説明

混成流段を備えたターボ機械及びその方法

【課題】混成流段を備えたターボ機械及びその方法を提供すること。
【解決手段】多相流体にエネルギーを与える方法及びターボ機械。ターボ機械は、入口及び出口を有するケーシングと、少なくとも1つの軸方向段を含む軸方向段部分と、軸方向段部分に流体接続された少なくとも1つの混成流段を含む混成流段部分と、混成流段部分に流体接続された少なくとも1つの遠心段を含む遠心段部分と、を含む。軸方向段は、軸方向インペラ出口流とシャフトの回転軸線に平行な軸線との間で0°から5°の間の値を有する角度によって定義され、混成流段は、5°から80°の間の値を有する角度によって定義され、遠心段は、80°と90°の間の値を有する角度によって定義される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題の実施形態は、全体的に、方法及びシステムに関し、より詳細には、多相流体を圧送/圧縮するための機構及び技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年間、化石燃料の価格の上昇に伴って、新しい生産現場を開発することへの関心が高まっている。陸上又は海上での採掘は様々な問題をもたらす。このような問題の1つは、坑井から産出される石油流体が少なくとも第1及び第2の成分を含むことである。第1の成分はガスであり、第2の成分は液体とすることができる。加えて、ガス成分は、液体成分に溶解及び/又は混合しない場合がある。従って、石油流体は多相流体である。
【0003】
しかしながら、石油流体の坑井からの抽出又はパイプに沿った輸送においては、当該業界ではポンプ及び圧縮機が使用される。通常、液体の輸送にはポンプが使用され、他方、ガスの輸送には圧縮機が使用される。これらの理由により、ポンプは、液体に対して効率的であるように設計され、他方、圧縮機は、ガスに対して効率的であるように設計される。ガス及び液体の異なる組成、及びこれらの液体に適用される物理法則が異なる理由から、ポンプは混合物中にガスが存在するときには効率的ではなく、また、圧縮機は、混合物中に液体が存在するときには効率的ではない。
【0004】
従って、多相流体(例えば、少なくとも1つのガス成分と1つの液体成分とを含む)の取り扱いにおいては、直列に接続された種々のポンプを使用することが通常となっている。この点に関して、米国特許第5,961,282号(その開示事項全体が引用により本明細書に組み込まれる)は、接続部を介して遠心ポンプに接続された軸流ポンプを含むシステムを開示している。
【0005】
軸流ポンプは、文字通り、ポンプの軸方向に沿って移動する液体にエネルギー又は圧力を加える。例証として、図1は、ステータ部14がシャフト16の周りに設けられ、流入する液体を偏向させるように構成されたケーシング12を有する軸流ポンプ10を示している。インペラ18は、シャフト16と共に回転し、加速された液体を配向するよう構成される。シャフト16が軸線Zに沿って延びるとみなされる場合、インペラ18から流出する液体は、軸線Zに沿って実質的に速度vを有する。インペラから出て実質的に軸線Zに沿って移動する液体の特性によって、ポンプは軸流ポンプであると判断され、すなわち、出力液体はポンプの軸線に沿って流れる。
【0006】
スペクトルの他端においては、遠心ポンプは、図2に示すように、インペラから出る液体をポンプの軸線から実質的に半径方向に流れるようにする。図2は、液体が軸線Xに沿って且つZ上に位置するポンプの軸線から半径方向に速度vで出力される遠心ポンプ20を示している。液体は、入口22において矢印Aに沿って流入するよう図示されている。
【0007】
米国特許第5,961,282号を参照すると、この引例は、軸流ポンプ32及び遠心ポンプ34を有するシステム30(米国特許第5,961,282号の図2Bに対応する図3を参照)を用いて開示されている。流体が入口36に入り、ステータ部38の後に設けられたインペラによって作用される。軸流ポンプ32を通過した後では、流体はシャフトに実質的に平行な速度を有するので、ケーシング44に固定されるアジャスタ42を用いて、シャフト40に対して実質的に垂直な速度で流入流体を遠心ポンプ34の通路46(入力)に入るように偏位させる。遠心ポンプ34のブレード48は更に、液体にエネルギー又は圧力を加え、ポンプの軸線上に垂直な方向Xに沿った流れ方向も変化させる。
【0008】
上記の引例及び他の引例の方法を用いると、石油廃液は、例えば、半径方向タイプの後方段(遠心段)のセットと相補的な同軸螺旋型の前方段のセットを含むポンプシステムを用いることによって坑井の底から表面まで輸送される。この2つの段のセットは、同じ軸線上にスタックすることができる。
【0009】
遠心段は、ガス相が存在しない場合に限り単一相の液体を効率的に圧送することができる。ガス相と液体相の容積率の比を測定するガス容積率(GVF)が数パーセントを超えるとすぐに、従来の遠心段性能が悪化し、ポンプの安全な作動ができなくなる。この問題を避けるために、GVFは、例えば、前方段における同軸螺旋の軸方向段と最終段における半径方向段のセットを用いることによって低減される。同軸螺旋段の前方セットは、高GVFに耐性があるので、低GVFで作動する半径方向段の最終セットに到達する前に中間の圧力増大を通じてGVFを漸次的に低下させることができる。同軸螺旋段の第1のセットは、大きなGVFを扱うことができるが、段当たりの圧力増大の低下が犠牲となる。この解決策は、所望の吐出圧力に達するために全体の段数の増大を必要とし、結果として重量、シャフト長、及びコストの増加を招く。
【0010】
従って、上述のシステムよりも優れたシステム及び方法を提供することが望ましいことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,961,282号公報
【発明の概要】
【0012】
1つの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの液体相と1つのガス相とを含む多相流体にエネルギーを与えるターボ機械がある。ターボ機械は、入口及び出口を有するケーシングと、少なくとも1つの軸方向段を含み、入口を介して多相流体を受け取り且つ多相流体のガス相を加圧するよう構成された軸方向段部分と、軸方向段部分に流体接続された少なくとも1つの混成流段を含む混成流段部分と、混成流段部分に流体接続された少なくとも1つの遠心段を含み、出口通って多相流体を出力するよう構成された遠心段部分と、軸方向段部分、混成流段部分、及び遠心段部分を接続するシャフトと、を含む。軸方向段は、軸方向インペラ出口流とシャフトの回転軸線に平行な軸線との間で0°から5°の間の値を有する角度によって定義され、混成流段は、混成流インペラ出口流と、シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で5°から80°の間の値を有する角度によって定義され、遠心段は、遠心インペラ出口流と、シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で80°と90°の間の値を有する角度によって定義される。
【0013】
更に別の例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの液体相と1つのガス相とを含む多相流体にエネルギーを与えるターボ機械がある。ターボ機械は、入口及び出口を有するケーシングと、少なくとも1つの軸方向段を含み、入口を介して多相流体を受け取り且つ多相流体のガス相を加圧するよう構成された軸方向段部分と、軸方向段部分に流体接続され且つ出口において多相流体を出力するよう構成された少なくとも1つの混成流段を含む混成流段部分と、軸方向段部分及び混成流段部分を接続するシャフトと、を含む。軸方向段は、軸方向インペラ出口流とシャフトの回転軸線に平行な軸線との間で0°から5°の間の値を有する角度によって定義され、混成流段は、混成流インペラ出口流と、シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で5°から80°の間の値を有する角度によって定義される。
【0014】
更に別の例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの液体相と1つのガス相とを含む多相流体にエネルギーを与えるターボ機械がある。ターボ機械は、入口及び出口を有するケーシングと、入口に流体接続された少なくとも1つの混成流段を含む混成流段部分と、混成流段部分に流体接続された少なくとも1つの遠心段を含み、出口通って多相流体を出力するよう構成された遠心段部分と、混成流段部分及び遠心段部分を接続するシャフトと、を含む。混成流段は、混成流インペラ出口流と、シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で5°から80°の間の値を有する角度によって定義され、遠心段は、遠心インペラ出口流と、シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で80°と90°の間の値を有する角度によって定義される。
【0015】
更に別の例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの液体相と1つのガス相とを含む多相流体にエネルギーを与える方法がある。本方法は、軸方向段部分を混成流段部分及び遠心段部分にこの順序で流体接続するステップと、軸方向段部分、混成流段部分、及び遠心段部分を入口及び出口を有するケーシングに提供するステップと、軸方向段部分の軸方向インペラ、混成流段部分の混成流インペラ、及び遠心段部分の遠心インペラをシャフトに接続するステップと、を含む。軸方向段は、軸方向インペラ出口流とシャフトの回転軸線に平行な軸線との間で0°から5°の間の値を有する角度によって定義され、混成流段は、混成流インペラ出口流と、シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で5°から80°の間の値を有する角度によって定義され、遠心段は、遠心インペラ出口流と、シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で80°と90°の間の値を有する角度によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の軸方向ポンプの概略図。
【図2】従来の遠心ポンプの概略図。
【図3】軸方向ポンプ及びその後に続く遠心ポンプを含むシステムの概略図。
【図4】インペラからのガス流とインペラの回転軸線との間の角度の概略図。
【図5】種々のタイプの段を含むターボ機械における段数に対するガス容積率の変化を示すグラフ。
【図6】例示的な実施形態による、ターボ機械を流れる流体のGVFの関数として種々の段により達成される圧力上昇を示すグラフ。
【図7】種々のタイプの段を有するターボ機械の概略図。
【図8】種々のタイプの段を有するターボ機械の別の概略図。
【図9】例示的な実施形態による、多相流体にエネルギーを与える方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に組み込まれ且つその一部を構成する添付図面は、1つ又はそれ以上の実施形態を例証しており、本明細書と共にこれらの実施形態を説明する。
【0018】
好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、本発明の特定の実施形態を示す添付図面を参照する異なる図面における同じ参照符号は同じ又は同様の要素とみなす。以下の詳細な説明は本発明を限定するものではない。むしろ、本発明の範囲は、添付の請求項によって定義される。以下の実施形態は、簡略化のために軸流ポンプ及び遠心ポンプの用語を用いて且つその構造に関して説明している。しかしながら、以下で検討する実施形態は、これらのポンプに限定されず、例えば、圧縮機又は他のターボ機械などの他のシステムに適用することができる。
【0019】
本明細書を通して「1つの実施形態」又は「実施形態」として言及することは、実施形態に関連して説明される具体的な特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じて様々な箇所で表現「1つの実施形態では」又は「ある実施形態では」が出現するが、必ずしも同じ実施形態について言及している訳ではない。更に、具体的な特徴、構造、又は特性は、1つ又はそれ以上の実施形態においてあらゆる好適な様態で組み合わせてもよい。
【0020】
例示的な実施形態によれば、ターボ機械は、高容積パーセンテージのガスを用いて流体の圧縮を開始し、最小の段数で吐出圧力に到達させるのに好適な異なるタイプのインペラのセットを含む。ターボ機械の構造は、軸方向段、混成流段、及び半径方向段のうちの少なくとも2つを含む。この構造は、液状流体のマトリクスにおいて可変のガス含有量の下で広範な作動性を可能にする。
【0021】
新規のターボ機械は、液体中に溶解しないガスの存在下で液体圧力を増大させることができる。作動条件はガスで飽和した液体を含む。ターボ機械は、例えば、油井から圧送する必要性に対処し、ここではプロセス流体は、1つ又はそれ以上の液相及び場合によっては固体粒子中に埋め込まれた1つ又はそれ以上のガス相を含む。
【0022】
この開示事項において、「段」とは、何らかのタイプ(例えば、軸方向、半径方向、又は混成流)のインペラ(可動部)と、何らかのタイプ(ベーン付き又はスクロール型、軸方向又は半径方向又は混成流)のディフューザ(固定部)とを有するシステム(機械)又は機械の一部として定義される。
【0023】
例示的な実施形態によれば、所与の吐出圧力を得るための段数の低減は、同軸螺旋段と半径方向段との間での漸次的な移行を導入することによって達成される。漸次的な移行は、例えば、インペラなどの可動部品を含むことができる。同軸螺旋段は軸方向ポンプ段とすることができ、半径方向段は遠心ポンプ段とすることができる。軸方向タイプ対遠心タイプを定める角度ラムダ(λ)は、平均インペラ出口流50と、軸線52を含む平面内の回転軸線58に平行な軸線52との間の角度として図4に示される。図4は、回転軸線58を有するインペラ56のブレード54を示している。ブレード54は、前縁60と後縁62とを有する。ブレード54によって移動される流体は、方向64に沿って移動するときに最初に前縁60に接触し、流れ50と平行な方向66に沿ってブレードの後縁62から流出する。1つの応用において、流れ50の方向は後縁62に垂直である。
【0024】
軸方向段は、0°から5°の範囲のλ値を有し、遠心段は80°から90°の範囲のλ値を有する。混成流段(ポンプ又は圧縮機)は、5°から80°の範囲のλ値を有する。
【0025】
多段機械(軸方向段及び遠心段の両方を含む)における軸方向段は、流体のGVFを低減し、従って、遠心段がより効率的に流体を圧縮することができるが、このような機械の段数は最適最小よりも多い。図5は、このような機械におけるGVF及びλと相関付けられた段数を示している。この機械(必要数よりも多くの段を有する)は、nhsの軸方向段の後にncsの遠心段を有し、軸方向段が5°よりも小さいλを有し、遠心段が80°よりも大きく90°よりも小さいλを有する。段の数は、ポンプ(段)のサイズ及び流体の組成に依存する。
【0026】
図5は、GVFパーセンテージ(第1のY軸)を各段(X軸上に示される)と相関付けた曲線70と、値λ(第2のY軸)を軸方向及び半径方向段のみを有する機械における各段と相関付けた曲線72とを示している。曲線72は、第1のnhs段(軸方向ポンプ)のλがゼロの値を示し、次のncs段(遠心段)のλが90°の値を示している点に留意されたい。
【0027】
しかしながら、新規のターボ機械がnha軸方向段、nma混成流段、及びnca遠心段を有する場合には、この状況は変化する。図5は、この機械が従来の機械のように(nhs+ncs)段ではなく、より少ない数の段(nhs+nma+nca)を用いて同じGVF73を達成することを示している。このことは、nma混成流段がGVF値を曲線70から曲線74に更に低下させ、従って、λが低い値(例えば、0°)から高い値(例えば、90°)まで、すなわち軸方向相から遠心相まで低勾配(曲線76を参照)で遷移することができることに起因して起こっている。低勾配の遷移は、例えば、0°と90°との間の少なくとも1つの中間値を有するものとして定義することができ、例えば、λ角関数は、図5において点78a及び78bにより示されるように、ゼロから90の間の2つの値を有する。混成流段に起因したこの遷移により、混成流段が図5にも示される所与のGVF閾値GVFthを下回り同軸螺旋段よりも効果的であるように、GVFが迅速に低下することができるようになる。閾値GVFthの実施例が図6に示される。この図は、遠心段、混成流段、及び同軸螺旋段におけるGVFに対する1段にわたる相対圧力上昇を示している。混成流段は、GVFth79aに相当する20から40%付近での同軸螺旋段よりも高効率である点に留意されたい。換言すると、新規のターボ機械は、GVFがこの範囲にあるときには、従来の同軸螺旋段よりも効率的であるように、1つ又はそれ以上の混成流段を用いるよう設計されている。混成流段から遠心段への移行は、GVFが10から20%の範囲にあるとき、例えば、遠心段が混成流段よりも効率的である点79bにおいて行うことができる。図6に示す数及び閾値は例証であり、機械のサイズ、段数、流体組成、その他によって決まる。従って、あるターボ機械において、図6に示す値は正確な値であるが、他のターボ機械では、これらの値は調整されなければならない。
【0028】
混成流段nmaは、5°よりも大きく且つ80°よりも小さい値を有する角度λによって特徴付けられる。このようなターボ機械80が図7に概略的に示されている。この例示的な実施形態によれば、ターボ機械80は、ケーシング82及びシャフト84を有する。シャフト84は、単一シャフト、或いは互いに接続された複数のシャフトとすることができる。種々のインペラ86a〜86fがシャフト84に接続され、シャフトと共に回転するよう構成される。各インペラは、少なくとも1つの対応するブレード88aから88fを有し、通過する流体にエネルギー及び/又は圧力を加える。流体は、入口90にてターボ機械80に流入し、出口92にて機械から流出する。図7に示す機械が6つの段を有しているが、これは、このような機械における段の最小数、最大数、又は最適数であることを示唆するものではない。6つの段は単なる例証に過ぎない。加えて、3つの全てのタイプの段がこのような機械において存在することを示唆すべきではない。軸方向段及び混成流段のみ、混成流段及び遠心段のみ、又は3つの全ての段を備えたターボ機械を有することも想起される。
【0029】
この例示的な実施形態において、最初の2つの段は、インペラのブレードの後縁のλによって認識できるように軸方向段であり、次の2つの段が混成流段であり、最後の2つの段が遠心段である。この場合も同様に、段の数は例示的なものであり、図7に示す組み合わせが最適構成であることを示唆するものではない。例えば、1つの軸方向段、1つの混成流段、及び1つの遠心段を有することも可能である。
【0030】
図7の各ブレード88a〜88fは、対応するディフューザ94a〜94fを有する。これらのディフューザは固定であり、すなわち、ターボ機械のケーシング又は別の非可動部分に固定される。ディフューザは、流体の流れを変化させ、各段の効率を最適化するよう構成される。また図7には、同様にケーシングに固定され、軸方向段と混成流段との間の流体流の移行を行うよう構成される流れ調整部分96又は移行チャンネルが見える。
【0031】
ターボ機械のシャフト84は、ドライバー98に接続することができ、該ドライバーは、電気モータ、エンジン、ガスタービン、その他とすることができる。ある応用において、全ての段は、ターボ機械が一体成形の機器であるように単一のケーシング82内に置かれる。ターボ機械は、石油廃液抽出のために坑井に入ることができるような円筒形状を有することができる。
【0032】
この例示的な実施形態において、混成流段3及び4のブレード88c及び88dは、それぞれ約30°から44°、及び50°から65°の範囲の値の角度λを有する。1つの応用において、混成流段の角度は、20°から60°の間の値を有する。上記で検討したように、ターボ機械の段は、ポンプのみ、圧縮機のみ、又はポンプと圧縮機の組み合わせとして実装することができる。
【0033】
図8に示す例示的な実施形態によれば、多相流体にエネルギーを与えるターボ機械80は、入口90及び出口92を有するケーシング82と、少なくとも1つの軸方向段(段1)を含み、入口90を介して多相流体を受け取り且つ該多相流体のガス相を加圧するよう構成された軸方向段部分100aと、軸方向段部分に流体接続された少なくとも1つの混成流段(段3)を含む混成流段部分(100b)と、混成流段部分に接続された少なくとも1つの遠心段(段5)を含み、出口92を通って多相流体を出力するよう構成された遠心段部分100cと、軸方向段部分100a、混成流段部分100b、及び遠心段部分100cを接続するシャフト84と、を含む。軸方向段は、軸方向インペラ出口流とシャフトの回転軸線に平行な軸線との間で0°から5°の間の値を有する角度によって定義され、混成流段は、混成流インペラ出口流と、シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で5°から80°の間の値を有する角度によって定義され、遠心段は、遠心インペラ出口流と、シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で80°と90°の間の値を有する角度によって定義される。
【0034】
図9に示す例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの液体相と1つのガス相とを含む多相流体にエネルギーを与える方法がある。本方法は、軸方向段部分を混成流段部分及び遠心段部分にこの順序で流体接続するステップ900と、軸方向段部分、混成流段部分、及び遠心段部分を入口及び出口を有するケーシングに提供するステップ902と、軸方向段部分の軸方向インペラ、混成流段部分の混成流インペラ、及び遠心段部分の遠心インペラをシャフトに接続するステップ904と、を含む。軸方向段部分は、軸方向インペラ出口流とシャフトの回転軸線に平行な軸線との間で0°から5°の間の値を有する角度によって定義され、混成流段部分は、混成流インペラ出口流と、シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で5°から80°の間の値を有する角度によって定義され、遠心段は、遠心インペラ出口流と、シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で80°と90°の間の値を有する角度によって定義される。
【0035】
開示される例示的な実施形態は、少なくとも1つの液体相と1つのガス相とを含む多相流体にエネルギーを与えるシステム及び方法を提供する。本明細書は本発明を限定することを意図していない点は理解されたい。逆に、例示的な実施形態は、添付の請求項によって定義される本発明の技術的思想及び範囲に含まれる、代替形態、修正形態、及び均等形態を保護するものとする。更に、例示的な実施形態の詳細な説明において、請求項に記載された本発明を包括的に理解するために多数の具体的な詳細事項が記載されている。しかしながら、種々の実施形態はこのような具体的な詳細事項がなくとも実施できる点は当業者であれば理解されるであろう。
【0036】
本発明の例示的な実施形態の特徴及び要素は、特定の組み合わせで実施形態において説明したが、各特徴又は要素は、実施形態の他の特徴及び要素を伴わず単独で、或いは本明細書で開示される他の特徴及び要素の有無に関わりなく種々の組み合わせで用いることができる。
【0037】
本明細書は、開示される主題の実施例を用いて、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること及びあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0038】
80 ターボ機械
82 ケーシング
84 シャフト
88a〜88f ブレード
90 入口
92 出口
94a〜94f ディフューザ
100a 軸方向段部分
100b 混成流段部分
100c 遠心段部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの液体相と1つのガス相とを含む多相流体にエネルギーを与えるターボ機械であって、
入口及び出口を有するケーシングと、
少なくとも1つの軸方向段を含み、入口を介して多相流体を受け取り且つ前記多相流体のガス相を加圧するよう構成された軸方向段部分と、
前記軸方向段部分に流体接続された少なくとも1つの混成流段を含む混成流段部分と、
前記混成流段部分に流体接続された少なくとも1つの遠心段を含み、前記出口通って多相流体を出力するよう構成された遠心段部分と、
前記軸方向段部分、前記混成流段部分、及び前記遠心段部分を接続するシャフトと、
を備え、前記軸方向段は、軸方向インペラ出口流と前記シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で0°から5°の間の値を有する角度によって定義され、前記混成流段は、混成流インペラ出口流と、前記シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で5°から80°の間の値を有する角度によって定義され、前記遠心段は、遠心インペラ出口流と、前記シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で80°と90°の間の値を有する角度によって定義される、ターボ機械。
【請求項2】
前記軸方向段部分が少なくとも2つの軸方向段を含み、前記混成流段部分が少なくとも2つの混成流段を含み、前記遠心段部分が少なくとも2つの遠心段を含む、請求項1に記載のターボ機械。
【請求項3】
前記各段が、シャフトと共に回転するよう構成されたインペラと、ケーシングに固定され且つ対応する流れの方向を変えるよう構成されたディフューザとを有するロータを含む、請求項2に記載のターボ機械。
【請求項4】
前記入口が軸方向にあり、前記出口が半径方向にある、請求項1に記載のターボ機械。
【請求項5】
前記軸方向段部分と前記混成流段部分との間に調整部を更に備える、請求項1に記載のターボ機械。
【請求項6】
前記多相流体のガス相が、前記混成流段部分に流入する前に所定値を下回る液体相に対する容積比を有する、請求項1に記載のターボ機械。
【請求項7】
前記混成流段の角度が20°と60°の間の値を有する、請求項1に記載のターボ機械。
【請求項8】
少なくとも1つの液体相と1つのガス相とを含む多相流体にエネルギーを与えるターボ機械であって、
入口及び出口を有するケーシングと、
少なくとも1つの軸方向段を含み、入口を介して多相流体を受け取り且つ前記多相流体のガス相を加圧するよう構成された軸方向段部分と、
前記軸方向段部分に流体接続され且つ前記出口において前記多相流体を出力するよう構成された少なくとも1つの混成流段を含む混成流段部分と、
前記軸方向段部分及び前記混成流段部分を接続するシャフトと、
を備え、前記軸方向段は、軸方向インペラ出口流と前記シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で0°から5°の間の値を有する角度によって定義され、前記混成流段は、混成流インペラ出口流と、前記シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で5°から80°の間の値を有する角度によって定義される、ターボ機械。
【請求項9】
少なくとも1つの液体相と1つのガス相とを含む多相流体にエネルギーを与えるターボ機械であって、
入口及び出口を有するケーシングと、
前記入口に流体接続された少なくとも1つの混成流段を含む混成流段部分と、
前記混成流段部分に流体接続された少なくとも1つの遠心段を含み、前記出口通って多相流体を出力するよう構成された遠心段部分と、
前記混成流段部分及び前記遠心段部分を接続するシャフトと、
を備え、前記混成流段は、混成流インペラ出口流と、前記シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で5°から80°の間の値を有する角度によって定義され、前記遠心段は、遠心インペラ出口流と、前記シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で80°と90°の間の値を有する角度によって定義される、ターボ機械。
【請求項10】
少なくとも1つの液体相と1つのガス相とを含む多相流体にエネルギーを与える方法であって、
軸方向段部分を混成流段部分及び遠心段部分にこの順序で流体接続する段階と、
前記軸方向段部分、前記混成流段部分、及び前記遠心段部分を入口及び出口を有するケーシングに提供する段階と、
前記軸方向段部分の軸方向インペラ、前記混成流段部分の混成流インペラ、及び前記遠心段部分の遠心インペラをシャフトに接続する段階と、
を含み、前記軸方向段は、軸方向インペラ出口流と前記シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で0°から5°の間の値を有する角度によって定義され、前記混成流段は、混成流インペラ出口流と、前記シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で5°から80°の間の値を有する角度によって定義され、前記遠心段は、遠心インペラ出口流と、前記シャフトの回転軸線に平行な軸線との間で80°と90°の間の値を有する角度によって定義される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−52541(P2012−52541A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−185514(P2011−185514)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(505347503)ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ (112)
【Fターム(参考)】