説明

液晶表示パネルの電極構造およびホログラム記録装置

【課題】ホログラム再生時に、撮像素子のサンプリングによって生じるノイズを低減し得る、信号データ変調用の液晶表示パネルの電極構造およびこれを用いたホログラム記録装置を提供する
【解決手段】透過型または反射型の液晶表示パネルにおいて、液晶層に電圧を印加する電極42のうち、少なくとも一方の面側に配される、各画素41毎に設けられた電極42が占める面積割合が、該各画素41の中心部分から外周部分に向かうに従って小となるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルの電極構造およびこれを用いたホログラム記録装置に関し、特に、ホログラム記録装置において、液晶に電圧を印加するために各画素毎に配された画素電極の構造に関し、詳しくは、ホログラム記録用の信号光を生成するために照射光に信号情報を担持せしめる液晶表示パネルの電極構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
データを変調する空間光変調素子として、液晶ディスプレイやプロジェクタに用いられる液晶表示パネルが知られている。これらディスプレイ用の液晶表示パネルは、一方の電極は共通のベタの電極であるが、他方の電極は各画素で独立になっており、各画素毎に十分に電圧を印加し得るように、画素輪郭に近い大きさに形成されている。
【0003】
また、ディスプレイの視野角を改善するための電極構造として、特許文献1に示すような、リング状の電極構造が用いられている。この電極構造では水平方向に電圧を印加するため、同一平面内に共通電極と画素電極の2つの電極が組み合わされて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−173541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ホログラム記録では、ページデータが重畳した再生光をCCDなどでサンプリングして撮像する。
【0006】
この撮像されたページデータの輝度分布は、ホログラムからの再生が理想的であれば、液晶表示パネルを透過あるいは反射した光の輝度分布と同様となるが、輝度分布は、液晶表示パネルの画素構造に依存するため、ディスプレイ用の液晶表示パネルを用いた場合は、垂直方向および水平方向に共に連続した矩形波形状となる。
【0007】
図7にページデータを液晶表示パネルで変調したときの例を示す。最も空間周波数が高い場合は、隣接する画素ごとに明(図7の132)、暗(図7の131)が交互になったときである。このときの水平方向(X方向)の直線(図7中破線)上の光強度分布および周波数特性を図8に示す。光強度分布が矩形波形状であることから、周波数成分には高調波が生じる。
【0008】
この場合において、ページデータの明暗の繰り返し周波数が、撮像したときのサンプリング周波数の半分程度である場合にはこのサンプリング周波数付近に高調波が存在することになり、サンプリングによる折り返しノイズとなって再生像に現れる。これは再生データのSNRを低下させるため、特に、高画質再生が期待されるホログラム記録においては大きな問題となっている。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、ホログラム再生時に、撮像素子のサンプリングによって生じる折り返しノイズを低減し得る、信号データ変調用の液晶表示パネルの電極構造およびこれを用いたホログラム記録装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の液晶表示パネルの電極構造は、透過型または反射型の液晶表示パネルにおいて、液晶に電圧を印加する電極のうち、少なくとも一方の面側に配される、各画素毎に設けられた電極が占める面積割合は、該各画素の中心から離れるに従って小となるように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記各画素の電極は画素の中心位置を中心として円形状をなす円形状電極からなることが好ましい。
【0012】
また、前記各画素の電極は該各画素の中心位置を中心として円形状をなす円形状電極部分と、この円形状電極部分の外周側に同心円状に設けられた同心円状電極部分とからなることが好ましい。
【0013】
この場合において、前記同心円状電極部分が複数の同心円状の電極からなり、該同心円状電極部分の半径方向の幅が前記各画素の中心から離れるに従い狭くなるように構成することが可能であり、または、前記円形状電極部分と前記同心円状電極部分の間隔および該同心円状電極部分同士の間隔が前記各画素の中心から離れるに従い広くなるように構成することが可能である。
【0014】
さらに、本発明のホログラム記録装置は、前記液晶表示パネルが、ホログラム記録を行う際に、信号光に画像情報を担持せしめる空間光変調素子として機能するものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る液晶表示パネルの電極構造によれば、液晶表示パネルの、液晶に電圧を印加する、各画素毎に設けられた電極において、少なくとも、該液晶表示パネルの一方の面側に配された電極が占める面積割合は、該各画素の中心部から離れるに従い小となるように構成されており、各画素毎に、中心部には十分な電圧が印加されるが、周辺部に向かうに従って電圧の印加が不十分になっていくことから、各画素毎に、中心部の光強度が最も高く、周辺部に向かうに従い低くなっていく。
【0016】
この結果、液晶表示パネルの仮想線(水平方向または垂直方向の直線)上の光強度分布は、連続する矩形波的な形状ではなく、むしろ正弦波的な、なだらかに変化する曲線形状が連続したものとなる。
【0017】
ページデータの光強度分布が正弦波形状のとき、周波数成分は単一成分となり高調波は発生しない。したがって、撮像したときのサンプリング周波数付近に高調波は存在せず、折り返しのノイズは生じない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1に係る液晶表示パネルの電極構造(A)、および実施例1に係る液晶表示パネルで変調されたページデータの光強度分布(B)を示す図である。
【図2】実施例において用いられる、液晶表示パネルで変調されたページデータを示すものである。
【図3】図2の破線上の画素列における光強度分布を示すグラフ(A)、および図3(A)における周波数の特性を示すグラフ(B)である。
【図4】本発明の実施例2に係る液晶表示パネルの電極構造(A)、および実施例2に係る液晶表示パネルで変調されたページデータの光強度分布(B)を示す図である。
【図5】本発明の実施例3に係る液晶表示パネルの電極構造(A)、および実施例3に係る液晶表示パネルで変調されたページデータの光強度分布(B)を示す図である。
【図6】ホログラム記録装置の光学系の構成を示す概略図(A)および本実施例に係る液晶表示パネルの積層構造を示す概略図(B)である。
【図7】従来技術において用いられる、液晶表示パネルで変調されたページデータを示すものである。
【図8】図7の破線上の画素列における光強度分布を示すグラフ(A)、および図8(A)における周波数の特性を示すグラフ(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態においては、液晶表示パネルの一方側の透明電極が、各画素中で占める面積割合は、該各画素の中心部から周辺部に向かうに従って小となるように構成されている。
以下、この構成を3つの実施例を用いて説明する。
【0020】
<実施例1>
図1(A)は実施例1における、各画素41の形状および透明電極42の形状を示すものである。すなわち、各画素41は矩形形状をなし、透明電極42は各画素41の略中心点を中心とした円形形状とされている。
【0021】
なお、本実施例においては、透明電極42に対向する電極(図6(B)では共通電極81A)は共通電極として全画素をカバーするような平板形状とされている。具体的には、図6(B)を用いて後述する。
【0022】
また、本実施例においては、各画素41がTFTによって駆動される方式を採用しており、Xドライバ61からのバスライン43AおよびYドライバ62からのバスライン43Bを介して駆動される。
【0023】
なお、透明電極42は(さらに共通電極も透明にする場合にはこの共通電極も)、ITOなどの材料を用いた透明電極により構成される。また、バスライン43A、43Bは金などの導電率の高い金属を用いることが好ましい。
【0024】
図1(A)は、各画素41の形状(矩形形状)および透明電極42の形状(円形形状)を示すものであり、液晶表示パネルの一方側(本実施例においては手前側の電極)に配された透明電極42が、各画素41中で占める面積割合は、該各画素41の中心から周辺に向かうに従って小となるように構成されている。
【0025】
すなわち、本実施例における透明電極42は、各画素41の中心位置を中心とした円形形状をなし、各画素41の周辺部には配されていない。したがって、この実施例1に係る電極構造によれば、電極が配設される割合は、中心部が大、外周部が小となる。
【0026】
このような電極構造とした場合に、ページデータの光強度分布が一画素ごとに明暗交互となるように画素41の電極に電圧を印加したとすると、X方向(水平方向;以下同じ)の各画素41上を通過する直線上の光強度分布は、例えば図1(B)の実線の曲線が示すように、正弦波に近い(破線は比較のための理想的な正弦波曲線)。これは、電極構造において、一方の透明電極42の面積割合が、各画素41の中心部においては大きく、周辺部においては小さくなるように設定されており、各画素41の中心部では液晶に電圧が十分に印加されるのに対し、各画素41の周辺部では液晶に電圧が十分に印加されないことから、また、各画素41の中間部では、液晶の特性に応じ、透明電極42の周縁部付近で光強度分布が急峻に立ち上がったり立ち下がったりするのではなく、やや傾きをもって変化することから、正弦波に近い形状とされたものである。
【0027】
図2は、本実施例の電極構造を用いた場合に、所定のページデータを液晶表示パネル(図6(A)では液晶表示パネル8)で変調したときの二次元の光強度分布の状態を示すものである。
図2に示す、X方向に延びる破線上では明暗交互の光強度分布となっていて、この場合に、周波数が最大となるものであるが、その周波数が、撮像したときのサンプリング周波数の半分程度以下の値となるのであれば、折り返しのノイズは発生せず再生像のSNRは劣化しない。
【0028】
これに対し、例えば図7に示すように、従来技術(液晶表示パネルの画素電極が各画素の矩形輪郭にほぼ等しい大きさとされている)に係る液晶表示パネルでページデータを変調させた場合、X方向に延びる破線上では黒レベルの画素131と白レベルの画素132が交互に配され、明暗交互の光強度分布であるとすると、光強度分布は図8(A)に示すように矩形波形状となっており高調波が発生することから、例えば図8(B)に示すように、高調波がサンプリング周波数付近に発生する。このため、従来技術においては、折り返しのノイズが発生し、再生像のSNRが大きく劣化してしまう。
【0029】
本実施例においては、液晶表示パネルの各画素電極の面積割合を中心部よりも周辺部が小となるようにしているから、光強度分布を正弦波に近い形状とすることで、周波数成分を略単一周波数成分とすることができ、高調波を軽減することができる。
【0030】
なお、上記各実施例では、他方の電極(共通電極)を共通の板状の電極構造としたが、共通電極も図1(A)の透明電極42と対応する円形に構成し、共通電極の各々を金等の導電材料からなるバスラインで接続するようにしてもよい。
【0031】
以下、本発明の実施例に係るホログラム記録装置(ホログラム記録再生装置を含む)の主用光学系を図6(A)を参照しつつ説明する。
【0032】
図6(A)に示すように、レーザ光源(DPSS(Diode Pumping Solid State:半導体励起固体)レーザ光源)1から出射されたコヒーレントなレーザ光束(例えば波長532nm)は、ビームエキスパンダおよび空間フィルタとして機能するスペイシャルフィルタ2を通過し、半波長板4を透過し反射ミラー5により反射された後、偏光ビームスプリッタ6により2系の光束に分岐され、それぞれ信号光(物体光:実際には液晶表示パネル8により信号光とされる)および参照光として機能せしめられる。なお、前述したように、本実施例のポイントは、この液晶表示パネル8の電極の構造に関するものである。
【0033】
上記参照光は、光束を適宜通過/遮断するためのシャッタ20を通過し、反射ミラー21により反射されてホログラム記録媒体101上の所定の領域に照射される。また、反射ミラー21は、載設台の略中心位置を回転軸として回動自在とされてなる回転器22の載設台上に設置される。具体的には、ガルバノミラーなどにより構成される。
【0034】
一方、上記信号光は、偏光ビームスプリッタ7を介して液晶表示パネル8に照射される。
液晶表示パネル8としては、例えば0.7型の反射型液晶表示パネルが好適であるが、透過型の液晶表示パネルを用いてもよい。液晶表示パネル8上の各ピクセルがページデータ上の2値のデジタル情報に応じ光の偏向方向を変えることで、空間的に光を変調する。この変調処理によりページデータ情報を担持した信号光が生成される。なお、図2に示す信号光の光強度分布は、ページデータ情報を各画素41毎の変調の分布により表わすようにしたものであり、上述したように各画素41の電極形状を工夫することにより、各画素41の中心部に対応する光強度が高く、周辺部に向かうに従って光強度が低下するように、すなわち、正弦波形状に近くなるように構成されている。
【0035】
液晶表示パネル8から出射された信号光は、入射した状態とは偏光方向が変化しており、偏光ビームスプリッタ7において反射され、シャッタ9を通過した後、第1レンズ10によって光学的にフーリエ変換されてホログラム記録媒体101へ照射される。このときホログラム記録媒体101中の信号光が照射される領域へ、別角度から、上記参照光が同時に照射されるので、ホログラム記録媒体101内部の体積中に干渉縞が生じ、この縞分布を屈折率分布などの形態でホログラム記録媒体101の記録領域に記録することによりホログラム記録が行われる。
【0036】
ここで、上記ホログラム記録媒体101としては、例えば、2枚のガラスディスクに厚さ1mmのフォトポリマ材料を挟んでなるものが使用される。
【0037】
なお、反射ミラー21とホログラム記録媒体101の間には、レンズ23、24が配設されている。
【0038】
また、異なるページデータを液晶表示パネル8で変調させつつ、参照光のホログラム記録媒体101への入射角度を回転器22を用いて少しずつ変化させることにより、互いに異なるページデータをホログラム記録媒体101中の同一領域へ多重記録することが可能となり、より高密度な情報格納が可能となる。なお、回転器22に対する回転移動指示、およびホログラム記録媒体101の記録領域をシフトさせるためになされる、ホログラム記録媒体101をその内外周方向に直線的に移動せしめるキャリッジ手段(図示せず)に対する直線移動指示は、制御手段110からの制御信号を用いて行われる。
【0039】
なお、上述した情報記録がなされた後において、ホログラム記録媒体101からの情報再生が行われる場合には、シャッタ20を通過した参照光は、所定の参照光入射条件を満足するように設定されて、ホログラム記録媒体101の所定の領域に照射される。なお、シャッタ9は閉じた状態とされる。
【0040】
すなわち、所望のページデータを再生する場合には、原則として、この所望のページデータを記録した情報記録時と同様の入射角度および位置において、参照光をホログラム記録媒体101に入射せしめることにより、所望のページデータ情報を担持した再生光(回折光)がホログラム記録媒体101から出力され、この再生光が第2レンズ12を介してCCDカメラ14の撮像素子に入射し撮像される。
【0041】
ここで、本実施例に係る反射型の液晶光変調器(液晶表示パネル)80について、図6(B)を用いて簡単に説明する。
【0042】
この液晶光変調器80は、液晶層82を、配向膜84を設けた透明電極(共通電極81A、画素電極81B)付き透明基板86で挟んだ構造となっている。また、入射光87を反射すべく反射板85が設けられている。
【0043】
上述した、共通電極81Aと画素電極81B間に配線89を介して電源90からの電圧を印加すれば、2つの透明基板86間に液晶層82が保持された状態で光変調動作が可能となる。すなわち、入射光87に対し信号光情報が担持された状態で反射光88が出力される。
【0044】
なお、液晶の初期配向は、平行配向、垂直配向、ツイスト配向等様々な配向状態を配向膜84の選択によって実現できる。
【0045】
<実施例2>
上述した実施例1に係る電極構造に替えて使用可能な、実施例2に係る電極構造を図4(A)を用いて説明する。
【0046】
この実施例2に係る電極構造は、各画素41の中心位置を中心として円形状をなす円形状電極部分71Aと、この円形状電極部分71Aの外周側に同心円状に設けられた同心円状電極部分72Aとからなる。同心円状電極部分72Aは三重構造(三重に限られるものではなく、一重、二重あるいは四重以上であってもよい)をなし、各々の同心円状電極部分72Aの間隔、および円形状電極部分71Aと同心円状電極部分72Aとの間隔は、互いに略等しく設定されている。また、同心円状電極部分72Aのさらに外周部には電極が配設されていない領域とされている。この実施例2に係る電極構造によれば、電極が配設される割合が、中心部、中間部、外周部の順で、大、中、小となっており、これに応じて、液晶層に印加される電圧も中心部、中間部、外周部の順で減少していく。これにより、図4(B)に示す如く、各画素41で変調された信号光の光強度分布を、実施例1の場合よりもさらに正弦波波形に近づけることができ、周波数成分を略単一周波数成分とすることができ、高調波を大幅に軽減することができる。
【0047】
なお、円形状電極部分71Aと各同心円状電極部分72Aとは、導体パターンにより互いに電気的に接続されている。
【0048】
<実施例3>
次に、上述した実施例1および実施例2に係る電極構造に替えて使用可能な、実施例3に係る電極構造を図5(A)を用いて説明する。
【0049】
この実施例3に係る電極構造は、各画素41の中心位置を中心として円形状をなす円形状電極部分71Bと、この円形状電極部分71Bの外周側に同心円状に設けられた同心円状電極部分72Bとからなる。図5(A)に示す如く、同心円状電極部分72Bは三重構造(三重に限られるものではなく、一重、二重あるいは四重以上であってもよい)をなし、各々の同心円状電極部分72Bの径方向の幅は、内周側よりも外周側に向かうに従って小さくなるように設定されている。なお、各々の同心円状電極部分72Bの径方向の間隔は種々の大きさのものに設定することが可能であるが、電極部分72Bの占める割合が中心部に比べて外周部で減少した状態に設定することが必要である。
【0050】
この実施例3に係る電極構造によれば、電極が配設される割合が、中心部、中間部、外周部の順で、大、中、小となっており、さらに、中間部においても内周側から外周側に向かうに従って電極の幅が小さくなり、電極が配設される割合が外周側に向かうに従って小さくなるように設定されており、これに応じて、液晶相に加わる印加電圧も中心部、中間部、外周部の順で減少していくとともに、中間部においても外周部に近づくに従って減少していくように設定されている。これにより、図5(B)に示す如く、各画素41で変調された信号光の光強度分布を、実施例2の場合よりもさらに正弦波形状に近づけることができ、周波数成分を略単一周波数成分とすることができ、高調波をより大幅に軽減することができる。また、同心円状電極部分72Bの電極幅を調整することにより、液晶表示の制御精度を向上させることができる。
【0051】
なお、実施例2と同様に、円形状電極部分71Bと各同心円状電極部分72Bとは、導体パターンにより互いに電気的に接続されている。
【0052】
なお、上述した特許文献1に記載の技術のものでは、ディスプレイの視野角を拡げるために互いに独立の2つの電極を同心円に近い形状で同一平面内に展開し、互いに異なる電圧を印加するようにしているが、この手法を用いた場合、互いの電極を接触させないようにして配設する必要があり、液晶表示パネルが高精細のものとなるに従い、作成難易度が極めて高くなる。
【0053】
これに対し、ホログラム記録に用いるものにおいては、視野角を拡げることは要求されないため、同一平面内に配された複数の電極について、互いに異なる電圧を印加する必要がなく、特許文献1に記載した技術を用いることの要請はない。
【0054】
なお、本発明に係る液晶表示パネルの電極構造およびホログラム記録装置においては、上記実施例のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。
【0055】
例えば、上記実施例3においては、同心円状電極部分72Bを構成する各同心円電極の幅が、内周側から外周側に向かうに従って小さくなるように配されているが、これに替えて、各同心円電極の間隔が内周側から外周側に向かうに従って拡がるように配設されていてもよい。要は、この同心円状電極部分72Bにおいても電極が占める面積割合が、各画素の中心部分から外周部分に向かうに従って小となるように配されていればよく、上記電極幅の変化と電極間隔の変化の両者を組み合わせるようにしてもよい。
【0056】
また、上記各実施例においては、対向する電極のうち一方の面側に配された電極について、形状を工夫しているが、他方の面側に配された電極についても、上記一方の面側と同様の形状、または対応させた形状としてもよい。
【0057】
また、上記実施例においては、各画素の中心部分に円形状の電極を配設しており、電極を円形状とすれば製造性が向上するものの、この電極形状を3角形、矩形あるいは5角形以上の多角形とすることも可能である。
【0058】
また、この中心部分の電極形状に応じて上述した同心円状電極部分の各電極形状を変更することが可能である。
【0059】
さらに、本発明のホログラム記録装置において、レーザ光源としては、上記実施形態で例示したものに限られるものではなく、他の波長光を出力するものに変更することが可能であり、例えば、波長405nmの青色レーザ光を出力するものを用いることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 レーザ光源
2 スペイシャルフィルタ
4 半波長板
5,21 ミラー
6,7 偏光ビームスプリッタ
8 液晶表示パネル
9,20 シャッタ
10,12,23,24 レンズ
12 矩形開口
13 CCDカメラ
22 回転器
31 黒レベルの画素
32 白レベルの画素
41,41A,41B 画素
42,42A,42B 透明電極
43,43A,43B バスライン
51 TFT
61 Xドライバ
62 Yドライバ
71A,71B 円形状電極部分
72A,72B 同心円状電極部分
80 液晶光変調器
81A 共通電極
81B 画素電極
82 液晶層
84 配向膜
85 反射板
86 透明基板
87 入射光
88 反射光
89 配線
90 電源
101 ホログラム記録媒体
110 制御手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過型または反射型の液晶表示パネルにおいて、液晶に電圧を印加する電極のうち、少なくとも一方の面側に配される、各画素毎に設けられた電極の占める面積割合が、該各画素の中心部分から外周部分に向かうに従って小となるように構成されていることを特徴とする液晶表示パネルの電極構造。
【請求項2】
前記各画素の電極は該各画素の中心位置を中心として円形状をなす円形状電極からなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネルの電極構造。
【請求項3】
前記各画素の電極は該各画素の中心位置を中心として円形状をなす円形状電極部分と、この円形状電極部分の外周側に同心円状に設けられた同心円状電極部分とからなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネルの電極構造。
【請求項4】
前記同心円状電極部分が複数の同心円状の電極からなり、該同心円状電極部分の半径方向の幅が前記各画素の中心から離れるに従い狭くなるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示パネルの電極構造。
【請求項5】
前記同心円状電極部分が複数の同心円状の電極からなり、前記円形状電極部分と該同心円状電極部分の間隔および該同心円状電極部分同士の間隔が前記各画素の中心から離れるに従い広くなるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の電極構造。
【請求項6】
前記液晶表示パネルは、ホログラム記録を行う際に、信号光に画像情報を担持せしめる空間光変調素子として機能するものであることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項記載のホログラム記録装置。


【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−3531(P2013−3531A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137642(P2011−137642)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】