溝及び切欠きのアレイを有するタイヤ加硫用モールド
本発明は、タイヤ加硫用モールドの内張り(36)に関し、この内張りは、おいて、内張り(36)は、タイヤトレッド(12)に設けられる溝(32a〜32c)及び切れ目(26a,26b)のアレイ(24,25)を対応関係をなして成形するコード(46a〜46c)及びサイプ(52a,52b)の少なくとも1つのアレイ(44,45)を有する。コード(46a〜46c)及びサイプ(52a,52b)のアレイ(44,45)は、2本のコード(46a〜46c)相互間に少なくとも1つの結び目(34、35)を有する。アレイ(44,45)の各コード(46a〜46c)は、少なくとも、一サイプ(52a,52b)のエッジ(56,58)と複合成形関係をなしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
以下において、タイヤの軸線は、その回転軸線を示している。この軸線は又、モールド内でのタイヤを考慮したときにモールドの軸方向を定める。回転軸線に垂直な方向には、「半径方向」という名称が与えられ、周方向は、軸方向に垂直な平面内におけるタイヤの周囲に関する用語である。
【0003】
以下の内容を理解しやすくするため、「最終内張り」という用語は、モールドの形状をタイヤに与えるようになったモールドの最終形状を有する部品に与えられた名称である。したがって、最終内張りは、最終タイヤのネガである。
【0004】
タイヤは、一般に、タイヤの軸線回りの回転体としてのトレッドを有する。タイヤは、軸線回りに周方向に分布して配置された1つ又は2つ以上の最終成形内張りを有するモールド内で加硫される。
【0005】
欧州特許第1872975号明細書は、1対の切れ目をトレッドに成形により設けることができる単一部品の1対のブレードを備えた最終モールド内張りを開示している。各ブレードは、2つのゴムブロックを分離し、ゴムブロックの各々にレリーフ(凹又は凸部)を成形する突出部を備えている。これらブレードのうちの一方は、溝をトレッド中に成形する中空コード又はストリップを更に備えている。
【0006】
レリーフ及び溝により、特に、トレッドが摩耗状態になったときにタイヤの生じるグリップの低下を制限することができる。具体的に説明すると、トレッドからのゴムの摩滅により、レリーフ及び溝は、トレッドの表面と面一をなすようになる。面一をなしたレリーフ及び溝は、少なくとも部分的に摩滅したトレッド上の初期トレッドパターンに取って代わることができるトレッドパターンを形成する。
【0007】
さらに、レリーフ及び溝は、タイヤのトレッドが特に制動下において又は濡れた路面上を運転しているときに高い性能レベルを発揮することができる複雑な形状を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1872975号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、欧州特許第1872975号明細書に記載された内張りは、ブレードの一体構造に鑑みて製造するのが比較的複雑である。
【0010】
本発明の目的は、製造するのが容易であり且つ高い性能レベルを示すトレッドを生じさせるモールド内張りを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のため、本発明の一要旨は、タイヤを加硫するモールド用の内張りにおいて、内張りは、タイヤのトレッドに設けられる溝及び切れ目の網状構造を対応関係をなして成形するコード及びサイプブレードの少なくとも1つの網状構造を有し、コード及びサイプブレードの網状構造は、2本のコード相互間に少なくとも1つのノードを有し、網状構造の各コードは、サイプブレードの少なくとも1つのエッジと複合成形関係をなしていることを特徴とする内張りにある。
【0012】
内張りにより、良好な性能レベルを得ることができる。具体的に説明すると、各コードは、各溝の成形を可能にし、各溝は、ブレードにより成形された各切れ目と一緒になって、タイヤに良好な性能レベルを与える。さらに、内張りは、製造するのが比較的簡単である。具体的に説明すると、ブレードのエッジを複合成形する簡単なステップが、コード及びブレードで形成された組立体を製造するのに十分である。コード及びブレードは、互いに異なるが、適合性があり、しかも良好な親和性を示す材料で作られるのが良い。コードは、好ましくは、中実であり、それにより先行技術の内張りで生じることがあったコード中へのゴムの流入を回避することができる。
【0013】
本明細書における「アレイ」又は「網状構造」という用語は、ノードのところで互いに接合された少なくとも2本のコードのひとまとまりを意味する。かくして、内張り上に成形されたタイヤは、相互に連通した溝の網状構造を有する。かかる網状構造は、特に、トレッドからの熱の効果的な放散を可能にすると共に半分に摩滅したときにトレッドパターンを再生させることができる。
【0014】
内張りのオプションとしての特徴によれば、
‐コードの網状構造は、周方向溝をトレッド中に成形する少なくとも1本の周方向コードを有する。
‐コードの網状構造は、横方向溝をトレッド中に成形する少なくとも1本の横方向コードを有する。
‐コードの網状構造は、半径方向溝をトレッド中に成形する少なくとも1本の半径方向コードを有する。
【0015】
本発明の別の要旨は、生タイヤプレフォームを加硫するモールドであって、少なくとも1つの成形内張りを有するモールドにおいて、成形内張りは、上述した成形内張りであることを特徴とするモールドにある。
【0016】
本発明のもう1つの要旨は、タイヤのトレッドの一部を成形するいわゆる最終内張りを製造する方法において、トレッドに切れ目の網状構造を対応関係をなして成形するブレードの網状構造のエッジを、トレッドに溝の網状構造を対応関係をなして成形するコードの網状構造と複合成形することにより最終内張りを製造することを特徴とする方法にある。
【0017】
モールドの内張りを成形するようになった部品を「ダイ」と呼ぶ。したがって、ダイは、タイヤのポジであると共に内張りのネガである。同様に、以下において理解されるように、最終内張りとダイの区別及び中間内張りとダイの区別がなされる。
【0018】
オプションとして、各ブレードは、スチールで作られ、各コードは、アルミニウムで作られる。
【0019】
この方法の一特徴によれば、最終内張りを最終ダイと呼ばれているダイ上に成形し、最終ダイは、
‐最終内張りのコードの網状構造を成形する溝の網状構造と、
‐ブレードの網状構造とを有し、ブレードの網状構造のエッジは、最終内張りのコードの網状組織を成形する溝の網状構造中に開口していて、ブレードの網状構造のエッジを最終内張りのコードの網状構造と複合成形することができるようになっている。有利には、最終内張りの各コードは、良好な熱的性質を有する材料、例えばアルミニウムで作られる。
【0020】
オプションとして、最終ダイは、最終内張りのコードの網状構造を成形する材料に対して不活性である材料、例えば、砂及び/又はプラスタ(石膏)を含む材料で作られている。
【0021】
最終ダイを製作する砂又はプラスタを含む材料の使用により、最終内張りをモールドから容易に外すことができる。具体的に言えば、かかる材料を容易に壊すことができ、更に、かかる材料は、安価であり且つ再利用可能である。
【0022】
この方法の別のオプションとしての特徴によれば、最終ダイ上への最終内張りの成形に先立って、最終ダイの製造を次のようにして行い、即ち、
‐中間内張りを製造し、
‐最終ダイを中間内張り上に成形する。
【0023】
オプションとして、中間内張りは、
‐相手方モールド内で成形された少なくとも1つの取り外し可能な中間網状構造を有し、網状構造は、ブレードの網状構造のエッジと複合成形された最終ダイの溝の網状構造を成形する中間コードの網状構造を有し、
‐取り外し可能な中間網状構造を位置決めする少なくとも1つの収納部を含むベースを有する。
【0024】
中間内張りのベースは、中間ダイを用いて製作される。このベースは、一般に、形状記憶材料、例えばシリコーンを主成分とする材料で作られる。好ましくは、中間ダイは、ラピッドプロトタイピング(積層造形法)により直接製作され又は容易に機械加工な材料、例えばプラスチックで作られる。
【0025】
有利には、取り外し可能な中間網状構造の中間コードの網状構造は、溶融可能な材料、例えば蝋内に設けられる。取り外し可能な中間網状構造は、好ましくは、中間内張り中に挿入される。
【0026】
「溶融可能な材料」という表現は、特に、固‐液相転移を示す材料を意味している。蝋の使用により、各中間コードを、容易に成形して再使用可能な材料で成形することができる。
【0027】
この方法のオプションとしての別の特徴によれば、相手方モールドは、
‐取り外し可能な中間網状構造の中間コードの網状構造を成形する中間溝の網状構造と、
‐最終内張りのブレードの網状構造を位置決めする収納部とを有し、各収納部は、中間溝中に開口している。
【0028】
相手方モールドは、一般に、互いに協働し、パターンモールド段を介してプラスチック系の材料又は形状記憶材料、例えばシリコーンで作られる数個の部品で構成される。
【0029】
有利には、
‐最終ダイを中間内張り上に成形した後、
‐最終内張りを最終ダイ上に成形する前に、
各中間コードを溶融させる。
【0030】
最終ダイを中間内張り上に成形した後に各中間コードを溶融させることにより最終内張りのコードを成形するチャネルを最終ダイに形成する。
【0031】
本発明のもう1つの要旨は、タイヤのトレッドの一部分を成形するモールド内張りのコード及びブレードの網状構造を成形する相手方モールドにおいて、相手方モールドは、
‐コードの網状構造を成形する溝の網状構造と、
‐溝の網状構造に対してブレードの網状構造を位置決めするハウジングとを有し、ハウジングは、溝のうちの少なくとも1つの中に開口していることを特徴とする相手方モールドにある。
【0032】
本発明の最後の要旨は、生タイヤプレフォームを加硫する方法において、生タイヤプレフォームを上述したモールド内で加硫することを特徴とする方法にある。
【0033】
本発明の内容は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられているに過ぎない以下の説明を読むと良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のタイヤのトレッドの一部の斜視図である。
【図2】図1のタイヤのトレッドの一部の隠された細部を示す図である。
【図3】図1のタイヤを製造するためのコード及びブレードのそれぞれの第1及び第2の網状構造を有する本発明の最終内張りの斜視図である。
【図4】図3の第1の網状構造の一部を独立して示す斜視図である。
【図5】本発明の相手方モールドの斜視図である。
【図6】本発明の相手方モールドの斜視図である。
【図7】図5及び図6に示されている相手方モールドと同様な相手方モールドから成形された取り外し可能な中間網状構造の例の斜視図である。
【図8】図5及び図6に示されている相手方モールドと同様な相手方モールドから成形された取り外し可能な中間網状構造の例の斜視図である。
【図9】図7及び図8に示されている形式の取り外し可能な中間網状構造を有する中間内張りの斜視図である。
【図10】中間コードを溶融させる前の図9の中間内張り上に成形された最終ダイの斜視図である。
【図11】中間コードを溶融させた後の図9の中間内張り上に成形された最終ダイの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
タイヤの慣例によって示された半径方向(OZ)、軸方向(OY)及び周方向(OX)の向きに対応した相互に直交した軸線X,Y,Zが図に表示されている。
【0036】
図1及び図2は、全体が参照符号10で示された本発明のタイヤを示している。タイヤ10は、軸線Yを中心とした回転対称を示す全体形状を有する。
【0037】
タイヤ10は、トレッド12を有している。トレッド12は、路面に接触するようになった外側走行面14を有している。トレッド12は、2つのショルダ16,18により画定されている。加うるに、トレッド12は、トレッド12のゴムに形成された周方向チャネル20a〜20cを有している。チャネル20a〜20cは、トレッド12の軸方向寸法にわたって軸方向に間隔を置くと共に分布された状態で配置されている。
【0038】
ショルダ16,18及びチャネル20a〜20cは、ゴムの周方向バンド22a〜22dを画定している。この特定の場合、バンド22aは、ショルダ16及びチャネル20aで画定され、バンド22bは、チャネル20a,20bで画定され、バンド22cは、チャネル20b,20cで画定され、バンド22dは、チャネル20c及びショルダ18で画定されている。
【0039】
各バンド22b,22cは、それぞれ、切れ目26a,26bの網状構造24,25を有し、これら切れ目の深さは、ゴムの各バンド22b,22cの半径方向高さに実質的に等しい。切れ目24,25の各網状構造は、バンド22b,22cに成形により形成された溝32a,32b,32cを更に有している。各溝32a〜32cは、正方形、長方形又は丸形の断面を有している。変形例として、断面は、任意のものであって良い。
【0040】
網状構造24の周方向溝と呼ばれている各溝32aは、軸線Y回りに周方向に且つチャネル20a〜20cに実質的に平行に延びている。網状構造25の各周方向溝32aは、斜めの線をなして軸線Y回りに周方向に延びている。各網状構造24,25の各溝32aは、それぞれ、実質的に、チャネル20a,20b相互間及びチャネル20b,20c相互間に軸方向に位置している。
【0041】
網状構造24の横方向溝と呼ばれている各溝32bは、実質的に真っ直ぐな形状をしており、各溝は、軸線Yに実質的に平行に軸方向に延びている。網状構造25の各横方向溝32bは、実質的に真っ直ぐな形状をしており、各横方向溝は、軸方向Yとゼロではない角度をなす方向に延びている。各網状構造24,25の各溝32bは、周方向溝32aからこれが開口しているチャネル20a,20b又は20cまで延びている。
【0042】
各網状構造24,25のいわゆる半径方向溝32cは各々、周方向溝32aからこれが開口している走行面14まで半径方向に延びるウェルを形成している。各溝32cは、実質的に真っ直ぐであり、タイヤ10の半径方向Zに実質的に平行に延びている。
【0043】
かくして、各網状構造24,25は、数個のノード34を有している。各ノード34は、成形によりトレッド12に形成された少なくとも2本の溝の交差部に対応している。この特定の場合、各ノード34は、周方向溝32a、少なくとも1本の横方向溝32b及びウェル32cの交差部に対応している。
【0044】
各切れ目26aは、2つの連続して位置するウェル32及び周方向溝32a中に開口している。網状構造24の各切れ目26aは、全体として周方向の向きを有し、即ち、軸線Yに実質的に垂直に延びている。網状構造25の各切れ目26aは、斜めの線をなして全体として実質的に周方向の向きを有している。
【0045】
図3は、図1及び図2のタイヤ10を製造するために用いられるモールドの本発明による最終内張りと呼ばれている内張り36を示している。最終内張り36は、図1及び図2に示しているタイヤ10のネガであるので、最終内張り36は、タイヤ10の特徴から容易に推定できる特徴を有する。
【0046】
モールドの軸方向、半径方向及び周方向は、それぞれ、モールド内に配置されたタイヤ10の軸方向、半径方向及び周方向に一致している。
【0047】
内張り36は、タイヤ10の踏み面(トレッド表面)14を成形する表面39を支持したベース38を有している。
【0048】
内張り36は、チャネル20a〜20cをそれぞれ成形するようになった数個の半径方向に間隔を置いて位置する円形コード40a〜40cを有している。各円形コード40a〜40cは、各チャネル20a〜20cの深さに対応した高さにわたり表面39から半径方向に延びている。各コード40a〜40cは、モールドの周方向Xに実質的に平行な方向に周方向に延びている。コード40a,40bは、バンド22bを成形するバンド42bを画定している。コード40b,40cは、バンド22cを成形するバンド42cを画定している。
【0049】
加うるに、内張り36は、溝32a〜32cの網状構造24,25をそれぞれ成形するコード46a〜46cの網状構造44,45を有している。この各コード46a〜46cは、断面が実質的に正方形、長方形又は丸形である。各コード46a〜46cは、アルミニウムで作られている。
【0050】
周方向コードと呼ばれている各コード46aは、周方向溝32aの成形を可能にする。網状構造44のコード46aは、コード40a〜40cに実質的に平行な軸線Y回りに周方向に延びている。網状構造45のコード46aは、斜めの線をなして軸線Y回りに周方向に延びている。この特定の場合、各網状構造44,45の各コード46aは、それぞれ、コード40a,40b相互間及びコード40b,40c相互間に軸方向に位置している。
【0051】
横方向コードと呼ばれている各コード46bは、横方向溝32bの成形を可能にする。この特定の場合、各横方向コード46bは、真っ直ぐである。網状構造44の各横方向コード46bは、軸線Yに実質的に平行に軸方向に延びている。網状構造45の各横方向コード46bは、実質的に真っ直ぐな形状をしており、各横方向溝は、軸方向Yとゼロではない角度をなす方向に延びている。各コード46bは、対応の周方向コード46aをコード40a,40b又は40cの各々にそれぞれ連結している。
【0052】
各網状構造44,45の半径方向コードと呼ばれている各コード46cは、周方向コード46aと成形面39を連結する突起を形成している。各突起46cは、ウェル32cの成形を可能にし、各突起は、実質的に真っ直ぐでありモールドの半径方向Zに実質的に平行に延びている。かくして、各網状構造44,45は、数個のノード48を有する。各ノード48は、内張り36の少なくとも2本のコードの交差部に対応している。この特定の場合、各ノード48は、周方向コード46a、少なくとも1本の横方向コード46b及び突起46cの交差部に対応している。
【0053】
各網状構造44,45は、切れ目26a,26bの網状構造24,25をそれぞれ成形する金属ブレード52a,52bを更に有している。この特定の場合、ブレード52a,52bは、スチールで作られている。
【0054】
網状構造44の一部をベース38から独立して示す図4を参照すると、各ブレード52a,52bは、長手方向エッジと呼ばれている2つのエッジ54,56及び半径方向エッジと呼ばれている2つのエッジ58,60を有している。各長手方向エッジ54は、各ブレード52a,52bをベース38内に保持するようベース38と複合成形されている。
【0055】
各ブレード52a,52bは、各切れ目26a,26bの深さを定めるようになった寸法にわたって半径方向に延びる部分62及びベース38に複合成形されたブレードの部分を構成するようになった寸法にわたって半径方向に延びる部分64を有している。
【0056】
各ブレード52aの各半径方向エッジ58,60は、突起46cのうちの1つと複合成形されている。各ブレード52aの各長手方向エッジ56は、周方向コード46aと複合成形されている。
【0057】
各ブレード52bの各半径方向エッジ58は、突起46cのうちの1つと複合成形されている。各ブレード52bの各長手方向エッジ56は、横方向コード46bと複合成形されている。さらに、各ブレード52bの各エッジ60は、対応のコード40a〜40cと複合成形されている。
【0058】
本発明の方法を実施することにより内張り36を製造することができ、この方法の重要なステップについて図5〜図11を参照して以下に説明する。
【0059】
図5及び図6は、相手方モールド又はカウンターモールド66を示している。説明を簡単にするために、図5及び図6に示されている相手方モールド66により、図3の最終内張り36の網状構造44と実質的に同じ形状の取り外し可能な中間網状構造67(図7)を得ることができる。同じやり方を用いて、網状構造45に相当する取り外し可能な中間網状構造68(図8)を生じさせる相手方モールド66の特徴を推定することができる。
【0060】
相手方モールド66は、6つの離脱可能なブロック69a〜69fを有している。各ブロック69a〜69fは、周方向ブレード52aを位置決めする収納部70a及び横方向ブレード52bを位置決めする収納部70bを有している。相手方モールド66は、中間網状構造67の中間コード74a〜74cを成形する中間溝と呼ばれている溝72a〜72cを更に有している。この場合、各ブロック69a〜69fは、各溝72a〜72cの1/4を有する。
【0061】
各収納部70aは、中間溝72a,72c中に開口し、各収納部70bは、中間溝72b,72c中に開口している。ブロック69a〜69fは、形状記憶材料で作られている。変形例として、ブロック69a〜69fは、容易に機械加工できる材料で作られ又はラピッドプロトタイピングにより作られる。
【0062】
次に、取り外し可能な中間網状構造67を相手方モールド66に成形する。取り外し可能な中間網状構造67は、第1に、中間溝72a〜72cから成形により形成されていて、コード46a〜46cに類似した中間コード74a〜74cを有すると共に第2にブレード52a,52bを有している。各中間コード74a〜74cは、対応の各ブレード52a,52bのエッジ56,58上に複合成形されている。
【0063】
この特定の場合、各ブレード52a,52bを各収納部70a〜70c内に位置決めする。後のステップでは、ブロック69a〜69fを互いに密接させることにより相手方モールド66を閉鎖する。次に、各中間コード74a〜74cを溶融可能な材料、この場合、ホットメルト材料、例えば蝋で成形する。冷却後、取り外し可能なブロック69a〜69fを分離して取り外し可能な中間網状構造67を相手方モールド66から取り出すことができるようにする。次に、特に成形残滓をなくすことを目的とした設定時間後に図7に示されている中間網状構造67を得る。中間網状構造68は、図8に示されている。
【0064】
図9は、中間内張り75を示している。中間内張り75は、ベース76及び取り外し可能な中間網状構造67,68を有している。ベース76と網状構造67,68を組み立てることにより中間内張り75を製作する。
【0065】
ベース76を容易に機械加工なプラスチックで作られた中間ダイ(図示せず)から製作する。中間ダイ上に成形することによりベース76を形状記憶材料、この場合、シラステン(silastene)で作る。ベース76は、ベース76に対する網状構造67,68の位置決めのための収納部を形成する切欠き78a,78bを有している。この特定の場合、各切欠き78aは、各ブレード52aの部分64を位置決めするために用いられる。各切欠き78bは、各ブレード52bの部分64を位置決めするために用いられる。
【0066】
次に、最終ダイ80を成形により中間内張り75上に形成する。この特定の場合、最終のダイ80は、最終内張り36のコード46a〜46cを成形している元の材料に対して不活性である材料で作られている。この材料は、好ましくは、砂及び/又はプラスタ(石膏)を含む。
【0067】
次に、ベース76と最終ダイ80を図10に示されているように分離する。かくして、ブレード52a,52bを最終ダイ80に移す。この場合、各ブレード52a,52bの各部分62を最終ダイ80と複合成形する。他方、各部分64及び各エッジ60は、自由である。また、蝋で作られた中間コード74a〜74cを最終ダイ80内に捕捉状態に保持する。
【0068】
次に、最終ダイ80を加熱し、かくして、最終ダイ80内の各コード74a〜74cを溶融させる。すると、これにより、図11に示された最終ダイ80が得られる。
【0069】
最終ダイ80は、最終内張り36のコード46a〜46cをそれぞれ成形する溝82a〜82c及び各ブレード52a,52bを位置決めする収納部83a,83bを有している。各収納部83a,83bは、溝82a〜82cのうちの1つの中に開口する。最終ダイ80は、ブレード52a,52bを更に有し、かかるブレードの各エッジ56,58は、対応の溝82a〜82c中に開口し、その結果、各エッジ56,58を最終内張り36の対応のコード46a〜46cと複合成形することができるようにする。
【0070】
次に、最終内張り36を成形により最終ダイ80上に成形する。最終内張り36をこの特定の場合、アルミニウムを含む金属で成形する。注目すべきこととして、最終ダイ80は、ブレード52a、52bのエッジ56,58を、溝32a〜32cを成形するために用いられるコード46a〜46cと複合成形することによって製造されている。
【0071】
次に、最終ダイ80を壊して最終内張り36を取り出す。
【0072】
本発明の方法を実施することによりタイヤ10を製造することができ、かかる方法の主要なステップについて以下に説明する。
【0073】
生タイヤプレフォーム10をモールド内に位置決めし、このモールドは、このモールドの軸線Y回りに周方向に分布して配置された上述の最終内張りの形式の数個の最終内張り36を有している。
【0074】
モールドをいったん閉鎖すると、生プレフォームをモールドの加熱によってモールド内で加硫する。
【0075】
次に、モールドを開き、加硫されたタイヤ10を取り出す。
【0076】
モールドをトレッド12にブレード52a,52bにより形成された切れ目26a,26bを横切って半径方向にずらすことにより、ブレード52a,52b上に配置されたコード46a〜46cを取り出す。
【0077】
上述した内容の検討から、本発明の精神から逸脱しないで、溝の網状構造の形状及びタイヤのトレッドの切れ目の分布状態を変更して所望のタイヤ性能により定められる制約に合うようにすることが申し分なく可能である。
【0078】
この利点により、先行技術の方法により生じる制限を減少させることによりタイヤ設計オプションを広げることが可能である。本発明の範囲から逸脱しないで、中間内張り75及び最終ダイ80を成形する段階に進むことなく最終内張り36の網状構造44,45を相手方モールド66から直接製作することが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
以下において、タイヤの軸線は、その回転軸線を示している。この軸線は又、モールド内でのタイヤを考慮したときにモールドの軸方向を定める。回転軸線に垂直な方向には、「半径方向」という名称が与えられ、周方向は、軸方向に垂直な平面内におけるタイヤの周囲に関する用語である。
【0003】
以下の内容を理解しやすくするため、「最終内張り」という用語は、モールドの形状をタイヤに与えるようになったモールドの最終形状を有する部品に与えられた名称である。したがって、最終内張りは、最終タイヤのネガである。
【0004】
タイヤは、一般に、タイヤの軸線回りの回転体としてのトレッドを有する。タイヤは、軸線回りに周方向に分布して配置された1つ又は2つ以上の最終成形内張りを有するモールド内で加硫される。
【0005】
欧州特許第1872975号明細書は、1対の切れ目をトレッドに成形により設けることができる単一部品の1対のブレードを備えた最終モールド内張りを開示している。各ブレードは、2つのゴムブロックを分離し、ゴムブロックの各々にレリーフ(凹又は凸部)を成形する突出部を備えている。これらブレードのうちの一方は、溝をトレッド中に成形する中空コード又はストリップを更に備えている。
【0006】
レリーフ及び溝により、特に、トレッドが摩耗状態になったときにタイヤの生じるグリップの低下を制限することができる。具体的に説明すると、トレッドからのゴムの摩滅により、レリーフ及び溝は、トレッドの表面と面一をなすようになる。面一をなしたレリーフ及び溝は、少なくとも部分的に摩滅したトレッド上の初期トレッドパターンに取って代わることができるトレッドパターンを形成する。
【0007】
さらに、レリーフ及び溝は、タイヤのトレッドが特に制動下において又は濡れた路面上を運転しているときに高い性能レベルを発揮することができる複雑な形状を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1872975号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、欧州特許第1872975号明細書に記載された内張りは、ブレードの一体構造に鑑みて製造するのが比較的複雑である。
【0010】
本発明の目的は、製造するのが容易であり且つ高い性能レベルを示すトレッドを生じさせるモールド内張りを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のため、本発明の一要旨は、タイヤを加硫するモールド用の内張りにおいて、内張りは、タイヤのトレッドに設けられる溝及び切れ目の網状構造を対応関係をなして成形するコード及びサイプブレードの少なくとも1つの網状構造を有し、コード及びサイプブレードの網状構造は、2本のコード相互間に少なくとも1つのノードを有し、網状構造の各コードは、サイプブレードの少なくとも1つのエッジと複合成形関係をなしていることを特徴とする内張りにある。
【0012】
内張りにより、良好な性能レベルを得ることができる。具体的に説明すると、各コードは、各溝の成形を可能にし、各溝は、ブレードにより成形された各切れ目と一緒になって、タイヤに良好な性能レベルを与える。さらに、内張りは、製造するのが比較的簡単である。具体的に説明すると、ブレードのエッジを複合成形する簡単なステップが、コード及びブレードで形成された組立体を製造するのに十分である。コード及びブレードは、互いに異なるが、適合性があり、しかも良好な親和性を示す材料で作られるのが良い。コードは、好ましくは、中実であり、それにより先行技術の内張りで生じることがあったコード中へのゴムの流入を回避することができる。
【0013】
本明細書における「アレイ」又は「網状構造」という用語は、ノードのところで互いに接合された少なくとも2本のコードのひとまとまりを意味する。かくして、内張り上に成形されたタイヤは、相互に連通した溝の網状構造を有する。かかる網状構造は、特に、トレッドからの熱の効果的な放散を可能にすると共に半分に摩滅したときにトレッドパターンを再生させることができる。
【0014】
内張りのオプションとしての特徴によれば、
‐コードの網状構造は、周方向溝をトレッド中に成形する少なくとも1本の周方向コードを有する。
‐コードの網状構造は、横方向溝をトレッド中に成形する少なくとも1本の横方向コードを有する。
‐コードの網状構造は、半径方向溝をトレッド中に成形する少なくとも1本の半径方向コードを有する。
【0015】
本発明の別の要旨は、生タイヤプレフォームを加硫するモールドであって、少なくとも1つの成形内張りを有するモールドにおいて、成形内張りは、上述した成形内張りであることを特徴とするモールドにある。
【0016】
本発明のもう1つの要旨は、タイヤのトレッドの一部を成形するいわゆる最終内張りを製造する方法において、トレッドに切れ目の網状構造を対応関係をなして成形するブレードの網状構造のエッジを、トレッドに溝の網状構造を対応関係をなして成形するコードの網状構造と複合成形することにより最終内張りを製造することを特徴とする方法にある。
【0017】
モールドの内張りを成形するようになった部品を「ダイ」と呼ぶ。したがって、ダイは、タイヤのポジであると共に内張りのネガである。同様に、以下において理解されるように、最終内張りとダイの区別及び中間内張りとダイの区別がなされる。
【0018】
オプションとして、各ブレードは、スチールで作られ、各コードは、アルミニウムで作られる。
【0019】
この方法の一特徴によれば、最終内張りを最終ダイと呼ばれているダイ上に成形し、最終ダイは、
‐最終内張りのコードの網状構造を成形する溝の網状構造と、
‐ブレードの網状構造とを有し、ブレードの網状構造のエッジは、最終内張りのコードの網状組織を成形する溝の網状構造中に開口していて、ブレードの網状構造のエッジを最終内張りのコードの網状構造と複合成形することができるようになっている。有利には、最終内張りの各コードは、良好な熱的性質を有する材料、例えばアルミニウムで作られる。
【0020】
オプションとして、最終ダイは、最終内張りのコードの網状構造を成形する材料に対して不活性である材料、例えば、砂及び/又はプラスタ(石膏)を含む材料で作られている。
【0021】
最終ダイを製作する砂又はプラスタを含む材料の使用により、最終内張りをモールドから容易に外すことができる。具体的に言えば、かかる材料を容易に壊すことができ、更に、かかる材料は、安価であり且つ再利用可能である。
【0022】
この方法の別のオプションとしての特徴によれば、最終ダイ上への最終内張りの成形に先立って、最終ダイの製造を次のようにして行い、即ち、
‐中間内張りを製造し、
‐最終ダイを中間内張り上に成形する。
【0023】
オプションとして、中間内張りは、
‐相手方モールド内で成形された少なくとも1つの取り外し可能な中間網状構造を有し、網状構造は、ブレードの網状構造のエッジと複合成形された最終ダイの溝の網状構造を成形する中間コードの網状構造を有し、
‐取り外し可能な中間網状構造を位置決めする少なくとも1つの収納部を含むベースを有する。
【0024】
中間内張りのベースは、中間ダイを用いて製作される。このベースは、一般に、形状記憶材料、例えばシリコーンを主成分とする材料で作られる。好ましくは、中間ダイは、ラピッドプロトタイピング(積層造形法)により直接製作され又は容易に機械加工な材料、例えばプラスチックで作られる。
【0025】
有利には、取り外し可能な中間網状構造の中間コードの網状構造は、溶融可能な材料、例えば蝋内に設けられる。取り外し可能な中間網状構造は、好ましくは、中間内張り中に挿入される。
【0026】
「溶融可能な材料」という表現は、特に、固‐液相転移を示す材料を意味している。蝋の使用により、各中間コードを、容易に成形して再使用可能な材料で成形することができる。
【0027】
この方法のオプションとしての別の特徴によれば、相手方モールドは、
‐取り外し可能な中間網状構造の中間コードの網状構造を成形する中間溝の網状構造と、
‐最終内張りのブレードの網状構造を位置決めする収納部とを有し、各収納部は、中間溝中に開口している。
【0028】
相手方モールドは、一般に、互いに協働し、パターンモールド段を介してプラスチック系の材料又は形状記憶材料、例えばシリコーンで作られる数個の部品で構成される。
【0029】
有利には、
‐最終ダイを中間内張り上に成形した後、
‐最終内張りを最終ダイ上に成形する前に、
各中間コードを溶融させる。
【0030】
最終ダイを中間内張り上に成形した後に各中間コードを溶融させることにより最終内張りのコードを成形するチャネルを最終ダイに形成する。
【0031】
本発明のもう1つの要旨は、タイヤのトレッドの一部分を成形するモールド内張りのコード及びブレードの網状構造を成形する相手方モールドにおいて、相手方モールドは、
‐コードの網状構造を成形する溝の網状構造と、
‐溝の網状構造に対してブレードの網状構造を位置決めするハウジングとを有し、ハウジングは、溝のうちの少なくとも1つの中に開口していることを特徴とする相手方モールドにある。
【0032】
本発明の最後の要旨は、生タイヤプレフォームを加硫する方法において、生タイヤプレフォームを上述したモールド内で加硫することを特徴とする方法にある。
【0033】
本発明の内容は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられているに過ぎない以下の説明を読むと良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のタイヤのトレッドの一部の斜視図である。
【図2】図1のタイヤのトレッドの一部の隠された細部を示す図である。
【図3】図1のタイヤを製造するためのコード及びブレードのそれぞれの第1及び第2の網状構造を有する本発明の最終内張りの斜視図である。
【図4】図3の第1の網状構造の一部を独立して示す斜視図である。
【図5】本発明の相手方モールドの斜視図である。
【図6】本発明の相手方モールドの斜視図である。
【図7】図5及び図6に示されている相手方モールドと同様な相手方モールドから成形された取り外し可能な中間網状構造の例の斜視図である。
【図8】図5及び図6に示されている相手方モールドと同様な相手方モールドから成形された取り外し可能な中間網状構造の例の斜視図である。
【図9】図7及び図8に示されている形式の取り外し可能な中間網状構造を有する中間内張りの斜視図である。
【図10】中間コードを溶融させる前の図9の中間内張り上に成形された最終ダイの斜視図である。
【図11】中間コードを溶融させた後の図9の中間内張り上に成形された最終ダイの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
タイヤの慣例によって示された半径方向(OZ)、軸方向(OY)及び周方向(OX)の向きに対応した相互に直交した軸線X,Y,Zが図に表示されている。
【0036】
図1及び図2は、全体が参照符号10で示された本発明のタイヤを示している。タイヤ10は、軸線Yを中心とした回転対称を示す全体形状を有する。
【0037】
タイヤ10は、トレッド12を有している。トレッド12は、路面に接触するようになった外側走行面14を有している。トレッド12は、2つのショルダ16,18により画定されている。加うるに、トレッド12は、トレッド12のゴムに形成された周方向チャネル20a〜20cを有している。チャネル20a〜20cは、トレッド12の軸方向寸法にわたって軸方向に間隔を置くと共に分布された状態で配置されている。
【0038】
ショルダ16,18及びチャネル20a〜20cは、ゴムの周方向バンド22a〜22dを画定している。この特定の場合、バンド22aは、ショルダ16及びチャネル20aで画定され、バンド22bは、チャネル20a,20bで画定され、バンド22cは、チャネル20b,20cで画定され、バンド22dは、チャネル20c及びショルダ18で画定されている。
【0039】
各バンド22b,22cは、それぞれ、切れ目26a,26bの網状構造24,25を有し、これら切れ目の深さは、ゴムの各バンド22b,22cの半径方向高さに実質的に等しい。切れ目24,25の各網状構造は、バンド22b,22cに成形により形成された溝32a,32b,32cを更に有している。各溝32a〜32cは、正方形、長方形又は丸形の断面を有している。変形例として、断面は、任意のものであって良い。
【0040】
網状構造24の周方向溝と呼ばれている各溝32aは、軸線Y回りに周方向に且つチャネル20a〜20cに実質的に平行に延びている。網状構造25の各周方向溝32aは、斜めの線をなして軸線Y回りに周方向に延びている。各網状構造24,25の各溝32aは、それぞれ、実質的に、チャネル20a,20b相互間及びチャネル20b,20c相互間に軸方向に位置している。
【0041】
網状構造24の横方向溝と呼ばれている各溝32bは、実質的に真っ直ぐな形状をしており、各溝は、軸線Yに実質的に平行に軸方向に延びている。網状構造25の各横方向溝32bは、実質的に真っ直ぐな形状をしており、各横方向溝は、軸方向Yとゼロではない角度をなす方向に延びている。各網状構造24,25の各溝32bは、周方向溝32aからこれが開口しているチャネル20a,20b又は20cまで延びている。
【0042】
各網状構造24,25のいわゆる半径方向溝32cは各々、周方向溝32aからこれが開口している走行面14まで半径方向に延びるウェルを形成している。各溝32cは、実質的に真っ直ぐであり、タイヤ10の半径方向Zに実質的に平行に延びている。
【0043】
かくして、各網状構造24,25は、数個のノード34を有している。各ノード34は、成形によりトレッド12に形成された少なくとも2本の溝の交差部に対応している。この特定の場合、各ノード34は、周方向溝32a、少なくとも1本の横方向溝32b及びウェル32cの交差部に対応している。
【0044】
各切れ目26aは、2つの連続して位置するウェル32及び周方向溝32a中に開口している。網状構造24の各切れ目26aは、全体として周方向の向きを有し、即ち、軸線Yに実質的に垂直に延びている。網状構造25の各切れ目26aは、斜めの線をなして全体として実質的に周方向の向きを有している。
【0045】
図3は、図1及び図2のタイヤ10を製造するために用いられるモールドの本発明による最終内張りと呼ばれている内張り36を示している。最終内張り36は、図1及び図2に示しているタイヤ10のネガであるので、最終内張り36は、タイヤ10の特徴から容易に推定できる特徴を有する。
【0046】
モールドの軸方向、半径方向及び周方向は、それぞれ、モールド内に配置されたタイヤ10の軸方向、半径方向及び周方向に一致している。
【0047】
内張り36は、タイヤ10の踏み面(トレッド表面)14を成形する表面39を支持したベース38を有している。
【0048】
内張り36は、チャネル20a〜20cをそれぞれ成形するようになった数個の半径方向に間隔を置いて位置する円形コード40a〜40cを有している。各円形コード40a〜40cは、各チャネル20a〜20cの深さに対応した高さにわたり表面39から半径方向に延びている。各コード40a〜40cは、モールドの周方向Xに実質的に平行な方向に周方向に延びている。コード40a,40bは、バンド22bを成形するバンド42bを画定している。コード40b,40cは、バンド22cを成形するバンド42cを画定している。
【0049】
加うるに、内張り36は、溝32a〜32cの網状構造24,25をそれぞれ成形するコード46a〜46cの網状構造44,45を有している。この各コード46a〜46cは、断面が実質的に正方形、長方形又は丸形である。各コード46a〜46cは、アルミニウムで作られている。
【0050】
周方向コードと呼ばれている各コード46aは、周方向溝32aの成形を可能にする。網状構造44のコード46aは、コード40a〜40cに実質的に平行な軸線Y回りに周方向に延びている。網状構造45のコード46aは、斜めの線をなして軸線Y回りに周方向に延びている。この特定の場合、各網状構造44,45の各コード46aは、それぞれ、コード40a,40b相互間及びコード40b,40c相互間に軸方向に位置している。
【0051】
横方向コードと呼ばれている各コード46bは、横方向溝32bの成形を可能にする。この特定の場合、各横方向コード46bは、真っ直ぐである。網状構造44の各横方向コード46bは、軸線Yに実質的に平行に軸方向に延びている。網状構造45の各横方向コード46bは、実質的に真っ直ぐな形状をしており、各横方向溝は、軸方向Yとゼロではない角度をなす方向に延びている。各コード46bは、対応の周方向コード46aをコード40a,40b又は40cの各々にそれぞれ連結している。
【0052】
各網状構造44,45の半径方向コードと呼ばれている各コード46cは、周方向コード46aと成形面39を連結する突起を形成している。各突起46cは、ウェル32cの成形を可能にし、各突起は、実質的に真っ直ぐでありモールドの半径方向Zに実質的に平行に延びている。かくして、各網状構造44,45は、数個のノード48を有する。各ノード48は、内張り36の少なくとも2本のコードの交差部に対応している。この特定の場合、各ノード48は、周方向コード46a、少なくとも1本の横方向コード46b及び突起46cの交差部に対応している。
【0053】
各網状構造44,45は、切れ目26a,26bの網状構造24,25をそれぞれ成形する金属ブレード52a,52bを更に有している。この特定の場合、ブレード52a,52bは、スチールで作られている。
【0054】
網状構造44の一部をベース38から独立して示す図4を参照すると、各ブレード52a,52bは、長手方向エッジと呼ばれている2つのエッジ54,56及び半径方向エッジと呼ばれている2つのエッジ58,60を有している。各長手方向エッジ54は、各ブレード52a,52bをベース38内に保持するようベース38と複合成形されている。
【0055】
各ブレード52a,52bは、各切れ目26a,26bの深さを定めるようになった寸法にわたって半径方向に延びる部分62及びベース38に複合成形されたブレードの部分を構成するようになった寸法にわたって半径方向に延びる部分64を有している。
【0056】
各ブレード52aの各半径方向エッジ58,60は、突起46cのうちの1つと複合成形されている。各ブレード52aの各長手方向エッジ56は、周方向コード46aと複合成形されている。
【0057】
各ブレード52bの各半径方向エッジ58は、突起46cのうちの1つと複合成形されている。各ブレード52bの各長手方向エッジ56は、横方向コード46bと複合成形されている。さらに、各ブレード52bの各エッジ60は、対応のコード40a〜40cと複合成形されている。
【0058】
本発明の方法を実施することにより内張り36を製造することができ、この方法の重要なステップについて図5〜図11を参照して以下に説明する。
【0059】
図5及び図6は、相手方モールド又はカウンターモールド66を示している。説明を簡単にするために、図5及び図6に示されている相手方モールド66により、図3の最終内張り36の網状構造44と実質的に同じ形状の取り外し可能な中間網状構造67(図7)を得ることができる。同じやり方を用いて、網状構造45に相当する取り外し可能な中間網状構造68(図8)を生じさせる相手方モールド66の特徴を推定することができる。
【0060】
相手方モールド66は、6つの離脱可能なブロック69a〜69fを有している。各ブロック69a〜69fは、周方向ブレード52aを位置決めする収納部70a及び横方向ブレード52bを位置決めする収納部70bを有している。相手方モールド66は、中間網状構造67の中間コード74a〜74cを成形する中間溝と呼ばれている溝72a〜72cを更に有している。この場合、各ブロック69a〜69fは、各溝72a〜72cの1/4を有する。
【0061】
各収納部70aは、中間溝72a,72c中に開口し、各収納部70bは、中間溝72b,72c中に開口している。ブロック69a〜69fは、形状記憶材料で作られている。変形例として、ブロック69a〜69fは、容易に機械加工できる材料で作られ又はラピッドプロトタイピングにより作られる。
【0062】
次に、取り外し可能な中間網状構造67を相手方モールド66に成形する。取り外し可能な中間網状構造67は、第1に、中間溝72a〜72cから成形により形成されていて、コード46a〜46cに類似した中間コード74a〜74cを有すると共に第2にブレード52a,52bを有している。各中間コード74a〜74cは、対応の各ブレード52a,52bのエッジ56,58上に複合成形されている。
【0063】
この特定の場合、各ブレード52a,52bを各収納部70a〜70c内に位置決めする。後のステップでは、ブロック69a〜69fを互いに密接させることにより相手方モールド66を閉鎖する。次に、各中間コード74a〜74cを溶融可能な材料、この場合、ホットメルト材料、例えば蝋で成形する。冷却後、取り外し可能なブロック69a〜69fを分離して取り外し可能な中間網状構造67を相手方モールド66から取り出すことができるようにする。次に、特に成形残滓をなくすことを目的とした設定時間後に図7に示されている中間網状構造67を得る。中間網状構造68は、図8に示されている。
【0064】
図9は、中間内張り75を示している。中間内張り75は、ベース76及び取り外し可能な中間網状構造67,68を有している。ベース76と網状構造67,68を組み立てることにより中間内張り75を製作する。
【0065】
ベース76を容易に機械加工なプラスチックで作られた中間ダイ(図示せず)から製作する。中間ダイ上に成形することによりベース76を形状記憶材料、この場合、シラステン(silastene)で作る。ベース76は、ベース76に対する網状構造67,68の位置決めのための収納部を形成する切欠き78a,78bを有している。この特定の場合、各切欠き78aは、各ブレード52aの部分64を位置決めするために用いられる。各切欠き78bは、各ブレード52bの部分64を位置決めするために用いられる。
【0066】
次に、最終ダイ80を成形により中間内張り75上に形成する。この特定の場合、最終のダイ80は、最終内張り36のコード46a〜46cを成形している元の材料に対して不活性である材料で作られている。この材料は、好ましくは、砂及び/又はプラスタ(石膏)を含む。
【0067】
次に、ベース76と最終ダイ80を図10に示されているように分離する。かくして、ブレード52a,52bを最終ダイ80に移す。この場合、各ブレード52a,52bの各部分62を最終ダイ80と複合成形する。他方、各部分64及び各エッジ60は、自由である。また、蝋で作られた中間コード74a〜74cを最終ダイ80内に捕捉状態に保持する。
【0068】
次に、最終ダイ80を加熱し、かくして、最終ダイ80内の各コード74a〜74cを溶融させる。すると、これにより、図11に示された最終ダイ80が得られる。
【0069】
最終ダイ80は、最終内張り36のコード46a〜46cをそれぞれ成形する溝82a〜82c及び各ブレード52a,52bを位置決めする収納部83a,83bを有している。各収納部83a,83bは、溝82a〜82cのうちの1つの中に開口する。最終ダイ80は、ブレード52a,52bを更に有し、かかるブレードの各エッジ56,58は、対応の溝82a〜82c中に開口し、その結果、各エッジ56,58を最終内張り36の対応のコード46a〜46cと複合成形することができるようにする。
【0070】
次に、最終内張り36を成形により最終ダイ80上に成形する。最終内張り36をこの特定の場合、アルミニウムを含む金属で成形する。注目すべきこととして、最終ダイ80は、ブレード52a、52bのエッジ56,58を、溝32a〜32cを成形するために用いられるコード46a〜46cと複合成形することによって製造されている。
【0071】
次に、最終ダイ80を壊して最終内張り36を取り出す。
【0072】
本発明の方法を実施することによりタイヤ10を製造することができ、かかる方法の主要なステップについて以下に説明する。
【0073】
生タイヤプレフォーム10をモールド内に位置決めし、このモールドは、このモールドの軸線Y回りに周方向に分布して配置された上述の最終内張りの形式の数個の最終内張り36を有している。
【0074】
モールドをいったん閉鎖すると、生プレフォームをモールドの加熱によってモールド内で加硫する。
【0075】
次に、モールドを開き、加硫されたタイヤ10を取り出す。
【0076】
モールドをトレッド12にブレード52a,52bにより形成された切れ目26a,26bを横切って半径方向にずらすことにより、ブレード52a,52b上に配置されたコード46a〜46cを取り出す。
【0077】
上述した内容の検討から、本発明の精神から逸脱しないで、溝の網状構造の形状及びタイヤのトレッドの切れ目の分布状態を変更して所望のタイヤ性能により定められる制約に合うようにすることが申し分なく可能である。
【0078】
この利点により、先行技術の方法により生じる制限を減少させることによりタイヤ設計オプションを広げることが可能である。本発明の範囲から逸脱しないで、中間内張り75及び最終ダイ80を成形する段階に進むことなく最終内張り36の網状構造44,45を相手方モールド66から直接製作することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを加硫するモールド用の内張り(36)において、前記内張り(36)は、前記タイヤのトレッド(12)に設けられる溝(32a,32b,32c)及び切れ目(26a,26b)の網状構造(24,25)を対応関係をなして成形するコード(46a,46b,46c)及びサイプブレード(52a,52b)の少なくとも1つの網状構造(44,45)を有し、前記コード(46a,46b,46c)及び前記サイプブレード(52a,52b)の前記網状構造(44,45)は、2本のコード(46a,46b,46c)相互間に少なくとも1つのノード(34、35)を有し、前記網状構造(44,45)の各コード(46a,46b,46c)は、サイプブレード(52a,52b)の少なくとも1つのエッジ(56,58)と複合成形関係をなしている、内張り(36)。
【請求項2】
前記コード(46a,46b,46c)の網状構造(44,45)は、周方向溝(32a)を前記トレッド(12)中に成形する少なくとも1本の周方向コード(46a)を有する、請求項1記載の内張り(36)。
【請求項3】
前記コード(46a,46b,46c)の網状構造(44,45)は、横方向溝(32b)を前記トレッド(12)中に成形する少なくとも1本の横方向コード(46b)を有する、請求項1又は2記載の内張り(36)。
【請求項4】
前記コード(46a,46b,46c)の網状構造(44,45)は、半径方向溝(32c)を前記トレッド(12)中に成形する少なくとも1本の半径方向コード(46c)を有する、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の内張り(36)。
【請求項5】
生タイヤプレフォーム(10)を加硫するモールドであって、少なくとも1つの成形内張り(36)を有するモールドにおいて、前記成形内張り(36)は、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の成形内張り(36)である、モールド。
【請求項6】
タイヤ(10)のトレッド(12)の一部を成形するいわゆる最終内張り(36)を製造する方法において、前記トレッド(12)に切れ目(26a,26b)の網状構造を対応関係をなして成形するブレード(52a,52b)の網状構造のエッジ(56,58)を、前記トレッド(12)に溝(32a,32b,32c)の網状構造を対応関係をなして成形するコード(46a,46b,46c)の網状構造と複合成形することにより前記最終内張り(36)を製造する、方法。
【請求項7】
各ブレード(52a,52b)は、スチールで作られ、各コード(46a,46b,46c)は、アルミニウムで作られている、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記最終内張り(36)を最終ダイと呼ばれているダイ(80)上に成形し、前記最終ダイ(80)は、
‐前記最終内張り(36)の前記コード(46a,46b,46c)の網状構造を成形する溝(82a,82b,82c)の網状構造と、
‐前記ブレード(52a,52b)の網状構造とを有し、前記ブレード(52a,52b)の網状構造の前記エッジ(56,58)は、前記最終内張りの前記コードの網状組織を成形する溝(82a,82b,82c)の網状構造中に開口していて、前記ブレード(52a,52b)の網状構造の前記エッジ(56,58)を前記最終内張り(36)の前記コード(46a,46b,46c)の網状構造と複合成形することができるようになっている、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
前記最終ダイ(80)は、前記最終内張り(36)の前記コード(46a,46b,46c)の網状構造を成形する材料に対して不活性である材料、例えば、砂及び/又はプラスタを含む材料で作られている、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記最終ダイ(80)上への前記最終内張り(36)の成形に先立って、前記最終ダイ(80)の製造を次のようにして行い、即ち、
‐中間内張り(75)を製造し、
‐前記最終ダイ(80)を前記中間内張り(75)上に成形する、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記中間内張り(75)は、
‐相手方モールド(66)内で成形された少なくとも1つの取り外し可能な中間網状構造(67,68)を有し、前記網状構造(67,68)は、前記ブレード(52a,52b)の網状構造の前記エッジ(56,58)と複合成形された前記最終ダイ(80)の前記溝(82a,82b,82c)の網状構造を成形する中間コード(74a,74b,74c)の網状構造を有し、
‐前記取り外し可能な中間網状構造(67,68)を位置決めする少なくとも1つの収納部(78a,78b)を含むベース(76)を有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記取り外し可能な中間網状構造(67,68)の前記中間コード(74a,74b,74c)の網状構造は、溶融可能な材料、例えば蝋内に設けられる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記相手方モールド(66)は、
‐前記取り外し可能な中間網状構造(67,68)の前記中間コード(74a,74b,74c)の網状構造を成形する中間溝(72a,72b,72c)の網状構造と、
‐前記最終内張り(36)の前記ブレード(52a,52b)の網状構造を位置決めする収納部(70a,70b,70c)とを有し、各収納部(70a,70b,70c)は、中間溝(72a,72b,72c)中に開口している、請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
‐前記最終ダイ(80)を前記中間内張り(75)上に成形した後、
‐前記最終内張り(36)を前記最終ダイ(80)上に成形する前に、
各中間コード(74a,74b,74c)を溶融させる、請求項11〜13のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項15】
タイヤのトレッドの一部分を成形するモールド内張りのコード及びブレードの網状構造を成形する相手方モールド(66)において、前記相手方モールドは、
‐コードの網状構造を成形する溝の網状構造と、
‐前記溝の網状構造に対して前記ブレード(52a,52b)の網状構造を位置決めするハウジングとを有し、前記ハウジングは、前記溝のうちの少なくとも1つの中に開口している、相手方モールド(66)。
【請求項16】
生タイヤプレフォーム(10)を加硫する方法において、前記生タイヤプレフォームを請求項5記載のモールド内で加硫する、方法。
【請求項17】
タイヤ(10)において、生タイヤプレフォームを請求項5記載のモールドで加硫することによって得られる、タイヤ(10)。
【請求項1】
タイヤを加硫するモールド用の内張り(36)において、前記内張り(36)は、前記タイヤのトレッド(12)に設けられる溝(32a,32b,32c)及び切れ目(26a,26b)の網状構造(24,25)を対応関係をなして成形するコード(46a,46b,46c)及びサイプブレード(52a,52b)の少なくとも1つの網状構造(44,45)を有し、前記コード(46a,46b,46c)及び前記サイプブレード(52a,52b)の前記網状構造(44,45)は、2本のコード(46a,46b,46c)相互間に少なくとも1つのノード(34、35)を有し、前記網状構造(44,45)の各コード(46a,46b,46c)は、サイプブレード(52a,52b)の少なくとも1つのエッジ(56,58)と複合成形関係をなしている、内張り(36)。
【請求項2】
前記コード(46a,46b,46c)の網状構造(44,45)は、周方向溝(32a)を前記トレッド(12)中に成形する少なくとも1本の周方向コード(46a)を有する、請求項1記載の内張り(36)。
【請求項3】
前記コード(46a,46b,46c)の網状構造(44,45)は、横方向溝(32b)を前記トレッド(12)中に成形する少なくとも1本の横方向コード(46b)を有する、請求項1又は2記載の内張り(36)。
【請求項4】
前記コード(46a,46b,46c)の網状構造(44,45)は、半径方向溝(32c)を前記トレッド(12)中に成形する少なくとも1本の半径方向コード(46c)を有する、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の内張り(36)。
【請求項5】
生タイヤプレフォーム(10)を加硫するモールドであって、少なくとも1つの成形内張り(36)を有するモールドにおいて、前記成形内張り(36)は、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の成形内張り(36)である、モールド。
【請求項6】
タイヤ(10)のトレッド(12)の一部を成形するいわゆる最終内張り(36)を製造する方法において、前記トレッド(12)に切れ目(26a,26b)の網状構造を対応関係をなして成形するブレード(52a,52b)の網状構造のエッジ(56,58)を、前記トレッド(12)に溝(32a,32b,32c)の網状構造を対応関係をなして成形するコード(46a,46b,46c)の網状構造と複合成形することにより前記最終内張り(36)を製造する、方法。
【請求項7】
各ブレード(52a,52b)は、スチールで作られ、各コード(46a,46b,46c)は、アルミニウムで作られている、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記最終内張り(36)を最終ダイと呼ばれているダイ(80)上に成形し、前記最終ダイ(80)は、
‐前記最終内張り(36)の前記コード(46a,46b,46c)の網状構造を成形する溝(82a,82b,82c)の網状構造と、
‐前記ブレード(52a,52b)の網状構造とを有し、前記ブレード(52a,52b)の網状構造の前記エッジ(56,58)は、前記最終内張りの前記コードの網状組織を成形する溝(82a,82b,82c)の網状構造中に開口していて、前記ブレード(52a,52b)の網状構造の前記エッジ(56,58)を前記最終内張り(36)の前記コード(46a,46b,46c)の網状構造と複合成形することができるようになっている、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
前記最終ダイ(80)は、前記最終内張り(36)の前記コード(46a,46b,46c)の網状構造を成形する材料に対して不活性である材料、例えば、砂及び/又はプラスタを含む材料で作られている、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記最終ダイ(80)上への前記最終内張り(36)の成形に先立って、前記最終ダイ(80)の製造を次のようにして行い、即ち、
‐中間内張り(75)を製造し、
‐前記最終ダイ(80)を前記中間内張り(75)上に成形する、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記中間内張り(75)は、
‐相手方モールド(66)内で成形された少なくとも1つの取り外し可能な中間網状構造(67,68)を有し、前記網状構造(67,68)は、前記ブレード(52a,52b)の網状構造の前記エッジ(56,58)と複合成形された前記最終ダイ(80)の前記溝(82a,82b,82c)の網状構造を成形する中間コード(74a,74b,74c)の網状構造を有し、
‐前記取り外し可能な中間網状構造(67,68)を位置決めする少なくとも1つの収納部(78a,78b)を含むベース(76)を有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記取り外し可能な中間網状構造(67,68)の前記中間コード(74a,74b,74c)の網状構造は、溶融可能な材料、例えば蝋内に設けられる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記相手方モールド(66)は、
‐前記取り外し可能な中間網状構造(67,68)の前記中間コード(74a,74b,74c)の網状構造を成形する中間溝(72a,72b,72c)の網状構造と、
‐前記最終内張り(36)の前記ブレード(52a,52b)の網状構造を位置決めする収納部(70a,70b,70c)とを有し、各収納部(70a,70b,70c)は、中間溝(72a,72b,72c)中に開口している、請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
‐前記最終ダイ(80)を前記中間内張り(75)上に成形した後、
‐前記最終内張り(36)を前記最終ダイ(80)上に成形する前に、
各中間コード(74a,74b,74c)を溶融させる、請求項11〜13のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項15】
タイヤのトレッドの一部分を成形するモールド内張りのコード及びブレードの網状構造を成形する相手方モールド(66)において、前記相手方モールドは、
‐コードの網状構造を成形する溝の網状構造と、
‐前記溝の網状構造に対して前記ブレード(52a,52b)の網状構造を位置決めするハウジングとを有し、前記ハウジングは、前記溝のうちの少なくとも1つの中に開口している、相手方モールド(66)。
【請求項16】
生タイヤプレフォーム(10)を加硫する方法において、前記生タイヤプレフォームを請求項5記載のモールド内で加硫する、方法。
【請求項17】
タイヤ(10)において、生タイヤプレフォームを請求項5記載のモールドで加硫することによって得られる、タイヤ(10)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−513917(P2012−513917A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544071(P2011−544071)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052637
【国際公開番号】WO2010/076521
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052637
【国際公開番号】WO2010/076521
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]