説明

液晶表示素子及びこれを搭載した電子機器

【課題】あらゆる照明環境下において、視認性の良い画面を表示する。
【解決手段】1画素に設けられた透過部23と反射部24とに独立に電圧印加できる液晶表示層22と、液晶表示層22を背面から照射するバックライト光源16と、液晶表示層22とバックライト光源16との間に配置された反射制御素子26に印加される電圧に応じて、透過部23と反射部24とをそれぞれ独立に画像表示に利用し、反射状態と透過状態とを切り替え、バックライト光源16から光を照射することにより、透過表示モードと半透過表示モードと反射表示モードとを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射表示モードと、反射・透過併用表示モードと、透過表示モードとのいずかの表示モードを選択できる液晶表示素子及びこれを搭載した電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶を用いて画面を表示する液晶表示装置は、携帯電話の小型表示装置からモニター、テレビなどの大型の表示装置まであらゆる表示装置に利用されている。液晶表示装置は、電極が形成された2枚の基板間に液晶を狭持し、当該基板間に印加される電圧により、液晶の配向状態を変化させ、出射光の調整を行うことで画像表示を行っている。
【0003】
液晶表示装置には、バックライト光を光源とし、液晶層を透過させて画像表示を行う透過型液晶表示装置と、照明光や太陽光などの外光を光源とし、その外光を液晶層で反射させて画像表示を行う反射型液晶表示装置と、透過型液晶表示装置の画質の良さと反射型液晶表示装置の外光視認性の良さとを併せ持つ半透過型液晶表示装置とがある。
【0004】
特に、近年急速な普及率を有する携帯電話やPDA(Personal Digital Assistance)などの携帯情報端末は、屋内だけではなく、屋外においても、利用されている。さらに、昼夜を問わず利用されている。従って、あらゆる照明環境下においても良好な視認性が要求されるため、近年においては良好な視認性を有することを特徴とする半透過液晶表示装置が主流となっている。
【0005】
半透過液晶表示装置は、液晶層内部に反射板を設け、液晶層内部で入射光を反射させる内部半透過型(例えば、特許文献1参照。)と、液晶層の外部に反射板を設け、液晶層を通過した後に入射光を反射させる外部半透過型とに大別される。外部半透過型は、反射板と液晶層の間に基板が存在するため、画像に視差(二重像)が生じ、視認性が悪いため、現在では内部半透過型が主流となっている。
【0006】
図19は、従来の内部半透過型の半透過液晶表示装置の内部半透過型液晶素子の断面図の一例を示す。
【0007】
図19に示した内部半透過型液晶素子は、バックライト光源109上に、1対の基板102a,102bが対向配置され、基板102a,102bの対向面とは反対側の面に偏光板101a,101bがそれぞれ設けられている。また、バックライト光源109側に配置された基板102bの上面に、凹凸反射電極である内部反射板120が設けられた反射部121と、電極103bが設けられた透過部122とから構成されている。さらに、この基板102bに対向する基板102aの対向面上には電極103aが反射部120及び透過部121に亘って設けられており、2枚の基板102a,102b間には液晶層104が封止されている。
【0008】
すなわち、図19に示した内部半透過型液晶素子のように構成された内部反射型半透過液晶表示装置においては、1画素内に外部からの入射光を反射させるための内部反射板120が設けられた反射部121と、バックライト光源109から照射された光を透過させるための透過部122とが備えられている。これによって、反射光と透過光とを共に画像表示に利用することができる。
【0009】
なお、反射部121と透過部122とは液晶の適した厚さが異なるため、それぞれの液晶厚を異ならせることが多い。図19では、反射部121における内部反射板120と対向する電極103aとの間隔が、透過部122における対向する電極103a,103b間の間隔よりも小さくなるように、反射部121における基板102b上には絶縁膜127が設けられ、その上に内部反射板120が形成されている。
【0010】
しかしながら、上記のような構成では、1画素内の一部にのみ反射板が形成されているため、1画素内のすべてが反射板となっている反射型液晶表示装置と比較すると、外光の反射を用いた表示が暗くなってしまう。
【0011】
そこで、光の反射率が高く、且つ透過率が低い状態と、光の透過率が高く、且つ反射率が低い状態とを可逆的に切り替える方法が考えられている(例えば、特許文献2,3参照。)。
【0012】
図20は、周囲の明るさに基づいて反射表示と透過表示との切り替えが可能な液晶表示装置の断面図の一例を示す図である。
【0013】
図20に示した液晶表示装置には、バックライト光源109上に、反射制御層108と、偏光板101bと、ガラス107と、液晶層104と、カラーフィルタ層106と、カラーフィルタ基板105と、偏光板101aとが、上記の順で積層されている。反射制御層108は、反射率が電気的に切り替え可能なブラッグ反射を利用した三層積層HPDLC(Holographic Polymer Dispersed Liquid Crystal:ホログラフィック高分子分散型液晶)から構成されている。カラーフィルタ層106は、R(赤)、G(緑)、B(青)のみをそれぞれ透過するフィルタである。
【0014】
この液晶表示装置は、反射制御層108が光の反射率が高く、且つ透過率が低い状態と、光の透過率が高く、且つ反射率が低い状態とを可逆的に切り替えられ、反射表示と透過表示を切り替えることができる。これにより、明るい環境ではフルカラーの反射表示を、暗い環境ではフルカラーの透過表示を行うことができる。
【0015】
図21は、周囲の明るさに基づいて反射表示と透過表示との切り替えが可能な液晶表示装置の断面図の他の例を示す図である。
【0016】
図21に示した液晶表示装置には、バックライト光源109上に、特定の直線偏光の光を反射し、前述の直線偏光と直交する直線偏光の光を透過する偏光選択反射層111と、液晶層112と、偏光板101bと、ガラス107と、液晶層110と、カラーフィルタ基板105と、偏光板101aとが、上述した順に積層されている。
【0017】
図21の左図に示すように反射表示では、液晶層112に電圧を印加し、液晶層112の液晶分子を層面に対して垂直に配向させると、液晶層112に入射した光の偏光状態は変化しない。従って、入射光が偏光選択反射層111により反射され、反射表示に利用される。
【0018】
また、図21の右図に示すように、液晶層112に電圧を印加しない場合には、液晶層112の液晶分子を層面に対して平行に配向させるとともに、ねじれ配向している。この状態では、液晶層112に入射した光は、90°回転する。
【0019】
従って、外光が液晶層112を通過した場合には、偏光選択反射層111を透過し、表示には利用できない。しかし、バックライト光源109から偏光選択反射層111に到達した光のうち、紙面に垂直に振動する光は偏光選択反射層111にて反射し、紙面に平行に振動する光は偏光選択反射層111を透過して液晶層112に入射する。液晶層112に入射した光は、液晶層112により90°偏光方向が回転し、吸収されることなく、偏光板101bを通過する。そのため、液晶層112に電圧が印加されない場合には、透過表示として利用される。
【0020】
また、画面全体に半透過性を有する選択光反射層を具備し、当該選択光反射層を反射モードと透過モードとのどちらかのモードに切り替えて表示する方法が考えられている(例えば、特許文献4参照。)。
【特許文献1】特開平11−242226号公報 (内部半透過) 説明ページ・13ページ カラム23の25行〜14ページ カラム26の19行・図面 図1
【特許文献2】特開2002−23156号公報 説明ページ・4ページ カラム5の14行〜5ページ カラム7の18行・図面 図1〜図7
【特許文献3】特開2004−69835号公報 説明ページ・5ページ 5行〜10ページ 17行・図面 図1〜図2
【特許文献4】特開平10−206844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上述した特許文献2及び特許文献3の従来技術では、反射表示モードと透過表示モードとを切り替え、反射表示での反射率を向上させている。しかしながら、反射制御層、あるいは、第2液晶層と偏光選択反射層からなる反射部が、画像を表示する液晶層よりも外側に配置されていることから、表示に視差(二重像)が生じ、反射表示の視認性が低下してしまうという問題点がある。
【0022】
また、特許文献4に記載された方法においては、画面全体に具備された選択光反射層自体が半透過性を有しているため、反射表示部と透過表示部とに適した光学設計が困難になってしまうという問題点がある。
【0023】
さらに、上述の従来技術には、使用環境による様々な照明条件下において、最適な表示モードを選択することができないという問題点がある。
【0024】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、あらゆる照明環境下において、視認性の良い画面を表示することができる液晶表示素子とこれを搭載した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために本発明は、
1画素内に透過部と反射部とを有し、前記透過部と前記反射部とを独立に電圧印加する液晶表示層と、前記液晶表示層を背面から照射する光源と、前記液晶表示層と前記光源との間に配置され、印加電圧により、反射状態と透過状態とを切り替える反射制御素子とを備えた液晶表示素子において、
前記反射制御素子を透過状態とし、前記液晶表示層の反射部を暗状態とし、前記透過部にて画像表示を行う透過表示モードと、
前記反射制御素子を透過状態とし、前記液晶表示層の反射部及び透過部にて画像表示を行う反射・透過併用表示モードと、
前記反射制御素子を反射状態とし、前記液晶表示層の反射部及び透過部にて画像表示を行う反射表示モードとのいずれか1つのモードに切り替えることを特徴とする。
【0026】
また、前記反射制御素子は、特定の波長帯域をブラッグ反射させる反射層を有し、前記印加電圧によって前記反射層の反射率を制御することを特徴とする。
【0027】
また、前記反射制御素子は、
特定の波長帯域をブラッグ反射させる反射層と、
前記反射層の位相を制御する位相制御層とから構成され、前記印加電圧によって前記反射層の反射率を制御し、前記光源上に前記反射層、前記位相制御層の順に積層することを特徴とする。
【0028】
また、前記光源は、前記反射層の反射率の増加と連動して照射量を減少させることを特徴とする。
【0029】
また、前記反射制御素子は、
少なくとも1つの偏光を反射し、前記偏光とは異なる偏光を透過する反射層と、
前記印加電圧によって前記反射層の位相を制御する位相制御層とから構成され、前記光源上に前記反射層、前記位相制御層の順に積層することを特徴とする。
【0030】
また、前記反射制御素子は、前記液晶表示層と前記光源とが積層する方向に積層した複数の前記反射層を有することを特徴とする。
【0031】
また、前記反射制御素子は、前記液晶表示層と前記光源とが積層する方向と直交した方向に並列に配置された複数の前記反射層を有することを特徴とする。
【0032】
また、前記反射制御素子は、液晶を含む層を有することを特徴とする。
【0033】
また、前記印加電圧によって反射率を制御される反射層は、コレステリック液晶を含むことを特徴とする。
【0034】
また、前記印加電圧によって反射率を制御される反射層は、液晶の液滴を含む液晶液滴層と、少なくとも1つの高分子層とが交互に積層した構造であることを特徴とする。
【0035】
また、前記印加電圧によって反射率を制御される反射層は、コレステリック液晶の液滴を含む高分子層から構成されることを特徴とする。
【0036】
また、前記反射制御素子の一部に突出及び/または、切り込みを形成することを特徴とする。
【0037】
また、前記反射制御素子と前記液晶表示層とを光学密着することを特徴とする。
【0038】
また、前記印加電圧を供給する端子が、前記反射制御素子の1辺から延伸していることを特徴とする。
【0039】
また、前記液晶表示素子に照射される外光量を感知するセンサーを備え、前記センサーによって感知された外光量に応じて、前記液晶表示層の反射部と透過部とのそれぞれを画像表示に利用し、前記反射制御素子の反射率と、前記光源の照射量とを連動させて、表示モードの切り替えを行うことを特徴とする。
【0040】
また、前記液晶表示素子を搭載した電子機器であって、該液晶表示素子に照射される外光量を感知するセンサーを備え、前記センサーによって感知された外光量に応じて、前記液晶表示層の反射部と透過部とのそれぞれを画像表示に利用し、前記反射制御素子の反射率と、前記光源の照射量とを連動させて、表示モードの切り替えを行う。
【0041】
上記のように構成された本発明においては、反射制御素子の1画素内に設けられた透過部と反射部とがそれぞれ独立に電圧を印加されることにより、反射制御素子を透過状態として反射部を暗状態として透過部にて画像表示が行われる透過表示モードと、反射制御素子を透過状態として反射部及び透過部にて画像表示が行われる反射・透過併用表示モードと、反射制御素子を反射状態として反射部及び透過部にて画像表示が行われる反射表示モードとのいずれか1つのモードに切り替えられる。
【0042】
これにより、屋外や屋内、さらに昼夜の明るさの状況に応じた最適な表示モードを選択することができる。
【発明の効果】
【0043】
以上説明したように本発明においては、反射制御素子の1画素内に設けられた透過部と反射部とにそれぞれ独立に電圧を印加することにより、反射制御素子を透過状態として反射部を暗状態として透過部にて画像表示を行う透過表示モードと、反射制御素子を透過状態として反射部及び透過部にて画像表示を行う反射・透過併用表示モードと、反射制御素子を反射状態として反射部及び透過部にて画像表示を行う反射表示モードとのいずれか1つのモードに切り替える構成としたため、あらゆる照明環境下において、視認性の良い画面を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0045】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射表示モードにおける表示動作を示す図である。また、図2は、本発明の第1の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射・透過併用表示モードと透過表示モードとにおける表示動作を示す図である。
【0046】
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る液晶表示素子においては、光源であるバックライト光源16上に、反射制御素子26と、液晶表示層22とが、反射制御素子26、液晶表示層22の順に積層されている。
【0047】
バックライト光源16は、光源を側面に配置したサイドライト型バックライトや液晶表示素子の直下に配置した直下型バックライト、有機エレクトロ ルミネッセンスや無機エレクトロルミネッセンスなど、液晶表示層22を背面から照射できるものであればどのようなものであってもよい。ここで、サイドライト型、直下型バックライトの光源としては、冷陰極管、白色LED、3原色のLEDなどが挙げられる。また、バックライト光源16は、手動、あるいは、自動的に照射量を制御できることが好ましい。
【0048】
反射制御素子26は、印加電圧により反射率が制御できる反射層19と、反射層19の位相を制御する位相制御層14とからなり、バックライト光源16上に、反射層19、位相制御層14の順に積層した構造である。
【0049】
反射層19は、コレステリック液晶を透明電極が形成された2枚の透明基板に狭持された構成が3層積層された構造である。
【0050】
図3は、図1及び図2に示した反射層19の構造を示す図である。
【0051】
図1及び図2に示した反射層19は図3に示すように、透明基板30と、透明電極31と、左螺旋コレステリック液晶32との組み合わせを3層有している。
【0052】
ここで用いる透明基板30としては、ガラスやプラスチックフィルム基板などが挙げられる。これらは、できる限り、視差がないように厚さが薄く、複屈折が少ないことが望ましい。ただし、複屈折のある基板でも偏光板、位相板などの光軸に光軸を合わせて実質的に複屈折性をキャンセルしてもよく、または、積極的に基板の複屈折性を考慮した光学補償設計をしてもよい。
【0053】
また、ここで形成された透明電極31としては、酸化インジウム膜(ITO)や酸化スズ(TO)系、酸化亜鉛(ZnO)系、酸化スズカドミウム(CTO)系の薄膜などが挙げられる。なお、これに限定するわけではなく、透明で導電性があればどのような薄膜でも構わない。
【0054】
また、左螺旋コレステリック液晶32は、3層とも左螺旋であり、可視光の特定波長領域の左円偏光をブラッグ反射させる螺旋ピッチを有している。具体的には、281.25nm、343.75nm、393.75nmの螺旋ピッチとし、各層でピーク波長が450nm、550nm、630nmとなるように設定した。ここで、左螺旋コレステリック液晶32の平均屈折率が1.6、異常光屈折率と常光屈折率の屈折率差が0.2である。ただし、螺旋ピッチはこれに限るわけではなく、780nm以下の螺旋ピッチであればどのような螺旋ピッチであっても構わない。
【0055】
本実施の形態では、左螺旋コレステリック液晶32と限定して説明しているが、右螺旋のコレステリック液晶を用いても位相制御層14の調整により同様の効果が生まれる。
【0056】
これにより、可視光の全波長領域の左円偏光をブラッグ反射させることができる。また、透明電極31間に電圧を印加することにより、ブラッグ反射状態から透過状態まで可変することができる。
【0057】
また、図3に示した構造では、紙面上方から青色をブラッグ反射する青色反射層27、緑色をブラッグ反射する緑色反射層28、赤色をブラッグ反射する赤色反射層29の順に積層している。なお、これに限るわけではなく、青色反射層27、赤色反射層29、緑色反射層28の順や、緑色反射層28、青色反射層27、赤色反射層29の順など、どのような組み合わせの順に積層しても構わない。
【0058】
さらに、各層を透明接着層などで貼り合わせても構わない。これにより、各層間での界面反射を低減することができる。
【0059】
また、1枚の透明基板30の両面に透明電極を形成し、各色の反射層の界面に存在する透明基板31を共有化しても構わない。これにより、各層間での界面反射の低減化と薄膜化とが実現可能となる。
【0060】
図4は、図3に示した青色反射層27と緑色反射層28と赤色反射層29とが平面配置された反射層19の構造の一例を示す図である。
【0061】
図4に示すように、各色の反射層を平面配置したり、あるいは、平面配置と前述の積層構造とを組み合わせた構造であっても、画素ごとに可視光の全波長領域を反射できればどのような構造でもよい。
【0062】
さらにまた、反射層19の液晶として、コレステリック液晶と高分子ネットワークとからなる表面安定型コレステリック液晶や、高分子安定型コレステリック液晶などを用いることができる。これにより、ブラッグ反射する波長帯域を広げることやブラッグ反射の方向を正面方向に反射させることが容易になる。
【0063】
また、反射制御素子26への印加電圧によって反射率が制御される反射層19は、コレステリック液晶を含むこと、あるいは、液晶の液滴を含む液晶液滴層と、少なくとも1つの高分子層とが交互に積層した構造であること、あるいは、コレステリック液晶の液滴を含む高分子層を含む。これにより、反射制御素子26の反射層19の反射率を制御することができ、透過状態と反射状態とを切り替えられる。
【0064】
図5は、図3及び図4に示した透明基板30に凹凸形状が形成された反射層19の構造の一例を示す図である。
【0065】
図5に示すように、左螺旋コレステリック液晶32を狭持する透明基板30上に凹凸形状を形成しても構わない。これにより、左螺旋コレステリック液晶32の螺旋軸をランダムにすることができ、ブラッグ反射を正面方向に変更することが容易になる。
【0066】
図1及び図2に示した位相制御層14は、位相差が可視光の波長全域で1/4波長である1軸性位相差板、あるいは、2軸性位相差板からなる。また、偏光板10bから出射された直線偏光を概左円偏光化し、かつ、反射層19で反射した概左円偏光を偏光板10bの透過軸と一致した直線偏光に変換する光軸配置とした。ただし、可視光の波長全域で位相差を1/4波長とするために1軸性位相差板を複数、あるいは、2軸性位相差板を複数、あるいは、1軸性位相差板と2軸性位相差板とを複数組み合わせたものであってもよい。
【0067】
また、図1及び図2に示した液晶表示層22は、バックライト光源16側から偏光板10b、位相補償層21、液晶層25、位相補償層20、偏光板10aの順に積層した構造を有する。偏光板10aの透過軸は紙面左右方向であり、また、偏光板10bの透過軸は紙面鉛直方向であり、両者はクロスニコルの配置となっている。ただし、位相補償層20と位相補償層21との位相差の関係で、偏光板10aと偏光板10bとの光軸が、クロスニコルの配置からずれる光学配置になっても構わない。
【0068】
また、図1及び図2に示した位相補償層20は、偏光板10a側から入射した直線偏光を概円偏光化するため、概1/4波長の位相差を有する1軸性位相差板、あるいは、2軸性位相差板からなる。
【0069】
また、図1及び図2に示した位相補償層21は、偏光板10b側から入射した直線偏光を概円偏光化するため、概1/4波長の位相差を有する1軸性位相差板、あるいは、2軸性位相差板からなる。ただし、位相補償層20,21は、可視光の波長全域で位相差を概1/4波長とするために1軸性位相差板を複数、あるいは、2軸性位相差板を複数、あるいは、1軸性位相差板と2軸性位相差板を複数組み合わせたものであってもよい。
【0070】
本実施の形態では、偏光板10a側から入射した直線偏光を位相補償層20により、左円偏光化している。また、偏光板10b側から入射した直線偏光を位相補償層21により、右円偏光化している。
【0071】
また、図1及び図2に示した液晶層25は、バックライト光源16側から基板17、電極を含む反射板13aまたは透明電極13b、液晶11、透明電極12、基板15の順に積層されている。基板15,17は、透明基板である。ここで、液晶11を配向させる配向膜やカラーフィルタ層は、説明を簡略化するため省いた。さらに、1画素内に図1に示すように透過部23と反射部24とが具備されている。電極を含む反射板13aと透明電極13bとは、反射部24と透過部23とをそれぞれ独立に駆動する。
【0072】
透過部23と反射部24との比率は、液晶表示素子の仕様に応じて、適宜変更されても構わない。
【0073】
電極を含む反射板13aは、樹脂などにより表面に凹凸形状が施され、さらに、アルミニウムや銀などの金属膜で覆われている。これにより、入射した外光を正反射方向からずれた方向に反射させ、できる限り正面方向に反射させている。
【0074】
図1及び図2に示した液晶11の厚さは、無印加時には反射部24で概1/4波長、透過部23で概1/2波長の位相差となる厚さとした。具体的は、反射部24の厚さを透過部23の厚さの半分となるように凹凸形状の高さを設定した。ただし、これに限るわけではなく、例えば、基板17上の電極を含む反射板13aと透明電極13bとの高さを一定とし、基板15側のカラーフィルタ層の高さを調整して反射部24の厚さが透過部23の厚さの半分となるような構成であっても構わない。
【0075】
さらに、液晶の配向は、反射部24にて位相補償層20から出射された左円偏光を偏光板10aから出射された直線偏光と直交する直線偏光に、また、透過部23にて位相補償層20から出射された左円偏光を右円偏光に変換する配向であれば、ホモジニアス配向、ツイスト配向、ホメオトロピック配向、ハイブリッド配向をはじめどのような配向であっても構わない。
【0076】
また、液晶表示層22の表示方式は、本実施の形態のような縦電界方式に限るわけではない。横電界方式であっても、電圧を印加することにより無印加時の位相差と比較して、反射部24で1/4波長以上、透過部23で1/2波長以上変化するものであればどのような表示方式であっても構わない。具体的には、縦電界方式のツイストネマチック(TN)モード、スーパーツイストネマチック(STN)モード、垂直配向を利用したヴァーティカル・アライメント方式(VA方式)、ドメインパターンド・バーティカルアライメント方式(PVA方式)、アドヴァンスト・スーパー・ヴィ方式(ASV方式)などの垂直配向モードや異方性光学フィルムを用い、光学補償を行うフィルム補償モード、ホモジニアス配向、ハイブリッド配向など電界複屈折効果を利用したECBモードが挙げられる。また、横電界方式では、インプレインスイッチ(IPS)方式やフリンジフィールドスイッチング(FFS)方式が挙げられる。ただし、横電界方式を用いる場合には、基板15上の透明電極12をなくし、基板17上に画素電極と共通電極とを形成し、液晶を面内に移動させる必要がある。
【0077】
以下に、図1及び図2を用いて本実施の形態に係る液晶表示素子の表示動作を詳細に説明する。
【0078】
まず、図1を用いて、反射表示モードの表示動作について説明する。本実施の形態の反射表示モードでは、反射制御素子26を反射状態とする。また、反射部24と透過部23とを同期させて印加する電圧を同じとした。
【0079】
図1の左図に示すように、紙面上方より、偏光板10aに入射した無偏光の外光が偏光板10aを透過することにより、紙面左右方向の直線偏光となる。この直線偏光は位相補償層20を通過することにより、1/4波長分偏光が回転し、左円偏光に変換される。
【0080】
その後、反射部24に入射した左円偏光は、無印加時の液晶11の位相差(1/4波長)分回転し、紙面鉛直方向の直線偏光に変換される。そして、電極を含む反射板13aにより反射する。その際、直線偏光であるため、偏光方向を変化させずに紙面鉛直方向の直線偏光が反射する。
【0081】
反射した直線偏光は、再度液晶11により、1/4波長分位相回転して、左円偏光に変換され、位相補償層20によって、左円偏光が紙面左右方向の直線偏光に変換される。この直線偏光は、偏光板10aの透過軸と一致しているので吸収されることなく、偏光板10aを通過する。従って、画像表示としては明状態となる。
【0082】
一方、液晶11に電圧が印加し、図1の右図に示すように液晶の位相差が概なくなった状態になると、液晶11に入射した左円偏光が偏光状態を変えずに電極を含む反射板13aに入射する。その左円偏光が反射板13aによって反射すると、左円偏光が右円偏光に変換される。変換された右円偏光は液晶11をそのまま通過し、位相補償層20に入射する。そして、位相補償層20によって、1/4波長分位相を回転させ、紙面鉛直方向の直線偏光に変換される。この直線偏光は、偏光板10aの透過軸と直交しているので偏光板10aにより吸収される。従って、画像表示として、暗状態となる。
【0083】
また、印加電圧により液晶11の位相差を1/4波長から概0波長まで変化することができる。これにより、液晶11に入射した左円偏光を液晶11の位相差により無印加時の紙面鉛直方向の直線偏光から楕円偏光を経て左円偏光まで変化させることができる。従って、印加電圧によって、階調表示が可能となる。
【0084】
また、透過部23においては、入射した左円偏光が、無印加時の液晶11の位相差(1/2波長)分回転し、右円偏光に変換される。その後、位相補償層21により1/4波長分位相回転され、紙面鉛直方向の直線偏光となる。この直線偏光板は、偏光板10bの透過軸と一致しているので吸収されることなく、偏光板10bを通過する。通過した直線偏光は、位相制御層14の位相差により左円偏光に変換される。そして、反射層19の左螺旋のコレステリック液晶は反射状態であるため、この左円偏光が偏光状態を変えずに左円偏光を反射する。
【0085】
反射した左円偏光が、再度、位相制御層14に入射すると、左円偏光が紙面鉛直方向の直線偏光に変換される。この直線偏光は、偏光板10bの透過軸と一致しているため、吸収されることなく、通過する。通過した直線偏光が位相補償層21により、右円偏光に変換される。その後、液晶11により1/2波長分位相回転して左円偏光となり、位相補償層20によって、1/4波長分位相が回転して紙面左右方向の直線偏光に変換される。この直線偏光は、偏光板10aの透過軸と一致しているため、吸収されることなく、通過する。従って、液晶に電圧を印加しない場合には表示として明状態となる。
【0086】
これにより、反射表示モード時に、従来利用されていなかった透過部23に入射した外光を利用することにより、反射表示モードを明るくすることができる。また、透過部23には基板厚みによる視差が生じるが、従来のように画素全面に視差が生じるわけではない。従って、従来技術での課題であった視認性(視差(二重像))を向上させることができる。
【0087】
また、反射部24と同様に、透過部23の液晶11に電圧を印加し、図1の右図に示すように液晶の位相差が概なくなった状態にすると、液晶11に入射した左円偏光が偏光状態を変えずに位相補償層21に入射する。そして、位相補償層21により1/4波長分位相回転され、紙面左右方向の直線偏光となる。この直線偏光板は、偏光板10bの透過軸と直交しているので吸収される。よって、表示として、暗状態となる。
【0088】
このように、印加電圧により液晶11の位相差を1/2波長から概0波長まで変化することができる。これにより、液晶11に入射した左円偏光を液晶11の位相差により無印加時の右円偏光から左円偏光まで可逆的に変化させることができる。従って、印加電圧によって、階調表示が可能となる。
【0089】
以上のように、本実施の形態に係る液晶表示素子の反射表示モードでは、反射部24と透過部23ともノーマリホワイト表示であり、両部ともに同電圧を印加することで同じ階調表示が可能となる。
【0090】
ここで、図1の右図に示すようにバックライト光源16を照射状態とすると、反射制御素子26の反射層19により、右円偏光が透過する。透過した右円偏光は、位相制御層14により、1/4波長分位相を回転し、紙面左右方向の直線偏光に変換される。この直線偏光は、偏光板10bの透過軸と直交しているため、吸収されてしまい、表示に利用されない。
【0091】
従って、本実施の形態に係る液晶表示素子の反射表示モードでは、バックライト光源16を照射状態にする必要はない。つまり、バックライト光源16を非照射状態にし、液晶表示層22を照射しない状態とするほうが好ましい。これにより、バックライト光源16で消費される電力をなくすことができ、液晶表示素子の低消費電力に寄与する。
【0092】
次に、図2を用いて、本実施の形態に係る液晶表示素子における反射・透過併用表示モードの表示動作を詳細に説明する。この表示モードでは、反射制御素子26を透過状態として利用する。また、反射部24と透過部23とを同期させて印加する電圧を同じとした。また、バックライト光源16を照射状態とした。
【0093】
図2の左図及び図2の右図に示した反射部24における表示動作は、図1を用いて説明した反射部24における表示動作と同様である。
【0094】
一方、図2に示した透過部23については、紙面上方より、偏光板10aに入射した無偏光の外光が偏光板10a透過することにより、紙面左右方向の直線偏光となる。この直線偏光は位相補償層20を通過することにより、1/4波長分偏光が回転し、左円偏光に変換される。
【0095】
変換された左円偏光が、無印加時の液晶11の位相差(1/2波長)分位相が回転し、右円偏光に変換される。そして、位相補償層21により1/4波長分位相回転され、紙面鉛直方向の直線偏光となり、偏光板10bを通過する。
【0096】
通過した直線偏光は、位相制御層14の位相差により左円偏光に変換され、反射制御素子26の反射層19に入射する。反射層19は透過状態であるため、入射した左円偏光はそのまま反射層19を透過する。よって、透過部23に入射した外光は、表示に利用されない。
【0097】
また、バックライト光源16から照射された光は、無偏光のまま反射制御素子26を透過し、偏光板10bに入射し、紙面鉛直方向の直線偏光となって透過する。
【0098】
透過した直線偏光が位相補償層21により、右円偏光に変換され、液晶11により1/2波長分位相回転して左円偏光となる。さらに、位相補償層20によって、1/4波長分位相が回転して紙面左右方向の直線偏光に変換される。この直線偏光は、偏光板10aの透過軸と一致しているため、吸収されることなく、通過する。従って、表示としては、明状態となり、反射部24における表示と同様になる。
【0099】
一方、反射部24と同様に透過部23の液晶11に電圧が印加すると、外光は図2の右図に示すように、液晶11の位相差が概なくなり、液晶11に入射した左円偏光が偏光状態を変えずに位相補償層21に入射する。そして、位相補償層21により1/4波長分位相回転され、紙面左右方向の直線偏光となる。この直線偏光板は、偏光板10bの透過軸と直交しているので吸収される。よって、透過部23に入射した外光は表示に利用されない。
【0100】
また、バックライト光源16から照射された光は、偏光板10bを透過し、紙面鉛直方向の直線偏光となる。そして、直線偏光が位相補償層21により、右円偏光に変換され、液晶11に入射するが、液晶11には位相差がないため、偏光状態を変えずに液晶層25を通過する。そして、位相補償層20によって、1/4波長分位相が回転して紙面鉛直方向の直線偏光に変換される。この直線偏光は、偏光板10aの透過軸と直交しているため、吸収される。これにより、反射部24における表示動作と同様に暗表示となる。
【0101】
また、透過部23における表示動作が、バックライト光源16から照射された光は液晶表示層22の偏光板10bを通過後、本実施の形態の反射表示モードでの透過部23の偏光状態と同様であることから、中間調表示も本実施の形態の反射表示モードと同様の表示動作を示す。
【0102】
このように、反射制御素子26を透過状態とすることで反射部24は外光を利用した反射表示モード、透過部はバックライト光を利用した透過表示モードとなり、反射・透過併用表示モードが可能になる。
【0103】
ここで、画素内の反射部24と透過部23との割合を設計変更することにより、反射重視の反射・透過併用表示モードや透過重視の反射・透過併用表示モードを設定することができる。
【0104】
また、周囲の環境が明るい場合には、反射制御素子26の反射率を制御し、反射・透過状態とし、反射制御素子26での反射を画像表示に利用しても構わない。ここで、バックライト光源16からの照射量を反射制御素子26の反射率と反比例するように制御しても構わない。これにより、バックライト光の利用効率を最適にできるため、液晶表示素子の消費電力を抑えることができる。
【0105】
次に、本実施の形態に係る液晶表示素子における透過表示モードの表示動作について、図2を用いて説明する。
【0106】
透過表示モードでは、図2の右図に示すように、反射制御素子26を透過状態、バックライト光源16を照射状態、液晶表示層22の反射部24に電圧を印加して、反射部24を常に暗状態とし、表示に利用しないようにした。これにより、本実施の形態に係る液晶表示素子は、図2の左図に示すように、電圧が印加されていない液晶表示層22の透過部23のみを表示動作として利用することができる。
【0107】
表示動作は、上述した反射・透過併用表示モードにおける液晶表示層22の透過部23と同じ動作をさせる。これにより、バックライト光源16の照射光のみを画像表示に利用するため、透過型の特徴である高画質の画像表示が可能になる。
【0108】
ここで、液晶表示層22の反射部24と透過部23とを独立に駆動させることによりその境界付近で液晶の配向不良が起こり画質に影響を与える場合には、基板15上の境界部付近に遮光層を設けても構わない。
【0109】
以上のように、本実施の形態に係る液晶表示素子は、使用照明環境によって、最も適した表示モードを選択することができる。特に、反射表示モードでは、画素内の透過部23を画像表示に用いることができる。これにより、明るい反射表示画像を提供することと同時に、従来技術で課題であった視差(二重像)による視認性の悪さを改善することができる。
【0110】
ここで、表示モードの切り替えは、手動でも行うことができるが、フォトセンサーを用いて外光の照射量を感知して、自動的に最適な表示モードを選択する表示モード選択ブロックを液晶表示素子内に設けても構わない。
【0111】
図6は、自動的に最適な表示モードを選択する表示モード選択ブロックの一例を示す図である。
【0112】
図6に示すように表示モード選択ブロックには、センサー部55と、コントローラ部56と、信号処理部57と、信号線ドライバ58と、ゲート線ドライバ59とが設けられている。センサー部55は、外光量を感知する。コントローラ部56は、クロック及び同期のタイミングを制御する。信号処理部57は、RGBの入力信号を直並列変換などの信号処理を行う。信号線ドライバ58は、信号処理部57にて処理された画素の反射部への信号線データ51と、画素の透過部への信号線データ52とを液晶表示層22へ出力する。ゲート線ドライバ59は、コントローラ部56によって制御されたコントロール信号を液晶表示層22へ出力する。これらと液晶表示層22とが連動して画像表示を行っている。さらに、本実施の形態では、液晶表示層22の1画素内の反射部54と1画素内の透過部53とにそれぞれ独立したソース信号を入力できるソース線が設けられ、ゲート線は共通化している。
【0113】
ただし、図6に示した構成に限るわけではなく、ゲート線を反射部54と透過部53とに独立にゲート線を設け、ソース線を共通化しても構わない。この場合、第1のタイミングで反射部54に書き込みを行い、第2のタイミングで透過部53に書き込みを行う。これにより、反射部54と透過部53とに独立な表示信号を書き込むことができる。
【0114】
各表示モードの設定は、外光量をセンサー部55にて感知した後、外光量に応じた信号をコントローラ部56に供給する。コントローラ部56では、この信号に応じたコントロール信号を信号処理部57、バックライト光源16、反射制御素子26、ゲート線ドライバ59、及び信号線ドライバ58に供給する。このコントロール信号に基づいて、バックライト光源16を照射状態と非照射状態とのどちらに設定するかを選択する。また、反射制御素子26を反射状態と透過状態とのどちらに設定するかを選択する。また、信号処理部57にて液晶表示層22の反射部54及び透過部53を画像表示に利用するか否かを選択する。そして、信号処理部57から反射部54及び透過部53のそれぞれのソース信号が信号線ドライバ58を通じて供給される。また、ゲート線ドライバ59からゲート信号が供給される。そして、液晶表示層22の各画素の反射部54及び透過部53の表示状態が決定される。
【0115】
具体的には、反射表示モードでは、外光量をセンサー部55で感知した後に、バックライト光源16を非照射、反射制御素子26を反射状態、液晶表示層22の反射部54と透過部53とも表示に利用する設定とする。また、反射・透過併用表示モードでは、バックライト光源16を照射、反射制御素子26を透過状態、液晶表示層22の反射部54と透過部53とも表示に利用する設定にする。そして、透過表示モードでは、バックライト光源16を照射、反射制御素子26を透過状態、液晶表示層22の透過部53を表示に利用する設定とする。これにより、外光量を感知すれば、自動的に表示モードを選択することができる。
【0116】
また、反射・透過併用表示モードにおいて、センサー部55であるフォトセンサーで感知した外光量に応じて、反射制御素子26の反射率を制御し、かつ、反射制御素子26の反射率に反比例するようにバックライト光源16の照射量を制御する設定にしてもよい。これにより、使用照明環境に応じたきめ細かな表示モードの設定が可能になる。
【0117】
ここで、センサー部55であるフォトセンサーは、本実施の形態にかかる液晶表示素子上に設けておく。たとえば、液晶表示素子の基板10b上にアクティブ素子、即ち、薄膜トランジスタ(TFT)などを形成する工程を利用して、フォトダイオードを形成する。これにより、液晶表示素子に形成されたフォトダイオードの光起電力を測定することで外光量をモニターすることができる。フォトセンサーとしては、これに限るわけではなく、たとえば、光起電力効果を利用したフォトトランジスタ、光導電効果をした硫化カドニウムセル(CdSセル)など液晶表示素子に搭載できれば、どのようなセンサーでも構わない。
【0118】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る液晶表示素子について説明する。
【0119】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射表示モードにおける表示動作を示す図である。また、図8は、本発明の第2の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射・透過併用表示モードと透過表示モードとにおける表示動作を示す図である。
【0120】
本実施の形態と第1の実施の形態との違いは、本実施の形態は、反射制御素子60が直線偏光をブラッグ反射させ、かつ、印加電圧により反射率を制御できる配向型ホログラフィック高分子分散液晶(PDLC)からなる反射層61から構成される点にある。本実施の形態における上記以外の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0121】
図9は、図7及び図8に示した反射層61の構造の一例を示す図である。
【0122】
図7及び図8に示した反射層61は図9に示すように、透明基板30と、透明電極31と、液晶と重合した液晶製モノマーが交互に積層した液晶層33とから構成されている。その反射層61に、紙面左右方向の直線偏光35や紙面鉛直方向の直線偏光35の入射光34が入射し、出射光37として出射される。
【0123】
本実施の形態における反射制御素子60の反射層61は、図9に示すようにホモジニアス配向した液晶層と重合した液晶性モノマーから層が交互に積層した周期構造である。この構造は、液晶と液晶性モノマーの混合物を透明電極31を有する透明基板30に狭持し、ホモジニアス配向させ、レーザによる干渉露光によって形成する。より具体的には、2本のレーザ光を反射層61の両面から入射させ干渉させると、レーザ強度が弱い部分には液晶リッチな層が、レーザ強度が強い部分には液晶性モノマーが重合した液晶性モノマーがリッチな層が周期間隔39を有して周期的に形成される。これにより、周期間隔39に応じた特定波長をブラッグ反射させることができる。ブラッグ反射により反射された偏光38が出力されることとなる。
【0124】
ここで、液晶には正の誘電異方性の液晶を用いた。無印加時には図9(a)に示すように液晶と重合した液晶性モノマーの屈折率が一致しているため、ブラッグ反射が起こらず透明状態となる。
【0125】
また、図9(b)に示すように電圧を印加して液晶を紙面上下方向に配向させると、紙面左右方向のみに液晶と液晶性モノマーの屈折率差が生じるが、紙面鉛直方向には液晶と液晶性モノマーの屈折率差がない。従って、紙面左右方向はブラッグ反射するが、紙面鉛直方向はブラッグ反射しない入射偏光依存性を有した反射状態を形成できる。
【0126】
本実施の形態では、この反射層61の液晶配向方向を紙面鉛直方向にして配置する。これにより、図7の偏光板10bを通過した外光を反射層61に電圧を印加することでブラッグ反射させることができ、反射表示モードとして利用できる。
【0127】
ブラッグ反射波長帯域を広げるため、反射層内で周期間隔の異なる層を混在させてもよい。
【0128】
図10は、図7及び図8に示した反射層61内で、周期間隔の異なる層を混在させた反射層61の構造の一例を示す図である。ここでは、青色をブラッグ反射する周期間隔である青色周期間隔40と、緑色をブラッグ反射する周期間隔である緑色周期間隔41と、赤色をブラッグ反射する周期間隔である赤色周期間隔42との層を混在させた例を示す。
【0129】
図10に示すように、反射層内で周期間隔の異なる層を混在させてもよいし、また、第1の実施の形態と同様にブラッグ反射波長が赤色、緑色、青色である反射層を積層してもよいし、ブラッグ反射波長の異なる層を並列配置しても構わない。これにより、本発明の第1の実施の形態と同様の表示動作を実現することが可能になる。
【0130】
ただし、反射表示モードでは、反射制御素子60の反射層61に電圧を印加した反射状態とし、反射・透過併用表示モード、透過表示モードでは反射制御素子60の反射層61を無印加の状態として透過状態とする必要がある。
【0131】
本実施の形態における上記以外の動作及び効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0132】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係る液晶表示素子について説明する。
【0133】
図11は、本発明の第3の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射表示モードにおける表示動作を示す図である。また、図12は、本発明の第3の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射・透過併用表示モードと透過表示モードとにおける表示動作を示す図である。
【0134】
本実施の形態と第1の実施の形態及び第2の実施の形態との違いは、本実施の形態は、反射制御素子62として、電圧を印加することで位相を制御できる位相制御層63と、ある直線偏光を反射し、これと直交する直線偏光を透過する反射層64とを積層したものを用いた点にある。
【0135】
本実施の形態における上記以外の構成は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様である。
【0136】
図13は、図11及び図12に示した位相制御層63の構造の一例を示す図である。
【0137】
図11及び図12に示した位相制御層63は図13に示すように、透明基板30と、透明電極31と、液晶層43とから構成されている。位相制御層63は図13に示すように、ホモジニアス配向した液晶層43を透明電極30が形成された透明基板31で狭持した構造である。液晶層43は、無印加時に1/2波長板として機能するようにリタデーション(複屈折位相差)を設定している。本実施の形態では、液晶表示層22の偏光板10bを通過した紙面鉛直方向の直線偏光を紙面左右方向の直線偏光に変換する光学配置とした。
【0138】
さらに、広帯域の1/2波長板とするため、位相制御層63を複数層積層しても構わない。
【0139】
また、本実施の形態における反射層64として、可視光に対応したワイヤグリッドタイプの反射偏光板を用いた。この偏光板を用いることにより可視光以下のアルミニウム細線からなるラインアンドスペースに平行な直線偏光を透過して、ラインアンドスペースに直交する直線偏光を反射させる機能を有している。そして、本実施の形態では、図11に示すように紙面左右方向の直線偏光を反射させる配置とした。
【0140】
ここで、反射層64として、住友スリーエム社製の商品名D−BEF、半透過反射偏光板を用いても構わない。
【0141】
本実施の形態では、図11に示した偏光板10bを通過した外光の直線偏光を反射制御素子62の位相制御層63によって、紙面左右方向の直線偏光に変換する。そして、反射層64によりこの直線偏光の偏光状態を変えないまま反射させることができ、反射表示モードとして利用できる。また、反射・透過併用表示モード及び透過表示モードでは、図12に示した位相制御層63に電圧を印加し、位相差をなくす。これにより、図12に示すバックライト光源19の光が反射層64を透過することで紙面鉛直方向の直線偏光化され、位相制御層63を偏光状態を変えずに通過する。このため、光が液晶表示層22の偏光板10bを通過する。その結果、本発明の第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の表示動作を実現することが可能になる。
【0142】
本実施の形態における上記以外の動作及び効果は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様である。
【0143】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態に係る液晶表示素子について説明する。
【0144】
図14は、本発明の第4の実施の形態に係る液晶表示素子の反射制御素子の平面図である。
【0145】
本実施の形態と第1〜3の実施の形態との違いは、本実施の形態は、反射制御素子44の一部に突出及び/または、切れ込みを形成し、かつ、反射制御素子44に印加電圧を供給する端子47が反射制御素子44の1辺から延伸している点にある。そして、画面を表示する液晶表示部46が設けられている。
【0146】
ただし、図14では、本実施の形態についてわかりやすくするため、実際の寸法とは異なり、反射制御素子44の突出及び/または、切れ込みを強調している。
【0147】
本実施の形態における上記以外の構成は、第1〜3の実施の形態と同様である。
【0148】
図14に示すように、反射制御素子44に突出及び/または、切り込みの凹凸部を設け、バックライト光源45に前記凹凸部に対応した凹凸部が形成されている。さらに、反射制御素子44の1辺から延伸した端子47が形成されている。これにより、バックライト光源45に反射制御素子44を実装する際、対応する凹凸部があることから固定位置の位置決めが容易になり、さらに、1辺のみから端子47が延伸しているので反射制御素子44を省スペースに収めることができる。また、振動や衝撃などにより、反射制御素子44がバックライト光源45からずれるなどの不具合を防ぐことができる。
【0149】
具体的な反射制御素子44の突出部の形成方法としては、レーザカッターや型抜きなどで形成することができる。
【0150】
突出部及び/または切り込み部は、図14に示す構造に限るわけではなく、バックライト光源45に固定位置に位置決めしやすく、振動、衝撃などでずれるなどの不具合を防ぐものであればどのようなものであっても構わない。
【0151】
本実施の形態における上記以外の動作及び効果は、第1〜3の実施の形態と同様である。
【0152】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る液晶表示素子について説明する。
【0153】
図15は、本発明の第5の実施の形態に係る液晶表示素子の断面図である。
【0154】
本実施の形態と第1〜4の実施の形態との違いは、本実施の形態は、反射制御素子26と液晶表示層22とを透明な粘着層48で光学密着させる点にある。
【0155】
本実施の形態における上記以外の構成は、第1〜4の実施の形態と同様である。
【0156】
本実施の形態における液晶表示素子は図15に示すように、反射制御素子26上に透明な粘着層48を形成し、液晶表示層22に全面に貼り付け光学密着させている。これにより、液晶表示層22と反射制御素子26との界面で発生していた表面反射による損失を低減することが可能となる。そのため、外光及びバックライト光の利用効率を高めることができる。
【0157】
ここで、粘着層48としては、フィルム基材の両面に粘着層が形成された粘着テープや、基材レスの粘着テープのほかに、UV硬化型、熱硬化型の透明接着剤を反射制御素子26上、あるいは、液晶表示層22上に塗布形成し、硬化させたものを用いることができる。
【0158】
また、フィルム基材などによる複屈折がある場合には、光軸を液晶表示層22の偏光板の透過軸あるは、吸収軸に合わせたり、複屈折量を加味した反射制御素子の光学設計を行って方が好ましい。
【0159】
本実施の形態における上記以外の動作及び効果は、第1〜4の実施の形態と同様である。
【0160】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0161】
図16は、本発明の第6の実施の形態を模式的に示す図である。
【0162】
本発明の第6の実施の形態においては、図16に示すように、液晶表示素子50が携帯電話49に搭載されている。そして、携帯電話49に搭載された液晶表示素子50には、外光量を感知できるセンサーが搭載されている。これにより、外光量を感知し、外光量に応じて、液晶表示素子50の画像表示モードを、反射表示モードと、反射・透過併用表示モードと、透過表示モードとの何れかの表示モードに自動的に切り替えることができる。これにより、使用者は、使用照明環境に関わらず、快適に携帯電話49を使用することが可能になる。特に、反射表示モードでは、視差(二重像)の視認性低下を低減し、反射率を高めた携帯電話49を提供することができる。
【0163】
また、液晶表示素子50に搭載されているセンサーをOFFし、手動で使用者がお好みの表示モードを選択することもできる。
【0164】
ここで、本実施の形態では電子機器として、携帯電話49を例に挙げて説明しているが、これに限るわけではなく、液晶表示素子50が搭載されている個人用情報端末、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パソコン、キャッシュディスペンサまたは自動販売機などであっても構わない。またここで、携帯電話49に搭載される液晶表示素子50は、他の実施に形態にて説明した本発明の液晶表示素子である。
【0165】
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施の形態に係る電子機器について説明する。
【0166】
本実施の形態と第6の実施形態との違いは、本実施の形態は、液晶表示素子に照射される外光量を感知するセンサーが携帯電話本体に搭載されている点である。
【0167】
本実施の形態における上記以外の構成は、本発明の第6の実施の形態と同様である。
【0168】
これにより、液晶表示素子にセンサーを搭載する必要がなくなるため、液晶表示素子の設計の自由度が増す効果が生まれる。
【0169】
ここで、本実施の形態では電子機器として、携帯電話を例に挙げて説明しているが、これに限るわけではなく、液晶表示素子が搭載されている個人用情報端末、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パソコン、キャッシュディスペンサまたは自動販売機などであっても構わない。
【0170】
本実施の形態における上記以外の動作及び効果は、第6の実施の形態と同様である。
【0171】
(第8の実施の形態)
以上、第1〜3の実施の形態における液晶表示層22は、バックライト光源16側から偏光板10b、位相補償層21、液晶層25、位相補償層20、偏光板10aの順に積層した構造として説明してきた。しかし、積層順序はこれに限るものではない。
【0172】
図17は、本発明の第8の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射表示モードにける表示動作を示す図である。また、図18は、本発明の第8の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射・透過併用表示モードと透過表示モードとにおける表示動作を示す図である。
【0173】
図17及び図18に示すように液晶表示層65は、バックライト光源16側から偏光板10b、1/2波長板18、液晶層25、偏光板10aの順に積層した構造である。本構造であっても同様の効果が生まれる。
【0174】
図17に示す液晶表示素子における反射表示モードでの表示動作は、図17の左図に示すように、反射部24では紙面上方より、偏光板10aに入射した無偏光の外光が偏光板10a透過することにより、紙面左右方向の直線偏光となる。この直線偏光が無印加時の液晶11の位相差(1/4波長)分回転し、概左円偏光に変換される。そして、電極を含む反射板13aにより反射されると、概右円偏光に変換される。さらに、液晶11の位相差により(1/4波長)分回転し、紙面鉛直方向の直線偏光に変換される。この直線偏光は、偏光板10aの透過軸と直交しているため、吸収される。従って、画像表示としては、暗状態となる。
【0175】
また、液晶11に電圧を印加し、図17の右図に示すように液晶11の位相差が概なくなった状態になると、液晶11に入射した紙面左右方向の直線偏光は偏光状態を変えずに電極を含む反射板13aに入射する。反射板13aに入射した直線偏光は、反射板13aによって偏光状態を変えることなく反射される。その後、液晶11をそのまま通過する。そして、紙面左右方向の直線偏光は偏光板10aの透過軸と一致していることから、吸収されることなく、通過する。従って、画像表示として、明状態となる。また、液晶11に印加する電圧を変更することで中間調を表示することができる。
【0176】
一方、透過部23においては、入射した紙面左右方向の直線偏光が、無印加時の液晶11の位相差(1/2波長)分回転し、紙面鉛直方向の直線偏光に変換される。その後、1/2波長板18により1/2波長分位相回転され、紙面左右方向の直線偏光となる。この直線偏光板は、偏光板10bの透過軸と直交しているので吸収される。従って、画像表示として、暗状態となり、反射部24と一致する。
【0177】
また、図17の右図に示すように液晶11に電圧を印加すると、液晶11の位相差が概なくなった状態になるため、液晶11に入射した紙面左右方向の直線偏光は偏光状態を変えずに1/2波長板18に入射する。入射した紙面左右方向の直線偏光は、1/2波長分位相が回転し、紙面鉛直方向の直線偏光に変換され、偏光板10bを通過する。通過した直線偏光は、位相制御層14の位相差により左円偏光に変換される。そして、反射層19の左螺旋のコレステリック液晶が反射状態であるため、この左円偏光が偏光状態を変えずに左円偏光を反射する。左円偏光が、再度、位相制御層14に入射すると、位相制御層14によって左円偏光が紙面鉛直方向の直線偏光に変換される。この直線偏光は、偏光板10bの透過軸と一致しているため、吸収されることなく、通過する。通過した直線偏光が1/2波長板18により、紙面左右方向の直線偏光に変換され、液晶11を偏光状態を変えずに通過する。この直線偏光は、偏光板10aの透過軸と一致しているため、吸収されることなく、通過する。従って、画像表示として明状態となる。
【0178】
ここで、反射表示モードでは反射制御素子26を反射状態し、反射部24と透過部23とを同期させて印加する電圧を同じとした。
【0179】
次に、図18に示す液晶表示素子における反射・透過併用表示モード及び透過表示モードの表示動作を詳細に説明する。
【0180】
この表示モードでは、反射制御素子26を透過状態として利用する。また、反射・透過併用表示モードでは反射部24と透過部23とを同期させて印加する電圧を同じとした。また、透過表示モードでは、反射部24を画像表示に利用しないように常に、暗状態とした。さらに、バックライト光源16を照射状態とした。
【0181】
反射・透過併用表示モードでは、図18の左図及び図18の右図に示すように、反射部24の表示動作は、図17にて説明した反射表示動作と同様である。
【0182】
透過部23の表示動作を以下に説明する。
【0183】
図18の左図に示した透過部23にて、紙面上方より入射した外光は、偏光板10bによって吸収されるため、画像表示には利用できない。
【0184】
また、バックライト光源16から照射された光は、無偏光のまま反射制御素子26を透過し、偏光板10bに入射し、紙面鉛直方向の直線偏光となって透過する。透過した直線偏光が1/2波長板18により、紙面左右方向の直線偏光に変換され、無印加時の液晶11によって1/2波長分位相回転して紙面鉛直方向の直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板10aの透過軸と直交しているため、吸収される。従って、画像表示としては、暗状態となる。
【0185】
一方、液晶11に電圧を印加すると、バックライト光源16から照射された光は、偏光板10bを透過し、紙面鉛直方向の直線偏光となる。そして、直線偏光が1/2波長板18により、紙面左右方向の直線偏光に変換され、液晶11に入射する。液晶11には位相差がないため、偏光状態を変えずに液晶層25を通過する。この直線偏光は、偏光板10aの透過軸と一致しているため、そのまま通過することになる。これにより、画像表示として明表示となる。
【0186】
以上説明したように、液晶表示層22が変更されても、第1〜3の実施の形態と同様の効果が生まれる。
【0187】
また、液晶表示層22はこれに限るわけではなく、偏光板10bを出射した外光を反射制御素子26にて反射させ、画素の反射部24と同じ表示動作を行う構造であれば、どのような構造であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射表示モードにおける表示動作を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射・透過併用表示モードと透過表示モードとにおける表示動作を示す図である。
【図3】図1及び図2に示した反射層の構造を示す図である。
【図4】図3に示した青色反射層と緑色反射層と赤色反射層とが平面配置された反射層の構造の一例を示す図である。
【図5】図3及び図4に示した透明基板に凹凸形状が形成された反射層の構造の一例を示す図である。
【図6】自動的に最適な表示モードを選択する表示モード選択ブロックの一例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射表示モードにおける表示動作を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射・透過併用表示モードと透過表示モードとにおける表示動作を示す図である。
【図9】図7及び図8に示した反射層の構造の一例を示す図である。
【図10】図7及び図8に示した反射層内で、周期間隔の異なる層を混在させた反射層の構造の一例を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射表示モードにおける表示動作を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射・透過併用表示モードと透過表示モードとにおける表示動作を示す図である。
【図13】図11及び図12に示した位相制御層の構造の一例を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係る液晶表示素子の反射制御素子の平面図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態に係る液晶表示素子の断面図である。
【図16】本発明の第6の実施の形態を模式的に示す図である。
【図17】本発明の第8の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射表示モードにおける表示動作を示す図である。
【図18】本発明の第8の実施の形態に係る液晶表示素子の構成及び反射・透過併用表示モードと透過表示モードとにおける表示動作を示す図である。
【図19】従来の内部半透過型の半透過液晶表示装置の内部半透過型液晶素子の断面図の一例を示す。
【図20】周囲の明るさに基づいて反射表示と透過表示との切り替えが可能な液晶表示装置の断面図の一例を示す図である。
【図21】周囲の明るさに基づいて反射表示と透過表示との切り替えが可能な液晶表示装置の断面図の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0189】
10a,10b 偏光板
11 液晶
12,13b,31 透明電極
13a 反射板
14,63 位相制御層
15,17 基板
16,45 バックライト光源
18 1/2波長板
19,61,64 反射層
20,21 位相補償層
22,65 液晶表示層
23,53 透過部
24,54 反射部
25,33,43 液晶層
26,44,60,62 反射制御素子
27 青色反射層
28 緑色反射層
29 赤色反射層
30 透明基板
32 左螺旋コレステリック液晶
34 入射光
35 紙面左右方向の直線偏光
36 紙面鉛直方向の直線偏光
37 出射光
38 ブラッグ反射により反射された偏光
39 周期間隔
40 青色周期間隔
41 緑色周期間隔
42 赤色周期間隔
46 液晶表示部
47 端子
48 粘着層
49 携帯電話
50 液晶表示素子
51 反射部への信号線データ
52 透過部への信号線データ
55 センサー部
56 コントローラ部
57 信号処理部
58 信号線ドライバ
59 ゲート線ドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1画素内に透過部と反射部とを有し、前記透過部と前記反射部とを独立に電圧印加する液晶表示層と、前記液晶表示層を背面から照射する光源と、前記液晶表示層と前記光源との間に配置され、印加電圧により、反射状態と透過状態とを切り替える反射制御素子とを備えた液晶表示素子において、
前記反射制御素子を透過状態とし、前記液晶表示層の反射部を暗状態とし、前記透過部にて画像表示を行う透過表示モードと、
前記反射制御素子を透過状態とし、前記液晶表示層の反射部及び透過部にて画像表示を行う反射・透過併用表示モードと、
前記反射制御素子を反射状態とし、前記液晶表示層の反射部及び透過部にて画像表示を行う反射表示モードとのいずれか1つのモードに切り替えることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示素子において、
前記反射制御素子は、特定の波長帯域をブラッグ反射させる反射層を有し、前記印加電圧によって前記反射層の反射率を制御することを特徴とする液晶表示素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液晶表示素子において、
前記反射制御素子は、
特定の波長帯域をブラッグ反射させる反射層と、
前記反射層の位相を制御する位相制御層とから構成され、前記印加電圧によって前記反射層の反射率を制御し、前記光源上に前記反射層、前記位相制御層の順に積層することを特徴とする液晶表示素子。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の液晶表示素子において、
前記光源は、前記反射層の反射率の増加と連動して照射量を減少させることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液晶表示素子において、
前記反射制御素子は、
少なくとも1つの偏光を反射し、前記偏光とは異なる偏光を透過する反射層と、
前記印加電圧によって前記反射層の位相を制御する位相制御層とから構成され、前記光源上に前記反射層、前記位相制御層の順に積層することを特徴とする液晶表示素子。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の液晶表示素子において、
前記反射制御素子は、前記液晶表示層と前記光源とが積層する方向に積層した複数の前記反射層を有することを特徴とする液晶表示素子。
【請求項7】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の液晶表示素子において、
前記反射制御素子は、前記液晶表示層と前記光源とが積層する方向と直交した方向に並列に配置された複数の前記反射層を有することを特徴とする液晶表示素子。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液晶表示素子において、
前記反射制御素子は、液晶を含む層を有することを特徴とする液晶表示素子。
【請求項9】
請求項2または請求項3に記載の液晶表示素子において、
前記印加電圧によって反射率を制御される反射層は、コレステリック液晶を含むことを特徴とする液晶表示素子。
【請求項10】
請求項2または請求項3に記載の液晶表示素子において、
前記印加電圧によって反射率を制御される反射層は、液晶の液滴を含む液晶液滴層と、少なくとも1つの高分子層とが交互に積層した構造であることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項11】
請求項2または請求項3に記載の液晶表示素子において、
前記印加電圧によって反射率を制御される反射層は、コレステリック液晶の液滴を含む高分子層から構成されることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の液晶表示素子において、
前記反射制御素子の一部に突出及び/または、切り込みを形成することを特徴とする液晶表示素子。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の液晶表示素子において、
前記反射制御素子と前記液晶表示層とを光学密着することを特徴とする液晶表示素子。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の液晶表示素子において、
前記印加電圧を供給する端子が、前記反射制御素子の1辺から延伸していることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の液晶表示素子において、
前記液晶表示素子に照射される外光量を感知するセンサーを備え、前記センサーによって感知された外光量に応じて、前記液晶表示層の反射部と透過部とのそれぞれを画像表示に利用し、前記反射制御素子の反射率と、前記光源の照射量とを連動させて、表示モードの切り替えを行うことを特徴とする液晶表示素子。
【請求項16】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の液晶表示素子を搭載し、該液晶表示素子に照射される外光量を感知するセンサーを備え、前記センサーによって感知された外光量に応じて、前記液晶表示層の反射部と透過部とのそれぞれを画像表示に利用し、前記反射制御素子の反射率と、前記光源の照射量とを連動させて、表示モードの切り替えを行う電子機器。
【請求項17】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の液晶表示素子を搭載した電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−46329(P2008−46329A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221498(P2006−221498)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(303018827)NEC液晶テクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】