説明

液晶表示装置、表示制御装置、液晶モジュールおよび液晶表示方法

【課題】簡易な回路によって、省電力の駆動と高画質の駆動とを可能にする。
【解決手段】n回(nは2以上の整数)の水平ブランキング期間のうち最初の1回は前記データ信号の極性を1回反転させ、残りのn−1回のそれぞれにおいては前記データ信号の極性を2回反転させるための極性反転信号を出力し、前記極性反転信号に応じて極性を反転させたデータ信号を出力し、前記データ信号の極性を反転させる際に複数の前記データラインを短絡させ、前記絵素形成部に対して前記データ信号を印加する書込期間において前記走査ラインを選択するとともに、一旦選択された走査ラインが書込期間において再度選択される前に前記短絡のタイミングに同期して前記走査ラインを選択する選択信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続する2回以上の書込期間においてデータ信号の極性を維持する液晶表示装置、表示制御装置、液晶モジュールおよび液晶表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置におけるデータ信号の極性を反転する際に、その極性の反転タイミングに同期して複数のデータラインを短絡させることによって消費電力を抑える技術が知られている(例えば、特許文献1)。また、前記データ信号をデータドライバから出力する構成において、データドライバに対して極性を指示する信号を入力することによってデータ信号の極性を制御する技術が知られている(例えば、特許文献2)。
【0003】
また、複数のデータラインを短絡させる動作を利用して黒表示に相当する電圧とするチャージシェアインパルスが知られている(例えば、特許文献3)。具体的には、各フレーム期間において少なくとも1回の有効走査期間にて走査信号線を選択状態とし、有効走査期間で選択状態となった後であって、次のフレーム期間における有効走査期間で選択状態となる前に少なくとも1回は黒信号挿入期間を設ける。そして、当該黒信号挿入期間において、走査信号線を選択状態にするとともにデータ信号線を短絡させる。この結果、黒信号挿入期間にて選択状態となった各データ信号線のチャージが平均化され、表示が黒に近づく。このため、当該黒信号挿入期間にて選択状態を繰り返すことによって、1フレーム期間内で各絵素の表示を実質的に黒表示にすることができる。
【特許文献1】特開平9−243998号公報
【特許文献2】特開2002−196731号公報
【特許文献3】国際公開第2007/015347号パンフレット
【0004】
一方、隣接する複数の走査ラインに接続された絵素形成部に対するデータ信号の書込期間中に当該データ信号の極性を維持し、この極性をフレーム毎に反転する駆動(以下、複数ライン反転駆動と呼ぶ)は、走査ライン毎にデータ信号の極性を変動し、かつこの極性をフレーム毎に反転する駆動と比較して極性変動の周波数が低いため、消費電力を抑えることができる。そして、従来の技術(特許文献3)のように、複数のデータラインを短絡することによってインパルス駆動を行うことができる。
【特許文献4】特開平9-15560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、データ信号の極性変動とデータラインの短絡とを同時に行う構成においては、複数ライン反転駆動を行う際にその極性を維持したまま全走査ラインに均等に上述の短絡を行うことはできず、すべての走査ラインにおいて均等に黒表示に相当する電圧を印加することができない。従って、上述の消費電力の抑制とインパルス駆動とを併用することはできない。
【0006】
以下、図に即して、複数ライン反転駆動を行う際にその極性を維持したまま全走査ラインに均等に上述の短絡を行うことができない理由を説明する。図1は一般的な液晶表示装置のブロック図である。図1において、100は表示部であり、表示制御回路200、データドライバ300及びゲートドライバ400によって駆動される。表示部100は、複数本(m本)の走査ラインGL1〜GLmと、各走査ラインGL1〜GLmのそれぞれに交差する複数本(n本)のデータラインSL1〜SLnと、走査ラインGL1〜GLmおよびデータラインSL1〜SLnの交差部に対応して設けられた複数個(m×n個)の絵素形成部を備えている。
【0007】
これらの絵素形成部は表示部100においてマトリクス状に配置されており、各絵素形成部においては、走査ラインにゲート端子が接続され、データラインにソース端子が接続されたスイッチング素子であるTFT10が形成されている。また、図示していないが、表示部100は、全ての絵素形成部に共通して設けられた共通電極Ecと、TFT10のドレイン電極に接続され絵素形成部毎に設けられた絵素電極を有している。前記共通電極Ecと絵素形成部毎に設けられた絵素電極とは狭い間隔を介して互いに対向して設けられており、これら対向して設けられた電極の間に液晶層が設けられている。
【0008】
各絵素形成部における絵素電極には後述のように動作するデータドライバ300およびゲートドライバ400により表示すべき画像に応じた電位が与えられ、共通電極Ecには図示しない電源回路から所定電位Vcomが与えられる。これにより、絵素電極と共通電極Ecとの間の電位差に応じた電圧が液晶に印加され、この印加電圧によって液晶層を透過する光の強度が制御され、画像表示が行われる。すなわち、ゲートドライバ400が出力する選択信号によって走査ラインが選択されているときに、データドライバ300から出力されるデータ信号がデータラインに印加されることにより、選択された絵素形成部に対する電圧の書込がなされる。
【0009】
なお、本実施形態においては3色(例えば、RGB)のカラーフィルタが各絵素に対応して形成されており、液晶層を透過した光がさらに各色のカラーフィルタを透過するように構成されている。すなわち、上述の印加電圧によって3色のカラーフィルタを透過する光の強度を制御することによって多数の色を表現することが可能であり、上述の3色に対応した絵素の組み合わせによって1個の画素が構成されている。また、本実施形態における表示部100とデータドライバ300とゲートドライバ400とが液晶モジュールを構成し、当該液晶モジュール,表示制御回路(表示制御装置)200,後述するI/Fや図示しない回路等によって液晶表示装置が構成される。
【0010】
図6データ信号の極性変動とデータラインの短絡とを同時に行うためのデータドライバ300の例を示し、図7,図8は、図6に示すデータドライバに対する入出力信号のタイミングチャートの例を示している。図6に示すデータドライバ300においては、チャージシェアリングを行うためのチャージシェアリング部310とチャージシェアリングを行うタイミングを制御するためのタイミング制御部320とを備えている。チャージシェアリング部310は、データ信号の電圧レベルを特定するためのデジタル画像信号DAに基づき生成されたアナログ電圧信号d(1)〜d(n)を受け取るn個の出力バッファ31を備えている。これらの出力バッファ31は、これらのアナログ電圧信号d(1)〜d(n)をインピーダンス変換することによってデータ信号S(1)〜S(n)を生成するための電圧ホロワとして機能する。
【0011】
各バッファ31の出力端子にはスイッチング素子としての第1のMOSトランジスタSWaが接続され、各バッファ31からのデータ信号S(i)は第1のMOSトランジスタSWaを介してデータドライバ300の出力端子から出力される。また、データドライバ300の隣接する出力端子間は、スイッチング素子としての第2のMOSトランジスタSWbによって接続されている(これにより複数のデータラインが第2のMOSトランジスタSWbによって接続されることになる)。
【0012】
そして、これらの出力端子間における第2のMOSトランジスタSWbのゲート端子には、チャージシェア制御信号Cshが与えられ、各バッファ31の出力端子に接続された第1のMOSトランジスタSWaのゲート端子には、インバータ33の出力信号すなわちチャージシェア制御信号Cshの反転信号が与えられる。従って、チャージシェア制御信号Cshが非アクティブ(ローレベル)のときには、第1のMOSトランジスタSWaがオンし(導通状態となり)、第2のMOSトランジスタSWbがオフする(遮断状態となる)。このため、各バッファ31からのデータ信号S(i)は、第1のMOSトランジスタSWaを介してデータドライバ300から出力される。なお、データ信号S(1)〜S(n)のデータラインSL1〜SLnは液晶表示装置における各絵素の絵素電極に接続される。
【0013】
チャージシェア制御信号Cshがアクティブ(ハイレベル)のときには、第1のMOSトランジスタSWaがオフし(遮断状態となり)、第2のMOSトランジスタSWbがオンする(導通状態となる)。このため、各バッファ31からのデータ信号は出力されず(すなわちデータ信号S(1)〜S(n)のデータラインSL1〜SLnへの印加は遮断され)、複数のデータラインが第2のMOSトランジスタSWbを介して短絡される。この結果、複数のデータラインSL1〜SLnを介して絵素電極が短絡し、各絵素電極の電圧が平均化される。
【0014】
一方、タイミング制御部320は、Dフリップフロップ34,35とEXOR回路36とAND回路37とを備えている。タイミング制御部320は、データ信号の極性を指示する極性指示信号REVと当該極性指示信号による極性の指示を参照するタイミングを指示する参照指示信号LSとに基づいてチャージシェア制御信号Cshを生成するように構成されており、参照指示信号LSがDフリップフロップ34のクロック入力端子CLKとDフリップフロップ35のクロック入力端子CLKとAND回路37の一方の入力端子に入力される。
【0015】
また、極性指示信号REVはDフリップフロップ34の入力端子Dに入力され、Dフリップフロップ34における出力端子Qの出力はEXOR回路36の一方の入力端子およびDフリップフロップ35の入力端子Dに対して入力される。さらに、Dフリップフロップ35における出力端子Qの出力はEXOR回路36の他方の入力端子に入力され、EXOR回路36の出力はAND回路37の他方の入力端子に入力される。AND回路37の出力は、上述のチャージシェア制御信号Cshである。
【0016】
以上の構成により、Dフリップフロップ34は参照指示信号LSの立ち上がりタイミングで極性指示信号REVを参照し、当該立ち上がりタイミングにおける極性指示信号REVの電圧レベルと同じ電圧レベルの出力信号REV1Dを出力することになる。また、Dフリップフロップ35は参照指示信号LSの立ち上がりタイミングで出力信号REV1Dを参照し、当該立ち上がりタイミングにおける出力信号REV1Dの電圧レベルと同じ電圧レベルの出力信号REV2Dを出力することになる。
【0017】
また、EXOR回路36には出力信号REV1Dと出力信号REV2Dとが入力されるので、EXOR回路36からはこれらの信号が一致しているときにローレベル、一致していないときにハイレベルの信号が出力され、AND回路37に入力される。従って、出力信号REV1Dと出力信号REV2Dとが一致している場合には参照指示信号LSがAND回路37を通過し、出力信号REV1Dと出力信号REV2Dとが一致していない場合には参照指示信号LSがAND回路37を通過しない。
【0018】
以上のようにタイミング制御部320は、極性指示信号REVと参照指示信号LSとによって生成したEXOR出力に基づいて参照指示信号LSを適宜選択し、特定のタイミングにおける参照指示信号LSを上述のチャージシェア制御信号Cshとする。以上の構成は、データ信号S(i)の極性が反転しないときにはチャージシェアリングを行わず、データ信号S(i)の極性が反転するタイミングでのみチャージシェアリングを行うために構成された回路である。
【0019】
図7は、以上のデータドライバ300を利用して、2回連続した書込期間の間の水平ブランキング期間において極性を変動させないようにデータ信号S(i)を制御する際の、各種信号のタイミングチャートである。図7に示す例において、極性指示信号REVは2回の水平走査期間に1回の割合で極性の反転する信号である。また、参照指示信号LSは水平ブランキング期間内に2回反転するパルスP1から構成され、図7に示すように1水平走査期間の周期に同期した周期でパルスP1が現れる信号となる。なお、図7においては、水平ブランキング期間をBL,書込期間をWRとして示しており、同図7に示すように1水平走査期間は1回の水平ブランキング期間と1回の書込期間とによって構成される。
【0020】
これらの極性指示信号REVと参照指示信号LSとがデータドライバ300に入力されると、タイミング制御部320のDフリップフロップ34は、参照指示信号LSの立ち上がりに同期したタイミングで極性指示信号REVを参照する。従って、Dフリップフロップ34の出力信号REV1Dは、極性指示信号REVを参照指示信号LSの立ち上がりタイミングまで遅延させた信号となる。Dフリップフロップ35は、参照指示信号LSの立ち上がりに同期したタイミングで出力信号REV1Dを参照するので、Dフリップフロップ35の出力信号REV2Dは出力信号REV1Dより1水平走査期間だけ遅延させた信号となる。
【0021】
以上の結果、出力信号REV1Dと出力信号REV2Dは、2水平走査期間に同期した周期で極性が反転するとともに、極性反転のタイミングが互いに1水平走査期間だけずれた信号となる。従って、両者の電圧レベルが一致するタイミングは2水平走査期間毎に1回現れ、EXOR回路36の出力は図7に示すように1水平走査期間毎に極性が反転する信号となる。また、AND回路37の出力であるチャージシェア制御信号CshはEXOR回路36の出力信号と参照指示信号LSとのANDであるため、図7に示すように、2水平走査期間に1回の割合で参照指示信号LSを通過させた信号となる。
【0022】
一方、データドライバ300では、図示しない回路によって、出力信号REV1Dが示す極性となるように電圧レベルを制御したアナログ信号d(i)を、デジタル画像信号DAに基づいて生成する。また、上記のように、チャージシェア制御信号Cshがローレベル(Lレベル)のときには各アナログ電圧信号d(i)がデータ信号S(i)として出力され、チャージシェア制御信号Cshがハイレベル(Hレベル)のときには、データ信号S(1)〜S(n)のデータラインSL1〜SLnへの印加が遮断されるとともに複数のデータラインが短絡される。
【0023】
当該チャージシェア制御信号Cshの発生タイミングは、図7に示すように出力信号REV1Dにおける極性の変化タイミングに同期しており、上述のアナログ電圧信号d(i)における極性の変化タイミングも出力信号REV1Dにおける極性の変化タイミングに同期している。従って、上述のチャージシェアリングは出力信号REV1Dにおける極性の変化タイミングに同期し、2回のブランキング期間に1回の割合で行われる。
【0024】
このチャージシェアリングにおいては、複数のデータラインに接続された同じ走査ライン上の絵素電極の電圧を平均化するので、絵素電極に印加された電圧は黒表示に相当する電圧(以下、単に「黒電圧」ともいう)に近づくが、このように電圧を変化させるときに電力を消費しない。従って、このようなチャージシェアリングによれば、極性反転時の消費電力を低減することができる。なお、このようにデータ信号S(i)の極性反転時に隣接データラインを短絡することで各データラインの電圧を黒電圧に等しくしてから逆極性の信号を印加するという構成は、消費電力を低減するための手段として従来提案されており(例えば、特許文献1)、図6に示した構成に限定されるものではない。
【0025】
以上のようなチャージシェアリングは、上述のような消費電力の低減の他、絵素電極に印加された電圧を黒電圧に近づけるためのインパルス駆動に利用することが可能である。すなわち、チャージシェアリング時におけるデータライン電圧は黒電圧であるため、絵素電極に対してデータ信号S(i)が印加された後、1フレーム期間が経過する以前において、水平ブランキング期間内でこの絵素電極に対するチャージシェアリングを行うと、複数の絵素電極に印加された電圧が平均化される。従って、このようなチャージシェアリングを行うと、一旦絵素電極に対してデータ信号S(i)が書き込まれた後、1フレーム期間が経過する前に、この絵素電極に印加された電圧を黒電圧に合わせることができる。このため、絵素電極に印加された書込電圧を1フレーム期間が経過する前に解放するインパルス駆動を行うことができ、液晶表示装置における残像の発生を防止するなど、画質を向上することができる。
【0026】
このインパルス駆動は、図1に示すゲートドライバ400にて選択信号の出力タイミングが調整されることによって実現されるが、図6に示すデータドライバ300においては、タイミング制御部320によってデータ信号S(i)の極性が反転するタイミングでのみチャージシェアリングを行う仕様になっており、この仕様を採用したことに起因して、インパルス駆動が適切に機能しなくなる。
【0027】
具体的には、ゲートドライバ400は、ゲートスタートパルス信号GSPおよびゲートクロック信号GCKと、ゲートドライバ出力制御信号GOEr(r=1,2,…,q)とに基づき、各データ信号S(1)〜S(n)を各絵素形成部の絵素電極に印加するために、デジタル画像信号DAの各フレーム期間(各垂直走査期間)において走査ラインGL1〜GLmを1書込期間毎に順次選択する。また、インパルス駆動のために、書込期間において走査ラインを選択してから所定期間が経過した後の水平ブランキング期間においてその走査ラインを複数回選択する。すなわち、一旦選択された走査ラインが書込期間において再度選択される前の水平ブランキング期間において走査ラインを複数回選択する。
【0028】
すなわち、ゲートドライバ400は、走査ラインGLj(j=1,2,…,m)に対して図7に示す選択信号G(j)を出力するように構成されており、データ信号を書き込むための選択パルスPwとインパルス駆動のための選択パルスPbとを走査ラインGLjに対して印加する。選択パルスPwが印加されている走査ラインGLjにおいては絵素形成部が選択状態となり、選択状態の走査ラインGLjに接続されたTFT10がオン状態となる(非選択状態の走査ラインに接続されたTFT10はオフ状態となる)。また、選択パルスPwは1水平走査期間のうち書込期間ではハイレベルになるので、当該書込期間において、選択パルスPwによって選択された走査ラインの絵素形成部に対してデータ信号S(i)が印加される。
【0029】
一方、インパルス駆動は、特許文献3に開示されているように、1フレーム期間(1V)内で選択パルスPwの立ち上がりから所定期間(例えば2/3V)経過後の水平ブランキング期間内に、参照指示信号LSに同期したタイミングで複数回連続して実施すべきである。すなわち、走査ラインGL1〜GLmは1水平走査期間を単位とした周期で選択ラインを隣接ラインに切り替えるようにして順次選択されるので、総ての走査ラインにおいて、選択パルスPwの立ち上がりから一定の期間が経過したときに選択パルスPbの発生を開始し、参照指示信号LSに同期したタイミングで複数回連続して選択パルスPbを発生させるべきである。例えば、特許文献3の図3に示すように、参照信号に同期したタイミングで3回連続して選択パルスPbを発生させるとその後に絵素電極の電圧が黒電圧になる。
【0030】
ところが、データドライバ300を利用しながら2回の書込期間に1回の割合でデータ信号S(i)の極性を反転させる構成においては、選択パルスPbとデータ信号S(i)の極性反転とが2回の書込期間に1回の割合でしか同期しない。従って、参照指示信号LSに同期したタイミングで複数回連続して選択パルスPbを発生させたとしても、その一部の選択パルスPbでしかチャージシェアリングを実施することができない。例えば、図7に示す例において、走査ラインGLjに印加される3個の選択パルスPbは2個目の選択パルスPbしかデータ信号S(i)の極性反転と同期しない。従って、当該2個目の選択パルスPbの発生タイミングでのみチャージシェアリングが行われ、絵素電極の電圧(図7に示すL(i,j))は黒電圧に達しない。
【0031】
また、2水平走査期間毎に選択パルスPbを発生させる構成を採用すれば、選択パルスPbとデータ信号S(i)の極性反転タイミングとが一致しているので、総ての選択パルスPbに同期してチャージシェアリングを実施することが可能である。しかし、データ信号S(i)の極性反転タイミングは2水平走査期間毎に1回の割合でしか現れないので、隣接する走査ラインにおいて選択パルスPwの立ち上がりから最初の選択パルスPbまでの所定期間(図7に示す例では2/3V)を一定にすることはできない。
【0032】
例えば、ある走査ラインにおいて当該所定期間を2/3Vとしたとき、隣接する走査ラインにおいては当該所定期間が2/3V−1Hあるいは2/3V+1Hとなってしまう。従って、総ての走査ラインにおいて当該所定期間を一定にすることはできない。また、インパルス駆動を開始するタイミングが2走査ライン毎に変化してしまう。このため、液晶表示装置の表示部100において一様にインパルス駆動を実施することができず、画質向上効果が低減してしまう。
【0033】
いずれにしても、図3に示すデータドライバ300に含まれるタイミング制御部320は、上述のようにデータ信号S(i)の極性反転時に隣接データラインを短絡するため、消費電力を抑えることはできるものの、インパルス駆動を適切に機能させることはできない。
【0034】
なお、上述の例においては2回の書込期間に1回の割合でデータ信号の極性を反転させる駆動方式であったが、極性の反転周期は2水平走査期間(すなわち、複数ライン反転駆動)以上であればよい。例えば、書込期間におけるデータ信号の極性を3水平走査期間に1回の割合で反転させる構成においてもタイミング制御部320を利用したデータドライバ300において上述の問題と同様の不都合が生じる。
【0035】
図8は、3水平走査期間に1回の割合で極性を反転する極性指示信号REVと1水平走査期間に1回の割合で水平ブランキング期間に参照指示信号LSを発生させる信号をタイミング制御部320に入力した場合のタイミングチャートを示している。この例において、極性指示信号REVをDフリップフロップ34に入力することによって、3水平走査期間に1回の割合で極性が変化する出力信号REV1Dが生成され、Dフリップフロップ35により、出力信号REV1Dを遅延させた出力信号REV2Dが生成される。
【0036】
出力信号REV1Dと出力信号REV2Dとは3水平走査期間のうち、最初の1水平走査期間で電圧レベルが不一致となるため、当該最初の1水平走査期間でEXOR回路36の出力がハイレベルとなり、AND回路37はこのタイミングにおいて参照指示信号LSを通過させてチャージシェア制御信号Cshを出力する。従って、データ信号S(i)は3水平走査期間に1回の割合で極性が反転するとともにこの極性反転タイミングにおいてチャージシェアリングがなされることになる。このような駆動においては、3水平走査期間だけデータ信号S(i)の極性が維持されるため、省電力の駆動が可能である。しかし、図8に示すように選択パルスPbによって適正に黒電圧が絵素電極に印加されず、適正にインパルス駆動を行わせることができない。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、簡易な回路によって、複数ライン反転駆動において適正なインパルス駆動を実施可能にし、また、複数ライン反転駆動においてインパルス駆動を行わずに消費電力を抑える駆動を選択可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
上記の目的の少なくとも一つを達成するため、複数の走査ラインと、前記複数の走査ラインに交差する複数のデータラインと、前記走査ラインと前記データラインとの交差部に対応した複数の絵素形成部であって、前記走査ラインが選択されているときに前記データラインに印加されているデータ信号によって電圧の書込がなされる絵素形成部と、n回(nは2以上の整数)の水平ブランキング期間のうち最初の1回は前記データ信号の極性を1回反転させ、残りのn−1回のそれぞれにおいては前記データ信号の極性を2回反転させるための極性反転信号を出力する極性反転信号出力手段と、前記極性反転信号に応じて極性を反転させたデータ信号を出力するデータ信号出力手段と、前記データ信号の極性を反転させる際に複数の前記データラインを短絡させるデータライン短絡手段と、前記絵素形成部に対して前記データ信号を印加する書込期間において前記走査ラインを選択するとともに、一旦選択された走査ラインが書込期間において再度選択される前に前記短絡のタイミングに同期して前記走査ラインを選択する選択信号を出力する選択信号出力手段と、
を備える構成とした。
【0038】
さらに、極性反転信号は、前記データ信号の極性を指示する極性指示信号と当該極性指示信号を参照する参照タイミングを指示する参照指示信号とを含み、データ信号出力手段は、参照タイミングにおいて極性指示信号による極性の指示が前回の参照タイミングにおける極性の指示と異なる場合に、データ信号の極性を反転させる構成としても良い。
【0039】
さらに、参照指示信号は、総ての水平ブランキング期間において電圧レベルが2回反転することによって構成される第1パルスと、少なくともn−1回の水平ブランキング期間において第1パルスより前に電圧レベルが2回反転することによって構成される第2パルスとからなり、極性指示信号は、第2パルスにおける電圧レベルの変動前に電圧レベルが1回反転し、第1パルスにおける電圧レベルの変動前に電圧レベルが1回変動する第3パルスと、当該第3パルスより前のタイミングでn回の水平走査期間に1回の割合で電圧レベルが変動するエッジとからなる構成としてもよい。
【0040】
さらに、極性反転信号出力手段が、予め設定されるパルス幅指示データの指示に応じたパルス幅の信号を出力する構成としても良い。この構成によれば、極めて容易にデータ信号の極性および短絡タイミングを所望のものに調整することができる。
【0041】
さらに、極性反転信号出力手段において、メモリに予め記録された前記パルス幅指示データを参照してパルス幅を調整する構成を採用しても良い。この構成によれば、メモリに記録するパルス幅指示データを変更するのみで本発明における短絡のタイミングや極性の制御を行うことが可能であり、極めて容易に短絡のタイミングや極性の制御を行うことができる。
【0042】
さらに、このメモリをEPROMによって構成することにより、工場の出荷段階やユーザによる利用開始後のようなあらゆる段階で容易に設定を変更することが可能になる。
【0043】
さらに、参照指示信号における第2パルスと極性指示信号における第3パルスとの出力を停止あるいは実行させることができるように極性反転信号出力手段を構成してもよい。この構成によれば、インパルス駆動を行わない複数ライン反転駆動とインパルス駆動を行う複数ライン反転駆動とを選択することが可能になる。
【0044】
さらに、液晶表示装置の外部からの操作によってパルスの出力の停止あるいは実行を設定するように構成すれば、液晶表示装置の完成後であっても容易に上述の設定を選択することが可能である。
【0045】
さらに、本発明のように極性指示信号と参照指示信号とによってデータ信号の極性と短絡のタイミングとを制御する手法は、液晶表示方法としても実現可能である。また、以上のような液晶表示装置、方法は、液晶表示装置として実現される場合もあれば、その構成要素、例えば、極性指示信号と参照指示信号とを出力する表示制御装置やこの表示制御装置を備えた液晶モジュールとして実現しても良い。
【発明の効果】
【0046】
このため、データ信号の極性変動の際に短絡を行う仕様となっている場合であっても、連続するn回の書込期間においてその極性を維持する駆動を行いながら、さらに、総ての水平ブランキング期間において上述の短絡を行うことが可能である。従って、選択信号によってこの短絡のタイミングに同期して走査ラインを選択することで所望のタイミングで短絡を実施することが可能になり、複数ライン反転駆動においてインパルス駆動を実施することが可能になる。この結果、高画質での画像表示を行うことが可能になる。
【0047】
一方、複数ライン反転駆動は、消費電力の低減のために採用される駆動法であるが、上述のように複数ライン反転駆動を行いながらn−1回の水平ブランキング期間においても極性を反転させると、当該反転の際に電力消費が増加してしまう。そこで、本発明においては、n−1回の水平ブランキング期間のそれぞれにおいてデータ信号の極性を2回反転させる状態を無効にするように切り替えを実施できるように構成した。当該データ信号の極性を2回反転させる状態を無効にすれば、n回の水平ブランキング期間に1回の割合でデータ信号の極性を変動させる構成となるため、複数ライン反転駆動においてインパルス駆動を行わない構成とすることができ、無駄な電力消費を抑えた状態で駆動を行うことができる。
【0048】
結局、以上の構成によれば、簡易な回路によって、複数ライン反転駆動において適正なインパルス駆動(黒表示に相当する適切な電圧を印加可能な駆動)を実施可能にし、また、複数ライン反転駆動においてインパルス駆動を行わずに消費電力を抑える駆動を選択することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明においては、ソースドライバやゲートドライバは汎用的な回路構成としながら、当該ソースドライバやゲートドライバを制御する表示制御回路において簡易な調整(パルス幅指示データによる調整)を行うのみで、複数ライン反転駆動において適正なインパルス駆動を行うモードと省電力駆動を行うモードとを選択できる構成とした。
【0050】
具体的には、本発明においては、複数の絵素形成部に対して印加するデータ信号の極性を制御して液晶表示装置における表示を制御する構成において、n回(nは2以上の整数)の水平ブランキング期間のうち最初の1回は前記データ信号の極性を1回反転させ、残りのn−1回のそれぞれにおいては前記データ信号の極性を2回反転させるように、極性反転信号を出力する構成とした。すなわち、本発明においては、データドライバにて、極性反転信号に応じて極性を反転させたデータ信号を出力する構成を前提としており、この構成において、極性反転信号がn回の水平ブランキング期間のうち最初の1回においてデータ信号の極性を1回反転させる信号となるように構成することにより、データ信号出力手段は、n回の水平ブランキング期間に1回の割合でデータ信号の極性を変動させることができる。
【0051】
さらに、極性反転信号は、残りのn−1回のそれぞれにおいてデータ信号の極性を2回反転させる信号でもあるため、データドライバは、当該n−1回の水平ブランキング期間において極性を2回反転させる。従って、データ信号においては、n回の水平ブランキング期間に1回の割合で極性が変動することに加え、前記n−1回の水平ブランキング期間においても極性が強制的に2回反転する。このため、データ信号においては、連続するn回の書込期間においてその極性を維持するものの、その書込期間の間の水平ブランキング期間において極性が2回変動する信号となる。
【0052】
<実施形態1>
本実施形態における液晶表示装置は、図1とほぼ同様な構成を備えている。すなわち、表示部100とデータドライバ300とゲートドライバ400とが液晶モジュールを構成し、当該液晶モジュール,表示制御回路(表示制御装置)200,後述するI/Fや図示しない回路等によって液晶表示装置が構成される。但し、データドライバ300は図6に示すカイロと同様の回路を備え、表示制御回路200においては本発明特有の構成を備えている。
【0053】
図2は、表示制御回路200を示す図である。表示制御回路200は、データドライバ300やゲートドライバ400に入力する信号を生成する回路であり、各ドライバに対して入力する信号を適宜調整することによって液晶表示装置における表示内容を制御する。本実施形態においては、リモコン210による操作内容を受け付けることによって表示制御回路200における制御動作を切り替えることが可能である。
【0054】
表示制御回路200においては、参照すべきパルス幅指示データをリモコン210によって指示するように構成されている。すなわち、リモコン210は図示しない赤外線信号出力部を備えており、液晶表示装置は当該赤外線信号出力部が出力する赤外線信号を取得するインタフェース(図2に示すI/F220)を備えている。リモコン210においては、表示制御回路200が参照すべきパルス幅指示データを切り替えるためのボタンが設けられており、このボタンの押込操作がなされるとリモコン210から、表示制御回路200にて参照すべきパルス幅指示データを切り替える指示を含む赤外線信号が出力される。I/F220にて当該赤外線信号を取得すると、表示制御回路200はこの指示に応じて参照すべきパルス幅指示データを切り替える。この結果、複数ライン反転駆動において適正なインパルス駆動(黒表示に相当する適切な電圧を印加可能な駆動)を実施するモードと、複数ライン反転駆動においてインパルス駆動を行わずに消費電力を抑えるモードとを選択することができる。
【0055】
以下、図1および図2を参照して表示制御回路200の機能を説明する。表示制御回路200には、外部の信号源から各種の信号が入力され、表示制御回路200は、データ信号の極性を指示する極性指示信号REVと当該極性指示信号による極性の指示を参照するタイミングを指示する参照指示信号LSとを生成してデータドライバ300に対して出力する。
【0056】
本実施形態において、表示制御回路200は予め記録されたパルス幅指示データに基づいてパルス幅(電圧変動のタイミング)を調整するように構成されている。すなわち、表示制御回路200は図2に示すようにメモリ200a(例えば、EPROM)を備えており、メモリ200aには表示制御回路200から出力するパルスの幅を特定するパルス幅指示データが記録されている。
【0057】
表示制御回路200は、上述のクロック信号CLKのパルス数を所定の時間間隔内でカウントすることによって各出力信号のパルス幅を調整するように構成されており、図2においては、参照指示信号LSと極性指示信号REVとを例示するとともにクロック信号CLK,水平同期信号HSYと、極性指示信号REV,参照指示信号LSの拡大図によってパルス幅調整を例示している。本実施形態において、参照指示信号LSと極性指示信号REVとのパルス幅指示データは、1水平走査期間(図2に示す1H)でカウントすべきクロック信号CLKのパルス数を示しており、図2に示す例では、参照指示信号LSについてクロック信号CLKのパルス数がα,β,γ,δ、極性指示信号REVについてクロック信号CLKのパルス数がa,bとなっている(0<a<α<β<b<γ<δ)。本実施形態において、表示制御回路200は、クロック信号CLKをカウントし、そのカウント数がα個であるときに参照指示信号LSの極性をLからH,β個であるときにHからL,γ個であるときにLからH,δ個であるときにLからHに反転させる。また、表示制御回路200は、クロック信号CLKをカウントし、そのカウント数がa個であるときに極性指示信号REVの極性をLからH(あるいはHからL),b個であるときにHからL(あるいはLからH)に反転させる。
【0058】
このとき、表示制御回路200は、上述の水平同期信号HSYの周期に基づいて1水平走査期間を特定し、当該1水平走査期間の最初からクロック信号CLKのパルス数をカウントする。そして、極性指示信号REVについてはカウント数がa個,b個になったときに信号の電圧レベルを変化させ、カウント開始から1水平走査期間が経過したら再度同じ処理を繰り返す。図2においてはクロック信号CLKと極性指示信号REVの一部を拡大して拡大図Aに示しており、拡大図Aに示すように、1水平走査期間の最初からクロック信号CLKの数をカウントし、その数がa個に達したらその後のクロック信号CLKに同期したタイミングで極性指示信号REVの極性を反転させる。また、さらにクロック信号CLKのカウントを続け、その数がb個に達したらその後のクロック信号CLKに同期したタイミングで極性指示信号REVの極性を反転させる。この結果、図2の拡大図Aに示すように、極性指示信号REVがパルス状の信号となる。ただし、本実施形態においては、2回の水平走査期間に1回の割合でデータ信号の極性を変動させる駆動方式を採用しており、2回の水平走査期間毎にカウント開始時の電圧レベルの極性を反転させる。この結果、図2に示すように、2回の水平走査期間に1回の割合で電圧レベルの変動が現れる。なお、この電圧レベルの変動をエッジEと呼び、カウント数a,bに対応して生成されるパルスを第3パルスP3と呼ぶ。また、以上のパルス幅調整は一例であり、例えば、エッジEをパルス幅指示データによって生成する構成としても良い。
【0059】
参照指示信号LSについてはクロック信号CLKのカウント数がα個,β個,γ個,δ個になったときに信号の電圧レベルを変化させ、カウント開始から1水平走査期間が経過したら再度同じ処理を繰り返す。図2においてはクロック信号CLKと参照指示信号LSの一部を拡大して拡大図Bに示しており、拡大図Bに示すように、1水平走査期間の最初からクロック信号CLKの数をカウントし、その数がα個に達したらその後のクロック信号CLKに同期したタイミングで参照指示信号LSの極性を反転させる。また、さらにクロック信号CLKのカウントを続け、その数がβ個に達したらその後のクロック信号CLKに同期したタイミングで参照指示信号LSの極性を反転させる。この結果、図2の拡大図Aに示すように、参照指示信号LSがパルス状の信号となる。なお、図2に示す例において、カウント数γ,δに対応して生成されるパルスを第1パルスP1と呼び、カウント数α,βに対応して生成されるパルスを第2パルスP2と呼ぶ。
【0060】
図2に示す例において、上述のようにリモコン210にてパルス幅指示データの切り替えを指示すると、参照指示信号LSに対応したパルス幅指示データに関しては、クロック信号CLKのパルス数として参照するデータがα,β,γ,δである状態とγ,δである状態とを切り替えることができる。従って、クロック信号CLKのパルス数としてα,β,γ,δを参照する状態において参照指示信号LSは第2パルスP2および第1パルスP1から構成され、クロック信号CLKのパルス数としてγ,δを参照する状態において参照指示信号LSは第1パルスP1から構成される(第2パルスP2は現れない)。
【0061】
また、上述のようにリモコン210にてパルス幅指示データの切り替えを指示すると、極性指示信号REVに対応したパルス幅指示データに関しては、クロック信号CLKのパルス数としてa,bを参照する状態とクロック信号CLKのパルス数a,bを参照しない状態とを切り替えることができる。従って、クロック信号CLKのパルス数としてa,bを参照する状態において極性指示信号REVはエッジEおよび第3パルスP3から構成され、クロック信号CLKのパルス数としてa,bを参照しない状態において極性指示信号REVはエッジEから構成される(第3パルスP3は現れない)。
【0062】
なお、本実施形態においては、参照指示信号LSに関してクロック信号CLKのパルス数としてα,β,γ,δを参照し、極性指示信号REVに関してクロック信号CLKのパルス数としてa,bを参照する状態を高画質モードと呼ぶ。また、参照指示信号LSに関してクロック信号CLKのパルス数としてγ,δを参照し、極性指示信号REVに関してクロック信号CLKのパルス数としてa,bを参照しない状態を省電力モードと呼ぶ。
【0063】
参照指示信号LSと極性指示信号REVとは以上のようにして生成されるが、表示制御回路200は他の信号(DA,SSP,SCK,GCK,GSP,GOE)についてもメモリ200aに記録された図示しないパルス幅指示データや信号Dv,HSY,VSY,CLKに基づいて信号を生成し出力する。すなわち、表示制御回路200には、表示すべき画像を表すデジタルビデオ信号Dvと、当該デジタルビデオ信号Dvに対応する水平同期信号HSYおよび垂直同期信号VSYと、パルス幅を制御するためのクロック信号CLKとが入力される。そして、表示制御回路200はこれらの信号やパルス幅指示データに基づいて、デジタル画像信号DA(デジタルビデオ信号Dvに相当する信号)とデータスタートパルス信号SSPと、データクロック信号SCKと、ゲートクロック信号GCKと、ゲートスタートパルス信号GSPと、ゲートドライバ出力制御信号GOEとを生成し、出力する。
【0064】
なお、図1に示すデジタル画像信号DAはデータドライバ300において、データ信号の電圧レベルを特定するための信号であり、そのデジタル画像信号DAの表す画像の各絵素に対応するパルスからなる信号としてデータクロック信号SCKを生成し、データスタートパルス信号SSPは1水平走査期間毎に所定期間だけハイレベル(Hレベル)となる信号である。また、ゲートスタートパルス信号GSPは1フレーム期間(1垂直走査期間)毎に所定期間だけHレベルとなる信号であり、ゲートクロック信号GCKは水平同期信号HSYに同期した信号であり、ゲートドライバ出力制御信号GOE(GOE1〜GOEq)は走査ラインを選択するための選択信号を出力するタイミングを示す信号である。むろん、以上の構成は一例であり、ゲートスタートパルス信号GSPがハイレベルになる所定期間がフレーム毎に異なる構成や、ゲートクロック信号GCKと水平同期信号HSYとの位相を1ライン毎に変動させる構成を採用するなど、種々の変形が可能である。
【0065】
図1に示すデータドライバ300は、デジタル画像信号DAとデータスタートパルス信号SSPおよびデータクロック信号SCKとに基づき、デジタル画像信号DAの表す画像を生成するために各絵素に印加すべき電圧に対応したデータ信号S(1)〜S(n)を1水平走査期間毎に順次生成し、これらのデータ信号S(1)〜S(n)をデータラインSL1〜SLnにそれぞれ印加する。本実施形態におけるデータドライバ300は、液晶層への印加電圧の極性が1フレーム期間毎に反転されると共に各フレーム内において2走査ライン毎、かつ1データライン毎にも反転されるようにデータ信号S(1)〜S(n)が出力される駆動方式を採用している。
【0066】
このため、上述の極性指示信号REVのエッジEは、2回の水平走査期間に1回の割合で極性が反転する立ち上がりエッジあるいは立ち下がりエッジとなっており、データドライバ300は、このエッジEによって指示される極性に応じてデータラインSL1〜SLnへ印加するデータ信号S(i)の極性をデータライン毎に反転させ、かつ、各データラインSLi(i=1,2,…,n)に印加するデータ信号S(i)の極性を2回の書込期間に1回の割合で反転させる。
【0067】
また、このデータドライバ300では、消費電力を低減するためにデータ信号S(1)〜S(n)の極性反転時に複数のデータラインを短絡させるチャージシェアリング方式が採用されており、本実施形態においては、データ信号S(i)の極性が反転しないときにはチャージシェアリングを行わず、データ信号S(i)の極性が反転するタイミングでのみチャージシェアリングを行う仕様となっている。すなわち、データドライバ300は、上述の図6と同様の回路を備えている。
【0068】
次に、以上の構成における回路の動作をタイミングチャートに則して説明する。上述の
省電力モードにおけるタイミングチャートは、上述の図7と同様である。一方、高画質モードにおいては、2回連続した書込期間でデータ信号S(i)による書込極性を維持しながら、タイミング制御部320を利用して適切なインパルス駆動を実施することができる。
【0069】
以下、上述の高画質モードにおける液晶表示装置の駆動を説明する。図3は、当該高画質モードにおける各種信号のタイミングチャートである。この高画質モードにおいて、参照指示信号LSは上述のように第1パルスP1と第2パルスP2とから構成されるので、図3に示すように1水平走査期間内に第1パルスP1と第2パルスP2とが現れる信号波形となる。ここで、第1パルスP1はパルス幅指示データが示すクロック信号CLKのパルス数γ,δに応じて総ての水平ブランキング期間において発生するパルスであるので、各水平ブランキング期間において電圧レベルが2回反転するパルスである。また、第2パルスP2はパルス幅指示データが示すクロック信号CLKのパルス数α,βに応じて総ての水平ブランキング期間において発生するパルスであり、α<β<γであるため、第1パルスP1より前に発生するパルスである。なお、本実施形態において第2パルスは総てのブランキング期間において発生しているが、図5にて後述するように、2回に1回の割合(n回に1回)で発生しないように構成してもよい。従って、第2パルスは少なくともn−1回の水平ブランキング期間において電圧レベルが2回反転することによって発生するパルスである。
【0070】
また、極性指示信号REVは上述のように第3パルスP3とエッジEとから構成されるので、図3に示すように2水平走査期間毎に極性の反転するエッジEの間に第3パルスP3が含まれる信号波形となる。なお、図3においては、あるエッジEの立ち上がり付近から順に第3パルスP3に番号を付し、P31,P32,P33,P34,,,のように示し、P31,P33を奇数番目の第3パルス、P32,P34を偶数番目の第3パルスとも呼ぶ。また、上述のように、パルス幅指示データが示すクロック信号CLKのパルス数がa<α<β<bに設定されているため、第2パルスP2の立ち上がりは第3パルスの立ち上がりより後であり、第1パルスの立ち上がりは第3パルスの立ち下がりより後である。
【0071】
従って、第3パルスP3は、第2パルスP2における電圧レベルの変動前に電圧レベルが1回反転し、前記第1パルスにおける電圧レベルの変動前に電圧レベルが1回反転するパルスである。さらに、エッジEは、上述のように2回の水平走査期間に1回の割合でクロック信号CLKのカウント値が0のときに現れる電圧レベルの変動であり、クロック信号CLKのパルス数が0<aに設定されているため、当該エッジEは第3パルスP3より前のタイミングで2回の水平走査期間に1回の割合で発生する電圧レベルの変動である。以上の構成により、奇数番目の第3パルスの直前にはエッジEの立ち上がりあるいは立ち下がりが存在し、偶数番目の第3パルスの直前にはエッジの立ち上がりあるいは立ち下がりは存在しない状態となる。なお、第3パルスP2は第2パルスP2に対応して発生すればよく、この意味では、第3パルスP3は第2パルスP2と同様に、少なくともn−1回の水平ブランキング期間において電圧レベルが2回反転することによって発生するパルスであればよい。
【0072】
これらの極性指示信号REVと参照指示信号LSとがデータドライバ300に入力されると、タイミング制御部320のDフリップフロップ34は、参照指示信号LSの立ち上がりに同期したタイミングで極性指示信号REVを参照する。図3に示すように、極性指示信号REVにおける奇数番目の第3パルスの立ち上がり後の電圧レベルは、その直前のエッジEによる電圧変動前のレベルと同じである。また、図3に示すように、極性指示信号REVにおける偶数番目の第3パルスの直前にエッジEは存在しない。従って、Dフリップフロップ34が第2パルスP2の立ち上がりに応じて奇数番目の第3パルスの電圧レベルを参照したとき(例えば、図3に示すタイミングt1)には、Dフリップフロップ34の出力信号REV1Dにおいて電圧レベルが変化せず、Dフリップフロップ34が第2パルスP2の立ち上がりに応じて偶数番目の第3パルスの電圧レベルを参照したとき(例えば、図3に示すタイミングt2)には、Dフリップフロップ34の出力信号REV1Dにおいて電圧レベルが変化する。
【0073】
また、Dフリップフロップ34が第1パルスP1の立ち上がりに応じてエッジEの電圧レベルを参照(例えば、図3に示すタイミングt2,t4)すると、Dフリップフロップ34の出力信号REV1Dにおいて電圧レベルが変化する。従って、高画質モードにおける出力信号REV1Dは、図7に示す出力信号REV1Dと比較して、2水平走査期間に一回の割合でパルス(図3に示すタイミングt2,t4の間のパルスP5)が挿入された波形となる。以上のように、第2パルスP2と第1パルスP1との立ち上がりに応じて極性指示信号REVを参照することにより、出力信号REV1Dにおいては奇数番目の第3パルスが存在する水平ブランキング期間で極性が1回反転し、偶数番目の第3パルスが存在する水平ブランキング期間で極性が2回反転する。すなわち、参照指示信号LSにおけるある立ち上がりが示す参照タイミングにおける極性指示信号REVの極性指示と、前回の参照指示信号LSの立ち上がりが示す参照タイミングにおける極性指示信号REVの極性指示とが異なっている場合に極性を反転する構成となっている。
【0074】
Dフリップフロップ35は、参照指示信号LSにおける第2パルスP2と第1パルスP1との立ち上がりに同期したタイミングで出力信号REV1Dを参照し、参照タイミングの直前における出力信号REV1Dの電圧レベルに従って電圧レベルを制御した出力信号REV2Dを出力する。従って、タイミングt1,t2,t4にて電圧レベルを変動させ、タイミングt3にて電圧レベルを維持した出力信号REV2Dを出力する。この結果、Dフリップフロップ35の出力信号REV2Dは出力信号REV1Dに対して2水平走査期間−(t3−t1)だけ遅延させた信号となる。
【0075】
以上の結果、高画質モードにおいて出力信号REV1Dと出力信号REV2Dは、2水平走査期間内において、タイミングt3とタイミングt1との間で電圧レベルが一致し、他のタイミングでは電圧レベルの異なる信号となる。従って、EXOR回路36の出力は図3に示すようにタイミングt3とタイミングt1との間でローレベル、他のタイミングではハイレベルとなる信号を出力する。すなわち、EXOR回路36の出力は、奇数番目の第3パルスが存在する水平ブランキング期間内でローレベルになる。
【0076】
また、タイミングt3とタイミングt1との間には第2パルスP2が含まれるので、図3に示すように、EXOR回路36の出力信号と参照指示信号LSとのANDを行うAND回路37は、タイミングt3とタイミングt1との間にて参照指示信号LSの第2パルスP2を遮断し、他のタイミングでは参照指示信号LSを通過させる。従って、AND回路37の出力においては、奇数番目の第3パルスに対応したタイミングでは第2パルスP2が遮断され、偶数番目の第3パルスに対応したタイミングでは第2パルスP2が通過し、総ての第1パルスP1が通過した信号波形となる。
【0077】
高画質モードにおいてもデータドライバ300は、図示しない回路によって、出力信号REV1Dが示す極性となるように電圧レベルを制御したアナログ信号d(i)を、デジタル画像信号DAに基づいて生成し、チャージシェア制御信号Cshが示すタイミングで上述のチャージシェアリングを行う。従って、データ信号S(i)は図3に示すような波形となり、2回の水平ブランキング期間に1回の割合で極性が1回反転し、当該極性が1回反転する水平ブランキング期間と異なる水平ブランキング期間においては極性が2回反転し、かつ各極性の反転に際してチャージシェアリングがなされる。従って、データ信号S(i)の極性は出力信号REV1Dによって制御され、当該出力信号REV1Dを生成する極性指示信号REVおよび参照指示信号LSは、請求項における極性反転信号に相当する。
【0078】
なお、高画質モードにおいては、図3に示すように出力信号REV1Dおよびチャージシェア制御信号Cshの信号波形が図7に示す信号波形と異なることから、そのデータ信号S(i)も異なった信号波形となる。すなわち、チャージシェア制御信号CshがHレベルのときにチャージシェアリングがなされることにより、タイミングt3(省電力モードでのチャージシェアリングと同じタイミング)におけるチャージシェアリングに加えて、タイミングt2,t4におけるチャージシェアリングも実施される。
【0079】
従って、高画質モードにおいては、参照指示信号LSに同期した選択信号によって走査ラインを選択することで、参照指示信号LSの第1パルスに同期したいずれのタイミングであっても絵素電極の電圧を平均化することが可能である。そこで、高画質モードにおいて、ゲートドライバ400にて走査ラインGL1〜GLmを1書込期間毎に順次選択する選択パルスPwと、書込期間において走査ラインを選択してから所定期間が経過した後の水平ブランキング期間においてその走査ラインを選択する選択パルスPbとを生成し、走査ラインに印加することにより、走査ラインGL1〜GLmの順次操作とインパルス駆動とを適正に機能させる。
【0080】
すなわち、ゲートドライバ400は、走査ラインGLj(j=1,2,…,m)に対して図3に示す選択信号G(j)を出力するように構成されており、選択パルスPwが印加されている走査ラインGLjにおいては絵素形成部が選択状態となり、選択状態の走査ラインGLjに接続されたTFT10がオン状態となり、選択された走査ラインの絵素形成部に対してデータ信号S(i)が印加される。一方、1フレーム期間(1V)内で選択パルスPwの立ち上がりから所定期間(例えば2/3V)経過後に、参照指示信号LSに同期したタイミングで複数回連続して選択パルスPbを印加すると、総ての選択パルスPbに同期してTFT10がオン状態となり、選択された走査ラインの絵素形成部における絵素電極の電圧が平均化される。従って、総ての選択パルスPbの発生タイミングでチャージシェアリングが行われ、適正なインパルス駆動を実施することができる。例えば、図3に示すL(i,j)のように、TFT10の電圧は徐々に低下してやがて黒電圧レベルとなる。
【0081】
以上のように、本実施形態においては、連続した2回の書込期間においてデータ信号S(i)の極性を維持する構成としながらも、水平ブランキング期間において強制的に極性を2回反転させるように表示制御回路200が出力するパルス幅を調整した。従って、データ信号S(i)の極性が反転しないときにはチャージシェアリングを行わず、データ信号S(i)の極性が反転するタイミングでのみチャージシェアリングを行う仕様であってもチャージシェアリングによるインパルス駆動を適正に機能させることができる。
【0082】
また、以上のパルス幅調整はメモリ200aに記録されたパルス幅指示データによって実施可能であり、リモコン210によって当該パルス幅指示データにて参照すべきデータを容易に切り替えることが可能である。従って、リモコン210におけるボタンの押込操作という極めて簡易な操作によって省電力モードと高画質モードとを切り替えることが可能である。
【0083】
<実施形態2>
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、データ信号S(i)の極性が反転するタイミングでのみチャージシェアリングを行うタイミング制御部320を使用しながら、2回の書込期間に1回の割合でデータ信号の極性を反転させる駆動とインパルス駆動との双方を実施することができる限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、上述の実施形態においては、メモリ200aに記録されているパルス幅指示データに関して参照すべきデータをリモコン210によって切り替えるように構成しているが、リモコン210以外の手段によって切り替えるように構成してもよい。
【0084】
例えば、メモリ200aをEPROMにて構成し、液晶表示装置の出荷段階で、参照すべきパルス幅指示データを設定するように構成することで、同じ液晶表示装置において省電力仕様と高画質仕様とを切り替えることが可能になる。むろん、メモリ200aに記録するパルス幅指示データを省電力仕様と高画質仕様とのいずれか一方に設定し、いずれか一方の仕様で駆動するように設定を行う構成としてもよい。
【0085】
<実施形態3>
さらに、上述の実施形態においては、複数のデータラインを短絡することによってチャージシェアリングを行っていたが、チャージシェアリングがなされているときの電圧レベルを安定化させるため、チャージシェアリング時に複数のデータラインに接続される電源を設けても良い。
【0086】
<実施形態4>
上述の例においては2回の書込期間に1回の割合でデータ信号の極性を反転させる駆動方式であったが、極性の反転周期は2水平走査期間以上であればよい。例えば、書込期間におけるデータ信号の極性を3水平走査期間に1回の割合で反転させる構成において本発明を実施することも可能である。この場合、極性指示信号REVの極性を3水平走査期間に1回の割合で変化させる(エッジEにおいて3回の水平走査期間に1回の割合で極性を変化させる)構成としつつ、図2に示すパルス幅指示データに応じた電圧レベルを発生させれば、極性反転信号は図4のようになり、総ての選択パルスPbに対応してチャージシェアリングを実施することが可能になる。
【0087】
すなわち、図4に示す極性指示信号REVと参照指示信号LSとをタイミング制御部320に入力すると、Dフリップフロップ34においては、3水平走査期間の最初のタイミングにおいて第2パルスP2の立ち上がり(タイミングt1)による極性反転を行わず、その後の第1パルスP1および第2パルスP2の立ち上がりタイミングによって極性を変動した出力信号REV1Dを出力する。一方、Dフリップフロップ35は、3水平走査期間の最初のタイミングにおいて第2パルスP2の立ち上がり(タイミングt1)による極性反転を行い、その後の第1パルスP1の立ち上がり(タイミングt3)による極性反転を行わず、さらにその後の第1パルスP1および第2パルスP2の立ち上がりタイミングによって極性を変動した出力信号REV2Dを出力する。
【0088】
従って、この例においても出力信号REV1Dと出力信号REV2Dとは、タイミングt3とタイミングt1との間で電圧レベルが一致し、他のタイミングでは電圧レベルの異なる信号となる。このため、EXOR回路36の出力は図4に示すようにタイミングt3とタイミングt1との間でローレベル、他のタイミングではハイレベルとなる信号を出力する。この結果、AND回路37からは、3水平走査期間の最初のタイミングで第2パルスP2を遮断し、第1パルスP1を通過させ、他のタイミングでは第2パルスP2と第1パルスP1とを通過させた信号をチャージシェア制御信号Cshとして出力する。
【0089】
この結果、データ信号S(i)においては、総ての水平走査期間の水平ブランキング期間でチャージシェアリングを実施可能になり、連続して発生される選択パルスPbの総てにおいてチャージシェアリングを実施することができ、適正なインパルス駆動を行うことができる。以上のように、極性反転のタイミングは2水平走査期間毎に限らず、それ以上の周期であっても良い。むろん、n個の走査ライン毎に極性を反転する構成ではなく1フレーム毎に極性を反転させても良い。
【0090】
<実施形態5>
さらに、高画質モードにおいては、複数の書込期間でデータ信号S(i)の極性を維持し、水平ブランキング期間においてデータ信号S(i)の極性を反転させてチャージシェアリングを実施することができればよく、このための極性指示信号REVと参照指示信号LSとの信号波形は図3に示す信号波形に限定されない。
【0091】
例えば、2回連続する書込期間においてデータ信号S(i)の極性を維持し、これらの書込期間の間の水平ブランキング期間においてのみ第2パルスP2と第3パルスP3とを発生させる構成を採用してもよい。このためには、例えば、表示制御回路200において2水平走査期間にわたってクロック信号CLKをカウントし、図5に示すようなタイミングで第3パルスP3と第1パルスP1と第2パルスP2とを発生させるようにパルス幅指示データを定義してメモリ200aに記録しておけばよい。
【0092】
この構成によって図5に示す極性指示信号REVと参照指示信号LSとを発生させ、タイミング制御部320に入力すると、Dフリップフロップ34においては、2水平走査期間に1回の割合で第1パルスP1の立ち上がり(図5に示すE1)に応じて極性を変化させるとともに、その間の第2パルスP2および第1パルスP1の立ち上がり(図5に示すE2,E3)に応じて極性を2回変化させた出力信号REV1Dを出力する。また、Dフリップフロップ35においては、出力信号REV1Dを反転させた出力信号REV2Dを出力する。
【0093】
この結果、EXOR回路36においては、常にハイレベルとなる信号を出力し、AND回路37においては、参照指示信号LSの総てを通過させてチャージシェア制御信号Cshとする。このチャージシェア制御信号Cshは、2水平走査期間の最初の水平ブランキング期間において第1パルスP1、その次の水平ブランキング期間において第2パルスP2および第1パルスP1によって構成されるため、データ信号S(i)においては、2回の水平ブランキング期間に1回の割合で極性が反転するとともにチャージシェアリングが実施され、この極性反転の間の水平ブランキング期間(図5に示すTB)では極性が2回反転するととともにチャージシェアリングが実施される。従って、総ての水平走査期間の水平ブランキング期間でチャージシェアリングを実施可能になり、図5に示すように、連続して発生される選択パルスPbの総てにおいてチャージシェアリングを実施することができ、適正なインパルス駆動を行うことができる。
【0094】
<実施形態6>
さらに、本発明においては、タイミング制御部320回路の回路構成も図6に示す構成に限定されず、データ信号S(i)における書込期間の極性を示す極性指示信号REVとその参照タイミングを示す参照指示信号LSとによってデータ信号S(i)の極性を決定し、当該データ信号S(i)の極性が反転する際にチャージシェアリングを行うように構成された回路であれば、他にも種々の回路を採用可能であり、このような回路に本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】液晶表示装置のブロック図である。
【図2】表示制御回路の構成を示す図である。
【図3】各種信号のタイミングチャートである。
【図4】各種信号のタイミングチャートである。
【図5】各種信号のタイミングチャートである。
【図6】データドライバの構成を示す図である。
【図7】各種信号のタイミングチャートである。
【図8】各種信号のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0096】
31…出カバッファ、33…インバータ、34,35…Dフリップフロップ、36…EXOR回路、37…AND回路、100…表示部、200…表示制御回路、200a…メモリ、210…リモコン、300…データドライバ、310…チャージシェアリング部、320…タイミング制御部、400…ゲートドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査ラインと、
前記複数の走査ラインに交差する複数のデータラインと、
前記走査ラインと前記データラインとの交差部に対応した複数の絵素形成部であって、前記走査ラインが選択されているときに前記データラインに印加されているデータ信号によって電圧の書込がなされる絵素形成部と、
n回(nは2以上の整数)の水平ブランキング期間のうち最初の1回は前記データ信号の極性を1回反転させ、残りのn−1回のそれぞれにおいては前記データ信号の極性を2回反転させるための極性反転信号を出力する極性反転信号出力手段と、
前記極性反転信号に応じて極性を反転させたデータ信号を出力するデータ信号出力手段と、
前記データ信号の極性を反転させる際に複数の前記データラインを短絡させるデータライン短絡手段と、
前記絵素形成部に対して前記データ信号を印加する書込期間において前記走査ラインを選択するとともに、一旦選択された走査ラインが書込期間において再度選択される前に前記短絡のタイミングに同期して前記走査ラインを選択する選択信号を出力する選択信号出力手段と、
を備える液晶表示装置。
【請求項2】
前記極性反転信号は、前記データ信号の極性を指示する極性指示信号と当該極性指示信号を参照する参照タイミングを指示する参照指示信号とを含み、
前記データ信号出力手段は、前記参照タイミングにおいて前記極性指示信号による極性の指示が前回の参照タイミングにおける極性の指示と異なる場合に、前記データ信号の極性を反転させる、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記参照指示信号は、総ての水平ブランキング期間において電圧レベルが2回反転することによって構成される第1パルスと、少なくとも前記n−1回の水平ブランキング期間において前記第1パルスより前に電圧レベルが2回反転することによって構成される第2パルスとからなり、
前記極性指示信号は、前記第2パルスにおける電圧レベルの変動前に電圧レベルが1回反転し、前記第1パルスにおける電圧レベルの変動前に電圧レベルが1回変動する第3パルスと、当該第3パルスより前のタイミングでn回の水平走査期間に1回の割合で電圧レベルが変動するエッジとからなる、
請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記極性反転信号出力手段は、予め設定されるパルス幅指示データの指示に応じたパルス幅の信号を出力する、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記極性反転信号出力手段はメモリを備え、当該メモリに予め記録された前記パルス幅指示データを参照してパルス幅を調整する、
請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記メモリはEPROMである、
請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記極性反転信号出力手段は、パルス幅を調整して前記参照指示信号における第2パルスと前記極性指示信号における第3パルスとの出力を停止あるいは実行させることが可能である、
請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
液晶表示装置の外部からの操作に応じて前記第2パルスと第3パルスとの出力を停止あるいは実行させる、
請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
液晶表示装置における複数の絵素形成部に対して、印加するデータ信号の極性を制御して液晶表示装置における表示を制御する表示制御装置であって、
n回(nは2以上の整数)の水平ブランキング期間のうち最初の1回は前記データ信号の極性を1回反転させ、残りのn−1回のそれぞれにおいては前記データ信号の極性を2回反転させるための極性反転信号を出力する極性反転信号出力手段
を備える表示制御装置。
【請求項10】
走査ラインが選択されているときにデータラインに印加されているデータ信号によって絵素形成部に対する電圧の書込を行う液晶表示方法であって、
n回(nは2以上の整数)の水平ブランキング期間のうち最初の1回は前記データ信号の極性を1回反転させ、残りのn−1回のそれぞれにおいては前記データ信号の極性を2回反転させたデータ信号を出力するデータ信号出力工程と、
前記データ信号の極性を反転させる際に複数の前記データラインを短絡させるデータライン短絡工程と、
前記絵素形成部に対して前記データ信号を印加する書込期間において前記走査ラインを選択するとともに、一旦選択された走査ラインが書込期間において再度選択される前に前記短絡のタイミングに同期して前記走査ラインを選択する選択信号を出力する選択信号出力工程と、
を含む液晶表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−141303(P2011−141303A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109978(P2008−109978)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】