説明

液晶表示装置

【課題】表示品位の劣化を抑制する液晶表示装置を提供する。
【解決手段】マトリクス状に配置された複数の画素PXを含むアクティブエリアACTと、画素PXに配置された画素電極PEと、画素電極PE上に配置され配向処理が成された第1配向膜AL1と、を備えた第1基板ARと、画素電極PEを挟んだ両側に配置された共通電極CEと、共通電極CE上に配置され配向処理が成された第2配向膜AL2と、を備えた第2基板CTと、第1基板ARと第2基板CTとの間に保持された液晶分子LMを含む液晶層LQと、を備え、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との配向処理方向は互いに平行であって、画素電極PEおよび共通電極CEは、配向処理方向に対して鋭角に傾いた方向に延びている液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力等の利点から特に注目を集めている。特に、各画素にスイッチング素子を組み込んだアクティブマトリクス型液晶表示装置においては、IPS(In-Plane Switching)モードや、FFS(Fringe Field Switching)モードなどの横電界(フリンジ電界も含む)を利用した構造が注目されている。
【0003】
この横電界を利用した液晶表示装置は、液晶層を挟持する基板間で液晶分子が捻れていないホモジニアス構造をとる液晶表示パネルを備えている。この液晶表示パネルは、同一基板上に形成された画素電極と共通電極とを備え、基板の主面に対してほぼ平行な水平電界で液晶分子をスイッチングする。また、液晶表示パネルは、それぞれの外面に互いに偏向軸方向が直交するように配置された偏光板を備えている。一方の偏光板は、その偏光軸が一方の基板に接している液晶分子の長軸方向と平行または直交するように配置されている。
【0004】
横電界を利用する液晶表示装置は、このような偏光板の配置により、電圧無印加時に黒色画面を表示し、映像信号に対応した電圧を画素電極に印加することにより徐々に光透過率が増加して白色画面を表示する。このような表示特性が得られるのは、以下のような原理に基づく。すなわち、画素電極と共通電極との間に形成される水平電界により、液晶分子が水平電界の向きに配列しようとして基板主面とほぼ平行な平面内で回転する。このような液晶分子の配列状態により、液晶パネルを通過する光の偏光状態が変わる。これにより、偏光板を通過する、すなわち、液晶表示パネルを透過する光の透過率が変調される。
【0005】
液晶表示パネル内において、液晶分子の配列状態が同じであっても、液晶表示パネルに入射する光の入射方向によって透過光の偏光状態は変化する。このため、入射方向に対応して光の透過率が異なる。しかしながら、横電界を利用する液晶表示装置では、液晶分子が基板主面とほぼ平行な平面内で回転するため、透過光の入射方向に対して偏光状態が大きく影響しないので、視野角依存性は小さく、広い視野角特性を有するといった特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭63−021907号公報
【特許文献2】特開平6−160878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
横電界を利用する液晶表示装置において、画素電極及び共通電極上では電圧印加時に暗線部分となるため電極の配置位置によって透過率が低下して表示品位が劣化することがあった。
【0008】
また、電圧印加時の液晶分子の方位角が2種類以下の場合は低階調側で階調反転することがあり、方位角方向を多くするために画素電極、共通電極を屈曲させる方法もあるが透過率が低下して表示品位が劣化することがあった。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みて成されたものであって、表示品位の劣化を抑制する液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態によれば、マトリクス状に配置された複数の画素を含むアクティブエリアと、前記画素に配置された画素電極と、前記画素電極上に配置され配向処理が成された第1配向膜と、を備えた第1基板と、前記画素電極を挟んだ両側に配置された共通電極と、前記共通電極上に配置され配向処理が成された第2配向膜と、を備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、を備え、前記第1配向膜と前記第2配向膜との配向処理方向は互いに平行であって、前記画素電極および前記共通電極は、前記配向処理方向に対して鋭角に傾いた方向に延びている液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施形態における液晶表示装置の構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶表示パネルを対向基板側から見たときの一画素の構造例を概略的に示す平面図である。
【図3】図3は、図2に示した液晶表示パネルをIII−III線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図である。
【図4】図4は、比較例の液晶表示装置の液晶表示パネルを対向基板側から見たときの一画素の構造例を概略的に示す平面図である。
【図5】図5は、図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの他の構造例を概略的に示す平面図である。
【図6】図6は、図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの他の構造例を概略的に示す平面図である。
【図7】図7は、比較例の液晶表示装置と、上述の実施形態の液晶表示装置とについて、階調反転と透過率とを評価した結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1は、第1本実施形態における液晶表示装置の構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【0014】
すなわち、液晶表示装置は、アクティブマトリクスタイプの液晶表示パネルLPNを備えている。液晶表示パネルLPNは、第1基板であるアレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向して配置された第2基板である対向基板CTと、これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された液晶層LQと、を備えている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示するアクティブエリアACTを備えている。このアクティブエリアACTは、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている(但し、m及びnは正の整数である)。
【0015】
液晶表示パネルLPNは、アクティブエリアACTにおいて、n本のゲート配線G(G1〜Gn)、n本の補助容量線C(C1〜Cn)、m本のソース配線S(S1〜Sm)などを備えている。ゲート配線G及び補助容量線Cは、例えば、第1方向Xに沿って略直線的に延出している。これらのゲート配線G及び補助容量線Cは、第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って交互に並列配置されている。ここでは、第1方向Xと第2方向Yとは互いに略直交している。ソース配線Sは、ゲート配線G及び補助容量線Cと交差している。ソース配線Sは、第2方向Yに沿って略直線的に延出している。なお、ゲート配線G、補助容量線C、及び、ソース配線Sは、必ずしも直線的に延出していなくても良く、それらの一部が屈曲していてもよい。
【0016】
各ゲート配線Gは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ゲートドライバGDに接続されている。各ソース配線Sは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ソースドライバSDに接続されている。これらのゲートドライバGD及びソースドライバSDの少なくとも一部は、例えば、アレイ基板ARに形成され、コントローラを内蔵した駆動ICチップ2と接続されている。
【0017】
各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CEなどを備えている。保持容量Csは、例えば補助容量線Cと画素電極PEとの間に形成される。補助容量線Cは、補助容量電圧が印加される電圧印加部VCSと電気的に接続されている。
【0018】
なお、本実施形態においては、液晶表示パネルLPNは、画素電極PEがアレイ基板ARに形成される一方で共通電極CEの少なくとも一部が対向基板CTに形成された構成であり、これらの画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界を主に利用して液晶層LQの液晶分子をスイッチングする。画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界は、第1方向Xと第2方向Yとで規定されるX−Y平面あるいは基板主面に対してわずかに傾いた斜め電界(あるいは、基板主面にほぼ平行な横電界)である。
【0019】
スイッチング素子SWは、例えば、nチャネル薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。このスイッチング素子SWは、ゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されている。このようなスイッチング素子SWは、トップゲート型あるいはボトムゲート型のいずれであっても良い。また、スイッチング素子SWの半導体層は、例えば、ポリシリコンによって形成されているが、アモルファスシリコンによって形成されていても良い。
【0020】
画素電極PEは、各画素PXに配置され、スイッチング素子SWに電気的に接続されている。共通電極CEは、液晶層LQを介して複数の画素PXの画素電極PEに対して共通に配置されている。このような画素電極PE及び共通電極CEは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する導電材料によって形成されているが、アルミニウムなどの他の金属材料によって形成されても良い。
【0021】
アレイ基板ARは、共通電極CEに電圧を印加するための給電部COMを備えている。この給電部COMは、例えば、アクティブエリアACTの外側に形成されている。共通電極CEは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、図示しない導電部材を介して、給電部COMと電気的に接続されている。
【0022】
図2は、図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。ここでは、X−Y平面における平面図を示している。
【0023】
図示した画素PXは、破線で示したように、第1方向Xに沿った長さが第2方向Yに沿った長さよりも短い長方形状である。ゲート配線G1及びゲート配線G2は、第1方向Xに沿って延出している。補助容量線C1は、隣接するゲート配線G1とゲート配線G2との間に配置され、第1方向Xに沿って延出している。ソース配線S1及びソース配線S2は、第2方向Yに沿って延出している。画素電極PEは、隣接するソース配線S1とソース配線S2との間に配置されている。また、この画素電極PEは、ゲート配線G1とゲート配線G2との間に位置している。
【0024】
図示した例では、画素PXにおいて、ソース配線S1は左側端部に配置され、ソース配線S2は右側端部に配置されている。厳密には、ソース配線S1は当該画素PXとその左側に隣接する画素との境界に跨って配置され、ソース配線S2は当該画素PXとその右側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。また、画素PXにおいて、ゲート配線G1は上側端部に配置され、ゲート配線G2は下側端部に配置されている。厳密には、ゲート配線G1は当該画素PXとその上側に隣接する画素との境界に跨って配置され、ゲート配線G2は当該画素PXとその下側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。補助容量線C1は、画素の略中央部に配置されている。
【0025】
スイッチング素子SWは、図示した例では、ゲート配線G1及びソース配線S1に電気的に接続されている。このスイッチング素子SWは、ゲート配線G1とソース配線S1の交点に設けられ、そのドレイン配線はソース配線S1及び補助容量線C1に沿って延長され、補助容量線C1と重なる領域に形成されたコンタクトホールCHを介して画素電極PEと電気的に接続されている。このようなスイッチング素子SWは、ソース配線S1及び補助容量線C1と重なる領域に設けられ、ソース配線S1及び補助容量線C1と重なる領域からほとんどはみ出すことはなく、表示に寄与する開口部の面積の低減を抑制している。
【0026】
画素電極PEは、互いに電気的に接続された主画素電極PA及びコンタクト部PCを備えている。
【0027】
主画素電極PAは、コンタクト部PCから画素PXの上側端部付近及び下側端部付近まで、第2方向Y(初期配向方向)から時計回りに鋭角に傾いた方向に沿って直線的に延出している。本実施形態では、主画素電極PAは第2方向Yから時計回りに7°傾いた方向に沿ってコンタクト部PCから延びている。なお、主画素電極PAと第2方向Yとが成す角度は−45°以上45°以下であることが望ましい。
【0028】
このような主画素電極PAは、主画素電極PAが延びる方向と略直交する方向に沿って略同一の幅を有する帯状に形成されている。本実施形態では、主画素電極PAの幅は略10μmである。コンタクト部PCは、補助容量線C1と重なる領域に位置し、コンタクトホールCHを介してスイッチング素子SWと電気的に接続されている。
【0029】
このような画素電極PEは、ソース配線S1とソース配線S2との間に配置されている。
【0030】
共通電極CEは、主共通電極CAを備えている。この主共通電極CAは、X−Y平面内において、主画素電極PAを挟んだ両側で主画素電極PAと略平行な方向に沿って直線的に延出している。すなわち、本実施形態では、主画素電極PAは第2方向Y(初期配向方向)から時計回りに7°傾いた方向に沿って延びている。なお、主共通電極CAと第2方向Yとが成す角度は−45°以上45°以下であることが望ましい。
【0031】
このような主共通電極CAは、主共通電極CAが延びる方向と略直交する方向に沿って略同一の幅を有するように形成されている。本実施形態では、主共通電極CAの幅は略10μmである。
【0032】
図示した例では、主共通電極CAは、第1方向Xに沿って2本平行に並んでおり、画素PXの左右両端部にそれぞれ配置されている。以下では、これらの主共通電極CAを区別するために、図中の左側の主共通電極をCALと称し、図中の右側の主共通電極をCARと称する。主共通電極CALはソース配線S1と交差し、主共通電極CARはソース配線S2と交差している。これらの主共通電極CAL及び主共通電極CARは、アクティブエリア内あるいはアクティブエリア外において互いに電気的に接続されている。
【0033】
画素PXにおいて、主共通電極CALは左側端部に配置され、主共通電極CARは右側端部に配置されている。厳密には、主共通電極CALは当該画素PXとその左側に隣接する画素との境界に跨って配置され、主共通電極CARは当該画素PXとその右側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。
【0034】
画素電極PEと主共通電極CAとの位置関係に着目すると、画素電極PEと主共通電極CAとは、第1方向Xに沿って交互に配置されている。これらの画素電極PEと主共通電極CAとは、互いに略平行に配置されている。このとき、X−Y平面内において、主共通電極CAのいずれも画素電極PEとは重ならない。
【0035】
すなわち、隣接する主共通電極CAL及び主共通電極CARの間には、1本の画素電極PEが位置している。換言すると、主共通電極CAL及び主共通電極CARは、画素電極PEの直上の位置を挟んだ両側に配置されている。あるいは、画素電極PEは、主共通電極CALと主共通電極CARとの間に配置されている。このため、主共通電極CAL、主画素電極PA、及び、主共通電極CARは、第1方向Xに沿ってこの順に配置されている。
【0036】
これらの画素電極PEと共通電極CEとの第1方向Xに沿った間隔は略一定である。すなわち、主共通電極CALと主画素電極PAとの第1方向Xに沿った間隔は、主共通電極CARと主画素電極PAとの第1方向Xに沿った間隔と略同等である。本実施形態では、主画素電極PAと主共通電極CALとの第1方向Xに沿った間隔、および、主画素電極PAと主共通電極CARとの第1方向Xに沿った間隔は、略10μmであって、画素PXの第1方向Xに沿った幅は略40μmである。
【0037】
共通電極CEは、第1方向Xに沿って延びる副共通電極CBをさらに備えている。副共通電極CBは主共通電極CAと同層に配置され、第2方向Yに沿って並ぶ画素PXの上側の画素の主共通電極CARおよび下側の画素の主共通電極CALと電気的に接続している(あるいは一体に形成されている)。副共通電極CBはゲート配線Gと対向するように配置されている。
【0038】
図3は、図2に示した液晶表示パネルLPNをIII−III線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図である。なお、ここでは、説明に必要な箇所のみを図示している。
【0039】
液晶表示パネルLPNを構成するアレイ基板ARの背面側には、バックライト4が配置されている。バックライト4としては、種々の形態が適用可能であり、また、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや冷陰極管(CCFL)を利用したものなどのいずれでも適用可能であり、詳細な構造については説明を省略する。
【0040】
アレイ基板ARは、光透過性を有する第1絶縁基板10を用いて形成されている。ソース配線Sは、第1層間絶縁膜11の上に形成され、第2層間絶縁膜12によって覆われている。なお、図示しないゲート配線や補助容量線は、例えば、第1絶縁基板10と第1層間絶縁膜11の間に配置されている。画素電極PEは、第2層間絶縁膜12の上に形成されている。この画素電極PEは、隣接するソース配線Sのそれぞれの直上の位置よりもそれらの内側に位置している。
【0041】
第1配向膜AL1は、アレイ基板ARの対向基板CTと対向する面に配置され、アクティブエリアACTの略全体に亘って延在している。この第1配向膜AL1は、画素電極PEなどを覆っており、第2層間絶縁膜12の上にも配置されている。このような第1配向膜AL1は、水平配向性を示す材料によって形成されている。本実施形態では、第1配向膜AL1の厚さは略70nmである。
【0042】
なお、アレイ基板ARは、さらに、共通電極CEの一部を備えていても良い。
【0043】
対向基板CTは、光透過性を有する第2絶縁基板20を用いて形成されている。この対向基板CTは、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、共通電極CE、第2配向膜AL2などを備えている。
【0044】
ブラックマトリクスBMは、各画素PXを区画し、画素電極PEと対向する開口部APを形成する。すなわち、ブラックマトリクスBMは、ソース配線S、ゲート配線、補助容量線、スイッチング素子などの配線部に対向するように配置されている。ここでは、ブラックマトリクスBMは、第2方向Yに沿って延出した部分のみが図示されているが、第1方向Xに沿って延出した部分を備えていても良い。このブラックマトリクスBMは、第2絶縁基板20のアレイ基板ARに対向する内面20Aに配置されている。
【0045】
カラーフィルタCFは、各画素PXに対応して配置されている。すなわち、カラーフィルタCFは、第2絶縁基板20の内面20Aにおける開口部APに配置されるとともに、その一部がブラックマトリクスBMに乗り上げている。第1方向Xに隣接する画素PXにそれぞれ配置されたカラーフィルタCFは、互いに色が異なる。例えば、カラーフィルタCFは、赤色、青色、緑色といった3原色にそれぞれ着色された樹脂材料によって形成されている。赤色に着色された樹脂材料からなる赤色カラーフィルタは、赤色画素に対応して配置されている。青色に着色された樹脂材料からなる青色カラーフィルタは、青色画素に対応して配置されている。緑色に着色された樹脂材料からなる緑色カラーフィルタは、緑色画素に対応して配置されている。これらのカラーフィルタCF同士の境界は、ブラックマトリクスBMと重なる位置にある。
【0046】
オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。このオーバーコート層OCは、カラーフィルタCFの表面の凹凸の影響を緩和する。
【0047】
共通電極CEは、オーバーコート層OCのアレイ基板ARと対向する側に形成されている。この共通電極CEと画素電極PEとの第3方向Zに沿った間隔は略一定である。第3方向Zとは、第1方向X及び第2方向Yに直交する方向、あるいは、液晶表示パネルLPNの法線方向である。
【0048】
第2配向膜AL2は、対向基板CTのアレイ基板ARと対向する面に配置され、アクティブエリアACTの略全体に亘って延在している。この第2配向膜AL2は、共通電極CE及びオーバーコート層OCなどを覆っている。このような第2配向膜AL2は、水平配向性を示す材料によって形成されている。本実施形態では、第2配向膜AL2の厚さは、略70nmである。
【0049】
これらの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2には、液晶層LQの液晶分子を初期配向させるための配向処理(例えば、ラビング処理や光配向処理)がなされている。第1配向膜AL1が液晶分子を初期配向させる第1配向処理方向PD1、及び、第2配向膜AL2が液晶分子を初期配向させる第2配向処理方向PD2は、互いに平行であって、互いに逆向きあるいは同じ向きである。例えば、これらの第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2は、図2に示したように、第2方向Yと略平行であって、逆向きである。
【0050】
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、それぞれの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が対向するように配置されている。このとき、アレイ基板ARの第1配向膜AL1と対向基板CTの第2配向膜AL2との間には、例えば、樹脂材料によって一方の基板に一体的に形成された柱状スペーサにより、所定のセルギャップ、例えば2〜7μmのセルギャップが形成される。本実施形態では、アレイ基板ARと対向基板CTとのセルギャップは4μmである。アレイ基板ARと対向基板CTとは、所定のセルギャップが形成された状態で、アクティブエリアACTの外側のシール材SBによって貼り合わせられている。
【0051】
液晶層LQは、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に形成されたセルギャップに保持され、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に配置されている。このような液晶層LQは、例えば、誘電率異方性が正(ポジ型)の液晶材料によって構成されている。
【0052】
アレイ基板ARの外面、つまり、アレイ基板ARを構成する第1絶縁基板10の外面10Bには、第1光学素子OD1が接着剤などにより貼付されている。この第1光学素子OD1は、液晶表示パネルLPNのバックライト4と対向する側に位置しており、バックライト4から液晶表示パネルLPNに入射する入射光の偏光状態を制御する。この第1光学素子OD1は、第1偏光軸(あるいは第1吸収軸)を有する第1偏光板PL1を含んでいる。
【0053】
対向基板CTの外面、つまり、対向基板CTを構成する第2絶縁基板20の外面20Bには、第2光学素子OD2が接着剤などにより貼付されている。この第2光学素子OD2は、液晶表示パネルLPNの表示面側に位置しており、液晶表示パネルLPNから出射した出射光の偏光状態を制御する。この第2光学素子OD2は、第2偏光軸(あるいは第2吸収軸)を有する第2偏光板PL2を含んでいる。
【0054】
第1偏光板PL1の第1偏光軸と、第2偏光板PL2の第2偏光軸とは、例えば、直交する位置関係(クロスニコル)にある。このとき、一方の偏光板は、例えば、その偏光軸が液晶分子の初期配向方向つまり第1配向処理方向PD1あるいは第2配向処理方向PD2と平行または直交するように配置されている。初期配向方向が第2方向Yと平行である場合、一方の偏光板の偏光軸は、第2方向Xと平行、あるいは、第1方向Xと平行である。
【0055】
例えば、第1偏光板PL1は、その第1偏光軸が液晶分子LMの初期配向方向(第2方向Y)に対して直交する(つまり、第1方向Xに平行となる)ように配置され、また、第2偏光板PL2は、その第2偏光軸が液晶分子LMの初期配向方向に対して平行となる(つまり、第2方向Yと平行となる)ように配置されてもよい。
【0056】
また、例えば、第2偏光板PL2は、その第2偏光軸が液晶分子LMの初期配向方向(第2方向Y)に対して直交する(つまり、第1方向Xに平行となる)ように配置され、また、第1偏光板PL1は、その第1偏光軸が液晶分子LMの初期配向方向に対して平行となる(つまり、第2方向Yと平行となる)ように配置されてもよい。
【0057】
次に、上記構成の液晶表示パネルLPNの動作について、図2及び図3を参照しながら説明する。なお、図2では、液晶分子LMの長軸のZ方向における向きを説明するために、液晶分子LMの視点に近い方を底面とした円錐形状で示しているが、実際の形状とは異なっている。
【0058】
すなわち、液晶層LQに電圧が印加されていない状態、つまり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差(あるいは電界)が形成されていない状態(OFF時)には、液晶層LQの液晶分子LMは、その長軸が第1配向膜AL1の第1配向処理方向PD1及び第2配向膜AL2の第2配向処理方向PD2を向くように配向している。このようなOFF時が初期配向状態に相当し、OFF時の液晶分子LMの配向方向が初期配向方向に相当する。
【0059】
なお、厳密には、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているとは限らず、プレチルトしている場合が多い。このため、ここでの液晶分子LMの初期配向方向とは、OFF時の液晶分子LMの長軸をX−Y平面に正射影した方向である。以下では、説明を簡略にするために、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているものとし、X−Y平面と平行な面内で回転するものとして説明する。
【0060】
ここでは、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2は、ともに第2方向Yと略平行な方向である。OFF時においては、液晶分子LMは、図2に破線で示したように、その長軸が第2方向Yと略平行な方向に初期配向する。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yと平行(あるいは、第2方向Yに対して0°)である。
【0061】
図2に示すように、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2が互いに平行且つ逆向きである場合、液晶層LQの断面において、液晶分子LMは、第1配向膜AL1の近傍、第2配向膜AL2の近傍、及び、液晶層LQの中間部において略均一なプレチルト角を持って配向する(ホモジニアス配向)。
【0062】
第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2が平行且つ同じ向きである場合、液晶層LQの断面において、液晶分子LMは、液晶層LQの中間部付近で略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向し、ここを境界として第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する(スプレイ配向)。
【0063】
ここで、第1配向膜AL1を第1配向処理方向PD1に配向処理した結果、第1配向膜AL1の近傍における液晶分子LMは第1配向処理方向PD1に初期配向され、第2配向膜AL2を第2配向処理方向PD2に配向処理した結果、第2配向膜AL2の近傍における液晶分子LMは第2配向処理方向PD1に初期配向される。そして、第1配向処理方向PD1と第2配向処理方向PD2は互いに平行で且つ同じ向きである場合には、上述のように液晶分子LMはスプレイ配向になり、上記したように液晶層LQの中間部を境界として、アレイ基板AR上の第1配向膜AL1の近傍での液晶分子LMの配向と対向基板CT上の第2配向膜AL2の近傍での液晶分子LMの配向は、上下で対称となる。このため、基板の法線方向から傾いた方向においても光学的に補償される。したがって、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2が互いに平行、且つ、同じ向きである場合には、黒表示の場合に光漏れが少なく、高コントラスト比を実現することができ、表示品位を向上することが可能となる。
【0064】
バックライト4からのバックライト光は、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶表示パネルLPNに入射した光の偏光状態は、液晶層LQを通過する際に液晶分子LMの配向状態によって異なる。OFF時においては、液晶層LQを通過した光は、第2偏光板PL2によって吸収される(黒表示)。
【0065】
一方、液晶層LQに電圧が印加された状態、つまり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差(あるいは電界)が形成された状態(ON時)では、画素電極PEと共通電極CEとの間に基板と略平行な横電界(あるいは斜め電界)が形成される。液晶分子LMは、電界の影響を受け、その長軸が図2中の実線で示したようにX−Y平面と略平行な平面内で回転する。
【0066】
図2に示した例では、画素電極PEと主共通電極CALとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して反時計回りに回転し、図中の左上を向くように配向する。画素電極PEと主共通電極CARとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して時計回りに回転し、図中の右下を向くように配向する。主画素電極PAの近傍の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して時計回りに回転し、主画素電極PAと略平行に配向する。主共通電極CAL、CARの近傍の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して時計回りに回転し、主共通電極CAL、CARと略平行に配向する。
【0067】
このように、各画素PXにおいて、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成された状態では、液晶分子LMの配向方向は、画素電極PEと重なる位置を境界として複数の方向に分かれ、それぞれの配向方向でドメインを形成する。つまり、一画素PXには、複数のドメインが形成される。
【0068】
このようなON時には、バックライト4から液晶表示パネルLPNに入射したバックライト光は、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶層LQに入射したバックライト光は、その偏光状態が変化する。このようなON時においては、液晶層LQを通過した少なくとも一部の光は、第2偏光板PL2を透過する(白表示)。
【0069】
すなわち、本実施形態では、ON時において、主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CAR近傍の領域内の液晶分子LMが初期配向方向と異なる方向に配向することになるため、白表示時において主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CARが暗線となることがない。
【0070】
図4は、比較例の液晶表示装置の液晶表示パネルを対向基板側から見たときの一画素の構造例を概略的に示す平面図である。ここでは、図2と同様に、X−Y平面における平面図を示している。なお、以下の比較例の説明において上述の第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
この比較例では、主画素電極PAと主共通電極CAとは、第2方向Y(初期配向方向)に沿って延びて第1方向Xにおいて交互に配置されている。主画素電極PAの第1方向Xにおける幅は略10μmである。主共通電極CAL、CARの第1方向Xにおける幅は略10μmである。主共通電極CAL、CARはソース配線Sと対向して配置されている。第1方向Xにおける主画素電極PAと主共通電極CARとの間隔、および、主画素電極PAと主共通電極CALとの間隔は、略10μmである。画素PXの第1方向Xにおける幅は略40μmである。
【0072】
この比較例の液晶表示装置は上記主画素電極PAと主共通電極CAとの構成以外は上述の第1実施形態の液晶表示装置と同様である。
【0073】
図4に示す場合では、OFF時においては、液晶分子LMは、図2に示した場合と同様に、その長軸が第2方向Yと略平行な方向に初期配向する。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yと平行(あるいは、第2方向Yに対して0°)である。
【0074】
一方、ON時では、画素電極PEと共通電極CEとの間に基板と略平行な横電界(あるいは斜め電界)が形成される。液晶分子LMは、電界の影響を受け、その長軸が図4中の実線で示したようにX−Y平面と略平行な平面内で回転する。
【0075】
図4に示した例では、画素電極PEと主共通電極CALとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して反時計回りに回転し、図中の左上を向くように配向する。画素電極PEと主共通電極CARとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して時計回りに回転し、図中の右上を向くように配向する。主画素電極PA近傍の領域内の液晶分子LMは、画素電極PEの主画素電極PAと略平行、すなわち第2方向Yに沿って配向する。主共通電極CAL、CAR近傍の領域の液晶分子LMは、主共通電極CAL、CARと略平行、すなわち、第2方向Yに沿って配向する。
【0076】
したがって、ON時において、主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CAR近傍の液晶分子LMの配向方向は初期配向方向と同じであり、主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CAR上は暗線となる。
【0077】
図7は、比較例の液晶表示装置と、上述の第1実施形態の液晶表示装置とについて、階調反転と透過率とを評価した結果の一例を示す図である。図7では、比較例の液晶表示装置における透過率を1.00として、複数の実施形態の液晶表示装置の液晶表示装置の透過率を示している。
【0078】
第1実施形態の液晶表示装置は、上記比較例の液晶表示装置と比較して透過率が1.02となり、透過率が改善された。一方で、第1実施形態の液晶表示装置では、比較例の液晶表示装置と同様に階調反転が生じた。
【0079】
これは、第1実施形態の液晶表示装置において、ON時に、主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CAR近傍の領域内の液晶分子LMが初期配向方向と異なる方向に配向し、白表示時において主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CARが暗線とならないことにより、比較例よりも画素PXのソース配線S近傍の領域の透過率が改善されたことに起因するものと考えられる。
【0080】
すなわち、本実施形態によれば、透過率を改善し、表示品位の劣化を抑制した液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0081】
次に、第2実施形態の液晶表示装置について図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0082】
図5は、図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの他の構造例を概略的に示す平面図である。ここでは、X−Y平面における平面図を示している。
【0083】
本実施形態では、第1画素において主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CARが配向処理方向(第2方向Y)に対して傾いた方向と、配向処理方向に第1画素と並んで配置された第2画素において主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CARが配向処理方向に対して傾いた方向とは、配向処理方向に対して異なる方向に傾いている。
【0084】
さらに、本実施形態では、配向処理方向(第2方向Y)に並んで配置された第1画素と第2画素とについて、主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CARがゲート配線G2(第1方向X)に対して線対称となるように配置されている。
【0085】
すなわち、第2方向Yにおいて上側の画素(第1画素)PXでは、主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CARは、第2方向Y(初期配向方向)から時計回りに鋭角に傾いた方向に延びている。本実施形態では、上側の画素PXにおいて、主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CARは、第2方向Yから時計回りに7°傾いた方向に延びている。
【0086】
第2方向Yにおいて下側の画素(第2画素)PXでは、主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CARは、第2方向から反時計回りに鋭角に傾いた方向に延びている。本実施形態では、下側の画素PXにおいて、主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CARは、第2方向Yから半時計回りに7°傾いた方向に延びている。
【0087】
主共通電極CAL、CARは、ゲート配線G上で屈曲して第2方向Yにジグザグに延びている。
【0088】
本実施形態の液晶表示装置は、上記画素電極PEおよび共通電極CEの構成以外は上述の第1実施形態の液晶表示装置と同様である。
【0089】
図7に示すように、本実施形態の液晶表示装置では、階調反転が発生しなかった。また。比較例の液晶表示装置に対して透過率が1.02となり、透過率が改善した。階調反転が発生しなかったのは、電圧印加時の液晶分子の方位角が上側の画素PXと下側の画素PXとで異なるため、第1実施形態の場合よりも多くのドメインが形成されたためであると考えられる。また、透過率が改善したのは、第1実施形態の場合と同様に、ON時に、主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CAR近傍の領域内の液晶分子LMが初期配向方向と異なる方向に配向し、白表示時において主画素電極PAおよび主共通電極CAL、CARが暗線とならないことにより、比較例よりも画素PXのソース配線S近傍の領域の透過率が改善されたことに起因するものと考えられる。
【0090】
すなわち、本実施形態の液晶表示装置によれば、透過率を改善するとともに階調反転の発生を防止し、表示品位の劣化を抑制する液晶表示装置を提供することができる。
【0091】
次に、第3実施形態の液晶表示装置について図面を参照して説明する。
【0092】
図6は、図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの他の構造例を概略的に示す平面図である。ここでは、X−Y平面における平面図を示している。
【0093】
本実施形態の液晶表示装置では、主画素電極PAと主共通電極CAL、CARとの延びる方向が互いに平行ではない。従って、主画素電極PAが延びる方向と第2方向Yとが成す角度と、主共通電極CAL、CARが延びる方向と第2方向Yとが成す角度は異なっている。
【0094】
すなわち、主画素電極PAは、第2方向Y(初期配向方向)から時計回りに第1鋭角に傾いた方向に延びている。本実施形態では、主画素電極PAは、第2方向Yから時計回りに7°傾いた方向に延びている。
【0095】
主共通電極CAL、CARは、第2方向Y(初期配向方向)から時計回りに第2鋭角に傾いた方向に延びている。本実施形態では、主共通電極CAL、CARは、第2方向Yから時計回りに2°傾いた方向に延びている。
【0096】
また、本実施形態では副共通電極CBは、ゲート配線Gと対向するように配置され、主共通電極CAと電気的に接続されている(あるいは一体に形成されている)。なお、副共通電極CBは、ゲート配線G上の一部に配置されるものでもよく、例えば上側の画素PXと下側の画素PXとの主共通電極CAL間および主共通電極CAR間のみに配置されていてもよい。その場合には、上側の画素PXの主共通電極CALと下側の画素PXの主共通電極CALとが副共通電極CBにより電気的に接続され、同様に、上側の画素PXの主共通電極CARと下側の画素PXの主共通電極CALとが副共通電極CBにより電気的に接続される。また、図2に示す場合と同様に、例えば上側の画素PXの主共通電極CARと下側の画素PXとの主共通電極CALとの間のみに配置されていてもよい。
【0097】
本実施形態の液晶表示装置は、上記の画素電極PEおよび共通電極CEの構成以外は上述の第1実施形態の液晶表示装置と同様である。
【0098】
図7に示すように、本実施形態の液晶表示装置では、比較例の液晶表示装置に対して透過率が1.00となり、比較例と同じ透過率を得ることができた。一方で、本実施形態の液晶表示装置では、比較例の液晶表示装置と同様に階調反転が生じた。
【0099】
本実施形態の液晶表示装置では、主画素電極PAと主共通電極CAL、CARとが異なる方向に延びているが、このような場合であっても比較例と同程度の透過率を得ることができる。
【0100】
すなわち、本実施形態の液晶表示装置によれば、透過率の低下を抑制し、表示品位の劣化を抑制する液晶表示装置を提供することができる。
【0101】
また、上記複数の実施形態によれば、画素電極PEと共通電極CEとの間の電極間隙において高い透過率が得られるため、一画素あたりの透過率を十分に高くするためには、画素電極PEと主共通電極CAL及び主共通電極CARとの間の電極間距離を拡大することで対応することが可能となる。また、画素ピッチが異なる製品仕様に対しては、電極間距離を変更する(つまり、画素PXの略中央に配置された画素電極PEに対して主共通電極CAの配置位置を変更する)ことで、透過率分布のピーク条件を利用することが可能となる。つまり、本実施形態の表示モードにおいては、比較的画素ピッチが大きな低解像度の製品仕様から比較的画素ピッチが小さい高解像度の製品仕様まで、微細な電極加工を必ずしも必要とせず、電極間距離の設定により種々の画素ピッチの製品を提供することが可能となる。したがって、高透過率且つ高解像度の要求を容易に実現することが可能となる。
【0102】
また、本実施形態によれば、一画素内に複数のドメインを形成することが可能となる。このため、複数の方向で視野角を光学的に補償することができ、広視野角化が可能となる。
【0103】
また、上記実施形態によれば、共通電極CEをブラックマトリクスBMと重なる領域に配置した場合、ブラックマトリクスBMと重なる領域の透過率分布に着目すると、透過率が十分に低下している。これは、共通電極CEの位置よりも当該画素の外側に電界の漏れが発生せず、また、ブラックマトリクスBMを挟んで隣接する画素間で不所望な横電界が生じないため、ブラックマトリクスBMと重なる領域の液晶分子がOFF時(あるいは黒表示時)と同様に初期配向状態を保っているためである。したがって、隣接する画素間でカラーフィルタの色が異なる場合であっても、混色の発生を抑制することが可能となり、色再現性の低下やコントラスト比の低下を抑制することが可能となる。
【0104】
また、アレイ基板ARと対向基板CTとの合わせずれが生じた際に、画素電極PEを挟んだ両側の共通電極CEとの水平電極間距離HDに差が生じることがある。しかしながら、このような合わせずれは、全ての画素PXに共通に生じるため、画素PX間での電界分布に相違はなく、画像の表示に及ぼす影響はきわめて小さい。また、例えアレイ基板ARと対向基板CTとの間で合わせズレが生じたとしても、隣接する画素への不所望な電界の漏れを抑制することが可能となる。このため、隣接する画素間でカラーフィルタの色が異なる場合であっても、混色の発生を抑制することが可能となり、色再現性の低下やコントラスト比の低下を抑制することが可能となる。
【0105】
なお、上記の例では、液晶分子LMの初期配向方向が第2方向Yと平行である場合について説明したが、液晶分子LMの初期配向方向は、図2に示したように、第2方向Yを斜めに交差する斜め方向Dであっても良い。ここで、第2方向Yに対する初期配向方向Dのなす角度θ1は、0°より大きく45°より小さい角度である。なお、このなす角度θ1については、5°〜30°程度、より望ましくは20°以下とすることが液晶分子LMの配向制御の観点で極めて有効である。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yに対して0°乃至20°の範囲内の方向と略平行であることが望ましい。
【0106】
また、上記の例では、液晶層LQが正(ポジ型)の誘電率異方性を有する液晶材料によって構成された場合について説明したが、液晶層LQは、誘電率異方性が負(ネガ型)の液晶材料によって構成されていても良い。但し、詳しい説明は省略するが、誘電率異方性が正負逆となる関係上、ネガ型液晶材料の場合、上記したなす角度θ1が45°〜90°、望ましくは70°以上とすることが好ましい。
【0107】
なお、本実施形態においては、共通電極CEは、対向基板CTに備えられた主共通電極CAに加えて、アレイ基板ARに備えられソース配線Sと対向する第2主共通電極を備えていても良い。この第2主共通電極は、ソース配線Sと略平行に延出し、しかも、主共通電極CAと同電位である。このような第2主共通電極を設けることにより、ソース配線Sからの不所望な電界をシールドすることが可能である。
【0108】
また、共通電極CEは、対向基板CTに備えられた主共通電極CAに加えて、アレイ基板ARに備えられゲート配線Gや補助容量線Cと対向する第2副共通電極を備えていても良い。この第2副共通電極は、第1方向Xに延出し、しかも、主共通電極CAと同電位である。このような第2副共通電極を設けたことにより、ゲート配線Gや補助容量線Cからの不所望な電界をシールドすることが可能である。このような第2主共通電極や第2副共通電極を備えた構成によれば、更なる表示品位の劣化を抑制することが可能となる。
【0109】
また、上記複数の実施形態では、ソース配線Sと主共通電極CAとは異なる方向に延びて配置されているが、ソース配線Sと主共通電極CAとが重なるようにソース配線Sが屈曲していてもよい。その場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
LPN…液晶表示パネル、AR…アレイ基板、CT…対向基板、LQ…液晶層、ACT…アクティブエリア、PX…画素、S…ソース配線、G…ゲート配線、PE…画素電極、CE…共通電極、PA…主画素電極、PC…コンタクト部、CA、CAL、CAR…主共通電極、CB…副共通電極、LM…液晶分子、AL1…第1配向膜、PD1…第1配向処理方向、AL2…第2配向膜、PD2…第2配向処理方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数の画素を含むアクティブエリアと、
第1方向に延びたゲート配線と、前記第1方向と交差する第2方向に延びたソース配線と、前記画素に配置された画素電極と、を備えた第1基板と、
前記画素電極を挟んだ両側に配置された主共通電極を備えた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、を備え、
前記画素電極および前記主共通電極は、前記液晶分子の初期配向方向に対して鋭角に傾いた方向に延びている液晶表示装置。
【請求項2】
前記画素電極が延びる方向と前記主共通電極が延びる方向とは、前記初期配向方向に対して同じ方向に傾いている請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記画素電極が延びる方向と前記主共通電極が延びる方向とが、前記初期配向方向と成す角度は互いに異なっている請求項1または請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記画素電極が延びる方向と前記主共通電極が延びる方向とは平行である請求項1又は請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項5】
第1画素において前記画素電極および前記主共通電極が前記初期配向方向に対して傾いた方向と、前記第2方向に前記第1画素と並んで配置された第2画素において前記画素電極および前記主共通電極が前記初期配向方向に対して傾いた方向とは、前記初期配向方向に対して異なる方向に傾いている請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1画素の前記画素電極および前記主共通電極は、前記第2画素の前記画素電極および前記主共通電極と、前記配向処理方向と直交する方向に対して線対称になるように配置されている請求項5記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第1基板は、前記画素電極上に配置され前記初期配向方向と平行な第1配向処理方向に配向処理された第1配向膜をさらに備え、
前記第2基板は、前記主共通電極上に配置され前記初期配向方向と平行な第2配向処理方向に配向処理された第2配向膜を備え、
前記第1配向処理方向と前記第2配向処理方向とは逆向きである請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第1基板は、前記画素電極上に配置され前記初期配向方向と平行な第1配向処理方向に配向処理された第1配向膜をさらに備え、
前記第2基板は、前記主共通電極上に配置され前記初期配向方向と平行な第2配向処理方向に配向処理された第2配向膜を備え、
前記第1配向処理方向と前記第2配向処理方向とは同じ向きである請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記初期配向方向は前記第2方向と平行である請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の液晶表示装置。
【請求項10】
第1方向に延びたゲート配線と、前記第1方向と直交した第2方向に延びたソース配線と、前記第1方向および前記第2方向と交差する方向に延びた画素電極と、前記画素電極と前記ソース配線との接続を切替えるスイッチング素子と、備えた第1基板と、
前記画素電極を挟んだ両側において前記第1方向および前記第2方向と交差する方向に延びた主共通電極を備えた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された液晶分子を含む液晶層と、を備えた液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−68848(P2013−68848A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208110(P2011−208110)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】