説明

温度補償型水晶発振制御用集積回路

【課題】温度補償型水晶発振制御用集積回路の端子の共用化を実現する。
【解決手段】温度補償型水晶発振制御用集積回路100は、電源電圧が入力される電源端子と、水晶振動子の両端と接続される二つの水晶振動子接続端子と、水晶振動子の周波数調整を行う周波数調整部112に接続され、外部制御電圧が入力される外部制御端子と、水晶振動子の発振出力が出力される発振出力端子と、書込み許可部116と、を備え、電源端子、外部制御端子、及び発振出力端子のうちいずれかは、プログラムイネーブル信号がさらに入力される共用端子であり、共用端子への入力からプログラムイネーブル信号を検出するプログラムイネーブル信号検出部115をさらに備え、かつ、書込み許可部116は、プログラムイネーブル信号検出部115によってプログラムイネーブル信号が検出されたとき、PROM回路113への周波数調整データの書込みを許可するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度補償型水晶発振制御用集積回路に関し、特に端子の共用化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の通信機器の分野では、基準クロック源として周囲温度の変化に対して安定した発振周波数が得られる水晶発振器が望まれており、このため、該水晶発振器に含まれる水晶振動子固有の周波数温度特性を補正する温度補償機能付きのTCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator;温度補償型水晶発振器)をモジュール化したTCXOモジュールが搭載されている。あるいは、TCXOモジュールの他に、VCTCXO(Voltage Compensated Temperature Compensated Crystal Oscillator;電圧制御温度補償型水晶発振器)モジュールや、TCVCXO(Temperature Compensated Voltage Compensated Crystal Oscillator;温度補償型電圧制御水晶発振器)モジュール等が搭載される場合もある。以下では、上記温度補償機能付きの水晶発振器をモジュール化したものを総称してTCXOモジュールと呼ぶ。
【0003】
上記の温度補償機能を実現する方式としてはディスクリート部品を用いて構成するアナログ方式又はLSI方式の二種類があるが、近年の通信機器の小型化の要請に伴って、該小型化に適したLSI方式が主に採用されている。このLSI方式について詳述すると、この種の分野では、PROM(Programmable Read Only Memory;書込み可能な読み出し専用メモリ)回路が通常用いられており、水晶振動子の周波数温度特性とは逆の特性を規定した温度補償用関数に用いられる補償定数が該PROM回路に予め書き込まれている。そして、温度補償時に該PROM回路から該補償定数が読み出されて該温度補償用関数を構築させ、該温度補償用関数に基づいて該水晶振動子の周波数温度特性を相殺する温度補償電圧が生成されるように実現されている。
【0004】
なお、上記のPROM回路は、所定の電流が流れると電気的に溶断(以下、プログラムと呼ぶ)される電気ヒューズ素子を記憶素子として複数備え、該電気ヒューズ素子の状態(短絡/開放)に応じて状態識別(読み出し)のための入力に対して指定された出力(ハイレベル又はローレベル)を発生するように構成されている。また、電気ヒューズ素子をプログラムするための回路の電源としては入出力セル領域におけるVDD_IO電源(例えば3.3V)が用いられ、プログラムする電気ヒューズ素子を選択するための制御回路の電源としては通常のロジック回路のVDD_CORE電源(例えば1.2V)が用いられる。したがって、制御回路の出力信号をVDD_CORE電源の電圧レベルからVDD_IO電源の電圧レベルにレベルシフトし、このレベルシフト後の制御回路の出力信号によってプログラム動作が行われる。
【0005】
しかしながら、TCXOモジュールの電源をオンする際に、VDD_IO電源とVDD_CORE電源とが同時にオンする保証はない。例えばVDD_IO電源がVDD_CORE電源よりも先にオンする場合を想定すると、電気ヒューズ素子の方にはVDD_IO電源の電圧が入力されるが、制御回路の方にはVDD_CORE電源の電圧が入力されないので、電気ヒューズ素子が誤ってプログラムされる可能性がある。VDD_IO電源又はVDD_CORE電源が先にオフする場合についても同様の問題が発生する。
【0006】
また、通信機器の分野では、動作休止期間の間に電源電圧又は基準電位GNDをブロック単位で遮断することにより、該TCXOモジュールのリーク電流を抑制することが行われている。この場合、電気ヒューズ素子を含むブロックの電源電圧又は基準電位GNDが他のブロックよりも遅れて遮断された場合には、該他のブロックに含まれる回路の出力が不定となり、電気ヒューズ素子が誤ってプログラムされる可能性がある。ブロック単位で遮断された状態から復帰された状態に移行する際についても同様の問題が発生する。
【0007】
そこで、上記のようなプログラムの誤動作を回避するために、例えば以下に示す特許文献1には、外部端子としてヒューズプログラムイネーブル制御端子を設け、該端子の電位を固定にすることで、ヒューズヒューズプログラムイネーブル信号を非活性化させる電気ヒューズ回路が記載されている。電気ヒューズ回路は、図7に示すとおり、電気ヒューズ素子501と、電気ヒューズ素子501に直列接続されたNMOSトランジスタ502と、NMOSトランジスタ502のゲートを制御するAND回路503と、AND回路503の一方の入力端子に接続されたバッファ回路504と、バッファ回路504の入力側と基準電位端子GNDとの間に挿入された抵抗素子507と、バッファ回路504の入力側に接続され、FPEN(Fuse Program Enable;ヒューズプログラムイネーブル)信号が入力されるパッド508と、AND回路503の他方の入力端子に接続されたレベルシフタ506と、プログラム対象の電気ヒューズ素子501を選択するための制御回路505と、によって構成されている。なお、制御回路505は、上記のVDD_CORE電源が使用され、電気ヒューズ素子501をプログラムするための電源は、上記のVDD_IO電源が使用される。
【0008】
電気ヒューズ素子501をプログラムする際には、パッド508に外部からFPEN信号としてVDD_IO電源の電圧が入力されるとともに、制御回路505においてプログラム対象の電気ヒューズ素子501が選択される。制御回路505の制御出力をレベルシフタ506によってVDD_IO電源の電圧に変換することで、AND回路503によってNMOSトランジスタ502を導通させて電気ヒューズ素子501をプログラムできる。一方、プログラム動作以外の場合には、外部からパッド508に電圧を与えなくても、抵抗素子507の働きによってFPEN信号が基準電位GND電位に固定される。このため、制御回路505の制御出力の状態に関らず、AND回路503によってNMOSトランジスタ502をオフさせることができ、電気ヒューズ素子501が誤ってプログラムされることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−153588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、通信機器の多機能化によって、TCXOモジュールの小型化が急速に進行している。例えば、近年主流であった“2.5mm×2.0mm”よりも更なるモジュールサイズの小型化が求められている。また、TCXOモジュールは、配線パターンが形成されたリードフレーム上に、温度補償機能を備えた水晶発振器を集積化した集積回路を実装して構成されているので、該集積回路についても更なるダイサイズの小型化が求められている。
【0011】
しかし、特許文献1に開示された電気ヒューズ回路では、この小型化に対応できないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
TCXOモジュール内に実装される温度補償機能を備えた水晶発振器を集積化した集積回路(以下、温度補償型水晶発振制御用集積回路と呼ぶ。)は、一般的に、電源電圧VCCが入力される電源端子と、基準電位GNDが与えられる接地端子と、水晶振動子が接続される水晶接続端子(XT1、XT2)と、該水晶振動子を発振させて得られる発振出力(基準クロック)OUTを出力する発振出力端子と、AFC(Automatic Frequency Control;自動周波数制御)電圧を生成するための外部制御電圧VCが入力される外部制御端子と、による計6つの端子を標準装備している。その上で、PROM回路を用いたLSI方式を用いて温度補償機能を実現する場合には、プログラムデータDATAを入力するプログラムデータ入力端子及びプログラムクロックCLKを入力するプログラムクロック入力端子をさらに設ける必要がある。さらに、PROM回路の電気ヒューズ素子へのプログラムの誤動作を防止するために、FPEN信号を入力するプログラムイネーブル信号入力端子をさらにまた設ける必要がある。よって、上記の6つの端子に加え、少なくとも3端子を新たに設ける必要がある。
しかしながら、近年のTCXOモジュールの小型化の急速な進行に伴って、リードフレームに形成される配線パターンが高密度化しており、標準搭載されている6つの端子からこれ以上端子数を増やすことには実装技術上の限界がある。従って、特許文献1に開示された電気ヒューズ回路では、上述のように小型化に対応できないという課題があった。
【0013】
そこで、本発明に係る温度補償型水晶発振制御用集積回路は、水晶振動子と接続され、該水晶振動子の周波数調整を行う周波数調整データが書き込まれるPROM回路を有した温度補償型水晶発振制御用集積回路であって、電源電圧が入力される電源端子と、前記水晶振動子の両端と接続される二つの水晶振動子接続端子と、前記水晶振動子の周波数調整を行う周波数調整部に接続され、外部制御電圧が入力される外部制御端子と、前記水晶振動子の発振出力が出力される発振出力端子と、書込み許可部と、を備え、前記電源端子、前記外部制御端子、及び前記発振出力端子のうちいずれかは、前記PROM回路への前記周波数調整データの書込みを許可するプログラムイネーブル信号がさらに入力される共用端子であり、前記共用端子への入力から前記プログラムイネーブル信号を検出するプログラムイネーブル信号検出部をさらに備え、かつ、前記書込み許可部は、前記プログラムイネーブル信号検出部によって前記プログラムイネーブル信号が検出されたとき、前記PROM回路への前記周波数調整データの書込みを許可するように構成されている、こととする。
【0014】
上記の構成によって、温度補償型水晶発振制御用集積回路において標準的に設けられている6つの端子(電源端子、接地端子、2つの水晶振動子接続端子、外部制御端子、発振出力端子)から端子数を増やすことなく、電源端子、外部制御端子、及び発振出力端子のうちのいずれかを、プログラムイネーブル信号がさらに入力される共用端子とすることができる。これにより、温度補償型水晶発振制御用集積回路及びそれを実装するTCXOモジュールの更なる小型化の実現が容易なものとなる。また、プログラムイネーブル信号が検出されない場合には、PROM回路への周波数調整データの書込みが許可されないので、PROM回路が誤ってプログラムされることを防止することができる。
また、上記の温度補償型水晶発振制御用集積回路であって、前記温度補償型水晶発振制御用集積回路は前記PROM回路へ前記周波数調整データの書き込みを制御する書込み制御部をさらに備え、前記電源端子及び前記外部制御端子が共に前記書込み制御部に接続され、前記電源端子又は前記外部制御端子のうち一方の端子に前記周波数調整データの内容を含むプログラムデータが入力され、かつ、前記電源端子又は前記外部制御端子のうち他方の端子に前記プログラムデータと同期したプログラムクロックが入力される、としてもよい。
【0015】
上記の構成によって、上記の温度補償型水晶発振制御用集積回路の標準的な端子数を増やすことなく、プログラムイネーブル信号が入力される端子に加えて、プログラムデータ及びプログラムクロックが入力される端子を設けることができる。これにより、温度補償型水晶発振制御用集積回路及びそれを実装するTCXOモジュールの更なる小型化の実現が容易となる。
【0016】
また、上記の温度補償型水晶発振制御用集積回路であって、前記プログラムイネーブル信号検出部は、前記共用端子に入力された電圧(以下、共用端子入力電圧という)が、該共用端子である前記電源端子、前記外部制御端子、及び前記発振出力端子のうちいずれかに入力又は出力されるべき前記電源電圧、外部制御電圧、及び発振出力のうちいずれかの電圧の最大電圧よりも高い場合に、該共用端子入力電圧を前記プログラムイネーブル信号として検出するよう構成されている、としてもよい。
【0017】
上記の構成により、共用端子入力電圧が、電源電圧、外部制御電圧及び発振出力のうちのいずれかの電圧であるか、若しくはプログラムイネーブル信号であるかを検出する回路と該検出された信号を後段の回路に向けて分配する回路とを簡易な構成で実現することができる。
【0018】
また、上記の温度補償型水晶発振制御用集積回路であって、前記温度補償型水晶発振制御用集積回路はさらに接地端子を備え、前記プログラムイネーブル信号検出部は、非反転入力端子と反転入力端子と発振出力端子とを有した差動増幅器型コンパレータと、前記共用端子に接続された第1の抵抗素子と該第1の抵抗素子と前記接地端子との間に該接地端子に向かって順方向となるように接続されたダイオード特性を有するダイオード素子とを備える直列回路と、前記共用端子と前記接地端子との間に互いに直列に接続された第2の抵抗素子と第3の抵抗素子とを備える直列回路と、を有し、前記差動増幅器型コンパレータの前記反転入力端子には、前記第1の抵抗素子と前記ダイオード素子との接続点から取り出された第1の電圧が入力され、前記差動増幅器型コンパレータの前記非反転入力端子には、前記第2の抵抗素子と前記第3の抵抗素子との接続点から取り出された第2の電圧が入力され、かつ前記第2の電圧が前記第1の電圧を上回るときに前記差動増幅器型コンパレータの前記発振出力端子から前記書込み許可部に前記PROM回路への前記周波数調整データの書込みを許可する信号が出力されるように構成されている、としてもよい。
【0019】
上記の構成により、プログラムイネーブル信号は他の信号よりも高い電圧が必要とされるという特性を考慮に入れて、共用端子に入力されたプログラムイネーブル信号の検出を行う回路を簡易な構成により実現することができる。
また、上記の温度補償型水晶発振制御用集積回路であって、前記第1の抵抗素子と前記接地端子との間に、トータルの順方向電圧が前記最大電圧を上回る複数の前記ダイオード素子が直列に接続されている、としてもよい。
上記の構成により、共用端子に入力されるプログラムイネーブル信号の検出精度を向上させることができる。
【0020】
また、上記の温度補償型水晶発振制御用集積回路であって、前記プログラムイネーブル信号の電圧は、前記トータルの順方向電圧を上回り、かつ前記温度補償型水晶発振制御用集積回路の最大定格電圧を下回る、としてもよい。
上記の構成により、共用端子に入力されるプログラムイネーブル信号の検出精度の向上とプログラムイネーブル信号が有効に機能するか否かを表す実効性の向上とをバランス良く実現することができる。
【0021】
また、上記の温度補償型水晶発振制御用集積回路であって、前記第1の電圧と前記第2の電圧が一致する電圧は、前記トータルの順方向電圧と前記プログラムイネーブル信号の電圧との略中間電圧である、としてもよい。
【0022】
上記の構成により、プログラムイネーブル信号の検出精度を向上させることができる。
【0023】
また、上記の温度補償型水晶発振制御用集積回路であって、前記共用端子は、前記電源端子である、としてもよい。
【0024】
また、上記の温度補償型水晶発振制御用集積回路であって、前記共用端子は、前記外部制御端子である、としてもよい。
また、上記の温度補償型水晶発振制御用集積回路であって、前記共用端子は、前記発振出力端子である、としてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、共用端子により温度補償型水晶発振制御用集積回路の端子数が削減され、TCXOモジュールの更なる小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は本発明の第1の実施の形態におけるTCXOモジュールの裏面側から観察されるその一般的な内部構造を示した参考図である
【図2A】図2Aは本発明の第1の実施の形態における温度補償型水晶発振制御用集積回路の構成を示した図である。
【図2B】図2Bは図2Aに示した温度補償型水晶発振制御用集積回路における共用端子の入力波形例を示した図である。
【図3】図3は本発明の第1の実施の形態におけるプログラムイネーブル制御に係る詳細な回路構成を例示した図である。
【図4】図4は図3に示したFPEN信号検出回路の動作を説明するための図である。
【図5A】図5Aは本発明の第2の実施の形態における温度補償型水晶発振制御用集積回路の構成を示した図である。
【図5B】図5Bは図5Aに示した温度補償型水晶発振制御用集積回路における共用端子の入力波形例を示した図である。
【図6A】図6Aは本発明の第3の実施の形態における温度補償型水晶発振制御用集積回路の構成を示した図である。
【図6B】図6Bは図6Aに示した温度補償型水晶発振制御用集積回路における共用端子の入力波形例を示した図である。
【図7】従来の電球ヒューズ回路の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0028】
(第1の実施形態)
[TCXOモジュールの内部構造]
図1は、本発明の第1の実施形態における携帯電話機等の通信機器の基準クロック源として用いられるTCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator;温度補償型水晶発振器)モジュールの裏面側から観察されるその一般的な内部構造を示した図である。なお、TCXOモジュールは、上記のとおり、温度補償機能付きの水晶発振器をモジュール化したものをいい、VCTCXOやTCVCXO等の各モジュールを含むものとする。
図1に示されるTCXOモジュール10は、近年主流であった“2.5mm×2.0mm”よりも小型な“2.0mm×1.6mm”のモジュールサイズを採用している。TCXOモジュール10は、長方形状のリードフレーム20に6つの端子を持つ温度補償機能を備えた水晶発振器を集積化した集積回路(以下、温度補償型水晶発振制御用集積回路と呼ぶ。)100及び図2に示す水晶振動子119が実装された上で、モールド樹脂等で封止されて構成されている。
【0029】
リードフレーム20の四隅には、リードフレーム20が封止された状態で外部に露出させる外部パッド11乃至14が配置されている。外部パッド11に接続されたリードの先端にはパッド1が設けられ、外部パッド12に接続されたリードの先端にはパッド2が設けられ、外部パッド13に接続されたリードの先端にはパッド3が設けられ、外部パッド14に接続されたリードの先端にはパッド4が設けられている。パッド1乃至4は、温度補償型水晶発振制御用集積回路100が備える外部制御電圧VCが入力される外部制御端子、基準電位GNDと接続する接地端子、発振出力OUTを出力する発振出力端子、電源電圧VCCが入力される電源端子にそれぞれ結線されるように対応付けられている。
【0030】
リードフレーム20の内枠には、リードフレーム20が封止された状態で外部に露出させない内部電極15、16が配置されており、各々、水晶振動子119の両端に接続されている。内部電極15に接続されたリードの先端にはパッド5が設けられ、内部電極16に接続されたリードの先端にはパッド6が設けられている。パッド5、6は、温度補償型水晶発振制御用集積回路100が備える水晶接続端子(XT1、XT2)に結線されるように対応付けられている。なお、水晶振動子119及び温度補償型水晶発振制御用集積回路100は、TCXOモジュール10内で平行に配置されている。
【0031】
[温度補償型水晶発振制御用集積回路の構成及び機能]
図2Aは、本発明の第1の実施の形態におけるTCXOモジュール10に実装される温度補償型水晶発振制御用集積回路100の構成を示した図である。
【0032】
温度補償型水晶発振制御用集積回路100は、温度補償機能、AFC(Automatic Frequency Control;自動周波数制御)機能、及び周波数補正機能を有した発振器と、プログラムイネーブル機能を実現する回路と、を備えており、外付けされた水晶振動子119の発振を制御する半導体チップである。なお、温度補償機能とは、水晶振動子119の温度に応じた3次関数的な発振周波数のズレを補正する周波数調整のことを指している。AFC機能とは、温度補償型水晶発振制御用集積回路100の外部から供給される基準周波数を表す外部制御電圧VCに水晶振動子119の発振周波数を同調させる周波数調整のことを指している。周波数補正機能とは、発振周波数のズレを直接的に補正する以外に、水晶振動子119に対する負荷容量値や、発振器の感度を補正するなど、発振器を安定的に発振させるための機能のことを指している。プログラムイネーブル機能とは、温度補償型水晶発振制御用集積回路100の電源をオンオフする際や、ブロック単位での電源又は基準電位GNDの一部遮断又は復帰の際に、PROM(Programmable Read Only Memory;書込み可能な読み出し専用メモリ)回路113へ温度補償機能向けの周波数調整データを書込むべく、PROM回路113を構成する電気ヒューズ素子137(図3参照)のうち当該周波数調整データに対応付けられている電気ヒューズ素子137を溶断するプログラムの動作をイネーブル(Enable)からディゼーブル(Disable)に切り替えることで、PROM回路113内の電気ヒューズ素子137(図3参照)が誤ってプログラムされることを防止する機能のことを指している。
【0033】
温度補償型水晶発振制御用集積回路100は、TCXOモジュール10のリードフレーム20に設けられている6つのパッド1乃至6に対応して、6つの端子101乃至106を備えている。
【0034】
端子101は、AFC回路112におけるAFC制御電圧を生成するために用いられる外部制御電圧VCが入力される外部制御端子であるが、外部制御電圧VCの他に、PROM回路113のプログラム制御に用いられるプログラムクロックCLKがさらに入力される共用端子となっている。
【0035】
端子102は、発振器110から出力される発振出力(基準クロック)OUTを外部に出力する発振出力端子である。
【0036】
端子103は、基準電位GNDが与えられる接地端子である。
【0037】
端子104は、電源電圧VCCが入力される電源端子であるが、電源電圧VCCの他に、PROM回路113のプログラム制御に用いられるプログラムデータDATA及びプログラム誤動作防止用のFPEN(Fuse Program Enable;ヒューズプログラムイネーブル)信号がさらに入力される共用端子となっている。
【0038】
端子105、106は、水晶振動子119の両端と接続される水晶接続端子(XT1、XT2)である。
【0039】
温度補償型水晶発振制御用集積回路100は、発振器110と、温度特性補正回路111と、AFC回路112と、PROM回路113と、制御回路114と、FPEN信号検出回路115と、PE(Program Enable;プログラムイネーブル)回路116と、を有する。なお、AFC回路112は本発明に係る「周波数調整部」の一例であり、FPEN信号検出回路115は本発明に係る「プログラムイネーブル信号検出部」の一例であり、PE回路116は本発明に係る「書込み許可部」の一例であり、制御回路114は本発明に係る「書込み制御部」の一例である。
【0040】
発振器110は、水晶接続端子XT1、XT2に水晶振動子119を接続することで帰還ループを形成しており、水晶振動子119を所定の発振条件で発振させて生成される発振出力OUTを端子102から外部に向けて出力する発振回路である。発振器110は、周波数調整用として電圧可変容量素子等が設けられ、該電圧可変容量素子に後述の温度補償電圧V1や後述のAFC電圧V2が入力されることで、水晶振動子119の温度補償や周波数調整を行っている。
【0041】
温度特性補正回路111は、周囲温度Taを検出する温度センサ120を具備し、水晶振動子119の周波数温度特性(3次関数として近似される特性)とは逆の特性を規定した次式の温度補償用関数F(Ta)に、温度センサ120によって検出される周囲温度Taを当てはめることによって、水晶振動子119の周波数温度特性を相殺する温度補償電圧V1を生成する回路である。なお、温度特性補正回路111は、該温度補償電圧V1を発振器110に入力することによって、−30℃〜+80℃の広い温度に対してもppm(100万分の1)のオーダーで周波数を安定化させることができる。
【0042】
V1=F(Ta)
=α(Ta−T0)+β(Ta−T0)+γ ・・・(式1)
ところで、上式の中で、αは3次定数、βは1次定数、γは0次定数、T0は3次関数の変極点を表している。温度補償型水晶発振制御用集積回路100は、温度補償用関数F(Ta)に含まれるα、β、γ、T0(以下、これらを補償定数という)をPROM回路113に予め書き込んでおき、温度特性補正回路111が温度補償電圧V1を生成する際に、PROM回路113に書き込まれている補償定数α、β、γ、T0を読み出すように構成されている。
【0043】
AFC回路112は、外部(例えば温度補償型水晶発振制御用集積回路100が携帯電話機の基準クロック源である場合は基地局)から送信される基準周波数に同期させる目的で設けられる回路であり、具体的には、端子101に入力される該基準周波数を表す外部制御電圧VCに基づいて水晶振動子119の発振周波数を調整するためのAFC電圧V2を生成し、該AFC電圧V2を発振器110に供給する回路である。なお、温度補償型水晶発振制御用集積回路100においては、AFC回路112がAFC電圧V2を生成する際に、PROM回路113からAFC回路112に用いられるゲインやオフセット等の定数Kの値を読み出すように構成されている。
【0044】
PROM回路113は、図3に示される1ビットの電気ヒューズ素子137を必要ビット数分配設して構成されており、該電気ヒューズ素子137の2つの状態(短絡/開放)にプログラムデータDATAの2元符号の2つの元(例えば「0」/「1」)がそれぞれ割り当てられている。従って、プログラムデータDATAに応じて電気ヒューズ素子137を短絡又は開放の状態にすることにより、該プログラムデータDATAをPROM回路113に書き込むことができる。そして、PROM回路113は、特定の入力に対して、該電気ヒューズ素子137の2つの状態に応じて指定された出力(ハイレベル又はローレベル)を発生するように構成されている。従って、該特定の入力を行うことにより、書き込まれたプログラムデータDATAをPROM回路113から読み出すことができる。PROM回路113には、上記の補償定数α、β、γ、T0として予め定められた各値と、AFC回路112の定数Kとして予め定められた値と、が書き込まれている。なお、これらの値(補償定数α、β、γ、T0、定数K)が本発明に係る「周波数調整データ」の一例である。
【0045】
制御回路114は、PROM回路113が備える電気ヒューズ素子137へのプログラミングを制御する回路である。制御回路114は、端子104に入力されるシリアルデータであるプログラムデータDATAと、端子101に入力されるプログラムデータDATAと同期されたプログラムクロックCLKと、が入力され、プログラムデータDATAをプログラムクロックCLKのエッジタイミングに合わせて取り込むように構成されている。なお、プログラムデータDATAは、PROM回路113に書込む周波数調整データの値やその書込み命令等をコーディングした所定のビット数のデータフォーマットに準拠して作成されている。制御回路114は、プログラムクロックCLKに基づいて取り込んだプログラムデータDATAに基づいて、PROM回路113を構成する複数の電気ヒューズ素子137のうちプログラム対象となる電気ヒューズ素子137を特定(選択)するとともに、該特定した電気ヒューズ素子137をプログラムするためのプログラム信号Cを出力する。
【0046】
FPEN信号検出回路115は、端子104に入力された電圧(共用端子入力電圧)がFPEN信号であるか否かを検出する回路である。なお、FPEN信号は、上記のとおり、PROM回路113が備える電気ヒューズ素子137へのプログラムの動作をイネーブル又はディゼーブルにするための制御信号である。換言すると、FPEN信号は、PROM回路113への周波数調整データの書込みを許可又は不許可にするための制御信号ともいえる。
【0047】
PE回路116は、制御回路114から出力されるプログラム信号Cと、FPEN信号検出回路115から出力されるFPEN信号とが入力される。PE回路116は、FPEN信号がディゼーブル(ローレベル)を表す場合にはプログラム信号Cを無効とし(電気ヒューズ素子137へのプログラムが不可能なレベルにし)、FPEN信号がイネーブル(ハイレベル)を表す場合にはプログラム信号Cを有効とする(電気ヒューズ素子137へのプログラムが可能なレベルにする)。
【0048】
図2Bは、図2Aに示した温度補償型水晶発振制御用集積回路100における端子101、104の入力波形例を示した図である。
図2Bにおいて、端子101に入力される波形の例として、プログラムクロックCLKが0Vから2Vまでの動作電圧範囲内で規定されている場合を表している。なお、外部制御電圧VCの波形例は図示されていないが、外部制御電圧VCについてもプログラムクロックCLKと同一の0Vから2Vまでの動作電圧範囲内で規定されている。なお、外部制御電圧VCは、通信機器メーカーにおいてTCXOモジュール10が搭載された通信機器の周波数調整(AFC制御電圧の生成)に用いられる一方、プログラムクロックCLK及びプログラムデータDATAは、TCXOモジュールメーカーにおけるTCXOモジュール10の組立後に、温度補償型水晶発振制御用集積回路100に搭載されているPROM回路113にプログラム(書き込み)が行われる際に用いられる。よって、外部制御電圧VC及びプログラムクロックCLKはそれぞれを使用するメーカーが異なって互いに干渉しないので、端子101は、外部制御電圧VC及びプログラムクロックCLKが入力される共用端子と成り得る。
【0049】
端子104に入力される波形の例として、複数ビットのプログラムデータDATA(D0、D1、D2・・・)が2Vから3Vまでの動作電圧範囲内で規定されており、FPEN信号がプログラムデータDATAの動作電圧範囲の最大動作電圧(3V)よりも高い5Vで規定されている。なお、プログラムデータDATAは、上記データ設定期間に用いられる一方、FPEN信号は、プログラムデータDATA設定後のPROM回路113の所定の電気ヒューズ素子137をプログラムするプログラム期間に用いられる。このことによって、プログラムデータDATA及びFPEN信号はそれぞれ使用電圧及びタイミングが異なって互いに干渉しないので、端子104は、プログラムデータDATA及びFPEN信号が入力される共用端子と成り得る。
【0050】
さらに、電源電圧VCCの波形例は図示されていないが、電源電圧VCCは他の共用化対象であるプログラムデータDATAの閾値電圧及びFPEN信号の動作電圧範囲の最小動作電圧よりも低い電圧(2V)で規定されている。つまり、端子104に入力される信号は、電源電圧VCC(2V)にプログラムデータDATA又はFPEN信号が重畳されたデータとしてフォーマットされており、プログラムデータDATA又はFPEN信号の入力の有無に関わらず温度補償型水晶発振制御用集積回路100に電源電圧VCCが常時入力される。このことによって、端子104は、プログラムデータDATA、FPEN信号、及び電源電圧VCCが入力される共用端子と成り得る。
【0051】
[FPEN信号検出回路及びその周辺回路の構成及び機能]
図3は、本発明の第1の実施の形態におけるFPEN信号検出回路115及びその周辺回路の詳細な回路構成を例示した図である。
【0052】
FPEN信号検出回路115は、端子104と基準電位GNDが与えられる接地端子との間に、抵抗素子131(第1の抵抗素子)及びダイオード特性を有したダイオード素子132の直列回路と、抵抗素子133(第2の抵抗素子)と抵抗素子134(第3の抵抗素子)との直列回路と、を並列に接続している。ダイオード素子132は、接地端子に向かって順方向となるように接続されている。ダイオード素子132は、その両端にON電圧が印加されると導通(ON)し、その両端間の電圧を当該ON電圧にクランプするいわゆるダイオード特性を有する素子であればよい。ダイオード素子132としては、例えば、通常のダイオードの他、ダイオード接続されたトランジスタ、MSMダイオード等の双方向ダイオード、ツェナーダイオード等を用いることができる。なお、ダイオード素子132の個数としては、ダイオード素子132のトータルの順方向電圧(ON電圧)が、端子104にFPEN信号以外で入力されるプログラムデータDATAの動作電圧範囲の最大動作電圧を上回るように設定されている。本実施の形態の場合、ダイオード素子132の個数は4個であり、ダイオード素子132のトータルの順方向電圧は2.8V(=0.7V×4)である。
【0053】
また、FPEN信号検出回路115は、電源電圧VCCよりも高い電圧を持つプログラム電源VDDによって駆動される差動増幅器型コンパレータ135をさらに有する。なお、プログラム電源VDDの電圧は、温度補償型水晶発振制御用集積回路100の最大定格電圧を超えない範囲で出来る限り高い電圧に設定されている。差動増幅器型コンパレータ135では、反転入力端子には抵抗素子131とダイオード素子132との接続点から取り出された比較電圧A(第1の電圧)が入力され、非反転入力端子には抵抗素子133と抵抗素子134との接続点から取り出された基準電圧B(第2の電圧)が入力されている。よって、差動増幅器型コンパレータ135は、比較電圧Aが基準電圧Bを上回る場合にはプログラム電源VDDの電圧であるハイレベルを出力し、比較電圧Aが基準電圧Bを下回る場合には基準電位GND電位(0V)であるローレベルを出力する。差動増幅器型コンパレータ135がハイレベルを出力する場合には、FPEN信号が検出されたことを表しており、差動増幅器型コンパレータ135がローレベルを出力する場合には、FPEN信号が検出されていないことを表している。なお、差動増幅器型コンパレータ135は、FPEN信号の検出を高精度にするために、ヒステリシス特性を備えていることが好ましい。すなわち、差動増幅器型コンパレータ135は、比較電圧Aが(基準電圧B+微小電圧α1)を上回る場合にはプログラム電源VDDの電圧であるハイレベルを出力し、比較電圧Aが(基準電圧B−微小電圧α2)を下回る場合には基準電位GND電位(0V)であるローレベルを出力することが好ましい。
【0054】
制御回路114は、端子104に入力されたプログラムデータDATAを、端子101に入力されたプログラムクロックCLKに基づいて取り込み、プログラム対象とする電気ヒューズ素子137に向けてプログラム信号Cを出力する回路である。制御回路114は、端子104に入力される電源電圧VCCによって駆動される。
【0055】
PE回路116は、PROM回路113と同一のプログラム電源VDDによって駆動される。PE回路116は、一方の入力としてFPEN信号検出回路115から出力されるFPEN信号が入力され、他方の入力として制御回路114から出力されるプログラム信号Cが入力され、該FPEN信号と該プログラム信号Cとの論理積をNMOSトランジスタ138のゲートに向けて出力するAND回路136によって構成されている。
なお、PE回路116は、AND回路136の構成に限定されず、FPEN信号が未検出の場合にはNMOSトランジスタ138のゲートに必ずローレベルの電圧を入力させ、FPEN信号が検出され、かつプログラム信号Cが有効である場合にはNMOSトランジスタ138のゲートにハイレベルの電圧を入力させるような論理回路であればよい。
PROM回路113は、図3では1ビット分の電気ヒューズ回路を表しており、プログラム電源VDDと基準電位GNDが与えられる接地端子との間に電気ヒューズ素子137とNMOSトランジスタ138とを直列接続して構成されている。NMOSトランジスタ138のゲートにハイレベルの電圧が入力されてNMOSトランジスタ138が導通する場合には、プログラム電源VDDから基準電位GNDに向けて電気ヒューズ素子137に電流が流れ、電気ヒューズ素子137が溶断(プログラム)する。なお、PROM回路113は、NMOSトランジスタ138の他にPMOSトランジスタによって構成されてもよい。
【0056】
図4は、図3に示したFPEN信号検出回路115の動作を説明するための図である。
まず、比較電圧Aの特性について説明する。端子104に入力された入力電圧がダイオード素子132の順方向電圧(2.8V)よりも低い場合には、比較電圧Aは、端子104に入力された入力電圧と略同一となる。換言すると、比較電圧Aは入力電圧に応じて増加する。一方、端子104に入力された入力電圧がダイオード素子132の順方向電圧(2.8V)よりも高い場合には、比較電圧Aはダイオード素子132の順方向電圧(2.8V)と略同一となり固定される。
【0057】
つぎに、基準電圧Bの特性について説明する。端子104に入力された入力電圧が抵抗素子133、134に入力されると、基準電圧Bは抵抗素子133と抵抗素子134との抵抗素子分割比に応じて単調増加する。なお、端子104に入力された入力電圧がダイオード素子132の順方向電圧(2.8V)まで単調増加するとき、基準電圧Bはダイオード素子132の順方向電圧(2.8V)よりも低い電圧となる。また、端子104に入力された入力電圧が3.5Vとなるとき、基準電圧Bと比較電圧Aとは一致するものとする。なお、基準電圧Bと比較電圧Aとが一致するときの端子104の入力電圧は、ダイオード素子132の順方向電圧(2.8V)とプログラム電源VDDの電圧(5V)との中間電圧(3.9V)付近となるようにする。
【0058】
よって、端子104に入力された入力電圧が3.5Vよりも下回る場合には、基準電圧Bは比較電圧Aよりも低い電圧であるので、差動増幅器型コンパレータ135は、ローレベル(0V)を出力する。一方、端子104に入力された入力電圧が3.5Vを上回る場合には、基準電圧Bは比較電圧Aよりも高い電圧であるので、差動増幅器型コンパレータ135は、プログラム電源VDDの電圧であるハイレベル(5V)を出力する。ここでは、差動増幅器型コンパレータ135が出力するハイレベルをFPEN信号の検出と対応づけている。したがって、端子104は、3.5Vを境界として動作電圧が異なる少なくとも2つの端子を共用化することができる。
【0059】
[変形例]
端子104には、プログラムデータDATAとFPEN信号とが時分割方式で入力される以外に、プログラムデータDATAとFPEN信号とが所定の変調方式(振幅変調方式、周波数変調方式、位相変調方式等)に従って合成された変調信号が入力されるような構成としてもよい。また、端子104には、電源電圧VCCに該変調信号を重畳させた重畳信号が入力されるような構成としてもよい。この場合、FPEN信号検出回路115は、図2Aに示した構成ではなく、端子104に入力された上記の変調信号からFPEN信号を検波(復調)する回路構成とする。これにより、端子104は、プログラムデータDATA、FPEN信号又は電源電圧VCCが入力される共用端子と成り得る。
端子101には、外部制御電圧VCとプログラムクロックCLKとが時分割方式で入力される以外に、外部制御電圧VCとプログラムクロックCLKとが所定の変調方式(振幅変調方式、周波数変調方式、位相変調方式等)に従って合成された変調信号が入力されるような構成としてもよい。これにより、端子101は、外部制御電圧VC又はプログラムクロックCLKが入力される共用端子と成り得る。
【0060】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態では、温度補償型水晶発振制御用集積回路が具備する6つの端子101乃至106のうち共用端子とする端子101及び端子104に入力される内容とそれに対応するための集積回路の構成が第1の実施の形態と相違している。なお、温度補償型水晶発振制御用集積回路が実装されるTCXOモジュールの構成については、図1に示したTCXOモジュール10と同様であるので説明を省略する。また、FPEN信号を検出する回路の構成についても、図3に示したFPEN信号検出回路115と同様であるので説明を省略する。
【0061】
図5Aは、本発明の第2の実施の形態における温度補償型水晶発振制御用集積回路200の構成を示した図である。
【0062】
端子101は、外部制御電圧VCが入力される外部制御端子であるが、プログラムデータDATA、又はFPEN信号がさらに入力される共用端子とする。端子104は、電源電圧VCCが入力される電源端子であるが、プログラムクロックCLKがさらに入力される共用端子とする。なお、端子102、103、105、106の機能については、図2Aに示した温度補償型水晶発振制御用集積回路100と同様であるので説明を省略する。
【0063】
図5Bは、図5Aに示した温度補償型水晶発振制御用集積回路200における共用端子101、104の入力波形例を示した図である。
【0064】
図5Bにおいて、端子101に入力される波形の例として、複数ビットのプログラムデータDATA(D0、D1、D2・・・)が0Vから2Vの範囲内で規定されており、FPEN信号がプログラムデータDATAの動作電圧範囲の最大動作電圧よりも高い5Vで規定されている。なお、外部制御電圧VCの波形例は図示されていないが、外部制御電圧VCは、プログラムデータDATAと同一の0Vから2Vまでの動作電圧範囲で規定されている。
【0065】
ここで、外部制御電圧VCは、通信機器メーカーにおいて温度補償型水晶発振制御用集積回路200が搭載された通信機器の周波数調整に用いられる一方、プログラムクロックCLK及びプログラムデータDATAは、TCXOモジュールメーカーにおけるTCXOモジュール10の組立後に、温度補償型水晶発振制御用集積回路200の出荷時等にPROM回路113にプログラムする際に用いられる。また、FPEN信号は、上記データ設定期間の後でPROM回路113に実際にプログラムする際のプログラム期間に用いられる。さらに、FPEN信号は、プログラムデータDATA及び外部制御電圧VCの動作電圧範囲の最大動作電圧よりも高い電圧が規定されている。このことによって、端子101は、プログラムデータDATA、FPEN信号、及び外部制御電圧VCが入力される共用端子と成り得る。
【0066】
端子104に入力される波形の例として、プログラムクロックCLKが3.5Vから5Vまでの動作電圧範囲内で規定されている場合を表している。なお、電源電圧VCCの波形例は図示されていないが、電源電圧VCCはプログラムクロックCLKの動作電圧範囲の最小動作電圧である3.5Vで規定されている。よって、端子104にはプログラムクロックCLKの入力の有無に関わらず温度補償型水晶発振制御用集積回路200に常時入力されることとなり、端子104は、プログラムクロックCLK及び電源電圧VCCが入力される共用端子と成り得る。
【0067】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態では、温度補償型水晶発振制御用集積回路が具備する6つの端子101乃至106のうち、端子101、端子102、及び端子104において共用化される内容とその共用化に対応するための集積回路の構成が相違している。なお、温度補償型水晶発振制御用集積回路が実装されるTCXOモジュールの構成については、図1に示したTCXOモジュール10と同様であるので説明を省略する。また、FPEN信号を検出する回路の構成についても、図3に示したFPEN信号検出回路115と同様であるので説明を省略する。
【0068】
図6Aは、本発明の第3の実施の形態における温度補償型水晶発振制御用集積回路300の構成を示した図である。
【0069】
端子101は、外部制御電圧VCが入力される外部制御端子であるが、プログラムデータDATAが更に入力される共用端子とする。端子102は、発振出力OUTを出力する発振出力端子であるが、FPEN信号が入力される共用端子とする。端子104は、電源電圧VCCが入力される電源端子であるが、プログラムクロックCLKが入力される共用端子とする。なお、端子103、105、106の機能については、図2Aに示した温度補償型水晶発振制御用集積回路100と同様であるので説明を省略する。
【0070】
図6Bは、図6Aに示した温度補償型水晶発振制御用集積回路300における共用端子101、102、104の入力波形例を示した図である。
【0071】
図6Bにおいて、端子101に入力される波形の例として、複数ビットのプログラムデータDATA(D0、D1、D2・・・)が0Vから2Vまでの動作電圧範囲内で規定されている。なお、外部制御電圧VCの波形例は図示されていないが、外部制御電圧VCについてもプログラムデータDATAと同一の0Vから2Vまでの動作電圧範囲で規定されている。ここで、外部制御電圧VCは、通信機器メーカーにおいて温度補償型水晶発振制御用集積回路300が搭載された通信機器の周波数調整に用いられる一方、プログラムクロックCLK及びプログラムデータDATAは、TCXOモジュールメーカーにおけるTCXOモジュール10の組立後に、温度補償型水晶発振制御用集積回路300の出荷時等にPROM回路113にプログラムする際に用いられる。このことによって、プログラムデータDATA及び外部制御電圧VCはそれぞれを使用するメーカーが異なって互いに干渉しないので、端子104は、プログラムデータDATA及びFPEN信号が入力される共用端子と成り得る。
【0072】
端子102に入力される波形の例として、FPEN信号が上記のプログラムデータDATAの動作電圧範囲の最大動作電圧よりも高い5Vで規定されている。なお、発振器110の発振出力の波形例については図示されていないが、電源電圧VCCと略同一の電圧で規定される。なお、FPEN信号によってPROM回路113へのプログラムが実行された後に、発振器110の発振出力OUTが外部に出力されるので、使用時期が異なり、端子102は、FPEN信号が入力されるとともに発振出力OUTが出力される共用端子と成り得る。
【0073】
端子104に入力される波形の例として、プログラムクロックCLKが3.5Vから5Vまでの動作電圧範囲内で規定されている場合を表している。なお、電源電圧VCCの波形例は図示されていないが、電源電圧VCCはプログラムクロックCLKの動作電圧範囲の最小動作電圧である3.5Vで規定されている。つまり、プログラムクロックCLKの入力の有無に関わらず温度補償型水晶発振制御用集積回路300に電源電圧VCCが常時入力されることとなるので、端子104は、電源電圧VCC及びプログラムクロックCLKが入力される共用端子と成り得る。
【0074】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、水晶振動子の周波数調整を行う周波数調整データが書き込まれるPROM回路を有した温度補償型水晶発振制御用集積回路にとって有用である。
【符号の説明】
【0076】
1〜6 パッド
10 TCXOモジュール
100、200、300 温度補償型水晶発振制御用集積回路
101〜106 端子
11〜14 外部パッド
15、16 内部パッド
20 リードフレーム
110 発振器
111 温度特性補正回路
112 AFC回路
113 PROM回路
114 制御回路
115 FPEN信号検出回路
116 PE回路
119 水晶振動子
120 温度センサ
131、133、134 抵抗素子
132 ダイオード素子
135 差動増幅器型コンパレータ
136 AND回路
137 電気ヒューズ素子
138 NMOSトランジスタ
501 電気ヒューズ素子
502 NMOSトランジスタ
503 AND回路
504 バッファ回路
505 制御回路
506 レベルシフタ
507 抵抗素子
508 パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶振動子と接続され、該水晶振動子の周波数調整を行う周波数調整データが書き込まれるPROM回路を有した温度補償型水晶発振制御用集積回路であって、
電源電圧が入力される電源端子と、
前記水晶振動子の両端と接続される二つの水晶振動子接続端子と、
前記水晶振動子の周波数調整を行う周波数調整部に接続され、外部制御電圧が入力される外部制御端子と、
前記水晶振動子の発振出力が出力される発振出力端子と、
書込み許可部と、
を備え、
前記電源端子、前記外部制御端子、及び前記発振出力端子のうちいずれかは、前記PROM回路への前記周波数調整データの書込みを許可するプログラムイネーブル信号がさらに入力される共用端子であり、
前記共用端子への入力から前記プログラムイネーブル信号を検出するプログラムイネーブル信号検出部をさらに備え、
かつ、前記書込み許可部は、前記プログラムイネーブル信号検出部によって前記プログラムイネーブル信号が検出されたとき、前記PROM回路への前記周波数調整データの書込みを許可するように構成されている、温度補償型水晶発振制御用集積回路。
【請求項2】
前記温度補償型水晶発振制御用集積回路は前記PROM回路へ前記周波数調整データの書き込みを制御する書込み制御部をさらに備え、
前記電源端子及び前記外部制御端子が共に前記書込み制御部に接続され、
前記電源端子又は前記外部制御端子のうち一方の端子に前記周波数調整データの内容を含むプログラムデータが入力され、かつ、前記電源端子又は前記外部制御端子のうち他方の端子に前記プログラムデータと同期したプログラムクロックが入力される、請求項1に記載の温度補償型水晶発振制御用集積回路。
【請求項3】
前記プログラムイネーブル信号検出部は、前記共用端子に入力された電圧(以下、共用端子入力電圧という)が、該共用端子である前記電源端子、前記外部制御端子、及び前記発振出力端子のうちいずれかに入力又は出力されるべき前記電源電圧、外部制御電圧、及び発振出力のうちいずれかの電圧の最大電圧よりも高い場合に、該共用端子入力電圧を前記プログラムイネーブル信号として検出するよう構成されている、請求項2に記載の温度補償型水晶発振制御用集積回路。
【請求項4】
前記温度補償型水晶発振制御用集積回路はさらに接地端子を備え、
前記プログラムイネーブル信号検出部は、
非反転入力端子と反転入力端子と発振出力端子とを有した差動増幅器型コンパレータと、
前記共用端子に接続された第1の抵抗素子と該第1の抵抗素子と前記接地端子との間に該接地端子に向かって順方向となるように接続されたダイオード特性を有するダイオード素子とを備える直列回路と、
前記共用端子と前記接地端子との間に互いに直列に接続された第2の抵抗素子と第3の抵抗素子とを備える直列回路と、を有し、
前記差動増幅器型コンパレータの前記反転入力端子には、前記第1の抵抗素子と前記ダイオード素子との接続点から取り出された第1の電圧が入力され、
前記差動増幅器型コンパレータの前記非反転入力端子には、前記第2の抵抗素子と前記第3の抵抗素子との接続点から取り出された第2の電圧が入力され、
かつ前記第2の電圧が前記第1の電圧を上回るときに前記差動増幅器型コンパレータの前記発振出力端子から前記書込み許可部に前記PROM回路への前記周波数調整データの書込みを許可する信号が出力されるように構成されている、請求項3に記載の温度補償型水晶発振制御用集積回路。
【請求項5】
前記第1の抵抗素子と前記接地端子との間に、トータルの順方向電圧が前記最大電圧を上回る複数の前記ダイオード素子が直列に接続されている、請求項4に記載の温度補償型水晶発振制御用集積回路。
【請求項6】
前記プログラムイネーブル信号の電圧は、前記トータルの順方向電圧を上回り、かつ前記温度補償型水晶発振制御用集積回路の最大定格電圧を下回る、請求項5に記載の温度補償型水晶発振制御用集積回路。
【請求項7】
前記第1の電圧と前記第2の電圧が一致する電圧は、前記トータルの順方向電圧と前記プログラムイネーブル信号の電圧との略中間電圧である、請求項6に記載の温度補償型水晶発振制御用集積回路。
【請求項8】
前記共用端子は、前記電源端子である、請求項2に記載の温度補償型水晶発振制御用集積回路。
【請求項9】
前記共用端子は、前記外部制御端子である、請求項2に記載の温度補償型水晶発振制御用集積回路。
【請求項10】
前記共用端子は、前記発振出力端子である、請求項2に記載の温度補償型水晶発振制御用集積回路。


【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−135536(P2011−135536A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295670(P2009−295670)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】