説明

液体調味料用容器

【課題】使用後は強制的に閉鎖して空気を侵入させることのない注ぎ口を備えた液体調味料用の容器を提供する。
【解決手段】柔軟な容器1の開口部1aに弁付き口栓2を密封状態に装着した液体調味料容器であって、弁付き口栓2は、a)下部の液送路10と上部の注ぎ口Sとが中心を縦に貫通し、液送路10と注ぎ口Sとの境に注ぎ口S側に広がる弁座部11を備えた弁座付外筒部3と、b)弁座付外筒部3の液送路10内に流路を確保して往復可能に貫挿した往復ロッド5と、往復ロッド5の上端に形成した弁座部11に載る径の球状弁6と、弁座付外筒部3の下部開口部から突出した下端に形成した弾性体係止部7とを備えた弁部材4と、c)弾性体係止部7に中央の装着用孔9で嵌着するとともに中央から斜め上方へ放射状に伸びた複数の脚部を有し、脚部を復元力で弁座付外筒部3の下部を押圧して前記弁部材4を下方へ付勢させた開脚状弾性体8とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、醤油や出汁などの液体調味料を入れて使用する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
醤油など液体調味料は使用した後、容器内に空気が入って酸素に接触すると時間の経過とともに酸化されて味が悪化してしまう。
このような問題に対して、従来、容器の注ぎ口に空気の侵入を防止する仕組みを設けた技術の提案がなされている。
例えば、下記特許文献1に記載の「バルブ中栓」が提案されている。この技術では容器の流出口に球体のバルブを備えることで、容器を押すとその圧力でバルブが開いて液体が流出し、押すの止めるとその圧力が解除されて弁座にバルブが落ち、流出口が塞がれて空気が入らない仕組みとなっている。
一方、下記特許文献2に記載の「流体ディスペンサ装置」が提案されている。この技術では、容器の開口部に管状の駆動ロッドにピストンを備えたプッシャーを装着し、該プッシャーを下に押して容器内の液体を投与開口部から外に送り出すポンプの機構が記載されている。
その機構の中には、プッシャーを押すと、容器内の空気の加圧で液体が加圧され、その加圧でディップチューブ上に設けたチェック弁の弁部材を下から押し上げて容器中の液体を投与開口部から外に流出させ、次に、押すのを止めてプッシャーを上に戻すと、容器内の液体が減圧され、同時に弁部材と一体に形成したタブの弾性が働いて弁部材が降下して前記チェック弁が閉じられることで液体の流出が止まる仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−217243号公報
【特許文献2】特表2009−535267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の「バルブ中栓」では、バルブ自体には強制的にバルブを閉じる機能がないので、常に容器の内部を一定の減圧状態にして置かなければバルブを閉じた状態を維持することができない。従って、一般的な容器では、復元力が十分には得られず、又、容器内の液量の多寡によって容器の膨出圧力の変動が起こるためバルブを閉じる力が不安定となるので液体調味料用の容器としては適さない。このため常に膨らむ力が一定に維持できる特殊な容器を使用しなければならず、その容器自体にコストが嵩むという難点がある。
又、上記特許文献2に記載の「流体ディスペンサ装置」では、プッシャーの押圧と押圧の解除によって弁部材の開閉がなされるため、容器自体には上記特許文献1のように常に膨らむ力を維持する機能は必要がない。しかし、チェック弁の弁部材は一体物であるため、弁部材を入り口ダクトに機能を果たせるように形成するの困難であるという難点がある。又、弁部材の上部に形成されるギャップ部分上の空間には容器内に戻れない多くの液体が溜まる構造となっているため、使用する液体が醤油の場合には、溜まった醤油が空気に曝されて酸化され味が変化してしまい、更に、容器内でも醤油が空気に接触してしまうため、この技術では液体調味料用の容器には適さない。
【0005】
そこで本発明は、使用後は容器の復元力に全面的に頼るのではなく、栓部分で強制的に注ぎ口を閉鎖することができて外部の空気を容器内に侵入させる虞がなく、その栓部分の製造も容易となる注ぎ口を備えた液体調味料用の容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の液体調味料用容器の請求項1に記載の発明にあっては、柔軟に変形して容量が変化する容器の開口部に、弁付き口栓を密封状態に装着した液体調味料容器であって、前記弁付き口栓は、a)下部の液送路と上部の注ぎ口とが中心を縦に貫通し、該液送路と注ぎ口との境に注ぎ口側に広がる一部を球状凹面に形成した弁座部を備えた弁座付外筒部と、b)前記弁座付外筒部の液送路内に径の大小による流路を確保して往復可能に貫挿した往復ロッドと、該往復ロッドの上端に一体形成した前記弁座部の球状凹面の曲率半径より小さい径の球状弁と、前記弁座付外筒部の下部開口部から突出した下端に一体形成した弾性体係止部とを備えた弁部材と、c)前記弁部材の弾性体係止部に中央部に設けた装着用孔を嵌着するとともに中央から斜め上方へ相互間に隙間を形成して放射状に伸びた複数の脚部を有し、該脚部を前記弁座付外筒部の下部を復元力で前記弁部材を下方へ付勢させる開脚状弾性体とで構成し、構成する各部の中心を共通の中心線上に配したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明にあっては、上記発明において、前記弁座付外筒部の下部開口部の下側に開脚状弾性体の脚部を抱えるように受け止める開閉脚受け座部を形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記弁座付外筒部の弁座部の高さ中間部位に、上部開口部と同心円状の突条を、球状弁の下部が密接可能に形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記弁座付外筒部の注ぎ口に、内部側面に雌ネジ部を備えた円筒形の内筒嵌合部を設け、外周には前記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部を備え、内部には注ぎ口を開口してその注ぎ口の下部の中央には液送路を備え、その液送路の周囲には球状弁を密接載置可能な弁座部を形成した円筒状の脚圧調節用内筒部を出没可能に螺着したことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記開脚状弾性体を弁部材に装着前は、該開脚状弾性体の各脚部を上向きに形成し、弁部材に装着時は、弁座付外筒部の下部と弁部材の弾性体係止部とで加圧して前記各脚部を斜め横向きに開脚変形させることで各脚部に上向きの復元力を発生させるように装着したことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記弁座付外筒部の上部に、先端部が液切り可能な形状のノズルを装着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明を使用するときときには、柔軟な容器の側面を指で押圧すると、充填されている液体調味料を介して指の圧力が球状弁の下部を押圧し、開脚状弾性体の復元力に抗して力を加えると球状弁を弁座部から離して上に移動させる。このため球状弁が開いて容器中の液体調味料を食品に注ぐことが可能となる。
使用後は、前記開脚状弾性体の復元力によって球状弁が強制的に引き下げられるので球状弁が弁座部に戻って上部開口部が閉鎖される。この結果、容器内に空気が容器内に入らないようにすることが可能となる。
又、使用の際に、前記弁部材の往復ロッドが弁座付外筒部の液送路の中心から傾いたとしても、球状弁の下部は球面なので前記弁座部の球状凹面に密接状態に載るので、球状弁を閉じたときの気密性が常に保持される。
更に、構成する各部の中心は共通の中心線上に配されているので、放射状に伸びた複数の脚部が常に弁部材を中心線上に戻し、安定した弁の開閉機能が維持可能となる。
即ち、本発明は容器の膨らむ力によってのみ液体調味料の減圧で弁が閉じられるのではなく、前記開脚状弾性体の復元力によって安定的に弁が閉じられ、液体調味料の量の多寡による容器の膨出圧力の変動があったとしても、常に一定の力で安定的に前記球状弁を引き下げて閉鎖することが可能となる。
この結果、容器への指の押し加減を一定にして所望の量の液体調味料を安定して押し出すことが可能となり、押し加減が分からずに一度に多く出し過ぎてしまう失敗をすることなく、安心して使用することができるようになる。
【0013】
請求項2に記載の発明においては、前記開閉脚受け座部に開脚状弾性体の脚部が安定的に納まって、液送路内に緩く挿通している前記球状弁の往復ロッドを常に液送路に中央に保持させることが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明においては、弁座部の高さ中間部位に設けた突条までの上部開口部側の球状弁の下部空間に、前記球状弁の下部を一定の広さに露出することができる。
この結果、容器を指で押圧したときに、液体の圧力を、球状弁の下部に露出した一定の面積で常に安定的に受けることが可能となる。
そして、円形の突条の径を大きく形成すれば、球状弁の下部に広い面積が得られ、容器への指の押圧が小さい力であっても球状弁を強く押圧できて、液体調味料を容易に注ぐことが可能となるので多量に使用する液体調味料の使用に適する。逆に、前記突条の径を小さく形成すれば、球状弁の下部に狭い面積が得られ、この場合には容器への指の押圧を大きくしないと液体調味料が注げなくなるので、少量づつ使用する液体調味料の使用に適する。このように液体調味料の使用量の使い分けが可能となる。
【0015】
請求項4に記載の発明においては、前記脚圧調節用内筒部を回転させることで開脚状弾性体の脚部の加圧脚高が容易に調節できるようになる。
その際。加圧脚高を小さくすれば指で押す力を強くしなければ球状弁が開かず、また加圧脚高を大きくすれば指で押す力が弱くても球状弁が開くので、使用するときの手加減の調節が可能となる。即ち、容器を指で押したとき多く出過ぎたり、少な過ぎたりするのを防止し適量に調節することができるようになる。
【0016】
請求項5に記載の発明においては、前記開脚状弾性体の脚部の復元力がより高められ、強い力で球状弁を液送路の上部開口部側に引き付けて弁を確実に閉じることが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明においては、容器を傾けて注ぎ口を斜め下に向けて指で容器を押して中の液体調味料を注いだ後、注ぎ口を斜め下に向けたままで指の力を抜けば、球状弁が開脚状弾性体の復元力で閉じられるので、ノズル内にあった液体調味料は殆ど外に流出される。
しかし、一部の液体調味料はノズルが濡れたように表面に付着したままとなる。この残った分は、ノズルの先端部が液切り可能な形状となっているため、注ぎ口を再度上に向けたとき、ノズルの先端部の縁から外には垂れ落ちることがなく衛生的となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の球状弁を閉じた状態を示す縦断側面図である。
【図2】弁付き口栓部分の球状弁を閉じた状態を示す縦断側面図である。
【図3】別形態の弁付き口栓部分の球状弁を閉じた状態を示す縦断側面図である。
【図4】別形態の弁付き口栓部分の球状弁を閉じた状態を示す縦断側面図である。
【図5】図4の形態の弁付き口栓部分の球状弁を開いた状態を示す縦断側面図である。
【図6】図4の形態の弁付き口栓部分の球状弁を開いた状態を示す縦断斜視図である。
【図7】別形態の弁付き口栓部分の(イ)は球状弁が閉じた状態を示し(ロ)は球状弁が開いた状態を示す各縦断側面図である。
【図8】図7の形態の弁付き口栓部分の(イ)は球状弁が閉じた状態を示し(ロ)は球状弁が開いた状態を示す各縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図に基づいて本発明の液体調味料用容器の実施形態を説明する。
本発明は、図1に示すように、柔軟に変形する容器1の開口部1aに、弁付き口栓2を密封状態に装着した液体調味料用容器である。
【0020】
前記容器1本体は柔軟な合成樹脂製とし、容器1内の液体調味料Lの量の減少によって、常に容器1内の容量と液体調味料Lの残存量とが等しくなるように変形し、空気が入るのを防止可能な容器1を使用する。
使用して最終的には液体調味料Lの容量が「0」になるまで対応できる容器1であれば使い残しなく全量を使い切ることが可能となる。例えば、容器1はシートのように自由に変形できる薄い物とするか、又は折り目を入れて全てが重なるように柔軟に折り畳みができる物を用いれば容器の容量を「0」にまですることが可能である。
【0021】
前記容器の開口部1aに装着する前記弁付き口栓2は、各部が合成樹脂製で、図2に示すように、弁座付外筒部3、弁部材4及び開脚状弾性体8で構成し、構成する各部の中心を共通の中心線上に配する。
【0022】
前記弁座付外筒部3は、図2に示すように、内径Hの下部の液送路10とその上部の注ぎ口Sとが中心を縦に貫通し、該液送路10と注ぎ口Sとの境には注ぎ口S側に広がる一部を球状凹面に形成した弁座部11を備える。
該弁座部11は、前記該液送路10の上部開口部10aの上に擂鉢状に開いて球状凹面を形成するが、この球状凹面は窪んだ球の内面のほぼ下半分となる上開き湾曲面となる一定の曲率半径で形成する。
前記弁座付外筒部3の外周下部は容器1の開口部1aに密に嵌め込まれ、接合面は溶着する。
又、前記弁座付外筒部3の上部は、該弁座部11の前記球状凹面部分から上に続いた注ぎ口Sの先端で外に開かれる。一方前記弁座付外筒部3の下部には、中央から周囲寄りにかけて一段凹ませた弾性体受け座部12を形成する。
【0023】
前記弁部材4は、図2に示すように、前記弁座付外筒部3の液送路10の内径Hより小さい径Bに形成して両者間に一定の流路を確保し、その中を往復可能に貫挿した往復ロッド5の上端に球状弁6を一体形成する。
そして、前記弁座付外筒部3の下部開口部10bから突出した前記往復ロッド5の下端を膨出状態に弾性体係止部7を一体形成する。
前記球状弁6の径rは、液送路10に上部開口部10aの内径Hより大きく、その下部6aが弁座部11の上に載置可能な大きさとし、且つ前記弁座部11の球状凹面の曲率半径より小さい径rとする。更に、該球状弁6の径rは、前記弁座付外筒部3の注ぎ口Sの内径Rより小さく形成し、前記球状弁6と前記注ぎ口Sとの間に液体調味料Lは流れる一定の大きさの流路が得られるように隙間を設ける。
前記球状弁6の形は、その下部6aは真の球形であるが、これは前記往復ロッド5が液送路10の中心に対してどのように傾斜していても、前記弁座部11には常に密接できるからである。また前記球状弁6の上部の形については、流線型でも良く、必ずしも真の球形ではなくとも良い。
【0024】
前記開脚状弾性体8は合成製樹脂のうちも弾性復元力が高い樹脂を用い、前記弁部材4の弾性体係止部7に装着して用いる。
前記開脚状弾性体8の形状は、中央部には弾性体係止部7から容易には抜けない程度で嵌め込み可能な大きさとした装着用孔9を備える。そしてその孔の中央から斜め上方へ相互間に隙間を形成して等分度位置に放射状に伸びた複数の脚部8aを設ける。脚部8aの数は相互に隙間を形成するので3本乃至5本程度が好ましい。そして、前記脚部8a相互間の隙間は液体調味料が一定の量が通過可能な流出路を形成する。
【0025】
そして、該開脚状弾性体8を前記弁部材4の弾性体係止部7に装着する前では、該開脚状弾性体8の各脚部8aを上向きに加圧されていない状態の開放脚高となるよう形成する。該開脚状弾性体8をこのようにすれば装着した時に、上下に押圧変形させて前記開脚状弾性体8に復元力を発生させることができる。
これを単に前記弁部材4に前記開脚状弾性体8を加圧変形させず装着すると、該開脚状弾性体8に復元力が生じないので、このような装着は不適である。
【0026】
前記開脚状弾性体8を装着することで前記弁座付外筒部3に弁部材4が取り付けられるが、その取り付け方は、前記弁座付外筒部3の下部開口部10bから突出した弾性体係止部7に装着用孔9を強く拡張して差し込んで、装着後は一旦拡張した装着用孔9が収縮して前記開脚状弾性体8が容易に抜けないように装着する。このように、前記弁座付外筒部3に弁部材4及び開脚状弾性体8をそれぞれ差す作業だけで容易に装着することができる。
この取り付けで、前記開脚状弾性体8が前記弁座付外筒部3の下部の前記弾性体受け座部12と弁部材の弾性体係止部7とで挟まれて、図2に示すように、その両側から加圧脚高aのまで圧縮された状態となり、前記開脚状弾性体8の各脚部8aは上向きから斜め横向きに開脚変形し、各脚部8aには上向きの復元力が発生する。
又、前記開閉脚受け座部12は、前記開脚状弾性体8の脚部8aが開脚状態で納まって、前記液送路10内に緩く挿通している前記球状弁6の往復ロッド5を液送路10の中央に戻し、常に中心位置に安定的に保持することが可能となる。
【0027】
該開脚状弾性体8の復元力は、常に発生し、前記弁部材4の往復ロッド5を下方へ付勢した状態を保ち、自然状態で前記球状弁6の下部6aを前記弁座部11に当たるように加圧し続ける。
【0028】
又、前記弁座付外筒部の前記弁座部11には、図3に示すように、前記弁座部11の高さ中間部位に、上部開口部10aと同心円状の突条22を、球状弁6の下部6aが密接可能に形成した態様が可能である。
この形態では、前記弁座部11の高さ中間部位に設けた突条22までの上部開口部10a側の球状弁6の下部6a空間を一定の広さに形成することができる。
この結果、容器1を指で押圧したときに、液体の圧力を、球状弁6の下部6aの露出した一定の面積で受けることが可能となる。
その際、円形の突条22の径を大きく形成すれば、球状弁6の下部6aに広い面積の露出面が得られ、容器1への指の押圧が小さい力であっても球状弁6の下部6aを強く押圧できて液体調味料を容易に注ぐことが可能となる。
これとは逆に、突条22の径を小さく形成すれば、球状弁6の下部6aは狭い面積となり、この場合には容器1への指の押圧をより大きくしないと液体調味料が注げなくなる。このように突条22を設ける位置を変えることよって、使用量の手加減の調節が可能となる。
【0029】
又、図4、図5及び図6は示すように、前記弁座付外筒部3の上部に先端部が液切れ可能となる形状としたノズル13を装着する形態が可能である。
該ノズルは、開いた注ぎ口Sの口径を先端部21寄りで小さく絞ってからラッパのように外周に広げた形状とすると液切れ可能となる。
該ノズル13では、使用後にノズル内に残った液体調味料が外に流れずに注ぎ口S内に戻る。このため、該注ぎ口Sの外部が液体調味料の垂れで汚れるのを防止し、衛生的に使用することが可能となる。
該ノズル13の取り付け方は、図4に示すように、前記弁付き口栓2の外周面に凹凸嵌合部14を設けるととともに、ノズル13の内周面に前記弁付き口栓2の凹凸嵌合部14と嵌合可能な凹凸ノズル側凹凸嵌合部15を設けて、前記弁座付外筒部3に嵌め込んで装着する。
この嵌め込みを容易に着脱可能とすれば、ノズル13先端の絞り口を大小数種類の口径のものを用意しておけば、使用する液体調味料のさじ加減を最適な量に選んで容易に取替え使用することが可能となる。
【0030】
なお、図4は、前記開脚状弾性体8が加圧脚高aの復元力で球状弁6の下部6aを前記弁座部11に押し付けて強制的に閉じた状態を示す。
又、図5及び図6は、前記開脚状弾性体8が加圧脚高bの前記加圧脚高aよりも大きい復元力で球状弁6の下部6aを前記弁座部11に押し付けているが、その力に抗して容器1を指で強く押して容器中の液体調味料を加圧することで、容器中の液体調味料が前記開脚状弾性体8の脚部8a間の隙間を通過し、更に液送路10を通過して球状弁6の下部6aを上方向に押圧して押し上げて球状弁6を開いている状態を示している。
この球状弁6を開いたときに前記弁座部11と球状弁6の下部6aとの隙間は球状弁6の表面の球径中心と前記弁座部11の球状凹部の球径中心とが共通となる形状にすれば、図5及び図6に示すように、両者間に均一な幅の流路が形成でき、液体調味料を注ぎ口Sから円滑に送り出することが可能となる。
【0031】
又、図7及び図8に示すように、前記弁座付外筒部3の注ぎ口Sに脚圧調節用内筒部16を設けた形態が可能である。
この形態では、前記弁座付外筒部3の注ぎ口Sには、内部側面に雌ネジ部17を備えた円筒形の内筒嵌合部19を設ける。
又、外周には前記雌ネジ部17に螺合する雄ネジ部18を備え、内部には注ぎ口Sを開口してその注ぎ口Sの下部の中央には液送路10を備え、更に、該液送路10の周囲には球状弁6を密接載置可能な弁座部20を形成して、外観が円筒状を成す脚圧調節用内筒部16を形成する。
そして、該脚圧調節用内筒部16は前記内筒嵌合部19に対して出没可能に螺着する。
【0032】
この形態では、脚圧調節用内筒部16を回転するだけで、前記内筒嵌合部19に対する前記開脚状弾性体8の脚部8aの加圧脚高aを、図7の(イ)に示す位置(加圧脚高a)から、図8の(イ)に示す位置(加圧脚高b)に容易に調節することが可能となる。
そして、多めに液体調味料を使用するときには、図7の(ロ)に示すように、前記加圧脚高bを大きく取れるように前記脚圧調節用内筒部16を回転して引き下げて使用し、又これと逆に、少なめに液体調味料を使用するときには、図8の(ロ)に示すように、前記加圧脚高dを小さく取れるように前記脚圧調節用内筒部16を回転して引き上げて使用することが可能となる。
【0033】
このように前記加圧脚高を変えることで、前記開脚状弾性体8の復元力を変化させて、同じ力で容器1を押したとしても、出量に差をつけることが可能となる。
即ち、前記加圧脚高を小さくすれば指で押す力を強くしなければ球状弁6が開かず、また加圧脚高を大きくすれば指で押す力が弱くても球状弁6が容易に開き、液体調味料の出し方に手加減調節が可能となる。
この結果、容器1を指で押したとき多く出過ぎたり、少な過ぎたりするのを防止し、使用する液体調味料の使用量に応じた適量に調節することが可能となる。
【0034】
以上が本発明の構成であるが、次に本発明の使用方法を液体調味料が醤油である場合を説明する。
【0035】
本発明の液体調味料容器内には、空気が入らないように醤油を充填する。
使用する柔軟な容器1は、醤油を充填した状態で、膨らむ力を持っている容器を使用する。
該容器1の中の醤油は常時は減圧状態となっている。従ってその減圧力は液送路10を通過して前記球状弁6の下部6aの液送路10に開いた面を吸い付けて引き下げる力となる。
この球状弁6を下に引き下げる力は、前記開脚状弾性体8の復元力で球状弁6を下に引き下げる力に加わって、液送路10の上部開口部10aへ前記球状弁6を引き下げ、前記球状弁6と弁座部11とが当接して上部開口部10aが塞がれる。
【0036】
醤油を料理に使用する場合には、柔軟な容器1の側面を指で押すと、容器1内の醤油の圧力が高まって、その圧力を受けた醤油が、脚部8a相互間の隙間を通過し、更に液送路10を通過して前記球状弁6の下部6aの液送路10に開いた面を加圧する。
更に容器1の側面を押して圧力を加えると、前記開脚状弾性体8の押圧力に抗して球状弁6が上昇して開き、注ぎ口Sへ醤油を押し出し、注がれる。
【0037】
そして、前記容器1を押すのをやめると、容器1の膨らむ力で醤油が減圧され注ぎ口Sにある醤油が前記液送路10に前記球状弁6と弁座部20との隙間から引き込まれ、同時に、前記開脚状弾性体8の復元力とによって球状弁6が引き下げられる。そして、前記球状弁6と弁座部11とが当接して上部開口部10aが塞がれる。
このとき、上部開口部10aが塞がれた状態で、注ぎ口Sを斜め下に向けた状態とすると、注ぎ口Sにあった醤油を外に放出する。そして、注ぎ口Sの醤油が全部なくなるが、醤油は、全部が容器内に戻るのではなく、前記球状弁6と弁座部11との当接面に濡れた状態に僅か残って、前記球状弁6と弁座部11との間の接する面をシールし、上部開口部10aの空気が容器1内に入り込めないようにする。
【0038】
使用中の容器1は、中に充填された醤油の量で形状が変わり、その形状によって容器の膨らむ力は変化する。この容器の膨らむ力は、前記球状弁6の下部6aの液送路10に開いた面を引き下げる力となるので、その膨らむ力の変化が前記球状弁6を引き下げる力の不安定をもたらすこととなる。
しかし、本発明では、前記開脚状弾性体8の復元力が加わることによって球状弁6が強制的に引き下げられるので、たとえ容器1の膨らむ力が弱くても、前記開脚状弾性体8の復元力だけで前記球状弁6を引き下げることが可能となる。このため、確実に注ぎ口Sを塞いで空気の流入を防止し、安心して使用することが可能となる。
なお、前記開脚状弾性体8に復元力が強力なもの使用すれば、その分強く容器を押圧しなければ醤油を出すことはできなくなるが、この場合、容器1の膨らむ力が全く無くとも空気を容器内に入れないようにする機能を維持することが可能となる。
【0039】
なお、図1に示すように、容器1の前記弁座付外筒部3にはキャップCを被着すると衛生的となるので好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の用途は液体調味料を入れて用いる容器であるが、液体調味料以外の液体であっても、空気接触を防ぐ必要のある液体を入れるのに使用するとも可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 容器
1a 容器の開口部
2 弁付き口栓
3 弁座付外筒部
4 弁部材
5 往復ロッド
6 球状弁
6a 球状弁の下部
7 弾性体係止部
8 開脚状弾性体
8a 弾性体の脚部
9 装着用孔
10 液送路
10a 上部開口部
10b 下部開口部
11 皿状弁座部
12 開閉脚受け座部
13 ノズル
14 弁付き口栓側凹凸嵌合部
15 ノズル側凹凸嵌合部
16 脚圧調節用内筒部
17 弁付き口栓側雌ネジ部
18 内筒部側雄ネジ部
19 内筒嵌合孔
20 皿状便座部
21 ノズルの先端部
22 突条
S 注ぎ口
L 液充填空間
R 注ぎ口の内径
r 球状弁の径
H 液送路の内径
B 往復ロッドの径
a 加圧脚高
b 加圧脚高
c 加圧脚高
d 加圧脚高
C キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟に変形して容量が変化する容器の開口部に、弁付き口栓を密封状態に装着した液体調味料容器であって、
前記弁付き口栓は、
a)下部の液送路と上部の注ぎ口とが中心を縦に貫通し、該液送路と注ぎ口との境に注ぎ口側に広がる一部を球状凹面に形成した弁座部を備えた弁座付外筒部と、
b)前記弁座付外筒部の液送路内に径の大小による流路を確保して往復可能に貫挿した往復ロッドと、該往復ロッドの上端に一体形成した前記弁座部の球状凹面の曲率半径より小さい径の球状弁と、前記弁座付外筒部の下部開口部から突出した下端に一体形成した弾性体係止部とを備えた弁部材と、
c)前記弁部材の弾性体係止部に中央部に設けた装着用孔を嵌着するとともに中央から斜め上方へ相互間に隙間を形成して放射状に伸びた複数の脚部を有し、該脚部を前記弁座付外筒部の下部を復元力で前記弁部材を下方へ付勢させる開脚状弾性体とで構成し、構成する各部の中心を共通の中心線上に配したことを特徴とする液体調味料用容器。
【請求項2】
弁座付外筒部の下部開口部の下側に開脚状弾性体の脚部を抱えるように受け止める開閉脚受け座部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の液体調味料用容器。
【請求項3】
弁座付外筒部の弁座部の高さ中間部位に、上部開口部と同心円状の突条を、球状弁の下部が密接可能に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体調味料用容器。
【請求項4】
弁座付外筒部の注ぎ口に、内部側面に雌ネジ部を備えた円筒形の内筒嵌合部を設け、
外周には前記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部を備え、内部には注ぎ口を開口してその注ぎ口の下部の中央には液送路を備え、その液送路の周囲には球状弁を密接載置可能な弁座部を形成した円筒状の脚圧調節用内筒部を出没可能に螺着したことを特徴とする請求項1から3のうちいずれかに記載の液体調味料用容器。
【請求項5】
開脚状弾性体を弁部材に装着前は、該開脚状弾性体の各脚部を上向きに形成し、弁部材に装着時は、弁座付外筒部の下部と弁部材の弾性体係止部とで加圧して前記各脚部を斜め横向きに開脚変形させることで各脚部に上向きの復元力を発生させるように装着したことを特徴とする請求項1から4のうちいずれかに記載の液体調味料用容器。
【請求項6】
弁座付外筒部の上部に、先端部が液切り可能な形状のノズルを装着したことを特徴とする請求項1から5のうちいずれかに記載の液体調味料用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−246022(P2012−246022A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119954(P2011−119954)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(511130759)
【Fターム(参考)】