説明

漏電判定装置

【課題】重地絡と雷サージとを早急に識別することが可能な漏電判定装置を提供する。
【解決手段】本漏電判定装置は、交流電路が貫通する零相変流器10と、零相変流器10の出力電圧から交流電路に漏電が発生しているか否かを判定する漏電判定部20と、漏電判定部20により漏電が発生していると判定された場合、交流電路を遮断するための遮断信号を出力する遮断信号出力部40と、零相変流器10の出力電圧が所定時間以内に過大電圧検出閾値th1の絶対値以上に達した場合、漏電判定部20による漏電判定方式を変更する短時間過大電圧検出部30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏電判定装置に関する。特に、零相変流器の検出出力に応じて、交流電路に漏電が発生したか否かを判定する漏電判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
漏電遮断装置は、交流電路を構成する複数の一次導体を貫通させた軟磁性材料等の磁性体からなる環状の鉄心(コア)と当該コアに巻回されたトロイダル状のコイルとにより構成される零相変流器(ZCT)を有し、この零相変流器の当該コイル両端の検出出力である出力電圧に応じて、当該複数の一次導体に漏電が発生したか否かを判定する。
【0003】
一次導体のいずれかに漏電が発生した場合には、交流電路の往路方向を流れる電流と復路方向を流れる電流との間に差異が発生し、当該差異に基づく漏電電流が発生する。更に、複数の一次導体の通電電流が全体的に不平衡となるため、当該漏電電流により発生する磁束により零相変流器のコアの磁束の状態が変化する。これにより、零相変流器のコイル両端に、漏電電流に対応する誘起電圧が検出される。
【0004】
また、一次導体のいずれにも漏電が発生していない場合には、当該複数の一次導体の通電電流のベクトル和が零であるいわゆる平衡状態である。この平衡状態においては、零相変流器のコアに磁束は存在するが、これらの磁束は互いに打ち消し合い、零相変流器により前述した様な誘起電圧は検出されない。したがって、零相変流器のコイル両端の出力電圧を検出出力として出力することで、交流電路に漏電電流が発生したか否かを判定することができる。
【0005】
漏電電流が検出される漏電のケースとしては、通常漏電、重地絡、雷サージの3種類の状態が考えられる。通常漏電は、漏電電流の電流値が比較的小さい漏電を指す。重地絡は、漏電電流の電流値が比較的大きく、かつ、その電流値が定期的に出現する漏電を指す。雷サージは、漏電電流の電流値が比較的大きく、かつ、その電流値が一時的に出現する漏電を指す。
【0006】
3種類の漏電のうち、通常漏電と重地絡の場合には、長時間漏電が発生することが予想されるので、交流電路を介した電力供給を早急に遮断することが好ましい。一方、雷サージの場合には、一時的に漏電が発生するのみであるので、雷サージの度に交流電路を介した電力供給を遮断することは好ましくない。
【0007】
従来の漏電遮断器として、雷サージによる不要遮断を防止することができる漏電遮断器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この漏電遮断器は、漏電電流を検出する第1の比較器よりも閾値が大きい第3の比較器により、雷サージや重地絡による地絡電流を漏電電流から区別する。さらに、第3の比較器の出力で起動する単安定マルチバイブレータが作成する時間ゲートの期間中に、第1の比較器から3波以上のパルスが出力されるか否かを3波カウンタで検出して雷サージと重地絡とを区別する。これにより、漏電と重地絡の場合のみ遮断信号出力回路から遮断信号を出力させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−094161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に示された漏電遮断器では、雷サージと重地絡とを区別するためには、いずれの場合であっても、電流値が比較的大きな漏電電流を3回カウントする必要がある。重地絡の場合には漏電電流が継続して流れる可能性があるので、人体保護等の観点から、より早急に重地絡であるか否かを判定することが好ましい。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、重地絡と雷サージとを早急に識別することが可能な漏電判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の漏電判定装置は、交流電路が貫通する零相変流器と、前記零相変流器の出力電圧から前記交流電路に漏電が発生しているか否かを判定する漏電判定部と、前記漏電判定部により漏電が発生していると判定された場合、前記交流電路を遮断するための遮断信号を出力する遮断信号出力部と、前記零相変流器の出力電圧が所定時間以内に第1の所定電圧範囲外に達した場合、前記漏電判定部による漏電判定方式を変更する短時間過大電圧検出部と、を備える。
【0012】
また、この発明において、前記短時間過大電圧検出部が、前記零相変流器の出力電圧が前記第1の所定電圧範囲外である過大電圧を検出する過大電圧検出部と、前記零相変流器の出力電圧の微分値が所定値以上である急峻波を検出する急峻波検出部と、前記過大電圧検出部により過大電圧が検出され、かつ、急峻波検出部により急峻波が検出された場合、前記漏電判定部による漏電判定方式を変更する漏電判定方式変更部と、を備える。
【0013】
また、この発明において、前記短時間過大電圧検出部が、複数のダイオードが互いに逆方向に前記零相変流器と並列に挿入されたダイオード部と、前記ダイオード部の出力電圧が前記第1の所定電圧範囲外である場合、前記漏電判定部による漏電判定方式を変更するダイオード電圧検出部と、を備える。
【0014】
また、この発明において、前記短時間過大電圧検出部が、前記零相変流器の出力電圧が所定時間以内に前記第1の所定電圧範囲外に達した場合、前記漏電判定部による漏電判定処理を時延させる。
【0015】
また、この発明において、前記漏電判定部が、前記零相変流器の出力電圧が前記第1の所定電圧よりも小さい第2の所定電圧範囲外である場合、所定電圧を出力する漏電電流検出部と、前記漏電電流検出部の出力電圧を積分する積分部と、前記積分部の出力電圧である積分電圧が前記第2の所定電圧以上である第3の所定電圧以上である場合、漏電が発生していると判定する積分値判定部と、を備え、前記短時間過大電圧検出部が、前記零相変流器の出力電圧が所定時間以内に前記第1の所定電圧範囲外に達した場合、前記積分部の出力電圧を低下させる。
【0016】
また、この発明において、前記漏電判定部が、前記零相変流器の出力電圧が前記第1の所定電圧よりも小さい第2の所定電圧範囲外である場合、所定電圧を出力する漏電電流検出部と、前記漏電電流検出部の出力電圧を積分する積分部と、前記積分部の出力電圧である積分電圧が前記第2の所定電圧以上である第3の所定電圧以上である場合、漏電が発生していると判定する積分値判定部と、を備え、前記短時間過大電圧検出部が、前記零相変流器の出力電圧が所定時間以内に前記第1の所定電圧範囲外に達した場合、前記第3の所定電圧を大きくする。
【0017】
また、この発明において、前記漏電判定部が、前記零相変流器の出力電圧が前記第1の所定電圧よりも小さい第2の所定電圧範囲外である場合、1カウント加算するカウント加算部と、前記漏電判定方式変更部により前記漏電判定方式を変更された場合、1カウント減算するカウント減算部と、前記カウント加算部により加算されるカウントと前記カウント減算部により減算されるカウントとを積算し、積算値を出力するカウント積算部と、前記カウント積算部により出力される積算値が所定値以上である場合、漏電が発生していると判定するカウント判定部と、を備える。
【0018】
また、この発明において、前記短時間過大電圧検出部が、前記零相変流器の出力電圧が所定時間以内に前記第1の所定電圧範囲外に達した場合、前記カウント積算部により出力される積算値を低下させる。
【0019】
また、この発明において、前記短時間過大電圧検出部が、所定時間以内に前記第1の所定電圧範囲外に達し、かつ、前記零相変流器の出力電圧が前記第1の所定電圧よりも小さく前記第2の所定電圧よりも大きい第4の所定電圧範囲外である状態が所定時間以上継続した場合、前記漏電判定部による漏電判定方式を変更する。
【0020】
また、この発明において、前記短時間過大電圧検出部により前記漏電判定部による漏電判定方式を変更した後、前記零相変流器の出力電圧が前記第1の所定電圧よりも小さく前記第4の所定電圧よりも大きい第5の所定電圧範囲外である第2過大電圧を検出する第2過大電圧検出部を備え、前記遮断信号出力部が、前記漏電判定部により漏電が発生していると判定された場合、又は、前記第2過大電圧検出部により前記第2過大電圧が検出された場合、前記遮断信号を出力する。
【0021】
また、この発明において、前記第2過大電圧検出部により前記第2過大電圧が検出された状態が所定時間以上継続したことを検出する過大電圧継続検出部を備え、前記遮断信号出力部が、前記漏電判定部により漏電が発生していると判定された場合、又は、前記過大電圧継続検出部により前記第2過大電圧の状態が所定時間以上継続したことが検出された場合、前記遮断信号を出力する。
【0022】
また、この発明において、前記零相変流器の出力電圧を分圧する抵抗部を備え、前記短時間過大電圧出力部が、前記抵抗部により分圧された電圧が所定時間以内に第1の所定電圧範囲外に達した場合、前記漏電判定部による漏電判定方式を変更する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、重地絡と雷サージとを早急に識別することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態における漏電判定装置の構成例を示す回路ブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態における短時間過大電圧検出部の詳細構成例を示す回路ブロック図
【図3】図1に示した漏電判定装置の各回路が、各シーン(通常漏電、重地絡、雷サージ)の場合に出力する出力信号の波形の一例を示す図
【図4】本発明の第2の実施形態における漏電判定装置の構成例を示す回路ブロック図
【図5】図4に示した漏電判定装置の各回路が、各シーン(通常漏電、重地絡、雷サージ)の場合に出力する出力信号の波形の一例を示す図
【図6】本発明の第3の実施形態における漏電判定装置の第1構成例を示す回路ブロック図
【図7】図6に示した漏電判定装置の各回路が、各シーン(通常漏電、重地絡、雷サージ)の場合に出力する出力信号の波形の一例を示す図
【図8】本発明の第3の実施形態における漏電判定装置の第2構成例を示す回路ブロック図
【図9】図8に示した漏電判定装置の各回路が、各シーン(通常漏電、重地絡、雷サージ)の場合に出力する出力信号の波形の一例を示す図
【図10】本発明の第4の実施形態における漏電判定装置の第1構成例を示す回路ブロック図
【図11】図10に示した漏電判定装置の各回路が、各シーン(通常漏電、重地絡、雷サージ)の場合に出力する出力信号の波形の一例を示す図
【図12】本発明の第4の実施形態における漏電判定装置の第2構成例を示す回路ブロック図
【図13】図12に示した漏電判定装置の各回路が、各シーン(通常漏電、重地絡、雷サージ)の場合に出力する出力信号の波形の一例を示す図
【図14】本発明の第5の実施形態における漏電判定装置の第1構成例を示す回路ブロック図
【図15】図14に示した漏電判定装置の各回路が、各シーン(通常漏電、重地絡、雷サージ)の場合に出力する出力信号の波形の一例を示す図
【図16】本発明の第5の実施形態における漏電判定装置の第2構成例を示す回路ブロック図
【図17】図16に示した漏電判定装置の各回路が、各シーン(通常漏電、重地絡、雷サージ)の場合に出力する出力信号の波形の一例を示す図
【図18】本発明の第6の実施形態における漏電判定装置の第1構成例を示す回路ブロック図
【図19】図18に示した漏電判定装置の各回路が、各シーン(通常漏電、重地絡、雷サージ)の場合に出力する出力信号の波形の一例を示す図
【図20】本発明の第6の実施形態における漏電判定装置の第2構成例を示す回路ブロック図
【図21】図20に示した漏電判定装置の各回路が、各シーン(通常漏電、重地絡、雷サージ)の場合に出力する出力信号の波形の一例を示す図
【図22】本発明の第7の実施形態における漏電判定装置の第1構成例を示す回路ブロック図
【図23】本発明の第7の実施形態における漏電判定装置の第2構成例を示す回路ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態における漏電判定装置の構成例を示すブロック図である。図1に示す漏電判定装置100は、零相変流器10、漏電判定部20、短時間過大電圧検出部30、遮断信号出力部40、を有して構成される。なお、本実施形態の漏電判定装置100の各構成部は、アナログ回路により構成されている。
【0027】
零相変流器10は、三相の通電電流が流れる交流電路を構成する複数の一次導体を貫通させた軟磁性材料等の磁性体からなる環状の鉄心(コア)と、当該コアに巻回されたトロイダル状のコイルと、により構成される。零相変流器10は、交流電路の往路方向を流れる電流と復路方向を流れる電流との間に差異が発生した場合には、その差異に基づく漏電電流が発生する。そして、漏電電流に対応する誘起電圧がコイルの両端に発生する。零相変流器10は、この誘起電圧を零相変流器10の出力電圧であるZCT出力電圧として漏電判定部20及び短時間過大電圧検出部30に出力する。また、零相変流器10から電圧出力を得るために、零相変流器10に対して並列に抵抗素子が挿入されている。
【0028】
漏電判定部20は、交流電路に漏電が発生しているか否かを判定する。漏電判定部20は、漏電電流検出部21、積分部22、積分値判定部23、を備える。
【0029】
漏電電流検出部21は、比較器等により構成され、漏電電流が発生したことを検出する。ここでは、漏電電流検出部21は、ZCT出力電圧の絶対値が漏電電流検出閾値th2の絶対値以上である場合に、積分部22へ電圧H(High)を出力する。一方、ZCT出力電圧の絶対値が漏電電流検出閾値th2未満である場合に、積分部22へ電圧L(Low)を出力する。なお、電圧Hは電圧Lよりも高い。
【0030】
積分部22は、積分器等により構成され、漏電電流検出部21の出力電圧を積算し、積算された電圧(積算電圧)を出力電圧として積分値判定部23へ出力する。
【0031】
また、積分部22は、短時間過大電圧検出部30の出力電圧(ここでは漏電判定方式変更部33の出力電圧)が電圧Hである場合には、漏電判定部20における漏電判定方式を変更する。漏電判定方式を変更するときには、例えば、積分部22が、短時間過大電圧検出部30の出力電圧が電圧Hであることを検出した時点で、積分値(積分電圧)を所定値だけ小さくする。また、積分部22は、積分値を所定値小さくするのではなく、積分値判定閾値th3を所定値だけ大きくするようにしてもよい。漏電判定方式を変更することで、ZCT出力電圧の電圧値を積算する時間の時間幅が大きくなる。つまり、短時間過大電圧検出部30により、漏電判定部20による漏電判定処理を時延させる。
【0032】
積分値判定部23は、積算された積分部22の出力電圧である積算値及び短時間過大電圧検出部30の出力電圧に基づいて、漏電が発生しているか否かを判定する。ここでは、積分値判定部23は、積算値が積分値判定閾値th3以上である場合に、遮断信号出力部40へ電圧Hを出力する。一方、積算値が積分値判定閾値th3未満である場合に、遮断信号出力部40へ電圧Lを出力する。積分値判定部23の出力電圧が電圧Hであることは、漏電が発生していると判定していることに相当する。
【0033】
短時間過大電圧検出部30は、所定の短時間で過大なZCT出力電圧が発生したことを検出する。例えば、ZCT出力電圧が所定時間以内に所定電圧範囲外に達した場合、漏電判定部20による漏電判定方式を変更する。短時間過大電圧検出部30は、過大電圧検出部31、急峻波検出部32、漏電判定方式変更部33を備える。短時間過大電圧検出部30により、雷サージを検出する。
【0034】
過大電圧検出部31は、図2に詳細を示すように比較器(ウィンドウコンパレータ)等により構成され、ZCT出力電圧の絶対値が過大電圧検出閾値th1の絶対値以上である場合に、漏電判定方式変更部33へ電圧Hを出力する。一方、ZCT出力電圧の絶対値が過大電圧検出閾値th1の絶対値未満である場合に、漏電判定方式変更部33へ電圧Lを出力する。
【0035】
なお、過大電圧検出閾値th1の絶対値は、漏電電流検出閾値t2の絶対値よりも大きい。また、積分値判定閾値th3は、漏電電流検出閾値t2の絶対値よりも大きい。積分値判定閾値th3は、例えば、漏電判定方式の変更なく漏電電流検出部21の出力電圧として電圧Hが2回検出された場合に、積分電圧が積分値判定閾値th3よりも大きくなるような値である。
【0036】
急峻波検出部32は、図2に詳細を示すように微分器(微分回路)等により構成され、ZCT出力電圧を微分する。そして、急峻波検出部32は、微分された電圧が急峻波検出閾値以上である場合には、漏電判定方式変更部33へ電圧Hを出力する。一方、微分された電圧が急峻波検出閾値未満である場合には、漏電判定方式変更部33へ電圧Lを出力する。
【0037】
漏電判定方式変更部33は、AND回路等により構成され、過大電圧検出部31の出力電圧と急峻波検出部32の出力電圧との論理積に応じて、漏電判定部20の積分部22へ電圧H又はLを出力する。具体的には、過大電圧検出部31の出力電圧及び急峻波検出部32の出力電圧がともに電圧Hである場合には、漏電判定方式変更部33の出力電圧は電圧Hとなる。これ以外の場合には、漏電判定方式変更部33の出力電圧は電圧Lとなる。漏電判定方式変更部33の出力電圧が電圧Hであることは、短時間過大電圧検出部30が雷サージを検出したことに意味し、さらに、漏電判定部20による漏電判定方式を変更することを意味する。
【0038】
遮断信号出力部40は、比較器等により構成され、積分値判定部23の出力電圧が電圧Hである場合に、電圧Hを出力する。一方、積分値判定部23の出力電圧が電圧Lである場合に、電圧Lを出力する。つまり、遮断信号出力部40は、漏電判定部20により漏電が発生していると判定された場合、交流電路の電路接点を開放するための(交流電路を遮断するための)遮断信号を、上記電路接点を開放する引外しコイル(不図示)に送出する。
【0039】
次に、漏電判定装置100の動作を説明する。
図3は漏電判定装置100の動作例を説明するためのタイムチャートである。
【0040】
図3の「漏電電流」は、各ケース(通常漏電、重地絡、雷サージ)における零相変流器10に発生する漏電電流を示すものである。図3に示すように、通常漏電の場合には比較的電流値が小さな漏電電流が発生し、重地絡の場合には比較的電流値が大きくかつ周期的な漏電電流が発生し、雷サージの場合には比較的電流値が大きくかつ一時的な漏電電流が発生する。
【0041】
図3の「ZCT出力」は、各ケースにおける漏電電流に対応する零相変流器10の出力電圧(ZCT出力電圧)を示すものである。
【0042】
図3の「過大電圧検出部出力」は、各ケースにおける過大電圧検出部31の出力電圧を示すものである。雷サージの場合、ZCT出力電圧の絶対値が過大電圧検出閾値th1(+th1、−th1)の絶対値以上となったときに、過大電圧検出部31の出力電圧が電圧Hとなる。
【0043】
図3の「急峻波検出部出力」は、各ケースにおける急峻波検出部32の出力電圧を示すものである。雷サージの場合、急峻波検出部32の出力電圧が急峻波検出閾値以上となったときに(急峻波検出閾値は不図示)、急峻波検出部32の出力電圧が電圧Hとなる。
【0044】
図3の「漏電判定方式変更部出力」は、各ケースにおける漏電判定方式変更部33の出力電圧を示すものである。雷サージの場合、過大電圧検出部31の出力電圧と急峻波検出部32の出力電圧とが共に電圧Hとなるので、漏電判定方式変更部33の出力電圧が電圧Hとなる。
【0045】
図3の「漏電電流検出出力」は、各ケースにおける漏電電流検出部21の出力電圧を示すものである。通常漏電、重地絡、雷サージのそれぞれの場合、ZCT出力電圧の絶対値が漏電電流検出閾値th2(+th2、−th2)の絶対値以上となったときに、漏電電流検出部21の出力電圧が電圧Hとなる。
【0046】
図3の「積分出力」は、各ケースにおける積分部22の出力電圧を示すものである。雷サージの場合、漏電判定方式変更部33の出力電圧が電圧Hとなったときに、積分部22は、積分値を所定値だけ小さくする。したがって、雷サージの場合には、通常漏電や重地絡の場合と比較して、積分値が積分値判定閾値th3以上となるタイミングが遅くなる。
【0047】
図3の「遮断信号出力」は、各ケースにおける遮断信号出力部の出力電圧を示すものである。通常漏電及び重地絡の場合、積分値が積分値判定閾値th3以上となったときに、遮断信号出力部40の出力電圧は電圧Hとなる。一方、雷サージの場合、積分値は積分値判定閾値th3未満のままであるので、遮断信号出力部40の出力電圧は電圧Lのままである。
【0048】
このような本実施形態の遮断判定装置100によれば、雷サージの場合には短時間過大電圧検出部30による作用により、積分値が積分値判定閾値th3以上になりにくくなる。すなわち、短時間過大検出部30は、雷サージと判断した場合、漏電判定方式変更部33の出力電圧が電圧Hとなるので、この電圧Hが入力される積分部22は、例えばその入力時点での積分値を減少させる。したがって、雷サージの場合には、ZCT出力電圧の絶対値が漏電電流検出閾値th2の絶対値以上である回数が例えば3回以上になると、遮断信号出力部40により遮断信号が出力される。
【0049】
一方、通常漏電及び重地絡の場合には、ZCT出力電圧の絶対値が漏電電流検出閾値th2の絶対値以上である回数が、雷サージよりも少ない回数である例えば2回以上になると、遮断信号出力部40により遮断信号が出力される。
【0050】
このように、重地絡の場合には所定以上のZCT出力電圧が2回検出されると、交流電路による電力供給を遮断するので、人体保護等を確実に行うことができる。また、雷サージの場合には所定以上のZCT出力電圧が3回検出されると、交流電路による電力供給を遮断するので、交流電路が遮断されにくくなり、雷サージが発生する度に交流電路による電力供給が遮断されるという状況を回避することができる。
【0051】
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態における漏電判定装置の構成例を示すブロック図である。図4に示す漏電判定装置100Bは、零相変流器10、漏電判定部20、短時間過大電圧検出部30B、遮断信号出力部40、を有して構成される。つまり、短時間過大電圧検出部30B以外の構成は、図1に示した漏電判定装置100と同じである。ここでは、短時間過大電圧検出部30Bについて主に説明し、他の構成については説明を省略又は簡略化する。
【0052】
零相変流器10は、ZCT出力電圧を漏電判定部20及び短時間過大電圧検出部30Bに出力する。
【0053】
短時間過大電圧検出部30Bは、所定の短時間で過大なZCT出力電圧が発生したことを検出する。例えば、ZCT出力電圧が所定時間以内に所定電圧範囲外に達した場合、漏電判定部20による漏電判定方式を変更する。短時間過大電圧検出部30Bは、ダイオード部34、ダイオード電圧検出部35、を備える。短時間過大電圧検出部30Bにより、雷サージを検出する。
【0054】
ダイオード部34は、図4に示すように、零相変流器10と並列に一対のダイオードが互いに逆向きに配設される。なお、ダイオードの数は、少なくとも2個である。ダイオード部34の各ダイオードは、所定電圧(ダイオードスライス電圧th5、例えば1V)以上のときにのみ、アノードからカソードへ一方向にのみ電流を流す。したがって、ダイオード部34は、通常漏電など、ZCT出力電圧がダイオードスライス電圧th5よりも小さい場合には、電流を流さない。また、重地絡や雷サージなど、ZCT出力電圧がダイオードスライス電圧th5よりも大きい場合には、ダイオード部34は電流を流す。この結果、重地絡の場合には、ダイオード電圧検出部35に入力される電圧はZCT出力電圧よりも小さくなる(スライスされる)。
【0055】
ここで、ダイオード部34は半導体素子により構成されているので、ZCT出力電圧がダイオードスライス電圧th5以上となった時点から電流を流す時点までの間に、多少のタイムラグが発生する。そのため、雷サージの場合には、先に説明したように短時間で過大な電圧(急峻波)が発生するので、ダイオードの特性から雷サージ発生時点ではダイオード部34が電流を流さない。したがって、雷サージ発生時点では、過大電圧が発生しているがダイオード電圧検出部35に入力されるZCT出力電圧はスライスされない。
【0056】
ダイオード電圧検出部35は、比較器等により構成され、ダイオード部34の後段において、ZCT出力電圧がダイオード電圧検出閾値th4以上である場合に、漏電判定部20の積分部22へ電圧Hを出力する。一方、ZCT出力電圧がダイオード電圧検出閾値th4未満である場合に、漏電判定部20の積分部22へ電圧Lを出力する。電圧Hを出力することは、漏電判定部20による漏電判定方式を変更することに相当する。
【0057】
なお、ダイオード電圧検出閾値th4は、ダイオードスライス電圧th5よりも大きく、第1の実施形態における過大電圧検出閾値th1に相当する。また、ダイオードスライス電圧th5は、漏電電流検出閾値th2の絶対値よりも大きい。
【0058】
次に、漏電判定装置100Bの動作を説明する。
図5は漏電判定装置100Bの動作例を説明するためのタイムチャートである。図3で説明した内容と同じ内容については、説明を省略又は簡略化する。
【0059】
図5の「ZCT出力」は、各ケースにおける漏電電流に対応する零相変流器10の出力電圧(ZCT出力電圧)を示すものである。このZCT出力電圧は、必要に応じてダイオード部34によりスライスされた状態を示している。重地絡の場合、ZCT出力電圧がダイオードスライス電圧th5以上であるときに、ZCT出力電圧がスライスされている。また、雷サージの場合、ダイオードスライス電圧th5以上のZCT出力電圧が発生しているが、急峻波であるためにZCT出力電圧がスライスされていない。
【0060】
図5の「ダイオード電圧検出部出力」は、各ケースにおけるダイオード電圧検出部35の出力電圧を示すものである。雷サージの場合、ZCT出力電圧がダイオード電圧検出閾値th4以上となったときに、ダイオード電圧検出部35の出力電圧が電圧Hとなる。
【0061】
図5の「積分出力」は、各ケースにおける積分部22の出力電圧を示すものである。雷サージの場合、ダイオード電圧検出部35の出力電圧が電圧Hとなった時点で、積分部22は、積分値を所定値だけ小さくする。したがって、雷サージの場合には、通常漏電や重地絡の場合と比較して、積分値が積分値判定閾値th3以上となるタイミングが遅くなる。
【0062】
このような本実施形態の遮断判定装置100Bによれば、雷サージの場合には短時間過大電圧検出部30Bによる作用により、積分値が積分値判定閾値th3以上になりにくくなる。すなわち、短時間過大検出部30Bは、雷サージと判断した場合、ダイオード電圧検出部35の出力電圧が電圧Hとなるので、この電圧Hが入力される積分部22は、例えばその入力時点での積分値を減少させる。したがって、雷サージの場合には、ZCT出力電圧の絶対値が漏電電流検出閾値th2の絶対値以上である回数が例えば3回以上になると、遮断信号出力部40により遮断信号が出力される。
【0063】
一方、通常漏電及び重地絡の場合には、ZCT出力電圧の絶対値が漏電電流検出閾値th2の絶対値以上である回数が、雷サージよりも少ない回数である例えば2回以上になると、遮断信号出力部40により遮断信号が出力される。
【0064】
このように、重地絡の場合には所定以上のZCT出力電圧が2回検出されると、交流電路による電力供給を遮断するので、人体保護等を確実に行うことができる。また、雷サージの場合には所定以上のZCT出力電圧が3回検出されると、交流電路による電力供給を遮断するので、雷サージが発生する度に交流電路による電力供給が遮断されるという状況を回避することができる。
【0065】
さらに、ダイオード部34を用いることで、比較器のためのオペアンプや微分器のためのオペアンプが不要になるので、遮断判定装置100Bの回路構成が容易になる。
【0066】
(第3の実施形態)
図6は本発明の第3の実施形態における漏電判定装置の構成例を示すブロック図である。図6に示す漏電判定装置100C1は、零相変流器10、漏電判定部20C、短時間過大電圧検出部30C1、遮断信号出力部40、を有して構成される。つまり、漏電判定部20C、短時間過大電圧検出部30C1以外の構成は、図1に示した漏電判定装置100と同じである。ここでは、漏電判定部20C及び短時間過大電圧検出部30C1について主に説明し、他の構成については説明を省略又は簡略化する。なお、本実施形態の漏電判定装置100C1の構成部には、デジタル回路が用いられている。
【0067】
零相変流器10は、ZCT出力電圧を漏電判定部20C及び短時間過大電圧検出部30C1に出力する。
【0068】
漏電判定部20Cは、交流電路に漏電が発生しているか否かを判定する。漏電判定部20Cは、漏電電流検出部21、カウント加算部24、カウント積算部26、カウント比較部27、を備える。
【0069】
カウント加算部24は、デジタル回路の加算器等により構成され、所定の電圧以上の電圧値が入力される度に、「1」を加算する。つまり、カウント加算部24は、「+1」をカウント積算部26へ出力する。したがって、カウント加算部24は、漏電電流検出部21の出力電圧が所定電圧以上である場合に、「+1」を出力する。なお、ここでは、漏電電流検出部21の出力電圧が電圧Hのときには所定電圧以上となり、漏電電流検出部21の出力電圧が電圧Lのときには所定電圧未満となるように設計されている。
【0070】
カウント積算部26は、デジタル回路の加算器等により構成され、カウント加算部24の出力値と短時間過大電圧検出部30C1のカウント減算部37の出力値とを加算して記憶する。カウント積算部26の初期値は「0」である。つまり、カウント積算部26は、デジタルカウンタとして機能する。例えば、短時間過大電圧検出部30C1のカウント減算部37の出力値「−1」を入力すると、カウント積算部26の記憶値を「1」だけ減算する。また、カウント加算部24の出力値「+1」を入力すると、カウント積算部26の記憶値を「1」だけ加算する。
【0071】
カウント比較部27は、デジタル回路により構成され、カウント積算部26の出力値(記憶値)とカウント閾値th6とを比較する。所定値とは、例えば「2」である。カウント比較部27は、カウント積算部26の出力値が所定値以上である場合に、「1」を出力する。一方、カウント積算部26の出力値が所定値未満である場合に、「0」を出力する。カウント比較部27の出力値が「1」であることは、漏電が発生していると判定していることに相当する。
【0072】
短時間過大電圧検出部30D1は、所定の短時間で過大なZCT出力電圧が発生したことを検出する。例えば、ZCT出力電圧が所定時間以内に所定電圧範囲外に達した場合、漏電判定部20による漏電判定方式を変更する。短時間過大電圧検出部30D1は、過大電圧検出部31、急峻波検出部32、漏電判定方式変更部33、カウント減算部37、を備える。短時間過大電圧検出部30D1により、雷サージを検出する。
【0073】
カウント減算部37は、デジタル回路の減算器等により構成され、所定の電圧以上の電圧値が入力される度に、「1」を減算する。つまり、カウント減算部37は、「−1」を漏電判定部20Cのカウント積算部26へ出力する。したがって、カウント減算部37は、漏電判定方式変更部33の出力電圧が所定電圧以上である場合、「−1」を出力する。これにより、漏電判定部20Cによる漏電判定方式が変更される。なお、ここでは、漏電判定方式変更部33の出力電圧が電圧Hのときには所定電圧以上となり、漏電判定方式変更部33の出力電圧が電圧Lのときには所定電圧未満となるように設計されている。
【0074】
なお、カウント閾値th6の絶対値は、例えば「2」であり、第1の実施形態で説明した積分値判定閾値th3に相当する。
【0075】
次に、漏電判定装置100C1の動作を説明する。
図7は漏電判定装置100C1の動作例を説明するためのタイムチャートである。図3で説明した内容と同じ内容については、説明を省略又は簡略化する。
【0076】
図7の「カウント減算部出力」は、各ケースにおけるカウント減算部37の出力値を示すものである。雷サージの場合、漏電判定方式変更部33の出力電圧が電圧Hとなるので、カウント減算部37の入力電圧が所定電圧以上となり、カウント減算部37の出力値が「−1」となる。
【0077】
図7の「カウント積算部出力」は、各ケースにおけるカウント積算部26の出力値を示すものである。カウント積算部26は、各ケースにおいて、カウント加算部24の出力値「+1」を入力すると、1カウント加算する。また、雷サージの場合、カウント減算部37の出力値「−1」を入力するので、その出力値を入力した時点で、1カウント減算する。したがって、雷サージの場合には、通常漏電や重地絡の場合と比較して、カウント積算部26の出力値がカウント閾値th6以上となるタイミングが遅くなる。
【0078】
図7の「遮断信号出力」は、各ケースにおける遮断信号出力部の出力電圧を示すものである。通常漏電及び重地絡の場合、カウント積算部26の出力値がカウント閾値th6以上となったときに、遮断信号出力部40の出力電圧が電圧Hとなる。一方、雷サージの場合、カウント積算部26の出力値がカウント閾値th6未満のままであるので、遮断信号出力部40の出力電圧は電圧Lのままである。
【0079】
このような本実施形態の漏電判定装置100C1によれば、第1の実施形態で説明した効果に加えて、漏電判定部20Cにおいてデジタル回路を用いているので、例えば温度特性が改善されるため、漏電判定の精度が向上する。つまり、重地絡と雷サージとを一層高精度に識別することができる。
【0080】
なお、図8に示すように、漏電判定装置100C1の短時間過大電圧検出部30C1を、第2の実施形態で説明したダイオードを用いた短時間過大電圧検出部30C2に置き換えて、漏電判定装置100C2を構成してもよい。また、図9は、漏電判定装置100C2のような構成とした場合の各部の出力例を示すタイムチャートである。
【0081】
(第4の実施形態)
図10は本発明の第4の実施形態における漏電判定装置の構成例を示すブロック図である。図10に示す漏電判定装置100D1は、零相変流器10、漏電判定部20、短時間過大電圧検出部30D1、遮断信号出力部40、を有して構成される。つまり、短時間過大電圧検出部30D1以外の構成は、図1に示した漏電判定装置100と同じである。ここでは、短時間過大電圧検出部30D1について主に説明し、他の構成については説明を省略又は簡略化する。
【0082】
短時間過大電圧検出部30D1は、所定の短時間で過大なZCT出力電圧が発生したことを検出する。例えば、ZCT出力電圧が所定時間以内に所定電圧範囲外に達した場合、漏電判定部20による漏電判定方式を変更する。短時間過大電圧検出部30D1は、過大電圧検出部31、急峻波検出部32、漏電判定方式変更部33、続流電圧検出部36、を備える。短時間過大電圧検出部30D1により、雷サージを検出する。
【0083】
続流電圧検出部36は、比較器等により構成され、ZCT出力電圧が続流電圧検出閾値th7以上である状態が所定時間以上継続した場合に、漏電判定方式変更部33へ電圧Hを出力する。一方、ZCT出力電圧が続流電圧検出閾値th7未満であったり、ZCT出力電圧が続流電圧検出閾値th7以上であるがその状態が所定時間以上継続しなかったりした場合に、漏電判定方式変更部33へ電圧Lを出力する。ここでの所定時間とは、例えば、零相変流器10の一次導体に接続されている交流電源の電源周期の1/4程度である。続流電圧検出部36により、雷サージによる続流電圧を検出することができ、単なる瞬間的なノイズと雷サージとを区別することができる。
【0084】
漏電判定方式変更部33は、AND回路等により構成され、過大電圧検出部31の出力電圧、急峻波検出部32の出力電圧、及び続流電圧検出部36の出力電圧、の論理積に応じて、漏電判定部20の積分部22へ電圧H又はLを出力する。具体的には、過大電圧検出部31の出力電圧、急峻波検出部32の出力電圧、及び続流電圧検出部36の出力電圧、が全て電圧Hである場合には、漏電判定方式変更部33の出力電圧は電圧Hとなる。これ以外の場合には、漏電判定方式変更部33の出力電圧は電圧Lとなる。漏電判定方式変更部33の出力電圧が電圧Hであることは、短時間過大電圧検出部30が雷サージを検出したことに意味する。
【0085】
なお、続流電圧検出閾値th7の絶対値は、漏電電流検出閾値th2の絶対値よりも大きく、過大電圧検出閾値th1の絶対値よりも小さい。
【0086】
次に、漏電判定装置100D1の動作を説明する。
図11は漏電判定装置100D1の動作例を説明するためのタイムチャートである。図3で説明した内容と同じ内容については、説明を省略又は簡略化する。
【0087】
図11の「続流電圧検出部出力」は、各ケースにおける続流電圧検出部36の出力電圧を示すものである。重地絡及び雷サージの場合には、ZCT出力電圧が続流電圧検出閾値th7以上である状態が所定時間以上継続しているので、続流電圧検出部36の出力電圧は電圧Hとなる。
【0088】
図11の「漏電判定方式変更部出力」は、各ケースにおける漏電判定方式変更部33の出力電圧を示すものである。雷サージの場合、過大電圧検出部31の出力電圧、急峻波検出部32の出力電圧、続流電圧検出部36の出力電圧、が全て電圧Hとなったときに、漏電判定方式変更部33の出力電圧が電圧Hとなる。一方、重地絡の場合、続流電圧検出部36の出力電圧が電圧Hとなることはあるが、過大電圧検出部31の出力電圧と急峻波検出部32の出力電圧とが電圧Hとならないので、漏電判定方式変更部33の出力電圧は電圧Lのままである。
【0089】
図11の「積分出力」は、各ケースにおける積分部22の出力電圧を示すものである。雷サージの場合、漏電判定方式変更部33の出力電圧が電圧Hとなったときに、積分部22は、積分値を所定値だけ小さくする。したがって、雷サージの場合には、通常漏電や重地絡の場合と比較して、積分値が積分値判定閾値th3以上となるタイミングが遅くなる。さらに、続流電圧検出部36の出力電圧が電圧Hとなるのは、雷サージによる急峻波が発生してから所定時間経過後であるので、続流電圧検出部36を備えない場合と比較すると、積分値を減少させるタイミングが遅くなる。したがって、瞬間的な過大電圧のノイズのように、雷サージではないが同様の特性を有する信号を雷サージとは高精度に区別することができ、ノイズの場合には早急に遮断信号を出力し、雷サージの場合には遮断信号の出力を行わないようにすることができる。
【0090】
このような本実施形態の漏電判定装置100D1によれば、第1の実施形態で説明した効果に加えて、雷サージと判定するまでに所定時間要することで、積分値を減少させるタイミングを遅らせることができる。したがって、雷サージと同様に過大電圧かつ急峻波の特性を有するノイズ等であっても、確実に雷サージと区別することができる。
【0091】
なお、図12に示すように、漏電判定装置100D1の短時間過大電圧検出部30D1を、ダイオードを用いた短時間過大電圧検出部30D2に置き換えて、漏電判定装置100D2を構成してもよい。また、図13は、漏電判定装置100D2のような構成とした場合の各部の出力例を示すタイムチャートである。
【0092】
(第5の実施形態)
図14は本発明の第5の実施形態における漏電判定装置の構成例を示すブロック図である。図14に示す漏電判定装置100E1は、零相変流器10、漏電判定部20、短時間過大電圧検出部30D1、遮断信号出力部40、第2過大電圧検出部50、論理和算出部60、を有して構成される。つまり、第2過大電圧検出部50及び論理和算出部60以外の構成は、図10に示した漏電判定装置100D1と同じである。ここでは、第2過大電圧検出部50及び論理和算出部60について主に説明し、他の構成については説明を省略又は簡略化する。なお、本実施形態の短時間過大電圧検出部30D1は、過大電圧検出部31の代わりに第1過大電圧検出部31を備えているが、内容的には両者は同一なので、同一の符号を付す。
【0093】
第2過大電圧検出部50は、比較器等により構成され、短時間過大電圧検出部30D1の出力電圧が電圧Hとなった後に、ZCT出力電圧の絶対値が第2過大電圧検出閾値th8の絶対値以上である場合に、論理和算出部60へ電圧Hを出力する。一方、ZCT出力電圧の絶対値が第2過大電圧検出閾値th8の絶対値未満である場合に、論理和算出部60へ電圧Lを出力する。
【0094】
なお、第2過大電圧検出閾値th8の絶対値は、続流電圧検出閾値th6の絶対値以上であり、第1過大電圧検出閾値(過大電圧検出閾値)th1の絶対値以下である。
【0095】
論理和算出部60は、OR回路等により構成され、積分値判定部23の出力電圧又は第2過大電圧検出部50の出力電圧が電圧Hである場合に、遮断信号出力部40へ電圧Hを出力する。一方、積分値判定部23の出力電圧及び第2過大電圧検出部50の出力電圧が共に電圧Lである場合に、遮断信号出力部40へ電圧Lを出力する。
【0096】
次に、漏電判定装置100E1の動作を説明する。
図15は漏電判定装置100E1の動作例を説明するためのタイムチャートである。図11で説明した内容と同じ内容については、説明を省略又は簡略化する。
【0097】
図15の「第1過大検出部出力」は、各ケースにおける第1過大電圧検出部31の出力電圧を示すものであり、先の図11にて説明した「過大検出部出力」と同じである。
【0098】
図15の「第2過大検出部出力」は、各ケースにおける第2過大電圧検出部50の出力電圧を示すものである。重地絡の場合には、雷サージの場合と異なり、過大な電圧が定期的に現れるが、ZCT出力電圧の絶対値が第2過大電圧検出閾値th8の絶対値以上となるのが2回目となったときに、第2過大電圧検出部50の出力電圧が電圧Hとなる。
【0099】
図15の「遮断信号出力」は、遮断信号出力部40の出力電圧を示すものである。積分値は積分値判定閾値th3に達していなくても、第2過大電圧検出部50の出力電圧が電圧Hとなったときには、遮断信号出力部40の出力電圧が電圧Hとなる。
【0100】
このような本実施形態の漏電判定装置100E1によれば、第4の実施形態で説明した効果に加えて、第2過大電圧検出部50により第2過大電圧を検出した場合には重地絡が発生したと判断することができ、積分値判定部23の出力電圧が電圧Hとなる前に、遮断信号出力部40により遮断信号を出力することができる。したがって、重地絡による漏電電流が大きい程人体への影響が大きいと考えられるが、早急に交流電路を介した電力供給を停止させ、人体保護を実現することができる。
【0101】
なお、図16に示すように、漏電判定装置100E1の短時間過大電圧検出部30D1を、ダイオードを用いた短時間過大電圧検出部30D2に置き換えて、漏電判定装置100E2を構成してもよい。また、図17は、漏電判定装置100E2のような構成とした場合の各部の出力例を示すタイムチャートである。
【0102】
(第6の実施形態)
図18は本発明の第6の実施形態における漏電判定装置の構成例を示すブロック図である。図18に示す漏電判定装置100F1は、零相変流器10、漏電判定部20、短時間過大電圧検出部30D1、遮断信号出力部40、第2過大電圧検出部50、論理和算出部60、過大電圧継続検出部70、を有して構成される。つまり、過大電圧継続検出部70以外の構成は、図14に示した漏電判定装置100E1と同じである。ここでは、過大電圧継続検出部70について主に説明し、他の構成については説明を省略又は簡略化する。
【0103】
過大電圧継続検出部70は、比較器等により構成され、ZCT出力電圧が第2過大電圧検出閾値th8以上である状態が所定時間以上継続した場合に、論理和算出部60へ電圧Hを出力する。つまり、第2過大電圧検出部50の出力電圧が電圧Hである状態が所定時間以上継続した場合に、過大電圧継続検出部70の出力電圧が電圧Hとなる。一方、ZCT出力電圧が第2過大電圧検出閾値th8未満であったり、ZCT出力電圧が第2過大電圧検出閾値th8以上であるがその状態が所定時間以上継続しなかったりした場合に、論理和算出部60へ電圧Lを出力する。ここでの所定時間とは、例えば、零相変流器10の一次導体に接続されている交流電源の電源周期の1/4程度である。過大電圧継続検出部70により、重地絡による続流電圧を検出することができ、単なる瞬間的なノイズと重地絡とを区別することができる。
【0104】
論理和算出部60は、OR回路等により構成され、積分値判定部23の出力電圧又は過大電圧継続検出部70の出力電圧が電圧Hである場合に、遮断信号出力部40へ電圧Hを出力する。一方、積分値判定部23の出力電圧及び過大電圧継続検出部70の出力電圧が共に電圧Lである場合に、遮断信号出力部40へ電圧Lを出力する。
【0105】
次に、漏電判定装置100F1の動作を説明する。
図19は漏電判定装置100F1の動作例を説明するためのタイムチャートである。図15で説明した内容と同じ内容については、説明を省略又は簡略化する。
【0106】
図19の「過大電圧継続検出部出力」は、各ケースにおける過大電圧継続検出部70の出力電圧を示すものである。重地絡の場合には、雷サージの場合と異なり、過大な電圧が定期的に現れる。ZCT出力電圧の絶対値が第2過大電圧検出閾値th8の絶対値以上となるのが2回目であり、かつ、その状態が所定時間以上継続したときに、過大電圧継続検出部70の出力電圧が電圧Hとなる。したがって、第5の実施形態の漏電判定装置100E1と比較すると、遮断信号出力部40により遮断信号が出力されるタイミングが遅くなることになる。
【0107】
このような本実施形態の漏電判定装置100F1によれば、第2過大電圧検出部50と過大電圧継続検出部70とを備えない場合と比較すると、重地絡が発生したことを早急に認識することができる。また、重地絡に瞬間的なノイズが重畳されると、重地絡が雷サージと誤判定されて、漏電判定されにくいように漏電判定方式が変更されてしまう可能性がある。このような場合であっても、過大電圧継続検出部70を備えることで、重地絡であることを確実に認識することができる。
【0108】
なお、図20に示すように、漏電判定装置100F1の短時間過大電圧検出部30D1を、ダイオードを用いた短時間過大電圧検出部30D2に置き換えて、漏電判定装置100F2を構成してもよい。また、図21は、漏電判定装置100F2のような構成とした場合の各部の出力例を示すタイムチャートである。
【0109】
(第7の実施形態)
図22は本発明の第7の実施形態における漏電判定装置の構成例を示すブロック図である。図22に示す漏電判定装置100G1は、零相変流器10、漏電判定部20、短時間過大電圧検出部30、遮断信号出力部40、第1抵抗部80、第2抵抗部90、を有して構成される。つまり、第1抵抗部80及び第2抵抗部90以外の構成は、図1に示した漏電判定装置100と同じである。ここでは、第1抵抗部80及び第2抵抗部90について主に説明し、他の構成については説明を省略又は簡略化する。
【0110】
第1抵抗部80及び第2抵抗部90等の抵抗部は、それぞれ抵抗素子等により構成され、ZCT出力電圧を分圧する。つまり、重地絡や雷サージにより過大な電圧が過大電圧検出部31に入力されることで、後段の電子回路を破壊する可能性があるが、ZCT出力電圧を分圧することで、電子回路を保護することができる。なお、分圧用の抵抗部は、2つに限られない。
【0111】
短時間過大電圧検出部30は、第1抵抗部80及び第2抵抗部90により分圧された電圧が所定時間以内に所定電圧範囲外(ここでは過大電圧検出閾値th1の絶対値以上)に達した場合、漏電判定部20による漏電判定方式を変更する。
【0112】
次に、漏電判定装置100G1の動作を説明する。
漏電判定装置100G1の動作例を説明するためのタイムチャートは、図3と同様である。ただし、ZCT出力電圧が分圧されるので、その分だけZCT出力電圧は小さくなる。
【0113】
このような本実施形態の漏電判定装置100G1によれば、第1抵抗部80及び第2抵抗部90を備えることで、重地絡や雷サージが発生した場合であっても、短時間過大電圧検出部30の各電子回路を保護することができる。また、短時間過大電圧検出部30の各電子回路に耐圧性を持たせることなく過大な電圧から保護することができるので、回路コストを軽減することができる。
【0114】
なお、図23に示すように、漏電判定装置100G1の短時間過大電圧検出部30を、ダイオードを用いた短時間過大電圧検出部30Bに置き換えて、漏電判定装置100G2を構成してもよい。
【符号の説明】
【0115】
100、100B、100C,100D1、100D2、100E1、100E2、100F1、100F2、100G1、100G2 漏電判定装置
10 零相変流器(ZCT)
20、20C 漏電判定装置、
21 漏電電流検出部
22 積分部
23 積分値判定部
24 カウント加算部
26 カウント積算部
27 カウント比較部
30、30B、30C1、30C2、30D1、30D2、 短時間過大電圧検出部
31 過大電圧検出部
32 急峻波検出部
33 漏電判定方式変更部
34 ダイオード部
35 ダイオード電圧検出部
36 続流電圧検出部
37 カウント減算部
40 遮断信号出力部
50 第2過大電圧検出部
60 論理和算出部
70 過大電圧継続検出部
80 第1抵抗部
90 第2抵抗部
th1 過大電圧検出閾値(第1過大電圧検出閾値)
th2 漏電電流検出閾値
th3 積分値判定閾値
th4 ダイオード電圧検出閾値
th5 ダイオードスライス電圧
th6 カウント閾値
th7 続流電圧検出閾値
th8 第2過大電圧検出閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電路が貫通する零相変流器と、
前記零相変流器の出力電圧から前記交流電路に漏電が発生しているか否かを判定する漏電判定部と、
前記漏電判定部により漏電が発生していると判定された場合、前記交流電路を遮断するための遮断信号を出力する遮断信号出力部と、
前記零相変流器の出力電圧が所定時間以内に第1の所定電圧範囲外に達した場合、前記漏電判定部による漏電判定方式を変更する短時間過大電圧検出部と、
を備える漏電判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の漏電判定装置であって、
前記短時間過大電圧検出部は、
前記零相変流器の出力電圧が前記第1の所定電圧範囲外である過大電圧を検出する過大電圧検出部と、
前記零相変流器の出力電圧の微分値が所定値以上である急峻波を検出する急峻波検出部と、
前記過大電圧検出部により過大電圧が検出され、かつ、急峻波検出部により急峻波が検出された場合、前記漏電判定部による漏電判定方式を変更する漏電判定方式変更部と、
を備える漏電判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の漏電判定装置であって、
前記短時間過大電圧検出部は、
複数のダイオードが互いに逆方向に前記零相変流器と並列に挿入されたダイオード部と、
前記ダイオード部の出力電圧が前記第1の所定電圧範囲外である場合、前記漏電判定部による漏電判定方式を変更するダイオード電圧検出部と、
を備える漏電判定装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の漏電判定装置であって、
前記短時間過大電圧検出部は、前記零相変流器の出力電圧が所定時間以内に前記第1の所定電圧範囲外に達した場合、前記漏電判定部による漏電判定処理を時延させる漏電判定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の漏電判定装置であって、
前記漏電判定部は、
前記零相変流器の出力電圧が前記第1の所定電圧よりも小さい第2の所定電圧範囲外である場合、所定電圧を出力する漏電電流検出部と、
前記漏電電流検出部の出力電圧を積分する積分部と、
前記積分部の出力電圧である積分電圧が前記第2の所定電圧以上である第3の所定電圧以上である場合、漏電が発生していると判定する積分値判定部と、
を備え、
前記短時間過大電圧検出部は、前記零相変流器の出力電圧が所定時間以内に前記第1の所定電圧範囲外に達した場合、前記積分部の出力電圧を低下させる漏電判定装置。
【請求項6】
請求項4に記載の漏電判定装置であって、
前記漏電判定部は、
前記零相変流器の出力電圧が前記第1の所定電圧よりも小さい第2の所定電圧範囲外である場合、所定電圧を出力する漏電電流検出部と、
前記漏電電流検出部の出力電圧を積分する積分部と、
前記積分部の出力電圧である積分電圧が前記第2の所定電圧以上である第3の所定電圧以上である場合、漏電が発生していると判定する積分値判定部と、
を備え、
前記短時間過大電圧検出部は、前記零相変流器の出力電圧が所定時間以内に前記第1の所定電圧範囲外に達した場合、前記第3の所定電圧を大きくする漏電判定装置。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の漏電判定装置であって、
前記漏電判定部は、
前記零相変流器の出力電圧が前記第1の所定電圧よりも小さい第2の所定電圧範囲外である場合、1カウント加算するカウント加算部と、
前記漏電判定方式変更部により前記漏電判定方式を変更された場合、1カウント減算するカウント減算部と、
前記カウント加算部により加算されるカウントと前記カウント減算部により減算されるカウントとを積算し、積算値を出力するカウント積算部と、
前記カウント積算部により出力される積算値が所定値以上である場合、漏電が発生していると判定するカウント判定部と、
を備える漏電判定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の漏電判定装置であって、
前記短時間過大電圧検出部は、前記零相変流器の出力電圧が所定時間以内に前記第1の所定電圧範囲外に達した場合、前記カウント積算部により出力される積算値を低下させる漏電判定装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の漏電判定装置であって、
前記短時間過大電圧検出部は、所定時間以内に前記第1の所定電圧範囲外に達し、かつ、前記零相変流器の出力電圧が前記第1の所定電圧よりも小さく前記第2の所定電圧よりも大きい第4の所定電圧範囲外である状態が所定時間以上継続した場合、前記漏電判定部による漏電判定方式を変更する漏電判定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の漏電判定装置であって、更に、
前記短時間過大電圧検出部により前記漏電判定部による漏電判定方式を変更した後、前記零相変流器の出力電圧が前記第1の所定電圧よりも小さく前記第4の所定電圧よりも大きい第5の所定電圧範囲外である第2過大電圧を検出する第2過大電圧検出部を備え、
前記遮断信号出力部は、前記漏電判定部により漏電が発生していると判定された場合、又は、前記第2過大電圧検出部により前記第2過大電圧が検出された場合、前記遮断信号を出力する漏電判定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の漏電判定装置であって、更に、
前記第2過大電圧検出部により前記第2過大電圧が検出された状態が所定時間以上継続したことを検出する過大電圧継続検出部を備え、
前記遮断信号出力部は、前記漏電判定部により漏電が発生していると判定された場合、又は、前記過大電圧継続検出部により前記第2過大電圧の状態が所定時間以上継続したことが検出された場合、前記遮断信号を出力する漏電判定装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の漏電判定装置であって、更に、
前記零相変流器の出力電圧を分圧する抵抗部を備え、
前記短時間過大電圧出力部は、前記抵抗部により分圧された電圧が所定時間以内に第1の所定電圧範囲外に達した場合、前記漏電判定部による漏電判定方式を変更する漏電判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−200052(P2012−200052A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61033(P2011−61033)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】