測長校正用標準部材及びその作製方法及びこれを用いた校正方法及び装置
【課題】電子ビーム装置で用いられる測長校正を高精度で行う標準部材を提供する。
【解決手段】一次元回折格子を貼り合せウェーハに配置させることにより実測ウェーハと同じ高さでの高精度校正や装置間校正が可能となる。かつ表面シリコン層に一定電圧を加える構成とすることにより二次電子信号強度が大きく取れ微弱電子ビームでも良好な二次電子信号像が得られる。さらに一次元回折格子をウェーハ内の複数箇所に設置させることにより大口径ウェーハにおける面内位置毎の校正が保証される。
【解決手段】一次元回折格子を貼り合せウェーハに配置させることにより実測ウェーハと同じ高さでの高精度校正や装置間校正が可能となる。かつ表面シリコン層に一定電圧を加える構成とすることにより二次電子信号強度が大きく取れ微弱電子ビームでも良好な二次電子信号像が得られる。さらに一次元回折格子をウェーハ内の複数箇所に設置させることにより大口径ウェーハにおける面内位置毎の校正が保証される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路などの製造プロセスに用いられる電子ビーム装置の寸法校正試料に係り、特に、高精度な電子ビーム測長装置の校正試料および電子ビーム測長装置の校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子ビーム装置のビーム校正には、例えば特許文献1および図4にように、シリコンチップ上に一次元回折格子パターンを含んだ校正用標準部材(標準試料)26をホルダー27に貼りつけ、このホルダーを測定するウェーハ近傍のステージ29上に配置させる所謂貼り付け型の標準試料が広く用いられている。この他非特許文献1のようにウェーハ内に機械加工で凹部を作り段差10μm程度でチップを埋め込む、所謂埋め込み型の標準試料が用いられている。
【0003】
【特許文献1】特許03488745号公報
【0004】
【非特許文献1】SPIE Microlithography 4689-59, 2002およびVLSIスタンダード社カタログ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体素子の微細化に伴い、半導体素子の高精度測長が必要になってきている。従来の技術では、標準部材は例えば図4のように試料ステージ上のウェーハとは別の位置に固定設置されていた。このような場合、複数装置間で一つの標準部材を共用しようとすると、装置間で標準部材を移動させる度に装置内の真空を破らなければならず。検査スループットが低下するという問題がある。このため従来では各装置に標準部材をそれぞれ装備し、校正を行っていた。しかしながら各装置で異なる標準部材を用いるため、複数の装置間での測長精度にばらつきが発生してしまっていた。
【0006】
そこで例えば非特許文献1に開示されているような、単層シリコンからなるウェーハ内に機械加工で凹部を作り校正パターン(チップ)を埋め込む方式の標準部材であれば、ウェーハ搬送経路から真空を破らずに標準部材の取出しが可能となり、複数装置間で使用可能となると考えられる。しかし、単層シリコンウエーハに校正パターンを埋め込む方式では、機械加工精度に限界があり段差精度は現在10μm程度が限界である。さらに、機械加工の際に加工面の水平度に誤差が生じてしまうという問題も生じる。このようにウェーハとウェーハに埋め込まれた校正パターンとの高さ、すなわち測定対象と校正パターンとの高さが異なると、電子ビーム装置の焦点位置が異なるために誤差が生じてしまうという問題があった。上記高さ誤差を例えば高さセンサ等による校正で補おうとしても、高さセンサの校正誤差による測長精度の劣化は避けられない。
また従来の校正部材には単層シリコンが用いられているため、機械加工に伴うラフネスの影響による校正精度劣化は避けられなかった。このラフネスの問題は、測長が高精度を要求されるほど顕著な問題となる。
さらに一次元回折格子パターンを用いて校正を行う場合、一次元回折格子パターンのライン部と溝部の二次電信号コントラストが十分取れることが必要となる。例えばArFレジストやLow−k材料等では5pA以下程度の電流条件で電子ビーム装置校正を行う必要がある。しかし、このような低電流条件では、二次電子信号強度が低下し、コントラストが十分取得できずピッチ測定の再現性が低下するという問題があった。
本発明の目的は、電子ビーム装置を精度良く校正することが可能な寸法校正標準試料および電子ビーム装置校正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を達成するために、電子ビーム測長装置で測定する半導体ウェーハと略同じ厚さ、同じ直径のウェーハ上に所定のピッチ寸法で配列された校正用パターン、好適には一次元回折格子パターンを形成し、上記校正用ウェーハ(測長校正部材)を電子ビーム測長装置に搭載することによりビーム校正を行う。校正用ウェーハと測定したいウェーハとの直径を同一にすることで、校正試料用に別途真空搬送手段を設けることなく測定したいウェーハと同じ搬送系で校正用ウェーハをステージに設置できる。更に複数装置間において同一試料を用いた機差校正が可能となるため測長精度のばらつきを減少させることが可能となる。
【0008】
さらに本発明では校正用部材作成において、パターンの高さや解像性を維持するために、同一のエッチング物質に対し、耐性のない第一の材料層と耐性のある第二の材料層を少なくとも有する多層構造からなる基板を校正用部材に用いた。また、好適にはSOI(貼り合せ)基板またはSOI(貼り合せ)基板およびインプリント転写を採用する。この校正用パターン形成ではSOI(貼り合せ)基板に内在した絶縁材料である酸化膜層がエッチング停止層となることで高さの均一化も可能となり、理想的な垂直断面の校正パターンの作成が実現できる。
また、例えばSOI(貼り合せ)基板上の表面の導電性材料層であるシリコン層に一次元回折格子パターンを含んだ校正マークを形成し、基板にレーザを照射する。レーザ照射により酸化膜が熱伝導を妨げ、上記一次元回折格子パターンの表面溶融によりパターンのラフネス低減が可能となる。また表面シリコン層を接地する、あるいは一定の電圧を印加することにより下層の導電性材料層、例えばシリコン層との電位コントラストを強調させることができ、SN比の高い二次電子像が得られ、高精度な電子ビーム測長装置の校正が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、測定したいウェーハと校正部材との大きさ及び高さを略一致させることが可能となるため高精度なビーム校正を行うことが可能となる。また、ウェーハの測定したい位置(高さを含む)に校正マークを適切に配置できるので電子ビーム装置を精度良く校正することが可能となる。更に複数の電子ビーム装置間における測長値校正を精度良く実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、具体的な実施例について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1に、本実施例に用いる電子ビーム測長装置の構成を示す。
照射光学系の動作としては、電子銃(電子源)1から放出された電子ビーム2を、偏向器4により、試料7上で走査する。ステージ9上には校正用マークを含んだウェーハ7が載置されている。また、照射光学系による電子ビーム照射により発生する2次電子6を検出する電子検出器10からの信号に基づいて二次電子像ないし二次電子信号波形の表示および測長を行う。そのときのステージ位置はステージ制御系にて検知、制御される。ここで図1では、各演算部、制御部、表示部等は制御系8に含まれた形態であるが、必ずしも制御系に含まれていなくてもよい。
【0012】
ここで、近年生産で用いる半導体ウェーハは直径が200 mmから300 mmと大口径化が進んでいる。これに対しピッチ寸法が200 nm以下の校正用パターンを形成する電子ビーム描画装置やレーザ干渉露光装置などでは、搬送および露光できる試料寸法に制限があるため、300 mmなどの大口径ウェーハ上へのパターン形成は困難である。このため回折格子パターンを含んだ校正マークを小口径のウェーハ上に形成し、これらのパターンを300 mmなどの大口径ウェーハ上に転写する方式とした。かかる方式とすることで、測長対象を含む大口径化した半導体ウェーハと同一直径を有する校正部材が作成可能となる。
【0013】
図3(a)に本実施例に用いるSOI(貼り合せ)基板上に一次元回折格子パターン18を含んだ校正マークを形成した校正部材19を示す。また、図3(b)は図3(a)のA−A´断面図である。この校正部材の作成方法は図9に示すように以下の通りである。
【0014】
まず図9(a)のように下層シリコン層40、酸化膜層39、上層シリコン層38の厚さがそれぞれ50μm、1μm、725μmで直径300 mmの貼り合せ基板を用意する。次に図9(b)のように上層シリコン層38にレジストを塗布する。レジストを塗布した後、マスクによってレジスト41に所望の形状を転写する。転写した後、図9(c)のように例えば図3(a)に示したマーク(例えばノッチ等)21を基準としてウェーハ内の所望とする位置にアラインメントマーク20を形成しこのアライメントマーク20及びおよび15 mm角の領域の上層シリコン層38をエッチングにより除去する。このとき上層シリコン層38よりも下層に存在する酸化膜層は例えばCF系のようなエッチング物質に対し耐性があるため、エッチング停止層となる。次に図9(d)のように酸化膜層39をシリコンが耐性を持つような、例えばフッ酸系のエッチング物質エッチング物質により除去する。ここで下層シリコン層40は酸化膜層をエッチングする物質に対し耐性を有するためエッチング停止層となる。さらに図9(e)のように除去後の15 mm角の領域の下層シリコン層表面に、別に作製した50μm厚さで12 mm角の一次元回折格子配列よりなるパターンが形成されたシリコンチップ42を貼り付けるが、ここで接着層の帯電を防ぐため導電性接着剤により貼り付けることが好ましい。ここで接着剤の厚さがおよそ1μmなので図3(b)に示すウェーハ上の一次元回折格子パターン22の高さは775から776μmである。半導体生産ラインで使用している直径300 mmのウェーハは775μmであるので測長したいウェーハと校正用部材の高さ誤差は1μm以内であった。このため校正精度は0.5 nm以下が得られた。尚、シリコン層の厚さ等は上記に限定されるものではない。
【0015】
このとき、酸化膜層をエッチングせずに酸化膜層に対して校正パターンを貼り付けてもよい。しかしこの場合、校正パターンが電気的に絶縁されることになるため、校正パターンが帯電してしまう恐れがある。このため好適には、酸化膜層の下層に導電性層を備えた構造とするか、もしくは装置に校正パターンの帯電を除去する手段を備えてもよい。
また、帯電を防止するため酸化膜層の代わりに、上層シリコン層(第一導電性材料層)の下にシリコンをエッチング可能なエッチング物質に対し耐性を有する第二の導電性層を設けてもよい。例えば上述の場合、シリコンを上層としているため、CF系ガスによるエッチングが考えられるが、CF系ガスエッチングに耐性を有するタンタル、タングステンなどを下層に配置すればよい。本実施例では校正用マークが形成される部材としてSOI基板を用いた例を説明したが、SOI基板に限らず、少なくとも所定のエッチング手段に対し、耐性のない第一の材料層と耐性のある第二の材料層を有する多層構造からなる基板であれば良い。構造の例としては、第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する基板、またはさらに第二の材料層表面に積層された第三の材料層を有する基板の表面に底面が第一の材料層表面である開口部を有する構造とし、当該開口部に校正用パターンが形成された、基板表面との高さが略等しい第二の基板を設ける構造が挙げられる。
【0016】
次に本実施例の標準試料を用いて図1に示す測長装置の校正を行う方法について説明する。図1においてまずステージ9を移動して校正用マークを含んだウェーハ型標準部材7を測定ウェーハの搭載方法と同じように電子ビーム2直下に位置させる。ビーム走査に対して垂直な一次元回折格子パターンに電子ビームを走査することにより得られた二次電子信号波形から寸法演算部においてピッチ寸法を求める。次に寸法校正演算部により寸法演算部で求めたピッチ寸法と予め光回折法で求められ記憶部に記憶されたピッチ寸法とを比較してその差が0になるようにビーム偏向制御部に補正を行い校正する。
【0017】
従来のようにステージ上に設置された標準部材の場合には測定ウェーハ7と一次元回折格子パターンの高さの差が最大10μm程度あったために校正誤差が1nm以上あった。同様に非特許文献1にあるようにウェーハ内に機械加工やエッチングで凹部を作りチップを埋め込んでいる場合でも段差10μm程度で校正誤差が1nm以上あった。
これに対し本発明のウェーハ状の校正部材では、測定ウェーハ搭載時の表面とウェーハ型標準部材の一次元回折格子パターンの高さの差が1μm 以内であったので校正精度は0.5 nm以下が得られた。また、標準試料が計測ウェーハと略同じ直径のため計測ウェーハと同じ搬送路によって真空を破ることなく搬入出ができ、高精度なビーム校正を複数装置間で共有できる。さらに本発明による標準試料は、図1に示した装置に限らず、他の電子線応用装置におけるビーム校正にも適用できる。
【実施例2】
【0018】
次に実施の他の一形態として、校正試料の他の構成例について述べる。
図2(a)には本実施例に用いるSOI(貼り合せ)基板上の所望の箇所に少なくとも一つ、一次元回折格子配列よりなるパターンが配置されたウェーハ12を示す。また、図2(b)は図2(a)のB−B´断面図である。このウェーハの作製方法は図10に示すように以下のとおりである。
【0019】
まず図10(a)のように下層シリコン層45、酸化膜層44、上層シリコン層43の厚さがそれぞれ100 nm、1μm、774μmで直径300 mmの貼り合せ基板を用意する。次に上記貼り合せ基板の表面に高分子樹脂を塗布した後、図10(b)のように例えば図2(a)に示したマーク(例えばノッチ)14を基準としたウェーハ内の所望の位置でアラインメントマーク13と一次元回折格子パターンを含んだ校正マークを形成したシリコンチップをモールドとして上記高分子樹脂46に一次元回折格子パターンを含んだ校正マーク11をインプリントする。次にインプリントした高分子樹脂をマスクとして上層シリコン層に対して酸化膜44がエッチング耐性を持つようなエッチング物質によりエッチングする。図10(c)のように上記エッチングでは酸化膜層が露出したところで停止するため均一な100 nmの深さで矩形断面形状のエッチングが可能である。好ましくはその後、図10(d)のように露出した酸化膜層44を下層シリコン層がエッチング耐性を持つような、例えばフッ酸系のエッチング物質でエッチングを行う。このエッチングでは図5に示すように酸化膜31が上層シリコン30の内側に後退して上面からは見えなくなるようにエッチングし、下層シリコン層32を露出させる。
【0020】
従来のシリコン33のドライエッチングプロセスでは、図6のようにエッチング底面が平面ではないので上面から観察すると上部のエッジと下面のエッジが観察されてしまうのに対し、本実施例の方法によれば、均一な100 nmの深さで矩形断面形状でかつ下部のエッジの見えない断面形状を実現できた。尚、シリコン層の厚さ等は上記に限定されるものではない。また本実施例では、SOI基板を例に説明したが、先の実施例の如くSOI基板に限らず、所定のエッチング物質に対し、耐性のない第一の材料と耐性のある第二の材料を有する多層構造からなる基板であれば良い。構造の例としては、第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する基板、またはさらに第二の材料層表面に積層された第三の材料層を有する基板の表面に所定のピッチ寸法で配列された溝部を有する校正用パターンにおける当該溝部の底面が前記第一の材料層表面である校正用部材などが挙げられる。
【0021】
校正では、図1でまずステージを移動して校正用マークを電子ビーム直下に位置させる。ビーム走査に対して垂直な一次元回折格子パターンに電子ビームを走査することにより得られた二次電子の信号波形から寸法演算部においてピッチ寸法を求める。次に寸法校正演算部により、寸法演算部で求めたピッチ寸法と予め光回折法で求められ記憶部に記憶されたピッチ寸法とを比較してその差が0になるようにビーム偏向制御部に補正を行い校正する。
【0022】
このとき図6に示すような従来の形状ではピッチ測定において下部エッジと上部エッジの誤認識により同一箇所のピッチ測定ばらつきが標準偏差で3nmあったため、例えば20点平均での平均値の絶対精度は1nm程度となってしまった。これに対し、本実施例の校正部材によるピッチ測定では下部エッジと上部エッジの誤認識がなくなりピッチ測定ばらつきが標準偏差で1 nm以下であるため、面内20点平均での平均値の絶対精度が0.5 nm以下となった。
【0023】
さらに従来の校正試料の一次元回折格子パターンを上面から観察した際、機械加工に伴うラフネスの影響による凹凸が存在するため、約1mm角内の面内ばらつきの標準偏差が3nmであった。これに対し本実施例ではラフネスの影響軽減するため、校正試料に対しエキシマレーザ等のレーザ光を照射する。レーザを照射することにより、従来の構造では照射熱がシリコン基板に拡散したために何の変化もなかったが、図5のような本実施例の構造によれば、酸化膜がシリコン層間に内在するため熱拡散が抑えられ一次元回折格子パターンの表面シリコン部が溶融して凹凸が緩和され、約1mm角内の面内ばらつきの標準偏差が1nm以下に減少した。このため面内20点平均での平均値の絶対精度は0.5nm以下が得られた。
【実施例3】
【0024】
次に第三の実施例について述べる。
電子ビーム測長装置の校正には実施例1または2の校正部材を用いる。まず図1でステージ9に校正部材7を搭載し、ステージ9を移動して校正部材7に形成された校正用マークを電子ビーム直下に位置させる。校正部材であるウェーハの固定は機械的な押し付け固定である。ビーム走査に対して垂直な一次元回折格子パターンに電子ビームを走査する。当該電子ビームの照射により発生する二次電子を検出する。検出した二次電子の信号波形を基に寸法演算部においてピッチ寸法を求め、寸法校正演算部により寸法演算部で求めたピッチ寸法と予め光回折法で求められ記憶部に記憶されたピッチ寸法とを比較してその差が0になるようにビーム偏向制御部に補正を行い校正する。
【0025】
校正の際には、一次元回折格子パターンのライン部と溝部の二次電信号コントラストが十分取れることが必要となる。校正標準部材の溝深さは均一でかつ上層シリコン層の厚さで決定される。例えばArFレジストやLow−k材料のような5pA以下のような低電流条件で電子ビーム装置校正を行う場合では、二次電子信号強度が低下し、コントラストが十分取得できずピッチ測定の再現性が標準偏差で10nmであった。
【0026】
そこで図8のように一次元回折格子パターンのある上層シリコン層36の表面に電源47から蝕針35を通して一定電圧を加える。この際電圧印加は制御系8によって制御される。ここで電源47は筐体内部に配置されているが筐体の外もしくは制御系8内部に配置されても良い。蝕針を通して電圧を印加した結果、ステージ37で接地された下層のシリコン層との電位コントラストによる二次電子信号強度が大きくなることによってピッチ測定の再現性が標準偏差で1nm以下となった。また蝕針により上層シリコン層を絶縁することによる電子ビームの上層シリコン層への時間蓄積によっても同様な効果が得られた。
【実施例4】
【0027】
次に第四の実施例ついて述べる。
電子ビーム測長装置の校正には、特に複数の一次元回折格子パターンを有する実施例1または2の校正部材7を校正試料として用いる。また、本実施例における校正部材7の電子ビーム装置の固定方法を静電チャックによる固定とした。静電チャックのウェーハ固定では、ウェーハ周辺部での電界漏洩が生じるために、ウェーハ高さは均一になるが電子ビーム偏向の電界の影響で測定ウェーハ中心部と周辺部で測長値に異常な差が生じてしまう場合がある。
【0028】
校正手順を図1及び図7の手順を例に説明する。まずステージ9に校正部材7を搭載し、次にステージ9を移動させ複数あるうちの任意の校正用マーク7を電子ビーム直下に位置させる。校正部材7であるウェーハの固定は静電チャック固定である。ビーム走査に対して垂直な一次元回折格子パターンに電子ビームを走査して二次電子信号波形から寸法演算部においてピッチ寸法を求め寸法校正演算部により上記寸法演算部で求めたピッチ寸法と光回折法で求められたピッチ寸法と比較してその差が0になるようにビーム偏向制御部に補正を行い校正する。
【0029】
次に上記とは異なる位置に配置された校正パターンについて、上記の方法によりピッチ寸法を求める。この操作を校正パターン毎に行う。そしてそれぞれ求めた一次元回折格子パターンのピッチ寸法を比較し、校正位置とその位置での校正係数を記憶部に記憶する。また、これらを表示部に表示しても良い。
測長時には上記記憶していた校正位置と校正係数に基づき制御部により測長値の校正を行う。このように校正部材の複数箇所に校正パターンを配置することにより、測長したいウェーハ内のどの位置でもピッチ測定の再現性が標準偏差で1nm以下が得られた。
【0030】
本実施例によれば、同一ウェーハ上の複数の位置に校正マークを配置できるので試料固定方法による測長値のウェーハ内位置依存性のある場合でも電子ビーム装置の測長値校正を精度良く実現できる。本実施例では静電チャックによる固定方法を示したが、他の固定方法においても同様の効果を奏する。例えば機械的な押し付け固定による固定方法では、校正ウェーハの中心近傍及びウェーハ中心近傍を同心円上に囲うように校正パターンを配置すればウェーハの反りの影響による校正誤差を無くすことが可能となる。
【実施例5】
【0031】
次に第5の実施例について、先の実施例で述べた校正部材を用いて、複数装置間で同一の校正部材により校正を行う例を以下に示す。
半導体デバイスを生産する場合には図13にあるように複数枚、例えば10枚のウェーハを図11のような同一加工工程で処理を行う。10枚のウェーハはウェーハカセット100に収納されて装置間を搬送され、各装置103ではウェーハカセット100からウェーハ101を搬送ロボット102により装置内のステージ104に搬送して、1枚ごとあるいは複数枚の処理を行った後、搬送ロボット102によりウェーハカセット100に収納し次の装置へ移動する。
【0032】
半導体デバイスを生産するプロセスでは図11のように加工の後に検査工程があり、1台の電子ビーム測長装置または複数の電子ビーム測長装置、例えば図11のように電子ビーム測長装置A,Bをそれぞれ用いて検査を行う。この場合には、それぞれの測長装置に備えられている校正部材によって個別に校正を行う。しかし加工装置(ステッパA,BおよびエッチャA,B)の生産能力が大きい場合、1つの検査工程で1台の検査装置では処理が間に合わない状況が発生する。この場合の生産能力は検査装置の処理能力で増減する。
【0033】
そこで本実施例では、図12にあるように複数台の電子ビーム測長装置A,Bを加工後のウェーハ枚数に応じて使い分ける。例えばゲート加工後のウェーハが20枚あり、ホール加工後のウェーハが10枚あった場合にゲート加工後のウェーハを一部測長装置Bで検査して、逆にホール加工後のウェーハが多くなってきた場合にはホール加工後のウェーハを一部測長装置Aで検査を行う。
【0034】
この場合に、それぞれの測長装置において備え付けられている校正部材を用いて個別に校正を行うと、各装置内の校正試料間の誤差が装置間の校正誤差として発生してしまうという問題がある。通常この校正試料間の誤差(例えば高さ誤差)は10μm程度であり、これを測長寸法誤差に置き換えると約1nmの校正誤差が発生してしまい、高精度測長を行う際に大きな問題となる。また、非特許文献1にあるような、ウェーハタイプの標準部材を用いれば複数装置間で同一の標準部材による校正が行えると考えられるが、一次回折格子パターンをウェーハに掘り込むため、機械加工精度に限界があり段差精度は10μm程度が限界である。
【0035】
そこで本実施例では、図14に示すように同一のエッチング物質に対し、耐性のない第一の材料と耐性のある第二の材料を有する多層構造からなる基板に一次元回折格子パターンを含んだウェーハ状の校正部材106を用いる。まずウェーカセット100に設置して、搬送ロボット102により測長装置A107のステージ105に搭載して電子ビーム108を用いて装置校正を行う。校正後は搬送ロボット102によりウェーハカセット100に収納し測長装置Bへ移動して同様の校正を行う。この結果、装置内の校正試料の高さ位置の誤差を1ミクロン以内にでき装置間の校正誤差を0.5 nm以内にすることができた。また測定したいウェーハと上記校正試料の高さも1μm以内にできたので装置間によらずその測定精度を0.5 nm以内にすることができた。
【0036】
このように、複数の測長装置を同じ精度で校正できるので多数の同じプロセスウェーハを検査する場合、上記複数の測長装置で分割して検査が可能となるので、効率の良い生産が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の装置構成を示す図。
【図2】本発明の標準部材を説明する図。
【図3】本発明の標準部材を説明する図。
【図4】従来の装置構成を示す図。
【図5】本発明の標準部材の断面を説明する図。
【図6】従来の標準部材の断面を説明する図。
【図7】本発明の校正手順を説明する図。
【図8】本発明の校正方法を説明する図。
【図9】本発明の標準部材の作製プロセスを説明する図。
【図10】本発明の標準部材の作製プロセスを説明する図。
【図11】デバイス生産フローと使用装置を説明する図。
【図12】本発明のデバイス生産フローと使用装置の例を示す図。
【図13】本発明の校正部材を使用する検査装置の例を示す図。
【図14】本発明の校正部材を使用する検査装置の例を示す図。
【符号の説明】
【0038】
1…電子銃、2,34…電子ビーム、3、5…レンズ、4…偏向器、6…二次電子、7…測定ウェーハまたは校正マークを含んだ標準部材、8…制御系、9,29,37…ステージ、10…二次電子検出器、11、18…一次元格子パターンを含む校正マーク、12,19,28,33…ウェーハ、13,20…位置決めマーク、14,21…マーク、15,23,30,38,43…上層シリコン層、16,24,31,39,44…酸化膜、17,25,32,40,45…下層シリコン層、22,26、42…校正マークを含んだチップ型標準部材、27…ホルダー、35…触針、36…校正マークを含んだウェーハ型標準部材、41,46…レジスト、47…電源。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路などの製造プロセスに用いられる電子ビーム装置の寸法校正試料に係り、特に、高精度な電子ビーム測長装置の校正試料および電子ビーム測長装置の校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子ビーム装置のビーム校正には、例えば特許文献1および図4にように、シリコンチップ上に一次元回折格子パターンを含んだ校正用標準部材(標準試料)26をホルダー27に貼りつけ、このホルダーを測定するウェーハ近傍のステージ29上に配置させる所謂貼り付け型の標準試料が広く用いられている。この他非特許文献1のようにウェーハ内に機械加工で凹部を作り段差10μm程度でチップを埋め込む、所謂埋め込み型の標準試料が用いられている。
【0003】
【特許文献1】特許03488745号公報
【0004】
【非特許文献1】SPIE Microlithography 4689-59, 2002およびVLSIスタンダード社カタログ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体素子の微細化に伴い、半導体素子の高精度測長が必要になってきている。従来の技術では、標準部材は例えば図4のように試料ステージ上のウェーハとは別の位置に固定設置されていた。このような場合、複数装置間で一つの標準部材を共用しようとすると、装置間で標準部材を移動させる度に装置内の真空を破らなければならず。検査スループットが低下するという問題がある。このため従来では各装置に標準部材をそれぞれ装備し、校正を行っていた。しかしながら各装置で異なる標準部材を用いるため、複数の装置間での測長精度にばらつきが発生してしまっていた。
【0006】
そこで例えば非特許文献1に開示されているような、単層シリコンからなるウェーハ内に機械加工で凹部を作り校正パターン(チップ)を埋め込む方式の標準部材であれば、ウェーハ搬送経路から真空を破らずに標準部材の取出しが可能となり、複数装置間で使用可能となると考えられる。しかし、単層シリコンウエーハに校正パターンを埋め込む方式では、機械加工精度に限界があり段差精度は現在10μm程度が限界である。さらに、機械加工の際に加工面の水平度に誤差が生じてしまうという問題も生じる。このようにウェーハとウェーハに埋め込まれた校正パターンとの高さ、すなわち測定対象と校正パターンとの高さが異なると、電子ビーム装置の焦点位置が異なるために誤差が生じてしまうという問題があった。上記高さ誤差を例えば高さセンサ等による校正で補おうとしても、高さセンサの校正誤差による測長精度の劣化は避けられない。
また従来の校正部材には単層シリコンが用いられているため、機械加工に伴うラフネスの影響による校正精度劣化は避けられなかった。このラフネスの問題は、測長が高精度を要求されるほど顕著な問題となる。
さらに一次元回折格子パターンを用いて校正を行う場合、一次元回折格子パターンのライン部と溝部の二次電信号コントラストが十分取れることが必要となる。例えばArFレジストやLow−k材料等では5pA以下程度の電流条件で電子ビーム装置校正を行う必要がある。しかし、このような低電流条件では、二次電子信号強度が低下し、コントラストが十分取得できずピッチ測定の再現性が低下するという問題があった。
本発明の目的は、電子ビーム装置を精度良く校正することが可能な寸法校正標準試料および電子ビーム装置校正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を達成するために、電子ビーム測長装置で測定する半導体ウェーハと略同じ厚さ、同じ直径のウェーハ上に所定のピッチ寸法で配列された校正用パターン、好適には一次元回折格子パターンを形成し、上記校正用ウェーハ(測長校正部材)を電子ビーム測長装置に搭載することによりビーム校正を行う。校正用ウェーハと測定したいウェーハとの直径を同一にすることで、校正試料用に別途真空搬送手段を設けることなく測定したいウェーハと同じ搬送系で校正用ウェーハをステージに設置できる。更に複数装置間において同一試料を用いた機差校正が可能となるため測長精度のばらつきを減少させることが可能となる。
【0008】
さらに本発明では校正用部材作成において、パターンの高さや解像性を維持するために、同一のエッチング物質に対し、耐性のない第一の材料層と耐性のある第二の材料層を少なくとも有する多層構造からなる基板を校正用部材に用いた。また、好適にはSOI(貼り合せ)基板またはSOI(貼り合せ)基板およびインプリント転写を採用する。この校正用パターン形成ではSOI(貼り合せ)基板に内在した絶縁材料である酸化膜層がエッチング停止層となることで高さの均一化も可能となり、理想的な垂直断面の校正パターンの作成が実現できる。
また、例えばSOI(貼り合せ)基板上の表面の導電性材料層であるシリコン層に一次元回折格子パターンを含んだ校正マークを形成し、基板にレーザを照射する。レーザ照射により酸化膜が熱伝導を妨げ、上記一次元回折格子パターンの表面溶融によりパターンのラフネス低減が可能となる。また表面シリコン層を接地する、あるいは一定の電圧を印加することにより下層の導電性材料層、例えばシリコン層との電位コントラストを強調させることができ、SN比の高い二次電子像が得られ、高精度な電子ビーム測長装置の校正が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、測定したいウェーハと校正部材との大きさ及び高さを略一致させることが可能となるため高精度なビーム校正を行うことが可能となる。また、ウェーハの測定したい位置(高さを含む)に校正マークを適切に配置できるので電子ビーム装置を精度良く校正することが可能となる。更に複数の電子ビーム装置間における測長値校正を精度良く実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、具体的な実施例について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1に、本実施例に用いる電子ビーム測長装置の構成を示す。
照射光学系の動作としては、電子銃(電子源)1から放出された電子ビーム2を、偏向器4により、試料7上で走査する。ステージ9上には校正用マークを含んだウェーハ7が載置されている。また、照射光学系による電子ビーム照射により発生する2次電子6を検出する電子検出器10からの信号に基づいて二次電子像ないし二次電子信号波形の表示および測長を行う。そのときのステージ位置はステージ制御系にて検知、制御される。ここで図1では、各演算部、制御部、表示部等は制御系8に含まれた形態であるが、必ずしも制御系に含まれていなくてもよい。
【0012】
ここで、近年生産で用いる半導体ウェーハは直径が200 mmから300 mmと大口径化が進んでいる。これに対しピッチ寸法が200 nm以下の校正用パターンを形成する電子ビーム描画装置やレーザ干渉露光装置などでは、搬送および露光できる試料寸法に制限があるため、300 mmなどの大口径ウェーハ上へのパターン形成は困難である。このため回折格子パターンを含んだ校正マークを小口径のウェーハ上に形成し、これらのパターンを300 mmなどの大口径ウェーハ上に転写する方式とした。かかる方式とすることで、測長対象を含む大口径化した半導体ウェーハと同一直径を有する校正部材が作成可能となる。
【0013】
図3(a)に本実施例に用いるSOI(貼り合せ)基板上に一次元回折格子パターン18を含んだ校正マークを形成した校正部材19を示す。また、図3(b)は図3(a)のA−A´断面図である。この校正部材の作成方法は図9に示すように以下の通りである。
【0014】
まず図9(a)のように下層シリコン層40、酸化膜層39、上層シリコン層38の厚さがそれぞれ50μm、1μm、725μmで直径300 mmの貼り合せ基板を用意する。次に図9(b)のように上層シリコン層38にレジストを塗布する。レジストを塗布した後、マスクによってレジスト41に所望の形状を転写する。転写した後、図9(c)のように例えば図3(a)に示したマーク(例えばノッチ等)21を基準としてウェーハ内の所望とする位置にアラインメントマーク20を形成しこのアライメントマーク20及びおよび15 mm角の領域の上層シリコン層38をエッチングにより除去する。このとき上層シリコン層38よりも下層に存在する酸化膜層は例えばCF系のようなエッチング物質に対し耐性があるため、エッチング停止層となる。次に図9(d)のように酸化膜層39をシリコンが耐性を持つような、例えばフッ酸系のエッチング物質エッチング物質により除去する。ここで下層シリコン層40は酸化膜層をエッチングする物質に対し耐性を有するためエッチング停止層となる。さらに図9(e)のように除去後の15 mm角の領域の下層シリコン層表面に、別に作製した50μm厚さで12 mm角の一次元回折格子配列よりなるパターンが形成されたシリコンチップ42を貼り付けるが、ここで接着層の帯電を防ぐため導電性接着剤により貼り付けることが好ましい。ここで接着剤の厚さがおよそ1μmなので図3(b)に示すウェーハ上の一次元回折格子パターン22の高さは775から776μmである。半導体生産ラインで使用している直径300 mmのウェーハは775μmであるので測長したいウェーハと校正用部材の高さ誤差は1μm以内であった。このため校正精度は0.5 nm以下が得られた。尚、シリコン層の厚さ等は上記に限定されるものではない。
【0015】
このとき、酸化膜層をエッチングせずに酸化膜層に対して校正パターンを貼り付けてもよい。しかしこの場合、校正パターンが電気的に絶縁されることになるため、校正パターンが帯電してしまう恐れがある。このため好適には、酸化膜層の下層に導電性層を備えた構造とするか、もしくは装置に校正パターンの帯電を除去する手段を備えてもよい。
また、帯電を防止するため酸化膜層の代わりに、上層シリコン層(第一導電性材料層)の下にシリコンをエッチング可能なエッチング物質に対し耐性を有する第二の導電性層を設けてもよい。例えば上述の場合、シリコンを上層としているため、CF系ガスによるエッチングが考えられるが、CF系ガスエッチングに耐性を有するタンタル、タングステンなどを下層に配置すればよい。本実施例では校正用マークが形成される部材としてSOI基板を用いた例を説明したが、SOI基板に限らず、少なくとも所定のエッチング手段に対し、耐性のない第一の材料層と耐性のある第二の材料層を有する多層構造からなる基板であれば良い。構造の例としては、第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する基板、またはさらに第二の材料層表面に積層された第三の材料層を有する基板の表面に底面が第一の材料層表面である開口部を有する構造とし、当該開口部に校正用パターンが形成された、基板表面との高さが略等しい第二の基板を設ける構造が挙げられる。
【0016】
次に本実施例の標準試料を用いて図1に示す測長装置の校正を行う方法について説明する。図1においてまずステージ9を移動して校正用マークを含んだウェーハ型標準部材7を測定ウェーハの搭載方法と同じように電子ビーム2直下に位置させる。ビーム走査に対して垂直な一次元回折格子パターンに電子ビームを走査することにより得られた二次電子信号波形から寸法演算部においてピッチ寸法を求める。次に寸法校正演算部により寸法演算部で求めたピッチ寸法と予め光回折法で求められ記憶部に記憶されたピッチ寸法とを比較してその差が0になるようにビーム偏向制御部に補正を行い校正する。
【0017】
従来のようにステージ上に設置された標準部材の場合には測定ウェーハ7と一次元回折格子パターンの高さの差が最大10μm程度あったために校正誤差が1nm以上あった。同様に非特許文献1にあるようにウェーハ内に機械加工やエッチングで凹部を作りチップを埋め込んでいる場合でも段差10μm程度で校正誤差が1nm以上あった。
これに対し本発明のウェーハ状の校正部材では、測定ウェーハ搭載時の表面とウェーハ型標準部材の一次元回折格子パターンの高さの差が1μm 以内であったので校正精度は0.5 nm以下が得られた。また、標準試料が計測ウェーハと略同じ直径のため計測ウェーハと同じ搬送路によって真空を破ることなく搬入出ができ、高精度なビーム校正を複数装置間で共有できる。さらに本発明による標準試料は、図1に示した装置に限らず、他の電子線応用装置におけるビーム校正にも適用できる。
【実施例2】
【0018】
次に実施の他の一形態として、校正試料の他の構成例について述べる。
図2(a)には本実施例に用いるSOI(貼り合せ)基板上の所望の箇所に少なくとも一つ、一次元回折格子配列よりなるパターンが配置されたウェーハ12を示す。また、図2(b)は図2(a)のB−B´断面図である。このウェーハの作製方法は図10に示すように以下のとおりである。
【0019】
まず図10(a)のように下層シリコン層45、酸化膜層44、上層シリコン層43の厚さがそれぞれ100 nm、1μm、774μmで直径300 mmの貼り合せ基板を用意する。次に上記貼り合せ基板の表面に高分子樹脂を塗布した後、図10(b)のように例えば図2(a)に示したマーク(例えばノッチ)14を基準としたウェーハ内の所望の位置でアラインメントマーク13と一次元回折格子パターンを含んだ校正マークを形成したシリコンチップをモールドとして上記高分子樹脂46に一次元回折格子パターンを含んだ校正マーク11をインプリントする。次にインプリントした高分子樹脂をマスクとして上層シリコン層に対して酸化膜44がエッチング耐性を持つようなエッチング物質によりエッチングする。図10(c)のように上記エッチングでは酸化膜層が露出したところで停止するため均一な100 nmの深さで矩形断面形状のエッチングが可能である。好ましくはその後、図10(d)のように露出した酸化膜層44を下層シリコン層がエッチング耐性を持つような、例えばフッ酸系のエッチング物質でエッチングを行う。このエッチングでは図5に示すように酸化膜31が上層シリコン30の内側に後退して上面からは見えなくなるようにエッチングし、下層シリコン層32を露出させる。
【0020】
従来のシリコン33のドライエッチングプロセスでは、図6のようにエッチング底面が平面ではないので上面から観察すると上部のエッジと下面のエッジが観察されてしまうのに対し、本実施例の方法によれば、均一な100 nmの深さで矩形断面形状でかつ下部のエッジの見えない断面形状を実現できた。尚、シリコン層の厚さ等は上記に限定されるものではない。また本実施例では、SOI基板を例に説明したが、先の実施例の如くSOI基板に限らず、所定のエッチング物質に対し、耐性のない第一の材料と耐性のある第二の材料を有する多層構造からなる基板であれば良い。構造の例としては、第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する基板、またはさらに第二の材料層表面に積層された第三の材料層を有する基板の表面に所定のピッチ寸法で配列された溝部を有する校正用パターンにおける当該溝部の底面が前記第一の材料層表面である校正用部材などが挙げられる。
【0021】
校正では、図1でまずステージを移動して校正用マークを電子ビーム直下に位置させる。ビーム走査に対して垂直な一次元回折格子パターンに電子ビームを走査することにより得られた二次電子の信号波形から寸法演算部においてピッチ寸法を求める。次に寸法校正演算部により、寸法演算部で求めたピッチ寸法と予め光回折法で求められ記憶部に記憶されたピッチ寸法とを比較してその差が0になるようにビーム偏向制御部に補正を行い校正する。
【0022】
このとき図6に示すような従来の形状ではピッチ測定において下部エッジと上部エッジの誤認識により同一箇所のピッチ測定ばらつきが標準偏差で3nmあったため、例えば20点平均での平均値の絶対精度は1nm程度となってしまった。これに対し、本実施例の校正部材によるピッチ測定では下部エッジと上部エッジの誤認識がなくなりピッチ測定ばらつきが標準偏差で1 nm以下であるため、面内20点平均での平均値の絶対精度が0.5 nm以下となった。
【0023】
さらに従来の校正試料の一次元回折格子パターンを上面から観察した際、機械加工に伴うラフネスの影響による凹凸が存在するため、約1mm角内の面内ばらつきの標準偏差が3nmであった。これに対し本実施例ではラフネスの影響軽減するため、校正試料に対しエキシマレーザ等のレーザ光を照射する。レーザを照射することにより、従来の構造では照射熱がシリコン基板に拡散したために何の変化もなかったが、図5のような本実施例の構造によれば、酸化膜がシリコン層間に内在するため熱拡散が抑えられ一次元回折格子パターンの表面シリコン部が溶融して凹凸が緩和され、約1mm角内の面内ばらつきの標準偏差が1nm以下に減少した。このため面内20点平均での平均値の絶対精度は0.5nm以下が得られた。
【実施例3】
【0024】
次に第三の実施例について述べる。
電子ビーム測長装置の校正には実施例1または2の校正部材を用いる。まず図1でステージ9に校正部材7を搭載し、ステージ9を移動して校正部材7に形成された校正用マークを電子ビーム直下に位置させる。校正部材であるウェーハの固定は機械的な押し付け固定である。ビーム走査に対して垂直な一次元回折格子パターンに電子ビームを走査する。当該電子ビームの照射により発生する二次電子を検出する。検出した二次電子の信号波形を基に寸法演算部においてピッチ寸法を求め、寸法校正演算部により寸法演算部で求めたピッチ寸法と予め光回折法で求められ記憶部に記憶されたピッチ寸法とを比較してその差が0になるようにビーム偏向制御部に補正を行い校正する。
【0025】
校正の際には、一次元回折格子パターンのライン部と溝部の二次電信号コントラストが十分取れることが必要となる。校正標準部材の溝深さは均一でかつ上層シリコン層の厚さで決定される。例えばArFレジストやLow−k材料のような5pA以下のような低電流条件で電子ビーム装置校正を行う場合では、二次電子信号強度が低下し、コントラストが十分取得できずピッチ測定の再現性が標準偏差で10nmであった。
【0026】
そこで図8のように一次元回折格子パターンのある上層シリコン層36の表面に電源47から蝕針35を通して一定電圧を加える。この際電圧印加は制御系8によって制御される。ここで電源47は筐体内部に配置されているが筐体の外もしくは制御系8内部に配置されても良い。蝕針を通して電圧を印加した結果、ステージ37で接地された下層のシリコン層との電位コントラストによる二次電子信号強度が大きくなることによってピッチ測定の再現性が標準偏差で1nm以下となった。また蝕針により上層シリコン層を絶縁することによる電子ビームの上層シリコン層への時間蓄積によっても同様な効果が得られた。
【実施例4】
【0027】
次に第四の実施例ついて述べる。
電子ビーム測長装置の校正には、特に複数の一次元回折格子パターンを有する実施例1または2の校正部材7を校正試料として用いる。また、本実施例における校正部材7の電子ビーム装置の固定方法を静電チャックによる固定とした。静電チャックのウェーハ固定では、ウェーハ周辺部での電界漏洩が生じるために、ウェーハ高さは均一になるが電子ビーム偏向の電界の影響で測定ウェーハ中心部と周辺部で測長値に異常な差が生じてしまう場合がある。
【0028】
校正手順を図1及び図7の手順を例に説明する。まずステージ9に校正部材7を搭載し、次にステージ9を移動させ複数あるうちの任意の校正用マーク7を電子ビーム直下に位置させる。校正部材7であるウェーハの固定は静電チャック固定である。ビーム走査に対して垂直な一次元回折格子パターンに電子ビームを走査して二次電子信号波形から寸法演算部においてピッチ寸法を求め寸法校正演算部により上記寸法演算部で求めたピッチ寸法と光回折法で求められたピッチ寸法と比較してその差が0になるようにビーム偏向制御部に補正を行い校正する。
【0029】
次に上記とは異なる位置に配置された校正パターンについて、上記の方法によりピッチ寸法を求める。この操作を校正パターン毎に行う。そしてそれぞれ求めた一次元回折格子パターンのピッチ寸法を比較し、校正位置とその位置での校正係数を記憶部に記憶する。また、これらを表示部に表示しても良い。
測長時には上記記憶していた校正位置と校正係数に基づき制御部により測長値の校正を行う。このように校正部材の複数箇所に校正パターンを配置することにより、測長したいウェーハ内のどの位置でもピッチ測定の再現性が標準偏差で1nm以下が得られた。
【0030】
本実施例によれば、同一ウェーハ上の複数の位置に校正マークを配置できるので試料固定方法による測長値のウェーハ内位置依存性のある場合でも電子ビーム装置の測長値校正を精度良く実現できる。本実施例では静電チャックによる固定方法を示したが、他の固定方法においても同様の効果を奏する。例えば機械的な押し付け固定による固定方法では、校正ウェーハの中心近傍及びウェーハ中心近傍を同心円上に囲うように校正パターンを配置すればウェーハの反りの影響による校正誤差を無くすことが可能となる。
【実施例5】
【0031】
次に第5の実施例について、先の実施例で述べた校正部材を用いて、複数装置間で同一の校正部材により校正を行う例を以下に示す。
半導体デバイスを生産する場合には図13にあるように複数枚、例えば10枚のウェーハを図11のような同一加工工程で処理を行う。10枚のウェーハはウェーハカセット100に収納されて装置間を搬送され、各装置103ではウェーハカセット100からウェーハ101を搬送ロボット102により装置内のステージ104に搬送して、1枚ごとあるいは複数枚の処理を行った後、搬送ロボット102によりウェーハカセット100に収納し次の装置へ移動する。
【0032】
半導体デバイスを生産するプロセスでは図11のように加工の後に検査工程があり、1台の電子ビーム測長装置または複数の電子ビーム測長装置、例えば図11のように電子ビーム測長装置A,Bをそれぞれ用いて検査を行う。この場合には、それぞれの測長装置に備えられている校正部材によって個別に校正を行う。しかし加工装置(ステッパA,BおよびエッチャA,B)の生産能力が大きい場合、1つの検査工程で1台の検査装置では処理が間に合わない状況が発生する。この場合の生産能力は検査装置の処理能力で増減する。
【0033】
そこで本実施例では、図12にあるように複数台の電子ビーム測長装置A,Bを加工後のウェーハ枚数に応じて使い分ける。例えばゲート加工後のウェーハが20枚あり、ホール加工後のウェーハが10枚あった場合にゲート加工後のウェーハを一部測長装置Bで検査して、逆にホール加工後のウェーハが多くなってきた場合にはホール加工後のウェーハを一部測長装置Aで検査を行う。
【0034】
この場合に、それぞれの測長装置において備え付けられている校正部材を用いて個別に校正を行うと、各装置内の校正試料間の誤差が装置間の校正誤差として発生してしまうという問題がある。通常この校正試料間の誤差(例えば高さ誤差)は10μm程度であり、これを測長寸法誤差に置き換えると約1nmの校正誤差が発生してしまい、高精度測長を行う際に大きな問題となる。また、非特許文献1にあるような、ウェーハタイプの標準部材を用いれば複数装置間で同一の標準部材による校正が行えると考えられるが、一次回折格子パターンをウェーハに掘り込むため、機械加工精度に限界があり段差精度は10μm程度が限界である。
【0035】
そこで本実施例では、図14に示すように同一のエッチング物質に対し、耐性のない第一の材料と耐性のある第二の材料を有する多層構造からなる基板に一次元回折格子パターンを含んだウェーハ状の校正部材106を用いる。まずウェーカセット100に設置して、搬送ロボット102により測長装置A107のステージ105に搭載して電子ビーム108を用いて装置校正を行う。校正後は搬送ロボット102によりウェーハカセット100に収納し測長装置Bへ移動して同様の校正を行う。この結果、装置内の校正試料の高さ位置の誤差を1ミクロン以内にでき装置間の校正誤差を0.5 nm以内にすることができた。また測定したいウェーハと上記校正試料の高さも1μm以内にできたので装置間によらずその測定精度を0.5 nm以内にすることができた。
【0036】
このように、複数の測長装置を同じ精度で校正できるので多数の同じプロセスウェーハを検査する場合、上記複数の測長装置で分割して検査が可能となるので、効率の良い生産が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の装置構成を示す図。
【図2】本発明の標準部材を説明する図。
【図3】本発明の標準部材を説明する図。
【図4】従来の装置構成を示す図。
【図5】本発明の標準部材の断面を説明する図。
【図6】従来の標準部材の断面を説明する図。
【図7】本発明の校正手順を説明する図。
【図8】本発明の校正方法を説明する図。
【図9】本発明の標準部材の作製プロセスを説明する図。
【図10】本発明の標準部材の作製プロセスを説明する図。
【図11】デバイス生産フローと使用装置を説明する図。
【図12】本発明のデバイス生産フローと使用装置の例を示す図。
【図13】本発明の校正部材を使用する検査装置の例を示す図。
【図14】本発明の校正部材を使用する検査装置の例を示す図。
【符号の説明】
【0038】
1…電子銃、2,34…電子ビーム、3、5…レンズ、4…偏向器、6…二次電子、7…測定ウェーハまたは校正マークを含んだ標準部材、8…制御系、9,29,37…ステージ、10…二次電子検出器、11、18…一次元格子パターンを含む校正マーク、12,19,28,33…ウェーハ、13,20…位置決めマーク、14,21…マーク、15,23,30,38,43…上層シリコン層、16,24,31,39,44…酸化膜、17,25,32,40,45…下層シリコン層、22,26、42…校正マークを含んだチップ型標準部材、27…ホルダー、35…触針、36…校正マークを含んだウェーハ型標準部材、41,46…レジスト、47…電源。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する基板を有し、
前記基板の表面に所定のピッチ寸法で配列された溝部を有する校正用パターンを備え、
該溝部の底面は前記第一の材料層表面であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項2】
第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する第一の基板を有し、
前記第一の基板の表面に開口部を備え、
当該開口部の底面は前記第一の材料層表面であって、当該開口部の底面に所定のピッチ寸法で配列された校正用パターンが形成された第二の基板が配置されていることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の測長校正用標準部材において、
前記第二の材料層表面に積層された第三の材料層を備えることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項4】
請求項1または2に記載の測長校正用標準部材において、
前記第二の材料層は導電性材料層であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項5】
請求項4に記載の測長校正用標準部材において、
前記第二の材料層はシリコン層であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項6】
請求項1または2に記載の測長校正用標準部材において、
前記第一の材料層は絶縁性材料層または前記第二の材料層とは異なる導電性材料層であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項7】
請求項1または2に記載の測長校正用標準部材において、
前記第一の材料層はシリコン酸化膜層であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項8】
請求項3に記載の測長校正用標準部材において、
前記第三の材料層は導電性材料層であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項9】
請求項8に記載の測長校正用標準部材において、
前記導電性材料層はシリコン層であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項10】
請求項1に記載の測長校正用標準部材において、
前記基板の複数箇所に前記校正用パターンが形成されていることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項11】
請求項2に記載の測長校正用標準部材において、
前記第一の基板の異なる位置に前記第二の基板が複数配置されていることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項12】
請求項1または2に記載の測長校正用標準部材において、
前記校正用パターンは一次元回折格子パターンであることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項13】
請求項1に記載の測長校正用標準部材において、
前記基板はウェーハであることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項14】
請求項2に記載の測長校正用標準部材において、
前記第一の基板はウェーハであることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項15】
請求項13または14に記載の測長校正用標準部材において、
前記ウェーハの直径及び高さは被測長ウェーハと略同一であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項16】
第一のエッチング手段に対し耐性を有する第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層され前記第一のエッチング手段によりエッチング可能な第二の材料層と、該第二の材料層に積層され前記第一のエッチング手段に対し耐性を有し第二のエッチング手段によりエッチング可能な第三の材料層を少なくとも有する基板を有し、
該基板は、前記第一のエッチング手段及び前記第二のエッチング手段により前記第一の材料層表面が露出する位置までエッチングされ所定のピッチ寸法で配列された校正用パターンが形成されていることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項17】
第一のエッチング手段に対し耐性を有する第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層され前記第一のエッチング手段によりエッチング可能な第二の材料層と、該第二の材料層に積層され前記第一のエッチング手段に対し耐性を有し第二のエッチング手段によりエッチング可能な第三の材料層を少なくとも有する第一の基板を有し、
該第一の基板は、前記第一のエッチング手段及び前記第二のエッチング手段により前記第一の材料層表面が露出する位置までエッチングされ前記第三の材料層表面が露出した領域に、所定のピッチ寸法で配列された校正用パターンが形成された第二の基板が配置されていることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項18】
電子源と、前記電子源から放出される電子ビームを、試料上に走査または照射して、前記試料上の所望のパターンを計測する電子ビーム装置の校正方法において、
第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する基板に所定のピッチ寸法で配列された溝部を有し当該溝部の底面が前記第一の材料層表面である校正用パターンが設けられた測長校正用標準部材を用いて前記電子ビームを前記校正用パターンに対して走査させ、得られた反射電子もしくは二次電子の信号波形から得られるピッチ寸法と前記一次元回折格子パターンのピッチ寸法の比較を行うことを特徴とする電子ビーム装置の校正方法。
【請求項19】
電子源と、前記電子源から放出される電子ビームを、試料上に走査または照射して、前記試料上の所望のパターンを計測する電子ビーム装置の校正方法において、
第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する第一の基板の表面に開口部を有し、当該開口部の底面は前記第一の材料層表面であって、当該開口部の底面に所定のピッチ寸法で配列された校正用パターンが形成された第二の基板が配置されている測長校正用標準部材を用いて、前記電子ビームを前記校正用パターンに対して走査させ、得られた反射電子もしくは二次電子の信号波形から得られるピッチ寸法と前記一次元回折格子パターンのピッチ寸法の比較を行うことを特徴とする電子ビーム装置の校正方法。
【請求項20】
請求項18または19に記載の電子ビーム装置の校正方法において、
前記測長校正用標準部材における前記第二の材料層表面に積層された第三の材料層をさらに備えることを特徴とする電子ビーム装置の校正方法。
【請求項21】
請求項20に記載の電子ビーム装置の校正方法において、
前記第三の材料層が接地された状態または一定の電圧を印加された状態で校正を行うことを特徴とする電子ビーム装置の校正方法。
【請求項22】
請求項20に記載の電子ビーム装置の校正方法において、
前記第三の材料層が周囲の導電体から絶縁された状態で校正を行うことを特徴とする電子ビーム装置の校正方法。
【請求項23】
電子源と、該電子源から放出された電子ビームを試料上に走査する偏向手段と、対物レンズとを少なくとも有し、前記試料上の所望のパターンを計測する電子ビーム装置において、
第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する基板に所定のピッチ寸法で配列された溝部を有し当該溝部の底面が前記第一の材料層表面である校正用パターンが設けられた測長校正用標準部材を用い、前記電子ビームを前記校正用パターン上に走査することにより発生する反射電子もしくは二次電子を検出する検出手段と、
該検出した二次電子または反射電子の信号を基にピッチ寸法を算出する手段と、該算出されたピッチ寸法と予め記憶された前記一次元回折格子パターンのピッチ寸法とを比較する手段とを備え、該比較結果を基に計測値の校正を行う手段を備えることを特徴とする電子ビーム装置。
【請求項24】
電子源と、該電子源から放出された電子ビームを試料上に走査する偏向手段と、対物レンズとを少なくとも有し、前記試料上の所望のパターンを計測する電子ビーム装置において、
第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する第一の基板の表面に開口部を有し、当該開口部の底面は前記第一の材料層表面であって、当該開口部の底面に所定のピッチ寸法で配列された校正用パターンが形成された第二の基板が配置されている測長校正用標準部材を用いて、前記電子ビームを前記校正用パターン上に走査することにより発生する反射電子もしくは二次電子を検出する検出手段と、
該検出した二次電子または反射電子の信号を基にピッチ寸法を算出する手段と、該算出されたピッチ寸法と予め記憶された前記一次元回折格子パターンのピッチ寸法とを比較する手段とを備え、該比較結果を基に計測値の校正を行う手段を備えることを特徴とする電子ビーム装置。
【請求項25】
請求項23または24に記載の電子ビーム装置において、
前記校正を行う位置と該校正位置での校正係数を記憶する記憶部と、
前記記憶した校正位置と校正係数に基づき計測値の校正を行う制御部を備えることを特徴とする電子ビーム装置。
【請求項26】
請求項23または24に記載の電子ビーム装置において、
前記測長校正用標準部材における前記第二の材料層に積層された第三の材料層をさらに備えることを特徴とする電子ビーム装置。
【請求項27】
請求項23または24に記載の電子ビーム装置において、
前記測長校正用標準部材は前記校正用パターンを複数箇所に備え、
前記記憶部に各々の校正係数を記憶することを特徴とする電子ビーム装置。
【請求項1】
第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する基板を有し、
前記基板の表面に所定のピッチ寸法で配列された溝部を有する校正用パターンを備え、
該溝部の底面は前記第一の材料層表面であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項2】
第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する第一の基板を有し、
前記第一の基板の表面に開口部を備え、
当該開口部の底面は前記第一の材料層表面であって、当該開口部の底面に所定のピッチ寸法で配列された校正用パターンが形成された第二の基板が配置されていることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の測長校正用標準部材において、
前記第二の材料層表面に積層された第三の材料層を備えることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項4】
請求項1または2に記載の測長校正用標準部材において、
前記第二の材料層は導電性材料層であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項5】
請求項4に記載の測長校正用標準部材において、
前記第二の材料層はシリコン層であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項6】
請求項1または2に記載の測長校正用標準部材において、
前記第一の材料層は絶縁性材料層または前記第二の材料層とは異なる導電性材料層であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項7】
請求項1または2に記載の測長校正用標準部材において、
前記第一の材料層はシリコン酸化膜層であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項8】
請求項3に記載の測長校正用標準部材において、
前記第三の材料層は導電性材料層であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項9】
請求項8に記載の測長校正用標準部材において、
前記導電性材料層はシリコン層であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項10】
請求項1に記載の測長校正用標準部材において、
前記基板の複数箇所に前記校正用パターンが形成されていることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項11】
請求項2に記載の測長校正用標準部材において、
前記第一の基板の異なる位置に前記第二の基板が複数配置されていることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項12】
請求項1または2に記載の測長校正用標準部材において、
前記校正用パターンは一次元回折格子パターンであることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項13】
請求項1に記載の測長校正用標準部材において、
前記基板はウェーハであることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項14】
請求項2に記載の測長校正用標準部材において、
前記第一の基板はウェーハであることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項15】
請求項13または14に記載の測長校正用標準部材において、
前記ウェーハの直径及び高さは被測長ウェーハと略同一であることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項16】
第一のエッチング手段に対し耐性を有する第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層され前記第一のエッチング手段によりエッチング可能な第二の材料層と、該第二の材料層に積層され前記第一のエッチング手段に対し耐性を有し第二のエッチング手段によりエッチング可能な第三の材料層を少なくとも有する基板を有し、
該基板は、前記第一のエッチング手段及び前記第二のエッチング手段により前記第一の材料層表面が露出する位置までエッチングされ所定のピッチ寸法で配列された校正用パターンが形成されていることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項17】
第一のエッチング手段に対し耐性を有する第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層され前記第一のエッチング手段によりエッチング可能な第二の材料層と、該第二の材料層に積層され前記第一のエッチング手段に対し耐性を有し第二のエッチング手段によりエッチング可能な第三の材料層を少なくとも有する第一の基板を有し、
該第一の基板は、前記第一のエッチング手段及び前記第二のエッチング手段により前記第一の材料層表面が露出する位置までエッチングされ前記第三の材料層表面が露出した領域に、所定のピッチ寸法で配列された校正用パターンが形成された第二の基板が配置されていることを特徴とする測長校正用標準部材。
【請求項18】
電子源と、前記電子源から放出される電子ビームを、試料上に走査または照射して、前記試料上の所望のパターンを計測する電子ビーム装置の校正方法において、
第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する基板に所定のピッチ寸法で配列された溝部を有し当該溝部の底面が前記第一の材料層表面である校正用パターンが設けられた測長校正用標準部材を用いて前記電子ビームを前記校正用パターンに対して走査させ、得られた反射電子もしくは二次電子の信号波形から得られるピッチ寸法と前記一次元回折格子パターンのピッチ寸法の比較を行うことを特徴とする電子ビーム装置の校正方法。
【請求項19】
電子源と、前記電子源から放出される電子ビームを、試料上に走査または照射して、前記試料上の所望のパターンを計測する電子ビーム装置の校正方法において、
第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する第一の基板の表面に開口部を有し、当該開口部の底面は前記第一の材料層表面であって、当該開口部の底面に所定のピッチ寸法で配列された校正用パターンが形成された第二の基板が配置されている測長校正用標準部材を用いて、前記電子ビームを前記校正用パターンに対して走査させ、得られた反射電子もしくは二次電子の信号波形から得られるピッチ寸法と前記一次元回折格子パターンのピッチ寸法の比較を行うことを特徴とする電子ビーム装置の校正方法。
【請求項20】
請求項18または19に記載の電子ビーム装置の校正方法において、
前記測長校正用標準部材における前記第二の材料層表面に積層された第三の材料層をさらに備えることを特徴とする電子ビーム装置の校正方法。
【請求項21】
請求項20に記載の電子ビーム装置の校正方法において、
前記第三の材料層が接地された状態または一定の電圧を印加された状態で校正を行うことを特徴とする電子ビーム装置の校正方法。
【請求項22】
請求項20に記載の電子ビーム装置の校正方法において、
前記第三の材料層が周囲の導電体から絶縁された状態で校正を行うことを特徴とする電子ビーム装置の校正方法。
【請求項23】
電子源と、該電子源から放出された電子ビームを試料上に走査する偏向手段と、対物レンズとを少なくとも有し、前記試料上の所望のパターンを計測する電子ビーム装置において、
第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する基板に所定のピッチ寸法で配列された溝部を有し当該溝部の底面が前記第一の材料層表面である校正用パターンが設けられた測長校正用標準部材を用い、前記電子ビームを前記校正用パターン上に走査することにより発生する反射電子もしくは二次電子を検出する検出手段と、
該検出した二次電子または反射電子の信号を基にピッチ寸法を算出する手段と、該算出されたピッチ寸法と予め記憶された前記一次元回折格子パターンのピッチ寸法とを比較する手段とを備え、該比較結果を基に計測値の校正を行う手段を備えることを特徴とする電子ビーム装置。
【請求項24】
電子源と、該電子源から放出された電子ビームを試料上に走査する偏向手段と、対物レンズとを少なくとも有し、前記試料上の所望のパターンを計測する電子ビーム装置において、
第一の材料層と、該第一の材料層表面に積層された第二の材料層とを少なくとも有する第一の基板の表面に開口部を有し、当該開口部の底面は前記第一の材料層表面であって、当該開口部の底面に所定のピッチ寸法で配列された校正用パターンが形成された第二の基板が配置されている測長校正用標準部材を用いて、前記電子ビームを前記校正用パターン上に走査することにより発生する反射電子もしくは二次電子を検出する検出手段と、
該検出した二次電子または反射電子の信号を基にピッチ寸法を算出する手段と、該算出されたピッチ寸法と予め記憶された前記一次元回折格子パターンのピッチ寸法とを比較する手段とを備え、該比較結果を基に計測値の校正を行う手段を備えることを特徴とする電子ビーム装置。
【請求項25】
請求項23または24に記載の電子ビーム装置において、
前記校正を行う位置と該校正位置での校正係数を記憶する記憶部と、
前記記憶した校正位置と校正係数に基づき計測値の校正を行う制御部を備えることを特徴とする電子ビーム装置。
【請求項26】
請求項23または24に記載の電子ビーム装置において、
前記測長校正用標準部材における前記第二の材料層に積層された第三の材料層をさらに備えることを特徴とする電子ビーム装置。
【請求項27】
請求項23または24に記載の電子ビーム装置において、
前記測長校正用標準部材は前記校正用パターンを複数箇所に備え、
前記記憶部に各々の校正係数を記憶することを特徴とする電子ビーム装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−139575(P2007−139575A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333565(P2005−333565)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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