説明

溶解炉用のバーナ及び溶解炉

【課題】 溶解作業の所要時間の短縮及び溶解原単位の向上を図り得る溶解炉用のバーナ、及び、溶解炉を提供する。
【解決手段】 燃料噴出部21の外周部に環状の酸素噴出口22を備え、燃焼用空気を噴出する環状の空気噴出口23が、酸素噴出口22の外周部に配設され、空気噴出口23からの燃焼用空気の噴出を停止する状態で酸素噴出口22から燃焼用酸素を噴出させて、燃料噴出部21から噴出されるガス燃料を燃焼させる酸素専焼状態と、酸素噴出口22からの燃焼用酸素の噴出を停止する状態又は酸素噴出口22から燃焼用酸素を噴出させる状態で空気噴出口23から燃焼用空気を噴出させて、燃料噴出部21から噴出されるガス燃料を燃焼させる空気燃焼状態とに切り換えるべく、酸素噴出口22からの燃焼用酸素の噴出を制御する酸素噴出制御手段及び空気噴出口23からの燃焼用空気の噴出を制御する空気噴出制御手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料噴出部の外周部に環状の酸素噴出口を備えて、前記燃料噴出部から噴出されるガス燃料を前記酸素噴出口から噴出される燃焼用酸素にて燃焼させて、炉体内の被溶解物を溶解させるように構成された溶解炉用のバーナ、及び、その溶解炉用のバーナを備えた溶解炉に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる溶解炉用のバーナ(以下、単にバーナと称する場合がある)は、炉体内に収容した銑鉄、鉄屑等の被溶解物を溶解させるために炉体内を加熱するものであって、燃料噴出部からガス燃料を噴出させ、その燃料噴出部の外周部の環状の酸素噴出口から燃焼用酸素を噴出させて、燃料噴出部から噴出されるガス燃料を酸素噴出口から噴出される燃焼用酸素にて燃焼させる、所謂酸素専焼状態により燃焼させて、炉体内を加熱するように構成したものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
つまり、銑鉄、鉄屑等の被溶解物を溶解させるには、炉体内を例えば1500°C以上の溶解可能温度に加熱する必要があり、上述のように酸素専焼状態にてバーナを燃焼させることにより、炉体内を溶解可能温度に加熱して被溶解物を溶解させる溶解作業を良好に行うことができるものである。
【0004】
【特許文献1】特開平7−167406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような溶解炉を用いて被溶解物を溶解させる溶解作業は、通常、バッチ処理にて行われるものである。つまり、バーナを燃焼させて炉体内を溶解可能温度又はそれに近い温度にまで加熱する昇温運転、バーナを燃焼させて炉体内の温度を溶解可能温度に維持する通常運転を順次行い、その通常運転において被溶解物が所定通りに溶解すると、バーナを消火させて炉体内から被溶解物を取り出す手順で、溶解作業を行うものである。
【0006】
しかしながら、従来では、昇温運転から通常運転にわたって一貫して、バーナを酸素専焼状態にて燃焼させることになり、酸素の消費量が多くなっていた。
又、ガス燃料を酸素にて燃焼させる酸素専焼状態は、燃焼ガス量が少なくて、炉内ガスの攪拌を十分に行わせ難いので、炉体内の温度を昇温させる昇温運転においては、炉内の温度分布を向上させ難く、又、加熱効率を向上させ難いことから、ガス燃料の消費量が多くなるのみならず、溶解作業の所要時間が長くなっていた。
【0007】
従って、従来では、昇温運転から通常運転にわたって一貫してバーナを酸素専焼状態にて燃焼させることに起因して高価な酸素の消費量が多くなること、及び、昇温運転におけるガス燃料の消費量が多くなることが相俟って、溶解原単位が高くなるという問題があった。
又、溶解作業の所要時間が長くなるという問題もあった。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶解作業の所要時間の短縮及び溶解原単位の向上を図り得る溶解炉用のバーナ、及び、溶解炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の溶解炉用のバーナは、燃料噴出部の外周部に環状の酸素噴出口を備えて、前記燃料噴出部から噴出されるガス燃料を前記酸素噴出口から噴出される燃焼用酸素にて燃焼させて、炉体内の被溶解物を溶解させるように構成されたものであって、
その第1特徴構成は、燃焼用空気を噴出する環状の空気噴出口が、前記酸素噴出口の外周部に配設され、
前記空気噴出口からの燃焼用空気の噴出を停止する状態で前記酸素噴出口から燃焼用酸素を噴出させて、前記燃料噴出部から噴出されるガス燃料を燃焼させる酸素専焼状態と、前記酸素噴出口からの燃焼用酸素の噴出を停止する状態又は前記酸素噴出口から燃焼用酸素を噴出させる状態で前記空気噴出口から燃焼用空気を噴出させて、前記燃料噴出部から噴出されるガス燃料を燃焼させる空気燃焼状態とに切り換えるべく、前記酸素噴出口からの燃焼用酸素の噴出を制御する酸素噴出制御手段及び前記空気噴出口からの燃焼用空気の噴出を制御する空気噴出制御手段が設けられている点を特徴とする。
【0010】
即ち、酸素噴出制御手段及び空気噴出制御手段を操作して、酸素噴出口からの燃焼用酸素の噴出及び空気噴出口からの燃焼用空気の噴出を制御することにより、空気噴出口からの燃焼用空気の噴出を停止する状態で酸素噴出口から燃焼用酸素を噴出させて、燃料噴出部から噴出されるガス燃料を燃焼させる酸素専焼状態と、酸素噴出口からの燃焼用酸素の噴出を停止する状態又は酸素噴出口から燃焼用酸素を噴出させる状態で空気噴出口から燃焼用空気を噴出させて、燃料噴出部から噴出されるガス燃料を燃焼させる空気燃焼状態とに切り換えることができる。
【0011】
つまり、昇温運転の全般あるいは昇温運転の途中までは空気燃焼状態にて行い、通常運転は酸素専焼状態にて行うことにより、炉体内を溶解可能温度に加熱することができながら、酸素の消費量を低減することが可能となる。
又、バーナを空気燃焼状態にて燃焼させる場合は、酸素専焼状態にて燃焼させる場合に比べて、燃焼ガス量が多くなるので、昇温運転の全般あるいは昇温運転の途中までを空気燃焼状態にて行うことにより、炉内ガス量が多くなって炉内ガスの攪拌を十分に行わせ易いので、炉内の温度分布を向上させると共に、加熱効率を向上させることが可能となり、ガス燃料の消費量の低減のみならず、昇温運転の所要時間の短縮を図ることが可能となる。
そして、酸素の消費量及びガス燃料の消費量を低減することが可能となるので、溶解原単位の向上を図ることが可能となり、又、昇温運転の所要時間の短縮を図ることが可能となるので、溶解作業の所要時間を短縮することが可能となる。
従って、溶解作業の所要時間の短縮及び溶解原単位の向上を図り得る溶解炉用のバーナを提供することができるようになった。
【0012】
溶解炉用のバーナの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記酸素噴出口と前記空気噴出口との間に、冷却用流体を通流させる冷却ジャケットが設けられている点を特徴とする。
【0013】
即ち、酸素噴出口と空気噴出口との間に、冷却用流体を通流させる冷却ジャケットが設けられているので、その冷却ジャケットにより、酸素噴出口を形成する酸素噴出口形成部材及び空気噴出口を形成する空気噴出口形成部材を効率良く且つ適切に冷却することが可能となる。
そして、酸素噴出口形成部材及び空気噴出口形成部材を効率良く且つ適切に冷却することが可能となることにより、それら酸素噴出口形成部材及び空気噴出口形成部材の劣化を抑制することが可能となるので、耐久性を向上することが可能となる。
ちなみに、冷却ジャケットを空気噴出口の外周部に設ける場合は、空気噴出口形成部材を適切に冷却することは可能であるが、酸素噴出口形成部材を冷却し難くなり、耐久性を向上する上で多少不利となる。
従って、溶解原単位に加えて、耐久性をも向上し得る溶解炉用のバーナを提供することができるようになった。
【0014】
溶解炉用のバーナの第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記空気噴出口が、その燃焼用空気噴出方向において、前記冷却ジャケットの先端よりも前記燃焼用空気噴出方向の上手側に後退した位置に配設されている点を特徴とする。
【0015】
即ち、空気噴出口が、その燃焼用空気噴出方向において、冷却ジャケットの先端よりも燃焼用空気噴出方向の上手側に後退した位置に配設されているので、冷却ジャケットにより、空気噴出口形成部材の先端をも適切に冷却することが可能となる。
【0016】
つまり、バーナにて形成される火炎が炉体内面に接触すると、炉体の耐久性が低下することから、このようなバーナは、通常は、その先端部分を炉体内に突入させた状態で設けて、火炎を炉体内面に接触させないように形成するようにしている。
そこで、空気噴出口をその燃焼用空気噴出方向において冷却ジャケットの先端よりも燃焼用空気噴出方向の上手側に後退した位置に配設することにより、バーナをその先端部分が炉体内に突入する状態で設けて、空気噴出口形成部材の先端部分が高温の炉体内に臨む状態となっても、空気噴出口形成部材の先端をも適切に冷却することが可能となるのである。
従って、バーナの先端部分が炉体内に突入する状態で設けられる場合であっても、耐久性を向上し得る溶解炉用のバーナを提供することができるようになった。
【0017】
本発明の溶解炉は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶解炉用のバーナを備えたものであって、
その第1特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかに加えて、
横方向の回転軸心周りに自転自在に支持され且つ被溶解物の供給用と炉内ガスの排出用とに兼用される兼用開口部を前記回転軸心と同軸心状に備えた炉体と、
その炉体を前記回転軸心周りで一方向に連続回転又は正逆回転させる駆動手段とが設けられ、
前記兼用開口部の開口を減少状態に調節する開口調節装置が、前記兼用開口部の開口を減少状態にするための調節位置と、前記兼用開口部を全開するように前記兼用開口部から退避する退避位置とに位置変更自在に設けられている点を特徴とする。
【0018】
即ち、兼用開口部を通して被溶解物を炉体内に供給して、そのように被溶解物を収容した自転自在な炉体を駆動手段により回転軸心周りに一方向に連続回転又は正逆回転させながら、バーナにて炉体内を加熱して運転する。
兼用開口部は炉体の回転軸心と同軸心状であるので、溶解炉の運転中は、排気ダクトをそのガス受入口が兼用開口部に対向する状態で配設することにより、回転軸心周りに一方向に連続回転又は正逆回転される炉体の兼用開口部から排出されるバーナの燃焼ガス等の炉内ガスをガス受入口から排気ダクト内に受け入れて、その排気ダクトを通して所定の箇所に排出することができる。
【0019】
そして、兼用開口部の開口を減少状態に変更する開口調節装置が、兼用開口部の開口を減少状態にするための調節位置と、兼用開口部を全開するように兼用開口部から退避する退避位置とに位置変更自在に設けられているので、被溶解物を炉体内に供給するときは、開口調節装置を退避位置に位置させることにより、兼用開口部を全開させることができるものとなり、その全開状態の兼用開口部を通して、被溶解物を容易に炉体内に供給することができる。
【0020】
又、被溶解物を収容した炉体を回転軸心周りで一方向に連続回転又は正逆回転させながら、バーナにて炉体内を加熱して運転するときは、開口調節装置を調節位置に位置させることにより、その開口調節装置により、兼用開口部の開口を減少状態に変更することができるので、兼用開口部を通しての輻射熱損失を抑制することができ、又、炉内圧の低下を抑制して炉内圧が負圧になるのを回避することができる。
つまり、兼用開口部をその開口面積が大きくなるように形成しても、溶解炉の運転中は、開口調節装置により、兼用開口部の開口を減少状態に変更して、兼用開口部を通しての輻射熱損失や外気の侵入を抑制することができるので、加熱効率を向上することが可能となり、溶解原単位を向上することが可能となる。
【0021】
従って、被溶解物供給用と炉内ガス排出用との兼用開口部を備えた炉体を横方向の回転軸心周りに一方向に連続回転又は正逆回転させながら運転する溶解炉において、上記第1〜第3特徴構成のいずれかを備えたバーナを備えさせることにより、先に説明した如く、溶解原単位を向上することができることに加えて、上述のように開口調節装置を設けることにより溶解原単位を向上することが可能となるので、それらが相俟って、溶解原単位をより一層向上することが可能となる。
【0022】
又、被溶解物を炉体内に供給するときは、開口調節装置を退避位置に位置させて、兼用開口部を全開させることができるので、全開状態でしかも開口面積の大きい兼用開口部を通して、被溶解物を容易に炉体内に供給することができる。
要するに、被溶解物供給用と炉内ガス排出用との兼用開口部を備えた炉体を横方向の回転軸心周りに一方向に連続回転又は正逆回転させながら運転する溶解炉において、被溶解物を炉体内に容易に供給することができながら、溶解原単位をより一層向上することができるようになった。
【0023】
溶解炉の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記開口調節装置が、前記兼用開口部の開口度を変更調節するように構成されている点を特徴とする。
【0024】
即ち、開口調節装置が兼用開口部の開口度を変更調節するように構成されているので、兼用開口部の開口を減少状態に変更でき、しかも、バーナの燃焼状態を前記酸素専焼状態と空気燃焼状態とに変化させる等、運転条件が変化しても、兼用開口部の開口度を運転条件に応じた開口度に変更調節することが可能となる。
【0025】
つまり、バーナを空気燃焼状態にて燃焼させる場合と酸素専焼状態にて燃焼させる場合とでは、空気燃焼状態にて燃焼させる場合の方が燃焼ガス量が多くなるので、空気燃焼状態のときは酸素専焼状態のときよりも開口度が大きくなる状態で、開口調節装置により兼用開口部の開口度を夫々の運転状態に応じた開口度に調節することが可能となる。
そして、兼用開口部の開口度を空気燃焼状態及び酸素専焼状態夫々に応じた開口度に調節することが可能となることにより、炉内圧を適正にすることが可能となって、兼用開口部を通しての排気損失や外気の侵入を抑制することができるので、加熱効率を向上することが可能となる。
【0026】
従って、溶解炉の運転中は兼用開口部の開口を減少状態にしながらも、その運転中の兼用開口部の開口度を、空気燃焼状態での運転及び酸素専焼状態での運転の夫々に応じた適切な開口度に調節することが可能となるので、溶解原単位を更に向上することができるようになった。
【0027】
溶解炉の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記開口調節装置が、前記調節位置に位置した状態で前記回転軸心と同軸心状に位置して、前記回転軸心方向において炉内側ほど細い錐状の開口調節具と、その開口調節具を前記兼用開口部に対する突入位置を変更調節するように前記回転軸心方向に沿って移動操作する駆動部とを備えて構成されている点を特徴とする。
【0028】
即ち、開口調節装置を調節位置に位置させた状態では、炉体の回転軸心方向において炉内側ほど細い錐状の開口調節具は、炉体の回転軸心と同軸心状に位置した状態となっている。
そして、駆動部により、開口調節具を回転軸心方向に沿って移動操作することにより、開口調節具を、兼用開口部と非接触状態にして、炉体の回転軸心周りでの一方向の連続回転又は正逆回転に支障を与えることなく、兼用開口部に突入させることが可能となる。
そして、駆動部により開口調節具を回転軸心方向に沿って移動操作して、兼用開口部に対する開口調節具の突入位置を調節することにより、兼用開口部の開口を減少状態に変更でき、しかも、その減少状態において兼用開口部の開口度を連続的あるいは複数段階により細かく変更調節することが可能となる。
【0029】
従って、兼用開口部の開口度を連続的あるいは複数段階により細かく調節することが可能となるので、前記空気燃焼状態及び前記酸素専焼状態の夫々において、バーナの燃焼量を異ならせても、炉内圧を適正にすることが可能となって、加熱効率を向上することが可能となる。
要するに、溶解炉の運転中は兼用開口部の開口を減少状態にしながらも、その運転中の兼用開口部の開口度をバーナの燃焼量に応じた適切な開口度に調節することが可能となるので、溶解原単位を更に向上することができるようになった。
【0030】
溶解炉の第4特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記酸素専焼状態と前記空気燃焼状態とに切り換えるように前記酸素噴出制御手段及び前記空気噴出制御手段を制御し、且つ、その制御に伴って、前記兼用開口部の開口度が前記酸素専焼状態及び前記空気燃焼状態の夫々に応じた開口度になるように前記開口調節装置を制御する制御手段が設けられている点を特徴とする。
【0031】
即ち、制御手段は、酸素専焼状態に切り換えるように酸素噴出制御手段及び空気噴出制御手段を制御すると、その制御に伴って、兼用開口部の開口度が酸素専焼状態に応じた開口度になるように開口調節装置を制御し、又、空気燃焼状態に切り換えるように酸素噴出制御手段及び空気噴出制御手段を制御すると、その制御に伴って、兼用開口部の開口度が空気燃焼状態に応じた開口度になるように開口調節装置を制御する。
【0032】
つまり、兼用開口部の開口度を酸素専焼状態及び空気燃焼状態の夫々に応じた開口度に変更調節するための開口調節装置の制御が、酸素専焼状態と空気燃焼状態とに切り換えるのに伴って自動的に行われるので、使い勝手を向上することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
〔第1実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明の第1実施形態を説明する。
先ず、本発明のバーナBを備えた溶解炉について、説明する。
図1ないし図4に示すように、この溶解炉は、横方向の回転軸心P1周りに自転自在に支持され且つ被溶解物の供給用と炉内ガスの排出用とに兼用される兼用開口部1eを回転軸心P1と同軸心状に備えた炉体1、その炉体1を前記回転軸心周りで一方向に連続回転させる駆動手段としての電動モータ2(図4参照)、炉体1内の被溶解物を溶解させるようにその炉体1内を加熱する前記バーナB、兼用開口部1eから排出される炉内ガスを受け入れて導く排気ダクトD、及び、この溶解炉の運転を制御する制御部4(図5参照)等を備えて構成してある。
【0034】
又、この溶解炉には、被溶解物を炉体1内に供給するホッパ5と兼用開口部1eから排出される炉内ガスを導く前記排気ダクトDの接続ダクト部3とを備えた台車Cを、ホッパ5の排出口5eを被接触状態にて兼用開口部1eに対向させる被溶解物投入位置(図3参照)と排気ダクトDを構成する接続ダクト部3のガス受入口3iを被接触状態にて兼用開口部1eに対向させる運転位置(図1、図2及び図4参照)とに位置変更自在に設けてある。
【0035】
そして、本発明では、兼用開口部1eの開口を減少状態に変更する開口調節装置Mを、兼用開口部1eの開口を減少状態にするための調節位置(図1、図2及び図4参照)と、兼用開口部1eを全開するように兼用開口部1eから退避する退避位置(図3参照)とに位置変更自在に設けてある。
又、この実施形態では、開口調節装置Mを、兼用開口部1eの開口度を変更調節するように構成してある。
更に、その開口調節装置Mを、前記台車Cが前記運転位置に位置した状態で前記調節位置に位置し(図1、図2及び図4参照)且つ台車Cが前記被溶解物投入位置に位置した状態で前記退避位置に位置する(図3参照)ように、台車Cに支持してある。
【0036】
以下、この溶解炉を構成する各部について説明を加える。
前記炉体1は、両端を絞り状に開口させた円筒状に形成し、その一端側の絞り状の開口部を前記兼用開口部1eとして用い、他端側の絞り状の開口部を前記バーナBを挿入するための加熱用開口部1hとして用いる構成としてある。
更に、前記炉体1における加熱用開口部1h側には、被溶解物を溶解させた溶解物を取り出すための2個の出湯口1tを周方向に振り分けて設けてある。尚、これら出湯口1tは、溶解炉の運転中は粘土(図示省略)を詰めて閉じてあり、この粘土は、溶解物を炉体1から取り出すときに除去することになる。
図中のWは、出湯口1tから排出される溶解物を受け入れる溶解物受け入れ台車である。
【0037】
前記炉体1を、その軸心方向に並ぶ2対のローラ8(図4参照)にてその軸心周りに回転自在な状態で揺動支持台6に載置支持し、その揺動支持台6を、炉体1の軸心が水平方向を向いて保持される状態から炉体1の前記出湯口1tの側が下方になる状態に傾斜させることができるように、炉体1の軸心に直交する水平方向の揺動軸心P2周りに揺動自在に基台7に支持してある。
更に、前記電動モータ2を、前記揺動支持台6に設けると共に、その電動モータ2と前記ローラ8とを電動モータ2にてローラ8を回転駆動するように伝動連結してある(図4参照)。
【0038】
更に、1対の油圧式の傾動用シリンダ9を、炉体1の両側に振り分けた状態で、前記炉体1をその軸心が水平方向を向く運転状態に保持する状態と、前記出湯口1tが下方になる状態に傾斜させる出湯状態に保持する状態とに切り換えるように設けてある。
そして、傾動用シリンダ9にて炉体1を運転状態に保持した状態で、前記電動モータ2を駆動させることにより、炉体1をその軸心と同軸状の水平方向の回転軸心P1周りに一方向に連続回転駆動させるように構成してある。
【0039】
前記基台7における前記炉体1の兼用開口部1eの側の床上に、回転軸心P1に直交するように1対のレール10を敷設して、前記台車Cをそのレール10の案内にて、前記被溶解物投入位置と前記運転位置とに位置変更自在に設けてある。
【0040】
台車Cは、2対の車輪11を回転自在に備えた車体部12、前記2つの車輪11のうちの一方の1対の車輪11を回転させるように伝動連結した状態で車体部12に支持した台車移動用ハンドル13等を備えて構成してある。尚、図示は省略するが、前記被溶解物投入位置及び前記運転位置の夫々に対応させて、台車Cを受け止めて夫々の位置に位置決めするための車止めを設けてある。
【0041】
前記排気ダクトDの接続ダクト部3及び前記ホッパ5を、台車Cの移動方向に並べた状態で前記車体部12に設けてある。
前記接続ダクト部3は、水平方向視にて概ねL字状に形成し、そのL字状の接続ダクト部3の横向きの開口部を前記ガス受入口3iとして機能させて、その接続ダクト部3を、前記台車Cが前記運転位置に位置した状態でガス受入口3iが被接触状態にて兼用開口部1eに対向する状態となるように、前記台車Cの車体部12に設けてある。
【0042】
又、前記ホッパ5は、前記台車Cが前記被溶解物供給位置に位置した状態でホッパ5の被溶解物の排出口5eが被接触状態にて兼用開口部1eに対向する状態となるように、前記台車Cの車体部12に設けてある。
【0043】
前記ダクトDは、前記接続ダクト部3と、その接続ダクト部3の上向きの開口部3eから排出される炉内ガスを受け入れて導く固定ダクト部14とを備えて構成してある。その固定ダクト部14は、その一端側の下向きの開口部14iが、前記台車Cが前記運転位置に位置した状態でその台車Cに設けられている接続ダクト部3の上向きの開口部3eに対向する状態となるように、配設してある。
そして、台車Cを運転位置に位置させることにより、兼用開口部1eから排出される炉内ガスを、煙突効果等による吸引作用により、ガス受入口3iから接続ダクト部3内に受け入れて、その接続ダクト部3及び固定ダクト部14を通して通流させて、屋外等の所定の箇所に排出させるように構成してある。
【0044】
次に、図5に基づいて、前記開口調節装置Mについて説明を加える。
この開口調節装置Mは、前記調節位置に位置した状態で前記回転軸心P1と同軸心状に位置して、前記回転軸心方向において炉内側ほど細い円錐台状開口調節具15と、その開口調節具15を前記兼用開口部1eに対する突入位置を変更調節するように前記回転軸心方向に沿って移動操作する駆動部としての開口調節用シリンダ16を備えて構成してある。ちなみに、開口調節用シリンダ16としては、油圧シリンダ、空圧シリンダあるいは電動シリンダを用いることができる。
【0045】
前記開口調節用シリンダ16は、前記台車Cが前記運転位置に位置したときに、シリンダロッドが前記回転軸心P1と略同軸心状になる姿勢にて前記接続ダクト部3の外部に位置させた状態で、台車Cの車体部12に支持し、そのシリンダロッドの先端に、接続ダクト部3に挿通した状態のアーム17を連結してある。
そのアーム17の先端に、前記円錐台状開口調節具15を、その小径側が前記兼用開口部1e側を向く状態で、前記回転軸心P1と同軸心状になるように取り付けてある。
尚、前記開口調節用シリンダ16を収縮させた状態では、前記円錐台状開口調節部15が前記兼用開口部1eの前方にそれと間隔を隔てて位置するように構成してある。
【0046】
そして、前記開口調節用シリンダ16を収縮状態に作動させた状態で、前記台車Cを前記被溶解物投入位置から前記運転位置に移動させることにより、開口調節装置Mを調節位置に位置させて、開口調節用シリンダ16を伸張作動させると共にその伸張位置を調節することにより、円錐台状開口調節具15の前記兼用開口部1eに対する突入位置を調節して、兼用開口部1eの開口度を調節する構成としてある。
【0047】
又、炉体1内の温度を検出する赤外線温度計20を、炉体1の回転に支障を与えないように設けてある。
【0048】
次に、前記バーナBについて説明を加える。
図1ないし図3に示すように、バーナ支持台18に、旋回アーム19を垂直方向の旋回軸心周りに旋回自在に支持してある。
そして、バーナBは、旋回アーム19の先端に支持して、その旋回アーム19による旋回により、バーナBの先端が前記炉体1の加熱用開口部1h内に挿入される運転位置と、その加熱用開口部1hから抜いた退避位置とに位置変更自在なように設けてある。
【0049】
図6ないし図8に示すように、バーナBは、燃料噴出部としての燃料噴出ノズル21の外周部に環状の酸素噴出口22を配設し、燃料噴出ノズル21から噴出されるガス燃料を酸素噴出口22から噴出される燃焼用酸素にて燃焼させて、炉体1内の被溶解物を溶解させるように構成してある。
【0050】
そして、本発明では、燃焼用空気を噴出する環状の空気噴出口23を、酸素噴出口22の外周部に配設し、図5に示すように、空気噴出口23からの燃焼用空気の噴出を停止する状態で酸素噴出口22から燃焼用酸素を噴出させて、燃料噴出ノズル21から噴出されるガス燃料を燃焼させる酸素専焼状態と、酸素噴出口22から燃焼用酸素を噴出させる状態で空気噴出口23から燃焼用空気を噴出させて、燃料噴出ノズル21から噴出されるガス燃料を燃焼させる空気燃焼状態とに切り換えるべく、酸素噴出口22からの燃焼用酸素の噴出を制御する酸素噴出制御手段Vo及び空気噴出口23からの燃焼用空気の噴出を制御する空気噴出制御手段Vaを設けてある。
【0051】
図6ないし図8に示すように、更に、酸素噴出口22と空気噴出口23との間に、冷却用流体として冷却水を通流させる冷却ジャケット24を設けてある。
又、空気噴出口23を、その燃焼用空気噴出方向において、冷却ジャケット24の先端よりも前記燃焼用空気噴出方向の上手側に後退した位置に配設してある。
【0052】
図6ないし図8に基づいて、更に説明を加えると、先端に前記燃料噴出ノズル21を備えた燃料供給筒25の外周部に、酸素流路用筒状体26、冷却ジャケット用内筒状体27、冷却ジャケット用外筒状体28、空気流路用筒状体29を内側から順に同心状に備えて、燃料供給筒25と酸素流路用筒状体26との間に、先端を前記酸素噴出口22とする燃焼用酸素流路30を形成し、酸素流路用筒状体26と冷却ジャケット用内筒状体27及び冷却ジャケット用外筒状体28とにより前記冷却ジャケット24を形成し、冷却ジャケット用外筒状体28と空気流路用筒状体29とにより、先端を前記空気噴出口23とする燃焼用空気流路31を形成してある。
【0053】
前記燃料供給筒25の後端部には、燃料供給筒25にガス燃料を供給する燃料供給口32を設けてある。
前記燃料噴出ノズル21には、複数(この実施形態では4個)のガス噴出孔21hを放射状に形成してある。
【0054】
前記酸素流路用筒状体26は、先端部に、先端側ほど大径となるロート状部26rを備えさせてある。
そして、その酸素流路用筒状体26を、先端のロート状部26rを前記燃料噴出ノズル21よりも突出させ且つ後端を閉塞した状態で、燃料供給筒25の外周部に設けてある。
つまり、燃料噴出ノズル21の先端と酸素流路用筒状体26の内周面とにより、前記環状の酸素噴出口22が形成され、燃料供給筒25と酸素流路用筒状体26との間に、先端を酸素噴出口22とする前記燃焼用酸素流路30が形成されることになる。
酸素流路用筒状体26の後端側には、燃焼用酸素流路30に燃焼用酸素を供給する酸素供給口33を設けてある。
【0055】
又、燃焼用酸素流路30には、その燃焼用酸素流路30を通流する燃焼用酸素を旋回させるように酸素用旋回羽根34を設けて、その酸素用旋回羽根34の作用により、燃焼用酸素を環状の酸素噴出口22から旋回する状態で噴出させるように構成してある。
【0056】
前記冷却ジャケット用内筒状体27は、後端に径方向内側に張り出す環状の張り出し部を備えさせて、先端を酸素流路用筒状体26の先端よりも後退させた状態で、前記張り出し部を酸素流路用筒状体26に外嵌させてその外嵌部分を溶接接続することにより、酸素流路用筒状体26の外周部に設け、前記冷却ジャケット用外筒状体28は、両端夫々に径方向内側に張り出す環状の張り出し部を備えさせて、先端側の張り出し部を酸素流路用筒状体26の先端に外嵌し且つ後端側の張り出し部を冷却ジャケット用内筒状体27に外嵌させて、夫々の外嵌部分を溶接接続することにより、冷却ジャケット用内筒状体27の外周部に設けて、酸素流路用筒状体26と冷却ジャケット用内筒状体27及び冷却ジャケット用外筒状体28とにより、前記冷却ジャケット24を形成してある。
【0057】
その冷却ジャケット用内筒状体27の後端部に、冷却水を供給する冷却水供給口35を設け、冷却ジャケット用外筒状体28の後端部に、冷却水を排出させる冷却水排出口36を設けてある。
そして、冷却水供給口35から冷却水を供給して、冷却水を、酸素流路用筒状体26と冷却ジャケット用内筒状体27との間の流路部分を先端側に向けて流動させ、その先端で反転させて、冷却ジャケット用内筒状体27と冷却ジャケット外筒状体28との間の流路部分を後方に向けて流動させて、冷却水排出口36から排出させる形態で流動させる構成となっている。
【0058】
つまり、冷却ジャケット24は、冷却水を互いに逆方向に通流させる流路部分を隣接する状態で備えて通流経路を長くすることにより、冷却作用を促進させている。
【0059】
前記空気流路用筒状体29の後端には、その径方向の内側及び外側の両側に張り出す状態で取り付け用環状板29fを設けてある。そして、その空気流路用筒状体29は、先端を冷却ジャケット外筒状体28の先端よりも後退させた状態で、取り付け用環状板29fを冷却ジャケット外筒状体28に外嵌させて、その取り付け用環状板29fと冷却ジャケット外筒状体28に備えさせた鍔状部28fとをネジ式締結手段(図示省略)にて締結することにより、冷却ジャケット外筒状体28の外周部に設けてある。
【0060】
つまり、冷却ジャケット外筒状体28の外周面と空気流路用筒状体29の先端とにより、前記環状の空気噴出口23が形成され、冷却ジャケット用外筒状体28と空気流路用筒状体29とにより、先端を空気噴出口23とする燃焼用空気流路31が形成されることになる。
そして、空気噴出口23を、その燃焼用空気噴出方向において、冷却ジャケット24の先端よりも前記燃焼用空気噴出方向の上手側に後退した位置に配設してある。
【0061】
空気流路用筒状体29の後端側には、燃焼用空気流路31に燃焼用酸素を供給する空気供給口37を設けてある。
又、燃焼用空気流路31には、その燃焼用空気流路31を通流する燃焼用空気を旋回させるように空気用旋回羽根38を設けて、その空気用旋回羽根38の作用により、燃焼用空気を環状の空気噴出口23から旋回する状態で噴出させるように構成してある。
【0062】
更に、図5にも示すように、空気流路用筒状体29の外周部には、バーナBをその先端が前記炉体1の加熱用開口部1h内に挿入される前記運転位置に位置させた状態で、加熱用開口部1hを覆うように、蓋体39を設けてある。
その蓋体39における加熱用開口部1h側の面には、その加熱用開口部1h側に向けて突出するように、大小2個のリング状の蓋側シール部材40を同心状に設け、炉体1における加熱用開口部1hの開口端面には、外側に向けて突出するように、リング用の炉側シール部材41を設けてある。
そして、バーナBを前記運転位置に位置させた状態で、蓋側シール部材40と炉側シール部材41とが重なり合うようにして、炉内ガスの漏れ及び外気の侵入を抑制する構成としてある。
【0063】
図5に示すように、前記燃料供給口32に、ガス燃料供給用の燃料供給路42を接続し、その燃料供給路42に、ガス燃料の供給を断続する燃料断続弁43、ガス燃料の供給量を調節する燃料供給量調節弁44、及び、ガス燃料の通流量を検出する燃料流量センサ45を設けてある。
【0064】
前記酸素供給口33には、燃焼用酸素供給用の酸素供給路46を接続し、その酸素供給路46に、燃焼用酸素の供給を断続する酸素断続弁47、燃焼用酸素の供給量を調節する酸素供給量調節弁48、及び、燃焼用酸素の通流量を検出する酸素流量センサ49を設けてある。
つまり、酸素断続弁47を閉弁することにより、酸素噴出口22からの燃焼用酸素の噴出が停止され、酸素断続弁47を開弁した状態で酸素供給量調節弁48の開度を変更調節することにより、酸素噴出口22からの燃焼用酸素の噴出量が変更調節されることになり、酸素断続弁47及び酸素供給量調節弁48により、前記酸素噴出制御手段Voを構成してある。
【0065】
前記空気供給口37に、ブロア50から燃焼用空気を供給する空気供給路51を接続し、その空気供給路51に、燃焼用空気の通流量を検出する空気流量センサ52を設けてある。
前記ブロア50は、回転速度が変更調節されて、その送風量が変更調節される構成となっている。つまり、ブロア50を停止させることにより、空気噴出口23からの燃焼用空気の噴出が停止されることになり、ブロア50の回転速度を変更調節することにより、空気噴出口23からの燃焼用空気の噴出量が変更調節されることになり、そのブロア50により、空気噴出制御手段Vaを構成してある。
【0066】
つまり、ブロア50を停止させた状態で、燃料断続弁43を開弁させて燃料噴出ノズル21からガス燃料を噴出させ、且つ、酸素断続弁47を開弁させて酸素噴出口22から燃焼用酸素を噴出させると、燃料噴出ノズル21から噴出されるガス燃料を酸素噴出口22から噴出される燃焼用酸素にて燃焼させる酸素専焼状態に切り換えられる。
その酸素専焼状態では、燃料供給量調節弁44により燃料噴出ノズル21からのガス燃料の噴出量を変更調節すると共に、そのガス燃料の噴出量に応じた量の燃焼用酸素を酸素噴出口22から噴出するように酸素供給量調節弁48を制御することにより、バーナBの燃焼量が変更調節される。
【0067】
ちなみに、酸素専焼状態について、予め、燃料噴出ノズル21からのガス燃料の噴出量(燃料供給路42のガス燃料の流量に相当する)に応じて、酸素噴出口22からの燃焼用酸素の噴出量(酸素供給路46の燃焼用酸素の流量に相当する)を設定して、その設定したガス燃料流量と燃焼用酸素流量との関係(以下、酸素専焼状態流量制御情報と記載する場合がある)を前記制御部4に記憶させてある。
【0068】
そして、その酸素専焼状態では、燃料噴出ノズル21の複数のガス噴出孔21hからガス燃料が放射状に噴出され、酸素噴出口22から燃焼用酸素が旋回する状態で噴出されて、それら放射状に噴出されたガス燃料と旋回状態で噴出された燃焼用酸素とが、酸素流路用筒状体26のロート状部26rにて混合されながらそのロート状部26rの案内により拡散状に噴出されることになり、ガス燃料と燃焼用酸素との混合が促進されるので、安定して燃焼させることが可能となる。
【0069】
又、ブロア50を作動させた状態で、燃料断続弁43を開弁させて燃料噴出ノズル21からガス燃料を噴出させ、且つ、酸素断続弁47を開弁させて酸素噴出口22から燃焼用酸素を噴出させると、燃料噴出ノズル21から噴出されるガス燃料を酸素噴出口22から噴出される燃焼用酸素と空気噴出口23から噴出される燃焼用空気にて燃焼させる空気燃焼状態に切り換えられる。
【0070】
尚、その空気燃焼状態では、酸素噴出口22からの燃焼用酸素の噴出量と空気噴出口23からの燃焼用空気の噴出量の比率(以下、酸素対空気比率と記載する場合がある)は、例えば、燃料噴出ノズル21から噴出されるガス燃料を燃焼させるために必要な量として設定される燃焼用酸素量の30%を酸素噴出口22からの燃焼用酸素にて賄い、残りの70%を空気噴出口23からの燃焼用空気にて賄う状態に対応する比率として設定してある。
【0071】
その空気燃焼状態では、燃料供給量調節弁44により燃料噴出ノズル21からのガス燃料の噴出量を変更調節すると共に、そのガス燃料の噴出量に応じた量の燃焼用酸素、燃焼用空気を夫々酸素噴出口22、空気噴出口23から噴出するように、酸素供給量調節弁48、ブロア50を夫々制御することにより、バーナBの燃焼量が変更調節される。
ちなみに、空気燃焼状態について、予め、燃料噴出ノズル21からのガス燃料の噴出量(燃料供給路42のガス燃料の流量に相当する)に応じて、酸素噴出口22からの燃焼用酸素の噴出量(酸素供給路46の燃焼用酸素の流量に相当する)及び空気噴出口23からの燃焼用空気の噴出量(空気供給路51の燃焼用空気の流量に相当する)を設定して、その設定したガス燃料流量と燃焼用酸素流量及び燃焼用空気流量との関係(以下、空気燃焼状態流量制御情報と記載する場合がある)を前記制御部4に記憶させてある。
【0072】
そして、その空気燃焼状態では、燃料噴出ノズル21の複数のガス噴出孔21hからガス燃料が放射状に噴出され、酸素噴出口22から燃焼用酸素が旋回する状態で噴出され、並びに、空気噴出口23から燃焼用空気が旋回する状態で噴出されて、それら放射状に噴出されたガス燃料と旋回状態で噴出された燃焼用酸素とが、酸素流路用筒状体26のロート状部26rにて混合されながらそのロート状部26rの案内により拡散状に噴出され、そのように混合されながら拡散状に噴出されるガス燃料と燃焼用酸素との混合流に対して、その外周部の全周にわたって、燃焼用空気が旋回する状態で供給されることになり、ガス燃料と燃焼用酸素と燃焼用空気の混合が促進されるので、安定して燃焼させることが可能となる。
【0073】
予め、前記酸素専焼状態及び空気燃焼状態の夫々について、前記兼用開口部1eの開口度がバーナBの異なる燃焼量の夫々に適合した開口度となるように、兼用開口部1eに対する円錐台状開口調節具15の突入位置を設定してある。
ちなみに、同じ燃焼量では酸素専焼状態の方が空気燃焼状態よりも小さくなり、且つ、燃焼量が大きくなるほど大きくなる状態で、酸素専焼状態及び空気燃焼状態の夫々について、開口度をバーナBの燃焼量に応じて設定してある。
例えば、バーナBの燃焼量が定格燃焼量の場合、空気燃焼状態における兼用開口部1eの開口度は、その全開状態に対して面積比で53〜78%程度に設定し、酸素専焼状態における兼用開口部1eの開口度は、その全開状態に対して面積比で15〜22%程度に設定してある。
【0074】
そして、酸素専焼状態及び空気燃焼状態の夫々について、兼用開口部1eの開口度をバーナBの燃焼量に応じた開口度にすべく円錐台状開口調節具15を位置させるための開口調節用シリンダ16の制御情報(以下、開口調節具位置制御情報と記載する場合がある)を、バーナBの燃焼量に対応させた状態で前記制御部4に記憶させてある。
【0075】
又、制御部4に各種制御指令を指令するための操作盤4cには、図示を省略するが、円錐台状開口調節具15を引っ込めるための開口調節具収納指令を指令する開口調節具収納スイッチ、溶解炉の立ち上げ運転の開始、停止を指令する立ち上げ運転スイッチ、溶解炉の通常運転の開始、停止を指令する通常運転スイッチ等を設けてある。
【0076】
次に、前記制御部4の制御動作について説明する。
制御部4は、前記操作盤4cの開口調節具収納スイッチから開口調節具収納指令が指令されると、開口調節用シリンダ16を収縮作動させるように構成してある。
【0077】
又、制御部4は、前記立ち上げ運転スイッチから運転開始が指令されると、電動モータ2を作動させて炉体1を回転駆動させ、ブロア50を作動させ、燃料断続弁43を開弁させ、酸素断続弁47を開弁させて、燃料噴出ノズル21から噴出されるガス燃料を酸素噴出口22から噴出される燃焼用酸素と空気噴出口23から噴出される燃焼用空気にて燃焼させる空気燃焼状態にて前記バーナBを燃焼させる立ち上げ運転を実行する。
【0078】
又、制御部4は、バーナBを空気燃焼状態にて燃焼させる立ち上げ運転では、空気燃焼状態流量制御情報に基づいて、燃料流量センサ45の検出流量、酸素流量センサ49の検出流量、空気流量センサ52の検出流量がそれぞれバーナBの定格燃焼量に対応する流量になるように、燃料供給量調節弁44、酸素供給量調節弁48、ブロア50を夫々制御し、且つ、空気燃焼状態に関する開口調節具位置制御情報に基づいて、円錐台状開口調節具15を定格燃焼量に対応した位置に位置させるように開口調節用シリンダ16を制御するように構成してある。
【0079】
つまり、兼用開口部1eの開口が減少状態に調節され、しかも、兼用開口部1eの開口度が空気燃焼状態に応じた開口度になるように、開口調節用シリンダ16が制御されることになる。
【0080】
前記制御部4は、立ち上げ運転において、赤外線温度センサ49の検出温度が立ち上げ運転終了設定温度(例えば、1300〜1400°C)になると、電動モータ2を停止させて炉体1の回転を停止させ、ブロア50を停止させると共に、燃料断続弁43及び酸素断続弁47を閉弁させて、バーナBを消火させて、立ち上げ運転を終了するように構成してある。
【0081】
前記制御部4は、前記通常運転スイッチから通常運転が指令されると、電動モータ2を作動させて炉体1を回転駆動させ、ブロア50を停止させた状態で、燃料断続弁43を開弁させ、酸素断続弁47を開弁させて、燃料噴出ノズル21から噴出されるガス燃料を酸素噴出口22から噴出される燃焼用酸素にて燃焼させる酸素専焼状態にて前記バーナBを燃焼させる通常運転を実行する。
【0082】
又、制御部4は、バーナBを酸素専焼状態にて燃焼させる通常運転では、酸素専焼状態流量制御情報に基づいて、燃料流量センサ45の検出流量、酸素流量センサ49の検出流量がそれぞれバーナBの定格燃焼量に対応する流量になるように、燃料供給量調節弁44、酸素供給量調節弁48を夫々制御し、且つ、酸素専焼状態に関する開口調節具位置制御情報に基づいて、円錐台状開口調節具15を定格燃焼量に対応した位置に位置させるように開口調節用シリンダ16を制御するように構成してある。
更に、制御部4は、通常運転の実行中は、赤外線温度センサ49の検出温度が前記操作盤4cの温度設定部にて設定された目標加熱温度(例えば1500〜1600°C)になるように、燃焼量を調節すべく燃料供給量調節弁44を制御すると共に、燃料流量センサ45及び酸素流量センサ49夫々の検出流量に基づいて、酸素流量センサ49の検出流量がそのときの燃焼量に応じた流量になるように酸素供給量調節弁48を制御し、並びに、酸素専焼状態に関する開口調節具位置制御情報に基づいて、円錐台状開口調節具15をそのときの燃焼量に対応した位置に位置させるように開口調節用シリンダ16を制御するように構成してある。
【0083】
つまり、兼用開口部1eの開口が減少状態に調節され、しかも、兼用開口部1eの開口度が酸素専焼状態に応じた開口度になるように、開口調節用シリンダ16が制御されることになる。又、兼用開口部1eの開口度がバーナBの燃焼量に応じた開口度に調節されることになる。
【0084】
要するに、前記制御部4は、前記酸素専焼状態と前記空気燃焼状態とに切り換えるように前記酸素噴出制御手段Vo及び前記空気噴出制御手段Vaを制御し、且つ、その制御に伴って、前記兼用開口部1eの開口度が前記酸素専焼状態及び前記空気燃焼状態の夫々に応じた開口度になるように前記開口調節装置Mを制御するように構成してある。
【0085】
又、制御部4は、操作盤4cの運転スイッチにより運転停止が指令されると、前記電動モータ2を停止させて、炉体1の回転駆動を停止すると共に、燃料断続弁43及び酸素断続弁47を閉弁させてバーナBを消火させて、通常運転を終了するように構成してある。
【0086】
次に、上述のように構成した溶解炉を用いた被溶解物の溶解作業の手順を説明する。
作業者は、先ず、炉体1内に被溶解物を収容していない空炉の状態で、台車Cを運転位置に位置させる。すると、排気ダクトDの接続ダクト部3のガス受入口3iが非接触状態にて兼用開口部1eに対向する状態となり、並びに、開口調節装置Mは、前記調節位置に位置することになって、その開口調節装置Mにより兼用開口部1eの開口を減少状態にすることが可能で、しかも、その減少状態において兼用開口部1eの開口度を変更調節可能な状態となる。
【0087】
続いて、前記操作盤4cの立ち上げ運転スイッチを操作して立ち上げ運転を指令すると、上述したように、制御部4により立ち上げ運転が実行されて、赤外線温度センサ49の検出温度が立ち上げ運転終了設定温度になると、立ち上げ運転が自動的に終了して、炉体1の回転が停止すると共に、バーナBが消火する。
【0088】
立ち上げ運転が終了すると、作業者は、前記操作盤4cの開口調節具収納スイッチを操作して、円錐台状開口調節具15を収納させて、台車Cの移動が可能な状態にする。
そして、台車Cを前記被溶解物投入位置に位置させる。すると、開口調節装置Mは、兼用開口部1eから退避する退避位置に位置することになって、兼用開口部1eが全開される状態となり、並びに、ホッパ5の排出口5eが被接触状態にて前記兼用開口部1eに対向する状態となる。
従って、兼用開口部1eが全開されているので、ホッパ5の排出口5eを大きく形成しても、その大きい排出口5eを通して被溶解物を兼用開口部1eに容易に投入することができ、作業効率を向上することが可能となる。
【0089】
そして、炉体1内への被溶解物の投入が終了すると、作業者は、台車Cを移動させて前記運転位置に位置させる。すると、排気ダクトDの接続ダクト部3のガス受入口3iが非接触状態にて兼用開口部1eに対向する状態となり、並びに、開口調節装置Mは、前記調節位置に位置することになって、その開口調節装置Mにより兼用開口部1eの開口を減少状態にすることが可能で、しかも、その減少状態において兼用開口部1eの開口度を変更調節可能な状態となる。
【0090】
そして、作業者は、前記操作盤4cの通常運転スイッチにより通常運転を指令すると、上述したように、制御部4により通常運転が自動的に実行される。
【0091】
そして、溶解作業が終了すると、操作盤4cの運転スイッチにより通常運転の停止を指令すると、炉体1の回転が停止すると共に、バーナBが消火される。
続いて、前記操作盤4cの開口調節具収納スイッチを操作して、円錐台状開口調節具15を収納させて、台車Cを被溶解物投入位置に移動させ、又、バーナBを退避位置に移動させる。そして、傾動用シリンダ9を作動させて、前記炉体1を出湯状態に傾斜させて、炉体1の内部の溶解物を出湯口1tから出湯させ出湯させて、前記溶解物受け入れ台車Wに受け入れる。
【0092】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を説明するが、第2実施形態では、前記開口調節装置Mの構成が異なる以外は、第1実施形態と同様に構成してあるので、第1実施形態と同じ構成要素や同じ作用を有する構成要素については、重複説明を避けるために、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として、開口調節装置Mについて説明する。
【0093】
図9に示すように、開口調節装置Mを、前記調節位置に位置した状態で前記兼用開口部1eに対向する状態で位置して、内径が前記兼用開口部1eよりも小径で且つ前記回転軸心P1周りに一方向に回転自在に支持された環状開口調節具61と、その環状開口調節具61を前記兼用開口部1eに押圧させる位置と前記兼用開口部1eから設定間隔離間した位置とに位置変更するように前記回転軸心P1方向に沿って移動操作する駆動部としての開口調節用シリンダ62を備えて構成してある。ちなみに、前記開口調節用シリンダ62は、油圧シリンダ、空圧シリンダあるいは電動シリンダを用いることができる。
【0094】
前記開口調節用シリンダ62は、前記台車Cが前記運転位置に位置したときに、シリンダロッドが前記回転軸心P1と略同軸心状になる姿勢にて前記接続ダクト部3の外部に位置させた状態で、台車Cの車体部12に支持し、そのシリンダロッドの先端に、接続ダクト部3に挿通した状態のアーム63を連結してある。
そのアーム63の先端に、回転軸心P1と同心状に回転自在な回転継手64を介して前記環状開口調節具61を取り付けることにより、環状開口調節具61を前記回転軸心P1周りに一方向に回転自在に支持し、前記兼用開口部1eからの炉内ガスを環状開口調節具61の開口部を通過させて排出させるようにして、兼用開口部1eの開口を減少状態にするようにしてある。
【0095】
そして、前記開口調節用シリンダ62を収縮状態に作動させた状態で、前記台車Cを前記被溶解物投入位置から前記運転位置に移動させて、開口調節用シリンダ62を伸張作動させると共にその伸張位置を調節することにより、環状開口調節具61の位置を前記兼用開口部1eに押圧させる位置と兼用開口部1eから設定間隔離間した位置とに位置変更して、兼用開口部1eの開口度を調節する構成としてある。
【0096】
この第2実施形態においても、上記の第1実施形態と同様に、前記酸素断続弁47及び前記酸素供給量調節弁48を用いて前記酸素噴出制御手段Voを構成し、前記ブロア50を用いて空気噴出制御手段Vaを構成して、前記制御部4を、燃料噴出ノズル21から噴出されるガス燃料を酸素噴出口22から噴出される燃焼用酸素にて燃焼させる酸素専焼状態と、燃料噴出ノズル21から噴出されるガス燃料を酸素噴出口22から噴出される燃焼用酸素と空気噴出口23から噴出される燃焼用空気にて燃焼させる空気燃焼状態とに切り換えるように、前記酸素噴出制御手段Vo及び前記空気噴出制御手段Va夫々を制御するように構成してあるが、酸素専焼状態及び空気燃焼状態のいずれにおいても、バーナBを定格燃焼量にて燃焼させるように構成してある。
【0097】
そして、前記制御部4を、前記酸素専焼状態になるように前記酸素噴出制御手段Vo及び前記空気噴出制御手段Vaを制御したときには、環状開口調節具61を兼用開口部1eに押圧させる位置に位置させるように、開口調節用シリンダ62を作動させ、前記空気燃焼状態になるように前記酸素噴出制御手段Vo及び前記空気噴出制御手段Vaを制御したときには、環状開口調節具61を兼用開口部1eから設定間隔離間した位置に位置させるように、開口調節用シリンダ62を作動させるように構成してある。
【0098】
つまり、上記の第1実施形態と同様に、バーナBを空気燃焼状態にて燃焼させるときは、兼用開口部1eの開口が減少状態に調節され、しかも、兼用開口部1eの開口度が空気燃焼状態に応じた開口度になるように開口調節用シリンダ16が制御され、バーナBを酸素専焼状態にて燃焼させるときは、兼用開口部1eの開口が減少状態に調節され、しかも、兼用開口部1eの開口度が酸素専焼状態に応じた開口度になるように開口調節用シリンダ16が制御されるように構成してある。
【0099】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 上記の各実施形態においては、開口調節装置Mを、前記調節位置に位置した状態で、前記兼用開口部1eの開口度を変更調節するように構成する場合について例示したが、開口調節装置Mは、前記調節位置に位置した状態で、単に兼用開口部1eの開口を減少状態にするように構成しても良い。
例えば、開口調節装置Mを上記の第1実施形態のように構成する場合、円錐台状開口調節具15を前記兼用開口部1eに対して所定の突入位置に突入させることにより、兼用開口部1eの開口を減少状態にすることになる。又、開口調節装置Mを上記の第2実施形態のように構成する場合、環状開口調節具61を前記兼用開口部1eに押圧させるように位置させることにより、兼用開口部1eの開口を減少状態にすることになる。
【0100】
(ロ) 前記開口調節装置Mの具体構成は上記の各実施形態において例示した構成に限定されるものではない。例えば、前記接続ダクト部3のガス受入口3iに前記兼用開口部1eに近接させる状態でダンパを設けて、そのダンパの開度調節により兼用開口部1eの開口度を調節する構成としても良い。
【0101】
(ハ) 上記の各実施形態においては、前記台車Cを前記運転位置と前記被溶解物投入位置とに位置変更させるのに伴って、前記開口調節装置Mが前記調節位置と前記退避位置とに位置変更されるように構成する場合について例示したが、前記台車Cを前記運転位置と前記被溶解物投入位置とに移動させるのとは別の操作により、前記開口調節装置Mを前記調節位置と前記退避位置とに位置変更させるように構成しても良い。
【0102】
(ニ) 前記立ち上げ運転を停止させるための前記酸素噴出制御手段Vo及び空気噴出制御手段Vaの操作を前記制御部4に自動的に行わせるに当たっては、上記の各実施形態において例示した如き、前記赤外線温度センサ20の検出情報に基づいて行わせる構成に限定されるものではない。例えば、立ち上げ運転が指令された後、予め設定した設定時間が経過するまでは、立ち上げ運転を実行させ、前記設定時間が経過すると立ち上げ運転を停止させる構成としても良い。
【0103】
(ホ) 上記の各実施形態においては、空気噴出制御手段Vaとして、酸素噴出口22からの燃焼用酸素の噴出の断続に加えて、噴出量の調節が可能なように構成する場合について例示したが、酸素噴出口22からの燃焼用酸素の噴出の断続のみが可能なように構成しても良い。
又、酸素噴出制御手段Voとして、酸素噴出口22からの燃焼用酸素の噴出の断続に加えて、噴出量の調節が可能なように構成する場合について例示したが、酸素噴出口22からの燃焼用酸素の噴出の断続のみが可能なように構成しても良い。
この場合は、空気燃焼状態としては、前記酸素噴出口22からの燃焼用酸素の噴出を停止する状態で前記空気噴出口23から燃焼用空気を噴出させて、燃料噴出ノズル21から噴出されるガス燃料を空気噴出口23から噴出される燃焼用空気にて燃焼させる状態とすることになる。
【0104】
(ヘ) 空気噴出制御手段Vaの具体構成としては、空気供給路51を通流する燃焼用空気の流量を変更調節する空気ダンパを設けて、前記ブロア50とこの空気ダンパとにより構成しても良い。
【0105】
(ト) 上記の各実施形態においては、炉体1を前記回転軸心P1周りで一方向に連続回転させるように構成する場合について例示したが、炉体1を正逆回転させるように構成しても良い。この場合、駆動手段としては、例えば、揺動用油圧シリンダにて構成して、その油圧シリンダにて、炉体1を回転軸心P1周りで正逆回転させるように揺動させることになる。
【0106】
(チ) 錐状の開口調節具の形状としては、上記の第1実施形態において例示した円錐台状に限定されるものではなく、例えば、円錐状、多角錐状、多角錐台状等が可能である。
【0107】
(リ) 上記の第1実施形態においては、バーナBを空気燃焼状態にて燃焼させるときは、定格燃焼量にて燃焼させるように構成したが、燃焼量を変更調節するように構成しても良い。この場合は、前記兼用開口部1eの開口度が空気燃焼状態における燃焼量に対応した開口度となるように、円錐台状開口調節具15を位置させるべく開口調節用シリンダ16を制御するように構成する。
【0108】
又、上記の第2実施形態においては、バーナBを空気燃焼状態にて燃焼させるとき及び酸素専焼状態にて燃焼させるときのいずれにおいても、定格燃焼量にて燃焼させるように構成したが、燃焼量を変更調節するように構成しても良い。
この場合は、空気燃焼状態では、前記兼用開口部1eの開口度が空気燃焼状態における燃焼量に対応した開口度となるように、酸素専焼状態では、前記兼用開口部1eの開口度が酸素専焼状態における燃焼量に対応した開口度となるように、環状開口調節具61を位置させるべく開口調節用シリンダ62を制御するように構成する。
つまり、空気燃焼状態及び酸素専焼状態夫々について、同じ燃焼量では酸素専焼状態の方が空気燃焼状態よりも小さくなる状態で且つ燃焼量が大きくなるほど大きくなる状態で、燃焼量に応じて,兼用開口部1eと環状開口調節具61との設定間隔を設定する。そして、空気燃焼状態及び酸素専焼状態の夫々において、兼用開口部1eと環状開口調節具61との間隔が燃焼量に対応する設定間隔になるように,開口調節用シリンダ62を制御することになる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施形態に係る溶解炉の正面図
【図2】実施形態に係る溶解炉における台車を運転位置に位置させた状態での平面図
【図3】実施形態に係る溶解炉における台車を被溶解物投入位置に位置させた状態での平面図
【図4】実施形態に係る溶解炉の側面図
【図5】第1実施形態に係る開口調節装置を示す溶解炉の要部の縦断正面図
【図6】実施形態に係るバーナの燃焼用酸素噴出方向に沿う面での断面図
【図7】実施形態に係るバーナの燃焼用酸素噴出方向視での図
【図8】実施形態に係るバーナの燃焼用酸素噴出方向に沿う面での要部の断面図
【図9】第2実施形態に係る開口調節装置を示す溶解炉の要部の縦断正面図
【符号の説明】
【0110】
1 炉体
1e 兼用開口部
2 駆動手段
4 制御手段
15 錐状の開口調節具
16 駆動部
21 燃料噴出部
22 酸素噴出口
23 空気噴出口
24 冷却ジャケット
B バーナ
M 開口調節装置
Va 空気噴出制御手段
Vo 酸素噴出制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料噴出部の外周部に環状の酸素噴出口を備えて、前記燃料噴出部から噴出されるガス燃料を前記酸素噴出口から噴出される燃焼用酸素にて燃焼させて、炉体内の被溶解物を溶解させるように構成された溶解炉用のバーナであって、
燃焼用空気を噴出する環状の空気噴出口が、前記酸素噴出口の外周部に配設され、
前記空気噴出口からの燃焼用空気の噴出を停止する状態で前記酸素噴出口から燃焼用酸素を噴出させて、前記燃料噴出部から噴出されるガス燃料を燃焼させる酸素専焼状態と、前記酸素噴出口からの燃焼用酸素の噴出を停止する状態又は前記酸素噴出口から燃焼用酸素を噴出させる状態で前記空気噴出口から燃焼用空気を噴出させて、前記燃料噴出部から噴出されるガス燃料を燃焼させる空気燃焼状態とに切り換えるべく、前記酸素噴出口からの燃焼用酸素の噴出を制御する酸素噴出制御手段及び前記空気噴出口からの燃焼用空気の噴出を制御する空気噴出制御手段が設けられている溶解炉用のバーナ。
【請求項2】
前記酸素噴出口と前記空気噴出口との間に、冷却用流体を通流させる冷却ジャケットが設けられている請求項1記載の溶解炉用のバーナ。
【請求項3】
前記空気噴出口が、その燃焼用空気噴出方向において、前記冷却ジャケットの先端よりも前記燃焼用空気噴出方向の上手側に後退した位置に配設されている請求項2記載の溶解炉用のバーナ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶解炉用のバーナを備えた溶解炉であって、
横方向の回転軸心周りに自転自在に支持され且つ被溶解物の供給用と炉内ガスの排出用とに兼用される兼用開口部を前記回転軸心と同軸心状に備えた炉体と、
その炉体を前記回転軸心周りで一方向に連続回転又は正逆回転させる駆動手段とが設けられ、
前記兼用開口部の開口を減少状態に調節する開口調節装置が、前記兼用開口部の開口を減少状態にするための調節位置と、前記兼用開口部を全開するように前記兼用開口部から退避する退避位置とに位置変更自在に設けられている溶解炉。
【請求項5】
前記開口調節装置が、前記兼用開口部の開口度を変更調節するように構成されている請求項4記載の溶解炉。
【請求項6】
前記開口調節装置が、前記調節位置に位置した状態で前記回転軸心と同軸心状に位置して、前記回転軸心方向において炉内側ほど細い錐状の開口調節具と、その開口調節具を前記兼用開口部に対する突入位置を変更調節するように前記回転軸心方向に沿って移動操作する駆動部とを備えて構成されている請求項5記載の溶解炉。
【請求項7】
前記酸素専焼状態と前記空気燃焼状態とに切り換えるように前記酸素噴出制御手段及び前記空気噴出制御手段を制御し、且つ、その制御に伴って、前記兼用開口部の開口度が前記酸素専焼状態及び前記空気燃焼状態の夫々に応じた開口度になるように前記開口調節装置を制御する制御手段が設けられている請求項5記載の溶解炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−275335(P2006−275335A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92242(P2005−92242)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(591181089)株式会社ナニワ炉機研究所 (7)
【Fターム(参考)】