなるように駆動ローラ11の回転速度が制御される。回転速度は膜厚、温度、キャリアの種類により設定しているが、除去されるキャリア量は除去による画面の乱れ(像流れ)が生じない範囲でできるだけ多いほうが望ましく、手動で調整可能である。
【0075】
また、加熱ローラ8(ローラ8A)によってトナーを加熱し溶融させた上で溶融したトナーを被印刷物に押し付けることができるのでトナーの凹凸が均され、印刷シートSに対して効果的にトナーを定着させることができる。
また、中間転写体2の周面46において余剰なキャリア44が除去されるので、ニップ部N1からニップ部N2までのシート搬送経路10においてキャリア44により粒子径の小さいトナー45を飛散させることなく保持しながらも、余分なキャリア44が除去されている分加熱ロール8において印刷シートSに加える熱量を低減することができる。
【0076】
[第1実施形態の変形例]
続いて、本発明の第1実施形態の変形例について説明する。本変形例は、一部の構成を除いて上述の第1実施形態と同様に構成されており、第1実施形態と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。
図6に示すように、本変形例は、余剰キャリア除去ユニット(キャリア除去手段)7にかかる構成のみが異なっている。
【0077】
本変形例における余剰キャリア除去ユニット7は、スクレパーブレード13の替わりにスクイズロール17及びブレード18を有して構成されている。
スクイズロール17は、スクイズロール17と駆動ローラ11によってキャリア除去ベルト12を挟むようにキャリア除去ベルト12の周面に当接しており、キャリア除去ベルト12との接触部分における互いの周面の進行方向が反対方向となる向きに回転するようになっている。
【0078】
ブレード18は、スクイズロール17の回転方向下流側においてスクイズロール17の周面に先端部分が摺接するように配設され、スクイズロール17周面に付着したキャリア44を掻きおとして除去するように構成されている。
本発明の第1実施形態の変形例は上述のように構成されているので、キャリア除去ベルト12の周面とスクイズロール17の周面とが互いに反対方向となる向きに接触してキャリア除去ベルト12の周面に付着したキャリア44がスクイズロール17側にほぼ完全に転移される。
【0079】
そして、キャリア除去ベルト12からキャリア44が転移されたスクイズロール17の周面に付着したキャリア44がブレード18によって掻きおとされスクイズロール17の周面から除去される。
このように、本発明の第1実施形態の変形例によれば、キャリア除去ベルト12の周面に付着したキャリア44をキャリア除去ベルト12からより効率よく除去することができる。また、キャリア除去ベルト12にはブレードが直接摺接することがないため、形状や剛性等に高い精度が求められるキャリア除去ベルトの摩耗を抑制することができ、液体トナー層41の余分なキャリア44をより継続して高精度に除去することができる。
【0080】
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態の変形例について説明する。本実施形態は、一部の構成を除いて上述の第1実施形態と同様に構成されており、第1実施形態と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。
本実施形態では、各現像ユニット1A〜1D毎に中間転写体62A〜62Dが設けられている。そして、4つの中間転写体62A〜62Dはバックアップローラ64を共有するように構成されており、印刷シートSには、各中間転写体62A〜62Dとバックアップローラ64とで形成されるニップ部において、K(墨),C(藍),M(紅),Y(黄)の各プロセスカラーの液体トナー40が順々に転写されるように構成されている。
【0081】
したがって、図7に示すシート搬送経路(印刷シートSの搬送ルート)10Aは、給紙トレイ52Aから各中間転写体62A〜62Dとバックアップローラ64とで形成されるニップ部を順次通過し、複数の搬送ローラ6を経てニップ部N2を通過し、排紙トレイ53Aへ至るように構成されている。
各中間転写体62A〜62Dはそれぞれ、径の大きさが感光ドラム21の径と同じとなっていることを除けば、第1実施形態における中間転写体2と同様に構成されている。
【0082】
また、各中間転写体62A〜62Dの周面には、それぞれ、余剰キャリア除去ユニット(キャリア除去手段)63A〜63D及びブレードユニット65A〜65Dが配設されている。なお、各余剰キャリア除去ユニット63A〜63Dはそれぞれ第1実施形態における余剰キャリア除去ユニット3と同様に構成されている。また、各ブレードユニット65A〜65Dもそれぞれ第1実施形態におけるブレードユニット5と同様に構成されている。
【0083】
即ち、各中間転写体262A〜62D周囲には、各中間転写体62A〜62Dの回転方向で上述の各ニップ部よりも上流側の位置にそれぞれ余剰キャリア除去ユニット63A〜63Dが配設されており、各ニップ部における印刷シートSへの液体トナー40の転写に先立って各中間転写体62A〜62Dの周面上の液体トナー層41から余剰なキャリア44のみを除去しうるように構成されている。
【0084】
また、各ブレードユニット65A〜65Dは、それぞれ対応するニップ部よりも下流側の位置において対応する各中間転写体62A〜62Dにそれぞれ接するように配設されており、ニップ部において印刷シートSに液体トナー40を転写した後に各中間転写体62A〜62Dの周面に残存した液体トナー40を掻き取って除去しうるように構成されている。
【0085】
なお、本実施形態では、各ニップ部において印刷シートSに液体トナーが転写されることによる印刷シートSの延び量が予め実験により求められ、制御装置60に記憶されており、制御装置60は、4つの現像ユニット1A〜1Dの内、シート搬送経路10Aの下流側に進む程、露光装置25に送信する画像データの画像サイズを印刷シートSの延び量に追従するように補正して感光ドラム21に形成される静電潜像のサイズを調整するように構成されている。
【0086】
本発明の第2実施形態にかかる液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及びキャリア除去装置方法は上述のように構成されているので、印刷シートSに各色の液体トナー40が順々に転写される形式のものであっても、各中間転写体62A〜62Dの周面から余分なキャリア44をそれぞれ除去することができるので、全色分の液体トナー40が転写された状態において印刷シートS上に転写される余分なキャリア44を低減することができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
また、制御装置60が、各ニップ部において生じる印刷シートSの延びに合わせるように感光ドラム21上に形成する静電潜像の画像サイズを補正するので、印刷シートSの延びによる印刷色調の低下を抑制して高品質の印刷を行うことができる。
【0088】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、各実施形態及び変形例は、可能である限り適宜組み合わせて構成してもよい。例えば、第2実施形態に第1実施形態の変形例にかかるベルトクリーナーを適用してもよい。
【0089】
また、各実施形態ではキャリア除去手段としてたるみ部分を有するキャリア除去ベルトを用いているが、施工公差に起因する駆動ローラ及び中間転写体の回転偏芯やその他の機械的な振動等が無視できる程度であれば、たるみ部分を有さない単なる余剰キャリア除去用のローラ等によりキャリア除去手段を構成するようにしてもよい。
【0090】
さらに、上述の実施形態では、制御装置により駆動ローラの回転方向及び回転速度を制御するようにしているが、駆動ローラの回転速度の制御あるいはキャリア除去ベルトへのバイアス電圧の印可等は適宜省略して構成してもよい。
また、トナー定着手段としていずれも加熱ローラにより被印刷物を加熱及び加圧するように構成されているが、トナー定着手段としてはこれに限らず、被印刷物を単に加圧することによって被印刷物にトナーを定着させる加圧定着方式を適用してもよい。この場合でもトナーを定着させる前にトナー定着の阻害要因であるキャリアを除去することをトナーの定着性を向上させることができる。
【0091】
また、上述の実施形態では、被印刷物の一例として枚葉紙である印刷シートについて説明したが、被印刷物は枚葉紙に限らず液体現像電子印刷機により印刷することが可能なものであるならば何にでも適用できる。例えば、枚葉紙の替わりに帯状の連続紙を被印刷物として連続的に印刷を行ってもよい。
なお、本発明にかかる液体現像電子印刷機は、印刷色数を限定するものではなく単色のみの印刷を行う印刷機として構成してもよいし、印刷シートの両面に印刷を行う両面印刷機に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及び方法を説明するためのものであって、その要部構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及び方法を説明するためのものであって、印刷機の全体構成を模式的に示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及び方法を説明するためのものであって、中間転写体の周面における液体トナーの構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及び方法を説明するためのものであって、現像ユニットの構成を模式的に示す側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及び方法並びに液体現像電子印刷機を説明するためのものであって、印刷手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例にかかる液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及び方法を説明するためのものであって、その要部構成を模式的に示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる液体現像電子印刷機のキャリア除去装置及び方法を説明するためのものであって、開口付き搬送ベルトを模式的に示す斜視図である。
【図8】液体現像電子印刷機にかかる従来技術を説明するためのものであってトナーを定着させるための定着ローラを模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1,1A〜1D 現像ユニット
2,62A〜62D 中間転写体
3,7, 余剰キャリア除去ユニット(キャリア除去手段)
4,64 バックアップローラ
5,65A〜65D ブレードユニット
6 搬送ローラ
8 加熱ローラ(トナー定着手段)
8A,8B ローラ
10,10A シート搬送経路
21 感光ドラム(感光体)
21A 感光層
22 クリーニングユニット
22A クリーニングローラ
22B,22C ブレード
23 除電器
24 感光体帯電装置
25 露光装置
26 現像装置
31 アニロックスローラ
32 均しローラ
33 現像ローラ
34 トナー帯電器
35 クリーニングローラ
36,37 ブレード
38 液体トナー排出口
39 液体トナー供給口
39a 液体トナー吐出口
40 液体トナー
41 液体トナー層
42 液体トナー層の上層部
43 液体トナー層の下層部
44 キャリア
45 トナー
46 中間転写体の周面
50 液体現像電子印刷機
51 給紙部
51A 給紙トレイ
52 印刷部
53 排紙部
53A 排紙トレイ
60 制御装置
S 印刷シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電した粒子状のトナーが液体のキャリア中に分散されている液体トナーを静電潜像の形成された感光体上に転写することで現像を行う現像ユニットと、
上記現像ユニット上に転写された上記液体トナーが周面に転写され液体トナー層を形成するとともに転写位置において被印刷物に対して上記液体トナーを転写する中間転写体と、
上記液体トナーが転写された上記被印刷物に上記トナーを定着させるトナー定着手段と、
上記中間転写体の上記転写位置よりも上流側において周面に転写された上記液体トナー層の上層部に接触して上記上層部を掻き取ることにより上記中間転写体の周面において余剰な上記キャリアを除去するキャリア除去手段と、を有している
ことを特徴とする、液体現像電子印刷機のキャリア除去装置。
【請求項2】
上記キャリア除去手段は、
回転駆動する円筒状の駆動ローラと、
上記駆動ローラにより駆動されるように上記駆動ローラの周面にたるみ部分を有して巻回され、上記たるみ部分が上記液体トナー層に所定の接触圧で接するように剛性及び上記たるみ量が予め設定されたキャリア除去ベルトと、
上記キャリア除去ベルトに接触し上記キャリア除去ベルトに付着した上記キャリアを除去するベルトクリーナーと、
上記ベルトクリーナーにより除去された上記キャリアを回収する余剰キャリア回収手段と、を有している
ことを特徴とする、請求項1記載の液体現像電子印刷機のキャリア除去装置。
【請求項3】
上記キャリア除去ベルトは、
導電性を有する物質により構成され、上記トナーと同極性のバイアス電圧が印可されている
ことを特徴とする、請求項2記載の液体現像電子印刷機のキャリア除去装置。
【請求項4】
上記キャリア除去ベルトは、
電鋳加工により形成された金属ベルトである
ことを特徴とする、請求項2又は3記載の液体現像電子印刷機のキャリア除去装置。
【請求項5】
上記ベルトクリーナーは、
上記キャリア除去ベルト周面に先端部分が摺接し、上記キャリア除去ベルト周面に付着したキャリアを掻きおとして除去するスクレパーブレードを有している
ことを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の液体現像電子印刷機のキャリア除去装置。
【請求項6】
上記ベルトクリーナーは、
上記駆動ローラによって上記キャリア除去ベルトを挟むように上記キャリア除去ベルトに当接し、上記駆動ローラとの接触部分における周面の進行方向が上記駆動ローラの周面の進行方向と反対となる向きに回転するスクイズロールと、
上記接触部分よりも上記スクイズロールの回転方向下流側において上記スクイズロール周面に先端部分が摺接し、上記スクイズロール周面に付着したキャリアを掻きおとして除去するブレードとを有している
ことを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の液体現像電子印刷機のキャリア除去装置。
【請求項7】
上記キャリア除去ベルトの上記たるみ部分と上記中間転写体の周面の上記液体トナー層と接する位置が、上記中間転写体の回転中心と上記駆動ロールの回転中心とを結んだ線よりも、上記中間転写体の回転方向下流側となるように構成されている
ことを特徴とする、請求項2〜6のいずれか1項に記載の液体現像電子印刷機のキャリア除去装置。
【請求項8】
上記液体トナーの種類及び温度による上記液体トナーの粘度と、上記被印刷物に対して上記トナーが定着される面積率である画線率とに基づいて予め設定された対応関係に基づいて、上記駆動ロールの回転方向及び回転速度を制御する駆動ロール制御手段を有している
ことを特徴とする、請求項2〜7のいずれか1項に記載の液体現像電子印刷機のキャリア除去装置。
【請求項9】
帯電した粒子状のトナーが液体のキャリア中に分散されている液体トナーを静電潜像の形成された感光体上に転写させることで現像を行う現像ステップと、
上記現像ステップにおいて上記感光体上に転写された上記液体トナーを中間転写体に転写して中間転写体の周面に液体トナー層を形成する液体トナー層形成ステップと、
上記中間転写体の周面に転写された上記液体トナーを被印刷物に転写する被印刷物転写ステップと、
上記被印刷物転写ステップにおいて上記液体トナーが転写された上記被印刷物に上記トナーを定着させるトナー定着ステップと、
上記被印刷物転写ステップに先立って、上記液体トナー層形成ステップにおいて形成された上記液体トナー層の上層部に接触して上記上層部を掻き取ることにより上記中間転写体の周面において余剰な上記キャリアを除去するキャリア除去ステップと、を有している
ことを特徴とする、液体現像電子印刷機のキャリア除去方法。
【請求項10】
上記キャリア除去ステップは、
回転駆動する円筒状の駆動ローラにより駆動されるように上記駆動ローラの周面にたるみ部分を有して巻回され、上記たるみ部分が上記液体トナー層に所定の接触圧で接触するキャリア除去ベルトによって上記液体トナー層の上層部からを掻き取ることにより余剰な上記キャリアを除去するステップと、
上記キャリア除去ベルトに接触し上記キャリア除去ベルトに付着した上記キャリアを除去するベルト洗浄ステップと、を有している
ことを特徴とする、請求項9記載の液体現像電子印刷機のキャリア除去方法。
【請求項11】
上記キャリア除去ステップにおいて、
上記キャリア除去ベルトに、上記トナーと同極性のバイアス電圧を印可する
ことを特徴とする、請求項10記載の液体現像電子印刷機のキャリア除去方法。
【請求項12】
上記キャリア除去ステップでは、
上記中間転写体の回転中心と上記駆動ロールの回転中心とを結んだ線よりも、上記中間転写体の回転方向下流側において上記キャリア除去ベルトの上記たるみ部分と上記中間転写体の周面の上記液体トナー層とが接触する
ことを特徴とする、請求項10又は11記載の液体現像電子印刷機のキャリア除去方法。
【請求項13】
上記キャリア除去ステップは、
上記液体トナーの種類及び温度による上記液体トナーの粘度と、上記被印刷物に対して上記トナーが定着される面積率である画線率とに基づいて予め設定された対応関係に基づいて、上記駆動ロールの回転方向及び回転速度を制御する駆動ロール制御ステップを有している
ことを特徴とする、請求項10〜12のいずれか1項に記載の液体現像電子印刷機のキャリア除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−168946(P2009−168946A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4814(P2008−4814)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】