説明

液晶表示装置および液晶表示装置の製造方法

【課題】封液晶注入法を用いて、信頼性を低下させることなく狭額縁化を実現することが可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置(液晶表示パネル)は、表示領域(第1領域)と、額縁領域(第2領域)とにおいて、第1基板および第2基板が対向配置されると共に、第1基板が第2領域の外側の第3領域まで延在し、第2基板が第3領域の一部に対向して張り出し部を有する。第1,第2基板間の第1領域に液晶層、第2領域に第1の封止層をそれぞれ有し、第1の封止層には開口部が設けられ、この開口部が第2の封止層によって塞がれている。製造プロセスにおいて、第1の封止層の開口部を通じて液晶注入後、この開口部が第2の封止層によって塞がれ、液晶層が封止される。開口部を第2基板の張り出し部に対向して有することにより、第2の封止層としての封止材を、表示領域に介入させることなく、十分な量取り込み可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一対の基板間に液晶が封止されてなるパネルを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)は、駆動基板と対向基板との間に液晶が封止された液晶表示パネルを用いて映像表示を行うものであるが、液晶の封止手法としては、例えば液晶注入法および液晶滴下法が挙げられる。
【0003】
液晶注入法は、駆動基板上に開口部を有するシール枠を形成して、対向基板と貼り合わせを行った後に、その開口部を通じて液晶を注入する手法であり、注入後に、開口部を封止材によって塞ぎ、液晶を密封する(例えば特許文献1〜4参照)。液晶滴下法は、例えば駆動基板の縁付近にシール枠を形成した後、このシール枠内に所定量の液晶を滴下し、その後に対向基板を全面接着するものである(例えば特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−46214号公報
【特許文献2】特開2001−154212号公報
【特許文献3】特開2001−154208号公報
【特許文献4】特開2009−93043号公報
【特許文献5】特開2005−338886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、液晶表示パネルでは、表示領域周辺の額縁領域の狭面積化(以下、狭額縁化という)が要求されている。狭額縁のパネルを作製する際には、上記のような液晶封止手法のうち、液晶滴下法を用いることが封止性能の点において望ましいが、この手法では、個々のパネルの滴下量制御が難しく、不良が発生し易い。一方、液晶注入法では、液晶注入量については制御し易いが、狭額縁の場合には、シール枠における開口部の封止が不十分となり易く、信頼性が低下するという問題がある。このような背景から、液晶注入法に用いて、狭額縁であり、かつ信頼性の高いパネルの実現が望まれている。
【0006】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、液晶注入法を用いて、信頼性を低下させることなく狭額縁化を実現することが可能な液晶表示装置および液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の液晶表示装置は、複数の画素を含む表示領域としての第1領域と、この第1領域の周辺の額縁領域としての第2領域にわたって設けられると共に、第2領域よりも外側の第3領域まで延在する第1基板と、第1領域および第2領域において第1基板に対向配置されると共に、第3領域の一部に対向して張り出し部を有する第2基板と、一対の基板間の第2領域に第1領域を囲むように設けられると共に、第3領域の張り出し部に対向する領域に開口部を有する第1の封止層と、一対の基板間の第1領域に設けられた液晶層と、第1の封止層の開口部を塞ぐ第2の封止層とを有している。
【0008】
本開示の液晶表示装置の製造方法は、複数の画素を含む表示領域としての第1領域と、この第1領域の周辺の額縁領域としての第2領域にわたって設けられると共に、第2領域よりも外側の第3領域まで延在する第1基板を用意する工程と、第1領域および第2領域において第1基板に対向配置されると共に、第3領域の一部に対向して張り出し部を有する第2基板を用意する工程と、一対の基板間の第2領域に第1領域を囲むと共に、第3領域の張り出し部に対向する領域に開口部を有する第1の封止層を形成する工程と、一対の基板間の第1領域に液晶層を形成する工程と、第1の封止層の開口部を塞ぐ第2の封止層を形成する工程とを含むものである。
【0009】
本開示の液晶表示装置および液晶表示装置の製造方法では、表示領域(第1領域)と、額縁領域(第2領域)とにおいて、第1基板および第2基板が対向配置されると共に、第1基板が第2領域の外側の第3領域まで延在し、第2基板が第3領域の一部に対向して張り出し部を有する。第1基板および第2基板間の第1領域に液晶層、第2領域に第1の封止層をそれぞれ有し、第1の封止層には開口部が設けられ、この開口部が第2の封止層によって塞がれている。製造プロセスにおいて、第1の封止層の開口部を通じて液晶注入後、この開口部が第2の封止層によって塞がれることにより、液晶層が密閉封止される。開口部が、第2基板の張り出し部に対向して設けられていることにより、第2の封止層としての封止材を、表示領域としての第1領域に介入させることなく、十分な量取り込み可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の液晶表示装置および液晶表示装置の製造方法によれば、表示領域としての第1領域と、額縁領域としての第2領域とにおいて、第1基板および第2基板を対向配置させると共に、第1基板を第2領域の外側の第3領域まで延在させ、第2基板には第3領域の一部に対向する張り出し部を形成する。これらの基板間の第1領域には液晶層を設け、第2領域には、第2の封止層によって塞がれた開口部を有する第1の封止層を設ける。開口部を、第2基板の張り出し部に対向して設けることにより、製造プロセスにおいて、液晶注入後、第2の封止層としての封止材を、表示領域としての第1領域に介入させることなく、十分な量取り込むことができる。従って、例えば額縁領域が狭小であっても、表示領域へ影響を与えることなく、液晶層を密閉封止することができる。また、第2基板が張り出し部を有することにより、パネルの機械的強度も増す。よって、液晶注入法を用いて、信頼性を低下させることなく狭額縁化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示における一実施の形態に係る液晶表示装置の要部構成を表す機能ブロック図である。
【図2】図1に示した液晶表示パネルの概略構成を表す斜視図である。
【図3】図1に示した駆動基板および対向基板の要部構成を表した平面模式図である。
【図4】図1に示した液晶表示パネルの平面構成を説明するための模式図である。
【図5】図4に示した液晶表示パネルの矢視断面図であり、(A)はI−I線、(B)はII−II線、(C)はIII−III線にそれぞれ対応するものである。
【図6】図1に示した液晶表示パネルの製造方法を説明するための模式図である。
【図7】図6に続く工程を説明するための模式図である。
【図8】図7に続く工程を説明するための模式図である。
【図9】図8に続く工程を説明するための模式図である。
【図10】(A)は比較例に係る液晶表示パネルの平面構成を説明するための模式図であり、(B)は開口部付近の拡大図である。
【図11】パネルの機械的強度を示す実験結果である。
【図12】(A)〜(C)は、変形例1に係る液晶表示パネルの一部構成を表す模式図である。
【図13】変形例2に係る液晶表示パネルの一部構成を表す模式図である。
【図14】(A),(B)は、変形例3に係る液晶表示パネルの一部構成を表す模式図である。
【図15】(A)〜(C)は、変形例4に係る液晶表示パネルの一部構成を表す模式図である。
【図16】変形例5に係る液晶表示パネルの概略構成を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(対向基板の一部が曲線状にスクライブされ、張り出し部に対向して注入用の開口部を設けた例)
2.変形例1(複数の張り出し部を設けた例)
3.変形例2(張り出し部の一部を封止後に切断した例)
4.変形例3(開口部位置の他の例)
5.変形例4(スクライブ形状(張り出し部形状)の他の例)
6.変形例5(遮光層のレイアウトの他の例)
【0013】
<実施の形態>
[装置構成]
図1は、本開示における一実施の形態に係る液晶表示装置(液晶表示装置2)の要部構成を表した機能ブロック図である。液晶表示装置2は、例えば液晶表示パネル1およびバックライト32を備えたものである。
【0014】
液晶表示パネル1は、表示領域1Aにマトリクス状に配置された複数の画素(PXL)を有し、この表示領域1Aの周辺(後述の額縁領域1B)に、例えば走査線駆動回路10bおよび信号線駆動回路10cを有している。各画素(PXL)は、例えばR(赤),G(緑),B(青)のいずれかに対応する画素であり、走査線WSLおよび信号線DTLに接続されている。この液晶表示パネル1は、タイミング制御部30の制御に応じて表示駆動されるようになっている。液晶表示パネル1の詳細構成については後述する。
【0015】
タイミング制御部30は、走査線駆動回路10bおよび信号線駆動回路10cの駆動タイミングを制御すると共に、入力される映像信号Dinを信号線駆動回路10cへ供給するものである。走査線駆動回路10bは、タイミング制御部30によるタイミング制御に従って、各画素を線順次駆動するものである。信号線駆動回路10cは、各画素へそれぞれ、タイミング制御部30から供給される映像信号Dinに基づく映像電圧を供給するものである。具体的には、映像信号Dinに対してD/A(デジタル/アナログ)変換を施すことにより、アナログ信号である映像信号を生成し、各画素へ出力する。
【0016】
バックライト32は、液晶表示パネル1を照明する光源であり、例えばLED(Light Emitting Diode)やCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)等を複数含むものである。このバックライト32は、バックライト駆動部31によって駆動され、点灯状態および消灯状態が制御されるようになっている。
【0017】
これらのタイミング制御部30およびバックライト駆動部31は、額縁領域1Bに直接配設されていてもよいし、あるいは、後述の接続領域1Cに、端子部10aを通じて実装された電子部品に設けられたものであってもよい。
【0018】
[液晶表示パネル1の構成]
図2は、液晶表示パネル1の斜視構成を表したものである。液晶表示パネル1は、例えば、駆動基板10(第1基板)および対向基板20(第2基板)間に、液晶層(図2には図示せず。後述の液晶層13)を封止したものである。駆動基板10および対向基板20は、複数の画素を含む表示領域(有効表示領域)1Aと、その周辺の額縁領域1Bとにわたって、互いに対向して設けられている。これらのうち駆動基板10は、額縁領域1Bの外側の領域(第3領域)まで延在して(張り出して)設けられている。額縁領域1Bの幅は特に限定されないが、本実施の形態の液晶表示パネル1は、例えば1mm程度以下の狭額縁のものに特に好適である。この駆動基板10の額縁領域1Bより外側へ張り出した領域は、例えば電子部品等を実装するための接続領域1Cとなっている。接続領域1Cには、例えばフレキシブルプリント配線板(FPC)等の配線と電気的に接続するための端子部10aが設けられている。対向基板20は、そのような接続領域1Cの一部に対向して張り出し部20b(スクライブ後に残存した部分)を有している。換言すると、対向基板20は、接続領域1Cに対向する領域が、所定の形状にスクライブ(切断)されている(切り欠き部20aを有している)。
【0019】
(駆動基板10,対向基板20の詳細構成)
図3は、駆動基板10および対向基板20の要部構成を表したものである。駆動基板10は、例えばガラス等の透明材料を基材とし、その面形状が例えば矩形状であり、矩形状の2つの短辺のうちの1辺側の領域が、額縁領域1Bよりも外側に設けられた接続領域1Cに相当する。接続領域1Cでは、対向基板20と重ならない領域(対向基板20の切り欠き部20aに対向する領域)が端子部10aとなっていることが望ましい。詳細には、端子部10aには、配線接続用の端子の他にも、いわゆるTEG(Test Element Group)やマーク等が配置されているが、端子が対向基板20の張り出し部20bによって覆われないようにすればよい。
【0020】
この駆動基板10には、複数の画素を表示駆動するための駆動回路(例えば走査線駆動回路10b,信号線駆動回路10c)が設けられると共に、それらの駆動回路に接続された配線(走査線,信号線等)、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)、保持容量素子等(いずれも図示せず)および画素電極等を有する画素部10dが設けられている。これらのうち、画素部10dは表示領域1A、走査線駆動回路10b,信号線駆動回路10cは、額縁領域1Bにそれぞれ設けられている。駆動基板10上において、例えば、走査線駆動回路10b,信号線駆動回路10c、薄膜トランジスタおよび保持容量素子は、図示しない平坦化膜によって覆われている。画素電極は、その平坦化膜上に、コンタクトホールを通じて下層の薄膜トランジスタと電気的に接続された状態で、かつ画素毎に配設されている。この駆動基板10のバックライト側の面には、図示しない偏光板(偏光子)が貼り合わせられている。
【0021】
対向基板20は、例えばガラス等の透明材料を基材とし、その面形状は、例えば上記駆動基板10とほぼ同様の矩形状である。但し、対向基板20は、上記駆動基板10の接続領域1Cの一部に対向して、上述のように張り出し部20b(あるいは切り欠き部20a)を有している。本実施の形態では、対向基板20の一部が、曲線を描くように(曲線状に)スクライブされており、これにより張り出し部20bが、曲線部分を有する面形状となるように成形されている。具体的には、張り出し部20bは、額縁領域1Bから接続領域1Cの端部に向かって滑らかにカーブする凹曲線(張り出し部20bが凹むような曲線)を有している。換言すると、張り出し部20bは、対向基板20において、額縁領域1Bとの境界部分(張り出し部20Bの付け根部分)に角部を有さず、徐々に先細りとなる面形状を有している。このように、張り出し部20bは、対向基板20のスクライブ(いわゆる異形スクライブ)によって形成された特徴的な面形状を有している
【0022】
この対向基板20の一面側(駆動基板10側)には、表示領域1Aに対応してカラーフィルタ層12A、額縁領域1Bに対応してブラックマトリクス層(遮光層)12Bがそれぞれ設けられている。カラーフィルタ層12A上には、図示しない対向電極が配設されている。対向電極は、各画素電極に対向して、かつ各画素の共通電極として設けられている。尚、カラーフィルタ層12Aおよびブラックマトリクス層12Bは、例えば、図示しないオーバーコート層によって覆われていてもよい。対向基板20の他面側(表示面側)には、図示しない偏光板(検光子)が貼り合わせられており、この偏光板と、上記駆動基板10側に設けられた偏光板とが、例えばクロスニコルの状態で配置されている。
【0023】
カラーフィルタ12Aおよび遮光層12Bは、例えば感光性樹脂と、顔料や染料などの着色材料とを含むものである。カラーフィルタ12Aは、例えば画素毎に赤色、緑色または青色のいずれかの色のフィルタが設けられている。
【0024】
上記のような駆動基板10と対向基板20との間に液晶層13が封止されることで、画素電極と対向電極との間に液晶層13が挟持される。液晶層13は、上記画素電極および対向電極を通じて供給される駆動電圧に応じて、そこを透過する光の透過率を制御する素子である。この液晶層13には、例えばVA(Vertical Alignment:垂直配向)モード、TN(Twisted Nematic)モードまたはECB(Electrically controlled birefringence)モード等により表示駆動される液晶を含むものである。本実施の形態では、この液晶層13が、液晶注入法により駆動基板10および対向基板20間に封止されている。以下、液晶表示パネル1の封止構造について説明する。
【0025】
(封止構造)
図4は、液晶表示パネル1の概略構成を表したものである。図5は、図4の各部における断面構成を表したものである。尚、図4には、シール部分(シール枠11Aおよび開口封止部11B)については破線で示している。また、図5では、駆動基板10における回路部分、薄膜トランジスタ、画素電極等の記載を省略し、対向基板20側ではカラーフィルタ層12Aおよび遮光層12Bのみを示し、対向電極の図示を省略している。本実施の形態におけるシール枠11Aが、本開示の「第1の封止層」の一具体例、開口封止部11Bが「第2の封止層」の一具体例にそれぞれ相当する。
【0026】
液晶表示パネル1では、液晶層13が表示領域1Aの全面にわたって設けられ(図5)、額縁領域1Bには、その液晶層13を囲うように、シール枠11Aが設けられている。シール枠11Aは、接着性を有する樹脂材料、例えばUV硬化性や熱硬化性を有するエポキシ系樹脂またはアクリル系樹脂などにより構成されている。このシール枠11Aの幅は、額縁領域1Bの幅,配線レイアウト等に応じて適切な大きさに設計されればよいが、例えば300〜1000μmである。このシール枠11Aは、その一部に液晶注入口としての開口部(開口部11A1)を有している。
【0027】
開口部11A1の幅(開口幅,シール枠11Aの端部間距離)dは、パネル面積や液晶材料、注入時間等を考慮して適宜設定されるものであるが、例えば500〜2000μmである。この開口部11A1は、開口封止部11Bによって塞がれている。開口封止部11Bは、液晶注入後に液晶層13を密封するための蓋として機能するものであり、例えばUV硬化性や熱硬化性を有するエポキシ系樹脂またはアクリル系樹脂などにより構成されている。開口封止部11Bとシール枠1Aとの樹脂材料は同一であってもよいし、異なっていてもよい。ここで、一般的には、額縁領域では、ブラックマトリクスや配線の影響により遮光され易いため、シール枠部分には熱硬化性樹脂が用いられる。これは、光硬化性樹脂は硬化しにくく、表示部側へはみ出したりして信頼性に影響するためである。一方、開口封止部分については時間の経過と共に浸透することから光硬化性樹脂が用いられる。
【0028】
本実施の形態では、シール枠11Aの開口部11A1が、額縁領域1Bの外側に設けられた張り出し部20bに対向して設けられている。具体的には、シール部11Aが、対向基板20の面形状の縁に沿って設けられており、開口部11A1を張り出し部20bの端部に対向する領域に有している。ここでは、張り出し部20bの端部S1が接続領域1Cの外縁と略一致しており、開口部11A1は、図中のX方向に沿って液晶注入がなされるように開口している。
【0029】
開口封止部11Bは、張り出し部20bの一部または全部に対向する領域に設けられ、開口部11A1からパネル内側へ所定量の封止材(上記樹脂材料)を取り込む(引き込む、流し込む)ことにより形成されている。この開口封止部11Bの形成面積(封止材の量)は、パネル面積や液晶層の厚み、開口部11Aのサイズ、張り出し部20Bの形状および大きさ等に応じて適宜設定されている。換言すると、張り出し部20Bは、必要な封止性能を発揮し得る面積の開口封止部11B(十分な量の封止材)を収容可能なスペースを有している。尚、開口封止部11Bは、張り出し部20bに対向する領域から張り出し部20bを超えて額縁領域1Bまで延在して形成されていてもよい。
【0030】
このように、液晶表示パネル1では、駆動基板10および対向基板20間において、液晶層13がシール枠11Aおよび開口封止部11Bによって密閉封止されている。
【0031】
[液晶表示パネル1の製造方法]
上記のような液晶表示パネル1は、例えば次のようにして製造することができる。図6〜図9は、液晶表示パネル1の製造工程を工程順に表す平面模式図である。
【0032】
まず、駆動基板10を用意する。駆動基板10としては、上述したように、例えば矩形状のガラス基板上に、各種駆動回路および配線層、薄膜トランジスタ、保持容量素子等を形成した後、これらを平坦化膜によって被覆し、この平坦化膜上に画素電極等を形成したものを用意する。また、この際、駆動基板10の接続領域1Cとなる領域、望ましくは対向基板20の切り欠き部20aに対向する領域に、端子部10aを形成する。
【0033】
このような駆動基板10上に、図6に示したように、シール枠11Aを形成する。この駆動基板10上の所定の領域(対向基板20の面形状の縁部分に沿った領域)に、上述した材料等よりなるシール枠11Aを、例えばシールディスペンサを用いて塗布形成するか、または印刷法により形成する。この際、所定の領域(具体的には、対向基板20の張り出し部20bの形成予定領域)における一部を除いて枠状にシール材を塗布することにより、後の液晶注入工程において液晶注入口となる開口部11A1を形成する。
【0034】
続いて、シール枠11Aおよび開口部11A1を形成した駆動基板10と対向基板20とを、シール枠11Aを間にして重ね合わせた後、加熱(またはUV照射)によりシール枠11Aを硬化させる。対向基板20としては、上述したように、例えば略矩形状のガラス基板の一面側に、カラーフィルタ層12Aおよび遮光層12B等を形成したものを用意する。これにより、駆動基板10および対向基板20が貼り合わせられる。
【0035】
貼り合わせの後、図7に示したように、対向基板20をスクライブして所定の形状に加工する。例えば、対向基板20の基材となるガラス基板の一部を、例えばメカスクライブ法またはレーザースクライブ法等により切断することにより、上述したような曲線部分を有する張り出し部20b(または切り欠き部20a)形成する。これにより、液晶材料の注入口110が形成される。尚、詳細には、上記の駆動基板10および対向基板20の貼り合わせ工程と、対向基板20のスクライブ工程とは、数十〜数百のパネルで構成されたマザー基板の段階で行う。また、貼り合わせの後、ガラス基板をエッチングにより薄くしてから、対向基板20を上記手法によりスクライブする。
【0036】
続いて、図8に示したように、注入口110から、所定量の液晶材料を注入し、表示領域1Aに液晶層13(図8には図示せず)を形成する。具体的には、液晶注入装置を用いて、例えば複数のパネルに対し、各注入口110へ連続的に液晶注入を行う。
【0037】
最後に、図9に示したように、注入口110から、上述した樹脂材料よりなる開口封止部11Bを上述した所定量取り込み(注入し)、これをUV照射等により硬化させる。これにより、駆動基板10および対向基板20間に液晶層13(図9には図示せず)が密閉封止される。尚、開口封止部11Bの硬化後、例えば開口部11A1付近に、樹脂材料がはみ出して付着している場合には、このはみ出した部分を除去することが望ましい。はみ出した部分の除去は、樹脂材料の硬化前に行ってもよいし、硬化後に行ってもよい。あるいは、対向基板20の張り出し部20bの端部側の一部を、シール枠11Aおよび開口封止部11Bの一部と共に切断してもよい。本実施の形態では、詳細は後述するが、開口封止部11Bにおいて、十分な量の封止材が取り込まれているので、例えば上記のようなはみ出した部分を除去しても封止性能が不足することはない。このようにして、液晶表示パネル1を完成する。
【0038】
尚、上述のスクライブ工程、液晶注入工程および開口封止工程は、マトリクス状に数十〜数百のパネルが配列するマザー基板の状態で連続的に行うことができる。例えば、マザー基板のある1行分または1列分のパネルをスクライブした後、いわゆる短冊状態で連続的に液晶注入を行う。液晶注入後、各パネルは液晶によって風船のように膨らむため、これを一定圧力で加圧して、液晶を各注入口110から押し出し、液晶セルギャップを均一化する。この後、少し加圧を緩めた状態(または加圧を止めた状態)で、開口封止部11Bとしての封止材を塗布すると、セル内が減圧となる。これにより、封止材が注入口110から取り込まれる(引き込まれる)。この状態で、封止材を硬化させることにより、上記のような開口封止部11Bを形成可能である。この後、マザー基板をパネル毎に分割すればよい。但し、上記工程順は一例であり、各工程の順序を入れ替えて実施することも可能である。例えば、液晶注入後に対向基板20をスクライブしてもよいし、各パネル分割後にスクライブおよび液晶注入を行ってもよい。また、張り出し部20bの切断のタイミングについても特に限定されない。
【0039】
尚、上記製造工程では、シール枠11Aを、駆動基板10側に形成した後に対向基板20との貼り合わせを行ったが、対向基板20側にシール枠11Aを形成した後、これと駆動基板10とを貼り合わせてもよい。
【0040】
[作用・効果]
液晶表示装置2では、図1に示したように、タイミング制御部30へ外部入力信号(Din)が入力されると、液晶表示パネル1において、走査線駆動回路10bおよび信号線駆動回路10cが表示領域1Aの各画素(PXL)を表示駆動する。具体的には、タイミング制御部30の制御に応じて、走査線駆動回路10bが、各画素に接続された走査線WSLに走査信号を順次供給すると共に、信号線駆動回路10cが、外部入力信号(Din)に基づく映像信号を、所定の信号線DTLに供給する。これにより、映像信号が供給された信号線DTLと走査信号が供給された走査線WSLとの交差点に位置する画素が選択され、その画素に駆動電圧が印加される。
【0041】
上記のようにして選択された画素では、画素電極および対向電極を通じて液晶層に駆動電圧が供給されると、液晶層における光学的特性が変化する。これにより、バックライト32からの照明光が画素毎に変調され、対向基板20上へ出射する。液晶表示装置1では、このようにして映像が表示される。
【0042】
このような液晶表示装置2の液晶表示パネル1では、液晶注入法により駆動基板10および対向基板20間に液晶層が封止された構造を有する。具体的には、駆動基板10および対向基板20が表示領域1Aと額縁領域1Bとにおいて対向配置されると共に、駆動基板10が額縁領域1Bの外側に接続領域1Cを有し、対向基板20がその接続領域1Cの一部に対向して張り出し部20bを有している。このような駆動基板10および対向基板20間において、表示領域1Aに設けられた液晶層を囲うように、額縁領域1Bにおいてシール枠11Aが設けられている。シール枠11Aには、製造プロセスにおいて液晶注入口となる開口部11A1が設けられ、開口部11A1は、開口封止部11Bによって塞がれている。製造プロセスでは、その開口部11A1を通じて液晶が注入された後、この開口部11A1が開口封止部11Bによって塞がれることにより、液晶層が密閉封止される。ここで、開口部11A1が、対向基板20の張り出し部20bに対向して設けられていることにより、液晶注入後、開口封止部11Bとしての封止材を、表示領域1Aに介入させることなく、十分な量で取り込み可能となる。
【0043】
ここで、図10(A)に、本実施の形態の比較例として、液晶注入法を用いて形成した液晶表示パネル(液晶表示パネル100)について模式的に示す。液晶表示パネル100においても、本実施の形態と同様、駆動基板101と対向基板102とは、表示領域100Aおよび額縁領域100Bにおいて対向配置され、駆動基板101は額縁領域100Bの外側に、端子部101aが設けられた接続領域101Sを有する。また、表示領域100A周辺の額縁領域100Bに沿って、シール枠103Aが形成され、このシール枠103Aが、液晶注入のための開口部103A1を有している。また、開口部103A1は、開口封止部103Bによって塞がれている。但し、比較例の液晶表示パネル100では、駆動基板10の接続領域101Sの全域が対向基板20から露出しており(張り出し部を有さず)、開口部103A1が、額縁領域100Bの一部に設けられている。
【0044】
このような比較例の液晶表示パネル100では、額縁領域100Bが狭い場合、開口部103A1付近に十分なスペースを確保しにくい。このため、製造プロセスにおいて、液晶注入後、封止材を密閉封止に十分な量引きこむことができない。従って、比較例の液晶表示パネル100では、パネル内側へ封止材を引き込まず、開口部103A1の外側(パネル側面)に開口封止部103Bが出っ張るようにして開口部103A1を塞ぎ、これによって封止性能を確保するようにしている。換言すると、封止材の出っ張りを除去することができず、パネルの外周部にその出っ張り(図10(B)の突起103B1)が残存する。この結果、パネルの外形寸法のばらつき等が生じ易くなり、これによって例えばパネルを含むモジュールの強度が低下してしまう。これは、パネルに封止材の出っ張りがある場合、モジュールにおいてパネルと組み合わせられて設置される部材には切り欠きが必要となるため機械的強度が低下するためである。
【0045】
また、特に額縁領域100Bが狭くなると、開口部103A1から表示領域100Aまでの距離が近いために、封止材の引き込みマージンが十分に確保できない。このため、表示領域100A内へのはみ出し(介入)が生じ、歩留まりが低下する。加えて、狭額縁の場合には、遮光部分に照射用の窓を形成できない、駆動基板側の配線が密に配置される、等の理由から、封止材を光硬化させにくく、これにより、硬化部分にむらが生じたり、未硬化のものが液晶へ悪影響を及ぼし易くなる。上記のような理由から、比較例の液晶表示パネル100では、信頼性が低下してしまう。
【0046】
これに対し、本実施の形態では、例えば額縁領域1Bが狭小であっても(額縁領域1Bの面積に拘らず)、表示領域1Aへ影響を与えることなく、開口封止部11Bとしての封止材を十分な量取り込み、液晶層を密閉封止することができる。このため、封止樹脂がパネル外側にはみ出した場合にも、その出っ張り部分を除去することができる(出っ張り部分を除去しても十分な封止性能を確保できる)。また、対向基板20の張り出し部20bの一部または全部が、開口封止部11Bによって駆動基板10に接着されるため、パネルの機械的強度が補強される。よって、液晶注入法を用いて、信頼性を低下させることなく狭額縁化を実現することが可能となる。
【0047】
また、本実施の形態では、張り出し部20bが、曲線部分(具体的には額縁領域1Bから接続領域1Cに向かって緩やかにカーブする凹曲線)を有することにより、張り出し部20bがその付け根部分に亀裂が入りにくくなり、より機械的強度が増す。
【0048】
図11に、上記比較例の液晶表示パネル100と、本実施の形態の液晶表示パネル1(実施例)をそれぞれ想定して作製したパネルのガラス強度についての測定結果を示す。尚、比較例の強度を1とした場合の相対値を示している。実施例の測定条件としては、駆動基板10および対向基板20の基材としてはいずれも、厚み0.25mmのAN100(AGC旭硝子社製)を用い、パネルサイズ(表示領域1Aおよび額縁領域1Bに相当)を3.5インチ、パッド幅(接続領域1CのX方向の長さに相当)を3.5mmとした。対向基板20はケミカルエッチング後、メカスクライブ法により曲線状に切断し、張り出し部20bを形成した。ガラス強度は、いわゆる4点曲げ試験を行って測定した。比較例についても、対向基板102として張り出し部を有さないものを用いたこと以外は、上記と同様とした。
【0049】
この結果、対向基板20にスクライブによって張り出し部20bを設けた実施例では、比較例に比べ、約1.5倍もの強度を得ることができた。尚、強度の増加率は、パネルサイズやパッド幅に依存し、パッド幅が大きくなる程、強度が増す傾向を有している。
【0050】
加えて、本実施の形態では、遮光層12Bが額縁領域1Bにのみ設けられており、張り出し部20bに対応する領域では、UV光を透過させ易くなっている。ここで、図10に示した比較例では、額縁領域100Bに遮光層が設けられると共に、様々な配線が形成されている。このため、額縁領域100Bに対向して形成される開口封止部103BへUV光が届きにくく、開口封止部103Bを十分に硬化させることができずに未硬化の樹脂が残存し易い。このような未硬化の樹脂は、信頼性の低下を引き起こす。これに対して、本実施の形態では、開口部11Aおよび開口封止部11Bを、遮光層12Bおよび配線のない張り出し部20bに対向する領域に設けているために、製造プロセスにおいて、開口封止部11BへUV光を十分に照射することができる。よって、上記のような未硬化の樹脂が残存することを抑制して信頼性を維持することができる。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態では、液晶表示パネル1において、駆動基板10が額縁領域1Bの外側に接続領域1Cを有し、対向基板20がその接続領域1Cの一部に対向して張り出し部20bを有している。これらの駆動基板10および対向基板20間において、液晶層をシール枠11Aおよび開口封止部11Bにより密閉封止している。製造プロセスでは、シール枠11Aに設けられた開口部11A1を通じて液晶注入後、この開口部11A1を開口封止部11Bによって塞ぐ。開口部11A1が、対向基板20の張り出し部20bに対向して設けられていることにより、開口封止部11Bを、開口部11A1から十分な量取り込み可能となる。従って、例えば額縁領域が狭小であっても、表示領域1Aへ影響を与えることなく、液晶層を封止することができる。また、対向基板20が張り出し部を有することにより、パネルの機械的強度も増す。よって、液晶注入法を用いて、信頼性を低下させることなく狭額縁化を実現することが可能となる。
【0052】
次に、上記実施の形態に係る液晶表示パネルの変形例(変形例1〜4)について説明する。以下では、上記実施の形態の液晶表示パネルと同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0053】
<変形例1>
図12(A)〜(C)は、変形例1に係る液晶表示パネルの一部構成を表したものである。上記実施の形態では、駆動基板10の接続領域1Cの一部に対向して、対向基板20の張り出し部20bが1つ設けられている構成を例示したが、張り出し部20bの数は、1つに限定されず、接続領域1Cの選択的な領域に対向するように設けられていれば、複数であってもよい。例えば、図12(A)〜(C)に示したように、対向基板20の短辺側の両端部に2つの張り出し部20bが設けられていてもよい。各張り出し部20bは、上記実施の形態と同様、曲線部分を有しており、具体的には、額縁領域1Bから接続領域1Cの端部に向けて緩やかにカーブする凹曲線を有している。このような2つの張り出し部20bを形成する場合には、例えば、対向基板20の一部を、上述したような各種スクライブ法により、半楕円形状(例えば、楕円を長軸方向または短軸方向に沿って半分に切断したような形状)を描くように切断する。これにより、半楕円形状の切り欠き部20a1と共に、2つの張り出し部20bが形成される。
【0054】
本変形例では、上記のように複数(2つ)の張り出し部20bを設けているが、各液晶表示パネルにおいて、少なくとも1つの張り出し部20bに、シール枠11Aの開口部が設けられていればよい。
【0055】
例えば、図12(A)に示した例では、2つの張り出し部20bのそれぞれに、開口部11A4が設けられ、各開口部11A4が開口封止部11Bにより塞がれている。このような構成により、液晶注入口が2口となり、液晶注入速度が向上し、量産性に有利となる。また、2つの張り出し部20bが駆動基板10に接着されることにより、上記実施の形態よりも更に機械的強度が増す。
【0056】
他方、図12(B)に示した例では、2つの張り出し部20bのうちの一方にのみ、開口部11A4を設け、もう一方の張り出し部20bにおいてはシール枠11Aを張り出し部20bの面形状に沿って連続的に形成し、当該部分を補強用シール部11B1として機能させている。このように、パネルの機械的強度を補強することを目的として、一部の張り出し部20bには開口部11Aを設けずに、シール枠11Aを連続的に形成してもよい。
【0057】
あるいは、図12(C)に示したように、張り出し部20bに対向する領域において、シール枠11Aとは別に(不連続に)、補強用シール部11B2を設けてもよい。即ち、開口部11A1が設けられていない張り出し部20bでは、シール枠11Aを、張り出し部20bに対向する領域まで延設せずに、額縁領域1Bに沿って形成し、張り出し部20bに対向する領域に別途補強用シール部11B2を形成する。これにより、パネルの機械的強度が増すと共に、上記補強用シール部11B1を設ける場合に比べ、基板間の液晶材料の注入される空隙部分を必要最小限に抑えることができる。よって、表示に関わらない張り出し部20bへの液晶材料の流入をなくし、材料の無駄を省くことができる。
【0058】
<変形例2>
図13は、変形例2に係る液晶表示パネルの一部構成を表したものである。本変形例では、対向基板20に設けられる張り出し部20b1の端部S2が、接続領域1Cの外縁よりも内側に配置され、この張り出し部20b1の端部S2に対向して、シール枠11Aの開口部11A1が形成されている。このような張り出し部20b1は、例えば、上記実施の形態と同様にして、駆動基板10および対向基板20間に液晶層を注入し、開口封止部11Bを形成後、張り出し部20b1の端部側を、シール枠11Aおよび開口封止部11Bの各一部と共に切断することにより形成することができる。
【0059】
本変形例のように、張り出し部20bの端部S2の位置は特に限定されない。少なくとも、接続領域1Cに対向して張り出し部20bが設けられていれば、開口封止部11Bの形成スペースを確保できるため、信頼性を損なわずに狭額縁化を実現できる。また、これにより、例えば開口封止部11Bの硬化後の出っ張りを除去できる。更には、駆動基板10側のレイアウトに制約がある場合等にも有効である。
【0060】
<変形例3>
図14(A),(B)は、変形例3に係る液晶表示パネルの一部構成を表したものである。上記実施の形態および変形例1,2では、シール枠11Aの開口部11A1を張り出し部20bの端部S1(またはS2)に対向して設けたが、開口部11A1の位置は、必ずしも張り出し部20bの端部S1(またはS2)に対向していなくともよい。例えば、図14(A)に示したように、張り出し部20bの側部(パネル長辺に対応する部分)に、パネル外側に向けて開口した開口部11A2が設けられていてもよい。あるいは、図14(B)に示したように、張り出し部20bの側部に、パネル内側に向けて開口した開口部11A3が設けられていてもよい。
【0061】
但し、量産性を考慮した場合には、パネル内側に向けて開口させるよりも、外側に向けて開口させた方が望ましい。また、上述した製造プロセスでは、液晶注入時に端子部分が液晶の付着により汚れてしまう可能性があるが、図14(A)のような構成の場合、そのような液晶による端子汚れを回避することができる。このように、開口部の位置は特に限定されず、任意に設定可能である。例えば、製造プロセスでは、上述のように、複数のパネルがレイアウトされたマザー基板から、例えば1行分または1列分のパネルを切り出し、ライン毎に連続的に液晶注入を行うことができる。その際のパネルの配列方向に応じて、開口部の位置(開口の向き)を設定可能である。即ち、液晶注入時におけるパネルのレイアウトを選ばず、様々な注入装置に対応可能となり、生産性が高まる。
【0062】
<変形例4>
図15(A)〜(C)は、変形例4に係る液晶表示パネルの一部構成を表したものである。上記実施の形態では、対向基板20の一部を曲線状にスクライブし、曲線部分を有する切り欠き部20aあるいは張り出し部20bを設けた場合を例示したが、切り欠き部および張り出し部の形状はこのような曲線形状に限定されない。
【0063】
例えば、図15(A)に示したように、対向基板20の一部を直角にスクライブし、それぞれ方形状(ここでは矩形状)の切り欠き部20a2,張り出し部20b2を形成するようにしてもよい。
【0064】
また、図15(B)に示したように、対向基板20をスクライブする際、切り欠き部20a3,張り出し部20b3の一部に額縁領域1Bの各辺と非平行なテーパを形成するようにしてもよい。具体的には、対向基板20の一部に、額縁領域1Bの外縁の一部を上底とする台形状の切り欠き部20a3が設けられている(額縁領域1Bの外縁の一部を下底とする台形状の張り出し部20b3が設けられている)。
【0065】
あるいは、図15(C)に示したように、接続領域1Cをその対角線において2分するように、対向基板20をスクライブすることにより、額縁領域1Bの各辺と非平行なテーパを形成してもよい。この場合、対向基板20が短辺側において斜めに、かつ直線状にカットされ、額縁領域1Bの短辺を底辺とする直角三角形状の張り出し部20b4が形成される。
【0066】
<変形例5>
図16は、変形例5に係る液晶表示パネルの一部構成を表したものである。上記実施の形態では、対向基板20において、遮光層12Bを額縁領域1Bにのみ形成したが、遮光層12Bは、対向基板20の表示領域1A以外の全域、即ち額縁領域1Bおよび張り出し部20bに渡って形成されていてもよい。通常、額縁の遮光部分には、遮光層をパターニングすることによって位置合わせ用等のマークを形成することが多いが、額縁が狭くなると、マーク形成のためのパターニングによって光漏れが生じ易くなる。このため、狭額縁の場合には、マーク形成が困難となるが、本変形例のように、張り出し部20bにも遮光層12Bが設けられることにより、額縁部分には形成できないマークをパターニング可能となる。但し、張り出し部20bに対向する領域には開口封止部11Bが形成されるため、この開口封止部11BにUV硬化性の樹脂材料を用いる場合には、上記実施の形態のように、張り出し部20bに遮光層12Bを設けない方が効率的な樹脂硬化が可能となる。
【0067】
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて説明したが、本開示内容はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では、液晶表示パネル1の面形状が矩形状であり、その1つの短辺側に接続領域1Cが設けられている場合を例示したが、接続領域1Cが2つ以上設けられている場合にも、本開示内容を適用可能である。この場合、それら2以上の接続領域1Cのうちの少なくとも一部に対向して、張り出し部が設けられていればよい。また、本開示の第3領域は、額縁領域の外側に延在する領域であればよく、端子部10aを有する接続領域に限定されない。
【0068】
また、上記実施の形態等では、対向基板20の張り出し部が、短辺の一端または両端に設けられた構成を例示したが、張り出し部は接続領域1Cの一部と対向していればよく、接続領域の中央付近に対向して設けられていてもよいし、3つ以上設けられていてもよい。更に、本開示における張り出し部の面形状、シール枠の開口部の位置および形状、開口封止部の位置および形状等は、上述したものに限定されず、様々な形態を取り得る。
【0069】
また、本開示内容は、液晶表示パネルの狭額縁化に好適なものであるが、額縁の広いパネルにも同様に適用可能である。例えば、狭額縁でなくとも、配線等のレイアウトの制約を受けて、開口封止部分のスペースを十分に確保できない場合等には、本開示内容は有効である。
【0070】
尚、本開示の表示装置および電子機器は、以下の(1)〜(19)に記載したような構成であってもよい。
(1)複数の画素を含む表示領域としての第1領域と、前記第1領域の周辺の額縁領域としての第2領域にわたって設けられると共に、前記第2領域よりも外側の第3領域まで延在する第1基板と、前記第1領域および前記第2領域において前記第1基板に対向配置されると共に、前記第3領域の一部に対向して張り出し部を有する第2基板と、前記一対の基板間の前記第2領域に、前記第1領域を囲むように設けられると共に、前記第3領域の前記張り出し部に対向する領域に開口部を有する第1の封止層と、前記一対の基板間の前記第1領域に設けられた液晶層と、前記第1の封止層の前記開口部を塞ぐ第2の封止層とを備えた液晶表示装置。
(2)前記第2基板の前記張り出し部の面形状は曲線部分を有する上記(1)に記載の液晶表示装置。
(3)前記曲線部分は、前記張り出し部の付け根から前記第3領域の端部に向かって、緩やかにカーブする凹曲線である上記(2)に記載の液晶表示装置。
(4)前記第2基板の前記張り出し部の面形状は、前記第2領域の各辺と非平行なテーパを有する上記(1)に記載の液晶表示装置。
(5)前記第2基板の前記張り出し部の面形状は方形状である上記(1)に記載の液晶表示装置。
(6)前記第1の封止層は、前記第2基板の面形状の縁に沿って設けられ、前記第2の封止層は、前記張り出し部に対向する領域の一部または全部にわたって設けられている上記(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶表示装置。
(7)前記第2基板が前記張り出し部を複数有し、複数の張り出し部のうちの少なくとも1つの張り出し部に対向して、前記第1の封止層における前記開口部および前記第2の封止層が設けられている上記(1)〜(6)のいずれかに記載の液晶表示装置。
(8)前記複数の張り出し部のうちの他の少なくとも1つの張り出し部に対向して、補強用の第3の封止層が設けられている上記(7)に記載の液晶表示装置。
(9)前記第3の封止層は、前記第1の封止層と連続的に設けられるか、または前記第1の封止層とは独立して設けられている上記(8)に記載の液晶表示装置。
(10)前記第1基板は、前記複数の画素を駆動する駆動回路を有し、前記第2基板は、前記第1領域にカラーフィルタ層を有すると共に、前記第2領域および前記第3領域のうちの少なくとも第2領域に遮光層を有し、かつ前記第1基板の前記第3領域には、電子部品接続用の端子が配設されている上記(1)〜(9)のいずれかに記載の液晶表示装置。
(11)前記第2基板が透明基板である上記(1)〜(10)のいずれかに記載の液晶表示装置。
(12)前記遮光層は前記第2領域にのみ設けられている上記(1)〜(11)のいずれかに記載の液晶表示装置。
(13)複数の画素を含む表示領域としての第1領域と、前記第1領域の周辺の額縁領域としての第2領域にわたって設けられると共に、前記第2領域よりも外側の第3領域まで延在する第1基板を用意する工程と、前記第1領域および前記第2領域において前記第1基板に対向配置されると共に、前記第3領域の一部に対向して張り出し部を有する第2基板を用意する工程と、前記一対の基板間の前記第2領域に、前記第1領域を囲むと共に、前記第3領域の前記張り出し部に対向する領域に開口部を有する第1の封止層を形成する工程と、前記一対の基板間の前記第1領域に液晶層を形成する工程と、前記第1の封止層の前記開口部を塞ぐ第2の封止層を形成する工程とを含む液晶表示装置の製造方法。
(14)前記第2基板を用意する工程では、前記第2基板の一部をスクライブすることにより、曲線部分を有する前記張り出し部を形成する上記(13)に記載の液晶表示装置の製造方法。
(15)前記曲線部分は、前記第2領域の一部から前記第3領域の端部に向かって、緩やかにカーブする凹曲線である上記(14)に記載の液晶表示装置の製造方法。
(16)前記第2基板を用意する工程では、前記第2基板の一部をスクライブすることにより、前記第2領域の各辺と非平行なテーパを有する前記張り出し部を形成する上記(13)に記載の液晶表示装置の製造方法。
(17)前記第2基板を用意する工程では、前記第2基板の一部をスクライブすることにより、方形の面形状を有する前記張り出し部を形成する上記(13)に記載の液晶表示装置の製造方法。
(18)前記第1の封止層を形成する工程では、前記第1の封止層を前記第2基板の面形状の縁に沿って形成し、前記第2の封止層を形成する工程では、前記第2の封止層を、前記張り出し部に対向する領域の一部または全部にわたって形成する上記(13)〜(17)のいずれかに記載の液晶表示装置の製造方法。
(19)前記第2の封止層を形成した後、前記張り出し部の端部と、前記第1および第2の封止層の各一部とを切断する上記(13)〜(18)のいずれかに記載の液晶表示装置の製造方法。
【符号の説明】
【0071】
1…液晶表示パネル、2…液晶表示装置、10…駆動基板、20…対向基板、11A…シール枠、11A1〜11A4…開口部、11B…開口封止部、11B1,11B2…補強用シール部、12A…カラーフィルタ層、12B…遮光層、13…液晶層、10a…端子部、10b…走査線駆動回路、10c…信号線駆動回路、10d…画素部、20a,20a1〜20a4…切り欠き部、20b,20b1〜20b4…張り出し部、30…タイミング制御部、31…バックライト制御部、32…バックライト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を含む表示領域としての第1領域と、前記第1領域の周辺の額縁領域としての第2領域にわたって設けられると共に、前記第2領域よりも外側の第3領域まで延在する第1基板と、
前記第1領域および前記第2領域において前記第1基板に対向配置されると共に、前記第3領域の一部に対向して張り出し部を有する第2基板と、
前記一対の基板間の前記第2領域に、前記第1領域を囲むように設けられると共に、前記第3領域の前記張り出し部に対向する領域に開口部を有する第1の封止層と、
前記一対の基板間の前記第1領域に設けられた液晶層と、
前記第1の封止層の前記開口部を塞ぐ第2の封止層と
を備えた液晶表示装置。
【請求項2】
前記第2基板の前記張り出し部の面形状は曲線部分を有する
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記曲線部分は、前記張り出し部の付け根から前記第3領域の端部に向かって、緩やかにカーブする凹曲線である
請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第2基板の前記張り出し部の面形状は、前記第2領域の各辺と非平行なテーパを有する
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第2基板の前記張り出し部の面形状は方形状である
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1の封止層は、前記第2基板の面形状の縁に沿って設けられ、
前記第2の封止層は、前記張り出し部に対向する領域の一部または全部にわたって設けられている
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第2基板が前記張り出し部を複数有し、
複数の張り出し部のうちの少なくとも1つの張り出し部に対向して、前記第1の封止層における前記開口部および前記第2の封止層が設けられている
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記複数の張り出し部のうちの他の少なくとも1つの張り出し部に対向して、補強用の第3の封止層が設けられている
請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第3の封止層は、前記第1の封止層と連続的に設けられるか、または前記第1の封止層とは独立して設けられている
請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第1基板は、前記複数の画素を駆動する駆動回路を有し、
前記第2基板は、前記第1領域にカラーフィルタ層を有すると共に、前記第2領域および前記第3領域のうちの少なくとも第2領域に遮光層を有し、かつ
前記第1基板の前記第3領域には、電子部品接続用の端子が配設されている
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第2基板が透明基板である
請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記遮光層は前記第2領域にのみ設けられている
請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
複数の画素を含む表示領域としての第1領域と、前記第1領域の周辺の額縁領域としての第2領域にわたって設けられると共に、前記第2領域よりも外側の第3領域まで延在する第1基板を用意する工程と、
前記第1領域および前記第2領域において前記第1基板に対向配置されると共に、前記第3領域の一部に対向して張り出し部を有する第2基板を用意する工程と、
前記一対の基板間の前記第2領域に、前記第1領域を囲むと共に、前記第3領域の前記張り出し部に対向する領域に開口部を有する第1の封止層を形成する工程と、
前記一対の基板間の前記第1領域に液晶層を形成する工程と、
前記第1の封止層の前記開口部を塞ぐ第2の封止層を形成する工程と
を含む液晶表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2基板を用意する工程では、前記第2基板の一部をスクライブすることにより、曲線部分を有する前記張り出し部を形成する
請求項13に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記曲線部分は、前記第2領域の一部から前記第3領域の端部に向かって、緩やかにカーブする凹曲線である
請求項14に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記第2基板を用意する工程では、前記第2基板の一部をスクライブすることにより、前記第2領域の各辺と非平行なテーパを有する前記張り出し部を形成する
請求項13に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記第2基板を用意する工程では、前記第2基板の一部をスクライブすることにより、方形の面形状を有する前記張り出し部を形成する
請求項13に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1の封止層を形成する工程では、前記第1の封止層を前記第2基板の面形状の縁に沿って形成し、
前記第2の封止層を形成する工程では、前記第2の封止層を、前記張り出し部に対向する領域の一部または全部にわたって形成する
請求項13に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記第2の封止層を形成した後、
前記張り出し部の端部と、前記第1および第2の封止層の各一部とを切断する
請求項13に記載の液晶表示装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2013−29631(P2013−29631A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165012(P2011−165012)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(598172398)株式会社ジャパンディスプレイウェスト (90)
【Fターム(参考)】