説明

温度補償圧電発振器の周波数調整方法

【課題】温度上昇や温度下降の際の温度変化に対する周波数のヒステリシスが少なく安定した周波数温度特性が得られる温度補償圧電発振器及びその周波数調整方法を提供すること。
【解決手段】第1のメモリー30と第2のメモリー40には、それぞれ、圧電振動子80の温度上昇時、温度下降時における周波数温度特性を特定するための第1、第2の温度補償データ32、42が記憶される。温度変化検出回路10は、温度センサー50が取得した温度情報に基づいて温度上昇と温度下降のいずれかが生じたかを検出する。セレクター20は、温度変化検出回路の検出結果に基づいて、温度上昇時、温度下降時にそれぞれ第1、第2の温度補償データを選択する。温度補償電圧発生回路60は、セレクターにより選択された第1又は第2の温度補償データに基づいて、温度補償電圧62を発生させる。電圧制御発振回路70は、温度補償電圧に基づいて圧電振動子の周波数を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度補償圧電発振器の周波数調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温度補償水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated Xtal Oscillator)は、水晶振動子の発振周波数の温度特性をキャンセルすることにより高い周波数安定度が得られるため、携帯電話の端末や基地局、GPS(Global Positioning System)受信機等の高精度のタイミング信号を必要とする機器やシステムに広く使用されている。
【0003】
これまでに、様々なタイプの温度補償水晶発振器が提案されている。例えば、特許文献1では、水晶振動子の発振周波数の温度特性に応じて発生させた近似3次関数を用いて周波数を連続的に補正することで、温度変化に対して安定した周波数特性を実現することができるとともに集積化にも適した温度補償水晶発振器が提案されている。さらに、特許文献2では、特許文献1に記載された温度補償水晶発振器を改良してより正確な温度補償を行うことができる温度補償水晶発振器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−55624号公報
【特許文献2】国際公開第98/56105号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、温度が上昇から下降、もしくは下降から上昇に転じたときに水晶素板にかかる歪応力が回復しきれず接着剤や電極等に熱的歪が発生するため、水晶振動子の発振周波数は温度上昇時と温度下降時で一致せずヒステリシスをもつ。近年、温度補償水晶発振器の小型化が進むにつれて、この熱的歪の影響が大きくなってきている。その結果、同じ温度であっても水晶振動子の発振周波数が異なる場合があり、従来の温度補償水晶発振器では、例えば温度上昇時には高い精度で温度補償を行うことができるが、温度下降時には補償精度が劣化するという問題があった。図13は、従来の温度補償水晶発振器の周波数温度特性の一例を示す図である。図13において、横軸は温度であり、縦軸は周波数偏差(公称周波数に対する周波数誤差)である。−25℃付近の温度から+75℃付近の温度まで上昇させた時の周波数偏差(Aのグラフ参照)と+75℃付近の温度から−25℃付近の温度まで下降させた時の周波数偏差(Bのグラフ参照)が大きく異なっている。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、温度上昇や温度下降の際の温度変化に対する周波数のヒステリシスが少なく安定した温度特性が得られる温度補償圧電発振器及びその周波数調整方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、圧電振動子と、前記圧電振動子の温度上昇時における周波数温度特性を特定するための第1の温度補償データが記憶される第1の記憶手段と、前記圧電振動子の温度下降時における周波数温度特性を特定するための第2の温度補償データが記憶される第2の記憶手段と、温度情報を取得する温度センサーと、前記温度センサーが取得した前記温度情報に基づいて、温度上昇と温度下降のいずれかが生じたかを検出する温度変化検出手段と、前記温度変化検出手段の検出結果に基づいて、温度上昇時は前記第1の温度補償データを選択し、温度下降時は前記第2の温度補償データを選択する温度補償データ選択手段と、前記温度補償データ選択手段により選択された前記第1の温度補償データ又は前記第2の温度補償データに基づいて、前記圧電振動子の周波数を温度補償するための温度補償電圧を発生させる温度補償電圧発生回路と、前記温度補償電圧に基づいて前記圧電振動子の周波数を制御する電圧制御発振回路と、を含む、温度補償圧電発振器である。
【0008】
第1の温度補償データは、例えば、圧電振動子の温度上昇時における周波数温度特性を表す曲線を特定するパラメーターであってもよいし、当該周波数温度特性の逆特性を表す曲線を特定するパラメーターであってもよい。
【0009】
同様に、第2の温度補償データは、例えば、圧電振動子の温度下降時における周波数温度特性を表す曲線を特定するパラメーターであってもよいし、当該周波数温度特性の逆特性を表す曲線を特定するパラメーターであってもよい。
【0010】
本発明の温度補償圧電発振器では、第1の温度補償データによって圧電振動子の温度上昇時における周波数温度特性を特定することができ、第2の温度補償データによって圧電振動子の温度下降時における周波数温度特性を特定することができる。そして、本発明の温度補償圧電発振器では、温度上昇時は第1の温度補償データに基づいて発生させた温度補償電圧により圧電振動子の周波数を制御し、温度下降時は第2の温度補償データに基づいて発生させた温度補償電圧により圧電振動子の周波数を制御する。従って、本発明によれば、温度上昇や温度下降の際の温度変化に対する周波数のヒステリシスが少なく安定した周波数温度特性が得られる温度補償圧電発振器を提供することができる。
【0011】
(2)この温度補償圧電発振器において、前記温度変化検出手段は、前記温度センサーの出力信号を遅延させる遅延手段と、前記温度センサーの出力信号と前記遅延手段による遅延信号の電圧を比較し、前記温度センサーの出力信号の電圧が前記遅延信号の電圧よりも所定値以上高い場合は第1の電圧値を出力し、前記温度センサーの出力信号の電圧が前記遅延信号の電圧よりも所定値以上低い場合は第2の電圧値を出力し、その他の場合は第1の電圧値又は第2の電圧値の出力を保持する電圧比較手段と、を含むようにしてもよい。
【0012】
本発明の温度補償圧電発振器によれば、温度変化検出手段に含まれる電圧比較手段は、温度センサーの出力信号の電圧値と遅延手段による遅延信号の電圧値を比較し、第1の電圧値と第2の電圧値のいずれかを出力するが、比較対象の2つの電圧の差が所定値よりも小さければ現在の出力電圧値を保持する。すなわち、温度センサーの出力信号の電圧値に多少の揺らぎがあっても電圧比較手段の出力電圧は変化しないので、温度の微妙な揺らぎに対して電圧比較手段が敏感に反応しないようにすることができる。従って、本発明の温度補償圧電発振器によれば、周波数安定度をより向上させることができる。
【0013】
(3)本発明は、圧電振動子と、第1の温度補償データが記憶される第1の記憶手段と、第2の温度補償データが記憶される第2の記憶手段と、温度情報を取得する温度センサーと、前記温度センサーが取得した前記温度情報に基づいて、温度上昇と温度下降のいずれかが生じたかを検出する温度変化検出手段と、前記温度変化検出手段の検出結果に基づいて、温度上昇時は前記第1の温度補償データを選択し、温度下降時は前記第2の温度補償データを選択する温度補償データ選択手段と、前記温度補償データ選択手段により選択された前記第1の温度補償データ又は前記第2の温度補償データに基づいて、前記圧電振動子の周波数を温度補償するための温度補償電圧を発生させる温度補償電圧発生回路と、前記温度補償電圧に基づいて前記圧電振動子の周波数を制御する電圧制御発振回路と、を含む、温度補償圧電発振器の周波数調整方法であって、前記温度補償圧電発振器の外部から前記電圧制御発振回路の制御電圧を供給し、温度を上昇させながら、少なくとも5つの異なる温度において、前記制御電圧を変化させて前記圧電振動子の周波数が目標の周波数と一致する時の前記制御電圧の値を取得する第1の制御電圧値取得ステップと、前記第1の制御電圧値取得ステップで取得した少なくとも5つの制御電圧値に基づいて、前記圧電振動子の温度上昇時における周波数温度特性を特定するためのデータを算出し、当該データを前記第1の温度補償データとして前記第1の記憶手段に書き込むステップと、前記温度補償圧電発振器の外部から前記電圧制御発振回路の制御電圧を供給し、温度を下降させながら、少なくとも5つの異なる温度において、前記制御電圧を変化させて前記圧電振動子の周波数が目標の周波数と一致する時の前記制御電圧の値を取得する第2の制御電圧値取得ステップと、前記第2の制御電圧値取得ステップで取得した少なくとも5つの制御電圧値に基づいて、前記圧電振動子の温度下降時における周波数温度特性を特定するためのデータを算出し、当該データを前記第2の温度補償データとして前記第2の記憶手段に書き込むステップと、を含む。
【0014】
本発明の周波数調整方法によれば、温度上昇時の圧電振動子の周波数温度特性を表す第1の温度補償データと温度下降時の圧電振動子の周波数温度特性を表す第2の温度補償データの両方を算出することができる。従って、本発明の周波数調整方法によれば、温度上昇や温度下降の際の温度変化に対する周波数のヒステリシスが少なく安定した周波数温度特性が得られる温度補償圧電発振器を提供することができる。
【0015】
また、本発明の周波数調整方法によれば、温度上昇時も温度下降時も5つ以上の異なる温度での制御電圧の値を取得して温度補償データを算出するので、広い温度範囲に亘ってより精度の高い温度補償を行うことができる温度補償圧電発振器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の温度補償圧電発振器の構成を示す図。
【図2】図2(A)は圧電振動子の周波数温度特性の一例を示す図であり、図2(B)は温度補償電圧の一例を示す図。
【図3】電圧制御発振回路の構成例を示す図。
【図4】MOSバリキャップのC−V特性の一例を示す図。
【図5】基準電圧と温度補償電圧の関係の一例を示す。
【図6】温度変化検出回路の構成例を示す図。
【図7】ヒステリシスコンパレーターの出力電圧の一例を示す図。
【図8】セレクターの構成例を示す図である。
【図9】本実施形態の温度補償圧電発振器の周波数温度特性の一例を示す図。
【図10】本実施形態の温度補償圧電発振器の周波数調整方法に使用する測定系の構成例を示す図。
【図11】本実施形態の温度補償圧電発振器の周波数調整方法のフローチャート図。
【図12】図12(A)は温度上昇時における理想補償電圧の一例を示す図であり、図12(B)は温度下降時における理想補償電圧の一例を示す図。
【図13】従来の温度補償水晶発振器の周波数温度特性の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0018】
1.温度補償圧電発振器の構成
図1は、本実施形態の温度補償圧電発振器の構成を示す図である。
【0019】
本実施形態の温度補償圧電発振器1は、温度変化検出回路10、セレクター20、第1のメモリー30、第2のメモリー40、温度センサー50、温度補償電圧発生回路60、電圧制御発振回路70、圧電振動子80を含んで構成されている。
【0020】
圧電振動子80は、逆圧電効果を利用して一定の周波数で振動する圧電素子であり、例えば、水晶振動子やセラミック振動子、ニオブ酸リチウム振動子、タンタル酸リチウム振動子などの単結晶材料を用いた振動子や、酸化亜鉛圧電薄膜振動子、酸化アルミニウム圧電薄膜振動子などの圧電性薄膜を用いた振動子等である。
【0021】
特に、ATカット水晶振動子の各温度での周波数偏差を表す周波数温度特性は広い温度範囲に亘って近似3次曲線の極めて良好な特性を示すことが知られており、圧電振動子80としてATカット水晶振動子を使用することで、周波数安定度が極めて高い温度補償水晶発振器を実現することができる。しかし、図2(A)に示すように、ATカット水晶振動子は、低温(例えば−30℃)から高温(例えば+85℃)まで温度を上昇させた時の周波数温度特性を示す近似3次曲線(実線で示す3次曲線)と高温(例えば+85℃)から低温(例えば−30℃)まで温度を下降させた時の周波数温度特性を示す近似3次曲線(点線で示す3次曲線)が一致しない。すなわち、ATカット水晶振動子の周波数温度特性はヒステリシスを持っている。
【0022】
そこで、本実施形態の温度補償圧電発振器1では、第1のメモリー30には圧電振動子80の温度上昇時の周波数温度特性を補正するための第1の温度補償データ32が記憶されており、第2のメモリー40には圧電振動子80の温度下降時の周波数温度特性を補正するための第2の温度補償データ42が記憶されている。
【0023】
例えば、製品出荷時の検査工程において圧電振動子80の温度上昇時と温度下降時の各周波数温度特性を測定し、測定結果に応じた第1の温度補償データ32と第2の温度補償データ42がそれぞれ第1のメモリー30と第2のメモリー40に書き込まれる。
【0024】
第1のメモリー30と第2のメモリー40は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)によって実現することができる。なお、第1のメモリー30と第2のメモリー40は、物理的に異なる2つの記憶部として構成してもよいし、1つの記憶部においてアドレス範囲が異なる2つの記憶領域に割り当てるように構成してもよい。
【0025】
第1の温度補償データ32としては、圧電振動子80の温度上昇時の周波数温度特性を表す曲線を特定するためのパラメーターであってもよい。同様に、第2の温度補償データ42としては、圧電振動子80の温度下降時の周波数温度特性を表す曲線を特定するためのパラメーターであってもよい。
【0026】
例えば、圧電振動子80がATカット水晶振動子であれば、温度上昇時の周波数温度特性(周波数偏差Δf/f)は図2(A)の実線で示す3次曲線によって近似され、この3次曲線に対応する3次関数は次の式(1)のように表すことができる。式(1)において、fは公称周波数、Δfは周波数誤差、Tは温度変数、tは基準温度(例えば25℃)を示す。
【0027】
【数1】

【0028】
式(1)は係数A、A、定数A及び基準温度tによって特定することができるので、係数A、A、定数A及び基準温度tを第1の温度補償データ32とすることができる。
【0029】
同様に、圧電振動子80がATカット水晶振動子であれば、温度下降時の周波数温度特性(周波数偏差Δf/f)は図2(A)の点線で示す3次曲線によって近似され、この3次曲線に対応する3次関数は次の式(2)のように表すことができる。式(2)において、fは公称周波数、Δfは周波数誤差、Tは温度変数、tは基準温度(例えば25℃)を示す。
【0030】
【数2】

【0031】
式(2)は係数B、B、定数B及び基準温度tによって特定することができるので、係数B、B、定数B及び基準温度tを第2の温度補償データ42とすることができる。
【0032】
温度センサー50は、近傍の温度に関する情報(温度情報)を検出する。温度センサー50は、例えば、電気抵抗の変化として温度変化を捉えるサーミスターによって実現することができる。本実施形態では、温度センサー50の出力電圧52が温度変化に応じて負の傾きで線形に変化する。すなわち、温度が高いほど、温度センサー50の出力電圧52は低くなる。
【0033】
温度変化検出回路10は、温度センサー50の出力電圧52(温度情報)に基づいて、温度上昇から温度下降への変化及び温度下降から温度上昇への変化を検出する。本実施形態では、温度変化検出回路10は、温度が下降から上昇に転じた時にローレベルからハイレベルに変化し、温度は上昇から下降に転じた時にハイレベルからローレベルに変化する制御信号12を生成する。
【0034】
セレクター20は、制御信号12に基づいて、第1のメモリー30に記憶されている第1の温度補償データ32と第2のメモリー40に記憶されている第2の温度補償データ42のいずれか一方を選択し、温度補償電圧発生回路60に供給する。本実施形態では、セレクター20は、制御信号12がハイレベルであれば第1の温度補償データ32を選択し、制御信号12がローレベルであれば第2の温度補償データ42を選択する。
【0035】
温度補償電圧発生回路60は、セレクター20により選択された第1の温度補償データ32又は第2の温度補償データ42に基づいて、電圧制御発振回路70に対する温度補償電圧62を発生させる。本実施形態では、温度補償電圧発生回路60は、圧電振動子80の周波数温度特性を表す曲線と相似形の曲線となるように温度補償電圧62を発生させる。例えば、圧電振動子80がATカット水晶振動子であれば、温度補償電圧発生回路60は、温度上昇時は第1の温度補償データ32に基づいて図2(B)の実線で示す3次曲線の温度補償電圧62を発生させ、温度下降時は第2の温度補償データ42に基づいて図2(B)の点線で示す3次曲線の温度補償電圧62を発生させる。
【0036】
電圧制御発振回路70は、温度補償電圧62に応じて圧電振動子80の負荷容量を変化させることにより、温度に関係なく、圧電振動子80を一定の周波数(公称周波数)で発振させて発振信号2を生成する。本実施形態では、電圧制御発振回路70は、温度補償電圧62が高いほど圧電振動子80の負荷容量を大きくする。
【0037】
このような電圧制御発振回路70は、例えば、図3に示す構成により実現することができる。
【0038】
図3に示すように、NMOSトランジスター77−1〜77−pのソースにはグランド電位(0V)が供給され、各NMOSトランジスター77−k(1≦k≦p)には、kが大きいほど大きい容量値となるように重み付けされたキャパシターが接続されている。同様に、NMOSトランジスター78−1〜78−pのソースにはグランド電位(0V)が供給され、各NMOSトランジスター78−k(1≦k≦p)には、kが大きいほど大きい容量値となるように重み付けされたキャパシターが接続されている。
【0039】
各NMOSトランジスター77−k(1≦k≦p)のゲート端子と各NMOSトランジスター78−kのゲート端子には、入力端子73−kを介して、pビットの周波数調整コードのビット(k−1)が供給される。そして、周波数調整コードのビット(k−1)がローレベルであれば、NMOSトランジスター77−kと78−kがオンし、そのドレインに接続されたキャパシターが圧電振動子80の負荷として働く。
【0040】
すなわち、pビットの周波数調整コードのビット値が0〜2−1の範囲で増減すると圧電振動子80の負荷容量が線形に増減する。従って、図示しない不揮発性メモリーに適切な周波数調整コードを書き込むことによって、出力端子74を介して出力される発振信号2の基準温度(例えば25℃)における周波数が所望の周波数(公称周波数)になるように調整することができる。
【0041】
また、MOSバリキャップ75のゲート端子は圧電振動子80の一端に接続されており、MOSバリキャップ76のゲート端子は圧電振動子80の他端に接続されている。
【0042】
MOSバリキャップ75のゲート端子とMOSバリキャップ76のゲート端子には、入力端子72を介して温度補償電圧62が供給されるようになっている。また、MOSバリキャップ75のバックゲート端子とMOSバリキャップ76のバックゲート端子には入力端子71を介して一定の基準電圧が供給されるようになっている。
【0043】
本実施形態では、MOSバリキャップ75、76は、図4に示すようなC−V特性を有している。すなわち、ゲート端子とバックゲート端子の電位差が0〜VGB1の範囲で増減すれば、MOSバリキャップ75、76の容量値はC〜Cの範囲でほぼ線形に増減する。
【0044】
本実施形態では、MOSバリキャップ75、76の特性に合わせて、図5に示すように、温度補償電圧62の最小値よりも低い基準電圧が供給される。なお、図2(B)と同じく、図5においても、実線で示す3次曲線が温度上昇時の温度補償電圧62を示し、点線で示す3次曲線が温度下降時の温度補償電圧62を示している。
【0045】
このようにすれば、温度補償電圧62が高い(すなわち、圧電振動子80の単体での周波数が高い)ほどMOSバリキャップ75、76の容量値が大きくなり、温度補償電圧62が低い(すなわち、圧電振動子80の単体での周波数が低い)ほどMOSバリキャップ75、76の容量値が小さくなるので、一定周波数(公称周波数)の発振信号2を生成することができる。
【0046】
図6は、温度変化検出回路10の構成例を示す図である。
【0047】
温度変化検出回路10は、A/D変換回路(ADC)110、N分周器120、遅延回路130、D/A変換回路(DAC)140、ヒステリシスコンパレーター150を含んで構成されている。
【0048】
N分周器120は、入力端子102を介して電圧制御発振回路70が出力する発振信号2が入力され、発振信号2をN分周したクロック信号122を生成する。
【0049】
A/D変換回路110は、入力端子101を介して温度センサー50の出力電圧52(温度情報)が入力され、クロック信号122をサンプリングクロックとしてA/D変換処理を行い、温度センサー50の出力電圧52のレベルに対して線形なビット値となるmビットのデジタル信号112を生成する。
【0050】
遅延回路130は、mビットのデジタル信号112を遅延させたmビットのデジタル信号132を生成する。遅延回路130は、例えば、クロック信号122等によって動作するシフトレジスターとして実現することができる。
【0051】
D/A変換回路140は、mビットのデジタル信号132に対してD/A変換処理を行い、デジタル信号132のビット値に対して線形なレベルの電圧を出力する。
【0052】
ヒステリシスコンパレーター150は、オペアンプ152、抵抗154、156を含んで構成されている。
【0053】
抵抗154の一端にはD/A変換回路140の出力電圧が供給され、抵抗154の他端はオペアンプ152の非反転入力端子(+端子)に接続されている。
【0054】
抵抗156の両端は、それぞれオペアンプ152の非反転入力端子(+端子)と出力端子に接続されている。
【0055】
オペアンプ152の反転入力端子(−端子)には入力端子101を介して温度センサー50の出力電圧52が供給される。また、オペアンプ152の電源端子(図示省略)とグランド端子(図示省略)にはそれぞれ電源電位とグランド電位(0V)が供給される。
【0056】
ここで、抵抗154、156の抵抗値をそれぞれR、R、D/A変換回路140の出力電圧の電圧値をV、ヒステリシスコンパレーター150の出力電圧(すなわち温度変化検出回路10の出力電圧12)の電圧値をVとすると、オペアンプ152の非反転入力端子(+端子)の電圧Vは次の式(3)により計算される。
【0057】
【数3】

【0058】
が電源電位(ハイレベル)で飽和している時は、V−V>0なので、式(3)より、オペアンプ152の反転入力端子(−端子)にVよりも(V−V)×R/(R+R)以上高い電圧が供給されなければ、Vがグランド電位(ローレベル)に反転しない。逆に、Vがグランド電位(ローレベル)で飽和している時は、V−V<0なので、オペアンプ152の反転入力端子(−端子)にVよりも(V−V)×R/(R+R)以上低い電圧が供給されなければ、Vが電源電位(ハイレベル)に反転しない。
【0059】
すなわち、ヒステリシスコンパレーター150は、ΔV=(V−V)×R/(R+R)の電圧幅の不感帯をもって温度センサー50の出力電圧52とD/A変換回路140の出力電圧を比較する。
【0060】
その結果、図7に示すように、温度センサー50の出力電圧52(電圧値V)がD/A変換回路140の出力電圧(電圧値V)に対して不感帯の電圧幅ΔV以上高ければ、ヒステリシスコンパレーター150の出力電圧が電源電位(ハイレベル)からグランド電位(ローレベル)に変化する。一方、温度センサー50の出力電圧52(電圧値V)がD/A変換回路140の出力電圧(電圧値V)に対して不感帯の電圧幅ΔV以上低ければ、ヒステリシスコンパレーター150の出力電圧がグランド電位(ローレベル)から電源電位(ハイレベル)に変化する。
【0061】
先に説明したように、本実施形態では温度センサー50の出力電圧52が温度変化に応じて負の傾きで線形に変化する。従って、ヒステリシスコンパレーター150の出力電圧は、温度上昇から温度下降に転じた時にハイレベルからローレベルに変化し、温度下降から温度上昇に転じた時にローレベルからハイレベルに変化する。
【0062】
ヒステリシスコンパレーター150の出力電圧(オペアンプ152の出力電圧)は制御信号12として出力端子103を介してセレクター20に出力される。
【0063】
なお、ヒステリシスコンパレーター150が温度の微妙な揺らぎに対して敏感に反応しないように不感帯の電圧幅を調整しておくのが望ましい。例えば、R=20R程度に設定すれば不感帯の電圧幅を電圧レンジの5%程度に調整することができる。このようにすれば、温度の微妙な揺らぎがあってもヒステリシスコンパレーター150の出力電圧は変化しないので、周波数安定度をより向上させることができる。
【0064】
図8は、セレクター20の構成例を示す図である。
【0065】
セレクター20は、n個の2入力AND回路210−1〜210−n、n個の2入力AND回路220−1〜220−n、n個のインバーター回路230−1〜230−n、n個の2入力OR回路240−1〜240−nを含んで構成されている。
【0066】
各インバーター回路230−k(1≦k≦n)には、入力端子203を介して制御信号12が共通に入力される。
【0067】
各2入力AND回路210−k(1≦k≦n)は、一方の入力に入力端子201−kを介して第1のメモリーからnビットの第1の温度補償データ32のビット(k−1)が入力され、他方の入力に入力端子203を介して制御信号12が共通に入力される。
【0068】
各2入力AND回路220−k(1≦k≦n)は、一方の入力に入力端子202−kを介して第2のメモリーからnビットの第2の温度補償データ42のビット(k−1)が入力され、他方の入力にインバーター回路230−kの出力信号(制御信号12の反転信号)が入力される。
【0069】
各2入力OR回路240−k(1≦k≦n)は、一方の入力に2入力AND回路210−kの出力信号が入力され、他方の入力に2入力AND回路220−kの出力信号が入力される。2入力OR回路240−1〜240−nの出力信号は、それぞれ出力端子204−1〜204−nを介して温度補償電圧発生回路60に出力される。
【0070】
このような構成により、セレクター20は、制御信号12がハイレベルであれば第1の温度補償データを選択し、制御信号12がローレベルであれば第2の温度補償データを選択し、温度補償電圧発生回路60に供給することができる。
【0071】
図9は、本実施形態の温度補償圧電発振器の周波数温度特性の一例を示す図である。図9において、横軸は温度であり、縦軸は周波数偏差である。
【0072】
本実施形態の温度補償圧電発振器によれば、温度上昇時は第1の温度補償データに基づいて温度補償電圧を発生して温度補償を行い、温度下降時は第2の温度補償データに基づいて温度補償電圧を発生して温度補償を行う。従って、図9に示すように、−25℃付近の温度から+75℃付近の温度まで上昇させた時の周波数偏差(Aのグラフ参照)も、+75℃付近の温度から−25℃付近の温度まで下降させた時の周波数偏差(Bのグラフ参照)も極めて小さくすることに成功している。
【0073】
すなわち、本実施形態によれば、温度上昇や温度下降の際の温度変化に対する周波数のヒステリシスが少なく安定した周波数温度特性が得られる温度補償圧電発振器を提供することができる。
【0074】
なお、本実施形態における温度変化検出回路10及びセレクター20は、それぞれ、本発明における「温度変化検出手段」及び「温度補償データ選択手段」として機能する。また、第1のメモリー30及び第2のメモリー40は、それぞれ、本発明における「第1の記憶手段」及び「第2の記憶手段」として機能する。また、A/D変換回路110、N分周器120、遅延回路130及びD/A変換回路140によって構成される回路は、本発明における「遅延手段」として機能する。また、ヒステリシスコンパレーター150は、本発明における「電圧比較手段」として機能する。
【0075】
2.温度補償圧電発振器の周波数調整方法
図10は、本実施形態の温度補償圧電発振器の周波数調整方法に使用する測定系の構成例を示す図である。
【0076】
温度補償圧電発振器1は、図1に示した温度補償圧電発振器1であり、図1と同じ構成には同じ符号を付しており、その説明を省略する。但し、温度補償圧電発振器1には、制御回路90、インターフェース(I/F)回路92、スイッチ回路94、96が追加されている。また、温度補償圧電発振器1は恒温漕(図示省略)の中に設置されており、温度補償圧電発振器1の周囲の温度を制御できるようになっている。
【0077】
インターフェース(I/F)回路92は、PC300に対するインターフェース処理を行い、パーソナルコンピューター(PC)300からの指令を受け取って制御回路90に転送する。
【0078】
制御回路90は、スイッチ回路94、96の開閉制御及び第1のメモリー30や第2のメモリー40に温度補償データを書き込む処理を行う。
【0079】
スイッチ回路94は、温度補償電圧発生回路60の出力と電圧制御発振回路70の入力の間に配置されており、スイッチ回路94の開閉により、温度補償電圧発生回路60の出力電圧を電圧制御発振回路70に供給するか否かを選択することができるようになっている。
【0080】
スイッチ回路96は、電圧発生器320の出力と電圧制御発振回路70の入力の間に配置されており、スイッチ回路96の開閉により、電圧発生器320の出力電圧を電圧制御発振回路70に供給するか否かを選択することができるようになっている。
【0081】
スイッチ回路94の開閉とスイッチ回路96の開閉は排他的に行われ、電圧制御発振回路70には、周波数調整時は電圧発生器320の出力電圧が供給され、通常動作時は温度補償電圧発生回路60の出力電圧が供給される。
【0082】
PC300は、温度補償圧電発振器1に対して、スイッチ回路94、96の開閉の指示、第1のメモリー30や第2のメモリー40への温度補償データの書き込み指示を行ったり、電圧発生器320に対して所望のレベルの電圧を発生させるように制御する処理を行う。
【0083】
周波数カウンター310は、電圧制御発振回路70が出力する発振信号2の周波数をカウントし、カウント値をPC300に送信する処理を行う。
【0084】
デジタルマルチメーター330は、電圧発生器320の出力電圧のレベルを測定し、測定値をPC300に送信する処理を行う。
【0085】
次に、図10に示した測定系を用いて、本実施形態の温度補償圧電発振器の周波数を調整する方法の一例について説明する。図11は、本実施形態の温度補償圧電発振器の周波数調整方法のフローチャート図である。図11のフローチャートの各処理の前に、PC300の指示によりスイッチ回路94が開かれ、スイッチ回路96が閉じられた状態になっている。
【0086】
まず、恒温漕の内部温度を第1温度(例えば−25℃)まで下げて、第1温度点での理想補償電圧を取得する(ステップS10)。具体的には、PC300が、電圧発生器320の出力電圧を変化させながら周波数カウンター310のカウント値をモニターし、発振信号2の周波数が公称周波数と一致する時のデジタルマルチメーター330の測定値を第1温度点での理想補償電圧として取得する。
【0087】
次に、恒温漕の内部温度を第2温度(例えば0℃)まで上げて、第2温度点での理想補償電圧を同様に取得する(ステップS20)。
【0088】
次に、恒温漕の内部温度を第3温度(例えば+25℃)まで上げて、第3温度点での理想補償電圧を同様に取得する(ステップS30)。
【0089】
次に、恒温漕の内部温度を第4温度(例えば+55℃)まで上げて、第4温度点での理想補償電圧を同様に取得する(ステップS40)。
【0090】
次に、恒温漕の内部温度を第5温度(例えば+75℃)まで上げて、第5温度点での理想補償電圧を同様に取得する(ステップS50)。
【0091】
次に、ステップS10〜S50で取得した第1温度点〜第5温度点での理想補償電圧から温度上昇時の温度補償データ(第1の温度補償データ)を算出し、第1のメモリー30に書き込む(ステップS60)。具体的には、まず、図12(A)に示すように、最小近似法等を用いて、第1温度点〜第5温度点での5つの理想補償電圧(白丸で示す)に対する誤差が最小となる3次曲線(実線で示す)を表す3次関数を求める。次に、この3次関数を、例えば第3温度を基準温度tとして式(1)で表される3次関数に変換する。そして、式(1)の係数A、A、定数A及び基準温度tを第1の温度補償データ32として、第1のメモリー30に書き込む。
【0092】
次に、再度、第5温度点での理想補償電圧を同様に取得する(ステップS70)。
【0093】
次に、恒温漕の内部温度を第4温度まで下げて、第4温度点での理想補償電圧を同様に取得する(ステップS80)。
【0094】
次に、恒温漕の内部温度を第3温度まで下げて、第3温度点での理想補償電圧を同様に取得する(ステップS90)。
【0095】
次に、恒温漕の内部温度を第2温度まで下げて、第2温度点での理想補償電圧を同様に取得する(ステップS100)。
【0096】
次に、恒温漕の内部温度を第1温度まで下げて、第1温度点での理想補償電圧を同様に取得する(ステップS110)。
【0097】
最後に、ステップS70〜S110で取得した第1温度点〜第5温度点での理想補償電圧から温度下降時の温度補償データ(第2の温度補償データ)を算出し、第2のメモリー40に書き込む(ステップS120)。具体的には、まず、図12(B)に示すように、最小近似法等を用いて、第1温度点〜第5温度点での5つの理想補償電圧(白丸で示す)に対する誤差が最小となる3次曲線(実線で示す)を表す3次関数を求める。次に、この3次関数を、例えば第3温度を基準温度tとして式(2)で表される3次関数に変換する。そして、式(2)の係数B、B、定数B及び基準温度tを第2の温度補償データ42として、第2のメモリー40に書き込む。
【0098】
本実施形態の周波数調整方法によれば、温度上昇時の圧電振動子80の周波数温度特性を表す第1の温度補償データ32と温度下降時の圧電振動子80の周波数温度特性を表す第2の温度補償データ42の両方を算出することができる。従って、本実施形態の周波数調整方法によれば、温度上昇や温度下降の際の温度変化に対する周波数のヒステリシスが少なく安定した周波数温度特性が得られる温度補償圧電発振器を提供することができる。
【0099】
また、本実施形態の周波数調整方法によれば、温度上昇時も温度下降時も5つの温度点での理想補償電圧を取得して温度補償データを算出するので、広い温度範囲に亘ってより精度の高い温度補償を行うことができる温度補償圧電発振器を提供することができる。
【0100】
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0101】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0102】
1 温度補償圧電発振器、2 発振信号、10 温度変化検出回路、12 制御信号、20 セレクター、30 第1のメモリー、32 第1の温度補償データ、40 第2のメモリー、42 第2の温度補償データ、50 温度センサー、52 温度センサーの出力電圧、60 温度補償電圧発生回路、62 温度補償電圧、70 電圧制御発振回路、71〜72 入力端子、73−1〜73−p 入力端子、74 出力端子、75〜76 MOSバリキャップ、77−1〜77−p NMOSトランジスター、78−1〜78−p NMOSトランジスター、80 圧電振動子、90 制御回路、92 インターフェース(I/F)回路、94 スイッチ回路、96 スイッチ回路、101〜102 入力端子、103 出力端子、110 A/D変換回路(ADC)、112 デジタル信号、120 N分周器、122 クロック信号、130 遅延回路、132 デジタル信号、140 D/A変換回路(DAC)、150 ヒステリシスコンパレーター、152 オペアンプ、154 抵抗、156 抵抗、201−1〜201−n 入力端子、202−1〜202−n 入力端子、203 入力端子、204−1〜204−n 出力端子、210−1〜210−n 2入力AND回路、220−1〜220−n 2入力AND回路、230−1〜230−n インバーター回路、240−1〜240−n 2入力OR回路、300 パーソナルコンピューター(PC)、310 周波数カウンター、320 電圧発生器、330 デジタルマルチメーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動子と、
第1の温度補償データが記憶される第1の記憶手段と、
第2の温度補償データが記憶される第2の記憶手段と、
温度情報を取得する温度センサーと、
前記温度センサーが取得した前記温度情報に基づいて、温度上昇と温度下降のいずれかが生じたかを検出する温度変化検出手段と、
前記温度変化検出手段の検出結果に基づいて、温度上昇時は前記第1の温度補償データを選択し、温度下降時は前記第2の温度補償データを選択する温度補償データ選択手段と、
前記温度補償データ選択手段により選択された前記第1の温度補償データ又は前記第2の温度補償データに基づいて、前記圧電振動子の周波数を温度補償するための温度補償電圧を発生させる温度補償電圧発生回路と、
前記温度補償電圧に基づいて前記圧電振動子の周波数を制御する電圧制御発振回路と、を含む、温度補償圧電発振器の周波数調整方法であって、
前記温度補償圧電発振器の外部から前記電圧制御発振回路の制御電圧を供給し、温度を上昇させながら、少なくとも5つの異なる温度において、前記制御電圧を変化させて前記圧電振動子の周波数が目標の周波数と一致する時の前記制御電圧の値を取得する第1の制御電圧値取得ステップと、
前記第1の制御電圧値取得ステップで取得した少なくとも5つの制御電圧値に基づいて、前記圧電振動子の温度上昇時における周波数温度特性を特定するためのデータを算出し、当該データを前記第1の温度補償データとして前記第1の記憶手段に書き込むステップと、
前記温度補償圧電発振器の外部から前記電圧制御発振回路の制御電圧を供給し、温度を下降させながら、少なくとも5つの異なる温度において、前記制御電圧を変化させて前記圧電振動子の周波数が目標の周波数と一致する時の前記制御電圧の値を取得する第2の制御電圧値取得ステップと、
前記第2の制御電圧値取得ステップで取得した少なくとも5つの制御電圧値に基づいて、前記圧電振動子の温度下降時における周波数温度特性を特定するためのデータを算出し、当該データを前記第2の温度補償データとして前記第2の記憶手段に書き込むステップと、を含む、温度補償圧電発振器の周波数調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図7】
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【図9】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−103636(P2011−103636A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47515(P2010−47515)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【分割の表示】特願2009−257706(P2009−257706)の分割
【原出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】