説明

液化ガス燃料供給装置

【課題】機関始動時において迅速且つ正確な噴射燃料の調量を可能にし、これにより機関始動性を向上させることのできる液化ガス燃料供給装置を提供する。
【解決手段】この液化ガス燃料供給装置は、燃料タンク10内にある液化ガス燃料について、これを電動式燃料ポンプ14により燃料供給配管12を介してデリバリパイプ6に供給するものであって、燃料供給配管12に上流側燃料遮断弁16を備えるとともにリターン配管24にリリーフ弁28を備える。そして、機関停止時においては、遮断弁16とリリーフ弁28との間の部位である貯留部位に加圧液体状態の液化ガス燃料があるときに遮断弁16を閉弁し、これにより機関停止中において加圧液体状態の液化ガス燃料を貯留部位に貯留し、その後の機関始動時において遮断弁16を開弁する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内の液化ガス燃料を燃料ポンプにより燃料供給経路を介して内燃機関の燃料供給部位へ液体状態で供給する液化ガス燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LPG等の液化ガスを燃料とする内燃機関において、機関の高出力化や燃料制御性の向上のために、液化ガス燃料を液体状態のままで燃料ポンプで圧送し燃料噴射弁での開弁時間により調量して吸気中に噴射するシステムが提案されている(例えば特許文献1)。このような内燃機関では液化ガス燃料が気化し易いことから、燃料供給経路において気泡を発生し易いと言う問題がある。燃料供給システム側では液体燃料の噴射を前提として噴射量を調量しているため、気泡が混入すると調量が不正確となり燃料噴射量が不足して内燃機関の安定した駆動が困難となるおそれがある。
【0003】
この問題を防止するために前記従来技術では、内燃機関の冷却水温度が高い場合には液化ガス燃料を冷却水により加熱気化して吸気中に噴射し、内燃機関の冷却水温度が低い場合には液化ガス燃料を液体のまま吸気中に噴射するようにしている。このように液体と気体と分けて噴射していることにより、燃料噴射量の調量が正確となるとしている。
【特許文献1】特開平9−268948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、燃料が液化ガスであるため、高温時か低温時かにかかわらず内燃機関停止中には燃料供給経路の圧力が低下して内部に気泡が出現する。そしてこの状態で始動操作がなされた場合は、前述した燃料供給システムでは冷却水温度が低ければ液体燃料を噴射する前提で調量が行われるので始動初期においては燃料が不足する事態が生じてしまう。このため安定した機関始動が困難となるおそれがある。
【0005】
又、燃料噴射弁部分には液体燃料が存在していたとしても、燃料供給経路内に気泡が出現している場合には、燃料ポンプにより十分な液体燃料を噴射できる燃料圧力まで上昇させるのに時間がかかる。このため早期の安定した機関始動が困難となり始動性が悪化するおそれがある。
【0006】
本発明は、液化ガスを燃料に用いた内燃機関において、始動時において早期に噴射燃料を正確に調量できるようにすることで内燃機関の始動性を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、燃料タンク内の液化ガス燃料を燃料ポンプにより燃料供給経路を介して内燃機関の燃料供給部位へ液体状態で供給する液化ガス燃料供給装置であって、前記燃料供給経路に遮断弁を備え、前記燃料供給部位から前記燃料タンクに液化ガス燃料を戻すリターン経路にプレッシャレギュレータが設けられ、内燃機関の停止期間中は該遮断弁と該プレッシャレギュレータとの間を貯留部位とし、内燃機関の停止時に、前記貯留部位に存在する液化ガス燃料が加圧液体状態にある時に前記遮断弁を閉じることで、前記貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留しておき、内燃機関の始動時に前記貯留部位の液化ガス燃料を開放する加圧貯留手段を備えることを要旨としている。
【0008】
このように燃料供給経路に1つの遮断弁を備えてプレッシャレギュレータとの間を貯留部位として、この貯留部位に存在する液化ガス燃料が加圧液体状態にある時に遮断弁を閉じることにより液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留できる。そして始動時には遮断弁を元に戻すことにより貯留部位に存在する液化ガス燃料は開放される。
【0009】
これにより、迅速に液体燃料を噴射可能な燃料圧力とすることができる。しかも燃料供給部位自体が貯留部位に含まれていることから、内燃機関始動の初期から加圧液体状態の液化ガス燃料に満たされているので、一層、早期に正確な燃料調量が可能となる。したがって内燃機関の始動性を一層向上させることができる。しかも、貯留部位は燃料供給経路からリターン経路まで燃料経路を利用しているため、装置が大型化しない。又、一方が既にあるプレッシャレギュレータを利用できるので、2つの遮断弁を用いた場合よりも製造コストが低減できる。
【0010】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液化ガス燃料供給装置において、前記燃料供給経路には前記貯留部位を形成する前記遮断弁が1つのみ設けられることを要旨としている。
【0011】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の液化ガス燃料供給装置において、前記加圧貯留手段は、内燃機関の停止時に、前記燃料ポンプの駆動を一時的に実行した後に前記遮断弁を閉じることで、前記貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留することを要旨としている。
【0012】
このように燃料が消費されなくなってから、しばらくポンプの駆動を実行してから遮断弁を閉じることにより、貯留部位にある液化ガス燃料の圧力を高圧にすることができる。したがって、始動時において、燃料供給部位の燃料圧力が一層迅速に昇圧し、早期に正確な燃料調量が可能となり、内燃機関の始動性を一層向上させることができる。
【0013】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の液化ガス燃料供給装置において、前記貯留部位の燃料圧力を検出する貯留燃料圧力検出手段を備え、前記加圧貯留手段は、内燃機関の停止時に、前記貯留燃料圧力検出手段にて検出される圧力が前記プレッシャレギュレータの設定圧又は該設定圧直前の圧力に到達するまで前記燃料ポンプの駆動を実行した後に前記遮断弁を閉じることで、前記貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留することを要旨としている。
【0014】
このように貯留燃料圧力検出手段により貯留部位の燃料圧力を検出することにより、貯留部位にある液化ガス燃料の圧力を高圧にすることができるとともに、この圧力を確実に適切な状態にすることができる。したがって、始動時において、燃料供給部位の燃料圧力が一層迅速に昇圧し、早期に正確な燃料調量が可能となり、内燃機関の始動性を一層向上させることができる。
【0015】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液化ガス燃料供給装置において、前記貯留部位の燃料圧力を検出する貯留燃料圧力検出手段と、前記貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留している期間において、前記貯留燃料圧力検出手段により検出される燃料圧力が設定下限圧力より低い場合には前記貯留部位の燃料上流側に配置された遮断弁の開制御と前記燃料ポンプの駆動制御とを行い、前記燃料圧力が設定下限圧力より高い場合には前記貯留部位の燃料上流側に配置された遮断弁の閉制御と前記燃料ポンプの駆動停止制御とを行う増圧手段とを備えることを要旨としている。
【0016】
このように増圧手段により、貯留燃料圧力検出手段により検出された燃料圧力が設定下限圧力より低い場合は貯留部位の燃料上流側に配置された遮断弁の開制御と燃料ポンプの駆動制御とを実行することにより貯留部位を再度適切な燃料圧力まで回復させることができる。又、燃料圧力が設定下限圧力より高くなれば遮断弁の閉制御と燃料ポンプの駆動停止制御とにより燃料圧力を維持できる。このため、内燃機関の停止期間中において貯留部位にある液化ガス燃料の圧力を適切な圧力状態に維持することができる。
【0017】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液化ガス燃料供給装置において、前記加圧貯留手段は、内燃機関の始動時に、前記燃料ポンプを予め駆動させることにより前記燃料ポンプの供給燃料圧力を高めた後に全ての遮断弁を開状態として前記貯留部位の液化ガス燃料を開放することを要旨としている。
【0018】
このように燃料ポンプ側の供給燃料圧力を高めた後で貯留部位の液化ガス燃料を開放することで、貯留部位から燃料ポンプ側への燃料の逆流を防止でき、燃料ポンプ側から貯留部位側へ、更に貯留部位側から燃料供給部位側への燃料の流れを円滑にすることができる。このことにより内燃機関の燃料供給部位への液化ガス燃料の供給が円滑に継続して行われるので、始動時において燃料供給部位の燃料圧力が迅速に昇圧し、早期に噴射燃料を正確に調量できるようになり、内燃機関の始動性を一層向上させることができる。
【0019】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の液化ガス燃料供給装置において、前記燃料ポンプの供給燃料圧力を検出する供給燃料圧力検出手段を備え、前記加圧貯留手段は、内燃機関の始動時に、前記燃料ポンプを予め駆動させることで前記供給燃料圧力検出手段により検出される燃料圧力が前記貯留圧力に到達した後に全ての遮断弁を開状態として前記貯留部位の液化ガス燃料を開放することを要旨としている。
【0020】
このように供給燃料圧力検出手段により検出される燃料圧力が貯留圧力に到達した後に全ての遮断弁を開状態として貯留部位の液化ガス燃料を開放しているので、貯留部位から燃料ポンプ側への燃料の逆流を、より確実に防止でき、燃料ポンプ側から貯留部位側へ、更に貯留部位側から燃料供給部位側への燃料の流れを一層円滑にすることができる。このことにより内燃機関の燃料供給部位への液化ガス燃料の供給が円滑に継続して行われるので、始動時において燃料供給部位の燃料圧力が迅速に昇圧し、早期に噴射燃料を正確に調量できるようになり、内燃機関の始動性を一層向上させることができる。
【0021】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の液化ガス燃料供給装置において、前記燃料ポンプの供給燃料圧力を検出する供給燃料圧力検出手段と、前記貯留部位の燃料圧力を検出する貯留燃料圧力検出手段とを備え、前記加圧貯留手段は、内燃機関の始動時に、前記燃料ポンプを予め駆動させることで前記供給燃料圧力検出手段により検出される供給燃料圧力が前記貯留燃料圧力検出手段により検出される燃料圧力に到達した後に全ての遮断弁を開状態として前記貯留部位の液化ガス燃料を開放することを要旨としている。
【0022】
このように供給燃料圧力検出手段により検出される供給燃料圧力が貯留燃料圧力検出手段により検出される貯留部位の燃料圧力に到達した後に全ての遮断弁を開状態として貯留部位の液化ガス燃料を開放しているので、貯留部位から燃料ポンプ側への燃料の逆流を、より確実に防止でき、燃料ポンプ側から貯留部位側へ、更に貯留部位側から燃料供給部位側への燃料の流れを一層円滑にすることができる。このことにより内燃機関の燃料供給部位への液化ガス燃料の供給が円滑に継続して行われるので、始動時において燃料供給部位の燃料圧力が迅速に昇圧し、早期に噴射燃料を正確に調量できるようになり、内燃機関の始動性を一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(実施の形態1)
図1は、車両に搭載された液化ガス燃料噴射式内燃機関(以下、「エンジン」と称する)の燃料供給系の概略構成を表すブロック図である。ここで、エンジン2は多気筒エンジンである。例えば4気筒あるいは6気筒エンジンであり、図1では4気筒エンジンとして表している。各気筒の吸気ポートには燃料噴射弁4が設けられている。燃料噴射弁4はデリバリパイプ6(燃料供給部位に相当)に取り付けられて、デリバリパイプ6から液体状態で供給されるLPGや天然ガス等の液化ガス燃料を液体状態で吸気ポートに噴射する。この時の燃料噴射量は電子制御ユニット(以下、「ECU」と称する)8により燃料噴射弁4の開弁時間を制御することにより調整される。
【0024】
デリバリパイプ6への液化ガス燃料の供給は、燃料タンク10から燃料供給配管12を介してなされる。燃料供給配管12(燃料供給経路に相当)には、燃料タンク10に設けられて液化ガス燃料を液体状態で圧送する電動式燃料ポンプ14、燃料タンク10近傍に設けられた上流側燃料遮断弁16、デリバリパイプ6近傍に設けられた下流側燃料遮断弁18が設けられている。これら燃料遮断弁16,18は電磁弁として構成されており、ECU8により開閉駆動が制御されている。又、燃料ポンプ14と上流側燃料遮断弁16との間の燃料供給配管12には上流側燃圧センサ20が、上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18との間(貯留部位)の燃料供給配管12には貯留部位燃圧センサ22が設けられている。これらの燃圧センサ20,22は各部位の燃料圧力P1,P2を検出してECU8に出力している。
【0025】
燃料噴射弁4の噴射量以上の過剰な燃料がデリバリパイプ6へ供給された場合には、デリバリパイプ6からリターン配管24(リターン経路に相当)を介して燃料タンク10に過剰な燃料が戻される。リターン配管24にはデリバリパイプ6側から、チェック弁26及びリリーフ弁28が設けられている。リリーフ弁28はプレッシャレギュレータとしての機能を有するものであり、デリバリパイプ6に過剰な燃料が送出されることにより、リターン配管24内の燃料圧力が上昇して、リリーフ弁28の開弁圧(設定圧に相当)以上となると、リリーフ弁28が開弁してリターン配管24を介して燃料タンク10側に過剰な燃料を排出し、デリバリパイプ6内の圧力を規定範囲の圧力に戻すようにしている。尚、チェック弁26は燃料タンク10側からの逆流を防止するものである。
【0026】
エンジン2が燃焼運転を実行している場合には、ECU8は上流側燃料遮断弁16及び下流側燃料遮断弁18を開弁状態に固定して、燃料ポンプ14から吐出される液体状燃料をデリバリパイプ6へ導入している。そしてECU8は、貯留部位燃圧センサ22にて検出される燃料圧力P2と目標燃料量とに基づいて各燃料噴射弁4の開弁時間を調整している。
【0027】
そしてECU8は、エンジン停止時、エンジン停止中及びエンジン始動時に燃料ポンプ14、上流側燃料遮断弁16及び下流側燃料遮断弁18の駆動制御を実行する。次に、これらの処理について説明する。
【0028】
図2は、ECU8により実行されるエンジン停止時燃料加圧貯留処理のフローチャート、図3は同じくエンジン停止中燃料調圧処理のフローチャート、図4は同じくエンジン始動時燃料加圧制御処理のフローチャートを表している。各処理は短時間毎の割り込みで繰り返し実行される。なお個々の処理内容に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
【0029】
エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図2)が開始されると、まずエンジン停止か否かが判定される(S110)。このエンジン停止は、ここではイグニッションスイッチがオフであるか否かにより判定される。イグニッションスイッチがオンであれば(S110で「NO」)、加圧貯留完了フラグXfsに「OFF」を設定して(S120)、一旦本処理を終了する。
【0030】
運転者がイグニッションキーをオフすることにより、エンジン停止操作を実行した場合には(S110で「YES」)、次に加圧貯留完了フラグXfsが「OFF」か否かが判定される(S130)。最初はXfs=「OFF」であることから(S130で「YES」)、下流側燃料遮断弁18が図5(A)に示すごとく閉弁駆動されて遮断される(S140)。尚、ステップS140の処理は、既に下流側燃料遮断弁18が閉弁状態にある場合には、閉弁状態を維持する処理となる。
【0031】
この時、燃料ポンプ14は、まだ駆動されているので、燃料ポンプ14から下流側燃料遮断弁18までの燃料供給配管12内の液体状燃料は、次第に高圧となる。この燃料圧力P2は貯留部位燃圧センサ22により検出される。
【0032】
次にこのようにして検出される燃料圧力P2が予め設定された貯留圧力Pfs以上となったか否かが判定される(S150)。この貯留圧力Pfsは、エンジン2の燃焼運転時における燃料圧力よりも、高い圧力が設定されている。
【0033】
最初はP2<Pfsであるので(S150で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
以後、燃料ポンプ14の駆動が継続することにより、燃料圧力P2が上昇してP2≧Pfsとなると(S150で「YES」)、次に図5(B)に示すごとく上流側燃料遮断弁16を閉弁する(S160)。このことにより、上流側燃料遮断弁16から下流側燃料遮断弁18までの燃料供給配管12内に高圧の液体状燃料が貯留される。
【0034】
次に燃料ポンプ14の駆動を停止し(S170)、加圧貯留完了フラグXfsにオンを設定して、本処理を一旦終了する。
次の制御周期では、Xfs=「ON」であることから(S130で「NO」)、エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図2)では実質的な処理は行われなくなる。
【0035】
更に、前記ステップS180にてXfs=「ON」と設定されたことにより、エンジン停止中燃料調圧処理(図3)の実質的な処理が開始される。
エンジン停止中燃料調圧処理(図3)では、まずXfs=「ON」か否かが判定される(S210)。Xfs=「OFF」である場合には(S210で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0036】
前述したごとくステップS180にてXfs=「ON」と設定されると(S210で「YES」)、上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18との間の燃料供給配管12に貯留されている液体状燃料の燃料圧力P2が上限圧力Pup以上か否かが判定される(S220)。上限圧力Pupは、上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18との間の燃料供給配管12に貯留されている液体状燃料が、昇温などの要因により高圧となって、燃料供給配管12や燃料遮断弁16,18に支障を来すのを防止するために設定された圧力値であり、貯留圧力Pfsよりも可成り高い圧力が設定されている。
【0037】
P2<Pupであれば(S220で「NO」)、上流側燃料遮断弁16を閉弁する、あるいは閉弁状態に維持する処理が行われる(S230)。エンジン停止後の昇温などによりP2≧Pupとなれば(S220で「YES」)、上流側燃料遮断弁16を開弁する、あるいは開弁状態に維持する処理が行われる(S240)。このことにより、上流側燃料遮断弁16から燃料ポンプ14側に燃料が一部放出されることにより、上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18との間の燃料供給配管12内は過剰な燃料圧力になることが防止される。
【0038】
次に、運転者がイグニッションキーをオン操作した場合には、前記エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図2)のステップS110では「NO」と判定されるようになり、加圧貯留完了フラグXfsには「OFF」が設定される(S120)。このことにより、エンジン停止中燃料調圧処理(図3)のステップS210では「NO」と判定されて、実質的な処理は停止する。
【0039】
一方、エンジン始動時燃料加圧制御処理(図4)において実質的な処理が行われるようになる。
エンジン始動時燃料加圧制御処理(図4)について説明する。本処理では、まずエンジン始動か否かが判定される(S310)。ここでイグニッションキーが、まだオフ状態であれば(S310で「NO」)、開弁処理完了フラグXendに「OFF」を設定して(S320)、このまま一旦本処理を終了する。
【0040】
イグニッションキーがオン状態となれば(S310で「YES」)、次に開弁処理完了フラグXendが「OFF」か否かが判定される(S330)。最初はXend=「OFF」であることから(S330で「YES」)、燃料ポンプ14が駆動される(S340)。尚、この処理は既に燃料ポンプ14が駆動している場合には、燃料ポンプ14の駆動を維持する。
【0041】
この時、上流側燃料遮断弁16は閉弁状態にあることから、燃料ポンプ14と上流側燃料遮断弁16との間の燃料供給配管12内の燃料圧力が次第に上昇することになる。
次に燃料ポンプ14と上流側燃料遮断弁16との間の燃料圧力P1が、上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18との間の燃料圧力P2以上となったか否かが判定される(S350)。最初はP1<P2であることから(S350で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0042】
燃料ポンプ14の駆動により、燃料ポンプ14と上流側燃料遮断弁16との間の燃料圧力P1が上昇して、P1≧P2となると(S350で「YES」)、次に上流側燃料遮断弁16を開弁し、これに引き続いて下流側燃料遮断弁18を開弁するよう設定する(S360)。この設定により図示していないが、まず上流側燃料遮断弁16を開弁し、わずかに時間をあけてから下流側燃料遮断弁18を開ける処理が実行される。
【0043】
そして、ステップS360の次に開弁処理完了フラグXendに「ON」を設定して(S370)、本処理を一旦終了する。
次の制御周期では、Xend=「ON」であることから(S330で「NO」)、エンジン始動時燃料加圧制御処理(図4)における実質的な処理は停止する。
【0044】
尚、ステップS360が実行されたことにより、まず上流側燃料遮断弁16が開いて燃料ポンプ14側の燃料圧力P1と、上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18との間の貯留部位の圧力P2とが同一となる。そして、その後、下流側燃料遮断弁18が開くことにより、燃料ポンプ14から下流側燃料遮断弁18に至る燃料供給配管12内において十分に高圧となった液体状燃料がデリバリパイプ6側に導入される。したがって、デリバリパイプ6内へは高圧の液体燃料が迅速に導入され、その後も燃料供給配管12を介して燃料ポンプ14からデリバリパイプ6へ液体状燃料が供給され続ける。
【0045】
図6のタイミングチャートに本実施の形態における処理の一例を示す。時刻t0以前はエンジン2の燃焼運転がなされているものとする。時刻t0において運転者がイグニッションスイッチをオフすると、下流側燃料遮断弁18が閉弁される(S140)。このため貯留部位である上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18との間の燃料圧力P2は上昇して行く。そして時刻t1にて燃料圧力P2≧貯留圧力Pfsとなると(S150で「YES」)、上流側燃料遮断弁16が閉弁される(S160)。これに引き続いて、時刻t2にて燃料ポンプ14も停止される(S170)。
【0046】
以後、貯留部位は上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18とにより密閉されているので、燃料の液化ガスは加圧液体状態に維持される。
エンジン停止中において、貯留部位の燃料昇温等が原因により、燃料圧力P2≧上限圧力Pupとなった場合(時刻t3:S220で「YES」)は、上流側燃料遮断弁16を開くことにより燃料ポンプ14側へ燃料を排出し、燃料圧力P2<上限圧力Pupとなれば(時刻t4:S220で「NO」)、上流側燃料遮断弁16を閉じることにより燃料ポンプ14側への燃料排出を停止している。
【0047】
そして時刻t5にて運転者がイグニッションスイッチをオンにすると(S310で「YES」)、燃料ポンプ14が駆動を開始する。そして、時刻t6にて、燃料ポンプ14と上流側燃料遮断弁16との間の燃料圧力P1が上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18との間の燃料圧力P2以上となると(S350で「YES」)、ステップS360の処理により、上流側燃料遮断弁16が開かれ、そして時刻t7にて下流側燃料遮断弁18が開かれる。
【0048】
尚、上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18間に加圧液体燃料を貯留しなかったことにより、貯留部位に気泡が存在する場合には、一点鎖線にて示すごとく、時刻t5から燃料ポンプ14が駆動しても、最初に気泡を消失させる行程が必要となり燃料圧力の上昇は極めて緩慢となる。
【0049】
上述した構成において、上流側燃圧センサ20が供給燃料圧力検出手段に、貯留部位燃圧センサ22が貯留燃料圧力検出手段に相当し、エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図2)及びエンジン始動時燃料加圧制御処理(図4)が加圧貯留手段としての処理に、エンジン停止中燃料調圧処理(図3)が減圧手段としての処理に相当する。
【0050】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ)エンジン2の停止期間中は、上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18との間の燃料供給配管12に設定した貯留部位に、液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留している。このためエンジン2の停止期間中においてこの貯留部位においては気泡が発生することがない。したがってエンジン始動時に燃料ポンプ14により加圧する際に、貯留部位の液化ガス燃料については気泡を圧縮して液化する時間を省略することができ、図6に実線で示したごとく迅速に液体燃料を噴射可能な燃料圧力とすることができる。しかも始動時に開放された貯留部位からは、デリバリパイプ6側へ加圧液体状態の液化ガス燃料が供給される。このため、始動時の早期に燃料噴射弁4での調量は正確なものとすることができる。
【0051】
図6に一点鎖線にて示した比較例のごとく液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留していない場合には、始動時に気泡を圧縮しなくてはならないので燃料圧力の上昇は極めて緩慢となるとともに、始動時の初期において燃料噴射弁4から気体状燃料が噴射される時間が長くなるために十分な燃料噴射量が得られず、エンジン始動完了に長時間を要する。
【0052】
このように本実施の形態では、始動時において迅速に燃料圧力が上昇するとともに、早期に噴射燃料を正確に調量できるようになり、エンジン2の始動性を向上させることができる。しかも貯留部位は上流側燃料遮断弁16から下流側燃料遮断弁18までの燃料供給配管12を利用しているために装置が大型化しない。
【0053】
(ロ)貯留部位燃圧センサ22により貯留部位の圧力を検出することにより、エンジン停止時において貯留部位にある液化ガス燃料の圧力P2を高圧にすることができるとともに、この圧力P2を確実に適切な状態である貯留圧力Pfsあるいは貯留圧力Pfsより少し高い状態にすることができる。したがって、始動時においては、一層、燃料の昇圧が迅速となり、早期に正確な燃料調量が可能となり、エンジン始動性を一層向上させることができる。
【0054】
(ハ)エンジン停止中に貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留している期間において、貯留部位燃圧センサ22により検出される燃料圧力P2が上限圧力Pupより高い場合は上流側燃料遮断弁16を開制御することにより高圧の燃料を貯留部位から燃料ポンプ14側に排出している。このため貯留部位の燃料圧力P2を低下でき、貯留部位を適切な圧力状態に維持することができる。又、燃料圧力P2が上限圧力Pupより低くなれば上流側燃料遮断弁16を閉制御することにより燃料圧力P2を維持できる。このため始動時において、エンジンの始動性を低下させることがない。
【0055】
(ニ)エンジン始動時には、燃料ポンプ14を予め駆動させ、上流側燃圧センサ20により検出される燃料圧力P1が貯留部位の燃料圧力P2に到達した後に(S350で「YES」)、2つの燃料遮断弁16,18を共に開状態として(S360)、貯留部位の液化ガス燃料を開放している。このため、貯留部位から燃料ポンプ14側への燃料の逆流を、確実に防止でき、燃料ポンプ14側から貯留部位側へ、更に貯留部位側からデリバリパイプ6側への燃料の流れを円滑にすることができる。
【0056】
このようにデリバリパイプ6への液化ガス燃料の供給が円滑に継続して行われるので、始動時において燃料供給部位の燃料圧力が迅速に昇圧し、早期に噴射燃料を正確に調量できるようになり、内燃機関の始動性を一層向上させることができる。
【0057】
(ホ)本実施の形態では、貯留部位は上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18との間の燃料供給配管12に設定しているため、貯留部位にはデリバリパイプ6は含まれていない。したがってエンジン停止中においては燃料噴射弁4の燃料圧力は低圧となっている。このため、閉弁状態の噴射口の密閉性が低い燃料噴射弁4を用いても、貯留部位の燃料圧力P2が低下するおそれはない。
【0058】
(実施の形態2)
本実施の形態では、エンジン2の燃料供給系は図7に示すごとくである。
図7において、前記実施の形態1とは、燃料供給配管12に設けられていた上流側燃圧センサ20及び貯留部位燃圧センサ22が存在せず、代わりにデリバリパイプ6にデリバリ燃圧センサ30が設けられている点である。このデリバリ燃圧センサ30は燃料噴射処理において目標噴射量から燃料噴射弁4の開弁時間を決定するために燃料圧力P3を検出している。
【0059】
又、上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18との間の燃料供給配管12からは燃料タンク10に至る分岐経路32が設けられて、途中に貯留部位リリーフ弁34が設けられている。この貯留部位リリーフ弁34は、貯留部位が過剰な燃料圧力となった場合に貯留部位の燃料の一部を燃料タンク10側に排出して燃料圧力の上昇を防止するためのリリーフ弁である。これ以外の機構的構成は前記実施の形態1と同じであり、同一の機構については同一の符号で説明している。
【0060】
ECU8は、前記実施の形態1の図2〜4に示した処理の代わりに、図8に示すエンジン停止時燃料加圧貯留処理及び図9に示すエンジン始動時燃料加圧制御処理を、短時間毎の割り込みで繰り返し実行している。エンジン停止中燃料調圧処理は行わない。尚、前記実施の形態1と同一の処理については同一の符号で説明している。
【0061】
エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図8)について説明する。本処理が開始されると、まずエンジンの停止か否かが判定される(S110)。イグニッションスイッチがオンであれば(S110で「NO」)、加圧貯留完了フラグXfsに「OFF」を設定し(S120)、タイマカウンタTxに「0」を設定して(S122)、一旦本処理を終了する。
【0062】
運転者がイグニッションキーをオフすることにより、エンジン停止操作を実行した場合には(S110で「YES」)、次に加圧貯留完了フラグXfsが「OFF」か否かが判定される(S130)。最初はXfs=「OFF」であることから(S130で「YES」)、下流側燃料遮断弁18が図10(A)に示すごとく閉じられる(S140)。この時、まだ燃料ポンプ14は駆動されているので、燃料ポンプ14から下流側燃料遮断弁18までの燃料供給配管12内の液体状燃料は次第に高圧となる。
【0063】
次にタイマカウンタTxが加圧時間Tfs以上の値となっているか否かが判定される(S152)。この加圧時間Tfsは、燃料ポンプ14から下流側燃料遮断弁18の間の燃料圧力が上昇して、予定している貯留圧力に達すると予想される燃料ポンプ14の駆動継続時間に相当する値である。
【0064】
最初はTx<Tfsであるので(S152で「NO」)、タイマカウンタTxをインクリメントして(S154)、一旦本処理を終了する。
以後、Tx<Tfsである間は(S152で「NO」)、タイマカウンタTxのインクリメント(S154)が繰り返され、この間、燃料ポンプ14の駆動が継続する。そして、Tx≧Tfsとなると(S152で「YES」)、次に図10(B)に示すごとく上流側燃料遮断弁16を閉弁する(S160)。このことにより、上流側燃料遮断弁16から下流側燃料遮断弁18までの燃料供給配管12内に高圧の液体状燃料が貯留される。
【0065】
次に燃料ポンプ14を停止し(S170)、加圧貯留完了フラグXfsにオンを設定して(S180)、本処理を一旦終了する。
次の制御周期では、Xfs=「ON」であることから(S130で「NO」)、エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図8)では実質的な処理は行われなくなる。
【0066】
そして、エンジン停止中においては、貯留部位の圧力が過剰となった場合には、分岐経路32に設けられた貯留部位リリーフ弁34が開くことにより、貯留部位の燃料の一部を燃料タンク10に排出するので過剰な圧力となるのを防止する。
【0067】
次に、運転者がイグニッションキーをオン操作した場合には、前記エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図8)のステップS110では「NO」と判定されるようになり、加圧貯留完了フラグXfsには「OFF」が設定され(S120)、タイマカウンタTxは「0」に戻る(S122)。
【0068】
そして、エンジン始動時燃料加圧制御処理(図9)において実質的な処理が行われるようになる。
エンジン始動時燃料加圧制御処理(図9)について説明する。本処理では、まずエンジン始動か否かが判定される(S310)。イグニッションキーがオフ状態であれば(S310で「NO」)、開弁処理完了フラグXendに「OFF」を設定し(S320)、タイマカウンタTyに「0」を設定して(S322)、一旦本処理を終了する。
【0069】
イグニッションキーがオン状態となれば(S310で「YES」)、次に開弁処理完了フラグXendが「OFF」か否かが判定される(S330)。最初はXend=「OFF」であることから(S330で「YES」)、燃料ポンプ14が駆動される(S340)。この時、上流側燃料遮断弁16は閉弁状態にあることから、燃料ポンプ14と上流側燃料遮断弁16との間の燃料供給配管12内の燃料圧力が次第に上昇することになる。
【0070】
次にタイマカウンタTyが加圧時間Tend以上か否かが判定される(S352)。この加圧時間Tendは、燃料ポンプ14から上流側燃料遮断弁16の間の貯留部位の燃料圧力が上昇して、貯留部位の貯留圧力に達すると予想される燃料ポンプ14の駆動継続時間に相当する値である。
【0071】
最初はTy<Tendであるので(S352で「NO」)、タイマカウンタTyをインクリメントして(S354)、一旦本処理を終了する。
以後、Ty<Tendである間は(S352で「NO」)、タイマカウンタTyのインクリメント(S354)が繰り返され、この間、燃料ポンプ14の駆動が継続する。そして、Ty≧Tendとなると(S352で「YES」)、次に上流側燃料遮断弁16を開弁し、これに引き続いて下流側燃料遮断弁18を開弁するよう設定する(S360)。そして、開弁処理完了フラグXendに「ON」を設定して(S370)、本処理を一旦終了する。
【0072】
次の制御周期では、Xend=「ON」であることから(S330で「NO」)、エンジン始動時燃料加圧制御処理(図9)における実質的な処理は停止する。
尚、ステップS360が実行されたことにより、上流側燃料遮断弁16が開いて燃料ポンプ14側の燃料圧力と、貯留部位の圧力とが同一となる。そしてその後、下流側燃料遮断弁18が開くことにより、燃料ポンプ14から下流側燃料遮断弁18に至る燃料供給配管12内において十分に高圧となった液体状燃料がデリバリパイプ6側に導入される。したがって、デリバリパイプ6内へは高圧の液体燃料が迅速に導入され、その後も燃料供給配管12を介して燃料ポンプ14からデリバリパイプ6へ液体状燃料が供給され続ける。
【0073】
図11に本実施の形態における処理の一例を示す。時刻t10以前はエンジン2の燃焼運転がなされているものとする。時刻t10において運転者がイグニッションスイッチをオフすると、下流側燃料遮断弁18が閉弁される(S140)。このため貯留部位である上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18との間の燃料圧力は上昇して行く。そして時刻t10から加圧時間Tfsが経過した時刻t11では(S152で「YES」)、上流側燃料遮断弁16が閉弁される(S160)。これに引き続いて、時刻t12にて燃料ポンプ14も停止される(S170)。
【0074】
以後、貯留部位は上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18とにより密閉されているので、液化ガス燃料は加圧液体状態に維持される。
エンジン停止中において、貯留部位の燃料昇温等が原因により、時刻t13〜t14にて、貯留部位の燃料圧力が貯留部位リリーフ弁34の開弁圧以上となっている期間は、貯留部位リリーフ弁34が開いて燃料タンク10側へ燃料の一部を排出する。このようにして貯留部位が過剰な燃料圧力となるのを防止している。
【0075】
そして時刻t15にて運転者がイグニッションスイッチをオンにすると(S310で「YES」)、燃料ポンプ14が駆動を開始する(S340)。そして、時刻t15から加圧時間Tend経過した時刻t16にて(S352で「YES」)、ステップS360の処理により、上流側燃料遮断弁16が開かれ、そして時刻t17にて下流側燃料遮断弁18が開かれる。
【0076】
尚、一点鎖線は図6にて説明した比較例である。
上述した構成において、エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図8)及びエンジン始動時燃料加圧制御処理(図9)が加圧貯留手段としての処理に相当する。
【0077】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ)前記実施の形態1の(イ)及び(ホ)と同じ効果を得られる。
(ロ)貯留部位の燃料圧力を検出することなく、燃料ポンプ14の駆動時間により貯留部位の燃料圧力が十分に上昇したことを予想して燃料ポンプ14を停止している。このため前記実施の形態1の(ロ)の効果を生じると共に、燃料供給配管12に燃圧センサを設ける必要が無く、デリバリパイプ6に燃料噴射量制御に用いるデリバリ燃圧センサ30を設ければ良いので、従来通りのデリバリ燃圧センサ30の配置を変更する必要がない。
【0078】
(ハ)エンジン停止中には、貯留部位に液化ガス燃料が過剰な燃料圧力となった場合には、貯留部位リリーフ弁34により一部の燃料を排出することにより貯留部位が過剰な圧力となるのを防止している。このため前記実施の形態1の(ハ)の効果を生じると共に、エンジン停止中には、ECU8を駆動しておく必要が無く、省エネルギーに貢献できる。
【0079】
(ニ)エンジン始動時には、上流側燃料遮断弁16と燃料ポンプ14との間の燃料圧力を検出することなく、燃料ポンプ14の駆動時間により上流側燃料遮断弁16と燃料ポンプ14との間の燃料圧力が十分に上昇したことを予想して、上流側燃料遮断弁16と下流側燃料遮断弁18とを開いている。このため、前記実施の形態1の(ニ)の効果を生じると共に、上流側燃料遮断弁16と燃料ポンプ14との間の燃料圧力を検出するための専用の燃圧センサを設ける必要が無く、コストを低減させることができる。
【0080】
(実施の形態3)
本実施の形態では、エンジン2の燃料供給系は図12に示すごとくである。
図12においては、燃料供給配管12に設けられていた下流側燃料遮断弁18、分岐経路32及び貯留部位リリーフ弁34が存在しない点が、前記実施の形態2とは異なる。又、燃料噴射弁4としては閉弁状態での噴射口の密閉性が高い燃料噴射弁を用いているので、エンジン停止中に燃料噴射弁4に高圧の燃料が作用しても噴射口から燃料が漏れることがなく、貯留部位の燃料圧力が低下するおそれはない。
【0081】
ECU8は、前記実施の形態2の図8,9に示した処理の代わりに、図13に示すエンジン停止時燃料加圧貯留処理及び図14に示すエンジン始動時燃料加圧制御処理を、短時間毎の割り込みで繰り返し実行している。尚、前記実施の形態2と同一の処理については同一の符号で説明している。
【0082】
エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図13)について説明する。本処理が開始されると、まずエンジンの停止か否かが判定される(S110)。イグニッションスイッチがオンであれば(S110で「NO」)、加圧貯留完了フラグXfsに「OFF」を設定して(S120)、一旦本処理を終了する。
【0083】
運転者がイグニッションキーをオフすることにより、エンジン停止操作を実行した場合には(S110で「YES」)、次に加圧貯留完了フラグXfsが「OFF」か否かが判定される(S130)。最初はXfs=「OFF」であることから(S130で「YES」)、次にデリバリ燃圧センサ30にて検出される燃料圧力P3が貯留圧力Pr以上となったか否かが判定される(S156)。
【0084】
この時はエンジン2の停止により燃料噴射弁4からの燃料噴射は停止しているが、燃料ポンプ14は駆動しているので、燃料ポンプ14からリリーフ弁28までの燃料供給配管12、デリバリパイプ6及びリターン配管24にわたる貯留部位の圧力は次第に上昇してリリーフ弁28の開弁圧まで到達する。貯留圧力Prは、リリーフ弁28の開弁圧あるいはこの開弁圧よりわずかに低い圧力に設定されている。したがって、貯留部位の燃料圧力が上昇の途中であって、P3<Prであれば(S156で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0085】
以後、燃料ポンプ14の駆動が継続することにより、燃料圧力P3が上昇してP3≧Prとなった場合、あるいは最初からP3≧Prであった場合には(S156で「YES」)、次に上流側燃料遮断弁16を閉弁する(S160)。このことにより、上流側燃料遮断弁16からリリーフ弁28までの貯留部位に高圧の液体状燃料が貯留される。
【0086】
次に燃料ポンプ14を停止し(S170)、加圧貯留完了フラグXfsにオンを設定して(S180)、本処理を一旦終了する。
次の制御周期では、Xfs=「ON」であることから(S130で「NO」)、エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図13)では実質的な処理は行われなくなる。
【0087】
そして、エンジン停止中において、貯留部位の燃料圧力が過剰となった場合には、リターン配管24に設けられたリリーフ弁28が開いて貯留部位の燃料の一部を排出する。このことにより貯留部位が過剰な圧力となるのを防止する。
【0088】
次に、運転者がイグニッションキーをオン操作した場合には、前記エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図13)のステップS110では「NO」と判定されるようになり、加圧貯留完了フラグXfsには「OFF」が設定される(S120)。
【0089】
そして、エンジン始動時燃料加圧制御処理(図14)において実質的な処理が行われるようになる。
エンジン始動時燃料加圧制御処理(図14)について説明する。本処理では、まずエンジン始動か否かが判定される(S310)。イグニッションキーがオフ状態であれば(S310で「NO」)、開弁処理完了フラグXendに「OFF」を設定し(S320)、タイマカウンタTyに「0」を設定して(S322)、一旦本処理を終了する。
【0090】
イグニッションキーがオン状態となれば(S310で「YES」)、次に開弁処理完了フラグXendが「OFF」か否かが判定される(S330)。最初はXend=「OFF」であることから(S330で「YES」)、燃料ポンプ14が駆動される(S340)。この時、上流側燃料遮断弁16は閉弁状態にあることから、燃料ポンプ14と上流側燃料遮断弁16との間の燃料供給配管12内の燃料圧力が次第に上昇することになる。
【0091】
次にタイマカウンタTyが加圧時間Tr以上か否かが判定される(S353)。この加圧時間Trは、燃料ポンプ14から上流側燃料遮断弁16の間の貯留部位の燃料圧力が上昇して、貯留部位の貯留圧力P3に達すると予想される燃料ポンプ14の駆動継続時間に相当する値である。
【0092】
最初はTy<Trであるので(S353で「NO」)、タイマカウンタTyをインクリメントして(S354)、一旦本処理を終了する。
以後、Ty<Trである間は(S353で「NO」)、タイマカウンタTyのインクリメント(S354)が繰り返され、この間、燃料ポンプ14の駆動が継続する。そして、Ty≧Trとなると(S353で「YES」)、次に上流側燃料遮断弁16を開弁する(S362)。そして、開弁処理完了フラグXendに「ON」を設定して(S370)、本処理を一旦終了する。
【0093】
次の制御周期では、Xend=「ON」であることから(S330で「NO」)、エンジン始動時燃料加圧制御処理(図14)における実質的な処理は停止する。
尚、ステップS362が実行されたことにより、上流側燃料遮断弁16が開いて燃料ポンプ14からは十分に高圧となった液体状燃料が燃料供給配管12を介してデリバリパイプ6側に導入され、その後も燃料供給配管12を介して燃料ポンプ14からデリバリパイプ6へ液体状燃料が供給され続ける。
【0094】
図15に本実施の形態における処理の一例を示す。時刻t20以前はエンジン2の燃焼運転がなされているものとする。時刻t20において運転者がイグニッションスイッチをオフする。このことにより燃料噴射弁4からの燃料噴射は停止する。しかし、この後も、燃料ポンプ14の駆動は継続する。このため貯留部位である上流側燃料遮断弁16からリリーフ弁28までの燃料圧力P3は上昇して行く。そして時刻t21にてP3≧Prとなると(S156で「YES」)、上流側燃料遮断弁16が閉弁される(S160)。これに引き続いて、時刻t22にて燃料ポンプ14も停止される(S170)。
【0095】
以後、貯留部位は上流側燃料遮断弁16とリリーフ弁28とにより密閉されているので、燃料の液化ガスは加圧液体状態に維持される。
エンジン停止中において、貯留部位の燃料昇温等が原因により、時刻t23〜t24にて、貯留部位の燃料圧力がリリーフ弁28の開弁圧以上となっている期間は、リリーフ弁28が開いて燃料タンク10へ燃料の一部を排出する。このようにして貯留部位が過剰な燃料圧力となるのを防止している。
【0096】
そして時刻t25にて運転者がイグニッションスイッチをオンにすると(S310で「YES」)、燃料ポンプ14が駆動を開始する(S340)。そして、時刻t25から加圧時間Tr経過した時刻t26にて(S353で「YES」)、ステップS362の処理により、上流側燃料遮断弁16が開かれる。
【0097】
尚、一点鎖線は図6にて説明した比較例である。
上述した構成において、エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図13)及びエンジン始動時燃料加圧制御処理(図14)が加圧貯留手段としての処理に相当する。
【0098】
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(イ)エンジン2の停止期間中は上流側燃料遮断弁16とリリーフ弁28との間に設定した貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留している。このため、エンジン2の停止期間中においてこの貯留部位においては気泡が発生することがない。したがってエンジン始動時に燃料ポンプ14により加圧する際に、気泡を圧縮して液化する時間を省略することができ、図15に実線で示したごとく直ちに液体燃料を噴射可能な燃料圧力とすることができる。しかも始動時初期からデリバリパイプ6には加圧液体状態の液化ガス燃料が存在しているので、各燃料噴射弁4での開弁時間による調量は始動開始から正確なものとなる。
【0099】
このように本実施の形態では、始動時において直ちに噴射燃料を正確に調量できるようになり、エンジン2の始動性を向上させることができる。しかも、燃料遮断弁は上流側燃料遮断弁16が1つであり、貯留部位は上流側燃料遮断弁16からリリーフ弁28までの燃料供給配管12、デリバリパイプ6及びリターン配管24を利用しているため、装置が大型化しない。
【0100】
(ロ)デリバリ燃圧センサ30により貯留部位の圧力を検出することにより、貯留部位にある液化ガスの燃料圧力P3を適切な圧力にすることができる。したがって、始動時においては一層正確な燃料調量が可能となり、エンジン始動性を一層向上させることができる。
【0101】
(ハ)エンジン停止中には、貯留部位に液化ガス燃料が過剰な燃料圧力となった場合には、リリーフ弁28により一部の燃料を排出することにより貯留部位が過剰な燃料圧力となるのを防止している。このため前記実施の形態1の(ハ)の効果を生じると共に、エンジン停止中には、ECU8を駆動しておく必要が無く、省エネルギーに貢献できる。
【0102】
(ニ)前記実施の形態2の(ニ)と同じ効果を生じる。
(ホ)燃料遮断弁が1つ済むので、製造コストが低減できる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、前記実施の形態1のエンジン停止中燃料調圧処理(図3)の代わりに図16に示すエンジン停止中燃料調圧処理が実行される点が、前記実施の形態1と異なる。これ以外の構成は特に説明しない限り前記実施の形態1と同じである。尚、前述した処理と同一内容の処理については同一の符号で表している。
【0103】
エンジン停止中燃料調圧処理(図16)について説明する。本処理が開始されると、加圧貯留完了フラグXfsが「ON」か否かが判定される(S210)。
Xfs=「OFF」である間は(S210で「NO」)、このまま一旦処理を終了する。このため実質的な処理はなされない。
【0104】
前記実施の形態1にて説明したエンジン停止時燃料加圧貯留処理(図2)においてステップS180が実行されることにより、Xfs=「ON」となると(S210「YES」)、貯留部位燃圧センサ22により検出されている貯留部位の燃料圧力P2が上限圧力Pup以上か否かが判定される(S220)。P2<Pupであれば(S220で「NO」)、次に燃料圧力P2が下限圧力Plow以下か否かが判定される(S222)。P2>Plowであれば(S222で「NO」)、上流側燃料遮断弁16は閉弁状態とされる(S250)。次に、燃料ポンプ14は停止状態とされる(S252)。こうして一旦本処理を終了する。
【0105】
したがって、Pup>P2>Plowであれば、上流側燃料遮断弁16から下流側燃料遮断弁18の間は密閉され、燃料ポンプ14も駆動されることはない。
一方、貯留部位が高温化することによりP2≧Pupとなると(S220で「YES」)、上流側燃料遮断弁16は開弁状態とされ(S258)、燃料ポンプ14は停止状態とされる(S260)。こうして一旦本処理を終了する。
【0106】
したがって、P2≧Pupであれば、上流側燃料遮断弁16から燃料ポンプ14側に燃料が排出されて、貯留部位の燃料圧力を低下させることができる。そして、上流側燃料遮断弁16の開弁により、Pup>P2>Plowとなれば(S220で「NO」、S222で「NO」)、上流側燃料遮断弁16は閉弁されるので(S250)、貯留部位の燃料圧力は維持されることになる。
【0107】
又、燃料温度低下等の原因によりP2≦Plowとなると(S222で「YES」)、燃料ポンプ14を駆動する(S254)。そして上流側燃圧センサ20により検出される燃料圧力P1が貯留部位燃圧センサ22により検出される燃料圧力P2以上か否かが判定される(S255)。
【0108】
P1<P2であれば(S255で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。そして以後、燃料ポンプ14の駆動継続により、P1≧P2となれば(S255で「YES」)、上流側燃料遮断弁16を開弁状態とする(S256)。このことにより、貯留部位から燃料ポンプ14への逆流が生じることなく燃料ポンプ14から貯留部位に燃料が圧送されて、貯留部位の燃料圧力が上昇する。
【0109】
この燃料圧送により、Pup>P2>Plowとなれば(S220で「NO」、S222で「NO」)、上流側燃料遮断弁16は閉弁され(S250)、燃料ポンプ14は停止される(S252)ので、貯留部位の燃料圧力は維持されることになる。
【0110】
図17に本実施の形態における処理の一例を示す。時刻t30〜t32は、前記実施の形態1の図6にて説明した時刻t0〜t2と同様に推移している。そして、エンジン停止中において、貯留部位の燃料昇温等が原因により、燃料圧力P2≧上限圧力Pupとなった場合(時刻t33:S220で「YES」)は、上流側燃料遮断弁16を開くことにより(S258)、燃料ポンプ14側へ燃料を排出し、Pup>P2>Plowとなれば(時刻t34:S220で「NO」、S222で「NO」)、上流側燃料遮断弁16を閉じることにより(S250)、燃料ポンプ14側への燃料排出を停止している。
【0111】
そして、エンジン停止中において、貯留部位の燃料温度低下等により、燃料圧力P2≦下限圧力Plowとなった場合(時刻t35:S222で「YES」)は、まず燃料ポンプ14を駆動する(S254)。そして燃料ポンプ14と上流側燃料遮断弁16との間の燃料圧力P1が、貯留部位の燃料圧力P2以上となったら(時刻t36:S255で「YES」)、上流側燃料遮断弁16を開く(S256)。このことにより燃料ポンプ14が貯留部位に燃料を圧送する。そして、Pup>P2>Plowとなれば(時刻t37:S220で「NO」、S222で「NO」)、上流側燃料遮断弁16を閉じ(S250)、燃料ポンプ14を停止することにより(S252)、貯留部位への燃料圧送を停止している。
【0112】
尚、時刻t38〜t40は、前記図6の時刻t5〜t7と同様に推移している。又、一点鎖線も図6にて説明した比較例である。
上述した構成においては、図16の処理が減圧手段及び増圧手段としての処理に相当する。
【0113】
以上説明した本実施の形態4によれば、以下の効果が得られる。
(イ)前記実施の形態1の(イ)〜(ホ)と同じ効果を生じる。
(ロ)エンジン停止中に貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留している期間において、貯留部位燃圧センサ22により検出される燃料圧力P2が下限圧力Plowより低くなった場合は燃料ポンプ14を駆動し且つ上流側燃料遮断弁16を開制御することにより燃料を貯留部位へ圧送している。このため貯留部位の燃料圧力P2の低下を防止でき、貯留部位を適切な圧力状態に維持することができる。
【0114】
(実施の形態5)
本実施の形態では、図18に示すごとく、前記実施の形態1(図1)の構成に比較して、上流側燃料遮断弁16及び上流側燃圧センサ20が存在していない。そして、上流側燃料遮断弁16の代わりに、チェック弁36が燃料ポンプ14近傍の燃料供給配管12に配置されて、デリバリパイプ6側から燃料ポンプ14側への燃料の逆流を阻止している。
【0115】
又、ECU8においては、前記実施の形態1にて説明した処理に代えて、図19に示すエンジン停止時燃料加圧貯留処理、図20に示すエンジン停止中燃料調圧処理、図21に示すエンジン始動時燃料加圧制御処理が実行される。前述した処理と同一内容の処理については同一の符号で表している。これ以外の構成は特に説明しない限り前記実施の形態1と同じである。
【0116】
エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図19)について説明する。本処理が開始されると、まずエンジン停止か否かが判定される(S110)。イグニッションスイッチがオンであれば(S110で「NO」)、加圧貯留完了フラグXfsに「OFF」を設定して(S120)、一旦本処理を終了する。
【0117】
運転者がイグニッションキーをオフすることにより、エンジン停止操作を実行した場合には(S110で「YES」)、次に加圧貯留完了フラグXfsが「OFF」か否かが判定される(S130)。最初はXfs=「OFF」であることから(S130で「YES」)、下流側燃料遮断弁18が閉弁状態とされる(S140)。この時、燃料ポンプ14は駆動が継続しているので、燃料ポンプ14から下流側燃料遮断弁18までの燃料供給配管12内の液体状燃料は、次第に高圧となる。この燃料圧力P2は貯留部位燃圧センサ22により検出される。
【0118】
次に燃料圧力P2が貯留圧力Pfs以上となったか否かが判定される(S150)。最初はP2<Pfsであるので(S150で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
以後、燃料ポンプ14の駆動が継続することにより、燃料圧力P2が上昇してP2≧Pfsとなると(S150で「YES」)、燃料ポンプ14を停止する(S170)。燃料ポンプ14の停止により燃料ポンプ14から下流側燃料遮断弁18にかけて高圧となっている液体燃料は燃料ポンプ14側に戻ろうとするが、チェック弁36が閉じることにより逆流は阻止される。このためチェック弁36から下流側燃料遮断弁18までの燃料供給配管12内を貯留部位として高圧の液体状燃料が貯留されることになる。
【0119】
次に加圧貯留完了フラグXfsに「ON」を設定して(S180)、本処理を一旦終了する。
次の制御周期では、Xfs=「ON」であることから(S130で「NO」)、エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図19)では実質的な処理は行われなくなる。
【0120】
エンジン停止中燃料調圧処理(図20)ついて説明する。本処理では、まず、加圧貯留完了フラグXfsが「ON」か否かが判定される(S210)。Xfs=「OFF」である間は(S210で「NO」)、このまま一旦処理を終了する。このため実質的な処理はなされない。
【0121】
前記エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図19)においてステップS180が実行されたことにより、Xfs=「ON」となると(S210「YES」)、貯留部位燃圧センサ22により検出されている貯留部位の燃料圧力P2が上限圧力Pup以上か否かが判定される(S220)。P2<Pupであれば(S220で「NO」)、次に燃料圧力P2が下限圧力Plow以下か否かが判定される(S222)。P2>Plowであれば(S222で「NO」)、下流側燃料遮断弁18は閉弁状態とされ(S250)、燃料ポンプ14は停止状態とされる(S252)。こうして一旦本処理を終了する。したがって、Pup>P2>Plowであれば、チェック弁36から下流側燃料遮断弁18の間は密閉され、燃料ポンプ14も駆動されることはない。
【0122】
貯留部位が高温化することによりP2≧Pupとなると(S220で「YES」)、下流側燃料遮断弁18は開弁状態とされ(S259)、燃料ポンプ14は停止状態とされる(S260)。こうして一旦本処理を終了する。
【0123】
したがって、P2≧Pupであれば、下流側燃料遮断弁18からデリバリパイプ6側に燃料が排出されて、貯留部位の燃料圧力を低下させることができる。そして、下流側燃料遮断弁18の開弁により、Pup>P2>Plowとなれば(S220で「NO」、S222で「NO」)、下流側燃料遮断弁18は閉弁されるので(S251)、貯留部位の燃料圧力は維持されることになる。
【0124】
又、燃料温度低下等の原因によりP2≦Plowとなると(S222で「YES」)、燃料ポンプ14を駆動する(S254)が、下流側燃料遮断弁18は閉弁状態とする(S257)。このことにより、燃料ポンプ14とチェック弁36との間の燃料圧力が上昇して貯留部位の燃料圧力P2以上となれば、チェック弁36が押し開かれて貯留部位に燃料が圧送される。こうして貯留部位の燃料圧力が上昇する。
【0125】
この燃料圧送により、Pup>P2>Plowとなれば(S220で「NO」、S222で「NO」)、燃料ポンプ14は停止される(S252)ので、チェック弁36は閉じて貯留部位の燃料圧力P2は維持されることになる。
【0126】
次に、運転者がイグニッションキーをオン操作した場合には、前記エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図19)のステップS110では「NO」と判定されるようになり、加圧貯留完了フラグXfsには「OFF」が設定される(S120)。このことにより、エンジン停止中燃料調圧処理(図20)のステップS210では「NO」と判定されて、実質的な処理はなされなくなる。
【0127】
そして、エンジン始動時燃料加圧制御処理(図21)において実質的な処理が行われるようになる。
エンジン始動時燃料加圧制御処理(図21)について説明する。本処理では、まずエンジン始動か否かが判定される(S310)。イグニッションキーがオフ状態であれば(S310で「NO」)、開弁処理完了フラグXendに「OFF」を設定して(S320)、このまま一旦本処理を終了する。
【0128】
イグニッションキーがオン状態となれば(S310で「YES」)、次に開弁処理完了フラグXendが「OFF」か否かが判定される(S330)。最初はXend=「OFF」であることから(S330で「YES」)、燃料ポンプ14が駆動される(S340)。そして次に貯留部位燃圧センサ22により検出される貯留部位の燃料圧力P2が上昇したか否かが判定される(S355)。
【0129】
ステップS340で燃料ポンプ14が駆動開始されることにより、燃料ポンプ14とチェック弁36との間の燃料圧力が次第に上昇する。しかし、この燃料圧力が貯留部位の燃料圧力P2以下であるとチェック弁36を押し開くことはなく、貯留部位の燃料圧力P2は上昇しない(S355で「NO」)。このため、一旦本処理を終了する。
【0130】
そして、燃料ポンプ14とチェック弁36との間の燃料圧力が貯留部位の燃料圧力P2を越えると、チェック弁36が押し開かれて貯留部位に燃料が圧送される。この時、下流側燃料遮断弁18は閉弁状態であるので、貯留部位燃圧センサ22により検出されるP2が上昇する(S355で「YES」)。このため、次に下流側燃料遮断弁18を開弁する(S363)。そして、開弁処理完了フラグXendに「ON」を設定して(S370)、本処理を一旦終了する。
【0131】
次の制御周期では、Xend=「ON」であることから(S330で「NO」)、エンジン始動時燃料加圧制御処理(図21)における実質的な処理はなされなくなる。
尚、ステップS363が実行されたことにより、下流側燃料遮断弁18が開いて燃料ポンプ14から下流側燃料遮断弁18に至る燃料供給配管12内において十分に高圧となった液体状燃料がデリバリパイプ6側に導入される。したがって、デリバリパイプ6内へは高圧の液体燃料が迅速に導入され、その後も燃料供給配管12を介して燃料ポンプ14からデリバリパイプ6へ液体状燃料が供給され続ける。
【0132】
図22に本実施の形態における処理の一例を示す。時刻t50以前はエンジン2の燃焼運転がなされているものとする。時刻t50において運転者がイグニッションスイッチをオフすると、下流側燃料遮断弁18が閉弁される(S140)。このため貯留部位である燃料ポンプ14と下流側燃料遮断弁18との間の燃料圧力P2は上昇して行く。そして時刻t51にて燃料圧力P2≧貯留圧力Pfsとなると(S150で「YES」)、燃料ポンプ14が停止される(S170)。以後、貯留部位はチェック弁36と下流側燃料遮断弁18とにより密閉されているので、燃料の液化ガスは加圧液体状態に維持される。
【0133】
エンジン停止中において、貯留部位の燃料昇温等が原因により、燃料圧力P2≧上限圧力Pupとなった場合(時刻t52:S220で「YES」)は、下流側燃料遮断弁18を開くことにより(S259)、デリバリパイプ6側へ燃料を排出し、Pup>P2>Plowとなれば(時刻t53:S220で「NO」、S222で「NO」)、下流側燃料遮断弁18を閉じることにより(S251)、デリバリパイプ6側への燃料排出を停止している。
【0134】
そして、エンジン停止中において、貯留部位の燃料温度低下等により燃料圧力P2≦下限圧力Plowとなった場合(時刻t54:S222で「YES」)は、燃料ポンプ14を駆動することで(S254)、燃料ポンプ14とチェック弁36との間の燃料圧力を上昇させる。そして時刻t55にてチェック弁36を押し開いて、貯留部位へ燃料を圧送する。このことにより燃料圧力P2が上昇すし、Pup>P2>Plowとなれば(時刻t56:S220で「NO」、S222で「NO」)、燃料ポンプ14を停止する(S252)。このことにより、チェック弁36が閉じて貯留部位の燃料圧力P2が維持される。
【0135】
そして時刻t57にて運転者がイグニッションスイッチをオンにすると(S310で「YES」)、燃料ポンプ14が駆動を開始し(S340)、燃料ポンプ14とチェック弁36との間の燃料圧力を上昇させる。そして、時刻t58にてチェック弁36を押し開いて、貯留部位へ燃料を圧送する。このことにより燃料圧力P2が上昇する(S355で「YES」)。そして、下流側燃料遮断弁18が開かれるので、燃料ポンプ14への逆流を生じることがない。以後、燃料ポンプ14によりデリバリパイプ6への加圧液体燃料の供給が継続する。
【0136】
尚、一点鎖線は図6にて説明したごとくの比較例である。
上述した構成において、エンジン停止時燃料加圧貯留処理(図19)及びエンジン始動時燃料加圧制御処理(図21)が加圧貯留手段としての処理に、エンジン停止中燃料調圧処理(図20)が減圧手段及び増圧手段としての処理に相当する。
【0137】
以上説明した本実施の形態5によれば、以下の効果が得られる。
(イ)前記実施の形態1の(イ)、(ロ)及び(ホ)と同じ効果を生じる。
(ロ)エンジン停止中に貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留している期間において、貯留部位燃圧センサ22により検出される燃料圧力P2が上限圧力Pupより高い場合は下流側燃料遮断弁18を開制御することにより高圧の燃料を貯留部位からデリバリパイプ6側に排出している。又、燃料圧力P2が下限圧力Plowより低くなった場合は燃料ポンプ14を駆動することにより燃料を貯留部位へ圧送している。このため貯留部位の燃料圧力P2の過剰な高圧化や低下を防止でき、貯留部位を適切な圧力状態に維持することができる。
【0138】
したがって始動時において、一層確実に液体燃料を適切な燃料圧力とすることができ、エンジン始動性を向上させることができる。
(ハ)エンジン始動時には、燃料ポンプ14を予め駆動させ、貯留部位の燃料圧力P2が上昇するタイミングで(S355で「YES」)、下流側燃料遮断弁18を開状態として貯留部位の液化ガス燃料を開放している。このため、貯留部位から燃料ポンプ14側への燃料の逆流を、より確実に防止でき、燃料ポンプ14側から貯留部位側への燃料の流れを一層円滑にすることができる。
【0139】
このようにデリバリパイプ6への液化ガス燃料の供給が円滑に継続して行われるので、始動時において一層早期に噴射燃料を正確に調量できるようになり、エンジン始動性を一層向上させることができる。
【0140】
(ニ)2つの燃料遮断弁を用いる代わりに、1つの遮断弁と1つのチェック弁で済むので、製造コストが低減できる。
(その他の実施の形態)
・前記各実施の形態において、燃料噴射弁4は吸気ポートに噴射するものであったが、吸気ポートに直接噴射しなくても他の部位の吸気経路に噴射するものであっても良く、又、気筒内に直接噴射する直噴型の燃料噴射弁でも良い。
【0141】
・前記各実施の形態における処理は、イグニッションキー操作によるイグニッションスイッチのオフ/オンによりエンジン停止/始動が判定されていたが、イグニッションスイッチオンによりエンジン始動を判定する以外に、スタータオンによりエンジン始動を判定しても良い。又、エンジン回転数を検出して、エンジン回転数の状態に基づいてエンジン停止・始動を判定しても良い。
【0142】
又、本発明は、イグニッションキーによるエンジン始動・停止以外に、燃費の改善などのために、自動車が交差点等で走行停止した時に内燃機関を自動停止し発進操作時にスタータやモータジェネレータなどを回転させて内燃機関を自動始動して自動車を発進可能とさせるシステム、所謂、エコノミーランニングシステム(「アイドルストップ」とも言う)によるエンジン自動停止及び自動始動においても適用できる。
【0143】
・前記実施の形態1においては、下流側燃料遮断弁18は燃料供給配管12のデリバリパイプ6近傍に設けていたが、燃料噴射弁4として噴射口の密閉性が高い噴射弁を用いれば、例えば図23に示すごとく下流側燃料遮断弁18をリターン配管24に設けても良い。この場合は、燃料供給配管12、デリバリパイプ6及びリターン配管24にかけて貯留部位が形成されることになる。このためエンジン停止中にデリバリパイプ6においても気泡が発生しないので、エンジン始動性が一層向上する。
【0144】
・前記実施の形態3においては、貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留する際には、デリバリ燃圧センサ30が検出する燃料圧力P3が貯留圧力Pr以上となった後に上流側燃料遮断弁16を閉じて、燃料ポンプ14を停止していたが、デリバリ燃圧センサ30が検出する燃料圧力P3は見ずに、燃料圧力P3が十分に上昇すると推定される時間、燃料ポンプ14の駆動を継続した後、上流側燃料遮断弁16を閉じて、燃料ポンプ14を停止しても良い。
【0145】
・前記実施の形態3においては、エンジン始動時においては、加圧時間Trの間、燃料ポンプ14を駆動した後に上流側燃料遮断弁16を開弁していたが、上流側燃料遮断弁16と燃料ポンプ14との間に燃圧センサを設けて、この検出圧力がデリバリ燃圧センサ30が検出する燃料圧力P3以上となった場合、あるいは貯留圧力Pr以上となった場合に、上流側燃料遮断弁16を開弁しても良い。
【0146】
・前記実施の形態5では下流側燃料遮断弁18は燃料供給配管12に配置したが、燃料噴射弁4として噴射口の密閉性が高い噴射弁を用いれば、例えば図24に示すごとく、下流側燃料遮断弁18はリターン配管24に配置しても良い。この時、貯留部位燃圧センサ22の代わりにデリバリ燃圧センサ30を設けても良い。この場合は、燃料供給配管12、デリバリパイプ6及びリターン配管24にかけて貯留部位が形成されることになる。このためエンジン停止中にデリバリパイプ6に気泡が発生しないので、エンジン始動性が一層向上する。
【0147】
・前記実施の形態5では、エンジン停止時に貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留する際には、貯留部位燃圧センサ22が検出する燃料圧力P2が貯留圧力Pfs以上となった後に燃料ポンプ14を停止していたが、貯留部位燃圧センサ22が検出する燃料圧力P2は見ずに、燃料圧力P2が十分に上昇すると推定される時間、燃料ポンプ14の駆動を継続した後、燃料ポンプ14を停止しても良い。
【0148】
・前記実施の形態5においては、エンジン始動時においては貯留部位燃圧センサ22にて検出される燃料圧力P2が上昇した際に、チェック弁36が開いたとして下流側燃料遮断弁18を開弁していたが、燃料ポンプ14とチェック弁36との間に供給燃圧センサを設けて、この検出圧力が貯留部位燃圧センサ22が検出する燃料圧力P2と同等以上となった場合、あるいは予め設定してある圧力値以上となった場合に、下流側燃料遮断弁18を開弁しても良い。
【0149】
・前記実施の形態1,4,5及び図23,24の例において、エンジン停止中にて貯留部位の燃料圧力を検出して、この燃料圧力が過剰となった場合には、燃料遮断弁を開けて減圧していたが、燃料圧力上昇の程度を表すパラメータとして貯留部位の燃料温度を検出して、温度上昇の発生により燃料圧力が過剰となったと推定された場合に燃料遮断弁を開けて減圧するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】実施の形態1におけるエンジン燃料供給系の概略構成を表すブロック図。
【図2】実施の形態1のECUが実行するエンジン停止時燃料加圧貯留処理のフローチャート。
【図3】同じくエンジン停止中燃料調圧処理のフローチャート。
【図4】同じくエンジン始動時燃料加圧制御処理のフローチャート。
【図5】実施の形態1におけるエンジン燃料供給系の作動説明図。
【図6】実施の形態1における処理の一例を示すタイミングチャート。
【図7】実施の形態2におけるエンジン燃料供給系の概略構成を表すブロック図。
【図8】実施の形態2のECUが実行するエンジン停止時燃料加圧貯留処理のフローチャート。
【図9】同じくエンジン始動時燃料加圧制御処理のフローチャート。
【図10】実施の形態2におけるエンジン燃料供給系の作動説明図。
【図11】実施の形態2における処理の一例を示すタイミングチャート。
【図12】実施の形態3におけるエンジン燃料供給系の概略構成を表すブロック図。
【図13】実施の形態3のECUが実行するエンジン停止時燃料加圧貯留処理のフローチャート。
【図14】同じくエンジン始動時燃料加圧制御処理のフローチャート。
【図15】実施の形態3における処理の一例を示すタイミングチャート。
【図16】実施の形態4のECUが実行するエンジン停止中燃料調圧処理のフローチャート。
【図17】実施の形態4における処理の一例を示すタイミングチャート。
【図18】実施の形態5におけるエンジン燃料供給系の概略構成を表すブロック図。
【図19】実施の形態5のECUが実行するエンジン停止時燃料加圧貯留処理のフローチャート。
【図20】同じくエンジン停止中燃料調圧処理のフローチャート。
【図21】同じくエンジン始動時燃料加圧制御処理のフローチャート。
【図22】実施の形態5における処理の一例を示すタイミングチャート。
【図23】実施の形態1の変形例におけるエンジン燃料供給系の概略構成を表すブロック図。
【図24】実施の形態5の変形例におけるエンジン燃料供給系の概略構成を表すブロック図。
【符号の説明】
【0151】
2…エンジン、4…燃料噴射弁、6…デリバリパイプ、8…ECU、10…燃料タンク、12…燃料供給配管、14…電動式燃料ポンプ、16…上流側燃料遮断弁、18…下流側燃料遮断弁、20…上流側燃圧センサ、22…貯留部位燃圧センサ、24…リターン配管、26…チェック弁、28…リリーフ弁、30…デリバリ燃圧センサ、32…分岐経路、34…貯留部位リリーフ弁、36…チェック弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク内の液化ガス燃料を燃料ポンプにより燃料供給経路を介して内燃機関の燃料供給部位へ液体状態で供給する液化ガス燃料供給装置であって、
前記燃料供給経路に遮断弁を備え、前記燃料供給部位から前記燃料タンクに液化ガス燃料を戻すリターン経路にプレッシャレギュレータが設けられ、内燃機関の停止期間中は該遮断弁と該プレッシャレギュレータとの間を貯留部位とし、内燃機関の停止時に、前記貯留部位に存在する液化ガス燃料が加圧液体状態にある時に前記遮断弁を閉じることで、前記貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留しておき、内燃機関の始動時に前記貯留部位の液化ガス燃料を開放する加圧貯留手段を備える
ことを特徴とする液化ガス燃料供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液化ガス燃料供給装置において、
前記燃料供給経路には前記貯留部位を形成する前記遮断弁が1つのみ設けられる
ことを特徴とする液化ガス燃料供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液化ガス燃料供給装置において、
前記加圧貯留手段は、内燃機関の停止時に、前記燃料ポンプの駆動を一時的に実行した後に前記遮断弁を閉じることで、前記貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留する
ことを特徴とする液化ガス燃料供給装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の液化ガス燃料供給装置において、
前記貯留部位の燃料圧力を検出する貯留燃料圧力検出手段を備え、
前記加圧貯留手段は、内燃機関の停止時に、前記貯留燃料圧力検出手段にて検出される圧力が前記プレッシャレギュレータの設定圧又は該設定圧直前の圧力に到達するまで前記燃料ポンプの駆動を実行した後に前記遮断弁を閉じることで、前記貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留する
ことを特徴とする液化ガス燃料供給装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の液化ガス燃料供給装置において、
前記貯留部位の燃料圧力を検出する貯留燃料圧力検出手段と、
前記貯留部位に液化ガス燃料を加圧液体状態で貯留している期間において、前記貯留燃料圧力検出手段により検出される燃料圧力が設定下限圧力より低い場合には前記貯留部位の燃料上流側に配置された遮断弁の開制御と前記燃料ポンプの駆動制御とを行い、前記燃料圧力が設定下限圧力より高い場合には前記貯留部位の燃料上流側に配置された遮断弁の閉制御と前記燃料ポンプの駆動停止制御とを行う増圧手段とを備える
ことを特徴とする液化ガス燃料供給装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の液化ガス燃料供給装置において、
前記加圧貯留手段は、内燃機関の始動時に、前記燃料ポンプを予め駆動させることにより前記燃料ポンプの供給燃料圧力を高めた後に全ての遮断弁を開状態として前記貯留部位の液化ガス燃料を開放する
ことを特徴とする液化ガス燃料供給装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液化ガス燃料供給装置において、
前記燃料ポンプの供給燃料圧力を検出する供給燃料圧力検出手段を備え、
前記加圧貯留手段は、内燃機関の始動時に、前記燃料ポンプを予め駆動させることで前記供給燃料圧力検出手段により検出される燃料圧力が前記貯留圧力に到達した後に全ての遮断弁を開状態として前記貯留部位の液化ガス燃料を開放する
ことを特徴とする液化ガス燃料供給装置。
【請求項8】
請求項6に記載の液化ガス燃料供給装置において、
前記燃料ポンプの供給燃料圧力を検出する供給燃料圧力検出手段と、
前記貯留部位の燃料圧力を検出する貯留燃料圧力検出手段とを備え、
前記加圧貯留手段は、内燃機関の始動時に、前記燃料ポンプを予め駆動させることで前記供給燃料圧力検出手段により検出される供給燃料圧力が前記貯留燃料圧力検出手段により検出される燃料圧力に到達した後に全ての遮断弁を開状態として前記貯留部位の液化ガス燃料を開放する
ことを特徴とする液化ガス燃料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−169851(P2008−169851A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92758(P2008−92758)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【分割の表示】特願2001−276906(P2001−276906)の分割
【原出願日】平成13年9月12日(2001.9.12)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】