説明

液晶表示装置

【課題】柱状スペーサを用いてTFT基板と対向基板の間隔を規定する液晶表示装置において、柱状スペーサと配向膜の摩擦によって配向膜が削れて輝点が発生することを防止する。
【解決手段】柱状スペーサ150は、TFT基板100の有機パッシベーション膜101に形成された凹凸台座130と接触し、画素部における対向基板200とTFT基板100との間隔を規定する。凹凸台座130の底面には凹凸が形成され、柱状スペーサ150は2個以上の凸部と接触する。凸部には配向膜105が存在しないので、柱状スペーサ150が横ずれしても配向膜削れを生じない。また、凸部は、有機パッシベーション膜101の凹凸台座130が形成されていない平坦部よりも低いので、液晶表示装置の中央のギャップを周辺のギャップよりも小さくすることが出来、液晶表示装置が温度上昇しても気泡が生じにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係り、特に配向膜の削れ屑に起因する輝点を対策した液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、TFT基板の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成された対向基板が設置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
液晶表示装置では、対向基板とTFT基板における液晶層との界面に配向膜を形成し、配向膜にラビング処理あるいは光配向処理を施すことによって液晶分子を初期配向させている。そして、この初期配向からの液晶分子を電界によって捩るあるいは、回転させることによって、液晶層を透過する光の量を制御している。
【0004】
一方、液晶層の厚さを制御するために、対向基板とTFT基板との間にスペーサを形成する必要がある。従来は、スペーサとしてビーズ等を液晶層内に分散していたが、近年、TFT基板と対向基板間の、より正確なギャップ(液晶層)の制御のために、対向基板に柱状スペーサを形成し、柱状スペーサによって、TFT基板と対向基板のギャップを制御することが行われている。
【0005】
一方、柱状スペーサを用いることによって新たな問題も生ずる。例えば、「特許文献1」には、対向基板を外部から押した場合に柱状スペーサがずれる場合の摩擦力を低減し、外部からの圧力が無くなった場合に、柱状スペーサがもとの場所に容易に復帰できる構成が記載されている。「特許文献1」には、このために、TFT基板に形成する台座として、柱状スペーサの先端の面積よりも小さな面積を有する台座を形成することが開示されている。また、柱状スペーサが横ずれした場合に、配向膜削れが発生する問題も生じている。配向膜削れ、あるいは、柱状スペーサについてのその他の文献として「特許文献2」〜「特許文献7」が挙げられる。尚、特許文献1には対応米国特許として7、684、003号が、特許文献4には対応米国公開として2009/0059155が、特許文献5には、対応米国公開として2011/0080548が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−164134号公報
【特許文献2】特開2007−328247号公報
【特許文献3】特開2008−170690号公報
【特許文献4】特開2009−58618号公報
【特許文献5】特開2009−282262号公報
【特許文献6】特開2010−8616号公報
【特許文献7】特開2010−107549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般には柱状スペーサは対向基板に設けられる。一方、TFT基板には、柱状スペーサと対向する部分に台座が設けられる。ここで、台座とは、TFT基板側に形成された突起状のもののみでなく、柱状スペーサと対向する部分が平坦、あるいは、凹部が形成されている場合も含むものとする。すなわち、本明細書では、台座とは、柱状スペーサと対向するTFT基板側の構造をいう。
【0008】
液晶表示装置においては、対向基板とTFT基板における液晶層と接する面には、配向膜が形成されている。対向基板においては、柱状スペーサは、比較的高いので、柱状スペーサの先端に配向膜が形成されることは少ない。一方、TFT基板においては、台座は柱状スペーサに比べて低いので、台座の表面にも配向膜が形成される。配向膜が形成された台座の表面に柱状スペーサが接すると、台座表面の配向膜が削れる。
【0009】
つまり、液晶表示装置が温度サイクル等を受けTFT基板と対向基板とが異なる割合で伸縮したり、対向基板が外部から圧力を受けたりすると、柱状スペーサが横ズレを生じ、このとき、台座上の配向膜を削る。この削られた配向膜の削り屑が液晶層に混入すると、輝点が発生し、画質を劣化させる。
【0010】
本発明の課題は、柱状スペーサに起因する配向膜の削れを対策して、輝点の発生を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を克服するものであり、代表的な手段は次のとおりである。すなわち、有機パッシベーション膜を有するTFT基板と対向基板とが周辺に形成されたシール材によって接着し、内部に液晶が注入された液晶表示装置であって、前記TFT基板と対向基板との間隔は対向基板に形成された柱状スペーサによって規定され、前記TFT基板には画素領域において、平坦部と前記柱状スペーサと対向する凹凸台座が形成され、前記凹凸台座の底面は、凸部と凹部が形成され、前記凸部の先端は、前記平坦部よりも低く、前記凸部に存在する配向膜の膜厚は、前記凹部に存在する配向膜の膜厚よりも小さく、前記柱状スペーサの先端は前記凹凸台座の底面に形成された2個以上の凸部と接触し、前記凹凸台座の底面の面積は、前記柱状スペーサの先端の面積よりも大きいことを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、柱状スペーサを有し、光配向膜を用いた液晶表示装置において、柱状スペーサによる配向膜の削れを防止することが出来るので、液晶表示装置の製造歩留まりを向上させることが出来る。また、出荷後の温度サイクル、あるいは対向基板に対する外部からの圧力に起因して、柱状スペーサが横ずれすることによる配向膜削れを防止することが出来るので、市場不良の発生を防止することが出来る。
【0013】
滴下方式によって、液晶を注入する方式の液晶表示装置では、柱状スペーサの数が少なく、1個当たりの柱状スペーサと台座との間に対するストレスが大きいが、本発明によれば、このような、柱状スペーサと接する台座には、配向膜が存在しないか、他の部分よりも薄いので、配向膜削れの発生を防止することが出来、輝点の発生を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明における、液晶表示装置の断面図である。
【図2】本発明に対する比較例の液晶表示装置の断面図である。
【図3】TFT基板および対向基板が内側に凸となった形状を示す液晶表示装置の断面図である。
【図4】凹凸台座の底面に形成された凸部の例を示す斜視図である。
【図5】凹凸台座の底面に形成された凸部の傾斜角度を定義する断面模式図である。
【図6】凹凸台座の底面に形成された凸部と柱状スペーサが接触している状態を示す断面図である。
【図7】凹凸台座が形成される領域を示す平面図である。
【図8】実施例2による、凹凸台座の底面の形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明による液晶表示装置の断面図である。図2は、比較例としての液晶表示装置の模式断面図である。図2についてまず説明する。図2において、TFT基板100の上に有機パッシベーション膜101が形成されている。有機パッシベーション膜101は平坦化膜としての役割も有しているので、1.5〜2μm程度と、厚く形成される。図2において、実際は、ガラスで形成されたTFT基板100と有機パッシベーション膜101との間には、配線、電極、半導体膜、ゲート絶縁膜、無機パッシベーション膜等が形成されているが、図2は模式図なので、これらの層は省略されている。
【0016】
有機パッシベーション膜101は、それ自体が感光性樹脂で形成され、フォトレジストを使用せずにパターニングすることが出来る。有機パッシベーション膜101には、露光、ハーフ露光等を用いて、孔あるいは、凹部が形成されている。TFT基板100と対向基板200とを貼り合わせるシール材140が形成する部分からは、有機パッシベーション膜101は除去されている。また、対向基板200に形成された柱状スペーサ150が対向する部分において、TFT基板100には凹台座120が形成されている。凹台座120は、TFT基板100において、柱状スペーサ150が接する部分では凹となっており、他の部分に比較して低くなっている。
【0017】
このように凹台座120を形成する理由は、図3に示すように、通常状態においては、TFT基板100あるいは対向基板200を内側に凸の状態に保つためである。例えば、図3のような構造において、温度が上昇してTFT基板100あるいは対向基板200が熱膨張した場合であっても、熱膨張によるストレスは、図3のFで示すような方向であり、TFT基板100と対向基板200との間に隙間を生ずるような方向ではない。したがって、TFT基板100あるいは対向基板200が熱膨張しても液晶層内に気泡が発生することは無い。
【0018】
図2に戻り、図2のシール材140の内側における画素領域DIでは、凹台座120が形成され、シール材140の外側PEにおいては、平坦台座110が形成されているので、画素領域DIでは、TFT基板100と対向基板200とのギャップが小さくなっている構成であり、液晶表示装置としては、図3に示すような形状となっている。
【0019】
通常は、TFT基板100の有機パッシベーション膜101の上には、対向電極、層間絶縁膜、画素電極等が形成されているが、図2は模式図なので、これらの層は省略されている。したがって、図2では、有機パッシベーション膜101の上に配向膜105が形成されている。配向膜105は、塗布した時点では液体であるので、レベリング効果によって、低い部分に厚くたまる。つまり、図2に示す凹台座120にも配向膜105は比較的厚く形成されている。なお、シール材140が形成されている部分には配向膜105は塗布されていない。シール部140に配向膜105存在すると、シール材140と基板との接着力が低下するから、シール部140においては、ストッパー等を用いて、配向膜105のシール材140への付着を防止している。
【0020】
図2において、対向基板200側には、オーバーコート膜201が形成され、柱状スペーサ150はオーバーコート膜201に形成されている。一般には、オーバーコート膜201と対向基板200の間にはカラーフィルタおよびブラックマトリクスが形成されているが、図2は、模式図なので、これらの膜は省略されている。オーバーコート膜101の上に配向膜105が形成されている。図2においては、柱状スペーサ150の先端には、配向膜105は形成されていない。柱状スペーサ150は比較的高いので、先端には塗布時は液体である配向膜105がたまりにくいからである。対向基板200側においても、シール部140には、配向膜105が形成されていないことは、TFT基板100と同様である。
【0021】
図2において、TFT基板100の凹台座120の部分に対向基板の柱状スペーサ150が対向して配置しているが、凹台座120には、配向膜105が存在している。このために、柱状スペーサ150が横ズレ等を起こすと配向膜105が削れ、配向膜屑が発生し、輝点の原因となる。以下の実施例で示す本発明では、画素領域DIに凹台座120を有する液晶表示装置において、配向膜105の削れを防止することができる。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明による液晶表示装置の断面図である。図1の基本的な構成は、図2と同様である。すなわち、図3に示すように、TFT基板100および対向基板200を内側に凸となるように、画素領域において、有機パッシベーション膜101に凹台座を形成し、TFT基板100と対向基板200間のギャップを画素部において、周辺よりも小さくしている。
【0023】
図1が図2と異なる点は、図1においては、凹台座の底部に凹凸を形成することによって、柱状スペーサ150による配向膜削れを防止している点である。以後、図1における台座を凹凸台座130と称する。すなわち、凹凸台座130は有機パッシベーション膜101に形成した凹台座120の底面に凹凸を形成したものである。
【0024】
図1において、凹凸台座130の底辺は、凸部131と凹部132が形成されているが、対向基板200に形成された柱状スペーサ150は、凹凸台座130の凸部(後述の図4の131に対応)にのみ接触している。液晶表示装置の断面形状を図3に示すような形状とするためには、凹凸台座130の底面の凸部131の高さは、シール材140の外側における、平坦台座110よりも低くなっている。あるいは、凹凸台座130の底面の凸部131の高さは、凹凸台座130と凹凸台座130の間の平坦部よりも低くなっている。
【0025】
凸部131には、レベリング効果によって配向膜105が存在していない、或いは、存在していたとしても図2の凹座部の膜厚よりも極めて薄くなっている。したがって、柱状スペーサ150に横ズレ等が生じても、配向膜105が削れることは無い。一方、凹凸台座130の凹部132には、配向膜105が存在しているが、本発明では、凹凸台座130の凹部132には、柱状スペーサ150は接触しない構成となっている。
【0026】
図4は、凹凸台座130の底辺の形状の模式図であり、凸部131が、底面が円形状である突起の場合の斜視図である。凸部131と凸部131の間が凹部132である。凹凸台座130の底辺には、通常もっと多くの凸部131が形成されているが、図4は底面の1部を示している。
【0027】
図5は、図4のA−A断面図であり、凹凸台座130の底面に形成された凸部131の傾斜角度θの定義を示すものである。図5において、傾斜角度θは、凸部131の頂点と、平坦である凹部132の始まり部分とを結ぶ線と、平坦である凹部132とのなす角度をいう。なお、凹部132が平坦か否かが不明な場合は、凸部131を挟む2個の凹部132を結ぶ線を平坦な線と定義すればよい。
【0028】
凸部131はハーフ露光を用いることによって形成する。すなわち、凸部131は露光量を少なくし、凹部132は露光量を多くすることによって、凹凸台座130の底面に凹凸を形成する。このような、形成方法においては、図5に示すような傾斜角度θを大きく形成することは難しい。一方、θがあまり小さいと、凸部131に配向膜105を形成しないように、十分な凹凸を形成することが困難になる。
【0029】
凹凸の形成プロセスと凹凸のレベリング効果によって、凸部に配向膜105を形成しないようにする条件は、実験によれば、図5のθは3度以上、45度以下が望ましい。θが3度よりも小さい場合は、凸部おいて、配向膜105を薄くする効果は得られなかった。なお、本発明の効果としては、凸部131に配向膜105が完全に無くなる場合のみならず、凸部131において、配向膜が凹部におけるよりも薄くなっていれば、所定の効果を得ることが出来る。θの値は、より好ましくは、6度以上、25度以下である。
【0030】
図6は、凹凸台座の底辺において、柱状スペーサ150が凹凸台座130に接している状態を示す断面図である。図6のTFT基板100において、有機パッシベーション膜101よりも下層は省略されている。有機パッシベーション膜101は1.5μmの厚さで形成されている。有機パッシベーション膜101には凹凸が形成されており、有機パッシベーション膜101の上には、SiNによる層間絶縁膜102が形成されている。
【0031】
層間絶縁膜102の上には、金属によって台座部分特有の金属層103が形成されている。この金属層103は、MoCrによって形成されている。なお、この金属層103は、柱状スペーサ150との接触部分の高さを調整するものであり、場所によっては、必須ではない。金属層103の上には、ITO(Indiumu Tin Oxide)104が77μmの厚さにスパッタリングによって形成されている。このITO104は画素電極のスパッタリングと同時に形成される。ITO膜104の上に配向膜105を形成するが、配向膜105の厚さは、図1における凹凸台座120と凹凸台座130の間の平坦部において、80μmとなるように成膜した。
【0032】
このとき、図6に示す凹凸台座130の底面においては、凸部131には配向膜105が存在せず、凹部132のみに配向膜105が存在している。図6に示すように、柱状スペーサ150の先端は凹凸台座130の底面の凸部131にのみ接するが、柱状スペーサ150が接する凸部131には、配向膜105が存在しないので、仮に柱状スペーサ150が横ズレ等を生じても、配向膜105が削れることは無い。
【0033】
図6において、重要な点は、柱状スペーサ150の先端は、凹凸台座130の底面に形成された、少なくとも2個の凸部131と接触することである。仮に、柱状スペーサ150の先端が1個の凸部131のみと接すると、柱状スペーサ150が傾いて、その一部が配向膜105が厚く形成されている凹部132と接触することになるので、配向膜105の削れを生じ易くなる。
【0034】
図6では、柱状スペーサ150の先端は、2個の凸部131と接触しているが、より好ましくは、3個以上の凸部131と接触するのがよい。柱状スペーサ150が、より安定して凸部131とのみ接触できるからである。なお、図6においては、凸部131の先端において、配向膜105は存在しない状態となっているが、配向膜105が完全に無い状態でなく、薄く形成されていた場合であっても、配向膜削れの影響を軽減することが出来る。
【0035】
図7は凹凸台座130が形成される場所の例を示す平面図である。図7において、映像信号線20が縦方向(y方向)に延在し、横方向(x方向)に配列している。走査線10は横方向に延在し、縦方向(y方向)に所定のピッチで配列している。走査線10はTFTのゲート電極を兼用しており、幅が広く形成されている。しかし、映像信号線20との間の容量を低減するために、映像信号線20との交差領域は面積が小さくなるよう切り欠き11が形成されている。
【0036】
TFTのドレイン電極21は映像信号線20と接続しており、ソース電極22との対向部においては、馬蹄形となっていて、ソース電極22の片側を囲む形となっている。ソース電極22は図示しない画素電極と接続している。ドレイン電極21およびソース電極22の下側には図示しない半導体層が形成されている。
【0037】
図7において、凹凸台座130は所定の幅Wをもって横方向に延在している。図7では、横ストライプ状の凹凸台座130は横方向にひとつのみ形成されているが、実際は、縦方向に所定のピッチで配列している。この凹凸台座130の底面は、凹凸台座130の形成されていない平坦部よりも低くなっている。また、凹凸台座130の底面には、図示しない凸部131と凹部132が形成されている。図7において、柱状スペーサ150は映像信号線20と走査線10の交差部分に配置されている。図7において、柱状スペーサ150の先端の面積よりも、凹凸台座130の面積が大きい。したがって、柱状スペーサ150が横ずれを生じても、柱状スペーサ150は、凹凸台座130の凸部131の上のみを動くことが出来る。
【0038】
図7において、凹凸台座130の凸部131は、凹凸台座130の底面の全面に形成されていてもよいし、柱状スペーサ150が横ずれを生ずる可能性のある面積の部分のみに形成してもよい。凹凸台座130底面の凹凸はハーフ露光によって形成されるので、凹凸の形成は、凹凸台座130の底面全体でも、一部でも、プロセス的には大きな差は無い。
【0039】
図7において、凹凸台座130は、横方向に幅Wをもって連続して延在しているが、柱状スペーサ150の周辺のみに島状に形成してもよい。しかし、構造が許せば、図7のような、連続した凹凸台座130のほうが、柱状スペーサ150の配置の自由度を確保することが出来る。
【実施例2】
【0040】
図8は、本発明の第2の実施例による凹凸台座130の底面の形状を示す斜視図である。図8において、凹凸台座130の底面の凹凸が1方向(x方向)にのみ形成されている。つまり、図8においては、横方向(x方向)には凹凸が所定のピッチPによって連続して形成され、縦方向(y方向)には凸部131の尾根が形成されている。図8の形状においても、凸部131には配向膜105は存在せず、配向膜105は、凹部132に厚く形成されている状態である。
【0041】
図8において、柱状スペーサ150は、凸部131に接触しているが、凸部131には、配向膜105が存在していないので、仮に柱状スペーサ150が横ずれを起こしても配向膜105が削れるということは無い。図8において、柱状スペーサ150が傾いて、配向膜105が厚く形成されている凹部132に接触しないようにするためには、柱状スペーサ150は、少なくとも2個の凸部131と接触する必要がある。つまり、図8において、柱状スペーサ150の先端部の径は、x方向に少なくとも2個の凸部131と接触するだけの幅が必要である。好ましくは、柱状スペーサ150の先端部の径は、x方向に3個以上の凸部131と接触することが好ましい。
【0042】
図8における凸部131の断面の形状における傾斜角θは、図5に示した、断面が円形の場合の凸部131の場合と同様である。すなわち、図7におけるx方向の断面が図5の断面となる。つまり、本実施例においても、凹凸の形成プロセスと、凹凸のレベリング効果によって、凸部131に配向膜105を形成しないようにすることを勘案した条件は、図5のθは3度以上、45度以下が望ましい。θが3度よりも小さい場合は、凸部131おいて、配向膜105を薄くする効果は得られなかった。なお、本発明の効果としては、凸部131に配向膜105が完全に無くなる場合のみならず、凸部131において、配向膜105が凹部132におけるよりも薄くなっていれば、所定の効果を得ることが出来る。θの値は、より好ましくは、6度以上、25度以下である。
【0043】
図8において、凹凸台座130の底面における凸部131の延在方向すなわち尾根131の延在方向は、y方向、つまり、図7の幅W方向である。しかし、図8における尾根131の延在方向は、y方向に限らず、x方向でもよい。この場合、図7に示す横方向に延在する凹凸台座130の底面に横に長い尾根131が形成され、この尾根131が縦方向に所定のにピッチで形成されることになる。
【0044】
さらに、凹凸台座131の底面に形成される尾根131は、x方向、y方向のみならず、x方向およびy方向に対して所定の角度を有していてもよい。尾根131の方向がいずれの方向であっても、柱状スペーサ150の先端が、2以上の尾根131と接すること、より好ましくは、3個以上の尾根131と接することが重要である。この場合柱状スペーサ150の先端部は、尾根の延在方向と直角方向において、2個以上、好ましくは3個以上の尾根を接する必要がある。
【0045】
ところで、液晶表示装置において、液晶を注入する方法には、液晶表示装置の内部を真空にして注入孔から液晶を注入する方法(真空注入法)と、対向基板の周囲にシール材を形成し、内部に液晶を滴下する方法(滴下方法、ODF、One Drop Fill)がある。このうち、滴下方法は、滴下する液晶量を正確に制御する必要がある。対向基板200に形成される柱状スペーサ150の数が多いと、滴下液晶量の制御が難しくなることと、柱状スペーサ150間のばらつきによってTFT基板100と対向基板200との間隔の制御が困難になる。
【0046】
したがって、滴下方式においては、柱状スペーサ150の数が真空注入法の場合に比較して少ない。そうすると、液晶表示装置が熱サイクルを受けた場合、あるいは、外部から圧力が加わった場合等に、1個当たりの柱状スペーサ150にかかるストレスおよび歪が大きくなる。つまり、柱状スペーサ150の横ずれの量が大きくなる。つまり、滴下方式の場合は、配向膜削れの生ずる機会がより多い。
【0047】
したがって、本発明を滴下方式によって液晶を注入する方式の液晶表示装置に適用することによって特に効果を上げることが出来る。
【符号の説明】
【0048】
10…走査線、 11…切り欠き、 20…映像信号線、 21…ドレイン電極、 22…ソース電極、 100…TFT基板、 101…有機パッシベーション膜、 102…層間絶縁膜、 103…台座金属、 104…ITO、 105…配向膜、 110…平坦台座、 120…凹台座、 130…凹凸台座、 131…凸部、 132…凹部、 140…シール材、 150…柱状スペーサ、 200…対向基板、 201…オーバーコート膜、 210…液晶。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機パッシベーション膜を有するTFT基板と対向基板とが周辺に形成されたシール材によって接着し、内部に液晶が注入された液晶表示装置であって、
前記TFT基板と対向基板との間隔は対向基板に形成された柱状スペーサによって規定され、
前記TFT基板には画素領域において、前記柱状スペーサと対向する凹凸台座が形成され、
前記凹凸台座の底面は、凸部と凹部が形成され、前記凸部の先端は、前記平坦部よりも低く、
前記凸部に存在する配向膜の膜厚は、前記凹部に存在する配向膜の膜厚よりも小さく、
前記柱状スペーサの先端は前記凹凸台座の底面に形成された2個以上の凸部と接触し、
前記凹凸台座の底面の面積は、前記柱状スペーサの先端の面積よりも大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記柱状スペーサの先端は前記凹凸台座の底面に形成された3個以上の凸部と接触していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記凸部の断面形状における傾斜部の傾斜角度は、6度以上で25度以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記凸部の断面形状における傾斜部の傾斜角度は、3度以上で45度以下であることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記TFT基板と前記対向基板との間隔は、液晶表示装置の周辺よりも中央において小さいことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記液晶は、滴下方式によって充填されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
有機パッシベーション膜を有するTFT基板と対向基板とが周辺に形成されたシール材によって接着し、内部に液晶が注入された液晶表示装置であって、
前記TFT基板と対向基板との間隔は対向基板に形成された柱状スペーサによって規定され、
前記TFT基板の画素領域には、前記柱状スペーサと対向する凹凸台座が形成され、
前記凹凸台座の底面は、所定の方向に延在する凸部によって形成された尾根部と、前記尾根部と前記尾根部の間に形成される凹部が形成され、前記尾根部の先端は、前記平坦部よりも低く、
前記尾根部に存在する配向膜の膜厚は、前記凹部に存在する配向膜の膜厚よりも小さく、
前記柱状スペーサの先端は前記凹凸台座の底面に形成された2個以上の尾根部と接触し、
前記凹凸台座の底面の面積は、前記柱状スペーサの先端の面積よりも大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
前記柱状スペーサの先端は前記凹凸台座の底面に形成された3個以上の尾根部と接触していることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−255906(P2012−255906A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128815(P2011−128815)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】