説明

液晶パネルシール用光硬化性組成物及び液晶パネル

【課題】 基板への接着性に優れ、且つ、得られる液晶パネルの電圧保持率が低下しない液晶パネルシール用光硬化性組成物を提供する。
【解決手段】 (メタ)アクリル酸エステル及びマレイミド化合物を含有する液晶パネルシール用光硬化性組成物であって、一分子中に燐酸基及び少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する光重合性化合物を0.5〜10質量%含有する液晶パネルシール用光硬化性組成物。及び、該液晶パネルシール用光硬化性組成物の硬化物から成るメインシール部又は封じ部を有する液晶パネル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶パネルシール用光硬化性組成物及び該組成物の硬化物から成るシール部又は封止部を有する液晶パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に液晶パネルは、薄膜トランジスタ、画素電極、配向膜等を備える背面基板と、カラーフィルター、電極、配向膜等を備える前面基板とを対向させ、両基板間に液晶を封入して構成されている。そして、2枚の基板を接着させる目的でシール剤が使用されている。
【0003】
現在シール剤には、主にエポキシ系の熱硬化型樹脂が使用されているが、これは硬化完了までに約30分以上を要し、予め位置合わせした2枚の基板に横方向のずれが生じたりすることがある。又、最近液晶パネル製造方法の主流となりつつある液晶滴下方法(ODF法)には、加熱途中で硬化中のシール剤の成分が液晶に溶解する問題があり、得られる液晶パネルの電圧保持率が下がってしまうことがある。
そのため最近は、硬化が速く、液晶滴下工法にも使用できるような、光硬化型樹脂を使用したシール剤の要望が高まっている。
【0004】
光硬化型樹脂には、カチオン硬化型とラジカル硬化型とがあるが、カチオン硬化型は光照射時にイオンを発生する光カチオン開始剤を使用するため、該イオンが液晶に簡単に溶解するおそれがあり実用的ではない。
ラジカル硬化型の光硬化性シール剤としては、ポリカーボネート変性ウレタンアクリレート、アクリルモノマー及び光重合開始剤からなる液晶パネルシール用光硬化性組成物や(例えば、特許文献1,2参照)、1分子中にカルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル連結鎖又はポリエステル連結鎖とマレイミド基とを有する化合物、及びシランカップリング剤を含有する液晶パネルシール用光硬化性組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしこれらは汎用の光重合開始剤を使用しており、硬化後、光重合開始剤の光分解物あるいは未反応の光重合開始剤がシール剤に残存し、これが液晶に溶解する。従って得られる液晶パネルの電圧保持率はやはり下がってしまう。また、ラジカル硬化型は硬化収縮が大きいため、基板との接着性に劣る問題もあった。
【0005】
特許文献4で開示されているラジカル硬化型の光硬化性シール剤は、光重合開始剤を含有せず、代わりに、光重合開始能を有し、且つ重合成分となるマレイミド化合物を使用している。これにより電圧保持率の問題は解消される。しかし、ガラス基板およびアルミ配線部分に対しては、十分な接着性が得られない場合があった。
【0006】
特許文献5で開示されているラジカル硬化型の光硬化性シール剤は、一分子中に(メタ)アクリロイル基と燐酸基の両方を含有する接着補助剤、及び、平均粒径3ミクロン以下の充填剤を含有しており、接着強度、及び、比抵抗測定による液晶汚染性に優れる。しかし該シール剤を使用した液晶パネルの電圧保持率はやはり下がってしまう。
即ち、液晶パネルの電圧保持率を低下させず、且つ接着性に優れる、実用化可能なラジカル硬化型の光硬化性シール剤は得られてないのが現状である。
【特許文献1】特開平7−13173号公報
【特許文献2】特開平7−13174号公報
【特許文献3】特開2000−219868号公報
【特許文献4】特開2004−070297号公報
【特許文献5】特開2004−233858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、基板への接着性に優れ、且つ、得られる液晶パネルの電圧保持率が低下しない液晶パネルシール用光硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らはマレイミド化合物を使用し、且つ、リン酸基を有する重合性化合物を特定の割合使用することで、接着性に優れ、且つ電圧保持率の低下が生じない液晶パネルシール用光硬化性組成物が得られることを見いだした。
【0009】
即ち、本発明は、(メタ)アクリル酸エステル及びマレイミド化合物を含有する液晶パネルシール用光硬化性組成物であって、一分子中に燐酸基及び少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する光重合性化合物を0.5〜10質量%含有する液晶パネルシール用光硬化性組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記記載の液晶パネルシール用光硬化性組成物の硬化物から成るメインシール部を有する液晶パネルを提供する。
【0011】
また、本発明は、前記記載の液晶パネルシール用光硬化性組成物の硬化物から成る封止部を有する液晶パネルを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液晶パネルシール用光硬化性組成物はマレイミド化合物を使用する。汎用の光重合開始剤を使用しないので光分解物あるいは未反応の光重合開始剤がシール部分に残存せず、これによる電圧保持率の低下は生じない。このように、電圧保持率の低下を起こすような要因をできるだけ排除してあるので、接着性に寄与する燐酸基及び少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する光重合性化合物を最大量10質量%まで含有することができ、接着性に特に優れるシール剤が得られる。また、この他の重合性成分は汎用のアクリル酸エステルであるので、光硬化速度が速く硬化性に優れ、液晶滴下方法にも適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0014】
(マレイミド化合物)
本発明で使用するマレイミド化合物とはマレイミド基を有する化合物であり、例えば、特開平11−124403号公報に記載の同一分子内にマレイミド基とカルボン酸を有する化合物と多価アルコールから得られるエステル化合物、特開平11−124404号公報に記載の同一分子内にマレイミドとヒドロキシル基を有する化合物とイソシアネートから得られるウレタン結合を有するマレイミド化合物、特開2004−070297号公報に記載の縮合脂環式構造を有するマレイミド化合物を用いることが出来る。
【0015】
本発明で使用するマレイミド化合物は、全組成物量に対して1〜30質量%の範囲で使用することが好ましく、中でも、1〜25質量%が特に好ましい。該化合物が1%未満では、実用的な光量で硬化させることが難しく、30%を越える量では、シール剤の接着性が劣る傾向にある。
【0016】
本発明で使用するマレイミド化合物は、特開2004−070297号公報に記載されているような、縮合型脂環式構造を有するマレイミド化合物を使用すると、得られるシール剤に水蒸気バリア性を付与することができより好ましい。
本発明において縮合型脂環式構造とは、炭素数が3以上の脂肪族炭化水素環の2つ以上が縮合した構造を指す。縮合型脂環式構造としては、例えば、ビシクロヘキサン環、ビシクロヘプタン環、ビシクロクタン環、ビシクロノナン環、ビシクロデカン環、ビシクロンデカン環、ビシクロドデカン環、トリシクロデカン環、トリシクロウンデカン環、トリシクロドデカン環、トリシクロテトラデカン環、トリシクロペンタデカン環、トリシクロヘキサデカン環、アダマンタン環、キュバン環などが挙げられる。中でも、ビシクロデカン環、アダマンタン環またはトリシクロデカン環が特に好ましい。
【0017】
本発明で使用する、前記縮合型脂環式構造を有するマレイミド化合物における縮合型脂環式構造の割合は、前記縮合型脂環式構造を有するマレイミド化合物に対して20〜70質量%の範囲が好ましい。前記割合を20質量%以上とすると、より高い水蒸気バリア性が得られる。但し脂環式構造は接着性を低下させる傾向にある。具体的には、前記縮合型脂環式構造を有するマレイミド化合物に対して70質量%を越えないことが好ましい。
【0018】
前記縮合型脂環式構造を有するマレイミドの具体例として、下記一般式(1)〜(3)で表わされる化合物が挙げられる。
【0019】
【化1】

(1)
【0020】
【化2】

(2)
【0021】
【化3】

(3)
【0022】
上記一般式(1)〜(3)におけるmはそれぞれ独立して1〜5の整数を、nはそれぞれ独立して0〜4の整数を表わす。
【0023】
(一分子中に燐酸基及び少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する光重合性化合物)
一分子中に燐酸基及び少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する光重合性化合物(以下、燐酸モノマーと略す)としては、例えば、ビス−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、カプロラクトン変性ビス−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、アシッドフォスフォキシ・ポリオキシエチレングリコール モノメタクリレート、エポキシ変性燐酸アクリレート等、を挙げることが出来る。そのような燐酸基及び一分子中に少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する光重合性化合物の市販品としては、例えば共栄社油脂化学工業社製の商品名「P−2M」、「P−1M」、日本化薬社製の商品名「KAYAMER P-21M」、三菱商事の商品名「Phosmer PE」、第一工業製薬社製「S-23A」などが挙げられる。
【0024】
前記燐酸モノマーは、全組成物量に対して0.5〜10質量%の範囲で使用する。1〜8質量%の範囲が尚好ましく、2〜4質量%が特に好ましい。該化合物が0.5質量%未満では十分な接着性が得られにくく、10質量%を超えると電圧保持率の低下を起こす。
本発明の組成においては、マレイミド化合物を使用することにより電圧保持率の低下を起こすような要因を排除してあるので、接着性に寄与する燐酸モノマーを10%まで配合することができる。このため、電圧保持率と接着性との両立が可能となった。
【0025】
((メタ)アクリル酸エステル)
本発明で使用する(メタ)アクリル酸エステルとは、UV硬化の分野で一般的に使用されるような(メタ)アクリロイル基を有する公知慣用の化合物であれば特に限定はない。但し、過度の硬化収縮を避けるために、硬化収縮が大きいとされる、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルは少量の使用にとどめておく方が好ましい。また、得られる硬化物のガラス転移点温度(以下Tgと略す)が高い(メタ)アクリル酸エステルを使用すると、耐熱性に優れ、電圧保持率の低下を起こすことのないシール剤を得ることができより好ましい。
また、UV硬化の分野で「光重合性オリゴマー」と称される、主鎖構造にエステル結合を有し、少なくとも2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン基を少なくとも一つ以上有するウレタン(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリンで変性して得られるエポキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、環状ラクトンなどで変性された(メタ)アクリル酸エステル等も、本発明で使用する(メタ)アクリル酸エステルとして使用できる。
【0026】
本発明で使用する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学社製の商品名「HEA」)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(大阪有機化学社製の商品名「HPA」、グリセリンモノメタクリレート(日本油脂社製の商品名「ブレンマーGLM」)、アクロイルオキシエチルフタレート(共栄社油脂化学社製の商品名「HOA−MPE」)、アクロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート(共栄社油脂化学社製の商品名「HOA−HH」)、アクロイルオキシエチルフタレート(共栄社油脂化学社製の商品名「HOA−MPL」)ベンジル(メタ)アクリレート(大阪有機化学社製の商品名「ビスコート#160」)、カプロラクトンアクリレート(日本化薬社製の商品名「SR−495」)、シクロヘキシルアクリレート(大阪有機化学社製の商品名「ビスコート#155」)、ジシクロペンテニルアクリレート(日立化成社製の商品名「ファンクリルFA513A」)、ジプロピレングリコールアクリレート(第一工業製薬社製の商品名「ニューフロンティアDPGA」)、イソボニルアクリレート(東亜合成社製の商品名「アロニックスM-156」)、ラウリルアクリレート(大阪有機化学社製の商品名「LA」)、ステアリルアクリレート(大阪有機化学社製の商品名「STA」)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(共栄社油脂化学社製の商品名「130A」、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(東亜合成社製の商品名「アロニックスM111」、「アロニックスM113」、「アロニックスM117」)、ECH変性フェノキシアクリレート(東亜合成社製の商品名「アロニックスM5700」)、EO変性琥珀酸アクリレート(共栄社油脂化学社製の商品名「HOA−MS」)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学社製の商品名「ビスコート#150」)、トリブロモフェニルアクリレート(第一工業製薬社製の商品名「ニューフロンティアBR−30」)、オクタフルオロペンチルアクリレート(大阪有機化学社製の商品名「ビスコート8F」)、イミドアクリレート(東亞合成社製の商品名「TO1428」、「TO1429」)等の、一分子中に(メタ)アクリロイル基を1つ有する(メタ)アクリル酸エステル、
【0027】
ビス(アクリロイルエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート(東亜合成社製の商品名「アロニックスM215」)、(PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート(三洋化成社製の商品名「NA305」)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学社製の商品名「ビスコート#230」)、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(ナガセ化成社製の商品名「DA−212」)、トリプロピレングリコールジアクリレート(大阪有機化学社製の商品名「ビスコート#310HP」)EO変性ビスフェノールAジアクリレート(日本油脂社製の商品名「ADPE−150」)、PO変性ビスフェノールAジアクリレート(日本油脂社製の商品名「ADBP−200」)、ECH変性ビスフェノールA型アクリレート(大日本インキ化学社製の商品名「DICLITE UE8200」)、ECH変性フタル酸ジアクリレート(ナガセ化成社製の商品名「DA−721」)、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート(ナガセ化成社製の商品名「DA−722」)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセルUCB社製の商品名「IRR214」)、ECH変性グリセロールトリアクリレート(ナガセ化成社製の商品名「DA−314」)、PO変性グリセロールトリアクリレート(ダイセルUCB社製の商品名「OTA480」)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亜合成社製の商品名「アロニックスM305」)、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成社製の商品名「アロニックスM310」)、トリス(アクロイルオキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成社製の商品名「アロニックスM315」)、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(東亜合成社製の商品名「アロニックスM408」)、ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製の商品名「カヤラッドDPHA」)、カプロラクトン変性ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製の商品名「カヤラッドDPCA-30」、「カヤラッドDPCA-120」)等の、一分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、
【0028】
フェノールノボラック型エポキシと(メタ)アクリル酸を反応させて得られるフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート(大日本インキ化学工業社製の商品名「DICLITE UE−8710」)、1,1−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルイソホロンジカルバミン酸ジエステル(共栄社油脂化学工業社製の商品名「UA101I」)、2−(1,1,1−トリ(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソホロンジカルバミン酸ジエステル(共栄社油脂化学工業社製の商品名「UA306I」)、1,6−ヘキサンジオール変性−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソホロンジカルバミン酸ジエステル(東亞合成社製の商品名「M1600」)、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと部分ポリエステルポリオールとイソホロンジイソシアネートとを作用させて得られる部分ポリエステル変性ウレタン(メタ)アクリレート(ダイセルUCB社製の商品名「EB4866」、「EB280/15IB」)等の、光重合性オリゴマー等が挙げられる。
【0029】
(メタ)アクリル酸エステルとして、環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルを使用すると、得られるシール剤に水蒸気バリア性を付与することができより好ましい。また、環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルはTgの高いものが多いので、耐熱性も付与することができる。環構造としては脂環式構造が好ましい。芳香環など、高い吸光係数を有する(メタ)アクリル酸エステルであると、マレイミド基の光吸収波長と重なり、硬化阻害を引き起こすことがある。
脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート(HOAHH、共栄社化学)、シクロヘキシルアクリレート(ビスコート#155、大阪有機化学)、ジシクロペンタニルアクリレート(ファンクリルFA−513A、日立化成)、ジシクロペンテニルアクリレート(ファンクリルFA−511A、日立化成)、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(ファンクリルFA-512A、日立化成)、イソボニルアクリレート(アロニックスM-156、東亞合成)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(ビスコート#150、大阪有機化学)、ジシクロペンタニルメタクリレート(ファンクリルFA-513M、日立化成)、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(ファンクリルFA-512M、日立化成)、イソボニルメタクリレート(SR-423、化薬サートマー)、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート(ブレンマーTBCHMA、日本油脂)等の(メタ)アクリレートや、シクロヘキシルビニルエーテル(東京化成)、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(RAPI-CURE DVB1D、BASF)等のビニルエーテルの他、ビニルシクロヘキサン(東京化成)、アリルシクロヘキシルプロピオネート(東京化成)、アリルシクロヘキサン(東京化成)、2−アリルシクロヘキサノン(アクロス・オーガニック。インターナショナル)、
【0030】
2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート(HOAHH共栄社)、シクロヘキシルアクリレート(ビスコート#155大阪有機化学)、ジシクロペンタニルアクリレート(ファンクリルFA−513A日立化成)、ジシクロペンテニルアクリレート(ファンクリルFA−511A日立化成)、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(ファンクリルFA-512A日立化成)、イソボニルアクリレート(アロニックスM-156)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(ビスコート#150大阪有機化学)、ジシクロペンタニルメタクリレート(ファンクリルFA-513M日立化成)、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(ファンクリルFA-512M)、イソボニルメタクリレート(SR-423化薬サートマー)、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート(ブレンマーTBCHMA日本油脂)等、単官能(メタ)アクリレートの他、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート(IRR214ダイセルUCB)、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレ−ト(デナコールアクリレートDA-722ナガセ化成)、トリシクロデカンジメタノールアクリレート(カヤラッドR-684日本化薬)等の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
中でも、脂環式構造及び一分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。これらの脂環式構造の割合は、(メタ)アクリレート層質量に対して20質量%以下であることが好ましい。脂環式構造の割合が高すぎると、基板に対する接着性が下がるおそれがある。
【0031】
例えば、前記(メタ)アクリル酸エステルに例示したジシクロペンテニルアクリレート(日立化成社製の商品名「ファンクリルFA513A」)等の他、特開2004−070297号公報に記載の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。中でも、一分子中に脂環式構造及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。これらの脂環式構造の割合は、一分子中に脂環式構造及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物に対して5〜30質量%の範囲が好ましい。脂環式構造の割合が高すぎると、基板に対する接着性が下がるおそれがある。
【0032】
本発明においては、前記マレイミド化合物及び前記燐酸モノマー以外の全重合性成分として、前記(メタ)アクリル酸エステルを使用することが好ましい。この時、硬化後のTgが120℃以上となるように(メタ)アクリル酸エステルを組み合わせると、耐熱性に優れ、パネル組み立て後のアニール工程等でも位置ずれしたり電圧保持率の低下を起こすことのないシール剤が得られる。また、前記一分子中に脂環式構造及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリル酸エステルを、全重合性成分に対して20〜60質量%の範囲で使用すると、接着性に優れ、且つ水蒸気バリア性も兼ね備えたシール剤を得ることができる。
【0033】
(熱ラジカル発生剤)
本発明の液晶パネルシール用光硬化性組成物は、光照射によって充分な接着強度を有するが、熱重合開始剤を添加して光熱併用型とすることもできる。光熱併用型は、ブラックマトリックス下などの非露光部等、光が届かないような細部まで完全に硬化させることができる。この時の熱は、液晶パネルのアニール工程時にかかる熱を利用することができる。既に光硬化させているので、熱によるずれやモノマー成分が液晶に溶解することはなく、電圧保持率の低下の心配はない。
熱ラジカル発生剤として、有機過酸化物の使用が好ましく、例えば、オクタノイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド;ジ−n−プロピルペルオキシジカルボナート、ジイソプロピルペルオキシジカルボナート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナート、ジ−(2−エトキシエチル)ペルオキシジカルボナートのようなペルオキシジカルボナート;tert−ブチルペルオキシイソブチラート、tert−ブチルペルオキシピバラート、tert−ブチルペルオキシオクタノアート、オクチルペルオキシオクタノアート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノアート、tert−ブチルペルオキシネオドデカノアート、オクチルペルオキシネオドデカノアート、tert−ブチルペルオキシラウラート、tert−ブチルペルオキシベンゾアートのようなペルオキシエステル;ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチル)ヘキシン−3のようなジアルキルペルオキシド;2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレラートのようなペルオキシケタール;メチルエチルケトンペルオキシドのようなケトンペルオキシド;p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシドなど、各種の過酸化物が挙げられる。このような有機過酸化物は、1種を用いても2種以上を併用してもよく、また溶媒で希釈したり、粉体に吸着させて用いてもよい。
【0034】
熱ラジカル発生剤は、組成物全量に対して0.1〜10.0質量%使用することが好ましく、更に好ましくは0.5〜5.0質量%である。前記割合が0.1質量%未満では、加熱時の硬化が不充分となる傾向があり、5.0質量%を超えると電圧保持率を低下させる傾向にある。
【0035】
本発明の液晶パネルシール用光硬化性組成物には、その他、接着性や、電圧保持率を低下させない範囲で、アルミナ、シリカゲル、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなど、公知慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
【0036】
(液晶パネル、液晶パネルの製造方法)
本発明の液晶パネルシール用光硬化性組成物は、液晶パネルを作成するときのメインシール剤として、また、液晶パネルに液晶材料を注入した後、注入口を封止する封止剤として使用することができる。
【0037】
液晶パネルは、例えば、薄膜トランジスタ、画素電極、配向膜、カラーフィルター、電極等を備えた前面又は背面基板の、どちらか一方の基板面に本発明の液晶パネルシール用光硬化性組成物を塗布した後、もう一方の基板を貼りあわせ、該基板の基板面側、あるいは該基板の側面から光を照射して、本発明の液晶パネルシール用光硬化性組成物を硬化させる。次に、得られた液晶セルに液晶を注入後、封止剤で注入口を封止することによって、液晶パネルを作成することができる。
【0038】
また、液晶パネルは、前記どちらか一方の基板面の外縁部に、額縁状に本発明の液晶パネルシール用光硬化性組成物を塗布し、この中に液晶を滴下した後、真空下で、もう一方の基板を貼り合わせてから光硬化させる方法によっても作成することができる。
【0039】
本発明の液晶パネルシール用光硬化性組成物を基板面に塗布するには、ディスペンサーを使用するか、あるいはスクリーン印刷法を用いればよい。その場合、線幅0.08〜0.1mm、線高さ5〜50μmに塗布するのが、一般的である。
【0040】
本発明の液晶パネルシール用光硬化性組成物を硬化させる為に使用する光は、紫外線又は可視光線が好ましく、中でも、300〜400nmの波長の光が好ましい。光源としては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等を使用することができる。該光源の照度は、400W/m以上であると、硬化が速く好ましい。照射する光量は、積算光量に換算して5000J/m以上であれば良好に硬化させることができる。また、本発明の液晶パネルシール用光硬化性組成物は、空気雰囲気下においても良好な光硬化性を示すが、窒素などの不活性ガス雰囲気下で光硬化させると、少ない積算光量で硬化させることができるので、より好ましい。
【0041】
また、熱ラジカル発生剤を含有した本発明の液晶パネルシール用光硬化性組成物を熱硬化させる為には、80〜130℃で20分〜2時間加熱することが好ましい。特に、液晶滴下方法においては、光照射後に硬化不十分な箇所をさらに硬化させることができる。この加熱は、液晶パネルのアニール工程時の熱を同時に適用すると、生産プロセスが短縮でき、好ましい。
【実施例】
【0042】
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明する。実施例、比較例中の「部」は特に断りがない限り、「質量部」を示す。なお、接着性、電圧保持率、Tg、耐熱性、水蒸気バリア性、硬化性についての評価は次のとおり行った。
【0043】
<接着性試験>
平均粒径が約9μmの積水化学社製の球状スペーサ−「ミクロパール SP−209」と、後述する液晶パネルシール用光硬化性組成物0.01〜0.02gを、厚さ1.5mm、大きさ76×26mmの松浪ガラス工業社製のガラス板「S−1112」の中心に塗布し、上からもう1枚のガラス板を十字になるように重ねた。空気雰囲気下、ガラス板の上から、高圧水銀灯を使用して250W/mの紫外線を200秒照射し、液晶アニール温度である、120℃で30分加熱した後、接着面積が0.2cmである評価サンプルを得た。貼り合わせた該評価サンプルのガラス板を、上下から10mm/分の速度で接着面に対して垂直に引っ張り、ガラス基板間の接着部が破壊されるのに要する力(N)を評価し、単位面積当りの力(MPa)の大小によって評価した。また、アルミニウムに対する接着性は、厚さ1.5mm、大きさ76×26mmの日本テストパネル社製のアルミニウムテストパネル「A1050P」をアルカリ脱脂し、室温における水との接触角が10度以下となる様に調製した基板を片側に用いた以外は、ガラスとの接着性評価と同様に行った。
【0044】
<電圧保持率試験・耐熱性試験用の液晶パネルの作成>
1.液晶パネル作製1(光硬化)
EHC社製のITO付きガラス基板「RZ−B107N1N」1枚に、積水化学工業社製のスペーサ−「ミクロパールSP209」の5%エタノール分散液を噴霧した。次にもう1枚のITO付きガラス基板に、後述する液晶パネルシール用光硬化性組成物を、それぞれディスペンサーを用いて、基板の外縁部に2箇所の液晶注入口が設けられるように約1mm幅で塗布した後、2枚のガラス基板を対向させて貼り合わせ、窒素雰囲気下、高圧水銀灯を使用して400W/mの紫外線を100秒間、該シール剤部分に照射し、2穴セルを作製した。2穴セルに真空下で下記に示した組成から成るTFT(薄膜トランジスタ)駆動用液晶組成物を注入し、前記液晶組成物が紫外線に直接さらされない様にマスクした後、液晶パネル封止剤(スリーボンド社製の商品名「3026B」)で2穴を封止し、窒素雰囲気下、高圧水銀灯を使用して400W/mの紫外線を100秒間再照射して、液晶パネルを作製した。
【0045】
2.液晶パネル作製2(光熱併用硬化)
EHC社製のITO付きガラス基板「RZ−B107N1N」1枚に、積水化学工業社製のスペーサ−「ミクロパールSP209」の5%エタノール分散液を噴霧した。次にもう1枚のITO付きガラス基板に、後述する液晶パネルシール用光硬化性組成物を、それぞれディスペンサーを用いて、基板の外縁部に2箇所の液晶注入口が設けられるように約1mm幅で塗布した後、2枚のガラス基板を対向させて貼り合わせ、窒素雰囲気下、高圧水銀灯を使用して400W/mの紫外線を100秒間、該シール剤部分に照射後、120℃の恒温乾燥機中に30分間静置し、2穴セルを作製した。2穴セルに真空下で下記に示した組成から成るTFT(薄膜トランジスタ)駆動用液晶組成物を注入し、前記液晶組成物が紫外線に直接さらされない様にマスクした後、液晶パネル封止剤(スリーボンド社製の商品名「3026B」)で2穴を封止し、窒素雰囲気下、高圧水銀灯を使用して400W/mの紫外線を100秒間再照射して、液晶パネルを作製した。
【0046】
【化4】

TFT駆動用液晶組成物の組成
【0047】
上記TFT駆動用液晶組成物の物性
誘電率の異方性(△ε):5.30
比抵抗値 :5.2×1014Ω・m
【0048】
<電圧保持率試験>
前記いずれかの方法で作成した液晶パネルを、80℃の恒温漕の中に1時間放置する前と放置した後の電圧保持率を測定した。電圧保持率は、80℃で液晶パネルに交流5Vの初期電圧を64マイクロ秒印加し、200ミリ秒のフレームタイム前後の電圧比に100を乗じた値を算出した。
【0049】
<硬化性>
後述する液晶パネルシール用光硬化性組成物をアプリケータで厚さ約10μmとなるように基板上に塗布し、窒素雰囲気下、高圧水銀灯を使用して400W/m の紫外線を照射した時、タックフリーとなるまでに必要なエネルギー量(J/cm)を算出した。
【0050】
<Tg測定>
後述する液晶パネルシール用光硬化性組成物をアプリケータにて厚さ約200μmに基板上に塗布し、窒素雰囲気下、高圧水銀灯を使用して250W/mの紫外線を200秒間照射し、サンプルを得た。得られたサンプルをレオメトリックス社製の粘弾性測定装置「Solid Analyzer RSAII」(周波数 1Hz、5℃/分の速度で昇温)にて測定し、損失弾性率/貯蔵弾性率で表わされるtanδが極大となる温度をTgとした。
【0051】
<耐熱性試験>
前記方法で作成した液晶パネルを85℃、相対湿度85%の恒温漕の中で1000時間放置した後、室温に戻し、液晶パネルの貼り合わせ部分の様子を観察した。液晶パネルから封止した液晶の漏れが無いかどうか、あるいは、位置ずれがないかどうかを以下の2水準で評価した。
○:漏れ及び位置ずれ無し
×:漏れあるいは位置ずれ発生
【0052】
<水蒸気バリア性試験>
水蒸気バリア性の評価は、JIS Z−0208に準じて行った。40℃、相対湿度90%の条件で、24時間でシール剤を透過した水分量(g/m・24時間)を測定した。シール剤は、後述する液晶パネルシール用光硬化性組成物をアプリケータで厚さ約200μmに基板上に塗布し、窒素雰囲気下、高圧水銀灯を使用して250W/mの紫外線を200秒間照射したものを使用した。
【0053】
[実施例1]
テトラメチレングリコール骨格を有するジマレイミド化合物(大日本インキ化学工業社製の商品名「MIA200」を5部、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレート(大日本インキ化学工業社製の商品名「DICLITE UE8200」を90部、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製の商品名「KAYARAD DPCA 60」)5部を、90℃で攪拌し、均一に溶解した後、無定形シリカゲル(トクヤマ社製の商品名「レオロシールMT10」)を10部加え、3本ロールにて混練し、液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0054】
[実施例2]
実施例1おいて、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を5部にビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレート(大日本インキ化学工業社製の商品名「DICLITE UE8200」90部を85部に変えた以外は実施例1と同様にして、液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0055】
[実施例3]
実施例1において、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を10部に、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレート(大日本インキ化学工業社製の商品名「DICLITE UE8200」90部を80部に変えた以外は実施例1と同様にして、液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0056】
[実施例4]
実施例2において、3本ロールで混練する際に、t−ヘキシル−パーオキシ−イソプロピルモノカーボネート(日本油脂社製の商品名「パーヘキシルI」を1部加えた以外は実施例2と同様にして液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製2の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
[実施例5]
テトラメチレングリコール骨格を有するジマレイミド化合物(大日本インキ化学工業社製の商品名「MIA200」を5部、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレート(大日本インキ化学工業社製の商品名「DICLITE UE8200」を15部、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製の商品名「KAYARAD DPCA 20」)15部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセルUCB社製の商品名「IRR214」)50部を、90℃で攪拌し、均一に溶解した後、無定形シリカゲル(トクヤマ社製の商品名「レオロシールMT10」)を10部加え、3本ロールにて混練し、液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0057】
[実施例6]
特許文献4の合成例1に従って合成したトリシクロデカン骨格を有するジマレイミド化合物15部、イソホロン環を有し、かつ、一分子中に3個のアクリロイル基を有するウレタンアクリレート(ダイセルUCB社製 の商品名「EB4866」、20部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセルUCB社製の商品名「IRR214」、)40部、ビスフェノールAPO変性ジアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステルBPE80」を10部、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製の商品名「KAYARAD DPCA 20」)15部、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を、90℃で攪拌し、均一に溶解した後、無定形シリカゲル(トクヤマ社製の商品名「レオロシールMT10」)を10部加え、3本ロールにて混練し、液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0058】
[実施例7]
実施例6において、イソホロン環を有し、かつ、一分子中に3個のアクリロイル基を有するウレタンアクリレート(ダイセルUCB社製 の商品名「EB4866」、20部を15部に、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を5部に変えた以外は実施例5と同様にして液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0059】
[実施例8]
実施例6において、イソホロン環を有し、かつ、一分子中に3個のアクリロイル基を有するウレタンアクリレート(ダイセルUCB社製 の商品名「EB4866」、20部を10部に、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を10部に変えた以外は実施例5と同様にして液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0060】
[実施例9]
実施例7において、3本ロール混練時にt−ヘキシル−パーオキシ−イソプロピルモノカーボネート(日本油脂社製の商品名「パーヘキシルI」を1部加えた以外は実施例6と同様にして液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製2の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0061】
[実施例10]
特許文献4の合成例1に従って合成したトリシクロデカン骨格を有するジマレイミド化合物15部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセルUCB社製の商品名「IRR214」、)40部、ビスフェノールAPO変性ジアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステルBPE80」を10部、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレート(大日本インキ化学工業社製の商品名「DICLITE UE8200」を20部、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製の商品名「KAYARAD DPCA 20」)15部、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を、90℃で攪拌し、均一に溶解した後、無定形シリカゲル(トクヤマ社製の商品名「レオロシールMT10」)を10部加え、3本ロールにて混練し、液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0062】
[実施例11]
特許文献4の合成例2に従って合成したアダマンタン骨格を有するマレイミド化合物15部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセルUCB社製の商品名「IRR214」、)40部、ビスフェノールAPO変性ジアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステルBPE80」を10部、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレート(大日本インキ化学工業社製の商品名「DICLITE UE8200」を20部、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製の商品名「KAYARAD DPCA 20」)を15部、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を、90℃で攪拌し、均一に溶解した後、無定形シリカゲル(トクヤマ社製の商品名「レオロシールMT10」)を10部加え、3本ロールにて混練し、液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0063】
[実施例12]
特許文献4の比較合成例1に従って合成した水添BPA骨格を有するジマレイミド化合物20部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセルUCB社製の商品名「IRR214」、)40部、イソホロン環を有し、かつ、一分子中に3個のアクリロイル基を有するウレタンアクリレート(ダイセルUCB社製 の商品名「EB4866」15部、ビスフェノールAPO変性ジアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステルBPE80」を10部、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製の商品名「KAYARAD DPCA 20」)を15部、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を、90℃で攪拌し、均一に溶解した後、無定形シリカゲル(トクヤマ社製の商品名「レオロシールMT10」)を10部加え、3本ロールにて混練し、液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0064】
[比較例1]
実施例1において、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を0.1部に変えた以外は、実施例1と同様にして液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0065】
[比較例2]
実施例1において、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を25部に、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレート(大日本インキ化学工業社製の商品名「DICLITE UE8200」90部から65部に変えた以外は、実施例1と同様にして液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0066】
[比較例3]
実施例1において、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を0部に変えた以外は、実施例1と同様にして液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0067】
[比較例4]
実施例6において、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を0部に変えた以外は、実施例5と同様にして液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0068】
[比較例5]
実施例10において、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を0部に変えた以外は、実施例9と同様にして液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0069】
[比較例6]
実施例12において、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を0部に変えた以外は、実施例11と同様にして液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0070】
[比較例7]
合成例1に従って得られるトリシクロデカン骨格を有するジマレイミドを25部、トリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製の商品名「FA513A」)を37部、一分子中に3個のアクリロイル基を有するウレタンアクリレート(ダイセルUCB社製 の商品名「EB4866」36部、アクリロイル基を有するトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「KBM5103」)2部を90℃で攪拌し、均一に溶解した後、無定形シリカゲル(トクヤマ社製の商品名「レオロシールMT10」)を10部加え、3本ロールにて混練し、液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0071】
[比較例8]
実施例11において、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部を0部に変えた以外は、実施例10と同様にして液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製1の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0072】
[比較例9]
3,6−ビス-(2メチル−2モルホリノ−プロピオニル)−9−N−オクチルカルバゾール(旭電化社製の商品名「N1414」)を2部、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレート(大日本インキ化学工業社製の商品名「DICLITE UE8200」を90部、ビス―2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート(共栄社油脂化学社製の商品名「P−2M」)1部、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製の商品名「KAYARAD DPCA 60」)5部を、90℃で攪拌し、均一に溶解した後、無定形シリカゲル(トクヤマ社製の商品名「レオロシールMT10」)を3.5部、タルク(巴工業社製の商品名「HTPultra5C」7.0部を3本ロールにて混練し、液晶パネルシール用光硬化性組成物を得た。該組成物について、前記液晶パネル作製2の方法で液晶パネルを作製するとともに、前記評価方法に従い評価して、その結果を表1に示した。
【0073】
【表1】

【0074】
表2〜4には、実施例1〜12及び比較例1〜9の、燐酸モノマー含有量(質量%)、脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル含有量(質量%)、縮合型脂環式構造を有するマレイミド化合物含有量(質量%)、Tg(℃)をそれぞれ示した。
【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【0080】
表1に示した結果から、各実施例1〜11の組成物は、ガラス、アルミに対する接着性、水蒸気バリア性、Tg、電圧保持率及び耐熱性の評価結果に優れている。
比較例1、3〜8は燐酸モノマーを含まないか、あるいは0.5質量%未満の系である。これらは全て接着性に劣っていた。比較例2は燐酸モノマーが10%を越える量添加した系であるが、電圧保持率が下がってしまった。比較例9はマレイミド化合物を使用せず光重合開始剤を使用した系であるが、電圧保持率が下がってしまった。また、アルミに対する接着性も低かった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸エステル及びマレイミド化合物を含有する液晶パネルシール用光硬化性組成物であって、一分子中に燐酸基及び少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する光重合性化合物を0.5〜10質量%含有することを特徴とする液晶パネルシール用光硬化性組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル酸エステル及び/又はマレイミド化合物が脂環式構造を有する、請求項1に記載の液晶パネルシール用光硬化性組成物。
【請求項3】
硬化後のTgが120℃以上である請求項1又は2に記載の液晶パネルシール用光硬化性組成物。
【請求項4】
(1)縮合型脂環式構造を有するマレイミド化合物を1〜30質量%、(2)一分子中に脂環式構造及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを20〜60質量%、及び(3)一分子中に燐酸基及び少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する光重合性化合物を0.5〜10質量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の液晶パネルシール用光硬化性組成物。
【請求項5】
前記(1)縮合型脂環式構造を有するマレイミド化合物が、ビシクロデカン環、アダマンタン環またはトリシクロデカン環を有するマレイミド化合物である請求項4に記載の液晶パネルシール用光硬化性組成物。
【請求項6】
熱ラジカル発生剤を組成物全量に対して0.1〜10質量%含有する請求項1〜5のいずれかに記載の液晶パネルシール用光硬化性組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の液晶パネルシール用光硬化性組成物の硬化物から成るメインシール部を有することを特徴とする液晶パネル。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の液晶パネルシール用光硬化性組成物の硬化物から成る封止部を有することを特徴とする液晶パネル。



【公開番号】特開2006−176576(P2006−176576A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369196(P2004−369196)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】