説明

混合粉砕装置、混合溶融方法およびバインダーが含浸されたセルロース系材料の成形方法

【課題】木質端廃材および木質廃材及び植物材および植物廃材の有効利用および再利用法を提供し、廃材の高充填化により使用率を増大させ廃材の再利用の促進を進めること。
【解決手段】駆動源としてのモータ8によって回転駆動され、回転軸5に複数の羽根部材が配設され材料の混合粉砕が行われる混合容器3を備えた混合粉砕装置および混合溶融方法において、前記複数の羽根部材のうちの少なくとも2枚は、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸5に配設され、前記混合容器3の側壁に材料を取り出す取出部17が配設され、複数の羽根部材の回転により前記混合容器3内において、前記材料が混合粉砕され、剪断、摩擦および圧縮による発熱により含有水分が脱水され、脱水された材料に溶融したバインダーを含浸させる混合粉砕装置および混合溶融方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース系材料、すなわち木質材料及び植物材料を高い比率で利用するためのあるいは木質廃材及び植物廃材を高い比率で再利用するための混合粉砕装置、混合溶融方法及びバインダーが含浸されたセルロース系材料の成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂の意匠性付与の手段として木粉を合成樹脂に練り込む方法がとられているが、合成樹脂と木粉は一般的に相溶性に乏しく、従来市販されている大半の木粉充填成形材料の木粉充填比率は重量比で50%を少し超えているのが現状である。
【0003】
従来の木粉充填成形材料の製造方法は、単純混合と呼ばれていて、スギ、ヒノキ、マツ等の人工乾燥後の含水率が12%以下の粒度150μm前後の木粉を使用し、熱蒸気またはオイルにて約160℃程度に熱した混合溶融機に前述した木粉を重量比で50%入れ、混合羽根を回転させ約20分程乾燥し含水率を0.3%以下にする。その後、バインダーとして熱可塑性樹脂(PP、PE、生分解性樹脂など)、相溶化剤(反応性ポリオレフィン系オリゴマー、無水マレイン酸など)等を重量比で50%入れ混合羽根を約20分程回転させ単純混合させるものであった。その後、ゲル状の混合品を冷却機(冷却水:20℃、流量:100L/min)に入れ約15分程羽根を回転させ冷却造粒するものであった。
【0004】
いずれも市販品の木粉を使用して乾燥工程、混合溶融工程および造粒工程の各工程を経て製造しているのであり、材料の含水率など全く気にする事無く、小片化した状態であれば微粉砕、乾燥、溶融混合、造粒を全て一工程(混合溶融装置一台)で行うものでなく、しかも短い熱履歴で処理できるものではなく、廃材については再利用までの環境負荷が大きく、コスト面及び生産性の面で問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明者は、駆動源によって回転駆動され、回転自在に支持された回転軸に複数の羽根部材が配設され材料の混合粉砕が行われる混合容器を備えた混合粉砕装置において、材料投入部に対応する回転軸に投入された材料を前記混合容器に供給するらせん状羽根部材が配設され、前記複数の羽根部材は、前記回転軸の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸に配設された少なくとも2個の羽根部材によって構成され、前記羽根部材の前記回転軸に対する取付け角は、前記回転軸に取り付けられる根元部から半径方向外方の先端部まで同一であり、前記混合容器の側壁に該混合容器内で混合粉砕された材料を取り出す取出部が配設され、前記混合容器内において、前記木質材料およびまたは植物材料および前記バインダーが混合粉砕され、剪断、摩擦および圧縮による発熱により含有水分が脱水された前記木質材料およびまたは植物材料に溶融した前記バインダーが含浸されるという本発明の第1の技術的思想に着眼した。
【0006】
また本発明者は、駆動源によって回転駆動される回転軸に配設された複数の羽根部材によって混合容器内においてセルロース系材料の混合粉砕が行われる混合溶融方法において、材料投入部より投入された小片化したセルロース系材料およびバインダーが、前記混合容器内の前記回転軸の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸に配設された少なくとも2個の羽根部材によって、混合粉砕され、該混合容器内における前記セルロース系材料の剪断、摩擦および圧縮による発熱により含有水分が脱水された前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸され、前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸されたら、前記混合容器内から取り出されるという本発明の第2の技術的思想に着眼した。
【0007】
本発明は、材料の含水率など全く気にする事無く、小片化した状態であれば微粉砕、乾燥、脱水混合、造粒を全て一工程(混合溶融装置一台)でそれも短い熱履歴で処理できるものであり、廃材については再利用までの環境負荷が小さく、コスト面及び生産性の面を改善することを目的とするものである。
本発明においては、トチノキ、イチョウ、アオギリ、サクラ、ヤナギ、ポプラ等の街路樹として植えられている木々の剪定枝葉やスギ、ヒノキ、マツ、カラマツ等の剪定枝葉、スギ、ヒノキ、マツ、カラマツ等の間伐材、スギ、ヒノキ、マツ、カラマツ等の樹皮、製材所から出るスギ、ヒノキ、マツ等の端材やおがくず、集成材等の木質材および木質廃材、ならびに小麦の茎や葉、お茶の葉、籾殻等の植物材および植物廃材等のセルロース系材料の含水率など全く気にする事無く、小片化または細片化した状態であれば微粉砕、乾燥、溶融混合、造粒を全て一工程(混合溶融装置一台)でそれも短い熱履歴で処理できるようにするもので、利用および再利用までの環境負荷が少ないものである。
【0008】
また本発明は、従来の技術ではコスト面及び生産性の面で問題となっていた、剪定枝葉等の木質端廃材および木質廃材及び小麦の茎や葉等の植物材および植物廃材の有効利用および再利用法を提供し、廃材の高充填化により使用率を増大させ廃材の再利用の促進を進めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(請求項1に記載の第1発明)の混合粉砕装置は、
駆動源によって回転駆動され、回転自在に支持された回転軸に複数の羽根部材が配設され材料の混合粉砕が行われる混合容器を備えた混合粉砕装置において、
材料投入部に対応する回転軸に、投入された材料を前記混合容器に供給するらせん状羽根部材が配設され、
前記複数の羽根部材は、前記回転軸の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸に配設された少なくとも2個の羽根部材によって構成され、
前記羽根部材の前記回転軸に対する取付け角は、前記回転軸に取り付けられる根元部から半径方向外方の先端部まで同一であり、
前記混合容器の側壁に該混合容器内で混合粉砕された材料を取り出す取出部が配設され、
前記混合容器内において、前記材料が混合粉砕される
ものである。
【0010】
本発明(請求項2に記載の第2発明)の混合粉砕装置は、
前記第1発明において、
前記羽根部材が、矩形の板状部材によって構成されている
ものである。
【0011】
本発明(請求項3に記載の第3発明)の混合粉砕装置は、
前記第2発明において、
前記駆動源が、前記回転軸にベルトその他の回転連絡手段を介して連絡するモータによって構成されている
ものである。
【0012】
本発明(請求項4に記載の第4発明)の混合粉砕装置は、
前記第3発明において、
冷却媒体を、前記回転軸の一端から他端に供給するとともに、混合容器の壁内に供給循環させる冷却装置を備えている
ものである。
【0013】
本発明(請求項5に記載の第5発明)の混合粉砕装置は、
前記第4発明において、
前記回転軸の両端を軸支する軸受け部に、該軸受け部の軸方向の両端を連通する溝が形成され、
前記混合容器内における前記材料の剪断、摩擦および圧縮による発熱により脱水された脱水成分の排出を可能にするように構成されものである。
【0014】
本発明(請求項6に記載の第6発明)の混合粉砕装置は、
前記第5発明において、
前記混合容器内における材料の混合粉砕および乾燥状態に応じた前記モータの主軸に作用する負荷トルクの変化に基づき、前記混合容器の前記取出部に配設された開閉部材の開閉を制御して、混合粉砕された材料を取り出す開閉制御装置を備えている
ものである。
【0015】
本発明(請求項7に記載の第7発明)の混合溶融方法は、
駆動源によって回転駆動される回転軸に配設された複数の羽根部材によって混合容器内においてセルロース系材料の混合粉砕が行われる混合溶融方法において、
材料投入部より投入された小片化したセルロース系材料およびバインダーが、前記混合容器内の前記回転軸の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸に配設され、前記回転軸に対する取付け角が前記回転軸に取り付けられる根元部から半径方向外方の先端部まで同一である少なくとも2個の羽根部材によって、混合粉砕され、該混合容器内における前記セルロース系材料の剪断、摩擦および圧縮による発熱により含有水分が脱水された前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸され、
前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸されたら、前記混合容器内から取り出される
ものである。
【0016】
本発明(請求項8に記載の第8発明)の混合溶融方法は、
前記第7発明において、
前記セルロース系材料が、前記木質材料およびまたは植物材料である
ものである。
【0017】
本発明(請求項9に記載の第9発明)の混合溶融方法は、
前記第8発明において、
前記木質材料およびまたは植物材料が、前記木質廃材およびまたは植物廃材である
ものである。
【0018】
本発明(請求項10に記載の第10発明)の混合溶融方法は、
前記第9発明において、
前記羽根部材の先端周速が、毎秒5メートルないし毎秒50メートルの範囲内になるように前記駆動源としてのモータによって前記回転軸が回転駆動されている
ものである。
【0019】
本発明(請求項11に記載の第11発明)の混合溶融方法は、
前記第10発明において、
前記モータと前記回転軸とは、急激な過渡的回転変動には追従しないように回転連絡されている
ものである。
【0020】
本発明(請求項12に記載の第12発明)の混合溶融方法は、
前記第11発明において、
前記モータの主軸に作用する負荷トルクの変化を監視する
ものである。
【0021】
本発明(請求項13に記載の第13発明)の混合溶融方法は、
前記第12発明において、
監視している前記モータの主軸に作用する負荷トルクが、前記混合容器内における材料の混合粉砕および乾燥状態に応じて前記モータの主軸にかかる負荷トルクが上昇して最大値に達した後低下して最小値に達した後、一定時間経過したら、前記混合容器の取出部より混合粉砕、脱水され前記バインダーが含浸された前記セルロース系材料を取り出す
ものである。
【0022】
本発明(請求項14に記載の第14発明)のバインダーが含浸されたセルロース系材料の成形方法は、
材料投入部より投入された小片化したセルロース系材料およびバインダーが、混合容器内の駆動源によって回転駆動される回転軸の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸に配設され、前記回転軸に対する取付け角が前記回転軸に取り付けられる根元部から半径方向外方の先端部まで同一である少なくとも2個の羽根部材によって、混合粉砕され、該混合容器内におけるセルロース系材料の剪断、摩擦および圧縮による発熱により含有水分が脱水された前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸され、
前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸されたら、前記混合容器内から取り出され、
前記混合容器内から取り出された溶融した前記バインダーが含浸された前記セルロース系材料を加熱および加圧することにより成形する
ものである。
【0023】
本発明(請求項15に記載の第15発明)のバインダーが含浸されたセルロース系材料の成形方法は、
前記第14発明において、
前記バインダーが含浸された前記セルロース系材料の成形が、押出成形によって行われる
ものである。
【0024】
本発明(請求項16に記載の第16発明)のバインダーが含浸されたセルロース系材料の成形方法は、
前記第15発明において、
前記セルロース系材料が、前記木質廃材およびまたは植物廃材である
ものである。
【発明の効果】
【0025】
上記構成より成る第1発明の混合粉砕装置は、駆動源によって回転駆動され、回転自在に支持された回転軸に複数の羽根部材が配設され材料の混合粉砕が行われる混合容器を備えた混合粉砕装置において、材料投入部に対応する回転軸に、投入された材料を前記混合容器に供給するらせん状羽根部材が配設され、前記複数の羽根部材は、前記回転軸の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸に配設された少なくとも2個の羽根部材によって構成され、前記羽根部材の前記回転軸に対する取付け角は、前記回転軸に取り付けられる根元部から半径方向外方の先端部まで同一であり、前記混合容器の側壁に該混合容器内で混合粉砕された材料を取り出す取出部が配設され、前記混合容器内において、前記材料が混合粉砕され、剪断、摩擦および圧縮による発熱により前記材料の含有水分が脱水されるので、材料の含水率など全く気にする事無く、小片化した状態であれば微粉砕、乾燥、脱水混合、造粒を全て一工程(混合粉砕装置一台)でそれも短い熱履歴で処理できるものであり、廃材については再利用までの環境負荷が小さく、コスト面及び生産性の問題を解消するという効果を奏する。
【0026】
上記構成より成る第2発明の混合粉砕装置は、前記第1発明において、前記羽根部材が、矩形の板状部材によって構成されているので、シンプルな構成によって 前記材料の混合粉砕および脱水を実現し、保守を容易にして、寿命を伸ばすという効果を奏する。
【0027】
上記構成より成る第3発明の混合粉砕装置は、前記第2発明において、前記駆動源が、前記回転軸にベルトその他の回転連絡手段を介して連絡するモータによって構成されているので、前記駆動源を構成する前記モータの配置の自由度が高いという効果を奏する。
【0028】
上記構成より成る第4発明の混合粉砕装置は、前記第3発明において、前記冷却装置が、冷却媒体を前記回転軸の一端から他端に供給するとともに、混合容器の壁内に供給循環させるので、前記回転軸および混合容器の壁を冷却して温度上昇を抑制するという効果を奏する。
【0029】
上記構成より成る第5発明の混合粉砕装置は、前記第4発明において、前記回転軸の両端を軸支する軸受け部に形成された前記軸受け部の軸方向の両端を連通する溝によって、前記混合容器内における前記材料の剪断、摩擦および圧縮による発熱により脱水された脱水成分の排出を可能にするという効果を奏する。
【0030】
上記構成より成る第6発明の混合粉砕装置は、前記第5発明において、前記開閉制御装置が、前記混合容器内における材料の混合粉砕および乾燥状態に応じた前記モータの主軸に作用する負荷トルクの変化に基づき、前記混合容器の前記取出部に配設された開閉部材の開閉を制御して、混合粉砕された材料を取り出すので、含有水分が脱水された前記材料の取り出しを可能にするという効果を奏する。
【0031】
上記構成より成る第7発明の混合溶融方法は、駆動源によって回転駆動される回転軸に配設された複数の羽根部材によって混合容器内においてセルロース系材料の混合粉砕が行われる混合溶融方法において、材料投入部より投入された小片化したセルロース系材料およびバインダーが、前記混合容器内の前記回転軸の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸に配設され、前記回転軸に対する取付け角が前記回転軸に取り付けられる根元部から半径方向外方の先端部まで同一である少なくとも2個の羽根部材によって、混合粉砕され、該混合容器内における前記セルロース系材料の剪断、摩擦および圧縮による発熱により含有水分が脱水された前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸され、前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸されたら、前記混合容器内から取り出されるので、脱水された前記セルロース系材料にバインダーが均一に含浸されるため、前記セルロース系材料の含水率など全く気にする事無く、小片化した状態であれば微粉砕、乾燥、脱水混合、造粒を全て一工程(混合溶融装置一台)でそれも短い熱履歴で処理できるものであり、廃材については成形材としての再利用までの環境負荷が小さく、コスト面及び生産性の問題を解消するという効果を奏する。
【0032】
上記構成より成る第8発明の混合溶融方法は、前記第7発明において、前記セルロース系材料が、前記木質材料およびまたは植物材料であるので、脱水された前記木質材料およびまたは植物材料にバインダーが均一に含浸されるため、前記木質材料およびまたは植物材料の含水率など全く気にする事無く、小片化した状態であれば微粉砕、乾燥、脱水混合、造粒を全て一工程(混合溶融装置一台)でそれも短い熱履歴で処理できるものであり、廃材については成形材としての再利用までの環境負荷が小さく、コスト面及び生産性の問題を解消するという効果を奏する。
【0033】
上記構成より成る第9発明の混合溶融方法は、前記第8発明において、前記木質材料およびまたは植物材料が、前記木質廃材およびまたは植物廃材であるので、脱水された前記木質廃材およびまたは植物廃材にバインダーが均一に含浸されるため、前記木質廃材およびまたは植物廃材の含水率など全く気にする事無く、小片化した状態であれば微粉砕、乾燥、脱水混合、造粒を全て一工程(混合溶融装置一台)でそれも短い熱履歴で処理できるものであり、廃材については成形材としての再利用までの環境負荷が小さく、コスト面及び生産性の問題を解消するという効果を奏する。
【0034】
上記構成より成る第10発明の混合溶融方法は、前記第9発明において、前記羽根部材の先端周速が、毎秒5メートルないし毎秒50メートル の範囲内になるように前記駆動源としてのモータによって前記回転軸が回転駆動されているので、前記混合容器内における微粉砕、乾燥、脱水混合、造粒を望ましい状態において行うことが出来るという効果を奏する。
【0035】
上記構成より成る第11発明の混合溶融方法は、前記第10発明において、前記モータと前記回転軸とは、急激な過渡的回転変動には追従しないように回転連絡されているので、前記混合容器内における回転している羽根部材に作用している負荷トルクの急激な過渡的変化をモータの主軸に作用しないようにしたので、モータの寿命を伸ばすという効果を奏する
【0036】
上記構成より成る第12発明の混合溶融方法は、前記第11発明において、前記モータの主軸に作用する負荷トルクの変化を監視するので、前記混合容器内における微粉砕、乾燥、脱水混合、造粒の状態を把握することが出来るという効果を奏する。
【0037】
上記構成より成る第13発明の混合溶融方法は、前記第12発明において、監視している前記モータの主軸に作用する負荷トルクが、前記混合容器内における材料の混合粉砕および乾燥状態に応じて前記モータの主軸にかかる負荷トルクが上昇して最大値に達した後低下して最小値に達した後、一定時間経過したら、前記混合容器の取出部より混合粉砕、脱水されバインダーが含浸された前記セルロース系材料を取り出すので、脱水された前記セルロース系材料の生成を可能にするという効果を奏する。
【0038】
上記構成より成る第14発明のバインダーが含浸されたセルロース系材料の成形方法は、材料投入部より投入された小片化したセルロース系材料およびバインダーが、混合容器内の駆動源によって回転駆動される回転軸の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸に配設され、前記回転軸に対する取付け角が前記回転軸に取り付けられる根元部から半径方向外方の先端部まで同一である少なくとも2個の羽根部材によって、混合粉砕され、該混合容器内におけるセルロース系材料の剪断、摩擦および圧縮による発熱により含有水分が脱水された前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸され、前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸されたら、前記混合容器内から取り出され、前記混合容器内から取り出された溶融した前記バインダーが含浸された前記セルロース系材料を加熱および加圧することにより成形するので、溶融した前記バインダーが含浸された前記セルロース系材料の強固な成形品を得ることが出来るという効果を奏する。
【0039】
上記構成より成る第15発明のバインダーが含浸されたセルロース系材料の成形方法は、前記第14発明において、前記バインダーが含浸された前記セルロース系材料の成形が、押出成形によって行われるので、溶融した前記バインダーが含浸された前記セルロース系材料の強固な成形品の連続成形を可能にするという効果を奏する。
【0040】
上記構成より成る第16発明のバインダーが含浸されたセルロース系材料の成形方法は、前記第15発明において、前記セルロース系材料が、前記木質廃材およびまたは植物廃材であるので、前記木質廃材およびまたは植物廃材による強固な成形品の連続成形を可能にするという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下本発明の実施の形態につき、図面を用いて具体的に説明する。
【第1実施形態】
【0042】
本第1実施形態の混合粉砕装置および該混合粉砕装置を用いた混合溶融方法は、図1および図2に示されるように駆動源としてのモータ8によって回転駆動され、回転自在に支持された回転軸5に複数の羽根部材10aないし10fが配設され材料の混合粉砕が行われる混合容器3を備えた混合粉砕装置において、材料投入部に対応する回転軸に投入された材料を前記混合容器に供給するらせん状羽根部材12が配設され、前記複数の羽根部材10aないし10fの少なくとも2枚は、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸5に配設され、前記混合容器3の側壁に該混合容器内で混合粉砕された材料を取り出す取出部17が配設され、前記混合容器3内において、前記材料が混合粉砕され、剪断、摩擦および圧縮による発熱により含有水分が脱水されるものである。
【0043】
本第1実施形態においては、セルロース系材料としての細片化した木質廃材及び植物廃材とバインダーの熱可塑性樹脂(PP、PE、生分解性樹脂など)、相溶化剤(反応性ポリオレフィン系オリゴマー、無水マレイン酸など)等と共に前記らせん状羽根部材12を介して前記混合容器3内に供給し、相対する複数の回転羽根10aないし10fの高速回転により、細片化した木質廃材及び植物廃材とバインダーが高速で衝突を繰り返す。
【0044】
この際の前記混合容器3内における木質廃材及び植物廃材の挙動は、未だ学術的に必ずしも明らかにになっているものではないが、その時の衝突エネルギーにより、細片物から微粉砕物となり、最終的に微粉粒となり、その間の衝突エネルギーは内部エネルギーに変換され、微粉粒それ自体の温度上昇が起こる。
【0045】
また同時期に包囲された前記混合容器3の内面に微粉粒を押し付けるように打撃しかつ押し進める前記回転羽根12の作用による熱運動効果(内部摩擦加熱)が起こり、前記した内部エネルギーによる温度上昇と相乗的に働き、同時に回転羽根軸に連続的に設けた後述する脱水成分排出用の溝を介して材料混合容器3内へ空気が大量に流入し、急激な温度上昇(約1、2秒の間に60℃→200℃超)が起こる事になる。
【0046】
従来の技術において記載した単純混合と異なり、前記混合容器3内が一瞬のうちに高温高圧の状態となり、細胞内腔や細胞間隙等の空隙中に存在する自由水と、細胞壁中に含まれている結合水が抜けた隙間に、木材においてセルロースに次いで多い割合のリグニンが媒介となりバインダーの熱可塑性樹脂(PP、PE、生分解性樹脂など)、相溶化剤(反応性ポリオレフィン系オリゴマー、無水マレイン酸など)が入り込み単純混合では全く見られない木材を構成するセルロース等と均一にそして強い結合力を持って一体化するのである(図面8の写真)。すなわち前記リグニンは、3つのモノグリノールの重合体からなる3次元網目状構造をした天然高分子であり、バインダーの高分子との親和性によって脱水状態のセルロース成分に溶融したバインダーが含浸されたと考えることが出来る。
【0047】
したがって、前記混合容器3から取り出された脱水状態のセルロース成分に溶融したバインダーが含浸され微細片によって、木質廃材及び植物廃材の比率が重量比で80%〜90%の高充填成形材料の製造を可能にするとともに、工程を単純化することができ、コスト面及び生産性の面で大きな効果が得られることを可能にするものである。
【第2実施形態】
【0048】
第2実施形態の混合粉砕装置は、図1ないし図6に示されるように駆動源によって回転駆動され、回転自在に支持された回転軸5に複数の羽根部材10aなしい10fが配設され材料の混合粉砕が行われる混合容器3を備えた混合粉砕装置において、材料投入部14に対応する回転軸5に投入された木質材料およびまたは植物材料およびバインダーを前記混合容器3に供給するらせん状羽根部材12が配設され、前記複数の羽根部材は、前記回転軸の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸に配設された複数の羽根部材によって構成され、前記羽根部材の前記回転軸に対する取付け角は、前記回転軸に取り付けられる根元部から半径方向外方の先端部まで同一であり、前記混合容器3の側壁に該混合容器内で混合粉砕された材料を取り出す取出部17が配設され、前記混合容器内において、前記材料が混合粉砕され、剪断、摩擦および圧縮による発熱により含有水分が脱水され、含有水分が脱水された前記木質材料およびまたは植物材料に溶融した前記バインダーが含浸されるものである。
【0049】
本第2実施形態の混合粉砕装置について、図面を用いて具体的に説明する。図1において、一例としての混合溶融装置1を示す。この混合溶融装置1においては、機台ベース2上に横向に円筒形の混合容器3と、前記材料投入部14および前記らせん状羽根部材12が配設される供給容器13が複数の脚部によって配置される。
【0050】
両端の脚部に配置された軸受4,4により回転羽根軸5を水平に支持して、該回転羽根軸5が該混合容器3の中心と同軸的に貫挿配置され、該回転羽根軸5の一端(図1中右端)をプーリー6とVベルト7を介して駆動源としてのモーター8と回転連絡している。
【0051】
回転羽根軸5は、軸心部に冷却水供給用の小径の孔部が形成された中空状であり、その両端にロータリージョイント9が設けられ、該ロータリージョイント9を通して冷却水を該回転羽根軸5の内部に軸方向に供給するように構成されている。
【0052】
混合容器3中を貫通して配置された回転羽根軸5の外周には図2に示されるように計6枚の横断面形状矩形であるとともに、全体形状矩形の羽根10a〜10fが、前記回転軸の円周方向の180度の角度間隔の部位における軸方向において対向して突設されている。羽根10a〜10fの厚さは、図2に示されるように外周側略4割の部分が内周側に比べて厚く形成されており、材料の混合、粉砕および溶融が、効果的に行われるように構成されている。
【0053】
そのうちの軸方向の両端部の羽根10a及び10fは図1の右側面から見た場合の時計回りに回転したとき、その前縁が混合容器3の両端の垂直壁11,11の内面と殆ど隙間なく摺接するように羽根の先端から根元まで約15度の取付け角度で傾斜して回転羽根軸5の外周に固着されている。
【0054】
また中間部の4枚の羽根10b、10c、10d、10eは回転羽根軸5の外周面に千鳥状に各羽根の先端から根元まで約15度の角度で傾斜して固着され回転時の前縁が該混合容器3の両端を向く方向に各々配置されている。すなわち4枚の羽根10bおよび10d、10cおよび10eは、図2および図6に示されるように軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角(円周方向に対する角度)は15度になるように前記回転軸5に配設されている。
【0055】
また、前記混合容器3の両端壁11のモーター側は、該混合容器3の一方の端壁に開設された混合容器3の材料供給口であり、12は、回転羽根軸5の外周に形成された螺旋状の材料供給スクリューであり、13は、該供給スクリュー12を包囲している材料供給箱、14は、該材料供給箱13の上方に設けられたホッパーであり、該ホッパー14には材料を投入した後混合粉砕溶融時には気密に閉止し得る開閉自在のシャッター15が設けられている。また両側一対の16,16は、回転羽根軸5に固設された円滑な回転を得るためのバランスホイールである。
【0056】
混合容器3の周壁中には連続した通水路が形成され、冷却水を循環させることにより該混合容器3を冷却し得るように構成されている。また、17は、混合容器3の底壁部に設けられた造粒された材料を取り出すための排出口蓋で、該排出口蓋17は、軸18により回転可能に支持され該軸18はロータリーシリンダー19、19と連結され、開閉できるように構成されている。
また、図2に示される両側のカラー20、20は、空気を混合容器3に送るためのもので回転羽根軸5の回転により空気が混合容器3に送られるように両端の各々の連続した溝は右ネジ、左ネジの螺旋溝で構成されている。
【0057】
また、21は制御盤で、前記モーター8と接続ケーブルを介して連結されており、該モーター8より主軸の負荷トルクが連続的に電気信号として該制御盤21に入力されるように構成されている。
前記混合容器3内における材料の混合粉砕および乾燥状態に応じた前記モータ8の主軸に作用する負荷トルクの変化に基づき、前記混合容器3の前記取出部に配設された開閉部材17の開閉のタイミングを制御して、混合粉砕された材料を取り出す開閉制御装置を備えているものである。
【0058】
上記構成より成る混合溶融装置を用いた本第2実施形態の混合溶融方法は、駆動源としてのモータ8によって回転駆動される回転軸5に配設された複数の羽根部材10a〜10fによって混合容器内においてセルロース系材料である木質材料およびまたは植物材料の混合粉砕が行われる混合溶融方法において、材料投入部より投入された小片化したセルロース系材料としての木質材料およびまたは植物材料およびバインダーが、前記混合容器3内の前記回転軸5の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸5に配設された少なくとも2個の羽根部材によって、混合粉砕され、該混合容器3内における前記セルロース系材料の剪断、摩擦および圧縮による発熱により含有水分が脱水された前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸され、前記セルロース系材料としての木質材料およびまたは植物材料に溶融したバインダーが含浸されたら、前記混合容器内から取り出されるものである。
【0059】
前記セルロース系材料は、前記木質材料およびまたは植物材料であり、前記木質材料およびまたは植物材料は、前記木質廃材およびまたは植物廃材を用いて再利用することが出来る。
すなわち、前記木質廃材およびまたは植物廃材は、トチノキ、イチョウ、アオギリ、サクラ、ヤナギ、ポプラ等の街路樹として植えられている木々の剪定枝葉やスギ、ヒノキ、マツ、カラマツ等の剪定枝葉、スギ、ヒノキ、マツ、カラマツ等の間伐材、スギ、ヒノキ、マツ、カラマツ等の樹皮、製材所から出るスギ、ヒノキ、マツ等の端材やおがくず、集成材等の木質材および木質廃材、ならびに小麦の茎や葉、お茶の葉、籾殻等の植物材および植物廃材等のセルロース系材料の含水率など全く気にする事無く、小片化または細片化した状態のものであれば良いのである。
【0060】
前記羽根部材10a〜10fの先端周速が、毎秒5メートルないし毎秒50メートルの範囲内になるように前記駆動源としてのモータ8によって前記回転軸が回転駆動されており、前記モータ8と前記回転軸5とは、急激な過渡的回転変動には追従しないように回転連絡されており、前記モータ8の主軸に作用する負荷トルクの変化を監視して、図7に示されるように監視している前記モータ8の主軸に作用する負荷トルクが、前記混合容器3内における材料の混合粉砕および乾燥状態に応じて前記モータ8の主軸にかかる負荷トルクTが上昇して最大値Xに達した後低下して最小値Iに達した後、一定時間tが経過したら、前記混合容器3の取出部17より混合粉砕、脱水され前記バインダーが含浸された前記セルロース系材料としての前記木質廃材およびまたは植物廃材を取り出すものである。
【0061】
このように本第2実施形態の混合溶融装置および混合溶融方法は、木質廃材及び植物廃材を再利用するもので、木の風合いがあり、木の香りがする、静電気の発生が少ないとともに、紫外線吸収後の物性低下が少なく、水分呼吸をする等により木に近い成形品を得るための原材料を提供するものである。
【0062】
また既存の成形機、金型、二次加工用木工機が、そのまま使用できるため特殊な設備は全く必要がないとともに、木質廃材及び植物廃材を細片化した状態から微粉砕、乾燥、溶融混合、造粒を短時間に全て一工程、すなわち混合溶融装置一台でこなし、外部加熱を一切使用していないので、製造コストを大幅に低減でき、バインダーに生分解性樹脂を使用することにより、より自然にやさしい成形品を得ることが出来る。
【0063】
また製造過程で発生する不良品等も粉砕し、100%利用して成形が可能で、繰返し再利用ができるとともに、また木質廃材及び植物廃材を高い比率で再利用するため、資源の有効利用の点で誠に有益な効果を奏するものである。
【0064】
すなわち、本第2実施形態においては、前記混合容器3内において上記加熱処理を施した木質材料が、自己接着性と熱流動性を発現することを利用するもので、前記混合容器3内において蒸気加熱した木質材料を前記開閉部材17を一気に開けることにより解圧して一旦乾燥させ、蒸気爆砕生成物を熱プレス等により加熱、加圧することにより、成形体を作製できるのである。
【0065】
蒸気加熱処理した木質材料は、接着性成分を保有し、接着剤無しで成形できるとともに、加熱、加圧することにより、流動することが分かっている。木質材料だけを原料として、強固なプラスチック様の成形体を製造することが出来るものである。
【実施例】
【0066】
以下本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
【第1実施例】
【0067】
第1実施例の混合溶融装置1および混合溶融方法は、図1および図3に示されるように回転羽根軸5の内部を軸方向に及び混合容器3の壁部内に鉢巻き状に各々冷却水を循環させて、回転羽根軸5および混合容器3を冷却する。
モーター8により該回転羽根軸5を介して羽根10a〜10fを回転させる。羽根10a〜10fの先端速度が毎秒約5mの状態において、事前計量してホッパー14に装填している細片化した木質廃材(スギ:重量比85%)とバインダー(PP:重量比12%、無水マレイン酸:3%)をシャッター15を開いて材料供給箱13へ供給した後、シャッター15を閉じる。そして供給スクリュー12の回転により混合容器3内に材料が供給押し入れられる。
【0068】
すなわち、ホッパー14が空になったらシャッター15を閉め、羽根10a〜10fの先端速度が毎秒約30mになるまで該モーター8の回転を上げていき、羽根10a〜10fの先端速度が毎秒約30mの状態において約40秒ほど維持する。
【0069】
この間に材料が細片物工程、微粉砕物工程、微粉粒工程と進行し、その過程で材料に含まれていた水分が抜け、微粉粒は全乾状態に近い状態になり、内部エネルギーと内部摩擦加熱の相乗効果によって、一気に混合容器3内の温度が60℃から200℃を超える温度まで上昇する。
この時前記混合容器3内が一瞬のうちに高温高圧の状態となり、細胞内腔や細胞間隙等の空隙中に存在する自由水と、細胞壁中に含まれている結合水が抜けた隙間に、バインダーが一瞬のうちに溶融混合して木材を構成するセルロース等と均一にそして強い結合力を持って一体化する。
【0070】
材料が溶融混合するとき羽根10a〜10f及び回転羽根軸5に一瞬の内に大きな負荷トルクがかかる。本実施例においては、モーター8にかかるトルク数値で130%前後となる。高速で回転している羽根10a〜10f及び回転羽根軸5にブレーキがかかった状態になると、該回転羽根軸5側のプーリー6とモーター8側のプーリー6を連結しているVベルト7においてすべりが発生し、急激な負荷トルク変動をモーター8の主軸に伝えない構成になっている。
【0071】
モーター8にかかる負荷トルクの変動を、電気信号に変換をして前記制御盤21に送り、該制御盤21内で予め入力しておいた負荷トルクデータと照合させ溶融混合の終了時期を読み取り、羽根10a〜10fの先端速度が毎秒約30mの高速回転の状態において、ロータリーシリンダー19、19を駆動させ、軸18を介して連結されている排出口蓋17を開き、脱水され、バインダーが含浸され造粒されたスギの高充填成形材料を排出する。
【0072】
前記モーター8の負荷トルク変動の値は、木質廃材及び植物廃材の種類及び混合容器3内に入れる木質廃材及び植物廃材の重量等で違いが出るため、最初は手動にて混合溶融装置1を運転し、モーター8の負荷トルク変動の数値を読み取り制御盤21内にその数値を打込みデータベース化する必要があり、この予め格納されているデータに従い、前記排出口蓋17の開閉制御が行われる。
【0073】
本実施例におけるスギの高充填成形材料を用いて押出成形を行い、押出成形によって得られた成形品は、木質廃材(スギ:重量比85%)とバインダー(PP:重量比12%、無水マレイン酸:3%)である実施例について、各試験項目における各測定値を表1に示した。
【表1】

【0074】
比較例としてスギ材、比較例1(木質廃材55%、廃プラPP材30%、添加剤他15%)、比較例2(中密度ファィバーボード、木の繊維を利用し、接着剤を噴霧してホットプレスしたもの)および比較例3(木粉55%、樹脂45%)の各測定値も表1に示した。
【0075】
表1からも明らかなようにスギ材の廃材を用いた実施例の硬さは、スギ材の2倍であり、縦圧縮強さは2割強であり、摩耗量は桁違いに少ないものである。
【0076】
また実施例の曲げヤング率は、比較例2および比較例3の略2倍であり、曲げ強さは、比較例2および比較例3に対してそれぞれ1割強、4割強である。
の数値にて示したものである。
【0077】
図8に、本実施例に係わる高充填成形材料(木質廃材(スギ)+バインダー)の顕微鏡写真を示す。熱流動により仮道管(細胞)の配列がくずれ、バインダーが含浸されていることが分かる。
【0078】
図9に、本実施例に係わる木質廃材(スギ)の細片物の顕微鏡写真を示す。仮道管(細胞)が放射方向に整然と配列していることが分かる。木部の水分通導と樹体を機械的支持する両方の機能を兼務している。
【0079】
上述の実施形態は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0080】
また上述の実施形態および実施例においては、一例として取付け角15度の矩形の横断面形状の羽根部材について説明したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、例えば必要に応じて取付け角を15度以外の角度に設定することが出来るとともに、図10(A)および(B)に示されるように中間部分が凹および凸の翼形状の断面形状の羽根部材の実施形態を必要に応じて採用することが出来るものである。
【0081】
さらに上述の実施形態および実施例においては、一例としてロータリーシリンダーによって混合容器の排出口蓋を開閉する例について、説明したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、例えばシリンダー内をピストンが直線的に移動するピストンシリンダータイプのアクチュエータを用いて排出口蓋を開閉する実施形態を必要に応じて採用することが出来るものである。
【0082】
また上述の実施形態および実施例においては、一例として混合容器内の混合、粉砕および溶融された材料の状態をモータの主軸保護の観点より、モータの主軸の負荷トルクに着目して検出する場合について説明したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、例えば混合容器内の温度や、混合容器の歪その他の混合容器内の混合、粉砕および溶融された材料の状態を反映する物理量を検出する実施形態を必要に応じて採用することが出来るものである。
【産業上の利用可能性】
【0083】
駆動源としてのモータによって回転駆動され、回転自在に支持された回転軸に複数の羽根部材が配設され材料の混合粉砕が行われる混合容器を備えた混合粉砕装置および混合溶融方法において、材料投入部に対応する回転軸に投入された材料を前記混合容器に供給するらせん状羽根部材が配設され、前記複数の羽根部材の少なくとも2枚は、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸に配設され、前記混合容器の側壁に該混合容器内で混合粉砕された材料が所定の状態に達したら材料を取り出す取出部が配設され、前記混合容器内において、前記材料が混合粉砕され、剪断、摩擦および圧縮による発熱により含有水分が脱水され、脱水された材料に溶融したバインダーを含浸させるもので、コスト面及び生産性の面で問題となっていた、剪定枝葉等の木質端廃材および木質廃材及び小麦の茎や葉等の植物材および植物廃材の有効利用および再利用法を提供し、廃材の高充填化により使用率を増大させ廃材の再利用の促進を進める用途に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態および実施例の混合溶融装置を示す正面図である。
【図2】本実施形態および実施例の混合溶融装置における回転羽根軸を示す部分拡大図である。
【図3】本実施形態および実施例の混合溶融装置のシステム全体を示すスケルトンブロック図である。
【図4】本実施形態および実施例における回転羽根軸の羽根部材と回転軸との関係を示す部分拡大側面図である。
【図5】本実施形態および実施例における混合容器の排出口に配設された開閉自在の開閉部材を示す断面図である。
【図6】本実施形態および実施例における6枚の羽根部材の回転軸に対する配設形態を示す部分拡大図である。
【図7】本実施形態および実施例における混合容器内の材料の混合、粉砕、脱水、溶融の状態におけるモータ主軸の負荷トルクの変化を示す線図である。
【図8】本発明の実施例に係わる高充填成形材料(木質廃材(スギ)+バインダー)の顕微鏡写真である。
【図9】本発明の実施例における比較用の木質廃材(スギ)の細片物の顕微鏡写真である。
【図10】本発明のその他の実施形態における羽根部材の例を説明するための部分拡大説明図である。
【符号の説明】
【0085】
3 混合容器
5 回転羽根軸
8 モータ
17 排出口蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源によって回転駆動され、回転自在に支持された回転軸に複数の羽根部材が配設され材料の混合粉砕が行われる混合容器を備えた混合粉砕装置において、
材料投入部に対応する回転軸に、投入された材料を前記混合容器に供給するらせん状羽根部材が配設され、
前記複数の羽根部材は、前記回転軸の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸に配設された少なくとも2個の羽根部材によって構成され、
前記羽根部材の前記回転軸に対する取付け角は、前記回転軸に取り付けられる根元部から半径方向外方の先端部まで同一であり、
前記混合容器の側壁に該混合容器内で混合粉砕された材料を取り出す取出部が配設され、
前記混合容器内において、前記材料が混合粉砕される
ことを特徴とする混合粉砕装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記羽根部材が、矩形の板状部材によって構成されている
ことを特徴とする混合粉砕装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記駆動源が、前記回転軸にベルトその他の回転連絡手段を介して連絡するモータによって構成されている
ことを特徴とする混合粉砕装置。
【請求項4】
請求項3において、
冷却媒体を、前記回転軸の一端から他端に供給するとともに、混合容器の壁内に供給循環させる冷却装置を備えている
ことを特徴とする混合粉砕装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記回転軸の両端を軸支する軸受け部に、該軸受け部の軸方向の両端を連通する溝が形成され、
前記混合容器内における前記材料の剪断、摩擦および圧縮による発熱により脱水された脱水成分の排出を可能にするように構成されている
ことを特徴とする混合粉砕装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記混合容器内における材料の混合粉砕および乾燥状態に応じた前記モータの主軸に作用する負荷トルクの変化に基づき、前記混合容器の前記取出部に配設された開閉部材の開閉を制御して、混合粉砕された材料を取り出す開閉制御装置を備えている
ことを特徴とする混合粉砕装置。
【請求項7】
駆動源によって回転駆動される回転軸に配設された複数の羽根部材によって混合容器内においてセルロース系材料の混合粉砕が行われる混合溶融方法において、
材料投入部より投入された小片化したセルロース系材料およびバインダーが、前記混合容器内の前記回転軸の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸に配設され、前記回転軸に対する取付け角が前記回転軸に取り付けられる根元部から半径方向外方の先端部まで同一である少なくとも2個の羽根部材によって、混合粉砕され、該混合容器内における前記セルロース系材料の剪断、摩擦および圧縮による発熱により含有水分が脱水された前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸され、
前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸されたら、前記混合容器内から取り出される
ことを特徴とする混合溶融方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記セルロース系材料が、前記木質材料およびまたは植物材料である
ことを特徴とする混合溶融方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記木質材料およびまたは植物材料が、前記木質廃材およびまたは植物廃材である
ことを特徴とする混合溶融方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記羽根部材の先端周速が、毎秒5メートルないし毎秒50メートル
の範囲内になるように前記駆動源としてのモータによって前記回転軸が回転駆動されている
ことを特徴とする混合溶融方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記モータと前記回転軸とは、急激な過渡的回転変動には追従しないように回転連絡されている
ことを特徴とする混合溶融方法。
【請求項12】
請求項11において、
請求項5において、
前記モータの主軸に作用する負荷トルクの変化を監視する
ことを特徴とする混合溶融方法。
【請求項13】
請求項12において、
監視している前記モータの主軸に作用する負荷トルクが、前記混合容器内における材料の混合粉砕および乾燥状態に応じて前記モータの主軸にかかる負荷トルクが上昇して最大値に達した後低下して最小値に達した後、一定時間経過したら、前記混合容器の取出部より混合粉砕、脱水され前記バインダーが含浸された前記セルロース系材料を取り出す
ことを特徴とする混合溶融方法。
【請求項14】
材料投入部より投入された小片化したセルロース系材料およびバインダーが、混合容器内の駆動源によって回転駆動される回転軸の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で前記回転軸に配設され、前記回転軸に対する取付け角が前記回転軸に取り付けられる根元部から半径方向外方の先端部まで同一である少なくとも2個の羽根部材によって、混合粉砕され、該混合容器内におけるセルロース系材料の剪断、摩擦および圧縮による発熱により含有水分が脱水された前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸され、
前記セルロース系材料に溶融したバインダーが含浸されたら、前記混合容器内から取り出され、
前記混合容器内から取り出された溶融した前記バインダーが含浸された前記セルロース系材料を加熱および加圧することにより成形する
ことを特徴とする溶融したバインダーが含浸されたセルロース系材料の成形方法。
【請求項15】
請求項14において、
前記バインダーが含浸された前記セルロース系材料の成形が、押出成形によって行われる
ことを特徴とする溶融したバインダーが含浸されたセルロース系材料の成形方法。
【請求項16】
請求項15において、
前記セルロース系材料が、前記木質廃材およびまたは植物廃材である
ことを特徴とするバインダーが含浸されたセルロース系材料の成形方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図10】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−263727(P2006−263727A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107007(P2006−107007)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【分割の表示】特願2005−502943(P2005−502943)の分割
【原出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【出願人】(304006540)株式会社エムアンドエフ・テクノロジー (8)
【Fターム(参考)】