説明

温度の測定、監視及び/又は制御装置

孔(2,3)を通じて外壁(6)へとセンサ本体(1)を貫通する測定素子(4,5)により温度、特に射出成形金型壁の温度の測定、監視及び/又は制御装置において、測定素子(4,5)をセンサ本体(1)内及び/又はセンサ本体内に予め形成した支持筒(7)に固定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は孔を通じて外壁へとセンサ本体を貫通する測定素子により温度、特に射出成形金型壁の温度の測定、監視及び/又は制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の製造分野において温度の測定、監視及び制御は重要且つ必要なことである。独国出願公開第10114228A1号明細書に例示しているように、通常は温度の監視についてのみ述べている。金型壁の温度を測定する温度測定素子を介して、全体の射出工程が制御されている。従って、この温度測定素子は極めて重要である。
【0003】
従来の温度測定素子は、センサ本体に拘束のない状態で引き込まれ、センサ本体の前面から突出した状態にあり、その位置に溶接滴などにより固定されている。その結果、測定対象と温度素子の間の溶接突起の層により表面に不規則性が生じ、センサの精度が低くなる。
【0004】
更に、補償導線は厚い収納筒を備えており、筒とセンサ本体の間の金属管から柔軟性のあるケーブルへ繋がっている。この筒はセンサ本体中の測定素子への荷重を緩和する役割も果たしている。この筒のため、射出成形金型内に金型の弱体化につながる空間を設けざるを得ないという短所を有することになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の短所を除いた装置及びその装置の製造方法を創成するためのものである。精度を損なうことなく測定素子を固定することが本発明の目的である。更に、装置を可能な限り薄くすることにより射出成形金型の弱体化が最小となる(ケーブル用チャネル)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、測定素子をセンサ本体内及び/又はセンサ本体に予め形成した支持筒内に固定するようにした。
【0007】
このようにして、溶接しなくても測定素子を所望の位置に取り付けられるようになる。支持筒により測定素子の荷重が緩和する。厚い収納筒を必要としないので、補償導線を細くできる。
【0008】
発明にはセンサ本体内又は対応する孔内に断面縮小部により測定素子を固定することも含んでいる。センサ本体の先端に出来るだけ近くに断面縮小部を形成して測定素子が所定の位置からずれないようにする。
【0009】
通常の場合は、補償導線を支持筒内に固定するだけで十分である。しかし、例えば前面に圧を受けると、センサ本体の孔内の測定素子は後退する。従って、センサ本体ばかりでなく支持筒も断面を縮小することが好ましい。
【0010】
測定素子をセンサ本体の孔内への挿入が可能である場合には、素子の前面は正にセンサ本体の前面の面内にあり、孔へ押し込むだけで支持が完了する。しかし、測定素子の前面をセンサ本体の前面に正確に合わせるためには、測定素子をセンサ本体の前面よりやや突出させ、溶接あるいは半田滴によってそこに固定するのが良いことがわかる。このように支持を実行し、その後、測定素子の末端と共に溶接あるいは半田滴を研磨することができるので、結果的には測定素子の前面がセンサ本体の前面内に位置するようになる。しかし、この場合に必ずしも測定素子を拘束する必要はない。そのため、別の保護カバーが必要となるので測定素子を孔から突出させ、場合によっては溶接又は半田滴で覆い研磨する。
【0011】
実施例によっては、補償導線にガラス繊維/カプトン(登録商標)の外部断熱を備えていることもある。この外部断熱は、高温の射出成形金型から補償導線を断熱する。
【0012】
更に、支持筒に引き出し用ネジを付け、それに対応した工具によって例えば射出成形金型の孔からセンサ本体を簡単に引き出せるようにもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明による例えば射出成形金型の金型壁の温度測定用の装置Rの図1及び図2に示すセンサ本体1には2つの縦長の孔2及び3を備えている。各々の縦長の孔には測定素子4又は5を備え、その先端がセンサ本体の前面6の面に位置している。
【0014】
センサ本体1に支持筒7を付設しており、その筒に引き出し用ネジ9付の引き出し部材8が嵌合している。支持筒7及び引き出し部材8は補償導線10を内包しており、更に補償導線10と支持筒7の間に断熱筒11を備えている。
【0015】
補償導線10から2つの測定素子4及び5が出ており、縦長の孔2及び3に嵌合している。
【0016】
補償導線10の他端は筒12内にあり、そこから接続導線13及び14へと分岐している。
【0017】
以下、図3及び図4に基づいて本発明による装置の製造について詳しく説明する。
【0018】
筒12の向こう側の自由端に引き出し部材8、支持筒7及びセンサ本体1を押し遣る。その際、測定素子4及び5並びにその縦長孔2及び3が在ることを確認する。図3に示すように、測定素子4及び5はセンサ本体の前面6から突出させてもよい。
【0019】
前面6上に厚めに所定の溶接箇所15を生成する。その後、前面6面上に突出した溶接箇所15又は溶接肉盛りを研磨する。
【0020】
それに対して図4は測定素子4及び5が前面6の面内で終わっていることを示している。その後、矢印で示すように前部を押圧又は断面を縮小することにより、明確に定義した温度測定が可能となる。断面の縮小によって縦長孔2及び3に固定すると溶接するよりも更に良好であり、縦長孔2及び3から引き出せなくなる。この方法は、ユーザーが測定素子をキャビティの表面に取り付けるような後作業を可能とする。
【0021】
さらに、支持筒7の断面を縮小して、補償導線10あるいは支持筒7内の補償導線の前部を固定するようにしてもよい。これにより補償導線10への負荷が緩和される。支持筒7がセンサ本体1に差し込まれている場合には、自動的に支持筒7の断面の縮小が実行される。
【0022】
引き出し部材8は例えば溶接又は貼り合わせによって支持筒7と結合してもよく、またネジで結合してもよい。射出成形金型の金型壁の使用位置から引き出すために、引き出し部材8の引き出しネジ9上に対応する工具をネジ止めしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による温度監視装置の平面図。
【図2】図1に示す装置の前部域の拡大断面図。
【図3】製造の前段階における図1に示す装置の端部域の拡大断面図。
【図4】図1に示す装置の端部の別の実施例を示す摸式断面図。
【符号の説明】
【0024】
1 センサ本体
2 縦長孔
3 縦長孔
4 測定素子
5 測定素子
6 前面
7 支持筒
8 引き出し部材
9 引き出し用ネジ
10 補償導線
11 断熱筒
12 筒
13 接続導線
14 接続導線
15 溶接箇所
R 装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔(2,3)を通じて外壁(6)へとセンサ本体(1)を貫通する測定素子(4,5)により温度、特に射出成形金型壁の温度の測定、監視及び/又は制御装置であって、
測定素子(4,5)をセンサ本体(1)内及び/又はセンサ本体内に予め形成した支持筒(7)に固定していることを特徴とする温度の測定、監視及び/又は制御装置。
【請求項2】
前記支持筒(7)内に補償導線(10)を備え、その補償導線から測定素子(4,5)がセンサ本体(1)内へと突出していることを特徴とする請求項1記載の温度の測定、監視及び/又は制御装置。
【請求項3】
前記補償導線(10)がガラス繊維/カプトン(登録商標)製の外部断熱を備えていることを特徴とする請求項2記載の温度の測定、監視及び/又は制御装置。
【請求項4】
前記支持筒(7)に引き出し用ネジ(9)を付設していることを特徴とする請求3記載の温度の測定、監視及び/又は制御装置。
【請求項5】
孔(2,3)を通じて外壁(6)へとセンサ本体(1)を貫通する測定素子(4,5)により温度、特に射出成形金型壁の温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法であって、センサ本体(1)内の前記測定素子(4,5)を前記孔(2,3)の断面を縮小することによって固定していることを特徴とする温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法。
【請求項6】
孔(2,3)を通じて外壁(6)へとセンサ本体(1)を貫通する測定素子(4,5)により温度、特に射出成形金型壁の温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法であって、前記センサ本体(1)に支持筒(7)を配置し、その内部空間の補償導線(10)から測定素子(4,5)が引き出されており、補償導線(10)が内部空間に固定されるように、支持筒(7)の内部空間の断面が部分的に縮小していることを特徴とする温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法。
【請求項7】
孔(2,3)を通じて外壁(6)へとセンサ本体(1)を貫通する測定素子(4,5)により温度、特に射出成形金型壁の温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法であって、前記測定素子(4,5)を前記孔(2,3)からやや突出させその後研磨することを特徴とする温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法。
【請求項8】
孔(2,3)を通じて外壁(6)へとセンサ本体(1)を貫通する測定素子(4,5)により温度、特に射出成形金型壁の温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法であって、前記測定素子(4,5)を前記孔(2,3)からやや突出させ、溶接又は半田滴で覆い、前記測定素子(4,5)と共に研磨することを特徴とする温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法。
【請求項9】
外壁(6)の平面まで研磨することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔(2,3)を通じて外壁(6)へとセンサ本体(1)を貫通する測定素子(4,5)により温度、特に射出成形金型壁の温度の測定、監視及び/又は制御装置であって、
測定素子(4,5)をセンサ本体(1)内に予め形成した支持筒(7)に固定していることを特徴とする温度の測定、監視及び/又は制御装置。
【請求項2】
前記支持筒(7)内に補償導線(10)を備え、その補償導線から測定素子(4,5)がセンサ本体(1)内へと突出していることを特徴とする請求項1記載の温度の測定、監視及び/又は制御装置。
【請求項3】
前記補償導線(10)がガラス繊維/カプトン(登録商標)製の外部断熱を備えていることを特徴とする請求項2記載の温度の測定、監視及び/又は制御装置。
【請求項4】
前記支持筒(7)に引き出し用ネジ(9)を付設していることを特徴とする請求3記載の温度の測定、監視及び/又は制御装置。
【請求項5】
孔(2,3)を通じて外壁(6)へとセンサ本体(1)を貫通する測定素子(4,5)により温度、特に射出成形金型壁の温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法であって、前記センサ本体(1)に支持筒(7)を配置し、その内部空間の補償導線(10)から測定素子(4,5)が引き出されており、補償導線(10)が内部空間に固定されるように、支持筒(7)の内部空間の断面が部分的に縮小していることを特徴とする温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法。
【請求項6】
前記センサ本体(1)の断面も縮小していることを特徴とする請求項5記載の温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法。
【請求項7】
孔(2,3)を通じて外壁(6)へとセンサ本体(1)を貫通する測定素子(4,5)により温度、特に射出成形金型壁の温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法であって、前記測定素子(4,5)を前記孔(2,3)からやや突出させその後研磨することを特徴とする温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法。
【請求項8】
孔(2,3)を通じて外壁(6)へとセンサ本体(1)を貫通する測定素子(4,5)により温度、特に射出成形金型壁の温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法であって、前記測定素子(4,5)を前記孔(2,3)からやや突出させ、溶接又は半田滴で覆い、前記測定素子(4,5)と共に研磨することを特徴とする温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法。
【請求項9】
外壁(6)の平面まで研磨することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の温度の測定、監視及び/又は制御装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−509651(P2006−509651A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558078(P2004−558078)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014092
【国際公開番号】WO2004/052613
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(501437673)プリーアムス ジステーム テヒノロギース アーゲー (10)
【Fターム(参考)】