説明

液晶表示装置

液晶表示装置は液晶分子の配向状態がスプレイ配向から画像を表示可能なベンド配向に転移するように初期化される液晶表示素子部41と、初期化後においてベンド配向からスプレイ配向への逆転移を防止する逆転移防止電圧および外部からの表示信号に対応した表示電圧を周期的に液晶表示素子部に印加する駆動回路DRとを備える。特に駆動回路DRは逆転移防止駆動条件を表示信号のフィールド周波数に基づいて変化させるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示するためにOCB(Optically Compensated Bend)液晶表示素子を用いる液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は複数のOCB液晶表示素子のマトリクスアレイを構成する液晶表示パネルを備える。この液晶表示パネルは、複数の画素電極が配向膜で覆われてマトリクス状に配置されるアレイ基板、対向電極が配向膜で覆われて複数の画素電極に対向するように配置される対向基板、および各配向膜に隣接してアレイ基板および対向基板基板間に挟持される液晶層を含み、さらに一対の偏光板を光学位相差板を介してアレイ基板および対向基板に貼り付けた構造を有する。ここでは、各OCB液晶表示素子は対応画素電極の範囲において画素を構成する。このようなOCB液晶表示素子では、通常の駆動電圧とは異なる転移電圧を印加することにより液晶分子の配向状態をスプレイ配向から画像を表示可能なベンド配向へ転移させる必要がある。
【0003】
OCB液晶表示素子は所定のレベル以上の電圧が一定時間以上継続して印加されない場合にベンド配向を維持することができずスプレイ配向に戻ってしまう。このような逆転移現象を防止するため、一般に逆転移防止電圧がOCB液晶表示素子に印加される。特開2002−107695号公報は、逆転移防止電圧のパルス幅を液晶表示装置の周囲の温度の変化に応じて変化させる技術を開示する。
【0004】
しかしながら、このように逆転移防止電圧のパルス幅を変化させても、逆転移現象を完全に防止することが困難であった。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、上述した問題を解消して、逆転移現象を完全に防止することができる液晶表示装置を提供することにある。
【0006】
本発明によれば、液晶分子の配向状態がスプレイ配向から画像を表示可能なベンド配向に転移するように初期化される液晶表示素子部と、初期化後においてベンド配向からスプレイ配向への逆転移を防止する逆転移防止電圧および外部からの表示信号に対応した表示電圧を周期的に液晶表示素子部に印加する駆動回路とを備え、駆動回路は逆転移防止駆動条件を表示信号のフィールド周波数に基づいて変化させるように構成される液晶表示装置が提供される。
【0007】
この液晶表示装置では、逆転移防止駆動条件が表示信号のフィールド周波数に対応して変化するため、この駆動条件をこのフィールド周波数に依存した逆転移現象について最適化することができる。従って、逆転移現象を完全に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[図1]図1は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の回路構成を概略的に示す図である。
[図2]図2は、図1に示す液晶表示パネルの部分的な断面構造を示す図である。
[図3]図3は、図2に示す断面構造により1画素分の表示を行うOCB液晶表示素子の回路構成を示す図である。
[図4]図4は、図3に示すOCB液晶表示素子において液晶印加電圧として印加される転移電圧によりスプレイ配向からベンド配向に転移する液晶分子の配向状態を示す図である。
[図5]図5は、図1に示す液晶表示装置の初期化動作を説明するための波形図である。
[図6]図6は、図1に示す液晶表示装置の表示動作を説明するための波形図である。
[図7]図7は、図1に示すコントローラによって得られる表示信号のフィールド周波数と黒挿入率との関係を示すグラフである。
[図8]図8は、図1に示すコントローラの変形例によって得られる表示信号のフィールド周波数と白レベル表示電圧との関係を示すグラフである。
[図9]図9は、図1に示す液晶表示パネルおよびバックライト光源の変形例を示す図である。
[図10]図10は、図9に示す変形例に適合するフィールドシーケンシャル駆動方式を説明するための図である。
[図11]図11は、図10に示すフィールドシーケンシャル駆動方式によって合成される画像を説明するための図である。
[図12]図12は、図10に示すフィールドシーケンシャル駆動方式において黒挿入期間を赤、緑、青の表示期間に分散させたフィールドシーケンシャル駆動方式を説明するための図である。
[図13]図13は、図12に示すフィールドシーケンシャル駆動方式において得られる表示信号のフィールド周波数と黒挿入率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置について添付図面を参照して説明する。
【0010】
図1はこの液晶表示装置100の回路構成を概略的に示し、図2は図1に示す液晶表示(LCD)パネル41の部分的な断面構造を示し、図3は図2に示す断面構造により1画素分の表示を行うOCB液晶表示素子6の回路構成を示す。
【0011】
この液晶表示装置100は例えばTVセットや携帯電話等において外部信号源となる画像情報処理ユニットSGに接続される。画像情報処理ユニットSGは画像情報処理を行って同期信号および表示信号を液晶表示装置100に供給する。また、液晶表示装置の電源電圧も画像情報処理ユニットSGから液晶表示装置100に供給される。
【0012】
液晶表示装置100は複数のOCB液晶表示素子6のマトリクスアレイ(液晶表示素子部)を構成するLCDパネル41、LCDパネル41を照明するバックライトBL、およびLCDパネル41およびバックライトBLを駆動する駆動回路DRを備える。LCDパネル41はアレイ基板AR、対向基板CT、および液晶層LQを含む。アレイ基板ARはガラス板等からなる透明絶縁基板GL、この透明絶縁基板GL上に形成される複数の画素電極15、およびこれら画素電極15を覆う配向膜ALを含む。対向基板CTはガラス板等からなる透明絶縁基板GL、この透明絶縁基板GL上に形成されるカラーフィルタ層CF、このカラーフィルタ層CF上に形成される対向電極16、およびこの対向電極16を覆う配向膜ALを含む。液晶層LQは対向基板CTとアレイ基板ARの間隙に液晶を充填することにより得られる。カラーフィルタ層CFは赤画素用の赤着色層、緑画素用の緑着色層、青画素用の青着色層、およびブラックマトリクス用の黒着色(遮光)層を含む。また、LCDパネル41はアレイ基板ARおよび対向基板CTの外側に配置される一対の位相差板RT、およびこれら位相差板RTの外側に配置される一対の偏光板PLを備える。バックライトBLは、冷陰極管等からなる白色光源であり、アレイ基板AR側の偏光板PLの外側に配置される。アレイ基板AR側の配向膜ALおよび対向基板CT側の配向膜ALは互いに平行にラビング処理される。
【0013】
アレイ基板ARでは、複数の画素電極15が透明絶縁基板GL上において略マトリクス状に配置される。また、複数のゲート線29(Y1〜Ym)が複数の画素電極15の行に沿って配置され、複数のソース線26(X1〜Xn)が複数の画素電極15の列に沿って配置される。これらゲート線29およびソース線26の交差位置近傍には、複数の画素スイッチ27が配置される。各画素スイッチ27は、例えばゲート線29に接続されるゲート28およびソース線26および画素電極15間に接続されるソース−ドレインパスを有する薄膜トランジスタからなり、対応ゲート線29を介して駆動されたときに対応ソース線26および対応画素電極15間で導通する。
【0014】
複数の液晶表示素子6の各々は画素電極15および対向電極16間に液晶容量Clcを有する。複数の補助容量線Cst(C1〜Cm)の各々は対応行の液晶表示素子6の画素電極15に容量結合して補助容量Csを構成する。
【0015】
駆動回路DRはアレイ基板ARおよび対向基板CTから液晶層LQに印加される液晶印加電圧によりLCDパネル41の透過率を制御するように構成される。各OCB液晶表示素子6は対応画素電極15の範囲において画素を構成する。このようなOCB液晶表示素子6では、通常の駆動電圧とは異なる転移電圧を印加することにより液晶分子の配向状態をスプレイ配向から画像を表示可能なベンド配向へ転移させる必要がある。このため、駆動回路DRは電源スイッチPWがオンされる毎に転移電圧を液晶印加電圧として液晶層LQに印加することにより液晶分子の配向状態をスプレー配向からベンド配向へ転移させる初期化を行うように構成されている。
【0016】
具体的には、駆動回路DRが、複数のスイッチング素子27を行単位に導通させるように複数のゲート線29を順次駆動するゲートドライバ39、各行のスイッチング素子27が対応ゲート線29の駆動によって導通する期間において画素電圧Vsを複数のソース線26にそれぞれ出力するソースドライバ38、LCDパネル41の対向電極16を駆動する対向電極ドライバ40、バックライトBLを駆動するバックライト駆動部9、ゲートドライバ39、ソースドライバ38、対向電極ドライバ40、およびバックライト駆動部9を制御するコントローラ37、並びに画像情報処理ユニットSGから駆動回路DRに供給される電力(具体的には、電源電圧)からこれらゲートドライバ39、ソースドライバ38、対向電極ドライバ40、バックライト駆動部9、およびコントローラ37に必要とされる複数の内部電源電圧を発生する電源回路7を備える。
【0017】
コントローラ37は、画像情報処理ユニットSGから入力される同期信号に基づいて発生される垂直タイミング制御信号をゲートドライバ39に出力し、画像情報処理ユニットSGから入力される同期信号および表示信号に基づいて発生される水平タイミング制御信号および1水平ライン分の画素データをソースドライバ38に出力し、さらにバックライト駆動部9に点灯制御信号を出力する。ゲートドライバ39は垂直タイミング制御信号の制御により1フレーム期間において順次複数のゲート線29を選択し、各行の画素スイッチ27を1水平走査期間Hだけ導通させるゲート駆動電圧を選択ゲート線29に出力する。ソースドライバ38は水平タイミング制御信号の制御によりゲート駆動電圧が選択ゲート線29に出力される1水平走査期間Hに1水平ライン分の画素データを画素電圧(表示電圧)Vsにそれぞれ変換して複数のソース線26に並列的に出力する。
【0018】
画素電圧Vsは対向電極ドライバ40から対向電極16に出力されるコモン電圧VCOMを基準として画素電極15に印加される電圧であり、例えばフレーム反転駆動およびライン反転駆動を行うようコモン電圧VCOMに対して極性反転される。また、ゲートドライバ39は1行分のスイッチング素子27が非導通となるときにこれらスイッチング素子27に接続されるゲート線29に対応した補助容量線Cstに補償電圧を印加し、これらスイッチング素子27の寄生容量によって1行分の液晶表示素子6に生じる画素電圧Vsの変動を補償する。
【0019】
この液晶表示装置100では、駆動回路DRのコントローラ37が液晶分子の配向状態を図4に示すようなスプレー配向からベンド配向へ転移させる初期化のために液晶印加電圧として各液晶表示素子6に印加される転移電圧を設定する転移電圧設定処理を行う転移電圧設定部1、この初期化後においてベンド配向からスプレイ配向への逆転移を防止するために液晶印加電圧として各液晶表示素子6に印加される逆転移防止電圧を設定する逆転移防止処理を行う逆転移防止電圧設定部2、並びに各液晶表示素子6に対する表示信号である表示電圧、逆転移防止電圧、および転移電圧用の画素データをソースドライバ38に出力するデータ出力部3を備える。表示電圧および逆転移防止電圧については、ソースドライバ38から出力される画素電圧Vsにより決定される画素電極15の電位が対向電極ドライバ40から出力されるコモン電圧VCOMにより決定される対向電極16の電位に対して所定の形式でシフトするように設定される。転移電圧については、対向電極ドライバ40から出力されるコモン電圧VCOMにより決定される対向電極16の電位がソースドライバ38から出力される画素電圧Vsにより決定される画素電極15の電位に対して所定の形式でシフトするように設定される。
【0020】
液晶表示装置100は画像情報処理ユニットSGから駆動回路DRに供給される電源電圧により図5に示すように動作する。
【0021】
電源回路7はこの電源電圧を複数の内部電源電圧に変換してコントローラ37、ソースドライバ38、ゲートドライバ39、対向電極ドライバ40、およびバックライト駆動部9等に供給する。転移電圧設定部1は転移電圧を液晶印加電圧として各液晶表示素子6に印加させるための転移電圧設定処理を行う。転移電圧設定処理では、約0.6秒の転移期間TPが設定される。転移電圧は転移期間TPにおいて液晶分子の配向状態をスプレイ配向からベンド配向に実質的に転移させる異なる極性の値に交互に変化する。一定値L0は実質的に零ボルトであり、異なる極性の値は絶対値として約25ボルトである。ここでは、転移期間TPがさらに各々約0.3秒の前半転移期間TP1および後半転移期間TP2に区分され、転移電圧が前半転移期間TP1において正極性である第1極性値L1に設定され、後半転移期間TP2において負極性である第2極性値L2に設定される。この場合、画素電圧Vsは固定され、対向電極ドライバ40から出力されるコモン電圧VCOMが上述の転移電圧を得るように可変される。
【0022】
これに続く表示期間DPでは、コントローラ37が対向電極ドライバ40から出力されるコモン電圧VCOMを固定し、画素電圧Vsを画素データに対応して可変させて得られる液晶印加電圧を各液晶表示素子6に印加するようソースドライバ38、ゲートドライバ39、および対向電極ドライバ40を制御する。コントローラ37は、バックライトBLを転移期間について消灯状態に維持し、表示期間DPについてバックライトBLを点灯状態にするようにバックライト駆動部9を制御する。これにより、複数の液晶表示素子6のマトリクスアレイが画像を表示可能となる。
【0023】
表示信号が画像として更新される周期をフレームとし、その逆数をフレーム周波数と定義する。また、液晶表示素子6のマトリクスアレイを走査しながら表示信号に対応した画素電圧を書き込んでいく周期をフィールドとし、その逆数をフィールド周波数と定義する。表示信号が各フィールド毎に入力される場合、逆転移防止電圧が図6に示すように1フィールドの期間に一定の割合で画素電圧として挿入される。逆転移防止電圧の電圧値は、ほぼ黒表示の電圧値と等しくする場合が多いため、逆転移防止電圧の挿入は黒挿入とも呼ばれ、逆転移防止電圧のパルス幅の1フィールドに対する割合を黒挿入率と呼ぶ。黒挿入を実施する場合には、逆転移防止電圧である画素電圧および表示信号に対応した画素電圧を書き込む期間をまとめてフィールドと定義する。
【0024】
ここでは、逆転移防止電圧設定部2が例えば逆転移防止電圧の電圧値やパルス幅のような逆転移防止駆動条件を表示信号のフィールド周波数に応じて変化させる。逆転移防止駆動条件を逆転移防止電圧のパルス幅である黒挿入率とした場合には、データ出力部3がこの黒挿入率に従って逆転移防止電圧および表示電圧用の画素データを交互にソースドライバ38に出力する。
【0025】
図7は、コントローラ37によって得られる表示信号のフィールド周波数と黒挿入率との関係を示す。図7では、横軸が表示信号のフィールド周波数を表し、縦軸が黒挿入率を表す。黒挿入率は表示信号のフィールド周波数に対して例えば図7に示す値になるように設定される。すなわち、黒挿入率は約53ヘルツのフィールド周波数に対して約22%に設定され、約57ヘルツのフィールド周波数に対して約21%に設定され、約60ヘルツのフィールド周波数に対して約21%に設定され、約64ヘルツのフィールド周波数に対して約20%に設定され、約70ヘルツのフィールド周波数に対して約19%に設定される。このように、表示信号のフィールド周波数が高くなればなるほど黒挿入率は小さくなる。
【0026】
以上のように本実施形態によれば、逆転移防止電圧が液晶表示装置100へ入力される表示信号のフィールド周波数に基いたパルス幅や電圧値で各液晶表示素子6に印加される。このため、様々な表示信号のフィールド周波数に対して逆転移防止電圧を最適化することができる。その結果、逆転移現象を完全に防止することができる。
【0027】
なお、本実施形態においては、逆転移防止電圧の印加条件が逆転移防止駆動条件として表示信号のフィールド周波数に基いて変化する例を示したが、本発明はこれに限定されない。このため、転移電圧設定部1が表示信号のフィールド周波数に応じて転移電圧の印加条件を変化させるように構成されてもよい。
【0028】
また、コントローラ37は逆転移防止駆動条件として逆転移防止電圧の印加条件を変化させるのではなく、表示電圧の印加条件を変化させるように構成してもよい。図8はコントローラ37の変形例によって得られる表示信号のフィールド周波数と白レベル表示電圧との関係を示す。ここで、白レベル表示電圧は白を表示させるための表示電圧である。図8では、横軸が表示信号のフィールド周波数を表し、縦軸が白レベル表示電圧を表す。ここでは、白レベル表示電圧が48ヘルツのフィールド周波数に対して約0.5ボルトに設定され、60ヘルツのフィールド周波数に対して約0.2ボルトに設定され、75ヘルツのフィールド周波数に対して約零ボルトに設定される。この場合には、データ出力部2が表示信号のフィールド周波数に基づいて白レベル表示電圧の値を切り替えることになる。白レベル表示電圧は、表示信号のフィールド周波数に対して例えば図7に示すような値に設定される。
【0029】
さらに、データ出力部2は、液晶表示装置の周囲の温度に応じて白レベル表示電圧の値を変化させてもよい。例えば、表示信号のフィールド周波数が60ヘルツであると仮定すると、データ出力部2は液晶表示装置の周囲の温度が低温(例えば、零℃)であるときに白レベル表示電圧の値を零ボルトに設定し、周囲の温度が40℃であるときに白レベル表示電圧の値を0.5ボルトに設定し、周囲の温度が60℃であるときには白レベル表示電圧の値を1ボルトに設定する。
【0030】
本発明は、周波数が高いほど黒挿入の効率が高いことを見出したことに基づくものである。上述の実施形態では、黒挿入率がフィールド周波数に応じて調整される。しかし、本発明はこれに限定されものではなく、フィールド周波数を意図的に高くすることで、黒挿入率の効率を高めるものでもよい。従って、これをフィールドシーケンシャル駆動方式に応用してもよい。
【0031】
図9はフィールドシーケンシャル駆動方式に対応したおよびバックライト光源BLの変形例を示す。この液晶表示パネル41では、図2に示すカラーフィルタ層CFが省略される。また、赤、緑および青色で発光する3色のLEDが冷陰極管の代わりにバックライト光源BLとして設けられる。これらLEDからの光は拡散シートにより液晶表示パネル41全体に入射する。この場合、コントローラ37は例えば図10に示すように例えば1フィールド期間において赤色LED、緑色LED、および青色LEDを順次点灯させるようにバックライト駆動部9を制御し、各LEDの点灯期間中に表示電圧を画素電圧として全OCB液晶表示素子6に印加するようにソースドライバ38およびゲートドライバ39を制御する。
【0032】
上述のように赤色LED、緑色LED、および青色LEDを順次点灯させ場合、図11に示すように色単位の画像が表示され1フィールド期間で下段の画像が時間的に合成されることになる。
【0033】
各画素がOCB液晶表示素子6であることから、この変形例でも、逆転移防止のために黒挿入が必要とされる。ここでは、逆転移防止周波数(逆転移防止電圧が繰り返し印加される周波数)が100ヘルツ以上に設定される。実際の黒挿入期間は、図12に示すように、赤色LED、緑色LED、および青色LEDの点灯期間、すなわち赤、緑、青の表示期間に分散される。この場合、例えば1フィールド期間に対する黒挿入率が表示信号のフィールド周波数に対して図13に示すように変化するように設定される。ここで、黒挿入率は黒挿入の繰り返し周期に対する割合とし、フィールド期間に対する黒挿入期間の割合とした。
【0034】
このようなフィールドシーケンシャル駆動方式の液晶表示装置においては、図1に示す液晶表示パネル41の画素数が実質的に3倍になるため、このようなフィールド周波数もこれに比例して高くなる。黒挿入率はこのようなフィールド周波数に対して適切に設定され、実際の値も小さくなる。これは、逆転移を防止するだけでなく、液晶表示パネル41の全体的な光透過率を向上させる結果となるため、極めて好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、OCB液晶表示素子によって画像を表示する液晶表示装置に適用することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶分子の配向状態がスプレイ配向から画像を表示可能なベンド配向に転移するように初期化される液晶表示素子部と、初期化後においてベンド配向からスプレイ配向への逆転移を防止する逆転移防止電圧および外部からの表示信号に対応した表示電圧を周期的に液晶表示素子部に印加する駆動回路とを備え、駆動回路は逆転移防止駆動条件を表示信号のフィールド周波数に基づいて変化させるように構成されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記逆転移防止駆動条件は逆転移防止電圧のパルス幅であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記逆転移防止駆動条件は逆転移防止電圧の電圧値であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記逆転移防止駆動条件は表示電圧の電圧値であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記駆動回路はさらに逆転移防止電圧を表示信号のフィールド期間内に複数回印加するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
逆転移防止電圧が繰り返し印加される逆転移防止周波数が100ヘルツ以上に設定されることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記駆動回路はフィールドシーケンシャル駆動方式で前記液晶表示素子部を駆動するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記逆転移防止電圧は前記液晶表示素子部の各色表示期間に挿入されることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。

【国際公開番号】WO2005/081053
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【発行日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519355(P2006−519355)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002651
【国際出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】