説明

液化ガス供給装置および供給方法

【課題】 操作性がよくかつコンパクトな構成によって、低蒸気圧の液化ガスの送気配管における液化を防止し、所望の流量を安定的に供給することが可能な液化ガス供給装置および供給方法を提供すること。
【解決手段】 充填容器1aから配管送気されて、これと離隔されたプロセス装置5に液化ガスを供給する液化ガス供給装置において、充填容器1a内の液相の液化ガス温度Toを1次配管設備2の環境温度Taの最低温度以下、再液化手段3a内の液化温度Tcあるいはこれと貯蔵手段3bの貯蔵温度Tsを充填容器1a内の液相の液化ガス温度To以下、および2次気化手段3c内の液相の液化ガス温度Tgを2次配管設備4の環境温度Tbの最低温度以下にそれぞれ制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガス供給装置および供給方法に関するもので、特に、HF、CLF、BCL、SiHCL、WF等に代表される低蒸気圧の半導体用特殊材料ガスや各種プロセスガスなどを供給する液化ガス供給装置および供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスや各種プロセスで使用される特殊材料ガスや各種のプロセスガスには、HF、CLF、BCL、SiHCL、WF等に代表される蒸気圧の低い液化ガスがよく用いられている。このような低蒸気圧液化ガスは、通常高圧ガス容器(以下、「容器」という)に液体状態で充填され、当該液化ガスを消費する半導体製造工場や各種のプロセスに納入される。このとき、液化ガスの消費設備である半導体製造プロセス装置や各種のプロセス装置(以下「プロセス装置」という)では、これらの液化ガスを液体状態ではなく気体状態で受け入れ、気体状態で使用される。このとき、液化ガスを充填した容器は、シリンダーキャビネットと呼ばれるガス供給設備に収納され、その容器内で気化させて気体状態にしてプロセス装置に繋がれた配管に送り出すようになっている。
【0003】
ここで、容器内で気化した液化ガスをプロセス装置にまで送るためのエネルギーは、液化ガスの蒸気圧という圧力エネルギーだけであり、ポンプ等の外部エネルギーは通常使用されない。このため、低蒸気圧液化ガスの供給システムにおいては、液化ガスの蒸気圧そのものが極めて低いためほとんど減圧することなく飽和蒸気の状態に近い状態で配管に送気される。従って、供給配管の局所的な温度低下部の存在や季節の変化や空調条件の変更等の影響によって、液化ガスが配管内で液化するという技術的な問題を抱えている。従来の液化ガス供給システムでは、こうした配管の局所的温度低下部や空調条件の変動の影響を回避するために、図6や図7に例示するように、液化ガスの供給用シリンダーキャビネット301はプロセス装置302と同一の空調エリアに設置されるのが普通である。図6は、シリンダーキャビネット301とプロセス装置302が文字通り同一の部屋(クリーンルーム300)に設置されている例であり、図7は、シリンダーキャビネット301が、プロセス装置302の置かれたクリーンルームフロア303の床下のプレナムと呼ばれるフロア304のプロセス装置直下付近に置かれている例である。クリーンルームフロア303とプレナムフロア304間は、グレーティング305と呼ばれる格子状の床であり、空調エアは床上から床下に流れるようになっていて、シリンダーキャビネット301とプロセス装置302は、実質的に同一空調エリアに置かれている。
【0004】
また、供給配管系における液化ガスの再液化を防止する方法として、図8(A)や(B)に示すような液化ガス供給装置が提案されている。つまり、図8(A)においては、材料ガスの供給系配管105をガスの気化点以上に加熱する加熱装置を用いている。液化材料ガス供給配管105内に供給された液化材料ガスは、管路を自らの気化点以上に加熱されているため、再液化が防止される。ここで、101はマスフローコントローラである。102は温度センサで、液化材料ガスの温度を検知する。103は温度制御回路で、104は材料ガス供給系配管を加熱するヒータで、105は液化材料ガス供給配管である。106はプロセスチャンバ、107は液化材料ガス貯蔵シリンダである。また、図8(B)においては、液化材料ガス貯蔵シリンダ107からマスフローコントローラ101に至る配管、ならびにマスフローコントローラ101からプロセスチャンバ106に至る液化材料ガス供給配管105の全域を、断熱被覆材108で被覆し、周辺の環境による影響を受けないようにする構成を備え、液化材料ガスの再液化を抑える。以上のように、液化材料ガス供給系配管に断熱被覆材108を設けることにより、液化材料ガスの安定供給を実現し、安定した成膜およびパターン・エッチングを実現することができる(例えば特許文献1参照)。
【0005】
さらに、半導体製造プロセス等で使用する液化ガスには、毒性、可燃性、腐蝕性といった危険なガスが多いため、これら容器の交換作業は常に危険性を伴う作業といえる。そのため容器の交換を伴うシリンダーキャビネットは、安全上の観点から一般作業員のいる部屋とは隔離されたシリンダーキャビネット専用の部屋に集約し、関係者以外の立ち入りを制限することが望ましい。実際、例えば図9に示すように、大部分のガスを供給するシリンダーキャビネット301は、このようなシリンダーキャビネット301専用の部屋306に集約設置され、そこから材料を消費するプロセス装置302まで配管307で供給する方式を通常採用している。さらに、爆発性を有するシランガスなどについては、プロセス装置とは建屋を異にする保安能力をさらに強化した液化ガス専用供給棟から配管で製造プロセス棟内の製造プロセス装置まで配管で供給している程である。
【0006】
【特許文献1】特開平10−12556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のような液化ガス供給装置では、以下の課題が生じることがあった。
(i)低蒸気圧の液化ガス供給装置における設置条件の制限
図6や図7のような液化ガス供給システムにおいては、液化ガスの蒸気圧が低いために配管送気時の圧力損失によってプロセス装置302に十分な圧力で供給できず、流量の不安定化に繋がるという問題が挙げられる。このため、シリンダーキャビネット301をプロセス装置302の直近に置かざるを得ず、液化ガスは、他のガスのように製造プロセス302のエリアとは独立したガス専用供給エリアから長距離配管で供給することが困難で、仕方なくプロセス装置302の設置エリアに置いているのが現状で、プロセス作業員の安全上、ユーティリティ設備の管理上からも改善が求められている。
【0008】
(ii)液化ガス供給配管での液化ガスの再液化による供給の不安定化
製造プロセス等で使用する液化ガス供給装置においては、上記のように、シリンダーキャビネットをプロセス装置の置かれた部屋とは別の部屋に置かれることが好ましい一方、液化ガスの供給配管は異なる部屋間を横断することとなり、配管がいろいろな環境温度の領域を通過することから、配管全域の温度を配管内で液化ガスの再液化が起きないよう適切な温度に保つことが困難である。液化ガス供給配管内で液化ガスが再液化すると、再液化した液化ガスが配管を全面的ないしは部分的に塞ぐことにより、液化ガス供給圧力が不安定となり、製造プロセス条件の不安定化による生産性の低下(半導体プロセスにあっては歩留まりの低下)に繋がることになる。特に、低蒸気圧の液化ガスについては、本来供給圧力を確保することが容易ではないこととともに、供給配管での再液化を防止することがさらに困難であり、例えば、図8(A)のような保温配管を用いた液化ガス供給装置では、保温配管の付設作業の負荷や保温ムラの排除などが問題となり、図8(B)のような加熱配管を用いた液化ガス供給装置では、高温での加熱配管の設置に伴うエネルギー負荷の増大や周囲の作業環境への影響などが問題となる。
【0009】
(iii)供給配管での材料の再液化による配管腐蝕
半導体製造プロセス等で使用する液化ガスの多くが、腐蝕性を有する物質であり、供給配管内で液化ガスが再液化すると、つぎのような数々の問題点が発生する可能性がある。
(iii−1)配管腐蝕によるプロセスの歩留低下
配管の腐蝕によって発生した腐蝕生成物が液化ガスの気体中に同伴し、例えば半導体製造プロセスにおいては、金属汚染不純物としてプロセスチャンバおよびウエーハを汚染することになり、半導体製造欠陥を誘発し、歩留まりの低下を来たすことになる。
(iii−2)腐蝕生成物による配管機器の故障を誘発
同伴された腐蝕生成物が、液化ガス供給配管中のバルブやマスフローコントローラの動作不全を誘発し、その都度、これら配管機器交換作業に伴う装置稼動時間の低下による製造プロセスの生産量の低下に繋がる。
(iii−3)腐蝕による配管の強度劣化による配管寿命の低下
配管が腐蝕すれば配管肉厚が低下する。また、腐蝕は均一な腐蝕だけとは限らず孔食のような局所的に進行する。こうした腐蝕のことを考慮すれば、配管の寿命は腐蝕によって大幅に低下する可能性があり、特に半導体製造プロセスのように内面処理された高価な配管の寿命低下は、製品コストの面においても大きな負荷となる。
【0010】
(iv)供給圧力不足による液化ガスの供給流量に制約
液化ガスを気化して気相でプロセスまで送る液化ガス供給システムでは、供給配管が長くなると配管抵抗によるエネルギーロスのため、製造プロセスに十分な圧力を有する液化ガスを送ることができなくなる。そのため、プロセスが望む流量の液化ガスを送ることができなくなるという問題点があった。この問題は、1台のシリンダーキャビネットから複数のプロセス装置に分岐供給したいという場合には、ますます大きな障害事項になる。そのため液化ガスの流量がクリティカルなプロセス装置においては、プロセス装置1台に対してそれぞれシリンダーキャビネット1台を用意する必要が生じ、それだけ設備の費用負担も増大することとなる。
【0011】
(v)安全上の問題点
図9に示すような製造プロセス装置においては、安全性の確保ができても、低蒸気圧の液化ガス用シリンダーキャビネットは、低蒸気圧であるが故に長距離配管による供給が困難であることと、飽和蒸気の状態で供給するが故に配管内で液化しやすいという理由のために、図6や図7のような液化ガス供給システムによって、安全上の難点はあるもののやむを得ずシリンダーキャビネットをプロセス装置直近の一般作業員のいる労働環境下に併設しているのが現状である。低蒸気圧の液化ガスであって、かつ毒性、可燃性、腐蝕性といった危険なガスに対する安全性を以下に確保するかが大きな課題である。
【0012】
本発明の目的は、操作性がよくかつコンパクトな構成によって、低蒸気圧の液化ガスの送気配管における液化を防止し、所望の流量を安定的に供給することが可能な液化ガス供給装置および供給方法を提供することにある。特に、半導体用特殊材料ガスや各種プロセスガスなどのように、危険性や腐蝕性の高い液化ガスに対しても、安全性を確保しながら所望の流量を安定的に供給することが可能な液化ガス供給装置および供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示す液化ガス供給装置および供給方法によって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0014】
本発明は、液化ガスが充填された容器、充填された液化ガスを気化させる1次気化手段、前記容器内の液相の液化ガス温度Toを測定する手段、および前記容器内の液相の液化ガス温度Toを制御する手段を有する1次液化ガス供給設備、
前記液化ガスを気体状態で送気する1次配管および1次配管を含む設備内の環境温度Taを測定する手段を有する1次配管設備、
送気された液化ガスを再度液化させる再液化手段、該液化ガスを液体状態で貯蔵する貯蔵手段、貯蔵された液相の液化ガスを再度気化させる2次気化手段、前記再液化手段における液化温度Tcを測定する手段、前記貯留手段における貯蔵温度Tsを測定する手段、前記2次気化手段内の液相の液化ガス温度Tgを測定する手段、および前記液化温度Tc、貯蔵温度Ts、液相の液化ガス温度Tgを制御する手段を有する2次液化ガス供給設備、
前記液化ガスを気体状態でガス消費設備に送気する2次配管および該2次配管を含む設備内の環境温度Tbを測定する手段を有する2次配管設備、
を有し、前記容器から配管送気されて、これと離隔されたガス消費設備に液化ガスを供給する液化ガス供給装置において、
前記液相の液化ガス温度Toを環境温度Taの最低温度以下、前記液化温度Tcあるいはこれと前記貯蔵温度Tsを液相の液化ガス温度To以下、および前記液相の液化ガス温度Tgを環境温度Tbの最低温度以下にそれぞれ制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、液化ガスが充填された容器から配管送気されて、これと離隔されたガス消費設備に液化ガスを供給する液化ガス供給方法において、
(1)前記容器に充填された液化ガスを、1次気化させる工程
(2)気化された液化ガスを、1次配管系を介して1次送気する工程
(3)送気された液化ガスを、再度液化させる工程
(4)液化した液化ガスを、液相で貯蔵する工程
(5)液体状態の液化ガスを、2次気化させる工程
(6)気化された液化ガスを、2次配管系を介してガス消費設備に2次送気する工程
(7)工程(5)において使用する液体状態の液化ガスを、工程(4)によって貯蔵した液化ガスを用いて補給する工程
を有するとともに、
前記工程(1)における液相の液化ガス温度を、前記工程(2)における1次配管系の最低温度以下に制御し、
前記工程(3)における液化温度あるいはこの液化温度と前記工程(4)における貯蔵温度を、前記工程(1)における液相の液化ガス温度以下に制御し、
前記工程(5)における液相の液化ガス温度を、前記工程(6)における2次配管系の最低温度以下に制御することを特徴とする。
【0016】
液化ガス供給装置は、例えば半導体製造プロセスなどにおいて液化ガスの安定した供給が要求され、特に、低蒸気圧の液化ガスの場合、その送気流路における再液化や圧力損失による供給量の低下などの課題は、従前の液化ガス供給装置では十分に対応することができなかった。本発明は、こうした課題に対して、気化させて送気された液化ガスを、一旦ガス消費設備であるプロセス装置の近くで強制的に液化させた後、再度気化させてプロセス装置に送気することによって、低蒸気圧の液化ガスの場合であっても、送気配管(1次配管および2次配管)での液化を防止するとともに液化ガスが充填された容器(以下「充填容器」という)からプロセス装置までの送気圧力を確保し、所望の流量を安定的に供給することが可能な液化ガス供給装置および供給方法を提供することが可能となった。
【0017】
つまり、1次気化手段における加温処理、再液化手段における低温処理および2次気化手段における加温処理という3段階の処理プロセスを経ることによって、1次配管および2次配管における再液化の防止を図るとともに、処理エネルギーの差による送気圧力の確保を図ることが可能となった。また、充填容器およびプロセス装置という設置条件によって規制される温度条件の下においても、対象となる液化ガスの沸点(つまり、液化ガス蒸気圧)に対応した、1次気化手段における加熱温度、1次気化手段から再液化手段の間の温度差、および2次気化手段における加熱温度を設定することによって、送気配管における再液化の防止を図るとともに、送気圧力の確保を図ることが可能となった。
【0018】
また、液化ガス供給装置あるいは供給方法において送気配管における再液化の防止と送気圧力の確保を図るには、1次気化手段、1次配管(配管系)、再液化手段(貯蔵手段)、2次気化手段、および2次配管(配管系)の温度管理が重要である。本発明は、これらを上記の3段階の処理プロセスに基づき、(a)1次気化手段と1次配管の関係、(b)1次気化手段と再液化手段(貯蔵手段)の関係、(c)2次気化手段と2次配管の関係、によって温度制御を行うことによって、低蒸気圧の液化ガスを供給対象とする場合であっても、その対象となる液化ガスの沸点に対応した再液化の防止と送気圧力の確保を図ることができる。つまり、主として送気配管における再液化の防止の観点から、(a)1次気化手段における液相の液化ガス温度(以下「1次液相温度」という)を1次配管系の最低温度以下に制御し、(c)2次気化手段における液相の液化ガス温度(以下「2次液相温度」という)を2次配管系の最低温度以下に制御するとともに、主として送気圧力の確保の観点から、(b)再液化手段における液化温度を1次液相温度以下に制御、あるいは同時に貯蔵温度を1次液相温度以下に制御するものである。
【0019】
このとき、上記液化ガス供給方法であって、前記工程(1)において、
(1−1)液化ガスの送気前に前記容器を冷熱によって冷却し、液相の液化ガス温度を、通常の制御温度よりも低温であって1次配管系の最低温度以下でかつ環境温度以下にする
(1−2)前記容器からの液化ガスの送気を開始する
(1−3)送気に伴いさらに低温化した液相の液化ガスを温熱によって加温し、通常の制御温度に制御する
からなる操作を有することが好適である。
【0020】
充填容器内の液化ガスの蒸気圧は、初期的に設置された環境温度の飽和蒸気圧となっている。一方、液化ガス供給装置において液化ガスの送気が開始されると、液相からの気化に伴う気化熱によって液温が低下し、それに伴う蒸気圧の低下が始まる。従って、液化ガスの送気に際しては、こうした条件の下で、送気配管における再液化の防止と送気圧力の確保を図る必要がある。本発明は、まず、液化ガスの送気前に充填容器を冷熱によって冷却し、液相の液化ガス温度を、通常の制御温度よりも低温であって1次配管系の最低温度以下でかつ環境温度以下にすることによって、1次配管系の最低温度が環境温度以下の場合であっても確実に送気配管における再液化の防止を図り、その後の昇温および適温制御によって、送気圧力の確保を図るが可能となる。
【0021】
本発明は、上記液化ガス供給装置であって、前記2次液化ガス供給設備において、再液化手段、貯留手段および2次気化手段として機能する構成部を少なくとも2つ有し、これらを独立的な機能でかつ交互に切換えることができる機能を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上記液化ガス供給方法であって、前記工程(3)〜工程(5)の処理が可能な少なくとも2つの処理系を有し、少なくとも1の処理系において前記工程(3)および(4)からなる再液化貯蔵モードが処理されると同時に、他の処理系において前記工程(5)からなる再気化モードが処理され、こうした対となる当該処理を所定時間継続した後、これらの処理系を交互に切り替えながら後段のガス消費設備に連続的に液化ガスを送気することを特徴とする。
【0023】
各種の製造プロセスにおいては、液化ガスが連続的かつ安定的に送気されることが要求されることが多い反面、一時的に多量の液化ガスを必要とされる場合もある。このとき、低蒸気圧の液化ガスについては、充填容器から1の1次配管で送気可能な液化ガスの量には限界があり、上記のように「供給圧力不足による液化ガスの供給流量に制約」という課題があった。本発明に係る液化ガス供給装置においては、再液化手段によって液体状態となった液化ガスを貯蔵手段に常に所定量貯蔵することによって、緊急の量的要請に対応するとともに、充填容器から送気された液化ガスを2次的に液化させ貯蔵する処理系と、貯蔵された液化ガスを2次気化させる処理系の両方を独立的に2次液化ガス供給設備に設けることによって、貯蔵手段に常に所定量の液化ガスを確保できるようにした。
【0024】
つまり、再液化手段および貯留手段としての機能と2次気化手段としての機能を、それぞれ少なくとも2つ、独立的な機能でかつ交互に切換え可能な機能として有することによって、後者における気化すべき液化ガスが少量になった時点で前者に切換えて気化させ、液化ガスの気化を間断なく継続することが可能となる。従って、低蒸気圧の液化ガスであっても、要求される液化ガスの量的な変動に迅速に対応できる液化ガス供給装置を提供することが可能となる。
【0025】
本発明は、上記液化ガス供給装置であって、前記構成部における再液化手段および貯留手段としての機能から再気化手段としての機能への切換えあるいはその逆の切換えにおいて、該構成部を構成する各手段のいずれかがその機能を確保可能な状態になった時点で、予め各手段の制御温度をそれぞれの機能の前記制御温度に切換えることを特徴とする。
【0026】
再液化手段および貯留手段としての機能と2次気化手段としての機能は、それぞれ独立的に液化ガスの処理を行う機能であるとともに、上記のようにその制御温度が重要な役割を果たしている。しかしながら、こうした機能を交互に切換えた場合において、液化ガスの処理機能の迅速な切換えは比較的容易である一方、気相および液相が共存する各手段においてはその温度の切換えの迅速性を確保することが難しい。本発明は、こうした機能の切換えに際し、構成部を構成する各手段のいずれかがその機能を確保可能な状態になった時点で、予め各手段の実動温度をそれぞれの機能の制御温度に切換えることによって、迅速に各機能を確保するもので、安定的に液化ガスを供給することが可能となる。
【0027】
本発明は、上記液化ガス供給装置であって、前記2次液化ガス供給設備において、前記貯蔵された液相の液化ガスをキャリアガスによって同伴させて供給する2次気化手段を有することを特徴とする。
【0028】
半導体プロセスなどの製造プロセスにおいては、供給されるプロセスガスを低濃度の液化ガスあるいは複数の液化ガスを混合して使用する場合がある。このとき、2次気化手段において、液化ガスを純物質としてではなく、キャリアガスに同伴させて供給することが好ましい場合もある。特に、1次液化ガス供給設備で調整したプロセスガスをプロセス装置に送気する場合、配管系での再液化の防止や供給される液化ガスの流量や濃度の安定性を確保することが困難であること、2次液化ガス供給設備はプロセス装置の近傍に設置されることが多く、使用条件に対応したプロセスガスの汎用的な供給が要求されること、および上記の1次液化ガス供給設備から2次液化ガス供給設備まで液化ガスを供給することの安全性や法律上の制約などを考慮すると、2次液化ガス供給設備まで送気されプロセス装置の近傍に貯蔵された液相の液化ガスを準備できるという本発明の優れた機能をさらに活かし、さらに汎用性の高い液化ガス供給装置を提供することができる。
【0029】
本発明は、上記液化ガス供給装置であって、前記1次液化ガス供給設備の1つに対して複数の前記2次液化ガス供給設備の接続が可能なように前記1次配管設備を分岐配管で構成し、前記1次液化ガス供給設備からの液化ガスを、前記2次液化ガス供給設備のいくつかに同時に供給することを可能とすることを特徴とする。
【0030】
半導体プロセスを始め各種の製造プロセスは、種々の条件で稼動されることから、供給される液化ガスについては、その種類が異なる場合だけではなく、その圧力条件が異なる場合がある。かかる場合に液化ガス供給装置の1次供給設備において対応することは、1次配管系の条件変更を伴うこともあり大きな困難性を伴うことが多い。本発明に係る液化ガス供給装置においては、1次液化ガス供給設備、1次配管設備、2次液化ガス供給設備および2次配管設備がそれぞれ高い独立性を有することから、1次配管設備を分岐配管で構成して1次液化ガス供給設備の1つに対して複数の2次液化ガス供給設備の接続を行うことによって、1次液化ガス供給設備からの液化ガスを、2次液化ガス供給設備のいくつかに同時に供給することが可能となる。また、全ての1次配管系における液化ガスの供給を気体状態で行うことができることから、送気配管における再液化の防止および送気圧力の確保を図ることができる本発明の技術的な効果を一層有効に利用することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明に係る液化ガス供給装置および供給方法によれば、送気配管における再液化の防止を図るとともに、送気圧力の確保を図ることが可能な液化ガス供給装置および供給方法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ここでは、充填容器から配管送気されて、これと離隔されたガス消費設備に液化ガスを供給する装置であって、
充填容器、1次気化手段、充填容器内の液相温度測定手段、およびその温度制御手段を有する1次液化ガス供給設備、
1次配管および環境温度測定手段を有する1次配管設備、
再液化手段、貯蔵手段、2次気化手段、液化温度測定手段、貯蔵温度測定手段、2次気化手段内の液相温度測定手段、およびその温度制御手段を有する2次液化ガス供給設備、
2次配管および環境温度測定手段を有する2次配管設備、
を有し、充填容器内の液相温度を1次配管設備の環境温度の最低温度以下、液化温度あるいはこれと貯蔵温度を充填容器内の液相温度以下、および2次気化手段内の液相温度を2次配管設備の最低温度以下にそれぞれ制御し、低蒸気圧の液化ガスの場合であっても、送気配管での液化を防止するとともに充填容器からプロセス装置までの送気圧力を確保することが基本となる。
【0033】
<本発明に係る液化ガス供給装置の基本構成例>
図1は、本発明に係る液化ガス供給装置(以下「本装置」という)の基本構成例を示す概略図である。液化ガスの消費設備であるプロセス装置5の置かれた部屋(以下「クリーンルーム30」という)とは離れた液化ガス専用の部屋(以下「液化ガス供給室10」という)に設置される1次液化ガス供給設備1と、プロセス装置の直近に設置される2次液化ガス供給設備3、両者を接続する1次配管設備2、および2次液化ガス供給設備3とプロセス装置5を接続する2次配管設備4から構成される。図1では、プロセス装置5がクリーンルーム30のクリーンルームフロア30aに置かれ、2次液化ガス供給設備3がプレナムフロア30bに置かれている。1次液化ガス供給設備1において、充填容器1aに充填された液化ガスは、1次気化手段1bによって気化される。気体状態となった液化ガスは、1次配管2aを有する1次配管設備2によって、2次液化ガス供給設備3に送気される。送気された液化ガスは、2次液化ガス供給設備3において、再液化手段3aによって再度液化させ、貯蔵手段3bによって液体状態で貯蔵される。貯蔵された液化ガスは、2次気化手段3cによって気化される。気体状態となった液化ガスは、2次配管4aを有する2次配管設備4によって、プロセス装置5に送気される。なお、導入された液化ガスを含むプロセス装置5からの排ガスは、排ガス処理装置6を介して排出される。
【0034】
液化ガスメーカから納入される充填容器1aの取付け、取外し作業は、もっぱら液化ガス供給室10でしか行なわないので、一般作業員の働いているプロセス装置5の置かれたクリーンルーム30内では、配管の大気開放という危険な作業は行わなくて済む。そのため、従来は不可能であった低蒸気圧液化ガスも含めた全ての液化ガスのクリーンルーム30からの完全分離、集中供給が可能となり、安全性の飛躍的増大と作業の効率化を図ることができる。以下、それぞれの構成要素について説明する。
【0035】
〔1次液化ガス供給設備1〕
1次液化ガス供給設備1は、詳細には、図2(A)に例示するように、液体状態の液化ガスを充填した充填容器1aをその筐体1z内に収納するものであって、この筐体1zには、1次気化手段1bとして、充填容器1a内の液化ガスの温度を予め設定された温度まで低温化する冷却部1cとともに、液化ガスを気化し供給した際に奪われる気化熱を必要時点で補給する加熱部1dを配設することによって、液化ガスの温度が設定された温度よりも下がり過ぎないよう作用する温度制御システム(図示せず)が組み込まれている。冷却部1cとしては、充填容器1aの下部または側面を環境温度(通常10〜30℃)から10℃程度冷却可能であれば十分で、例えば、図2(A)のように冷媒ユニット1eからの冷媒を冷熱源として用いる方法を適用することができる。加熱部1dとしては、充填容器1aの下部または側面を、例えば加熱空気やランプなどを熱源として用いる方法を適用することができる。ここで、充填容器1a内の液相の液化ガス温度Toを測定する手段(図示せず)および充填容器1a内の液相の液化ガス温度Toを制御する手段(図示せず)を有する。
【0036】
また、本装置は、液化ガスを低温化した状態での飽和蒸気圧のまま送気し、2次液化ガス供給設備3によって圧力制御する方法を適用することができるため、送気圧力を制御する圧力調整弁は、1次液化ガス供給設備1および送気配管系に設ける必要がないことも従来の供給方式とは異なる特徴である。なお、この1次液化ガス供給設備1の筐体内には、従前と同様、1次配管2aに繋がる送気配管系以外に、充填容器1a着脱時に充填容器1aと1次配管2aを接続する部分をパージするためのパージガス(窒素等の不活性ガス)導入配管やパージガスを排気するベント配管が組み込むことが可能である。
【0037】
さらに、本装置は、ガス消費設備であるプロセス装置5に直接液化ガスを供給するのではなく、2次液化ガス供給設備3内の貯蔵手段(タンク)3bに一旦貯めるだけであるため、プロセス装置5への液化ガス供給パターンとは無関係に、貯蔵手段3bに貯蔵する液化ガスが空になるまでに充填させれば良い。そのため、プロセス装置5側の使用流量に同期させる必要はなく、1次液化ガス供給設備1には、気化供給する容器を2つ用意して切り替えながら連続供給する必要は必ずしもなく、1系統だけ用意すれば事足りる。
【0038】
なお、充填容器1aであって搬送用の圧力容器は、液化ガスメーカと液化ガス供給装置の間を通う圧力容器そのものであるため、液化ガスの温度を測るために容器内に直接温度センサーを組み込むことが難しい。このとき、充填容器1a内部の液化ガスの液相温度は、気化した液化ガスの圧力を出口配管上に設けられた圧力センサー(図示せず)で常時モニターし、その圧力値から液化ガス固有の「飽和蒸気圧vs温度」特性曲線より演算して求めることが可能であり、測定の迅速性や精度面からこの方法を適用することが好ましい。本装置では、こうして得られた液相温度が、予め設定された温度になるよう一定温度にフィードバック制御する方式を採用することが好ましい。
【0039】
なお、充填容器1a内部の液化ガスの残量検知は、通常、重量測定によって行なわれるが、そのために、充填容器1aはロードセル1fの上に載せられた形で設置され、残量が少なくなった時点で、充填容器1aが交換される。
【0040】
図2(B)は、本装置における1次液化ガス供給設備1の変形例を示す。基本的な構成は、図2(A)と同様であるが、充填容器1aに充填された液体状態の液化ガスを気化する方法として、キャリアガス導入部1gおよび液相の液化ガスの最下層近くまでキャリアガス導入管1hが挿入されている点において相違する。1次気化手段1bとして、液相の液化ガス温度での蒸気圧に加え、キャリアガスによる強制的送気により送気能力の向上を図ることができる。特に、1次配管2aの距離が長く圧力損失が大きい場合には、1次気化手段1bにおける蒸気圧と再液化手段3aにおける蒸気圧の差によって得られる送気圧力に加え、キャリアガスによる強制的送気圧力を調整することによって、圧力損失の補完および液化ガスの供給量の調整を行うことができる。また、バブリングによって、気化熱による液相内での温度ムラの発生を防止し、液相温度の均一性を確保して安定性の高い液化ガスを供給することができる。さらに、本装置においては、2次気化をしてプロセス装置5に送気する液化ガス量とは別に、貯留手段3bへの供給量を設定することができることから、キャリアガスによって希釈された液化ガスを送気しても、希釈分送気量を増加することによって貯蔵必要量の液化ガスを確保することができ、かつ1次配管2aでの再液化の防止にも有効である。
【0041】
なお、本装置では、液化ガスをキャリアガスに同伴させれば十分であり、図2(B)のように液相内キャリアガスを導入してバブリングする方法だけではなく、液相の表層にキャリアガスを通過させる方法あるいは1次気化手段1bからのキャリアガスにさらにキャリアガスを添加して希釈する方法などを用いることも可能である。この場合、1次液化ガス供給設備1において調整される温度の基準は、各測定手段によって測定された温度そのものではなく、正確にはキャリアガスの露点によって制御することが好ましい。
【0042】
キャリアガスとしては、通常、He、Ar、Nといった不活性ガスを用いることが好ましい。ただし、エピタキシャルウエーハ処理プロセスのように、液化ガスとしてSiHClを用いた場合には、Hなどを用いることが好ましい。
【0043】
〔2次液化ガス供給設備3〕
2次液化ガス供給設備3は、2次液化ガス供給設備3および1次配管設備2から送気された気体状態の液化ガスを再度液化して一旦液体状態の液化ガスとして貯蔵する機能(以下「再液化貯蔵モード」ということがある)と、一旦貯蔵した液化ガスを再度気化させ気体状態でプロセス装置に送気する機能(以下「再気化モード」ということがある)を有する。
【0044】
本装置においては、連続的に稼動するプロセス装置用の液化ガス供給装置の要求が大きいことから、図3(A)および(B)に例示するように、「再液化貯蔵モード」と「再気化モード」を、それぞれ少なくとも2つ、独立的な機能でかつ交互に切換え可能な機能として有することが好ましい。貯蔵手段3bに常に所定量の液化ガスを確保し、連続的に所望の圧力および流量の液化ガスの供給が可能となる。
【0045】
具体的には、図3(A)において、2つ貯槽タンク31a,31bがあり、一方は1次液化ガス供給設備1から送気された液化ガスを、切換弁33a(開状態)を介して再液化手段3aで再液化し貯槽タンク31a内に一時的に貯蔵するように作用し、その間にもうひとつの貯槽タンク31bは、再液化により貯蔵された液化ガスを再度気化させ、切換弁33d(開状態)を介して送気するように作用する。2つの貯槽タンク31a,31bは、この2つの機能を切換えながらプロセス装置5への液化ガスの供給を連続的に行うことができるように作用する。つまり、貯槽タンク31aが「再液化貯蔵モード」にある場合には、切換弁33aが開状態、切換弁33cが閉状態にあり、「再気化モード」にある貯槽タンク31bは、切換弁33bが閉状態、切換弁33dが開状態にある。逆に、貯槽タンク31bが「再液化貯蔵モード」となる場合には、切換弁33bが開状態、切換弁33dが閉状態となり、「再気化モード」となる貯槽タンク31aは、切換弁33aが閉状態、切換弁33cが開状態となる。なお、図3(A)において、切換弁33a〜33dの「開状態」は弁部白、「閉状態」は弁部黒で表示する。
【0046】
2つの貯槽タンク31a,31bは、この「再液化貯蔵モード」と「再気化モード」という2つの作用を交互に担うように切換え制御することにより、プロセス装置5には連続的に液化ガスを供給できるようになっている。切換えは「再気化モード」にある貯槽タンク31bの液残量が予め設定したレベル以下になった時点で行われる。残量検知のためには通常重量測定によって行なうが、そのために2つのタンクはロードセル32の上に載せられた形で設置されている。
【0047】
なお、「再液化貯蔵モード」にある貯槽タンク31a側の動作をもう少し詳説すると、1次液化ガス供給設備1から送られてきた気体状態の液化ガスをこの再液化手段3aで冷却し再液化させると、この貯蔵手段3b内に液相の液化ガスが徐々に貯蔵されることになる。このようにして貯蔵された量が予め設定された規定量に達した時点で貯槽タンク31aの切換弁33aは自動的に閉止し、それと同時に、温度制御の設定温度がそれまでの再液化用設定値から再気化モードの設定に自動的に切換わるようになっている。これは「再液化貯蔵モード」から「再気化モード」に切換わる前に、待機している「再液化貯蔵モード」側の液温を予め「再気化モード」の温度設定に移行させ、モード切換え時の圧力不足状態を回避するようになっている。
【0048】
一方、2つの貯槽タンク31a,31bは、それぞれ低温化され一定の温度に保持するよう温度制御機能を持っている。つまり、再液化手段3aにおける液化温度Tcを測定する手段、貯留手段3bにおける貯蔵温度Tsを測定する手段、2次気化手段3c内の液相の液化ガス温度Tgを測定する手段、および液化温度Tc、貯蔵温度Ts、液相の液化ガス温度Tgを制御する手段を有し(図示せず)、1次液化ガス供給設備1から送られてきた液化ガスを再液化するのに十分な温度まで低温化されるとともに、再気化してプロセス装置5に送気するように温度制御される。2次液化ガス供給設備3の貯槽タンク31a,31bの温度制御は、貯槽タンク31a,31bの運転モードにより次のように異なる温度制御をするようになっている。すなわち「再液化貯蔵モード」にある貯槽タンク31aの温度制御は、貯槽タンク31a底面の壁面温度が予め設定された温度になるようフィードバック制御され、一方「再気化モード」にある貯槽タンク31bの温度制御は、1次液化ガス供給設備1の充填容器1aの温度制御と同様、貯槽タンク31b出口配管に組み込まれた圧力センサ34bで常時モニタし、その圧力値から液化ガス固有の「飽和蒸気圧vs温度」特性曲線より演算して求められた液体温度が予め設定された温度になるようフィードバック制御する方式を採用することが好ましい。
【0049】
なお、上記においては、図3に示すような2つの貯槽タンク31a,31bによる「再液化貯蔵モード」と「再気化モード」の切換え機能を有する場合について説明したが、本装置は、これに限定されるものではなく、1つの貯槽タンク31をバッチ的に「再液化貯蔵モード」と「再気化モード」の切換える場合や、「再液化貯蔵モード」専用の貯槽タンク31aと「再気化モード」専用の貯槽タンク31bを直列に配設する場合も可能である。
【0050】
図3(B)は、本装置における2次液化ガス供給設備3の変形例を示す。基本的な構成は、図3(A)と同様であるが、貯槽タンク31a,31bに貯蔵された液体状態の液化ガスを再気化する方法として、流量制御部(マスフローコントローラ)35と切換弁36a,36bを設けた点および液相の液化ガスの最下層近くまでキャリアガス導入管37が挿入されている点において相違する。2次気化手段3cとして、液相温度での蒸気圧に加え、キャリアガスによる強制的送気により送気能力の向上を図ることができる。特に、2次配管4aの距離が長く圧力損失が大きい場合には、1次気化手段1bにおける蒸気圧と再液化手段3aにおける蒸気圧の差によって得られる送気圧力に加え、キャリアガスによる強制的送気圧力を調整することによって、圧力損失の補完および液化ガスの供給量の調整を行うことができる。また、プロセス装置5に低濃度の液化ガスの供給が要求される場合あるいは複数の液化ガスを混合して使用する場合には、不活性ガスをキャリアとして液化ガスを同伴させて供給することによって、使用条件に対応した液化ガスの供給が可能となり、汎用性の高い液化ガス供給装置を構成することができる。
【0051】
このとき、キャリアガスに同伴する液化ガスの量(これを通常「ピックアップ・レート」という)を制御するには、キャリアガスの流量制御で行うことができる。すなわち、液相温度を略一定となるように制御している場合には、マスフローコントローラ35を制御してキャリアガスの流量を増やすことによって、ピックアップ・レートを増やすことができる。また、キャリアガスに同伴させる液化ガスの量に制限がなければ、図3(B)のように液相内キャリアガスを導入し、バブリングする方法ではなく、液相の表層にキャリアガスを通過させるなどの方法を用いることも可能である。なお、キャリアガスとしては、上記〔1次液化ガス供給設備1〕同様、HeやNといった不活性ガスあるいはHなどを用いることが好ましい。
【0052】
〔1次送気配管系2〕
1次液化ガス供給設備1と2次液化ガス供給設備3の間の1次配管系2である1次配管2aは、液化ガスの供給量に見合った配管径を有すること以外には、特別な仕様のものではなく、通常一般の半導体液化ガス供給配管などで用いられている配管で良く、また従来技術のような1次配管2a内再液化を防止する目的で必要となる保温とか加温装置等は一切不要である。ただし、上記のように、低蒸気圧の液化ガスには、腐食性で毒性を有するガスが多く、通常内面加工あるいは内面処理されたステンレス鋼管(SUS)などが用いられる。1次送気配管系2においては、その系の環境温度Taの分布を測定し、そのデータより1次送気配管系2の環境温度Taの変動幅の下限値を予測して、1次液化ガス供給設備1の液相の液化ガス温度Toの制御温度を、その下限値よりも低い値に設定することが望ましい。
【0053】
〔2次送気配管系4〕
これは2次液化ガス供給設備3とガス消費設備であるプロセス装置5の間の2次配管系4である2次配管4aである。1次配管2a同様、供給量に見合った配管径を有すること以外には、特別な仕様のものではなく、通常一般の半導体液化ガス供給配管で用いられている配管で良く、また従来技術のような配管内再液化を防止する目的で必要となる保温とか加温装置等は一切不要である。2次配管4aは、1次送気配管系2同様、SUS材質などが用い、2次送気配管系4の環境温度Tbを測定し、温度管理を行うことが好ましい。
【0054】
〔本装置における操作方法〕
本装置においては、上記の機能を活かし、以下のプロセスに沿って操作することが好ましい。
(1)充填容器1aに充填された液化ガスを、1次気化させる工程
(2)気化された液化ガスを、1次配管2aを介して1次送気する工程
(3)送気された液化ガスを、再度液化させる工程
(4)液化した液化ガスを、液相で貯蔵する工程
(5)液体状態の液化ガスを、2次気化させる工程
(6)気化された液化ガスを、2次配管4aを介してプロセス装置5に2次送気する工程
(7)工程(5)において使用する液体状態の液化ガスを、工程(4)によって貯蔵した液化ガスを用いて補給する工程
【0055】
つまり、気化させて送気された液化ガスを、一旦プロセス装置5の近くで強制的に液化させた後、再度気化させてプロセス装置5に送気することによって、低蒸気圧の液化ガスの場合であっても、送気配管(1次配管2aおよび2次配管4a)での液化を防止するとともに充填容器1aからプロセス装置5までの送気圧力を確保し、所望の流量を安定的に供給することができる。
【0056】
<本装置における温度制御>
本装置においては、図4に示すように、1次液化ガス供給設備1において、充填容器1a内の液相の液化ガス温度(1次液相温度)Toを1次配管設備2の環境温度Taの最低温度以下とし、2次液化ガス供給設備3において、液化温度Tcあるいはこれと貯蔵温度Tsを液相の液化ガス温度To以下、および前記液相の液化ガス温度(2次液相温度)Tgを環境温度Tbの最低温度以下に制御することを特徴とする。以下、予め設定された、1次液相温度を「Tset1」、液化温度(「再液化貯蔵モード」にある貯槽タンク31aの底面の壁面温度)を「Tset2」、2次気化温度(「再気化モード」にある貯槽タンク31b内液相温度)を「Tset3」とする。
【0057】
従来の供給方法では、液化ガスの送気配管内での再液化問題とともに、低蒸気圧の液化ガスの場合には、送気圧力、つまり1次液化ガス供給設備1からプロセス装置5までの差圧ΔPが十分確保できず、そのため十分な流量も確保できないという問題があり、低蒸気圧液化ガスの遠隔配管供給は困難であった。それに対して、本装置は、送気配管途中に2次液化ガス供給設備3という一種の液化ガスの中継部を設けることにより、1次液化ガス供給設備1と2次液化ガス供給設備3の間の1次配管2aを流れる液化ガスの圧力をプロセス装置5の要求する圧力とは切り離して設定できる仕組みを可能とした。これにより、1次配管2aを流れる液化ガスの飽和蒸気の温度を配管内再液化が起こらないところまで低温化することよって長距離配管における配管液化の問題を解消するとともに、同じく長距離配管による圧力不足問題という二つの問題を同時に解消するものである。
【0058】
具体的には、1次液化ガス供給設備1の液相温度の設定(Tset1)を、1次液化ガス供給設備1から2次液化ガス供給設備3までの1次配管2aの環境温度Taのどの部分の温度(例えば15〜30℃)よりも常に低い温度になるように、例えば10℃とした場合には、1次配管2aでの再液化を防止することができる。また、この条件で、2次液化ガス供給設備3における再液化させる貯槽タンク31aの設定温度(Tset2)を例えば0℃とし、±2℃程度に制御すれば、20〜30kPa程度の送気圧力を得ることができ、本装置の優れた機能を活かすことができる。一方、再気化させる貯槽タンク31bの液相温度の設定(Tset3)は、再液化時に設定した温度Tset2よりも高い温度で、かつこの2次液化ガス供給設備3からプロセス装置5までの2次配管およびプロセス装置5内の送気配管2aの環境温度Tbのどの部分の温度(例えば20〜25℃)よりも常に低い温度になるように、例えば15℃とし、±2℃程度で制御することによって、プロセス装置5で必要とする例えば30〜100kPa程度の供給圧力を確保できることができる。
【0059】
つまり、図4に示すように、この温度制御システムにおいて、1次液相温度Toを、周囲温度(1次配管設備2の環境温度Ta)よりも少なくとも3℃、制御マージンを考慮しても5℃ほど低い温度に保ちながら気化させる。このことにより1次配管1aにおける配管壁面での熱の流れは配管外部の周囲環境から配管内部の気化した液化ガスに取り込まれる方向に保たれることとなる。すなわち、気化した時点では、気化温度における飽和蒸気であった液化ガスは配管を流れる過程で常に配管外部から熱をもらうことになり、確実に飽和蒸気から配管内での再液化を起しにくい過熱蒸気領域の移行することになるので、従来のような中継配管内で液化ガスが再液化することはない。
【0060】
また、1次液化ガス供給設備1をプロセス装置5の置かれたクリーンルーム30とは別の部屋10に置いた場合、1次配管1aは製造プロセスの建屋内を通過するだけであるため、1次配管1aの周囲温度の最も低い温度として、例えば15℃を想定しておけば十分である。その場合には、1次液化ガス供給設備1の充填容器1a内の液相温度を15℃よりも十分低い10℃±2℃程度の温度設定および制御精度で温度制御すれば、上記の目的は達成できる。
【0061】
また、本装置において、液化ガスの供給開始に当り、以下の(1−1)〜(1−3)の操作を行うことが好ましい。
(1−1)液化ガスの送気前に前記充填容器を冷熱によって冷却し、液相の液化ガス温度を、通常の制御温度よりも低温であって1次配管系の最低温度以下でかつ環境温度以下にする
(1−2)前記充填容器からの液化ガスの送気を開始する
(1−3)送気に伴いさらに低温化した液相の液化ガスを温熱によって加温し、通常の制御温度に制御する
つまり、まず、液化ガスの送気前に前記充填容器を冷熱によって冷却し、液相の液化ガス温度を、通常の制御温度よりも低温であって1次配管系の最低温度以下でかつ環境温度以下にすることによって、1次配管系の最低温度が環境温度以下の場合であっても確実に送気配管における再液化の防止を図り、その後の昇温および適温制御によって、送気圧力の確保を図るが可能となる。
【実施例】
【0062】
ここで、各種の液化ガスについて、各タンクの温度制御の設定温度Tset1、Tset2、Tset3を下表1に示すように設定することにより、送気配管における有害な再液化を防ぐととともに、1次液化ガス供給設備1と2次液化ガス供給設備3の間を結ぶ配管における両端圧力の差ΔPを十分大きな値に確保できることを検証する。なお、下表1において、環境温度TaとTbは、それぞれ1次液化ガス供給設備1と2次液化ガス供給設備3の間の1次配管2aが通る環境温度Taと、21次液化ガス供給設備3とプロセス装置5間の2次配管4aの環境温度Tbである。環境温度TaとTbは部位また時間または季節によって変動するので、下表1に示すようにTset1、Tset3は当該低蒸気圧液化ガス供給設備を導入する環境における予想される最低温度を考慮して設定する。
【表1】

【0063】
下表に、いろいろな低蒸気圧の液化ガスに、本装置(図3参照)を適用する場合の設定温度の解析例を示す。
(1)SiHClの場合
(1−1)条件
下表2に示す条件下において解析した。
【表2】

(1−2)解析結果
1次配管2a内では再液化せず、かつ、プロセス装置5への供給量を確保できる十分な送気圧力ΔP(35kPa)を確保することができる。また、2次配管4aでは再液化せず、かつ、プロセス装置5への供給量を確保できる十分な送気圧力ΔP(80kPa)を確保することができる。
【0064】
(2)CLFの場合
(2−1)条件
下表3に示す条件下において解析した。
【表3】

(2−2)解析結果
1次配管2a内では再液化せず、かつ、プロセス装置5への供給量を確保できる十分な送気圧力ΔP(30kPa)を確保することができる。また、2次配管4aでは再液化せず、かつ、プロセス装置5への供給量を確保できる十分な送気圧力ΔP(65kPa)を確保することができる。
【0065】
(3)BCLの場合
(3−1)条件
下表4に示す条件下において解析した。
【表4】

(3−2)解析結果
1次配管2a内では再液化せず、かつ、プロセス装置5への供給量を確保できる十分な送気圧力ΔP(30kPa)を確保することができる。また、2次配管4aでは再液化せず、かつ、プロセス装置5への供給量を確保できる十分な送気圧力ΔP(60kPa)を確保することができる。
【0066】
(4)HFの場合
(4−1)条件
下表5に示す条件下において解析した。
【表5】

(4−2)解析結果
1次配管2a内では再液化せず、かつ、プロセス装置5への供給量を確保できる十分な送気圧力ΔP(25kPa)を確保することができる。また、2次配管4aでは再液化せず、かつ、プロセス装置5への供給量を確保できる十分な送気圧力ΔP(40kPa)を確保することができる。
【0067】
なお、これらガスはあくまでも適用例として例示したものであって、これ以外の低蒸気圧液化ガス液化ガスであっても同様に適用可能であることはいうまでもない。また、2次液化ガス供給設備3に第三の貯槽タンク31c(図示せず)を設けて、その貯槽タンク31cを「待機モード」で運用する場合、「待機モード」にある貯槽タンク31cの温度制御は、「再気化モード」と同様の温度制御をすることにより、「待機モード」にある貯槽タンク31cの液化ガスの温度・圧力が、「再気化モード」にある貯槽タンク31bの温度・圧力と同じになるように作動させ、「待機モード」から「再気化モード」への切換え時の供給圧力変動を抑制するよう制御することができる。
【0068】
<本発明に係る液化ガス供給装置の他の構成例>
上記においては、1次液化ガス供給設備の1つに対して1つの2次液化ガス供給設備を接続した場合について説明したが、本発明は、1次液化ガス供給設備の1つに対して複数の2次液化ガス供給設備の接続が可能なように、1次配管設備を分岐配管で構成し、1次液化ガス供給設備からの液化ガスを、2次液化ガス供給設備のいくつかに同時に供給する液化ガス供給装置(以下「本装置2」という)を構成することが可能である。
【0069】
本装置2は、図5に例示するように、1台の1次液化ガス供給設備1に対して、3台の2次液化ガス供給設備3x,3y、3zが接続された場合の実施例である。このとき、2次液化ガス供給設備3x,3y、3zは、空調温度を同一とする同一のクリーンルームのゾーンにあっても良いし、空調が別の複数のクリーンルーム30x,30y、30zのゾーンに分散されて設置されていても良い。
【0070】
上述のように、本装置2においても、2次液化ガス供給設備3x,3y、3zにおける送気圧力の設定は、1次液化ガス供給設備1からの送気圧力と無関係に設定することができる。つまり、本装置2は、1次液化ガス供給設備1、1次配管2a、2次液化ガス供給設備3x,3y、3zおよび2次配管設備4x,4y、4zがそれぞれ高い独立性を有することから、1次配管設備2を分岐配管で構成し、1つの1次液化ガス供給設備1に対して複数の2次液化ガス供給設備3x,3y、3zの接続を行うことによって、1次液化ガス供給設備1からの液化ガスを、異なる条件で、2次液化ガス供給設備3x,3y、3zを稼動させることができる。つまり、例えば、複数のプロセス装置5x,5y,5zに対して異なる2次送気圧力に制御された液化ガスを供給することができる。また、2次の送気流量を、それぞれプロセス装置5x,5y,5zに対して異なる条件とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
上記においては、主として半導体あるいはFPD製造プロセスに用いる半導体用特殊液化ガスの供給装置および供給方法について述べたが、本発明は、こうしたエレクトロニクス用液化ガスに限られず、各種プロセス用の液化ガスに適用することができる。特に低蒸気圧の液化ガスの供給を必要とする製造プロセスに対して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る液化ガス供給装置の基本構成例を示す概略図
【図2】本発明に係る液化ガス供給装置における1次液化ガス供給設備を例示する説明図
【図3】本発明に係る液化ガス供給装置における2次液化ガス供給設備を例示する説明図
【図4】本発明に係る液化ガス供給装置における温度制御方法を例示する説明図
【図5】本発明に係る液化ガス供給装置の他の構成例を示す説明図
【図6】従来技術に係るガス供給装置を例示する概略図
【図7】従来技術に係るガス供給装置を例示する概略図
【図8】従来技術に係るガス供給装置を例示する概略図
【図9】従来技術に係るガス供給装置を例示する概略図
【符号の説明】
【0073】
1 1次液化ガス供給設備
1a 充填容器
1b 1次気化手段
2 1次配管設備
2a 1次配管
3 2次液化ガス供給設備
3a 再液化手段
3b 貯蔵手段
3c 2次気化手段
4 2次配管設備
4a 2次配管
5 プロセス装置
6 排ガス処理装置
10 液化ガス供給室
30 クリーンルーム
30a クリーンルームフロア
30b プレナムフロア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスが充填された容器、充填された液化ガスを気化させる1次気化手段、前記容器内の液相の液化ガス温度Toを測定する手段、および前記容器内の液相の液化ガス温度Toを制御する手段を有する1次液化ガス供給設備、
前記液化ガスを気体状態で送気する1次配管および1次配管を含む設備内の環境温度Taを測定する手段を有する1次配管設備、
送気された液化ガスを再度液化させる再液化手段、該液化ガスを液体状態で貯蔵する貯蔵手段、貯蔵された液相の液化ガスを再度気化させる2次気化手段、前記再液化手段における液化温度Tcを測定する手段、前記貯留手段における貯蔵温度Tsを測定する手段、前記2次気化手段内の液相の液化ガス温度Tgを測定する手段、および前記液化温度Tc、貯蔵温度Ts、液相の液化ガス温度Tgを制御する手段を有する2次液化ガス供給設備、
前記液化ガスを気体状態でガス消費設備に送気する2次配管および該2次配管を含む設備内の環境温度Tbを測定する手段を有する2次配管設備、
を有し、前記容器から配管送気されて、これと離隔されたガス消費設備に液化ガスを供給する液化ガス供給装置において、
前記液相の液化ガス温度Toを環境温度Taの最低温度以下、前記液化温度Tcあるいはこれと前記貯蔵温度Tsを液相の液化ガス温度To以下、および前記液相の液化ガス温度Tgを環境温度Tbの最低温度以下にそれぞれ制御することを特徴とする液化ガス供給装置。
【請求項2】
前記2次液化ガス供給設備において、再液化手段、貯留手段および2次気化手段として機能する構成部を少なくとも2つ有し、これらを独立的でかつ交互に切換えることができる機能を有することを特徴とする請求項1記載の液化ガス供給装置。
【請求項3】
前記構成部における再液化手段および貯留手段としての機能から再気化手段としての機能への切換えあるいはその逆の切換えにおいて、該構成部を構成する各手段のいずれかがその機能を確保可能な状態になった時点で、予め各手段の制御温度をそれぞれの機能の前記制御温度に切換えることを特徴とする請求項2記載の液化ガス供給装置。
【請求項4】
前記2次液化ガス供給設備において、前記貯蔵された液相の液化ガスをキャリアガスによって同伴させて供給する2次気化手段を有することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の液化ガス供給装置。
【請求項5】
前記1次液化ガス供給設備の1つに対して複数の前記2次液化ガス供給設備の接続が可能なように前記1次配管設備を分岐配管で構成し、前記1次液化ガス供給設備からの液化ガスを、前記2次液化ガス供給設備のいくつかに同時に供給することを可能とすることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の液化ガス供給装置。
【請求項6】
液化ガスが充填された容器から配管送気されて、これと離隔されたガス消費設備に液化ガスを供給する液化ガス供給方法において、
(1)前記容器に充填された液化ガスを、1次気化させる工程
(2)気化された液化ガスを、1次配管系を介して1次送気する工程
(3)送気された液化ガスを、再度液化させる工程
(4)液化した液化ガスを、液相で貯蔵する工程
(5)液体状態の液化ガスを、2次気化させる工程
(6)気化された液化ガスを、2次配管系を介してガス消費設備に2次送気する工程
(7)工程(5)において使用する液体状態の液化ガスを、工程(4)によって貯蔵した液化ガスを用いて補給する工程
を有するとともに、
前記工程(1)における液相の液化ガス温度を、前記工程(2)における1次配管系の最低温度以下に制御し、
前記工程(3)における液化温度あるいはこの液化温度と前記工程(4)における貯蔵温度を、前記工程(1)における液相の液化ガス温度以下に制御し、
前記工程(5)における液相の液化ガス温度を、前記工程(6)における2次配管系の最低温度以下に制御することを特徴とする液化ガス供給方法。
【請求項7】
前記工程(1)において、
(1−1)液化ガスの送気前に前記容器を冷熱によって冷却し、液相の液化ガス温度を、通常の制御温度よりも低温であって1次配管系の最低温度以下でかつ環境温度以下にする
(1−2)前記容器からの液化ガスの送気を開始する
(1−3)送気に伴いさらに低温化した液相の液化ガスを温熱によって加温し、通常の制御温度に制御する
からなる操作を有することを特徴とする請求項6記載の液化ガス供給方法。
【請求項8】
前記工程(3)〜工程(5)の処理が可能な少なくとも2つの処理系を有し、
少なくとも1の処理系において前記工程(3)および(4)からなる再液化貯蔵モードが処理されると同時に、他の少なくとも1の処理系において前記工程(5)からなる再気化モードが処理され、こうした対となる当該処理を所定時間継続した後、これらの処理系を交互に切り替えながら後段のガス消費設備に連続的に液化ガスを送気することを特徴とする請求項6または7記載の液化ガス供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−52595(P2009−52595A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217540(P2007−217540)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000109428)日本エア・リキード株式会社 (53)
【Fターム(参考)】