説明

混合モードのDC/ACインバータ

【課題】負荷を駆動するためのDC/ACインバータ及びその方法が提供される。
【解決手段】DC/ACインバータは、DC入力電圧を供給するためのDC電源と、DC電源に結合され、DC入力電圧を負荷を駆動するために用いられるAC信号に変換する変換器回路と、変換器回路に結合され、AC信号の周波数を設定する制御回路と、を含む。制御回路は、さらに、DC入力電圧及び負荷条件に従って、DC/ACインバータを固定周波数モードで及び可変の周波数モードで動作させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電流(DC)から交流電流(AC)への変換回路に関し、特に、液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトのためのDC/ACインバータに関する。
【背景技術】
【0002】
LCDパネルは、ビデオ・カメラ、自動車のナビゲーション・システム、ラップトップPC、及び工業用機械のような、携帯電子装置から固定された場所のユニットまでの範囲に及ぶ種々の応用に用いられている。LCDパネルはそれ自体では光を発光することができず、光源によってバックから光をあてられ(バックライトされ)なければならない。最も一般的に用いられるバックライト光源は、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)である。しかしながら、CCFLを点火(起動)して作動させるには高いAC信号を必要とする。代表的には、点火電圧は、約1000ボルトであり、作動電圧は、約500ボルトである。DC電源、例えば再充電可能なバッテリ、からこのような高いAC信号を発生するように、DC/ACインバータは設計される。
【0003】
所望の高いAC信号を出力することに加えて、DC/ACインバータは、また、ますます増加する効率、一層高い信頼性、サイズの縮小及びますます低い価格に対する進展しつつある需要に直面している。さらに、DC/ACインバータは、RF放出を最小とするために並びにCCFLにおける最適な電流・光変換を提供するために望まれる純粋な正弦波形を有するAC信号を出力することが期待されている。反対に、高い波高率を有する歪んだ正弦波形は、CCFLの寿命を短くするであろう。波高率は、ピークのランプ電流の平均ランプ電流に対する比である。
【0004】
動作周波数に関して、現在のDC/ACインバータは、固定された動作周波数及び可変動作周波数の2つのカテゴリに分けられ得る。固定された動作周波数を有するDC/ACインバータの例は、米国特許第5,619,402号明細書に開示されており、その全体において参照によりここに組み込まれる。この種のDC/ACインバータは、DC入力信号のレベル及び負荷条件に拘わらず、一定の動作周波数を有する。それ故、DC入力信号が比較的低く負荷が比較的重いときに、高い効率、信頼性及び低い電磁干渉の利点が得られるけれども、DC入力信号が比較的高く負荷が比較的低い時には、ランプ電流の一層高い波高率が存在するであろう。結果として、一層高い波高率がバックライト・ランプの寿命を短くし得る。
【0005】
可変動作周波数を有するDC/ACインバータの代表的な例は、図1に示される“Buck/Royer”回路100である。回路100は、実質的に、ステップダウン・バック(buck)調整器110と、一体化されたステップアップ(昇圧)変圧器121を有する自己共振Royer発振器120との組み合わせである。ステップダウン・バック調整器110は、バッテリまたは電位ラインからの調整されてないDC入力信号Vdcを、自己共振Royer発振器120の定格化された入力範囲内の安定電圧に変換する。自己共振Royer発振器120は、ステップアップ変圧器121、2つの電源スイッチ123及び125、共振コンデンサ127、ベース巻線129、バラスト(ballast)・コンデンサ131並びにPWM制御器130から構成される。回路100の動作周波数は、共振周波数に対応するように設定される。共振周波数は、さらに、ステップアップ変圧器121、共振コンデンサ127、ベース巻線129、バラスト・コンデンサ131並びにCCFL負荷140から成る共振回路によって決定される。従って、動作周波数は、CCFL負荷の状態と共に動的に変化し、このような動作機構は可変動作モードと呼ばれる。
【0006】
可変動作周波数を有するDC/ACインバータの幾つかの導出された形状(トポロジ)は、米国特許第5,430,641号、5,619,402号、5,615,093号、5,818,172号に見られ得る。これらの参考文献に開示されているDC/ACインバータによって与えられるAC信号は、良好な波高率を有するけれども、これらの各々は、低い変換効率、2段の電力変換及び電磁干渉を被る。さらに、負荷が重いかまたは短絡状態かにあるとき、高い磁束密度が、DC/ACインバータにおける変圧器に存在する。高い磁束密度に起因して変圧器は飽和され得、そして、DC/ACインバータにおける構成要素が損傷され得る。
【特許文献1】米国特許第5,619,402号
【特許文献2】米国特許第5,430,641号
【特許文献3】米国特許第5,615,093号
【特許文献4】米国特許第5,818,172号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、従来の固定された及び可変の周波数インバータにはそれらと関連する欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態においては、負荷を駆動するためのDC・ACインバータが提供される。該DC・ACインバータは、DC入力電圧を供給するためのDC電源と、DC電源に結合され、DC入力電圧を負荷を駆動するために用いられるAC信号に変換する変換器回路と、変換器回路に結合され、AC信号の周波数を設定する制御回路と、を含む。制御回路は、さらに、DC・ACインバータを一定の周波数モードで及び可変の周波数モードで動作させることができる。
【0009】
もう1つの実施形態においては、直流電流信号を負荷を駆動するための交流電流信号に変換するための方法が提供される。該方法は、予め決められた閾値条件を設定するステップと、交流電流信号に対応する周波数が比較的一定の周波数に維持される固定周波数モードで動作させるステップと、交流電流信号に対応する周波数が共振回路に対応する共振周波数に従って変化される可変周波数モードで動作させるステップと、予め決められた閾値条件の関数として、固定周波数モード及び可変周波数モードにおける動作間で切り換えるステップと、を含む。
【0010】
さらにもう1つの実施形態においては、システムが提供される。該システムは、ディスプレイと、ディスプレイに結合されてディスプレイから放射する光を供給する光源と、ディスプレイに結合されてディスプレイ上に表示されるべきデータを発生する処理ユニットと、光源に結合されて、一定の周波数モード及び共振モード間で最適な動作周波数を自動的に選択することができる制御器と、を含む。
【0011】
本発明の利点は、添付図面と共に考慮されるべき例示的実施形態の以下の詳細の説明から明瞭となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
さて、本発明の実施形態を詳細に参照する。本発明を実施形態と共に説明するけれども、これらの実施形態に本発明を制限することを意図しているものではないことを理解されたい。反対に、本発明は、特許請求の範囲によって限定される本発明の精神及び範囲に含まれ得る代替、変更並びに等価物を包摂するものと意図されている。
【0013】
図2は、例示的なDC/ACインバータ200のブロック図を示す。DC/ACインバータ200は、DC電源210からのDC入力信号VINを受信し、負荷230に高い出力信号VOUTを提供する。DC電源210は、バッテリ、アダプタ、等であって良い。
【0014】
負荷230は、代表的には、CCFLのようなLCDパネルをバックライトするための1つまたは複数の放電ランプである。DC/ACインバータ200は、主に、変換器回路220及び制御回路250から構成される。変換器回路220は、複数のスイッチと、DCからACへの信号変換を行うための変圧器とを含む。制御回路250は、調光制御信号を提供するために変換器回路220に接続される。変換器回路220における複数のスイッチの導通状態を制御することによって、調光制御信号は、AC出力信号VOUTの大きさまたは周波数を調整し得、従って、負荷230の明るさを調整し得る。
【0015】
さらに、最適な大きさ及び周波数を有するAC出力信号を取得するために、制御回路250は、DC入力信号VINのレベル及び負荷状態に従って、固定周波数モードまたは可変周波数モードのいずれかで自動的に動作し得る。DC入力信号が相対的に低いかまたは負荷が相対的に重いとき、一定の周波数を有するランプ信号(勾配信号)が制御回路250に提供され得、従って、制御回路250は、固定周波数モードで動作するであろう。DC入力信号が比較的重いかまたは負荷が比較的軽いとき、可変周波数を有するランプ信号が制御回路250に提供され得、従って、制御回路250は、可変周波数モードで動作するであろう。換言すれば、DC入力電圧及び負荷状態に従って閾値があらかじめ決定され得、従って、固定周波数モード及び可変周波数モード間の遷移は、閾値に遭遇(合致)したときに行われるであろう。
【0016】
ランプ信号は、制御回路250に結合された発振器260によって提供され得る。発振器260は、さらに、可変周波数及び一定の周波数をそれぞれ決定する検出器270及びRCネットワーク280に結合される。検出器270は、電力列(パワートレイン)及び負荷230から構成される共振回路290の共振周波数を検出し、ここに、電力列(パワートレイン)は、変換器回路220における共振素子から成る。DC入力信号VINが比較的高いかまたは負荷が比較的軽いとき、検出器270は、共振周波数を有する信号SYNCを生成し、該信号SYNCを、共振周波数を有するランプ信号を発生する発振器260に送る。この状況において、ランプ信号の周波数は可変であり、従って、制御回路250は可変周波数モードで動作する。結果において、AC出力信号の周波数は、共振周波数に従って変化される。DC入力信号が比較的低いかまたは負荷が比較的重いとき、検出器270によって生成される信号SYNCは一定レベルを有し、このことは、制御回路250が固定周波数モードで動作するということを示す。この状況においては、ランプ信号の周波数は一定であり、RCネットワーク280によって決定され、従って、制御回路250は、固定周波数モードで動作する。結果において、AC出力信号の周波数は、RCネットワーク280によって決定される一定周波数に設定される。
【0017】
さらに、DC/ACインバータ200は、負荷230の明るさに渡って厳格な制御を持たせるために、閉ループ機構を用いる。閉ループ機構を実現するために、制御回路250と負荷230との間にフィードバック回路240が結合され、負荷230を通って流れる電流を感知する。さらに、フィードバック回路240は、また、回路保護のために電圧フィードバックをも含む。
【0018】
図3は、DC/ACインバータの例示的な概略図300を示す。図3を参照すると、回路300は、DC電源310、変換器回路320、負荷330、フィードバック回路340、制御回路350、発振器360、検出器370及びRCネットワーク380から成る。DC入力信号VINを提供するためのDC電源310は、バッテリ301で構成される。変換器回路320は、複数のスイッチ321、323、325及び327と、変圧器329と、コンデンサ331及び333とから構成される。複数のスイッチは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)から構成され得、対角線対のスイッチとして配列され得る。図3に示されるように、スイッチ321及び323は、DC入力信号VIN及び接地間に直列に接続され、双方のスイッチの接続点ノードは、変圧器329の1つの端子に接続される。スイッチ325及び327は、DC入力信号VIN及び接地間に直列に接続され、双方のスイッチの接続点ノードは、変圧器329の他方の端子に接続される。スイッチの対角線対は、DC入力信号VINと変圧器329との間の交互導通経路を限定する。交互導通経路を通して行くことにより、DC入力信号VINは、中間のAC信号に変換される。中間のAC信号は、次に、変圧器329により高いAC出力信号VOUTに昇圧される。
【0019】
前述したように、複数のスイッチの導通状態を制御することによって、制御回路350は、AC出力信号VOUTの大きさまたは周波数を調節し得る。複数のスイッチの導通状態は、ここでは、制御回路350からの駆動信号DRV1〜DRV4によって制御される。制御回路250は、さらに、ランプ信号を受信するために発振器360に接続され、そして、フィードバック信号(FB)を受信するためにフィードバック回路240に接続される。ランプ信号及びフィードバック信号に基づいて、制御回路350は駆動信号を発生する。
【0020】
図3を参照すると、制御回路350は、比較器351、パルス幅変調された(PWM)選択器353、ブレイク・ビフォー・メイク(BBM)回路355及び357、並びに駆動回路359、361、363及び365から成っていて良い。比較器351は、ランプ信号をフィードバック信号と比較することによりPMW信号を発生する。異なった動作エッジを限定することにより、例えば、それぞれ立ち下がりエッジ及び立ち上がりエッジを限定することにより、PWM選択器353は、PWM信号から2つのPWM信号PWM1及びPWM2を導出する。PWM信号PWM1及びPWM2は、次に、それぞれBBM回路355及び357に送られる。各BBM回路において、入力されたPWM信号は、さらに、2つの相補信号に変換される。各相補信号は、さらに、駆動回路359、361、363及び365の1つによって駆動信号に変換される。図3に示されるように、駆動回路359は、駆動信号DRV1を発生してそれをスイッチ321に送り、駆動回路361は、駆動信号DRV2を発生してそれをスイッチ323に送り、駆動回路363は、駆動信号DRV3を発生してそれをスイッチ325に送り、そして、駆動回路367は、駆動信号DRV4を発生してそれをスイッチ327に送る。BBM回路355のために、スイッチ321及び323は、同時にターン・オンされないのを確実にされている。同様に、BBM回路357のために、スイッチ325及び327は、同時にターン・オンされないのを確実にされている。さらに、制御回路350に与えられるランプ信号を制御することによって、制御回路350は、固定周波数モードまたは可変周波数モードのいずれかで動作することができる。結果において、DC/ACインバータは、負荷330に最適な大きさ及び周波数を有する正弦波形を出力することを確実にされる。
【0021】
ランプ信号は、発振器360、RCネットワーク380、及び検出器370の組み合わせによって制御される。RCネットワーク380は、DC入力信号VIN及び接地間に直列に接続される抵抗381及びコンデンサ383から構成される。
【0022】
検出器370は、ANDゲート391、比較器393、第1のエッジ・トリガされるフリップフロップ395、第2のエッジ・トリガされるフリップフロップ397、及びORゲート399から構成される。比較器393の非反転端子は、ラインLX1を介してスイッチ321及び323の接続点ノードに接続され、そして比較器393の反転端子は、ラインLX2を介してスイッチ325及び327の接続点ノードに接続される。比較器393の出力端子は、双方のエッジ・トリガされるフリップフロップ395及び397に接続される。エッジ・トリガされるフリップフロップ395及び397の出力は、ORゲート399の入力に供給される。最後に、ORゲート399は、信号SYNCを出力する。動作において、対角線対のスイッチのゼロ交差電流を検出することにより、検出器370は、変換器回路320及び負荷330における共振素子によって決定される共振周波数を追跡することを試みる。対角線対のスイッチの電流は、ラインLX1及びLX2上の電圧によって示される。ゼロ交差電流が検出されたならば、共振周波数が追跡され、従って、信号SYNCは共振周波数における方形波形を示し、このことは、また、可変周波数モードが選択されたということを意味する。ゼロ交差電流が検出されないならば、共振周波数は追跡されず、従って、信号SYNCは一定のレベルを有し、このことは、また、固定周波数モードが選択されたということを意味する。
【0023】
さらに、比較器393は、双方のスイッチ323及び327がターン・オンされた場合にのみゼロ交差電流を検出し、それにより、ANDゲート391は、駆動信号DRV2及びDRV4のAND動作を行って、次に、比較器393のための可能化信号を生成するように適合される。可能化信号に基づいて、双方のスイッチ323及び327がターン・オンされたときにゼロ交差電流が検出されるということが確実にされる。さらに、エッジ・トリガされるフリップフロップ395及び397は、前述した動作エッジを限定するようPWM選択器353に接続される。
【0024】
発振器360は、接続点ノード385においてRCネットワーク380内の抵抗381及びコンデンサ383に接続され、ここで、ランプ信号が発生される。発振器360は、さらに、信号SYNCを受信するために検出器370におけるORゲート399の出力端子に接続される。図3に示されるように、発振器360は、第1の比較器367、第2の比較器379、フリップフロップ371、ORゲート373及び放電スイッチ375から構成され得る。第1の比較器367及び第2の比較器369は、電圧比較器を形成する。第1の比較器367の非反転端子は、低い閾値電圧、例えば、50mvを受信する。第2の比較器369の反転端子は、高い閾値電圧VIN/Nを受信し、ここで、用語Nは整数であり得る。第1の比較器367の反転端子及び第2の比較器369の非反転端子はランプ信号を受信するために接続点ノード385に接続される。ランプ信号と高い及び低い閾値電圧との間の比較結果に依存して、セット信号(ST)が、第1の比較器367の出力端子からフリップフロップ371のセット端子(S)に出力され、そして、リセット信号(RST)が第2の比較器369の出力端子からORゲート373に出力される。一方、ORゲート373は、検出器370から信号SYNCを受信する。ORゲート373の出力端子は、フリップフロップ371のリセット端子(R)に接続される。フリップフロップ371の出力は、スイッチ375の導通状態を制御するために用いられる。スイッチ375は、接続点ノード385と接地との間に接続される。
【0025】
DC入力電圧VIN及び負荷状態に従って、接続点ノード385において発生されるランプ信号(ramp signal)は、一定の周波数または可変の周波数のいずれかを有する。一定の周波数は、RCネットワーク380におけるコンデンサ383の容量及び抵抗381の抵抗値によって決定される。可変周波数は、検出器370によって追跡される共振周波数に等しい。ランプ信号に依存して、制御回路350は、固定周波数モードまたは可変周波数モードのいずれかで動作する。
【0026】
さらに、フィードバック回路340は、負荷330を通って流れる電流を感知する一般的に用いられる任意の回路から構成され得るということを当業者は認識するであろう。フィードバック作用は本発明にとって意味有るほどに関連していないということを考慮して、フィードバック回路340の詳細説明はここでは簡略化のために省略する。ここで説明されるトポロジに加えて、変換器回路320は、ハーフブリッジ・トポロジ及びプッシュプル・トポロジのような他のよく知られたトポロジで構成され得ること、並びに制御回路350は、変換器回路320におけるスイッチを駆動するために対応の構成を採用することも当業者には認識されるであろう。種々の構成に対して、制御回路350は、本発明に従って固定周波数モードまたは可変周波数モードのいずれかで自動的に動作し得る。
【0027】
図4及び5を参照して、図3におけるDC/ACインバータの動作を詳細に示す。DC入力信号VIN及び負荷状態を考慮した閾値が予め決められていると仮定すると、該閾値に遭遇(合致)しておらず、そしてDC入力信号VINが所定の電圧レベルを超えていないかまたは負荷量が所定の量よりも高いとき、制御回路350は固定周波数モードで動作する。図4は固定周波数モードで生じる種々の波形を示す図である。
【0028】
図4を参照すると、制御回路350の動作周波数、または波形415によって表わされるPWM信号の周波数は、波形413によって表わされるランプ信号の充電及び放電期間によって決定されるということが観察され得る。ランプ信号が低い閾値電圧、例えば、50mVまで降下したとき、セット信号STがトリガされ、従って、放電スイッチ375がターン・オフされる。ランプ信号の放電期間が終了して、ランプ信号の充電期間が始まる。ランプ信号が高い閾値電圧、VIN/N、まで上昇したとき、波形407によって表わされるリセット信号RSTがトリガされ、従って、放電スイッチ375がターン・オンされる。ランプ信号の充電期間が終了して、ランプ信号の放電期間が始まる。充電及び放電速度は、RCネットワーク380における抵抗381及びコンデンサ383によって決定されることが当業者には認識されるであろう。従って、動作周波数並びにランプ信号の充電及び放電期間は、予め決められた高い及び低い閾値電圧、抵抗381の抵抗値及びコンデンサ383の容量によって決定される。
【0029】
一定の周波数によって支配されて、対角線対のスイッチは、同時にはゼロ交差電流を有さず、このことは、波形403及び405によって示されている。波形403及び405は、それぞれラインLX1及びLX2上の電圧を示す。これらの電圧は、対角線対のスイッチの電流の流れを示し得、従って、波形403及び405上のゼロ電圧交差は、対角線対のスイッチのゼロ電流交差を示す。波形403及び405から観察されるように、ゼロ交差電流は、対角線対のスイッチ上に同時には生じない。同時のゼロ交差電流無しで、信号SYNCは、波形407によって表わされるように一定レベルを有するであろう。さらに、波形401は、図3における変圧器329の一次巻線を通して流れる電流Ipriを示す。波形411は、フィードバック回路340によって提供されるフィードバック信号(FB)を表わす。フィードバック信号はランプ信号と交差し、PWM信号のデューティ・サイクルを決定する。
【0030】
制御回路350は、閾値に遭遇(合致)するまで固定周波数モードにとどまる。換言すれば、DC入力信号VINが予め決められた電圧レベルを超えるか、または負荷の量が予め決められた量よりも低いときに、ラインLX1及びLX2上に同時のゼロ交差電圧を検出することにより共振周波数が追跡される。図5は、可変周波数モードで生じる種々の波形を示す図である。
【0031】
図5を参照すると、制御回路350の動作周波数、または波形515によって表わされるPWM信号の周波数は、波形513によって表わされるランプ信号の充電及び放電期間によって未だ決定されるということが観察され得る。図4における波形413とは異なって、ランプ信号は、予め設定された高い閾値電圧VIN/Nに対して充電されることができず、従って、動作周波数は、予め決められた高い及び低い閾値電圧、抵抗381の抵抗値及びコンデンサ383の容量によってはもはや決定されない。
【0032】
実際、動作周波数並びにランプ信号の充電及び放電は、状況における波形507によって表わされる信号SYNCの周波数によって決定される。信号SYNCの周波数は、さらに、共振周波数に反映し、ラインLX1及びLX2のゼロ交差電圧を検出することによって取得される。波形503及び505によって示されるように、ラインLX1及びLX2上の双方の電圧が同時にゼロと交差するとき、パルスが波形507上にトリガされるであろう。図3を参照すると、パルスはフリップフロップ371をリセットし、該フリップフロップ371は、次に、放電スイッチ375をスイッチ・オンする。従って、ランプ信号の充電期間が直ちに終了して、予め設定された高い閾値電圧VIN/Nに達する前に放電期間が始まる。結果として、動作周波数は、可変周波数モードにおける共振周波数によって決定される。高い閾値電圧VIN/Nに達しないので、リセット信号RSTは、波形509によって示されるように一定レベルを維持する。さらに、波形501は、図3における変圧器329の一次巻線を通して流れる電流Ipriを示す。波形511は、フィードバック回路340によって与えられるフィードバック信号(FB)を表わす。FB信号はランプ信号と交差し、PWM信号のデューティ・サイクルを決定する。
【0033】
動作において、DC/ACインバータは、表示装置(ディスプレイ・システム)に適用され得る。例えば、表示装置は、さらに、ディスプレイ・パネル、バックライトを提供するためにディスプレイ・パネルの後部に置かれた光源、及びそれに基づいてディスプレイ・パネル上に画像を表示するデータを発生するためにディスプレイ・パネルに接続される処理回路を含み得る。DC/ACインバータは、光源を点火して作動させるための制御器として作用し得る。DC/ACインバータは、外部のDC電源からのDC入力信号をAC出力信号に変換して、次に、光源にAC出力信号を提供するために光源に接続される。AC出力信号によって駆動されて、光源は点火されて、ディスプレイ・パネルから放射する光を発する。DC/ACインバータは、AC出力信号の良好な波高率及び高い効率を達成するために、DC入力信号及び光源に従って、固定周波数モードまたは可変周波数モードのいずれかで動作し得る。良好な波高率は、光源の寿命を延ばすために好ましい。
【0034】
DC入力信号が所定の電圧レベルを超えないとき、または光源として用いられるランプが所定の数を超えるとき、良好な波高率が保証され、そして、DC/ACインバータは、高い効率を達成するために固定周波数モードで動作するであろう。DC入力信号が所定の電圧レベルを超えるとき、または光源として用いられるランプが所定数を超えるとき、DC/ACインバータは、AC出力信号が良好な波高率を有するのを確実にするために可変周波数モードで動作するであろう。
【0035】
ここで用いられてきた用語及び表現は、説明のために用いられ制限のために用いられたのではなく、このような用語及び表現を用いることにおいて、示されかつ説明された特徴の任意の等価物(またはその部分)を排除することを意図するものでは無く、特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることを認識されるべきである。他の変更、変形及び代替も可能である。従って、特許請求の範囲は、このような等価物のすべてを包括するよう意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来技術の“Buck/Roger”回路を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態によるDC/ACインバータを示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態によるDC/ACインバータを示す概略図である。
【図4】図3におけるDC/ACインバータが固定周波数モードで動作しているときに生ずる種々の波形を示す図である。
【図5】図3におけるDC/ACインバータが可変周波数モードで動作しているときに生ずる種々の波形を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
200 DC/ACインバータ
210 DC電源
220 変換器回路
230 負荷
240 フィードバック回路
250 制御回路
260 発振器
270 検出器
280 RCネットワーク
290 共振回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷を駆動するためのDC・ACインバータであって、
DC入力電圧を供給するためのDC電源と、
DC電源に結合され、DC入力電圧を負荷を駆動するために用いられるAC信号に変換する変換器回路と、
変換器回路に結合され、AC信号の周波数を設定する制御回路と、
を備え、制御回路は、DC・ACインバータを一定の周波数モードで及び可変の周波数モードで動作させることができるDC・ACインバータ。
【請求項2】
制御回路に結合される抵抗と、
制御回路に結合されるコンデンサと、
制御回路に結合される発振器と、
をさらに備え、発振器は、抵抗の抵抗値及びコンデンサの容量に従って一定の周波数モードで動作しているとき、AC信号の周波数を比較的一定の周波数に設定する請求項1に記載のDC・ACインバータ。
【請求項3】
共振周波数を有する制御回路に結合される共振回路をさらに備え、制御回路が可変周波数モードで、DC・ACインバータを動作させているときに、AC信号の周波数が共振回路の共振周波数に対応するよう設定される請求項1に記載のDC・ACインバータ。
【請求項4】
共振回路は、変圧器を有する電力列を備え、また、負荷を備える請求項3に記載のDC・ACインバータ。
【請求項5】
制御回路に結合されて、予め決められた閾値に遭遇(合致)したときを決定する検出器をさらに備え、閾値に遭遇(合致)したとき、制御回路は、一定の周波数モードにおける動作から可変周波数モードにおける動作に変化する請求項1に記載のDC・ACインバータ。
【請求項6】
予め決められた閾値は特定の電圧を含み、入力電圧が該特定の電圧を超えたとき、制御回路は、可変周波数モードでDC・ACインバータを動作させ、入力電圧が特定の電圧を超えないとき、制御回路は、一定の周波数モードでDC・ACインバータを動作させる請求項5に記載のDC・ACインバータ。
【請求項7】
予め決められた閾値は負荷状態を含み、負荷状態に遭遇したとき、制御回路は、DC・ACインバータを一定の周波数モードで動作させ、負荷状態に遭遇しないとき、制御回路は、DC・ACインバータを可変周波数モードで動作させる請求項5に記載のDC・ACインバータ。
【請求項8】
一定の周波数モードでDC・ACインバータを動作させる制御回路は、全効率を改善し、可変周波数モードでDC・ACインバータを動作させる制御回路は、全波形の波高率を改善する請求項1に記載のDC・ACインバータ。
【請求項9】
制御回路は、負荷の状態及び入力DC電圧の関数として一定の周波数モードまたは可変の周波数モードのいずれかで動作する請求項1に記載のDC・ACインバータ。
【請求項10】
負荷は、LCDディスプレイをバックライトするために用いられる光源を含む請求項1に記載のDC・ACインバータ。
【請求項11】
直流電流信号を負荷を駆動するための交流電流信号に変換するための方法であって、
予め決められた閾値条件を設定するステップと、
交流電流信号に対応する周波数が比較的一定の周波数に維持される固定周波数モードで動作させるステップと、
交流電流信号に対応する周波数が共振回路に対応する共振周波数に従って変化される可変周波数モードで動作させるステップと、
予め決められた閾値条件の関数として、固定周波数モード及び可変周波数モードにおける動作間で切り換えるステップと、
を含む方法。
【請求項12】
交流電流信号の周波数を、固定周波数モードで動作しているときに抵抗及びコンデンサによって決定される比較的一定の周波数に設定するステップをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
可変周波数動作で動作しているときに、共振回路の共振周波数を追跡するよう交流電流信号の周波数を変化させるステップをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
予め決められた閾値条件は、入力DC電圧を含む請求項11に記載の方法。
【請求項15】
予め決められた閾値条件は、負荷状態を含む請求項11に記載の方法。
【請求項16】
高められた効率及び信頼性のために、固定周波数モードで動作させるステップと、
高められた波形の波高率ために、可変周波数モードで動作させるステップと、
をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項17】
負荷は光源を含む請求項11に記載の方法。
【請求項18】
ディスプレイと、
ディスプレイに結合されてディスプレイから放射する光を供給する光源と、
ディスプレイに結合されてディスプレイ上に表示されるべきデータを発生する処理ユニットと、
光源に結合されて、一定の周波数モード及び共振モード間で最適な動作周波数を自動的に選択することができる制御器と、
を備えたシステム。
【請求項19】
制御器は、入力電圧が予め決められた値より小さいときに、一定の周波数モードを選択し、制御器は、負荷状態を超えたときに、一定の周波数モードを選択する請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
制御器は、入力電圧が予め決められた値を超えたときに、共振モードを選択し、制御器は、負荷状態を超えたときに、共振モードを選択する請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
共振モードは、システム内の共振回路素子の共振周波数と同期するよう変えられているAC信号の周波数に帰結する請求項18に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−148540(P2008−148540A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82211(P2007−82211)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(500521843)オーツー マイクロ, インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】