説明

温度測定ポイントのオンライン校正

【解決手段】測定装置との接続部および側道を有するサーモウェルと、前記測定装置との接続を通ってサーモウェル内に進入する第1の温度センサと、前記側道を通ってサーモウェル内に進入する参照センサと、前記第1の温度センサおよび参照センサのそれぞれと接続され、第1の温度センサから受け取る信号に基づいて温度を計算するとともに、前記参照センサから受け取る信号に基づいてリアルタイムで温度計算の校正を行う回路を含むトランスミッタとを備える温度測定システムを構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度の測定、特に温度測定ポイントの校正に関する。
【背景技術】
【0002】
温度測定ポイントは、例えば、プロセス流体の温度を検知する必要があるプロセス制御産業において用いられる。温度測定ポイントに設置されるトランスミッタは、通常、温度センサを備えている。トランスミッタは、制御室から遠く離れた場所に設置されることが多く、4〜20mAのカレントループ、デジタル通信バス、および無線ネットワークのいずれかを介して制御室と接続される。温度センサは、プロセス流体と熱的な接触がある箇所に設けられ、プロセス流体の温度に関する出力を与える。温度センサは、例えば、抵抗値が温度に依存する測温抵抗体(RTD;Resistance Temperature Detector)、または温度に依存する電圧を生み出す熱電対とすることができる。RTDの場合、トランスミッタからRTDに通電し、温度測定のためにRTDの入出力端子間の電圧を計測する。この場合、電圧は、A/Dコンバータによってデジタル形式に変換され、トランスミッタの温度測定回路へ送られる。この温度測定回路は、計測された電圧から、温度を表すデジタル値を導出する。
【0003】
プロセス流体が、温度センサにとって有害な物質である場合には、温度センサをサーモウェル(くり抜き金属保護管)の中に入れ、このサーモウェルをプロセス流体に曝す。サーモウェルは、通常細長い井戸状であり、一端が開放して、温度センサを挿入できるようになっている。一方、他端は閉止されているため、温度センサは、有害なプロセス流体に直接接触することはない。
【0004】
サーモウェルを使用する場合であっても、RTDの抵抗値と温度との関係は、時間の経過とともに変化する。この変化は、温度測定の正確さを担保するため、システムの外から定期的に校正される。この際、オペレータは、温度センサを校正するために定期的に屋外(温度測定ポイントの設置場所)へ出向くことが要請される。すなわち、温度センサを施設に持ち込んで、温度が公知の温浴に挿入する。一方、校正済みの計測器もこの温浴に挿入し、実際の温度の測定結果を得る。温浴の実際の温度と、温度センサによる測定結果との差は、校正因子として用いられるとともに、以後の温度測定回路での使用に備えて、トランスミッタのメモリに入力・格納される。このような校正は、熱電対や他のタイプの温度センサの場合にも行われる。
【0005】
一方、温度センサと同様に、トランスミッタの正確さも経時的に変化する場合がある。トランスミッタの校正を行う際には、通常、温度センサとの接続を断ち、参照校正ツールに接続して行う。参照校正ツールは、一般に、公知の電気的パラメータ(抵抗値等)を生成する。参照校正ツールによって想定される抵抗値と、実際に測定された抵抗値との差は、校正因子として用いられるとともに、以後の温度測定回路での使用に備えて、トランスミッタのメモリに格納される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のような校正方法は、屋外に出ることも含めると、多くの時間を要する。さらに、このような校正をする際には、トランスミッタを所定の時間にわたってオフラインとしなければならず、この間プロセス流体の温度を測定することはできない。また、すべての温度測定ポイントがオンラインに復帰するまで、プロセス全体が停止される場合もある。したがって、校正は多くの犠牲を伴うものとなり、ユーザは、決められた回数だけ、温度測定ポイントの校正をするのを躊躇することもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の様相によれば、上記課題を解決するために、サーモウェル、第1の温度センサ、参照センサ、およびトランスミッタを備える温度測定システムが提供される。ここで、サーモウェルは、測定装置との接続部および側道を有し、第1の温度センサは、測定装置との接続を通ってサーモウェル内に進入し、参照センサは、側道を通ってサーモウェル内に進入する。また、トランスミッタは、第1の温度センサおよび参照センサのそれぞれと接続され、第1の温度センサから受け取る信号に基づいて温度を計算するとともに、前記参照センサから受け取る信号に基づいてリアルタイムで温度計算の校正を行う回路を有する。
【0008】
本発明の第2の様相によれば、第1および第2の入力端子に接続された測定回路を有するトランスミッタの校正方法が提供される。この方法は、前記第1の入力端子に第1の温度センサを接続する工程と、前記第2の入力端子に校正済みの参照装置を接続する工程と、第1の入力端子から受け取る信号に従って温度を計算しつつ、第2の入力端子から受け取る信号に従って計算される温度に基づいて、第1の入力端子から受け取る信号に従って計算される温度について、前記測定回路を校正する工程とを含む。
【0009】
本発明の第3の様相によれば、第1および第2の入力端子、マルチプレクサ、A/Dコンバータ、ならびにマイクロプロセッサを備える温度トランスミッタが提供される。ここで、マルチプレクサは、前記第1および第2の入力端子とそれぞれ電気的に接続された第1および第2のチャネルを有し、A/Dコンバータは、マルチプレクサおよびマイクロプロセッサと電気的に接続される。一方、マイクロプロセッサは、前記第2のチャネルから受け取る信号に従って前記第1のチャネル用の測定プログラムを校正しつつ、前記第1のチャネルから受け取る信号に基づいて第1の温度測定値を算出しうるようになっている。
【0010】
本発明の第4の様相によれば、外面および内面を有するウェル部、および 前記内面によって画定される空洞を有するサーモウェルが提供される。空洞は、ウェル部の手前側端部に位置する測定装置との接続部から、ウェル部の遠方側端部における封止された先端まで延びる。一方、取り付け部は、前記手前側端部と遠方側端部との間に位置する。他方、側道は、前記外面に位置する外側ポートから、内面に位置する内側ポートまで延びる。また、前記内側ポートは、前記手前側端部と遠方側端部との間に位置し、前記外側ポートは、手前側端部と前記取り付け部との間に位置する。さらに、ウェル部の手前側端部は、内側ポートよりも外側ポートの近方に位置するようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】温度測定ポイントの構成を示すブロック図である。
【図2A】フランジ付きサーモウェルの縦断面図である。
【図2B】ねじ山をもつ領域からなる取り付け部を有するサーモウェルの縦断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る、温度測定ポイントを校正する方法の流れ図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る、温度測定ポイントを校正する方法の流れ図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る、温度測定ポイントを校正する方法の流れ図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る、温度測定ポイントを校正する方法の流れ図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る校正方法において用いる校正閾値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、温度測定ポイントを校正する装置および方法を提供する。トランスミッタは、一のチャネルを通じて温度測定を行いつつ、もう一つのチャネルを介して校正を行いうるように構成する。サーモウェルは、温度センサを挿入しうる空洞と、参照センサを、校正対象である温度センサに隣接する位置まで挿入しうるようになっている側道とを有している。トランスミッタおよび温度センサについては、種々の校正方法が知られているが、温度センサは、トランスミッタに接続された状態、またはサーモウェルに収容されかつトランスミッタに接続された状態のいずれかの状態で校正される。
【0013】
図1は、温度測定ポイントの構成を示すブロック図である。温度測定ポイント10の構成要素は、第1の温度センサ12、第2の温度センサ14、参照装置16、およびトランスミッタ18である。一方、トランスミッタ18の構成要素は、第1の入力端子20、第2の入力端子22、第3の入力端子24、第1のチャネル26、第2のチャネル28、第3のチャネル30、マルチプレクサ32、A/Dコンバータ34、参照部35、マイクロプロセッサ36、オペレータ用ローカルインターフェース(LOI)37、通信回路38、および遠隔操作用ユーザインターフェースである。
【0014】
第1および第2の温度センサ12,14は、RTDや熱電対のような電子的に温度を測定しうる種々のタイプの温度センサである。一方、参照装置16は、参照センサ(電子的に温度を測定しうる種々のタイプの温度センサ等)である。参照センサ16は、温度測定ポイント10に接続する前に、温度測定ポイント10とは独立に校正することができる。なお、参照センサ16は、センサによって測定しうる電気的パラメータの値を生成する参照校正ツールとすることもできる。例えば、参照センサ16は、特定の温度帯を計測するRTDをシミュレートするために、所定の電気抵抗を生成することができる。一方、参照センサ16は、特定の温度帯を計測する熱電対をシミュレートするために、所定の電圧を発生させることもできる。このような参照校正ツールは、センサをシミュレートするため、センサシミュレータと呼ばれることもある。
【0015】
第1の温度センサ12、第2の温度センサ14、および参照センサ16は、それぞれ、第1の入力端子20、第2の入力端子22、および第3の入力端子24において、トランスミッタ18に接続している。一方、第1の入力端子20、第2の入力端子22、および第3の入力端子24は、それぞれ、第1のチャネル26、第2のチャネル28、および第3のチャネル30に接続している。温度測定ポイント10に設けられる温度センサ、端子、およびチャネルの数は、図示の実施形態よりも多いこともあれば少ないこともある。マルチプレクサ32は、第1のチャネル26、第2のチャネル28、および第3のチャネル30のそれぞれから、アナログ信号を受け取り、A/Dコンバータ34につながる1本の導線に信号を出力する。トランスミッタ18は、マルチプレクサ32から受けた信号を処理するための測定回路および校正回路を備えている。図示の実施形態においては、A/Dコンバータ34、参照部35、およびマイクロプロセッサ36は、上記測定回路および校正回路を構成するために協働する。参照部35は、第1のチャネル26、第2のチャネル28、および第3のチャネル30を介して得られる各測定値の正確さを向上させるために、比較的予測可能な参照測定値を与える電圧源または電気抵抗として働く。A/Dコンバータ34は、マルチプレクサ32および参照部35から受け取ったアナログ信号を、デジタル信号に変換し、このデジタル信号をマイクロプロセッサ36へ与える。マイクロプロセッサ36は、トランスミッタ18を作動させるファームウエアによってプログラム設定することができる。ファームウエアは、A/Dコンバータ34から受け取ったデジタル信号に基づいて温度を計算するための測定プログラムを含む。
【0016】
マイクロプロセッサ36は、オペレータ用ローカルインターフェース(LOI)37に電気的に接続されるとともに、オペレータとの通信用ソフトウエア(機器がもつ情報の性質を記述する)を有している。オペレータは、LOI37を介して、温度測定ポイント10の作動を監視・制御することができる。例えば、オペレータは、第1および第2の温度センサ12,14がそれぞれ位置する地点でのプロセス温度を監視することができる。LOI37は、マイクロプロセッサ36からの情報を表示する液晶ディスプレイ(LCD)、およびマイクロプロセッサ36へ情報を入力するための1組のプッシュボタンを備えている。LOI37は、トランスミッタ18上に直に設けられる。マイクロプロセッサ36は、通信回路38を経由して、遠隔操作用のユーザインターフェース39に接続される。すなわち、トランスミッタ18は、ユーザインターフェース39と、無線または有線の方式で接続され、HARTやFOUNDATIONフィールドバスのような標準的な通信プロトコルに従って通信を行う。ユーザは、温度測定ポイント10から遠く離れた場所にいても、ユーザインターフェース39を介して、温度測定ポイント10の作動を監視・制御することができる。本発明の一実施形態によれば、ユーザインターフェース39は、携帯式の装置である。また、他の実施形態によれば、ユーザインターフェース39は、温度測定ポイントから遠く離れ、トランスミッタ18から定期的に温度情報を得る制御室である。この実施形態においては、LOI37およびユーザインターフェース39の少なくとも一方により、トランスミッタ18との間で情報を送受信するための多くの機能が実行される。以下では、簡単のため、LOI37およびユーザインターフェース39の両者を集合的にユーザインターフェースと呼ぶことにする。
【0017】
温度測定ポイント10の正確性は、大部分、マイクロプロセッサ36の機能に依存する。マイクロプロセッサ36は、第1および第2の温度センサ12,14から送られてきた信号を、対応する温度の値に正確に変換しなければならない。例えば、第1の温度センサ12がRTDの場合、マイクロプロセッサ36は、第1の温度センサ12が、特定の温度に曝されたときに特定の抵抗値を示すという仮定の下に温度を計算する。この仮定が正しいならば、マイクロプロセッサ36は、入力された抵抗値に基づいて、正確に温度を計算することができる。マイクロプロセッサ36は、温度の計算値の正確さを向上するため、第1の温度センサ12から得られた入力値を、参照部35から得られた信号と比較する。しかし、第1の温度センサ12の特性が経時的に変化した場合には、正確な抵抗値を与えることはできない。このような場合には、第1の温度センサ12の校正を行う必要がある。しかし、第1の温度センサ12の校正を行うと言っても、実際に第1の温度センサ12の特性に何らかの変化を与えるわけではない。その代わりに、温度センサ12の変化した特性を計測し、第1の温度センサ12の新しい特性に基づいて、マイクロプロセッサ36における温度測定プログラムの係数を変更するのである。
【0018】
同様に、トランスミッタ18を校正する際には、トランスミッタ18の変化した特性を計測し、この新しい特性に基づいて、マイクロプロセッサ36における温度測定プログラムにおける係数を変更する。温度測定ポイント10における温度センサ12,14、トランスミッタ18、またはすべての校正要素は、後に図3〜図7を参照して説明する方法に従って校正される。
【0019】
図2Aは、サーモウェル40の縦断面図である。このサーモウェル40は、以下の構成要素からなる:ウェル部42、外面44、内面46、空洞48、手前側端部50、遠方側端部52、接続部54、ウェル部の先端56、接続用のねじ山58、フランジ60、プロセス流体と接触しない側62、プロセス流体と接触する側64、隆起面66、非湿潤部68、側道70、外側ポート72、内側ポート74、側道のねじ山75、およびプラグ。ウェル部42は、外側に外面44、および内側に内面46を有している。ウェル部42は、比較的細長く、手前側端部52から遠方側端部52にかけて延びている。接続部54は、手前側端部50に位置する開口であり、第1の温度センサ12を空洞48に挿入しうるようにするためのものである。図示の実施形態においては、接続部54は、トランスミッタ18(図1参照)を取り付けるためのねじ山58を有している。これ以外の実施形態として、接続部54にねじ山を設けず、トランスミッタ18と直に接続しないようにすることもできる。空洞48は、サーモウェル40のほぼ全長にわたって延びる狭隘な円筒形の通路である。空洞48の遠方側端部52は、ウェル部の先端56によって閉鎖されている。
【0020】
フランジ60は、概ねリング形状をなしており、ウェル部42の外面44に溶接その他の方法で固着されている。フランジ60は、プロセス流体と接触する側64、およびこの反対に、プロセス流体と接触しない側62を有している。プロセス流体と接触する側64の径方向内側には、隆起面66が設けられている。一方、プロセス流体と接触する側64の径方向外側には、非湿潤部68が設けられている。サーモウェル40を、プロセス流体が流れる管の壁体を貫通してプロセス流体中に挿入する際には、プロセス流体が漏洩しないよう、隆起面66には、対応する管壁側のフランジ面(図示せず)に密着するガスケット(図示せず)を設けることができる。
【0021】
側道70は、ウェル部42を貫通する、直線的で狭隘な円筒形の通路である。また、側道70は、外面44に位置する外側ポート72から、内面46に位置する内側ポート74まで延びている。さらに、側道70は、内側ポート74よりも外側ポート72の方が手前側端部50の近くに位置するように傾斜している。この外、側道70は、外側ポート72の近傍に、プラグ76を螺合させるためのねじ山75を有している。プラグ76は、空洞48の中に液体や粉塵が入り込むのを防ぐことができる。なお、プラグ76は、側道70に液体が入り込まないようにするキャップのような覆蓋式の封止手段とすることもできる。
【0022】
図示の実施形態においては、第1の測温抵抗体(RTD)78は、第1の温度センサ12の先端に取り付けられている。第1の温度センサ12は、第1のRTD78が遠方側端部52に到達するよう、接続部54を介して、空洞48の終端まで挿入される。一方、参照用RTD80は、参照センサ16の先端に取り付けられている。参照センサ16は、外側ポート72および側道70を経由して、参照用RTD80が第1のRTDと隣接するように、空洞48の終端まで挿入される。本発明の一実施形態においては、参照センサ16の直径は1/2mm、側道70の直径は、少なくとも1/2mmとされる。空洞48の大きさは、第1の温度センサ12が挿入された状態で、参照センサ16を挿入しうるものとする。図示の実施形態においては、側道70は、空洞48を比較的狭隘に保ちつつ、参照温度センサ16を空洞48に挿入しうるよう、比較的急な角度で傾斜している。側道70の角度は、参照センサ16を挿入して、遠方側端部52まで進めることができるようなものにする。このように、側道70は、0〜90°の範囲で、空洞48に対して傾斜している。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、サーモウェル40は、耐圧性を有する構造とするため、中実の金属棒を機械加工して形成する。また、他の実施形態においては、サーモウェル40は、比較的安価な金属チューブ片から形成される保護チューブである(「管状サーモウェル」とも呼ばれる)。
【0024】
図2Bは、ねじ状の取り付け部82を有するサーモウェル40'の縦断面図である。サーモウェル40'は、ウェル部42'にフランジが設けられていない点を除いて、図2Aに示すサーモウェル40と概ね類似の構造を有している。すなわち、取り付け部82は、ウェル部42'の外面44'に設けられている。取り付け部82は、プロセス流体が流れる管の壁体(図示せず)に螺合しうるように形成される。
【0025】
サーモウェル40と40'における図2Aに示すようなフランジ60、および図2Bに示すようなねじ状の取り付け部82は、プロセス流体が流れる管の壁体(図示せず)に取り付けるための1つの形態である。なお、上記とは異なるタイプの取り付け部を有することもできる。いずれの場合でも、側道70は、サーモウェルの軸方向において、接続部54と上記取り付け部との間に設けられる。このようなサーモウェルは、第1の温度センサをプロセス流体に挿入したまま、参照センサ16を第1の温度センサ12の近傍に配置して、温度測定ポイントを校正するのに有用である。他の実施形態においては、参照センサ16は、サーモウェルに挿入されない。その代わりに、参照センサ16は、参照センサ16を曝すべきプロセス流体の温度と概ね同じ温度下にある、温度センサ12の近傍(サーモウェル以外)に配置される。
【0026】
図3は、本発明に係る、温度測定ポイント10を校正する方法(第1の方法)の流れ図である。参照センサ16は、この第1の方法を開始する前に、図2Aに示すサーモウェル40内に挿入されることはない。その代わりに、プラグ76が側道70を塞いでいる。一方、第1の温度センサ12は、図2Aに示すように、すでにサーモウェル40に挿入されており、トランスミッタ18は、図1を参照して説明したように、プロセス温度を測定しうるようになっている。第1の温度センサ12が、まだサーモウェル40に挿入されていない場合には、遅くとも工程108を実行する前に挿入しなければならない。
【0027】
第1の校正方法を開始するに当たっては、まず、プラグ76を側道70から取り外す(工程100)。ついで、参照用RTD80が概ね第1のRTD78の近傍に到達するまで、参照センサ16を側道70に挿入する(工程102)。この第1の校正方法においては、参照センサ16は、校正済みの温度センサ(RTD等)である。次に、参照センサ16を校正済みの外部測定装置と接続する(工程104)。この校正済みの外部測定装置は、参照センサ16と協働して、サーモウェル40が位置する箇所におけるプロセス温度を測定する。この後、オペレータは、参照センサ16によって計測された温度が安定化するのを待つ(工程106)。参照センサ16によって計測された温度が安定化しない場合には、待機を続ける(工程108)。温度が安定化したら、外部測定装置の出力を保存する(工程110)。この第1の校正方法の有利な点は、プロセス温度がほとんど変化しない定常状態で測定することにある。このため、参照センサ16によって測定された温度は、少し時間が経過した後でも、第1の温度センサ12によって計測された温度と比較することができる。
【0028】
外部測定装置の出力を保存した後、参照センサ16と外部測定装置との接続を遮断する(工程112)。ついで、第1の温度センサ12について、トランスミッタ18との接続を遮断し(工程114)、今度は、校正済みの外部測定装置と接続して(工程116)、校正済みの外部測定装置と接続された第1の温度センサ12からの出力を保存する(工程118)。この後、第1の温度センサ12の出力を、参照センサ16の出力(保存済み)と比較し、校正が必要か否かを判断する(工程120)。仮に両者の出力が異なる場合には、第1の温度センサ12の変化した特性に基づいて、第1の温度センサ12によって計測された温度を正確に反映するよう、トランスミッタ18内で校正が行われる(工程122)。この校正は、LOI37または遠隔操作用ユーザインターフェース39のようなユーザインターフェースを介して行われる。例えば、校正に係るパラメータは、トランスミッタ18に取り付けられているジャンクションボックス(接続箱)を介して、手の平サイズの装置を使って入力される。校正は、工程122において直ちに、またはその後の工程において行われる。
【0029】
ついで、トランスミッタ18(または温度測定ポイント10)の校正が必要か否かを判断するため、第1の温度センサ12と外部測定装置との接続を遮断し(工程124)、第1の温度センサ12を再度トランスミッタ18と接続する(工程126)。その後、参照センサ16は、サーモウェル40から取り外し(工程128)、最後に、プラグ76を再度側道70に挿入する(工程130)。次に、本発明の第1の方法に従って、温度測定ポイント10の校正を行う。
【0030】
本発明の第1の方法によれば、オペレータは、サーモウェル40から第1の温度センサを取り外すことなく、第1の温度センサ12の特性の移行を補償して、トランスミッタ18を校正することができる。この第1の方法は、第2の温度センサ12やトランスミッタ18と接続された他のセンサにも適用することができる。
【0031】
オペレータが温度測定ポイント10全体の校正を望むならば、上記第1の方法を修正する。すなわち、工程112,114,116および118を省略する。代わりに、第1の温度センサ12をトランスミッタ18と接続した状態で、第1の温度センサ12から得られるトランスミッタ18の温度に関する出力を保存する。ついで、工程120において、トランスミッタ18から得られた温度の測定値を、校正された外部測定装置および参照センサ16から得られた温度の測定値と比較する。以下の工程は、上述の通りである。
【0032】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る、温度測定ポイント10を校正する方法(第2の方法)の流れ図である。この方法を開始する前に、第1の温度センサ12は、図2に示すようにサーモウェル40内に挿入されており、図1を参照して説明したように、トランスミッタ18によって、プロセス温度を測定しておくことができる。しかし、第2の方法においては、この手続きは必要なものではなく、むしろオペレータの都合に合わせて採りうる選択肢の一つに過ぎない。
【0033】
第2の方法を開始するには、参照センサ16を、トランスミッタ18の第3の入力端子24に接続する(工程140)。第2の方法においては、参照センサ16は、電気抵抗のような所定の電気的パラメータを生成する校正済みのセンサシミュレータである。第3の入力端子24は、参照センサ16と接続するためだけに用いる専用の端子でもよい。なお、参照センサ16は、トランスミッタ18の利用可能ないずれの端子に接続することもできる。
【0034】
次に、第3のチャネル30が通常の温度データに反する校正データを与えているならば、トランスミッタ18がこれを検知しうるよう、トランスミッタ18において、校正モードをアクティブ状態にする(工程142)。ついで、校正に関する情報を、ユーザインターフェースを介してトランスミッタ18に入力する(工程144)。校正に関する情報には、校正プロセスにおいて使用される校正点(「トリムポイント」とも呼ばれる)の数、および実際の校正値(「トリム値」とも呼ばれる)が含まれる。例えば、参照センサ16は、50Ωおよび100Ωのトリム値を出力するRTDをシミュレートするセンサシミュレータである。オペレータは、トリムポイントを1つしか使用しない場合には、50Ωのトリム値を入力する。一方、トリムポイントを2つ使用する場合には、50Ωと100Ωのトリム値を入力する。その際には、参照センサ16が第1のトリムポイントに設定され、50Ωのトリム値を出力する(工程146)。ついで、トランスミッタ18において、第1のトリムポイントの計測を開始し(工程148)、参照センサ16からの入力が安定しているか否かをチェックする(工程150)。入力が安定しているならば、トランスミッタ18は、参照センサ16の抵抗値を測定し、現況の校正のためのデータを、「観測(As Found)」データとして保存する(工程152)。次に、トランスミッタ18は、50Ωのトリム値を、測定されたトリム値(50Ωと異なるはずである)と比較して、校正因子を求める。この工程においては、校正因子は、第3のチャネル30だけに与えられる(工程154)。校正因子を第3のチャネルに与えた後、新しい校正に係るデータを「校正後(As Left)」データとして保存する(工程156)。
【0035】
次に、トランスミッタ18は、1個のトリムポイントの校正をしているのか、または2個のトリムポイントの校正をしているのかをチェックする(工程158)。トランスミッタ18が2個のトリムポイントの校正をしている場合には、参照センサ16は、第2のトリムポイントに合わせて設定され、100Ωのトリム値を出力する(工程160)。ついで、トランスミッタ18において、第2のトリムポイントの計測を開始し(工程162)、参照センサ16からの入力が安定しているか否かをチェックする(工程164)。入力が安定している場合には、トランスミッタ18は、現況の校正のためのデータを、「観測」データとして保存する(工程166)。次に、トランスミッタ18は、100Ωのトリム値と、測定されたトリム値とを比較して校正因子を求め、この第2のトリムポイント用の校正因子を、第3のチャネルだけに適用する(工程168)。校正因子を適用した後、新しい校正に係るデータを「校正後」データとして保存する(工程170)。工程158において、トランスミッタ18がただ1個のトリムポイントを校正していると分かった場合には、工程160〜170は省略する。
【0036】
次に、オペレータは、第3のチャネル30に関して求めた校正因子に従って、すべてのチャネルを校正するか否かを決定する(工程172)。仮にオペレータが、すべてのチャネルについて校正するのが適当であると判断した場合には、この校正をすべてのチャネルに適用する(工程174)。最後に、参照センサ16と第3の端子24との接続を遮断する(工程176)。他方、オペレータが、すべてのチャネルについて校正するのは適当でないと判断した場合には、工程174を実行せず、オペレータは工程176に進む。
【0037】
一定の状況下では、参照センサ16からの入力は安定しない。工程150または工程164において、入力が安定しないと判断された場合には、トランスミッタ18は、安定に要する時間の制限を超過したか否かをチェックする(工程178および工程180)。安定に要する時間の制限とは、誤差の報告を行う前に、システム安定化のために許されている時間である。安定に要する時間の制限を超過していない場合には、工程150または工程164を繰り返す。一方、安定に要する時間の制限を超過している場合には、トランスミッタ18は、ノイズが入力されているために、トリムを行うことは不可能であると報告し(工程182)、参照センサ16を第3の端子24から外す(工程176)。トランスミッタに係る工程群184は、トランスミッタ18内部の回路で実行される上記の工程を包含する。
【0038】
上記第2の方法に係る校正によれば、オペレータは、第1の温度センサ12または第2の温度センサ14とトランスミッタ18との接続を遮断することなく、トランスミッタ18の特性変化を補償するための校正を行うことができる。多くのチャネルが、図1に示すような回路を共有しているトランスミッタ18においては、一のチャネルに関して求めた校正値をコピーすることによって、すべてのチャネルが、比較的正確な校正を受けることができる。上記第2の方法によれば、校正を行っている間でも、すべての測定チャネルを介して、プロセスを継続的に監視することができる。
【0039】
図5は、本発明の第3の実施形態に係る、温度測定ポイント10を校正する方法(第3の方法)の流れ図である。第3の方法を開始する前に、参照センサ16が図2Aに示すサーモウェル40に挿入されることはない。代わりに、プラグ76が側道70を塞いでいる。第1の温度センサ12は、すでにサーモウェル40に挿入されており、トランスミッタ18は、図1を参照して説明したように、プロセス温度を測定することができる。第1の温度センサ12が、まだサーモウェル40に挿入されていない場合には、遅くとも工程198を実行する前に挿入しなければならない。
【0040】
第3の校正方法を開始するに当たっては、まず、プラグ76を側道70から取り外す(工程190)。ついで、参照用RTD80が概ね第1のRTD78の近傍に到達するまで、参照センサ16を側道70に挿入する(工程192)。この第3の校正方法においては、参照センサ16は、校正済みの温度センサ(RTD等)である。次に、参照センサ16を第3の端子24と接続する(工程194)。この後、第3のチャネル30が校正データを与えるならば、トランスミッタ18がこれを検知しうるよう、トランスミッタ18において、校正モードをアクティブ状態にする(工程196)。ついで、トランスミッタ18において、参照センサ16からの入力が安定しているか否かをチェックする(工程198)。入力が安定しているならば、トランスミッタ18は、第1の温度センサ12および参照センサ16の抵抗値を測定し、それぞれの温度を計算して、現況の校正のためのデータを、「観測」データとして保存する(工程200)。次に、トランスミッタ18は、第1の温度センサ12と参照センサ16によってそれぞれ測定された温度の差に基づいて、校正因子を求める(工程202)。次に、オペレータは、第1の温度センサ12について求めた校正因子に従って、第1のチャネル26を校正するか否かを決定する(工程204)。仮にオペレータが、このような校正をするのが適当であると判断した場合には、この校正を実行(工程206)し、トランスミッタ18は、現況の校正のためのデータを、「校正後」データとして保存する(工程208)。ついで、参照センサ16と第3の端子24との接続を遮断する(工程210)。工程210は、オペレータが、第1のチャネル26について校正を実行しないと決定した場合には、工程204の後、直ちに実行される。この後、参照センサ16を、サーモウェル40から取り外し(工程212)、最後に、プラグ76を側道70に再度嵌め込む(工程214)。
【0041】
一定の状況下では、参照センサ16からの入力は安定しない。工程109において、入力が安定しないと判断された場合には、トランスミッタ18は、安定に要する時間の制限を超過したか否かをチェックする(工程216)。安定に要する時間の制限を超過していない場合には、工程198を繰り返す。一方、安定に要する時間の制限を超過している場合には、トランスミッタ18は、ノイズが入力されているために、トリムを行うことは不可能であると報告し(工程218)、参照センサ16を第3の端子24から外す(工程210)。トランスミッタに係る工程群220は、トランスミッタ18内部の回路で実行される上記の工程を包含する。
【0042】
上記第3の方法に係る校正によれば、オペレータは、第1の温度センサ12とトランスミッタ18との接続を遮断したり、第1の温度センサをサーモウェル40から取り外したりすることなく、第1の温度センサ12の特性変化を補償するためのトランスミッタ18の校正を行うことができる。このような校正は、第2の温度センサ14やトランスミッタ18に接続されている他のセンサに対しても行うことができる。上記第3の方法によれば、校正を行っている間でも、他の測定チャネルを介して、プロセスを継続的に測定することができる。
【0043】
図6は、本発明の第4の実施形態に係る、温度測定ポイント10を校正する方法(第4の方法)の流れ図である。第4の方法を開始する前に、参照センサ16が図2Aに示すサーモウェル40に挿入されることはない。代わりに、プラグ76が側道70を塞いでいる。第1の温度センサ12は、すでにサーモウェル40に挿入されており、トランスミッタ18は、図1を参照して説明したように、プロセス温度を測定することができる。第1の温度センサ12が、まだサーモウェル40に挿入されていない場合には、遅くとも工程242を実行する前に挿入しなければならない。
【0044】
第4の校正方法を開始するに当たっては、まず、プラグ76を側道70から取り外す(工程230)。ついで、参照用RTD80が概ね第1のRTD78の近傍に到達するまで、参照センサ16を側道70に挿入する(工程232)。この第4の校正方法においては、参照センサ16は、校正済みの温度センサ(RTD等)である。次に、参照センサ16を第3の端子24と接続する(工程234)。この後、第3のチャネル30が校正データを与えるならば、トランスミッタ18がこれを検知しうるよう、トランスミッタ18において、校正モードをアクティブ状態にする(工程236)。ついで、校正開始の閾値(校正閾値)を、ユーザインターフェースを介して入力する(工程238)。校正閾値には、校正を求める基準となる1つまたは複数の温度が含まれる。例えば、オペレータは、上限の閾値および下限の閾値を選択し、温度が上限の閾値を上回ったり下限の閾値を下回ったりしたときに、トランスミッタ18に校正するか否かを問うことができる。
【0045】
校正閾値が入力されると、トランスミッタ18は、参照センサ16によって測定された温度が、校正閾値を上回るか否かをチェックする(工程240)。校正閾値を超えていない場合には、超えたことが分かるまで、工程240を繰り返す。校正閾値を超えた場合には、トランスミッタ18は、入力が安定しているか、または予測可能な傾向を有するかをチェックする(工程242)。入力が安定していないか、または予測可能でない場合には、入力が安定するか、または予測可能となるまで、工程242を繰り返す。入力が安定しているか、または予測可能である場合には、トランスミッタ18は、第1の温度センサ12および参照センサ16の抵抗値を測定し、それぞれの温度を計算して、現況の校正のためのデータを、「観測」データとして保存する(工程244)。ついで、トランスミッタ18は、すべての校正閾値を上回るデータが収集されたか否かをチェックする(工程248)。仮に、1つまたは複数の閾値が設定されてはいるが、すべての閾値を上回るデータが収集されていない場合には、工程240〜工程248を繰り返す。仮にすべての閾値を上回るデータが収集された場合には、トランスミッタ18は、第1の温度センサ12と参照センサ16によってそれぞれ測定された温度の差に基づいて、校正因子を求める(工程250)。校正のためにいくつの閾値を用いるかに応じて、校正因子は、一定値に限らず、多項式となる場合もある。温度センサ12は、誤差を減少させるためトランスミッタ18にプログラムされた多項式に基づく特性曲線を有してる。
【0046】
ついで、ユーザインターフェースは、データの収集が完了したことを知らせ(工程252)、オペレータは、第1の温度センサ12について求めた校正因子に従って、第1のチャネル26を校正するか否かを決定する(工程254)。仮にオペレータが、このような校正をするのが適当であると判断した場合には、この校正を実行(工程256)し、トランスミッタ18は、現況の校正のためのデータを、「校正後」データとして保存する(工程258)。ついで、参照センサ16と第3の端子24との接続を遮断する(工程260)。工程260は、オペレータが、第1のチャネル26について校正を実行しないと決定した場合には、工程254の後、直ちに実行される。この後、参照センサ16を、サーモウェル40から取り外し(工程262)、最後に、プラグ76を側道70に再度嵌め込む(工程264)。トランスミッタに係る工程群266は、トランスミッタ18内部の回路で実行される上記の工程を包含する。
【0047】
上記第4の方法に係る校正によれば、オペレータは、第1の温度センサ12とトランスミッタ18との接続を遮断したり、第1の温度センサをサーモウェル40から取り外したりすることなく、第1の温度センサ12の特性変化を補償するためのトランスミッタ18の校正を行うことができる。第4の方法は、1つまたは複数の閾値を上回った温度測定ポイントにおいて、トランスミッタ18が自動的に校正を開始するようになっている点を除いて、第3の方法に類似している。この第4の方法は、プロセス温度が種々変化し、正確な温度測定が多数の温度範囲で求められる温度センサに対して特に有用である。このような校正は、第2の温度センサ14やトランスミッタ18に接続されている他のセンサに対しても行うことができる。
【0048】
図7に係るグラフ280は、本発明の第4の実施形態に係る、温度測定ポイントの校正方法において用いる校正閾値を示す。グラフ280は、実際のプロセス温度282、測定されたプロセス温度284、上限の閾値286および下限の閾値288からなる。実際のプロセス温度282は、概ね正確に校正された参照センサ16によって測定されるプロセスの温度を表す。一方、測定されたプロセス温度284は、第1の温度センサ12が不正確な状態で測定されたプロセスの温度を表す。上限の閾値286および下限の閾値288は、上述の工程238において説明したように、ユーザインターフェースを介して入力される閾値である。このような第1の温度センサ12によれば、実際のプロセス温度282が上限の閾値286を上回るときには、測定されたプロセス温度284は、実際のプロセス温度282よりも低い温度を示す。他方、実際のプロセス温度282が下限の閾値288を上回るときには、測定されたプロセス温度284は、実際のプロセス温度282よりも高い温度を示す。したがって、第1の温度センサ12は、温度帯ごとに、異なる方向への校正を必要とする。グラフ280は、このような複数の温度帯で校正を行う利点がある温度測定ポイントの一例を示すものである。
【0049】
以上、本発明を特定の実施形態に即して説明してきたが、当業者であれば、形式および詳細において、本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく、変更が可能であることは理解しうるであろう。例えば、トランスミッタ18とサーモウェル40は、上記第1〜第4の実施方法に従って用いるだけでなく、組み合わせて用いることも、別々に用いることもできる。また、第1〜第4の方法は、トランスミッタ18およびサーモウェル40以外の装置であっても、これらの方法と適合しうる限り、使用することができる。この外、上記方法の各工程は、本発明の特許請求の範囲から逸脱しない範囲で、それぞれ、修正することも、他の方法の工程と組み合わせることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定装置との接続部および側道を有するサーモウェルと、
前記測定装置との接続を通ってサーモウェル内に進入する第1の温度センサと、
前記サーモウェルの側道を通ってサーモウェル内に進入する参照センサと、
前記第1の温度センサおよび参照センサのそれぞれと接続され、第1の温度センサから受け取る信号に基づいて温度を計算するとともに、前記参照センサから受け取る信号に基づいてリアルタイムで温度計算の校正を行う回路を含むトランスミッタとを備える温度測定システム。
【請求項2】
前記第1の温度センサは、参照センサに隣接して配置されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記サーモウェルは、遠方側端部が流体に進入する一方で、前記測定装置との接続部および側道は、流体から隔離された状態に止まるように、流体が流れる管の壁体にこのサーモウェルを取り付けるための取り付け部を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記参照センサは、前記トランスミッタとの接続を遮断しうるようになっており、かつトランスミッタは、参照センサがトランスミッタとの接続を遮断されたときに、前記第1の温度センサによって温度を測定しうるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
第1および第2の入力端子に接続された測定回路を有するトランスミッタの校正方法であって、
前記第1の入力端子に第1の温度センサを接続する工程と、
前記第2の入力端子に校正済みの参照装置を接続する工程と、
第1の入力端子から受け取る信号に従って温度を計算しつつ、第2の入力端子から受け取る信号に従って計算される温度に基づいて、前記第1の入力端子から受け取る信号に従って計算される温度について、前記測定回路を校正する工程とを含む方法。
【請求項6】
前記校正済みの参照装置は、校正済みの温度センサであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の温度センサおよび校正済みの温度センサを、校正を開始する前にサーモウェルに挿入することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の温度センサを、第1の通路を介してサーモウェルに挿入し、前記校正済みの温度センサを、第2の通路を介してサーモウェルに挿入することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記校正済みの温度センサが、安定な温度または予測可能な温度傾向を有していることを検知した後に、前記測定回路を校正することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記測定回路を、前記第1の温度センサによる少なくとも2つの測定結果、および前記参照センサによる少なくとも2つの測定結果に基づいて校正することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
校正済みの温度センサが第1の所定の温度帯内で温度を検知したときに得られる第1の温度測定結果、および校正済みの温度センサが第2の所定の温度帯内で温度を検知したときに得られる第2の温度測定結果に基づいて、前記測定回路を校正することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記校正済みの参照装置は、測定可能な電気的パラメータを生成する参照校正ツールであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記測定可能な電気的パラメータは、電気抵抗または電圧であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記校正する工程は、
温度センサによって電気的パラメータを測定し、測定値を前記測定回路によって生成する工程と、
参照装置が計測した実際の値を測定回路に送信する工程と、
前記測定値を前記実際の値と比較し、結果に応じた校正因子を生成する工程と、
前記校正因子に基づいて、前記測定回路を校正する工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ユーザの第1の入力によって校正を開始する工程と、ユーザの第2の流力によって校正因子を確認する工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項16】
前記校正された参照装置と前記第2の入力端子との接続を遮断する工程と、この工程の後に、前記第1の温度センサによって温度を測定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記校正された参照装置を第2の入力端子に接続する工程の前に、前記第1の温度センサによって温度を測定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項18】
第1および第2の入力端子と、
前記第1および第2の入力端子とそれぞれ電気的に接続された第1および第2のチャネルを有するマルチプレクサと、
前記マルチプレクサと電気的に接続されたA/Dコンバータと、
前記A/Dコンバータと電気的に接続されたマイクロプロセッサであって、前記第2のチャネルから受け取る信号に従って前記第1のチャネル用の測定プログラムを校正しつつ、前記第1のチャネルから受け取る信号に基づいて第1の温度測定値を算出しうるようになっているマイクロプロセッサとを備える温度トランスミッタ。
【請求項19】
前記マルチプレクサの第3のチャネルと電気的に接続された第3の入力端子をさらに備え、前記マイクロプロセッサは、前記第3のチャネルから受け取る信号に従って前記第1および第2のチャネル用の測定プログラムを校正しつつ、前記第1および第2のチャネルから受け取る信号に基づいて、それぞれ、第1および第2の温度測定値を算出しうるようになっていることを特徴とする請求項18に記載の温度トランスミッタ。
【請求項20】
前記マイクロプロセッサは、ユーザの第1の入力に応答して第3のチャネル用の測定プログラムを校正し、ユーザの第2の入力に応答して第2のチャネル用の測定プログラムを校正するようになっていることを特徴とする請求項19に記載の温度トランスミッタ。
【請求項21】
前記マイクロプロセッサとユーザインターフェースとの間に通信回路をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の温度トランスミッタ。
【請求項22】
前記マイクロプロセッサは、前記ユーザインターフェースを駆動して校正因子を表示させ、ユーザインターフェースは、ユーザの入力に応答した校正因子を適用させるため、マイクロプロセッサに信号を送るようになっていることを特徴とする請求項18に記載の温度トランスミッタ。
【請求項23】
前記マイクロプロセッサは、複数の温度測定ポイントの校正を行うようになっていることを特徴とする請求項18に記載の温度トランスミッタ。
【請求項24】
外面および内面を有するウェル部と、
前記内面によって画定される空洞であって、ウェル部の手前側端部に位置する測定装置との接続部から、ウェル部の遠方側端部における封止された先端まで延びる空洞と、
前記手前側端部と遠方側端部の間に位置する取り付け部と、
前記外面に位置する外側ポートから、内面に位置する内側ポートまで延びる側道であって、前記内側ポートは、前記手前側端部と遠方側端部との間に位置し、前記外側ポートは、手前側端部と前記取り付け部との間に位置し、かつ手前側端部は、内側ポートよりも外側ポートの近方に位置するようになっている側道とを備えるサーモウェル。
【請求項25】
前記取り付け部は、フランジであることを特徴とする請求項24に記載のサーモウェル。
【請求項26】
前記取り付け部は、前記外面に設けられたねじ山をもつ領域であることを特徴とする請求項24に記載のサーモウェル。
【請求項27】
前記手前側端部の内面の一部に、ねじ山をもつ領域を有することを特徴とする請求項24に記載のサーモウェル。
【請求項28】
前記外面に近い側道の一部に、ねじ山をもつ領域を有することを特徴とする請求項24に記載のサーモウェル。
【請求項29】
前記側道に嵌め込まれて、側道内の液密を保ちうる形状と大きさをもつプラグをさらに備えることを特徴とする請求項24に記載のサーモウェル。
【請求項30】
前記側道は、円筒形の孔であって、少なくとも5mmの口径を有することを特徴とする請求項24に記載のサーモウェル。
【請求項31】
前記空洞は概ね直線的な通路であり、前記側道も概ね直線的な通路であって、0〜90°の角度で傾斜しつつ前記空洞に連通していることを特徴とする請求項24に記載のサーモウェル。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−529654(P2012−529654A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514938(P2012−514938)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/001634
【国際公開番号】WO2010/144121
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(597115727)ローズマウント インコーポレイテッド (240)
【Fターム(参考)】