説明

液滴吐出装置

【課題】表面にマークを描画する基板の裏面に位置検出用マークが形成されているときにも、基板の位置及び角度を検出して、生産性良く描画する装置を提供する。
【解決手段】表裏面を有する半導体基板1の表面2aに液滴を吐出する塗布部13と、裏面2bに形成された第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8を撮影しての位置及び角度を検出する基板位置検出部12と、基板位置検出部12が検出した半導体基板1の位置及び角度の情報を用いて塗布部13の所定の場所へ所定の角度で半導体基板1を移動する搬送部16と、を有し、基板位置検出部12は、塗布部13が液滴を吐出する向きと反対の向きから第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8を撮影する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置にかかわり、特に描画対象である基板の位置を認識する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機能液を液滴にして吐出するインクジェット法を用いて塗布し、塗布された機能液を固化して膜を形成する方法が広く採用されている。そして、機能液には染料や顔料を含んで着色する機能を有する液状体や、金属粒子を含んで金属配線を形成する機能を有する液状体等の多種類の液状体が用いられている。
【0003】
インクジェット法を用いて基板に機能液を塗布する液滴吐出装置が特許文献1に開示されている。これによると液滴吐出装置は基板を移動させるステージと液滴吐出ヘッドを移動させるキャリッジを備えている。液滴吐出ヘッドには液滴を吐出するノズルが形成されている。このステージとキャリッジとは直交する方向に移動する。そして、機能液を塗布する場所と対向する場所に液滴吐出ヘッドが位置するときに、液滴を吐出する。そして、所定の位置に機能液を着弾させることにより基板に所定のパターンを描画していた。
【0004】
基板には位置検出用マークが形成され、撮影装置を用いて位置検出用マークを撮影することにより基板の位置及び角度を検出した。そして、検出した基板の位置及び角度の情報を用いてステージの所定の場所に基板を配置していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−283635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板に描画する面を表面とするとき、表面に位置検出用マークが形成されていることが多い。そして、基板に対して液滴吐出ヘッドと撮影装置とを同じ側に配置していることが多い。ところが、裏面に位置検出用マークが形成されていることがある。この場合には、撮影装置を用いて位置検出用マークを撮影して基板の位置及び角度を検出した後、基板の表裏を反転してステージに載置する必要がある。基板が大きい程、基板は反転し難くなるので基板の反転作業は時間がかかる作業となっていた。そこで、基板の裏面に位置検出用マークが形成されているときにも、基板の位置及び角度を検出した後、基板を生産性良く移動して描画できる装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
本適用例にかかる液滴吐出装置であって、表裏面を有する基材の表面に液滴を吐出する塗布部と、裏面に形成された位置検出用マークを撮影して前記基材の位置及び角度を検出する基材位置検出部と、前記基材位置検出部が検出した前記基材の位置及び角度の情報を用いて前記塗布部の所定の場所へ所定の角度で前記基材を移動する搬送部と、を有し、前記基材位置検出部は、前記塗布部が前記液滴を吐出する向きと反対の向きから前記位置検出用マークを撮影することを特徴とする。
【0009】
この液滴吐出装置によれば、基材の裏面に位置検出用マークが形成されている。そして、基材位置検出部が位置検出用マークを撮影して基材の位置及び角度を検出する。次に、搬送部は基材を塗布部に移動する。このとき、搬送部は基材の位置及び角度の情報を用いることにより基材を所定の場所に所定の角度に移動する。これにより塗布部は基材に対して位置精度良く液滴を吐出することができる。
【0010】
そして、塗布部が液滴を吐出する向きと反対の向きから基材位置検出部は位置検出用マークを撮影する。従って、搬送部は基材の表裏面を反転することなく基材の表面を液滴が飛行してくる側に向けて配置することができる。その結果、基材を反転する必要がない為、液滴吐出装置は生産性良く基材を塗布部に移動することができる。
【0011】
[適用例2]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記搬送部は前記基材位置検出部が撮影可能な場所に前記位置検出用マークを移動することを特徴とする。
【0012】
この液滴吐出装置によれば、搬送部は基材を移動することができる。そして、基材位置検出部が撮影可能な場所に位置検出用マークを移動するので、基材位置検出部は確実に基材の位置及び角度を検出することができる。
【0013】
[適用例3]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記位置検出用マークは前記基材に複数形成され、前記基材位置検出部は複数の前記位置検出用マークを同時に撮影することを特徴とする。
【0014】
この液滴吐出装置によれば、基材には複数の位置検出用マークが形成されている。従って、基材位置検出部は複数の位置検出用マーク検出することにより、基材の位置及び角度を検出することができる。そして、基材位置検出部は複数の位置検出用マークを同時に撮影することから、複数の位置検出用マークを1つずつ撮影する場合に比べて生産性良く位置検出用マークを撮影することができる。その結果、生産性良く基材の位置及び角度を検出することができる。
【0015】
[適用例4]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記塗布部が前記液滴を塗布する前に、前記基材の表面を改質する処理を行う前処理部をさらに備え、前記搬送部は前記基材を前記前処理部から前記基材位置検出部を経て前記塗布部に移動することを特徴とする。
【0016】
この液滴吐出装置によれば、基材の表面を改質する前処理をした後に、基材の位置及び角度を検出している。その後、基材に液滴を塗布している。従って、液滴吐出装置は基材に塗布された液滴の広がり具合を調整することができる。そして、前処理した基材に位置精度良く液滴を吐出することができる。
【0017】
[適用例5]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記塗布部が前記液滴を塗布した後に、前記基材の表面に塗布された前記液滴を固化する処理を行う後処理部をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
この液滴吐出装置によれば、基材に液滴を塗布した後に、基材表面の液滴を固化している。従って、液滴吐出装置は基材表面の液滴を基材に確実に定着させることができる。
【0019】
[適用例6]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記液滴は紫外線により硬化する硬化剤を含み、前記塗布部は着弾した前記液滴に紫外線を照射する照射部を備えることを特徴とする。
【0020】
この液滴吐出装置によれば、着弾した液滴に紫外線を照射して硬化させている。従って、吐出した液滴を短時間に硬化させることができる。
【0021】
[適用例7]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記基材位置検出部は、さらに、表面に形成された前記位置検出用マークを前記塗布部が前記液滴を吐出する向きから撮影して前記基材の位置及び角度を検出することを特徴とする。
【0022】
この液滴吐出装置によれば、位置検出用マークが裏面に形成された場合に加え、表面に形成されている場合にも、基材の位置及び角度を検出できる。そして、塗布部が液滴を吐出する向きから基材位置検出部は位置検出用マークを撮影する。従って、搬送部は基材の表裏面を反転することなく基材の表面を液滴が飛行してくる側に向けて配置することができる。その結果、基材を反転する必要がない為、液滴吐出装置は生産性良く基材を塗布部に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態にかかわり、(a)及び(b)は半導体基板を示す模式平面図、(c)は液滴吐出装置を示す模式平面図。
【図2】(a)は、供給部を示す模式正面図、(b)及び(c)は、供給部を示す模式側面図。
【図3】前処理部の構成を示す概略斜視図。
【図4】(a)は、基板位置検出部の構成を示す概略斜視図、(b)は、基板位置検出部の構成を示す模式平面図、(c)は、第1位置検出用マークの像、(d)は、第2位置検出用マークの像。
【図5】(a)は、塗布部の構成を示す概略斜視図、(b)は、キャリッジを示す模式側面図、(c)は、ヘッドユニットを示す模式平面図、(d)は、液滴吐出ヘッドの構造を説明するための要部模式断面図。
【図6】後処理部の構成を示す概略斜視図。
【図7】(a)は、収納部を示す模式正面図、(b)及び(c)は、収納部を示す模式側面図。
【図8】搬送部の構成を示す概略斜視図。
【図9】描画方法を示すためのフローチャート。
【図10】描画方法を説明するための模式図。
【図11】第2の実施形態にかかわる基板位置検出部の構成を示す模式側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
【0025】
(第1の実施形態)
本実施形態では、本発明の特徴的な液滴吐出装置と、この液滴吐出装置を用いて液滴を吐出して描画する描画方法の例について、図1〜図10に従って説明する。
【0026】
(半導体基板)
まず、液滴吐出装置を用いて描画する対象である半導体基板について説明する。図1(a)及び図1(b)は半導体基板を示す模式平面図である。図1(a)は半導体基板の表面を示し、図1(b)は半導体基板の裏面を示している。図1(a)に示すように、基材としての半導体基板1は基板2を備えている。基板2は耐熱性があり半導体装置3を実装可能であれば良く、基板2にはガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板等を用いることができる。
【0027】
基板2の表面2aには6個の半導体装置3が実装されている。そして、半導体装置3上には会社名マーク4、機種コード5、製造番号6等のマークが描画されている。これらのマークが液滴吐出装置によって描画される。
【0028】
図1(b)に示すように、基板2の裏面2bには第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8が形成されている。第1位置検出用マーク7の形状は2重丸となっており、第2位置検出用マーク8は1重丸となっている。これにより、第1位置検出用マーク7と第2位置検出用マーク8は外観から識別可能になっている。第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8は裏面2bの離れた場所に配置されている。本実施形態では、例えば、基板2の対角の一方の近辺に第1位置検出用マーク7が配置され、他方の近辺に第2位置検出用マーク8が配置されている。
【0029】
表面2aには電極パターンが形成され、この電極パターンに合わせて、半導体装置3が実装されている。この電極パターンは第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8を位置の基準にして形成されている。従って、第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8に対して各半導体装置3は位置精度良く実装されている。そして、第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8を基準にして会社名マーク4、機種コード5、製造番号6を描画することにより、会社名マーク4、機種コード5、製造番号6は半導体装置3に対して位置精度良く描画されるようになっている。
【0030】
(液滴吐出装置)
図1(c)は液滴吐出装置を示す模式平面図である。図1(c)に示すように、液滴吐出装置9は主に供給部10、前処理部11、基材位置検出部としての基板位置検出部12、塗布部13、後処理部14、収納部15、搬送部16及び統合制御部17から構成されている。液滴吐出装置9は搬送部16を中心にして時計回りに供給部10、前処理部11、基板位置検出部12、塗布部13、後処理部14、収納部15、統合制御部17の順に配置されている。そして、統合制御部17の隣には供給部10が配置されている。供給部10、統合制御部17、収納部15が並ぶ方向をX方向とする。X方向と直交する方向をY方向とし、Y方向には塗布部13と搬送部16とが並んで配置されている。そして、鉛直方向をZ方向とする。
【0031】
供給部10は複数の半導体基板1が収納された収納容器を備えている。そして、供給部10は中継場所10aを備え、収納容器から中継場所10aへ半導体基板1を供給する。前処理部11は半導体装置3の表面を改質する機能を有する。前処理部11により半導体装置3は吐出された液滴の広がり具合が調整される。前処理部11は中継場所11aを備え、処理前の半導体基板1を中継場所11aから取り込んで表面の改質を行う。その後、前処理部11は処理後の半導体基板1を中継場所11aに移動して、半導体基板1を待機させる。
【0032】
基板位置検出部12は第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8の位置を検出する機能を有する。そして、第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8の位置から半導体基板1の位置と角度とを演算して出力する。
【0033】
塗布部13は半導体装置3に液滴を吐出して描画する機能を有する。塗布部13は中継場所13aを備え、描画前の半導体基板1を中継場所13aから移動して描画を行う。その後、塗布部13は描画後の半導体基板1を中継場所13aに移動して、半導体基板1を待機させる。
【0034】
後処理部14は半導体装置3に描画されたマークを固化及び硬化する機能を有する。後処理部14は中継場所14aを備え、処理前の半導体基板1を中継場所14aから取り込んで硬化処理を行う。その後、後処理部14は処理後の半導体基板1を中継場所14aに移動して、半導体基板1を待機させる。
【0035】
収納部15は半導体基板1が複数収納可能な収納容器を備えている。そして、収納部15は中継場所15aを備え、中継場所15aから収納容器へ半導体基板1を収納する。操作者は半導体基板1が収納された収納容器を液滴吐出装置9から搬出する。
【0036】
液滴吐出装置9の中央の場所には搬送部16が配置されている。搬送部16は2つの腕部を備えたスカラー型ロボットが用いられている。そして、腕部の先端には半導体基板1を把持する把持部16aが設置されている。中継場所10a,11a,13a,14a,15a及び基板位置検出部12は把持部16aの移動範囲16b内に位置している。従って、把持部16aは中継場所10a,11a,13a,14a,15a及び基板位置検出部12間で半導体基板1を移動することができる。統合制御部17は液滴吐出装置9の全体の動作を制御する装置であり、液滴吐出装置9の各部の動作状況を管理する。そして、搬送部16に半導体基板1を移動する指示信号を出力する。これにより、半導体基板1は各部を順次通過して描画されるようになっている。
【0037】
(供給部)
図2(a)は供給部を示す模式正面図であり、図2(b)及び図2(c)は供給部を示す模式側面図である。図2(a)及び図2(b)に示すように、供給部10は基台18を備えている。基台18の内部には昇降装置19が設置されている。昇降装置19はZ方向に動作する直動機構を備えている。この直動機構はボールネジと回転モーターとの組合せや油圧シリンダーとオイルポンプの組合せ等の機構を用いることができる。本実施形態では、例えば、ボールネジとステップモーターとによる機構を採用している。基台18の上側には昇降板20が昇降装置19と接続して設置されている。そして、昇降板20は昇降装置19により所定の移動量だけ昇降可能になっている。
【0038】
昇降板20の上には直方体状の収納容器21が設置され、収納容器21の中には複数の半導体基板1が収納されている。収納容器21はY方向の両面に開口部21aが形成され、開口部21aから半導体基板1が出し入れ可能となっている。収納容器21のX方向の両側に位置する側面21bの内側には凸状のレール21cが形成され、レール21cはY方向に延在して配置されている。レール21cはZ方向に複数等間隔に配列されている。このレール21cに沿って半導体基板1をY方向からまたは−Y方向から挿入することにより、半導体基板1がZ方向に配列して収納される。
【0039】
基台18のY方向側には支持部材24を介して、基板引出部25と中継台26とが設置されている。収納容器21のY方向側の場所において基板引出部25の上に中継台26が重ねて配置されている。基板引出部25はY方向に伸縮する腕部25aと腕部25aを駆動する直動機構とを備えている。この直動機構は直線状に移動する機構であれば特に限定されない、本実施形態では、例えば、圧縮空気にて作動するエアーシリンダーを採用している。腕部25aの一端には略矩形に折り曲げられた爪部25bが設置され、この爪部25bの先端は腕部25aと平行に形成されている。
【0040】
基板引出部25が腕部25aを伸ばすことにより、腕部25aが収納容器21内を貫通する。そして、爪部25bが収納容器21の−Y方向側に移動する。次に昇降装置19が半導体基板1を下降した後、基板引出部25が腕部25aを収縮させる。このとき、爪部25bが半導体基板1の一端を押しながらY方向に移動する。
【0041】
その結果、図2(c)に示すように、半導体基板1が収納容器21から中継台26上に移動させられる。中継台26は半導体基板1のX方向の幅と略同じ幅の凹部が形成され、半導体基板1はこの凹部に沿って移動する。そして、この凹部により半導体基板1のX方向の位置が決められる。爪部25bによって押されて半導体基板1が停止する場所により、半導体基板1のY方向の位置が決められる。中継台26上は中継場所10aであり、半導体基板1は中継場所10aの所定の場所にて待機する。供給部10の中継場所10aに半導体基板1が待機しているとき、搬送部16は把持部16aを半導体基板1と対向する場所に移動した後に半導体基板1を把持して移動する。
【0042】
この半導体基板1が搬送部16により中継台26上から移動させられた後、基板引出部25が腕部25aを伸長させる。次に、昇降装置19が収納容器21を降下させて、基板引出部25が半導体基板1を収納容器21内から中継台26上に移動させる。このようにして供給部10は順次半導体基板1を収納容器21から中継台26上に移動する。収納容器21内の半導体基板1を総て中継台26上に移動した後、操作者は空になった収納容器21と半導体基板1が収納されている収納容器21とを置き換える。これにより、供給部10に半導体基板1を供給することができる。
【0043】
(前処理部)
図3は前処理部の構成を示す概略斜視図である。図3(a)に示すように、前処理部11は基台27を備え、基台27上にはX方向に延在する一対の案内レール28が設置されている。案内レール28上には案内レール28に沿ってX方向に移動するステージ29が設置されている。ステージ29は直動機構を備え、往復移動することができる。この直動機構は昇降装置19が備える直動機構と同様の機構を用いることができる。
【0044】
ステージ29の上面には載置面29aが設置され、載置面29aには吸引式のチャック機構が形成されている。搬送部16が半導体基板1を載置面29aに載置した後、チャック機構を作動させることにより前処理部11は半導体基板1を載置面29aに固定することができる。
【0045】
ステージ29がX方向に位置するときの載置面29aの場所が中継場所11aとなっている。この載置面29aは把持部16aの動作範囲内で露出するように設置されている。従って、搬送部16は容易に半導体基板1を載置面29aに載置することができる。半導体基板1に前処理が行われた後、半導体基板1は中継場所11aである載置面29a上にて待機する。従って、搬送部16の把持部16aは容易に半導体基板1を把持して移動することができる。
【0046】
基台27の−X方向には平板状の支持部30が立設されている。支持部30のX方向側の面において上側にはY方向に延在する案内レール31が設置されている。そして、案内レール31と対向する場所には案内レール31に沿ってY方向に移動するキャリッジ32が設置されている。キャリッジ32は直動機構を備え、往復移動することができる。この直動機構は昇降装置19が備える直動機構と同様の機構を用いることができる。
【0047】
キャリッジ32の基台27側には処理部33が設置されている。処理部33としては、例えば、水銀ランプ、水素バーナー、エキシマレーザー、プラズマ放電部、コロナ放電部等を例示できる。水銀ランプを用いる場合、半導体基板1に紫外線を照射することにより、半導体基板1の表面の撥液性を改質することができる。水素バーナーを用いる場合、半導体基板1の酸化した表面を一部還元することで表面を粗面化することができ、エキシマレーザーを用いる場合、半導体基板1の表面を一部溶融固化することで粗面化することができ、プラズマ放電或いはコロナ放電を用いる場合、半導体基板1の表面を機械的に削ることで粗面化することができる。本実施形態では、例えば、水銀ランプを採用している。前処理部11は処理部33から紫外線を照射しながらキャリッジ32を往復運動させる。これにより、ステージ29上の広い範囲に紫外線を照射することが可能になっている。
【0048】
前処理部11は外装部34により全体が覆われている。外装部34の内部には上下に移動可能な戸部35が設置されている。そして、図3(b)に示すように、ステージ29がキャリッジ32と対向する場所に移動したあと、戸部35が下降する。これにより、処理部33が照射する紫外線が前処理部11の外に漏れないようになっている。
【0049】
(基板位置検出部)
次に、搬送部16の把持部16aが半導体基板1を把持するときに把持部16aに対する半導体基板1の位置を検出する基板位置検出部12について図4に従って説明する。図4(a)は基板位置検出部の構成を示す概略斜視図であり、図4(b)は基板位置検出部の構成を示す模式平面図である。
【0050】
図4(a)及び図4(b)に示すように、基板位置検出部12は直方体状の基台38を備え、基台38上には第1XYテーブル39及び第2XYテーブル40が設置されている。第1XYテーブル39はX方向に移動する直動機構とY方向に移動する直動機構とを備えている。この直動機構は、例えば、昇降装置19が備える直動機構と同様な機構を採用することができる。そして、第1XYテーブル39は第1可動台39aを備え、2つの直動機構を駆動することにより、第1可動台39aをX方向及びY方向に移動可能になっている。第2XYテーブル40も第1XYテーブル39と同様の構造を有し、X方向に移動する直動機構とY方向に移動する直動機構とを備えている。そして、第2XYテーブル40は第2可動台40aを備え、2つの直動機構を駆動することにより、第2可動台40aをX方向及びY方向に移動可能になっている。
【0051】
第1XYテーブル39及び第2XYテーブル40は夫々位置検出装置を備えている。そして、基台38における第1撮影装置41及び第2撮影装置42の位置を検出可能になっている。この位置検出装置は、光透過性の板に目盛りが形成されたスケールとこのスケールに光を照射して目盛りを読み込む検出装置とを組み合わせて構成することができる。他にも、この位置検出装置は、磁性体の棒に目盛りを着磁して形成されたスケールとこのスケールの磁場を検出して目盛りを読み込む検出装置とを組み合わせて構成することができる。
【0052】
第1可動台39a上には第1撮影装置41が設置されている。第1撮影装置41は、受光する光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)素子等を搭載した電気回路基板、ズーム機構を備えた対物レンズ、落射照明装置、自動焦点合わせ機構を備えている。これにより、第1撮影装置41と対向する場所に半導体基板1の第1位置検出用マーク7が位置するとき、第1撮影装置41は第1位置検出用マーク7を撮影することができる。そして、第1撮影装置41は第1位置検出用マーク7に光を照射してピント合わせをした後撮影することにより、ピンボケの無い画像を撮影することができる。
【0053】
第2可動台40a上には第1撮影装置41と同様な第2撮影装置42が設置されている。そして、第2撮影装置42と対向する場所に半導体基板1の第2位置検出用マーク8が位置するとき、第2撮影装置42は第2位置検出用マーク8を撮影することができる。そして、第2撮影装置42は第1撮影装置41と同様に第2位置検出用マーク8のピンボケの無い画像を撮影することができる。第1可動台39aにおける第1撮影装置41の位置と第2可動台40aにおける第2撮影装置42の位置とは予め既知の値となっている。従って、基台38における第1可動台39aと第2可動台40aとの位置を検出することにより、第1撮影装置41及び第2撮影装置42の位置を演算可能になっている。
【0054】
基板位置検出部12は第1撮影装置41と第2撮影装置42との2つの撮影装置を備えている。そして、基板2には第1位置検出用マーク7と第2位置検出用マーク8との2つのマークが形成されている。従って、第1撮影装置41が第1位置検出用マーク7を撮影し、第2撮影装置42が第2位置検出用マーク8を撮影することにより、1回の撮影で2つのマークを撮影することができる。
【0055】
基台38の周囲には板金等からなる外装部43が設置され、基板位置検出部12の外部から光が入り込み難くなっている。基台38の内部には制御部44が設置されている。制御部44は第1XYテーブル39、第2XYテーブル40、第1撮影装置41、第2撮影装置42等を制御することにより、第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8を撮影する装置である。さらに、第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8の位置を検出し、把持部16aにおける半導体基板1の位置と角度とを演算して出力する機能を備える。
【0056】
基板位置検出部12の制御部はプロセッサーとして各種の演算処理を行うCPU(中央処理装置)及び各種情報を記憶する記憶部としてのメモリーを有する。
【0057】
第1XYテーブル39、第2XYテーブル40、第1撮影装置41、第2撮影装置42は入出力インターフェイス及びデータバスを介してCPUに接続されている。さらに、搬送部16の制御装置、入力装置、表示装置等も入出力インターフェイス及びデータバスを介してCPUに接続されている。
【0058】
搬送部16の把持部16aが半導体基板1を吸着し、搬送部16は半導体基板1を基板位置検出部12と対向する場所に移動する。このとき、基板2の表面2aは把持部16a側を向き、裏面2bは基板位置検出部12の方向を向いている。制御部44は搬送部16の制御装置から把持部16aの位置座標を入手する。次に、制御部44は第1XYテーブル39及び第2XYテーブル40を走査移動させる。この走査移動は、例えば、第1XYテーブル39において第1可動台39aをX方向に往復移動させて、1往復する毎にY方向に徐々に移動させることを示す。これにより、第1撮影装置41は広い範囲を撮影することができる。そして、第1撮影装置41が第1位置検出用マーク7を撮影可能な場所を検出する。同様に、第2撮影装置42が第2位置検出用マーク8を撮影可能な場所を検出する。尚、把持部16aが半導体基板1を基板位置検出部12と対向する場所に移動するとき、常時第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8が撮影可能な場所に位置するように制御できる場合がある。この場合では、第1XYテーブル39及び第2XYテーブル40の走査移動を必ずとも行う必要はない。
【0059】
第1撮影装置41が第1位置検出用マーク7を検出できないときや、第2撮影装置42が第2位置検出用マーク8を検出できないときがある。この場合には、制御部44が搬送部16の制御装置に半導体基板1を水平移動させる信号を出力して、半導体基板1を移動させる。その後、制御部44は第1XYテーブル39及び第2XYテーブル40を走査移動させながら撮影することにより、第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8を検出する。
【0060】
図4(c)は第1撮影装置が撮影した第1位置検出用マークの像を示し、図4(d)は第2撮影装置が撮影した第2位置検出用マークの像を示す。図4(c)に示すように、第1撮影装置41が撮影した第1画像45には第1位置検出用マーク7に対応する第1位置検出用マーク像46が写っている。制御部44は第1位置検出用マーク像46の中心46aの座標に対応する第1X座標46b及び第1Y座標46cを算出する。
【0061】
図4(d)に示すように、第2撮影装置42が撮影した第2画像47には第2位置検出用マーク8に対応する第2位置検出用マーク像48が写っている。制御部44は第2位置検出用マーク像48の中心48aの座標に対応する第2X座標48b及び第2Y座標48cを算出する。
【0062】
次に、制御部44は基台38における第1可動台39a及び第2可動台40aの位置を検出する。そして、制御部44は第1可動台39a及び第2可動台40a位置座標を用いて、第1撮影装置41の光軸及び第2撮影装置42の光軸の位置を演算する。続いて、制御部44は第1撮影装置41の光軸の位置座標と第1X座標46b及び第1Y座標46cとを用いて基台38における第1位置検出用マーク7の位置座標を演算する。次に、制御部44は第2撮影装置42の光軸の位置座標と第2X座標48b及び第2Y座標48cとを用いて基台38における第2位置検出用マーク8の位置座標を演算する。
【0063】
続いて、制御部44は搬送部16の制御装置から把持部16aの位置座標を入力する。次に、制御部44は把持部16a、第1位置検出用マーク7、第2位置検出用マーク8の位置座標から把持部16aに対する第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8の位置座標を演算する。半導体基板1における第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8の位置座標は予め既知の値である。従って、制御部44は把持部16aに対する半導体基板1の位置と角度とを演算することができる。
【0064】
(塗布部)
次に、半導体基板1に液滴を吐出してマークを形成する塗布部13について図5に従って説明する。液滴を吐出する装置に関しては様々な種類の装置があるが、インクジェット法を用いた装置が好ましい。インクジェット法は微小な液滴の吐出が可能であるため、微細加工に適している。
【0065】
図5(a)は、塗布部の構成を示す概略斜視図である。塗布部13により半導体基板1に液滴が吐出される。図5(a)に示すように、塗布部13には、直方体形状に形成された基台51を備えている。液滴を吐出するときに液滴吐出ヘッドと被吐出物とが相対移動する方向を主走査方向とする。そして、主走査方向と直交する方向を副走査方向とする。副走査方向は改行するときに液滴吐出ヘッドと被吐出物とを相対移動する方向である。本実施形態ではY方向を主走査方向とし、X方向を副走査方向とする。
【0066】
基台51の上面51aには、Y方向に延在する一対の案内レール52がY方向全幅にわたり凸設されている。その基台51の上側には、一対の案内レール52に対応する図示しない直動機構を備えたステージ53が取付けられている。そのステージ53の直動機構は、リニアモーターやネジ式直動機構等を用いることができる。本実施形態では、例えば、リニアモーターを採用している。そして、Y方向に沿って所定の速度で往動または復動するようになっている。往動と復動を繰り返すことを走査移動と称す。さらに、基台51の上面51aには、案内レール52と平行に主走査位置検出装置54が配置され、主走査位置検出装置54によりステージ53の位置が検出される。
【0067】
そのステージ53の上面には載置面55が形成され、その載置面55には図示しない吸引式の基板チャック機構が設けられている。載置面55上に半導体基板1が載置された後、半導体基板1は基板チャック機構により載置面55に固定される。
【0068】
ステージ53が−Y方向に位置するときの載置面55の場所が中継場所13aとなっている。この載置面55は把持部16aの動作範囲内に露出するように設置されている。従って、搬送部16は容易に半導体基板1を載置面55に載置することができる。基板位置検出部12において把持部16aに対する半導体基板1の位置と角度とが明確になっている為、搬送部16は半導体基板1を載置面55に位置精度良く載置することが可能になっている。半導体基板1に塗布が行われた後、半導体基板1は中継場所13aである載置面55上にて待機する。
【0069】
基台51のX方向両側には一対の支持台56が立設され、その一対の支持台56にはX方向に延びる案内部材57が架設されている。案内部材57の下側にはX方向に延びる案内レール58がX方向全幅にわたり凸設されている。案内レール58に沿って移動可能に取り付けられるキャリッジ59は略直方体形状に形成されている。そのキャリッジ59は直動機構を備え、その直動機構は、例えば、ステージ53が備える直動機構と同様の機構を用いることができる。そして、キャリッジ59がX方向に沿って走査移動する。案内部材57とキャリッジ59との間には副走査位置検出装置60が配置され、キャリッジ59の位置が計測される。キャリッジ59の下側にはヘッドユニット61が設置され、ヘッドユニット61のステージ53側の面には図示しない液滴吐出ヘッドが凸設されている。
【0070】
図5(b)は、キャリッジを示す模式側面図である。図5(b)に示すようにキャリッジ59の半導体基板1側にはヘッドユニット61と一対の照射部としての硬化ユニット62が配置されている。ヘッドユニット61の半導体基板1側には液滴を吐出する3個の液滴吐出ヘッド63が凸設されている。液滴吐出ヘッド63の個数は特に限定されず、吐出する機能液の種類に合わせて設定できる。
【0071】
硬化ユニット62には吐出された液滴を硬化させる紫外線を照射する照射装置が配置されている。硬化ユニット62は主走査方向においてヘッドユニット61を挟んだ位置に配置されている。照射装置は発光ユニットと放熱板等から構成されている。発光ユニットには多数のLED(Light Emitting Diode)素子が配列して設置されている。このLED素子は、電力の供給を受けて紫外線の光である紫外光を発光する素子である。
【0072】
キャリッジ59の図中上側には収容タンク64が配置され、収容タンク64には機能液が収容されている。液滴吐出ヘッド63と収容タンク64とは図示しないチューブにより接続され、収容タンク64内の機能液がチューブを介して液滴吐出ヘッド63に供給される。
【0073】
機能液は樹脂材料、硬化剤としての光重合開始剤、溶媒または分散媒を主材料とする。この主材料に顔料または染料等の色素や、親液性または撥液性等の表面改質材料等の機能性材料を添加することにより固有の機能を有する機能液を形成することができる。本実施形態では、例えば、白色の顔料を添加している。機能液の樹脂材料は樹脂膜を形成する材料である。樹脂材料としては、常温で液状であり、重合させることによりポリマーとなる材料であれば特に限定されない。さらに、粘性の小さい樹脂材料が好ましく、オリゴマーの形態であるのが好ましい。モノマーの形態であればさらに好ましい。光重合開始剤はポリマーの架橋性基に作用して架橋反応を進行させる添加剤であり、例えば、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール等を用いることができる。溶媒または分散媒は樹脂材料の粘度を調整するものである。機能液を液滴吐出ヘッドから吐出し易い粘度にすることにより、液滴吐出ヘッドは安定して機能液を吐出することができるようになる。
【0074】
図5(c)は、ヘッドユニットを示す模式平面図である。図5(c)に示すように、ヘッドユニット61には液滴吐出ヘッド63が配置され、液滴吐出ヘッド63の表面にはノズルプレート65が配置されている。ノズルプレート65には複数のノズル66が配列して形成されている。ノズル66及びヘッドの数及び配置は特に限定されず吐出するパターンに合わせて設定される。本実施形態においては、例えば、1個のノズルプレート65にはノズル66の配列が1列形成され、1つの列には15個のノズル66が配置されている。
【0075】
硬化ユニット62の下面には、照射口62aが形成されている。そして、照射装置が発光する紫外線が照射口62aから半導体基板1に向けて照射される。
【0076】
図5(d)は、液滴吐出ヘッドの構造を説明するための要部模式断面図である。図5(d)に示すように、液滴吐出ヘッド63はノズルプレート65を備え、ノズルプレート65にはノズル66が形成されている。ノズルプレート65の上側であってノズル66と相対する位置にはノズル66と連通するキャビティ67が形成されている。そして、液滴吐出ヘッド63のキャビティ67には機能液68が供給される。
【0077】
キャビティ67の上側には上下方向に振動してキャビティ67内の容積を拡大縮小する振動板69が設置されている。振動板69の上側でキャビティ67と対向する場所には上下方向に伸縮して振動板69を振動させる圧電素子70が配設されている。圧電素子70が上下方向に伸縮して振動板69を加圧して振動し、振動板69がキャビティ67内の容積を拡大縮小してキャビティ67を加圧する。それにより、キャビティ67内の圧力が変動し、キャビティ67内に供給された機能液68はノズル66を通って吐出される。
【0078】
液滴吐出ヘッド63が圧電素子70を制御駆動するためのノズル駆動信号を受けると、圧電素子70が伸張して、振動板69がキャビティ67内の容積を縮小する。その結果、液滴吐出ヘッド63のノズル66から縮小した容積分の機能液68が液滴71となって吐出される。
【0079】
(後処理部)
図6は後処理部の構成を示す概略斜視図である。図6(a)に示すように、後処理部14は基台74を備え、基台74上にはX方向に延在する一対の案内レール75が設置されている。案内レール75上には案内レール75に沿ってX方向に移動するステージ76が設置されている。ステージ76は直動機構を備え、往復移動することができる。
【0080】
ステージ76の上面には載置面76aが設置され、載置面76aには吸引式のチャック機構が形成されている。搬送部16が半導体基板1を載置面76aに載置するとき、チャック機構を作動させることにより、半導体基板1を載置面76aに固定することができる。
【0081】
ステージ76が−X方向に位置するときの載置面76aの場所が中継場所14aとなっている。この載置面76aは把持部16aの動作範囲内に露出するように設置されている。これにより、搬送部16は容易に半導体基板1を載置面76aに載置することができる。半導体基板1に後処理が行われた後、半導体基板1は中継場所14aである載置面76a上にて待機する。
【0082】
基台74のX方向には平板状の支持部77が立設されている。支持部77の−X側の面において上側にはY方向に延在する案内レール78が設置されている。そして、案内レール78と対向する場所には案内レール78に沿ってY方向に移動するキャリッジ79が設置されている。キャリッジ79は直動機構を備え、往復移動することができる。この直動機構は昇降装置19が備える直動機構と同様の機構を用いることができる。
【0083】
キャリッジ79の基台74側にはランプユニット80と温風ユニット81とが設置されている。ランプユニット80は半導体基板1に紫外線を照射して、塗布された機能液68を硬化する装置である。ランプユニット80は、例えばメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等のランプaを用いることができる。より具体的には、ランプユニット80には、Fusion System社製のHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているランプを用いることができる。
【0084】
温風ユニット81は半導体基板1に温風を送風して、塗布された機能液68を硬化する装置である。温風ユニット81は送風機、ヒーター及び温風温度を調節する制御装置等により構成されている。送風機は特に限定されないが、例えば、ファンとモーター等により構成することができる。ヒーターも特に限定されないが、例えば、電熱線を採用することができる。これにより、半導体基板1にダメージを与えずに機能液68を硬化するようになっている。後処理部14はランプユニット80から紫外線を照射し、温風ユニット81から温風を送風しながらキャリッジ79を往復運動させる。これにより、ステージ76上の広い範囲に紫外線の照射と温風の吹きつけをすることが可能になっている。
【0085】
後処理部14は外装部82により全体が覆われている。外装部82の内部には上下に移動可能な戸部83が設置されている。そして、図6(b)に示すように、ステージ76がキャリッジ79と対向する場所に移動したあと、戸部83が下降する。これにより、ランプユニット80が照射する紫外線が後処理部14の外に漏れないようになっている。
【0086】
(収納部)
図7(a)は収納部を示す模式正面図であり、図7(b)及び図7(c)は収納部を示す模式側面図である。図7(a)及び図7(b)に示すように、収納部15は基台86を備えている。基台86の内部には昇降装置87が設置されている。昇降装置87は供給部10に設置された昇降装置19と同様の装置を用いることができる。基台86の上側には昇降板88が昇降装置87と接続して設置されている。そして、昇降板88は昇降装置87により昇降させられる。昇降板88の上には直方体状の収納容器21が設置され、収納容器21の中には半導体基板1が収納されている。収納容器21は供給部10に設置された収納容器21と同じ容器が用いられている。
【0087】
基台86のY方向側には支持部材89を介して、基板押出部90と中継台91とが設置されている。収納容器21のY方向側の場所において基板押出部90の上に中継台91が重ねて配置されている。基板押出部90はY方向に移動する腕部90aと腕部90aを駆動する直動機構とを備えている。この直動機構は直線状に移動する機構であれば特に限定されない、本実施形態では、例えば、圧縮空気にて作動するエアーシリンダーを採用している。中継台91上には半導体基板1が載置され、この半導体基板1のY方向側の一端の中央に腕部90aが接触可能となっている。
【0088】
基板押出部90が腕部90aを−Y方向に移動させることにより、腕部90aが半導体基板1を−Y方向に移動させる。中継台91は半導体基板1のX方向の幅と略同じ幅の凹部が形成され、半導体基板1はこの凹部に沿って移動する。その結果、図7(c)に示すように、半導体基板1が収納容器21の中に移動させられる。収納容器21にはレール21cが形成されており、レール21cは中継台91に形成された凹部の延長線上に位置するようになっている。そして、基板押出部90によって半導体基板1はレール21cに沿って移動させられる。これにより、半導体基板1は収納容器21に品質良く収納される。
【0089】
搬送部16が中継台91上に半導体基板1を移動した後、昇降装置87が収納容器21を上昇させる。そして、基板押出部90が腕部90aを駆動して半導体基板1を収納容器21内に移動させる。このようにして収納部15は半導体基板1を収納容器21内に収納する。収納容器21内に所定の枚数の半導体基板1が収納された後、操作者は半導体基板1が収納された収納容器21と空の収納容器21とを置き換える。これにより、操作者は複数の半導体基板1をまとめて次の工程に持ち運ぶことができる。
【0090】
(搬送部)
次に、半導体基板1を搬送する搬送部16について図8に従って説明する。図8は、搬送部の構成を示す概略斜視図である。図8に示すように、搬送部16は平板状に形成された基台94を備えている。基台94上には支持台95が配置されている。支持台95の内部には空洞が形成され、この空洞にはモーター、角度検出器、減速機等から構成させる回転機構95aが設置されている。そして、モーターの出力軸は減速機と接続され、減速機の出力軸は支持台95の上側に配置された第1腕部96と接続されている。また、角度検出器がモーターの出力軸と連結され、モーターの出力軸の回転角度を検出する。これにより、回転機構95aは第1腕部96の回転角度を検出して、所望の角度まで回転させることができる。
【0091】
第1腕部96上において支持台95と反対側の端には回転機構97が設置されている。回転機構97はモーター、角度検出器、減速機等により構成され、支持台95の内部に設置された回転機構95aと同様の機能を備えている。そして、回転機構97の出力軸は第2腕部98と接続されている。これにより、回転機構97は第2腕部98の回転角度を検出して、所望の角度まで回転させることができる。
【0092】
第2腕部98上において回転機構97と反対側の端には昇降装置99が配置されている。昇降装置99は直動機構を備え、直動機構を駆動することにより伸縮することができる。この直動機構は供給部10の昇降装置19と同様の機構を用いることができる。昇降装置99の下側には回転装置100が配置されている。
【0093】
回転装置100は回転角度を制御可能であれば良く、各種モーターと回転角度センサーとを組み合わせて構成することができる。他にも、回転角度を所定の角度にて回転できるステップモーターを用いることができる。本実施形態では、例えば、ステップモーターを採用している。さらに減速装置を配置しても良い。さらに細かな角度で回転させることができる。
【0094】
回転装置100の下側には把持部16aが配置されている。そして、把持部16aは回転装置100の回転軸と接続されている。従って、搬送部16は回転装置100を駆動することにより把持部16aを回転させることができる。さらに、搬送部16は昇降装置99を駆動することにより把持部16aを昇降させることができる。
【0095】
把持部16aは4本の直線状の指部16cを有し、指部16cの先端には半導体基板1を吸引して吸着させる吸着機構が形成されている。そして、把持部16aはこの吸着機構を作動させて、半導体基板1を把持することができる。
【0096】
基台94の−Y方向側には制御装置101が設置されている。制御装置101には中央演算装置、記憶部、インターフェイス、アクチュエーター駆動回路、入力装置、表示装置等を備えている。アクチュエーター駆動回路は回転機構95a、回転機構97、昇降装置99、回転装置100、把持部16aの吸着機構等を駆動する回路である。そして、これらの装置及び回路はインターフェイスを介して中央演算装置と接続されている。統合制御部17がインターフェイスを介して中央演算装置と接続されている。記憶部には搬送部16を制御する動作手順を示したプログラムソフトや制御に用いるデータが記憶されている。中央演算装置はプログラムソフトに従って搬送部16を制御する装置である。制御装置101は搬送部16に配置された検出器の出力を入力して把持部16aの位置と姿勢とを検出する。そして、制御装置101は回転機構95a及び回転機構97を駆動して把持部16aを所定の位置に移動させる制御を行う。
【0097】
(描画方法)
次に上述した液滴吐出装置9を用いた描画方法について図9及び図10にて説明する。図9は、描画方法を示すためのフローチャートであり、図10は描画方法を説明するための模式図である。図9のフローチャートにおいて、ステップS1は搬入工程に相当し、供給部が収納容器から半導体基板を中継場所に移動する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は、第1搬送工程に相当する。この工程は、搬送部が供給部から前処理部へ半導体基板を移動する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は、前処理工程に相当する。この工程は、前処理部が半導体基板の表面に前処理を施す工程である。次にステップS4に移行する。ステップS4は、第2搬送工程に相当する。この工程は、搬送部が前処理部から基板位置検出部へ半導体基板を移動する工程である。次にステップS5に移行する。ステップS5は、位置検出工程に相当する。この工程は、把持部に対する半導体基板の位置と角度とを検出する工程である。次にステップS6に移行する。ステップS6は、第3搬送工程に相当する。この工程は、搬送部が基板位置検出部から塗布部へ半導体基板を移動する工程である。次にステップS7に移行する。ステップS7は、描画工程に相当する。この工程は、塗布部が半導体基板に各種マークを描画する工程である。次にステップS8に移行する。ステップS8は、第4搬送工程に相当する。この工程は、搬送部が塗布部の中継場所から後処理部へ半導体基板を移動する工程である。次にステップS9に移行する。ステップS9は、後処理工程に相当する。この工程は、後処理部が半導体基板の表面に塗布された機能液を固化または硬化する工程である。次にステップS10に移行する。ステップS10は、第5搬送工程に相当する。この工程は、搬送部が後処理部から収納部へ半導体基板を移動する工程である。次にステップS11に移行する。ステップS11は収納工程に相当し、収納部が中継場所から半導体基板を収納容器に移動する工程である。以上の工程にて、半導体基板1に各種マークを描画する製造工程を終了する。
【0098】
次に、図10を用いて、図9に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。図10(a)に示すように、ステップS1の搬入工程では収納容器21に半導体基板1が収納されている。そして、供給部10は基板引出部25を駆動することにより、半導体基板1を中継場所10aに移動させる。
【0099】
ステップS2の第1搬送工程において、搬送部16は、中継場所10aの半導体基板1と対向する場所に把持部16aを移動させる。そして、搬送部16は、把持部16aに半導体基板1を吸着させることにより、半導体基板1を把持する。次に、搬送部16は把持部16aを上昇させた後、前処理部11の中継場所11aと対向する場所に移動させる。続いて、搬送部16は把持部16aを下降させた後、半導体基板1の吸着を解除することにより、半導体基板1を前処理部11の中継場所11aに載置する。その結果、図10(b)に示すように、前処理部11の中継場所11a上に半導体基板1が載置される。
【0100】
ステップS3の前処理工程において、前処理部11はステージ29を駆動することにより、中継場所11aに載置された半導体基板1を前処理部11の内部に移動させる。そして、前処理部11は半導体基板1に実装された半導体装置3に紫外線を照射することにより、半導体装置3の表面を改質する。これにより、描画するマークの外観品質を向上させることができる。前処理を行った後に前処理部11はステージ29を駆動することにより、半導体基板1を中継場所11aに移動させる。
【0101】
ステップS4の第2搬送工程において、搬送部16は中継場所11aの半導体基板1と対向する場所に把持部16aを移動させる。そして、搬送部16は把持部16aを下降して半導体基板1を吸着させることにより、把持部16aに半導体基板1を把持させる。次に、搬送部16は把持部16aを上昇させた後、基板位置検出部12と対向する場所に移動させる。続いて、第1撮影装置41及び第2撮影装置42が半導体基板1を撮影可能な高さまで搬送部16は把持部16aを下降させる。その結果、図10(a)に示すように、基板位置検出部12と対向する場所に半導体基板1が維持される。
【0102】
第1撮影装置41及び第2撮影装置42はZ方向を撮影するように設置されており、半導体基板1に第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8が形成されている裏面2bは−Z方向を向いている。従って、搬送部16が半導体基板1の表裏を反転することなく、基板位置検出部12が第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8を検出することができる。
【0103】
ステップS5の位置検出工程において、基板位置検出部12は第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8を検出し、その位置から半導体基板1の位置と角度を演算する。そして、基板位置検出部12は搬送部16の制御装置101から把持部16aの位置座標を入力する。続いて、基板位置検出部12は把持部16aに対する半導体基板1の位置と角度とを演算し、その演算結果を統合制御部17に出力する。
【0104】
ステップS6の第3搬送工程において、搬送部16は把持部16aを上昇させた後、塗布部13の中継場所13aと対向する場所に移動させる。続いて、搬送部16は把持部16aを下降させた後、半導体基板1の吸着を解除することにより、半導体基板1を塗布部13の載置面55に載置する。その結果、図10(b)に示すように、塗布部13の中継場所13aに位置するステージ53上に半導体基板1が載置される。このとき、把持部16aに対する半導体基板1の位置と角度との情報を用いることにより、搬送部16はステージ53上の所定の場所へ位置精度良く半導体基板1を載置することができる。
【0105】
ステップS7の描画工程において、塗布部13はチャック機構を作動させてステージ53上に載置された半導体基板1をステージ53に保持する。そして、塗布部13はステージ53及びキャリッジ59を走査移動しながら、液滴吐出ヘッド63に形成されたノズル66から液滴71を吐出する。これにより、半導体装置3の表面には会社名マーク4、機種コード5、製造番号6等のマークが描画される。半導体基板1はステージ53に位置精度良く載置されている為、これらのマークは位置精度良く描画される。
【0106】
続いて、吐出された液滴71に硬化ユニット62から紫外線が照射される。マークを形成する機能液68には紫外線により重合が開始する光重合開始剤が含まれているため、マークの表面が固化される。塗布部13は、半導体基板1が載置されているステージ53を描画終了後に中継場所13aに移動させる。そして、塗布部13はチャック機構の動作を停止して半導体基板1の保持を解除する。
【0107】
ステップS8の第4搬送工程において、搬送部16は中継場所13aの半導体基板1と対向する場所に把持部16aを移動させる。そして、搬送部16は、把持部16aを下降して半導体基板1を吸着させることにより、半導体基板1を把持する。次に、搬送部16は把持部16aを上昇させた後、後処理部14の中継場所14aと対向する場所に移動させる。続いて、搬送部16は把持部16aを下降させた後、半導体基板1の吸着を解除することにより、半導体基板1を後処理部14の中継場所14aに載置する。その結果、図10(a)に示すように、後処理部14の中継場所14aに位置するステージ76上に半導体基板1が載置される。
【0108】
ステップS9の後処理工程において、後処理部14はステージ76を駆動することにより、中継場所14aに載置された半導体基板1を後処理部14の内部に移動させる。そして、後処理部14は半導体基板1に実装された半導体装置3に紫外線の照射と温風の吹きつけと行う。これにより半導体装置3に描画されたマークが固化しさらに硬化する。後処理を行った後に後処理部14はステージ76を駆動することにより、半導体基板1を中継場所14aに移動させる。
【0109】
ステップS10の第5搬送工程において、搬送部16は中継場所14aの半導体基板1と対向する場所に把持部16aを移動させる。そして、搬送部16は、把持部16aを下降して半導体基板1を吸着させることにより、半導体基板1を把持する。次に、搬送部16は把持部16aを上昇させた後、収納部15の中継場所15aと対向する場所に移動させる。続いて、搬送部16は把持部16aを下降させた後、半導体基板1の吸着を解除することにより、半導体基板1を収納部15の中継場所15aに載置する。その結果、図10(b)に示すように、収納部15の中継場所15aに位置する中継台91上に半導体基板1が載置される。
【0110】
ステップS11の収納工程において、収納部15は昇降装置87を駆動して収納容器21を上昇させる。これにより、収納容器21の空いている場所が半導体基板1の延長線上に位置するようになる。次に、収納部15は基板押出部90を駆動することにより、中継場所15aの中継台91上に載置された半導体基板1を収納容器21に移動させる。その結果、収納容器21に半導体基板1が収納される。以上の工程にて、半導体基板1に各種マークを描画する製造工程を終了する。
【0111】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、基板2の裏面2bに第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8が形成されている。そして、基板位置検出部12がこれらの位置検出用マークを撮影して基板2の位置及び角度を検出する。次に、搬送部16は基板2を塗布部13に移動している。このとき、搬送部16は基板2の位置及び角度の情報を用いることにより基板2をステージ53上の所定の場所に所定の角度で載置する。これにより塗布部13は基板2に対して位置精度良く液滴71を吐出することができる。
【0112】
(2)本実施形態によれば、基板2の裏面2bに第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8が形成されている。そして、塗布部13が液滴71を吐出する向きと反対の向きから基板位置検出部12は第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8を撮影している。その後、搬送部16は基板2を塗布部13に移動する。このとき、搬送部16は基板2の表裏面を反転することなく基板2の表面2aを液滴71が飛行してくる側に向けて配置することができる。従って、基板2を反転する必要がない為、液滴吐出装置9は生産性良く基板2を塗布部13に移動することができる。
【0113】
(3)本実施形態によれば、搬送部16は基板2を移動することができる。そして、基板位置検出部12が撮影可能な場所に第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8を移動するので、基板位置検出部12は確実に基板2の位置及び角度を検出することができる。
【0114】
(4)本実施形態によれば、基板2には第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8が形成されている。従って、基板位置検出部12は第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8を検出することにより、基板2の位置及び角度を検出することができる。そして、基板位置検出部12は複数の位置検出用マークを同時に撮影することから、複数の位置検出用マークを1つずつ撮影する場合に比べて生産性良く位置検出用マークを撮影することができる。その結果、生産性良く基板2の位置及び角度を検出することができる。
【0115】
(5)本実施形態によれば、半導体装置3の表面を改質する処理をした後に、半導体装置3に液滴71を塗布している。従って、液滴吐出装置9は半導体装置3に塗布された液滴71の広がり具合を調整することができる。
【0116】
(6)本実施形態によれば、ステップS7の描画工程において、基板2に液滴71を塗布した後に、液滴71を固化している。従って、液滴吐出装置9は液滴71を半導体装置3に確実に定着させることができる。その結果、液滴71が混合しないように描画することができる。さらに、ステップS9の後処理工程において、会社名マーク4等のマークを確実に固化及び硬化している。従って、機械的な耐久性の良いマークにすることができる。
【0117】
(7)本実施形態によれば、着弾した液滴71に紫外線を照射して硬化させている。従って、吐出した液滴71を短時間に硬化させることができる。
【0118】
(8)本実施形態によれば、基板位置検出部12は第1撮影装置41及び第2撮影装置42とこれらを走査移動させる第1XYテーブル39及び第2XYテーブル40を備えている。従って、第1位置検出用マーク7及び第2位置検出用マーク8の位置が所定の位置と離れている場所に位置するときにも、捜査して検出することができる。
【0119】
(第2の実施形態)
次に、特徴的な基板位置検出部の一実施形態について図11の基板位置検出部の構成を示す模式側断面図を用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、基板位置検出部が基板の表裏の両面を撮影する撮影装置を備えた点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0120】
すなわち、本実施形態では、図11に示すように、液滴吐出装置103は基板位置検出部104を備えている。この基板位置検出部104は直方体状の基台38を備え、基台38上には第1XYテーブル39及び第2XYテーブル40が設置されている。第1XYテーブル39上には第1撮影装置41が設置され、第2XYテーブル40上には第2撮影装置42が設置されている。第1XYテーブル39、第2XYテーブル40、第1撮影装置41、第2撮影装置42は第1の実施形態にて用いられた物と同じ物であり、説明を省略する。
【0121】
基台38のY方向側には第1支持部105が立設して設置されている。そして、基台38のZ方向には第1支持部105と接続して平板状の第2支持部106が設置されている。第2支持部106は基台38と対向して配置され、第2支持部106の基台38側の面には第3XYテーブル107及び第4XYテーブル108が配置されている。そして、第3XYテーブル107の基台38側には第3撮影装置109が設置され、第4XYテーブル108の基台38側には第4撮影装置110が設置されている。第3XYテーブル107及び第4XYテーブル108は第1XYテーブル39と同等な構造及び機能を備えている。そして、第3撮影装置109及び第4撮影装置110は第1撮影装置41と同等な構造及び機能を備えている。この第3撮影装置109及び第4撮影装置110は基台38方向を撮影可能な姿勢に設置されている。
【0122】
基台38の内部には制御部111が設置されている。制御部111は第1の実施形態における制御部44と同様の機能を備えている。つまり、制御部111は第1XYテーブル39における第1撮影装置41の位置情報と第2XYテーブル40における第2撮影装置42の位置情報とを入力する。さらに、第1撮影装置41が撮影する第1画像45及び第2撮影装置42が撮影する第2画像47のデータを入力する。さらに、把持部16aの位置情報を入力する。そして、これらの情報を用いて把持部16aに対する半導体基板1の位置と角度とを演算する。次に、基板位置検出部104はこの演算結果を統合制御部17に出力する。
【0123】
さらに、制御部111は、基板2の表面2aに位置検出用マークが形成されているときに、その位置検出用マークを用いて把持部16aに対する半導体基板1の位置と角度とを演算する機能を備えている。つまり、制御部111は第3XYテーブル107における第3撮影装置109の位置情報と第4XYテーブル108における第4撮影装置110の位置情報とを入力する。さらに、第3撮影装置109が撮影する画像及び第4撮影装置110が撮影する画像のデータを入力する。そして、これらの情報を用いて把持部16aに対する半導体基板1の位置と角度とを演算する。次に、基板位置検出部104はこの演算結果を統合制御部17に出力する。
【0124】
搬送部16は半導体基板1を塗布部13のステージ53上に移動する。このとき、搬送部16は把持部16aに対する半導体基板1の位置と角度との情報を用いてステージ53上の所定の場所に半導体基板1を移動する。基板位置検出部104において、半導体基板1の表面2aはZ方向を向いているので、搬送部16は半導体基板1を反転させることなく塗布部13へ移動する。
【0125】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、基板位置検出部104は基板2の裏面2bに位置検出用マークが形成されているとき、把持部16aに対する半導体基板1の位置と角度とを演算することができる。さらに、基板2の表面2aに位置検出用マークが形成されているときにも把持部16aに対する半導体基板1の位置と角度とを演算することができる。つまり、基板2のいずれか一方の面に位置検出用マークが形成されているときに把持部16aに対する半導体基板1の位置と角度とを演算することができる。
【0126】
(2)本実施形態によれば、基板2の表面2aに位置検出用マークがあるとき、塗布部13が液滴71を吐出する向きから基板位置検出部104は位置検出用マークを撮影する。従って、搬送部16は基板2の表裏面を反転することなく基板2の表面2aを液滴71が飛行してくる側に向けて配置することができる。その結果、基板2を反転する必要がない為、液滴吐出装置103は生産性良く基板を塗布部に移動することができる。
【0127】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、搬送部16にスカラー型ロボットを採用したが、ロボットの形態に限定されない。垂直多関節ロボット、直交ロボット、パラレルリンクロボット等各種の形態のロボットを採用することができる。
【0128】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、半導体基板1に実装された半導体装置3にマークを描画した。描画する対象物は半導体装置3に限らない。マークを描画可能な固体であれば良い。この場合にも、液滴吐出装置9を用いて生産性良く且つ位置精度良くマークを描画することができる。
【0129】
(変形例3)
前記第1の実施形態では、機能液68に光重合開始剤が含まれていたが、光重合開始剤を含まない機能液68を用いても良い。このときには、着弾した液滴71を加熱することにより硬化しても良い。この場合には、ヘッドユニット61には紫外線を照射する硬化ユニット62が必ずしも設置されなくとも良い。さらに、後処理部14にもランプユニット80が必ずしも設置されなくとも良い。そして、後処理部14の温風ユニット81を用いて着弾した液滴71を硬化させても良い。装置を簡略にすることができる。
【0130】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、第1撮影装置41及び第2撮影装置42はCCD素子等を搭載した電気回路基板にて受光する光を電気信号に変換したが、他の方式でも良い。例えば、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)の半導体撮像素子や撮像管を用いて光を電気信号に変換しても良い。
【0131】
(変形例5)
前記第1の実施形態では、キャビティ67を加圧する加圧手段に、圧電素子70を用いたが、他の方法でも良い。例えば、コイルと磁石とを用いて振動板69を変形させて、加圧しても良い。他に、キャビティ67内にヒーター配線を配置して、ヒーター配線を加熱することにより、機能液68を気化させたり、機能液68に含む気体を膨張させたりして加圧しても良い。他にも、静電気の引力及び斥力を用いて振動板69を変形させて、加圧しても良い。前記実施形態と同様に機能液68を塗布することができる。
【0132】
(変形例6)
前記第1の実施形態では、基板2には第1位置検出用マーク7と第2位置検出用マーク8との2つの位置検出用マークが形成されていた。位置検出用マークの個数は3個以上でも良い。そして、3個以上の位置検出用マークの位置を検出して基板2の位置と角度とを演算しても良い。検出するマークの個数を増やすことにより、基板2が伸縮する場合にも精度良く位置と角度とを演算することができる。そして、位置検出用マークの個数は3個以上のとき、位置検出用マークを撮影する撮影装置の数も3台以上にして良い。撮影する位置検出用マークの個数より撮影装置の数が多いとき、1回の撮影で位置検出用マークを撮影することができる。従って、生産性良く撮影することができる。尚、分解能が高い撮影装置を用いるときには、1台の撮影装置で複数の位置検出用マークを撮影しても良い。撮影装置の台数を減らせるので簡便な装置にすることができる。
【0133】
(変形例7)
前記第1の実施形態では、第1位置検出用マーク7と第2位置検出用マーク8に円形のマークを用いたが、マークの形状はこれに限定されず他の形状でも良い。特定の点の座標を検出可能な図形であれば良い。例えば、多角形、交差する複数の直線からなる図形など多種図形を用いることができる。尚、変形例1〜変形例7の内容は第2の実施形態にも適用することができる。
【符号の説明】
【0134】
1…基材としての半導体基板、2b…裏面、7…第1位置検出用マーク、8…第2位置検出用マーク、11…前処理部、12,104…基板位置検出部、13…塗布部、14…後処理部、16…搬送部、62…照射部としての硬化ユニット、71…液滴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面を有する基材の表面に液滴を吐出する塗布部と、裏面に形成された位置検出用マークを撮影して前記基材の位置及び角度を検出する基材位置検出部と、前記基材位置検出部が検出した前記基材の位置及び角度の情報を用いて前記塗布部の所定の場所へ所定の角度で前記基材を移動する搬送部と、を有し、
前記基材位置検出部は、前記塗布部が前記液滴を吐出する向きと反対の向きから前記位置検出用マークを撮影することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置であって、
前記搬送部は前記基材位置検出部が撮影可能な場所に前記位置検出用マークを移動することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液滴吐出装置であって、
前記位置検出用マークは前記基材に複数形成され、前記基材位置検出部は複数の前記位置検出用マークを同時に撮影することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液滴吐出装置であって、
前記塗布部が前記液滴を塗布する前に、前記基材の表面を改質する処理を行う前処理部をさらに備え、前記搬送部は前記基材を前記前処理部から前記基材位置検出部を経て前記塗布部に移動することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液滴吐出装置であって、
前記塗布部が前記液滴を塗布した後に、前記基材の表面に塗布された前記液滴を固化する処理を行う後処理部をさらに備えることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液滴吐出装置であって、
前記液滴は紫外線により硬化する硬化剤を含み、前記塗布部は着弾した前記液滴に紫外線を照射する照射部を備えることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項7】
請求項2に記載の液滴吐出装置であって、
前記基材位置検出部は、さらに、表面に形成された前記位置検出用マークを前記塗布部が前記液滴を吐出する向きから撮影して前記基材の位置及び角度を検出することを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−136302(P2011−136302A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299060(P2009−299060)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】